JP3757282B2 - 食品物性測定方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や農産物の力学特性測定器、および力学特性測定方法に関する。特に、所定の形状を持つプローブを被測定物に貫入させ、その際に発生した音響または振動スペクトルを利用して食品や農産物の食感を測定する測定器および測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
人は、味、香りおよび色といった多くの要素を基準として食物や農産物の嗜好的判断を行うが、その中で食感は、特に重要な要素である。このような食感は、食物の力学特性(弾性や粘性)に由来している。従って、食物の弾性や粘性を測定すれば、このような食感を定量化することが考えられる。麺類やパスタなどでは、麺などの被試験体を押し圧治具で一定距離押し圧した後、被試験体が押し圧治具に与える応力(反発力)を零にする位置まで押し圧治具を戻したときの距離と押し圧加重の関係から被試験体が有する反発エネルギーを計算し、習慣的に使われていた「ねばり」や「腰の強さ」という食感を定量的に測定している(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
ところが、食感には、「ねばり」や「腰」あるいはだけでなく、様々な種類がある。例えば農産物において、新鮮なキウリやセロリなどを咀嚼した際の「シャキシャキ」とした食感や、食べ頃になったセイヨウナシの「トロリ」とした食感は、我々の嗜好を大いにそそるものである。これらの食感は、従来のレオメーターなどの機械力学的な測定では表現できず、もっぱら人による官能検査により評価されている。
【0004】
また、近年、クッキーやスナック菓子などの乾いた多孔質性をもつ食品において、「パリパリ感」であるクリプトネスを測定するために、これらの食品の破断曲線を測定し、その周波数領解析を行うことで所定の周波数領域での破断エネルギーを求め、それをクリプトネスの指標として定量化している(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−190688号公報(第2−3頁、第1図)
【0006】
【特許文献2】
特開2001−133374号公報(第2−4頁、第3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
官能検査を利用して正確に食品の評価を行うためには、熟練した技術を持つ複数の試験者を必要とする。ワインや煙草といった高度な嗜好を要求される商品では、このような熟練した試験者が養成されているが、セロリやキウリなどの安価な農産物では、このような熟練者の養成は行われておらず、都度、非熟練の試験者を募り、予め定めた官能検査表に基づき、食感判定をしている。そのため、判定結果のばらつきが大きく、しかも官能試験の際の試験者は同一ではない場合が多いため、過去の測定結果と現在の測定結果とを正確に比較することは困難である。
【0008】
また、特許文献2に記載されているような被試験体を破壊するときに生じる破断曲線を用いる方法では、測定対象物は水分含有量が数%以下の乾いた多孔性食品に限られ、キウリやレタスなど水分を多く含む食材に適用した場合には、破断曲線がその食感と必ずしも有意な相関が得られないと言う問題を有する。
【0009】
本発明は、水分含有量の多い食材においても、「パリパリ感」あるいは「サクサク感」といった食感を正確に定量化する方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、
測定すべき食品に所定の治具を挿入し、その際に発生する振動を取得する第1の工程と、
前記振動をフーリエ変換することにより、振動スペクトルを得る第2の工程と、
前記振動スペクトルに対して知覚補正帯域幅を決定する第3の工程と、
前記知覚補正帯域幅に基づいて、前記振動スペクトルにおける複数の知覚補正周波数帯域を決定する第4の工程と、
前記複数の知覚補正周波数帯域に応じて前記振動スペクトルを分割し、複数の振動スペクトル区分を得る第5の工程と、
前記複数の振動スペクトル区分におけるそれぞれのスペクトル強度に対し、前記複数のスペクトル区分それぞれに対応する前記知覚補正周波数帯域に関連した補正係数を乗算して、複数の補正スペクトル強度値を算出する第6の工程と、
前記複数の補正スペクトル強度値を積算することにより食感値に相当するシャープネスを得る第7の工程とを具え、
