JP4478998B2 - 透明導電フィルムおよび透明導電積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明導電フィルムおよび透明導電積層体に関する。本発明の透明導電フィルム、透明導電積層体は、可視光線透過性に優れるとともに、赤外線遮蔽性に優れ、特に、複層ガラス、天窓、自動車ウィンドウ、冷蔵冷凍ケース等に好ましく用いられる。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に導電性材料を含む層を形成した透明導電フィルムは、おもにスパッタリング法によって製造されている。スパタッリング法には種々の手段があり、例えば、真空中で直流または高周波放電で発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、支持体表面に沈着させ透明導電層を形成する手段などが挙げられる。
【0003】
スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面電気抵抗の低い導電層を形成することができる点で優れる。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅い等の問題点がある。今後、導電層の大面積化が進むにつれ、装置の大規模化が予想される。装置の大規模化は、制御精度により一層の高度化が要求されるといった技術面での問題や、製造コスト増大などの製造効率面での問題を生じる。また、現在、ターゲット数をふやすことで成膜速度の向上を図っているが、これも装置の大規模化の一因となっている。
【0004】
塗布法による透明導電フィルムの製造も試みられている。従来の塗布法では、導電性微粒子をバインダー樹脂中に分散させた導電性塗料を支持体上に塗布、乾燥し、導電層を形成している。塗布法は、スパッタリング法に比べ、大面積の導電層を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、製造コストも低い。塗布法による導電フィルムにおいては、導電層中に存在する導電性微粒子どうしが互いに接触することにより電気経路を形成し、これにより導電性が発現される。
【0005】
従来、塗布法による透明導電フィルムの製造においては、バインダー樹脂を大量に用いなければ導電層を成膜することができないとされていた。そのため、バインダー樹脂によって導電性微粒子どうしの接触が妨げられ、得られる透明導電フィルムの電気抵抗値が高くなる(導電性に劣る)という問題があり、その用途が限られていた。また、バインダー樹脂を用いない場合には、導電性物質を高温で焼結させなければ実用に耐える導電層の形成ができないとされていた。
【0006】
従来の塗布法として、例えば特開平9−109259号公報には、導電性粉末とバインダー樹脂とからなる導電性塗料を転写用プラスチックフィルム上に塗布、乾燥し、導電層を形成する第1工程、導電層表面を平滑面に加圧(5〜100kg/cm2)、加熱(70〜180℃)処理する第2工程、この導電層をプラスチックフィルム若しくはシート上に積層し、熱圧着させる第3工程からなる帯電防止導電フィルム若しくはシートの製造法が開示されている。
【0007】
上記製造法では、大量のバインダー樹脂を含む導電性塗料を用いている。すなわち、導電性粉末として無機質導電性粉末を用いる場合、バインダー100重量部に対して導電性粉末100〜500重量部、有機質導電性粉末を用いる場合、バインダー100重量部に対して導電性粉末0.1〜30重量部である。このようにバインダー樹脂を大量に用いるため、上記公報に示される技術では電気抵抗値の低い透明導電フィルムを得ることができない。
【0008】
また特開平8−199096号公報には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶媒、カップリング剤、金属の有機酸塩若しくは無機酸塩からなる、バインダーを含まない導電膜形成用塗料をガラス板に塗布し、300℃以上の温度で焼成する透明導電膜被覆ガラス板の製造法が開示されている。この方法では、バインダーを用いないので、導電膜の電気抵抗値は低くなる。しかし、300℃以上の温度での焼成工程を行う必要があるため、樹脂フィルムのような支持体上に導電膜を形成することは困難である。樹脂フィルムは中〜高温で変形、溶融、炭化、あるいは燃焼してしまう。樹脂フィルムの種類によっても異なるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでは130℃前後の温度が加熱の限界と考えられる。
【0009】
塗布法以外の製造法として、例えば特開平6−13785号公報に、導電性物質(金属または合金)粉体より構成された骨格構造の空隙の少なくとも一部、好ましくは空隙の全部に樹脂が充填された粉体圧縮層と、その下側の樹脂層とからなる導電性皮膜が開示されている。それによると、板材に皮膜を形成する場合、まず、樹脂、粉体物質(金属または合金)および被処理部材である板材を皮膜形成媒体(直径数mmのスチールボール)とともに容器内で振動または攪拌すると、被処理部材表面に樹脂層が形成され、続いて粉体物質がこの樹脂層の粘着力により樹脂層に捕捉・固定される。さらに振動または攪拌を受けている皮膜形成媒体が、振動または攪拌を受けている粉体物質に打撃力を与え、粉体圧縮層がつくられる。しかしながら、この技術においてもまた、粉体圧縮層の固定効果を得るためにかなりの量の樹脂が必要とされることから、電気抵抗値の低い導電性皮膜を得るのが難しい。また、塗布法に比べ製法が煩雑である。
【0010】
さらに他の製造法として、特開平9−107195号公報に、導電性短繊維をPVCなどのフィルム上にふりかけて堆積させ、これを加圧処理して、導電性短繊維−樹脂一体化層を形成する方法が開示されている。導電性短繊維とは、ポリエチレンテレフタレートなどの短繊維にニッケルめっきなどを被着処理したものである。加圧操作は、樹脂マトリックス層が熱可塑性を示す温度条件下で行うことが好ましく、175℃、20kg/cm2という高温加熱・低圧条件が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大面積の導電フィルムを容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで製造可能な塗布法の利点を活かしつつ、表面電気抵抗値が低く導電性に優れるとともに、透明性に優れ、かつ赤外線遮蔽性に優れた透明導電フィルムを得、さらにこれを適用した透明導電積層体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、以下の本発明が提供される。なお本項目中、課題解決手段(2)、(8)、(12)は欠番とする。
