JP4036018B2 - 有機発光素子および発光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面表示パネルやこれに用いられるバックライト用の有機発光素子(OLED)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機発光素子は、1987年にコダック社のC.W.Tangらにより高輝度の発光が示されて(Appl.Phys.Lett.,51巻,913頁,1987年)以来、材料開発、素子構造の改良が急速に進み、最近になってカーオーディオや携帯電話用のディスプレイなどから実用化が始まった。この有機EL(エレクトロルミネッセント)素子の用途を更に拡大するために、発光効率向上、耐久性向上のための材料開発、フルカラー表示の開発などが現在活発に行われている。特に、中型パネルや大型パネル、あるいは照明用途への展開を考える上では発光効率の向上による更なる高輝度化が必要である。しかし、現在の発光材料で利用されているのは励起一重項状態からの発光、すなわち蛍光であり、月刊ディスプレイ,1998年10月号別冊「有機ELディスプレイ」,58頁によれば、電気的励起における励起一重項状態と励起三重項状態の励起子の生成比が1:3であることから、有機ELにおける発光の内部量子効率は25%が上限とされてきた。
【0003】
これに対し、M.A.Baldoらは励起三重項状態から燐光発光するイリジウム錯体を用いることにより外部量子効率7.5%(外部取り出し効率を20%と仮定すると内部量子効率は37.5%)を得、従来上限値とされてきた外部量子効率5%という値を上回ることが可能なことを示した(Appl.Phys.Lett.,75巻,4頁,1999年、WO00/70655)。しかし、ここで用いられているイリジウム錯体のように常温で安定に燐光を発する材料は極めて稀であるため材料選択の自由度が狭く、また実際の使用に当たっては特定のホスト化合物にドープして使用する必要があるなど、ディスプレイの仕様を満たすための材料選定が極めて困難であるという欠点を有していた。
【0004】
これに対し、同じくM.A.Baldoらはイリジウム錯体を増感剤として使用し、この励起三重項状態から蛍光色素の励起一重項状態へエネルギーを移動させ、最終的には蛍光色素の励起一重項状態から蛍光を発光させることにより比較的良好な発光効率が得られることを示した(Nature,403巻,750頁,2000年)。この方法は発光材料として数多い蛍光色素から目的に合うものを選定して使用できるという利点を有している。しかし、この方法においては、増感剤の励起三重項状態から蛍光色素の励起一重項状態へのエネルギー移動というスピン禁制の過程が含まれているため、原理的に発光量子効率が低いという大きな欠点があった。
【0005】
次に、パネルの量産方法に関しては、従来から真空蒸着法が用いられてきた。しかし、この方法は真空設備を必要とする点、大面積になるほど有機薄膜を均一の厚さに成膜することが困難になる点などの問題点を有しており、必ずしも大面積パネルの量産に適した方法とは言えない。
【0006】
これに対し、大面積化が容易な方法として高分子系発光材料を用いた製造方法、すなわちインクジェット法や印刷法が開発されている。特に、印刷法は連続して長尺の成膜が行え、大面積化と量産性に優れている。
【0007】
上記のように、発光効率が高くかつ大面積の有機発光素子を得るためには、燐光発光性の高分子材料が必要となる。このような燐光発光性の高分子材料としては、ルテニウム錯体を高分子の主鎖または側鎖に組み込んだものがある(Ng, P. K. et al., Polymer Preprints., 40(2), 1212 (1999))。これらはイオン性化合物であり、電圧を印加した場合には電極での酸化還元反応による電気化学発光が起こる。この電気化学発光は応答速度が分オーダーと極めて遅いため、通常のディスプレイパネルとしては適当でない。
【0008】
また、厳密な意味では高分子材料とは言えないが、ポリ(N−ビニルカルバゾール)に燐光発光性の低分子化合物であるイリジウム錯体を混合、分散したものがある(P. J. Djurovich et al., Polymer Preprints, 41(1), 770 (2000))。しかし、これは均質な高分子材料に較べて熱安定性が劣り、相分離や偏析を起こす可能性がある。
【0009】
特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特開2001−247859号公報にはそれぞれ燐光発光性のオルトメタル化パラジウム錯体、オルトメタル化白金錯体、オルトメタル化イリジウム錯体からなる有機発光素子材料が開示されており、これらの錯体構造を繰り返し単位とする高分子化合物についても言及している。しかし、これらの公報には、これら公報中に示された繰り返し単位である錯体構造を結合して高分子を形成するために必要な構造および高分子の合成方法の具体的な例示がなく、実用的な燐光発光性の高分子化合物については開示がなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、発光効率が高くかつ大面積の有機発光素子を量産するために必要とされる実用的な高分子系発光材料は未だ存在しない。そこで、本発明は上記のような従来技術の問題点を解決し、蛍光発光の外部量子効率の限界である5%を越える高発光効率で、大面積化が可能であり、かつ量産可能な有機発光素子及びこれを得るための高分子系発光材料を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、発光物質を高分子によって拘束することにより、励起三重項状態からの高効率発光が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