前記第3の工程は、所定の周波数を基準として前記周波数以上の領域と前記周波数以下の領域とにおいて、異なる態様で実施することを特徴とする、請求項1に記載の食品物性測定方法に関する。
【0011】
本発明によれば、食品から発生する振動(音)のスペクトルを直接的に利用し、これに対して例えば人間の聴力の性向などを考慮した解析を施して、シャープネスという前記食品の食感値と直接的に対応した新規な特性値を導出するようにしている。したがって、上述した方法により前記シャープネスを導出すれば、前記食品の食感値を前記シャープネスという特性値を用いて定量化することができる。この結果、従来、観察者の熟練度合いに応じて変動が著しかった食品の食感を正確に定量化することができるとともに、「パリパリ感」あるいは「サクサク感」などの従来困難であった食感をも定量化することができる。
【0012】
また、本発明は、
側面に凹凸を設けた押し圧治具と、
前記押し圧治具を被試験体に移送するための移送手段と、
前記押し圧治具と前記移送手段を繋合する繋合手段と、
前記繋合手段に設けられた前記被試験体に前記押し圧治具を挿入した際に発生する振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段からの検出信号を増幅するための増幅手段と、
前記増幅手段からの出力をフーリエ変換し振動スペクトルに変換するフーリエ変換手段と、
前記振動スペクトルに対して所定の周波数を基準として前記周波数以上の領域と前記周波数以下の領域とにおいて、異なる態様で知覚補正帯域幅を決定し、前記知覚補正帯域幅に基づいて、前記振動スペクトルにおける複数の知覚補正周波数帯域を決定し、
前記複数の知覚補正周波数帯域に応じて前記振動スペクトルを分割し、複数の振動スペクトル区分を得、前記複数の振動スペクトル区分におけるそれぞれのスペクトル強度に対し、前記複数のスペクトル区分それぞれに対応する前記知覚補正周波数帯域に関連した補正係数を乗算して、複数の補正スペクトル強度値を算出し、前記複数の補正スペクトル強度値を積算することにより食感値に相当するシャープネスを得る演算手段と、
を具えることを特徴とする、食品物性測定装置に関する。
【0013】
上記測定装置を用いることにより、上述した測定を簡易に実行することができるようになる。
本発明の詳細及びその他の特徴については、以下に詳述する。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に本願発明の測定装置の構成を示す。載置台8に被試験体7が置かれており、その直上に側面に凹凸を設けた押し込み治具4が配置されている。なお、治具4の表面に凹凸を付けることで、測定する物体に治具を挿入する際に、測定する物体からの振動を起こしやすくするため、正確な測定を行うことができる。
【0015】
治具4の表面凹凸の状態は、例えば、図2に示すような態様を例示することができる。
【0016】
図2aは、先端が円錐状に尖った円柱プローブの側面に螺旋状の鍔をもつ。このプローブの水平断面は、円に限らず楕円および多角形でも良い。またこの鍔の上面からの投影形状は円に限らず、多角形、楕円でも良い。また、これらの鍔は、その少なくとも一部に切り込みを持つ形状を持つようにしても良い。
【0017】
図2bは、先端が四角錐状に尖った円柱プローブの側面に複数の鍔を持つ。この鍔は、プローブの側面に水平に取り付けても良いし、斜めに取り付けても良い。このプローブの水平断面は、円に限らず楕円および多角形でも良い。またこの鍔の上面からの投影形状は円に限らず、多角形、楕円でも良い。また、これらの鍔は、その少なくとも一部に切り込みを持つ形状を持つようにしても良い。
【0018】
図2cは、先端が尖った角柱プローブの両側面に複数の水平に広がった鋸状の鍔を持つ。このプローブの水平断面は、円に限らず楕円および多角形でも良い。またこの鍔において、少なくとも一部に切り込みを持つものであっても良い。
【0019】
図2dは、先端が尖った角柱プローブの両側面に複数の水平に広がった直方体の鍔を持つ。このプローブの水平断面は、円に限らず楕円および多角形でも良い。またこの鍔において、少なくとも一部に切り込みを持つものであっても良い。
【0020】
押し込み治具4の一方に押し込み時の振動を検出するための振動検出手段3であるピエゾ素子が図示しない繋合手段にてピストン2に繋合されている。ピストン2はシリンダ1内部に有り、シリンダ1はチュープ5を介して液体ポンプ6に接続されている。この液体ポンプ6は、図示しない指令信号により液体をシリンダ1に送出あるいは吸入することによりシリンダ1内部のピストン2を上下させることが出来る。なお、液体ポンプを使用することで不要な音や振動を発生させることなくピストンを移動できるので、測定時の不要なノイズの発生が抑えられ、正確な測定を行うことが出来る。
