JP4061858B2 - インクジェット記録装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置及び方法に係り、詳細には、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に関して、所定解像度よりも高い解像度で画像を記録するための重み付けされたマスクパターンを画素領域に適用して、該画素領域毎に記録される記録画素を決定するインクジェット記録装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、画像を記録する際に主走査方向への記録ヘッドの移動毎に記録媒体を主走査方向と直交する副走査方向に移動させ、主走査方向への記録ヘッドの移動を複数回行う。記録ヘッドを主走査方向に移動させるときには、該記録ヘッドを移動させながら、記録ヘッドのノズルから記録媒体に対してインクを吐出することにより、画像を記録媒体に記録する。インクは熱又は圧力により、記録媒体に対して吐出される。インクジェット記録装置は、ノンインパクトであるため騒音がなく、処理が高速であり、特別の定着処理を必要とせずに記録を行える、など多くの利点を有している。
【0003】
しかしながら、インクジェット記録装置により記録された画像は、装置の各部の性能により画質が低下する場合がある。例えば、記録媒体の搬送精度が低い場合、記録ヘッドの吐出動作にばらつきがある場合などには、画像に濃度ムラやスジを生じることがある。
【0004】
上記のような、装置各部の性能による画質の低下を防ぐためにマルチパス記録方式が提案されている。マルチパス記録方式では、主走査方向への記録ヘッドの移動毎に、記録媒体を副走査方向に記録ヘッドによる記録幅よりも小さく移動させ、主走査方向への記録ヘッドの移動を複数回行うことにより、記録ヘッドの異なる部分で記録媒体の記録対象領域に複数回重ねて記録を行うことで、記録媒体の記録対象領域に対する記録を完成させる。画像にマスクパターンを適用し、記録ヘッドの主走査方向への移動毎に記録する画素を間引くことにより、各移動毎に記録対象領域の同一の場所へインク吐出を行うノズルを異ならせる。このように、記録媒体の副走査方向への記録ヘッドの移動幅を記録ヘッドの記録幅よりも小さくすることにより、記録ヘッドの異なるノズルで記録媒体の記録対象領域に重ねて記録が行われるため、記録ヘッドのノズル間の吐出性能のばらつきが記録媒体の特定の領域に無秩序に集中することによって顕在化する濃度ムラやスジの発生が低減される。
【0005】
しかしながら、マルチパス記録方式において、一定の周期で変化するマスクパターンを使用した場合、記録ヘッドの同一のノズルが記録媒体の記録対象領域の同一の場所で使用されることになるという問題点がある。これにより、各ノズル性能のばらつきが分散されず、濃度ムラやスジが顕在化する。また、マスクパターンが固定であるため、画像の画素値のパターンがマスクパターンに同調した場合には、マルチパス記録の効果がなくなる。
【0006】
上記問題点を解決するために、特開平7−52390号公報は、所定のサイズの領域内でマスクパターンの分布がランダムであるマスクパターンを使用する方法を提案している。ROM内に予め所定のビット数のランダムな値を記憶し、何番目のパスであるか(1つの記録対象領域における主走査の回数)に応じて、ROM内の値を読み出してRAM上にマスクパターンを生成する。このようなランダムなマスクパターンを使用すると、主走査方向及び副走査方向に対して、各ノズルの吐出周期が不規則となるので、各ノズル性能のばらつきが記録媒体に記録された画像に与える影響が分散され、記録画像の濃度ムラやスジの顕在化を抑えることができる。また、マスクパターンがランダムであるため、マスクパターンが適用される画像の画素値のパターンがマスクパターンに同調する可能性が極めて低くなる。これに関連して、特開平10−235852号公報では、ランダムマスクを記録の解像度に合わせて拡大する方法を提案している。
【0007】
しかしながら、所定解像度の画素領域に対して少なくとも1回の副走査を介在させて複数回主走査することにより、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に関して、所定解像度よりも高い解像度で画像を記録するためのマスクパターンを設定する場合、記録媒体へ記録される画像の記録画素の各々は記録ヘッドによる所定の解像度よりも高解像度に分割される。このように高解像度で記録する場合に、ランダムなマスクパターンをハーフトーンの画像に適用すると、マスクパターンに規則性がないために、記録される記録画素が無秩序に集中することにより、濃度ムラやスジの顕在化が抑制されず、逆に、促進されてしまうことになる場合があるという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に関して、所定解像度よりも高い解像度で画像を記録するための重み付けされたマスクパターンを画素領域に適用して、該画素領域毎に記録される記録画素を決定するインクジェット記録装置及び方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドを主走査方向に移動させる第1の移動手段と、前記記録媒体を前記主走査方向と交差する副走査方向に移動させる第2の移動手段と、前記第1の移動手段及び前記第2の移動手段を制御して、所定解像度の画像に含まれる画素領域に対して少なくとも1回の副走査を介在させて複数回主走査することにより、該主走査方向及び該副走査方向の少なくとも一方に関して、複数の前記画素領域を含む画像を前記所定解像度よりも高い解像度で記録するための複数のマスクパターンを設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された前記マスクパターンを前記画素領域に適用して、該画素領域毎に記録される記録画素を決定する決定手段と、を備え、前記複数のマスクパターンは、前記画素領域に対応する画像データの画素値に応じて定まり、前記複数のマスクパターンの各々の使用率が予め設定されており、前記画素領域が前記画像内のオブジェクトの1つの輪郭に隣接しており、該画素領域において記録されない記録画素が存在する場合には、該画素領域のマスクパターンは該輪郭側に記録される記録画素が偏在するように設定され、前記画素領域は、横幅及び縦幅の一方が少なくとも1記録画素の幅で、かつ、他方が少なくとも2記録画素の幅を有し、前記マスクパターンは、前記画素領域の何れの記録画素を記録するかを決定するためのパターンである、インクジェット記録装置を提供する。
