JP4364363B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質の支持円筒体に樹脂製又は金属製のメッシュスクリーンを複数枚巻き付けた版胴の外周に、製版済みのマスタを巻き付け、給紙部から給紙された用紙をプレスローラ或いは圧胴によって版胴に圧接し、版胴内から供給されたインキをマスタの穿孔から滲み出させて、用紙に転写するようにした孔版印刷装置がある。
【0003】
このような孔版印刷装置では、印刷終了時に使用済みのマスタを版胴から剥がして回収すると、次の印刷までの期間が長い場合に版胴上のインキが乾燥してしまうため、次の印刷まで使用済みのマスタを版胴に巻き付けたままの状態に維持し、次の印刷のために製版開始命令を受けたときに、使用済みのマスタを排版装置により版胴から剥がして回収し、製版装置により製版されたマスタを版胴に巻き付けた後に印刷動作に移行するように構成されている。排版装置の構成は、例えば、特開平8−230303号公報に記載されたものが知られている。
【0004】
一方、製版に用いられるマスタとしては、画像データに対応するドット(サーマルヘッドの熱による穿孔)を形成する熱可塑性樹脂フィルムのみにより形成されたマスタと、上記の熱可塑性樹脂フィルムを和紙等により形成された多孔質の支持シート上にラミネートしたマスタとがある。
【0005】
熱可塑性樹脂フィルムを支持シート上にラミネートしたマスタは、マスタへのインキの付着量を少なくしてインキの消費量を節約する目的で支持シートを薄くすると、インキの保持性が悪くなり、文字や細線等の画像がかすれることがある。また、繊維間の空隙の多い支持シートで熱可塑性樹脂フィルムを支持した場合は、やはりインキの保持性が悪くなるため、ベタ印刷画像部に支持シートの繊維模様が現れることがある。したがって、支持シートを備えたマスタの場合は、ある程度の厚さをもち、繊維間の空隙の少ない、インキ保持性のよい支持シートに熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
版胴に巻き付けられている使用済みのマスタは、次に製版されたマスタを巻き付ける前に版胴から剥がされて捨てられるが、このときに、使用済みのマスタに付着する多量のインキがマスタとともに捨てられることになる。特に、上記のように、熱可塑性樹脂フィルムを支持する多孔質の支持シートの厚さを厚くしたり、繊維間の空隙を少なくするとインキの保持量が多くなるため、使用済みのマスタを排版装置により版胴から剥がして回収するときに、大量のインキが無駄に捨てられることになる。
【0007】
本発明の目的は、使用済みのマスタを版胴から剥がすときに、マスタに付着するインキの量を少なくし、インキの消費量を節約することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタにサーマルヘッドを用いて画像データに対応するドットを形成する製版装置を備え、版胴を回転させてその版胴に巻き付けられている使用済みのマスタを排版装置により剥がして回収し、前記製版装置により製版された前記マスタを版胴に巻き付け、前記マスタにインキを供給し、前記版胴上の前記マスタの画像を用紙に転写する孔版印刷装置において、前記排版装置を駆動する前に前記版胴に巻き付けられている使用済みの前記マスタを加熱して収縮させるマスタ加熱手段を備える。
【0009】
したがって、版胴上の使用済みのマスタはマスタ加熱手段により加熱されると収縮する。これにより、マスタは収縮により版胴の表面との接触面積が少なくなるため、版胴内のインキの付着量が少なくなる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記製版装置は、前記熱可塑性樹脂フィルムを多孔質の支持シートにラミネートしたマスタにもドットの形成が可能である。
【0011】
したがって、版胴上の使用済みのマスタはマスタ加熱手段により加熱されると熱可塑性樹脂のフィルムが収縮する。このフィルムの収縮によりマスタの支持シートも収縮し、多孔質の支持シートの繊維間の空隙内に保持されたインキが版胴上に絞り出される。また、マスタは収縮により版胴の表面との接触面積が少なくなるため、版胴内のインキの付着量が少なくなる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記マスタ加熱手段は、前記製版開始命令を受けたときに始動されるように構成されている。
【0013】
したがって、新たに製版したマスタを版胴に巻き付けるとき以外のときに、マスタ加熱手段を駆動するという操作ミスを回避することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか記載の発明において、前記マスタ加熱手段は、前記版胴の外周面と対向する位置に配置されている。
