JP3901852B2 - クラッチ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車に利用する。本発明は、機械式の自動クラッチを使用する車両に利用する。本発明は、車両の発進時にクラッチ板押圧を自動制御する方法および装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械式クラッチを使用し、車両の発進時にそのクラッチ板押圧をプログラム制御回路により自動制御する装置が知られている。従来技術の一つは、エンジン回転速度とクラッチ板回転速度との差が、あらかじめプログラムされた制御マップにしたがって時間の経過とともに減少するように、制御回路により演算し、その演算出力に基づいて液圧によりクラッチ板位置を制御するものである(特開平4−337159号公報)。この制御マップをさらに工夫し、回転速度の差の変化率をもとに制御を行い、伝達関数モデルに基づく演算を行うもの(特開平7−305763号公報)などが知られている。
【0003】
このような装置を装備した車両では、運転者は発進時、変速時などに、その都度クラッチペダルを踏む必要がなく、クラッチ板の押圧制御は自動的に行われる。運転席にクラッチペダルが設けられている車両でも、そのクラッチペダルは非常用であり、通常の運転では使用する必要がない。運転者はクラッチペダルのわずらわしい操作から解放されてスムーズな運転を行うことができる。
【0004】
しかし、大型車両など積載量に応じてクラッチの使用条件が大きく変化する車両では、クラッチ制御系に何らかの原因により外乱が発生すると、クラッチの接合制御が円滑でなくなることがある。このときいわゆる「しゃくり」など乗り心地のよくない現象が現れることがある。これまでのクラッチ制御装置では、積荷の変化に伴うクラッチの使用頻度の変化、クラッチ温度の変化、経年変化、その他使用条件の変化を含め、あらゆる場面でこのような乗り心地のよくない現象を皆無にするには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明者らは、クラッチの接合制御が円滑でなくなる場合について、さまざまな角度から詳しく検討した。そして、クラッチ板の摩擦係数が、クラッチの使用に伴い変化する現象に着目した。そして、クラッチ板の摩擦係数は、クラッチ板が滑っている半クラッチの期間にもかなり大きく変動することが観測された。クラッチ板の摩擦係数が何らかの原因により変化すると、それに伴い制御パラメタが変動して制御系が一時的に乱れて、しゃくりなどの現象が発生することが突き止められた。
【0006】
これを抑圧するために、クラッチ板の摩擦係数が変動を小さくすることも考えられるが、クラッチ板の摩擦係数の変動の原因は複雑であり、簡単に制御することができないこともわかった。
【0007】
本発明はこのような背景に行われたものであって、クラッチ板の摩擦係数が変化しても、それがクラッチ制御に直接影響を与えることがない制御論理を提供することを目的とする。本発明は、クラッチ板の摩擦係数が変化しても、それを制御系の中で吸収して、クラッチ制御を円滑に行うことができる方法および装置を提供することを目的とする。本発明は、使用条件によりクラッチ板の温度その他が急激に変化し、それに応じてクラッチ板の摩擦係数が変動しても、クラッチ制御を円滑に行うことができる方法および装置を提供することを目的とする。本発明は、アクセルペダルが踏込まれない場合には、上記のようなクラッチ制御を行うことなく、運転操作に便利なクラッチ制御を行うことができる制御方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、機械式自動クラッチを使用する車両に備えられたクラッチの摩擦係数が変化しても、その変化を自動的に吸収してクラッチ制御を円滑に行い、外乱変動に対し安定したクラッチ制御を自動的に行うことを特徴とする。
