JP3629087B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポジ型パターンを形成することが可能なレジストを使用したパターン形成方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
半導体素子、集積回路等の電子部品の製作にはフォトエッチングによる微細加工技術が用いられている。例えばシリコン単結晶ウェハ等にレジスト膜をスピンコーティングにより形成させ、その上に所望のパターンを有するマスクを重ね、露光、現像、リンス等を行ないレジスト膜のパターンを形成した後、エッチングにより線形成や窓あけを行なっている。ここでの微細加工技術において、製品の精度は、大部分が使用されるレジストの性能、すなわち基板上での解像力、光感応性の精度、基板との接着性あるいはエッチングに対する耐性などに左右される。
【0004】
近年、このようなレジストとしてポリシランへの期待が高まっており、例えば特開昭60−228542号にはポリシランを用いてポジ型パターンを形成する技術が開示されている。これは、ポリシランのようなケイ素含有化合物からなるレジストでは、パターン形成後の酸素リアクティブイオンエッチング(酸素RIE)時にレジスト表面にSiO的な膜が形成されるため、耐酸素RIE性に優れるという特徴を有するからである。
【0005】
しかしながら、ここではポリシランに化学線を照射して揮発性の光解重合物を生成させ、生成した光解重合物を揮発させることでパターンが形成されており、このようなドライ現像で微細なパターンを精度よく形成することは非常に困難である。さらに、従来のポリシランを用いたパターン形成においては、感度の点でもいまだ十分ではないという問題点もあった。
【0006】
一方、半導体装置や液晶表示装置の製造においては、通常半導体素子、液晶表示素子の表面や配線上等には、他の領域との絶縁性を確保するために絶縁膜が形成されている。配線を被覆するための絶縁膜は、例えばCVDによりケイ素化合物を堆積させたり、オルガノシリカゾルなどを塗布後、加熱乾燥するなどの方法により形成される。
【0007】
場合によっては、配線上に形成された絶縁膜をパターニングして、コンタクトホールを形成することが求められるが、このような方法で形成された絶縁膜は、容易にパターニングすることができない。すなわち、形成された絶縁膜上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして絶縁膜をパターニングした後、レジストパターンを剥離しなければならない。このように工程が煩雑となるため、絶縁膜パターンを安価に得ることができない。
【0008】
これに対し、ポリシランの感光性を利用し、ポリシランのパターンを形成した後、このパターンを加熱絶縁化することで工程の簡略化を図る技術も提案されている。すなわち、ポリシランは、紫外線を照射して露光を施すことにより、分子量が減少する性質を有しているため、ポリシラン膜を形成し、選択的に露光を施した後、アルコール、ケトンなどの極性溶媒に選択的に溶解して現像することによってパターンが形成される。引き続いて、必要に応じてパターンに紫外線を照射した後、加熱乾燥してポリシランをシロキサン化させ絶縁膜パターンを得るというものである。
【0009】
しかしながら、ここでのパターンは、ポリシランを加熱乾燥して得られる一次元状のシロキサンからなるものであるため、絶縁膜として使用するには耐熱性等信頼性の面で問題があった。しかも、得られるパターンは、基板への十分な密着性を有するものではなかった
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ポリシランをレジストとして用いたパターン形成が以前より試みられているが、ポリシランからなるレジストの場合微細なパターンを精度よく形成することが難しく、かつ感度も不充分であることが多い。これに対し、アルカリ現像でのパターン形成が可能となれば、パターン精度の向上が期待できるが、一般にポリシランはアルカリ水溶液に不溶であるため、アルカリ現像でのパターン形成を行なうことができない。
【0011】
また一方、ポリシランを用いて形成された絶縁膜については、基板への密着性等の信頼性の点で、いまだ満足できるものではない。
【0012】
本発明はこれらの問題に鑑みて、アルカリ現像が可能で微細なパターンを精度よく、しかも高い感度で形成することができるポリシランを含有するレジストを使用したパターン形成方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するためになされた発明は、下記化学式のいずれか表されるポリシランを含有するレジスト膜を基板上に成膜する工程と、基板上のレジスト膜の所望の領域を露光する工程と、露光後のレジスト膜をアルカリ水溶液で現像して露光部を溶解除去し、ポジ型パターンを得る工程とを具備することを特徴とするパターン形成方法である
【0016】
【化8】
Figure 0003629087
【0017】
【化9】
Figure 0003629087
【0018】
【化10】
Figure 0003629087
【0019】
【化11】
Figure 0003629087
【0020】
【化12】
Figure 0003629087
【0021】
(式中、n,m,kは重合度を示し、PSはポリシラン骨格である。)
【0022】
第1の発明のレジストにおいては、光、電子線、X線等のエネルギー線を照射することで、ポリシランの側鎖の一方に導入されている水素原子が水酸基に変化してSi−OH結合が生成する。またポリシランのSi−Si主鎖についても、上述したようなエネルギー線を吸収して分解した後、大気中やレジストの塗膜中の酸素や水分を取り込んでSi−OH結合を生成し得る。
【0023】
ここで、第1の発明のようにポリシランの側鎖の他方にアリール基が導入されていると、こうして生成したシラノール性水酸基の酸性度が非常に高く、アルカリ水溶液に対し大きな溶解性を示す。しかも側鎖にアルキル基が導入されている場合に比べて、生成したシラノール性水酸基が相互に反応し難く、互いに架橋等されることなく安定化する。従って、シラノール性水酸基を有することのないポリシランからなる未露光部と露光部でアルカリ水溶液に対する溶解性が全く異なるため、アルカリ現像で露光部を選択的に溶解除去してポジ型パターンを得ることが可能となる。
