JP3632574B2 - 環境適応型の画像表示システムおよび情報記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境適応型の画像表示システムおよび情報記憶媒体に関する。
【0002】
【背景技術および発明が解決しようとする課題】
複数の異なる場所でプレゼンテーションやミーティング、医療、デザイン・ファッション分野、営業活動、コマーシャル、教育、さらには映画、TV、ビデオ、ゲーム等の一般映像等において画像表示を行う場合、制作者の意図した画像をどの場所においても再現できることが効果的なプレゼンテーション等を行う上で重要である。
【0003】
このような画像の見えを調整する考え方として、デバイスの入出力特性を管理して色を再現するカラーマネジメントという考え方があるが、その具体的な手法については明確になっていない。
【0004】
特に、スクリーンとプロジェクタを用いて画像を投写表示する場合には、環境光だけでなく、スクリーンの種別を考慮しなければ適切な色の再現を行うことは困難である。
【0005】
また、近年、プロジェクタは高精細化が進み、色の再現性も重要になってきている。
【0006】
また、従来のプロジェクタでは、色温度調整、γ補正、表示素子の特性を矯正する等の目的で1D−LUT(1次元ルックアップテーブル)が使用されていた。
【0007】
しかし、高度なカラーマネジメントを行う場合、色再現域の異なる他の表示装置や標準の色空間(sRGB等)と色再現域の一致を図る必要がある。
【0008】
また、環境の影響で変化した表示装置の色再現域を他の表示装置や標準の色空間の色再現域と合わせ込む必要もある。このような色再現域の合わせ込みにあたっては、色圧縮、色伸長という補正が施される。
【0009】
2つの色再現域の合わせ込みにあたっては、一方の色再現域の一部は他方の色再現域よりはみ出し、一方の色再現域の別の一部は他方の色再現域の範囲にある。そのため同一の色再現域の中で、特定の色の領域には圧縮を行い、他の特定の色の領域には伸長を行うといった補正を施す必要がある。
【0010】
このような特定の領域ごとの色制御は、RGB毎のガンマで制御する1D−LUTでは実現しがたい。1D−LUTが対応表であっても、制御できるのは原色のみのため、色毎に異なる制御を施すのは困難である。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の異なる場所において、ほぼ同一の色を短時間で再現できる環境適応型の画像表示システムおよび情報記憶媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る環境適応型の画像表示システムは、画像の被表示領域における視環境を示す環境情報に基づき、前記画像を補正して表示する画像表示システムであって、
前記環境情報に基づき、前記画像の明るさを補正するための明るさ補正用情報と、
前記環境情報に基づき、前記画像の色を補正するための色補正用情報と、
を記憶する手段と、
前記環境情報、前記明るさ補正用情報および前記色補正用情報に基づき、前記画像を表示するための画像情報を補正する補正手段と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る環境適応型の情報記憶媒体は、画像の被表示領域における視環境を示す環境情報に基づき、前記画像を補正して表示するための情報を記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、
前記情報は、
前記環境情報に基づき、前記画像の明るさを補正するための明るさ補正用情報と、
前記環境情報に基づき、前記画像の色を補正するための色補正用情報と、
を所定の記憶領域に記憶させる手段と、
前記環境情報、前記明るさ補正用情報および前記色補正用情報に基づき、前記画像を表示するための画像情報を補正する補正手段と、
を実現するための情報を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る情報は、上記各手段を実現するためのプログラムを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、環境情報を用いて画像の補正を行う際に、明るさ補正用情報と、色補正用情報とを分離して管理することにより、明るさと色とをより柔軟に補正することができる。
【0016】
例えば、従来は、色温度調整、γ補正、表示素子の特性を矯正する等の目的で1D−LUT(1次元ルックアップテーブル)が使用されていた。