【0009】
すなわち、本発明の第一の特徴は、クラッチ板押圧の制御方法であって、変速機に発進ギヤが設定され、ブレーキペダルが解放されたことが検出されると、アクセルペダルの操作量にしたがってエンジンに対する燃料供給量を調節しながらクラッチ板押圧を制御するクラッチ制御方法において、エンジン回転速度とクラッチ回転速度との差(クラッチ滑り速度)からクラッチ以降の駆動力伝達系のトルクを推定演算し、そのトルクが所定値(τ1 )に達した後にはそのトルクが前記所定値(τ1 )を維持するようにクラッチ板押圧を制御することを特徴とする。
【0010】
前記燃料供給量をアイソクロナス制御により調節することにより、車速が所定値(V1 )になるまで前記トルクを前記所定値(τ1 )に維持し、車速が所定値(V1 )を越えたときには時間の経過にしたがってクラッチ板押圧を大きく制御し、さらにブレーキペダルが解放された後のアクセルペダルの操作量が所定値(S1 )以下であるときには、前記トルクによる制御を禁止し、車速がクリープ速度(Vc)に維持されるようにクラッチ板押圧を制御することが望ましい。
【0011】
クラッチ板の摩擦係数が変化しても、それがクラッチ制御に直接影響を与えることがない制御論理は次のとおりである。すなわち、クラッチ以降の駆動系(たとえばプロペラ軸)のトルクτはエンジンの駆動トルクが一定であるときには、クラッチ板の摩擦係数をμ、クラッチ板の押圧力をfとするとき、
τ = kμf (kは比例定数)
なる関係がある。したがって、クラッチが滑っていて車両が発進するまでのクラッチ制御の最も重要な期間にわたり、トルクτが一定になるように制御系をフィードバック制御することにより、かりに摩擦係数μに時間的な変動が生じても、それに応じて押圧力fが反比例して制御されるから、全体として安定な制御を行うことができる。
【0012】
駆動系(たとえばプロペラ軸)のトルクτをリアルタイムで計測することは、しばしば困難であり、車両モデルを用いて、エンジン回転速度とクラッチ回転速度との差からこのトルクτを推定演算することにその特徴がある。
【0013】
エンジンをアイソクロナス制御することにより、エンジンは(回転速度一定ではなく)駆動トルク一定となるように制御される。したがって、上式はエンジンの回転速度の広範囲にわたり成立する。
【0014】
クラッチが滑る制御の微妙な期間を過ぎ車両が発進したときには、クラッチ板の押圧力を時間の経過とともに大きくして、車両の加速特性を良くする。
【0015】
また、ブレーキペダルが解放された後に、アクセルペダルの踏込みが行われない場合には、ただちに本発明の特徴とする駆動トルク一定のクラッチ制御に入ることなく、車両をクリープ速度に維持するようにクラッチ制御を行うことが運転操作の上から便利である。
【0016】
本発明の第二の特徴は、クラッチ板を押圧する制御装置であって、変速機に発進ギヤが設定されかつブレーキペダルが解放されたことを検出する手段と、ブレーキペダルが解放された後にアクセルペダルの操作量にしたがってエンジンに対する燃料供給量を調節するとともにクラッチ板押圧を制御する手段とを備えたクラッチ制御装置において、クラッチ以降の駆動力伝達系のトルクを推定演算する手段を設け、前記クラッチ板押圧を制御する手段は、推定演算されるトルクが所定値(τ1 )に達した後に車速が所定値(V1 )に達するまでそのトルクを前記所定値(τ1 )に維持するようにクラッチ板押圧を制御する手段を含むことを特徴とする。前記燃料供給量を調節する手段はアイソクロナス制御手段を含むことが望ましい。
【0017】
ブレーキペダルが解放されアクセルペダルが操作されると、アイソクロナス制御モードを設定するとともに、クラッチ以降の駆動力系のトルクを検出する。検出したトルクが所定値(τ1 )を示した後に車速が所定値(V1 )に達するまで、そのトルク(τ1 )を維持するようにクラッチ板の押圧力を制御する。
