図1は、本発明を適用した情報管理システムの構成例を示す図である。この構成例において、本発明のセンター処理装置1は、例えば、製品を開発するメーカのセンターなどに設置され、ユーザ情報の解析、製品または機能の製造を行う。本発明の情報処理装置であるユーザ端末2a乃至2cは、例えば、ユーザの家庭や職場などに設置され、ユーザがその端末を利用するとその情報(例えば、操作情報、入力信号など)が蓄積される。この例では、3台のユーザ端末が記載されているが、実際にはより多数のユーザ端末が存在する。なお、センター処理装置1の構成については、図11を参照して後述する。また、ユーザ端末2a乃至2cの構成については、図3を参照して後述する。
ユーザ端末2a乃至2cは、自身が蓄積した情報を、それぞれ、センター処理装置1に提供する。センター処理装置1は、ユーザ端末2a乃至2cから提供された情報にもとづいて、個々のユーザ端末にとって最適な機能を決定し、その決定された機能を有する新たな端末を、ユーザ端末2a乃至2cとして各ユーザに提供する。
図2は、センター処理装置1と、ユーザ端末2aの間の処理の流れを示すアローチャートである。ステップS1において、センター処理装置1は、製造した所定の機能を有する製品をユーザ端末2aに提供する。
ステップS21においてユーザ端末2aは、提供された製品を取得する(実装する)。ステップS22においてユーザ端末2aは、ユーザにより利用され、そのときの操作情報と入力信号を、所定の期間(例えば3年間)蓄積する(記憶する)。ステップS23において、ユーザ端末2aは蓄積した情報をセンター処理装置1に提供する。このとき、情報の提供は、製品自体、または情報を蓄積しているパーツなどをユーザからセンターへ配送することにより行ってもよいし、インターネットなどのネットワークを介して、ユーザ端末2aからセンター処理装置1へデータを送信することにより行ってもよい。
また、ステップS23において行われる情報の提供は、情報を所定の期間だけ蓄積したとき、行われるようにしてもよいし、センターからの指示に基づいて行われるようにしてもよい。さらに、ユーザが希望するときに情報の提供を行うことも可能である。
ステップS22においてユーザ端末2aが操作情報または入力信号の蓄積を行っている間、センター(メーカ)においては、新製品または新機能の研究開発が行われる。ステップS2において、センター処理装置1は、ユーザ端末2aから提供された情報を取得し、ステップS3において取得した情報を解析する。そして、研究開発された新製品または新機能を、ユーザ端末2aのユーザの嗜好に適合するよう処理の最適化を行う。例えば、ステップS3において取得された情報からユーザ端末2aのユーザが高解像度の画像を好む傾向があると分析された場合、画像の解像度を高くする処理を行うのに最適になるように、新製品または新機能におけるプログラムやパラメータなどが選択される。
ステップS4において、センター処理装置1は、ユーザの情報を分析した結果を反映した機能(新機能)を追加した商品または基板を製造し、そのユーザに提供する。
ステップS24においてユーザは、新機能を有する商品または基板を取得する。基板が取得された場合、その基板は、既存の商品の対応する基板と交換されるか、または新たに追加される。ステップS25においてユーザ端末2aは、ユーザにより利用され、そのときの操作情報または入力信号を、所定の期間蓄積する。ステップS26において、ユーザ端末2aは蓄積した情報をセンター処理装置1に提供する。
ステップS26において行われる情報の提供は、情報を所定の期間だけ蓄積したとき、行われるようにしてもよいし、センターからの指示に基づいて行われるようにしてもよい。さらに、ユーザが希望するときに情報の提供を行うことも可能である。
ステップS25においてユーザ端末2aが操作情報または入力信号の蓄積を行っている間、メーカにおいては、更に新しい製品または機能(以下、次世代機能と称する)の研究開発が行われる。ステップS5において、センター処理装置1は、ユーザ端末2aから提供された情報を取得し、ステップS6において取得した情報を解析する。そして、研究開発された次世代機能を、ユーザ端末2aのユーザの嗜好に適合するよう処理の最適化を行う。例えば、ステップS5において取得された情報からユーザ端末2aのユーザが高音量でのコンテンツの再生を好む傾向があると分析された場合、音量を高くする処理を行うのに最適になるように、次世代機能におけるプログラムやパラメータなどが選択される。
ステップS7において、センター処理装置1は、次世代機能を基板または新たなユーザ端末2aに組み込み、ユーザに提供する。ステップS27において、ユーザは、その装置を新たなユーザ端末2aとして取得する。あるいは基板が取得された場合、その基板は既存のユーザ端末2aに実装される。
この例では、センター処理装置1とユーザ端末2aの間の処理を説明したが、センター処理装置1とユーザ端末2bの間、およびセンター処理装置1とユーザ端末2cの間でも同様の処理が行われる。
このようにして、メーカが製品または機能を開発したとき、ユーザは、自分の好みに応じて最適化された製品または機能を取得することができる。
図3は、テレビジョン受像機などにより構成されるユーザ端末2a乃至2cの構成例を示すブロック図である。なお、ユーザ端末2a乃至2cは、同一の構成であり、以下、個々に区別する必要がない限りユーザ端末(テレビジョン受像機)2と記述する。このテレビジョン受像機2は、放送信号より525i(interlace)信号の形式のSD(Standard Definition)信号を得て、この525i信号を1050i信号というHD(High Definition)信号に変換し、そのHD信号による画像を表示する機能を有している。
ユーザは、リモートコマンダ31を用いて、テレビジョン受像機2を操作する。テレビジョン受像機2は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を含むマイクロコンピュータを内蔵し、システム全体の動作を制御するシステムコントローラ12を有している。信号受信部11は、システムコントローラ12に接続され、リモートコマンダ31よりユーザの操作に応じて出力される赤外線のリモートコントロール信号を受信し、その信号に対応する操作信号を、システムコントローラ12に供給する。
