JP4432301B2 - インクジェット記録用水性インクセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラックインクを含むインクジェット記録用水性インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方式は、静電吸引方式、圧電素子等を用いてインクに機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱させることにより気泡を発生させ、その時の圧力を利用する方法等のインク吐出方式が知られている。これらの吐出方式によりインク小滴を形成し、それらの一部もしくは全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行う。このようなインクジェット記録方式に使用するインクとしては、各種の水溶性染料または水分散性顔料を、水または水と水溶性有機溶剤からなる液媒体に溶解または分散させたものが知られ、使用されている。
【0003】
このようなインクを用い長時間にわたって良好な記録を行うためには、使用するインクの特性値(粘度、表面張力、密度等)が適当な値であること、熱等により析出物が生じたり、物性値が変化したりしないこと(記録装置のノズル、オリフィスでの目詰まり防止、安定吐出)、記録画像が耐水性、耐光性等に優れていること、などの条件が必要である。
【0004】
一般的な水性インクを用いてインクジェットプリンターによる記録を行う際、インクのにじみのない良好な印字品質を得るために、インクジェット専用紙を用いることも少なくない。しかしながら近年では、ランニングコスト、環境への配慮からインクジェット専用紙に記録するよりも普通紙への記録需要が高まってきている。
【0005】
また、インク色についても、家庭、オフィス向け市場においては、モノクロのインクジェットプリンターよりもカラーインクジェットプリンターの需要が圧倒的に高い。
【0006】
しかし、普通紙に記録した場合、インクジェット専用紙に記録した場合に比べて印字品質が著しく悪化してしまう問題が発生する。例えば、インクが記録紙中に浸透する際に、記録紙の表面に沿って不均一に広がり、画像部のエッジがギザギザになってしまい、シャープな画像部のエッジが得られないという問題が発生する。これを一般的にフェザリングといっている。
【0007】
さらに、カラーインクジェットプリンターの場合、前述の問題に加えて、異なった色同士が隣接する部分(以降境界部という)でインク同士が混合し、双方のインクがにじんで印字品質が悪化するという問題が発生する。これを一般的にカラーブリードという。特に、比較的色の明るいカラーインク、つまりイエロー、マゼンタ、シアン等を背景にして比較的色の暗いブラックインクで文字や線等を記録した場合はカラーブリードが目立ちやすい。
【0008】
上述したような問題点を解決し、フェザリングとカラーブリードを抑え、良好な印字品質を得るために、多くの手法が用いられている。
【0009】
まず、フェザリングを改善するためには、一般にインクの表面張力を高くする方法が用いられ、表面張力が高ければ高いほどフェザリングの少ない良好な印字品質を得ることができる。
【0010】
また、カラーブリードを改善するための一つの手法としては、カラーインク、ブラックインクの表面張力を下げて同程度(ブラックインクの±10%以内)にするといった方法が用いられる。殆どの場合、表面張力は28〜38mN/m程度に調整される。
【0011】
これらの従来用いられるインクセットでは、インクの粘度について特段の配慮はされず、吐出安定性などの面からブラックインクとカラーインクの粘度は概ね同程度に調整されている。
【0012】
さらに、以上の一般的手法とは異なり、ブラックインクの着色剤に顔料を用い、カラーインクにはブラック顔料を沈殿させる沈殿剤を添加するという提案が、特開平6−106841号公報でなされている。この提案は、ブラックインクとカラーインクが接触した境界部において、カラーインク中に溶解した沈殿剤である多価金属塩を用いて、ブラック顔料を凝集、沈殿させることによって、ブラックインク中のブラック顔料の流動を抑制してカラーブリードを防止する方法である。
【0013】
以上のように、フェザリングとカラーブリードの改善を目的として、それぞれに対する手法を用いることは従来から行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の多くのインクでは、普通紙に記録した場合、ブラックインク、カラーインクのフェザリング、カラーブリードのすべてまたはいずれかが発生してしまい、すべてが同時に改善された、満足できる印字品質が得られないという問題があった。
【0015】
我々は上記のような現象を極力抑えるため、鋭意研究を行った。その結果、まず、フェザリングを満足するためには、インクの表面張力は高いほど良いが、概ね表面張力が40mN/m以上でなければフェザリングの防止効果は少ない。しかし、ブラックインクとカラーインクの粘度が同程度で表面張力は40mN/m以上にすると、記録紙へのインクの浸透性が低くなり、記録紙上でブラックインクとカラーインクの接触時間が長くなるため、インクが記録紙へ浸透するまでの間にインク同士が混ざり合い、カラーブリードが発生してしまうことが分かった。
【0016】
また、カラーブリードを改善するために、表面張力を低く、つまり従来のインクセットのようにブラックインクとカラーインクの粘度が同程度で、かつ表面張力を28〜38mN/m程度にすると、カラーブリードはある程度改善されるものの、記録紙への浸透性が高くなりすぎて、インクが記録紙の表面に沿って不均一に広がり、フェザリングが悪化するという問題があった。