【0018】
すなわち、アクセルペダルが操作されたときに、アイソクロナス制御モードを設定し、内燃機関の回転速度がある値以下の低回転速度領域にあるときは、燃料供給量を急速に増大させあらかじめ定められた目標とする回転速度を維持する。この回転速度の維持により内燃機関のトルクが所定値(τ1 )に達したときに、クラッチ板の押圧力を増加させ半クラッチ状態にする。半クラッチ状態では内燃機関に負荷がかかり回転速度は低下して車速は所定値(V1 )以下を示すが、アイソクロナス制御が実行されているので、自動的に燃料の供給量が増大され所定トルク(τ1 )が維持される。
【0019】
車速が所定値(V1 )に達するまでの半クラッチ状態にあるときは、このようにしてクラッチ板の押圧力を制御し所定のトルク(τ1 )を維持し、車速が所定値(V1 )に達したときにクラッチ板を完全にミートさせる。
【0020】
駆動力伝達系のトルク(τ)は、前述したように、クラッチ板の摩擦係数(μ)およびクラッチ板の押圧力(f)により求められる。したがって摩擦係数(μ)に変動があっても、クラッチ板の押圧力(f)を制御することによって所定値(τ1 )を維持することができる。
【0021】
このように、駆動力伝達系のトルクを一定に維持する制御をクラッチ板の押圧力を変えることによって行うことにより、クラッチ板の摩擦係数が温度その他の要因により変化しても制御系の中で吸収することが可能となり、クラッチ制御を円滑に行うことができるとともに、アクセルペダルが踏込まれない場合には、自動的にアイソクロナス制御によるエンジン回転の制御が行われるので、運転者はクラッチペダルおよびアクセルペダルを微妙に操作することなく、運転操作を円滑に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
【0023】
【実施例】
次に、本発明実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明実施例装置の要部の構成を示すブロック図である。
【0024】
本発明実施例装置は、制御回路1と、この制御回路1の制御にしたがってクラッチ20の押圧を加減するクラッチ押圧手段2とが備えられる。
【0025】
制御回路1には、クラッチ20に対する押圧力の制御を行うクラッチ制御手段7と、電子ガバナ23を介してエンジン回転速度がある値以下に低下したときに燃料噴射装置24への燃料供給量を急速に増大させ目標回転速度を維持するように制御するアイソクロナス制御手段8と、車両モデルを対象としてエンジン26の回転速度およびクラッチ20の回転速度との差(クラッチ滑り速度)からクラッチ20以降の駆動力伝達系のトルク(τ)を推定演算し、この推定演算されたトルク(τ)が所定値(τ1 )に達した後、車速(V)が所定値(V1 )に達するまで、そのトルク(τ)を所定値(τ1 )に維持するようにクラッチ板への押圧力を演算設定するオブザーバ9と、アクチュエータ5を駆動し変速機25を制御する変速機制御手段6とが備えられる。
【0026】
クラッチ制御手段7には、変速機25に発進ギヤが設定されかつ図外のブレーキペダルが解放されたことを検出する手段と、ブレーキペダルが解放された後に、図外のアクセルペダルの操作量にしたがって、エンジン26の燃料噴射装置24に対する燃料供給量を調節するとともにクラッチ板押圧を制御する手段とが備えられる。
【0027】
このクラッチ板押圧を制御する手段には、オブザーバ9により推定演算されたトルク(τ)が所定値(τ1 )に達するまで、そのトルク(τ)を所定値(τ1 )に維持するようにクラッチ板押圧を制御する手段が含まれる。
【0028】