【0013】
(1)支持体上に導電層を積層してなり、前記導電層が、導電性微粒子として錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を分散し、かつバインダー用樹脂を含まない塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を44N/mm2以上の圧縮力で圧縮して導電性微粒子圧縮層としたものであり、該導電層における下記数1で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上である、透明導電フィルム。
【0014】
【数4】
I=IOexp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
(数4中、IOは支持体を透過した光の強度を示し;Iは支持体−導電層からなる透明導電フィルムを透過した光の強度を示し;αは線吸収係数(単位:μm -1 )を示し;Xは導電層の膜厚(単位:μm)を示す)
【0016】
(3)タッチパネルに用いる、上記透明導電フィルム。
【0017】
(4)面発熱体に用いる、上記透明導電フィルム。
【0018】
(5)無機エレクトロルミネッセンス用電極に用いる、上記透明導電フィルム。
【0019】
(6)太陽電池用電極に用いる、上記透明導電フィルム。
【0020】
(7)基材上に、支持体と、該支持体上に形成した導電層とを積層してなり、前記導電層が、導電性微粒子として錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を分散し、かつバインダー用樹脂を含まない塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を44N/mm2以上の圧縮力で圧縮して導電性微粒子圧縮層としたものであり、該導電層における下記数2で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上である、透明導電積層体。
【0021】
【数5】
I=IOexp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
(数5中、IOは基材−支持体を透過した光の強度を示し;Iは基材−支持体−導電層からなる透明導電積層体を透過した光の強度を示し;αは線吸収係数(単位:μm -1 )を示し;Xは導電層の膜厚(単位:μm)を示す)
【0023】
(9)基材がガラスパネルまたは樹脂パネルである、上記透明導電積層体。
【0024】
(10)CRT前面ガラスパネル、PDP前面ガラスパネル、建材用ガラスパネル、車両用ガラスパネル、建材用樹脂パネル、車両用樹脂パネル、または半導体クリーンルーム用樹脂パネルに用いられる、上記透明導電積層体。
【0025】
(11)基材上に導電層を積層してなり、前記導電層が、導電性微粒子として錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を分散し、かつバインダー用樹脂を含まない塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を44N/mm2以上の圧縮力で圧縮して導電性微粒子圧縮層としたものであり、該導電層における下記数3で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上である、透明導電積層体。
【0026】
【数6】
I=IOexp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
(数6中、IOは基材を透過した光の強度を示し;Iは基材−導電層からなる透明導電積層体を透過した光の強度を示し;αは線吸収係数(単位:μm -1 )を示し;Xは導電層の膜厚(単位:μm)を示す)
【0028】
(13)基材がガラスパネルまたは樹脂パネルである、上記透明導電積層体。
【0029】
(14)CRT前面ガラスパネル、PDP前面ガラスパネル、建材用ガラスパネル、車両用ガラスパネル、建材用樹脂パネル、車両用樹脂パネル、または半導体クリーンルーム用樹脂パネルに用いられる、上記透明導電積層体。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0031】
本発明の透明導電フィルムは、支持体上に、導電性微粒子を含有する導電層を形成してなる。導電性微粒子としては特に限定されるものでないが、錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子が好ましく用いられる。本発明では「導電層中に錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子などの導電性微粒子を含有する」ことから、導電層中に例えばITOの結晶膜が生成されている態様のものなどは本発明に含まれない。導電層の厚さは特に限定されるものでなく、透明導電フィルムとしての用途、目的等によって一概にいえるものでないが、0.1〜10μm程度が好ましい。
【0032】
支持体としては、特に限定されることなく、樹脂フィルム、ガラス、セラミックス等の各種のものを用いることができるが、透明性が高く、可撓性のものが好ましい。これらの点から樹脂フィルムが好ましく用いられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製「アートン」、等)等が挙げられる。中でもPETフィルムが特に好ましい。なお、支持体の厚さは、特に限定されるものでないが、10〜200μm程度のものが好ましい。
【0033】
また本発明の透明導電積層体は、基材上に、支持体と、該支持体上に形成した導電性微粒子を含有する導電層とを積層した構成を有する(「第1の透明導電積層体」)か、あるいは、基材上に、導電性微粒子を含有する導電層を積層した構成を有する(「第2の透明導電積層体」)。
【0034】
上記第1、第2の透明導電積層体において、導電層に含有される導電性微粒子としては特に限定されるものでないが、いずれも錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子が好ましく用いられる。本発明では「導電層中に錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子などの導電性微粒子を含有する」ことから、導電層中に例えばITOの結晶膜が生成されている態様のものなどは本発明に含まれない。導電層の厚さは特に限定されるものでなく、それが適用される透明導電積層体の用途、目的等によって一概にいえるものでないが、0.1〜10μm程度が好ましい。