【0015】
したがって、既存の孔版印刷装置にもマスタ加熱手段を増設することが容易にできる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の発明において、前記マスタ加熱手段は、前記版胴の外周面に向けて一部が開放された筒状の反射板とこの反射板の内部に設けられたヒータとを備える。
【0017】
したがって、ヒータから周囲に放射される熱線は筒状の反射板の内面により反射され、版胴と対向する開口部から効率よく版胴上のマスタに付与される。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の発明において、前記マスタ加熱手段は、ヒータとこのヒータの熱を前記版胴上の使用済みの前記マスタに向けて送風する送風機とを備える。
【0019】
したがって、ヒータの熱は版胴上のマスタにのみ吹き当てられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1において、1は版胴である。版胴1の周囲には、版胴1に巻き付けられた使用済みのマスタ2を剥がして回収する排版装置(図示せず)と、製版装置3とが設けられている。製版装置3は、ロール状に巻かれた未使用のマスタ2の巻芯2aを保持するホルダ(図示せず)と、回転駆動されるプラテン4と、スプリング(図示せず)の付勢力によりプラテン4に接離可能に圧接されたサーマルヘッド5と、製版済みのマスタ2を切断するカッタ6と、それぞれマスタ2を版胴1に向けて搬送する対の搬送ローラ7及び反転ローラ8と、マスタ2を版胴1に向けて案内するガイド板9とを備える。プラテン4は図示しないステッピングモータに連結されている。カッタ6はギロチンタイプを用いているが、例えばロータリータイプを用いる等、限定されるものではない。
【0021】
搬送ローラ7及び反転ローラ8の周速度は、搬送中にマスタ2に所望の張力が付与されるように、プラテン4の周速度より僅かに速い周速度に定められている。
【0022】
マスタ2は、熱可塑性樹脂フィルム(以下、実施の形態ではフィルムと称する)のみにより形成してもよいが、本実施の形態では、和紙繊維とか合成繊維、或いは両者を混抄した多孔質の支持シートに上記のフィルムをラミネート構造に積層することにより形成されている。
【0023】
版胴1は、詳しくは図示しないが、多孔質円筒体の外周に樹脂或いは金属製のメッシュスクリーンを複数枚巻き付け、多孔質円筒体の両端にフランジを固定することにより形成され、ギヤ列を介してモータに連結された公知の構造である。この版胴1のフランジは、両端が側板(図示せず)により固定的に支持されたインキ供給軸10によって回転自在に支持されている。このインキ供給軸10は図示しないインキ供給装置に接続されている。
【0024】
また、版胴1の内部には、インキ供給軸10に固定されて対向する対の側板(図示せず)が設けられ、これらの側板には、インキローラ11とドクターローラ12とが回転自在に支持されている。これらのインキローラ11とドクターローラ12とは僅かの隙間をあけて平行に配列され、両者により楔状に形成される空間はインキ供給軸10に形成されたインキ適下孔13から滴下されるインキを受けるインキ溜め14である。さらに、版胴1のメッシュスクリーン以外の非開口部の表面には、磁性材により形成されたステージ15と、このステージ15との間でマスタ2の先端を挟持するクランパ16とが版胴1の母線に沿って設けられている。このクランパ16は図示しない開閉駆動部により駆動されて軸17を中心に回動するように構成されている。
【0025】
さらに、版胴1の下方にはプレスローラ18が設けられている。このプレスローラ18は軸19を中心に回動するローラアーム20の先端に回転自在に支持されている。このローラアーム20は、スプリング(図示せず)により版胴1の方向に付勢され、カム(図示せず)の回転運動により版胴1に対して接近又は離反する。カムの回転によりローラアーム20が版胴1に接近する方向に回動したときは、プレスローラ18が版胴1上のマスタ2用紙を圧接するように構成されている。なお、版胴1に対してプレスローラ18を接離させる構造は、本発明における特徴ではないので簡単に説明したが、他の構成を採用してもかまわない。
【0026】
プレスローラ18の上流側には、給紙部(図示せず)により給紙される用紙の先端を揃え、版胴1の回転運動に同期して回転駆動される対のレジストローラ21が設けられている。
【0027】