ここで言う高分子による拘束とは発光物質が高分子による何らかの作用で固定化されることを意味する。固定化の方法としては共有結合、配位結合、電荷移動錯体化、イオン結合、ファンデルワールス力、インターカレーシィン等のホストゲスト結合等の化学結合、物理的結合が挙げられるが特に限定されない。
【0013】
また、本発明の発光物質はその構造の一部が発光物質を拘束する高分子の一部を形成してもよく、また、発光物質である錯体の配位子の一部が該高分子に組み込まれていてもよい。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の有機発光素子および発光材料に関する。
【0015】
[1]発光機構が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移によるものである有機発光素子において、発光性部分が非イオン性で、高分子の一部を成すかまたは高分子に結合していることを特徴とする有機発光素子。
【0016】
[2]前記発光性部分が、金属原子を高分子の1つ以上の部位で拘束することにより形成されている[1]に記載の有機発光素子。
【0017】
[3]前記発光性部分における拘束が共有結合および/または配位結合である[2]に記載の有機発光素子。
【0018】
[4]前記発光性部分が中心に金属原子を有する金属錯体構造あるいは有機金属構造である[1]に記載の有機発光素子。
【0019】
[5]前記金属原子が遷移金属原子である[2]または[4]に記載の有機発光素子。
【0020】
[6]前記遷移金属原子が周期率表の第6周期の遷移金属原子である[5]に記載の有機発光素子。
[7]前記遷移金属原子がイリジウムである[6]に記載の有機発光素子。
[8]前記遷移金属原子が白金である[6]に記載の有機発光素子。
【0021】
[9]前記金属原子が希土類金属原子である[2]または[4]に記載の有機発光素子。
【0022】
[10]前記発光性部分が、金属原子と高分子の窒素原子による配位結合を含む拘束により形成されている[1]〜[9]のいずれかに記載の有機発光素子。
[11]前記金属原子と高分子の窒素原子による配位結合が、高分子側のピリジン骨格及び/またはピリミジン骨格及び/またはキノリン骨格により形成されている[10]に記載の有機発光素子。
【0023】
[12]前記金属原子と高分子の窒素原子による配位結合が、高分子側のフェニルピリジン骨格により形成されている[11]に記載の有機発光素子。
【0024】
[13]発光性部分が燐光発光性の部分と蛍光発光性の部分を含み、燐光発光性の部分の励起三重項状態から蛍光発光性の部分の励起三重項状態を経由して、蛍光発光性の部分から蛍光発光が起こる有機発光素子において、燐光発光性の部分と蛍光発光性の部分の少なくとも一方が高分子の一部を成すか、または高分子に結合していることを特徴とする有機発光素子。
【0025】
[14]発光機構が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移によるものであり、かつ非イオン性である発光性部分が、高分子の一部を成すかまたは高分子に結合していることを特徴とする発光材料。
【0026】
[15]前記発光性部分が、金属原子を高分子の1つ以上の部位で拘束することにより形成されている[14]に記載の発光材料。
【0027】
[16]前記発光性部分における拘束が共有結合および/または配位結合である[15]に記載の発光材料。
[17]前記発光性部分が中心に金属原子を有する金属錯体構造あるいは有機金属構造である[14]に記載の発光材料。
【0028】
[18]前記金属原子が遷移金属原子である[15]または[17]に記載の発光材料。
[19]前記遷移金属原子が周期率表の第6周期の遷移金属原子である[18]に記載の発光材料。
[20]前記遷移金属原子がイリジウムである[19]に記載の発光材料。
[21]前記遷移金属原子が白金である[19]に記載の発光材料。
【0029】
[22]前記金属原子が希土類金属原子である[15]または[17]に記載の発光材料。
【0030】
[23]前記発光性部分が、金属原子と高分子の窒素原子による配位結合を含む拘束により形成されている[14]〜[22]のいずれかに記載の発光材料。
【0031】
[24]前記金属原子と高分子の窒素原子による配位結合が、高分子側のピリジン骨格及び/またはピリミジン骨格及び/またはキノリン骨格により形成されている[23]に記載の発光材料。
【0032】
[25]前記金属原子と高分子の窒素原子による配位結合が、高分子側のフェニルピリジン骨格により形成されている[24]に記載の発光材料。
【0033】
[26]発光性部分が燐光発光性の部分と蛍光発光性の部分を含み、燐光発光性の部分の励起三重項状態から蛍光発光性の部分の励起三重項状態を経由して、蛍光発光性の部分から蛍光発光が起こる発光材料において、燐光発光性の部分と蛍光発光性の部分の少なくとも一方が高分子の一部を成すか、または高分子に結合していることを特徴とする発光材料。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0035】
