JP4105990B2 - 大入熱溶接部hazの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法 - Google Patents

大入熱溶接部hazの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、造船、橋梁、建築、海洋構造物、ラインパイプ、建設機械などの溶接構造物として広く利用可能な、母材靭性と溶接部における熱影響部(以下、HAZという)の低温靭性の両方に優れた490MPa級の引張強度を有する溶接構造物用鋼およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築、橋梁、造船、海洋構造物など溶接構造物の脆性破壊防止の観点から、母材の靭性だけでなく、溶接部からの脆性破壊の発生抑制すなわち、使用される鋼板のHAZ靱性の向上に関する研究が数多く報告されてきた。一般に、母材靭性の確保のためには最終のフェライト粒径を小さくすることが肝要であり、必要靭性レベルにより普通圧延、制御圧延、さらには制御圧延+加速冷却が利用されてきた。その基本はAlNやTiNなどの高温で安定な窒化物をピニング粒子として用いて、まず母材の加熱オーステナイト(γ)粒径を微細化した上で、さらに圧延によりオーステナイト中にフェライトの核生成サイトを多数導入し、最終フェライト粒径を微細にすることにある。
【0003】
したがって、このような母材の製造方法では、当然ながら窒化物の種類により熱間圧延前の再加熱温度を変える必要が生じたり、加熱γ粒径の変動から最終のフェライト粒径にも変化が生じ、結果的に、母材靭性にバラツキが生じることがしばしば起こる。一方、溶接部HAZ靭性も加熱γ粒径が入熱量によって異なることから、要求靭性値が高いほどその値を小さくする必要があるにも関わらず、近年では加熱γ粒径が大きくなる条件、すなわち溶接施工能率の向上の観点から、大入熱溶接(およそ20kJ/mm以下)や超大入熱溶接(20〜150kJ/mm)が実施される場合が増加している。大入熱溶接と超大入熱溶接の鋼板への影響の差異は、高温での滞留時間の差異に起因しており、特に超大入熱溶接ではその時間が極めて長時間であるために、結晶粒径が著しく粗大化する領域が広く、靱性の低下が著しくなる点にある。
【0004】
以上のような母材靭性のバラツキと溶接部HAZ靭性の入熱依存性の問題点を回避する抜本的な方法として、母材組織および溶接部HAZ組織の加熱γ粒径を同一のピニング粒子によって制御し、両者の高温での粒成長を顕著に抑制することが有効と考えられる。これが実現できた場合は、母材靭性の安定性はもとより入熱が大きくなった場合にも溶接部HAZ靱性を十分に確保することができる。また、母材の加熱γ粒径が著しく微細になる場合には、従来の制御圧延や加速冷却を用いることなく普通圧延でも同程度のフェライト粒径と母材靭性を付与できる可能性が出てくることから、本技術の確立は工業的価値が高い。
【0005】
加熱γ粒径のピニング効果が最も期待できる粒子として、高温でも溶解しにくい酸化物や硫化物が考えられる。例えば、酸化物の導入方法としては鋼の溶製工程においてTiなどの脱酸元素を単独に添加する方法があるが、多くの場合に溶鋼保持中に酸化物の凝集合体がおこり粗大な酸化物の生成をもたらすことにより、かえって鋼の清浄度を損ない靱性を低下させてしまうことが知られている。そのため、複合脱酸法などさまざまな工夫がなされており、近年ではTi−Mg脱酸などの方法によって、清浄度を損なうことなく目的とする高温での母材の加熱γ粒径、さらには溶接入熱が大きい場合の加熱γ粒径をかなりの精度で制御できるようになっている。しかしながら、溶接部HAZの低温靭性については、そのような細粒化効果に加えて、低温においては切り欠き感受性や応力集中度が大きくなるために、いわゆる島状マルテンサイトやセメンタイト(Feの炭化物)のような硬化相の低減を図る必要があり、低C化ないしは炭素当量を下げることが不可欠となっている。このようなケースでは、粒界部に優先的に生成される軟質の粒界フェライトの生成挙動が低温靭性に大きく影響を及ぼすことになる。
【0006】