【0017】
以上に述べたように、従来のインクセットのような、表面張力が28〜38mN/m程度で粘度比が同程度の場合はフェザリングが満足できず、表面張力のみを上げようとするとカラーブリードが満足できない、といった問題があり、カラーブリードとフェザリングを同時に満足させることはできていなかった。
【0018】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、普通紙へ記録してもブラック顔料インクのフェザリング、カラー染料インクのフェザリング、そしてカラーブリードのすべてを同時に満足するインクジェット記録用水性インクセットを提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の請求項記載のインクジェット記録用水性インクセットでは、ブラック顔料インクとカラー染料インクから構成されるインクジェット記録用水性インクセットにおいて、25℃におけるブラック顔料インクとカラー染料インクの表面張力がともに40mN/m以上で、かつブラック顔料インクとカラー染料インクの粘度比(カラー染料インク粘度/ブラック顔料インク粘度)が1.3以上であることを特徴とする。
【0020】
本発明によるカラーブリード防止効果は以下のように説明することができる。
【0021】
本発明による水性カラーインクセットでは、まず25℃におけるブラック顔料インクとカラー染料インクの表面張力を40mN/m以上の比較的高い値に調整し、ブラック顔料インクとカラー染料インクのフェザリングを防止している。
【0022】
さらに、25℃におけるブラック顔料インクとカラー染料インクの粘度比を1.3以上となるように調整することで、カラーブリードの防止効果を得ている。
【0023】
これらの効果により、ブラック顔料インクのフェザリング、カラー染料インクのフェザリングに加えてカラーブリードも同時に満足させることができる。
【0024】
以下、本発明によるカラーブリード防止効果を詳細に説明する。
本発明によるカラーブリード防止効果には二つの現象が寄与している。
【0025】
第一に、プリンターから吐出され、記録紙上へ到達したブラック顔料インクとカラー染料インクは、記録紙上において、それぞれが記録紙表面に沿って広がりながら接触する。この接触部分におけるインク同士の界面では、ブラック顔料インクとカラー染料インクの混合が起こるが、これらのインクには粘度差があるため混合し難く、界面でのインク同士のにじみは最小限に抑えられる。そして、インク同士が混合し難いことによって、混合する領域の幅(以降、混合幅という)も最小限に抑えられる。
【0026】
ここで、ブラック顔料インクとカラー染料インクが混合した場合、殆どの部分が比較的暗い色のブラック顔料インクに隠蔽される。つまり、混合幅の大部分がブラック顔料インクと認識される。このことから、混合幅の部分をブラック顔料インクで記録されるべき領域に含まれるように、混合幅の発生位置を調整できれば、ブラック顔料インクとカラー染料インクの混合部分はブラック顔料インクと認識されるためにカラーブリードと認識し難く、事実上カラーブリードを防止できる。
【0027】
第二に、プリンターから吐出され、記録紙上へ到達したブラック顔料インクとカラー染料インクは、記録紙上において、それぞれが記録紙表面に沿って広がりながら接触する。接触したブラック顔料インクとカラー染料インク双方は、さらに記録紙表面に沿って広がろうとする。このとき、ブラック顔料インクはカラー染料インクに比べて粘度が低いために、カラー染料インクの広がろうとする力に阻まれてそれ以上広がることができない。一方、カラー染料インクは比較的高粘度なため、ブラック顔料インクに比べて広がろうとする力が強い。このため、カラー染料インクはブラック顔料インクを押し戻すかたちで、ブラック顔料インク側に若干広がる。この若干の広がりを確保するために、後述する実験の結果、25℃における粘度比を1.3以上に調整することが有効である。この効果により、比較的粘度の高いカラー染料インクがブラック顔料インクの領域に広がることができる。
【0028】
以上の二つの現象を組み合わせると、ブラック顔料インクとカラー染料インクの混合幅は最小限に抑えられており、かつ、カラー染料インクがブラック顔料インクの領域に若干広がることにより、その混合幅は、ブラック顔料インクで記録されるべき領域に含まれることとなる。このため、カラーブリードが防止される。
【0029】
ここで本発明と異なる場合は以下のように説明することができる。
【0030】
本発明の粘度比とは逆で、ブラック顔料インクの粘度がカラー染料インクの粘度よりも高い(粘度比 0.7未満)場合は、カラー染料インク側へブラック顔料インクが広がり、カラー染料インクでブラック顔料インクを隠蔽することはできないため、カラーブリードと認識されるため問題となる。
【0031】
さらに、ブラック顔料インクとカラー染料インクの粘度が同程度(粘度比が1±0.3未満)の場合、混合幅が広くなってしまうため、にじみが目立つようになる。さらに、この混合幅の一部が、本来カラー染料インクで記録されるべき領域にはみ出すことになる。これらの理由で、カラーブリードと認識されるため問題となる。
【0032】
従って、カラー染料インク側へのブラック顔料インクの移行を抑制するためには、25℃における粘度比は1.3以上でなければならない。
【0033】
