JP3897962B2 - 識別型のインスツルメント体、識別型のアダプタ、識別型のチューブ、これらを用いた診療装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医科あるいは歯科において、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いる識別型のインスツルメント体、インスツルメント体と装置本体とを接続する識別型のチューブ、アダプタ、及び、これらを用いた診療装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
医科や歯科の診療においては、診療装置の装置本体からインスツルメントを導出させ、電源、水、空気などを供給して、あるいは、自己駆動源を備えた複数のインスツルメントを制御可能として、診療を行うものがある。
【０００３】
そのようなインスツルメントとしては、歯科の場合では、各種モータハンドピース、タービンハンドピースなどの切削治療機器、スケーラ、光重合器などの超音波や光を用いる機器、根管長測定器や口腔内カメラなどの測定観察機器などがある。
【０００４】
歯科用の診療装置では、従来、このようなインスツルメントは、装置本体に専用のチューブを介して接続され、装置本体側では、その専用のチューブの接続部に、接続されたインスツルメントに必要な駆動回路、水回路、エアー回路を配置するようになっていた。
【０００５】
ところが、この方法では、診療装置で用いるインスツルメントの種類が増加するにつれて、装置本体に設ける接続部の数も増え、専用のチューブの本数も増えるが、接続部は装置全体の制約から、無暗に増やすことはできず、チューブの本数も、スペースの問題、相互の絡まり合いなどの問題から、あまり増やすのは好ましくなかった。
【０００６】
しかしながら、新しい診療技術の開発につれ、新しいインスツルメントの種類も増える一方で、いかにして、インスツルメントの種類の増加に、対応するかが大きな解決課題となっており、種々の解決法が提案されてきた。
【０００７】
例えば、特公平８−１１５号公報では、図１７に示したインスツルメントを提案している。
【０００８】
これらのインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄは、着脱交換可能に介挿する基端部１０３ａ〜１０３ｃを介して、あるいは、直接、共通のチューブ１０２に着脱交換可能に装着されて用いられ、基端部１０３ａ〜１０３ｃ及びインスツルメント１０１ｄとチューブ１０２との接続部は、いわゆるマルチジョイント接続部１０４となっており、１種類の共通のチューブ１０２に複数のインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄを着脱交換して使用できる。
【０００９】
つまり、基端部１０３ａ〜１０３ｃ及びインスツルメント１０１ｄ側の接続部１０４ａ〜１０４ｄには、それぞれに必要な接続端子を備えているが、その接続端子の位置は所定の配置に従っており、いずれの接続部１０４ａ〜１０４ｄであっても、チューブ側の接続部１０４ｅに接続し、チューブ１０２を介して装置本体（不図示）から、それぞれのインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄに必要なエアー、水、電源の供給を受けることができるようになっている。
【００１０】
このような構成にすると、一本のチューブ１０２に複数の種類のインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄを着脱交換して使用することができ、チューブ１０２の本数増加の問題の解決を図ることができた。
【００１１】
一方、この方法の場合、装着されたインスツルメントに適合した電源などを供給し、インスツルメントを駆動させるために、装置本体側で、チューブ１０２に装着されたインスツルメントがいずれのインスツルメントであるかを特定する必要があり、そのために、この例では、それぞれのインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄ、あるいは、基端部１０３ｂ、１０３ｃに、抵抗値の異なる抵抗１０５ａ〜１０５ｆを内蔵させ、インスツルメントを装着した際には、装置本体側から電流を供給し、これらの抵抗１０５ａ〜１０５ｆの抵抗値を測定することによって、どのインスツルメントが装着されたかを特定するようにしていた。
【００１２】
特公平３−３４３４５号公報では、図１８に示したインスツルメントを提案している。図１８（ａ）はその使用態様を示す外観図、（ｂ）は、その接続部の詳細を示す図である。
【００１３】
これらのインスツルメント２０１ａ〜２０１ｃは、それぞれ専用のチューブ２０２ａ〜２０２ｃを備えており、このチューブ２０２ａ〜２０２ｃを装置本体２１０ａに着脱交換可能に装着されて用いられ、チューブ２０２ａ〜２０２ｃと装置本体との接続部は、マルチジョイント接続部２０４となっている。
【００１４】
このマルチジョイント接続部２０４では、チューブ側の接続部２０４ａ〜２０４ｃは、図１７の接続部１０４ａ〜１０４ｄと同様のマルチジョイント対応となっており、装置本体２１０ａ側には、マルチジョイント対応の同一の接続部２０４ｄが４箇所設けられ、いずれのチューブ２０２ａ〜２０２ｃも、いずれの接続部２０４ｄにも接続して、装置本体２１０ａに設けられたフートコントローラ２１０ｂを操作して、使用することができるようになっている。
【００１５】
このような構成でも、装置本体２１０ａの限られた数の接続部２０４ｄに対し、その接続部２０４ｄの個数以上のインスツルメントを着脱交換して使用することができ、装置本体側のスペースの問題、チューブの本数増加の問題の解決を図ることができた。
【００１６】
一方、この場合も、同様に、装着されたインスツルメントを特定する必要があり、この例では、そのために、チューブ側の接続部２０４ａ〜２０４ｃに、識別ピン２０５ａが副数本立設され、これに対応して、装置本体２１０ａ側の接続部２０４ｄには、この識別ピン２０５ａを挿嵌させる識別ブッシュ２０５ｂが設けられている。
【００１７】
チューブ側に設けられた識別ピン２０５ａの相互間は、インスツルメントの種類に対応させて異なる態様でブリッジ接続されており、装置本体２１０ａ側の識別ブッシュ２０５ｂの相互間には、論理素子が接続されている。したがって、異なるインスツルメントが装置本体２１０ａ側の接続部２０４ｄに接続されることによって、複数の論理素子が異なる態様で接続されることとなり、その出力信号により、装着されたインスツルメントを特定するようにしていた。
【００１８】
特公平６−９５７７号公報では、図１９に示したマルチジョイント接続部でインスツルメントを着脱交換可能に装着して用いる診療装置を提案している。
【００１９】
この歯科用診療装置３００は、診療装置本体部３５０と、それから導出されたチューブ３１０とを備え、このチューブ３１０の先端にはマルチジョイント接続部３１１が設けられ、この接続部３１１には、マイクロモータハンドピース、エアータービンハンドピース、スケーラなどの各種のインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅが着脱交換可能に取り付けることができるようになっている。
【００２０】
診療装置本体部３５０は、制御部３３０、識別指令回路３４０、切換回路３４１を備えており、制御部３３０は、インスツルメントに合わせた電源を供給する作動電力供給回路３２０、水を供給する水供給回路３２１、冷却用空気を供給するチップエアー供給回路３２２、エアータービンハンドピースなどへ駆動用の空気を供給するドライブエアー供給回路３２３を備えており、これらの回路３２０〜３２３から、チューブ３１０に装着されたインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅに、必要な電源、水、空気を供給させるようにしている。
【００２１】
作動電力供給回路３２０には電源３５２、水供給回路３２１には給水源３５３、チップエアー供給回路３２２、ドライブエアー供給回路３２３には、加圧空気源３５４が接続されている。
【００２２】
切換回路３４１は、作動電力供給回路３２０と識別指令回路３４０とを、チューブ３１０を通って接続部３１１に接続されている電気ライン３１２に切換接続するもので、識別指令回路３４０は、電気ライン３１２によって接続部３１１に接続されたインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅの抵抗やインピーダンスの相違によって、どのインスツルメントが接続されたかを識別するとともに、その識別結果に応じて、接続されたインスツルメントに必要な電源、水、空気の選択指令を、上記種々の供給回路３２０〜３２３に与える。
【００２３】
つまり、この診療装置３００では、インスツルメント３０１ａ〜３０１ｅに識別のために別個の抵抗や配線を設けることなく、インスツルメント３０１ａ〜３０１ｅ本来の電気特性を測定することによって、装着されたインスツルメントを特定している。
【００２４】
チューブ３１０内には、電気ライン３１２以外に、水供給回路３２１からの水ライン３１３、チップエアー供給回路３２２からのチップエアーライン３１４、ドライブエアー供給回路３２３からのドライブエアーライン３１５が通っており、接続部３１１に達している。また、チューブ３１０の接続部３１１には、インスツルメントの着脱を検知するセンサ手段３１６が設けられている。
【００２５】
この歯科用診療装置３００には、また、接続されたインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅに電源、水、空気を供給させて、駆動させるための制御駆動スイッチ３５１が備えられ、その信号は、制御部３３０と識別指令回路３４０とに送られるようになっている。
【００２６】
この歯科用診療装置３００では、いずれかのインスツルメントがチューブ３１０の接続部３１１に接続されると、その接続をセンサ手段３１６で検知し、切換回路３４１が識別指令回路３４０側に切り換えられ、識別指令回路３４０は、接続されたインスツルメントを識別し、その結果を保存している。
【００２７】
その後、制御駆動スイッチ３５１が、操作されると、切換回路３４１が作動電力供給回路３２０側に切替わり、識別指令回路３４０に保存されたインスツルメントの識別結果に基づき、それぞれの供給回路３２０〜３２３に指令がなされ、必要な電源、水、空気が供給されるようになっている。
【００２８】
このような構成でも、一本のチューブ３１０に、複数本のインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅを着脱交換可能に取り付けることができ、また、それに合わせて必要な電源、水、空気も供給することができ、図１７、１８と同様の効果を発揮することができた。
【００２９】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図１７、１８、１９の場合、いずれも、インスツルメント側から、積極的に識別信号を発するものでなく、装置本体側に、例えば、図１９の診療装置３００の識別指令回路３４０、切換回路３４１のように一定の測定手段を必要とするものであった。加えて、この測定には、例えば、インスツルメントの抵抗を測定する場合、ａ）正確な電圧の発生、ｂ）この電圧のインスツルメントへの印加、ｃ）電流の検出、ｄ）抵抗値の測定とインスツルメントの特定、といった作業が不可欠であり、特に、ｃ）電流の検出は厄介な作業であり、改善が望まれていた。
【００３０】
また、図１７、１９などでインスツルメントの識別手段として用いている抵抗やインピーダンスは、自ら信号を積極的に発することのない受動素子、アナログ素子であり、水に濡れたりすると使用できなかったり、また、経年変化も無視できないため、細かい識別はすることができず、したがって、インスツルメントの種別の識別は出来ても、同じ種類のインスツルメントが複数個ある場合の個別の識別はすることができなかった。
【００３１】
一方、インスツルメントを、装置本体側に設けた論理素子の異なるブリッジ媒体として構成した図１９の場合、上記のような経年変化の問題は生じないが、インスツルメントの種別の数に対応させて、識別ピン２０５ａと識別ブッシュ２０５ｂの数を増やす必要があり、それにつれて接続部２０４が大型化、複雑化するといった問題があった。
【００３２】
さらに、上記図１７、１８、１９のいずれの場合も、インスツルメントを診療装置の受動的部品としてのみ捉え、積極的かつ自立的に動作する能動的部品としては捉えていなかった。
【００３３】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、積極的に自己識別信号を発して、装置本体側でのインスツルメントの特定を容易かつ確実にし、更に、インスツルメントの種類の増加の問題を解決すると共に、インスツルメント自身のより自立的な制御を可能とする識別型のインスツルメント体、識別型のチューブ、識別型のアダプタ、及び、これらを用いた診療装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
まず、本発明で用いる新しい用語であるインスツルメント体などについて説明する。
【００３４】
このインスツルメント体とは、場合によって、インスツルメントそのもの、インスツルメントにアダプタを組み合わせたもの、また、インスツルメントにチューブを組み合わせたものを意味するものである。このような用語を提案する理由は以下の通りである。
【００３５】
本発明では、装置本体に接続されたインスツルメントを特定することを目的とし、このため、後述するように、インスツルメントを特定する固有の識別信号を能動的に出力する識別信号出力手段を、装置本体に着脱可能に接続されるインスツルメント側に備えるようにしたことが最大の特徴である。この場合、識別信号出力手段を内蔵する位置は、インスツルメントそのものであっても、このインスツルメントが装置本体とチューブで接続されている場合には、このチューブであってもよい。さらに、識別信号出力手段を内蔵したアダプタを、チューブとインスツルメントの間に介挿させてもよい。
【００３６】
そうすると、装置本体側から見ると、インスツルメントを特定する対象としては、識別信号出力手段が内蔵されている位置によって、インスツルメントそのもの、インスツルメントとアダプタ、インスツルメントとチューブということになる。なぜなら、アダプタやチューブに識別信号出力手段が内蔵されている場合、これらがなければ、インスツルメントの特定はできないからである。
【００３７】
また、識別信号出力手段を備え、装置本体に着脱可能に装着することで、装置本体において、そのインスツルメントを特定することができる識別型のインスツルメントとしては、識別信号出力手段を備えていることが必須であり、この識別信号出力手段がアダプタに内蔵されておれば、インスツルメントとしては、このアダプタまで含んだものとして、この識別信号出力手段がチューブに内蔵されておれば、インスツルメントとしては、このチューブまで含んだものとして、規定される必要がある。一方、従来のインスツルメントは、これらのアダプタやチューブを含まないものとの概念が一般的であるので、インスツルメントがアダプタやチューブを含んだものとして用いるのは混乱を生じる。
【００３８】
そこで、本発明においては、インスツルメント体という用語を新しく提案し、その内容を上記のように定義したものである。
【００３９】
したがって、インスツルメント体の本来の内容としては、インスツルメントと同様に、診断や治療のために電気のみ、あるいは、電気に加え、水、空気を用いるものを全て含むもので、電気などの用い方は問わないものである。また、診療のために電気をまったく用いないものも含むものである。例えば、電気駆動装置により切削、研磨などをするもの、清浄水や薬液などを治療のために噴射、放出するもの、電気の作用によって治療などをするもの、診断用に、所定の電気接点の組み合わせで電圧、電流などを測定するような診断器なども含み、歯科分野においては、このようなインスツルメント体としては、種々のハンドピース、エアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースや、スケーラ、光重合器、根管長測定器、口腔内カメラ、ポケット測定器、根管充填器、根管治療器などが含まれる。
【００４０】
また、インスツルメント体の装置本体の接続方法も、チューブによるものに限定されず、インスツルメント体内に自己駆動源を備え、装置本体と無線接続されて用いられるようなものも含まれるものである。
【００４１】
診療装置とは、インスツルメント体を装置本体にチューブ、アダプタを介して接続し、そのインスツルメント体に電源、水、空気を供給して、診断や治療をする診療装置の全てを含むもので、歯科用ユニットなどの歯科用の診療装置を始めとして、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる診療装置が含まれるものである。
【００４２】
なお、上記のインスツルメント体と診療装置間の着脱可能な接続は、マルチジョイントの場合と、そうでない場合を含むものである。
【００４３】
以下、請求項１から９においては、識別型のインスツルメント体、請求項１０、１１では識別型のアダプタ、請求項１２、１３では識別型のチューブ、請求項１４から２０では、これらの識別型のインスツルメント体、アダプタ、チューブを用いた診療装置を提案している。
【００４４】
本発明の識別型のインスツルメント体、アダプタ、チューブは、いずれも、従来のような受動的なものではなく、積極的に自己識別信号を発信する能動的な識別信号出力手段を内蔵している点を基本的な特徴とする。従来のようにインスツルメント体を受動的な部品として見るのではなく、能動的あるいは自立的な部品として把握し、自ら自己識別信号を発信させ、さらには、自己制御能力を備えさせんとするものである。
【００４５】
換言すれば、装置本体だけに制御機能を設ける中央処理システムの単なる末端部分ではなく、個々に一定の制御能力を備え、自己識別信号を発信する部分としてインスツルメント体などを構成し、もって、これらのインスツルメント体などを備える装置全体としては、より柔軟で、適応性の高い分散処理システムを構築せんとするものである。また、この方法によれば、チューブによる接続に限定されず、無線化なども可能であり、マルチジョイント対応も容易に可能である。
【００４６】
本発明者は、近年の集積回路の小型化とそのデジタル機器としての特性を十分に把握し、超小型の集積回路が、従来、能動的な識別信号出力手段の埋め込みが不可能とされた歯科用のインスツルメント体のようなスペースの制約された機器に十分内蔵可能であることを見出し、かつ、その能動的機能、デジタル的機能を十分に利用すべく、本願発明に至ったものである。
特に、請求項１に記載の識別型のインスツルメント体は、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、前記インスツルメント体には、そのインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
【００４７】
このインスツルメント体は、上述の能動素子としての識別信号出力手段を備えていることを特徴とし、このインスツルメント体を装着した装置本体では、この出力手段からの識別信号を読み取るだけで、インスツルメント体を特定することができ、装置本体での読取手段を簡易なものとすることができる。
【００４８】
なお、この場合、インスツルメント体と装置本体の接続がマルチジョイントであるか、否かは重要ではない。もちろん、マルチジョイントの場合には、装着されたインスツルメント体の種別を特定することが不可欠で、識別信号出力手段は、その特定手段として着想されたものである。
【００４９】
しかしながら、この能動的な識別信号出力手段は、無線による信号の伝達をも可能とし、識別信号としてデジタル信号を発信することができ、より細かいインスツルメント体の特定、つまり、種別の特定だけでなく、個別の特定もすることができるものであり、インスツルメント体と装置本体が専用のチューブ、あるいは、専用の接続手段で接続される場合にも、従来にない効果を発揮するものである。
【００５０】
例えば、インスツルメント体と装置本体が専用のチューブで接続されている場合でも、同じ種類のインスツルメント体の個別の特定が可能であれば、装置本体では、個々のインスツルメント体の使用履歴の管理、新旧の区別、使用する術者の区別などもすることができ、より細かい管理をすることができる。
【００５１】
請求項２に記載の識別型のインスツルメント体は、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、前記インスツルメント体は、インスツルメントと、このインスツルメントに着脱可能に装着され、前記インスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を内蔵したアダプタから構成され、このアダプタを介して前記装置本体に接続されるようになっており、
前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
【００５２】
このインスツルメント体は、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメント体に対して着脱可能となっているアダプタに限定したものであり、ここでは、インスツルメント体は、このアダプタを含んだものとして規定されている。
【００５３】
こうして、請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をアダプタに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもアダプタを外して、インスツルメント体をオートクレーブすることができる。
【００５４】
請求項３に記載の識別型のインスツルメント体は、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、前記インスツルメント体は、インスツルメントと、このインスツルメントに着脱可能に装着され前記インスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を内蔵したチューブから構成され、このチューブを介して前記装置本体と接続されるようになっており、前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。 このインスツルメント体は、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメント体に対して着脱可能となっているチューブに限定したものであり、ここでは、インスツルメント体は、このチューブを含んだものとして規定されている。
【００５５】
こうして、請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をチューブに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもチューブを外して、インスツルメント体をオートクレーブすることができる。
【００５６】
請求項４に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記識別信号出力手段は、識別信号として、前記インスツルメント体に固有のＩＤコードをシリアルに出力するＩＤコード出力素子で構成されていることを特徴とする。
【００５７】
このインスツルメント体は、識別信号出力手段をＩＤコード出力素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このＩＤコード出力素子とシリアル通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、また、最も簡易なものとして、識別信号出力手段を構成することができる。
【００５８】
請求項５に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記識別信号出力手段は、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として構成されていることを特徴とする。
【００５９】
このインスツルメント体は、識別信号出力手段をマイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このような素子と通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、インスツルメント体では、より自立的な制御も可能となり、一方、装置本体側では、一定の制御はインスツルメント体に委譲して、分散処理システムを構築することができる。