【0035】
これら透明導電積層体の製造においては、支持体上に導電層を形成した上記透明導電フィルムが好ましく用いられる。導電層、支持体ついては、上記導電フィルムにおいて説明したとおりである。
【0036】
本発明透明導電フィルムの製造は、特にその製造方法が限定されるものでないが、例えば以下の方法により好ましく製造される。
【0037】
すなわち、導電性微粒子を分散した塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を圧縮して導電性微粒子圧縮層を得ることを含む、透明導電性フィルムの製造方法である。
【0038】
導電性微粒子としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子が好ましく用いられるが、これ以外にも、導電フィルムの透明性を大きく損なわず、本発明効果を損なわない範囲内で、任意の導電性微粒子を用いることができる。例えば酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒子を好ましく用いることができる。あるいは、有機質の導電性微粒子を用いてもよい。これら微粒子の粒子径は、導電フィルムの用途に応じて必要とされる散乱の度合いにより異なり、また、粒子の形状により異なり一概にはいえないが、一般に1μm以下であり、0.5μm以下が好ましく、5〜100nmがより好ましい。
【0039】
導電性微粒子を分散する液体(分散媒)としては、特に限定されることなく、公知の各種分散媒を用いることができる。例えば、ヘキサン等の飽和炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。なかでも極性を有する分散媒が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類や、NMP等のアミド類などの水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であることから、好ましく用いられる。これら分散媒は1種または2種以上を用いることができる。また、分散媒の種類により、分散剤を用いてもよい。
【0040】
分散媒として水も用いることができる。水を用いる場合には、支持体が親水性である必要がある。樹脂フィルムは通常、疎水性であるため水をはじきやすく、均一な層が得られにくい。支持体が樹脂フィルムの場合、水にアルコールを混合したり、あるいは支持体の表面を親水性にする必要がある。
【0041】
用いる分散媒の量は、特に制限されず、導電性微粒子の分散液(塗料、導電性塗料)が塗布に適した適度な粘度を有するようにすればよい。具体的には、導電性微粒子100重量部に対して分散媒100〜100,000重量部程度が好ましいが、導電性微粒子と分散媒の種類に応じて適宜変更し得る。
【0042】
導電性微粒子の分散媒中への分散は、例えばサンドグラインダーミル法など、公知の分散手段により行うことができる。分散に際しては、導電性微粒子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用いることも好ましい。また、分散の際にゴミ等の不純物が混入しないよう注意する。
【0043】
導電性微粒子を分散した液(塗料)は、バインダー用の樹脂を、分散前の体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の範囲で用いるのが好ましく、より好ましくは20未満であり、特に好ましくは3.7未満であり、最も好ましくは0である。樹脂は、導電フィルムの散乱を少なくする作用があるが、一方で、導電フィルムの電気抵抗値を高くしてしまう。絶縁性の樹脂によって導電性微粒子どうしの接触が阻害され、樹脂量が多い場合には微粒子どうしの接触を妨げ、微粒子相互間の電子移動が阻害されるからである。したがって、透明性の向上と導電性微粒子相互間の導電性の確保の双方を考慮して、樹脂は上記体積範囲内で用いるのが好ましい。
【0044】
なお、上記導電性微粒子の体積とバインダー樹脂の体積は、みかけの体積ではなく、真体積である。真体積は、JIS Z 8807に基づきピクノメーター等の機器を使用して密度を求め、(用いる材料の重量)/(用いる材料の密度)から算出される。このように、樹脂の使用量を重量ではなく体積で規定するのは、圧縮後に得られる導電層において、導電性微粒子に対して樹脂がどのようにして存在するのかを考えた場合により現実を反映するからである。
【0045】
従来の塗布法においては、後述するような本製造方法での塗膜への強い圧縮を行わないので、塗膜の機械的強度を得るためにバインダーとしての樹脂を多く含有させる必要があった。バインダーとしての役割を果たし得る量の樹脂を含むと、導電性微粒子同士の接触がバインダーにより阻害され、微粒子間の電子移動が阻害され導電性が低下する。
【0046】
なお、上記樹脂としては、特に限定されることなく、透明性に優れる熱可塑性樹脂またはゴム弾性を有するポリマーを、1種または2種以上を混合して用いることができる。樹脂の例としては、フッ素系ポリマー、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、SBR、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
【0047】
フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。また主鎖の水素をアルキル基で置換した含フッ素系ポリマーも用いることができる。樹脂の密度が大きいものほど、用いる量が増大してもそれに比して体積の増大がみられないことから、本発明の要件を満たしやすい。
【0048】
導電性微粒子の分散液には、導電性を損なわない範囲内で、各種添加剤を配合してもよい。これら添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等が挙げられる。
【0049】
次いで、上記導電性微粒子の分散液(塗料)を支持体上に塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層を形成する。
【0050】
上記支持体の両面上への導電性微粒子分散液(塗料)の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができる。例えばリバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの塗布法によって行うことができる。また、噴霧、吹き付けなどにより、支持体上へ分散液を付着させることも可能である。
【0051】
