JP3738720B2 - 情報処理装置およびその制御方法、制御プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
情報処理装置およびその制御方法、制御プログラムおよび記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置およびその制御方法、制御プログラムおよび記録媒体に関し、表示画像に手書き入力を行い、この画像の保存および送受信を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)で利用可能なソフトウェアには、楽譜を表示させる音楽用ソフトウェアがある。また、この種の音楽用ソフトウェアには、PCに接続されたMIDI(Musical Instrument Digital Interface)キーボードから演奏のMIDIデータを入力し、画面に表示した楽譜(以下、「電子楽譜」という。)に弾き間違えた箇所(音符)を表示できるものがある。これにより、PCのユーザは、鍵盤演奏の練習を自身で行うことができるようになっている。
【0003】
また、近年では、一般家庭へのパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)の普及を背景として、インターネットを利用して楽器演奏のレッスンを行うサービスが提供され始めている。このサービスは、生徒が上述した音楽用ソフトウェアなどを利用して楽器を演奏した後、自身の演奏MIDIデータや質問を電子メールにて先生宛に送信すると、先生から電子メールにてアドバイスが送信されてくるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的な紙ベースの楽譜と比較すると、電子楽譜には、自由に注意書きやメモを書き込むことができない分、使い勝手に劣る部分があった。また、上述したインターネットによる楽器演奏のレッスンでは、先生と生徒が電子メールにて情報交換を行うので、リアルタイムでレッスンを行うことはできなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電子楽譜などの表示画像に自由に書き込みができ、演奏練習などに好適な情報処理装置およびその制御方法、制御プログラムおよび記録媒体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、情報処理装置において、表示装置と、表示用のデータを記録する表示用データ記録手段と、前記表示用のデータに基づいて画像データを作成する画像作成手段と、操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出手段と、前記画像作成手段によって作成された画像データと、前記位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御手段とを備え、前記表示制御手段は、前記画像データに対応する画像を頁単位で予め定めたレイヤに表示させ、前記手書きデータに対応する手書き画像を、前記レイヤと異なる他のレイヤにリアルタイムで表示させるとともに、当該手書きデータを、その時点に表示している前記画像の頁と対応づけて記憶しておき、その頁の画像を前記レイヤに再表示した時に当該手書きデータに対応する手書き画像を前記他のレイヤに表示させることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、予め記録してある画像データの画像と、位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータの手書き画像とをそれぞれ異なるレイヤにリアルタイムで表示するとともに、手書きデータをその時点に表示している前記画像の頁と対応づけて記憶しておき、その頁の画像が再表示された時に当該手書きデータに対応する手書き画像を表示するので、表示された画像の頁毎に書き込みを行うことができ、手書き画像が書き込まれた画像の頁が再表示された時に、その手書き画像を再表示させることができる。また、画像データの画像と、手書きデータの手書き画像とは異なるレイヤに表示されるので、レイヤの表示/非表示の切り替えを行えば、手書き画像だけを非表示にすることも簡易に行うことができる。
【0008】
また、本発明は、情報処理装置の制御方法において、表示用データ記録手段に記録された表示用データに基づいて画像データを作成する画像作成ステップと、操作者によって指定された表示装置の画面上の位置を検出する位置検出ステップと、前記画像データと、検出した前記位置の軌跡に対応する手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御ステップとを有し、前記表示制御ステップにおいては、前記画像データに対応する画像を頁単位で予め定めたレイヤに表示させ、前記手書きデータに対応する手書き画像を、前記レイヤと異なる他のレイヤにリアルタイムで表示させるとともに、当該手書きデータを、その時点に表示している前記画像の頁と対応づけて記憶しておき、その頁の画像を前記レイヤに再表示した時に当該手書きデータに対応する手書き画像を前記他のレイヤに表示させることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、上述と同様に、表示された画像の頁毎に書き込みを行うことができ、手書き画像が書き込まれた画像の頁が再表示された時に、その手書き画像を再表示させることができる。また、手書き画像だけを非表示にすることも簡易に行うことができる。
【0010】