図示しないが、版胴1及び製版装置3の上部には、原稿画像を読み取り、読み取った画像データを製版装置3に出力するスキャナと操作パネルとが設けられている。この操作パネルは、印刷に際して必要な操作を行う複数のキーを備える。これらのキーには、製版開始命令信号を入力する製版スタートキーも含まれている。他のキーについては、本発明に直接関係がないため説明を省略する。
【0028】
ここで、本発明の特徴部分について説明する。すなわち、版胴1上の使用済みのマスタ2に熱を付与するマスタ加熱手段22が版胴1の外周面と対向する位置に設けられている。このマスタ加熱手段22は、版胴1の外周面に向けて一部が開放された筒状の反射板23と、この反射板23の内部に設けられたヒータ24と、このヒータ24を駆動するヒータ制御回路(図示せず)とにより構成されている。反射板23とヒータ24との長さは版胴1の軸方向の長さに対応する。ヒータ制御回路は、製版スタートキーの押圧により製版開始命令を受けたときに、前述した排版装置の動作の直前に一定期間に亘りヒータ24を駆動するように構成されている。このときに、ヒータ24は、使用済みのマスタ2(特にフィルム)を収縮させるに足りる熱を発するようにヒータ制御回路によって発熱量がコントロールされる。
【0029】
なお、孔版印刷装置は、図示しないがマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)を備えている。このマイコンは、前述したスキャナ、排版装置、製版装置3、給紙部、マスタ加熱手段22等の他に、印刷制御部(図示せず)、用紙の搬送駆動部(図示せず)等の各部の制御を行う。
【0030】
ここで、版胴制御部はマイコンの制御のもとに、排版装置、製版装置3の動作に同期して、版胴1の回転及び版胴1に対するプレスローラ18の接離動作、並びにクランパ16の開閉動作を制御する。給紙部はマイコンの制御のもとに、印刷の直前に用紙をレジストローラ21まで給紙する制御を行う。搬送駆動部はマイコンの制御のもとに版胴1の回転運動に同期してレジストローラ21を駆動し用紙を版胴1に受け渡す制御を行う。
【0031】
このような構成において、孔版印刷装置を使用しない間は、版胴1の外周面に使用済みのマスタ2が巻き付けられた状態に維持される。図2(a)に示すように、マスタ2は梨地で表示した部分が画像領域2bで、左の余白部分2cがクランパ16によりクランプされる部分である。
【0032】
スキュナに原稿をセットし、操作パネル上の製版スタートキーを押すと、マイコンが製版開始命令を受けて各部の動作を制御する。すなわち、スキャナは原稿の読み取りを開始し、マスタ加熱手段22は通電によりヒータ24を発熱させ、版胴制御部は版胴1を低速で回転させる。版胴1上のマスタ2のフィルムはヒータ24の熱を受けると、図2(b)に示すように、クランパ16によりクランプされている余白部分2cとは反対側から収縮する。このフィルムの収縮によりマスタ2の支持シートも収縮し、多孔質の支持シートの繊維間の空隙内に保持されたインキが版胴1上に絞り出される。また、マスタ2は収縮により版胴1の表面との接触面積が少なくなるため、版胴1内のインキの付着量は少ない。すなわち、使用済みのマスタ2のインキ保持量を少なくすることができる。フィルムのみにより形成されたマスタ2の場合でも、収縮すると版胴1との接触面積が少なくなるため、マスタ2のインキ保持量を少なくすることができる。
【0033】
なお、版胴1上のマスタを加熱する点については、特開昭63−272579号公報、特開平9−142001号公報等に記載されている。具体的には、特開昭63−272579号公報に記載された提案は、印刷時にインキの滲み出しをよくするために、印刷ドラム(版胴)の外周に設けた温風発生装置によりマスタ上のインキを暖める提案である。もうひとつの特開平9−142001号公報記載の提案は、次回の印刷までの間に版胴内のインキの乾燥を防止するために、印刷が終了しても使用済みのマスタを版胴に巻き付けたままの状態に維持すると、マスタの画像が機密保持を要する画像であっても試し刷り等により何時でも判読できるため、これを防止すべく使用済みのマスタに熱を付与し、使用済みのマスタに付着するインキを溶融させて画像の判読を不可能にしようとする提案である。しかし、これらの提案は、本発明のように、使用済みのマスタを熱により収縮させてマスタのインキ保持量を少なくすることを目的とするものではない。
【0034】
本発明の孔版印刷装置は、上記のように、版胴1上のマスタ2を熱により収縮させた後に、排版装置が版胴1から使用済みのマスタ2を剥がして回収する。この際、使用済みのマスタ2のインキ保持量が少ないので、使用済みのマスタ2とともに廃棄するインキの量を少なくすることができる。
【0035】