受信アンテナ32は、放送信号を受信する。チューナ13は、受信アンテナ32で受信された放送信号(RF変調信号)の供給を受け、システムコントローラ12から入力される制御信号に従って、ユーザがリモートコマンダ31を用いて選局したチャンネルを選局する選局処理を行い、更に、中間周波増幅処理、検波処理等などを行って、SD信号(525i信号)を得る。バッファメモリ14は、チューナ13より出力されるSD信号を一時的に保存する。
信号処理部15は、テレビジョン受像機2から取り外して持ち運び可能なように構成されている。例えば、信号処理部15を含む基板などが、テレビジョン受像機2に対して比較的容易に着脱できるように構成されている。信号処理部15は、バッファメモリ14に一時的に保存されるSD信号(525i信号)を、HD信号(1050i信号)に変換する画像信号処理を行う。
ユーザは、信号処理部15(基板)を交換することによりテレビジョン受像機2の機能をアップグッレードすることができる。例えば、将来ズーム処理を行う機能が開発されたとき、その機能を実装した信号処理部15が含まれる基板を、それまでの信号処理部15(基板)と交換することにより、ユーザは、テレビジョン受像機2のそれまでの機能に、ズーム処理機能を追加することができる。
OSD(On Screen Display)処理部16は、表示部18の画面上に文字図形などの表示を行うための表示信号を発生する。合成部17は、OSD処理部16から出力される表示信号を、信号処理部15から出力されるHD信号に合成して、表示部18に供給する。表示部18は、例えば、CRT(cathode-ray tube)ディスプレイ、あるいはLCD(liquid crystal display)等のフラットパネルディスプレイで構成され、信号処理部15より出力されるHD信号による画像と、必要に応じて合成部17により合成された表示信号とを表示する。
また、チューナ13から出力された信号は、音声処理部25にも入力され、音量の変更などの処理が行われ、スピーカ26により音声が出力される。
さらに、システムコントローラ12には、通信部20が接続され、必要に応じてネットワーク33に接続される。
また、システムコントローラ12には、必要に応じてドライブ19が接続され、磁気ディスク21、光ディスク22、光磁気ディスク23、あるいは、半導体メモリ24などが適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じてシステムコントローラ12にインストールされる。
図4は信号処理部15の構成例を示すブロック図である。この信号処理部15においては、クラス分類適応処理が行われ、SD画像である入力画像から、HD画像である出力画像が創造される。なお、クラス分類適応処理の詳細については後述する。
信号処理部15には、入力された入力画像から、クラスタップを抽出するクラスタップ抽出部51および予測タップを抽出する予測タップ抽出部55が設けられている。クラスタップ抽出部51は、注目している画素(以下、注目画素とも称する)に対応する、所定の位置の任意の数の画素で構成されるクラスタップを入力画像から抽出し、抽出したクラスタップを特徴量演算部52に供給する。特徴量演算部52は、注目している画素に対応する画像の特徴量を演算し、クラスタップと共にクラス分類部53に供給する。ここで、画像の特徴量とは、動き、またはフレーム内の画素値の変化などをいう。
さらに、クラス分類部53は、特徴量演算部52から供給されたクラスタップおよび特徴量を基に、注目している画素に対応して、クラス分けを行う。クラス分類部53は、クラス分けの結果を示すクラスコードを係数メモリ54および予測タップ抽出部55に供給する。なお、クラス分類部53は、供給されたクラスタップのレベル分布のみに基づいて、クラス分けをしてもよい。
係数メモリ54は、クラス分類部53から供給されたクラスコードにより表されるクラスに対応する予測タップ係数を画素値演算部56に供給する。
予測タップ抽出部55は、入力画像から注目画素に対して所定の位置の任意の数の予測タップを抽出し、画素値演算部56に供給する。画素値演算部56は、予測タップ抽出部55から供給された予測タップおよび係数メモリ54から供給されたタップ係数に基づいて、HD画像の注目している画素の画素値を演算し、演算されたHD画像を出力する。
ユーザ情報記憶部57は、操作情報または入出力信号を記憶する。ユーザ情報記憶部57は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性のメモリによって構成される。ユーザ情報記憶部57に記憶される情報については、図7を参照して後述する。
クラスタップ抽出部51、係数メモリ54、およびユーザ情報記憶部57は、それぞれシステムコントローラに接続されており、システムコントローラから出力される制御信号により制御される。
次に、図5を参照して、テレビジョン受像機2の画質調整処理動作について説明する。ステップS31において、システムコントローラ12は、画質調整処理の開始が指令された否かを判定し、指令されたと判定されるまで待機する。例えば、ユーザがリモートコマンダ31の所定のボタン(図示せず)を押下することにより処理の開始が指令される。ステップS31において、画質調整処理の開始が指令されたと判定された場合、システムコントローラ12は、ステップS32に進み、信号受信部11に、操作情報を受け付けさせる。このとき例えば、表示部18に解像度とノイズの抑制を同時に制御するGUI(Graphical User Interface)の画像が表示され、ユーザは、リモートコマンダ31を操作することにより、両者のパラメータの値を同時に設定する。
具体的には、ユーザは、解像度とノイズ抑制とをそれぞれX軸とY軸とするGUI画面上で、1点を指定することで、両者のパラメータを同時に指定する。
ステップS33において、信号処理部15は、操作情報に基づいて、図6を参照して後述する信号処理を行う。この信号処理は、上述したように、クラス分類適応処理により行われる。
クラス分類適応処理は、クラス分類処理と適応処理とからなり、クラス分類処理によって、データを、その性質に基づいてクラス分けし、各クラスごとに適応処理を施すものであり、適応処理とは、以下のような手法の処理である。
