JP4043094B2 - 細胞分離器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の細胞の混合溶液から必要な細胞を分離、回収する器具に関する。得られた細胞は造血幹細胞移植療法等、細胞を用いて行う各種疾病の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野で用いることが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
白血球(顆粒球、単球、リンパ球)と赤血球を含んだ血液等の体液からフィルターに白血球を捕捉させ、白血球を回収する技術に関して特開昭54−119012号公報に開示されている。
造血幹細胞移植において、臍帯血幹細胞は、ドナー侵襲皆無の造血幹細胞移植ソースとして注目を集めており、欧米諸国を中心にさかんに臨床応用が試みられている。臍帯血幹細胞は、他の造血幹細胞移植、即ち、骨髄移植或いは末梢血幹細胞移植のようにドナーから採取されてすぐ患者に移植されることはまれであるので、採取時から使用時まで保存しておくことが必要である(特に非血縁者間移植の場合)。ところで、臍帯血は凍結保存に際し、解凍後の破壊赤血球による副作用防止及び凍結保存時の体積を小さくする目的で、有核細胞を分離(赤血球を除去)すべきとされており、現在はほとんどが分離保存が通常となっている(南江堂、「末梢血幹細胞移植」、173ページ)。特公平8−69号公報には、臍帯血をフィコールハイパキュー(比重液による遠心分離)法で分離すること(以下フィコール法と略す)及びそのプロトコールの詳細が開示されている。しかしながら、フィコール法は実験室レベルの、非常に煩雑で長時間を要する操作であるという問題がある。また、WO96/17514公報にはヒドロキシエチルスターチを用いて臍帯血中の赤血球を凝集沈降分離し、有核細胞濃厚液を得るためのバッグシステム、方法及び得られた細胞液が開示されている。本法は煩雑操作という点では従来のフィコール法と比べ若干の改善となっているが、遠心分離が2回必要であるため、やはり長時間作業となる。
ところで、フィコール法や赤血球凝集除去に代わる造血幹細胞分離方法も散見されるようになった。特開平8−104643号公報では赤血球は通過するフィルターに造血幹細胞を捕捉させた後、最初の通液方向とは逆方向の液流を惹起させて回収する方法が開示されている。しかしながら、回収に適した容器に関する記述は一切無い。
特開平6−197962号公報には輸血副作用を防止する白血球除去フィルターにおいて、血液の入口と血液の出口がともに容器の上端に位置しているものが開示されている。しかしながら、同公報の技術課題はフィルターと血液バッグをともに遠心分離装置にかける際、遠心カップへの収容という煩雑な操作を、いかに簡便に行うか、更には遠心分離時のフィルター及び血液バッグの損傷を防ぐことを目的に、フィルターの容器形状に着目して検討したものであり、フィルターにいったん細胞を捕捉させ、その細胞を回収する際の回収率をいかに高めるかが技術課題である本願とは全く異なる技術思想である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便且つ短時間の操作で、必要細胞と不要細胞の混合物から必要細胞を高率に回収する細胞分離器、更に詳しくは、細胞混合溶液から、必要細胞をいったんフィルター等の細胞捕捉手段に捕捉させ、その捕捉された細胞を回収する細胞分離方法において、高率に必要細胞を回収できる細胞分離器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる問題点を解決すべく、捕捉細胞の高率回収という観点から、検討を重ねた結果、驚くべきことに細胞含有液導入口と細胞を回収するために導入する液体の導入口の距離が細胞回収率に影響を及ぼすということを見出し、前記距離が細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点と該接触点からの細胞捕捉材中の最も遠い点を結んだ直線の長さの80%以下であるときに、非常に高い細胞回収率が得られることを確認し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を、該回収必要細胞を実質的に捕捉し、該除去対象細胞は実質的に通過する細胞捕捉手段に導入し、除去対象細胞含有液を該細胞捕捉手段から導出させた後、該細胞捕捉手段に液体を導入して該細胞捕捉手段に捕捉されている前記回収必要細胞を回収する細胞分離方法に用いる細胞分離器であって、少なくとも2つの液体導入口/導出口を有する扁平容器に、回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を導入する導入口と除去対象細胞を導出する導出口を隔てるように細胞捕捉材が充填されており、さらに除去対象細胞を導出する導出口は、細胞を回収するために導入する液体の導入口を共用しており、且つ前記細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、前記細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bを結んだ直線の長さaが、前記AとAから細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbの80%以下であり、細胞含有液の導入口と細胞を回収するために導入する液体の導入口とが異なることを特徴とする細胞分離器である。
【0005】
以下本発明を詳細に説明する。本発明で言う回収必要細胞とは分離回収して何らかの用途に用いる細胞を言い、除去対象細胞とはこの用途には不要であるか、又は何らかの病因細胞である等の理由で、回収必要細胞に混入することが問題となる為積極的に除去することが必要である細胞のことを言う。