【0017】
しかし、高度なカラーマネジメントを行う場合、色再現域の異なる他の表示装置や標準の色空間(sRGB等)と色再現域の一致を図る必要がある。
【0018】
また、環境の影響で変化した表示装置の色再現域を他の表示装置や標準の色空間の色再現域と合わせ込む必要もある。このような色再現域の合わせ込みにあたっては、色圧縮、色伸長という補正が施される。
【0019】
2つの色再現域の合わせ込みにあたっては、一方の色再現域の一部は他方の色再現域よりはみ出し、一方の色再現域の別の一部は他方の色再現域の範囲にある。そのため同一の色再現域の中で、特定の色の領域には圧縮を行い、他の特定の色の領域には伸長を行うといった補正を施す必要がある。
【0020】
このような特定の領域ごとの色制御は、RGB毎のガンマで制御する1D−LUTでは実現しがたい。1D−LUTが対応表であっても、制御できるのは原色のみのため、色毎に異なる制御を施すのは困難である。他方、3D−LUT(3次元ルックアップテーブル)は、原色以外の色についても色毎に制御が可能なため、上記のような色の領域毎に異なる制御(色圧縮・色伸長)を行うことが可能である。
【0021】
3D−LUTを用いることにより、1D−LUTでは困難な色の領域ごとに異なる色圧縮、色伸長等を制御することが可能となり、正確な色の再現を行うことができる。
【0022】
このように、明るさ補正用の1D−LUTと色補正用の3D−LUTとを独立して管理することにより、より適切な色の再現を行うことができる。
【0023】
これにより、表示環境の差を吸収して適用される環境によらずに同一の画像を表示することができる。したがって、複数の異なる場所において、ほぼ同一の色を短時間で再現することができる。
【0024】
なお、ここで、視環境としては、例えば、環境光(照明光、自然光等)や、被表示対象(ディスプレイ、壁面、スクリーン等)等が該当する。
【0025】
また、前記環境情報としては、例えば、xyYのように色および明るさを表す値や、ΔxΔyΔYのように色および明るさの補正量等が該当する。
【0026】
また、このような画像表示システムを実現する場合、例えば、プロジェクタ、モニター等を用いて実現できる。
【0027】
また、前記明るさ補正用情報は、1次元ルックアップテーブルを含み、
前記色補正用情報は、3次元ルックアップテーブルを含むことが好ましい。
【0028】
また、前記1次元ルックアップテーブルは、ガンマテーブルおよびカラーバランステーブルの少なくとも一方を含み、
前記3次元ルックアップテーブルは、色域補正テーブルおよび色温度補正テーブルの少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0029】
また、前記補正手段は、
入力される複数種の環境情報を一括する手段を含み、
一括された環境情報に基づき、前記画像情報を補正することが好ましい。
【0030】
これによれば、複数種の環境情報を入力する場合でも、一括することにより、その後の補正処理を迅速に行うことができる。
【0031】
ここで、一括後の情報としては、例えば、xyY、Luv、Lab、XYZ等を用いることができる。
【0032】
また、前記補正手段は、前記環境情報に基づき、前記画像情報の補正に用いる所定の補正係数を変更することが好ましい。
【0033】
これによれば、例えば、メーカーによって設定されたデフォルトの補正係数を目的の色に応じて変更することにより、実際の視環境に応じた適切な色再現を行うことができる。
【0034】
また、前記画像表示システムは、前記被表示領域に表示された画像の色値、ガンマおよび色温度のうち少なくとも1つを計測する視環境把握手段を含むことが好ましい。
【0035】
また、前記情報記憶媒体および前記プログラムにおいて、前記環境情報は、前記被表示領域に表示された画像の色値、ガンマおよび色温度のうち少なくとも1つを計測する視環境把握手段による情報であることが好ましい。
【0036】
なお、前記視環境把握手段としては、例えば、被表示領域の輝度値を計測する輝度センサー、被表示領域のRGB値やXYZ値を計測する色光センサー、被表示領域の色度値を計測する色度センサー等のうちの1つまたはこれらの組み合わせを適用できる。
【0037】
また、ここで、色値とは、三刺激値、色度座標、分光分布、刺激純度と主波長等の色を表現し得る指標を意味する。
【0038】
また、前記被表示領域は、スクリーン上の領域であることが好ましい。
【0039】
