JP4160645B2 - 新規アデニン誘導体及びその医薬用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、B型及びC型肝炎、エイズなどのウイルス疾患、癌疾患、更には、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の治療に対しても有用なアデニン誘導体、並びにこのアデニン誘導体を有効成分とする医薬組成物、具体的には、インターフェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギー剤及び免疫応答調節剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターフェロンは感染防御や免疫調節を担う最も重要な因子の一つであり、B型及びC型肝炎治療剤、或いは癌免疫療法剤として既に実用化されている。特にC型肝炎においては事実上唯一の治療薬となっている。インターフェロンは分子量約2万のポリペプチドであるため、注射剤投与のみが可能である。実際の治療において、対象疾患の多くは慢性疾患であるため長期の通院による生活上の制限や長期投与における治療効果の減弱などが問題になっており、経口投与可能な誘発剤が望まれている。
【0003】
これまでインターフェロン誘発作用を持つ物質としては、ウイルスや他の生物由来の二本鎖核酸、ポリ(I):ポリ(C)やポリカルボキシレートなどの高分子ポリマーが知られているが、二本鎖核酸や高分子ポリマーは、抗原性や病原微生物による汚染の危険、生物学的安定性等で問題がある上、高分子であるため経口剤としての開発は困難である。低分子インターフェロン誘発性化合物として、フルオレノン類、ピリミジノン類、アントラキノン類など幾つかのものが検討されてきたが(Mayer, G.D., et al.: Science, 1970, 169, 1214 、Nichol, F.R., et al.: Antimicrob. Agents Chemother., 1976, 9, 433 、Stringfellow, D.A., et al.: Antimicrob. Agents Chemother., 1991, 15, 111)、治療効果が低く、或いは毒性のため医薬品としての開発は断念された(Reiter, M.A., et al.: J. Leukocyte Biol., 1994, 55, 234)。別の低分子インターフェロン誘発性化合物として、イミダゾキノリン類も知られているが (EP 145,340 A) 、これらは他のサイトカイン、特にTNF−αやIL−6に対する誘発性も持ち、またインターフェロン誘発作用自体、更なる向上が望まれるものであった。
【0004】
一方、喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患はタイプ2ヘルパーT細胞による異常な免疫応答が原因となっている。従来、これらアレルギー性疾患の治療に用いられてきた抗ヒスタミン薬や膜安定化剤はタイプ2ヘルパーT細胞自体の機能を抑えるわけではなく、タイプ2ヘルパーT細胞が産生する種々のTh2型サイトカインにより誘起されたアレルギー反応の下流の一部(ヒスタミンなど)を抑えるのみであった。そのため、これら抗ヒスタミン薬や膜安定化剤などの薬剤による臨床効果は必ずしも十分ではないものであった。一方、臨床上著効を示すステロイドはタイプ2ヘルパーT細胞自体の機能(免疫応答)を抑制する作用を有する。しかしながら、ステロイドは多面的な作用を有しており、その多面性が災いして、糖尿病、感染症、骨粗しょう症などの副作用となって現れるため、継続的な使用には難点のある薬剤である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記状況に鑑み、本発明の目的は、B型及びC型肝炎、エイズなどのウイルス疾患、癌疾患、更には、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患などの治療に対して有用で、経口投与が可能でありかつ高いインターフェロン誘発作用及びタイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制作用を示す低分子化合物、並びに該化合物を有効成分とする医薬組成物、具体的には、インターフェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギー剤及び免疫応答調節剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる背景から、本発明者らは低分子でかつ経口投与可能なインターフェロン誘発剤を開発すべく鋭意検討した結果、特定構造を有するアデニン誘導体が、際だったインターフェロン分泌誘発性を有することを見いだし、加えて、これらの化合物はタイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制作用、具体的には、タイプ2ヘルパーT細胞が産生するTh2型サイトカインの産生抑制作用を有していることも併せて見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、一般式(I):
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R2 はトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又はクロロ基を表し;R8 は水酸基、メルカプト基、炭素数18以下のアシルオキシ基、炭素数19以下の炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ基を表し;R9 は炭素数14以下の炭化水素基を表し、該炭化水素基中、アデニン骨格に直接結合しない−CH2 −及びアデニン骨格に直接結合しない−CH3 のCH2 はカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CH2 は=O又は=Sで置き換えられていてもよく、またアデニン骨格に直接結合しない−CH2 −のC−H、アデニン骨格に直接結合しない−CH3 のC−H、アデニン骨格に直接結合しない>CH−のC−H、アデニン骨格に直接結合しない=CH−のC−H、=CH2 のC−H及び≡CHのC−Hは、N、C−ハロゲン又はC−CNで置き換えられていてもよい。)
で示されるアデニン誘導体もしくはその互変異性体又はそれらの薬学的に許容される塩、並びに該化合物を有効成分とする医薬組成物、具体的には、インターフェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギー剤及び免疫応答調節剤である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のアデニン誘導体を更に詳細に説明すると、前記一般式(I)における炭化水素基とは、直鎖又は分岐を有する鎖式炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある単環式炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある多環式炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のあるスピロ炭化水素基、側鎖のない又は側鎖のある環集合構造の炭化水素基、あるいは、前記の環式炭化水素基が置換した鎖式炭化水素基のいずれをも含む。また、飽和な炭化水素基及び不飽和な炭化水素基のいずれをも含むが、不飽和な炭化水素基において、C=C=Cのケチン構造を含む基は除く。直鎖又は分岐を有する鎖式炭化水素基としては、例えば、飽和な鎖式炭化水素基である、炭素数1以上の直鎖のアルキル基、炭素数3以上の分岐のアルキル基、不飽和な鎖式炭化水素基である、炭素数2以上の直鎖のアルケニル基、炭素数3以上の分岐のアルケニル基、炭素数3以上の直鎖のアルキニル基、炭素数4以上の分岐のアルキニル基、炭素数4以上の直鎖のアルカジエニル基、炭素数5以上の分岐のアルカジエニル基などを例示することができる。