請求項６に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記識別信号出力手段は、不揮発性記憶手段を備え、この不揮発性記憶手段に記憶保存されたデータを元に、前記識別信号として、シリアルデータ、所定の繰り返し周期で波高値を変動させた電圧レベル信号、周波数を異ならせた周波数弁別信号のいずれかを用いることを特徴とする。
【００６０】
このインスツルメント体は、識別信号出力手段における識別信号の発生方法と、識別信号の態様を規定したもので、いずれも、デジタル信号あるいはデジタル化可能な信号として規定されており、請求項１〜３と同様の効果を発揮するインスツルメント体を容易に実現することができる。
【００６１】
請求項７に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜６のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記インスツルメント体を前記装置本体に着脱可能に接続するための接続部が、マルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００６２】
ここでマルチジョイント接続部とは、従来例でも説明したように、複数の種別の異なるインスツルメント体を、装置本体側に設けられた単一の接続部に、あるいは、複数の接続部のいずれにも接続できるようなっている接続部のことをいい、この接続部の位置は問わず、インスツルメント体の内容に合わせ、装置本体に直接設けられている場合、装置本体から導出されたチューブの先端に設けられいる場合がある。
【００６３】
こうして、マルチジョイント接続部によって、インスツルメント体と装置本体を接続する場合、特に、装着されたインスツルメント体を特定することが重要で、能動的な識別信号出力手段は、その特定を容易、確実にし、装置本体側の機器構成を簡易なものとすることができる。
【００６４】
特に、近年の診療機器としては、制御装置として、マイクロコンピュータ素子を備えているものが多いが、その場合には、従来例で説明したような別個のアナログ的な識別手段を備えることなく、ソフト的な態様により、この識別信号出力手段からの信号をこの制御装置で読み取り、インスツルメント体を特定することができる。
【００６５】
請求項８に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項７に記載のインスツルメント体において、前記インスツルメント体はインスツルメントとこのインスツルメントに着脱可能に装着されたアダプタから構成され、このアダプタを介して前記装置本体から導出されたチューブに着脱可能に接続されるタイプのものであって、前記アダプタに前記識別信号出力手段を備え、前記アダプタと前記チューブとの間の接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００６６】
このインスツルメント体は、請求項７において、マルチジョイント接続部の位置を、請求項２と同様に、インスツルメント体に備えられたアダプタとチューブの間に規定したもので、請求項７と同様の効果に加え、請求項２と同様の効果を発揮する。
【００６７】
請求項９に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項７に記載のインスツルメント体において、前記インスツルメント体はインスツルメントとこのインスツルメントに着脱可能に装着されたチューブから構成され、このチューブを介して前記装置本体に着脱可能に接続されるタイプのものであって、前記チューブに前記識別信号出力手段を備え、前記チューブと前記装置本体との間の接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００６８】
このインスツルメント体は、請求項７において、マルチジョイント接続部の位置を、請求項３と同様に、インスツルメント体に備えられたチューブと装置本体の間に規定したもので、請求項７と同様の効果に加え、請求項３と同様の効果を発揮する。
【００６９】
請求項１０に記載の識別型のアダプタは、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体に着脱可能に装着されるアダプタであって、前記アダプタには、装着されるインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、前記アダプタを装着したインスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
このアダプタは、請求項２に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項２と同様の効果を発揮する。
【００７０】
請求項１１に記載の識別型のアダプタは、請求項１０に記載のアダプタであって、前記アダプタを前記装置本体に着脱可能に接続する接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００７１】
このアダプタは、請求項８に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能にマルチジョイント装着して用いることにより、請求項８と同様の効果を発揮する。
【００７２】
請求項１２に記載の識別型のチューブは、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体と前記装置本体を接続するチューブであって、前記チューブには、接続したインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、前記チューブを介して前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
このチューブは、請求項３に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項３と同様の効果を発揮する。
【００７３】
請求項１３に記載の識別型のチューブは、請求項１２に記載のチューブであって、前記チューブを前記装置本体に着脱可能に接続する接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００７４】
このチューブは、請求項９に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能にマルチジョイント装着して用いることにより、請求項９と同様の効果を発揮する。
請求項１４に記載の診療装置は、複数のインスツルメント体を装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行う診療装置であって、前記インスツルメント体を、そのインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備えた識別型のインスツルメント体として構成し、前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
【００７５】
この診療装置は、請求項１に記載の識別型のインスツルメント体に対応した診療装置であって、請求項１と同様の効果を装置において発揮する。
【００７６】
請求項１５に記載の診療装置は、請求項１２に記載の診療装置において、前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体に対応させて駆動回路あるいは制御回路をそのインスツルメント体に自動的に接続することを特徴とする。
【００７７】
この診療装置は、インスツルメント体特定後の診療装置側の対応を規定したもので、特定後は、装置側の駆動回路あるいは制御回路が自動的に特定したインスツルメント体に対応したものになるので、術者は、インスツルメント体を装置本体に装着するだけで、装置の駆動回路などを装着したインスツルメント体に合わせて設定することなく、診療に専念することができ、便利がよい。
【００７８】
請求項１６に記載の診療装置は、請求項１４または１５のいずれかに記載の診療装置において、前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体に対応させて、表示手段の表示モード、または／かつ、タッチパネルなどの入力手段の入力モードを自動的に切り換えることを特徴とする。
【００７９】
この診療装置は、駆動回路などの切換だけでなく、表示手段、入力手段のモードのいずれか、あるいは双方を装着したインスツルメント体に対応させたものに切り替えるので、術者にとっては、さらに便利がよい。
【００８０】
請求項１７に記載の診療装置は、請求項１４〜１６のいずれかに記載の診療装置において、前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体の使用履歴の管理、使用する術者の区別なども行うようにしたことを特徴とする。
【００８１】
この診療装置は、請求項１で説明したように、識別信号出力手段から出力される識別信号によってインスツルメント体の種別だけでなく個別の特定が可能という利点を、装置本体側に積極利用したもので、より細かいインスツルメント体の管理を行うことができる。
【００８２】
請求項１８に記載の診療装置は、請求項１４〜１７のいずれかに記載の診療装置において、前記装置本体には、接続したインスツルメント体の識別信号出力手段から出力された識別信号の識別手段として、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えていることを特徴とする。
この診療装置は、インスツルメント体から出力される識別信号の識別手段を規定したもので、インスツルメント体の識別信号出力手段は能動的に識別信号を出力するので、装置本体側の識別手段としては、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えることができ、装置構成を簡単なものにすることができ、更に、装置本体側に制御装置としてマイクロコンピュータ素子などが設置されている場合には、ソフト的対応で済ませることができる。
【００８３】
請求項１９に記載の診療装置は、請求項１４〜１８のいずれかに記載の診療装置において、前記装置本体において、前記インスツルメント体を着脱可能に接続する接続部への配線がツリー構造となっていることを特徴とする。
【００８４】
この診療装置は、装着するインスツルメント体は能動的に識別信号を出力するので、その通過経路がインスツルメント体の特定に影響しないという利点を生かしたもので、インスツルメント体接続部への接続が、従来のように別個配線とすることなく、ツリー配線とすることができる旨明規したもので、装置本体側の配線が簡略化できる。
【００８５】
請求項２０に記載の診療装置は、請求項１４〜１９のいずれかに記載の診療装置において、前記インスツルメント体が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体であるか、かつ／または、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、かつ／または、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体であることを特徴とする。
【００８６】
この診療装置は、請求項１４〜１９に記載の診療装置が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体に対応するものであることを明規したもので、関連する請求項の効果が相乗的に発揮される。
【００８７】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図とともに説明する。以下では、一例として、歯科用のインスツルメント体、アダプタ、チューブ、診療装置の場合について説明するが、上述したように本発明の分野はこれに限るものではない。
【００８８】
図１は、本発明の識別型のインスツルメント体の一例を示すもので、（ａ）はその一部破断の外観図、（ｂ）はその一部破断の要部外観斜視図、図２は、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す要部分解斜視図である。
【００８９】
これらの図によって、まず、本発明の特徴とする識別信号出力手段の設置方法について説明する。
【００９０】
図１に示す識別型のインスツルメント体１は、マイクロモータハンドピースであり、先端に切削工具を備え、本体部１ｂに着脱可能な工具保持部１ａと、小形モータを内蔵した本体部１ｂで構成され、本体部１ｂと診療装置の装置本体（不図示）はチューブ２１で接続されている。このインスツルメント体は、インスツルメント１そのもので構成されているタイプ（ＩＡ）である。
【００９１】
この例では、識別信号出力手段６は、本体部１ｂに内蔵された小形モータの固定子１ｃに内蔵されているが、その詳細を図１（ｂ）に示している。
【００９２】
固定子１ｃは、内筒１ｃｂの周りにコイル１ｃａを配置し、これを制御部品を載せた基板１ｃｄと共に、樹脂１ｃｃで一体被覆成形したもので、基板１ｃｄからは接続端子１ｃｅが伸び出している。この図では、その被覆の一部を破断して、基板１ｃｄとコイル１ｃａが見えるようにしているが、非常に小形の識別信号出力手段６は、この基板１ｃｄに他の制御部品と共に配置され、一体樹脂被覆成形されている。接続端子１ｃｅの内、一部は、この識別信号出力手段６のための接続端子６ｅとして用いられている。
【００９３】
このように、識別信号出力手段６は、インスツルメント体１の部品の中に当初から組み込んで置くのがよい。また、この場合、識別信号出力手段６は、一体樹脂被覆されているのが、外の環境の影響を受けにくく、その性能が安定的に発揮される。
【００９４】
図２は、図１と同様のマイクロモータハンドピースとして構成されたインスツルメント体の中に、識別信号出力手段を組み込む他の方法を示している。
【００９５】
インスツルメント体１の本体部１ｂに収容された小形モータの固定子１ｃは、さらに、その接続端子１ｃｅ側に、ブラケット１ｄ、リング１ｅを介して、本体部１ｂに組み込まれているが、この固定子１ｃとブラケット１ｄの間に、アダプタ３１を介在させ、このアダプタ３１の保護リングでブラケット１ｄに載せた識別信号出力手段６を保持し、保護するようにしている。
【００９６】
このようにすると、元々は識別信号出力手段が組み込まれていないインスツルメント体に、後から識別信号出力手段を組み込むことができる。
【００９７】
図３は、本発明の識別型のインスツルメント体で用いられる識別信号出力手段について説明するもので、（ａ）は、その構成を概念的に示すブロック図、（ｂ）は装置本体との信号の接続態様を示す概念図、（ｃ）は、この識別信号出力手段を接続するための本体側のツリー構造を示す概念図、（ｄ）は、この識別信号出力手段が出力する識別信号の一例を示すタイムチャート、図４は、本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
【００９８】
これらの図を用いて、識別信号出力手段の詳細とその基本機能について説明する。なお、これより、既に説明した部分と同様の部分については、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【００９９】
図３（ａ）に示す識別信号出力手段６は、本発明で用いる識別信号出力手段の一例であって、この出力手段６の全体を制御するＣＰＵ６ａ、制御に必要なデータを記憶させたＲＯＭ（不揮発性記憶手段）６ｂ、ＣＰＵ６ａからの指示を受けて作動する出力回路６ｃ、電源線６ｅａ、信号線６ｅｂ、共通線６ｅｃからなる接続線６ｅから構成されている。
【０１００】
この識別信号出力手段６は、図３（ｂ）に示すように、識別型のインスツルメント体１に内蔵され、その接続線６ｅのそれぞれに対応した接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃがインスツルメント体１に設けられている。このインスツルメント体１は、装置本体１０ａに着脱可能に装着される。
【０１０１】
装置本体１０ａにはインスツルメント体１の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃに対応した端子受け９ｄａ、９ｄｂ、９ｄｃが設けられ、これらの端子受け９ｄａ、９ｄｂ、９ｄｃは、電源線９ｃａ、信号線９ｃｂ、共通線９ｃｃに接続され、電源線９ｃａと信号線９ｃｂの間には抵抗Ｒが架橋されている。
【０１０２】
これらの電源線９ｃａ、信号線９ｃｂ、共通線９ｃｃを纏めて、装置本体側の接続線９ｃと呼ぶ。信号線９ｃｂが装置本体に設置された識別手段９（図４参照。）に接続されている。また、この例では、インスツルメント体１と装置本体１０ａとの間の接続部をインスツルメント接続部４と呼ぶ。
【０１０３】
こうして、このインスツルメント体１を装置本体１０ａに装着すると、インスツルメント体１の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃと、装置本体１０ａの端子受け９ｄａ、９ｄｂ、９ｄｃが接続され、装置本体から電源（この例では、５Ｖの直流）が供給され、それを識別信号出力手段６のＣＰＵ６ａが検知して、ＲＯＭ６ｂからインスツルメント体１を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を読み出し、それを出力回路６ｃを介して、信号線６ｅｂから出力し、この識別信号を信号線９ｄｂで受けた識別手段９では、これを単純に読み取って、あるいは、識別信号出力手段６と通信して、このインスツルメント体１を特定する。
【０１０４】
識別信号出力手段６は、上記のＣＰＵ６ａを最も単純なものとして、装置本体からの電源を受けて、識別信号として、インスツルメント体１に固有のＩＤコードをシリアルに出力するＩＤコード出力素子として構成することができ、この場合、識別信号出力手段の構成が最も簡易なものとなる。
【０１０５】
しかしながら、識別信号出力手段６は、ＣＰＵ６ａをより高度なマイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として構成することもでき、その場合、インスツルメント体では、より自立的な制御も可能となり、一方、装置本体側では、一定の制御はインスツルメント体に委譲して、分散処理システムを構築することができる。
【０１０６】
また、識別信号は、ＲＯＭ（不揮発性記憶手段）６ｂから読み出されて出力されるが、その態様としては、上述のシリアルデータだけでなく、所定の繰り返し周期で波高値を変動させた電圧レベル信号、周波数を異ならせた周波数弁別信号なども用いることができる。
【０１０７】
識別信号出力手段６は、識別信号を能動的に出力するので、その信号の通過経路がインスツルメント体の特定に影響せず、複数のインスツルメント接続部４を設ける場合、その接続を、図３（ｃ）のようなツリー配線とすることができ、従来のように別個配線とすることなく、装置本体側の配線が簡略化できる。
【０１０８】
ここで、更に、図３（ｄ）も用いて、インスツルメント接続部４への接続がツリー配線とされ、識別信号出力手段６としてＩＤコード出力素子を用い、識別信号としてシリアルデータであるＩＤコードを出力する場合の通信方法について、より詳しく説明する。
【０１０９】
装置本体１０ａに何も接続されていない場合、信号線６ｅｂは常に、「Ｈ」なので、識別手段９では、これを未接続と検出して、例えば、未接続表示を行う。
【０１１０】
識別信号出力手段６が内蔵されたインスツルメント体１が接続されると、装置本体１０ａから電源が供給され、識別信号出力手段６では、図３（ｄ）のようなシリアルデータを出力する。このデータは、１００ｍｓ以上の「Ｌ」と、１ｍｓの「Ｈ」または「Ｌ」、２ｍｓの「Ｈ」または「Ｌ」の組み合わせで構成され、１ｍｓ毎に６ｂｉｔのコード（００１１０１Ｂ）を送るようにしている。１００ｍｓ以上の「Ｌ」の次の１ｍｓの「Ｈ」信号は、スタートビットＳＢとして規定されている。
【０１１１】
識別信号出力手段６では、このようなシリアルデータを出力し続け、これを受けて、装置本体１０ａの識別手段９では、受信したデータを１ｍｓ毎にサンプリングしてデータを検出して、接続されたインスツルメント体１のＩＤコードを読み取り、このインスツルメント体１を特定することができる。
【０１１２】
図４は、別タイプの識別型のインスツルメント体を６種類（１Ａ〜１Ｆ）、それぞれ専用のチューブ２を介して、装置本体１０ａに接続した診療装置１０を示している。このインスツルメント体は、インスツルメント１Ａ〜１Ｆと専用のチューブ２を組み合わせたタイプＩＣである。
【０１１３】
インスツルメント体ＩＣ、つまりインスツルメント１の種類は、タービンハンドピース１Ａ、モーターハンドピース１Ｂ、スケーラ１Ｃ、スリーウェイシリンジ１Ｄ、高速モーターハンドピース１Ｅ、低速モーターハンドピース１Ｆであり、それぞれのチューブ２は、チューブ側の接続部４ａによって、装置本体１０ａに設けられたそれぞれに専用の接続部４ｂに接続されている。つまり、この診療装置１０は、マルチジョイント対応ではない。
【０１１４】
装置本体１０ａは、エアー源Ａから加圧エアーの供給を受けて、インスツルメント体ＩＣに必要なエアーを供給するエアー回路７ａ、給水源Ａから水の供給を受けて、インスツルメント体ＩＣに必要な水を供給する水回路７ｂ、外部電源Ｅの供給を受け、接続されたインスツルメント体ＩＣ（１Ａ〜１Ｆ）の種類に合わせた駆動電源を供給するタービン駆動回路７ｃ、モーター駆動回路７ｄ、スケーラ駆動回路７ｅ、シリンジ駆動回路７ｆ、高速モーター駆動回路７ｇ、低速モーター駆動回路７ｈ、装置全体を制御している制御回路７ｉ、液晶画面やプリンタなどの出力手段（不図示）や、タッチパネルやフートコントローラなどの入力手段（不図示）を含み、これらを制御する入出力回路７ｊ、後述する駆動制御回路７ｋに加え、接続された識別型のインスツルメント体ＩＣから出力される識別信号を識別する識別手段９を備えている。
【０１１５】
駆動制御回路７ｋは、インスツルメント体ＩＣ（１Ａ〜１Ｆ）に一対一対応で設けられた駆動回路７ｃ〜７ｈの断接を行うと共に、必要に応じて、エアー回路７ａ、水回路７ｂを、インスツルメント体ＩＣ（１Ａ〜１Ｆ）に接続切換する。
【０１１６】
この例では、まず、インスツルメント体ＩＣに内蔵された識別信号出力手段６の内蔵位置に注目する。つまり、ここでは、インスツルメント体ＩＣは、このチューブ２と接続部４ａまでも含んだものとして把握し、識別信号出力手段６は、インスツルメント１Ａ〜１Ｆの内部ではなく、チューブ２の後端側、つまり、チューブ側の接続部４ａに内蔵されている。
【０１１７】
このタイプＩＣの場合、通常、インスツルメント１は、チューブ２に対しても着脱可能となっており、必要に応じて、インスツルメント１をチューブ２から外して、オートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性のないものであっても支障がない。
【０１１８】
つぎに、このように専用の接続部４で装置本体１０ａに接続され、一対一対応で駆動回路を備えている、マルチジョイント対応でない場合の、識別信号出力手段６の役割について説明する。
【０１１９】
識別信号出力手段６は、図３で説明したように、ＩＤコード出力手段として構成可能であり、このＩＤコードは、個々のＩＤコード出力手段の個別製造番号として付与され、このようなＩＤコードを用いて、これを内蔵したインスツルメント体の種別だけでなく、個別の特定もすることができる。つまり、個々のインスツルメント体ＩＣを全て区別することができるということである。
【０１２０】
したがって、個々のインスツルメント体の使用頻度や使用積算時間、故障回数などの個別履歴管理を行い、所定時間以上使用したインスツルメント体については、警告を発したり、駆動制御回路７ｋの断接を制御して、使用できなくしたりすることも可能となる。また、術者毎に専用のインスツルメント体を設定しておき、他の術者のインスツルメント体を間違って接続した場合には、警告を発したり、使用できなくしたりすることもできる。
【０１２１】
以下には、この治療装置１０の制御回路７ｉで用いられる、上述の個別履歴管理を行うためのインスツルメント体履歴管理表の一例を概念的に示す。
この管理表で、「種別」の欄の「ＴＨ」はタービンハンドピース、「ＭＨ」はモータハンドピース、「ＳＣ」はスケーラを意味し、「前回使用日時」の欄では、最新の使用日時を２桁の年月日と２４時制の使用開始時間と終了時間で示し、「積算使用時間」の欄では、このインスツルメント体のこれまでの使用時間の合計を時間（Ｈ）と分（Ｍ）で示し、「履歴」の欄では、過去の種々の履歴を符号で示し、例えば、この「Ｋ０」は故障がなかったこと、「Ｋ１」は故障が１回あったことを示している。
【０１２２】