乾燥温度は分散に用いた分散媒の種類によるが、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空気中の水分の結露が起こりやすく、一方、150℃を超えると樹脂フィルム(支持体)が変形する場合がある。また、乾燥の際に不純物が前記微粒子の表面に付着しないように注意する。
【0052】
塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層の厚みは、次工程の圧縮条件や、最終的に得られる導電フィルムの用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。
【0053】
このように、導電性微粒子を分散媒に分散させて塗布し、乾燥すると、均一な層を形成しやすい。これら導電性微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中にバインダーが存在しなくても微粒子は層を形成する。バインダーを含有しなくとも層を形成することができる理由は必ずしも明確ではないが、乾燥させて塗膜中の液が少なくなってくると、毛管力のため、微粒子が互いに集まり、さらに、微粒子であるということは比表面積が大きく凝集力も強いことから、層が形成されるのではないかと考えられる。しかしながら、この段階での層の強度は弱い。また、導電フィルムにおいては抵抗値が高く、抵抗値のばらつきも大きい。
【0054】
次に、形成された導電性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子圧縮層を得る。圧縮することにより、塗膜の強度を向上させることができる。すなわち、圧縮することで導電性微粒子相互間の接触点がふえて接触面が増加し、このため塗膜強度が上がる。微粒子はもともと凝集しやすい性質があるので圧縮することで強固な層となる。導電フィルムにおいては、塗膜強度が上がるとともに、電気抵抗が低下する。
【0055】
圧縮は、支持体に形成された層に対し、44N/mm2以上の圧縮力で行うことが好ましく、より好ましくは135N/mm2以上であり、特には180N/mm2以上である。44N/mm2未満では導電性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、導電性に優れた導電フィルムが得られ難い。圧縮力が高いほど塗膜強度が向上し、支持体との密着性が向上する。導電フィルムにおいては、より導電性に優れたフィルムが得られ、また、塗膜の強度が向上し、塗膜と支持体との密着性も強固となる。圧縮力を高くするほど装置に要求される耐圧も上がるでの、一般には1000N/mm2までの圧縮力が適当である。また、圧縮を常温(15〜40℃)付近の温度で行うことが好ましい。常温付近の温度における圧縮操作は、本発明の利点の一つである。
【0056】
圧縮手段は、特に限定されるものでなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うのが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルムを挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に高圧がかけられ、また、ロール・トゥー・ロールで生産できることから生産性に優れ好適である。
【0057】
ロールプレス機のロール温度は常温(15〜40℃)が好ましい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホットプレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸びてしまう等を不具合を生じる。加温下で支持体の樹脂フィルムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、塗膜の機械的強度が低下する。導電フィルムにおいては、塗膜の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくする必要があるような場合、雰囲気の相対湿度を下げるために加温した雰囲気でもいいが、フィルムが容易に伸びてしまわない温度範囲内とする。一般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲が好ましい。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる温度より少し高めの温度にすればよい。ロールプレス機で連続圧縮した場合、発熱によりロール温度が上昇しないように温度調節することも好ましい。
【0058】
ロールプレス機のロールは、強い圧力をかけることができるという点から金属ロールが好適である。また、ロール表面が柔らかいと圧縮時に機能性微粒子がロールに転写することがあるので、ロール表面を硬質膜で処理することが好ましい。
【0059】
このようにして、導電性微粒子の圧縮層が支持体上に形成される。導電性微粒子圧縮層の膜厚は、用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。上記導電性微粒子の圧縮層は、分散液作成の際に用いられた導電性微粒子と樹脂との体積比に応じて、導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積の樹脂を含むのが好ましい。また、10μm程度の厚い圧縮層を得るために、導電性微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の操作を繰り返し行ってもよい。さらに、本発明において、支持体の両面に導電層を形成することももちろん可能である。このようにして得られる透明導電層は、優れた導電性を示し、従来のような多量のバインダー樹脂を用いずに作成したにもかかわらず実用上十分な膜強度を有し、支持体との密着性にも優れる。
【0060】
なお、本発明に適用される上記導電フィルムには、所望により導電層上に保護層としてのハードコート層を設けてもよい。ハードコート層はハードコート剤を必要に応じて溶剤を溶解した液を導電層上に塗布、乾燥して硬化させることにより形成することができる。
【0061】
ハードコート剤としては、特に制限されることなく、公知の各種ハードコート剤を用いることができる。例えば、シリコーン系、アクリル系、メラミン系等の熱硬化型ハードコート剤を用いることができる。これらの中でも、シリコーン系ハードコート剤は、高い硬度が得られる点で優れている。
【0062】