即ち、適応処理では、例えば、低画質または標準画質の画像であるSD画像データが、所定のタップ係数(以下、適宜、予測係数とも称する)を用いてマッピング(写像)されることにより、高画質の画像であるHD画像というデータに変換される。
いま、このタップ係数を用いてのマッピング方法として、例えば、線形1次結合モデルを採用することとすると、HD画像データを構成する画素(以下、適宜、HD画素という)の画素値yは、SD画像データを構成する画素(以下、適宜、SD画素という)から、HD画素を予測するための予測タップとして抽出される複数のSD画素と、タップ係数とを用いて、次の線形1次式(線形結合)によって求められる。
但し、式(1)において、xnは、HD画素yについての予測タップを構成する、n番目のSD画像データの画素の画素値を表し、wnは、n番目のSD画素(の画素値)と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(1)では、予測タップが、N個のSD画素x1,x2,・・・,xNで構成されるものとしてある。
ここで、HD画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第kサンプルのHD画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk'と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
式(2)の予測値yk'は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyk'を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(3)において、xn,kは、第kサンプルのHD画素についての予測タップを構成するn番目のSD画素を表す。
式(3)の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、HD画素を予測するのに最適なものとなるが、すべてのHD画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、統計的な誤差としての、例えば、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(4)において、Kは、HD画素ykと、そのHD画素ykについての予測タップを構成するSD画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数を表す。
式(4)の自乗誤差の総和Eを最小(極小)にするタップ係数wnは、その総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするものであり、従って、次式を満たす必要がある。
そこで、上述の式(3)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(5)と式(6)から、次(7)が得られる。
式(7)のekに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)で示される正規方程式で表すことができる。
式(8)の正規方程式は、HD画素ykとSD画素xn,kのセットを、ある程度の数だけ用意することで、求めるべきタップ係数wnの数と同じ数だけたてることができ、従って、式(8)を解くことで(但し、式(8)を解くには、式(8)において、タップ係数wnにかかる左辺の行列が正則である必要がある)、最適なタップ係数wnを求めることができる。なお、式(8)を解くにあたっては、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを採用することが可能である。
以上のように、多数のHD画素y1,y2,・・・,yKを、タップ係数の学習の教師となる教師データとするとともに、各HD画素ykについての予測タップを構成するSD画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kを、タップ係数の学習の生徒となる生徒データとして、式(8)を解くことにより、最適なタップ係数wnを求める学習を行っておき、さらに、そのタップ係数wnを用い、式(1)により、SD画像データを、HD画像データにマッピング(変換)するのが適応処理である。
なお、適応処理は、SD画像には含まれていないが、HD画像に含まれる成分が再現される点で、例えば、単なる補間処理等とは異なる。即ち、適応処理では、式(1)だけを見る限りは、いわゆる補間フィルタを用いての補間処理と同一であるが、その補間フィルタのタップ係数に相当するタップ係数wnが、教師データとしてのHD画像データと生徒データとしてのSD画像データとを用いての学習により求められるため、HD画像に含まれる成分を再現することができる。このことから、適応処理は、いわば画像の創造(解像度想像)作用がある処理ということができる。
ここで、タップ係数wnの学習では、教師データyと生徒データxとの組み合わせとして、どのようなものを採用するかによって、各種の変換を行うタップ係数wnを求めることができる。
即ち、例えば、教師データyとして、HD画像データを採用するとともに、生徒データxとして、そのHD画像データの解像度を劣化させたSD画像データを採用した場合には、画像を、その解像度を向上させた画像に変換するタップ係数wnを得ることができる。また、例えば、教師データyとして、HD画像データを採用するとともに、生徒データxとして、そのHD画像データにノイズやぼけを付加したSD画像データを採用した場合には、画像を、そのノイズやぼけを除去した画像に変換するタップ係数wnを得ることができる。本発明では、後者の教師データに基づいて、学習により演算されたタップ係数が、係数メモリ54に予め記憶されている。
ここで、図6を参照して、図5のステップS33の信号処理について説明する。ステップS41において、クラスタップ抽出部51は、入力画像から、注目画素に対応するクラスタップを抽出する。ステップS42において、特徴量演算部52は、入力画像から、注目画素に対応する特徴量を演算する。ステップS43において、クラス分類部53は、ステップS41の処理により抽出されたクラスタップ、およびステップS42の処理により演算された特徴量を基に、注目画素に対応して、クラスを分類する。