また、本発明は、制御プログラムにおいて表示装置と、操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出手段を有するコンピュータを、表示用のデータを記録する表示用データ記録手段と、前記表示用のデータに基づいて画像データを作成する画像作成手段と、前記画像作成手段によって作成された画像データと、前記位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御手段として機能させるための制御プログラムであって、前記表示制御手段は、前記画像データに対応する画像を頁単位で予め定めたレイヤに表示させ、前記手書きデータに対応する手書き画像を、前記レイヤと異なる他のレイヤにリアルタイムで表示させるとともに、当該手書きデータを、その時点に表示している前記画像の頁と対応づけて記憶しておき、その頁の画像を前記レイヤに再表示した時に当該手書きデータに対応する手書き画像を前記他のレイヤに表示させる手段として機能させることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、この制御プログラムをコンピュータにインストールすれば、そのコンピュータに、予め記録してある画像データの画像と、位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータの手書き画像とをそれぞれ異なるレイヤにリアルタイムで表示させるとともに、手書きデータをその時点に表示している前記画像の頁と対応づけて記憶しておき、その頁の画像が再表示された時に当該手書きデータに対応する手書き画像を表示させることができるので、表示された画像の頁毎に書き込みを行うことができ、手書き画像が書き込まれた画像の頁が再表示された時に、その手書き画像を再表示させることができる。また、手書き画像だけを非表示にすることも簡易に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体において、表示装置と、操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出手段を有するコンピュータを、表示用のデータを記録する表示用データ記録手段と、前記表示用のデータに基づいて画像データを作成する画像作成手段と、前記画像作成手段によって作成された画像データと、前記位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御手段として機能させるための制御プログラムであって、前記表示制御手段は、前記画像データに対応する画像を頁単位で予め定めたレイヤに表示させ、前記手書きデータに対応する手書き画像を、前記レイヤと異なる他のレイヤにリアルタイムで表示させるとともに、当該手書きデータを、その時点に表示している前記画像の頁と対応づけて記憶しておき、その頁の画像を前記レイヤに再表示した時に当該手書きデータに対応する手書き画像を前記他のレイヤに表示させる手段として機能させる制御プログラムを記録したことを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、この制御プログラムを記録媒体から読み出してコンピュータが実行すれば、そのコンピュータに、上述と同様に、表示された画像の頁毎に書き込みを行うことができ、手書き画像が書き込まれた画像の頁が再表示された時に、その手書き画像を再表示させることができる。また、手書き画像だけを非表示にすることも簡易に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。以下に示す実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0015】
(1) 実施形態の構成
(1.1) 楽譜型情報処理装置の外観構成
図1は、本発明の実施形態に係る楽譜型情報処理装置の外観図である。この楽譜型情報処理装置1は、一般的な紙ベースの楽譜とほぼ同様の大きさに形成され、演奏時に譜面台などに載せて、演奏者が紙ベースの楽譜に代えて使用することができる装置である。
【0016】
図1に示すように、この楽譜型情報処理装置1は、略矩形形状の薄型ボディからなり、左右に楽譜などを表示する表示画面2、3を有している。この表示画面2、3は、図2に示すように、液晶表示パネル10A、10Bの上面に透明のタッチパネル11A、11Bを各々設けて構成され、指やスタイラスペンによる表示画面2、3の押圧操作と押圧位置とがタッチパネル11A、11Bによって検出できるようになっている。また、図1において、4は、電源スイッチなどを含む操作スイッチ群である。すなわち、この楽譜型情報処理装置1は、演奏者からの指示を操作スイッチ群4の操作や表示画面2、3の押圧操作を介して入力するようになっている。
【0017】
また、この楽譜型情報処理装置1の左側の筐体5と右側の筐体6は、ヒンジ機構Sによって回転可能に連結され、ノートブックや楽譜(楽譜集)と同じように、開閉可能に構成されている。これにより、この楽譜型情報処理装置1は、図3に示すように、左右の筐体5、6を閉じることによって、全体形状を小さくでき、持ち運びを容易に行うことができる。また、この閉状態では、表示画面2、3などが外部に露出しないのでこれらが破損する場合などを防止することができる。
【0018】
また、この楽譜型情報処理装置1は、カメラ7、マイクロホン8およびスピーカ9を有している。カメラ7は、開状態(図1の状態)でこの楽譜型情報処理装置1の前面、つまり、表示された楽譜を見て演奏を行う演奏者を撮影するために設けられている。マイクロホン8は、指向性を有するマイクロホンが適用され、開状態でこの楽譜型情報処理装置1の前面からの音声、つまり、演奏者の演奏音や音声を入力するために設けられている。また、スピーカ9は、この楽譜型情報処理装置1に記録されたMIDIデータまたは音声データから生成した音声を放音するためのものである。また、この楽譜型情報処理装置1は、メモリカードのリーダ/ライタ12を内蔵しており、図示しない側面位置にメモリカード用のスロットを有している。
【0019】
(1.2) 楽譜型情報処理装置の電気的構成
次に、図4を参照して、楽譜型情報処理装置1の電気的構成を説明する。同図において、CPU(Central Processing unit)20は、バス(BUS)21を介して接続された各部の動作を制御することにより、楽譜型情報処理装置1全体を制御する。また、CPU20は、液晶表示パネル10A、10Bを駆動して各種画像を表示させる表示制御を行う際は、表示画像を複数のレイヤ構造で表示する表示制御を行う。レイヤ表示については後段の楽譜型情報処理装置1の処理内容で説明する。
【0020】
RAM(Random Access Memory)22は、CPU20のバッファメモリやワークメモリとして使用されるメモリであり、イメージデータやプログラムデータなどが一時記憶される。また、制御プログラムメモリ23、楽譜データメモリ24、ユーザデータメモリ25は、例えば、磁気ディスクまたはEEP−ROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記録装置から構成されており、制御プログラムメモリ23には、CPU20に各種の処理(楽譜表示処理など)を行わせるための処理手順を示した制御プログラム群が記録されている。また、楽譜データメモリ24には、複数の楽曲の楽譜データが記録されており、ユーザデータメモリ25には、撮影データや録音データなどの画像や音声のデータなどが記録されるようになっている。