これらを含む細胞含有液とは末梢血、骨髄、臍帯血(臍帯血管から採取されたものだけでなく、胎盤血管から採取されたものも含む)、リンパ液及びこれらに遠心分離等何らかの処理を施したもの、或いは各種臓器や組織から抽出した後、何らかの液体に再浮遊させたものがあげられる。
本発明における少なくとも回収必要細胞は捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過する細胞捕捉手段とは、例えば、回収必要細胞は捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過する材料を充填した液体流入口と液体流出口を有する容器のことを言う。回収必要細胞は捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過する材料は、回収必要細胞を選択的に捕捉できる限り通常用いられている細胞捕捉材であればいかなる材料も使用できるが、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。また、これらの捕捉材はこのままでも用いることができるが、細胞の選択的通過或いは捕捉を行う等の必要に応じ、表面改質を施したものでもよい。例えば、血小板通過性を高めるにはWO87/05812公報で提案されている非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基を有するポリマーのコートによる方法等があげられる。細胞の選択的捕捉を行う場合、アミノ酸、ペプチド、糖類、糖タンパク(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)といった、特定の細胞に親和性のあるリガンドを、例えば特開平2−261833号公報で提案されているハロアセトアミド法により固定する方法等があげられる。また、捕捉材の形状としては粒状、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状構造体、平板等があげられるが、体積あたりの表面積が大きいという点で粒状、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状構造体が好ましく、更に取扱性の点から、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状構造体といった多孔質構造体が好ましく、中でも不織布、スポンジ状構造体が細胞液の流れ性、製造性の点からより好ましい。不織布の場合、抗CD34モノクローナル抗体等、特定の細胞に特異的に結合するいわゆるバイオリガンド類を表面に固定しない場合、通常、繊維径は1.0μm以上30μm以下であり、好ましくは1.0μm以上20μm以下であり、更により好ましくは1.5μm以上10μm以下である。1.0μm未満では回収必要細胞が強固に捕捉されてしまい回収困難となる可能性があり、好ましくない。30μmを超えると、回収必要細胞は繊維に捕捉されず素通りする可能性が高くなる。いずれの場合でも回収率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。また、スポンジ状構造体の場合、孔径は通常2.0μm以上25μm以下であり、好ましくは3.0μm以上20μm以下であり、更により好ましくは4.0μm以上15μm以下である。2.0μm未満では流れ性が著しく劣り、通液自体が困難になるおそれがあり、また25μmを超えると回収必要細胞の捕捉率が低下し、回収率の低下を招くので好ましくない。回収必要細胞を捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過する材料を充填する容器の材質としては、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等の合成高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0006】
本発明で言う「回収必要細胞は実質的に捕捉し」とは細胞含有液中の回収必要細胞を60%以上捕捉することを言い、また「除去対象細胞は実質的に通過する」とは細胞含有液中の除去対象細胞が60%以上通過することを言う。本発明において、前記細胞捕捉手段に導入して捕捉されている回収必要細胞を回収する液体は生理的溶液であればいかなるものも使用可能であるが、幾つか例示すると、生理食塩水、D−PBSやHBSSなどの緩衝液、RPMI1640などの培地があげられる。これらの生理的溶液に、細胞保護、栄養補給、凍結保存時の凍害保護、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)等の目的で必要に応じ、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、ジメチルスルホキシド、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、グルコース、サッカロース、トレハロース等を添加しても良い。