したがって、HAZ細粒鋼(例えばMg脱酸等により加熱γ粒径を200μm程度にした場合に相当するが、これはHAZ組織としては極めて細粒であるものの母材に比較するとまだまだ粗大粒に対応する)では、粒界面積が従来鋼に比べて増大しているために、焼入れ性が低下しており、粒界フェライトの生成頻度がより高くなっている。その結果、成分的にも炭素当量が低いことも重なって、フェライト変態が促進され、粗大な粒界フェライトに成り易い。それ故、粒界フェライトの生成抑制あるいは一度核生成した粒界フェライトの成長抑制能力の有無によって靭性HAZのレベルは大きく変化することになる。実用的には、造船分野などにおいて用いられる大入熱用鋼においてはそのような粒界フェライトの抑制技術が確立されておらず、−40℃などの過酷な条件において求められる溶接部HAZの低温靭性を工業的に安定して提供できる鋼板は現状では提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、酸化物(あるいは硫化物)を最大限に微細分散させた上で、さらに超大入熱溶接時の粒界フェライトの生成抑止技術を鋭意検討し、大入熱や超大入熱溶接においても溶接部HAZ組織を微細化させ、さらに粒界フェライトの靭性への影響を小さくする技術に着眼し、低温靭性を飛躍的に向上させた高強度溶接構造用鋼の製造技術の確立を課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 質量%で
C :0.03〜0.14%
Si:0.02〜0.50%
Mn:0.3〜2.0%
P :≦0.02%
S :0.0001〜0.010%
Al:0.0005〜0.05%
Ti:0.003〜0.050%
B :0.0001〜0.0025%
O :≦0.05%
を含み、更に、
Cu:0.05〜1.5%
Ni:0.05〜5.0%
Cr:0.02〜1.5%
Mo:0.02〜0.12%
Nb:0.0001〜0.20%
Ta:0.0001〜0.050%
のうち1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらに、質量%で、Mg:0.0012〜0.0050%、Ca:0.0008〜0.0050%を含有し、その合計量が0.0050%を越えないことを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼。
) 溶接部HAZ組織の加熱γ粒径(旧オーステナイト粒径)が溶接入熱によらず200μm以下であることを特徴とする(1)記載の大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼。
(1)記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延した後、自然冷却することを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
(1)記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、さらに未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、自然冷却することを特徴とする大入熱溶接熱部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
(1)記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、さらに未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却することを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
(1)記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、さらに未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却し、引き続いて300℃〜Ac点に加熱して焼戻し熱処理することを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
MgとCaは、従来から強脱酸剤、脱硫剤として鋼の清浄度を高めることで、HAZ靭性を向上させることが知られている。また、これら元素を含有する酸化物の分散を制御して、母材靭性および溶接部HAZ靱性の両方を向上させる技術として用いた例が特開2003−49237号公報に記載されている。
本発明者らは、同じようにMg、Caの強脱酸剤あるいは強力な硫化物生成能に着目し、これら元素の添加順序および量を制御することで、大入熱および超大入熱溶接部のHAZにおける低温靭性を向上させる方法として、加熱γ粒径の微細化だけでなく、脆性破壊の起点として作用する介在物の制御技術としても期待できる余地があり、この技術と従来の粗大な加熱γ粒においてIGF変態の核としての効力を発揮するB析出物(BNあるいはM23(C,B)6)を適切に組合せることにより、HAZ細粒鋼の低温靭性の劣化を誘引する粒界フェライトの伸長化を抑制することが十分に可能と推定し、大入熱溶接時おける溶接部HAZの低温靭性を顕著に向上させることができるものと考えた。
