JP3878782B2 - 食品状態評価方法及び食品状態評価装置 - Google Patents

食品状態評価方法及び食品状態評価装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品を破壊したり前処理したりせずに食品の鮮度や品質などを評価することができる食品状態評価方法及び食品状態評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、生鮮食品や穀粒の鮮度や品質などの食品の状態を評価する方法としては目視による外観検査、過酸化物生成量の測定、リグニン生成量の測定、還元型ビタミンC量の測定、フェノール量の測定あるいは近赤外分光法による多成分解析などがある。
目視による外観検査は、簡便かつコストがかからないという利点があるが個人差が大きく経験や熟練度に左右されること、定量的に扱いにくいこと、生鮮食品や穀粒のなかには判別できないものが多いことなどの問題がある。
【0003】
一方、過酸化物生成量の測定、リグニン生成量の測定、還元型ビタミンC量の測定あるいはフェノール量の測定により鮮度を評価する方法は、破壊分析でありしかも時間とコストがかかり、生産現場や流通・販売段階で用いるには適当ではないという問題点がある。
近赤外分光法による多成分解析の場合、非破壊分析の適用範囲が穀粒などに限られてしまうことや解析結果が必ずしも鮮度や品質と一致しないという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術の問題点に鑑みて、本発明は、食品を破壊したり前処理したりせずに食品の鮮度や品質などを簡便に評価できる方法、及びその方法を実施することができる低製造コストの装置を提供することを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するため種々の検討を重ねた結果、生鮮食品や穀類に含まれるフェノール化合物やリグニン、蛋白質の蛍光の蛍光強度を指標にすることで、食品を破壊したり前処理したりせずに食品の鮮度や品質などを簡便に評価できることを見出した。また、この方法と本発明の食品状態評価装置を合わせることにより、食品を破壊したり前処理したりせずに簡便かつ定量的に食品の鮮度や品質を評価できることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、第一に、紫外線を照射して発光する食品中のリグニンおよび蛋白質の自家蛍光から該食品の状態を評価する食品状態評価法において、自家蛍光のうち440nmより長い波長域の蛍光強度を指標として該食品の状態を評価する食品状態評価法を提供するものであり、第二に、紫外線を照射して発光する食品中のフェノール化合物およびキノン化合物の自家蛍光から該食品の状態を評価する食品状態評価法において、自家蛍光のうち520nmより長い波長域の蛍光強度を指標として該食品の状態を評価する食品状態評価法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の食品状態評価方法は、食品の自家蛍光あるいは食品に共存させた蛍光プローブの蛍光強度を指標として食品の状態を評価することを特徴としている。一般に、生鮮食品や穀粒は、紫外線照射により蛍光を放射することが知られている。蛍光の由来は、主に食品に含まれる蛋白質やリグニン、フェノール化合物などである。中でも青果物や穀粒に含まれるリグニンやフェノール化合物は紫外線照射により強い蛍光を放射し、これらが酸化されたり酸化生成物が蓄積したりすると蛍光強度の低下や逆に蛍光放射強度の増大を招く。本発明の食品状態評価方法はこの現象を利用したものであり、生鮮食品や穀粒の鮮度や品質を破壊することなく評価することができるという利点がある。
【0008】
本発明の食品状態評価方法では、まず食品の自家蛍光あるいは食品に共存させた蛍光プローブの蛍光強度を測定する。食品の自家蛍光の蛍光強度と蛍光プローブの蛍光強度は、いずれか一方のみを選択して測定してもよいし、両方とも測定してもよい。
【0009】
蛍光プローブの蛍光強度を測定する場合は、食品に蛍光プローブを共存させてから測定する必要がある。本発明で用いる蛍光プローブは、評価しようとしている食品の状態に応じて蛍光強度が変化するものの中から適宜選択する。例えば、食品の酸化状態を評価する場合は、酸化還元反応によって蛍光強度が変化する蛍光プローブや、酸化還元反応の中間生成物や最終生成物と反応することによって蛍光強度が変化する蛍光プローブを選択することができる。蛍光強度は反応によって強くなるものであっても、弱くなるものであっても構わない。本発明で好ましく用いることができる蛍光プローブの例としては、ジヒドロローダミン1,2,3、ジヒドロフルオレセインジアセテート、ジヒドロエチジウム、ジヒドロテトラメチルローサミン、ジヒドロローダミン6G、ジクロロフルオレセインジアセテート、ローダミン1,2,3、フルオレセインなどを挙げることができる。蛍光プローブを食品に共存させる方法は特に制限されないが、水あるいは有機溶媒に溶解して、水溶液として食品と共存させることが好ましい。