図1は本発明の有機発光素子構成の一例を示す断面図であり、透明基板上に設けた陽極と陰極の間にホール輸送層、発光層、電子輸送層を順次設けたものである。また、本発明の有機発光素子構成は図1の例のみに限定されず、陽極と陰極の間に順次、1)ホール輸送層/発光層、2)発光層/電子輸送層、のいずれかを設けたものでもよく、更には3)ホール輸送材料、発光材料、電子輸送材料を含む層、4)ホール輸送材料、発光材料を含む層、5)発光材料、電子輸送材料を含む層、6)発光材料の単独層、のいずれかの層を一層設けるだけでもよい。また、図1に示した発光層は1層であるが、2つ以上の層が積層されていてもよい。
【0036】
本発明において、発光性部分とは励起三重項状態から発光する分子構造を有する部分、すなわち燐光発光性の部分、あるいは励起三重項状態を経由して発光する分子構造を有する部分(以下、励起三重項状態を経由して発光する部分という。)を意味し、それらの発光性部分が高分子の一部を成すかまたは高分子に結合していることを特徴とする。ここでいう励起三重項状態を経由して発光する部分とは、特開2002−050483に開示されている燐光発光性の第1の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態から蛍光発光性の第2の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態へのエネルギー移動が起こり、第2の有機化合物の部分から蛍光発光が起こるような2種類の部分から成るものを指す。
【0037】
尚、本発明に係る有機発光素子が上記励起三重項状態を経由して発光する部分を含む場合には、この発光性部分に含まれる燐光発光性の部分と蛍光発光性の部分のうちの少なくとも一方が高分子の一部を成すかまたは高分子に結合していることが好ましい。尚、この場合において、高分子の一部をなすかまたは高分子に結合している燐光発光性の部分または/および蛍光発光性の部分は、高分子の主鎖を形成していてもよく、また高分子の側鎖(官能基等が主鎖からぶらさがった形のペンダント基を意味するが、長鎖分岐であってもよい。)を形成していてもよい。
【0038】
上記燐光発光性の部分の励起三重項状態の量子効率の値としては0.1以上が好ましく、更に好ましくは0.3以上であり、より一層好ましくは0.5以上である。これらの燐光発光性の部分に適用できる励起三重項状態の量子効率が高い化合物としては金属錯体を例示することができるが、何らこれに限定されるものではない。上記金属錯体の具体的な例としてはイリジウム錯体や白金錯体等の遷移金属錯体及びこれらの誘導体等の遷移金属錯体を挙げることができる。これらは高温でも比較的安定な励起三重項状態を有する点で好ましい。また、後述のように配位能のある官能基を有する高分子を遷移金属原子に配位させることにより容易に錯体化が行える点からも好ましい。また、これらの燐光発光性の部分に適用できる励起三重項状態の量子効率が高い多の化合物は、例えば“Handbook of Photochemistry,Second Edition(Steven L. Murovほか著,Marcel Dekker Inc.,1993)などから選ぶことができる。
【0039】
上記の遷移金属錯体に使用される遷移金属としては、周期表において第1遷移元素系列は原子番号21のScから原子番号30のZnまでを、第2遷移元素系列は原子番号39のYから原子番号48のCdまでを、第3遷移元素系列は原子番号72のHfから原子番号80のHgまでを含める。
【0040】
また上記の励起三重項状態を経由して発光する金属錯体の別の具体的な例としては希土類金属錯体を例示することができるが、何らこれに限定されるものではない。この希土類金属錯体に使用される希土類金属としては、周期表において原子番号57のLaから原子番号71のLuまでを含める。
【0041】
本発明における発光材料とは発光物質そのものを意味する。本発明では発光性部分が金属錯体などであり、それが高分子に結合している。すなわち、本発明の発光性物質は発光性部分を有する高分子自体であり、それが発光材料でもある。ただし、説明の都合上、高分子に結合する発光性部分のことを発光物質と記述する場合もある。また、広義には、発光物質、バインダー、ホール輸送材料や電子輸送材料を含む発光層を構成している物質をあわせたものを発光材料という場合がある。
【0042】
本発明における発光性部分は非イオン性である。これは、発光性部分がイオン性である場合には、発光性部分を含む発光層に電圧を印加した場合には電気化学発光が起こり、この発光は応答速度が例えば分オーダーと極めて遅く、ディスプレイ用途には好ましくないためである。
【0043】
本発明において、「発光性部分が高分子の一部を成す」とは、発光性部分構造が高分子の繰り返し単位の少なくとも一種類を構成していることを意味する。当該高分子が共重合体である場合、構成モノマーの少なくとも一種が発光性部分構造を有することになる。また、発光性部分は高分子の主鎖をなしていてもよく、側鎖(ペンダント基等)であってもよい。「発光性部分が高分子に結合している」とは高分子化合物中に発光性部分がその程度、形態を問わず、結合していればよいことを意味する。この具体的な方法としては、発光性部分を高分子の主鎖として組み込む方法、または側鎖(ペンダント基を含む)として結合させる方法などを挙げることができるが、何らこれらに限定されるものではない。また、上記の遷移金属錯体および希土類金属錯体の場合には、錯体を形成する配位子のうち少なくとも1つの配位子を高分子の主鎖として組み込む方法、または側鎖として結合させる方法などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0044】