また、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル系等のラジカル重合性ハードコート剤、エポキシ系、ビニルエーテル系等のカチオン重合性ハードコート剤等の紫外線硬化型ハードコート剤を用いてもよい。紫外線硬化型ハードコート剤は、硬化反応性等の製造性の点から好ましい。これらの中でも、硬化反応性、表面硬度を考慮すると、アクリル系のラジカル重合性ハードコート剤が望ましい。
【0063】
本発明導電フィルムは、タッチパネル、面発熱体、無機エレクトロルミネッセンス用電極、太陽電池用電極等に特に好適に用いられる。
【0064】
上記構成の透明導電フィルムを基材上に適用することにより、本発明の透明導電積層体を、例えば以下に示すようにして得ることができる。
【0065】
なお、基材としては、ガラスパネル、透明樹脂パネル(例えばポリカーボネート、PMMA、等)が好ましく用いられる。
【0066】
[第1の透明導電積層体]
〈基材としてガラスパネルを用いた場合の製造例〉
ガラスパネルをシランカップリング剤で処理した後、UV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記透明導電フィルムの支持体面を貼り付けた後、UV硬化させて透明導電積層体を得る。
【0067】
あるいは、上記透明導電フィルムの支持体面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、シランカップリング剤で処理したガラスパネルに張り付けた後、UV硬化させて透明導電体層を得る。
【0068】
なお、UV硬化型接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等が好ましく用いられる。
【0069】
〈基材として樹脂パネルを用いた場合の製造例〉
ポリカーボネートパネルにUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記透明導電フィルムの支持体面を貼り付けた後、UV硬化させて透明導電積層体を得る。
【0070】
あるいは、上記透明導電フィルムの支持体面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、ポリカーボネートパネルに張り付けた後、UV硬化させて透明導電体層を得る。
【0071】
[第2の透明導電積層体(転写型透明導電積層体)]
まず、上記透明導電フィルムとして、支持体上にハードコート層、アンカーコート層を順に積層しておき、このアンカーコート層上に、上述した方法によりITO微粒子を含有する導電層を設けた構成のフィルム(支持体−ハードコート層−アンカーコート層−導電層)を作製しておく。なお、アンカーコート層はハードコート層との接着性向上のために設けられ、例えばアクリル樹脂系、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が好ましく用いられる。
【0072】
〈基材としてガラスパネルを用いた場合の製造例〉
ガラスパネルをシランカップリング剤で処理した後、UV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に、上記透明導電フィルムの導電層面を貼り付けた後、UV硬化させる。その後、導電フィルムの支持体を剥ぎ取り、透明導電積層体を得る。該導電積層体の構成は、ガラスパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層を含む。
【0073】
あるいは、上記透明導電フィルムの導電層面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、シランカップリング剤で処理したガラスパネルに張り付けた後、UV硬化させる。その後、導電フィルムの支持体を剥ぎ取り、透明導電積層体を得る。該導電積層体の構成は、ガラスパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層を含む。
【0074】
〈基材として樹脂パネルを用いた場合の製造例〉
ポリカーボネートパネルにUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記透明導電フィルムの導電層面を貼り付けた後、UV硬化させる。その後、導電フィルムの支持体を剥ぎ取り、透明導電積層体を得る。該導電積層体の構成は、ポリカーボネートパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層を含む。
【0075】
あるいは、上記透明導電フィルムの支持体面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、ポリカーボネートパネルに張り付けた後、UV硬化させる。その後、導電フィルムの支持体を剥ぎ取り、透明導電積層体を得る。該導電積層体の構成は、ポリカーボネートパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層を含む。
【0076】
上記した本発明透明導電フィルム、第1の透明導電積層体、第2の透明導電積層体のいずれも、それらの導電層における下記数7で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上であるという特性を有する。
【0077】
【数7】
I=I0exp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
ただし、数7中、I0は導電フィルムでは支持体を、第1の導電積層体では基材−支持体を、第2の導電積層体では基材を、それぞれ透過した光の強度を示す。Iは、導電フィルムでは支持体−導電層を、第1の導電積層体では基材−支持体−導電層を、第2の導電積層体では基材−導電層を、それぞれ透過した光の強度を示す。αは線吸収係数を示す。Xは導電層の膜厚を示す。
【0078】
なお、本発明透明導電フィルム、透明導電積層体では、本発明の効果を損なわない範囲で、所望によりハードコート層、アンカーコート層等を積層することができるが、これらの層を有する場合は、上記I0、Iの測定においては、これら層も基材、支持体等とともに含んでT値を測定する。
【0079】
本発明の透明導電フィルム、透明導電積層体はいずれも赤外線遮蔽性に優れることから、複層ガラス、天窓、自動車ウィンドウ、冷蔵冷凍ケース等に特に好ましく用いられる。また、CRT前面ガラスパネル、PDP前面ガラスパネル、建材用ガラスパネル、車両用ガラスパネル、建材用樹脂パネル、車両用樹脂パネル、半導体クリーンルーム用樹脂パネル等にも好適に用いられる。
【0080】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0081】
なお、以下の実施例において、T値は上記した数式からそれぞの場合に応じて、適宜求めた。