ステップS44において、予測タップ抽出部55は、ステップS43の処理によるクラスの分類の結果に対応して、入力画像から、注目画素に対応する予測タップを抽出する。ステップS45において、係数メモリ54は、ステップS43の処理によるクラスの分類の結果に対応して、予め記憶している予測係数のなかから、分類されたクラスに対応する予測係数を読み出す。
ステップS46において、画素値演算部56は、ステップS44の処理で抽出された予測タップ、およびステップS45の処理で読み出された予測係数を基に、注目画素に対応する画素値を演算する。ステップS47において、信号処理部15は、全ての画素について予測が終了したか否かを判定し、全ての画素について予測が終了していないと判定された場合、ステップS41に戻り、次の画素を注目画素として、クラスの分類および適応の処理を繰り返す。
ステップS47において、全ての画素について予測が終了したと判定された場合、処理は終了する。
このようにして、信号処理が行われ、SD画像がHD画像に変換されるとともにノイズが最小に抑制される。
図5に戻って、ステップS34において、システムコントローラ12は、信号処理部15から出力された信号にOSD処理部16からのOSD信号を重畳させて表示部18に表示させる。
ステップS35において、システムコントローラ12は、信号処理部15のユーザ情報記憶部57に操作情報と入力信号を、ユーザ情報として記憶させる。このとき記憶されるユーザ情報の例を図7に示す。
図7の第1行目には「#===power on:Sat Jan 4 10:11:00 2003」と記述されている。これは、西暦2003年1月4日(土曜日)の10時11分00秒にテレビジョン受像機2が起動されたことを表すものである。第2行目には、「channel 6:Sat Jan 4 10:11:03 2003」と記述されている。これは、これは、西暦2003年1月4日(土曜日)の10時11分03秒に6チャンネルが選択されたことを表すものである。
第3行目には、「DRCMFv1 164 157:Sat Jan 4 10:11:03 2003」と記述されている。これは、西暦2003年1月4日(土曜日)の10時11分03秒に、画像の解像度とノイズの抑制を指定するパラメータDRCMFv1において、それぞれのパラメータの値が、値164と値157に指定されたことを表す。第4行目には、「Lvolume 124 Sat Jan 4 10:11:25 2003」と記述されている。これは、西暦2003年1月4日(土曜日)の10時11分25秒に、音量を指定するパラメータLvolumeにおいて、値124が指定されたことを表す。第5行目には、「Lvolume 147 Sat Jan 4 10:11:26 2003」と記述されている。これは、西暦2003年1月4日(土曜日)の10時11分26秒に、上述したパラメータLvolumeにおいて、値147が指定されたことを表す。第6行目乃至第8行目には、同様にパラメータLvolumeの値が、指定された時刻とともに記述されている。
第9行目乃至第24行目には、第3行目と同様に、上述したパラメータDRCMFv1の値が、指定された時刻とともに記述されている。第25行目には、上述したパラメータLvolumeの値が、指定された時刻とともに記述されており、第26行目乃至第31行目には、第2行目と同様に、指定されたチャンネルが、指定された時刻とともに記述されている。
第32行目には、「#===power off:Sat Jan 4 22:46:34 2003」と記述されている。これは、西暦2003年1月4日(土曜日)の22時46分34秒にテレビジョン受像機2が終了(電源off)されたことを表すものである。
この例においては、西暦2003年1月4日(土曜日)の10時11分00秒にテレビジョン受像機2が起動され、西暦2003年1月4日(土曜日)の22時46分34秒に終了されるまでの情報が記憶されている場合について説明したが、記憶される情報は、起動から終了までの間に限られるものではなく、ユーザ情報記憶部57の容量に応じて、連続して記憶される。例えば、西暦2003年1月5日(日曜日)の10時00分00秒にテレビジョン受像機2が、再度起動された場合、図7の第33行目に「#===power on:Sun Jan 5 10:00:00 2003」が追加され、その後ユーザが、各種のパラメータの値を指定すると、上述した場合と同様に、その情報が追加されていく。
なお、ユーザ情報記憶部57は、ユーザ情報を所定の期間(例えば、3年間)、蓄積するのに充分な容量をもつように構成されている。
また、この例では、電源onと電源offの他、パラメータDRCMFv1、パラメータLvolume、および選択されたチャンネルの値が記憶される場合について説明したが、記憶される情報はこれに限るものではない。
また、ユーザ情報記憶部57に記憶される情報には、ユーザを特定するためのID(例えば、登録番号など)が付加されて記憶され、ユーザ情報がセンター処理装置1により取得されたとき、このIDに基づいて、ユーザが特定される。
更に、ユーザ情報記憶部57には、ユーザが、各種のパラメータの値を指定した際の画像の特徴量を対応付けて記憶させることもできる。その詳細を、図8を用いて説明する。
図8は、上述した画像の特徴量を各種パラメータと対応付けて記憶させる例を適用したテレビジョン受像機101の構成例を示している。
テレビジョン受像機101のチューナ112は、受信アンテナ111で捕らえられた放送信号(RF変調信号)に対して、選局処理、中間周波増幅処理、検波処理等を行ってSD(Standard Definition)信号を抽出し、入力選択処理部113に供給する。
入力選択処理部113には、チューナ112からのSD信号の他、DVD(Digital Video Disc)やビデオテープレコーダ等(いずれも図示せず)からの画像信号またはデジタルビデオ信号が入力される。
入力選択処理部113は、システムコントローラ118の制御に従って所定の信号を選択するとともに、選択した信号に応じた前処理を行い、その結果得られた画像信号を画像特徴量抽出部114と画像信号処理部115に供給する。