このような管理表が、治療装置１０に用意され、インスツルメント体の使用毎に更新されておれば、上述にようなインスツルメント体の個別履歴管理を行うことができ、他の術者のインスツルメント体を間違って使用したりするのを避けたり、使用限度時間を設定しておいて、これを超えたものを交換したり、よりきめ細かいインスツルメント体の使用の管理を行うことができ、ひいては、より安全な診療に貢献することとなる。
【０１２３】
また、識別信号出力手段は、自ら能動的に信号を出力するものであるので、インスツルメント体と装置本体の間の信号の送受を無線で行うことも可能であり、接続部の接続端子の個数を減らしたり、また、インスツルメント体自体を完全に自立タイプとして、コードレスで構成するようにもできる。
【０１２４】
インスツルメント体ＩＣの識別信号出力手段６は能動的に識別信号を出力するので、装置本体１０ａ側の識別手段９としては、ＣＰＵ（マイクロコンピュータ素子）９ａあるいはＣＩＣ（通信用集積素子）９ｂを備えることができ、装置構成を簡単なものにすることができ、更に、装置本体１０ａの制御回路７ｉに、すでに、ＣＰＵ（マイクロコンピュータ素子）などが設置されている場合には、識別手段の機能を備えたプログラムを用いることによって、この制御回路７ｉ用のＣＰＵに、識別手段９を兼ねさせることもできる。
【０１２５】
図５は、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図である。このインスツルメント体は、種々のインスツルメント１Ａ〜１Ｃに、それぞれ識別信号出力手段６を内蔵した専用のアダプタを着脱可能に装着したタイプＩＢのインスツルメント体である。
【０１２６】
このインスツルメント体ＩＢ（１Ａ〜１Ｃ）、装置本体とは、それぞれ専用のチューブ２１を介して接続され、インスツルメント１Ａ〜１Ｃと、アダプタ３の間の接続部４１、アダプタ３１とチューブ２１の間の接続部４２はそれぞれ専用の接続端子で１対１で接続され、いわゆるマルチジョイントタイプではない。
【０１２７】
このタイプＩＢの場合にも、図４と同様に、必要に応じて、インスツルメント１をアダプタ３１から外して、オートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性のないものであっても支障がない。また、図４のインスツルメント体ＩＣと同様に、インスツルメント体の個別履歴管理などを行うことができる。
【０１２８】
図６は、マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の例を示す概念図である。なお、この図６と後述の図１３〜図１７では、接続部での端子を平面的なものとして表示しているが、これは、端子の位置と種類を概念的に示すために、概念的に平面化したもので、実際の端子の構造は、図５のように凸凹の組み合わせや、軸方向に前後して同心状に設けられたりするものである。
【０１２９】
これまでは、インスツルメント体と装置本体との接続部は特にマルチジョイント対応に限定するものでなかったが、これより、両者間の接続がマルチジョイント対応となっている場合について説明する。
【０１３０】
マルチジョイント接続部とは、複数のインスツルメント体について、装置本体の単一の接続部、あるいは、複数の接続部のいずれにも、接続して、使用できるようにした接続部をいい、この場合には、マルチジョイント接続部にいずれのインスツルメント体が接続されたかを特定する必要があり、その場合に、特に、本発明の識別型のインスツルメント体が効果を発揮する。
【０１３１】
この例は、装置本体１０ａから導出されたチューブ２２の接続部が、マルチジョイント接続部５１ｈとなっており、これに対応して識別型のインスツルメント体１Ｂ、１Ｃ、１Ｇの接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇもマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇとなっている。このインスツルメント体は、インスツルメントそのもので構成され、かつ、その本体側との接続部がマルチジョイント接続部となっているタイプＩＡＭである。
【０１３２】
チューブ２２のマルチジョイント接続部５１ｈには、電気用の接続端子５３ａ、５３ｂ、５３ｃ、５３ｄ、５３ｅと、エアー用接続端子５３ｆ、水用接続端子５３ｇが設けられ、更に、既に説明した識別用の電源接続端子９ｄａと信号用接続端子９ｄｂが設けられている。電気用の接続端子のうち、接続端子５３ｅは、共通線用であり、識別のための共通線用の接続端子９ｄｃとしても機能している。
【０１３３】
上述の接続端子は、このチューブ２２に着脱交換して使用されるインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ，１Ｃ，１Ｇ）のいずれを装着しても必要な電源、水、エアーを供給できるように、それぞれの本数が用意され、その位置は、固定されている。
【０１３４】
インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ、１Ｃ、１Ｇ）のマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇは識別信号出力手段６を内蔵するとともに、マルチジョイントに対応しており、モータハンドピースとして構成されたインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）の接続部５１ｂには、小形三相モータ用として接続端子５２ａ、５２ｂ、５２ｃと、ランプ用として接続端子５２ｄ、共通線用として接続端子５２ｅ、エアー用として接続端子５２ｆ、水用として接続端子５２ｇ、更に、識別用の電源接続端子６ｄａと信号用接続端子６ｄｂが設けられ、同様に、共通線用の接続端子５２ｅは、６ｄｃとして共用している。
【０１３５】
これらのインスツルメント体側の接続端子５２ａ〜５２ｇ、６ｄａ〜６ｄｃの位置は、チューブ側の接続端子５３ａ〜５３ｇ、９ｄａ〜９ｄｃと同じ位置に設けられているので、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）のマルチジョイント接続部５１ｂを、チューブ２２側のマルチジョイント接続部５１ｈに接続すると、インスツルメント体１Ｂに必要な電源、水、エアーの接続端子が連結され、これらの供給が可能になる。
【０１３６】
スケーラとして構成されたインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）の接続部５１ｃには、スケーラ用接続端子５２ａと、共通線用として接続端子５２ｅ、水用として接続端子５２ｇが設けられ、識別用の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃについては、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）の接続部５１ｂと同様である。
【０１３７】
これらのインスツルメント体側の接続端子５２ａ、５２ｅ、５２ｇ、６ｄａ〜６ｄｃの位置は、チューブ側の接続端子５３ａ、５３ｅ、５３ｇ、９ｄａ〜９ｄｃと同じ位置に設けられているので、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）のマルチジョイント接続部５１ｃを、チューブ２２側のマルチジョイント接続部５１ｈに接続すると、インスツルメント体１Ｃに必要な電源、水の接続端子が連結され、これらの供給が可能になる。
【０１３８】
光重合器として構成されたインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｇ）の接続部５１ｇには、重合ランプ用接続端子５２ｃと、共通線用として接続端子５２ｅ、エアー用として接続端子５２ｆが設けられ、識別用の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃについては、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）の接続部５１ｂと同様で、同様にして、必要な電源、空気の供給が可能となる。
【０１３９】
なお、ここで、図４で例示した６つのインスツルメント１Ａ〜１Ｆのうち、モータハンドピースとして構成されたインスツルメント１Ｂ、スケーラとして構成されたインスツルメント１Ｃについてだけ、また、他例として、新たに、光重合器として構成されたインスツルメント１Ｇについて、ここでのインスツルメント体ＩＡＭの例として示したのは、電源、水、空気の選択態様が異なる例として適当なためであって、図４で例示した６つのインスツルメント１Ａ〜１Ｆや、更に他のタイプのインスツルメントであっても、接続部がマルチジョイント対応であれば、このチューブ２２のマルチジョイント接続部５１ｈに着脱可能に接続して用いるインスツルメント体ＩＡＭとして構成することができる。
【０１４０】
インスツルメント体側のマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇとチューブ側のマルチジョイント接続部５１ｈから構成されるマルチジョイント接続部５１は、このような構造で、いずれのインスツルメント体でも着脱可能に用いることが可能であるが、この場合、特に、装着されたインスツルメント体の種類を特定することが重要であり、それぞれの識別型のインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ、１Ｃ、１Ｇ）のマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇに内蔵された識別信号出力手段６が識別信号を出力し、装置本体側では、この識別信号を読み取って、あるいは、この識別信号出力手段６と通信することによって、接続されたインスツルメント体を特定し、装置本体側での対応をすることができる。
【０１４１】
図７は、図６の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
【０１４２】
この診療装置１０Ａは、図４の診療装置１０に比べ、図６で説明した様に、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ〜１Ｆ）とチューブ２２の接続部４１がマルチジョイント接続部４１となっている点が異なっている。
【０１４３】
これに対応して、装置本体１０ａでも、駆動切換回路７ｌは、それぞれのインスツルメント体と駆動回路とを断接するだけでなく、マルチジョイント接続部４１に接続された識別型のインスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ〜１Ｆ）を識別手段９で特定して、それに対応した駆動回路７ｃ〜７ｈを選択切換し、エアー回路７ａ、水回路７ｂを選択接続する。
【０１４４】
この例の場合、装置本体１０ａの本体側接続部４４から２本のチューブ２２が導出されているので、このそれぞれのチューブ２２のマルチジョイント接続部４１ｈに接続されたインスツルメント体が特定され、それぞれのチューブ２２毎に特定された駆動回路が切換選択され、エアー、水が供給される。
【０１４５】
例えば、上のマルチジョイント接続部４１ｈ（Ａ）に、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）が接続されると、識別手段９で、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）に内蔵された識別信号出力手段６の識別信号を判別して、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）がタービンハンドピースであることを特定し、これを受けて制御回路７ｉから制御指令を出し、駆動切換回路７ｌで、タービン駆動回路７ｃと必要なエアー回路７ａ、水回路７ｂをマルチジョイント接続部４１ｈ（Ａ）に切換接続して、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）に適合した駆動電源、エアー、水を供給する。
【０１４６】
同様に、下のマルチジョイント接続部４１ｈ（Ｂ）にインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）が接続されると、スケーラ駆動回路７ｅと必要なエアー回路７ａ、水回路７ｂをマルチジョイント接続部４１ｈ（Ｂ）に切換接続して、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）に適合した駆動電源、エアー、水を供給する。
【０１４７】
こうして、この診療装置は、識別信号出力手段６を内蔵したインスツルメント体ＩＡＭをチューブ２２に着脱交換可能にマルチジョイント接続するだけで、接続したインスツルメント体に適合した駆動電源などが自動的に選択され供給されるので、術者によっては、非常に便利がよい。
【０１４８】
図８は、マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図である。このインスツルメント体は、インスツルメントと識別信号出力手段を内蔵した専用のチューブを組み合わせ、かつ、チューブと装置本体間の接続がマルチジョイントとなっているタイプのインスツルメント体ＩＣＭである。
【０１４９】
この識別型のインスツルメント体ＩＣＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）は、マルチジョイント接続部４５が、装置本体１０ａとインスツルメント体ＩＣＭを構成するチューブ２３との間に設けられている点が、図６と異なっており、それぞれのチューブ２３Ａ、２３Ｂ、２３Ｃの先端側はインスツルメント１Ａ、１Ｂ、１Ｃに個別対応した接続部４６Ａ、４６Ｂ、４６Ｃとなっているが、装置本体１０ａ側の接続部４５ａ、４５ｂ、４５ｃは、図６のマルチジョイント接続部４１と同様のマルチジョイント接続部４５ａ、４５ｂ、４５ｃとなっており、装置本体１０ａに設けられた接続部４５ｈも、同様のマルチジョイント接続部４５ｈとなっており、いずれのチューブ２３Ａ、２３Ｂ、２３Ｃでも、装置本体１０ａに接続して使用することができる。
【０１５０】
この際、チューブ２３には、もちろん、識別信号出力手段６が内蔵されるが、その内蔵位置は、チューブ２３Ａのように、チューブ２３Ａの中間部分でもよいし、チューブ２３Ｂのように、装置本体側のマルチジョイント接続部４５ｂでもよいし、チューブ２３Ｃのように、先端の接続部４６Ｃ側であってもよい。
【０１５１】
図９は、図８の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
この診療装置１０Ｂは、図８の診療装置１０Ａに比べ、マルチジョイント接続部５５が、インスツルメントとチューブとの間でなく、図８で説明した様に、インスツルメント体ＩＣＭを構成するチューブ２３と装置本体１０ａとの間となっている点が異なっているだけで、その他の部分は同じである。
【０１５２】
このように構成しても、装置本体１０ａの３か所のマルチジョイント接続部５５ｈに接続されたインスツルメント体ＩＣＭが、チューブ２３に内蔵された識別信号出力手段６から出力される識別信号を用いて、特定され、それぞれの接続部５５ｈ毎に特定された駆動回路が切換選択され、エアー、水が供給される。
【０１５３】
図１０は、マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図である。このインスツルメント体は、マルチジョイント対応で、種々のインスツルメント１Ａ〜１Ｃに、それぞれ識別信号出力手段６を内蔵した専用のアダプタを着脱可能に装着したタイプのインスツルメント体ＩＢＭである。
【０１５４】
このインスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ〜１Ｃ）は、図５のインスツルメント体ＩＢに比べ、インスツルメント体がアダプタと組み合わされたものである点では共通するが、本体から導出されたチューブとの接続部がマルチジョイント接続部５１となっている点が異なる。
【０１５５】
したがって、インスツルメント１Ａ〜１Ｃとアダプタ３２の接続部４１は、図５のインスツルメント体ＩＢと同様であり、アダプタ３２とチューブ２２の接続部は、図６の接続部５１と同じ構造となっている。
【０１５６】
このような構成としても、インスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ〜１Ｃ）を装置本体に着脱可能にマルチジョイント接続し、かつ、装置本体では、接続されたインスツルメント体を、アダプタ３２に内蔵された識別信号出力手段６によって、特定し、駆動回路などを、特定したインスツルメント体に対応したものに切り替えることができる。
【０１５７】
また、図５のインスツルメント体ＩＢと同様に、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性のない場合でも、インスツルメント１Ａ〜１Ｃとアダプタ３２を分離することで、インスツルメントだけをオートクレーブすることができる。
【０１５８】
図１１は、図４、８、１０の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
【０１５９】
この診療装置１０Ｃは、図８の識別型のインスツルメント体ＩＣＭ、つまり、識別信号出力手段６を内蔵したチューブの後端側がマルチジョイント接続部５５ｇ，５５ｊとなっているタイプのインスツルメント体ＩＣＭ（１Ｇ、１Ｊ）、図４の識別型のインスツルメント体ＩＣ、つまり、識別信号出力手段６を内蔵した専用のチューブの接続部４ａで装置本体に専用接続されるインスツルメント体ＩＣ（１Ｋ）、図１０のインスツルメント体ＩＢＭ、つまり、識別信号出力手段６を内蔵したアダプタ３２を着脱可能に装着し、このアダプタ３２のチューブ側がマルチジョイント接続部５１ａ，５１ｂ，５１ｃになっているタイプのインスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）とを着脱可能に装着して使用することができる。
【０１６０】
これに対応して、装置本体１０ａ側にも、マルチジョイント接続部５５ｈと、インスツルメント専用の接続部４ｂとを設け、マルチジョイント接続部５１ｈを設けたチューブ２２を導出させている。
【０１６１】
インスツルメント体ＩＣＭ（１Ｇ）は、光重合器であり、インスツルメント体ＩＣＭ（１Ｊ）は、口腔カメラとして構成され、インスツルメント体ＩＣ（１Ｋ）は、根管長測定器として構成されている。インスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）は、それぞれ、タービンハンドピース、モーターハンドピース、スケーラとして構成されている。
【０１６２】
このように構成しても、それぞれ、マルチジョイント接続、あるいは、専用接続して、接続したインスツルメント体に合わせた駆動回路を切り替えて駆動させ、診療を行うことができる。
【０１６３】
また、この場合、インスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）は、それぞれ、水やエアーを用いるので、チューブはそれだけ太く、この太いチューブをマルチ化することで本数を減らすことができ、絡まりの問題も発生することが少ない。チューブを専用とした場合に比べて、チューブの操作性が劣るようなこともない。
【０１６４】
一方、インスツルメント体ＩＣＭ（１Ｇ、１Ｊ）は、光重合器、口腔カメラであるので、水やエアーを用いなくとも良く、チューブは電源用だけとなり、細くすることができ、操作性も向上する。
【０１６５】
こうして、マルチジョイント接続部の設置位置を変えた識別型のインスツルメント体を適宜組み合わせて用いることによって、マルチジョイントの効果を多目的に利用することができ、かつ、接続されたインスツルメント体を簡易、確実に特定することができ、また、装置本体側の識別手段も簡易なものとすることができる。
【０１６６】
また、マルチジョイントでない識別型のインスツルメント体を混在させても、装置本体側では、同じ識別手段でインスツルメント体を特定することができる。
【０１６７】
したがって、一つの診療装置で、上述した種々のタイプのインスツルメント体ＩＡ，ＩＢ，ＩＣ，ＩＡＭ，ＩＢＭ，ＩＣＭを混在させて用いることもできる。
【０１６８】
図１２は、本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の他例を示すもので、（ａ）は全体斜視図、（ｂ）は表示手段での表示例を示す図である。
【０１６９】
図１２（ａ）の診療装置は、図１０のタイプのインスツルメント体ＩＢＭを用いる診療装置であり、装置本体１０ａ（ここでは見えていない。）から導出されたチューブ２２の先端に設けられたマルチジョイント接続部５１ｈ（ここでは見えていない。）に着脱可能に接続して用いる識別型のインスツルメント体ＩＢＭ（１）を備えている。
【０１７０】
この図では、液晶画面で構成された表示手段８ａ、この液晶画面８ａの表面を覆う透明なタッチパネルで構成された入力手段８ｂ、患者を載せて診療するための歯科用治療台８ｃ、ベースン台８ｄ、サイドテーブル支持アーム８ｅ、照明灯ポール８ｆ、サイドテーブル８ｇを備え、入力手段８ｂを兼ねる表示手段８ａは、サイドテーブル８ｇの上方近くに設置され、サイドテーブル８ｇで作業を行う術者がちょうど見やすい位置となっている。
【０１７１】
チューブ２２は３本見えており、ここに、複数のインスツルメント体ＩＢＭ（１）のうち、いずれかのインスツルメント体ＩＢＭ（１）でも着脱交換可能に取りつけることができ、装着したインスツルメント体ＩＢＭ（１）の種別、個別が識別信号出力手段から出力される識別信号によって、特定され、装置本体では、それぞれに合った駆動回路が選択切換され、それぞれのインスツルメント体に合った診療を行うことができる。
【０１７２】
液晶画面である表示手段８ａには、図１２（ｂ）に示すように、チューブ２２に接続されたインスツルメント体ＩＢＭ（１）の種別も表示される。
【０１７３】
この図では、ウインドウ８ａａに、チューブ２２の個別表示、「チューブＡ、チューブＢ、チューブＣ」と、それぞれのチューブＡ、Ｂ、Ｃに接続されたインスツルメント体ＩＢＭ（１）の種別が、モータハンドピース、タービン、スケーラであることが表示されている。
【０１７４】
このウインドウ８ａａはタッチパネルとして入力手段９ａａも構成しており、このチューブＡの位置へボタン９ａａを画面上でドラッグしてクリックすると、別のウインドウ８ａｂに、このチューブＡに接続されたモータハンドピースの詳細が示され、また、このウインドウをタッチパネル９ａｂとして、指定回転数の入力、確認などをすることができる。つまり、特定されたインスツルメント体の表示モード、入力モードが自動的に用意され、簡単な選択により、そのモードに入ることができ、便利がよい。
【０１７５】
この場合、チューブ２２が一つの場合には、選択することなく、自動的に装着されたインスツルメント体の種別に合わせた表示モード、入力モードになる。
【０１７６】
また、この表示手段８ａ、入力手段８ｂは、インスツルメント体の個別履歴管理をする場合の表示、入力にも用いることができる。
図１３は、本発明の識別型のアダプタの例を示す概念図である。
【０１７７】
この識別型のアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃは、マルチジョイント接続部５１ｈを備えたチューブ２２に、マルチジョイントでない接続部Ｃ１、Ｃ２、Ｃ３を有するインスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃを着脱可能に接続し、かつ、それぞれ識別信号出力手段６を備えて、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃの特定を、装置本体１０ａでできるようにするものである。
【０１７８】
なお、それぞれの接続部には、本来、識別信号出力手段６に対応した接続端子も設けられているが、これより、煩雑さを避けるために省略する。
【０１７９】
インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃは、それぞれ、その種類に合わせて、接続部Ｃ１、Ｃ２、Ｃ３に、必要な接続端子Ｄ１〜Ｄ３、Ｄ４〜Ｄ７、Ｄ８〜Ｄ１０を備えているが、これらの位置は、チューブ２２のマルチジョイント接続部５１ｈの接続端子５３ａ〜５３ｇに合わせたものではない。したがって、これらをそのままチューブ２２に接続して使用することはできない。そこで、アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃを用いる。
【０１８０】
アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃは、それぞれ、チューブ側接続部３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃと、インスツルメント側接続部３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃを備え、チューブ側接続部３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃの接続端子３２ａ〜３２ｇは、その位置は、チューブ２２の接続端子５３ａ〜５３ｇの位置に合わせたものとなっており、その種類は、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃが要求するものに対応している。一方、インスツルメント側接続部３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃの接続端子３４ａ〜３４ｊは、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃの接続端子Ｄ１〜Ｄ１０に対応したものとなっている。
【０１８１】
ここで、アダプタ３Ａのチューブ側接続部３１Ａの接続端子３２ａ、３２ｇ、３２ｅとインスツルメント側接続部３３Ａの接続端子３４ａ、３４ｂ、３４ｃが、アダプタ３Ｂのチューブ側接続部３１Ｂの接続端子３２ｂ、３２ｆ、３２ｇ、３２ｅとインスツルメント側接続部３３Ｂの接続端子３４ｄ、３４ｅ、３４ｆ、３４ｇが、アダプタ３Ｃのチューブ側接続部３１Ｃの接続端子３２ｆ、３２ｅ、３２ｃと、インスツルメント側接続部３３Ｃの接続端子３４ｈ、３４ｉ、３４ｊが接続されている。
【０１８２】
また、アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃは、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃ専用であるので、このアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃに内蔵させた識別信号出力手段６からの識別信号によって、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃを特定することができる。
【０１８３】
したがって、このようなアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃを用いると、マルチジョイント対応でないインスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃを、マルチジョイント接続部５１ｈを備えたチューブ２２に着脱可能に装着し、かつ、その種別などを装置本体で自動的に特定して、対応した駆動回路に切り替えて、そのインスツルメントを用いることができる。
【０１８４】
また、アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃを、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃに対して着脱可能としておくと、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃだけをオートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性を備えない場合にも、支障がない。
【０１８５】
つまり、マルチジョイント対応でない既存のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＢＭとすることができるのである。
【０１８６】
図１４は、本発明の識別型のチューブの例を示す概念図である。
【０１８７】
この識別型のチューブ２Ａ、２Ｂは、図１３の識別型のアダプタの着想をチューブに転用したものである。つまり、このチューブ２Ａ、２Ｂを用いれば、マルチジョイント対応でないインスツルメント１２Ａ、１２Ｂを装置本体に設置されたマルチジョイント接続部５５ｈに着脱可能に接続し、かつ、識別信号出力手段６を内蔵しており、インスツルメントの種別などの特定を可能とすることができる。
【０１８８】
チューブ２Ａ、２Ｂのインスツルメント側接続部４６Ａ、４６Ｂは、それぞれインスツルメント１２Ａ、１２Ｂ専用の接続端子Ｆ１、Ｆ２、Ｆ３、Ｆ４でインスツルメント１２Ａ、１２Ｂと専用接続されている。一方、チューブ２Ａ、２Ｂの装置本体側の接続部５５ａ、５５ｂはマルチジョイント対応となっており、装置本体のマルチジョイント接続部５５ｈに設置された接続端子５６ａ〜５６ｅと同じ位置で、その種類はインスツルメント１２Ａ、１２Ｂの接続端子Ｆ１、Ｆ２、Ｆ３、Ｆ４に合わせた接続端子５７ｄ、５７ｅ、５７ｃ、５７ｅが設けられ、これらインスツルメント側、装置本体側の接続部４６Ａ、４６Ｂ、５５ａ、５５ｂの接続端子は、図１１のアダプタと同様に対応づけられて接続されている。
【０１８９】
したがって、かかるチューブ２Ａ、２Ｂを用いて、インスツルメント１２Ａ、１２Ｂを装置本体に接続しても、アダプタの場合と同様の効果を発揮する。つまり、この識別型のチューブをマルチジョイント対応でない既存のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＣＭとすることができるのである。
【０１９０】
図１５は、本発明の識別型のアダプタの他例を示す概念図である。
【０１９１】
この識別型のアダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆは、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆがすでにマルチジョイント対応であるが、識別信号出力手段を内蔵していない場合に用いるものである。
【０１９２】
アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆのチューブ側の接続部３１Ｄ、３１Ｅ、３１Ｆは、図１３のアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃチューブ側の接続部３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃと同じで、インスツルメント側の接続部３３Ｄ、３３Ｅ、３３Ｆの接続端子３４ａ〜３４ｇは、チューブ側と同じ種類のものが同じ位置にもうけられている。インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆの接続端子Ｄａ〜Ｄｇも同様であり、どの接続部もマルチジョイント接続部となっている。
【０１９３】
この場合、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆは、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆ専用であるので、このアダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆに内蔵させた識別信号出力手段６からの識別信号によって、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆを特定することができる。
【０１９４】
こうして、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆを介挿することで、マルチジョイント対応であって、識別信号出力に対応していないインスツルメントを、識別信号出力対応とすることができ、さらに、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆをインスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆに対して着脱可能としておくと、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆだけをオートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性を備えない場合にも、支障がない。
【０１９５】
つまり、この識別型のアダプタを能動的に識別信号を発するものでない既存のマルチジョイント対応のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＢＭとすることができるのである。
【０１９６】
さらに、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆを、共通化し、装置本体のマルチジョイント接続部５１ｈと同じ種類と位置の接続端子を備えるようにしてもよい。この場合、アダプタは、インスツルメント専用ではなくなるが、内蔵する識別信号出力手段により高度な処理機能を備えさせ、接続したインスツルメントの抵抗やインピーダンスを測定して、その測定結果からインスツルメントの種別を特定し、その種別データを、装置本体に出力させるようにすることもできる。
【０１９７】
図１６は、本発明の識別型のチューブの他例を示す概念図である。
【０１９８】
この識別型のチューブ２Ｃ、２Ｄは、図１５の識別型のアダプタの着想をチューブに転用したものである。つまり、このチューブ２Ｃ、２Ｄを用いれば、マルチジョイント対応だが、識別信号出力に対応していないインスツルメント１２Ｃ、１２Ｄを装置本体に設置されたマルチジョイント接続部５５ｈに着脱可能に接続し、かつ、識別信号出力手段６によって、インスツルメント１２Ｃ、１２Ｄの種別などの特定を可能とすることができる。
【０１９９】
チューブ２Ｃ、２Ｄのインスツルメント側接続部４６Ｃ、４６Ｄは、それぞれインスツルメント１２Ｃ、１２Ｄとマルチジョイント対応の接続端子Ｆｃ、Ｆｄ、Ｆｅで接続され、チューブ２Ｃ、２Ｄの装置本体側の接続部５５ｃ、５５ｄもマルチジョイント対応となっており、装置本体のマルチジョイント接続部５５ｈに設置された接続端子５６ａ〜５６ｅと同じ位置で、その種類はインスツルメント１２Ｃ、１２Ｄの接続端子Ｆｃ、Ｆｄ、Ｆｅに合わせた接続端子５７ｃ、５７ｄ、５７ｅが設けられ、これらインスツルメント側、装置本体側の接続端子は、図１５のアダプタと同様に対応つけられて接続されている。
【０２００】
したがって、かかるチューブ２Ｃ、２Ｄを用いて、インスツルメント１２Ｃ、１２Ｄを装置本体に接続しても、アダプタの場合と同様の効果を発揮する。
【０２０１】
つまり、この識別型のチューブを能動的に識別信号を発するものでない既存のマルチジョイント対応のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＣＭとすることができるのである。
【０２０２】
【発明の効果】
請求項１に記載の識別型のインスツルメント体によれば、能動素子としての識別信号出力手段を備えているので、このインスツルメント体を装着した装置本体では、この出力手段からの固有の識別信号を読み取るだけで、インスツルメント体を特定することができ、装置本体での読取手段を簡易なものとすることができる上、より細かなインスツルメント体の特定が可能となる。
【０２０３】
請求項２に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメントに対して着脱可能となっているアダプタに限定したので、請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をアダプタに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもアダプタを外して、インスツルメントをオートクレーブすることができる。
【０２０４】
請求項３に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメントに対して着脱可能となっているチューブに限定したので請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をチューブに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもチューブを外して、インスツルメントをオートクレーブすることができる。
【０２０５】
請求項４に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜３のいずれかの効果に加え、識別信号出力手段をＩＤコード出力素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このＩＤコード出力素子とシリアル通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、また、最も簡易なものとして、識別信号出力手段を構成することができる。
【０２０６】
請求項５に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜３のいずれかの効果に加え、識別信号出力手段をマイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このような素子と通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、インスツルメント体では、より自立的な制御も可能となり、一方、装置本体側では、一定の制御はインスツルメント体に委譲して、分散処理システムを構築することができる。
請求項６に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜３のいずれかの効果に加え、識別信号出力手段における識別信号の発生方法と、識別信号の態様を規定したもので、いずれも、デジタル信号あるいはデジタル化可能な信号として規定されており、請求項１〜３と同様の効果を発揮するインスツルメント体を容易に実現することができる。
【０２０７】
請求項７に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜６のいずれかの効果に加え、マルチジョイント接続部によって、インスツルメント体と装置本体を接続する場合、特に、装着されたインスツルメント体を特定することが重要で、能動的な識別信号出力手段は、その特定を容易、確実にし、装置本体側の機器構成を簡易なものとすることができる。
【０２０８】
請求項８に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項７の効果に加え、マルチジョイント接続部の位置を、請求項２と同様に、インスツルメント体に備えられたアダプタとチューブの間に規定したので、請求項７と同様の効果に加え、請求項２と同様の効果を発揮する。
【０２０９】
請求項９に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項７の効果に加え、マルチジョイント接続部の位置を、請求項３と同様に、インスツルメント体に備えられたチューブと装置本体の間に規定したので、請求項７と同様の効果に加え、請求項３と同様の効果を発揮する。
【０２１０】
請求項１０に記載の識別型のアダプタによれば、請求項２に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項２と同様の効果を発揮する。
【０２１１】
請求項１１に記載の識別型のアダプタによれば、請求項１０の効果に加え、請求項８に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項８と同様の効果を発揮する。
【０２１２】
請求項１２に記載の識別型のチューブによれば、請求項３に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項３と同様の効果を発揮する。
【０２１３】
請求項１３に記載の識別型のチューブによれば、請求項１２の効果に加え、請求項９に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項９と同様の効果を発揮する。
請求項１４に記載の診療装置によれば、請求項１に記載の識別型のインスツルメント体に対応した診療装置であって、請求項１と同様の効果を装置において発揮する。
【０２１４】
請求項１５に記載の診療装置によれば、請求項１２の効果に加え、インスツルメント体特定後の診療装置側の対応を規定しており、特定後は、装置側の駆動回路あるいは制御回路が自動的に特定したインスツルメント体に対応したものになるので、術者は、インスツルメント体を装置本体に装着するだけで、装置の駆動回路などを装着したインスツルメント体に合わせて設定することなく、診療に専念することができ、便利がよい。
【０２１５】
請求項１６に記載の診療装置によれば、請求項１４または１５のいずれかの効果に加え、駆動回路などの切換だけでなく、表示手段、入力手段のモードも装着したインスツルメント体に対応させたものに切り替えるので、術者にとっては、さらに便利がよい。
【０２１６】
請求項１７に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１６のいずれかの効果に加え、請求項１で説明したように、識別信号出力手段から出力される識別信号によってインスツルメント体の種別だけでなく個別の特定が可能という利点を、装置本体側に積極利用したもので、より細かいインスツルメント体の管理を行うことができる。
【０２１７】
請求項１８に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１７のいずれかの効果に加え、インスツルメント体から出力される識別信号の識別手段を規定しており、インスツルメント体の識別信号出力手段は能動的に識別信号を出力するので、装置本体側の識別手段としては、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えることができ、装置構成を簡単なものにすることができる。
【０２１８】
請求項１９に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１８のいずれかの効果に加え、インスツルメント体接続部への接続が、従来のように別個配線とすることなく、ツリー配線とすることができる旨明規したので、装置本体側の配線が簡略化できる。
【０２１９】
請求項２０に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１９に記載の診療装置が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体に対応するものであることを明規したもので、関連する請求項の効果が相乗的に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の識別型のインスツルメント体の一例を示すもので、（ａ）はその一部破断の外観図、（ｂ）はその一部破断の要部外観斜視図
【図２】本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す要部分解斜視図
【図３】本発明の識別型のインスツルメント体で用いられる識別信号出力手段について説明するもので、（ａ）は、その構成を概念的に示すブロック図、（ｂ）は装置本体との信号の接続態様を示す概念図、（ｃ）は、この識別信号出力手段を接続するための本体側のツリー構造を示す概念図、（ｄ）は、この識別信号出力手段が出力する識別信号の一例を示すタイムチャート
【図４】本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図５】本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図
【図６】マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の例を示す概念図
【図７】図６の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図８】マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図
【図９】図８の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図１０】マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図
【図１１】図４、８、１０の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図１２】本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の他例を示すもので、（ａ）は全体斜視図、（ｂ）は表示手段での表示例を示す図
【図１３】本発明の識別型のアダプタの例を示す概念図
【図１４】本発明の識別型のチューブの例を示す概念図
【図１５】本発明の識別型のアダプタの他例を示す概念図
【図１６】本発明の識別型のチューブの他例を示す概念図
【図１７】従来のインスツルメント体の例を示す図
【図１８】従来のインスツルメント体の他例を示すもので、（ａ）はその使用態様を示す外観図、（ｂ）は、その接続部の詳細を示す図
【図１９】従来のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を示すブロック図
【符号の説明】
１（ＩＡ） 識別型のインスツルメント（体）
ＩＢ，ＩＣ，ＩＡＭ，ＩＢＭ，ＩＣＭ 識別型のインスツルメント体
１１ インスツルメント
２ 識別型のチューブ
２１、２２、２３ チューブ
３ 識別型のアダプタ
３１、３２ アダプタ
４、４１、４２ 接続部
５１、５５ マルチジョイント接続部
６ 識別信号出力手段
６Ａ ＩＤコード出力素子
６Ｂ マイクロコンピュータ素子
６Ｃ 通信用集積素子
６ａ 不揮発性記憶手段
７ｄ〜７ｈ 駆動回路
７ｉ 制御回路
８ａ 表示手段
８ｂ 入力手段
９ 識別手段
９ａ マイクロコンピュータ素子
９ｂ 通信用集積素子
１０〜１０Ｃ 診療装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、医科あるいは歯科において、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いる識別型のインスツルメント体、インスツルメント体と装置本体とを接続する識別型のチューブ、アダプタ、及び、これらを用いた診療装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
医科や歯科の診療においては、診療装置の装置本体からインスツルメントを導出させ、電源、水、空気などを供給して、あるいは、自己駆動源を備えた複数のインスツルメントを制御可能として、診療を行うものがある。
【０００３】
そのようなインスツルメントとしては、歯科の場合では、各種モータハンドピース、タービンハンドピースなどの切削治療機器、スケーラ、光重合器などの超音波や光を用いる機器、根管長測定器や口腔内カメラなどの測定観察機器などがある。
【０００４】
歯科用の診療装置では、従来、このようなインスツルメントは、装置本体に専用のチューブを介して接続され、装置本体側では、その専用のチューブの接続部に、接続されたインスツルメントに必要な駆動回路、水回路、エアー回路を配置するようになっていた。
【０００５】
ところが、この方法では、診療装置で用いるインスツルメントの種類が増加するにつれて、装置本体に設ける接続部の数も増え、専用のチューブの本数も増えるが、接続部は装置全体の制約から、無暗に増やすことはできず、チューブの本数も、スペースの問題、相互の絡まり合いなどの問題から、あまり増やすのは好ましくなかった。
【０００６】
しかしながら、新しい診療技術の開発につれ、新しいインスツルメントの種類も増える一方で、いかにして、インスツルメントの種類の増加に、対応するかが大きな解決課題となっており、種々の解決法が提案されてきた。
【０００７】
例えば、特公平８−１１５号公報では、図１７に示したインスツルメントを提案している。
【０００８】
これらのインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄは、着脱交換可能に介挿する基端部１０３ａ〜１０３ｃを介して、あるいは、直接、共通のチューブ１０２に着脱交換可能に装着されて用いられ、基端部１０３ａ〜１０３ｃ及びインスツルメント１０１ｄとチューブ１０２との接続部は、いわゆるマルチジョイント接続部１０４となっており、１種類の共通のチューブ１０２に複数のインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄを着脱交換して使用できる。
【０００９】
