JP3861782B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを噴射して印字面に所望の画像の記録を行うインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットヘッドには、記録媒体に液体インクを射出して所望の画像を得る複数のノズルが設けられている。そして、インク供給源としてのインクタンクからリザーバー部にインクを一旦分岐した後、インク射出のための圧力を発生させる加圧室にインクを供給して当該加圧室にて加圧することで、ノズルからインクが射出される。
そして、特許文献1に示すように、インクジェットヘッドのリザーバー部内に、インクタンクからのインクの流れの向きを強制的に変更する凸状の突起をインク侵入口近傍に設けて、気泡の停滞する部分をなくして気泡の排出を良好にしたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2992756号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1によれば、前述したリザーバー部内の突起の形状は、円形、楕円、三角形および四角形であってもよく、インクの流れの向きを強制的に変更できる高さがあればどのようなものでも良いとされている。
ここで、インクジェットヘッドの製造方法として、前記ノズルや加圧室を流路ユニット(第1の流路ユニット)に設け、更に、前記リザーバー部を別の流路ユニット(第2の流路ユニット)に設けた上で、両者を加圧して接合するといった方法をとることがある。この場合、インクが分岐して流れる流路(リザーバー部)は、第2流路ユニット内の空洞として構成されているため、第1・第2の両流路ユニットの加圧接合時に第2の流路ユニット側に加えられる加圧力は、空洞以外の部分(外周部)を介してしか、接合部側へ伝えることができない。従って、両流路ユニット同士の接合部に接合不良が生じ、インク流路からインクが漏れ出す可能性があった。
【0005】
本発明は、前述のような問題点を考慮し、両流路ユニット同士を接合した接合部からのインク漏れを防ぐことができるインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のインクジェットヘッドは、複数のインレット口と、複数の吐出ノズルとを備え、かつ、前記インレット口と前記吐出ノズルとを互いに連通する第1のインク流路を内部に形成する構成とした、第1の流路ユニットと、一つ以上のインク供給口と、前記第1の流路ユニットの前記インレット口に連通するインク導出口と、前記インク供給口から供給されたインクを前記インク導出口へ導く第2のインク流路と、を有する、平板積層状の第2の流路ユニットと、を含んでなり、前記第2の流路ユニットの平板積層方向に関して、前記第1の流路ユニットと前記第2の流路ユニットとを接合した構成のインクジェットヘッドにおいて、前記第2の流路ユニットを構成する平板のうち、前記第1の流路ユニットに最も近い側に位置する平板に、前記第2のインク流路となる凹部を形成するとともに、該第2のインク流路内には、平板同士を積層して前記第2の流路ユニットを構成したときに、他の平板に接触する独立した島状の凸部を設け、前記平板の第2のインク流路形成側と反対側の面にも凹部を形成し、当該凹部に、前記第1の流路ユニット内の前記第1のインク流路内のインクに噴射エネルギーを付与するためのアクチュエータユニットが配置されることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成によると、平板同士を積層して第2の流路ユニットを構成し、当該第2の流路ユニットと第1の流路ユニットとを加圧して接合する際に、前記凸部が、第2の流路ユニット側に伝えられた加圧力の第1の流路ユニット側への伝達に貢献する。従って、加圧力のムラが小さくなって、両ユニットが均等な力で互いに接合される。この結果、両ユニット同士を隙間なく確実に接合でき、当該接合部からのインク漏れを回避できる。
請求項2に記載のインクジェットヘッドは、請求項1において、前記平板に形成された、前記第2のインク流路となる凹部及び前記アクチュエータユニットが配置される凹部は、いずれもハーフエッチングにより形成されることを特徴とするものである。
このような構成によると、第2のインク流路の凹部とアクチュエータユニットが配置される凹部とを、一枚の平板にハーフエッチングで形成することができる。従って、第2の流路ユニットの製造コストを低減することができる。また、第2の流路ユニットの組立時の加工工数も低減できる。
【0008】