【0021】
被試験体の食感を測定する時は、液体ポンプ6より液体がシリンダ1に実線矢印の方向に送出されるためピストン2は下がり、押し圧治具4は被試験体7に貫入していく。押し圧治具4の貫入速度は、液体ポンプ6のモーターの回転数を制御して液体送出速度を変更することにより、被試験体に最適な値を選ぶことが出来る。
【0022】
押し圧治具4が被試験体に貫入するに従い発生する振動は、振動検出手段3により検出され、その出力は増幅手段9に入力される。増幅手段9の出力はフーリエ変換手段10に入力され、前記振動に応じた振動スペクトルが算出される。この振動スペクトルは演算手段11に出力され、以下に示すような演算処理が施される。
【0023】
ヒトの聴覚は、聞き取ることができる振動強度の最小値を周波数毎に定められているのではなく、一定の周波数区間で決めている。さらに高周波域になるほど、この聞き取ることができる振動強度の最小値が大きくなる。これは低周波域より高周波域のほうが聞き取りにくいということを表している。
【0024】
すなわち、知覚できる振動強度の情報は、ある一定の範囲の周波数であり(以下、「知覚周波数帯域」とする。)、しかもその知覚できる振動強度の最小値は、周波数によって異なるので、周波数により知覚できる振動強度の最小値の補正(以下、「知覚補正」とする。)を行っている。これが、ヒトが通常行っている聴覚情報処理であり、音響心理学の対象となっている。従って、対象となる農産物や食品に対して、固有の知覚周波数帯域と知覚補正を行うことで、通常、ヒトが行っている聴覚情報処理に基づいた計測を行うことが出来る。
【0025】
知覚補正を含む演算処理は以下に示すような工程からなる。最初に、上述のように、フーリエ変換を経て得た振動スペクトルに対して、知覚補正帯域幅を決定する。例えば、前記振動スペクトルに対してfmとfm+1(fm+1=21 / 3×fm)(m:自然数)という2つの周波数を設定する。なお、fm+1=21 / 3×fmは1/3オクターブバンドと呼ばれる。
【0026】
次いで、前記2つの周波数fm及びfm+1に対して中心周波数cfm及びcfm+1を設定する。なお、cfm=(fm×fm+1)1 / 2である。次いで、cfm+1−cfmなる演算を行い、前記中心周波数間の帯域幅で規定される周波数帯域幅を導出する。この周波数帯域幅が知覚補正帯域幅である。
【0027】
上述のような中心周波数を利用した知覚補正帯域幅の導出は、前記振動スペクトルの全周波数帯域に対して行うこともできるが、所定の周波数帯域に対して行うこともできる。 例えば周波数が500Hz以下で有れば中心周波数を計算せず、一定の知覚補正帯域幅、例えば100Hzを設定することもできる。したがって、前記振動スペクトルの、500Hz以下の周波数帯域においては、100Hzの知覚補正帯域幅を設定し、500Hz以上の周波数帯域においては、上述した中心周波数を用いた知覚補正帯域幅を設定することになる。
【0028】
次いで、前記振動スペクトルを前述のようにして得た複数の知覚補正帯域幅に基づいて分割し、複数の振動スペクトル区分を得る。次いで、それぞれの振動スペクトル区分のスペクトル強度に対して、それらのスペクトル区分に対応する前記知覚補正周波数帯域幅に関連した補正係数を乗算して、前記複数の振動スペクトル区分に対応した複数の補正スペクトル強度値を算出する。
【0029】
前記補正係数としては、人間の耳機能に基づいて算出した係数を用いることができ、例えばドイツの音響心理学者E.ツヴィッカー(1924〜1990)が人間の耳の機能に基づき算出した係数を用いることができる。この補正係数を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
但し、前記補正係数としては、対象となる農産物や食品に固有のものであるので、上述した補正係数に限るものではなく、対象に応じて最適な係数を設定すればよい。
【0032】
次いで、上述のようにして得た補正スペクトル強度値を前記複数の振動スペクトル区分の全体に亘って積算し、所定の積算値を得る。本発明者らは、この積算値をシャープネスと呼ぶ。このシャープネスは、食品などの食感を極めて定量的に表示するものであるので、食品に対してシャープネスを計算することにより、従来、観察者の熟練度合いに応じて変動が著しかった食品の食感を正確に定量化することができる。また、「パリパリ感」あるいは「サクサク感」などの従来困難であった食感をも定量化することができる。