単環式炭化水素基としては、例えば、飽和な単環式炭化水素基である、炭素数3以上の側鎖のないシクロアルキル基、総炭素数4以上の側鎖のあるシクロアルキル基、不飽和な単環式炭化水素基である、炭素数4以上の側鎖のないシクロアルケニル基、総炭素数5以上の側鎖のあるシクロアルキニル基、炭素数5以上の側鎖のないシクロアルカジエニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルカジエニル基などを例示することができる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基など総炭素数6〜14の側鎖のない芳香族基、総炭素数7以上の側鎖のある芳香族基、更には、環集合構造の炭化水素基でもある、炭素数12のフェニルフェニル基、総炭素数13以上の側鎖のあるフェニルフェニル基を例示することができる。多環式炭化水素基としては、炭素数6以上の側鎖のない縮合環式炭化水素基、総炭素数7以上の側鎖のある縮合環式炭化水素基、炭素数7以上の側鎖のない架橋環式炭化水素基、総炭素数8以上の側鎖のある架橋環式炭化水素基、総炭素数9以上の側鎖のないスピロ炭化水素基、総炭素数10以上の側鎖のあるスピロ炭化水素基などを例示することができる。なお、前記の側鎖のない縮合環式炭化水素基において、縮合する環の一つがベンゼン環である場合、その総炭素数が9以上となるものを挙げることができ、前記の側鎖のある縮合環式炭化水素基において、縮合する環の一つがベンゼン環である場合、その総炭素数が10以上となるものを挙げることができる。環集合構造の炭化水素基としては、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキルシクロアルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキルシクロアルキル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキリデンシクロアルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキリデンシクロアルキル基などを例示することができる。なお、これら環式炭化水素において、側鎖のあるとは、環上に鎖式炭化水素基が置換していることを意味する。上述する環式炭化水素基が置換した鎖式炭化水素基としては、総炭素数7以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖のアルキル基、総炭素数8以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖のアルキル基、総炭素数9以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐のアルキル基、総炭素数10以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐のアルキル基、総炭素数8以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖のアルケニル基、総炭素数9以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖のアルケニル基、総炭素数9以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐のアルケニル基、総炭素数10以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐のアルケニル基、総炭素数8以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖のアルキニル基、総炭素数9以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖のアルキニル基、総炭素数10以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐のアルキニル基、総炭素数11以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐のアルキニル基、総炭素数10以上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖のアルカジエニル基、総炭素数11以上の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖のアルカジエニル基、総炭素数11以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐のアルカジエニル基、総炭素数12以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐のアルカジエニル基、総炭素数4以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖のアルキル基、総炭素数5以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルキル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐のアルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のアルキル基、総炭素数5以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖のアルケニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルケニル基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐のアルケニル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のアルケニル基、総炭素数5以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖のアルキニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルキニル基、総炭素数7以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐のアルキニル基、総炭素数8以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のアルキニル基、総炭素数7以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖のアルカジエニル基、総炭素数8以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された直鎖のアルカジエニル基、総炭素数8以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐のアルカジエニル基、総炭素数9以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置換された分岐のアルカジエニル基などを例示することができる。
【0011】
なお、以下では、側鎖のない芳香族基、側鎖のある芳香族基、及び、フェニルフェニル基又は側鎖のあるフェニルフェニル基などを併せて、アリール基と呼び、このアリール基で置換された直鎖又は分岐のアルキル基をアラルキル基と呼ぶ。他の環式炭化水素基に関しても、特に明記しない場合、環上に側鎖のないものとあるものを併せて指す場合には、単にシクロアルキル基等の名称を用いる。鎖式炭化水素基についても、直鎖のものと分岐のあるものを併せて指す場合には、単にアルキル基等の名称を用いる。
【0012】