【0010】
蛍光強度の測定方法は特に制限されない。本発明では、食品の自家蛍光あるいは蛍光プローブの蛍光強度が実質的に測定できれば、必ずしも食品の自家蛍光あるいは蛍光プローブの蛍光強度そのものを直接的に測定しなくてもよい。例えば、蛍光強度と比例関係にある物理量を測定することにより間接的に蛍光強度を測定してもよい。また、本発明では、波長が特定範囲内にある蛍光だけを選択して、その強度を測定してもよい。例えば、カットオフフィルターにより特定の波長以上の蛍光だけを透過させて、透過した蛍光の強度を測定することができる。このように測定対象とする蛍光の波長を制限することによって、例えばリグニンやフェノール化合物といった着目すべき蛍光物質の蛍光強度変化をより精度よく測定することが可能になる。
【0011】
本発明の食品状態評価方法では、食品の自家蛍光あるいは食品に共存させた蛍光プローブの蛍光強度を測定した後に、測定した蛍光強度を指標として食品の状態を評価する。評価に際しては、蛍光強度のデータそのものを評価の基準としてもよいし、蛍光強度のデータに統計処理、解析処理、画像化処理などの加工処理を施して評価してもよい。また、蛍光強度のデータと他のデータを組み合わせて評価してもよい。いずれの態様であっても、測定した蛍光強度のデータを利用した評価である限り、本発明の食品状態評価方法の範囲内に含まれる。例えば、食品の鮮度や品質の低下と蛍光強度との間に正相関あるいは逆相関が成り立っている場合は、蛍光強度の大きさによって鮮度や品質を数値で評価することができる。このような相関関係は、あらかじめ状態が異なる複数の食品サンプルについて蛍光強度を測定して確立しておくことができる。また、本発明の食品状態評価方法は、評価対象となる状態と蛍光強度変化との間に何らかの相関関係が認められる限り適用することができる。なお、本発明において評価する食品の状態とは、鮮度や品質といった質的なものに限定されず、食品中における蛋白質分布などの客観的な状態も含まれる。
【0012】
本発明の食品状態評価方法では、食品の自家蛍光あるいは蛍光プローブの蛍光強度とともに、食品に共存させた標準蛍光物質の蛍光強度も測定し、これらの蛍光強度の比を指標として食品の状態を評価することもできる。共存標準蛍光物質の蛍光強度を常に一定に保てば、食品の自家蛍光あるいは蛍光プローブ蛍光強度との比を指標とすることにより食品相互の定量比較が容易になる。したがって、標準蛍光物質を用いた本発明の食品状態評価方法を用いれば、食品の鮮度や品質を定量的に評価することができる点で好ましい。
【0013】
標準蛍光物質としては、食品あるいは蛍光プローブの励起波長で蛍光を放射するものであればいかなるものを用いても良い。好適には、アクリジン類やサイアジン類、ザンテン類、フラビン類、ポルフィリン類などの蛍光色素溶液、硫化亜鉛などアルカリ土類金属の硫化物の結晶や蛍光ガラスなど固体蛍光体、PETなど合成高分子が挙げられる。より好適には、放射蛍光強度が安定な固体蛍光体や合成高分子が望ましい。また、標準蛍光物質の使用量は、食品の自家蛍光あるいは蛍光プローブの蛍光強度と同程度の蛍光を放射する量にすることが好ましい。標準蛍光物質を食品に共存させる方法は特に制限されないが、食品の蛍光を妨害しないように並べて配置することが好ましい。
【0014】
次に、本発明の食品状態評価装置について説明する。本発明の食品状態評価装置は、本発明の上記食品状態評価方法を実施するのに適した装置である。本発明の食品状態評価装置は、励起光源、該励起光源からの励起光が照射する位置に食品試料を保持する食品保持部、該食品試料が発する蛍光を検出する蛍光検出部を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の食品状態評価装置の典型的な構成例として、(A)励起光源;(B)励起光源用フィルター;(C)食品保持部;(D)検出器用フィルター;及び(E)蛍光検出機構が順に配置された装置を示すことができる。また、本発明の食品状態評価装置の好ましい構成例として、(A)励起光源;(B)励起光源用フィルター;(F1)偏光板;(C)食品保持部;(D)検出器用フィルター;(F2)偏光板;及び(E)蛍光検出機構が順に配置された装置を示すことができる。これらの配置は順に下部から上部へ向かって配置することが好ましい。本発明の装置では、(B)励起光源用フィルターは必ずしも設けなくてもよく、目視により蛍光を検出する場合は(E)蛍光検出機構は存在しない。以下において、各構成部材について説明する。