本発明による細胞分離器は少なくとも2つの液体導入口/導出口を有するものであるが、この液体導入口/導出口は回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を、細胞分離器に導入したり、除去対象細胞を細胞分離器から導出したり、細胞分離器に捕捉されている細胞を回収するために液体を導入するために用いられるものであり、夫々共用する場合もある。この導入口/導出口の構造は、扁平容器に穴があいているだけのものでも、ノズル型のものでもよい。穴があいているだけのものは構造が単純であり、製造し易いという利点もあるが、チューブ類を接続しにくく、また抜け易いという欠点があるため、ノズル型のものが好ましい。また、本発明で言う扁平な容器とは縦又は横のうちの短い方が、厚みの2倍以上、好ましくは4倍以上の容器を言う。本発明で言う前記細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aとは、細胞含有液が液体導入口を通して細胞分離器に導入された時に細胞捕捉材に最初に接触する点を言う。また、本発明で言う前記細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bとは、回収液が液体導入口を通して細胞分離器に導入された時に細胞捕捉材に最初に接触する点を言う。本発明では前記AとBを結んだ直線の長さaが、前記AとAから細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbの80%以下であることを特徴とするが、好ましくはaはbの50%以下であり、更により好ましくはaはbの20%以下である。
【0007】
本発明による細胞分離器は回収必要細胞が有核細胞である場合に好適に用いられる。有核細胞とは細胞内に核を有する細胞のことを言い、例えば白血球、顆粒球、好中球、好塩基球、好酸球、骨髄球、赤芽球、リンパ球、Tリンパ球、ヘルパ−Tリンパ球、細胞損害性Tリンパ球、サプレッサーTリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、NKT細胞、単球、マクロファージ、破骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、造血幹細胞、繊維芽細胞、軟骨芽細胞等があげられる。また、本発明で言う造血幹細胞含有単核球分画とは、造血幹細胞及び/又は造血前駆細胞(以下、単に造血幹細胞と略す)を含有する単核球集団のことである。単核球とは細胞内に核が1個存在する細胞の総称であり、具体的にはリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)、単球、造血幹細胞、骨髄球、芽球などがあげられる。この単核球集団中での造血幹細胞含有率は通常、0.01%〜99%であり、原料細胞集団の種類、細胞処理の有無でその含有率は異なる。例えば、正常人末梢血中では通常0.01%前後であり、臍帯血では0.05〜1.0%であり、骨髄では0.5〜2%である。また、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を投与された末梢血では個人差が著しく、0.1%から数%である。モノクローナル抗体による細胞分離、特にフローサイトメトリー法による分離を行った場合、その含有率は99%にも達する場合がある。いずれにせよ、造血幹細胞含有単核球分画という語は造血幹細胞の含有率が規定されるものではない。本発明の回収必要細胞と除去対象細胞の組み合わせは、例えば回収必要細胞が有核細胞であり、除去対象細胞が核を持たない細胞、即ち、赤血球や血小板である場合、また回収必要細胞と除去対象細胞が異なる表面マーカーを持つ場合などがあげられるが、これらに限定されるものではない。回収必要細胞が有核細胞で、除去対象細胞が核を持たない細胞の組み合わせとその用途の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
1.回収必要細胞:白血球、除去対象細胞:赤血球、用途:インターフェロン製造
2.回収必要細胞:リンパ球、除去対象細胞:赤血球及び血小板、用途:養子免疫療法
3.回収必要細胞:造血幹細胞含有単核球分画、除去対象細胞:赤血球及び血小板、用途:造血幹細胞移植
また、回収必要細胞が有核細胞で、除去対象細胞が回収必要細胞とは異なる表面マーカーを有する有核細胞の組み合わせとその用途の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
1.回収必要細胞:CD34陽性有核細胞、除去対象細胞:CD34陰性有核細胞、用途:CD34陽性細胞移植
2.回収必要細胞:CD8陽性Tリンパ球、除去対象細胞:CD8陰性Tリンパ球、用途:養子免疫療法
また、回収必要細胞が有核細胞で、除去対象細胞が核を持たない細胞及び回収必要細胞とは異なる表面マーカーを有する有核細胞の組み合わせとその用途の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
1.回収必要細胞:CD34陽性有核細胞、除去対象細胞:赤血球、血小板、CD34陰性有核細胞、用途:CD34陽性細胞移植
2.回収必要細胞:CD8陽性Tリンパ球、除去対象細胞:赤血球、血小板、CD8陰性Tリンパ球、用途:養子免疫療法
本発明における細胞分離器で、細胞の高率回収が達成できる機序について、本発明者等は以下のように推察している。細胞分離器に細胞含有液を導入した時に、細胞捕捉材に捕捉される細胞の数は、細胞含有液を導入した導入口の近傍、即ち、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触した点の周囲が多く、その点からの距離が遠くなるほど、少なくなると考えられる。一方、液体を導入して、捕捉されている細胞を回収する際に重要である回収液の線速は液体の導入口の近傍、即ち、回収液が最初に細胞捕捉材に接触する点が最も早く、その点からの距離が遠くなるほど遅くなると考えられる。そこで、細胞含有液を導入した導入口の近傍で回収液の導入を行うことで、細胞の高率回収が達成されるのではないかと考えている。
【0008】
【実施例】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