つまり、基端部１０３ａ〜１０３ｃ及びインスツルメント１０１ｄ側の接続部１０４ａ〜１０４ｄには、それぞれに必要な接続端子を備えているが、その接続端子の位置は所定の配置に従っており、いずれの接続部１０４ａ〜１０４ｄであっても、チューブ側の接続部１０４ｅに接続し、チューブ１０２を介して装置本体（不図示）から、それぞれのインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄに必要なエアー、水、電源の供給を受けることができるようになっている。
【００１０】
このような構成にすると、一本のチューブ１０２に複数の種類のインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄを着脱交換して使用することができ、チューブ１０２の本数増加の問題の解決を図ることができた。
【００１１】
一方、この方法の場合、装着されたインスツルメントに適合した電源などを供給し、インスツルメントを駆動させるために、装置本体側で、チューブ１０２に装着されたインスツルメントがいずれのインスツルメントであるかを特定する必要があり、そのために、この例では、それぞれのインスツルメント１０１ａ〜１０１ｄ、あるいは、基端部１０３ｂ、１０３ｃに、抵抗値の異なる抵抗１０５ａ〜１０５ｆを内蔵させ、インスツルメントを装着した際には、装置本体側から電流を供給し、これらの抵抗１０５ａ〜１０５ｆの抵抗値を測定することによって、どのインスツルメントが装着されたかを特定するようにしていた。
【００１２】
特公平３−３４３４５号公報では、図１８に示したインスツルメントを提案している。図１８（ａ）はその使用態様を示す外観図、（ｂ）は、その接続部の詳細を示す図である。
【００１３】
これらのインスツルメント２０１ａ〜２０１ｃは、それぞれ専用のチューブ２０２ａ〜２０２ｃを備えており、このチューブ２０２ａ〜２０２ｃを装置本体２１０ａに着脱交換可能に装着されて用いられ、チューブ２０２ａ〜２０２ｃと装置本体との接続部は、マルチジョイント接続部２０４となっている。
【００１４】
このマルチジョイント接続部２０４では、チューブ側の接続部２０４ａ〜２０４ｃは、図１７の接続部１０４ａ〜１０４ｄと同様のマルチジョイント対応となっており、装置本体２１０ａ側には、マルチジョイント対応の同一の接続部２０４ｄが４箇所設けられ、いずれのチューブ２０２ａ〜２０２ｃも、いずれの接続部２０４ｄにも接続して、装置本体２１０ａに設けられたフートコントローラ２１０ｂを操作して、使用することができるようになっている。
【００１５】
このような構成でも、装置本体２１０ａの限られた数の接続部２０４ｄに対し、その接続部２０４ｄの個数以上のインスツルメントを着脱交換して使用することができ、装置本体側のスペースの問題、チューブの本数増加の問題の解決を図ることができた。
【００１６】
一方、この場合も、同様に、装着されたインスツルメントを特定する必要があり、この例では、そのために、チューブ側の接続部２０４ａ〜２０４ｃに、識別ピン２０５ａが副数本立設され、これに対応して、装置本体２１０ａ側の接続部２０４ｄには、この識別ピン２０５ａを挿嵌させる識別ブッシュ２０５ｂが設けられている。
【００１７】
チューブ側に設けられた識別ピン２０５ａの相互間は、インスツルメントの種類に対応させて異なる態様でブリッジ接続されており、装置本体２１０ａ側の識別ブッシュ２０５ｂの相互間には、論理素子が接続されている。したがって、異なるインスツルメントが装置本体２１０ａ側の接続部２０４ｄに接続されることによって、複数の論理素子が異なる態様で接続されることとなり、その出力信号により、装着されたインスツルメントを特定するようにしていた。
【００１８】
特公平６−９５７７号公報では、図１９に示したマルチジョイント接続部でインスツルメントを着脱交換可能に装着して用いる診療装置を提案している。
【００１９】
この歯科用診療装置３００は、診療装置本体部３５０と、それから導出されたチューブ３１０とを備え、このチューブ３１０の先端にはマルチジョイント接続部３１１が設けられ、この接続部３１１には、マイクロモータハンドピース、エアータービンハンドピース、スケーラなどの各種のインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅが着脱交換可能に取り付けることができるようになっている。
【００２０】
診療装置本体部３５０は、制御部３３０、識別指令回路３４０、切換回路３４１を備えており、制御部３３０は、インスツルメントに合わせた電源を供給する作動電力供給回路３２０、水を供給する水供給回路３２１、冷却用空気を供給するチップエアー供給回路３２２、エアータービンハンドピースなどへ駆動用の空気を供給するドライブエアー供給回路３２３を備えており、これらの回路３２０〜３２３から、チューブ３１０に装着されたインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅに、必要な電源、水、空気を供給させるようにしている。
【００２１】
作動電力供給回路３２０には電源３５２、水供給回路３２１には給水源３５３、チップエアー供給回路３２２、ドライブエアー供給回路３２３には、加圧空気源３５４が接続されている。
【００２２】
切換回路３４１は、作動電力供給回路３２０と識別指令回路３４０とを、チューブ３１０を通って接続部３１１に接続されている電気ライン３１２に切換接続するもので、識別指令回路３４０は、電気ライン３１２によって接続部３１１に接続されたインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅの抵抗やインピーダンスの相違によって、どのインスツルメントが接続されたかを識別するとともに、その識別結果に応じて、接続されたインスツルメントに必要な電源、水、空気の選択指令を、上記種々の供給回路３２０〜３２３に与える。
【００２３】
つまり、この診療装置３００では、インスツルメント３０１ａ〜３０１ｅに識別のために別個の抵抗や配線を設けることなく、インスツルメント３０１ａ〜３０１ｅ本来の電気特性を測定することによって、装着されたインスツルメントを特定している。
【００２４】
チューブ３１０内には、電気ライン３１２以外に、水供給回路３２１からの水ライン３１３、チップエアー供給回路３２２からのチップエアーライン３１４、ドライブエアー供給回路３２３からのドライブエアーライン３１５が通っており、接続部３１１に達している。また、チューブ３１０の接続部３１１には、インスツルメントの着脱を検知するセンサ手段３１６が設けられている。
【００２５】
この歯科用診療装置３００には、また、接続されたインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅに電源、水、空気を供給させて、駆動させるための制御駆動スイッチ３５１が備えられ、その信号は、制御部３３０と識別指令回路３４０とに送られるようになっている。
【００２６】
この歯科用診療装置３００では、いずれかのインスツルメントがチューブ３１０の接続部３１１に接続されると、その接続をセンサ手段３１６で検知し、切換回路３４１が識別指令回路３４０側に切り換えられ、識別指令回路３４０は、接続されたインスツルメントを識別し、その結果を保存している。
【００２７】
その後、制御駆動スイッチ３５１が、操作されると、切換回路３４１が作動電力供給回路３２０側に切替わり、識別指令回路３４０に保存されたインスツルメントの識別結果に基づき、それぞれの供給回路３２０〜３２３に指令がなされ、必要な電源、水、空気が供給されるようになっている。
【００２８】
このような構成でも、一本のチューブ３１０に、複数本のインスツルメント３０１ａ〜３０１ｅを着脱交換可能に取り付けることができ、また、それに合わせて必要な電源、水、空気も供給することができ、図１７、１８と同様の効果を発揮することができた。
【００２９】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図１７、１８、１９の場合、いずれも、インスツルメント側から、積極的に識別信号を発するものでなく、装置本体側に、例えば、図１９の診療装置３００の識別指令回路３４０、切換回路３４１のように一定の測定手段を必要とするものであった。加えて、この測定には、例えば、インスツルメントの抵抗を測定する場合、ａ）正確な電圧の発生、ｂ）この電圧のインスツルメントへの印加、ｃ）電流の検出、ｄ）抵抗値の測定とインスツルメントの特定、といった作業が不可欠であり、特に、ｃ）電流の検出は厄介な作業であり、改善が望まれていた。
【００３０】
また、図１７、１９などでインスツルメントの識別手段として用いている抵抗やインピーダンスは、自ら信号を積極的に発することのない受動素子、アナログ素子であり、水に濡れたりすると使用できなかったり、また、経年変化も無視できないため、細かい識別はすることができず、したがって、インスツルメントの種別の識別は出来ても、同じ種類のインスツルメントが複数個ある場合の個別の識別はすることができなかった。
【００３１】
一方、インスツルメントを、装置本体側に設けた論理素子の異なるブリッジ媒体として構成した図１９の場合、上記のような経年変化の問題は生じないが、インスツルメントの種別の数に対応させて、識別ピン２０５ａと識別ブッシュ２０５ｂの数を増やす必要があり、それにつれて接続部２０４が大型化、複雑化するといった問題があった。
【００３２】
さらに、上記図１７、１８、１９のいずれの場合も、インスツルメントを診療装置の受動的部品としてのみ捉え、積極的かつ自立的に動作する能動的部品としては捉えていなかった。
【００３３】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、積極的に自己識別信号を発して、装置本体側でのインスツルメントの特定を容易かつ確実にし、更に、インスツルメントの種類の増加の問題を解決すると共に、インスツルメント自身のより自立的な制御を可能とする識別型のインスツルメント体、識別型のチューブ、識別型のアダプタ、及び、これらを用いた診療装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
まず、本発明で用いる新しい用語であるインスツルメント体などについて説明する。
【００３４】
このインスツルメント体とは、場合によって、インスツルメントそのもの、インスツルメントにアダプタを組み合わせたもの、また、インスツルメントにチューブを組み合わせたものを意味するものである。このような用語を提案する理由は以下の通りである。
【００３５】
本発明では、装置本体に接続されたインスツルメントを特定することを目的とし、このため、後述するように、インスツルメントを特定する固有の識別信号を能動的に出力する識別信号出力手段を、装置本体に着脱可能に接続されるインスツルメント側に備えるようにしたことが最大の特徴である。この場合、識別信号出力手段を内蔵する位置は、インスツルメントそのものであっても、このインスツルメントが装置本体とチューブで接続されている場合には、このチューブであってもよい。さらに、識別信号出力手段を内蔵したアダプタを、チューブとインスツルメントの間に介挿させてもよい。
【００３６】
そうすると、装置本体側から見ると、インスツルメントを特定する対象としては、識別信号出力手段が内蔵されている位置によって、インスツルメントそのもの、インスツルメントとアダプタ、インスツルメントとチューブということになる。なぜなら、アダプタやチューブに識別信号出力手段が内蔵されている場合、これらがなければ、インスツルメントの特定はできないからである。
【００３７】
また、識別信号出力手段を備え、装置本体に着脱可能に装着することで、装置本体において、そのインスツルメントを特定することができる識別型のインスツルメントとしては、識別信号出力手段を備えていることが必須であり、この識別信号出力手段がアダプタに内蔵されておれば、インスツルメントとしては、このアダプタまで含んだものとして、この識別信号出力手段がチューブに内蔵されておれば、インスツルメントとしては、このチューブまで含んだものとして、規定される必要がある。一方、従来のインスツルメントは、これらのアダプタやチューブを含まないものとの概念が一般的であるので、インスツルメントがアダプタやチューブを含んだものとして用いるのは混乱を生じる。
【００３８】
そこで、本発明においては、インスツルメント体という用語を新しく提案し、その内容を上記のように定義したものである。
【００３９】
したがって、インスツルメント体の本来の内容としては、インスツルメントと同様に、診断や治療のために電気のみ、あるいは、電気に加え、水、空気を用いるものを全て含むもので、電気などの用い方は問わないものである。また、診療のために電気をまったく用いないものも含むものである。例えば、電気駆動装置により切削、研磨などをするもの、清浄水や薬液などを治療のために噴射、放出するもの、電気の作用によって治療などをするもの、診断用に、所定の電気接点の組み合わせで電圧、電流などを測定するような診断器なども含み、歯科分野においては、このようなインスツルメント体としては、種々のハンドピース、エアータービンハンドピース、マイクロモータハンドピースや、スケーラ、光重合器、根管長測定器、口腔内カメラ、ポケット測定器、根管充填器、根管治療器などが含まれる。
【００４０】
また、インスツルメント体の装置本体の接続方法も、チューブによるものに限定されず、インスツルメント体内に自己駆動源を備え、装置本体と無線接続されて用いられるようなものも含まれるものである。
【００４１】
診療装置とは、インスツルメント体を装置本体にチューブ、アダプタを介して接続し、そのインスツルメント体に電源、水、空気を供給して、診断や治療をする診療装置の全てを含むもので、歯科用ユニットなどの歯科用の診療装置を始めとして、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる診療装置が含まれるものである。
【００４２】
なお、上記のインスツルメント体と診療装置間の着脱可能な接続は、マルチジョイントの場合と、そうでない場合を含むものである。
【００４３】
以下、請求項１から９においては、識別型のインスツルメント体、請求項１０、１１では識別型のアダプタ、請求項１２、１３では識別型のチューブ、請求項１４から２０では、これらの識別型のインスツルメント体、アダプタ、チューブを用いた診療装置を提案している。
【００４４】
本発明の識別型のインスツルメント体、アダプタ、チューブは、いずれも、従来のような受動的なものではなく、積極的に自己識別信号を発信する能動的な識別信号出力手段を内蔵している点を基本的な特徴とする。従来のようにインスツルメント体を受動的な部品として見るのではなく、能動的あるいは自立的な部品として把握し、自ら自己識別信号を発信させ、さらには、自己制御能力を備えさせんとするものである。
【００４５】
換言すれば、装置本体だけに制御機能を設ける中央処理システムの単なる末端部分ではなく、個々に一定の制御能力を備え、自己識別信号を発信する部分としてインスツルメント体などを構成し、もって、これらのインスツルメント体などを備える装置全体としては、より柔軟で、適応性の高い分散処理システムを構築せんとするものである。また、この方法によれば、チューブによる接続に限定されず、無線化なども可能であり、マルチジョイント対応も容易に可能である。
【００４６】
本発明者は、近年の集積回路の小型化とそのデジタル機器としての特性を十分に把握し、超小型の集積回路が、従来、能動的な識別信号出力手段の埋め込みが不可能とされた歯科用のインスツルメント体のようなスペースの制約された機器に十分内蔵可能であることを見出し、かつ、その能動的機能、デジタル的機能を十分に利用すべく、本願発明に至ったものである。
特に、請求項１に記載の識別型のインスツルメント体は、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、前記インスツルメント体には、そのインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
【００４７】
このインスツルメント体は、上述の能動素子としての識別信号出力手段を備えていることを特徴とし、このインスツルメント体を装着した装置本体では、この出力手段からの識別信号を読み取るだけで、インスツルメント体を特定することができ、装置本体での読取手段を簡易なものとすることができる。
【００４８】
なお、この場合、インスツルメント体と装置本体の接続がマルチジョイントであるか、否かは重要ではない。もちろん、マルチジョイントの場合には、装着されたインスツルメント体の種別を特定することが不可欠で、識別信号出力手段は、その特定手段として着想されたものである。
【００４９】
しかしながら、この能動的な識別信号出力手段は、無線による信号の伝達をも可能とし、識別信号としてデジタル信号を発信することができ、より細かいインスツルメント体の特定、つまり、種別の特定だけでなく、個別の特定もすることができるものであり、インスツルメント体と装置本体が専用のチューブ、あるいは、専用の接続手段で接続される場合にも、従来にない効果を発揮するものである。
【００５０】
例えば、インスツルメント体と装置本体が専用のチューブで接続されている場合でも、同じ種類のインスツルメント体の個別の特定が可能であれば、装置本体では、個々のインスツルメント体の使用履歴の管理、新旧の区別、使用する術者の区別などもすることができ、より細かい管理をすることができる。
【００５１】
請求項２に記載の識別型のインスツルメント体は、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、前記インスツルメント体は、インスツルメントと、このインスツルメントに着脱可能に装着され、前記インスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を内蔵したアダプタから構成され、このアダプタを介して前記装置本体に接続されるようになっており、
前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
【００５２】
このインスツルメント体は、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメント体に対して着脱可能となっているアダプタに限定したものであり、ここでは、インスツルメント体は、このアダプタを含んだものとして規定されている。
【００５３】
こうして、請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をアダプタに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもアダプタを外して、インスツルメント体をオートクレーブすることができる。
【００５４】
請求項３に記載の識別型のインスツルメント体は、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、前記インスツルメント体は、インスツルメントと、このインスツルメントに着脱可能に装着され前記インスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を内蔵したチューブから構成され、このチューブを介して前記装置本体と接続されるようになっており、前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。 このインスツルメント体は、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメント体に対して着脱可能となっているチューブに限定したものであり、ここでは、インスツルメント体は、このチューブを含んだものとして規定されている。
【００５５】
こうして、請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をチューブに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもチューブを外して、インスツルメント体をオートクレーブすることができる。
【００５６】
請求項４に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記識別信号出力手段は、識別信号として、前記インスツルメント体に固有のＩＤコードをシリアルに出力するＩＤコード出力素子で構成されていることを特徴とする。
【００５７】
このインスツルメント体は、識別信号出力手段をＩＤコード出力素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このＩＤコード出力素子とシリアル通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、また、最も簡易なものとして、識別信号出力手段を構成することができる。
【００５８】
請求項５に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記識別信号出力手段は、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として構成されていることを特徴とする。
【００５９】
このインスツルメント体は、識別信号出力手段をマイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このような素子と通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、インスツルメント体では、より自立的な制御も可能となり、一方、装置本体側では、一定の制御はインスツルメント体に委譲して、分散処理システムを構築することができる。
請求項６に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記識別信号出力手段は、不揮発性記憶手段を備え、この不揮発性記憶手段に記憶保存されたデータを元に、前記識別信号として、シリアルデータ、所定の繰り返し周期で波高値を変動させた電圧レベル信号、周波数を異ならせた周波数弁別信号のいずれかを用いることを特徴とする。
【００６０】
このインスツルメント体は、識別信号出力手段における識別信号の発生方法と、識別信号の態様を規定したもので、いずれも、デジタル信号あるいはデジタル化可能な信号として規定されており、請求項１〜３と同様の効果を発揮するインスツルメント体を容易に実現することができる。
【００６１】
請求項７に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項１〜６のいずれかに記載のインスツルメント体において、前記インスツルメント体を前記装置本体に着脱可能に接続するための接続部が、マルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００６２】
ここでマルチジョイント接続部とは、従来例でも説明したように、複数の種別の異なるインスツルメント体を、装置本体側に設けられた単一の接続部に、あるいは、複数の接続部のいずれにも接続できるようなっている接続部のことをいい、この接続部の位置は問わず、インスツルメント体の内容に合わせ、装置本体に直接設けられている場合、装置本体から導出されたチューブの先端に設けられいる場合がある。
【００６３】
こうして、マルチジョイント接続部によって、インスツルメント体と装置本体を接続する場合、特に、装着されたインスツルメント体を特定することが重要で、能動的な識別信号出力手段は、その特定を容易、確実にし、装置本体側の機器構成を簡易なものとすることができる。
【００６４】
特に、近年の診療機器としては、制御装置として、マイクロコンピュータ素子を備えているものが多いが、その場合には、従来例で説明したような別個のアナログ的な識別手段を備えることなく、ソフト的な態様により、この識別信号出力手段からの信号をこの制御装置で読み取り、インスツルメント体を特定することができる。
【００６５】
請求項８に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項７に記載のインスツルメント体において、前記インスツルメント体はインスツルメントとこのインスツルメントに着脱可能に装着されたアダプタから構成され、このアダプタを介して前記装置本体から導出されたチューブに着脱可能に接続されるタイプのものであって、前記アダプタに前記識別信号出力手段を備え、前記アダプタと前記チューブとの間の接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００６６】
このインスツルメント体は、請求項７において、マルチジョイント接続部の位置を、請求項２と同様に、インスツルメント体に備えられたアダプタとチューブの間に規定したもので、請求項７と同様の効果に加え、請求項２と同様の効果を発揮する。
【００６７】