【0016】
(A)励起光源としては、紫外線ランプや水銀ランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、レーザー、発光ダイオード、ELなどあらゆるものを用いることができる。好適には、紫外線を放射する光源を用いることが好ましい。より好適には、蛍光ケミカルランプやブラックライト、水銀ランプなどの紫外線放射光源を利用することが装置のコンパクト化及びコストの点から望ましい。励起光源の配置は、食品試料に対して、下方配置であっても上方配置(落射型)であってもあるいは直交配置であっても良い。好適には、照射光強度の低下を避けられること及び装置自身のコンパクト化から下方配置の方が望ましい。
【0017】
励起光源からの励起光は、食品保持部に保持された食品試料に照射する前に、
(B)励起光源用フィルターを通過させてもよい。励起光源用フィルターは、食品試料に対して目的とする励起波長以外の光を遮蔽するもであれば何でも良い。好適には、強度の点から色硝子フィルターあるいは色つきフィルムが望ましい。より好適には、耐久性やコストの点から色硝子フィルターが望ましい。また、励起光源にフィルターが付属されている、例えばブラックライトを用いてもよい。レーザー光のような単色光を用いるような場合は、励起光源用フィルターは不要である。
【0018】
(C)食品保持部は、励起光源からの励起光が照射する位置に食品試料を保持しうるものであればよい。食品保持部の形状は、光源の放射面積、食品試料の種類、大きさあるいは形状により適宜変更すれば良い。一般的には、光照射部を開放にした構造や光透過性の石英ガラス、パイレックスガラス、プラスチックの薄板にしたものを好適に用いることができる。また、複数個の試料を同時に評価できるように食品試料と食品試料の間に光吸収性(黒色など)の仕切を設けたものも好適に用いることができる。この場合、互いの蛍光の影響が避けられるように、仕切は光非透過性材質、たとえば金属や光非透過処理が施されたガラスやプラスチックからできていることが好ましい。複数の食品試料には同時に励起光が照射するように設計してもよいし、逐次照射するように設計してもよい。逐次照射を行う場合は、励起光源を移動させてもよいし、食品保持部を移動させてもよいし、両者を移動させてもよい。なお、本明細書でいう「食品試料」とは食品そのものの他に、食品に共存させた蛍光プローブや標準蛍光物質を含むものである。
【0019】
蛍光検出部は、食品試料が発する蛍光を検出するものである。通常は、(D)検出器用フィルターと(E)蛍光検出機構からなる。検出器用フィルターとしては、励起光及び目的以外の波長を遮蔽するものであれば何でも良い。好適には、強度の点から色硝子フィルター、干渉フィルターあるいは色つきフィルムが望ましい。より好適には、耐久性やコストの点から色硝子フィルターや干渉フィルターが望ましい。蛍光検出機構としては、光を検出できるものであれば何でも良い。好適には、フォトダイオードや光電子増倍管などの光検出器あるいは電荷結合素子(CCD)が望ましい。より好適には、蛍光強度を定量的に扱うことができるフォトダイオード、光電子増倍管及びCCDが望ましい。また、蛍光の検出は目視により行うこともできる。この場合は、蛍光検出部に蛍光検出機構は存在しないのが一般的である。蛍光検出機構の種類は装置の使用目的により適宜選択することができ、例えば生産現場や流通段階で簡易的に評価する場合、目視や光検出器が可搬型食品状態評価装置として好適に用いることができる。また、技術開発では定量的かつ画像化ができるCCD型食品状態評価装置を好適に用いることができる。
【0020】
本発明では、(F)偏光板を備えた食品状態評価装置を好ましい態様として挙げることができる。偏光板は、蛍光検出部や、励起光源と食品保持部との間に設けることができる。偏光板を設けることによって、励起光の放射蛍光に対する影響を最小限に抑えることができる。蛍光波長と励起波長が接近しているような場合、検出器用フィルターを用いても、完全には励起光の影響を取り除くことができないことが多い。また、検出器用フィルターを用いて取り除く場合、蛍光強度も同時に低下させてしまうこともある。このような場合、偏光板が威力を発揮する。励起光を偏光すると、偏光された光が試料に照射される。偏光励起により試料から放射される蛍光は、蛍光を放射する分子の運動により励起光の偏光面とは異なった偏光面の蛍光を放射する。このとき、励起光側の偏光板の透過軸と直交させるように検出器側に検出器用フィルターと共に偏光板を配置すると励起光はほぼ消光され、試料の蛍光のみを検出することができる。なお、偏光板の材質は特に限定されるものではないが、目視型食品状態評価装置のような汎用機器の場合コストの点から偏光フィルムを、光検出器型やCCD型食品状態評価装置のような定量性や分解能を必要とする機器の場合、面精度の点からガラス偏光フィルターを好適に用いることができる。