画像特徴量抽出部114は、入力選択処理部113から入力された画像信号に対する周波数分析の結果、または画像の動きの有無、アクティビティ(例えば、ダイナミックレンジ)などを、画像の特徴量として抽出し、システムコントローラ118に供給する。
例えば、画像特徴量抽出部114は、画質調整が行われたこと(ユーザによってリモートコントローラ102が操作され、解像度やノイズ除去度の調整が行われたこと)をイベントとして、図9に示すように、所定の時間間隔(例えば、1秒間隔)で画像信号を周波数分析し、その結果(図9の例の場合、F1,F2,F3・・)を、システムコントローラ118に供給する。
画像信号処理部115は、SD信号(525i信号)からHD(High Definition)信号(1050i信号または525p信号)を生成する機能、解像度とノイズのボリュームを調節する機能、および表示される画像の一部を拡大することができるズーム機能を有しており、ユーザによって設定された機能、条件に応じた画像処理を行う。
OSD(On Screen Display)回路117は、表示部121の画面上に文字図形等の表示を行うための表示信号を発生し、合成器116に供給する。すなわち合成器116は、OSD回路117から供給された表示信号を、画像信号処理部115からのHD信号に合成して表示部121に供給する。
システムコントローラ118は、リモコン信号受信回路119から供給された信号や、必要に応じて設けられた操作入力部(図示せず)から供給される、ユーザの操作入力を示す信号に従って、各部を制御する。
例えば、システムコントローラ118は、チューナ112や入力選択処理部113に選択信号を送信したり、OSD回路117の動作を制御する。またシステムコントローラ118は、チューナ112に選択させたチャンネルを示す情報(放送時間や番組名等を含むことも可能)などの視聴された画像を示す情報(以下、選択情報と称する)、画像特徴量抽出部114により抽出された画像の特徴量、およびリモコン信号受信回路119から供給された画像処理に関する条件(ユーザがリモートコントローラ102を操作して設定した、色合い、解像度、若しくはノイズ除去度を表す値、またはズーム機能における拡大率等)を、それぞれ対応させて記憶部120に記憶させる。
図10は、記憶部120の記憶内容を示している。この例の場合、選択情報、周波数分析結果、ノイズ除去度、解像度、およびズーム機能における拡大率が記憶される。なお、これらは、各ユーザID毎に作成されてもよい。
また、記憶部120にこれらのデータを記憶させるに当たり、適当なデータ圧縮を施すことができる。また記憶部120に記憶されているデータを適宜更新することもできる(例えば、古いデータを削除し、最新のデータのみを記憶することができる)。
記憶部120の記憶内容は、例えば、テレビジョン受像機の買い換え時にテレビジョン受像機101を引き取った製造事業者が解読することができるようになっている。なお、ネットワークを介して、記憶部120の記憶内容を製造事業者に転送することができるようにすることができる。
図5に戻って、ステップS36において、システムコントローラ12は、終了が指示されたか否かを判定し、終了が指示されていないと判定された場合、ステップS32にもどり、それ以降の処理が繰り返し実行される。例えば、ユーザがリモートコマンダ31の終了ボタン(図示せず)を、押下した場合、システムコントロール部12は、ステップS36において終了が指示されたと判定し、処理を終了する。
図11は、センター処理装置1の構成例を示すブロック図である。このセンター処理装置1には、ユーザ情報を取得するユーザ情報取得部81が設けられている。ユーザ情報は、例えば、信号処理部15の基板をテレビジョン受像機2から取り外し、センターに配送することにより、センター処理装置1において取得することができる。この場合、ユーザ情報取得部81は、信号処理部15のユーザ情報記憶部57に記憶されたデータを読み出す。
あるいはまた、ユーザ情報は、例えば、テレビジョン受像機2のシステムコントローラ12が、ユーザ情報記憶部57に記憶からデータを読み出し、通信部20からネットワーク33を介してセンターに送信することにより、センター処理装置1において取得するようにすることができる。この場合、ユーザ情報取得部81は、ネットワーク33に接続され、テレビジョン受像機2から送信されてきたユーザ情報を受信する。
センター処理装置1には、取得されたユーザ情報からユーザを特定するIDを抽出し、ユーザ情報の中の各パラメータの値の変化を分析するユーザ情報分析部82が設けられており、分析された情報は、ユーザ毎にユーザ情報DB(データベース)83により記録される。処理手順DB85には、各種のユーザの好みに応じた処理手順(例えば、信号処理部15におけるクラス分類適応処理に用いられるタップ位置、係数など)が記録されており、処理手順DB85に記録された処理手順は、選択更新部84により、必要に応じて更新される。
さらに、センター処理装置1には、ユーザ情報分析部82により分析された情報に基づいて、ユーザを所定のグループに分類し、そのユーザに最適な処理手順を処理手順DB85から選択する処理手順選択部86が設けられている。ユーザを所定のグループに分類するとき用いられる閾値は、選択更新部84により、必要に応じて更新される。
また、センター処理装置1には、製造する製品または機能の中で、全てのユーザに共通の部分を製造する共通部分製造部87が設けられている。例えば、信号処理部15を製造するとき、信号処理部15の各部を構成する部品の取り付けなどの処理が、共通部分製造部87により行われる。さらに、センター処理装置1には、製造する製品または機能の中で、ユーザよって異なる部分(個別部分)を製造する個別部分製造部88が設けられている。例えば、信号処理部15を製造するとき、クラスタップ抽出部51、予測タップ抽出部55、または係数メモリ54の中の図示せぬROM(Read-Only Memory)に各種の設定値を記録する処理が、個別部分製造部88により行われる。