該炭化水素基中、−CH2 −がカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられると、それぞれケトン、スルホン、エーテル又はチオエーテルの構造が導入され、−CH3 の−CH2 −がカルボニル基、−O−又は−S−で置き換わると、それぞれホルミル基(アルデヒド)、水酸基又はメルカプト基に変わり、あるいは、末端の=CH2 が=O又は=Sに置き換わると、ケトン、チオケトンの構造が導入されることを意味し、また、−CH2 −のC−HがNに変わると、−NH−となり、>CH−のC−HがNに変わると、>N−となり、=CH−のC−HがNに変わると、=N−となり、末端の−CH3 のC−HがNに変わると、−NH2 が導入され、=CH2 のC−HがNに変わると、=NHとなり、C≡CHのC−HがNに置換されると、C≡N;シアノ基への変換となる。また、−CH3 、−CH2 −、=CH−、≡CH又は>CH−のC−HがC−ハロゲン又はC−CNで置き換えられると、当該炭素上へハロゲノ基又はシアノ基を置換することになる。なお、炭素鎖中における−O−、−S−、Nへの置き換えは、当該炭化水素基に対する、それぞれオキサ置換、チア置換、アザ置換に当たり、例えば、炭化水素環の環の骨格炭素で起こると、炭化水素環のそれぞれ含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環への変換となる。該炭化水素基中、CH2 及びC−Hにおける置き換えは、それぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の置き換えを行った後、なお当該炭素上にCH2 又はC−Hが残存する際には、更に置き換えがなされてもよい。更には、前記の置き換えにより、−CH2 −CH2 −の−CO−O−;エステル構造や−CO−S−;チオエステル構造への変換など、−CH2 −CH2 −CH2 −の−O−CO−O−;炭酸エステル構造や−NH−CO−NH−;ウレア構造(ウレイレン基)への変換など、−CH2 −CH3 の−CO−O−H;カルボン酸構造、−CO−NH2 ;アミド構造や−SO2 −NH2 ;スルホンアミド構造への変換などもなされる。なお、ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を指すが、特には、フッ素、塩素、臭素が好ましい。
【0013】
従って、前記一般式(I)においてR9 で表される炭素数14以下の炭化水素基としては、鎖式炭化水素基及び環式炭化水素基など環構造を有する炭化水素基のいずれをも選択でき、例えば、飽和鎖式炭化水素基である直鎖又は分岐のアルキル基、不飽和鎖式炭化水素基である直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基、直鎖又は分岐のアルカジエニル基など、飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基、不飽和な環式炭化水素基であるシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、シクロアルカジエニル基など、芳香環式炭化水素基であるアリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。
【0014】
更に詳しくいえば、直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルヘプチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、1, 1−ジメチルエチル基、1, 1−ジメチルプロピル基、2, 6−ジメチルヘプチル基、3, 7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基など、シクロアルキルアルキル基としては、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基など、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基など、ビシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
【0015】
直鎖又は分岐のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、クロチル基(2−ブテニル基)、イソプロペニル基(1−メチルビニル基)など、シクロアルケニル基又はシクロアルカジエニル基としては、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサンジエニル基などが挙げられる。
直鎖又は分岐のアルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、9−アントリル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、エチルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基などが挙げられる。
【0016】
アラルキル基としては、例えばベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、フェネチル基(2−フェニルエチル基)、1−フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル基、メチルフェネチル基、ジメチルベンジル基、ジメチルフェネチル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などが挙げられる。前記ベンジル基の環中のC−Hが窒素原子で置き換えられていてもよく、また環上の水素原子はハロゲノ基(特にはクロロ基、ブロモ基、フルオロ基)、トリフルオロメチル基、ニトロ基、アミノ基などで置き換えられていてもよく、メチル基などの低級アルキル基等を環上の側鎖として置換していてもよい。加えて、アラルキル基と類似している、芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環により置換されたアルキル基及びその複素環上に更に置換基又は側鎖を有するものも好ましいものとなる。具体的には、置換ベンジル基の好ましい例としては、例えば2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−トリフルオロメチルベンジル基、3−トリフルオロメチルベンジル基、4−トリフルオロメチルベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−アミノベンジル基、3−アミノベンジル基、4−アミノベンジル基、2,3−ジクロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジル基、3,5−ジクロロベンジル基、4−アミノ−3−クロロベンジル基、3−アミノ−4−クロロベンジル基、4−アミノ−3−ブロモベンジル基、3−アミノ−4−ブロモベンジル基、非置換又は置換ベンジル基のベンゼン環中のC−Hが窒素原子で置き換えられたアザ置換の基である、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基などが挙げられる。