最後に、ブラック顔料インクの表面張力が40mN/m以上でカラー染料インクの表面張力は40mN/m未満である場合、カラー染料インクは浸透性が高いため、記録紙へ到達すると同時に紙中へ浸透し、カラー染料インクが記録紙上へとどまる時間が極端に短くなる。従って、カラー染料インク側へのブラック顔料インクの広がりを粘度の違いによって抑制する前に、カラー染料インクは記録紙中へ浸透し、カラー染料インクと接触しているブラック顔料インクは、カラー染料インクに引っ張られる形でカラー染料インク領域に広がり、その結果にじんでしまう。
【0034】
以上の現象により、ブラック顔料インクの表面張力が40mN/m以上であっても、カラー染料インクが40mN/m未満の場合は、カラーブリードが認識され易くなって問題となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
本発明に用いるブラックインク及びカラーインクは通常、着色剤、水、水溶性有機溶剤、表面張力調整剤を基本構成としている。
【0037】
通常、着色剤としては、染料、顔料等が使用される。
【0038】
前記染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等に代表される水溶性染料が用いられ、特にインクジェット記録方式のインクとして好適で、鮮明性、水溶性、安定性、耐光性その他の要求される性能を満たすものとしては、例えばC.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154、168;C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199;C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227;C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46、60;C.I.ダイレクトバイオレット47、48;C.I.ダイレクトブラウン109;C.I.ダイレクトグリーン59;C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112、118;C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234;C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、181、256、289、315、317;C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61、71;C.I.アシッドオレンジ7、19;C.I.アシッドバイオレット49;C.I.ベーシックブラック2;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、37;C.I.ベーシックバイオレット7、14、27;C.I.フードブラック1、2等が挙げられる。
【0039】
上記の染料例は、本発明のインクジェット記録用水性インクに対して特に好ましいものであるが、本発明は、これらの染料に限定されるものではない。
【0040】
また前記顔料としては、カーボンブラックの他、多くの無機顔料、有機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料を挙げることができる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。さらに、上記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したもの、例えばグラフトカーボン等も使用可能である。
【0041】
上記の顔料例は、本発明のインクジェット記録用水性インクに対して特に好ましいものであるが、本発明は、これらの顔料に限定されるものではない。
【0042】
上記顔料を本発明の着色剤として使用する場合、適当な分散剤、溶剤、純水及び必要に応じて他の添加剤とともに、従来知られている方法により分散処理される。
【0043】
分散剤としては、例えば特開昭62−101672号公報に記載されている顔料分散に用いられる高分子分散剤や界面活性剤が使用でき、高分子分散剤としては、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物の塩、スチレン−マレイン酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホリマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩等の陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子等の高分子分散剤、界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤があり、これらの1種または2種以上を適宜選択して使用できる。その使用量は、一般的にインク全量に対して0.01〜20重量%が望ましい。
【0044】
一方、上記顔料の分散に用いる分散機は、一般的な分散機ならどんなものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル等が挙げられる。その中でも特に高速型のサンドミルが好ましい。
【0045】
前記染料及び顔料は、それぞれ単独で用いてもよいし、染料同士、顔料同士、染料と顔料を2種以上混合して用いることも可能である。
【0046】
また、前記染料及び顔料は、本発明のインクジェット記録用水性インクに対して一般に0.1〜20重量%の割合で用いられ、望ましくは0.3〜15重量%であり、さらに望ましくは0.5〜10重量%の範囲で用いられる。
【0047】