【0033】
【実施例】
本実施例においては、上述した方法及び装置を用いてキウリの食感を評価した。評価に際しては、食感の異なる3種類(品種A、B及びC)のキウリを用いた。なお、これら3種類のキウリのシャキシャキ感は、品種A、B及びCの順に大きくなっている。すなわち、品種Aのシャキシャキ感が最も高く、品種Cのシャキシャキ感が最も低い。
【0034】
これら3種類のキウリに対して治具を挿入し、得られた振動に対してフーリエ変換を行って得た、それぞれの振動スペクトルを図3に示す。図3から明らかなように、前記3種類のキウリはそれぞれ異なる振動スペクトルを有することが分かる。
【0035】
次いで、このようにして得た振動スペクトルに対して、上述したように知覚補正帯域幅を設定し、次いで、図3に示す振動スペクトルを前記知覚補正帯域幅に基づいて分割し、複数の振動スペクトル区分を得、次いで、それぞれの振動スペクトル区分のスペクトル強度に対して、それらのスペクトル区分に対応する前記知覚補正周波数帯域幅に関連した補正係数を乗算して、前記複数の振動スペクトル区分に対応した複数の補正スペクトル強度値を算出した。
【0036】
なお、知覚補正帯域幅の導出のために使用した周波数fmや中心周波数cfm、並びにこれらの値に基づいて得られた知覚補正帯域幅及び知覚補正周波数帯域を表2に示す。なお、前述したように、周波数500Hz以下においては、知覚帯域幅を100Hzに設定した。
【0037】
【表2】
【0038】
次いで、前記複数の補正スペクトル強度値を積算してシャープネスを導出する。図4は、上述のようにして導出したシャープネスと実際の食感値との対応を示すグラフである。図4から明らかなように、シャープネスと食感値とは極めて高い相関を示すことが分かる。したがって、本発明の方法及び装置によって、食品の食感をシャープネスという特性値によって定量的に測定できることが分かる。
【0039】
なお、図4の縦軸における参照数字は5が最も高いシャキシャキ感を示し、数字が低下するにつれてシャキシャキ感が低下していることを示している。
【0040】
また、上記実施例では、周波数20Hz以上、約6000Hzまでの振動スペクトルの周波数帯域を考慮しているが、これに限定されるものではない。さらに、具体例としてキウリについて示しているが、他の食品についても同様の結果を得ることができる。
【0041】
以上、本発明を具体例を示しながら発明の実施の形態に即して説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変更や変形が可能である。
【0042】
【発明の効果】
被試験体と積極的に振動を起こすように側面に凹凸を設けた押し圧治具を食品である被試験体に貫入し、貫入する際に前記治具と被試験体との間で発生した振動または音響スペクトルを検出する。この検出されたスペクトルを解析することにより、従来、数値化が困難であった食感熟度を数値化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の食品物性測定装置の構成を示す概略図である。
【図2】 本発明の食品物性測定装置における、押し込み治具の表面凹凸形態を示す図である。
【図3】 本発明の食品物性測定方法で用いたキウリの振動スペクトルを示すグラフである。
【図4】 本発明の食品物性測定方法及び食品物性測定装置を用いて得たシャープネスと食感値との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ピストン
3 振動検出手段
4 押し圧治具
5 チューブ
6 液体ポンプ
7 被試験体
8 載値台
9 増幅手段
10 フーリエ変換手段
11 演算手段
12 出力手段
Claims (15)
- 測定すべき食品に所定の治具を挿入し、その際に発生する振動を取得する第1の工程と、
前記振動をフーリエ変換することにより、振動スペクトルを得る第2の工程と、
前記振動スペクトルに対して知覚補正帯域幅を決定する第3の工程と、
前記知覚補正帯域幅に基づいて、前記振動スペクトルにおける複数の知覚補正周波数帯域を決定する第4の工程と、
前記複数の知覚補正周波数帯域に応じて前記振動スペクトルを分割し、複数の振動スペクトル区分を得る第5の工程と、
前記複数の振動スペクトル区分におけるそれぞれのスペクトル強度に対し、前記複数のスペクトル区分それぞれに対応する前記知覚補正周波数帯域に関連した補正係数を乗算して、複数の補正スペクトル強度値を算出する第6の工程と、