スクリーンのように材質によって色の見え方が大きく変わってしまう場合にも本画像表示システムを良好に適用することができる。
【0040】
また、前記画像表示システムは、前記スクリーンの種別の入力を促す画像を表示する手段と、
入力された前記スクリーンの種別を、前記環境情報の少なくとも一部として入力する手段と、
を含むことが好ましい。
【0041】
また、前記情報記憶媒体および前記プログラムは、前記スクリーンの種別の入力を促す画像を表示手段に表示させる手段と、
入力された前記スクリーンの種別を、前記環境情報の少なくとも一部として入力手段に入力させる手段と、
を実現するための情報を含むことが好ましい。
【0042】
これによれば、スクリーンという従来考慮されなかった視環境を把握することにより、適切に画像の色や明るさを補正することができる。
【0043】
特に、スクリーンの種類は少なく、人が容易に判別できるので、スクリーンの種別の入力時の判断ミスが少ないため、正確にスクリーンの種別を把握することができる。
【0044】
なお、前記スクリーンは、反射型のものであっても、透過型のものであってもよい。
【0045】
また、前記視環境把握手段は、前記スクリーンの種別を反映した視環境を把握することが好ましい。
【0046】
例えば、前記視環境把握手段は、スクリーン特性を把握するセンサーを含んでもよい。
【0047】
具体的には、スクリーンの特性は、白色光を投影した際の反射光(透過光)を色光センサーなどのセンサーで測定することで把握できる。
【0048】
これによれば、スクリーンの種別を反映した視環境を把握し、その把握結果に基づき、ガンマ補正や色温度補正等を行うことにより、スクリーンの種別の違いを吸収することができる。これにより、スクリーンの種別によらずに色の見えが同一の画像を再現できる。
【0049】
特に、従来のカラーマネジメントシステムを内蔵したOS等を用いるPC等では、PCに接続されたディスプレイの種別を考慮したものにすぎない。また、環境光を考慮して色の補正を行う提案もなされているが、画像の被表示領域となるスクリーンを考慮したものは皆無である。
【0050】
本発明によれば、スクリーンの種別を反映した視環境を把握して色の補正を行うことにより、適切に視環境を反映した画像を生成して表示することができる。
【0051】
また、前記プレゼンテーションシステムにおいて、前記視環境把握手段は、少なくとも環境光を計測して前記視環境を把握する手段を含むことが好ましい。
【0052】
また、前記情報記憶媒体および前記プログラムにおいて、前記視環境把握手段は、少なくとも環境光を反映した視環境を把握することが好ましい。
【0053】
これによれば、環境光の計測等を行って視環境を把握することができる。視環境においては、環境光は画像の見えに大きな影響を与える。画像の見えの主要な要因である環境光を計測することにより、視環境を適切に把握することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、液晶プロジェクタを用いた環境適応型の画像表示システムに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。
【0055】
(システム全体の説明)
図1は、本実施の形態の一例に係るレーザーポインタ50を用いたプレゼンテーションシステムの概略説明図である。
【0056】
スクリーン10のほぼ正面に設けられたプロジェクタ20から、所定のプレゼンテーション用の画像が投写される。プレゼンター30は、スクリーン10上の被表示領域である画像表示領域12の画像の所望の位置をレーザーポインタ50から投射したスポット光70で指し示しながら、第三者に対するプレゼンテーションを行なう。
【0057】
このようなプレゼンテーションを行う場合、スクリーン10の種別や、環境光80によって画像表示領域12の画像の見え方は大きく異なってしまう。例えば、同じ白を表示する場合であっても、スクリーン10の種別によっては、黄色がかった白に見えたり、青色がかった白に見えたりする。また、同じ白を表示する場合であっても、環境光80が異なれば、明るい白に見えたり、暗い白に見えたりする。
【0058】
また、近年、プロジェクタ20は小型化が進み、持ち運びも容易になっている。このため、例えば、客先においてプレゼンテーションを行う場合もあり得るが、客先の環境に合わせて色を事前に調整することは困難であり、客先で色を手動で調整するには時間がかかりすぎる。
【0059】
図2は、従来のプロジェクタ内の画像処理部の機能ブロック図である。
【0060】