さらに、本実施の形態において、マスタ加熱手段22は製版開始命令を受けたときに始動されるように構成されているので、新たに製版したマスタ2を版胴1に巻き付けるとき以外のときに、マスタ加熱手段22を駆動してしまうという操作ミスを回避することができる。これにより、収縮してない使用済みのマスタ2を版胴1に巻き付けた状態を維持し版胴上のインキの乾燥を防止できる。
【0036】
以上のように、使用済みのマスタ2の回収が終わると、版胴制御部は、クランパ16がガイド板9の真下となる位置まで版胴1を回転させ、クランパ16を開き、給版待機状態を維持する。
【0037】
一方、製版装置3は、スキャナにより読み取られた画像データに基づいてサーマルヘッド5の発熱素子を発熱させマスタ2に穿孔によるドットを形成する。このドットの形成はマスタ2をプラテン4と搬送ローラ7と反転ローラ8とで1ライン送る度に行われる。製版されたマスタ2はガイド板9により版胴1のステージ15とクランパ16との間に導かれ、プラテン4を駆動するステッピングモータの駆動パルスをカウントする等の手段によりマスタ2の先端がクランパ16に届いたものと認識したときに、クランパ16が閉じられる。すなわち、マスタ2の先端がステージ15とクランパ16との間で挟持される。この時点で版胴1がマスタ2の搬送速度と等しい速度で時計方向に回転駆動され、これによりマスタ2が版胴1に巻き付けられる。
【0038】
プラテン4を駆動するステッピングモータの駆動パルスをカウントする等の手段により製版を終了したものと認識すると、マスタ2がカッタ6により切断され、切断されたマスタ2の後端部は版胴1の回転により版胴1に巻き付けられ、ここにマスタ2の巻き付けが終了する。
【0039】
続いて、給紙部が用紙を送り出す。送り出された用紙は停止状態に維持されたレジストローラ21のニップ部に当接されて先端縁が揃えられる。
【0040】
搬送駆動部の制御のもとに、版胴1の回転運動に同期してレジストローラ21が回転すると用紙は版胴1に向けて送り出される。その用紙が版胴1とプレスローラ18との間を通過すると、その通過経路中に設けた図示しないセンサが通過検出信号を出力するので、その信号をトリガとしてカムが回転するため、ローラアーム20は版胴1側に回動し、スプリングの付勢力をもってプレスローラ18を版胴1上の用紙に圧接する。プレスローラ18は版胴1の回転に追従して回転する。これにより、版胴1のインキがマスタ2の穿孔から滲み出され用紙に転写される。すなわち印刷がなされる。
【0041】
ところで、マスタ加熱手段22の主要な構成部品である反射板23とヒータ24は版胴1の外周面と対向する位置に配置されているので、既存の孔版印刷装置にもマスタ加熱手段22を増設することが容易にできる。
【0042】
また、本実施の形態におけるマスタ加熱手段22は、版胴1の外周面に向けて一部が開放された筒状の反射板23とこの反射板24の内部に設けられたヒータ24とを備えるので、ヒータ24から周囲に放射される熱線を筒状の反射板23の内面により反射し、版胴1と対向する開口部から効率よく版胴1上のマスタ2に付与することができる。これにより、ヒータ24の熱を他に逃がすことなく有効に利用することができる。
【0043】
次に、本発明の第二の実施の形態を図3に基づいて説明する。前記実施の形態と同一部分は同一符号を用いて説明する。本実施の形態におけるマスタ加熱手段25は、版胴1との向面が開放されたケース26と、このケース26内に設けられて版胴1と対向するヒータ24と、このヒータ24を駆動するヒータ制御回路(図示せず)と、ケース26の版胴1とは反対側の端部に設けられてヒータ24の熱を版胴1上のマスタ2に向けて送風する送風機27とにより構成されている。他の構成は前記実施の形態と同様につき説明を省略する。
【0044】
このような構成において、ヒータ24はケース26に設けられ、その熱は送風機27により版胴1上のマスタ2にのみ吹き当てられる。これにより、ヒータ24の熱を他に逃がすことなく有効に利用することができる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、排版装置により使用済みのマスタを版胴から剥がして回収する前に、その使用済みのマスタを加熱して収縮させるマスタ加熱手段を備えるので、版胴上の使用済みのマスタを加熱手段により加熱することで、マスタを収縮させることができる。これによりマスタは版胴の表面との接触面積が少なくなるため、版胴内のインキの付着量を少なくすることができる。したがって、使用済みのマスタとともに廃棄するインキの量を少なくし、インキの消費量を節約することができる。