クラッチ制御手段7には、クラッチの温度を検出するクラッチ温度検出センサ11、ブレーキペダルの操作を検出するブレーキ・センサ12、アクセルペダルの操作を検出するアクセル・センサ13、変速機25のギヤ位置を検出するギヤ位置センサ14、エンジン26の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ15、路面勾配を検出する勾配センサ16、車輪の回転速度を検出する車輪回転速度センサ17、クラッチ板の位置を検出するクラッチ位置検出センサ18、クラッチの回転速度を検出するクラッチ回転速度センサ19、車両の重量を検出する荷重センサ31、および過給圧力を検出する過給圧センサ32の出力が接続される。
【0029】
クラッチ押圧手段2は、油圧源10と、この油圧源10からの圧油の供給によりクラッチ20のクラッチ板に主押圧力を付与する油圧シリンダ3と、クラッチ板に補助的押圧力を付与するステップ・モータ4とにより構成される。
【0030】
クラッチ制御手段7からは、ステップ・モータ4および油圧源10に制御信号が送出され、クラッチ20の押圧力が調節される。
【0031】
次に、このように構成された本発明実施例装置によるクラッチ制御動作について説明する。
【0032】
クラッチ制御手段7は、ギヤ位置センサ14の出力により変速機25に発進ギヤが設定されたことを検出し、ブレーキ・センサ12の出力によりブレーキペダルが解放されたことを検出すると、アクセルペダルの操作量にしたがって電子ガバナ23を制御して、燃料噴射装置24からエンジン26に供給する燃料を調節しながらクラッチ20のクラッチ板押圧を制御する。
【0033】
このクラッチ板押圧制御は、クラッチ制御手段7がエンジン回転速度センサ15およびクラッチ回転速度センサ19の出力を取込み、エンジン回転速度(N)とクラッチ回転速度(C)との差(クラッチの滑り速度)からクラッチ20以降の駆動力系のトルク(τ)を推定演算し、そのトルク(τ)が所定値(τ1 )に達した後には、そのトルク(τ1 )を維持するようにクラッチ板押圧を制御する。すなわち、車速(V)が所定値(V1 )になるまでプロペラ軸22に伝達されるトルク(τ)を所定値(τ1 )に維持し、車速(V)が所定値(V1 )を越えたときには時間(t)の経過にしたがってクラッチ板押圧を大きく制御する。
【0034】
ブレーキペダルが解放された後のアクセルペダルの操作量(S)が所定値(S1 )以下になったときには、トルク(τ)による制御を禁止し、車速がクリープ速度(VC )に維持されるようにクラッチ板押圧を制御する。
【0035】
ここで、図2を参照して本発明実施例装置によるクラッチ制御をさらに詳しく説明する。図2は本発明実施例装置によるクラッチ制御系統図である。
【0036】
運転者が車両を停車状態から発進させるために、ブレーキペダルの踏込みを緩め、アクセルペダルを踏むと半クラッチによる車両クリープ状態を作り出す。クラッチ制御手段7は、クラッチ位置検出センサ18、勾配センサ16および荷重センサ31から半クラッチ開始位置(L0 )および路面勾配と積載重量を含む車両の全重量(T0 )を取込み、クリープ状態となった値を基点として現在のクラッチ位置を検出する。
【0037】
さらに、エンジン回転速度センサ15、クラッチ回転速度センサ19、燃料噴射装置24および過給圧センサ32からエンジン回転速度(N)、クラッチ回転速度(C)、燃料噴射量(Q)および過給圧力(P)を検出する。
【0038】
次いで、取込んだこれらの検出値を用いて、クラッチ回転速度差(N−)を演算し、マップとして記憶されたクラッチ20のμ−V特性(クラッチ摩擦係数と車速とにより表した特性)を読出し現在のクラッチ板の摩擦係数(μi )を仮決めするとともに、検出したエンジン回転速度(N)、燃料噴射量(Q)および過給圧力(P)をマップに照合してエンジントルク(τe)を推定する。このようにして求めたクラッチ回転速度差(N−)、クラッチ板摩擦係数(μi )およびエンジントルク(τe)を用いてオブザーバ9に保持された4自由度車両モデルを参照し、クラッチ以降の駆動力伝達系に伝達するクラッチ伝達トルク(τC )を推定演算する。
