JP4601946B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、路面摩擦係数が低い場合であっても、乗員に違和感を与えることが少ない逸脱回避制御を行うことができる車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
また、前記ヨー制御量算出手段は、前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数が低いほど、各車輪の第1の制動力制御量を小さく算出し、前記制動制御量算出手段は、前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数が低いほど、各車輪の第2の制動力制御量を大きく算出する。
図1は、本発明における実施形態の概略構成図である。この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも左右輪の制動力(制動液圧)を独立に制御可能としている。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバ、9はエンジン、10は自動変速機であり、通常は、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じ、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、前輪5FL、5FR及び後輪5RL、5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっている。また、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介装されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
また、運転席前方には、走行車線逸脱を検出した場合にコントロールユニット8からの警報信号ALに応じて運転者に警告を提示する警告装置24が設置されており、この警告装置24には音声やブザー音を発生するためのスピーカーが内蔵されている。
また、コントロールユニット8は、アンチスキッド制御(ABS)又は車両挙動制御(VDC)のコントローラとして機能するものとし、走行路面−タイヤ間の摩擦係数μを推定して、推定した路面摩擦係数μを記憶装置25に記憶するように構成されている。
この車線逸脱防止制御処理では、まず図2のステップS1で、前記各センサやコントローラからの各種データを読み込む。具体的には、前記各センサで検出された各車輪速度Vwj、マスタシリンダ圧Pm、操舵角δ、方向指示スイッチ信号WS、ストローク量Ls、カメラコントローラ14からの走行車線に対する車両ヨー角Φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行レーン幅Lを読み込む。
次にステップS3で、前記ステップS1で読み込んだ各車輪速度VwFL〜VwRRのうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の車速Vを算出して、ステップS4に移行する。
V=(VwFL+VwFR)/2 ………(1)
この逸脱判断時間算出マップは、路面摩擦係数μが所定値μSETより高いときには逸脱判断時間Ttが時間TtSETに設定され、路面摩擦係数μが所定値μSET以下であるときには、路面摩擦係数μが小さくなるにつれて、逸脱判断時間Ttが時間TtSETより大きく算出されるように設定されている。ここで、所定値μSETは、乗員に違和感を与えることなく目標とする制動操作を行えると判断される路面摩擦係数とする。
Xs=dX×Tt+X ………(2)
Xs=Tt×V×(Φ+Tt×V×β)+X ………(3)
なお、左方向逸脱時に、逸脱推定値Xsは正値となる。
XL=±(L−H)/2 ………(4)
次にステップS7で、逸脱推定値Xsの絶対値|Xs|が、逸脱境界線XLの絶対値|XL|以上であるか否かを判定し、|Xs|<|XL|であるときにはステップS8に移行して、逸脱判断フラグFoutを自車両が逸脱傾向にないことを意味する“0”にリセットして後述するステップS13に移行する。
図3のステップS17では、車線曲率β及び車速Vに基づいて、図6に示すパラメータ算出マップを参照して減速制御の必要性を判断する閾値であるパラメータXaを算出する。このパラメータ算出マップは、曲率βが大きいほど、また車速Vが速いほどパラメータXaが小さく算出されるように設定されている。
また、自車両の走行車線の曲率βが大きくなるにつれてパラメータXaが小さくなるように設定されているため、例えば自車両前方に急なカーブが現れると、|Xs|−|XL|≧Xaとなって減速制御作動フラグFgsが“1”にセットされるため、自車両が減速されて逸脱推定値Xsの増大が抑制される。
ステップS21では、逸脱判断フラグFoutが、自車両に逸脱傾向があることを意味する“1”にセットされているか否かを判定し、Fout=1であるときには、ステップS22に移行して、警報信号ALを警報装置24に出力して警報を作動してからステップS23に移行する。
Ms=Ks×(Xs−XL) ………(5)
ここで、Ksは車速Vと逸脱判断時間Ttとに応じて変動する正の値であり、車速V及び逸脱判断時間Ttをもとに図7に示すゲイン算出マップを参照して算出する。このゲイン算出マップは、車速が速いほど、また逸脱までの時間が長いほどゲインKsが小さく算出されるように設定されている。
また、前記ステップS21の判定結果がFout=0であるときには、ステップS24に移行して、警報信号ALの出力を停止してからステップS25に移行し、目標ヨーモーメントMsを下記(6)式をもとに0(零)に設定してからステップS26に移行する。
Ms=0 ………(6)
次いで、ステップS27に移行して、前記ステップS26で算出した目標制動液圧PsFL〜PsRRを制動流体制御回路7に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
前記ステップS26では、図8に示す目標制動液圧算出処理を行い、先ずステップS31で逸脱判断フラグFoutが“0”にリセットされているか否かを判定する。
PsFL=PsFR=Pmf/2 ………(7)
PsRL=PsRR=Pmr/2 ………(8)
ΔPsF=0 ………(9)
ΔPsR=Kbr・Ms/T ………(10)
ここで、Tは前後輪同一のトレッドである。また、Kbrは制動力を制動液圧に換算する場合の換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
ΔPsF=Kbf・Ms/|Ms|・(|Ms|−Ms1)/T ………(11)
ΔPsR=Kbr・Ms/|Ms|・Ms1/T ………(12)
ここで、Kbfは制動力を制動液圧に換算する場合の換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。なお、この場合、前輪のみで制御することにして、ΔPsF=Kbf・Ms/Tに設定するようにしてもよい。
Ag=−Kv×(|Xs|−|XL|−Xa) ………(13)
ここで、Kvは車両諸元から決まる比例定数である。