また、上記の遷移金属錯体および希土類金属錯体に使用される配位子としては、アセチルアセトナト、2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−フェニルピリジン、ポルフィリン、フタロシアニン、ピリミジン、キノリン及び/またはこれらの誘導体などを例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。これらの配位子は、1つの錯体について1種類または複数種類が配位される。また、上記の錯体化合物として二核錯体あるいは多核錯体や、2種類以上の錯体の複錯体を使用することもできる。
【0045】
本発明の発光性部分において、金属錯体の中心金属となる金属原子は高分子の1つ以上の部位で拘束される。これを達成する方法は特に限定はされないが、上述したような配位結合による錯体化を始め、電荷移動による錯体化、イオン結合、共有結合等が挙げられる。これらの中で配位子を高分子に結合させて発光物質を錯体化させる方法が発光物質の電子状態の変化を小さくして高分子に固定化させることができるため好ましい。この場合、配位子を高分子に結合させて錯体化させる方法が材料の設計及び合成が容易であり特に好ましい。また、中心金属となる金属原子がイオンの場合には、前述の理由により発光性部分を中性とする方法が採られ、例えば、配位結合と共にイオンの価数を中和するに足りる共有結合を有する有機金属化合物とする方法などが挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
【0046】
本発明における金属原子を拘束する高分子としては、特に限定はされないが、例えば配位能のあるピリジン基やビピリジル基、ピリミジン基、キノリン基等の複素環化合物を高分子の主鎖及び/または側鎖に結合させたものを用いることができるが。このような高分子として、より具体的には、ポリピリジンジイル、ポリビピリジンジイル、ポリキノリンジイル等の、主鎖に配位子を含む高分子及び/またはこれらの誘導体、ポリビニルピリジン、ポリ(メタ)アクリルピリジン、ポリビニルキノリン等の、側鎖に配位子を有する高分子及び/またはこれらの誘導体、及び/または上記の構造を組み合わせた高分子等が挙げられる。
【0047】
また、本発明に用いられる高分子としては、発光性部分がその一部をなすかまたは結合しているモノマー単位と、発光性部分を有しないモノマー単位との共重合体を用いることもできる。ここで、発光性部分を有しないモノマー単位としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン及びその誘導体などを例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0048】
上記のような発光性部分を有しないモノマー単位との共重合体を有機発光素子の発光層として用いることにより、加工性が向上し、成膜後の膜に柔軟性が付与される。このことは、高分子フィルム基板を用いたフレキシブルな発光素子を作製する場合に極めて有利な点となる。
【0049】
本発明に用いられる高分子の重合度は、5〜10000が好ましく、10〜5000がが更に好ましい。
【0050】
高分子の分子量はその構成モノマーの分子量と重合度によって決まるため、本発明に用いられる高分子の分子量の好適な範囲を一概に定めることは困難である。しいて挙げるならば、本発明に用いられる高分子の分子量は、上記の重合度とは独立に重量平均分子量で1000〜2000000が好ましく、5000〜1000000が更に好ましい。
【0051】
ここで、分子量の測定方法としては、例えば、高分子学会編「高分子化学の基礎」(東京化学同人、1978年)に記載されている方法、即ちGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)、浸透圧による方法、光散乱法、超遠心法など挙げることができるが、何らこれらの方法に限定されるものではない。
【0052】
本発明に係る有機発光素子における発光のメカニズムは以下のようになる。すなわち、電気的励起により最低励起一重項状態が25%、最低励起三重項状態が75%の割合で生成するが、発光物質が遷移金属錯体や希土類金属錯体の場合には重原子効果により最低励起一重項状態から最低励起三重項状態への項間交差が起こりやすくなるため、最低励起三重項状態の比率が75%以上に増加する。この最低励起三重項状態から燐光を発光する遷移金属錯体の場合には、燐光を発光する放射遷移と共に無輻射遷移が存在する。また、希土類金属錯体の場合には配位子の最低励起三重項状態の励起エネルギーが中心金属イオンへエネルギー移動し、中心金属イオンの励起準位から発光するが、この場合にも発光の放射遷移と共に無輻射遷移が存在する。これらの無輻射遷移は液体窒素温度程度の低温にしない限りこれを抑えることができず、通常上記のような化合物の常温における発光は極めて微弱である。
【0053】