【0010】
前記マスクパターンのサイズは、前記画素領域の記録を行うために必要とされる前記主走査回数に応じて定められていてもよい。
【0011】
前記マスクパターンを複数個記憶した記憶手段をさらに有し、前記設定手段は、予め前記記憶手段に記憶されたマスクパターンから特定のマスクパターンを設定してもよい。また、前記マスクパターンは、該マスクパターンが適用される画素領域に対応する画像データの画素値に基いて決定される複数のマスクパターンの中から乱数により設定されてもよい。
【0012】
請求項6に記載の発明では、インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、所定解像度の画像に含まれる画素領域に対して少なくとも1回の副走査方向への走査を介在させて、該副走査方向と交差する主走査方向へ複数回走査することにより、該主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に関して、複数の前記画素領域を含む画像を前記所定解像度よりも高い解像度で記録するための複数のマスクパターンを設定し、設定された前記マスクパターンを前記画素領域に適用して、該画素領域毎に記録される記録画素を決定する、インクジェット記録方法を提供する。前記複数のマスクパターンは、前記画素領域に対応する画像データの画素値に応じて定まり、前記複数のマスクパターンの使用率が予め設定されており、前記画素領域が前記画像内のオブジェクトの1つの輪郭に隣接しており、該画素領域において記録されない記録画素が存在する場合には、該画素領域のマスクパターンは該輪郭側に記録される記録画素が偏在するように設定され、前記画素領域は、横幅及び縦幅の一方が少なくとも1記録画素の幅で、かつ、他方が少なくとも2記録画素の幅を有し、前記マスクパターンは、前記画素領域の何れの記録画素を記録するかを決定するためのパターンである。
【0013】
請求項1及び請求項6に記載の発明では、所定解像度の画素領域に対して少なくとも1回の副走査方向への走査を介在させて、該副走査方向と交差する主走査方向へ複数回走査することにより、該主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に関して、前記所定解像度よりも高い解像度で画像を記録するための重み付けされたマスクパターンを設定する。これにより、記録される記録画素と記録されない記録画素が無秩序に集中することなく、濃度ムラやスジの顕在化を抑えることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明におけるインクジェット記録を行う記録システム100を図1に示す。記録システム100は、インクジェット記録装置であるプリンタ110と、インクジェット記録を行う画像データの入出力及び中間処理を行うコンピュータ170とを有する。
【0015】
プリンタ110は、プリント制御を行うプリンタ制御部120を有している。プリンタ制御部120は、設定手段及び決定手段として機能するCPU130、記録ヘッド駆動部140、モータ駆動部142、各種スイッチセンサの状態信号を入出力するスイッチ・センサ・インタフェース144、記憶手段であるROM146及びRAM148、及びコンピュータ170との通信を行う通信インタフェース150を有している。
【0016】
記録ヘッド駆動部140には各々シアン、マゼンタ、イエローのカラー・インクを吐出する副走査方向に配置された1列の複数のノズルを有する記録ヘッドであるCMYヘッド160、ブラックのインクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドであるBKヘッド162が接続されている。BKヘッド162の複数のノズルは、CMYヘッド160のノズルと同様に副走査方向に1列に配置されている。BKモータ駆動部142には記録媒体である用紙を移動するための紙送りモータ164と、記録ヘッドを移動するためのキャリッジスキャンモータ166とが接続されている。記録ヘッド駆動部140、モータ駆動部142、及びキャリッジスキャンモータ166は、本発明の第1の移動手段を構成し、モータ駆動部142及び紙送りモータ164は、本発明の第2の移動手段を構成する。
【0017】
コンピュータ170は、CPU及びメモリを有する処理装置180、ハード・ディスク・ドライブ、フロッピィ・ディスク・ドライブ、CD−ROMなどの補助記憶装置182、及び、プリンタ110及びプリンタ以外の周辺機器との通信を行う周辺機器インタフェース190を有している。コンピュータ170には、画像を表示するCRTディスプレイ192、ユーザよりの指示を入力するキーボード194及びマウス196などの周辺機器が、周辺機器インタフェース190を介して接続されている。
【0018】
図2は、ROM146に記憶されているインクジェット記録の処理ルーチンのプログラムを示すフロー・チャートである。インクジェット記録の処理はステップ210で開始され、ステップ215で、コンピュータ170のメモリに記憶されている画像データが周辺機器インタフェース190、プリンタ110の通信インタフェース150、及び、CPU130を介してRAM148に取り込まれる。画像データは、例えば、RGB各8bit(256値)/画素の画素値で記憶されている。
【0019】
ステップ220で、RAM148に取り込まれた画像データはRGB値から、CMYK値へ変換される。各画素は、例えば、CMYK各8bit(256値)/画素へ変換される。ステップ225で、CMYK各8bitで表されている画素値が、CMYK各N(Nは、N<8である任意の自然数)bit(各C(CはC<2Nである任意の自然数)値)/画素に減色される。
【0020】
ステップ230で、0〜R−1のR個の値を有する乱数が図11に示す乱数発生装置を用いて生成される。乱数はBH×(H/4)個生成され、RAM148に記憶される。ここで、BHは任意の適正な数でよく、HはBKヘッド162のノズルの数である。(H/4)はノズル数Hをパス数4で除したものである。
【0021】