Ag=0 ………(14)
ステップS39では、減速を目的として、左右両輪に制動力を発生させるための目標制動液圧Pgを、下記(15)式をもとに算出してからステップS40に移行する。
Pg=Kg×Ag ………(15)
ここで、Kgは車両諸元から決まる比例定数である。このようにして算出された目標制動液圧Pgは、逸脱回避制御時に車両に与えるヨーモーメントに起因する乗員の違和感を抑えるための必要最低限の減速量となる。
PsFL=Pmf/2+ΔPsF/2+Pg/4,
PsFR=Pmf/2−ΔPsF/2+Pg/4,
PsRL=Pmr/2+ΔPsR /2+Pg/4,
PsRR=Pmr/2−ΔPsR /2+Pg/4 ………(16)
PsFL=Pmf/2−ΔPsF/2+Pg/4,
PsFR=Pmf/2+ΔPsF/2+Pg/4,
PsRL=Pmr/2−ΔPsR /2+Pg/4,
PsRR=Pmr/2+ΔPsR /2+Pg/4 ………(17)
したがって、今、自車両が高μ路を走行車線に沿って直進走行しているものとする。この場合には、図2の逸脱防止制御処理において、ステップS5で|Xs|<|XL|となる逸脱推定値Xsが算出されるので、ステップS7からステップS8に移行して、逸脱判断フラグFout=0となって逸脱傾向にないことを示す状態となり、図3のステップS21の判定によりステップS24に移行して警報を停止し、ステップS25で目標ヨーモーメントMsが“0”に設定される。これにより、図8のステップS32で各車輪5FL〜5RRの目標制動圧PsFL〜PsRRには、運転者の制動操作に応じたマスタシリンダ圧Pmf及びPmrが夫々設定され、運転者のステアリング操作に応じた走行状態が継続される。
このように、低摩擦係数路を走行中であるときには、逸脱判断時間Ttが大きく算出されるので、同じ横変位Xであっても、高摩擦係数路を走行中の場合と比較して逸脱推定値Xsが大きく算出されることになる。これにより、ステップS7の逸脱推定値Xsの判定において、逸脱境界線XL以上であると判断されるタイミングを早めて、逸脱を回避するための制動制御を開始するタイミングを早めることができるので、より安全な逸脱回避制御を行うことができる。
また、自車両の横変位に基づいて所定時間後の推定横変位即ち逸脱推定値を算出し、その逸脱推定値をもとに逸脱判断を行い、路面摩擦係数が低いほど、この所定時間を大きく設定するので、逸脱を回避するための制動制御を開始するタイミングを早めることができ、乗員に違和感を与えることなく走行車線からの逸脱を回避することができる。
また、ABSにより路面−タイヤ間の摩擦係数を推定し、推定した摩擦係数を記憶装置に記憶しておくので、路面摩擦係数の推定時間を省くことができ、逸脱を回避するための制動制御を迅速に行うことができる。
また、上記実施形態においては、ナビゲーションシステムによって路面摩擦係数を推定するようにしてもよい。この場合には、ナビゲーションシステムで道路情報(一般道/高速道路)を判断し、自車両が一般道を走行中の場合には信号や曲がり角等、高速道路を走行中の場合には料金所進入時等に減速を行うので、この際に摩擦係数を推定し、推定した摩擦係数を記憶装置に記憶しておけばよい。
さらに、上記実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車に本発明を適用することもできる。この場合には、ステップS3で、各車輪速度VwFL〜VwRRのうち、非駆動輪である後左右輪速度VwRL、VwRRの平均値から自車両の車速Vを算出すればよい。
7 制動流体圧制御回路
8 コントロールユニット
9 エンジン
13 CCDカメラ
14 カメラコントローラ
16 マスタシリンダ圧センサ
20 操舵角センサ
21FL〜21RR 車輪速センサ
22 方向指示スイッチ
23 ワイパスイッチ
24 警報装置
25 記憶装置
Claims (4)
- 自車両の走行車線からの逸脱を回避するように自車両を制御する車線逸脱防止装置において、
自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、自車走行路の路面摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、前記走行状態検出手段で検出された走行状態と前記摩擦係数推定手段で推定した路面摩擦係数とに基づいて、自車両が走行車線から逸脱傾向にあることを判断する逸脱判断手段と、該逸脱判断手段により自車両が走行車線から逸脱傾向にあることが判断されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態と前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数とに基づいて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように各車輪の第1の制動力制御量を算出するヨー制御量算出手段と、前記走行状態検出手段で検出された走行状態と前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数とに基づいて、自車両が減速するように各車輪の第2の制動力制御量を算出する制動制御量算出手段と、前記ヨー制御量算出手段及び前記制動制御量算出手段で算出された第1及び第2の制動力制御量に応じて各車輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、
前記ヨー制御量算出手段は、前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数が低いほど、各車輪の第1の制動力制御量を小さく算出し、前記制動制御量算出手段は、前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数が低いほど、各車輪の第2の制動力制御量を大きく算出することを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記走行状態検出手段は、自車両の走行車線に対する横変位を検出し、前記逸脱判断手段は、前記走行状態検出手段で検出された横変位に基づいて所定時間後の自車両の走行車線に対する横変位を推定し、その横変位推定値をもとに逸脱判断を行うものであり、前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数に応じて前記所定時間を設定する逸脱判断時間算出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記逸脱判断時間算出手段は、前記摩擦係数推定手段で推定された路面摩擦係数が低いほど前記所定時間を大きく設定することを特徴とする請求項2に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記摩擦係数推定手段は、ワイパ払拭速度により路面摩擦係数を推定し、前記ワイパ払拭速度が早いほど前記路面摩擦係数が低いと推定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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