【0021】
本発明の食品状態評価装置は、自家蛍光を放射する食品であればその種類や形態にとらわれることなく適用することができる。また、自家蛍光を放射しない食品であっても、好適な蛍光プローブを共存させることによって、食品の種類や形態にとらわれることなく適用することができる。
【0022】
当業者は、上記の一般的な説明及び実施例の具体的開示を基にして、または必要に応じてそれらに適宜修飾や改変を加えることにより、本発明の好ましい態様の食品状態評価方法を容易に実施し、本発明の好ましい態様の食品状態評価装置を容易に製造することができよう。
【0023】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、数値、構成、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0024】
【実施例】
例1:本発明の食品状態評価装置1の構成
励起光源として紫外線ランプを下部に配置し、その上に励起光源用フィルター、食品保持部及び検出器用フィルターが順に配置された目視型食品状態評価装置を製作した。図1にその装置構成を示す。
【0025】
例2:本発明の食品状態評価装置2の構成
励起光源として紫外線ランプを下部に配置し、その上に励起光源用フィルター、食品保持部、検出器用フィルター及び光検出器を順に配置した光検出器型食品状態評価装置を製作した。図2にその装置構成を示す。
【0026】
例3:本発明の食品状態評価装置3の構成
励起光源として紫外線ランプを下部に配置し、その上に励起光源用フィルター、食品保持部、検出器用フィルター及びCCDを順に配置したCCD型食品状態評価装置を製作した。図3にその装置構成を示す。
【0027】
例4:本発明の食品状態評価装置4の構成
励起光源として紫外線ランプを下部に配置し、その上に励起光源用フィルター、偏光板、食品保持部、検出器用フィルター及び偏光板を順に配置した目視型食品状態評価装置を製作した。この場合、それぞれの偏光板の透過軸は直交配置とした。図4にその装置構成を示す。
【0028】
例5:本発明の食品状態評価装置5の構成
励起光源として紫外線ランプを下部に配置し、その上に励起光源用フィルター、偏光板、食品保持部、検出器用フィルター、偏光板及び光検出器を順に配置した光検出器型食品状態評価装置を製作した。例4と同様に、偏光板の透過軸は直交配置とした。図5にその装置構成を示す。
【0029】
例6:本発明の食品状態評価装置6の構成
励起光源として紫外線ランプを下部に配置し、その上に励起光源用フィルター、偏光板、食品保持部、検出器用フィルター、偏光板及びCCDを順に配置したCCD型食品状態評価装置を製作した。例4と同様に、偏光板の透過軸は直交配置とした。図6にその装置構成を示す。
【0030】
例7:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価1
例1において検出器用フィルターとして440nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いた目視型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により、切断した直後と20℃、48時間放置後のレンコンスライスの自家蛍光を目視観察した。明らかに、48時間経過後のレンコンスライスの蛍光強度は低下した。また、目視による外観検査に比べ、試料内部の情報もコントラスト良く観察された。
【0031】
例8:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価2
例2において検出器用フィルターとして440nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いた光検出器型型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により、レンコンスライスの状態を評価した。蛍光強度の平均値として、切断直後で136、20℃、48時間放置後で50が得られ、定量的な比較ができた。
【0032】