詳細には、BH×(H/4)個の乱数は、BH×(H/4)個の要素中において、BH×(H/4)個の左上の要素の位置を示すアドレスを(0、0)とする水平方向の相対アドレスX(Xは0〜BH−1の整数)と垂直方向の相対アドレスY(Yは0〜H/4−1の整数)とにより生成される。
【0022】
演算器1110に相対アドレスXが入力されると、演算器1110は、まず、所定の関数を用いて、値i(iは0〜BH−1の整数)を生成する。その後、演算器1110は、乱数テーブルR1を参照し、値iに対応する値RA(RAは0〜R−1の整数)を出力する。乱数テーブルR1には、予め、値iに0〜R−1までの値がランダムに対応付けられて格納されている。
【0023】
同様に、演算器1120にアドレスYが入力されると、演算器1120は、まず、所定の関数を用いて、値j(jは0〜(H/4−1)の整数)を生成する。その後、演算器1120は、乱数テーブルR2を参照し、値jに対応する値RB(RBは0〜R−1の整数)を出力する。乱数テーブルR2には、予め、値jに0〜R−1までの値がランダムに対応付けられて格納されている。
【0024】
演算器1110の出力RA及び演算器1120の出力RBは、排他的論理和演算器1130に入力され、排他的論理和演算器1130でRA及びRBの排他的論理和RC(RCは0〜R−1の整数)が演算される。排他的論理和演算器1130から、相対アドレス(X,Y)に対応する乱数値としてRCが出力される。
【0025】
上記と同様の処理が相対アドレス(0、0)〜(BH−1,H/4−1)に対して繰り返し行なわれ、各々の相対アドレス(X,Y)に対応するBH×(4/H)個の乱数が求められる。
【0026】
例えば、X=128、Y=32、即ち、アドレス(128、32)、R=64、即ち、乱数値の範囲が0〜63、BH=256、H=256、即ち、ノズル数が256個であり、演算器1110で行なわれる演算がi=(7Y+X)%256,演算器1120で行なわれる演算がj=Yである場合の乱数の発生を以下に示す。ここで、A%Bとは、AをBで除した際の剰余を求める演算である。
【0027】
演算器1110で、X=128、Y=32からi=(7×32+128)%256=96が求められ、乱数テーブルR1の96に対応する値が参照される。96に対して42(10)=101010(2)が対応していた場合、演算器1110からRAとして101010(2)が出力される。
【0028】
演算器1120で、Y=32からj=32が求められ、乱数テーブルR2の32に対応する値が参照される。32に対して18(10)=010010(2)が対応していた場合、演算器1120からRBとして010010(2)が出力される。排他的論理和演算器1130で、RAとRBの排他的論理和が演算され、111000(2)=56(10)が求められる。
【0029】
上記によれば、BH×(H/4)×log2Rbitを有する乱数テーブルを1つ使用する代わりに、BH×(log2R+log2BH)bitを有する乱数テーブルと(H/4)×(log2R+log2(H/4))bitを有する乱数テーブルとを使用するため、乱数テーブルを格納するためのメモリを節約することができる。例えば、BH=256、H=256、R=64であれば,256×64×6=98304bit=12kBの乱数テーブルを使用する代わりに、128×(6+7)=1664bit=208Bの乱数テーブルと64×(6+6)=768bit=96Bの乱数テーブルとを使用すればよく、約11.7KBのメモリを節約することができる。
【0030】
ステップ235〜265の処理は、1回の主走査方向へのBKヘッド162の移動で記録されるP×H個の画素毎に行われる。Pは画像の横幅(主走査方向の長さ)を表す画素の数であり、HはBKヘッド162のノズルの数である。
【0031】
P×H個の画素がRAM148のバッファとしての領域に取り込まれ、ステップ235で、各々の画素値が判定される。ステップ240で、処理の対象となっている画素が輪郭に隣接しているか否かが判定され、輪郭に隣接していないと判定された場合には、処理はステップ245に進む。ここで、輪郭とは画像内のオブジェクトのエッジを示す。
【0032】
図3(a)に示される複数の画素を有する画像をマルチパス記録で記録する際には、図3(b)の各画素領域450に対応する画素値により、図3(c)に示されるように画素領域内450において記録される記録画素の数が決定される。画素領域450がD×D個の記録画素を有し、各画素がC個の値の何れかの値Cv(Cv=0、1、2、…、C−1)で示されている場合、値Cvに対応する個数の画素領域内の記録画素が記録されることになる。何れの画素を記録するかを決定するためには、マスクパターンが使用される。マスクパターンは、D×D個の配列要素を有する行列で示され、予め記憶手段であるROM146又はRAM148に記憶されている。
【0033】
マスクパターンの例が、図5に示されている。これはD=2、C=3、すなわち、1つの画素領域内に2×2個の記録画素を有し、画素領域に対応する画素の画素値が0〜2の3値である場合のマスクパターンの例であり、マスクパターンが適用される画素領域450の要素1で示される位置の記録画素が記録され、要素0で示される位置の記録画素は記録されない。すなわち、この例では、画素値と画素領域450内の記録される記録画素の数が1対1に対応しており、画素値が0の場合には1が含まれない全ての記録画素が記録されない1種類のマスクパターン、画素値が1の場合には1が1個含まれる4種類のマスクパターン、画素値が2の場合には1が2個含まれる6種類のマスクパターンが示されている。
【0034】
ステップ245で、各画素領域に適用されるマスクパターンは、乱数により、予め、記憶手段であるROM146又はRAM148に記憶されているパターンテーブルに基いて決定される。ステップ230で求められたBH×H/4個の乱数が、P×H個の画素に繰り返し対応付けられる。詳細には、図12(b)に示されるように、P×H個の画素値を記憶するバッファのBH×(H/4)画素の大きさを有する(P/BH)×4個の領域に繰り返し対応付けられる。パターンテーブルには、各画素に対応付けられた乱数値と画素領域に対応する画素の画素値とにより決定されるマスクパターンが記憶されている。
【0035】
ここで、本実施の形態では、全ての可能なマスクパターンを使用せず、使用するマスクパターンが限定される。即ち、画素領域に対応する画像データの画素値に応じて定まる複数のマスクパターンの中の特定のマスクパターンのみ使用するように設定されている。