【0021】
無線通信部26は、CPU20の制御の下に図示しないアンテナを介して外部機器と無線でデータ通信を行うものであり、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線モジュールが適用される。楽譜型情報処理装置1では、この無線通信部26によって図示しないルータを介してインターネットに接続したり、他の楽譜型情報処理装置1やPCなどとデータ通信を行うようになっている。
【0022】
また、MIDIインターフェース27は、この楽譜型情報処理装置1とMIDIインターフェースを備える電子楽器やPCとの間でMIDIデータを通信するためのものである。また、音源28は、CPU20の制御の下に音声データまたはMIDIデータから音声信号を生成し、図示しないディジタルアナログ変換回路を介してスピーカ9から放音させるものである。
【0023】
(1.3) 楽譜データの構成
次に本実施形態で用いる楽譜データについて説明する。
図5に示すように、楽譜データDMは、音高情報、リズム情報および頁情報のフィールドを含んでおり、音高情報には、さらに音階情報とオクターブ情報とが含まれている。
【0024】
音階情報は、「ド(C)」などの音階を数字を用いて表しており、具体的には、「ド」=「0」を基準に半音の幅を「1」として音階を指定している。例えば、「1」は、「ド」より半音高い「ド#1」を表し、「2」は、「ド」よりも1音高い「レ」を表している。
【0025】
また、オクターブ情報は、基準音に対するオクターブの高低を正負符号「+」および「−」で表すとともに、基準音に対するオクターブの間隔を数字で表している。例えば、「+1」は、基準音から1オクターブ高い音を指定しており、「−1」は、基準音から1オクターブ低い音を指定する。従って、音階情報が「1」で、オクターブ指定情報が「+1」の場合は、基準の「ド」よりも1オクターブ高い「ド#」を表している。
【0026】
一方、リズム情報は、音の長さの基準とする4分音符を「1」として数字で音の長さを表している。例えば、「0.5」は、4分音符の半分の音の長さであるから、8分音符を指定し、「4」は、4分音符の4倍の音の長さであるから、全音符を指定している。
【0027】
また、頁情報は、音高情報やリズム情報などが、楽譜データにおける何頁目に属するかを指定している。また、楽譜データには、上述した情報以外に、演奏時のテンポを指定するテンポ情報、曲の題名、作曲者名、作詞家名などを示す情報を含んでいる。
【0028】
そして、この楽譜型情報処理装置1は、CPU20が演奏者の指示に基づいて対応する楽曲の楽譜データDMを読み出し、所定のアルゴリズムで五線譜の楽譜の画像データを頁単位で生成することにより、楽譜の各頁を表示画面2および3にそれぞれ表示できるようになっている。
【0029】
(1.4) 楽譜型情報処理装置の処理内容
次に、この楽譜型情報処理装置1が行う各種処理について説明する。
この楽譜型情報処理装置1は、複数の動作モードを有しており、動作モードを切り替えることにより、楽譜表示、撮影、録音またはデータ通信を行う。また、本実施形態に係る楽譜型情報処理装置1は、これらの機能を利用して、インターネットなどのネットワークを介して遠隔レッスンを行う機能を有している。具体的には、この楽譜型情報処理装置1は、楽譜表示モード、撮影モード、録音モード、通信モードおよびレッスンモードの動作モードを備えている。以下、各動作モードについて説明する。
【0030】
a.楽譜表示モード
楽譜表示モードは、楽器演奏のための楽譜を表示する動作モードであり、このモードが選択されると、CPU20は、制御プログラムメモリ23に記録された所定のプログラムを読み出して実行することにより、楽譜データメモリ24に記憶された楽譜データDMのファイル名を表示画面2および3に表示し、操作者に対して表示対象の楽譜データDMの選択を促す。なお、演奏者が楽譜データDMのファイル名を直接入力するようにしてもよいし、楽譜データメモリ24に記憶された楽譜データDMをサムネール表示してその中から選択するようにしてもよい。
【0031】
そして、操作者により楽譜データDMが選択されると、CPU20は、楽譜データメモリ24から対応する楽譜データDMを読み出し、1頁目と2頁目の楽譜画像データを生成することにより、1頁目と2頁目の楽譜を表示画面2と表示画面3とにそれぞれ頁単位で表示させる。この場合の表示例を図6に示すように、表示画面2には、各種操作を指示するための操作ボタン群30および40がさらに表示される。具体的には、操作ボタン群30は、頁送り、頁戻し、頁の最初に戻る、楽譜の保存および他の楽譜を表示、といった楽譜操作や、手書き画像の消去、保存および各種設定、といった処理を指示するためのソフトウェアボタンであり、操作ボタン群40は、動作モードの切り替えを指示するためのソフトウェアボタンである。
【0032】
また、この楽譜表示処理において、CPU20は、図7に示すように、表示画像Pを複数のレイヤに対応付けて表示するレイヤ表示処理を行い、この図では、第1レイヤL1に楽譜画像や操作ボタン群30、40の画像を表示する場合を示している。なお、ここでは、第2レイヤL2〜第nレイヤLnには何も画像は表示されていない。そして、CPU20は、液晶表示パネル10A、10Bを駆動して表示画像Pの左領域の画像Plを液晶表示パネル10Aに表示させ、右領域の画像Prを液晶表示パネル10Bに表示させることにより、1頁目の楽譜を表示画面2に表示し、2頁目の楽譜を表示画面3に表示させる。
【0033】
次に、CPU20は、タッチパネル11A、11Bを介して検出した押圧位置に基づき、操作ボタン群30の楽譜操作の操作ボタンが押圧操作されたことを検出すると、第1レイヤL1に表示される楽譜の頁を変更して表示画像Pを更新する処理を行う。例えば、頁送りボタンが押圧操作された時は、第1レイヤL1に表示する楽譜画像を2頁後の楽譜画像に更新することによって、表示画面2および3に表示される楽譜をそれぞれ2頁後の楽譜に変更させる。また、CPU20は、タッチパネル11A、11Bを介して操作ボタン群40のいずれかが押圧操作されたことを検出すると、動作モードを切り替える処理を行う。
【0034】