【0010】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明者らは、Tiを添加し弱脱酸した溶鋼中にMgあるいはCaを添加した場合の酸化物の状態を系統的に調べた。その結果、Si、Mnによる脱酸後に、Ti添加、Mg(Ca)添加の順に添加した場合に、あるいはTi添加とMg(Ca)添加を同時に行い、さらに平衡状態になった状態で再度Mg(Ca)を添加するというサイクルを行なうことで、Mg(あるいはCa)の酸化物あるいは硫化物が極めて微細に、かつ高密度に生成されることを見出した。このMg添加の効果はCaをMgの代わりに用いても同様に得られ、いずれの元素を添加した場合も添加元素を含む酸化物もしくは硫化物が生成され、その粒子径は0.005〜0.5μm、粒子数は鋼中に1mm2当たり10000個以上であり、強力なピニング力を有していることが確認され、溶接部HAZ組織の加熱γ粒径が溶接入熱によらず200μm以下となる。
【0011】
しかも、そのような細粒鋼においてBを添加した場合には、冷却中に生成される粒界フェライトが明らかにBフリー鋼に比較して微細化すること、また、入熱量が10kJ/mm程度では高温段階でBが粒界偏析するために粒界での焼入れ性が増大し、粒界フェライトの生成が顕著に抑制されること、さらに入熱量が20kJ/mm〜50kJ/mmの範囲では、通常は粒界に沿って長く伸びた、いわゆる伸長なフェライトになるべきところが、多角形状のポリゴナルフェライトに形態変化し、粒界フェライトの粒子数も格段に多くなる。この機構は、鋼中に存在するB析出物[BNやFe23(C,B)6]が溶接時の高温にさらされた状態では一旦溶解するが、その後の冷却段階において加熱γ粒界に優先的に析出し、これを核にして粒界フェライトが生成したことを示すもので、単一の粗大な粒界フェライトに比較して、耐脆性破壊特性が著しく向上することになる。
【0012】
本発明は上記の介在物の存在状態とB添加の効果により達成される母材靭性と溶接部HAZ靱性の両方に優れた鋼材に関するものであり、特に、HAZ靭性の場合には−40℃以下のような厳しい条件下においても十分な低温靭性を付与することができる極めて画期的な技術である。すなわち、本発明の特徴は、母材の加熱γ粒径(旧オーステナイト粒径)が再加熱温度によらず100μm以下であり、同時に溶接部HAZ組織の加熱γ粒径(旧オーステナイト粒径)も200μm以下の細粒であるのに加えて、低温靭性の劣化の主因である粒界フェライトの生成抑制と、たとえ生成した場合においてもその粒成長を極力抑制することに成功したものであり、これらのミクロ組織によって、母材靭性と溶接部HAZ靭性の両方に優れた高強度溶接構造用鋼を安価に提供できる点にある。
【0013】
さらに、本発明では、−20℃以下の極低温における溶接部HAZ靭性を確保するためには、MgとCaの添加量および最終的な鋼中の酸素量(以下O量と記述)とS量の制御が重要な鍵となることも併せて知見した。既に述べたように、MgとCaの添加については、最初に、Si、Mnを添加後、まず、Tiを添加し溶鋼中の酸素量を調整した後、少量のMg(Caでも同様、以下同じ)を徐々に添加するか、あるいは、Tiと少量のMgを同時に添加した後に、最終段階で再度Mgを添加する。このような添加順序において、さらにMg添加時のO量を制御する意味で、Alのような比較的脱酸力の強い元素による予備脱酸をいずれかのMg添加の前段階で行うことにより、最終のO量を正確に制御することが可能となる。特に重要なことは、より過酷な低温域での靭性確保に対しては、脆性破壊の起点として作用する数μm以上の酸化物をできうる限り小さくすることが肝要であり、そのためにはO量としてピニング効力を発揮するための最小量を確保した上で、数μm以上の粒子が増加しないようなレベルにすることが必要条件となる。このO量の上限値を種々検討した結果、0.005%であることが実験的に確認された。本発明では、酸化物と同じように脆性破壊の起点となり得る硫化物に対しても、S量の上限値として0.010%に規定することにより、低温靭性が飛躍的に向上することを見出した。
【0014】
以下、本発明の成分の限定理由について述べる。
C:Cは鋼における母材強度を向上させる基本的な元素として欠かせない元素であり、その有効な下限として0.03%以上の添加が必要であるが、0.14%を越える過剰の添加では、鋼材の溶接性や島状マルテンサイトの生成量を増加させることによりHAZ靱性の低下を招くので、その上限を0.14%とした。
Si:Siは製鋼上脱酸元素として必要な元素であり、鋼中に0.02%以上の添加が必要であるが、0.5%を越えるとHAZ靱性を低下させるのでそれを上限とする。
Mn:Mnは、母材の強度および靱性の確保に必要な元素であるが、2.0%を越えるとHAZ靱性を著しく阻害するが、逆に0.3%未満では、母材の強度確保が困難になるために、その範囲を0.3〜2.0%とする。
【0015】
P:Pは鋼の靱性に影響を与える元素であり、0.02%を越えて含有すると鋼材の母材だけでなくHAZの低温靱性を著しく阻害するのでその含有される上限を0.02%とした。