【0036】
例えば、第1のマスクパターンの1の位置と、第2のマスクパターンの1の位置とが重複せず、かつ、双方の1の配置が対象である2つのマスクパターンを使用するように設定される。1の位置は重複してもよいが、重複する1の数は少ない方がよい。各マスクパターンにおいて、1はマスクパターン内の上側、下側、左側、右側の何れかに集中せず、分散して配置されていることが望ましい。また、使用されるマスクパターンの数は2つに限定されない。このようにマスクパターンを設定することにより、各画素領域において記録される記録画素が分散され、マルチパス記録において記録される記録画素が重複して記録されることが少なくなるため、粒状性が抑えられ、濃度ムラやスジが顕在化しない記録が行なわれる。
【0037】
D=2、C=3、R=64(0〜63)の場合、即ち、1つの画素領域内に2×2個の記録画素を有し、画素領域に対応する画素の画素値が0〜2の3値であり、乱数の値が0〜63の64個である場合のパターンテーブルの例を図6に示す。画素値が0の場合、可能なマスクパターンは1個であるため乱数値にかかわらず、同じマスクパターンが定められている。画素値が1の場合は使用可能な4個のマスクパターンが全て使用され、乱数が0〜15の場合、乱数が16〜31の場合、乱数が32〜47の場合、乱数が48〜63の場合の各々に応じてマスクパターンが定められている。画素値が2の場合は使用可能な6個のマスクパターンの中で左上と右下の記録画素のみが記録されるマスクパターンと、右上と左下の記録画素のみが記録されるマスクパターンとの2個のみが選択され、乱数が0〜31の場合、乱数が32〜63の場合に各々対応してマスクパターンが定められている。画素値が2の場合のマスクパターンは、記録されない記録画素を結んだ直線に対して、記録される記録画素が対称の位置に位置している。
【0038】
図6のパターンテーブルにしたがってマスクパターンを使用した場合のマスクパターンの使用率が、図7に示されている。画素値が0の場合は1個のマスクパターンのみが使用されるため、マスクパターンの使用率は100%である(図7(A))。画素値が1の場合は4個のマスクパターンが使用されるため、各マスクパターンが25%ずつ使用される(図7(B))。画素値が2の場合には、6個の使用可能なマスクパターンの中で2個のマスクパターンが選択的に使用されるため、選択された2個のマスクパターンの使用率は各々50%となり、選択されない4個のマスクパターンの使用率は各々0%となる(図7(C))。
【0039】
図7に示されるマスクパターンの使用率は一例であり、例えば、図7(C)に示される6個のマスクパターンの1つMP1に25%、別の1つMP2に75%の重み付けがされた使用率が設定されてもよい。この場合、図6に示されるパターンテーブルでは、例えば、乱数0〜15の場合にMP1が、乱数16〜63の場合にはMP2が使用されるように設定される。
【0040】
また、図7(C)に示される6個のマスクパターンの1つMP1に25%、別の1つMP2に25%、さらに別の1つMP3に50%の重み付けがされた使用率が設定されてもよい。この場合、図6に示されるパターンテーブルでは、例えば、乱数0〜15の場合にMP1、乱数16〜31の場合にMP2、乱数32〜63の場合にはMP3が使用されるように設定される。
【0041】
ステップ240で、処理の対象となっている画素が輪郭に隣接しているか否かが判定され、輪郭に隣接していると判定された場合には、処理はステップ250に進む。ステップ250では、記録される記録画素が輪郭側に偏在するように、輪郭と画素との位置関係に基いて設定されている輪郭用パターンテーブルにより、処理の対象となっている画素の値と、画素に対応付けられた乱数値とにより、マスクパターンが設定される。輪郭用パターンテーブル及びマスクパターンは、予め、記憶手段であるROM146又はRAM148に記憶されている。輪郭に隣接している画素に対応する画素領域における記録される記録画素を輪郭側に偏在させることにより、輪郭をシャープに記録することができる。
【0042】
図10に、D=2、C=3、R=64の場合、即ち、1つの画素領域内に2×2個の記録画素を有し、画素領域に対応する画素の値が0〜2の3値であり、乱数の値が0〜63の64個である場合の、ステップ250で使用されるパターンテーブルの例を示す。図10(A)〜(D)は、処理の対象となっている画素(画素領域)が輪郭に隣接するか否かを判定するための4×4画素のテンプレートの例を示している。Xは1又は2の画素値である輪郭の位置を示す。処理の対象となっている画素を含む4×4画素の領域が、これらのテンプレートの何れかに合致した場合には、当該画素は輪郭に隣接していると判定される。
【0043】
図10(E)〜(H)は、処理の対象となっている画素を含む4×4画素の領域が、各々図10(A)〜(D)のテンプレートに合致した場合に使用されるパターンテーブルである。画素値が1の場合には、乱数が0〜31、32〜63の場合に、適用可能な4個のマスクパターンの中から2個のマスクパターンが選択的に定められ、画素値が2の場合には、適用可能な6個のマスクパターンの中から1個のマスクパターンが選択的に定められる。即ち、画素領域のマスクパターンは記録される記録画素が輪郭側に偏在するように、即ち、輪郭側に位置する記録画素が1を含むように設定される。
【0044】
例えば、図10(A)の4×4画素のテンプレートは、4×4画素の領域の上方に輪郭があることを判定するために使用される。図10(E)に示される図10(A)のテンプレートに合致した場合に使用されるパターンテーブルでは、画素値が1の場合には、2×2個の構成要素を有するマスクパターンの左上、及び右上に各々要素1を有する2個のマスクパターン、画素値が2の場合には、上1行が1である1個のマスクパターンが設定されている。
【0045】
図10(B)の4×4画素のテンプレートは、4×4画素の領域の下方に輪郭があることを判定するために使用される。図10(F)に示される図10(B)のテンプレートに合致した場合に使用されるパターンテーブルでは、画素値が1の場合には、2×2個の構成要素を有するマスクパターンの左下、及び右下に各々要素1を有する2個のマスクパターン、画素値が2の場合には、下1行が1である1個のマスクパターンが設定されている。