【0039】
この推定演算されたクラッチ伝達トルク(τC )は、車両モデルの精度に合わせるために、車両回転慣性質量(i)を用いて(τC /i)の演算を行い、この値を時間積分することによりクラッチ回転速度(Cm)を算出し、検出したクラッチ回転速度(C)との差(C−Cm)、すなわち実車のクラッチ回転速度との差をクラッチ板の摩擦係数(μ)の差としてフィードバックする。これによりクラッチ伝達トルク(τC )の推定演算を再度実行する。この値は再度フィードバックされる。これを繰り返すことによりこの推定演算されたクラッチ伝達トルク(τC )の値は現実の値に近づき、クラッチのバラツキが補償される。
【0040】
ここで、さらにアクセルペダルの踏込み操作が行われると、その操作量にしたがってクラッチ板が押圧される。すなわち、図3(a)に示すように、その押圧ストロークが(L1 )の位置に達することによりクラッチ板の押圧力が増加し、図3(b)に示すようにプロペラ軸22に伝達されるトルク(τ)がゆるやかに増加する。さらに、アクセルペダルが踏込まれ押圧ストローク(L)が(L2 )の位置になったときに、クラッチ20は半クラッチ状態になる。本発明の特徴として、アクセルペダルの踏込量が大きくなるにしたがい、この伝達トルク(τ1 )が一定に維持されるようにクラッチ押圧ストローク(L)およびエンジン回転速度(N)が制御される。図3(c)はクラッチ制御に用いられる目標回転速度差マップである。
【0041】
このとき、クラッチ制御手段7はこの目標回転速度差マップを参照して加速指示値(dV(t)/dt)を検出し、この加速指示値(dV(t)/dt)および車両回転慣性質量(i)により、加速トルク(τa =i×dV(t)/dt)を算出する。この加速トルク(τa )および検出した車両負荷(T0 )を4自由度モデルを参照して算出したクラッチ伝達トルク(τC )に付加し重みづけを行う。
【0042】
同時に、クラッチ制御手段7は、図3(c)に示す目標回転速度差マップを参照して目標回転速度差(Δ(t)=N(t)−V(t))を検出し、残差((N−V)−Δ(t))を求め、これをPID処理により残差最少化を行って、重みづけしたクラッチ伝達トルク(τC )に付加し、クラッチサーボアンプ(クラッチ押圧手段2)に入力する。これによりクリープトルクの安定化制御を行うことができる。
【0043】
さらに詳しく説明すると、クラッチ20が半クラッチ状態になり、クラッチ板の摩擦によって発熱を伴い摩擦係数(μ)が低下し滑りを生じる。この滑りによりクラッチ板の押圧力(f)が一定のままであれば伝達すべきトルク(τ)は小さくなるが、クラッチ制御手段7は前述したように駆動力伝達系のトルクを推定演算することにより、そのトルクが所定値(τ1 )を維持するようにクラッチ板の押圧力(f)を制御する。
【0044】
プロペラ軸22のトルクτは、エンジン26の駆動トルクが一定であるときには、クラッチ板の摩擦係数をμ、クラッチ板の押圧力を(f)とするとき、
τ = kμf (kは比例定数)
の関係がある。
【0045】
したがって、摩擦係数(μ)が変動したときには、その値に応じてクラッチ板の押圧力(f)を変化させることによってトルク(τ)を一定に維持することができる。このクラッチ板押圧制御はクラッチ温度検出センサ11の出力を取込み、温度変化に応じた押圧力の制御を行うことができる。
【0046】
推定演算された駆動力伝達系のトルク値はオブザーバ9に出力され、オブザーバ9は車両モデルを対象にこの出力により所定値(τ1 )のトルクを維持するに必要なクラッチ板の押圧力を演算し、その値をクラッチ制御手段7に送出する。クラッチ制御手段7はこの押圧力をクラッチ操作量として油圧源10およびステップ・モータ4に出力する。
【0047】