また、CPU20は、タッチパネル11A、11Bを介して検出した押圧位置が操作ボタン群30および40以外の位置の場合は、この位置の軌跡の画像データ(以下、「手書きデータ」という。)を生成し、図8に示すように、この位置の軌跡を第2レイヤL2にリアルタイムに表示させることによって、表示画面2および3に楽譜画像と該位置の軌跡とを重ねて表示させる。また、CPU20は、図9または図10に示すように、この手書きデータにその時点の楽譜の頁、楽譜データのファイル名、表示レイヤ(第2レイヤL2)などを特定するための付加情報をつけてRAM22に記憶しておき、上述した楽譜頁変更処理の際に、この付加情報を参照することにより、変更後の頁に対応する手書きデータがあれば、この位置の軌跡の画像を第2レイヤL2に表示し、無ければ第2レイヤL2には何も表示させない。なお、図9は1頁分の手書きデータに付加情報をつけて記憶した場合の概念図であり、図10は連続する2頁分の手書きデータに付加情報をつけて記憶した場合の概念図であり、いずれの方法を採用してもよい。これにより、演奏者は、一般の紙ベースの楽譜と同様に、スタイラスペンなどによって電子楽譜に直接文字や絵柄などの手書き画像を書き込むことができる。
【0035】
ここで、本実施形態においては、手書き画像(押圧位置の軌跡)を第2レイヤL2に表示する場合を示しているが、CPU20は、操作者の設定変更に従って手書き画像を表示するレイヤを任意に変更し、他のレイヤ(第3レイヤL3〜第nレイヤLn)に表示する場合でも同じ処理を行う。従って、複数のレイヤに手書き画像を書き込むことも可能である。なお、手書き画像を表示した時の色や点の大きさ(線の太さ)についても各レイヤ毎に操作者が任意に設定できるようにしてもよい。また、楽譜画像と操作ボタン群30、40を表示するレイヤも第1レイヤL1に限らず、楽譜画像と手書き画像を表示するレイヤが異なる範囲で任意のレイヤに表示させることが可能である。なお、楽譜画像と操作ボタン群30、40の画像は同一レイヤに限らず、異なるレイヤに表示させるようにしてもよい。
【0036】
また、CPU20は、操作ボタン群30の操作や設定に応じて第1レイヤL1〜第nレイヤLnの表示/非表示を制御することにより、操作者の操作に応じて楽譜と手書き画像を同時に表示させたり、楽譜のみを表示させたり、手書き画像だけを表示させたり、所定のレイヤの手書き画像だけを表示させたり、といった切り替え表示を行う。すなわち、この楽譜型情報処理装置1は、楽譜と手書き画像とを異なるレイヤで表示しているので、楽譜または手書き画像の非表示処理を簡易に行うことができる。
【0037】
また、CPU20は、操作ボタン群30の楽譜の保存の操作ボタンが操作された場合は、第2レイヤL2〜第nレイヤLnに表示した手書きデータおよび付加情報を読み出して、これらデータと第1レイヤL1に表示した楽譜データとを1つの楽譜データとしてユーザデータメモリ25に記録する。そして、CPU20は、この楽譜データを表示する際は、楽譜データに含まれる付加情報に基づいて、表示する楽譜の頁に対応する手書きデータがあると判定した場合は、この手書きデータの画像を指定されたレイヤに表示することにより、前回書き込まれた手書き画像を含む楽譜を表示させることができる。
【0038】
さらに、CPU20は、操作ボタン群30の手書き画像の保存の操作ボタンが操作された場合は、指定されたレイヤの手書きデータを付加情報とともに読み出し、ユーザデータメモリ25またはメモリカードに保存する処理を行う。また、CPU20は、ユーザデータメモリ25またはメモリカードに記録された手書きデータの読み出しが指示された場合は、このデータに含まれる付加情報に基づいて、楽譜データメモリ24に対応する楽譜データが記録されているか検索し、楽譜データが記録されている場合は、この楽譜データを読み出して表示させるとともに、表示した楽譜の頁に対応する手書きデータがある場合は、上述と同様に、この手書きデータの画像を指定されたレイヤに表示する。これにより、操作者は、自身の手書きデータだけをメモリカードに記憶して持ち運ぶようにすれば、自身の楽譜型情報処理装置1で書き込んだ手書き画像を含む楽譜を他の楽譜型情報処理装置1でも表示させることができる。
【0039】
これにより、この楽譜表示モードにおいては、紙ベースの一般的な楽譜と同様に、楽譜の連続する頁を同時に表示したり、頁をめくることが可能なだけでなく、表示された楽譜に自由に書き込みを行うことができる。さらに、手書き画像の画像データを楽譜の画像データと異なるレイヤで管理するとともに、手書き画像の画像データには楽譜の画像データとの対応関係を記述した付加情報をつけて表示処理や保存処理を行うので、表示された楽譜の頁に応じて手書き画像を表示でき、前回書き込まれた手書き画像を含む楽譜を同一の楽譜型情報処理装置1だけでなく、他の楽譜型情報処理装置1でも表示させることができる。
【0040】
b.撮影モード
撮影モードは、演奏者を撮影するモードであり、このモードが選択されると、CPU20は、カメラ7の撮影画像50を表示画面3に表示させる。図11に撮影モードの表示例を示すように、表示画面3には、撮影画像50に加えて、録画開始、録画停止、再生、といった処理を指示するための操作ボタン群60が表示されるとともに、表示画面2に、撮影モードへの切り替え前に表示されていた楽譜、若しくは演奏者が指定した楽譜データDMに対応する楽譜のいずれかが表示されるようになっている。
【0041】
そして、操作ボタン群60の操作に応じて、CPU20は、カメラ7を介して入力した撮影画像50に対応する動画データと、マイクロホン8を介して入力した音声データとをユーザデータメモリ25に同期をとって記録していく録画処理、若しくは録画停止処理、またはユーザデータメモリ25に予め記録した動画および音声のデータの再生処理などを行うようになっている。この録画処理において、動画データは、MPEG(Moving Picture Experts Group)2またはモーションJPEG(Joint Photographic Experts Group)等の映像符号化アルゴリズムで圧縮符号化処理を行う一方、音声データはMPEG1(レイヤ2)等の音声符号化アルゴリズムで圧縮符号化処理を行って記録するようにしてもよい。さらに、動画データだけを記録できるようにしてもよい。
【0042】
また、このモードにおいても、楽譜表示モードと同様に、操作ボタン群30の操作により楽譜操作が可能で、かつ、電子楽譜に手書き画像を書き込んだり、手書きデータだけを保存することが可能である。なお、このモードにおいては、表示画面2にしか電子楽譜が表示されないので、頁送りボタンや頁戻しボタンが押圧操作された場合は、楽譜表示モードの場合と異なり、電子楽譜を1頁単位で変更するようになっている。なお、撮影画像50を表示画面2に表示し、電子楽譜を表示画面3に表示するようにしてもよく、操作者がいずれの表示画面に撮影画像50を表示するかを選択できるようにしてもよい。