しかし、本発明に係る有機発光素子では、発光物質を分子レベルで高分子に固定することにより分子の振動が抑えられるため、励起エネルギーが分子の振動となって失われることがなくなる。また、励起三重項状態は酸素により失活するが、本発明に係る有機発光素子では、発光物質を高分子内に閉じ込めることにより、酸素の進入を抑えることが可能である。
【0054】
本発明の有機発光素子の発光層は発光材料として高分子によって拘束された発光物質を含む層であるが、他の発光材料、ホール輸送材料、電子輸送材料などが含まれていてもよい。
【0055】
本発明に係る有機発光素子では発光層の両側または片側にホール輸送層、電子輸送層を形成させることにより、さらに発光効率及び/または耐久性の改善を達成できる。
【0056】
ホール輸送層を形成するホール輸送材料としてはTPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)などのトリフェニルアミン誘導体、ポリビニルカルバゾールなどの既知のホール輸送材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらのホール輸送材料は単独でも用いられるが、異なるホール輸送材料と混合または積層して用いてもよい。ホール輸送層の厚さは、ホール輸送層の導電率にもよるので一概に限定はできないが、10nm〜10μmが好ましく、10nm〜1μmが更に好ましい。
【0057】
電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、Alq3(トリスアルミニウムキノリノール)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体などの既知の電子輸送材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらの電子輸送材料は単独でも用いられるが、異なる電子輸送材料と混合または積層して用いてもよい。電子輸送層の厚さは、電子輸送層の導電率にもよるので一概に限定はできないが、10nm〜10μmが好ましく、10nm〜1μmが更に好ましい。
【0058】
上記の発光層に用いられる発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料はそれぞれ単独で各層を形成するほかに、高分子材料をバインダとして各層を形成することもできる。これに使用される高分子材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどを例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0059】
上記の発光層に用いられる発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料の成膜方法は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、コーティング法などを用いることが可能で、これらに特に限定されることはないが、低分子化合物の場合は主として抵抗加熱蒸着および電子ビーム蒸着が用いられ、高分子材料の場合は主にコーティング法が用いられる。
【0060】
本発明に係る有機発光素子の陽極材料としては、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などの既知の透明導電材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。この透明導電材料による電極の表面抵抗は1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であることが好ましい。これらの陽極材料の成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法などを用いることができるが、これらに特に限定されることはない。陽極の厚さは50〜300nmが好ましい。
【0061】
また、陽極とホール輸送層または陽極に隣接して積層される有機層の間に、ホール注入に対する注入障壁を緩和する目的でバッファ層が挿入されていてもよい。これには銅フタロシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェンなどの既知の材料が用いられるが、特にこれに限定されることはない。
【0062】
本発明に係る有機発光素子の陰極材料としては、Al、MgAg合金、Caなどのアルカリ金属、AlCaなどのAlとアルカリ金属の合金などの既知の陰極材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらの陰極材料の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができるが、これらに特に限定されることはない。陰極の厚さは10nm〜1μmが好ましく、50〜500nmが更に好ましい。
【0063】
また、陰極と、電子輸送層または陰極に隣接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上させる目的で、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が挿入されていてもよい。この絶縁層としては、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの既知の陰極材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。