油圧源10はその操作量にしたがって油圧シリンダ3に圧油を供給しクラッチ20のクラッチ板を押圧する。同時に、ステップ・モータ4がその押圧力のΔf分の微調節を行いクラッチ板を押圧する。
【0048】
アイソクロナス制御を併用することにより、エンジン回転速度が維持され、クラッチ伝達トルクを維持するには好都合である。すなわち、クラッチ20が半クラッチ状態になると、図3(c)に示すようにエンジン26に負荷がかかりその回転速度(N)が低下する。そこで、クラッチ制御手段7は、クラッチ20が半クラッチ状態になったときに、アイソクロナス制御手段8を起動して、半クラッチの期間にわたりアイソクロナス制御モードを設定する。
【0049】
アイソクロナス制御モードが設定されると、図4に示すアイソクロナス制御曲線にしたがってエンジン26への燃料噴射を行う。通常の制御モードでは細い実線で示す曲線にしたがって燃料供給が行われるが、アイソクロナス制御モードでは、車速がきわめて低速の状態でエンジン回転速度が例えば同図中のxまで低下したときに、太い実線で示すように燃料の供給量を急速に増大させ、目標回転速度を維持するように制御する。
【0050】
このようにしてアイソクロナス制御手段8は、半クラッチ状態でエンジン回転速度が所定値以下に低下したときには、電子ガバナ23を制御して燃料噴射装置24からエンジン26への燃料噴射量を増加しエンジン回転速度を増大させる。
【0051】
このようなクラッチ板の押圧力制御およびアイソクロナス制御が同時に行われることにより、プロペラ軸22のトルクが所定値(τ1 )に維持され、発進時の「しゃくり」などの現象が防止される。
【0052】
図3(a)に示すように押圧ストロークがL3 に達しクラッチ20が完全ミート状態になると、プロペラ軸22とディファレンシャル・ギヤ21とが直結され、トルク(τ)の上昇にともなって車両速度が増大し走行状態となる。
【0053】
なお、アイソクロナス制御モードでは、勾配センサ16の出力を取込み、その出力が示す上り勾配の大きさ、例えば、図5に太線で示すように、3%、6%、10%、……に応じて設定された特性曲線にしたがって燃料噴射を制御することができる。これは、坂道発進補助装置が装備されている車両では、この制御ソフトウェアを兼用することにより実施することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、使用条件によりクラッチ板の摩擦係数が変化しても、アイソクロナス制御を行うことにより、その変化を制御系の中で吸収し、クラッチの断接制御を円滑に行い、「しゃくり」などによる乗り心地を悪くする現象をなくすことができる。また、アクセルペダルが踏込まれない場合には、自動的にアイソクロナス制御によるエンジン回転の制御が行われるから、運転者はクラッチペダルおよびアクセルペダルを微妙に操作することなく、運転操作を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例装置の要部の構成を示すブロック図。
【図2】本発明実施例装置によるクラッチ制御系統図。
【図3】(a)は本発明実施例装置の制御によるクラッチ板押圧方向のストロークの変化を示す図、(b)はプロペラ軸トルクの変化を示す図、(c)はエンジン回転速度および車両速度の変化を示す図。
【図4】本発明実施例にかかわるアイソクロナス制御曲線および通常制御曲線を示す図。
【図5】本発明実施例にかかわる車両勾配に対応させたアイソクロナス制御曲線および通常制御曲線を示す図。
【符号の説明】
1 制御回路
2 クラッチ押圧手段
3 油圧シリンダ
4 ステップ・モータ
5 アクチュエータ
6 変速機制御手段
7 クラッチ制御手段
8 アイソクロナス制御手段
9 オブザーバ
10 油圧源
11 クラッチ温度検出センサ
12 ブレーキ・センサ
13 アクセル・センサ
14 ギヤ位置センサ
15 エンジン回転速度センサ
16 勾配センサ
17 車輪回転速度センサ