【0043】
これにより、この撮影モードにおいては、電子楽譜と撮影画像50とを隣り合う位置に表示することができるので、演奏者は、一方の表示画面2に表示された電子楽譜を見て楽器演奏などを行うと同時に、他方の表示画面3に表示された自身の演奏姿をモニタしながら簡易に撮影を行うことができる。
【0044】
c.録音モード
録音モードは、演奏音や歌声を録音するモードであり、このモードが選択されると、CPU20は、録音開始、録音停止、再生、といった処理を指示するための図示しない操作ボタン群を表示画面3に表示させ、これら操作ボタンの押圧操作に応じてマイクロホン8を介して入力した音声データをユーザデータメモリ25に記録したり、ユーザデータメモリ25に記録された音声データを再生する。
【0045】
また、このモードにおいても、撮影モードと同様に、表示画面2には、録音モードへの切り替え前に表示されていた楽譜、若しくは演奏者が指定した楽譜データDMに対応する楽譜が表示される。これにより、演奏者は、一方の表示画面2に表示された電子楽譜を見て楽器演奏などを行うと同時に、他方の表示画面3に表示された操作ボタンを操作して自身の演奏音や歌声を簡易に録音することができる。
【0046】
d.通信モード
通信モードは、上記撮影モードや録音モードにてユーザデータメモリ25に記録した動画データや音声データなどを外部機器に送信したり、外部機器から各種データを受信するモードであり、このモードが選択されると、CPU20は、通信を行うための図示しない操作ボタン群を表示画面2、3の両方またはいずれかに表示する。この場合、上記モードと同様に、表示画面2、3のいずれかに電子楽譜を表示するようにしてもよい。そして、これら操作ボタン群の操作に応じて操作者が指定した宛先のPCまたは他の楽譜型情報処理装置1との間でデータ通信を行う。また、操作ボタン群の操作に応じてブラウザを起動し、ルータを介してインターネットに接続することにより、インターネットをブラウジングすることも可能である。また、手書きデータを付加情報とともに外部機器との間で通信するようにしてもよい。
【0047】
e.レッスンモード
レッスンモードは、他の楽譜型情報処理装置1との間で、撮影データ、音声データ、MIDIデータおよび手書きデータを双方向でリアルタイム通信するモードである。 また、このモードにおいても、撮影モードと同様に、楽譜と、楽譜の頁操作などを指示するための操作ボタン群30が表示画面2に表示され、演奏者はこの楽譜を見て楽器を演奏することができる。
【0048】
ここで、このモードの使用時は、楽譜型情報処置装置1と楽器のMIDIインターフェースをお互いに接続しておくことが必要であり、図12に示す例では、この楽譜型情報処理装置1をピアノ(MIDI楽器)の譜面台に載置した状態でMIDI接続が可能なように構成されている。この場合、この楽譜型情報処理装置1と楽器の接続方式には、ケーブルによる有線接続でもよいが、赤外線、マイクロ波、電磁誘導などの短距離無線通信方式を適用すれば譜面台に置くだけでMIDI接続を完了させることが可能である。
【0049】
図12に示すように、このモードにおいては、インターネットなどのネットワークを介して演奏者(生徒または先生)に指定された他の楽譜型情報処理装置1(先生または生徒側の楽譜型情報処理装置)と接続すると、各々のCPU20は、カメラ7を介して入力した動画データを接続先の楽譜型情報処理装置1にリアルタイムで送信させる一方、接続先の楽譜型情報処理装置1から受信した動画データをリアルタイムで再生して表示画面3に表示させる。この場合、カメラ7の向きを楽器の鍵盤を撮影する方向に調整することにより、図12に示したように、先生または生徒の双方で相手の鍵盤演奏を見ることができるようになっている。
【0050】
同時に、各々のCPU20は、楽器からMIDIデータを入力すると、このMIDIデータを接続先の楽譜型情報処理装置1に送信する一方、接続先の楽譜型情報処理装置1からMIDIデータを受信すると、該MIDIデータを楽器に送信して楽器の鍵盤を駆動させたり、自動演奏させる。これにより、生徒が楽器を演奏すると、先生の楽器が自動演奏(鍵盤駆動を伴う自動演奏)され、同様に、先生が楽器を演奏すると、生徒の楽器が自動演奏されることとなり、相手の演奏を実際に目と耳で確認することができる。
【0051】
また、各々のCPU20は、マイクロホン8を介して入力した音声の信号レベルを判定し、信号レベルが所定値を越えた場合は、音声が発せられたと判定し、該判定の期間に入力した音声の音声データを接続先の楽譜型情報処理装置1に送信する一方、接続先の楽譜型情報処理装置1から受信した音声データを再生し、スピーカ9から放音させる。これにより、先生と生徒の間で会話をすることもできる。
【0052】
さらに、各々のCPU20は、タッチパネル11Aを介して表示画面2の操作ボタン群30および40以外の位置が押圧操作されたことを検出すると、楽譜表示モードと同様に、押圧位置および該位置の軌跡を表示画面2の同位置に表示させることにより、手書き画像を表示させる。この場合も楽譜表示モードと同様に、手書き画像は、楽譜および再生画像を表示したレイヤとは異なるレイヤに表示され、手書き画像のみを保存することもできる。
【0053】
また、各々のCPU20は、操作ボタン群30の操作に応じて該レイヤに表示された手書きデータ(付加情報を含む)を接続先の楽譜型情報処理装置1に送信する一方、接続先の楽譜型情報処理装置1から手書きデータを受信すると、対応する手書き画像を予め設定されたレイヤに表示する。この場合、受信した手書き画像は、楽譜を表示するレイヤとは異なるレイヤであって、かつ、当該楽譜型情報処理装置1の操作者によって入力された手書き画像を表示するレイヤとは異なる予め設定されたレイヤに表示される。
【0054】
これにより、生徒と先生は、自身の楽譜型情報処理装置1に表示された楽譜に手書き画像を書き込むことができるだけでなく、接続先の相手(先生または生徒)が楽譜に書き込んだ手書き画像が自身の楽譜の同一頁に自動で表示されるので、例えば生徒は、先生からのレッスン指示が記述された自分用の楽譜を得ることができる。また、接続先の相手が書き込んだ手書き画像は、別レイヤに表示されるので、このレイヤなどの表示/非表示の設定を変更すれば、自身の手書き画像のみを含む楽譜、先生の手書き画像のみを含む楽譜などを自由に表示することが可能である。