【0082】
I.透明導電フィルム
(実施例1)
平均一次粒径20nm以下のITO微粒子(同和鉱業(株))100重量部にエタノール300重量部を加え、メデイアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた分散液(塗布液)を50μm厚のPETフィルム上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO含有塗膜を形成した。ITO含有塗膜の厚みは約1.9μmであった。
【0083】
次にこれをロールプレス機を用いて、上記フィルムを、フィルム幅方向の単位長さあたりの圧力660N/mm、単位面積あたりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のITO塗膜の厚みは約1.2μmであった。
【0084】
圧縮されたITOフィルムについて、T値を測定したところ、波長領域400nmでは0.88、波長領域500nmでは0.94、波長領域600nmでは0.96、波長領域700nmでは0.95、波長領域800nmでは0.92、波長領域1500nmでは0.04、波長領域2000nmでは0.01、波長領域2500nmでは0.00であった。
【0085】
上記結果から明らかなように、実施例1で得られた圧縮されたITOフィルムは、透過性に優れ、かつ、赤外線遮蔽性に優れるものであった。また塗膜形成性にも優れていた。
【0086】
(実施例2)
実施例1のITOフィルムの含有塗膜上に膜厚3.0μmのシリコーン系ハードコート層(GE東芝シリコーン(株)製 トスガード510。以下、同)を設けた。
【0087】
これについてT値を測定したところ、実施例1と同様に、透明性に優れ、赤外線遮蔽性に優れることがわかった。塗膜形成性にも優れていた。
【0088】
(比較例1)
平均一次粒径20nm以下のITO微粒子(同和鉱業(株))100重量部を、アクリル樹脂溶液(「MT408−42」、固型分濃度(NV)=50%、大成化工(株)製)100重量部と、メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/1(重量比)の混合溶剤400重量部で分散し、これを塗布液(ITO/アクリル樹脂=2:1、NV=25%)として用い、これを50μm厚のPETフィルム上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO含有塗膜を形成した。ITO含有塗膜の厚みは約2.3μmであった。
【0089】
次にこれをロールプレス機を用いて、上記フィルムを、フィルム幅方向の単位長さあたりの圧力660N/mm、単位面積あたりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のITO塗膜(導電層)の厚みは約1.6μmであった。
【0090】
圧縮されたITOフィルムについて、T値を測定したところ、波長領域400nmでは0.97、波長領域500nmでは0.98、波長領域600nmでは0.99、波長領域700nmでは0.99、波長領域800nmでは0.98、波長領域1500nmでは0.45、波長領域2000nmでは0.28、波長領域2500nmでは0.15であった。
【0091】
上記結果から明らかなように、比較例1で得られた圧縮されたITOフィルムは、赤外線遮蔽性に劣るものであった。
【0092】
(比較例2)
比較例1のITOフィルムのITO含有塗膜上に膜厚3.0μmのハードコート層を設けた。
【0093】
これについてT値を測定したところ、比較例1と同様に、赤外線遮蔽性に劣ることがわかった。
【0094】
II.第1の透明誘電積層体
(製造例1)
平均一次粒径20nm以下のITO微粒子(同和鉱業(株))100重量部にエタノール300重量部を加え、メデイアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた分散液(塗布液)を50μm厚のPETフィルム上に、バーコータを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO塗膜を形成した。ITO含有塗膜の厚みは約1.9μmであった。
【0095】
次にこれをロールプレス機を用いて、上記フィルムを、フィルム幅方向の単位長さあたりの圧力660N/mm、単位面積あたりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のITO塗膜(導電層)の厚みは約1.2μmであった。
【0096】
(製造例2)
製造例1において、導電層上に膜厚3.0μmのシリコーン系ハードコート層(GE東芝シリコーン(株)製 トスガード510。以下、同)を設けた以外は、製造例1と同様にして透明導電フィルムを得た。
【0097】
(実施例3)
ガラスパネル(厚さ3mm)をシランカップリング剤(KBM503、信越化学工業(株)製。以下、同)で処理した後、UV硬化型接着剤(KAYANOVA FOP−1100、日本化薬(株)製。以下、同)を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記製造例1で得た透明導電フィルムのPETフィルム面を貼り付けた後、UV硬化させて透明導電積層体を得た。
【0098】
(実施例4)
実施例3において、製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例3と同様にして透明導電積層体を得た。
【0099】
(実施例5)
ガラスパネル(厚さ3mm)をシランカップリング剤で処理した。一方、製造例1で得た透明導電フィルムのPET面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、上記ガラスパネルに張り付けた後、UV硬化させて透明導電積層体を得た。
【0100】
(実施例6)
実施例5において、製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして透明導電積層体を得た。
【0101】
(実施例7)
ポリカーボネートパネル(厚さ5mm)にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記製造例1で得た透明導電フィルムのPET面を張り付けた後、UV硬化させて透明導電積層体を得た。
【0102】
(実施例8)
実施例7において、製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例7と同様にして透明導電積層体を得た。
【0103】
(実施例9)