請求項９に記載の識別型のインスツルメント体は、請求項７に記載のインスツルメント体において、前記インスツルメント体はインスツルメントとこのインスツルメントに着脱可能に装着されたチューブから構成され、このチューブを介して前記装置本体に着脱可能に接続されるタイプのものであって、前記チューブに前記識別信号出力手段を備え、前記チューブと前記装置本体との間の接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００６８】
このインスツルメント体は、請求項７において、マルチジョイント接続部の位置を、請求項３と同様に、インスツルメント体に備えられたチューブと装置本体の間に規定したもので、請求項７と同様の効果に加え、請求項３と同様の効果を発揮する。
【００６９】
請求項１０に記載の識別型のアダプタは、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体に着脱可能に装着されるアダプタであって、前記アダプタには、装着されるインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、前記アダプタを装着したインスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
このアダプタは、請求項２に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項２と同様の効果を発揮する。
【００７０】
請求項１１に記載の識別型のアダプタは、請求項１０に記載のアダプタであって、前記アダプタを前記装置本体に着脱可能に接続する接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００７１】
このアダプタは、請求項８に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能にマルチジョイント装着して用いることにより、請求項８と同様の効果を発揮する。
【００７２】
請求項１２に記載の識別型のチューブは、診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体と前記装置本体を接続するチューブであって、前記チューブには、接続したインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、前記チューブを介して前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
このチューブは、請求項３に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項３と同様の効果を発揮する。
【００７３】
請求項１３に記載の識別型のチューブは、請求項１２に記載のチューブであって、前記チューブを前記装置本体に着脱可能に接続する接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする。
【００７４】
このチューブは、請求項９に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメント体と装置本体の間に着脱可能にマルチジョイント装着して用いることにより、請求項９と同様の効果を発揮する。
請求項１４に記載の診療装置は、複数のインスツルメント体を装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行う診療装置であって、前記インスツルメント体を、そのインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備えた識別型のインスツルメント体として構成し、前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする。
【００７５】
この診療装置は、請求項１に記載の識別型のインスツルメント体に対応した診療装置であって、請求項１と同様の効果を装置において発揮する。
【００７６】
請求項１５に記載の診療装置は、請求項１２に記載の診療装置において、前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体に対応させて駆動回路あるいは制御回路をそのインスツルメント体に自動的に接続することを特徴とする。
【００７７】
この診療装置は、インスツルメント体特定後の診療装置側の対応を規定したもので、特定後は、装置側の駆動回路あるいは制御回路が自動的に特定したインスツルメント体に対応したものになるので、術者は、インスツルメント体を装置本体に装着するだけで、装置の駆動回路などを装着したインスツルメント体に合わせて設定することなく、診療に専念することができ、便利がよい。
【００７８】
請求項１６に記載の診療装置は、請求項１４または１５のいずれかに記載の診療装置において、前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体に対応させて、表示手段の表示モード、または／かつ、タッチパネルなどの入力手段の入力モードを自動的に切り換えることを特徴とする。
【００７９】
この診療装置は、駆動回路などの切換だけでなく、表示手段、入力手段のモードのいずれか、あるいは双方を装着したインスツルメント体に対応させたものに切り替えるので、術者にとっては、さらに便利がよい。
【００８０】
請求項１７に記載の診療装置は、請求項１４〜１６のいずれかに記載の診療装置において、前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体の使用履歴の管理、使用する術者の区別なども行うようにしたことを特徴とする。
【００８１】
この診療装置は、請求項１で説明したように、識別信号出力手段から出力される識別信号によってインスツルメント体の種別だけでなく個別の特定が可能という利点を、装置本体側に積極利用したもので、より細かいインスツルメント体の管理を行うことができる。
【００８２】
請求項１８に記載の診療装置は、請求項１４〜１７のいずれかに記載の診療装置において、前記装置本体には、接続したインスツルメント体の識別信号出力手段から出力された識別信号の識別手段として、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えていることを特徴とする。
この診療装置は、インスツルメント体から出力される識別信号の識別手段を規定したもので、インスツルメント体の識別信号出力手段は能動的に識別信号を出力するので、装置本体側の識別手段としては、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えることができ、装置構成を簡単なものにすることができ、更に、装置本体側に制御装置としてマイクロコンピュータ素子などが設置されている場合には、ソフト的対応で済ませることができる。
【００８３】
請求項１９に記載の診療装置は、請求項１４〜１８のいずれかに記載の診療装置において、前記装置本体において、前記インスツルメント体を着脱可能に接続する接続部への配線がツリー構造となっていることを特徴とする。
【００８４】
この診療装置は、装着するインスツルメント体は能動的に識別信号を出力するので、その通過経路がインスツルメント体の特定に影響しないという利点を生かしたもので、インスツルメント体接続部への接続が、従来のように別個配線とすることなく、ツリー配線とすることができる旨明規したもので、装置本体側の配線が簡略化できる。
【００８５】
請求項２０に記載の診療装置は、請求項１４〜１９のいずれかに記載の診療装置において、前記インスツルメント体が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体であるか、かつ／または、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、かつ／または、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体であることを特徴とする。
【００８６】
この診療装置は、請求項１４〜１９に記載の診療装置が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体に対応するものであることを明規したもので、関連する請求項の効果が相乗的に発揮される。
【００８７】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図とともに説明する。以下では、一例として、歯科用のインスツルメント体、アダプタ、チューブ、診療装置の場合について説明するが、上述したように本発明の分野はこれに限るものではない。
【００８８】
図１は、本発明の識別型のインスツルメント体の一例を示すもので、（ａ）はその一部破断の外観図、（ｂ）はその一部破断の要部外観斜視図、図２は、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す要部分解斜視図である。
【００８９】
これらの図によって、まず、本発明の特徴とする識別信号出力手段の設置方法について説明する。
【００９０】
図１に示す識別型のインスツルメント体１は、マイクロモータハンドピースであり、先端に切削工具を備え、本体部１ｂに着脱可能な工具保持部１ａと、小形モータを内蔵した本体部１ｂで構成され、本体部１ｂと診療装置の装置本体（不図示）はチューブ２１で接続されている。このインスツルメント体は、インスツルメント１そのもので構成されているタイプ（ＩＡ）である。
【００９１】
この例では、識別信号出力手段６は、本体部１ｂに内蔵された小形モータの固定子１ｃに内蔵されているが、その詳細を図１（ｂ）に示している。
【００９２】
固定子１ｃは、内筒１ｃｂの周りにコイル１ｃａを配置し、これを制御部品を載せた基板１ｃｄと共に、樹脂１ｃｃで一体被覆成形したもので、基板１ｃｄからは接続端子１ｃｅが伸び出している。この図では、その被覆の一部を破断して、基板１ｃｄとコイル１ｃａが見えるようにしているが、非常に小形の識別信号出力手段６は、この基板１ｃｄに他の制御部品と共に配置され、一体樹脂被覆成形されている。接続端子１ｃｅの内、一部は、この識別信号出力手段６のための接続端子６ｅとして用いられている。
【００９３】
このように、識別信号出力手段６は、インスツルメント体１の部品の中に当初から組み込んで置くのがよい。また、この場合、識別信号出力手段６は、一体樹脂被覆されているのが、外の環境の影響を受けにくく、その性能が安定的に発揮される。
【００９４】
図２は、図１と同様のマイクロモータハンドピースとして構成されたインスツルメント体の中に、識別信号出力手段を組み込む他の方法を示している。
【００９５】
インスツルメント体１の本体部１ｂに収容された小形モータの固定子１ｃは、さらに、その接続端子１ｃｅ側に、ブラケット１ｄ、リング１ｅを介して、本体部１ｂに組み込まれているが、この固定子１ｃとブラケット１ｄの間に、アダプタ３１を介在させ、このアダプタ３１の保護リングでブラケット１ｄに載せた識別信号出力手段６を保持し、保護するようにしている。
【００９６】
このようにすると、元々は識別信号出力手段が組み込まれていないインスツルメント体に、後から識別信号出力手段を組み込むことができる。
【００９７】
図３は、本発明の識別型のインスツルメント体で用いられる識別信号出力手段について説明するもので、（ａ）は、その構成を概念的に示すブロック図、（ｂ）は装置本体との信号の接続態様を示す概念図、（ｃ）は、この識別信号出力手段を接続するための本体側のツリー構造を示す概念図、（ｄ）は、この識別信号出力手段が出力する識別信号の一例を示すタイムチャート、図４は、本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
【００９８】
これらの図を用いて、識別信号出力手段の詳細とその基本機能について説明する。なお、これより、既に説明した部分と同様の部分については、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【００９９】
図３（ａ）に示す識別信号出力手段６は、本発明で用いる識別信号出力手段の一例であって、この出力手段６の全体を制御するＣＰＵ６ａ、制御に必要なデータを記憶させたＲＯＭ（不揮発性記憶手段）６ｂ、ＣＰＵ６ａからの指示を受けて作動する出力回路６ｃ、電源線６ｅａ、信号線６ｅｂ、共通線６ｅｃからなる接続線６ｅから構成されている。
【０１００】
この識別信号出力手段６は、図３（ｂ）に示すように、識別型のインスツルメント体１に内蔵され、その接続線６ｅのそれぞれに対応した接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃがインスツルメント体１に設けられている。このインスツルメント体１は、装置本体１０ａに着脱可能に装着される。
【０１０１】
装置本体１０ａにはインスツルメント体１の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃに対応した端子受け９ｄａ、９ｄｂ、９ｄｃが設けられ、これらの端子受け９ｄａ、９ｄｂ、９ｄｃは、電源線９ｃａ、信号線９ｃｂ、共通線９ｃｃに接続され、電源線９ｃａと信号線９ｃｂの間には抵抗Ｒが架橋されている。
【０１０２】
これらの電源線９ｃａ、信号線９ｃｂ、共通線９ｃｃを纏めて、装置本体側の接続線９ｃと呼ぶ。信号線９ｃｂが装置本体に設置された識別手段９（図４参照。）に接続されている。また、この例では、インスツルメント体１と装置本体１０ａとの間の接続部をインスツルメント接続部４と呼ぶ。
【０１０３】
こうして、このインスツルメント体１を装置本体１０ａに装着すると、インスツルメント体１の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃと、装置本体１０ａの端子受け９ｄａ、９ｄｂ、９ｄｃが接続され、装置本体から電源（この例では、５Ｖの直流）が供給され、それを識別信号出力手段６のＣＰＵ６ａが検知して、ＲＯＭ６ｂからインスツルメント体１を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を読み出し、それを出力回路６ｃを介して、信号線６ｅｂから出力し、この識別信号を信号線９ｄｂで受けた識別手段９では、これを単純に読み取って、あるいは、識別信号出力手段６と通信して、このインスツルメント体１を特定する。
【０１０４】
識別信号出力手段６は、上記のＣＰＵ６ａを最も単純なものとして、装置本体からの電源を受けて、識別信号として、インスツルメント体１に固有のＩＤコードをシリアルに出力するＩＤコード出力素子として構成することができ、この場合、識別信号出力手段の構成が最も簡易なものとなる。
【０１０５】
しかしながら、識別信号出力手段６は、ＣＰＵ６ａをより高度なマイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として構成することもでき、その場合、インスツルメント体では、より自立的な制御も可能となり、一方、装置本体側では、一定の制御はインスツルメント体に委譲して、分散処理システムを構築することができる。
【０１０６】
また、識別信号は、ＲＯＭ（不揮発性記憶手段）６ｂから読み出されて出力されるが、その態様としては、上述のシリアルデータだけでなく、所定の繰り返し周期で波高値を変動させた電圧レベル信号、周波数を異ならせた周波数弁別信号なども用いることができる。
【０１０７】
識別信号出力手段６は、識別信号を能動的に出力するので、その信号の通過経路がインスツルメント体の特定に影響せず、複数のインスツルメント接続部４を設ける場合、その接続を、図３（ｃ）のようなツリー配線とすることができ、従来のように別個配線とすることなく、装置本体側の配線が簡略化できる。
【０１０８】
ここで、更に、図３（ｄ）も用いて、インスツルメント接続部４への接続がツリー配線とされ、識別信号出力手段６としてＩＤコード出力素子を用い、識別信号としてシリアルデータであるＩＤコードを出力する場合の通信方法について、より詳しく説明する。
【０１０９】
装置本体１０ａに何も接続されていない場合、信号線６ｅｂは常に、「Ｈ」なので、識別手段９では、これを未接続と検出して、例えば、未接続表示を行う。
【０１１０】
識別信号出力手段６が内蔵されたインスツルメント体１が接続されると、装置本体１０ａから電源が供給され、識別信号出力手段６では、図３（ｄ）のようなシリアルデータを出力する。このデータは、１００ｍｓ以上の「Ｌ」と、１ｍｓの「Ｈ」または「Ｌ」、２ｍｓの「Ｈ」または「Ｌ」の組み合わせで構成され、１ｍｓ毎に６ｂｉｔのコード（００１１０１Ｂ）を送るようにしている。１００ｍｓ以上の「Ｌ」の次の１ｍｓの「Ｈ」信号は、スタートビットＳＢとして規定されている。
【０１１１】
識別信号出力手段６では、このようなシリアルデータを出力し続け、これを受けて、装置本体１０ａの識別手段９では、受信したデータを１ｍｓ毎にサンプリングしてデータを検出して、接続されたインスツルメント体１のＩＤコードを読み取り、このインスツルメント体１を特定することができる。
【０１１２】
図４は、別タイプの識別型のインスツルメント体を６種類（１Ａ〜１Ｆ）、それぞれ専用のチューブ２を介して、装置本体１０ａに接続した診療装置１０を示している。このインスツルメント体は、インスツルメント１Ａ〜１Ｆと専用のチューブ２を組み合わせたタイプＩＣである。
【０１１３】
インスツルメント体ＩＣ、つまりインスツルメント１の種類は、タービンハンドピース１Ａ、モーターハンドピース１Ｂ、スケーラ１Ｃ、スリーウェイシリンジ１Ｄ、高速モーターハンドピース１Ｅ、低速モーターハンドピース１Ｆであり、それぞれのチューブ２は、チューブ側の接続部４ａによって、装置本体１０ａに設けられたそれぞれに専用の接続部４ｂに接続されている。つまり、この診療装置１０は、マルチジョイント対応ではない。
【０１１４】
装置本体１０ａは、エアー源Ａから加圧エアーの供給を受けて、インスツルメント体ＩＣに必要なエアーを供給するエアー回路７ａ、給水源Ａから水の供給を受けて、インスツルメント体ＩＣに必要な水を供給する水回路７ｂ、外部電源Ｅの供給を受け、接続されたインスツルメント体ＩＣ（１Ａ〜１Ｆ）の種類に合わせた駆動電源を供給するタービン駆動回路７ｃ、モーター駆動回路７ｄ、スケーラ駆動回路７ｅ、シリンジ駆動回路７ｆ、高速モーター駆動回路７ｇ、低速モーター駆動回路７ｈ、装置全体を制御している制御回路７ｉ、液晶画面やプリンタなどの出力手段（不図示）や、タッチパネルやフートコントローラなどの入力手段（不図示）を含み、これらを制御する入出力回路７ｊ、後述する駆動制御回路７ｋに加え、接続された識別型のインスツルメント体ＩＣから出力される識別信号を識別する識別手段９を備えている。
【０１１５】
駆動制御回路７ｋは、インスツルメント体ＩＣ（１Ａ〜１Ｆ）に一対一対応で設けられた駆動回路７ｃ〜７ｈの断接を行うと共に、必要に応じて、エアー回路７ａ、水回路７ｂを、インスツルメント体ＩＣ（１Ａ〜１Ｆ）に接続切換する。
【０１１６】
この例では、まず、インスツルメント体ＩＣに内蔵された識別信号出力手段６の内蔵位置に注目する。つまり、ここでは、インスツルメント体ＩＣは、このチューブ２と接続部４ａまでも含んだものとして把握し、識別信号出力手段６は、インスツルメント１Ａ〜１Ｆの内部ではなく、チューブ２の後端側、つまり、チューブ側の接続部４ａに内蔵されている。
【０１１７】
このタイプＩＣの場合、通常、インスツルメント１は、チューブ２に対しても着脱可能となっており、必要に応じて、インスツルメント１をチューブ２から外して、オートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性のないものであっても支障がない。
【０１１８】
つぎに、このように専用の接続部４で装置本体１０ａに接続され、一対一対応で駆動回路を備えている、マルチジョイント対応でない場合の、識別信号出力手段６の役割について説明する。
【０１１９】
識別信号出力手段６は、図３で説明したように、ＩＤコード出力手段として構成可能であり、このＩＤコードは、個々のＩＤコード出力手段の個別製造番号として付与され、このようなＩＤコードを用いて、これを内蔵したインスツルメント体の種別だけでなく、個別の特定もすることができる。つまり、個々のインスツルメント体ＩＣを全て区別することができるということである。
【０１２０】
したがって、個々のインスツルメント体の使用頻度や使用積算時間、故障回数などの個別履歴管理を行い、所定時間以上使用したインスツルメント体については、警告を発したり、駆動制御回路７ｋの断接を制御して、使用できなくしたりすることも可能となる。また、術者毎に専用のインスツルメント体を設定しておき、他の術者のインスツルメント体を間違って接続した場合には、警告を発したり、使用できなくしたりすることもできる。
【０１２１】
以下には、この治療装置１０の制御回路７ｉで用いられる、上述の個別履歴管理を行うためのインスツルメント体履歴管理表の一例を概念的に示す。
【０１２２】
このような管理表が、治療装置１０に用意され、インスツルメント体の使用毎に更新されておれば、上述にようなインスツルメント体の個別履歴管理を行うことができ、他の術者のインスツルメント体を間違って使用したりするのを避けたり、使用限度時間を設定しておいて、これを超えたものを交換したり、よりきめ細かいインスツルメント体の使用の管理を行うことができ、ひいては、より安全な診療に貢献することとなる。
【０１２３】
また、識別信号出力手段は、自ら能動的に信号を出力するものであるので、インスツルメント体と装置本体の間の信号の送受を無線で行うことも可能であり、接続部の接続端子の個数を減らしたり、また、インスツルメント体自体を完全に自立タイプとして、コードレスで構成するようにもできる。
【０１２４】
インスツルメント体ＩＣの識別信号出力手段６は能動的に識別信号を出力するので、装置本体１０ａ側の識別手段９としては、ＣＰＵ（マイクロコンピュータ素子）９ａあるいはＣＩＣ（通信用集積素子）９ｂを備えることができ、装置構成を簡単なものにすることができ、更に、装置本体１０ａの制御回路７ｉに、すでに、ＣＰＵ（マイクロコンピュータ素子）などが設置されている場合には、識別手段の機能を備えたプログラムを用いることによって、この制御回路７ｉ用のＣＰＵに、識別手段９を兼ねさせることもできる。
【０１２５】
図５は、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図である。このインスツルメント体は、種々のインスツルメント１Ａ〜１Ｃに、それぞれ識別信号出力手段６を内蔵した専用のアダプタを着脱可能に装着したタイプＩＢのインスツルメント体である。
【０１２６】
このインスツルメント体ＩＢ（１Ａ〜１Ｃ）、装置本体とは、それぞれ専用のチューブ２１を介して接続され、インスツルメント１Ａ〜１Ｃと、アダプタ３の間の接続部４１、アダプタ３１とチューブ２１の間の接続部４２はそれぞれ専用の接続端子で１対１で接続され、いわゆるマルチジョイントタイプではない。
【０１２７】
このタイプＩＢの場合にも、図４と同様に、必要に応じて、インスツルメント１をアダプタ３１から外して、オートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性のないものであっても支障がない。また、図４のインスツルメント体ＩＣと同様に、インスツルメント体の個別履歴管理などを行うことができる。
【０１２８】
図６は、マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の例を示す概念図である。なお、この図６と後述の図１３〜図１７では、接続部での端子を平面的なものとして表示しているが、これは、端子の位置と種類を概念的に示すために、概念的に平面化したもので、実際の端子の構造は、図５のように凸凹の組み合わせや、軸方向に前後して同心状に設けられたりするものである。
【０１２９】
これまでは、インスツルメント体と装置本体との接続部は特にマルチジョイント対応に限定するものでなかったが、これより、両者間の接続がマルチジョイント対応となっている場合について説明する。
【０１３０】
マルチジョイント接続部とは、複数のインスツルメント体について、装置本体の単一の接続部、あるいは、複数の接続部のいずれにも、接続して、使用できるようにした接続部をいい、この場合には、マルチジョイント接続部にいずれのインスツルメント体が接続されたかを特定する必要があり、その場合に、特に、本発明の識別型のインスツルメント体が効果を発揮する。
【０１３１】
この例は、装置本体１０ａから導出されたチューブ２２の接続部が、マルチジョイント接続部５１ｈとなっており、これに対応して識別型のインスツルメント体１Ｂ、１Ｃ、１Ｇの接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇもマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇとなっている。このインスツルメント体は、インスツルメントそのもので構成され、かつ、その本体側との接続部がマルチジョイント接続部となっているタイプＩＡＭである。