S:Sは0.010%を越えて過剰に添加されると粗大な硫化物の生成の原因となり、低温におけるHAZ靱性を著しく阻害し、一方で、その含有量が0.0001%未満になると、靭性向上に有効な粒内フェライトの核生成サイトとして作用するMnS等の硫化物生成量が大幅に少なくなるために、0.0001〜0.010%をその範囲とする。
【0016】
Al:Alは通常脱酸剤として添加されるが、本発明においては、Mg(あるいはCa)添加前の予備脱酸元素として用いることにより、MgやCaの最適な脱酸条件を整えるのに有効な働きをする。しかしながら、Alが0.05%越えて添加されるとMg、Caの添加効果を阻害するために、これを上限とする。また、Mg、Caの酸化物を安定に生成するためには0.0005%は必要であり、これを下限とした。
Ti:Tiは、脱酸剤として、さらには窒化物形成元素として結晶粒の細粒化に効果を発揮する元素であるが、多量の添加は炭化物の形成による靱性の著しい低下をもたらすために、その上限を0.050%にする必要があるが、所定の効果を得るためには0.003%以上の添加が必要であり、その範囲を0.003〜0.050%とする。
【0017】
B:Bは一般に、固溶すると焼入れ性を増加させるが、またBNとして固溶Nを低下させ、溶接部HAZ靱性を顕著に向上させる元素である。特に、本発明では、粒界フェライトの生成抑制あるいは粒界フェライトの生成を伴う大入熱/超大入熱溶接時には極力その成長を抑えるために利用しており、本発明の重要な元素の一つである。B量としては、0.0001%以上の添加でその効果を初めて利用できるようになり、過剰の添加は、靱性の低下を招くために、その上限を0.0025%とする。
【0018】
OはMgやCaと溶鋼中にて反応し、微細酸化物の生成に不可欠な元素である。最終的な鋼中O量としては、溶接部HAZの低温靭性を向上させるためには清浄度の観点からなるべく少なくする方が好ましいが、これはピニング粒子の体積分率を減少させることになるため、両者のバランスの基に制御すべきものである。本発明では、より過酷な温度条件、例えば−40℃以下のような場合には、O量が0.005%を越えると急激に靭性が劣化しはじめる。したがって、O量の上限値を0.005%とする。
【0019】
Mg:Mgは本発明の主たる合金元素であり、主に脱酸剤あるいは硫化物生成元素として添加されるが、0.0050%を越えて添加されると、粗大な酸化物あるいは硫化物が生成し易くなり、母材およびHAZ靱性の低下をもたらす。しかしながら、0.0012%未満の添加では、ピニング粒子として必要な酸化物の生成が十分に期待できなくなるため、その添加範囲を0.0012〜0.0050%と限定する。
Ca:Caは硫化物を生成することにより伸長MnSの生成を抑制し、鋼材の板厚方向の特性、特に耐ラメラティアー性を改善する。さらに、CaはMgと同様な効果を有していることから、本発明の重要な元素である。Caは0.0008%未満では、十分な効果が得られないので下限値を0.0008%にした。逆に、Caが0.0050%を超えるとCaの粗大酸化物個数が増加し、超微細な酸化物あるいは硫化物の個数が低下するため、その上限を0.0050%とする。以上のMgとCaを両方添加する場合には、いずれも強力な脱酸元素であることから、粗大な介在物を生成する危険が大きくなるためその合計量は単独添加の上限値と同レベルの0.0050%とする。
【0020】
なお、本発明においては、強度および靱性を改善する元素として、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、Taの中で、1種または2種以上の元素を添加することができる。
Cu:Cuは、靱性を低下させずに強度の上昇に有効な元素であるが、0.05%未満では効果がなく、1.5%を越えると鋼片加熱時や溶接時に割れを生じやすくする。従って、その含有量を0.05〜1.5%以下とする。
Ni:Niは、靱性および強度の改善に有効な元素であり、その効果を得るためには0.05%以上の添加が必要であるが、5.0%以上の添加では溶接性が低下するために、その上限を5.0%とする。
Cr:Crは析出強化による鋼の強度を向上させるために、0.02%以上の添加が有効であるが、多量に添加すると、焼入れ性を上昇させ、ベイナイト組織を生じさせ、靱性を低下させる。従って、その上限を1.5%とする。
【0021】
Mo:Moは、焼入れ性を向上させると同時に、炭窒化物を形成し強度を改善する元素であり、その効果を得るためには、0.02%以上の添加が必要になるが、1.50%を越えた多量の添加は必要以上の強化とともに、靱性の著しい低下をもたらすために、その範囲を0.02〜0.50%以下とする。
Nb:Nbは、炭化物、窒化物を形成し強度の向上に効果がある元素であるが、0.0001%以下の添加ではその効果がなく、0.20%を越える添加では、靱性の低下を招くために、その範囲を0.0001〜0.20%以下とする。