例9:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価3
例3において検出器用フィルターとして440nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いたCCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により、レンコンスライスの状態を評価した。図7に、切断した直後(A)と20℃、48時間放置後(B)のレンコンスライスの自家蛍光イメージを示す。明らかに、48時間経過後のレンコンスライスの蛍光強度は低下し、不均一な蛍光強度分布が見られた。また、写真撮影と比べるとコントラストの良いイメージが得られた。したがって、本発明のCCD型食品状態評価装置は、レンコンスライスの鮮度評価に適用可能である。
【0033】
例10:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価4
例3において検出器用フィルターとして440nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いたCCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により、玄米の品質を評価した。図8に、傷及び未熟米の少ない玄米(A)と傷及び未熟米の多い玄米(B)の自家蛍光イメージを示す。玄米個々のリグニンの蛍光強度のばらつきは、未熟米の少ない玄米(A)ほど少なかった。また、傷の部分や未熟米は低い蛍光強度として観察された。傷は目視検査でも判別できるが、はっきりした青米でない未熟米は判別できないものが多い。このような検査は、経験や熟練度を要するものが多い。したがって、本発明のCCD型食品状態評価装置を用いれば、経験や熟練の必要がなく初心者でも傷や熟度など玄米の品質が非破壊で容易に判別できる。
【0034】
例11:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価5
玄米の食味は、貯蔵条件に大きく左右され、食味低下を防ぐには低温貯蔵が有効であると言われている。貯蔵条件よる玄米(山形産どまんなか)の鮮度の違いを、例3において検出器用フィルターとして520nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いたCCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)を用いて評価した。検出器用フィルターとして520nm以下の波長をカットすることにより、玄米中のリグニンの自家蛍光の影響を抑えフェノール化合物やキノン化合物の蛍光のみを検出することができること及びこれらの化合物の蛍光が玄米の酸化に敏感なことを見出した。図9に、約1年間冷蔵貯蔵(〜10℃)した玄米(A)と同期間室温貯蔵した玄米(B)の自家蛍光イメージを示す。明らかに、室温貯蔵した玄米の蛍光強度は増加した。したがって、本発明のCCD型食品状態評価装置を用いることにより玄米の鮮度が非破壊で容易に評価できる。
【0035】
例12:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価6
例4の偏光板直交配置目視型食品状態評価装置(励起波長:365nm)を用いて玄米を目視観察した。本発明の偏光板直交配置目視型食品状態評価装置により未熟米と成熟米が容易に区別できた。
【0036】
例13:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価7
貯蔵条件よる玄米(山形産どまんなか)の鮮度の違いを、例5において検出器用フィルターとして520nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いた偏光板直交配置光検出器型食品状態評価装置(励起波長:312nm)を用いて評価した。蛍光強度の平均値として、冷蔵貯蔵玄米で29.5、室温貯蔵玄米で47.8が得られ、定量的な比較ができた。
【0037】
例14:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価8
例6の偏光板直交配置CCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)を用いて玄米の品質を評価した。図10に、傷及び未熟米の少ない玄米(A)と傷及び未熟米の多い玄米(B)の蛍光偏光イメージを示す。例3のCCD型食品状態評価装置に比べ、未熟米と成熟米の区別が容易にできるようになった。
【0038】