18 クラッチ位置検出センサ
19 クラッチ回転速度センサ
20 クラッチ
21 ディファレンシャル・ギヤ
22 プロペラ軸(回転駆動軸)
23 電子ガバナ
24 燃料噴射装置
25 変速機
26 エンジン
31 荷重センサ
32 過給圧センサ

Claims (8)

  1. 変速機に発進ギヤが設定され、ブレーキペダルが解放されたことが検出されると、アクセルペダルの操作量にしたがってエンジンに対する燃料供給量を調節しながらクラッチ板押圧を制御するクラッチ制御方法において、
    エンジントルクのマップを用いてエンジントルクを推定し、エンジン回転速度とクラッチ回転速度との差からクラッチ回転速度差を演算し、このクラッチ回転速度差からクラッチ板摩擦係数を推定し、求めたエンジントルク、クラッチ回転速度差、クラッチ板摩擦係数から、車両モデルを参照してクラッチ以降の駆動力伝達系のトルクを推定演算し、推定演算されたそのトルクが所定値(τ1 )に達した後にはそのトルクが前記所定値(τ1 )を維持するようにクラッチ板押圧を制御する
    ことを特徴とするクラッチ制御方法。
  2. 推定演算されたトルクを用いてクラッチ回転速度を算出し、算出したクラッチ回転速度と検出したクラッチ回転速度との差からクラッチ板摩擦係数の差を求めて、差分にもとづいたクラッチ板摩擦係数を新たな前記車両モデルを参照する値としてフィードバックしてトルクの推定演算を繰り返す請求項1記載のクラッチ制御方法。
  3. 前記燃料供給量をアイソクロナス制御により調節する請求項1記載のクラッチ制御方法。
  4. 車速が所定値(V1 )になるまで前記トルクを前記所定値(τ1 )に維持し、車速が所定値(V1 )を越えたときには時間の経過にしたがってクラッチ板押圧を大きく制御する請求項1ないし3のいずれか記載のクラッチ制御方法。
  5. 請求項1のクラッチ制御方法において、ブレーキペダルが解放された後のアクセルペダルの操作量が所定値(S1 )以下であるときには、前記トルクによる制御を禁止し、車速がクリープ速度(Vc)に維持されるようにクラッチ板押圧を制御するクラッチ制御方法。
  6. 変速機に発進ギヤが設定されかつブレーキペダルが解放されたことを検出する手段と、ブレーキペダルが解放された後にアクセルペダルの操作量にしたがってエンジンに対する燃料供給量を調節するとともにクラッチ板押圧を制御する手段とを備えたクラッチ制御装置において、
    クラッチ以降の駆動力伝達系のトルクを推定演算する手段を設け、前記クラッチ板押圧を制御する手段は、推定演算されるトルクが所定値(τ1)に達した後に車速が所定値(V1 )に達するまでそのトルクを前記所定値(τ1)に維持するようにクラッチ板押圧を制御する手段を含み、
    前記駆動伝達系のトルクを推定演算する手段は、
    エンジントルクのマップを用いてエンジントルクを推定し、また、エンジン回転速度とクラッチ回転速度とからクラッチ回転速度差を演算し、この演算したクラッチ回転速度差からクラッチ板の摩擦係数を推定し、求めたクラッチ回転速度差、クラッチ板摩擦係数およびエンジントルクから、車両モデルを参照してクラッチ以降の駆動伝達系のトルクを推定演算する手段を含む
    ことを特徴とするクラッチ制御装置。
  7. 駆動伝達系のトルクを推定演算する手段、推定演算されたトルクを用いてクラッチ回転速度を算出し、算出したクラッチ回転速度と検出したクラッチ回転速度との差からクラッチ板摩擦係数の差を求めて、差分にもとづいたクラッチ板摩擦係数を新たな前記車両モデルを参照する値としてフィードバックしてトルクの推定演算を繰り返す手段を含む請求項6記載のクラッチ制御装置。
  8. 前記燃料供給量を調節する手段はアイソクロナス制御手段を含む請求項6または7記載のクラッチ制御装置。
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