請求項3に記載のインクジェットヘッドは、請求項1または2において、前記凸部は、前記第2のインク流路の長手方向に沿う長手方向を有する形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成によると、第2のインク流路の長手方向に沿う長手方向を有する形状に形成されていることによって、第2のインク流路内を流通するインクを第2のインク流路の長手方向に向かって一方から他方へスムーズに流通させることができる。従って、インク導出口にインクを確実に流通させることができる。
【0010】
請求項4に記載のインクジェットヘッドは、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記第2の流路ユニットの第2のインク流路には、メイン流路と、当該メイン流路から分岐して前記インク導出口に接続するサブ流路と、を有するように構成し、前記凸部は、前記メイン流路から前記サブ流路に分岐する分岐箇所の近傍位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
このような構成によると、メイン流路からサブ流路に至る分岐箇所は、圧力伝達面積が小さくなって両ユニット接合時の加圧力を効果的に伝達しにくい箇所となっているが、本構成では、その部分に凸部を設けて圧力伝達を行わせるので、加圧力のムラを効果的に抑えることができる。
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態例を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態例に係るインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)の全体的な構成を示した側面図である。図2は、インクジェットヘッドが並べられた状態を示す底面図である。図3は、インクジェットヘッドの側面図一部断面図である。図4は、インクジェットヘッドの第2の流路ユニットと第1の流路ユニットの第1層の平板との構成を示す斜視図である。図5は、第1の流路ユニット内の第1のインク流路を示すインクジェットヘッド本体の断面図である。図6は、第2の流路ユニットの第2のインク流路内に形成する凸部の他の実施の形態例を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すカラーインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)1は、図中左方に給紙部11が、図中右方に排紙部12が、それぞれ構成され、給紙部11から排紙部12に向かって流れる用紙搬送経路が装置内部に形成されている。そして、この用紙搬送経路の途中に、インクジェットヘッド2が四つ備えられている。インクジェットヘッド2の詳細な構成は後述する。
【0017】
前述した給紙部11の直ぐ下流側には用紙送りローラ5・5が備えられて、画像記録媒体たる用紙を図中左方から右方へ送るように構成されている。用紙搬送経路の中間部においては、二つのベルトローラ6・7と両ローラ6・7間に掛け渡されるように巻回されたループ状の搬送ベルト8を備える。搬送ベルト8の外周面にはシリコーン処理が施されており、送りローラ5・5によって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト8上側の搬送面にその粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ6の駆動によって下流側(右方)へ向けて搬送できるようになっている。なお、9は、押さえ部材であって、搬送ベルト8上の用紙が搬送面から浮かないように、搬送ベルト8の搬送面に押し付けて搬送面上に確実に粘着させるためのものである。
【0018】
搬送ベルト8の図中右方には剥離機構10が設けられており、搬送ベルト8の搬送面に粘着されている用紙を搬送面から剥離して、右方の排紙部12へ向けて送るように構成されている。
【0019】
プリンタ1のインクジェットヘッド2は、四色のインク(マゼンダ、イエロー、ブルー、ブラック)に対応して、用紙搬送方向に沿って四つ並べて設けられている。インクジェットヘッド2は、その下面側から見た図である図2に示すように、用紙搬送方向に垂直な長手方向を有する細長い長方形状とされるとともに、その下面に取付けられるヘッド本体18には、インクを下方に向けて噴射するための微小径の吐出ノズル(以下「ノズル」と称する)13を多数並べて形成している。
【0020】
インクジェットヘッド2は、その下面が搬送ベルト8の搬送面との間に少量の隙間を形成しながら配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト8上を搬送される用紙は四つのインクジェットヘッド2のヘッド本体18の直ぐ下方側を順に通過し、この用紙の上面(印字面)に向けてノズル13から各色のインクを噴射することで所望のカラー画像を形成できるようになっている。
【0021】