製造例1で得た透明導電フィルムのPET面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、ポリカーボネートパネル(厚さ5mm)に張り付けた後、UV硬化させて透明導積層体を得た。
【0104】
(実施例10)
実施例9において、製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例9と同様にして透明導電積層体を得た。
【0105】
上記実施例3〜10において、得られた透明導電積層体のT値を測定したところ、実施例1と同様に、透明性に優れ、赤外線遮蔽性に優れることがわかった。またいずれも塗膜形成性に優れていた。
【0106】
(比較製造例1)
平均一次粒径20nm以下のITO微粒子(同和鉱業(株)製)100重量部を、アクリル樹脂溶液(「MT408−42」、固型分濃度(NV)=50%、大成化工(株)製)100重量部と、メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/1(重量比)の混合溶剤400重量部で分散し、これを塗布液(ITO/アクリル樹脂=2:1、NV=25%)として用い、これを50μm厚のPETフィルム上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO含有塗膜を形成した。ITO含有塗膜の厚みは約2.3μmであった。
【0107】
次にこれをロールプレス機を用いて、上記フィルムを、フィルム幅方向の単位長さあたりの圧力660N/mm、単位面積あたりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のITO塗膜(導電層)の厚みは約1.6μmであった。
【0108】
(比較例3)
実施例3において、比較製造例1で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例3と同様にして透明導電積層体を得た。
【0109】
(比較例4)
実施例5において、比較製造例1で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして透明導電積層体を得た。
【0110】
(比較例5)
実施例7において、比較製造例1で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例7と同様にして透明導電積層体を得た。
【0111】
(比較例6)
実施例9において、比較製造例1で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例9と同様にして透明導電積層体を得た。
【0112】
上記比較例3〜6において、得られた透明導電積層体のT値を測定したところ、比較例1と同様に、赤外線遮蔽性に劣ることがわかった。
【0113】
II.第2の透明誘電積層体(転写型透明導電積層体)
(製造例3)
50μm厚のPETフィルム上に、3μm厚のハードコート層(GE東芝シリコーン(株)製、トスガード510。以下、同)、1μmのアンカーコート層(シリコーン系ワニスとシラン系硬化剤を100:1の重量比で混合した混合物。以下、同)を順に積層した。一方、平均一次粒径20nm以下のITO微粒子(同和鉱業(株)製)100重量部にエタノール300重量部を加え、メデイアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた分散液(塗布液)を上記PETフィルム上のアンカーコート層上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO含有塗膜を形成した。ITO含有塗膜の厚みは約1.9μmであった。
【0114】
次にこれをロールプレス機を用いて、上記フィルムを、フィルム幅方向の単位長さあたりの圧力660N/mm、単位面積あたりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のITO塗膜(導電層)の厚みは約1.2μmであった。
【0115】
(比較製造例2)
50μm厚のPETフィルム上に、3μm厚のハードコート層、1μmのアンカーコート層を順に積層した。一方、平均一次粒径20nm以下のITO微粒子(同和鉱業(株)製)100重量部を、アクリル樹脂溶液(「MT408−42」、固型分濃度(NV)=50%、大成化工(株)製)100重量部と、メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/1(重量比)の混合溶剤400重量部で分散し、これを塗布液(ITO/アクリル樹脂=2:1、NV=25%)として用い、これを50μm厚のPETフィルム上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO含有塗膜を形成した。ITO含有塗膜の厚みは約2.3μmであった。
【0116】
次にこれをロールプレス機を用いて、上記フィルムを、フィルム幅方向の単位長さあたりの圧力660N/mm、単位面積あたりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のITO塗膜(導電層)の厚みは約1.6μmであった。
【0117】
(実施例11)
ガラスパネル(厚さ3mm)をシランカップリング剤で処理した後、UV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記製造例3で得た透明導電フィルムの導電層面を貼り付けた後、UV硬化させた。その後、透明導電フィルムのPETフィルムを剥ぎ取り、透明導電積層体(ガラスパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層)を得た。
【0118】
(実施例12)
ガラスパネル(厚さ3mm)をシランカップリング剤で処理した。一方、製造例3で得た透明導電フィルムの導電層面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、上記ガラスパネルに張り付けた後、UV硬化させた。その後、透明導電フィルムのPETフィルムを剥ぎ取り、透明導電積層体(ガラスパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層)を得た。
【0119】
(実施例13)
ポリカーボネートパネル(厚さ5mm)にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層に上記製造例3で得た透明導電フィルムの導電層面を張り付けた後、UV硬化させた。その後、透明導電フィルムのPETフィルムを剥ぎ取り、透明導電積層体(ポリカーボネートパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層)を得た。