従来のプロジェクタでは、PC等から送られるアナログ形式のRGB信号を構成するR1信号、G1信号、B1信号をA/D変換部110に入力し、デジタル形式のR2信号、G2信号、B2信号をプロジェクタ画像処理部100で色変換を行っている。
【0061】
そして、色変換されたR3信号、G3信号、B3信号をD/A変換部180に入力し、アナログ変換されたR4信号、G4信号、B4信号をL/V(ライトバルブ)駆動部190に入力し、液晶ライトバルブを駆動して画像の投写表示を行っている。
【0062】
また、CPU200によって制御されるプロジェクタ画像処理部100は、プロジェクタ色変換部120と、プロファイル管理部130とを含んで構成されている。
【0063】
プロジェクタ色変換部120は、A/D変換部110からのRGBの各デジタル信号(R2信号、G2信号、B2信号)を、プロファイル管理部130で管理されているプロジェクタの入出力用プロファイルに基づき、プロジェクタ出力用のRGBデジタル信号(R3信号、G3信号、B3信号)に変換する。なお、ここで、プロファイルとは、特性データという意味である。
【0064】
このように、従来のプロジェクタでは、プロジェクタ固有の入出力特性を示す入出力用プロファイルに基づき、色の変換を行っているだけであり、画像の投写表示される視環境は考慮されていない。
【0065】
しかし、上述したように、視環境を考慮しなければ、色の見え方を統一することは困難である。色の見え方は、光、対象の光の反射または透過、視覚の3つの要因で決定する。
【0066】
本実施の形態では、光および対象の光の反射または透過を反映した視環境を把握することにより、適用される環境によらずに色の見えが同一な画像を再現できる画像表示システムを実現している。
【0067】
具体的には、図1に示すように、視環境を把握する視環境把握手段として機能する色光センサー417を設け、色光センサー417からの環境情報をプロジェクタ20に入力する。色光センサー417は、具体的には、スクリーン10内の画像表示領域12の色光情報(より具体的にはxyYの色と明るさを示す情報)を計測する。
【0068】
プロジェクタ20は、前記環境情報に基づき、前記画像の明るさを補正するための明るさ補正用情報と、前記環境情報に基づき、前記画像の色を補正するための色補正用情報とを記憶して管理する色制御処理手段と、前記環境情報、前記明るさ補正用情報および前記色補正用情報に基づき、前記画像を表示するための画像情報を補正する補正手段とを有する。
【0069】
次に、これらの色制御処理手段や補正手段を含むプロジェクタ20の画像処理部の機能ブロックについて説明する。
【0070】
図3は、本実施形態の一例に係るプロジェクタ20内の画像処理部の機能ブロック図である。
【0071】
画像処理部は、RGBの各信号を入力する入力信号処理部401と、色制御処理部420と、補正手段として機能するキャリブレーション部430と、出力信号処理部405と、L/V駆動部406とを含んで構成されている。
【0072】
入力信号処理部401は、R1、G1、B1の各アナログ映像信号をR2、G2、B2の各デジタル映像信号に変換するA/D変換部440を含んで構成されている。
【0073】
色制御処理部420は、入力信号処理用の1D−LUT(1次元ルックアップテーブル)記憶部402と、色情報の補正に用いられる3D−LUT(3次元ルックアップテーブル)記憶部403と、明るさ情報の補正に用いられる1D−LUT記憶部404とを含んで構成されている。
【0074】
なお、より具体的には、1D−LUT記憶部402、404には、明るさ補正用情報の一部として、ガンマテーブルおよびカラーバランステーブル(ただし、どちらか一方の場合もある。)が記憶されている。また、3D−LUT記憶部403には、色補正用情報の一部として、色域補正テーブルおよび色温度補正テーブル(ただし、どちらか一方の場合もある。)が記憶されている。
【0075】
従来は、色制御を1D−LUTにて行い、明るさ補正は入力信号のサンプリング時の電位をどう決めるかによって制御していた。
【0076】
再現される色の明るさを補正する場合、低階調域の出力を上げる必要がある。そこで、階調特性を操作できる1D−LUTにて明るさ補正を行う。
【0077】
さらに、上述したように、色制御で他の色再現域との合わせ込みにあたり、色圧縮、色伸長の適用が色ごとに異なるため、3D−LUTにて色の補正を行う。
【0078】
このように、明るさに関する環境情報と色に関する環境情報に基づき、明るさ補正、色補正を別々に補正、制御することで、それぞれの補正をより的確に行うことができる。