通常、水は一般の水ではなく、イオン交換水、蒸留水等の純度の高いものを使用することが好ましい。この時の水の含有量は、各種方式のインクジェット記録に適用可能な低粘度に保ち、また、温度による粘度変化を抑える目的で、インク全重量に対して20重量%以上であることが望ましい。
【0048】
さらに、通常、水溶性有機溶剤としては、主としてインクジェットヘッドの先端部におけるインクからの析出発生、乾固防止を目的として使用され、従って揮発性が低く、染料溶解性の高い溶剤を選択することが望ましい。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物等を挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることも可能である。また、後に述べる多価アルコールアルキルエーテルの中でも、20℃での蒸気圧が0.01mmHg未満のものを、水溶性有機溶剤として用いることもできる。
【0049】
インク中の上記水溶性有機溶剤の含有量は、インク全量に対して重量%で5〜70重量%、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。もし、5重量%未満であると、湿潤作用が不十分となり、析出、乾固等の問題が生じる。また、40重量%を越えると、インクが必要以上に増粘し、吐出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなる等の問題を生じる。
【0050】
さらに、通常、表面張力調整剤としては多価アルコールアルキルエーテルあるいは界面活性剤を使用する。
【0051】
例えば、多価アルコールアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
【0052】
上記多価アルコールアルキルエーテルの中でも、20℃での蒸気圧が0.01mmHg未満のものは、水溶性有機溶剤として用いることもできる。
【0053】
インク中の上記多価アルコールアルキルエーテルの含有量は、インク全量に対して重量%で0.1〜40重量%が好ましい。もし、0.1重量%未満であると、インクの記録紙への浸透速度が遅く、乾燥時間、カラーブリードに問題を生じる。また、40重量%を越えると、インクの記録紙への浸透が激しくなり、記録紙の裏までインクが達してしまったり、フェザリングにも問題を生じる。また、上述の界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、オルフィンE1004、E1010(以上いずれも商品名、日信化学社製)、サーフィノール61、82、104、440、465、485(以上いずれも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらの浸透剤として働く界面活性剤のインク中の含有量は、0.1〜5重量%の範囲であることが好ましい。
さらに、インクの記録紙への浸透、乾燥性を制御する目的で、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコールを使用することも可能である。
【0054】
本発明のインクジェット記録用インク組成物の基本構成は以上の通りであるが、その他従来公知の分散剤、粘度調整剤、pH調整剤、染料溶解剤、防腐防カビ剤等を必要に応じて添加することができる。
【0055】
また、記録液を帯電させるタイプのインクジェット記録方法に使用されるインクを調合する場合には、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム等の無機塩類等の比抵抗調整剤が添加される。
【0056】
尚、熱エネルギーの作用によってインクを吐出させるタイプのインクジェット方式に適用する場合には、熱的な物性値(例えば比熱、熱膨張係数、熱電導率等)が調整されることもある。
【0057】
以上のようにして得られる本発明のインクジェット記録用水性カラーインクセットは、従来技術の問題点が十分に解決されており、インクジェット方式におけるフェザリングとカラーブリードが低減され、鮮明なカラー記録を与えることができる。
【0058】
以下に本発明に従ったインク組成を実施例として以下に示す。なお、数値は重量%である。なお、以下の各実施例および比較例において、インク組成の数値は重量%、表面張力・粘度・粘度比は25℃におけるものである。
【0059】
実施例1
実施例1のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
25℃における表面張力を40mN/m以上とし、かつブラックインクとカラーインクの粘度比(カラーインク粘度/ブラックインク粘度)を1.3以上としてインクを作製した。
【0062】
実施例2
実施例2のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例1のイエローインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。
【0065】
実施例3、4
実施例3、4のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表3、4に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
まず、次の要領でブラックインクに用いる顔料のミルベースを作成した。
【0069】
グリセリン10重量%、分散剤2重量%に純水73重量%を加えて撹拌する。そこにカーボンブラック15重量%を加えてミルベースの全体重量を100重量%とし、ビーズミルでさらに2時間分散する。ビーズミルによる分散終了後、脱気、濾過し、ミルベースとした。このミルベースをブラックインクの材料として用い、グリセリンや純水の量を設計されたインク組成にするために調節している。
