JP4404402B2 - ポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物及びこれを被覆してつくったローカルエリアネットワーク用ケーブル - Google Patents
ポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物及びこれを被覆してつくったローカルエリアネットワーク用ケーブル Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物及びこれを被覆してつくったポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル、並びにこれを二本撚合わせて一対としたツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル及びこれを複数ペア撚合せてその外周にプラスチック製のシース管を設けたローカルエリアネットワーク用通信ケーブルに関し、さらに詳しくは、800m/分以上の高速で押出被覆することが可能で、かつ生産性や密着性にすぐれたポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物及びこれを被覆してつくったポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル、並びに近端漏話減衰量やインピーダンス特性が規格値を上廻り、すぐれた特性をもつローカルエリアネットワーク用通信ケーブルを製造することの可能なツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル及びこれを用いたローカルエリアネットワーク用通信ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、各所に分散するコンピュータ間を相互に接続し情報の共有化を図るために、ローカルエリアネットワーク(以降、「LAN」と省略することもある。)用通信ケーブルが用いられている。LANケーブルは、通常、直径が0.2〜1.05mm程度の導体上に高密度ポリエチレンを被覆し、直径が0.3〜1.5mm程度の高密度ポリエチレン絶縁通信ケーブルとした後、これを二本撚りあわせ一対の絶縁通信ケーブル(以降、「ツイストペア絶縁通信ケーブル」と呼称することもある。)とし、次いでこのツイストペア絶縁通信ケーブルを複数対、例えば、2対、4対、5対、6対、8対、10対、12対、20対、25対、30対、50対、60対、70対又は100対に集合し、ポリ塩化ビニール等からなるプラスチック製の筒状外被内に収容された構造となっている。近年、LANケーブルは、350MHz位の高周波を送る需要の増大に伴い、誘電正接、誘電率、近端漏話減衰量等においてすぐれていることが要望されている。しかしながら、かかる要求性能をもつLANケーブルを製造するには、種々の点で注意を要するが、ポリエチレン絶縁層と芯線との密着性といった点が特に問題となる。すなわち、LANケーブルは、前述したように、複数のツイストペア絶縁通信ケーブルと、それらを収容するプラスチック製の筒状外被とから構成されるが、各ツイストペア絶縁通信ケーブルは、対をなすポリエチレン絶縁通信ケーブル間の静電結合および電磁結合の平衡を図るために、対をなすポリエチレン絶縁通信ケーブルと相互に撚られて撚り線を構成し、さらに、撚り線相互間の漏話量の低減を図るために、それぞれの撚りピッチを異にして形成されている。その際、撚り線の撚りによる相互位置や撚りピッチは、変動してはならず、この撚り固定化は、ポリエチレン絶縁層と芯線との密着性が重要な要素となっている。そして、密着性が不十分であると、導体上にポリエチレンを被覆してポリエチレン絶縁通信ケーブルを製造する時、対をなすポリエチレン絶縁通信ケーブルを相互に撚ってツイストペア絶縁通信ケーブルを製造する時、又はLAN用ケーブルを保管・輸送時にコンパクトにするために直径10〜30cmのワイヤー巻きドラムに収納する時などに、ポリエチレン絶縁層と芯線との間に空隙が発生したり、或いはポリエチレン絶縁層の厚みが変動したりし、その結果、LAN用ケーブルの特性を悪化させるという問題点が生じる。従来、LAN用ケーブルのポリエチレン絶縁層としては、高密度ポリエチレンが使用されてきたが、高密度ポリエチレンの場合には、ポリエチレン絶縁層と芯線との密着性が不十分であった。
その上、高密度ポリエチレンの場合には、高密度ポリエチレンの芯線上への被覆速度は、かなり速いとはいえ、更に生産性を上げるため更なる改良が求められていた。さらに、近年生じた課題としては、次世代高速LANとなるギガビット・イーサネットには、カテゴリー6ケーブルが使用される見込みであるが、その場合には、従来のカテゴリー5ケーブル以上の特性を持つケーブルの開発が求められ、併せて、高密度ポリエチレンと芯線との密着性の問題についても解決が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来LAN用ケーブルのポリエチレン絶縁層として用いられている高密度ポリエチレン樹脂組成物の問題点を解消し、併せて次世代高速LANケーブルにも対応するため、芯線との密着性にすぐれ、かつ高速被覆にすぐれたポリエチレン絶縁LAN通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物、並びにこれを被覆してつくったポリエチレン絶縁通信ケーブル及びツイストペアポリエチレン絶縁通信ケーブル、さらにはLAN用ケーブルを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、種々のポリエチレン系樹脂の組合せについて鋭意検討を重ねた結果、高密度ポリエチレンに特定のポリエチレン系樹脂を特定の比率で配合することにより、上記課題を解決することができることを見出した。そして、本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0005】