【0079】
以下、色の補正について説明し、次に、明るさの補正について説明する。
【0080】
(色の補正)
キャリブレーション部430は、キャリブレーション(校正)用画像信号を入力信号処理部401に入力するキャリブレーション画像提示部407と、3D−LUT記憶部403に記憶された変換先の色をRGB表色系からXYZ表色系に変換する色変換部408と、色光センサー417から入力される環境情報に基づいて色と明るさの補正を行う環境補正処理部410とを含んで構成されている。
【0081】
なお、RGBはプロジェクタ20等の入出力デバイスによって変化するデバイス依存型の色であり、XYZは、デバイスによらずに同一であるデバイス非依存型の色である。
【0082】
また、キャリブレーション部430は、Gamut情報管理部412と、色度補正係数処理部411とを含んで構成されている。
【0083】
Gamut情報管理部412では、描写する画像の色域情報が管理されている。色域情報は、色度補正係数処理部411に供給され、色度補正係数δの導出に利用される。
【0084】
色度補正係数処理部411は、Gamut情報管理部412からのRGBの色度に基づき、色再現域の複数の相似形の三角形を描く。そして、色度補正係数処理部411は、環境補正処理部410からの色情報(例えば、x1、y1、Y1)に基づき、色度補正係数(例えば、δ(x1、y1、Y1))を導出する。
【0085】
図4は、Y=Y1の場合の色度補正係数δの導出法の例を示す図である。
【0086】
例えば、xy色度図にRGBW(Wは白(グレー))の色三角形を描くと図4のようになる。
【0087】
色度補正係数処理部411は、一番外側の三角形とその1つ内側の三角形(中央の三角形)の間の領域の色度に対する色度補正係数をδ=mξとする。同様に中央の三角形と一番内側の三角形の間の領域の色度に対する色度補正係数をδ=nξとする。ここで、m、nは係数である。また、一番内側の三角形の中の領域の色度に対する色度補正係数をδ=ξとする。
【0088】
このようにして色度補正係数処理部411は、入力信号処理部401から入力される色情報(x1、y1、Y1)に対する色度補正係数(δ(x1、y1、Y1))を求め、色度補正係数を環境補正処理部410に出力する。
【0089】
このように、入力される色に応じて色度補正係数を変更することにより、適切な色再現(色の補正)を行える。
【0090】
また、環境補正処理部410には、色光センサー417から環境情報が入力される。
【0091】
色光センサー417は、視環境を把握する視環境把握手段として機能する。色光センサー417としては、例えば、被表示領域の輝度値を計測する輝度センサー、被表示領域のRGB値やXYZ値を計測する色光センサー、被表示領域の色度値を計測する色度センサー等のうちの1つまたはこれらの組み合わせを適用できる。
【0092】
すなわち、色光センサー417からは複数の環境情報が環境補正処理部410に入力される場合もあり、環境補正処理部410では、入力される環境情報に応じて重み付け(例えば、輝度、色温度、色情報のそれぞれに対する重み付け)をする必要がある。
【0093】
このような重み付けの処理負荷を軽減するため、環境補正処理部410には、複数の環境情報を一括する環境情報一括部450が設けられている。
【0094】
環境情報一括部450は、複数の環境情報に対して所定の処理を施して1つの環境情報に一括する。
【0095】
例えば、色温度または相関色温度は色度座標(x、y)で表現することが可能なため、xyYで一括することが可能である。
【0096】
また、1つの環境情報に一括する処理としては、具体的には例えば、以下の式を適用できる。
【0097】
Δx=a1x1+a2x2+・・・+apxp
Δy=a1y1+a2y2+・・・+aqyq
ΔY=b1Y1+b2Y2+・・・+brYr
ここで、a、bは前述の重みづけの係数である。このようにして、重みづけ処理を一括して行い、様々な環境影響の補正に必要な総合的な補正要求値Δx、Δy、ΔYを導出する。以降の回路等では、Δx、Δy、ΔYを用いることで簡単に必要な補正を施すことが可能である。なお、ここで、Δx、Δy、ΔYは理想状態の環境情報と比較して導出する。
【0098】
環境補正処理部410は、一括された環境情報のうちの色情報(Δx、Δy)を用いて色の補正を行う。
【0099】