Ta:TaもNbと同様に炭化物、窒化物を形成し強度の向上に効果がある元素であるが、0.0001%以下の添加ではその効果がなく、0.050%を越える添加では、逆に靱性の低下を招くために、その範囲を0.0001〜0.050%以下とする。
【0022】
上記の成分を含有する鋼は、製鋼工程で溶製後、連続鋳造などを経て再加熱、圧延、冷却処理を施される。この場合、以下の点を限定した。
熱間圧延・制御圧延ともに、鋼塊をオーステナイト化するためにAc3点以上の温度に加熱する必要がある。しかし、1350℃を超えて加熱すると、熱源コストの増大が生じることから、加熱温度は1350℃以下とした。
次いで、熱間圧延・制御圧延ともに、再結晶温度域で圧延することによりオーステナイト粒径を小さくすることが必要である。また、制御圧延を用いて、強度上昇と靭性向上を図る場合には、さらに未再結晶温度域で圧延することによりオーステナイト粒内に変形帯を導入し、フェライト変態核を導入することが有効である。未再結晶域での累積圧下率が40%未満では変形帯が十分に形成されないので、未再結晶域で累積圧下率の下限値を40%とした。しかし、累積圧下率が90%を超えると、母材シャルピー試験の吸収エネルギーの低下が著しくなるために、上限を90%にした。
【0023】
自然放冷よりさらに強度を上昇させるためには加速冷却が必要である。しかしながら、冷却速度が1℃/sec未満では、十分な強度を得ることができない。逆に、冷却速度が60℃/sec超ではベイナイト主体組織が生成するため母材の靭性が低下する。したがって、冷却速度を1〜60℃/secに限定した。本発明においては、母材の強度を得るために変態が終了するまで加速冷却を継続する必要がある。このため、冷却停止温度の上限を600℃とした。600℃超の停止温度では変態が終了しないために、十分な強度が得られない。通常、加速冷却は水を冷却媒体として用いる。それ故、実際上の冷却停止温度の下限は0℃となるので、下限値を0℃とした。
【0024】
加速冷却後の焼戻し熱処理は回復による母材組織の靭性向上を目的としたものであるから、加熱温度は逆変態が生じない温度域であるAc1点以下でなければならない。回復は転位の消滅・合体により格子欠陥密度を減少させるものであり、これを実現するためには300℃以上に加熱することが必要である。このため、加熱温度の下限を300℃とした。上限は変態点以下であるため、Ac1を上限とした。
【0025】
【実施例】
表1の化学成分を有する鋼塊を表2に示す製造条件により、板厚12mm〜100mmの厚鋼板とした後、溶接入熱が10kJ/mm、20kJ/mmおよび50kJ/mmの大入熱溶接あるいは超大入熱溶接を施し、旧γ粒界における粒界フェライトの生成状況をミクロ組織にて調査するとともに、溶接部HAZ靭性を−40℃におけるシャルピー吸収エネルギーによって評価した。なお、母材靭性については、加熱温度を1150℃と1250℃の2水準の温度にて製造しているが、全て良好な母材靭性であった。発明鋼の延性・脆性遷移温度(vTrs)は−40℃以下であり、試験温度−40〜−80℃の範囲にて高いシャルピー吸収エネルギー値(100J以上)を示した。
【0026】
次に、本発明の重要な特性である溶接部HAZの低温靭性に関しての実施例について説明する。まず、鋼1〜は本発明の例を示している。表1、表2から明らかなように、本発明の鋼板は化学成分、製造条件の各要件を満足しており、各入熱における加熱γ粒径はいずれも200μm以下となっていた。さらに、粒界フェライトの生成状況については10kJ/mmの場合にはほとんど生成されておらず、他方、20kJ/mmと50kJ/mmの入熱においてはいずれも粒界フェライトが生成されているにも関わらず、その粒径は最大でも30μmであり、かつ伸長の粒界フェライトは皆無であった。
HAZ靭性はvE−40,10kとしては200J程度の高靭性を示し、また、vE−40,20k、vE−40,50kも両方とも100Jを越える値となっており、発明鋼が良好な低温靭性を有していることがわかる。
【0027】