【0046】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、製版装置は、熱可塑性樹脂フィルムを多孔質の支持シートにラミネートしたマスタにもドットの形成が可能である。したがって、版胴上の使用済みのマスタを加熱手段により加熱することで、マスタの熱可塑性樹脂フィルムを収縮させ、この熱可塑性樹脂フィルムの収縮によりマスタの支持シートも収縮させ、多孔質の支持シートの繊維間の空隙内に保持されたインキを版胴上に絞り出すことができ、また、マスタは収縮により版胴の表面との接触面積が少なくなるため、版胴内のインキの付着量を少なくすることができる。したがって、使用済みのマスタとともに廃棄するインキの量を少なくし、インキの消費量を節約することができる。
【0047】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明において、マスタ加熱手段は、製版開始命令を受けたときに始動されるように構成されているので、新たに製版したマスタを版胴に巻きつけるとき以外のときに、マスタ加熱手段を駆動してしまうという操作ミスを回避することができる。これにより、収縮してない使用済みのマスタを版胴に巻き付けた状態を維持し版胴上のインキの乾燥を防止できる。
【0048】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3の何れか一記載の発明において、マスタ加熱手段は、版胴の外周面と対向する位置に配置されているので、既存の孔版印刷装置にもマスタ加熱手段を増設することが容易にできる。
【0049】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の発明において、マスタ加熱手段は、版胴の外周面に向けて一部が開放された筒状の反射板とこの反射板の内部に設けられたヒータとを備えるので、ヒータから周囲に放射される熱線を筒状の反射板の内面により反射し、版胴と対向する開口部から効率よく版胴上のマスタに付与することができる。
【0050】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の発明において、マスタ加熱手段は、ヒータとこのヒータの熱を版胴上の使用済みのマスタに向けて送風する送風機とを備えるので、ヒータの熱を他に逃がすことなく版胴上のマスタにのみ吹き当て、熱の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態における孔版印刷機の一部を示す縦断正面図である。
【図2】マスタが収縮する状態を示す説明図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態における孔版印刷機の一部を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 版胴
2 マスタ
3 製版装置
5 サーマルヘッド
22 マスタ加熱手段
23 反射板
24 ヒータ
25 マスタ加熱手段
27 送風機
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタにサーマルヘッドを用いて画像データに対応するドットを形成する製版装置を備え、版胴を回転させてその版胴に巻き付けられている使用済みのマスタを排版装置により剥がして回収し、前記製版装置により製版された前記マスタを版胴に巻き付け、前記マスタにインキを供給し、前記版胴上の前記マスタの画像を用紙に転写する孔版印刷装置において、
前記排版装置を駆動する前に前記版胴に巻き付けられている使用済みの前記マスタを加熱して収縮させるマスタ加熱手段を備えることを特徴とする孔版印刷装置。 - 前記製版装置は、前記熱可塑性樹脂フィルムを多孔質の支持シートにラミネートしたマスタにもドットの形成が可能である請求項1記載の孔版印刷装置。
- 前記マスタ加熱手段は、開始命令を受けたときに始動されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の孔版印刷装置。
- 前記マスタ加熱手段は、前記版胴の外周面と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一記載の孔版印刷装置。
- 前記マスタ加熱手段は、前記版胴の外周面に向けて一部が開放された筒状の反射板とこの反射板の内部に設けられたヒータとを備えることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一記載の孔版印刷装置。
- 前記マスタ加熱手段は、ヒータとこのヒータの熱を前記版胴上の使用済みの前記マスタに向けて送風する送風機とを備えることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一記載の孔版印刷装置。
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