【０１３２】
チューブ２２のマルチジョイント接続部５１ｈには、電気用の接続端子５３ａ、５３ｂ、５３ｃ、５３ｄ、５３ｅと、エアー用接続端子５３ｆ、水用接続端子５３ｇが設けられ、更に、既に説明した識別用の電源接続端子９ｄａと信号用接続端子９ｄｂが設けられている。電気用の接続端子のうち、接続端子５３ｅは、共通線用であり、識別のための共通線用の接続端子９ｄｃとしても機能している。
【０１３３】
上述の接続端子は、このチューブ２２に着脱交換して使用されるインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ，１Ｃ，１Ｇ）のいずれを装着しても必要な電源、水、エアーを供給できるように、それぞれの本数が用意され、その位置は、固定されている。
【０１３４】
インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ、１Ｃ、１Ｇ）のマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇは識別信号出力手段６を内蔵するとともに、マルチジョイントに対応しており、モータハンドピースとして構成されたインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）の接続部５１ｂには、小形三相モータ用として接続端子５２ａ、５２ｂ、５２ｃと、ランプ用として接続端子５２ｄ、共通線用として接続端子５２ｅ、エアー用として接続端子５２ｆ、水用として接続端子５２ｇ、更に、識別用の電源接続端子６ｄａと信号用接続端子６ｄｂが設けられ、同様に、共通線用の接続端子５２ｅは、６ｄｃとして共用している。
【０１３５】
これらのインスツルメント体側の接続端子５２ａ〜５２ｇ、６ｄａ〜６ｄｃの位置は、チューブ側の接続端子５３ａ〜５３ｇ、９ｄａ〜９ｄｃと同じ位置に設けられているので、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）のマルチジョイント接続部５１ｂを、チューブ２２側のマルチジョイント接続部５１ｈに接続すると、インスツルメント体１Ｂに必要な電源、水、エアーの接続端子が連結され、これらの供給が可能になる。
【０１３６】
スケーラとして構成されたインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）の接続部５１ｃには、スケーラ用接続端子５２ａと、共通線用として接続端子５２ｅ、水用として接続端子５２ｇが設けられ、識別用の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃについては、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）の接続部５１ｂと同様である。
【０１３７】
これらのインスツルメント体側の接続端子５２ａ、５２ｅ、５２ｇ、６ｄａ〜６ｄｃの位置は、チューブ側の接続端子５３ａ、５３ｅ、５３ｇ、９ｄａ〜９ｄｃと同じ位置に設けられているので、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）のマルチジョイント接続部５１ｃを、チューブ２２側のマルチジョイント接続部５１ｈに接続すると、インスツルメント体１Ｃに必要な電源、水の接続端子が連結され、これらの供給が可能になる。
【０１３８】
光重合器として構成されたインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｇ）の接続部５１ｇには、重合ランプ用接続端子５２ｃと、共通線用として接続端子５２ｅ、エアー用として接続端子５２ｆが設けられ、識別用の接続端子６ｄａ、６ｄｂ、６ｄｃについては、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ）の接続部５１ｂと同様で、同様にして、必要な電源、空気の供給が可能となる。
【０１３９】
なお、ここで、図４で例示した６つのインスツルメント１Ａ〜１Ｆのうち、モータハンドピースとして構成されたインスツルメント１Ｂ、スケーラとして構成されたインスツルメント１Ｃについてだけ、また、他例として、新たに、光重合器として構成されたインスツルメント１Ｇについて、ここでのインスツルメント体ＩＡＭの例として示したのは、電源、水、空気の選択態様が異なる例として適当なためであって、図４で例示した６つのインスツルメント１Ａ〜１Ｆや、更に他のタイプのインスツルメントであっても、接続部がマルチジョイント対応であれば、このチューブ２２のマルチジョイント接続部５１ｈに着脱可能に接続して用いるインスツルメント体ＩＡＭとして構成することができる。
【０１４０】
インスツルメント体側のマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇとチューブ側のマルチジョイント接続部５１ｈから構成されるマルチジョイント接続部５１は、このような構造で、いずれのインスツルメント体でも着脱可能に用いることが可能であるが、この場合、特に、装着されたインスツルメント体の種類を特定することが重要であり、それぞれの識別型のインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｂ、１Ｃ、１Ｇ）のマルチジョイント接続部５１ｂ、５１ｃ、５１ｇに内蔵された識別信号出力手段６が識別信号を出力し、装置本体側では、この識別信号を読み取って、あるいは、この識別信号出力手段６と通信することによって、接続されたインスツルメント体を特定し、装置本体側での対応をすることができる。
【０１４１】
図７は、図６の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
【０１４２】
この診療装置１０Ａは、図４の診療装置１０に比べ、図６で説明した様に、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ〜１Ｆ）とチューブ２２の接続部４１がマルチジョイント接続部４１となっている点が異なっている。
【０１４３】
これに対応して、装置本体１０ａでも、駆動切換回路７ｌは、それぞれのインスツルメント体と駆動回路とを断接するだけでなく、マルチジョイント接続部４１に接続された識別型のインスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ〜１Ｆ）を識別手段９で特定して、それに対応した駆動回路７ｃ〜７ｈを選択切換し、エアー回路７ａ、水回路７ｂを選択接続する。
【０１４４】
この例の場合、装置本体１０ａの本体側接続部４４から２本のチューブ２２が導出されているので、このそれぞれのチューブ２２のマルチジョイント接続部４１ｈに接続されたインスツルメント体が特定され、それぞれのチューブ２２毎に特定された駆動回路が切換選択され、エアー、水が供給される。
【０１４５】
例えば、上のマルチジョイント接続部４１ｈ（Ａ）に、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）が接続されると、識別手段９で、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）に内蔵された識別信号出力手段６の識別信号を判別して、このインスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）がタービンハンドピースであることを特定し、これを受けて制御回路７ｉから制御指令を出し、駆動切換回路７ｌで、タービン駆動回路７ｃと必要なエアー回路７ａ、水回路７ｂをマルチジョイント接続部４１ｈ（Ａ）に切換接続して、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ａ）に適合した駆動電源、エアー、水を供給する。
【０１４６】
同様に、下のマルチジョイント接続部４１ｈ（Ｂ）にインスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）が接続されると、スケーラ駆動回路７ｅと必要なエアー回路７ａ、水回路７ｂをマルチジョイント接続部４１ｈ（Ｂ）に切換接続して、インスツルメント体ＩＡＭ（１Ｃ）に適合した駆動電源、エアー、水を供給する。
【０１４７】
こうして、この診療装置は、識別信号出力手段６を内蔵したインスツルメント体ＩＡＭをチューブ２２に着脱交換可能にマルチジョイント接続するだけで、接続したインスツルメント体に適合した駆動電源などが自動的に選択され供給されるので、術者によっては、非常に便利がよい。
【０１４８】
図８は、マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図である。このインスツルメント体は、インスツルメントと識別信号出力手段を内蔵した専用のチューブを組み合わせ、かつ、チューブと装置本体間の接続がマルチジョイントとなっているタイプのインスツルメント体ＩＣＭである。
【０１４９】
この識別型のインスツルメント体ＩＣＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）は、マルチジョイント接続部４５が、装置本体１０ａとインスツルメント体ＩＣＭを構成するチューブ２３との間に設けられている点が、図６と異なっており、それぞれのチューブ２３Ａ、２３Ｂ、２３Ｃの先端側はインスツルメント１Ａ、１Ｂ、１Ｃに個別対応した接続部４６Ａ、４６Ｂ、４６Ｃとなっているが、装置本体１０ａ側の接続部４５ａ、４５ｂ、４５ｃは、図６のマルチジョイント接続部４１と同様のマルチジョイント接続部４５ａ、４５ｂ、４５ｃとなっており、装置本体１０ａに設けられた接続部４５ｈも、同様のマルチジョイント接続部４５ｈとなっており、いずれのチューブ２３Ａ、２３Ｂ、２３Ｃでも、装置本体１０ａに接続して使用することができる。
【０１５０】
この際、チューブ２３には、もちろん、識別信号出力手段６が内蔵されるが、その内蔵位置は、チューブ２３Ａのように、チューブ２３Ａの中間部分でもよいし、チューブ２３Ｂのように、装置本体側のマルチジョイント接続部４５ｂでもよいし、チューブ２３Ｃのように、先端の接続部４６Ｃ側であってもよい。
【０１５１】
図９は、図８の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
この診療装置１０Ｂは、図８の診療装置１０Ａに比べ、マルチジョイント接続部５５が、インスツルメントとチューブとの間でなく、図８で説明した様に、インスツルメント体ＩＣＭを構成するチューブ２３と装置本体１０ａとの間となっている点が異なっているだけで、その他の部分は同じである。
【０１５２】
このように構成しても、装置本体１０ａの３か所のマルチジョイント接続部５５ｈに接続されたインスツルメント体ＩＣＭが、チューブ２３に内蔵された識別信号出力手段６から出力される識別信号を用いて、特定され、それぞれの接続部５５ｈ毎に特定された駆動回路が切換選択され、エアー、水が供給される。
【０１５３】
図１０は、マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図である。このインスツルメント体は、マルチジョイント対応で、種々のインスツルメント１Ａ〜１Ｃに、それぞれ識別信号出力手段６を内蔵した専用のアダプタを着脱可能に装着したタイプのインスツルメント体ＩＢＭである。
【０１５４】
このインスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ〜１Ｃ）は、図５のインスツルメント体ＩＢに比べ、インスツルメント体がアダプタと組み合わされたものである点では共通するが、本体から導出されたチューブとの接続部がマルチジョイント接続部５１となっている点が異なる。
【０１５５】
したがって、インスツルメント１Ａ〜１Ｃとアダプタ３２の接続部４１は、図５のインスツルメント体ＩＢと同様であり、アダプタ３２とチューブ２２の接続部は、図６の接続部５１と同じ構造となっている。
【０１５６】
このような構成としても、インスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ〜１Ｃ）を装置本体に着脱可能にマルチジョイント接続し、かつ、装置本体では、接続されたインスツルメント体を、アダプタ３２に内蔵された識別信号出力手段６によって、特定し、駆動回路などを、特定したインスツルメント体に対応したものに切り替えることができる。
【０１５７】
また、図５のインスツルメント体ＩＢと同様に、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性のない場合でも、インスツルメント１Ａ〜１Ｃとアダプタ３２を分離することで、インスツルメントだけをオートクレーブすることができる。
【０１５８】
図１１は、図４、８、１０の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図である。
【０１５９】
この診療装置１０Ｃは、図８の識別型のインスツルメント体ＩＣＭ、つまり、識別信号出力手段６を内蔵したチューブの後端側がマルチジョイント接続部５５ｇ，５５ｊとなっているタイプのインスツルメント体ＩＣＭ（１Ｇ、１Ｊ）、図４の識別型のインスツルメント体ＩＣ、つまり、識別信号出力手段６を内蔵した専用のチューブの接続部４ａで装置本体に専用接続されるインスツルメント体ＩＣ（１Ｋ）、図１０のインスツルメント体ＩＢＭ、つまり、識別信号出力手段６を内蔵したアダプタ３２を着脱可能に装着し、このアダプタ３２のチューブ側がマルチジョイント接続部５１ａ，５１ｂ，５１ｃになっているタイプのインスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）とを着脱可能に装着して使用することができる。
【０１６０】
これに対応して、装置本体１０ａ側にも、マルチジョイント接続部５５ｈと、インスツルメント専用の接続部４ｂとを設け、マルチジョイント接続部５１ｈを設けたチューブ２２を導出させている。
【０１６１】
インスツルメント体ＩＣＭ（１Ｇ）は、光重合器であり、インスツルメント体ＩＣＭ（１Ｊ）は、口腔カメラとして構成され、インスツルメント体ＩＣ（１Ｋ）は、根管長測定器として構成されている。インスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）は、それぞれ、タービンハンドピース、モーターハンドピース、スケーラとして構成されている。
【０１６２】
このように構成しても、それぞれ、マルチジョイント接続、あるいは、専用接続して、接続したインスツルメント体に合わせた駆動回路を切り替えて駆動させ、診療を行うことができる。
【０１６３】
また、この場合、インスツルメント体ＩＢＭ（１Ａ、１Ｂ、１Ｃ）は、それぞれ、水やエアーを用いるので、チューブはそれだけ太く、この太いチューブをマルチ化することで本数を減らすことができ、絡まりの問題も発生することが少ない。チューブを専用とした場合に比べて、チューブの操作性が劣るようなこともない。
【０１６４】
一方、インスツルメント体ＩＣＭ（１Ｇ、１Ｊ）は、光重合器、口腔カメラであるので、水やエアーを用いなくとも良く、チューブは電源用だけとなり、細くすることができ、操作性も向上する。
【０１６５】
こうして、マルチジョイント接続部の設置位置を変えた識別型のインスツルメント体を適宜組み合わせて用いることによって、マルチジョイントの効果を多目的に利用することができ、かつ、接続されたインスツルメント体を簡易、確実に特定することができ、また、装置本体側の識別手段も簡易なものとすることができる。
【０１６６】
また、マルチジョイントでない識別型のインスツルメント体を混在させても、装置本体側では、同じ識別手段でインスツルメント体を特定することができる。
【０１６７】
したがって、一つの診療装置で、上述した種々のタイプのインスツルメント体ＩＡ，ＩＢ，ＩＣ，ＩＡＭ，ＩＢＭ，ＩＣＭを混在させて用いることもできる。
【０１６８】
図１２は、本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の他例を示すもので、（ａ）は全体斜視図、（ｂ）は表示手段での表示例を示す図である。
【０１６９】
図１２（ａ）の診療装置は、図１０のタイプのインスツルメント体ＩＢＭを用いる診療装置であり、装置本体１０ａ（ここでは見えていない。）から導出されたチューブ２２の先端に設けられたマルチジョイント接続部５１ｈ（ここでは見えていない。）に着脱可能に接続して用いる識別型のインスツルメント体ＩＢＭ（１）を備えている。
【０１７０】
この図では、液晶画面で構成された表示手段８ａ、この液晶画面８ａの表面を覆う透明なタッチパネルで構成された入力手段８ｂ、患者を載せて診療するための歯科用治療台８ｃ、ベースン台８ｄ、サイドテーブル支持アーム８ｅ、照明灯ポール８ｆ、サイドテーブル８ｇを備え、入力手段８ｂを兼ねる表示手段８ａは、サイドテーブル８ｇの上方近くに設置され、サイドテーブル８ｇで作業を行う術者がちょうど見やすい位置となっている。
【０１７１】
チューブ２２は３本見えており、ここに、複数のインスツルメント体ＩＢＭ（１）のうち、いずれかのインスツルメント体ＩＢＭ（１）でも着脱交換可能に取りつけることができ、装着したインスツルメント体ＩＢＭ（１）の種別、個別が識別信号出力手段から出力される識別信号によって、特定され、装置本体では、それぞれに合った駆動回路が選択切換され、それぞれのインスツルメント体に合った診療を行うことができる。
【０１７２】
液晶画面である表示手段８ａには、図１２（ｂ）に示すように、チューブ２２に接続されたインスツルメント体ＩＢＭ（１）の種別も表示される。
【０１７３】
この図では、ウインドウ８ａａに、チューブ２２の個別表示、「チューブＡ、チューブＢ、チューブＣ」と、それぞれのチューブＡ、Ｂ、Ｃに接続されたインスツルメント体ＩＢＭ（１）の種別が、モータハンドピース、タービン、スケーラであることが表示されている。
【０１７４】
このウインドウ８ａａはタッチパネルとして入力手段９ａａも構成しており、このチューブＡの位置へボタン９ａａを画面上でドラッグしてクリックすると、別のウインドウ８ａｂに、このチューブＡに接続されたモータハンドピースの詳細が示され、また、このウインドウをタッチパネル９ａｂとして、指定回転数の入力、確認などをすることができる。つまり、特定されたインスツルメント体の表示モード、入力モードが自動的に用意され、簡単な選択により、そのモードに入ることができ、便利がよい。
【０１７５】
この場合、チューブ２２が一つの場合には、選択することなく、自動的に装着されたインスツルメント体の種別に合わせた表示モード、入力モードになる。
【０１７６】
また、この表示手段８ａ、入力手段８ｂは、インスツルメント体の個別履歴管理をする場合の表示、入力にも用いることができる。
図１３は、本発明の識別型のアダプタの例を示す概念図である。
【０１７７】
この識別型のアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃは、マルチジョイント接続部５１ｈを備えたチューブ２２に、マルチジョイントでない接続部Ｃ１、Ｃ２、Ｃ３を有するインスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃを着脱可能に接続し、かつ、それぞれ識別信号出力手段６を備えて、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃの特定を、装置本体１０ａでできるようにするものである。
【０１７８】
なお、それぞれの接続部には、本来、識別信号出力手段６に対応した接続端子も設けられているが、これより、煩雑さを避けるために省略する。
【０１７９】
インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃは、それぞれ、その種類に合わせて、接続部Ｃ１、Ｃ２、Ｃ３に、必要な接続端子Ｄ１〜Ｄ３、Ｄ４〜Ｄ７、Ｄ８〜Ｄ１０を備えているが、これらの位置は、チューブ２２のマルチジョイント接続部５１ｈの接続端子５３ａ〜５３ｇに合わせたものではない。したがって、これらをそのままチューブ２２に接続して使用することはできない。そこで、アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃを用いる。
【０１８０】
アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃは、それぞれ、チューブ側接続部３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃと、インスツルメント側接続部３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃを備え、チューブ側接続部３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃの接続端子３２ａ〜３２ｇは、その位置は、チューブ２２の接続端子５３ａ〜５３ｇの位置に合わせたものとなっており、その種類は、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃが要求するものに対応している。一方、インスツルメント側接続部３３Ａ、３３Ｂ、３３Ｃの接続端子３４ａ〜３４ｊは、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃの接続端子Ｄ１〜Ｄ１０に対応したものとなっている。
【０１８１】
ここで、アダプタ３Ａのチューブ側接続部３１Ａの接続端子３２ａ、３２ｇ、３２ｅとインスツルメント側接続部３３Ａの接続端子３４ａ、３４ｂ、３４ｃが、アダプタ３Ｂのチューブ側接続部３１Ｂの接続端子３２ｂ、３２ｆ、３２ｇ、３２ｅとインスツルメント側接続部３３Ｂの接続端子３４ｄ、３４ｅ、３４ｆ、３４ｇが、アダプタ３Ｃのチューブ側接続部３１Ｃの接続端子３２ｆ、３２ｅ、３２ｃと、インスツルメント側接続部３３Ｃの接続端子３４ｈ、３４ｉ、３４ｊが接続されている。
【０１８２】
また、アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃは、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃ専用であるので、このアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃに内蔵させた識別信号出力手段６からの識別信号によって、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃを特定することができる。
【０１８３】
したがって、このようなアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃを用いると、マルチジョイント対応でないインスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃを、マルチジョイント接続部５１ｈを備えたチューブ２２に着脱可能に装着し、かつ、その種別などを装置本体で自動的に特定して、対応した駆動回路に切り替えて、そのインスツルメントを用いることができる。
【０１８４】
また、アダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃを、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃに対して着脱可能としておくと、インスツルメント１１Ａ、１１Ｂ、１１Ｃだけをオートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性を備えない場合にも、支障がない。
【０１８５】
つまり、マルチジョイント対応でない既存のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＢＭとすることができるのである。
【０１８６】
図１４は、本発明の識別型のチューブの例を示す概念図である。
【０１８７】
この識別型のチューブ２Ａ、２Ｂは、図１３の識別型のアダプタの着想をチューブに転用したものである。つまり、このチューブ２Ａ、２Ｂを用いれば、マルチジョイント対応でないインスツルメント１２Ａ、１２Ｂを装置本体に設置されたマルチジョイント接続部５５ｈに着脱可能に接続し、かつ、識別信号出力手段６を内蔵しており、インスツルメントの種別などの特定を可能とすることができる。
【０１８８】