【0055】
これにより、このレッスンモードでは、遠隔レッスンにも拘わらず、先生と生徒との間で相手の演奏を目と耳で確認でき、会話を行うことができるばかりか、先生が生徒の楽譜にレッスン指示や評価を直接書き込むことができ、先生と生徒の個人レッスンをリアルタイムで行うことができる。
【0056】
(2) 第2実施形態
第2実施形態に係る楽譜型情報処理装置100は、オーケストラ演奏に使用する場合に好適なオーケストラモードを有する点と、このモードで使用する楽譜データDMが異なる点を除いて上述した第1実施形態に係る楽譜型情報処理装置1と同一であるため、同一の部分は同一の符号を示して示し、重複する説明は省略する。
【0057】
オーケストラモードで使用する楽譜データ(以下、「オケ用楽譜データ」)DMOは、図13に示すように、 オーケストラの楽器パート(パート1、パート2、……パートm)毎に、第1実施形態で述べた楽譜データDMを有するように構成されている。これにより、楽譜型情報処理装置100においては、CPU20が、オケ用楽譜データDMOのうち予め設定された1つの楽器パートの音高情報、リズム情報および頁情報を読み出すことにより、第1実施形態と同様に、五線譜の楽譜の画像データを生成して楽譜の連続する頁を表示画面2および3に表示できるようになっている。
【0058】
また、楽譜型情報処理装置100においては、CPU20がオケ用楽譜データDMOのうち予め設定された複数の楽器パートの音高情報およびリズム情報を読み出して、楽器毎に五線譜の楽譜を生成し、各楽器パートの小節を上下方向に配列した五線譜の楽譜の画像データを生成することにより、図14に示すように、複数の楽器パート(flauti、Oboi、Clarinetti、……、Contrabasso)の楽譜の連続する頁を表示画面2および3に表示できるようになっている。なお、楽器名、曲の題名、作曲者名などを示す情報も楽譜データは含んでいる。
【0059】
次にオーケストラモードについて説明する。オーケストラモードは、複数の楽譜型情報処理装置100で無線ネットワーク(例えば、Bluetoothにおける「ピコネット」など)を構成し、この無線ネットワーク内で楽譜データDMO(DM)や手書きデータを通信するモードである。なお、無線ネットワークは、予め構成されていてもよいし、オーケストラモードが選択された時に、同一モードの近接する複数の楽譜型情報処理装置100との間で構成するようにしてもよい。
【0060】
また、このモードが選択されると、各楽譜情報処理装置100においては、CPU20により楽器パートを選択するための図示しない操作画面が表示され、操作者に対して楽器パートの選択を促すようになっている。そして、この無線ネットワーク内のいずれかの楽譜型情報処理装置100からオケ用楽譜データDMOが同報通信されることにより、この無線ネットワーク内の全ての楽譜型情報処理装置1にオケ用楽譜データDMOが送信され、各々のCPU20により予め設定された楽器パートの楽譜が各楽譜型情報処理装置100にそれぞれ表示されるようになっている。
【0061】
従って、演奏者の楽譜型情報処理装置100には、その演奏者が演奏する楽器パートの楽譜が表示され、指揮者の楽譜型情報処理装置100には、図14に示したように、全ての楽器パートを含む楽譜が表示されるようになっている。この場合、各楽譜型情報処理装置100では、楽譜表示モードの場合と同様に、操作ボタン群30の操作に応じて楽譜の頁を変更したり、操作者によって入力された手書き画像を表示するようになっている。なお、このモードにおいても、手書き画像は、楽譜表示モードと同様に、楽譜画像や操作ボタン群30、40を表示するレイヤとは異なるレイヤに表示され、手書き画像の非表示/表示の切り替えや保存などが可能である。
【0062】
また、複数の楽器パートを表示している楽譜型情報処理装置100、つまり、指揮者の楽譜型情報処理装置100においては、手書き画像が入力されると、CPU20は、手書き操作された位置(検出した押圧位置)に基づいて、該位置に近接する楽譜の楽器パートを検出する処理を行う。そして、CPU20は、該位置に近接する楽器パートを検出すると、図15に示すように、その楽器パートを含む付加情報をつけて対応する手書きデータを同報通信するようになっている。この場合、指揮者の楽譜型情報処理装置1で表示する楽譜(図14参照)と演奏者の楽譜型情報処理装置1で表示する楽譜(図6参照)は情報量の相違から頁の値が異なるため、付加情報には、楽器パートに加えて、手書きデータの表示位置を特定する情報(小節を特定する情報、楽音を特定する情報など)が含められる。
【0063】
一方、指揮者の楽譜型情報処理装置100以外の楽譜型情報処理装置100においては、該手書きデータを受信すると、各々のCPU20がヘッダに含まれる楽器パートが当該楽譜型情報処理措置100に予め設定されている楽器パートと一致するか否かを判定し、一致しない場合は受信データを削除する。一方、一致した場合は、該手書きデータに付加された付加情報に基づいて、表示する楽譜の指示された小節部分にこの手書きデータの画像を指定されたレイヤに表示する。すなわち、指揮者が電子楽譜に書き込んだ手書き画像は、書き込み位置に最も近い楽器パートの楽譜を表示している演奏者の楽譜型情報処理装置100に自動で送信されて同一位置に表示される。従って、演奏者は、自身の楽譜型情報処置装置1に表示している楽譜に指揮者の指示が書き込まれるので、指揮者の指示内容と指示する位置とを速やかに、かつ正確に知ることができる。
【0064】
これにより、このオーケストラモードでは、図16に示すように、指揮者の手書きによる指示が即座に対応する演奏者の楽譜型情報処理装置100に表示されるので、演奏者は速やかに指揮者の指示を理解できるとともに、指揮者の指示を自身の楽譜型情報処理装置100に保存して、後で確認できるようになっている。なお、演奏者の楽譜型情報処理装置100においても、所定操作を行った場合に、自身の手書き画像を指揮者の楽譜型情報処理装置100に送信でき、指揮者の楽譜型情報処理装置1に表示させることができるようになっている。
【0065】
(3) 補足
本願発明は、上述した実施形態に限らず種々の態様にて実施することができる。例えば、以下のような変形実施が可能である。
(3.1)