【0064】
また、発光層の陰極側に隣接して、ホールが発光層を通過することを抑え、発光層内で電子と効率よく再結合させる目的で、ホール・ブロック層が設けられていてもよい。これにはトリアゾール誘導体やオキサジアゾール誘導体などの既知の材料が用いられるが、特にこれに限定されることはない。
【0065】
本発明に係る有機発光素子の基板としては、発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板が使用でき、ガラスのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートを始めとする透明プラスチックなどの既知の材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。
【0066】
本発明の有機発光素子は、既知の方法でマトリックス方式またはセグメント方式による画素を構成することができ、また、画素を形成せずにバックライトとして用いることもできる。
【0067】
【実施例】
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明の為の単なる例示であって、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0068】
(実施例1)燐光性高分子モノマー:Ir(MPPy)(PrCOPPy)2の合成
常法に従いメトキシフェニルピリジン(MeOPPy)を合成した(スキーム(1))。
即ち、常法により3−ブロモアニソール8.98g(48mmol)を脱水THF(テトラヒドロフラン)60ml中でMgを用いて3−メトキシフェニルマグネシウムブロマイドを合成した。次に、2−ブロモピリジン6.32g(40mmol)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロニッケル(0)(Ni(dppe)Cl2)0.74gを脱水THF40mlに溶解した溶液に、先に得られた3−メトキシフェニルマグネシウムブロマイドを添加し、室温で12時間反応させることにより無色透明の3−メトキシフェニルピリジン(MeOPPy)を6.03g(32.4mmol)得た。同定はC、H、N元素分析、NMR、IRで行った。
【0069】
【化1】
次いでこのMeOPPyとトリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(Ir(acac)3)を下記スキーム(2)で示す如く、高温で反応させ、トリス(3−メトキシフェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(MeOPPy)3)を合成した。
【0070】
即ち、MeOPPy5.00g(27.0mmol)とIr(acac)32.0g(4.1mmol)をグリセロール200ml中、250℃で9時間反応させ、カラムで精製することにより、蛍光性黄色粉末としてIr(MeOPPy)3を0.400g
(0.54mmol)得た。同定はC、H、N及びIr元素分析、IRで行った。
【0071】
【化2】
これらの操作を8回繰り返すことにより、合計3.20g(4.32mmol)の
Ir(MeOPPy)3を得た。
【0072】
このIr(MeOPPy)3を常法に従い、塩酸水溶液中でMeO基を加水分解させ、OH基にし、粉末としてトリス(3−ヒドロキシフェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(HOPPy)3)を得た(スキーム(3))。
【0073】
【化3】
次いでIr(HOPPy)3を下記スキーム(4)に従い、メタクリル酸クロライドとモル比1:1で反応させることにより、OH基の一部分をメタクリル化させIr(MPPy)(HOPPy)2が主成分となる錯体を合成した。次いで残りのOH基をプロピオン酸クロライド(PrCOCl)と反応させ、Ir(MPPy)(PrCOPPy)2が主成分となる錯体を得た。
【0074】
即ち、反応容器に脱水THF32ml、Ir(HOPPy)3 3.224g(4mmol)、脱酸剤としてトリエチルアミン2.40g(23.6mmol)を仕込んだ後、メタクリル酸クロライド0.424g(4mmol)を脱水THF16mlに溶解した溶液を30分かけて滴下し、20℃で5時間反応させた。この反応溶液に更にプロピオン酸クロライド2.680g(16mmol)を脱水THF16mlに溶解した溶液を30分かけて滴下し、20℃で5時間反応させることにより残りのOH基を反応させ、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別した。濾液の溶媒を蒸発乾固し、得られた固形成分はクロロホルム/メタノール混合溶媒にて再結晶を2回行うことにより精製し、目的とするIr(MPPy)(PrCOPPy)2 2.305g(2.60mmol)を粉末として得た。この同定はC、H、N及びIrの元素分析及びIRで行った。
【0075】
【化4】
【0076】
(実施例2)燐光性高分子:Ir(MPPy)(PrCOPPy)2重合体の合成