チューブ２Ａ、２Ｂのインスツルメント側接続部４６Ａ、４６Ｂは、それぞれインスツルメント１２Ａ、１２Ｂ専用の接続端子Ｆ１、Ｆ２、Ｆ３、Ｆ４でインスツルメント１２Ａ、１２Ｂと専用接続されている。一方、チューブ２Ａ、２Ｂの装置本体側の接続部５５ａ、５５ｂはマルチジョイント対応となっており、装置本体のマルチジョイント接続部５５ｈに設置された接続端子５６ａ〜５６ｅと同じ位置で、その種類はインスツルメント１２Ａ、１２Ｂの接続端子Ｆ１、Ｆ２、Ｆ３、Ｆ４に合わせた接続端子５７ｄ、５７ｅ、５７ｃ、５７ｅが設けられ、これらインスツルメント側、装置本体側の接続部４６Ａ、４６Ｂ、５５ａ、５５ｂの接続端子は、図１１のアダプタと同様に対応づけられて接続されている。
【０１８９】
したがって、かかるチューブ２Ａ、２Ｂを用いて、インスツルメント１２Ａ、１２Ｂを装置本体に接続しても、アダプタの場合と同様の効果を発揮する。つまり、この識別型のチューブをマルチジョイント対応でない既存のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＣＭとすることができるのである。
【０１９０】
図１５は、本発明の識別型のアダプタの他例を示す概念図である。
【０１９１】
この識別型のアダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆは、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆがすでにマルチジョイント対応であるが、識別信号出力手段を内蔵していない場合に用いるものである。
【０１９２】
アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆのチューブ側の接続部３１Ｄ、３１Ｅ、３１Ｆは、図１３のアダプタ３Ａ、３Ｂ、３Ｃチューブ側の接続部３１Ａ、３１Ｂ、３１Ｃと同じで、インスツルメント側の接続部３３Ｄ、３３Ｅ、３３Ｆの接続端子３４ａ〜３４ｇは、チューブ側と同じ種類のものが同じ位置にもうけられている。インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆの接続端子Ｄａ〜Ｄｇも同様であり、どの接続部もマルチジョイント接続部となっている。
【０１９３】
この場合、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆは、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆ専用であるので、このアダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆに内蔵させた識別信号出力手段６からの識別信号によって、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆを特定することができる。
【０１９４】
こうして、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆを介挿することで、マルチジョイント対応であって、識別信号出力に対応していないインスツルメントを、識別信号出力対応とすることができ、さらに、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆをインスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆに対して着脱可能としておくと、インスツルメント１１Ｄ、１１Ｅ、１１Ｆだけをオートクレーブすることができ、識別信号出力手段６がオートクレーブ耐性を備えない場合にも、支障がない。
【０１９５】
つまり、この識別型のアダプタを能動的に識別信号を発するものでない既存のマルチジョイント対応のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＢＭとすることができるのである。
【０１９６】
さらに、アダプタ３Ｄ、３Ｅ、３Ｆを、共通化し、装置本体のマルチジョイント接続部５１ｈと同じ種類と位置の接続端子を備えるようにしてもよい。この場合、アダプタは、インスツルメント専用ではなくなるが、内蔵する識別信号出力手段により高度な処理機能を備えさせ、接続したインスツルメントの抵抗やインピーダンスを測定して、その測定結果からインスツルメントの種別を特定し、その種別データを、装置本体に出力させるようにすることもできる。
【０１９７】
図１６は、本発明の識別型のチューブの他例を示す概念図である。
【０１９８】
この識別型のチューブ２Ｃ、２Ｄは、図１５の識別型のアダプタの着想をチューブに転用したものである。つまり、このチューブ２Ｃ、２Ｄを用いれば、マルチジョイント対応だが、識別信号出力に対応していないインスツルメント１２Ｃ、１２Ｄを装置本体に設置されたマルチジョイント接続部５５ｈに着脱可能に接続し、かつ、識別信号出力手段６によって、インスツルメント１２Ｃ、１２Ｄの種別などの特定を可能とすることができる。
【０１９９】
チューブ２Ｃ、２Ｄのインスツルメント側接続部４６Ｃ、４６Ｄは、それぞれインスツルメント１２Ｃ、１２Ｄとマルチジョイント対応の接続端子Ｆｃ、Ｆｄ、Ｆｅで接続され、チューブ２Ｃ、２Ｄの装置本体側の接続部５５ｃ、５５ｄもマルチジョイント対応となっており、装置本体のマルチジョイント接続部５５ｈに設置された接続端子５６ａ〜５６ｅと同じ位置で、その種類はインスツルメント１２Ｃ、１２Ｄの接続端子Ｆｃ、Ｆｄ、Ｆｅに合わせた接続端子５７ｃ、５７ｄ、５７ｅが設けられ、これらインスツルメント側、装置本体側の接続端子は、図１５のアダプタと同様に対応つけられて接続されている。
【０２００】
したがって、かかるチューブ２Ｃ、２Ｄを用いて、インスツルメント１２Ｃ、１２Ｄを装置本体に接続しても、アダプタの場合と同様の効果を発揮する。
【０２０１】
つまり、この識別型のチューブを能動的に識別信号を発するものでない既存のマルチジョイント対応のインスツルメントに装着することによって、識別型のインスツルメント体ＩＣＭとすることができるのである。
【０２０２】
【発明の効果】
請求項１に記載の識別型のインスツルメント体によれば、能動素子としての識別信号出力手段を備えているので、このインスツルメント体を装着した装置本体では、この出力手段からの固有の識別信号を読み取るだけで、インスツルメント体を特定することができ、装置本体での読取手段を簡易なものとすることができる上、より細かなインスツルメント体の特定が可能となる。
【０２０３】
請求項２に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメントに対して着脱可能となっているアダプタに限定したので、請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をアダプタに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもアダプタを外して、インスツルメントをオートクレーブすることができる。
【０２０４】
請求項３に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１に比べ、識別信号出力手段の設置場所を、インスツルメントに対して着脱可能となっているチューブに限定したので請求項１と同様の効果を発揮すると共に、識別信号出力手段をチューブに備えておくと、識別信号出力手段がオートクレーブ耐性のない場合でもチューブを外して、インスツルメントをオートクレーブすることができる。
【０２０５】
請求項４に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜３のいずれかの効果に加え、識別信号出力手段をＩＤコード出力素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このＩＤコード出力素子とシリアル通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、また、最も簡易なものとして、識別信号出力手段を構成することができる。
【０２０６】
請求項５に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜３のいずれかの効果に加え、識別信号出力手段をマイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として、具体的に規定したもので、装置本体では、このような素子と通信することによって、インスツルメント体を特定することができ、インスツルメント体では、より自立的な制御も可能となり、一方、装置本体側では、一定の制御はインスツルメント体に委譲して、分散処理システムを構築することができる。
請求項６に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜３のいずれかの効果に加え、識別信号出力手段における識別信号の発生方法と、識別信号の態様を規定したもので、いずれも、デジタル信号あるいはデジタル化可能な信号として規定されており、請求項１〜３と同様の効果を発揮するインスツルメント体を容易に実現することができる。
【０２０７】
請求項７に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項１〜６のいずれかの効果に加え、マルチジョイント接続部によって、インスツルメント体と装置本体を接続する場合、特に、装着されたインスツルメント体を特定することが重要で、能動的な識別信号出力手段は、その特定を容易、確実にし、装置本体側の機器構成を簡易なものとすることができる。
【０２０８】
請求項８に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項７の効果に加え、マルチジョイント接続部の位置を、請求項２と同様に、インスツルメント体に備えられたアダプタとチューブの間に規定したので、請求項７と同様の効果に加え、請求項２と同様の効果を発揮する。
【０２０９】
請求項９に記載の識別型のインスツルメント体によれば、請求項７の効果に加え、マルチジョイント接続部の位置を、請求項３と同様に、インスツルメント体に備えられたチューブと装置本体の間に規定したので、請求項７と同様の効果に加え、請求項３と同様の効果を発揮する。
【０２１０】
請求項１０に記載の識別型のアダプタによれば、請求項２に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項２と同様の効果を発揮する。
【０２１１】
請求項１１に記載の識別型のアダプタによれば、請求項１０の効果に加え、請求項８に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたアダプタを別個のものとして規定したので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項８と同様の効果を発揮する。
【０２１２】
請求項１２に記載の識別型のチューブによれば、請求項３に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項３と同様の効果を発揮する。
【０２１３】
請求項１３に記載の識別型のチューブによれば、請求項１２の効果に加え、請求項９に記載の識別型のインスツルメント体に備えられたチューブを別個のものとして規定したもので、識別信号出力手段を備えないインスツルメントと装置本体の間に着脱可能に装着して用いることにより、請求項９と同様の効果を発揮する。
請求項１４に記載の診療装置によれば、請求項１に記載の識別型のインスツルメント体に対応した診療装置であって、請求項１と同様の効果を装置において発揮する。
【０２１４】
請求項１５に記載の診療装置によれば、請求項１２の効果に加え、インスツルメント体特定後の診療装置側の対応を規定しており、特定後は、装置側の駆動回路あるいは制御回路が自動的に特定したインスツルメント体に対応したものになるので、術者は、インスツルメント体を装置本体に装着するだけで、装置の駆動回路などを装着したインスツルメント体に合わせて設定することなく、診療に専念することができ、便利がよい。
【０２１５】
請求項１６に記載の診療装置によれば、請求項１４または１５のいずれかの効果に加え、駆動回路などの切換だけでなく、表示手段、入力手段のモードも装着したインスツルメント体に対応させたものに切り替えるので、術者にとっては、さらに便利がよい。
【０２１６】
請求項１７に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１６のいずれかの効果に加え、請求項１で説明したように、識別信号出力手段から出力される識別信号によってインスツルメント体の種別だけでなく個別の特定が可能という利点を、装置本体側に積極利用したもので、より細かいインスツルメント体の管理を行うことができる。
【０２１７】
請求項１８に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１７のいずれかの効果に加え、インスツルメント体から出力される識別信号の識別手段を規定しており、インスツルメント体の識別信号出力手段は能動的に識別信号を出力するので、装置本体側の識別手段としては、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えることができ、装置構成を簡単なものにすることができる。
【０２１８】
請求項１９に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１８のいずれかの効果に加え、インスツルメント体接続部への接続が、従来のように別個配線とすることなく、ツリー配線とすることができる旨明規したので、装置本体側の配線が簡略化できる。
【０２１９】
請求項２０に記載の診療装置によれば、請求項１４〜１９に記載の診療装置が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体に対応するものであることを明規したもので、関連する請求項の効果が相乗的に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の識別型のインスツルメント体の一例を示すもので、（ａ）はその一部破断の外観図、（ｂ）はその一部破断の要部外観斜視図
【図２】本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す要部分解斜視図
【図３】本発明の識別型のインスツルメント体で用いられる識別信号出力手段について説明するもので、（ａ）は、その構成を概念的に示すブロック図、（ｂ）は装置本体との信号の接続態様を示す概念図、（ｃ）は、この識別信号出力手段を接続するための本体側のツリー構造を示す概念図、（ｄ）は、この識別信号出力手段が出力する識別信号の一例を示すタイムチャート
【図４】本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図５】本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図
【図６】マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の例を示す概念図
【図７】図６の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図８】マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図
【図９】図８の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図１０】マルチジョイント接続部を備えた、本発明の識別型のインスツルメント体の他例を示す概念図
【図１１】図４、８、１０の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を概念的に示すブロック図
【図１２】本発明の識別型のインスツルメント体を備えた診療装置の他例を示すもので、（ａ）は全体斜視図、（ｂ）は表示手段での表示例を示す図
【図１３】本発明の識別型のアダプタの例を示す概念図
【図１４】本発明の識別型のチューブの例を示す概念図
【図１５】本発明の識別型のアダプタの他例を示す概念図
【図１６】本発明の識別型のチューブの他例を示す概念図
【図１７】従来のインスツルメント体の例を示す図
【図１８】従来のインスツルメント体の他例を示すもので、（ａ）はその使用態様を示す外観図、（ｂ）は、その接続部の詳細を示す図
【図１９】従来のインスツルメント体を備えた診療装置の一例を示すブロック図
【符号の説明】
１（ＩＡ） 識別型のインスツルメント（体）
ＩＢ，ＩＣ，ＩＡＭ，ＩＢＭ，ＩＣＭ 識別型のインスツルメント体
１１ インスツルメント
２ 識別型のチューブ
２１、２２、２３ チューブ
３ 識別型のアダプタ
３１、３２ アダプタ
４、４１、４２ 接続部
５１、５５ マルチジョイント接続部
６ 識別信号出力手段
６Ａ ＩＤコード出力素子
６Ｂ マイクロコンピュータ素子
６Ｃ 通信用集積素子
６ａ 不揮発性記憶手段
７ｄ〜７ｈ 駆動回路
７ｉ 制御回路
８ａ 表示手段
８ｂ 入力手段
９ 識別手段
９ａ マイクロコンピュータ素子
９ｂ 通信用集積素子
１０〜１０Ｃ 診療装置
Claims (20)
- 診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、
前記インスツルメント体には、そのインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、
前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって、
前記インスツルメント体は、インスツルメントと、このインスツルメントに着脱可能に装着され、前記インスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を内蔵したアダプタから構成され、このアダプタを介して前記装置本体に接続されるようになっており、
前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体であって
前記インスツルメント体は、インスツルメントと、このインスツルメントに着脱可能に装着され前記インスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を内蔵したチューブから構成され、このチューブを介して前記装置本体と接続されるようになっており、
前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、
前記識別信号出力手段は、識別信号として、前記インスツルメント体に固有のＩＤコードをシリアルに出力するＩＤコード出力素子で構成されていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、
前記識別信号出力手段は、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子として構成されていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 請求項１〜３のいずれかに記載のインスツルメント体において、
前記識別信号出力手段は、不揮発性記憶手段を備え、この不揮発性記憶手段に記憶保存されたデータを元に、前記識別信号として、シリアルデータ、所定の繰り返し周期で波高値を変動させた電圧レベル信号、周波数を異ならせた周波数弁別信号のいずれかを用いることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 請求項１〜６のいずれかに記載のインスツルメント体において、
前記インスツルメント体を前記装置本体に着脱可能に接続するための接続部が、マルチジョイント接続部となっていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 請求項７に記載のインスツルメント体において、
前記インスツルメント体はインスツルメントとこのインスツルメントに着脱可能に装着されたアダプタから構成され、このアダプタを介して前記装置本体から導出されたチューブに着脱可能に接続されるタイプのものであって、前記アダプタに前記識別信号出力手段を備え、前記アダプタと前記チューブとの間の接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 請求項７に記載のインスツルメント体において、
前記インスツルメント体はインスツルメントとこのインスツルメントに着脱可能に装着されたチューブから構成され、このチューブを介して前記装置本体に着脱可能に接続されるタイプのものであって、前記チューブに前記識別信号出力手段を備え、前記チューブと前記装置本体との間の接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする識別型のインスツルメント体。 - 診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体に着脱可能に装着されるアダプタであって
前記アダプタには、装着されるインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、
前記アダプタを装着したインスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする識別型のアダプタ。 - 請求項１０に記載のアダプタであって、
前記アダプタを前記装置本体に着脱可能に接続する接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする識別型のアダプタ。 - 診療装置の装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行うために用いるインスツルメント体と前記装置本体を接続するチューブであって、
前記チューブには、接続したインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備え、
前記チューブを介して前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする識別型のチューブ。 - 請求項１２に記載のチューブであって、
前記チューブを前記装置本体に着脱可能に接続する接続部がマルチジョイント接続部となっていることを特徴とする識別型のチューブ。 - インスツルメント体を、装置本体に着脱可能に接続して、診断、治療を行う診療装置であって、
前記インスツルメント体を、そのインスツルメント体を識別するために予め準備された固有の自己識別信号を、所定の手順で能動的に出力する識別信号出力手段を備えた識別型のインスツルメント体として構成し、
前記インスツルメント体を前記装置本体に接続すると、前記識別信号出力手段から出力された識別信号により、前記装置本体において、接続されたインスツルメント体を特定することができるようになっていることを特徴とする診療装置。 - 請求項１４に記載の診療装置において、
前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体に対応させて駆動回路あるいは制御回路をそのインスツルメント体に自動的に接続することを特徴とする診療装置。 - 請求項１４または１５のいずれかに記載の診療装置において、
前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体に対応させて、表示手段の表示モード、または／かつ、タッチパネルなどの入力手段の入力モードを自動的に切り換えることを特徴とする診療装置。 - 請求項１４〜１６のいずれかに記載の診療装置において、
前記インスツルメント体を特定した際には、その特定したインスツルメント体の使用履歴の管理、使用する術者の区別なども行うようにしたことを特徴とする診療装置。 - 請求項１４〜１７のいずれかに記載の診療装置において、
前記装置本体には、接続したインスツルメント体の識別信号出力手段から出力された識別信号の識別手段として、マイクロコンピュータ素子あるいは通信用集積素子を備えていることを特徴とする診療装置。 - 請求項１４〜１８のいずれかに記載の診療装置において、
前記装置本体において、前記インスツルメント体を着脱可能に接続する接続部への配線がツリー構造となっていることを特徴とする診療装置。 - 請求項１４〜１９のいずれかに記載の診療装置において、
前記インスツルメント体が、請求項１〜９に記載の識別型のインスツルメント体であるか、かつ／または、請求項１０または１１に記載の識別型のアダプタを介して接続されるインスツルメント体、かつ／または、請求項１２または１３に記載の識別型のチューブを介して接続されるインスツルメント体であることを特徴とする診療装置。
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