個別部分製造部88には、処理手順選択部86により選択された処理手順に基づいて、グループ毎の個別部分を製造する基本部分製造部91と、ユーザ情報分析部82により分析された情報に基づいて、各ユーザ毎の個別部分を製造する固有部分製造部92とが設けられている。例えば、ROMに各種の設定値を記録するとき、クラス分類適応処理に用いられるタップ位置、係数などの設定値は、基本部分製造部91により記録され、画像の解像度の初期値などの設定値は、固有部分製造部92により記録される。
次に、図12と図13を参照して、センター処理装置1の製造処理動作について説明する。ステップS61において、ユーザ情報取得部81は、所定のユーザの信号処理部15のユーザ情報記憶部57からユーザ情報を取得する。ステップS62において、ユーザ情報分析部82は、取得されたユーザ情報からIDを抽出し、ユーザを特定し、ID毎に分析する。これにより、図14乃至図16に示されるような分析結果が得られる。
図14乃至図16は、縦軸にパラメータDRC-Mfv1の値を示し、横軸に日付を示すグラフである。縦軸のパラメータDRC-Mfv1の値は、ユーザ情報の中から抽出され、日付毎にその平均値が計算され求められる。また、横軸の日付は、ユーザ情報の取得を開始した日を第1日目として暦日で示されている。図14は、テレビジョン受像機2のユーザであるユーザAのユーザ情報の中のパラメータDRC-Mfv1の日毎の変化を示すグラフである。同様に、図15は、ユーザAとは異なるユーザBのユーザ情報の中のパラメータDRC-Mfv1の日毎の変化を示すグラフであり、図16は、ユーザCのユーザ情報の中のパラメータDRC-Mfv1の日毎の変化を示すグラフである。
なお、実際のパラメータDRC-Mfv1は、解像度とノイズの2つのパラメータの値により構成されるが、ここでは説明を簡単にするため、解像度の値のみを示すものとする。
最初に、各日付におけるパラメータDRC-Mfv1の値がプロットされ、図14の線101が得られる。その後、線101に基づいて、最小自乗法などにより近似直線102が求められる。同様に、図15および図16においても、各日付におけるパラメータDRC-Mfv1の値を示す線121および線141、並びにそれらの近似直線122および線142が求められる。
なお、図14乃至図16の例では、パラメータDRC-Mfv1についての分析結果を示したが、他のパラメータ(例えば、Lvolume)についても同様の分析が行われる。
ステップS63において、ユーザ情報DB83は、ステップS62の分析結果をIDとともに記録する。このようにすることで、ユーザ情報のデータベースが構築され、IDをキーにして、ユーザ情報を検索することが可能となる。
ステップS64において、処理手順選択部86は、図13を参照して後述する処理手順選択処理を行う。これにより、ユーザが所定のグループに分類され、そのユーザに最適な処理手順が処理手順DB85から選択される。
ここで、図13を参照してステップS64の処理手順選択処理について説明する。ステップS81において処理手順選択部86は、ユーザ情報分析部82から対象ユーザのIDを取得し、ステップS82において、ユーザ情報分析部82からユーザ情報を取得し、ステップS83においてユーザ情報の中の特徴量(例えば、パラメータDRC-Mfv1の値)を取得する。このとき、図14乃至図16に示されるような情報が取得される。
ステップS84において、処理手順選択部86は、特徴量の変化量αを計算する。変化量αは、次のように計算される。例えば、ユーザAの特徴量の変化量αを求めるとき、図14に示されるように、近似直線102における所定の期間(例えば、第2日目から第8日目まで)の変化量が計算される。同様に、ユーザBの特徴量の変化量αも図15に示されるように求められる。ユーザAの変化量は、正の所定の値になるのに対して、ユーザBの変化量は、負の所定の値になる。ユーザCの場合、図16の近似直線142は、横軸とほぼ平行なので特徴量の変化量αは0となる。
ステップS85において、処理手順選択部86は、変化量αの値が所定の閾値th1以上か否かを判定し、変化量αの値が閾値th1以上であると判定された場合、ステップS86に進み、対象ユーザのユーザ分類番号を1に設定する。ここで、閾値th1は、通常、正の値であり、変化量αの値が閾値th1以上であると判定されるのは、特徴量の値が増加する傾向にある場合である。例えば、対象ユーザがユーザAの場合、図14の近似直線102に示されるように特徴量が増加する傾向にあるので、ユーザAのユーザ分類番号は1に設定される。
ステップS87において、処理手順選択部86は、処理手順DB85からユーザ分類番号1に対応する処理手順を取得する。
ステップS85において、処理手順選択部86は、変化量αの値が閾値th1未満であると判定された場合、ステップS88に進み、処理手順選択部86は、変化量αの値が所定の閾値th2(th1>th2)以下か否かを判定し、変化量αの値が閾値th2以下であると判定された場合、ステップS89に進み、対象ユーザのユーザ分類番号を2に設定する。ここで、閾値th2は、通常、負の値であり、変化量αの値が閾値th2以下であると判定されるのは、特徴量の値が減少する傾向にある場合である。例えば、対象ユーザがユーザBの場合、図15の近似直線122に示されるように特徴量が増加する傾向にあるので、ユーザBのユーザ分類番号は2に設定される。
ステップS90において、処理手順選択部86は、処理手順DB85からユーザ分類番号2に対応する処理手順を取得する。
ステップS88において、変化量αの値が閾値th2以下ではないと判定された場合、すなわち、変化量αの値が閾値th1未満でありかつ閾値th2を超える場合、ステップS91に進み、処理手順選択部86は、対象ユーザのユーザ分類番号を3に設定する。変化量αの値が閾値th1未満でありかつ閾値th2を超えると判定されるのは、特徴量の値が特に、増加する傾向にもなく、減少する傾向にもない場合である。例えば、対象ユーザがユーザCの場合、図16の近似直線142に示されるように特徴量が増加もせず、減少もしない傾向にあるので、ユーザCのユーザ分類番号は3に設定される。
ステップS92において、処理手順選択部86は、処理手順DB85からユーザ分類番号3に対応する処理手順を取得する。
図17に、処理手順DB85に記録される各グループの処理手順の例を示す。この例では、処理手順として、クラス分類適応処理に用いられるタップのタイプと係数が記録されている。なお、図17は、特徴量がパラメータDRC-Mfv1の値の場合を示すものであり、処理手順はこれに限定されるものではない。