すなわち、本発明の第1発明によれば、メルトマスフローレートが0.3〜1.5g/10分、密度が0.940〜0.960g/ml、分子量分布(Mw/Mn)が13〜22の高密度ポリエチレン100重量部に対して、メルトマスフローレートが0.3〜1.5g/10分、密度が0.920〜0.938g/ml、分子量分布(Mw/Mn)が8〜15の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体20〜50重量部を配合することを特徴とするポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
【0006】
また、本発明の第2発明によれば、上記のポリエチレン樹脂組成物を芯線上に被覆してなるポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルが提供される。
【0007】
さらに、本発明の第3発明によれば、上記のポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル二本を撚り合わせて一対とした誘電正接が100×10 −6 以下で、かつ誘電率が2.35以下のツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルが提供される。
【0008】
さらにまた、本発明の第4発明によれば、上記のツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルを複数ペア撚合せ、その外周にプラスチックよりなるシース管を設けてなるローカルエリアネットワーク用通信ケーブルが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0010】
1.高密度ポリエチレン(A)
本発明において使用する高密度ポリエチレン(A)は、メルトマスフローレートが0.3〜1.5g/10分、密度が0.940〜0.960g/ml、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)(以降、この比を単に「分子量分布(Mw/Mn)」と略称する。)が13〜22のものであり、通常は、例えば、重合触媒として、酸化クロム担持触媒を使用するフィリップス法、有機アルミニウムとハロゲン化チタンからなる触媒を使用するチーグラー法、或いはマグネシウム・チタン錯体触媒を使用するユニポール法等によって、エチレンを単独重合又はエチレンとプロピレン、ブデン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1等を共重合させることによって得られる。重合方法としては、酸化クロム担持触媒を用いるフィリップス法が特に望ましい。
【0011】
本発明では、使用する高密度ポリエチレン(A)は、上述したとおり、特定の範囲内の物性を有することが重要である。すなわち、そのメルトマスフローレートは、0.3〜1.5g/10分の範囲であるが、0.3g/10分未満であると、800m/分以上の高速で被覆することができず、一方、1.5g/10分を越えると、機械的強度、低温脆性、耐環境応力亀裂性が不十分となるので望ましくない。また、その密度は、0.940〜0.960g/mlの範囲であるが、0.940g/ml未満であると、機械的強度が劣り、しかも通信ケーブルを撚った時に歪が発生し周波数特性が悪くなり、一方、0.960g/mlを越えると、加工性が劣るので望ましくない。さらに、その分子量分布(Mw/Mn)の範囲は、13〜22であるが、13未満であると、800m/分以上の高速被覆が困難であり、一方、22を越えると、機械的強度が低下するので望ましくない。
【0012】
2.直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(B)
本発明において使用する直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、メルトマスフローレートが0.3〜1.5g/10分、密度が0.920〜0.938g/ml、分子量分布(Mw/Mn)が8〜15のものであり、通常は、例えば、重合触媒として、酸化クロム担持触媒を使用するフィリップス法、有機アルミニウムとハロゲン化チタンからなる触媒を使用するチーグラー法、マグネシウム・チタン錯体触媒を使用するユニポール法、酸化モリブデンからなる主触媒とアルミニウムの酸化物からなる触媒を使用するスタンダード法等によって、エチレンとα−オレフィンを共重合させることによって得られる。その際、α−オレフィンとしては、プロピレン、ブデン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1、デセン−1、ドデセン−1等が使用される。重合方法としては、酸化クロム担持触媒を用いるフィリップス法が特に望ましい。
【0013】
本発明では、使用する直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、上述したとおり、特定の範囲内の物性を有することが重要である。すなわち、そのメルトマスフローレートは、0.3〜1.5g/10分の範囲であるが、0.3g/10分未満であると、800m/分以上の高速で被覆することができず、一方、1.5g/10分を越えると、機械的強度、低温脆性、耐環境応力亀裂性が不十分となるので望ましくない。また、その密度は、0.920〜0.938g/mlの範囲であるが、0.920g/ml未満であると、機械的強度が劣り、しかも通信ケーブルを撚った時に歪みが発生し周波数特性が悪くなり、一方、0.938g/mlを越えると、密着性、加工性、難燃剤の充填性が悪くなり、被覆層の表面が荒れるので望ましくない。さらに、その分子量分布(Mw/Mn)の範囲は、8〜15であるが、8未満であると、800m/min以上の高速被覆が困難であり、一方、15を越えると、機械的強度が低下するので望ましくない。
【0014】
本発明においては、直鎖状−α−オレフィン共重合体(B)は、高密度ポリエチレン(A)100重量部に対して20〜50重量部の割合で配合される。配合量が20重量部未満であると、芯線との密着性や高速加工性が劣り、一方、50重量部を越えると、ツイストペア絶縁同軸ケーブルの被覆層の厚さが不均一となり、近端漏話減衰量が規格値をはずれるので望ましくない。