インクジェットヘッド2部分の側面図一部断面図が図3に示され、このインクジェットヘッド2は、プリンタ1側に設けられている適宜の部材14に対し、ホルダ15を介して取付けられる、このホルダ15は、側面視で垂直部15aと水平部15bとを有する逆「T」字状に形成されており、垂直部15aがネジによりプリンタ本体側に取付けられる一方で、水平部15bの下面には、スペーサ部材3を介して、ヘッド本体18を構成する第2の流路ユニット40と第1の流路ユニット20とを順に固定する構成となっている。
【0022】
インクジェットヘッド本体18は図3等に示すように、第1の流路ユニット20と、アクチュエータユニット19と、第2の流路ユニット40と、を含んでなる。
【0023】
第1の流路ユニット20は長方形薄板状とされるとともに、後述するように複数枚の平板を積層した構造とされている。当該流路ユニット20には、複数のインレット口18aや多数の前記ノズル13が形成されている。
【0024】
アクチュエータユニット19は薄い平板状とされ、前記流路ユニット20の第2の流路ユニット40側を向く面に、複数並べて接着される。図4に鎖線で示すように、それぞれのアクチュエータユニット19の輪郭線は台形(即ち、互いに平行な長短一組の辺を有する形状)とされている。そしてアクチュエータユニット19は、当該一組の辺が前記流路ユニット20の長手方向と平行になる向きに向くようにして、かつ、互いに隣接するアクチュエータユニット19が前記一組の辺のうちの長い辺を互いに反対側に向けるようにしながら、流路ユニット20上に配置される。
【0025】
第2の流路ユニット40は、図示しないインク供給源(インクタンク)からのインクを連通するインク供給口41aと、そのインク供給口41aの数より多い数だけ形成されるとともに各々が流路ユニット20のインレット口18aに連通するインク導出口42bと、前記インク供給口41aから供給されたインクを前記インク導出口42bへ導く内部の第2のインク流路42fと、を有している。
【0026】
そして、前記流路ユニット40は、アクチュエータユニット19を挟む形で流路ユニット20に対し積層し、接着する構成とされている(ただし、アクチュエータユニット19と流路ユニット40との間は接着せず、適宜の空間を形成している)。このようにして、長方形平板を複数積層した構成のインクジェットヘッド本体18が形成される。
【0027】
第2の流路ユニット40を説明する。
この流路ユニット40は図4に示すように、第1平板41と第2平板42とを接合して形成している。両平板41・42は金属製(例えば、ステンレス製)とされている。
【0028】
第1平板41はインク供給口41aをその厚み方向に貫通させて形成し、このインク供給口41aを介して、インク供給源からのインクが流路ユニット40の内部に導入される。インク供給口41aは図4に示すように、第1平板41の短手方向の中心軸上かつ長手方向一方側に形成されている。なお、インク供給口41aは一つに限るものではなく、二つ以上あっても良く、形状も特に限定するものでない。
【0029】
第2平板42は、その前記第1平板41側を向く面に、第2のインク流路42fをハーフエッチングにて形成している。このインク流路42fは、第2平板42の長手方向に平行に形成される太くて長いメイン流路42aと、当該メイン流路42aから分岐する複数の短いサブ流路42cとを有している。サブ流路42cはメイン流路42aの側壁を略半円形状に切り欠いたものとして形成しており、このサブ流路42cの端部に相当する部分には、インク導出口42bが貫通状に形成される。このインク導出口42bの形成位置は、前述した第1の流路ユニット20のインレット口18aに重なる位置とされており、流路ユニット20と流路ユニット40とを接合したときに、当該流路ユニット40の各インク導出口42bが、流路ユニット20の対応するインレット口18aに、それぞれ連通するようになっている。
【0030】
また、第2平板42の第1の流路ユニット20側を向く面(前記インク流路42fを形成した面と反対側の面)42dには、第2平板42の縁側を残すようにして、凹部42gがハーフエッチングで形成されている。この凹部42gはアクチュエータユニット19を配置するための空間とされており、第2平板42のメイン流路42aと同様に、第2の流路ユニット40の長手方向に平行に長く形成されている。
前記第2平板42の凹部42g外側の縁の部分は、当該凹部42gに前記アクチュエータユニット19を配置したときに前記一組の辺のうち長い側の辺に相当する位置が切り欠かれ、切欠き部42hが形成されている。この切欠き部42hは、アクチュエータユニット19に接着される後述のフレキシブルフラットケーブル4を、凹部42gの外に引き出せるようにするためのものである。
【0031】