反応容器に実施例1で合成したIr(MPPy)(PrCOPPy)2錯体2.22g(2.5mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.010g(0.061mmol)、酢酸ブチル30mlを入れて窒素置換を行った後、80℃で10時間反応させた(スキーム(5))。反応後、アセトンに投入して再沈殿を行い、濾過によりポリマーを回収した。回収したポリマーのクロロホルム溶液をメタノール中に投入して再沈殿させることを更に2回行うことにより精製し、回収後真空乾燥して、目的とするIr(MPPy)(PrCOPPy)2重合体1.85gを粉末として得た。また、得られた重合体のC、H、N及びIrの元素分析はIr(MPPy)(PrCOPPy)2と同じ組成であることを支持していた。また、この重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で8000(HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶離液に用いたGPC測定による)であった。
【0077】
【化5】
【0078】
(実施例3)燐光性高分子モノマー:Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2
実施例1と同様にして合成したモノマー中間体Ir(HOPPy)3を下記スキーム(6)で示す如く、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI、昭和電工製)と1:1で反応させ、次いで残りのOH基をPrCOClと反応させ、Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2が主成分となる錯体を得た。
【0079】
即ち、反応容器に脱水THF32ml、Ir(HOPPy)3 0.706g(1mmol)、MOI 0.636g(4mmol)を仕込み、ジブチルチンジラウレートを触媒量添加し、20℃で5時間反応させた。この反応溶液に脱酸剤としてトリエチルアミン2.400g(24.5mmol)を加えた後、プロピオン酸クロライド2.68g(16mmol)を脱水THF16mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、更に20℃で5時間反応させることにより残りのOH基を反応させ、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別した。濾液の溶媒を蒸発乾固し、得られた固形成分はクロロホルム/メタノール混合溶媒にて再結晶を2回行うことにより精製し、目的とするIr(MiPPy)(PrCOPPy)2 2.62g(2.70mmol)を粉末として得た。この同定はC、H、N及びIrの元素分析及びIRで行った。
【0080】
【化6】
【0081】
(実施例4)燐光性高分子:Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2重合体の合成
反応容器に実施例3で合成したIr(MiPPy)(PrCOPPy)2錯体2.43g(2.5mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)010g(0.061mmol)、酢酸ブチル30mlを入れて窒素置換を行った後、80℃で10時間反応させた(スキーム(7))。反応後、アセトンに投入して再沈殿を行い、濾過によりポリマーを回収した。回収したポリマーのクロロホルム溶液をメタノール中に投入して再沈殿させることを更に2回行うことにより精製し、回収後真空乾燥して、目的とするIr(MiPPy)(PrCOPPy)2重合体2.05gを粉末として得た。また、得られた共重合体のC、H、N及びIrの元素分析はIr(MiPPy)(PrCOPPy)2とほぼ同様の組成であることを支持していた。また、この共重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で18000(HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶離液に用いたGPC測定による)であった。
【0082】
【化7】
【0083】
(実施例5)燐光性高分子:(HPPy)重合体Ir/PPy錯体の合成
スキーム(8)に示すように5−ブロモ−2−(4−ブロモ−3−ヘキシルフェニル)ピリジン(HPPyBr2)1.98g(5.00mmol)を常法に従い、ジメチルホルムアミド(DMF)10ml中でNi(0)(シクロオクタジエン:COD)2、シクロオクタジエン(COD)、2,2’−ビピリジンを触媒として重合し、ヘキシルフェニルピリジン重合体(HPPy重合体)を合成した。ついで、このHPPy重合体0.625g(4mmol)とIr(acac)3 0.099g(0.2mmol)をメタクレゾール中で溶解し、250℃で10時間反応させた。さらにこの溶液にフェニルピリジン(PPy)を0.062g(0.4mmol)、250℃で10時間反応させた。反応後、アセトンに投入して再沈殿を行い、濾過によりポリマーを回収した。回収したポリマーのDMF溶液をアセトン中に投入して再沈殿させることを更に2回行うことにより精製し、回収後真空乾燥して、目的とする(HPPy)重合体Ir/PPy錯体0.564gを粉末として得た。また、重合体のC、H、N、Irの元素分析は推定構造を支持していた。また、この重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算で23000(HFIPを溶離液に用いたGPC測定による)であった。