【0046】
図10(C)の4×4画素のテンプレートは、4×4画素の領域の左方に輪郭があることを判定するために使用される。図10(G)に示される図10(C)のテンプレートに合致した場合に使用されるパターンテーブルでは、画素値が1の場合には、2×2個の構成要素を有するマスクパターンの左上、及び左下に各々要素1を有する2個のマスクパターン、画素値が2の場合には、左1列が1である1個のマスクパターンが設定されている。
【0047】
図10(D)の4×4画素のテンプレートは、4×4画素の領域の右方に輪郭があることを判定するために使用される。図10(H)に示される図10(D)のテンプレートに合致した場合に使用されるパターンテーブルでは、画素値が1の場合には、2×2個の構成要素を有するマスクパターンの右上、及び右下に各々要素1を有する2個のマスクパターン、画素値が2の場合には、右1列が1である1個のマスクパターンが設定されている。
【0048】
ステップ255で、1回の主走査方向へのBKヘッド162の移動で記録されるP×H個の画素に対するマスクパターンが全て設定されたか否かが判定され、設定されていないと判定された場合には、処理はステップ235に戻り、ステップ235〜255が繰り返される。ステップ255で、P×H個の画素に対するマスクパターンが全て設定されたことが判定された場合には、処理はステップ260に進み、設定されたP×H個のマスクパターンが各々P×H個の画素に対応する画素領域に適用され、各々の画素領域で記録される記録画素が決定される。
【0049】
ステップ265で、BKヘッド162がキャリッジスキャンモータ166により主走査方向へ移動させられ、記録媒体にP×H個の画素に対応する画素領域450の記録画素451〜454の中の1つが、主走査方向への走査回数(パス)に応じて、記録される。
【0050】
図3(a)に示されるように、BKヘッド162の主走査方向及び副走査方向に対する記録密度が各々Sdpiである場合、画像の各画素は主走査方向及び副走査方向に1/Sインチ毎に記録されるのが一般的である。本発明のマルチパス記録では、記録ヘッドの主走査方向及び副走査方向の移動毎の開始位置を調整することにより、1/(D・S)インチ(D≧2である任意の整数)毎に各画素領域にD×D個の記録画素を記録する。これにより、プリンタ110による記録の記録密度は主走査方向及び副走査方向について各々D・Sdpiとなる。
【0051】
図3(b)に、D=2である場合、即ち、画素領域毎に2×2=4個の記録画素が主走査方向及び副走査方向について各々1/(2・S)インチ毎に記録密度2・Sdpiで記録される場合が示されている。D=2である場合の各記録画素は、図4に示されるように記録される。画像の画素に対応する画素領域450は、各々記録画素451乃至454を有している。BKヘッド162は副走査方向420に沿って、1/Sインチ間隔で一列に配置されたH個のノズルを有している。
【0052】
主走査方向410へのBKヘッド162の移動の第1の開始点460を(0、0)とする。BKヘッド162は、主走査方向410に沿って画素領域450各々の記録画素451を主走査方向410及び副走査方向420に1/Sインチの間隔で記録媒体に記録する。主走査方向410へのBKヘッド162の移動が終了すると、BKヘッド162及び記録媒体が各々移動させられ、BKヘッド162は第1の開始点と相対的に第2の開始点462(1/(2・S)、H/(4・S)+1/(2・S))に移動する。第2の開始点462は、第1の開始点460から主走査方向410に画素の記録間隔1/Sインチの1/2、即ち、記録画素の記録間隔1/(2・S)インチ、副走査方向420に記録ヘッドの長さH/Sインチの1/4及び記録画素の記録間隔1/(2・S)インチ移動した位置である。
【0053】
BKヘッド162は、主走査方向410に沿って画素領域450各々の記録画素452を主走査方向410及び副走査方向420に1/Sインチの間隔で記録媒体に記録する。主走査方向410へのBKヘッド162の移動が終了すると、BKヘッド162は第3の開始点464(1/(2・S)、(2・H)/(4・S))に移動する。第3の開始点464は、第1の開始点460から主走査方向410に画素の記録間隔1/Sインチの1/2、即ち、記録画素の記録間隔1/(2・S)インチ、副走査方向に記録ヘッドの長さH/Sインチの2/4移動した位置である。
【0054】
BKヘッド162は、主走査方向410に沿って画素領域450各々の記録画素453を主走査方向410及び副走査方向420に1/Sインチの間隔で記録媒体に記録する。主走査方向410への記録が終了すると、BKヘッド162は第4の開始点466(0、(3・H)/(4・S)+1/(2・S))に移動する。第4の開始点466は、第1の開始点460から主走査方向410に0インチ、副走査方向420に記録ヘッドの長さH/Sインチの3/4及び記録画素の記録間隔1/(2・S)インチ移動した位置である。
【0055】
BKヘッド162は、主走査方向410に沿って画素領域450各々の記録画素454を主走査方向410及び副走査方向420に1/Sインチの間隔で記録媒体に記録する。主走査方向へのBKヘッド162の移動が終了すると、BKヘッド162は、次の記録の第1の開始点460(0、H/S)に移動する。このように、マルチパス記録では、D=2の場合には、2×2、即ち、4回の主走査方向へのBKヘッド162の移動による記録を1セットとして、記録ヘッドの長さH/Sインチの副走査方向に対する幅を有する画像の部分領域の記録を完成する。
【0056】
なお、副走査方向へのBKヘッド162の移動は、BKヘッド162の絶対的な移動によって行なわれるのではなく、紙送りモータ164による記録媒体の移動で相対的な移動として行なわれる。
【0057】
P×H個の画素のマルチパス記録による1パス分の記録が終了すると、処理はステップ270に進む。ステップ270で、画像全ての処理が終了していないと判定された場合には、処理はステップ235に戻り、ステップ235〜265の処理が繰り返される。ステップ270で、画像全ての処理が終了したと判定された場合には、処理はステップ275に進み、終了する。
【0058】
本発明の4パス記録の詳細を図12に示す。詳細には、図12(a)に示される1パス、2パス、3パス及び4パスが、図4に示される第1の開始点460からの主走査、第2の開始点462からの主走査、第3の開始点464からの主走査、及び第4の開始点466からの主走査に各々対応する。