また、第2のインク流路42f内には、四つの島状の凸部42eが形成されている。それぞれの凸部42eは、図4に示すようにインク流路42fの長手方向に沿って細長い(当該長手方向に沿う長手方向を有する)形状とされ、また、その長手方向両端部が略半円形状に形成されている。凸部42eのそれぞれは、メイン流路42aからサブ流路42cに分岐するそれぞれの分岐箇所の近傍位置に、独立した島として形成される。この結果、四つの凸部42eが、第2のインク流路42fの長手方向からみて千鳥状に配置される格好となる。
【0032】
この凸部42eは、第2平板42のインク流路42fをハーフエッチング加工で形成する際に、当該凸部42eの輪郭を残すようにマスクを施すことで、当該インク流路42fと同時に形成できるようにしている。
従って、この凸部42eは、第1平板41と第2平板42が積層して第2の流路ユニット40を構成したときに、インク流路42fの外周部分と同様に、第1平板41(具体的には、第1平板41の第2平板42側の面)と接触することになる。
【0033】
このように凸部42eが、インク流路42fの長手方向に沿う長手方向を有する形状に形成されていることによって、インク流路42f内を流通するインクをインク流路42fの長手方向に向かって一方から他方へスムーズに流通させることができる。従って、インク導出口42bにインクを確実に流通させることができる。なお、凸部42eの形状は、特に限定するものではなく、インク流路42fを流れるインクの妨げにならないような長手方向に沿う長手方向の形状を有しておれば良い。
【0034】
また、凸部42eは第1平板41と第2平板42とが積層したときに、第1平板41が第2平板と対向する面41bと接触するので、第1の流路ユニット20と第2の流路ユニット40とを加圧して接合する際に、凸部42eが、第2の流路ユニット40側に伝えられた加圧力の第1の流路ユニット20側への伝達に貢献する。
【0035】
つまり、メイン流路42aからサブ流路42cに至る分岐箇所は、サブ流路42cが切りかかれたようになっているため、第2平板42を介して流路ユニット20側へ伝達する圧力伝達面積が小さくなって、両ユニット20、40接合時の加圧力を効果的に伝達しにくい箇所となっている。この点、本構成では、その部分に凸部42eを設けて圧力伝達面積を増加させて圧力伝達を行わせるので、加圧力のムラを効果的に抑えることができ、両ユニット20、40が均等な力で接合される。この結果、両ユニット20、40同士を隙間なく確実に接合でき、その接合部からのインク漏れを回避できる。
【0036】
この分岐流路ユニット40は、図示しないインク供給源からのインクをインク供給口41aを介して一旦メイン流路42a内に流通(貯留)させ、サブ流路42cからそれぞれのインレット口18aと重なる位置に開口されたインク導出口42bを介して、インクをインレット口18aに流通させる。
【0037】
本実施の形態例の流路ユニット40は、第1平板41と第2平板42の二枚の平板で構成されているが、特に限定するものではなく、例えば一枚の第2平板42の代わりに、当該第2平板42を厚み方向で二分割したような二枚の平板を用いて、三層構造の流路ユニットとしても良い。つまり、インク流路42fと凸部42eとインク導出口42bとを有する第3平板と、凹部42gとインク導出口42bと連通するように貫通された連絡孔を有する第2平板と、前述の第1平板と、の三枚の平板で分岐流路ユニット40を構成しても良い。
【0038】
流路ユニット20を説明する。
図4に示す流路ユニット20の第1層の平板21の上面には、後述するマニホールド流路30と連通する複数のインレット口18aが、平板21に千鳥状に設けられている。このインレット口18aは前述したインク導出口42bと重なる位置に形成されている。なお、この平板21の上面に示す鎖線は、台形平板状のアクチュエータユニット19が接着して設けられる位置を示している。
【0039】
この流路ユニット20は図5に示すように、九枚の薄い金属平板21〜29を積層した構造とされている。上から数えて第5〜第7層の平板25〜27に跨るようにしてマニホールド流路30が形成され、このマニホールド流路30がインレット口18aに連通している。直ぐ上に位置する第4の平板24には連絡孔31が形成され、この連絡孔31が、第3層の平板23に形成された絞り部32に接続している。
【0040】
絞り部32は、第2層の平板22に形成された連通孔33を介して、第1層の平板21に形成される圧力室34の一端に連通する。この圧力室34は、アクチュエータユニット19の駆動を受けてインクに圧力を与えるためのものであり、多数のノズル13のそれぞれに対応して一つずつ設けられている。圧力室34の他端は、第2〜第8層の平板に貫通して形成されたノズル連絡孔35を介して、第9層の平板(ノズルプレート)29に形成された先細りテーパ状の貫通孔であるノズル13に接続されている。このように流路ユニット20には、インレット口18aからノズル13までインクが流通する第1のインク流路が形成されている。