また、芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環により置換されたアルキル基及びその環上に更に置換基を有する基においては、該基を構成する芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環として、一ヘテロ原子置換体である5員環のフラン環、チオフェン環、ピロール環、二ヘテロ原子置換体である5員環のオキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピラゾール環など、6員環のベンゼン環における一アザ置換体であるピリジン環、二アザ置換体である、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環等、三アザ置換体であるトリアジン環類、これら単環のものが、更に前記の5員環又はベンゼン環やそのアザ置換された6員環と縮合し縮合二環系を形成するもの、例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾピロール環、ベンゾイミダゾール環などの5員環と6員環が縮合するもの、6員環同士が縮合した、ナフタレン環のアザ置換体にあたる、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環等の種々のアザナフタレン環を挙げることができ、その他、環上に置換するオキソ基とともに芳香族環と類した共役系を形成する4H−ピラン−4−オン構造等、あるいは、1,4−ジチアナフタレン環等の系全体として芳香族環と類した共役系を形成する構造のものをも挙げることができる。これら芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環により置換されたアルキル基において、非置換又は置換ベンジル基と類する構造、即ち、メチル基に前記芳香族性を示す含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環、特には単環のものが置換するものは、非置換又は置換ベンジル基と同じくより好ましいものとみなせ、加えて、置換ベンジル基において好ましい置換基又は側鎖が、その環上に置換していてもよい。
アリールアルケニル基としては、例えばスチリル基、メチルスチリル基、エチルスチリル基、ジメチルスチリル基、3−フェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0017】
R9 で表される前記の炭化水素基中のCH2 がカルボニル基、スルホニル基、O又はSで、又はC−HがN、C−ハロゲン又はC−CNで置き換えられた基としては、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、チオエステル、アミド、炭酸エステル、カルバミン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アミン、アルコール、チオール、ハロゲン、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環などの構造を一つ以上含む基が挙げられる。なお、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環とは、環式炭化水素基の環骨格の炭素がそれぞれ酸素、硫黄、窒素で置き換わるものを意味し、更には、これらヘテロ原子置換が二種以上ある複素環であってもよい。前記の置換を有する炭化水素基としては、例えば、ケトン構造のアセチルメチル基、スルホン構造のメタンスルホニルメチル基、エーテル構造のメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、チオエーテル構造のメチルチオメチル基、アミン構造のメチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、メチルアミノエチル基、プロピルアミノメチル基、シクロペンチルアミノメチル基、エステル構造のメトキシカルボニルメチル基、アセトキシメチル基、アミド構造のアセチルアミノメチル基、アセチルアミノエチル基、含酸素複素環のテトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリルエチル基、エーテル構造のメトキシフェニル基、チオエーテル構造のメチルチオフェニル基、ケトン構造のアセチルフェニル基、炭酸エステル構造のメトキシカルボニルオキシフェニル基、エトキシカルボニルオキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エステル構造のメトキシカルボニルフェニル基、アセトキシフェニル基、メチルアミノカルボニルフェニル基、含酸素複素芳香環のフリル基、含硫黄複素芳香環のチエニル基、含窒素複素芳香環のピロリル基、ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリジルメチル基、フェノキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、アルコール構造の2−ヒドロキシエチル基、チオール構造の2−メルカプトエチル基、アミン構造の2−アミノエチル基、2−クロロエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−メルカプトプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、2, 3−ジヒドロキシプロピル基、2, 3−ジメルカプトプロピル基、2, 3−ジアミノプロピル基、2−アミノ−3−ヒドロキシプロピル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、4−アミノブチル基、2−メルカプトブチル基、3−メルカプトブチル基、4−メルカプトブチル基、2−クロロブチル基、3−クロロブチル基、4−クロロブチル基、2, 3−ジヒドロキシブチル基、2, 4−ジヒドロキシブチル基、3, 4−ジヒドロキシブチル基、2, 3−ジアミノブチル基、2, 4−ジアミノブチル基、3, 4−ジアミノブチル基、2−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、2, 3, 4−トリヒドロキシブチル基、2, 3, 4−トリアミノブチル基、2, 4−ジアミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2, 4−ジヒドロキシブチル基、2, 3−ジアミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2, 3−ジヒドロキシブチル基、3, 4−ジアミノ−2−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−3, 4−ジヒドロキシブチル基、アミノスルホニルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、アミノフェニル基、メルカプトフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ジアミノフェニル基、ジフルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、トリクロロフェニル基、フルオロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、アミノメチルフェニル基、ヒドロキシメチルフェニル基、ヒドロキシエチルフェニル基、アミノヒドロキシフェニル基、フルオロヒドロキシフェニル基、クロロヒドロキシフェニル基、ヒドロキシカルボニルフェニル基、アミノカルボニルフェニル基などが挙げられる。
【0018】
R8 で表される炭素数18以下のアシルオキシ基は、上述の炭化水素基から選択される炭素数17以下の炭化水素基又は水素がカルボニル基に置換してなるアシル基がオキシ基に置換したものを意味し、例えばホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ウンデカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、トリデカノイルオキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ペンタデカノイルオキシ基、ヘキサデカノイルオキシ基、ヘプタデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキシ基、2, 2−ジメチルプロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メチルベンゾイルオキシ基、ジメチルベンゾイルオキシ基、トリメチルベンゾイルオキシ基、エチルベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0019】