上述の各実施形態では、楽譜型情報処理装置1、100がレッスンモードの場合は、接続先の楽譜型情報処理装置1、100との間で撮影データ、音声データ、MIDIデータおよび手書きデータを双方向で通信する場合について述べたが、図17に示すように、生徒の側に先生がいる場合などは、操作者の設定により、撮影データ、音声データおよびMIDIデータの通信は行わず、手書きデータのみを通信するようにしてもよい。また、個人レッスンを行う場合に限らず、先生1人が複数の生徒に行うレッスンにも適用することができる。この場合は先生が手書きデータの送り先の生徒の楽譜型情報処理装置1を指定できるようにすればよい。
【0066】
(3.2)
また、上述の第2実施形態のオーケストラモードにおいては、楽譜データや手書きデータの受信側の楽譜型情報処理装置100が、予め設定された楽器パートに基づいて受信処理や楽譜表示処理を行う場合について述べたが、送信側の楽譜型情報処置装置100に、無線ネットワークに収容される楽譜型情報処理装置100の宛先や楽器パートを記憶させておき、送信側の楽譜型情報処理装置100がこの記憶データに基づき、楽器パート毎の楽譜データや手書きデータを所定の宛先の楽譜型情報処理装置100に送信するようにしてもよい。なお、楽譜型情報処理装置100の宛先や楽器パートの情報は、無線ネットワークを構成するときに楽譜型情報処理装置100間で各自のデータを送受信し、互いに共有するようにしてもよい。
【0067】
(3.3)
また、上述の各実施形態では、この楽譜型情報処理装置1、100が楽譜表示モード、撮影モード、録音モード、通信モード、レッスンモードおよびオーケストラモードを有する場合について述べたが、少なくとも楽譜表示モードがあればよく、楽譜と手書き画像を異なるレイヤで表示できたり、手書き画像のみを保存したり、挿入できればよい。
【0068】
(3.4)
また、上述の各実施形態では、タッチパネル11A、11Bにより楽譜画像に手書きを行う場合について述べたが、タッチパネル以外のタブレットやマウス等の各種のポインティングデバイス(位置検出手段)を広く適用することができる。
【0069】
(3.5)
また、上述の各実施形態では、楽譜操作などをソフトウェアキーで行う場合を述べたが、これらの操作を行うためのハードウェアキーを設けるようにしてもよい。また、各種操作をソフトウェアキーやハードウェアキーで行う場合に限らず、マイクロホン8を介して入力した音声に基づいて各種操作を行うようにしてもよい。
【0070】
(3.6)
上述の各実施形態では、楽譜型情報処理装置1、100が表示装置(表示画面、液晶表示パネルなど)を備え、この表示装置に電子楽譜などを表示させる場合について述べたが、この楽譜型情報処理装置1、100に接続された他の表示装置に電子楽譜を表示させるようにしてもよい。
【0071】
(3.7)
また、上述の各実施形態では、電子楽譜を表示する楽譜型情報処理装置1、100に手書き画像の書き込み、保存、挿入、遠隔レッスンなどを行う場合について述べたが、電子楽譜以外の情報を表示する場合でも手書き画像の書き込みなどを可能にしてもよく、楽譜型情報処理装置に限らず、各種の情報を表示装置に表示させるPC、PDA(Personal Digital Assistants)などのコンピュータ(情報処理装置を含む)に本発明を広く適用することができる。
【0072】
従って、様々な教習システム、例えば、国語、算数などの問題を記述したテストをこの種の装置に表示し、生徒側の装置からこのテストに手書き入力された回答を先生側の装置に送信し、先生側の装置から手書き入力された採点結果を生徒側の装置に送信する、といった教習システムに本発明を広く適用することができる。この場合も各々の装置において、テスト、回答(手書き入力)、採点結果(手書き入力)を異なるレイヤで管理(表示、送信、保存)するとともに、手書きデータにテストの対応する頁を含む付加情報をつけてテストと対応付けておくことにより、複数頁のテストを使った教習システムを実現することができ、前回の回答や採点結果を非表示にすれば、何度も復習することができる。
【0073】
(3.8)
また、上述の各実施形態では、手書き画像のレイヤ表示、指定されたレイヤの手書きデータの保存、送受信、挿入などの処理を行うための制御プログラムを予め楽譜型情報処理装置1、100に格納しておく場合について述べたが、図18に示すように、この制御プログラムを磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体120に記録し、コンピュータ130がこのプログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、図19に示すように、この制御プログラムをサーバ140に格納し、ネットワークを介してサーバ140が送信要求のあった楽譜型情報処理装置1、100などの情報処理装置やコンピュータ(PC)150などに送信するようにしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、電子楽譜などの表示画像に自由に書き込みができ、書き込まれた手書き画像のデータだけを保存したり、他の機器との間で送受信することができるので、様々な教習システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る楽譜型情報処理装置の外観図である。
【図2】 楽譜型情報処理装置の表示画面の構成を示す図である。
【図3】 楽譜型情報処理装置の筐体を閉じた状態を示す外観図である。
【図4】 楽譜型情報処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】 楽譜データを示す図である。
【図6】 楽譜型情報処理装置の楽譜表示モードの説明に供する図である。
【図7】 楽譜型情報処理装置の楽譜表示時の表示画像のレイヤ構造を説明する図である。
【図8】 楽譜型情報処理装置の楽譜と手書き画像表示時の表示画像のレイヤ構造を説明する図である。
【図9】 手書きデータの管理方法の説明に供する図である
【図10】 手書きデータの他の管理方法の説明に供する図である
【図11】 楽譜型情報処理装置の撮影モードの説明に供する図である。
【図12】 楽譜型情報処理装置のレッスンモードの説明に供する図である。
【図13】 オーケストラ用の楽譜データを示す図である。
【図14】 楽譜型情報処理装置のオーケストラモードの説明に供する図である。
【図15】 オーケストラモードの時の手書きデータの送信の説明に供する図である。
【図16】 楽譜型情報処置装置のオーケストラモードの使用例の説明に供する図である