例15:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価9
例3において検出器用フィルターとして440nm以下の波長をカットするカットオフフィルターを用いたCCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により、ポークハムの品質を評価した。図11に、ポークハムの写真イメージ(A)と蛋白質の自家蛍光イメージ(B)を示す。写真イメージで白い部分が自家蛍光イメージの蛍光強度の強い部分に対応した。このことは、写真イメージで白く見えた部分にコラーゲンなどの蛋白質が存在することを示している。写真イメージだけからは白く見える部分が脂肪なのかコラーゲンなのか判別できない。したがって、本発明のCCD型食品状態評価装置を用いることにより肉加工製品中のコラーゲンなどの蛋白質の分布が非破壊で容易に評価できる。
【0039】
例16:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価10
貯蔵条件よる玄米(山形産どまんなか)の鮮度の違いを、例3において検出器用フィルターとして520nm以下の波長をカットするカットオフフィルター、蛍光プローブとしてジヒドロローダミン1,2,3を用いCCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により評価した。ジヒドロローダミン1,2,3は、ジメチルスルホキシドに溶解したのち水溶液として玄米に共存させた。ジヒドロローダミン1,2,3は酸化されると520nmに極大をもつ蛍光を放射することが知られている。この蛍光強度が、玄米中に含まれるフラビンが光励起されて生成するヒドロキシルラジカルなどの活性酸素種の生成に依存すること及び玄米の鮮度と関係があることを見出した。図12に、ジヒドロローダミン1,2,3共存下、約1年間冷蔵貯蔵(〜10℃)した玄米(A)と同期間室温貯蔵した玄米(B)の光照射30分後の蛍光イメージを示す。明らかに、室温貯蔵した玄米の蛍光強度は増加した。したがって、本発明のCCD型食品状態評価装置を用いることにより玄米の鮮度が非破壊で容易に評価できる。
【0040】
例17:本発明の食品状態評価装置による食品状態の評価11
例3において検出器用フィルターとして440nm以下の波長をカットするカットオフフィルター、標準蛍光物質としてPET切片を用いたCCD型食品状態評価装置(励起波長:312nm)により、レンコンスライスの状態を評価した。相対蛍光強度の平均値として、切断直後で1.62、20℃、48時間放置後で0.59が得られた。
【0041】
【発明の効果】
本発明の食品状態評価方法及び食品状態評価装置は、簡便かつ非破壊あるいは前処理無しで食品の鮮度や品質を評価することができるという特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 食品状態評価装置1の構成を示す図である(例1)。
【図2】 食品状態評価装置2の構成を示す図である(例2)。
【図3】 食品状態評価装置3の構成を示す図である(例3)。
【図4】 食品状態評価装置4の構成を示す図である(例4)。
【図5】 食品状態評価装置5の構成を示す図である(例5)。
【図6】 食品状態評価装置6の構成を示す図である(例6)。
【図7】 レンコンスライスの自家蛍光イメージである(例9)。
【図8】 玄米の自家蛍光イメージである(例10)。
【図9】 玄米の自家蛍光イメージである(例11)。
【図10】 玄米の蛍光偏光イメージである(例14)。
【図11】 ポークハムの写真イメージと自家蛍光イメージである(例15)。
【図12】 蛍光プローブ共存下の玄米の蛍光イメージである(例16)。

Claims (3)

  1. 紫外線を照射して発光する食品中のリグニンおよび蛋白質の自家蛍光から該食品の状態を評価する食品状態評価法において、自家蛍光のうち440nmより長い波長域の蛍光強度を指標として該食品の状態を評価する食品状態評価法。
  2. 紫外線を照射して発光する食品中のリグニンおよび蛋白質の自家蛍光から該食品の状態を評価する食品状態評価法において、自家蛍光のうち520nmより長い波長域の蛍光強度を指標として該食品の状態を評価する食品状態評価法。
  3. 紫外線を照射して発光する食品中のフェノール化合物およびキノン化合物の自家蛍光から該食品の状態を評価する食品状態評価法において、自家蛍光のうち520nmより長い波長域の蛍光強度を指標として該食品の状態を評価する食品状態評価法。
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