【0015】
3.ポリエチレン樹脂組成物(C)の調製
本発明のポリエチレン樹脂組成物(C)は、前記の高密度ポリエチレン(A)に、上記の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および必要に応じて安定剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、カーボンブラック、架橋剤、滑剤、加工性改良剤、帯電防止剤等から選ばれる公知の添加剤を配合することにより調製される。配合方法としては、単に各成分をドライブレンドしてもよいが、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸押出機、ブスコニーダー、ヘンシェルミキサー、ロールニーダー等を用いて、加熱混練してもよく、任意の方法が選択できる。その際、各成分の混合順序は、任意でよく、酸化防止剤、架橋剤、帯電防止剤、滑剤等の微量成分を添加する場合は、予めEVA、EEA、VLDPE、HP−LDPE等のポリオレフィン系樹脂とでもって高密度マスターバッチを調製した後、それを添加してもよい。
【0016】
4.ポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの製造
本発明のポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルは、銅、アルミニウム等からなる直径0.2〜0.6mmの芯線を予め約80〜100℃の温度に予熱しておき、次いで電線押出機用ダイスを有するスクリュー押出機を用いて上記のポリエチレン樹脂組成物(C)を加熱混練し、ダイスより上記の予熱された芯線上に約180〜250℃の温度でかつ800m/分〜2000m/分の被覆速度で被覆することにより製造される。図1には、上記のようにして製造されたポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルの斜視図を示すが、本発明のポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル(1)は、銅、アルミニウム等の芯線(11)の周りに被覆形成されたポリエチレン絶縁層(12)を有する。
【0017】
5.ツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの製造
本発明のツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルは、二本の上記ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを一対の絶縁通信ケーブルに撚りあわせることにより製造される。撚りあわせは、通常、対をなすポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル間の静電結合および電磁結合の平衡を図るためになされ、所定のピッチで行われるが、ピッチは、撚り線相互間の漏話量の低減を図るために、ツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル毎に異にして形成される。その際、撚り線の撚りによる相互位置や撚りピッチは、変動しないように固定化される。図2には、上記のようにして製造されたツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルの斜視図を示すが、本発明のツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル(2)は、2本のポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル(1)を所定のピッチとなるように撚り合わせ、1対のツイスト状LAN用通信ケーブルにした形態をしている。
【0018】
6.ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの製造
本発明のローカルエリアネットワーク(LAN)用通信ケーブルは、上記の撚りのピッチを異にした複数ペアのツイストペアポリエチレン絶縁通信ケーブルを撚り合せ、その外周にポリ塩化ビニール、ポリエチレン、弗素樹脂等のプラスチック製のシース管をかぶせてつくられる。その際、ツイストペア絶縁通信ケーブルは、複数ペアであれば、何対でもよく、例えば、2対、4対、5対、6対、8対、10対、12対、20対、25対、30対、50対、60対、70対、又は100対と、適宜選ぶことができる。また、LANケーブルの外周には、上記したプラスチック製のシース管をかぶせる前に、紙、織布、不織布、プラスチックフィルム等でつくったテープで押え巻きしてもよい。図3には、上記のようにして製造されたローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの斜視図を示すが、本発明のLANケーブル(3)は、それぞれ撚りのピッチが異なる複数対(例えば4対)のツイストペアポリエチレン絶縁通信ケーブル(2)を覆うように、その外周にテープで押え巻き(32)をしたのち、プラスチック製のシース管(31)をかぶせた形態をしている。
【0019】
本発明のLANケーブルは、オフィスフロアやオフィスビルはもとより、工場、教育機関、研究所、道路、飛行場、ホテル,鉄道用施設等に設置された多数のコンピュータ間を相互に接続し、情報の共有化を図るために利用される。
【0020】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
以下に、本実施例で用いた樹脂やツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルやローカルエリアネットワーク用ケーブルの物性を測定するための測定方法と測定条件、ならびにポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルの加工条件について説明する。