【図17】 楽譜型情報処置装置のレッスンモードの他の使用例の説明に供する図である。
【図18】 制御プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録する場合の説明に供する図である。
【図19】 制御プログラムをネットワークを介してサーバから送信する場合の説明に供する図である。
【符号の説明】
1、100……楽譜型情報処理装置、2、3……表示画面、4……操作スイッチ群、30、40……操作ボタン群、5、6……筐体、7……カメラ、8……マイクロホン、9……スピーカ、10A、10B……液晶表示パネル、11A、11B……タッチパネル(位置検出手段)、20……CPU(表示制御手段)、21……バス、22……RAM、23……制御プログラムメモリ、24……楽譜データメモリ、25……ユーザデータメモリ、26……無線通信部、27……MIDIインターフェース、28……音源、50……撮影画像、DM、DMO……楽譜データ、L1……Ln……レイヤ。
Claims (8)
- 表示装置と、
楽譜データを記録する楽譜データ記録手段と、
前記楽譜データに基づいて画像データを作成する画像作成手段と、
操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータを生成する手書きデータ生成手段と、
前記画像作成手段によって作成された画像データと、前記手書きデータ生成手段によって生成された手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御手段と、
前記手書きデータに、前記手書きデータの表示位置に対応する小節又は楽音を特定する付加情報を付加する情報付加手段と、
前記情報付加手段により付加情報が付加された手書きデータを外部に送信する送信手段と
を有する情報処理装置。 - 外部から送信された手書きデータおよび付加情報を受信する受信手段をさらに有し、
前記表示制御手段が、前記付加情報により特定される小節又は楽音に対応する位置に、前記受信手段により受信した手書きデータを表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記楽譜データが、複数の楽器パートの楽譜データを含み、
前記情報付加手段が、前記手書きデータの表示位置に近接する楽器パートを検出し、検出した楽器パートを特定する情報をさらに含む付加情報を前記手書きデータに付加する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。 - 外部から送信された手書きデータおよび付加情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した手書きデータに付加された付加情報により特定される楽器パートが、当該情報処理装置においてあらかじめ設定されている楽器パートと一致するか判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記受信手段により受信した手書きデータに付加された付加情報により特定される楽器パートが当該情報処理装置においてあらかじめ設定されている楽器パートと一致すると判定された場合、前記受信手段により受信された手書きデータを前記表示制御手段に出力する出力手段と
を有する請求項3に記載の情報処理装置。 - 前記判定手段により、前記受信手段により受信した手書きデータに付加された付加情報により特定される楽器パートが当該情報処理装置においてあらかじめ設定されている楽器パートと一致しないと判定された場合、前記受信手段により受信された手書きデータを削除する削除手段をさらに有する請求項4に記載の情報処理装置。
- 表示装置を有する情報処理装置の制御方法であって、
前記楽譜データに基づいて画像データを作成する画像作成ステップと、
操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップにおいて検出された位置の軌跡に対応する手書きデータを生成する手書きデータ生成ステップと、
前記画像データと、前記手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御ステップと、
前記手書きデータに、前記手書きデータの表示位置に対応する小節又は楽音を特定する付加情報を付加する情報付加ステップと、
前記付加情報が付加された手書きデータを外部に送信する送信ステップと
を有する情報処理装置の制御方法。 - 表示装置を有するコンピュータを、
楽譜データを記録する楽譜データ記録手段と、
前記楽譜データに基づいて画像データを作成する画像作成手段と、
操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータを生成する手書きデータ生成手段と、
前記画像作成手段によって作成された画像データと、前記手書きデータ生成手段によって生成された手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御手段と、
前記手書きデータに、前記手書きデータの表示位置に対応する小節又は楽音を特定する付加情報を付加する情報付加手段と、
前記情報付加手段により付加情報が付加された手書きデータを外部に送信する送信手段と
を有する情報処理装置として機能させるプログラム。 - 表示装置を有するコンピュータを、
楽譜データを記録する楽譜データ記録手段と、
前記楽譜データに基づいて画像データを作成する画像作成手段と、
操作者によって指定された前記表示装置の画面上の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された位置の軌跡に対応する手書きデータを生成する手書きデータ生成手段と、
前記画像作成手段によって作成された画像データと、前記手書きデータ生成手段によって生成された手書きデータとをそれぞれ異なるレイヤで管理することによって、前記画像データに対応する画像と、前記手書きデータに対応する手書き画像とを前記表示装置に重ねて表示させる表示制御手段と、
前記手書きデータに、前記手書きデータの表示位置に対応する小節又は楽音を特定する付加情報を付加する情報付加手段と、
前記情報付加手段により付加情報が付加された手書きデータを外部に送信する送信手段と
を有する情報処理装置として機能させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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