【0070】
実施例3、4は実施例1、2に対してブラックインクの顔料種を変え、さらにブラックインク、イエローインクの浸透剤種を変更、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例3、4のイエローインクの組成は同じである。
【0071】
実施例5、6
実施例5、6のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表5、6に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
実施例3、4と同様の要領で顔料ミルベースを作製し、ブラックインクの材料とした。さらに、イエローインクのトリエチレングリコール−n−ブチルエーテル量を調整して表面張力をおよそ60mN/mに変更、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例5、6のイエローインクの組成は同じである。
【0075】
実施例7、8
実施例7、8のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表7、8に示す。
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
実施例3、4と同様の要領で顔料ミルベースを作製し、ブラックインクの材料とした。さらに、ブラックインク、イエローインクのグリセリン量を調整して粘度を6〜10cpsと比較的高粘度領域へ変更、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例7、8のイエローインクの組成は同じである。
【0079】
実施例9、10
実施例9、10のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表9、10に示す。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
実施例3、4と同様の要領で顔料ミルベースを作製し、ブラックインクの材料とした。さらに、ブラックインク、イエローインクで浸透剤を使用せず界面活性剤によって表面張力を45mN/mに調整し、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例9、10のイエローインクの組成は同じである。
【0083】
実施例11、12
実施例11、12のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表11、12に示す。
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
実施例1、2と同じブラックインクを用い、イエローインクで使用する浸透剤種を変更し、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例11、12のイエローインクの組成は同じである。
【0087】
実施例13、14
実施例13、14のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表13、14に示す。
【0088】
【表13】
【0089】
【表14】
【0090】
実施例1、2と同じブラックインクを用い、マゼンタインクをカラーインクとし、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例13、14のマゼンタインクの組成は同じである。
【0091】
実施例15、16
実施例15、16のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表15、16に示す。
【0092】
【表15】
【0093】
【表16】
【0094】
実施例1、2と同じブラックインクを用い、シアンインクをカラーインクとし、粘度比を1.3以上としてインクを作製した。実施例15、16のシアンインクの組成は同じである。
【0095】
比較例1、2、3
比較例1、2、3のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表17、18、19に示す。
【0096】
【表17】
【0097】
【表18】
【0098】
【表19】
【0099】
実施例1、2のイエローインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。
【0100】
比較例4、5
比較例4、5のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表20、21に示す。
【0101】
【表20】
【0102】
【表21】
【0103】
実施例1、2のブラックインク、イエローインクの組成に対して、トリエチレングリコールモノブチルエーテル量を調整することによって表面張力を35mN/mとし、さらにブラックインクのグリセリン量を調整することで、粘度比を1.3以上としたもの(比較例4)と1.3未満としたもの(比較例5)を作製した。
【0104】
比較例6
比較例6のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表22に示す。
【0105】
【表22】
【0106】
実施例1と同じブラックインクを用い、トリエチレングリコールモノブチルエーテル量を調整することによってイエローインクの表面張力のみを35mN/mとし、粘度比は1.3以上としてインクを作製した。
【0107】
比較例7、8