いま仮に、図14乃至図16のパラメータDRC-Mfv1の値が、空間方向の解像度を指定するものとすると、ユーザ分類番号1に分類されたユーザは、空間方向の解像度を高く設定することを好むユーザである。また、ユーザ分類番号2に分類されたユーザは、空間方向の解像度を低く設定することを好むユーザである。さらに、ユーザ分類番号3に分類されたユーザは、ユーザ分類番号1に分類されたユーザとユーザ分類番号2に分類されたユーザの中間の空間方向の解像度を好むと考えられる。
図18乃至図20は、空間方向と時間方向の予測タップの例を示す図である。図18乃至図20に示すタップを、それぞれ、タイプa乃至タイプcのタップとよぶ。ここで、図中、円のマークは選択されるタップを示している。また、F0は、作成すべきHD信号の画素データ(注目位置の画素データ)が存在するフィールドを表し、このフィールドF0に中心予測タップTPが存在する。また、F−1は、フィールドF0より時間的に前のフィールドを表し、F+1は、フィールドF0より時間的に後のフィールドを表す。
図18に示すタイプaのタップは、空間方向(垂直方向および水平方向)のタップの個数を多くしたものである。これにより、時間方向の解像度に比べて、空間方向の解像度が精度よく創造されるものとなる。図19に示すタイプbのタップは、時間方向のタップの個数を多くしたものである。これにより、空間方向の解像度に比べて、時間方向の解像度が精度よく創造されるものとなる。図20に示すタイプcのタップは、タイプaとタイプbの中間の特性を実現する構成である。
ユーザ分類番号1に分類されたユーザ(例えば、ユーザA)は、空間方向の解像度を高く設定することを好むユーザであるので、ユーザAに提供する新しい信号処理部15はタイプaを採用することが好ましい。また、ユーザ分類番号2に分類されたユーザ(例えば、ユーザB)は、空間方向の解像度を低く設定することを好むユーザであるので、ユーザBに提供する新しい信号処理部15はタイプbを採用することが好ましい。さらに、ユーザ分類番号3に分類されたユーザ(例えば、ユーザC)は、ユーザ分類番号1に分類されたユーザとユーザ分類番号2に分類されたユーザの中間の空間方向の解像度を好むと考えられので、ユーザCに提供する新しい信号処理部15はタイプcを採用することが好ましい。
このように、処理手順DB85には、ユーザ分類番号に対応するタップのタイプとそのタップに対応する係数が記録されている。そして、図13のステップS87、S90、S92の処理において、各ユーザ分類番号に対応する処理手順が選択されることにより、各ユーザの好みに適合する処理手順が、各ユーザに提供される製品(機能)に実装される。
図12に戻って、ステップS65において、基本部分製造部91は、ステップS64において選択された処理手順にもとづいて、基本部分を製造する。これにより、クラス分類適応処理に用いられるタップ、係数などの設定値が、ROMに記録される。ステップS66において、固有部分製造部92は、ユーザ固有値を設定する。
ユーザ固有値の設定は、例えば、次のように行われる。図14のグラフにおける近似直線102は、図中右側に上昇している。このことから、ユーザAは、最近パラメータDRC-Mfv1をより高く指定(より高い解像度を指定)している傾向にあることが分かる。いま、新製品(機能)として、あたらしい信号処理部15をユーザAに提供する場合、パラメータDRC-Mfv1の初期値を現在設定されている期値より大きい値に設定しておけば、ユーザAにとってより快適な、すなわちユーザAの好みに適合する画像を提供できる。そこで、固有部分製造部92は、近似直線102の最も右側の値(図14の例では、110)をパラメータDRC-Mfv1の初期値として設定する。
また、近似直線102の傾きから、今後のパラメータDRC-Mfv1の値を予測して初期値を設定してもよい。例えば、図14には、日付の第10目までしか表示されていないが、近似直線102の図中右上に傾いているので、仮にこのまま近似直線が延長されれば、第12日目には、パラメータDRC-Mfv1の値は、およそ130程度になると予測される。このように予測された値を初期値として設定することもできる。
図15のグラフにおける近似直線122は、図中右側に下降している。このことから、ユーザBは、最近パラメータDRC-Mfv1をより低く指定している傾向にあることが分かる。いま、新製品(機能)として、あたらしい信号処理部15をユーザBに提供する場合、パラメータDRC-Mfv1の初期値を現在設定されている初期値より低く設定しておけば、ユーザBの好みに適合する画像を提供できる。
図16のグラフにおける近似直線142は、図中ほぼ横軸とほぼ平行になっている。このことから、ユーザCは、パラメータDRC-Mfv1をより高く指定することもあれば、より低く指定することもある傾向にあることが分かる。すなわち、ユーザCに対しては、新製品(機能)として、あたらしい信号処理部15を提供する場合、パラメータDRC-Mfv1の初期値を現在設定されている初期値と同等に設定しておけば、ユーザCの好みに適合する画像を提供できる。
このようにして設定されたパラメータDRC-Mfv1の初期値について、図21乃至図23を参照してさらに説明する。図21乃至図23は、縦軸に解像度、横軸にノイズのパラメータをそれぞれ示すグラフであり、図21乃至図23中の点Pは、現在のパラメータDRC-Mfv1の初期値を示す。
図21において、点PAは、ユーザAに提供されるあたらしい信号処理部15におけるパラメータDRC-Mfv1の初期値を示す。点PAの解像度の値DrAは、点Pの解像度の値Drに比べて解像度が高く設定されている。なお、ノイズの値DnAは、解像度の値DrAを参考に適正な値が自動的に算出される。
図22において、点PBは、ユーザBに提供されるあたらしい信号処理部15におけるパラメータDRC-Mfv1の初期値を示す。点PBの解像度の値DrBは、点Pの解像度の値Drに比べて解像度が低く設定されている。
図23において、点PCは、ユーザCに提供されるあたらしい信号処理部15におけるパラメータDRC-Mfv1の初期値を示す。点PCは、点Pとほぼ同じ位置設定されている。