測定方法、測定条件、および加工条件
(1)メルトマスフローレート(MFR):JIS K−6760に準拠した。単位は、g/10分である。ポリエチレンは、試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で、ポリプロピレンは,試験温度190℃、試験荷重21.6kgの条件で測定した。
(2)密度:JIS K−6760に準拠した。単位は、g/mlである。
(3)分子量および分子量分布:サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した。
(4)誘電正接:JIS K−6760に準拠した。
(5)誘電率:JIS K−6760に準拠した。
(6)減衰量の周波数特性:ASTM D4566−26に準拠した。
(7)近端漏話減衰量:ASTM D4566−24に準拠した。
(8)表面平滑性:目視により観察した。
(9)硬度:JIS K−6760に準拠した。デュロメータにより測定した。
(10)加工条件:押出機径は50mm、ダイス径は7.5mm、芯線は0.5mm銅線、L/Dは24/1、ニップル径は5.5mm、絶縁層厚みは0.2mmであった。
(11)絶縁体密着力:ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル試料を130mmの長さに切断した後、その両端の絶縁体を剥離して絶縁体の長さを50mmとした。次に導体露出部を1mm厚の制止板の孔に通した。その際、制止板の孔は、導体が自由に通れるだけの、すきまをもつが、その内径は、絶縁体を制止できるようにするために、導体の径より0.02mm程度大きくした。最後に、制止板と導体露出部を試験機のチャックにはさみ、引張ったときの荷重を測定した。但し、測定温度は23±2℃、引張り速度は200mm/分とし、絶縁体の色は白のみとした。本試験では、上記測定を3回行い、その平均値を絶縁体密着力とした。評価結果では、絶縁体密着力が750g以上であれば、実用上問題ないとした。
【0022】
実施例1
ポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの製造
メルトマスフローレート0.6g/10分、密度0.953g/ml、分子量分布(Mw/Mn)17.0の、フィリップ法でつくった高密度ポリエチレン100重量部に、メルトマスフローレート0.67g/10分、密度0.920g/ml、分子量分布(Mw/Mn)11.1の、酸化クロム系触媒を使って気相法でつくった直鎖状エチレン−ブデン−1共重合体43重量部、緑色顔料マスターバッチ3重量部、および酸化防止剤マスターバッチ2重量部を配合し、その配合物を押出機に投入し、220℃で加熱混練した。次いで、この混練樹脂組成物を100℃に予熱した直径0.53mmの軟銅芯線上に1000m/分の速度で押出し、0.2mmの厚さに被覆し、緑色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを得た。一方、上記の緑色顔料マスターバッチに代えて、白色顔料マスターバッチ、橙色顔料マスターバッチ、茶色顔料マスターバッチ、或いは青色顔料マスターバッチをそれぞれ用いた以外は、上記の方法と同様に実施して、白色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル、橙色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル、茶色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル、或いは青色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを得た。
評価
・表面平滑性:表面は平滑であり、荒れは認められなかった。
・硬度:64
・絶縁体密着力:1360g
【0023】
ツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの製造
青色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルと白色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルをピッチ間隔4mmで撚り合わせ、1対の青色‐白色ツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを得た。同様に、橙色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルと白色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルからは、撚りピッチ間隔が6mmの橙色‐白色ツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル、茶色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルと白色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルからは、撚りピッチ間隔が8mmの茶色‐白色ツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル、緑色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルと白色ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルからは、撚りピッチ間隔が10mmの緑色‐白色ツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルがそれぞれ得られた。
評価
・誘電正接:47×10 −6
・誘電率:2.30
【0024】
ローカルエリアネットワーク用ケーブルの製造
上記した4種類の色と撚りピッチ間隔の異なるツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを集合させた後、内径5mmで内厚1mmの軟質塩化ビニール製パイプ(青色着色)中に収納し、ローカルエリアネットワーク用ケーブルつくった。