具体的には、3D−LUT記憶部403の対応する色を書き換えるため、環境補正処理部410は、3D−LUT記憶部409から入力される色情報(例えば、X1、Y1、Z1)に対して以下の処理を行う。
【0100】
まず、環境補正処理部410は、色度座標(x1、y1)を求めるため、以下の演算を行う。
【0101】
x1=X1/(X1+Y1+Z1)
y1=Y1/(X1+Y1+Z1)
そして、環境補正処理部410は、色度補正係数処理部411に色情報(x1、y1、Y1)を出力し、色度補正係数処理部411から色度補正情報(δ(x1、y1、Y1))を入力する。
【0102】
さらに、環境補正処理部410は、環境情報一括部450で一括処理された環境情報(Δx、Δy)、色度補正情報(δ)および色度(x1、y1)に基づき、色度(x2、y2)を求める。具体的には、例えば、変換式として以下の式を用いることができる。
【0103】
x2=Kx(x1、Δx、δ)
y2=Ky(y1、Δy、δ)
z2=1−x2−y2
X’1=x2(X1+Y1+Z1)
Y’1=y2(X1+Y1+Z1)
Z’1=z2(X1+Y1+Z1)
環境補正処理部410は、このようにして求めた三刺激値(X’1、Y’1、Z’1)を補正済み3D−LUT記憶部414に出力する。
【0104】
そして、色変換部408は、補正済み3D−LUT記憶部414の(X’1、Y’1、Z’1)を(R’1、G’1、B’1)に変換し、変換後の(R’1、G’1、B’1)を3D−LUT記憶部403に出力する。
【0105】
3D−LUT記憶部403では、(R’1、G’1、B’1)を用いて3D−LUTの対応先の色を書き換える。
【0106】
このようにして、視環境に基づき、3D−LUT記憶部403の3D−LUTの色が書き換えられることにより、視環境に応じた適切な色を再現できるようになる。
【0107】
(明るさの補正)
次に、明るさの補正について説明する。
【0108】
明るさの補正は、主に、γ補正部413によって1D−LUT記憶部402および1D−LUT記憶部404に記憶された各1D−LUTのγを補正することによって行われる。
【0109】
上述した手法によって環境補正処理部410により求められたγ補正用のパラメータであるΔYが、環境補正処理部410によってγ補正部413に入力される。
【0110】
γ補正部413は、環境補正処理部410からのΔYに基づき、γ補正処理を行って、1D−LUT記憶部402のγ1をγ’1に変換し、1D−LUT記憶部404のγ2をγ’2に変換する。
【0111】
このようにして、視環境に基づき、1D−LUT記憶部402、404の1D−LUTが書き換えられることにより、視環境に応じた適切な明るさを再現できるようになる。
【0112】
1D−LUT記憶部402、404で明るさの補正がされ、3D−LUT記憶部403で色の補正がなされた各LUT(ルックアップテーブル)を用いて調整された画像信号(R5、G5、B5)が1D−LUT記憶部404から出力信号処理部405に入力される。
【0113】
出力信号処理部405は、D/A変換部441を用いてデジタル画像信号(R5、G5、B5)をアナログ画像信号(R6、G6、B6)に変換し、変換後のアナログ画像信号をL/V駆動部406に出力する。
【0114】
L/V駆動部406は、当該アナログ画像信号を用いて液晶ライトバルブを駆動し、プロジェクタ20から投写する画像を調節する。
【0115】
以上のようにして、プロジェクタ20から投写する画像が調整され、スクリーン10上の画像表示領域12に表示される画像の見え方が適切に調整される。
【0116】
このように、本実施の形態では、視環境を考慮して画像を投写表示している。
【0117】
これにより、表示環境の差を吸収して、適用される環境によらずに同一の画像を表示することができる。したがって、複数の異なる場所において、ほぼ同一の色を短時間で再現することができる。
【0118】
さらに、階調特性を操作できる1D−LUTにて明るさ補正を行うことにより、低階調域の出力を上げ、再現される色の明るさを補正することができる。
【0119】
また、3D−LUTにて色の補正を行うことにより、色圧縮、色伸長の適用を色ごとに独立して行うことができる。
【0120】
このように、明るさに関する環境情報と色に関する環境情報に基づき、明るさ補正、色補正を別々に補正、制御することで、それぞれの補正をより的確に行うことができる。
【0121】
(ハードウェアの説明)
なお、上述した各部に用いるハードウェアとしては、例えば、以下のものを適用できる。
【0122】