本実施例は細胞含有液が臍帯血、回収必要細胞が造血幹細胞含有単核球分画、除去対象細胞が赤血球及び血小板の場合の細胞分離例である。
▲1▼細胞分離器
容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、Aから細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbが42mmであるポリカーボネート製扁平容器に、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bを結んだ直線の長さaがそれぞれ14mm(bの約33%)、17mm(同40%)、32mm(同76%)となるように液体導入口/導出口を作成した(図1〜図3)。この容器の細胞含有液導入口側に平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布12枚を、除去対象細胞導出口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布25枚を充填し、3種類の細胞分離器を作成した。尚、充填密度は0.24g/cm3、有効濾過面積9cm2、有効濾過長12.4mmであった。
また、このフィルターに血小板通過性を付与する目的で、親水性ポリマーのコーティングを行った。即ち、ヒドロキシエチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートのモル比=97:3)の1%エタノール溶液を該フィルターの入口側から通液した後、窒素ガスを通して乾燥させた。
▲2▼回収液の調製
市販のデキストラン40生理食塩水溶液(ミドリ十字社製商品名デキストラン40注−ミドリ)にヒト血清アルブミンを4%含むように調製し、回収液とした。
▲3▼細胞分離操作及び回路システム
娩出後の胎盤及び臍帯から採取された15vol%CPD入りの150mLの臍帯血を3等分して細胞含有液とした。
図4に示すように血液バッグ2を、途中に細胞回収用バッグ5が接続した三方活栓4とメッシュチャンバー3とリンス用生理食塩水ボトルに接続するスパイク8を有するチューブへの分岐を有するチューブで、▲1▼で作製した細胞分離器1の細胞含有液導入口側に接続した。細胞分離器1の除去対象細胞導出口側は途中に回収用シリンジ接続用の三方活栓6を有するチューブでドレーンバッグ7と接続した。血液バッグ2中の細胞含有液を約60cmの落差で細胞分離器に通液し、細胞分離器1から流出する赤血球、血小板含有液をドレーンバッグ7に排液した。次に、生理食塩水ボトルをスパイク8に刺し、クランプ9を開け、約20mLの生理食塩水で細胞分離器内をリンスし、微量残存する赤血球、血小板を洗浄除去した。次に、三方活栓6に回収液25mLを入れた30mLディスポーザブルシリンジを接続し、三方活栓6をシリンジと細胞分離器のみが連通する方向に回し、また三方活栓4を細胞分離器1と細胞回収用バッグ5のみが連通する方向に回した後、シリンジを押して細胞分離器内に捕捉されている細胞を細胞回収用バッグ5に回収した。
▲4▼分析
有核細胞数、単核球数、赤血球数、血小板数は自動血球計算機にて測定、有核細胞中のCD34陽性率はFITC標識抗CD34抗体を用い、SSC−FITCに展開するフローサイトメトリー法(宮崎、他:日常診療と血液、第5巻2号、21〜24ページ、1995年)を用いて測定した。
なお、回収率、除去率の算出方法は以下のとおりである。
回収率(%)=100×(回収後細胞数/細胞含有液中の細胞数)
除去率(%)=100−100×(回収後細胞数/細胞含有液中の細胞数)
▲5▼結果
結果のまとめを表1に示す。いずれも回収した細胞液中には有核細胞、単核球、CD34陽性細胞が高率に回収できており、赤血球、血小板が高率に除去されていることがわかる。
Figure 0004043094
なお、本回収液で回収された細胞は、極東製薬社製凍結保存剤「CP−1」の取扱い説明書に示されているプロトコールでの凍結保存が可能であった。即ち、ジメチルスルホキシドを最終濃度として5%になるように添加後、−80℃のディープフリーザー中での凍結保存をして、凍結保存30日後に37℃の温浴で急速融解し、常法のトリパンブルー排除法でバイアビリティーを測定したところ、90.4%と高値を維持していた。
【0009】
【比較例1】
本比較例は実施例1と同様、細胞含有液が臍帯血、回収必要細胞が造血幹細胞含有単核球分画、除去対象細胞が赤血球及び血小板で、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、Aからの細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbと、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、前記細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bを結んだ直線の長さaとが等しい42mm(bの100%)である細胞分離器を用いることで実施例1と比較するものである。
▲1▼細胞分離器
細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、Aからの細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbと、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、前記細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bを結んだ直線の長さaとが等しい42mm(bの100%)以外は実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