それに対し、鋼10〜22は本発明方法から逸脱した比較例である。すなわち、鋼10〜14は基本成分あるいは選択元素の内いずれかの元素が、発明の要件を越えて添加されている例であり、粒界フェライトの生成状況には無関係に靭性が劣位となっている。これは靱性劣化要因となる元素が過剰に添加された事による。また、鋼15〜18ではAlとTiがいずれも下限値ないしは上限値を逸脱した場合に相当している。これらの例では、B量や脱酸元素であるMgとCaの要件が満足されているものの予備脱酸元素として用いられるAl量とTi量の逸脱も低温靭性に大きく影響を及ぼすことを示しており、これらの条件下ではすべて低靭性となっている。次に、鋼19〜鋼21はいずれも重要元素が範囲外の場合であり、鋼19はBが高いことに加えて焼入れ性の高いMoも高いことから靭性レベルは低い。鋼20と鋼21はMg量が0.005%を越えている場合とMg+Caの合計量が同じく0.005%を越えている例である。ちなみに、鋼20ではO量も0.0050%以上となっている。これらの場合のミクロ組織は一見すると発明鋼と同等の組織、すなわち微細な加熱γ粒径かつ粒界フェライトが著しく微細化されており、高靭性を示しても不思議ではないが、シャルピー試験片の破面観察を行うと脆性破壊の起点として粗大な介在物が多数認められ、そのために靭性が低下したものと理解できる。鋼22はB、Mg、Caの3元素がいずれも添加されていない場合であり、他に比べて著しく粒界フェライトが粗大化しており、HAZ靭性が最も悪い。
【0028】
【表1】
Figure 0004105990
【0029】
【表2】
Figure 0004105990
【0030】
【発明の効果】
本発明の化学成分および製造方法に限定し、MgあるいはCaを適切に添加することで、母材の加熱γ粒径を微細化することができ、さらにBを有効に利用することと粗大な酸化物や硫化物の生成を抑制することにより、大入熱溶接に関わらずHAZの加熱γ粒径と粒界フェライトの生成抑制と成長抑制を図ることができ、これらの複合効果により母材靭性確保に加えて、大入熱溶接部HAZの低温靱性を飛躍的に向上させた高強度溶接構造用鋼の製造が可能となる。特に、低温靭性を必要とする造船や橋梁、建築、海洋構造物、ラインパイプ、さらには建設機械などの溶接構造物の脆性破壊に対する安全性が大幅に向上し、産業上の効果は著しく大きい。

Claims (6)

  1. 質量%で
    C :0.03〜0.14%
    Si:0.02〜0.50%
    Mn:0.3〜2.0%
    P :≦0.02%
    S :0.0001〜0.010%
    Al:0.0005〜0.05%
    Ti:0.003〜0.050%
    B :0.0001〜0.0025%
    O :≦0.05%
    を含み、更に、
    Cu:0.05〜1.5%
    Ni:0.05〜5.0%
    Cr:0.02〜1.5%
    Mo:0.02〜0.12%
    Nb:0.0001〜0.20%
    Ta:0.0001〜0.050%
    のうち1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらに、質量%で、Mg:0.0012〜0.0050%、Ca:0.0008〜0.0050%を含有し、その合計量が0.0050%を越えないことを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼。
  2. 溶接部HAZ組織の加熱γ粒径(旧オーステナイト粒径)が溶接入熱によらず200μm以下であることを特徴とする請求項1記載の大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼。
  3. 請求項1記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延した後、自然冷却することを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
  4. 請求項1記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、さらに未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、自然冷却することを特徴とする大入熱溶接熱部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
  5. 請求項1記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、さらに未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却することを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
  6. 請求項1記載の鋼と同一成分を有する鋼塊をAc点以上、1350℃以下に加熱後、再結晶温度域で熱間圧延し、さらに未再結晶温度域において累積圧下率で40〜90%の熱間圧延をした後、1〜60℃/secの冷却速度で0〜600℃まで冷却し、引き続いて300℃〜Ac点に加熱して焼戻し熱処理することを特徴とする大入熱溶接部HAZの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼の製造方法。
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