【0084】
【化8】
【0085】
(実施例6、7、8) 有機発光素子の作製、評価
実施例2、4、5で合成した3種の燐光性高分子:Ir(MPPy)(PrCOPPy)2重合体、Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2重合体、(HPPy)重合体Ir/PPy錯体のそれぞれのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の5質量%溶液をポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT、バイエル社製)が500Åの厚さで予め塗布成膜されたITO陽極(ガラス基板上にITOが塗布されたもの)上にスピンコート法により5mm×5mmの大きさに塗布後、80℃加熱真空乾燥を10時間行うことにより、厚さ約1000Åの各燐光性高分子層をPEDOT/ITO陽極上に各2個ずつ成膜した。
【0086】
これら3種(各2個)の燐光性高分子/PEDOT/ITO電極上に電子輸送層としてPBD(2-(4-biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazol)を約500Åの厚さに真空蒸着により成膜した。ついで陰極としてAg/Mgを重量比9/1で約1000Åの厚さに成膜し、有機発光素子6個(各2個)を作製した。これら素子をアルゴン雰囲気のグローブボックス中でリード線をつけガラス容器内にアルゴン雰囲気で密閉し、発光評価に用いた。
【0087】
発光輝度は電源として、(株)アドバンテスト社製 プログラマブル直流電圧/電流源 TR6143を用い、実施例において得られた有機発光素子に電圧を印加し、発光輝度を(株)トプコン社製 輝度計 BM−8を用いて測定した。
【0088】
上記発光素子に直流電源を引加したところ、発光開始電圧、10Vでの初期輝度、その後10Vで固定し連続発光させた場合の240時間後の輝度は表1の如くなった(各高分子系2個の平均)。
【0089】
(比較例1、2) 有機発光素子の作成、評価
実施例6,7,8で用いた3種の燐光性高分子のHFIP5質量%溶液の代わりに、実施例1のスキーム(2)で合成したと同様の中間体錯体Ir(MeOPPy)3とPMMA(ポリメタクリル酸メチル)を表2に示す比率でクロロホルムに溶かした5質量%溶液を用いた以外は実施例6,7,8と同様にして有機発光素子4個(各2個)を作製した。これら素子に実施例6,7,8と同様にして直流電源を引加したところ、発光開始電圧各10、11Vで、12Vでの初期輝度、その後12Vで固定し連続発光させた場合の240時間後の輝度は表2の如くなった(各2個の平均)。
【0090】
【表1】
【表2】
【0091】
【発明の効果】
本発明の燐光性高分子発光材料を用いることにより、励起三重項状態のエネルギーを効率よく発光に変換することが可能となり、高輝度で耐久性のある有機発光素子を提供することが可能となる。
【0092】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機発光素子の断面図の例である。
【0093】
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 陽極
3 ホール輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 陰極

Claims (6)

  1. 発光機構が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によるものである有機発光素子において、発光性部分が非イオン性で、且つ式(7)又は式(8)のいずれかで表される側鎖として高分子の一部を成していることを特徴とする有機発光素子。
    ・・・(7)
    〔式中、R11〜R18及びR21〜R27は、任意の置換基である。〕
    ・・・(8)
    〔式中、R11〜R18及びR21〜R27は、任意の置換基である。〕
  2. 発光性部分が下記式(10)で表される側鎖であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    ・・・(10)
  3. (現請求項11) 発光性部分が下記式(11)で表される側鎖であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
    ・・・(11)
  4. 発光機構が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移によるものであり、非イオン性で、且つ発光性部分が式(7)又は式(8)のいずれかで表される側鎖として高分子の一部を成していることを特徴とする発光材料。
    ・・・(7)
    〔式中、R11〜R18及びR21〜R27は、任意の置換基である。〕
    ・・・(8)
    〔式中、R11〜R18及びR21〜R27は、任意の置換基である。〕
  5. 発光性部分が下記式(10)で表される側鎖であることを特徴とする請求項4に記載の発光材料。
    ・・・(10)
  6. 発光性部分が下記式(11)で表される側鎖であることを特徴とする請求項4に記載の発光材料。
    ・・・(11)
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