【0059】
1パス〜4パスで記録される部分画像領域の画素データは、図12(b)(i)〜(iV)に各々示されているように各々バッファに取り込まれる。即ち、1パスでは画素位置(0、0)から水平方向にP画素、垂直方向にH画素の画像データ、2パスでは画素位置(0、H/4)から水平方向にP画素、垂直方向にH画素の画像データ、3パスでは(0、2H/4)から水平方向にP画素、垂直方向にH画素の画像データ、4パスでは(0、3H/4)から水平方向にP画素、垂直方向にH画素の画像データがバッファに取り込まれる。
【0060】
各々のパスでは垂直方向にH/4画素だけ移動した画像データがP×H画素分記録され、垂直方向に3H/4画素分の領域は次のパスで重複して記録される。即ち、記録媒体上において、垂直方向に3H・S/4インチ分の領域は連続するパスで重複して記録される。
【0061】
図12(a)に示される1つの画素PDに注目すると、PDは図12(b)(i)〜(iV)に示されるように、パス毎にバッファにバッファ内の画素位置において垂直方向にH/4画素移動した位置に取り込まれる。画素PDはバッファ内では、1〜4パスで画素位置において垂直方向にH/4画素移動した位置にあるが、記録媒体に記録される際には1〜4パスでBKヘッド162がH・S/4インチずつ移動して記録されるため、図12(a)に示されるようにPDは記録媒体の同一箇所に記録される。
【0062】
1〜4パスで各々記録される記録画素の決定方法が図12(c)及び(d)に示される。P×H個の画素の画素値を記憶するバッファの(P/BH)×4個のBH×(H/4)画素の領域には各々ステップ230で求められた乱数値が設定されている。BH×(H/4)画素の領域内における相対アドレス(X,Y)の位置にある画素の画素値と、相対アドレス(X,Y)に対応付けられている乱数値とにより、パラメータテーブルが参照され、パラメータテーブルに設定されているマスクパターンを用いて相対アドレス(X,Y)に位置する画素に対応する画素領域の記録される記録画素と記録されない記録画素とが決定される。
【0063】
記録画素が記録されると決定された場合には、記録画素451は1パスで、記録画素452は2パスで、記録画素453は3パスで、記録画素454は4パスで記録がなされる。記録画素の記録がされないと決定された場合には、BKヘッド162が主走査方向に移動するのみで記録はされない。
【0064】
このように、4パス記録において、BH×(H/4)個の領域毎に同一の乱数値を設定することにより、1〜4パスにおける同一の画素に対する乱数値を同一にすることができる。同一の画素に対する乱数値を同一にすることで、一つの画素は1〜4パスの4パスで、適正に記録される。
【0065】
例えば、1パスで、図12(b)に示される相対アドレス(X,Y)で示される画素の画素値が2、相対アドレス(X,Y)に対応付けられている乱数値が4であり、図12(c)のパラメータテーブルが適用される場合には、パラメータテーブルから右列が1で左列が0である2×2個の要素を有するマスクパターンが選択される。このマスクパターンが画素領域450に適用されると、記録画素451は記録されない。即ち、1パスでは記録画素の記録は行なわれない。
【0066】
2パスで、1パスと同様に、乱数値が4であれば、同様のパラメータテーブルが適用されるため、同様のマスクパターンが使用され、記録画素452は記録される。即ち、2パスでは記録画素の記録が行なわれる。3パスで、1パス、2パスと同様に、乱数値が4であれば、同様のパラメータテーブルが適用されるため、同様のマスクパターンが使用され、記録画素453は記録される。即ち、3パスでは記録画素の記録が行なわれる。4パスで、1〜3パスと同様に、乱数値が4であれば、同様のパラメータテーブルが適用されるため、同様のマスクパターンが使用され、記録画素454は記録されない。即ち、4パスでは記録画素の記録が行なわれない。
【0067】
このように、4パス記録において、BH×(H/4)個の領域毎に同一の乱数値を設定することにより、1〜4パスにおける同一の画素に対する乱数値を同一にすることで、一つの画素は1〜4パスの4パスで、適正に記録される。即ち、画素値が2の場合には画素領域の2個の記録画素を適正に記録することができる。
【0068】
BH×(H/4)個の領域毎に同一の乱数値が設定されていないとすると、パス毎に乱数値を用いて選択されるマスクパターンが異なる可能性がある。例えば、画素値が2である場合に、同一画素に対する乱数値がパス毎に異なり、1パス及び4パスのマスクパターンとして左列に1、右列に0を有するマスクパターン、2パス及び3パスのマスクパターンとして右列に1、左列に0を有するマスクパターンが設定されるとする。この場合、1パスで記録画素451、2パスで記録画素452、3パスで記録画素453、4パスで記録画素454が記録される。 即ち、画素値が2であり、各々のパスにおいて、マスクパターンにより設定される記録される記録画素は2個であるにも関らず、4パスの記録により画素領域の全ての記録画素が記録される。
【0069】
本発明では、パス毎に垂直方向にH/4画素ずつ移動させた画像データをバッファに取り込み、H・S/4インチずつ移動させた記録媒体にバッファ内の画像データを記録する。同一画素のデータは記録媒体の同一の箇所に4回に分けて記録画素として記録される。BH×(H/4)画素毎に同様の乱数値を設定し、この乱数値と画素値により決定されるマスクパターンで、記録される記録画素と記録されない記録画素とが決定されるために、画素値と記録される画素値の数との間に矛盾は生じない。4パスの記録終了後は、全ての画像データの記録が終了するまで同様の4パス記録処理が繰り返される。
【0070】
上記処理の結果の一例を図8に示す。図8は、D=2、C=3、すなわち、1つの画素領域内に2×2個の記録画素を有し、画素領域に対応する画素の画素値が0〜2の3値である場合であり、画像データの全ての画素の値が2である場合に、図7に示されるパターンテーブルを用いてマスクパターンを決定した場合の画像の記録結果である。比較のために、図9に、画像データの全ての画素の値が2である場合に、従来のランダムなマスクパターンを適用した場合の画像の記録結果を示す。図8は、図9に比べ、粒状性が抑えられ、濃度ムラやスジが顕在化していない。