R8 で表される炭素数19以下の炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ基は、上述した種々の炭化水素基で炭素数19以下のものがオキシカルボニルオキシ基に置換した基を意味し、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基、ペンチロキシカルボニルオキシ基、ヘキシロキシカルボニルオキシ基、ヘプチロキシカルボニルオキシ基、オクチロキシカルボニルオキシ基、イソプロピルオキシカルボニルオキシ基、イソブチルオキシカルボニルオキシ基、t−ブチルオキシカルボニルオキシ基、イソペンチルオキシカルボニルオキシ基、ベンジルオキシカルボニルオキシ基などが挙げられる。
【0020】
R8 がアシルオキシ基又は炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ基である化合物は、R8 が水酸基である化合物のエステルに相当し、R8 が水酸基である化合物の溶解性、吸収性、体内安定性の向上を目的としたプロドラッグ化合物に相当するものである。即ち、該エステルが生体内で代謝を受けると、活性本体であるR8 が水酸基である化合物となる。
【0021】
一般式(I)で示される化合物とその互変異性体は化学的には等価であり、本発明のアデニン誘導体は該互変異性体も含む。例えば、R8 が水酸基の場合、一般式(I)で示される化合物は一般式(II):
【0022】
【化3】
【0023】
(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)
のヒドロキシ誘導体となるが、該誘導体の互変異性体として一般式 (III):
【0024】
【化4】
【0025】
(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)
のオキソ誘導体がある。
また、R8 がメルカプト基の場合、一般式(I)で示される化合物は一般式(IV):
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)
のメルカプト誘導体となるが、該誘導体の互変異性体として一般式(V):
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式(I)のR2 及びR9 と同義の基を表す。)
のチオキソ誘導体がある。
【0030】
本発明のアデニン誘導体において、好ましい態様の一例としては、R8 に水酸基を選択する、前記一般式(II)で示される8−ヒドロキシアデニン誘導体が挙げられる。但し、一般式(II)において、R8 にアシルオキシ基又は炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ基を選択する化合物、即ち、一般式(VI):
【0031】
【化7】
【0032】
(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式(I)のR2 及びR9 と同義の基を表し、R8'は、R8'−CO−O−が一般式(I)のR8 におけるアシルオキシ基となる炭化水素基を表す。)
又は一般式(VII) :
【0033】
【化8】
【0034】
(式中、R2 及びR9 は、それぞれ一般式(I)のR2 及びR9 と同義の基を表し、R8'は、R8'−O−CO−O−が一般式(I)のR8 における炭化水素基置換オキシカルボニルオキシ基となる炭化水素基を表す。)
示される化合物は、前記一般式(II)で示される化合物のプロドラッグ化したものに相当するので、その意味において遜色のない化合物と見なせる。
【0035】
R9 について、その好ましい選択の一例を上に述べたが、R9 において、非置換又は置換のベンジル基を選択するとより好ましい。なお、R9 の置換のベンジル基とは、該ベンゼン環の炭素が窒素で置き換わる窒素置換のものをも含み、環上の置換基としては、側鎖の鎖式炭化水素基及びそれから誘導される基として、先に説明したCH2 がカルボニル基、スルホニル基、O又はSで、又はC−HがN、C−ハロゲン又はC−CNで置き換えにより誘導される種々の構造、具体的には、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、チオエステル、アミド、炭酸エステル、カルバミン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、アミン、アルコール、チオール、ハロゲンなどの構造を持つものを含む。なかでも、上で例示した好ましい置換ベンジル基において見出される、ハロゲノ基(特には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基)、ハロゲノ置換アルキル基はより好ましいものの一例である。
【0036】
R9 に、非置換の、又は置換のベンジル基を選択する好ましい態様の具体例としては、例えば、一般式(II)又は一般式(IV)で示される化合物において、R9 に、非置換の、又は一置換もしくは二置換のベンジル基を選択する一般式(VIII)又は一般式(IX):
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
(式中、R2 はトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基又はクロロ基を表し;Ra及びRbは、それぞれ、水素原子、ハロゲノ基、シアノ基又は炭化水素基を表し、該炭化水素基中、−CH2 −及び−CH3 のCH2 はカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CH2 は=O又は=Sで置き換えられていてもよく、また−CH2 −のC−H、−CH3 のC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H及び=CH2 のC−Hは、N、C−ハロゲン又はC−CNで置き換えられていてもよい。)
で示される化合物が挙げられる。前記の一般式(VIII)又は一般式(IX)において、そのベンジル基の4位、3位に存在する置換基Ra、Rbは、好ましくは、水素原子、アルキル基、ハロゲノ基、ハロゲノ置換アルキル基、アミノ基などから選択され、共に水素原子を選択するか、Rbに水素原子を選択すると更に好ましい。
【0040】
本発明のアデニン誘導体の製法を以下に詳述する。前記一般式(I)において、R2 は、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロ基のいずれかであるが、それに加えて、R8 の選択によって幾つかの製法が挙げられる。下に、それら複数の合成法の概要を述べる。
【0041】
(1)R8 =OHあるいはSHの場合;前記一般式(II)又は一般式(IV)で示される化合物
a.R2 がトリフルオロメチル基あるいはペンタフルオロエチル基である誘導体の合成法概要(Scheme 1)
【0042】
【化11】
【0043】