比較例7、8のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表23、24に示す。
【0108】
【表23】
【0109】
【表24】
【0110】
実施例3、4のイエローインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。
【0111】
比較例9、10
比較例9、10のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表25、26に示す。
【0112】
【表25】
【0113】
【表26】
【0114】
実施例5、6のイエローインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。
【0115】
比較例11、12
比較例11、12のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表27、28に示す。
【0116】
【表27】
【0117】
【表28】
【0118】
実施例8のブラックインクの組成は変えずに、粘度6〜10cpsの比較的高粘度な領域は保ったまま、イエローインク中のグリセリン量を調整することによってイエローインクの粘度を低くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。
【0119】
比較例13、14
比較例13、14のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表29、30に示す。
【0120】
【表29】
【0121】
【表30】
【0122】
実施例9、10のイエローインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。
【0123】
比較例15、16
比較例15、16のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表31、32に示す。
【0124】
【表31】
【0125】
【表32】
【0126】
実施例11、12のイエローインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。(ブラックインクの組成は比較例1、2と同じである。)
【0127】
比較例17、18
比較例17、18のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表33、34に示す。
【0128】
【表33】
【0129】
【表34】
【0130】
実施例13、14のマゼンタインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。(ブラックインクの組成は比較例1、2と同じである。)
【0131】
比較例19、20
比較例19、20のインク組成と表面張力・粘度・粘度比を表35、36に示す。
【0132】
【表35】
【0133】
【表36】
【0134】
実施例15、16のシアンインクの組成は変えずに、ブラックインク中のグリセリン量を調整することによってブラックインクの粘度を高くし、粘度比を1.3未満としてインクを作製した。(ブラックインクの組成は比較例1、2と同じである。)
【0135】
前記実施例1から16と比較例1から20のインク組成それぞれについて各材料を十分に混合攪拌した後、0.8μmのメンブランフィルタで濾過して記録評価に使用した。
【0136】
これらブラックインク、イエローインクを記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを与えて液滴を発生させ、記録を行うオンデマンドタイプのマルチヘッド(吐出オリフィス径35μm、発熱抵抗体抵抗値150オーム、駆動電圧30ボルト、周波数2KHz)を有する記録装置、及び記録ヘッド内のインクにピエゾ素子振動による圧力を与えて液滴を発生させ、記録を行うオンデマンドタイプのマルチヘッド(吐出オリフィス径40μm、駆動電圧30ボルト、周波数10KHz)を有する記録装置を用いて記録した。記録サンプルは背景なしで単色の文字のみの部分と、色の異なる2色のインクがそれぞれ文字色と背景色になるように色を組み合わせた部分とからなり、単色部分でのインクのにじみによるラインの乱れと文字の判別、及び色が混ざり合う境界面のにじみと文字の判別を評価対象とした。記録した文字の大きさはMicrosoftWord97を用いて文字のサイズを11ポイントに設定し、普通紙(Xerox4200)及び一般的に普通紙よりもフェザリングやカラーブリードが発生しやすい再生紙(東海パルプNEW SPEED HERB−100:略称 SH100)を使用して記録した。比較インクも各色同様の記録を行った。
【0137】
表37に普通紙(Xerox4200)に印字した場合の記録サンプルの評価結果を示す。
【0138】
【表37】
【0139】
表38に再生紙(SH100)に印字した場合の記録サンプルの評価結果を示す。
【0140】
【表38】
【0141】
本発明の印字評価には2種類の記録装置を用いたが、いずれにおいても同様の結果が得られている。
【0142】
以下に記録サンプルのフェザリング評価方法を示す。評価基準は以下の通りである。
◎・・・フェザリングがほとんどなく、文字が鮮明である。
○・・・僅かなフェザリングが発生しているが、文字は十分に判読できる。
△・・・明らかにフェザリングが発生しているが、文字は判読できる。
×・・・明らかにフェザリングが発生し、文字の判読も困難である。
【0143】
また、記録サンプルのカラーブリード評価方法を示す。評価基準は以下の通りである。