【0071】
このように、所定解像度の画素領域に対して少なくとも1回の副走査を介在させて複数回主走査することにより、該主走査方向及び該副走査方向の少なくとも一方に関して、前記所定解像度よりも高い解像度で画像を記録するために、画素領域に適用するマスクパターンを設定する。また、重み付けされたマスクパターンを設定することにより、記録される記録画素が無秩序に集中することなく、濃度ムラやスジの顕在化を抑えることができる。
【0072】
また、画素が輪郭に隣接している場合には、画素領域のマスクパターンは輪郭側に記録される記録画素が偏在するように設定される。これにより、画像の輪郭特徴が記録される画像に残留し、画像をシャープに記録することができる。
【0073】
ステップ225で、行われる減色にはディザ法、誤差拡散法等を用いることが可能であるが、本発明はこれに限定されない。ステップ240で、処理対象となっている画素が輪郭付近であるか否かの判定を行わず、全ての画素について、ステップ245で、通常のパターンテーブルを用いてマスクパターンの設定が行われてもよい。
【0074】
ステップ265における記録で、説明を容易にするために、記録ヘッドとしてBKヘッド162のみについて説明したが、他のカラー・インクを記録するヘッド、例えば、CMYヘッド160の作用も同様である。
【0075】
記憶手段として、ROM146及びRAM148を使用したが、本発明はこれに限定されない。また、ステップ215〜260の処理はプリンタ110で行なわれるものとしたが、例えば、コンピュータ170でステップ215〜260の処理を行い、ステップ265の記録のみをプリンタ110で行うようにしてもよい。これに限らず、図1に記載された記録システム100の構成は一例であり、上記作用が可能な任意の構成のシステムを使用してもよい。
【0076】
画素領域450内の記録画素の数をD×D個としたが、主走査方向、副走査方向に対して同様である必要はなく、横幅及び縦幅の一方が少なくとも1記録画素の幅で、かつ、他方が少なくとも2記録画素の幅を有していればよい。横幅の記録画素数をm(m≧1である整数)記録画素、縦幅の記録画素をn(n≧1である整数)記録画素とすると、画素領域内の記録画素はm×n個となり、マルチパス記録はm×n回の主走査方向への記録ヘッドの移動を1セットとして完成される。
【0077】
図5に示されたマスクパターンは一例であり、マスクパターンのサイズは、前記画素領域の記録を行うために必要とされる前記主走査回数に応じて定められている。即ち、画素に対応する画素領域の横幅がm記録画素、縦幅がn記録画素である場合には、マスクパターンはm×n個の配列を有する行列として示される。また、パターンテーブルにおける乱数値とマスクパターンとの対応、及び、各画素の値に対して選択的に適用されるマスクパターンの個数及び種類、即ち、1の配置も任意であってよい。
【0078】
ステップ245及び250では、予め、マスクパターンが記憶手段であるROM146又はRAM148に記憶されており、図11に示される乱数発生装置により生成された乱数を用いて、パターンテーブルにしたがい、マスクパターンを選択したが、本発明はこれに限定されない。マスクパターンは、コンピュータ170を介して外部から与えられてもよいし、例えば、画素領域のサイズと画素値に応じて、適用可能なマスクパターンを演算処理により生成してもよい。
【0079】
図11に示される乱数発生装置は、乱数発生関数としてソフトウェアで実現されてもよい。乱数発生装置の構成は上記に限定されない。例えば、演算器1110及び1120で使用される関数は適正な大きさの値を求めることができるものであれば任意のものでよいし、排他的論理和演算器1130の代わりに他の論理演算器が使用されてもよい。また、予め、画像に適用する乱数パターンを生成して記憶手段に記憶しておいてもよい。
【0080】
D=2、C=3の場合、図6のパターンテーブルにおいて選択的に使用されるマスクパターン及びその使用率、即ち、画素値が2であるとき、左上及び右下、と、右上及び左下とに1を有する行列を各々50%使用することが好適であるが、本発明はこれに限定されない。
【0081】
ステップ245及び250では、予め、パターンテーブルが記憶手段であるROM146又はRAM148に記憶されているものとしたが、本発明はこれに限定されない。パターンテーブルは、コンピュータ170を介して外部から与えられてもよいし、画像の特性によって、適切なマスクパターン及びその使用率の決定がなされてもよい。また、ニューロ・ネットワークなどによる学習アルゴリズムにより、適切なマスクパターン及びその使用率の決定がなされ、パターンテーブルに設定されてもよい。
【0082】
ステップ240の図10(A)〜(D)に示された4×4画素のテンプレートを用いて画素が輪郭に隣接するか否かを判定する方法は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、テンプレートとして対角より上又は下全てに要素Xを有する行列が斜めの輪郭を判定するために使用されてもよい。処理対象である画素の輪郭判定を行うテンプレートのサイズは、4×4画素である必要はなく、各々少なくとも2画素であればよく、横幅と縦幅が同様で有る必要はない。また、画像に二値化、差分等の処理を行い、予めエッジ成分の座標値を抽出しておくことにより、処理対象となっている画素が輪郭に隣接する画素であるか否か判定を行うようにしてもよい。
【0083】
処理対象となる画素が含まれる4×4画素の領域が、図10(A)〜(D)に示される条件に合致する場合、図10(E)〜(H)に示されるパターンテーブルに示される選択的に適用されるマスクパターン、即ち、画素値に対応する数の1が輪郭側の配列要素に配置されている行列、がパターンテーブルに示される使用率で使用されることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0084】
本発明で使用する記録ヘッドのノズルの数Hは最適には256であり、画素領域の記録密度Sdpiは600dpi、記録画素の記録密度D・Sdpiは1、200dpiであるが、本発明はこれに限定されず、各々任意の数のノズル及び記録密度が使用されることができる。
【0085】
【発明の効果】