例えば、入力信号処理部401としては、例えばA/Dコンバーター等、色制御処理部420としては、例えばRAM、CPU等、出力信号処理部405としては、例えばD/Aコンバーター等、L/V駆動部406としては液晶ライトバルブ駆動ドライバ等、キャリブレーション部430としては、例えば画像処理回路等を用いて実現できる。なお、これら各部は回路のようにハードウェア的に実現してもよいし、ドライバのようにソフトウェア的に実現してもよい。
また、これら各部の機能を情報記憶媒体500から情報を読み取って実現してもよい。情報記憶媒体500としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用でき、その情報の読み取り方式は接触方式であっても、非接触方式であってもよい。
【0123】
また、情報記憶媒体500に代えて、上述した各機能を実現するためのプログラム等を伝送路を介してホスト装置等からダウンロードすることによって上述した各機能を実現することも可能である。すなわち、上述した各機能を実現するための情報は、搬送波に具現化されるものであってもよい。
【0124】
以上、本発明を適用した好適な実施の形態について説明してきたが、本発明の適用は上述した実施例に限定されない。
【0125】
(変形例)
例えば、上述した1D−LUT記憶部402、404に記憶されるLUTは、対応表形式のような離散的に値を求めるものであってもよく、関数のように連続的に値を求めるものであってもよい。
【0126】
なお、対応表形式のような離散的な場合には、ラグランジュ補間法、直線補間法等の補間を行うことにより、ほぼ連続的な値(対応する色)を求めることができる。
【0127】
また、上述した実施例では、視環境把握手段として、色光センサー417を用いた例について説明したが、例えば、外光の有無、照明種別、スクリーン種別等を環境情報の少なくとも一部として入力する入力手段を用いてもよく、これらの入力を促す画像を表示する画像表示手段を用いてもよい。また、色光センサー417と、スクリーン種別等の入力用画像とを併用してもよい。
【0128】
特に、スクリーンの場合、その種別は人が容易に判別できるため、例えば、選択肢として提示できる上、人による判断ミスが少なく、スクリーンの種別を正確に反映した色を再現することができる。
【0129】
また、ここで、視環境把握手段が把握する視環境としては、例えば、環境光(照明光、自然光等)や、被表示対象(ディスプレイ、壁面、スクリーン等)等が該当する。
【0130】
特に、スクリーンという従来あまり考慮のされなかった部分についての情報を得ることにより、より適切な画像の補正を行うことができ、より均一な画像の色の再現を行うことができる。
【0131】
なお、上述したスクリーン10は、反射型のものであったが、透過型のものであってもよい。スクリーンが透過型の場合、色光センサーとしては、スクリーンを直接走査するセンサーを適用することが好ましい。
【0132】
また、上述したプロジェクタのような投写手段以外の表示手段で画像表示を行ってプレゼンテーション等を行う場合にも本発明を適用できる。このような表示手段としては、例えば、液晶プロジェクタのほか、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)、EL(Electro Luminescence)、直視型液晶表示装置等のディスプレイ装置等が該当する。
【0133】
もちろん、プレゼンテーション以外にも、ミーティング、医療、デザイン・ファッション分野、営業活動、コマーシャル、教育、さらには映画、TV、ビデオ、ゲーム等の一般映像等における画像表示を行う場合にも本発明は有効である。
【0134】
また、A/D変換部440は入力信号(R1、G1、B1)がデジタル形式である場合には不要であり、D/A変換部441も出力信号(R6、G6、B6)がデジタル形式でよい場合には不要である。これらは、適用する入力装置や出力装置によって必要に応じて適用することが好ましい。
【0135】
なお、上述したプロジェクタ20の画像処理部の機能は、単体の画像表示装置(例えば、プロジェクタ20)で実現してもよいし、複数の処理装置で分散して(例えば、プロジェクタ20とPCとで分散処理)実現してもよい。
【0136】
また、上述した実施例では、明るさ情報を含む色情報として、xyY(Yxyともいう。)を用いたが、例えば、Lab、Luv、LCh等を用いてもよい。
【0137】
また、上述した環境情報としては、xyYのように色および明るさを表す値であってもよく、ΔxΔyΔYのように色および明るさの補正量であってもよい。