5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドへ水酸化ナトリウム、水素化ナトリウムなどの塩基存在下に、R9 を含む各種の置換ハライドR9 −X(Xは、ハロゲンを示す。)を用いて1位を置換して1−置換−5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドへ導く。溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが用いられるが、塩基に応じて適宜選択すればよく、反応温度は室温から80℃位の範囲で行うことができる。この1−置換−5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドへR2 を含むR2 −COOEt、(R2 −CO) 2 O又はR2 −COClを反応させると、2,9−二置換ヒポキサンチン誘導体へ導くことができる。塩基としてはナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシドなどを用い、溶媒はメタノール、エタノールなどのアルコールが用いられる。反応温度は室温から溶媒が還流する温度で行うことができるが、好ましくは加熱条件下で行う。
【0044】
この2,9−二置換ヒポキサンチン誘導体にオキシ塩化リン、塩化スルホニル等のクロル化剤を反応させて2,9−二置換−6−クロロプリンへ導く。溶媒はクロロホルムなどが使用できるが、無溶媒でも可能である。反応温度は室温から100 ℃位の範囲で行うことができるが、好ましくは加熱条件下で行う。この2,9−二置換−6−クロロプリンへアンモニアを反応させて、2,9−二置換アデニンへ導く。溶媒はエタノールなどのアルコールの他、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが使用できる。反応温度は室温から120 ℃位の範囲で行うことができるが、好ましくは加熱条件下で行う。塩基は必要に応じてトリエチルアミンなどの第三級アミンを使用することができる。
【0045】
この2,9−二置換アデニン誘導体を酢酸ナトリウムなどの塩基存在下に臭素を反応させて2,9−二置換−8−ブロモアデニン誘導体へ導く。溶媒は酢酸、クロロホルムなどが使用でき、反応温度は室温から100 ℃位の範囲で行うことができる。次いで、この2,9−二置換−8−ブロモアデニン誘導体を塩酸と反応させるとR8 がOHの化合物、2,9−二置換−8−ヒドロキシアデニン誘導体へ導くことができる。反応温度は室温から100 ℃位の範囲で行うことができるが、好ましくは加熱条件下すなわち約70〜約100 ℃の範囲で行う。
一方、2,9−二置換−8−ブロモアデニン誘導体をNaSHと反応させるとR8 がSHの化合物、2,9−二置換−8−メルカプトアデニン誘導体へ導くことができる。溶媒はメタノール、エタノールなどのアルコールが使用でき、反応温度は室温から溶媒が還流する温度で行うことができるが、好ましくは加熱条件下で行う。
【0046】
b.2,9−二置換−8−ヒドロキシアデニン誘導体あるいは2,9−二置換−8−メルカプトアデニン誘導体の合成法別法1概要(Scheme 2)
【0047】
【化12】
【0048】
5−アミノ−4−シアノイミダゾールにR2 −CONH2 を反応させると2−置換アデニンへ導くことができる。溶媒は必要なく加熱溶融させて反応を行い、反応温度は約 150〜約240 ℃の高温下に反応を行うことが好ましい。この2−置換アデニンへ前記a.と同様にして9位の置換、8位のブロモ化、加水分解あるいはNaSHとの反応を行えば、2,8,9位に置換基を持つアデニン化合物へ導くことができる。
【0049】
c.2,9−二置換−8−ヒドロキシアデニン誘導体あるいは2,9−二置換−8−メルカプトアデニン誘導体の合成法別法2概要(Scheme 3)
【0050】
【化13】
【0051】
更に、一般に知られている他のプリン環形成法を応用することもできる。例えば、R2 を含むアミジンを出発原料としてマロノニトリルを反応させてピリミジン誘導体とし、硝酸ナトリウムあるいは混酸を反応させて該ピリミジンの5位にニトロ基を導入し、Pd/CあるいはPt/C等で還元して該ニトロ基をアミノ基へと導く。この2−置換トリアミノピリミジンへオルトエステルを反応させて2−置換アデニンへ導くこともできる。それ以降の操作は前記b.と同様である。
【0052】
d.R2 がクロロ基である誘導体の合成法概要(Scheme 4)
【0053】
【化14】
【0054】
2,6−ジクロロプリンへアンモニアを反応させて、2−クロロアデニンへ導く。溶媒はエタノールなどのアルコールの他、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが使用できる。反応温度は室温から120 ℃位の範囲で行うことができるが、好ましくは加熱条件下で行う。塩基は必要に応じてトリエチルアミンなどの第三級アミンを使用することができる。この2−クロロロアデニンへ前記a.と同様にして9位の置換、8位のブロモ化、加水分解あるいはNaSHとの反応を行えば、2 位にクロロ基を持つアデニン化合物へ導くことができる。
【0055】
(2)R8 =アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基の場合;前記一般式(VI)又は一般式(VII) で示される化合物
一般式(II)で示される化合物、即ち、前記(1)に述べたR8 =OHである化合物をトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下、R8 のクロリドに相当するアシルクロリド(R8'−CO−Cl)あるいはクロロギ酸エステル(R8'−O−CO−Cl)と反応させることにより得ることができる。溶媒としてはテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミドなどが用いられる。反応温度は室温から80℃位の範囲の温度で行うことができる。
【0056】
具体的には、一般式(I)で示され、そのR2 、R8 、R9 にそれぞれ表1〜表8に示す基の組み合わせを選択する化合物群は、下に述べる実施例1、2、3の方法に準じて、中間原料として対応する9−置換ベンジル−2−トリフルオロメチルヒポキサンチン又は9−置換ベンジル−2−ペンタフルオロエチルヒポキサンチン、あるいは、9−置換ベンジル−2−クロロアデニン等を作製し、以降は同様の操作を施し、製造することができる。また、これら表1〜表8に示す化合物群中、R9 において、非置換又は置換のベンジル基を選択するものは、本発明においてより好ましい化合物に当たる。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
以上のようにして得られる本発明のアデニン誘導体は、ナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩などの薬学的に許容される塩として用いることもできる。
【0066】
本発明の医薬組成物、具体的には、インターフェロン分泌誘発剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、タイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤、抗アレルギー剤及び免疫応答調節剤は、錠剤、カプセル剤、散剤などの経口剤をはじめ、注射剤、外用剤など種々の剤形で使用することができる。例えば、本発明のアデニン誘導体とラクトース、澱粉などの賦形剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、その他常用の添加剤を混合し、錠剤とすることができる。本発明の医薬組成物の用量は、患者の性別、年齢、体重、疾患の種類、症状などに応じて適宜定めるものであるが、経口投与する場合、一般に、1日当たり約0.1 〜約100 mg/kg の範囲、好ましくは約0.1 〜約10 mg/kgの範囲で、単回又は数回に分けて投与することができる。あるいは、アレルギー性皮膚炎などの患部が表皮に局在する場合には、経皮吸収剤に適する態様の外用剤、例えば、軟膏剤等の形態で使用することもできる。また、アレルギー性鼻炎などの場合も、患部に直接投与するエアゾール剤として使用することもできる。これら局所投与に用いる剤形における用量は、用いる媒体に応じて適宜定めることができる。
【0067】