【0120】
(実施例14)
製造例3で得た透明導電フィルムのPET面にUV硬化型接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層を、ポリカーボネートパネル(厚さ5mm)に張り付けた後、UV硬化させた。その後、透明導電フィルムのPETフィルムを剥ぎ取り、透明導電積層体(ポリカーボネートパネル−接着剤層−導電層−アンカーコート層−ハードコート層)を得た。
【0121】
上記実施例11〜14において、得られた透明導電積層体のT値を測定したところ、実施例1と同様に、透明性に優れ、赤外線遮蔽性に優れることがわかった。また塗膜形成性に優れていた。
【0122】
(比較例7)
実施例11において、比較製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例11と同様にして透明導電積層体を得た。
【0123】
(比較例8)
実施例12において、比較製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例12と同様にして透明導電積層体を得た。
【0124】
(比較例9)
実施例13において、比較製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例13と同様にして透明導電積層体を得た。
【0125】
(比較例10)
実施例14において、比較製造例2で得た透明導電フィルムを用いた以外は、実施例14と同様にして透明導電積層体を得た。
【0126】
上記比較例7〜10において、得られた透明導電積層体のT値を測定したところ、比較例1と同様に、赤外線遮蔽性に劣ることがわかった。
【0127】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、大面積の導電フィルムを容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで製造可能な塗布法の利点を活かしつつ、表面電気抵抗値が低く導電性に優れるとともに、透明性に優れ、かつ赤外線遮蔽性に優れた透明導電フィルムを得、さらにこれをガラスパネル、樹脂パネルに適用した透明導電積層体を得ることができる。本発明は特に、複層ガラス、天窓、自動車ウィンドウ、冷蔵冷凍ケース等に好ましく用いられる。また、CRT前面ガラスパネル、PDP前面ガラスパネル、建材用ガラスパネル、車両用ガラスパネル、建材用樹脂パネル、車両用樹脂パネル、半導体クリーンルーム用樹脂パネル等にも好ましく用いられる。
Claims (11)
- 支持体上に導電層を積層してなり、前記導電層が、導電性微粒子として錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を分散し、かつバインダー用樹脂を含まない塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を44N/mm2以上の圧縮力で圧縮して導電性微粒子圧縮層としたものであり、該導電層における下記数1で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上である、透明導電フィルム。
【数1】
I=IOexp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
(数1中、IOは支持体を透過した光の強度を示し;Iは支持体−導電層からなる透明導電フィルムを透過した光の強度を示し;αは線吸収係数(単位:μm -1 )を示し;Xは導電層の膜厚(単位:μm)を示す) - タッチパネルに用いる、請求項1記載の透明導電フィルム。
- 面発熱体に用いる、請求項1記載の透明導電フィルム。
- 無機エレクトロルミネッセンス用電極に用いる、請求項1記載の透明導電フィルム。
- 太陽電池用電極に用いる、請求項1記載の透明導電フィルム。
- 基材上に、支持体と、該支持体上に形成した導電層とを積層してなり、前記導電層が、導電性微粒子として錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を分散し、かつバインダー用樹脂を含まない塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を44N/mm2以上の圧縮力で圧縮して導電性微粒子圧縮層としたものであり、該導電層における下記数2で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上である、透明導電積層体。
【数2】
I=IOexp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
(数2中、IOは基材−支持体を透過した光の強度を示し;Iは基材−支持体−導電層からなる透明導電積層体を透過した光の強度を示し;αは線吸収係数(単位:μm -1 )を示し;Xは導電層の膜厚(単位:μm)を示す) - 基材がガラスパネルまたは樹脂パネルである、請求項6記載の透明導電積層体。
- CRT前面ガラスパネル、PDP前面ガラスパネル、建材用ガラスパネル、車両用ガラスパネル、建材用樹脂パネル、車両用樹脂パネル、または半導体クリーンルーム用樹脂パネルに用いられる、請求項6または7記載の透明導電積層体。
- 基材上に導電層を積層してなり、前記導電層が、導電性微粒子として錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子を分散し、かつバインダー用樹脂を含まない塗料を支持体上に塗布、乾燥して導電性微粒子含有層を形成した後、該導電性微粒子含有層を44N/mm2以上の圧縮力で圧縮して導電性微粒子圧縮層としたものであり、該導電層における下記数3で示されるT値が、1500〜2500nmの波長領域において0.1以下であり、かつ、400〜800nmの波長領域において0.85以上である、透明導電積層体。
【数3】
I=IOexp(−αX) (1)
T=exp(−α) (2)
(数3中、IOは基材を透過した光の強度を示し;Iは基材−導電層からなる透明導電積層体を透過した光の強度を示し;αは線吸収係数(単位:μm -1 )を示し;Xは導電層の膜厚(単位:μm)を示す) - 基材がガラスパネルまたは樹脂パネルである、請求項9記載の透明導電積層体。
- CRT前面ガラスパネル、PDP前面ガラスパネル、建材用ガラスパネル、車両用ガラスパネル、建材用樹脂パネル、車両用樹脂パネル、または半導体クリーンルーム用樹脂パネルに用いられる、請求項9または10記載の透明導電積層体。
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