評価
近端漏話減衰量:
周波数[MHz] 規格値[dB] 測定値[dB](n=3の平均)
1 74.3 79.2
2 69.5 75.2
3 67.0 73.6
4 65.3 69.7
8 60.7 66.0
10 59.2 65.8
20 54.7 58.8
100 44.2 49.6
200 37.7 45.4
350 36.0 36.6
上記のLANケーブルの近端漏話減衰量は、各周波数において規格値を上廻り、性能がよい率を示した。
【0025】
実施例2
実施例1において、直鎖状エチレン−ブデン−1共重合体の配合量を25重量部に代えた以外は、実施例1と同様な実験を行った。
ポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの評価
・表面の平滑性:実施例1の場合に較べ、表面が更に平滑となった。
・硬度:58・絶縁体密着力:1156g
ツイストペア絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルの評価
・誘電正接:36×10 −6
・誘電率:2.28
ローカルエリアネットワーク用ケーブルの評価
近端漏話減衰量:
周波数[MHz] 規格値[dB] 測定値[dB](n=3の平均)
1 74.3 79.2
2 69.5 75.8
3 67.0 69.3
4 65.3 70.3
8 60.7 63.4
10 59.2 59.1
20 54.7 55.2
100 44.2 46.8
200 37.7 42.2
350 36.0 36.4
【0026】
比較例1
実施例1において、直鎖状エチレン−ブテン−1共重合体の配合量を15重量部に代えた以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、得られたポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルの絶縁体密着性が悪くなり、その結果、それから得られるローカルエリアネットワーク用ケーブルの近端漏話減衰量が悪化した。
【0027】
比較例2
実施例1において、直鎖状エチレン−ブテン−1共重合体の配合量を60重量部に代えた以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、得られたツイストペア絶縁LAN用通信ケーブルの被覆層の厚さが不均一となり、その結果、それから得られるローカルエリアネットワーク用ケーブルの近端漏話減衰量が悪化した。
【0028】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明のポリエチレン絶縁LAN通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物は、特定の物性の高密度ポリエチレンに特定の物性の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を特定の配合割合で配合することにより調製されるので、800m/分以上の高速で芯線上に押出被覆することが可能であり、生産性にすぐれ、かつ密着性にもすぐれているばかりでなく、これから得られるLANケーブルは、近端漏話減衰量やインピーダンス特性が規格値を上廻っており、すぐれた特性を持つLANケーブルの提供が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、発明のポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを示す斜視図である。
【図2】 図2は、本発明のツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブルを示す斜視図である。
【図3】 図3は、本発明のローカルエリアネットワーク用通信ケーブルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル
11 芯線
12 ポリエチレン絶縁層
2 ツイストペアポリエチレン絶縁LAN用通信ケーブル
3 ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル
31 シース管
32 押え巻き
Claims (4)
- メルトマスフローレートが0.3〜1.5g/10分、密度が0.940〜0.960g/ml、分子量分布(Mw/Mn)が13〜22の高密度ポリエチレン100重量部に対して、メルトマスフローレートが0.3〜1.5g/10分、密度が0.920〜0.938g/ml、分子量分布(Mw/Mn)が8〜15の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体20〜50重量部を配合することを特徴とするポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク通信ケーブル用ポリエチレン樹脂組成物。
- 請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物を芯線上に被覆してなるポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル。
- 請求項2に記載のポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル二本を撚り合わせて一対とした誘電正接が100×10 −6 以下で、かつ誘電率が2.35以下のツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブル。
- 請求項3に記載のツイストペアポリエチレン絶縁ローカルエリアネットワーク用通信ケーブルを複数ペア撚合せ、その外周にプラスチックよりなるシース管を設けてなるローカルエリアネットワーク用通信ケーブル。
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