このように、ユーザA、ユーザB、またはユーザCについてそれぞれ異なる初期値が設定される。なお、これらの初期値は、ユーザをグループ分けしてグループ単位に設定されるものではなく、1ユーザに対して1つずつ設定されるものである。
ステップS67において、固有部分製造部92は、固有部分を製造する。このとき、ステップS66で設定された初期値がROMに記録される。
なお、ステップS65、S67において、クラス分類適応処理に用いられるタップ、係数などの設定値、およびパラメータDRC-Mfv1などの初期値をROMに記録する代わりに、ネットワーク33を介して、クラス分類適応処理に用いられるタップ、係数などの設定値、およびパラメータDRC-Mfv1などの初期値をテレビジョン受像機2に送信することも可能である。この場合テレビジョン受像機2のシステムコントローラ12は、送信されてきたデータに基づいて、信号処理部15に設定されている値を更新する。
このようにして、各ユーザの好みに適合する新製品(新機能)が製造される。
図13の処理手順選択処理において、用いられる閾値th1とth2は、選択更新部84により適宜更新される。図24を参照して、この閾値更新処理を説明する。この処理は、ユーザ情報DB83にユーザ情報が充分蓄積されてから行われる。また、この処理は、定期的に行ってもよいし、例えば、所定の量のユーザ情報が追加される都度、行ってもよい。
ステップS111において、選択更新部84は、ユーザ情報DB83に記録されている変化量のデータを分析し、ステップS112において、変化量の頻度分布を生成する。
変化量の頻度分布の例を図25と図26に示す。図25と図26は、横軸にパラメータLvolumeの変化量を示し、縦軸にユーザの頻度分布を示す。図22において、メーカが当初想定したユーザの頻度分布が線161で示されている。線161は、変化量が−4のとき第1のピークP1を形成し、変化量が0のとき第2のピークP2を形成し、変化量が4のとき第3のピークP3を形成している。閾値th1は、変化量の2の極小値P5に対応され、閾値th2は、変化量の−2の極小値P4に対応されている。
すなわち、メーカは、当初、閾値th2より小さい値の方に1つのピークが形成され、閾値th1より大きい値の方に1つのピークが形成され、閾値th1とth2の間に1つのピークが形成されるように、閾値th1の値を2に設定し、閾値th2の値を−2に設定した。
ステップS112において、実際に蓄積されたユーザ情報をもとに、例えば、図26の線162に示されるような頻度分布が得られた場合、閾値th1とth2の値を変更する必要がある。線162は、変化量が−8のとき、第1のピークP11を形成し、変化量が−4のとき第2のピークP12を形成し、変化量が0のとき、第3のピークP13を形成している。
そこで、ステップS113において、選択更新部84は、閾値th1とth2の値を例えば、図26に示されるように更新する。図26において、閾値th1は変化量が−2の極小値P15に、閾値th2は変化量が−6の極小値P14に、それぞれ更新されている。これにより、閾値th2の左側に1つのピークが形成され、閾値th1の右側に1のピークが形成され、閾値th1とth2の間に1つのピークが形成される。
なお、閾値は、2つに限らず、頻度分布に応じてより多数設定することも可能である。また、閾値の更新に伴って、処理手順DB85に記録される情報も更新される。
このように、頻度分布を生成し、閾値を設定することにより、より適正なユーザ分類が可能となる。
以上においては、テレビジョン受像機を例としたが、本発明は、その他の各種の情報処理装置を製造する場合にも適用することができる。
なお、上述した一連の処理をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば、図27に示されるような、汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
図27において、CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202に記憶されているプログラム、または記憶部208からRAM(Random Access Memory)203にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM203にはまた、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU201、ROM202、およびRAM203は、バス204を介して相互に接続されている。このバス204にはまた、入出力インタフェース205も接続されている。
入出力インタフェース205には、キーボード、マウスなどよりなる入力部206、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal display)などよりなるディスプレイ(表示部)、並びにスピーカなどよりなる出力部207、ハードディスクなどより構成される記憶部208、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部209が接続されている。通信部209は、インターネットなどのネットワークを介しての通信処理を行う。
入出力インタフェース205にはまた、必要に応じてドライブ210が接続され、ドライブ210には、本発明のプログラムが記録された記録媒体が装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部208にインストールされる。
記録媒体は、磁気ディスク211、光ディスク212、光磁気ディスク213、或いは半導体メモリ214などにより構成される。
なお、本明細書において上述した一連の処理を実行するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
1 携帯電話機, 2 ICカードチップ, 5 コンテンツサーバ, 7 SAM, 91 通信制御部, 92 セキュアクライアント, 93 表示制御部, 102 メモリ, 103 アンテナ, 111 カード制御部, 112 リーダライタ制御部, 113 メモリ管理部,114 通信制御部, 181 HTTPサーバ, 182 セキュアサーバ, 183 アプリケーションプログラム