【0138】
さらに、上述した実施例では、前面投写型のプロジェクタを適用した例について説明したが、背面投写型のプロジェクタを適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の一例に係るレーザーポインタを用いたプレゼンテーションシステムの概略説明図である。
【図2】従来のプロジェクタ内の画像処理部の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の一例に係るプロジェクタ内の画像処理部の機能ブロック図である。
【図4】Y=Y1の場合の色度補正係数δの導出法の例を示す図である。
【符号の説明】
20 プロジェクタ
80 環境光
402、404 1D−LUT記憶部
403、409 3D−LUT記憶部
410 環境補正処理部
411 色度補正係数処理部
413 γ補正部
417 色光センサー
450 環境情報一括部
500 情報記憶媒体
Claims (6)
- スクリーン上の領域である画像の被表示領域における視環境を示す環境情報に基づき、前記画像を補正して表示する画像表示システムであって、
前記環境情報に基づき、前記画像の明るさを補正するための明るさ補正用情報と、
前記環境情報に基づき、前記画像の色を補正するための色補正用情報と、
を記憶する手段と、
前記環境情報、前記明るさ補正用情報および前記色補正用情報に基づき、前記画像を表示するための画像情報を補正する補正手段と、
前記スクリーンの種別の入力を促す画像を表示する手段と、
入力された前記スクリーンの種別に応じたスクリーン特性を、色および明るさを表す第1の環境情報として入力する入力手段と、
前記被表示領域における色光情報を計測して第2の環境情報として入力する色光センサーと、
を含み、
前記補正手段は、
前記第1および第2の環境情報に対して所定の重み付け演算を行うことにより、色および明るさの補正量を示す1種類の環境情報を生成し、
前記色の補正量に基づいて前記色補正用情報を補正し、
前記明るさの補正量に基づいて前記明るさ補正用情報を補正することを特徴とする環境適応型の画像表示システム。 - 請求項1において、
前記明るさ補正用情報は、1次元ルックアップテーブルを含み、
前記色補正用情報は、3次元ルックアップテーブルを含むことを特徴とする画像表示システム。 - 請求項2において、
前記1次元ルックアップテーブルは、ガンマテーブルおよびカラーバランステーブルの少なくとも一方を含み、
前記3次元ルックアップテーブルは、色域補正テーブルおよび色温度補正テーブルの少なくとも一方を含むことを特徴とする画像表示システム。 - スクリーン上の領域である画像の被表示領域における視環境を示す環境情報に基づき、前記画像を補正して表示するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、
コンピュータを、
前記環境情報に基づき、前記画像の明るさを補正するための明るさ補正用情報と、
前記環境情報に基づき、前記画像の色を補正するための色補正用情報と、
を所定の記憶領域に記憶させる手段と、
前記環境情報、前記明るさ補正用情報および前記色補正用情報に基づき、前記画像を表示するための画像情報を補正する補正手段と、
前記スクリーンの種別の入力を促す画像を表示手段に表示させる手段と、
入力された前記スクリーンの種別に応じたスクリーン特性を、色および明るさを表す第1の環境情報として入力手段に入力させる手段と、
前記被表示領域における色光情報を計測して第2の環境情報として色光センサーに入力させる手段として機能させるためのプログラムを記憶し、
前記補正手段は、
前記第1および第2の環境情報に対して所定の重み付け演算を行うことにより、色および明るさの補正量を示す1種類の環境情報を生成し、
前記色の補正量に基づいて前記色補正用情報を補正し、
前記明るさの補正量に基づいて前記明るさ補正用情報を補正することを特徴とする情報記憶媒体。 - 請求項4において、
前記明るさ補正用情報は、1次元ルックアップテーブルを含み、
前記色補正用情報は、3次元ルックアップテーブルを含むことを特徴とする情報記憶媒体。 - 請求項5において、
前記1次元ルックアップテーブルは、ガンマテーブルおよびカラーバランステーブルの少なくとも一方を含み、
前記3次元ルックアップテーブルは、色域補正テーブルおよび色温度補正テーブルの少なくとも一方を含むことを特徴とする情報記憶媒体。
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