【0041】
このような第2の流路ユニット40と第1の流路ユニット20とが接合することで、図3に示すように、第2平板に形成されている凹部42gによって形成される空間44に、後述するアクチュエータユニット19を配置することができる。
【0042】
以上のように構成したインクジェットヘッド本体18において、図示しないインク供給源から供給されるインクは、インク供給口41aから第2の流路ユニット40内の第2のインク流路42fで分岐され、インク導出口42bを介してインレット口18aから導入され、第1の流路ユニット20のインレット口18aからノズル13に至る第1のインク流路内を流通する。つまり、前記流路ユニット20のインレット口18aからマニホールド流路30に導入されるインクは、連絡孔31から絞り部32、連通孔33を経由して圧力室34に供給され、ここでアクチュエータユニット19の駆動によって圧力を付与され、ノズル連絡孔35を経由してノズル13に至り噴射される。
【0043】
なお、前述した流路ユニット40のインク供給口41a、インク流路42f、インク導出口42b、凸部42e、凹部42g、切欠き部42hは、各平板41、42にエッチング加工(ハーフエッチング含む)またはレーザー加工で形成されている。
【0044】
また、流路ユニット20のマニホールド流路30、絞り部32、連絡孔31、連通孔33等は、各平板21〜28にエッチング(ハーフエッチング含む)またはレーザーで形成されており、またノズルプレート29のノズル13はプレス加工またはレーザー加工により形成されている。
【0045】
また、前述したアクチュエータユニット19は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミック材料からなる薄い圧電シートを複数枚重ねるとともに、薄いAg−Pd系の金属材料からなる電極膜を圧電シート間に介在させることで、圧力室34のそれぞれに対応して活性部が一つずつ形成される構成となっている。
【0046】
このような構成において、対となる電極間に電位差が与えられることで、当該活性部が圧力室34側に凸となるように変形する。この結果、圧力室34の容積が縮小されて、圧力室34内部のインク噴射のための圧力が与えられる。
【0047】
図5に示すように、アクチュエータユニット19の上面には、フレキシブルフラットケーブル4の一端が接着されており、このフレキシブルフラットケーブル4は図3に示すようにヘッド本体18から引き出されて、屈曲しながら上方に延出されている。このフレキシブルフラットケーブル4内の導線を介して、アクチュエータユニット19の前述の電極が、印字制御のための図示しないドライバICと電気的に接続される。なお、前記第2平板42に形成された前記切欠き部42hは、アクチュエータユニット19が配置される前述の空間44からフレキシブルフラットケーブル4が引き出される箇所(即ち、アクチュエータユニット19を配置するための前記空間44がインクジェットヘッド本体18の短手方向一側に形成する開口)となるように設けられている。
【0048】
なお、符号36は、ヘッド本体18の側部(即ち、前記空間44がヘッド本体18の短手方向一側に形成する開口)を閉鎖するように盛られたシリコン系の接着剤であり、フレキシブルフラットケーブル4が引き出される部分で強く屈曲されないよう保護するとともに、アクチュエータユニット19が配置される空間44内にインク等が侵入するのを防止する役割を果たす。
【0049】
以上に本発明の実施の形態例を説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。
【0050】
例えば本実施の形態例では、第2の流路ユニット40のインク流路42f内の凸部42eは四つ形成するものとし、それぞれをメイン流路42aからサブ流路42cに分岐する分岐箇所の近傍位置に独立した島として配置しているが、この構成に特に限定するものではない。例えば図6に示すように、メイン流路42aを流れるインクの妨げにならない程度に、前述した凸部42eを増設し、五つ以上の凸部42eとしても良い。また、それぞれの凸部42eを、図4等に示すものよりもインク流路42fの長手方向により延長した形状とすることも可能である。
【0051】
このように凸部42eを増設し或いは長くすることで、第2平板42が第1平板41と接触する面積が増加し、第2の流路ユニット40と第1の流路ユニット20とを加圧して接合する際に流路ユニット40側に伝えられた加圧力の流路ユニット20側への伝達効率が向上し、両ユニット40、20同士を隙間なく確実に接合でき、両ユニット同士の接合部からのインク漏れを回避できる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、平板同士を積層して第2の流路ユニットを構成し、当該第2の流路ユニットと第1の流路ユニットとを加圧して接合する際に、前記凸部が、第2の流路ユニット側に伝えられた加圧力の第1の流路ユニット側への伝達に貢献する。従って、加圧力のムラが小さくなって、両ユニットが均等な力で互いに接合される。この結果、両ユニット同士を隙間なく確実に接合でき、当該接合部からのインク漏れを回避できる。