▲2▼細胞分離操作及び回路システム
実施例1と同様の操作方法、回路システムを用いた。
▲3▼分析
実施例1と同様な分析を行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表2に示す。回収した細胞液中には有核細胞、単核球、CD34陽性細胞の回収率は実施例1よりも低値であった。
Figure 0004043094
【0010】
【実施例2】
本実施例は細胞含有液が臍帯血、回収必要細胞が造血幹細胞(CD34陽性細胞)、除去対象細胞が赤血球及び血小板の場合の細胞分離例である。
▲1▼細胞分離器
容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、Aから細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbが42mmであるポリカーボネート製扁平容器に、細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、前記細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bを結んだ直線の長さaが14mm(bの約33%)となるように液体導入口/導出口を作成した。この容器の細胞含有液導入口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚を、除去対象細胞導出口側に平均繊維径2.3μmのマウス抗ヒトCD34モノクローナル抗体(コールター社製、クローン名Immu133、以下CD34抗体と略す)固定ポリスチレン不織布25枚を充填した。本フィルターの充填密度は0.2g/cm3であった。なお、マウス抗ヒトCD34モノクローナル抗体のポリスチレンへの固定は特開平2−261833号公報で提案されている公知のハロアセトアミド法にて行った。即ち、ポリスチレン不織布を活性化する目的で、スルホラン165mLにヒドロキシメチルヨードアセトアミド3.6gとトリフルオロメタンスルホン酸25gを添加した反応液に前述のポリスチレン不織布(予め前述の寸法に切断してある)を室温で5時間浸漬、反応させた。D−PBSで活性化済み不織布を洗浄した後、この活性化済み不織布に抗体を固定する目的でD−PBSで20μg/mLに調製したCD34抗体溶液10mLに活性化済み不織布を2時間含浸し、D−PBSで洗浄後、真空乾燥して抗体固定不織布とした。
▲2▼回収液の調製
実施例1と同様の方法で調製した。
▲3▼細胞分離操作及び回路システム
細胞分離器を▲1▼で作成したものを用いる以外は実施例1と同様の操作を、同様の回路を用いて行った。
▲4▼分析
実施例1と同様な分析を行った。
▲5▼結果
結果のまとめを表3に示す。回収した細胞液中にはCD34陽性細胞が高率に回収できており、赤血球、血小板、CD34陰性細胞が高率に除去されていることがわかる。
Figure 0004043094
【0011】
【発明の効果】
以上示したように、本発明によれば簡便かつ短時間操作で、造血幹細胞等の有用細胞が高率に回収できるので、造血幹細胞移植分野や養子免疫療法分野の細胞処理工程における省力化に貢献すること極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたa/b=33%の細胞分離器である(左.正面図、右.側面図)。
【図2】実施例1で用いたa/b=40%の細胞分離器である(左.正面図、右.側面図)。
【図3】実施例1で用いたa/b=76%の細胞分離器である(左.正面図、右.側面図)。
【図4】実施例1及び2で用いた細胞分離システムの模式図である。
【図5】比較例1で用いた。a/b=100%の細胞分離器である(左.正面図、右.側面図)。
【符号の説明】
A 細胞含有液が細胞捕捉材に最初に接触する点
B 細胞回収液が細胞捕捉材に最初に接触する点
C 細胞捕捉材中のA点から最も遠い点
1 細胞分離器
2 血液バッグ
3 メッシュチャンバー
4 三方活栓
5 細胞回収用バッグ
6 三方活栓
7 ドレーンバッグ
8 スパイク
9 クランプ

Claims (3)

  1. 回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を、該回収必要細胞を実質的に捕捉し、該除去対象細胞は実質的に通過する細胞捕捉手段に導入し、除去対象細胞含有液を該細胞捕捉手段から導出させた後、該細胞捕捉手段に液体を導入して該細胞捕捉手段に捕捉されている前記回収必要細胞を回収する細胞分離方法に用いる細胞分離器であって、少なくとも2つの液体導入口/導出口を有する扁平容器に、回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液を導入する導入口と除去対象細胞を導出する導出口を隔てるように細胞捕捉材が充填されており、さらに除去対象細胞を導出する導出口は、細胞を回収するために導入する液体の導入口を共用しており、且つ前記細胞含有液が最初に細胞捕捉材に接触する点Aと、前記細胞を回収するために導入する液体が最初に細胞捕捉材に接触する点Bを結んだ直線の長さaが、前記AとAから細胞捕捉材中の最も遠い点Cを結んだ直線の長さbの80%以下であり、細胞含有液の導入口と細胞を回収するために導入する液体の導入口とが異なることを特徴とする細胞分離器。
  2. 回収必要細胞が有核細胞である請求項1に記載の細胞分離器。
  3. 有核細胞が造血幹細胞含有単核球分画である請求項2に記載の細胞分離器。
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