例えば、外用剤として、アレルギー性皮膚炎などに用いられる経皮吸収剤、具体的には、軟膏剤の調製には下記する方法などが挙げられる。
水溶性軟膏剤
本発明の化合物1.0 g を小型攪拌混合機にとり、更に70℃に加温した局方マクロゴール軟膏99.0 gを加え自然放冷しながら約30分間混合し、本発明の化合物を有効成分として1%含有する軟膏を調製できる。
【0068】
脂溶性軟膏剤
本発明の化合物1.0 g を乳鉢にとり、更に流動パラフィン18.5 gを加え約5 分間十分に研和し懸濁液とする。次いで、この懸濁液と70℃に加熱した白色ワセリン72 g、サラシミツロウ8.5 g を小型攪拌混合機にとり自然放冷しながら約30分間混合し、本発明の化合物を有効成分として1%含有する軟膏を調製できる。
【0069】
なお、本発明のアデニン誘導体を有効成分とする抗アレルギー剤は、種々の要因によるアレルギー疾患の症状を緩和する目的、あるいは症状が現れるのを予防する目的で投与される医薬品である。具体的には、前記のアレルギー疾患としては、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息(アトピー性喘息、非アトピー性喘息)なども含まれ、これらの治療剤又は予防剤として利用される。加えて、本発明のアデニン誘導体を有効成分とする免疫応答調節剤は、当該アデニン誘導体が、タイプ2ヘルパーT細胞選択的な免疫応答、例えば、IL−4あるいはIL−5の産生抑制剤であるとともに、タイプ1ヘルパーT細胞によるインターフェロン産生促進剤であることを利用し、これらヘルパーT細胞の関与する免疫応答を好ましい状態に調節する薬剤である。例えば、前記のアレルギー疾患においては、その症状を直接緩和するのみでなく、しばしば併行しておこる各種のウイルス疾患を抑制することで、患者の負担を軽減することを目的とした総合的な治療に利用される。同様の不快な症状を表す、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患においても、タイプ2ヘルパーT細胞選択的な免疫応答を抑制することで、その対症療法に利用でき、特に、ヘルパーT細胞の関与する免疫応答を好ましい状態に調節することで、全般的な症状の軽減が図れる。
【0070】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1) 9−ベンジル−8−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルアデニン
5−アミノ−1−ベンジルイミダゾール−4−カルボキサミド2.57g 、ナトリウム2.74g 及びトリフルオロ酢酸エチル5.07g を無水エタノール120ml に加え、3 時間還流加熱した。溶媒を減圧留去し、水20mlを加えた後、濃塩酸で中和した。析出した固体を濾取すると、9−ベンジル−2−トリフルオロメチルヒポキサンチンが2.53g 得られた。この9−ベンジル−2−トリフルオロメチルヒポキサンチン2.40g 、塩化チオニル3.6ml をDMF35mlに加え、90℃で1時間還流加熱した。溶媒を減圧留去し、エーテルで抽出した。5%炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水の順に洗浄した後、溶媒を減圧留去した。水とメタノールから結晶化させると、9−ベンジル−2−トリフルオロメチル−6−クロロプリンが1.94g 得られた。この9−ベンジル−2−トリフルオロメチル−6−クロロプリン1.72g 、28%アンモニア水20ml及びブタノール20mlをオートクレーブ中で7時間120 ℃で加熱した。溶媒を減圧留去すると、9−ベンジル−2−トリフルオロメチルアデニンが1.21g 得られた。この9−ベンジル−2−トリフルオロメチルアデニン1.07g 、酢酸ナトリウム3.54g 及び臭素1.9ml を酢酸20mlに加え、50℃で5時間加熱した。溶媒を減圧留去し、水20mlを加えた後、析出した固体を濾取すると、9−ベンジル−8−ブロモ−2−トリフルオロメチルアデニンが845mg 得られた。この9−ベンジル−8−ブロモ−2−トリフルオロメチルアデニン726mg を濃塩酸15mlに加え5時間還流加熱した。放冷後、アンモニア水により中和し、析出した結晶を濾取することで標記化合物を446mg 得た。
【0071】
1H-NMR (DMSO-d6) δppm : 4.95 (2H, s), 7.01 (2H, s), 7.23-7.35 (5H, m), 10.69 (1H, s)
MS (TOF) : 310 (M+1)
【0072】
(実施例2) 9−ベンジル−8−ヒドロキシ−2−ペンタフルオロエチルアデニン
トリフルオロ酢酸エチルに換え、ペンタフルオロプロピオン酸エチルを原料として、実施例1と同様の操作により標記化合物を得た(収率23%)。
【0073】
1H-NMR (DMSO-d6) δppm : 4.94 (2H, s), 7.00 (2H, s), 7.24-7.32 (5H, m), 10.62 (1H, s)
MS (TOF) : 360 (M+1)
【0074】
(実施例3) 9−ベンジル−8−ヒドロキシ−2−クロロアデニン
2,6−ジクロロプリン 1.75g及び28%アンモニア水をイソブタノール20mlに加え、封管中100 ℃で9時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去し、固体をメタノールで洗浄し、乾燥すると2−クロロアデニンが1.45g 得られた。この2−クロロアデニン1.45g 及び炭酸カリウム1.2gを80mlのDMFに加え、30分撹拌した。そこへ塩化ベンジル1.2gを加え、室温で1 日撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣へ水を加えた。1N塩酸で中和し、固体を濾取し、水洗後、乾燥すると9−ベンジル−2−クロロアデニン 1.93gが得られた。この9−ベンジル−2−クロロアデニン330mg 、酢酸ナトリウム1.38g 及び臭素1.28g を酢酸30mlに加え、80℃で5時間加熱撹拌した。放冷後、溶媒を減圧留去し、残渣へ水を加えた。水酸化ナトリウム水溶液で中和し、固体を濾取した。カラムクロマトグラフによって精製して(ジクロロメタン:メタノール=100:1 )、9−ベンジル−8−ブロモ−2−クロロアデニン280mg を得た。この9−ベンジル−8−ブロモ−2−クロロアデニン270mg を濃塩酸10mlに加え、100 ℃で4時間撹拌した。放冷後、水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、固体を濾取した。カラムクロマトグラフによって精製して(ジクロロメタン:メタノール=20 :1 )、標記化合物76mgを得た。
【0075】
1H-NMR(DMSO-d6)δ ppm: 4.90 (2H, s), 6.91 (2H, s), 7.25〜7.36 (5H, m), 10.40 (1H, s)
MS (DI): 275 (M+)
【0076】
(実施例4) インターフェロン誘導の活性及び選択性
被験化合物を0.5%カルボキシメチルセルロース水溶液に懸濁し、Balb/c雄性マウスに経口投与した。2時間後、心臓より採血し、血漿を調製し、インターフェロン誘発作用、他のサイトカインの誘導活性を調べた。血清中のインターフェロンは、J. A. Armstrong, Methods in Enzymology 78, 381-387に記載の方法に準じて測定した。即ち、2.5 ×104 個/50μl のマウス繊維芽細胞 L929 を 96 穴の培養プレートで24時間培養後、50μl の希釈した血漿を添加し、更に24時間培養した。培養液を除去した後、水泡性口内炎ウイルスを 100μl ずつ添加し、ウイルス感染後44時間でのインターフェロン(IFN)による細胞変性抑制効果をクリスタルバイオレット染色により確認した。定量は、色素を2%デオキシコール酸ナトリウム水溶液で溶解し、595 nmの吸収を測定することで行った。血漿中のTNF−αの定量は、ジェンザイム社のEIAキットを使用して行った。表9及び表10に結果を示す。