請求項2によると、第2のインク流路の凹部とアクチュエータユニットが配置される凹部とを、一枚の平板にハーフエッチングで形成することができる。従って、第2の流路ユニットの製造コストを低減することができる。また、第2の流路ユニットの組立時の加工工数も低減できる。
【0053】
請求項3によると、第2のインク流路の長手方向に沿う長手方向を有する形状に形成されていることによって、第2のインク流路内を流通するインクを第2のインク流路の長手方向に向かって一方から他方へスムーズに流通させることができる。従って、インク導出口にインクを確実に流通させることができる。
【0054】
請求項4によると、メイン流路からサブ流路に至る分岐箇所は、圧力伝達面積が小さくなって両ユニット接合時の加圧力を効果的に伝達しにくい箇所となっているが、本構成では、その部分に凸部を設けて圧力伝達を行わせるので、加圧力のムラを効果的に抑えることができる。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態例に係るインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)の全体的な構成を示した側面図である。
【図2】 インクジェットヘッドが並べられた状態を示す底面図である。
【図3】 インクジェットヘッドの側面図一部断面図である。
【図4】 インクジェットヘッドの第2の流路ユニットと第1の流路ユニットの第1層の平板との構成を示す斜視図である。
【図5】 第1の流路ユニット内の第1のインク流路を示すインクジェットヘッド本体の断面図である。
【図6】 第2の流路ユニットの第2のインク流路内に形成する凸部の他の実施の形態例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)
2 インクジェットヘッド
18a インレット口
20 第1の流路ユニット
21 平板
40 第2の流路ユニット
41 第1平板(平板)
41a インク供給口
42 第2平板(平板)
42a メイン流路
42b インク導出口
42c サブ流路
42d 面
42e 凸部
42f インク流路
42g 凹部
Claims (4)
- 複数のインレット口と、複数の吐出ノズルとを備え、かつ、前記インレット口と前記吐出ノズルとを互いに連通する第1のインク流路を内部に形成する構成とした、第1の流路ユニットと、
一つ以上のインク供給口と、前記第1の流路ユニットの前記インレット口に連通するインク導出口と、前記インク供給口から供給されたインクを前記インク導出口へ導く第2のインク流路と、を有する、平板積層状の第2の流路ユニットと、
を含んでなり、前記第2の流路ユニットの平板積層方向に関して、前記第1の流路ユニットと前記第2の流路ユニットとを接合した構成のインクジェットヘッドにおいて、
前記第2の流路ユニットを構成する平板のうち、前記第1の流路ユニットに最も近い側に位置する平板に、前記第2のインク流路となる凹部を形成するとともに、該第2のインク流路内には、平板同士を積層して前記第2の流路ユニットを構成したときに、他の平板に接触する独立した島状の凸部を設け、
前記平板の第2のインク流路形成側と反対側の面にも凹部を形成し、当該凹部に、前記第1の流路ユニット内の前記第1のインク流路内のインクに噴射エネルギーを付与するためのアクチュエータユニットが配置されることを特徴とする、インクジェットヘッド。 - 請求項1に記載のインクジェットヘッドであって、
前記平板に形成された、前記第2のインク流路となる凹部及び前記アクチュエータユニットが配置される凹部は、いずれもハーフエッチングにより形成されることを特徴とする、インクジェットヘッド。 - 請求項1または2に記載のインクジェットヘッドであって、
前記凸部は、前記第2のインク流路の長手方向に沿う長手方向を有する形状に形成されていることを特徴とする、インクジェットヘッド。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドであって、
前記第2の流路ユニットの第2のインク流路には、メイン流路と、当該メイン流路から分岐して前記インク導出口に接続するサブ流路と、を有するように構成し、
前記凸部は、前記メイン流路から前記サブ流路に分岐する分岐箇所の近傍位置に配置されていることを特徴とする、インクジェットヘッド。
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