請求項1及び請求項8に記載の発明では、所定解像度の画素領域に対して少なくとも1回の副走査を介在させて複数回主走査することにより、該主走査方向及び該副走査方向の少なくとも一方に関して、前記所定解像度よりも高い解像度で画像を記録するための重み付けされたマスクパターンを設定する。これにより、記録される記録画素と記録されない記録画素が集中することなく、濃度ムラやスジの顕在化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 記録システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態の概略を示すフローチャートである。
【図3】 画素領域と記録画素との対応を示す図である。
【図4】 マルチパス記録を示す図である。
【図5】 適用可能なマスクパターンの一例である。
【図6】 パターンテーブルの一例である。
【図7】 マスクパターンの使用率の一例である。
【図8】 本発明の処理結果の一例である。
【図9】 従来のランダムなマスクパターンによる処理結果の一例である。
【図10】 輪郭判定条件及び輪郭に隣接する画素に使用されるパターンテーブルの一例である。
【図11】 乱数発生装置の一例である。
【図12】 マルチパス記録を説明する図である。
【符号の説明】
110 プリンタ
130 CPU
140 記録ヘッド駆動部
142 モータ駆動部
146 ROM
148 RAM
160 CMYヘッド
162 BKヘッド
164 紙送りモータ
166 キャリッジスキャンモータ
Claims (10)
- インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドを主走査方向に移動させる第1の移動手段と、
前記記録媒体を前記主走査方向と交差する副走査方向に移動させる第2の移動手段と、
前記第1の移動手段及び前記第2の移動手段を制御して、所定解像度の画像に含まれる画素領域に対して少なくとも1回の副走査を介在させて複数回主走査することにより、該主走査方向及び該副走査方向の少なくとも一方に関して、複数の前記画素領域を含む画像を前記所定解像度よりも高い解像度で記録するための複数のマスクパターンを設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された前記マスクパターンを前記画素領域に適用して、該画素領域毎に記録される記録画素を決定する決定手段と、
を備え、
前記複数のマスクパターンは、前記画素領域に対応する画像データの画素値に応じて定まり、
前記複数のマスクパターンの各々の使用率が予め設定されており、
前記画素領域が前記画像内のオブジェクトの1つの輪郭に隣接しており、該画素領域において記録されない記録画素が存在する場合には、該画素領域のマスクパターンは該輪郭側に記録される記録画素が偏在するように設定され、
前記画素領域は、横幅及び縦幅の一方が少なくとも1記録画素の幅で、かつ、他方が少なくとも2記録画素の幅を有し、
前記マスクパターンは、前記画素領域の何れの記録画素を記録するかを決定するためのパターンである、
インクジェット記録装置。 - 前記マスクパターンのサイズは、前記画素領域の記録を行うために必要とされる前記主走査回数に応じて定められている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記複数のマスクパターンは、前記使用率が0%に設定されるマスクパターンを含む請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記マスクパターンを複数個記憶した記憶手段をさらに有し、
前記設定手段は、予め前記記憶手段に記憶されたマスクパターンから特定のマスクパターンを設定する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記マスクパターンは、該マスクパターンが適用される画素領域に対応する画像データの画素値に基いて決定される複数のマスクパターンの中から乱数により設定される請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
所定解像度の画像に含まれる画素領域に対して少なくとも1回の副走査方向への走査を介在させて、該副走査方向と交差する主走査方向へ複数回走査することにより、該主走査方向及び副走査方向の少なくとも一方に関して、複数の前記画素領域を含む画像を前記所定解像度よりも高い解像度で記録するための複数のマスクパターンを設定し、
設定された前記マスクパターンを前記画素領域に適用して、該画素領域毎に記録される記録画素を決定する、
インクジェット記録方法であって、
前記複数のマスクパターンは、前記画素領域に対応する画像データの画素値に応じて定まり、
前記複数のマスクパターンの使用率が予め設定されており、
前記画素領域が前記画像内のオブジェクトの1つの輪郭に隣接しており、該画素領域において記録されない記録画素が存在する場合には、該画素領域のマスクパターンは該輪郭側に記録される記録画素が偏在するように設定され、
前記画素領域は、横幅及び縦幅の一方が少なくとも1記録画素の幅で、かつ、他方が少なくとも2記録画素の幅を有し、
前記マスクパターンは、前記画素領域の何れの記録画素を記録するかを決定するためのパターンである、
インクジェット記録方法。 - 前記マスクパターンのサイズは、前記画素領域の記録を行うために必要とされる前記主走査回数に応じて定められている、請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- 前記複数のマスクパターンは、前記使用率が0%に設定されるマスクパターンを含む請求項6又は請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 予め記憶手段に記憶されたマスクパターンから特定のマスクパターンを設定する請求項6乃至8の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記マスクパターンは、該マスクパターンが適用される画素領域に対応する画像データの画素値に基いて決定される複数のマスクパターンの中から乱数により設定される請求項6乃至9の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
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