前記複数の補正スペクトル強度値を積算することにより食感値に相当するシャープネスを得る第7の工程とを具え、
前記第3の工程は、所定の周波数を基準として前記周波数以上の領域と前記周波数以下の領域とにおいて、異なる態様で実施することを特徴とする、食品物性測定方法。 - 前記基準となる周波数が500Hzであることを特徴とする、請求項1に記載の食品物性測定方法。
- 前記第3の工程の前記基準となる周波数以上の前記領域において、前記知覚補正帯域幅は、隣接する2つの周波数fm及びfm+1(m:自然数)を決定するとともに、この2つの周波数に対する中心周波数cfm及びcfm+1を導出し、cfm+1−cfmなる演算を行って導出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の食品物性測定方法。
- 前記fm及び前記fm+1は、fm+1=21/3×fmなる関係を満足することを特徴とする、請求項3に記載の食品物性測定方法。
- 前記第3の工程の前記基準となる周波数以下の前記領域において、前記知覚補正帯域幅は100Hzとすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の食品物性測定方法。
- 前記補正係数は、人間の耳機能に基づいて算出した係数であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の食品物性測定方法。
- 側面に凹凸を設けた押し圧治具と、
前記押し圧治具を被試験体に移送するための移送手段と、
前記押し圧治具と前記移送手段を繋合する繋合手段と、
前記繋合手段に設けられた前記被試験体に前記押し圧治具を挿入した際に発生する振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段からの検出信号を増幅するための増幅手段と、
前記増幅手段からの出力をフーリエ変換し振動スペクトルに変換するフーリエ変換手段と、
前記振動スペクトルに対して所定の周波数を基準として前記周波数以上の領域と前記周波数以下の領域とにおいて、異なる態様で知覚補正帯域幅を決定し、前記知覚補正帯域幅に基づいて、前記振動スペクトルにおける複数の知覚補正周波数帯域を決定し、
前記複数の知覚補正周波数帯域に応じて前記振動スペクトルを分割し、複数の振動スペクトル区分を得、前記複数の振動スペクトル区分におけるそれぞれのスペクトル強度に対し、前記複数のスペクトル区分それぞれに対応する前記知覚補正周波数帯域に関連した補正係数を乗算して、複数の補正スペクトル強度値を算出し、前記複数の補正スペクトル強度値を積算することにより食感値に相当するシャープネスを得る演算手段と、
を具えることを特徴とする、食品物性測定装置。 - 前記演算手段において、前記基準となる周波数が500Hzであることを特徴とする、請求項7に記載の食品物性測定装置。
- 前記演算手段において、前記基準となる周波数以上の前記領域において、前記知覚補正帯域幅は、隣接する2つの周波数fm及びfm+1(m:自然数)を決定するとともに、この2つの周波数に対する中心周波数cfm及びcfm+1を導出し、cfm+1−cfmなる演算を行って導出することを特徴とする、請求項7又は8に記載の食品物性測定装置。
- 前記fm及び前記fm+1は、fm+1=2 1/3 ×fmなる関係を満足することを特徴とする、請求項9に記載の食品物性測定装置。
- 前記演算手段において、前記基準となる周波数以下の前記領域において、前記知覚補正帯域幅は100Hzとすることを特徴とする、請求項7又は8に記載の食品物性測定装置。
- 前記補正係数は、人間の耳機能に基づいて算出した係数であることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一に記載の食品物性測定装置。
- 前記移送手段は、押し圧治具に繋合するピストンと、このピストンが自在に移動できるように係合したシリンダと、このシリンダ内部に液体を導入及び吐出させ、この液体の圧力によって前記ピストンを移動させるようにした液体ポンプとを含むことを特徴とする、請求項7〜12のいずれか一に記載の食品物性測定装置。
- 前記押し圧治具は、円柱または多角形の断面を持つ角柱であり、その側面の一部あるいは全てに、突起を有することを特徴とする、請求項7〜13のいずれか一に記載の食品物性測定装置。
- 前記押し圧治具は、その先端が円錐形状または四角柱形状を呈することを特徴とする、請求項14の記載の食品物性測定装置。
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