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】
表9及び表10に示されるように、本発明のアデニン誘導体は高いインターフェロン誘導活性を有する。一方、TNF−αに対する誘導は低い水準であった。
【0080】
(実施例5) ヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるインターフェロン誘導作用
健常ボランティアの末梢血をヘパリン加採血し、LymphoprepTM(NYCOMED PHARMA AS )を用いた密度勾配遠心分離により単核細胞(PBMC)を調製した。PBMCを無血清 RPMI 1640培地で2回洗浄した後、10%(v/v) ウシ胎仔血清添加 RPMI 1640培地で1×106 個/ml に調製し、ジメチルスルホキシド(終濃度0.1 v/v %)に溶解した被験化合物の存在下で5%CO2 インキュベータ内で37℃にて24時間培養した。なお、対照には被験化合物を含まない0.1 %ジメチルスルホキシドを用いた。培養上清を無菌濾過により回収し、インターフェロン誘導活性の測定実験に供するまで−20℃以下で凍結保存した。培養上清中のヒトインターフェロン−α(IFN−α)の定量はアマシャム社の高感度ELISA systemを使用した。陽性対照としては、EP 145,340 A記載の化合物 R-837(4−アミノ−1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン)を用いた。表11に結果を示す。
【0081】
【表11】
【0082】
表11に示されるように、本発明のアデニン誘導体はヒト末梢血単核細胞においても高いインターフェロン誘導活性を有する。
【0083】
(実施例6) 脾臓細胞を用いるTh2型サイトカイン産生抑制作用
1)マウス感作脾細胞の調製
7週齢の雄BALB/cマウスに10μg のオボアルブミン(OVA)を吸着させた4mg の水酸化アルミニウムゲル(100 μl)を腹腔内投与により免疫し、14日後同剤で追加免疫した。追加免疫7日後に脾臓を摘出し、非働化牛胎児血清(10 v/v%)、2-メルカプトエタノール(50μM)、ペニシリンG(100U/ml )及びストレプトマイシン(100 μg/ml)を含むRPMI-1640 に懸濁し、細胞浮遊液を調製した。
【0084】
2)抗原刺激によるサイトカインの産生
脾細胞浮遊液(5 x 106 cells / 200 μl / well)にOVA(0.5mg/ml)及び被験化合物のジメチルスルホキシド溶液1/1000量(v/v) を添加し、37℃、5%CO2 存在下で培養した。3日後の培養上清中のサイトカインをELISA 法により定量した。その際、Th1型サイトカインとしてインターフェロン−γ(IFN−γ)を、Th2型サイトカインとしてインターロイキン−4(IL-4)及びインターロイキン−5(IL-5)をそれぞれマウスIFN−γ ELISA kit(アマシャム)、マウスIL-4 ELISA kit(アマシャム)、マウスIL-5 ELISA Minikit(エンドジェン)で定量した。
【0085】
被験化合物による細胞毒性の有無は、前記3日間培養した脾細胞の3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩(MTS)の生物還元能を指標にした。MTSの生物還元能は、Cell titer 96 AQueous kit (プロメガ)を用いて測定した。表12に抑制率の結果を示す。
【0086】
【表12】
【0087】
表12に示されるように、本発明のアデニン誘導体はタイプ2ヘルパーT細胞側のサイトカインの産生を選択的に阻害する活性を有する。また、各濃度においてMTS活性値は化合物非添加の場合と変わらず、毒性はなかった。
【0088】
(実施例7) 好酸球浸潤抑制作用
8週齢の雄BALB/cマウスに100 μg のOVAを吸着させた1.6mg の水酸化アルミニウムゲル(200 μl )を背部皮下投与により免疫し、7日後同剤で追加免疫した。追加免疫7日後に200 μl の生理食塩水に溶解した10μg のOVAを腹腔内投与した。腹腔内投与2日後に生理食塩水で腹腔浸潤細胞を回収した。回収した全細胞数及び好酸球数は、それぞれチュルク液及びヒンケルマン液による染色にて算定した。被験化合物はOVA腹腔投与2時間前に経口投与した。
【0089】
【表13】
【0090】
表13に示されるように、本発明のアデニン誘導体は腹腔への浸潤好酸球の割合を低下させる活性を有する。
【0091】
(実施例8) 製剤例
常法により次の組成からなる錠剤を作成した。
実施例1の化合物 100mg
ラクトース 120mg
馬れいしょ澱粉 30mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 7 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
【0092】
【発明の効果】
本発明のアデニン誘導体は選択的かつ際だったインターフェロン分泌誘発性を有する。本発明のアデニン誘導体は、生体内でインターフェロンの分泌を促進するので、インターフェロンが有効な疾患、例えばB型及びC型肝炎、エイズなどのウイルス疾患、癌疾患などの治療剤として有用である。加えて、本発明のアデニン誘導体は、タイプ2ヘルパーT細胞が産生するTh2型サイトカイン、具体的にはインターロイキン−5及びインターロイキン−4の産生を選択的に抑制するので、これらTh2型サイトカインによるアレルギー性疾患の症状緩和目的あるいは予防目的の治療剤としても有用である。更に、本発明のアデニン誘導体は低分子化合物であるので、経口投与が可能であり、これら長期投与が必要な疾患の治療に適する薬剤になる。
Claims (11)
- 前記一般式(I)において、R 9 が2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−トリフルオロメチルベンジル基、3−トリフルオロメチルベンジル基、4−トリフルオロメチルベンジル基、2−ニトロベンジル基、3−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、2−アミノベンジル基、3−アミノベンジル基、4−アミノベンジル基、2,3−ジクロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジル基、3,5−ジクロロベンジル基、4−アミノ−3−クロロベンジル基、3−アミノ−4−クロロベンジル基、4−アミノ−3−ブロモベンジル基又は3−アミノ−4−ブロモベンジル基である請求項1記載の化合物。
- 前記一般式( VIII )において、Rbが水素原子である請求項3記載の化合物。
- 前記一般式(I)において、R9 が非置換のベンジル基である請求項1記載の化合物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有効成分とする医薬組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有効成分とするインターフェロン分泌誘発剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有効成分とする抗癌剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有効成分とするタイプ2ヘルパーT細胞選択的免疫応答抑制剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有効成分とする抗アレルギー剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を有効成分とする免疫応答調節剤。
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