◎・・・カラーブリードがほとんどなく、背景の無しの文字と比較して同程度の鮮明さがある。
○・・・背景の無しの文字と比較して僅かなカラーブリードが発生しているが、文字は十分に判読できる。
△・・・背景の無しの文字と比較して明らかにカラーブリードが発生しているが、文字は判読できる。
×・・・背景の無しの文字と比較して明らかにカラーブリードが発生し、文字の判読も困難である。
【0144】
さらに、以下に記録サンプルの印字総合評価方法を示す。評価基準は以下の通りである。
◎・・・上述のフェザリング評価が◎で、かつカラーブリード評価が◎であり、文字が鮮明である。
○・・・上述のフェザリング評価が◎、○または△で、かつカラーブリード評価が◎、○または△であり、文字は十分に判読できる。
×・・・上述のフェザリング評価またはカラーブリード評価のいずれか片方で×の評価となり、文字の判読が困難な部分がある。
【0145】
以下、印字評価結果について述べる。
【0146】
実施例1、2と比較例1、2、3は、25℃における表面張力は40mN/m以上であり、ブラックインク中のグリセリン量の違いによってブラックインクの粘度を調整し、25℃におけるブラックインクとカラーインクの粘度比のみを変えたものである。この時、普通紙XEROX4200における印字総合評価結果は、実施例1の粘度比は1.5で評価結果は◎、実施例2の粘度比は1.3で評価結果は◎、比較例1は粘度比1.0でカラーブリードを満足させることができず評価結果は×、比較例2は粘度比1.1で比較例1と同様に評価結果は×、比較例3は粘度比0.6で比較例1と同様に評価結果は×であった。さらに、再生紙SH100における印字総合評価結果は、実施例1は○、実施例2は○、比較例1は普通紙XEROX4200の場合と同様にカラーブリードを満足させることができず×、比較例2は比較例1と同様に×、比較例3は比較例1と同様に×であり、若干普通紙へ印字した場合よりも印字品質が劣るものの同様の結果を得ることができた。
【0147】
また、比較例4、5は、実施例1、2のブラックインク、イエローインクの組成に対して、トリエチレングリコールモノブチルエーテル量を調整することによって25℃における表面張力を35mN/mとし、さらにブラックインク中のグリセリン量の違いによってブラックインクの粘度を調整し、25℃におけるブラックインクとカラーインクの粘度比を変えたものである。この時、普通紙XEROX4200における印字総合評価結果は、実施例1の粘度比は1.5で評価結果は◎、実施例2の粘度比は1.3で評価結果は◎、比較例4は粘度比1.6でブラックインクとカラーインク両方のフェザリングを満足できず評価結果は×、比較例5は粘度比1.1で比較例4と同様に評価結果は×であった。さらに、再生紙SH100における印字総合評価結果は、実施例1は○、実施例2は○、比較例4は普通紙XEROX4200の場合と同様にブラックインクとカラーインク両方のフェザリングを満足できず×、比較例5は比較例4と同様に×であり、若干普通紙XEROX4200へ印字した場合よりも印字品質が劣るものの再生紙SH100でも同様の結果を得ることができた。
【0148】
以上の結果より、フェザリングとカラーブリードの両方の条件を満足させる条件は、25℃における表面張力が40mN/m以上、且つ、粘度比が1.3以上であるといえる。
【0149】
さらに、その他の実施例、比較例においても同様の結果が得られており、以上の結果より、ブラックインクとカラーインクのフェザリングとカラーブリードの両方の条件を満足させる条件は、25℃における表面張力が40mN/m以上、且つ、粘度比が1.3以上であるといえる。
【0150】
各実施例において、本発明の構成を有するインクジェット記録用水性カラーインクセット、すなわち、25℃におけるブラックインクとカラーインクの表面張力がともに40mN/m以上で、かつブラックインクとカラーインクの粘度比が1.3以上であるインクジェット記録用水性カラーインクセットでは、ブラックインクとカラーインクそれぞれにおいて満足できるフェザリングと、優れたカラーブリードを得ることができた。一方、本発明の構成を有していない比較例では、ブラックインクまたはカラーインクのフェザリングもしくは、カラーブリードのいずれかに問題を有しており、満足できる印字品質を得ることはできなかった。
【0151】
本発明はこの実施例に限定されるものではなく、これまでに記述された範囲で、用いられる材料物質、その量比及び作製条件を変更しても実施可能である。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、ブラック顔料インクとカラー染料インクから構成されるインクジェット記録用水性インクセットにおいて、25℃におけるブラック顔料インクとカラー染料インクの表面張力がともに40mN/m以上で、かつブラック顔料インクとカラー染料インクの粘度比(カラー染料インク粘度/ブラック顔料インク粘度)が1.3以上であることを特徴としているため、ブラック顔料インクとカラー染料インクのフェザリングとカラーブリードが同時に防止され、鮮明なカラー記録を行うことができる。
Claims (1)
- ブラック顔料インクとカラー染料インクから構成されるインクジェット記録用水性インクセットにおいて、25℃におけるブラック顔料インクとカラー染料インクの表面張力がともに40mN/m以上で、かつブラック顔料インクとカラー染料インクの粘度比(カラー染料インク粘度/ブラック顔料インク粘度)が1.3以上であることを特徴とするインクジェット記録用水性カラーインクセット。
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