【0024】
しかも第1の発明のレジストにおいては、未露光部のポリシランが本質的にアルカリ水溶液に不溶であるので、必ずしもエネルギー線を照射した際にポリシランのSi−Si主鎖を分解せしめ、露光部と未露光部でその分子量に差異を生じさせる必要はない。このため、上述したようなパターンを特に高い感度で形成することができる。
【0025】
第1の発明におけるポリシランの側鎖に導入されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が例示される。またこのようなポリシランは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、一般式(1)で表される繰返し単位以外の繰返し単位とのコポリマーであってもよい。ただしコポリマーの場合、一般式(1)で表される繰返し単位が30%以上、さらには50%以上含有されることが好ましい。ポリシランの分子量については特に限定されないが、分子量が500〜100,000さらには1,000〜10,000のものが好ましい。何となれば、ポリシランの分子量が低すぎると耐久性の十分な塗膜を形成することが困難となり、逆にポリシランの分子量が高すぎると溶媒に対する溶解性が低下して、塗膜の形成等が煩雑となる傾向がある。ここで、第1の発明で用いられ得るポリシランの具体例を示す。
【0026】
【化9】
Figure 0003629087
【0027】
【化10】
Figure 0003629087
【0028】
【化11】
Figure 0003629087
【0029】
【化12】
Figure 0003629087
【0030】
【化13】
Figure 0003629087
【0031】
式中、n,m,kは重合度を示し、PSはポリシラン骨格である。
【0032】
またこのようなポリシランは、ナトリウム触媒共存下でRSiHClの還元的カップリング反応、電解重合等により合成され得る。なお上述した通りコポリマーを合成してもよく、例えば還元的カップリング反応により合成する場合、R´R″SiCl(R´、R″は置換または非置換炭化水素基を示す)と共重合させればよい。さらに重合度を制御する観点から、RSiHACl(Aは末端基を示す)等を適宜共重合させてもよい。ただし、還元的カップリング反応でポリシランを合成すると、ナトリウム触媒がイオン性不純物としてポリシラン中に残留されるおそれがある。
【0033】
一方上述したようなポリシランは、チタンあるいはジルコニウム触媒共存下でのRSiHの脱水素反応で合成することも可能である。このとき、特にジルコニウム触媒を用いた脱水素反応を経て合成されたポリシランは、イオン性不純物が全く含有されないばかりか、ポリマー末端でケイ素原子と結合したシラノール性水酸基が生成されることもなく、レジストとしてアルカリ現像で微細なパターンを形成するうえで非常に有利となる。
【0034】
第1の発明においては、上述したようなポリシランとポリシランの架橋剤とからなるレジストを調製することで、このレジストを使用してパターンを形成した後パターン中のポリシランを架橋させ、得られたパターンの強度、耐熱性等の向上を図ることもできる。ここでの架橋剤としては、ポリシランの側鎖に導入されている水素原子と熱的に反応し得る化合物、具体的にはテトラビニルシランやフェニレンジアルデヒド等分子中に不飽和基を2個以上有する不飽和化合物が用いられ得る。このとき不飽和化合物は、ポリシランに対し1wt%以上程度配合されればよいが、配合量が多すぎるとポリシランの架橋に寄与しない成分が増加して逆にパターンの耐熱性が低下するおそれがあるため、不飽和化合物の配合量の上限は30wt%とすることが好ましい。
【0035】
さらに第1の発明のレジストにおいて、上述したような不飽和化合物がポリシランに配合される場合、ポリシランと不飽和化合物との反応を促進し得るラジカル発生剤やイオン性触媒が架橋剤として通常併用される。このとき用いることのできるラジカル発生剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、トリフェニルt−ブチルペルオキシド等が挙げられ、イオン性触媒としては塩化白金酸、塩化白金酸に不飽和基が配位した錯体等が例示される。またこれらの配合量は、ラジカル発生剤で1〜30wt%、イオン性触媒で0.1〜5wt%に設定されることが望ましい。何となれば、ラジカル発生剤やイオン性触媒の配合量が少なすぎるとポリシランと不飽和化合物との反応が進行し難く、逆に配合量が多すぎるとかえってパターンの耐熱性が低下するおそれがあるからである。
【0036】
また第1の発明では、上述したようなポリシランとアルカリ可溶性の有機化合物を配合してレジストを調製することも可能である。この場合、アルカリ水溶液に不溶であるポリシランがアルカリ可溶性の有機化合物に対する溶解抑止剤となる一方、エネルギー線が照射されるとポリシランはシラノール性水酸基を生成して、アルカリ水溶液に対し可溶化する。従ってアルカリ現像で露光部が選択的に溶解除去されて、ポジ型パターンが形成され得る。
【0037】
このようなアルカリ可溶性の有機化合物としては、フェノール性水酸基やカルボン酸残基を有するオリゴマーやポリマーを用いることができ、例えばフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、ビスフェノールA、4−クロロ−3−クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合によって得られるノボラック樹脂、ポリ(p−ビニルフェノール)、ポリ(p−イソプロペニルフェノール)、ポリ(m−イソプロペニルフェノール)、p−ヒドロキシスチレンとメタクリル酸メチルとの共重合体、p−ヒドロキシスチレンとアクリル酸メチルとの共重合体、p−イソプロペニルフェノールとアクリル酸メチルとの共重合体、p−ヒドロキシスチレンとメタクリル酸との共重合体、ポリアミック酸等が挙げられる。ここで、第1の発明において用いられ得るアルカリ可溶性の有機化合物の具体例を示す。
【0038】
【化14】
Figure 0003629087
【0039】
【化15】
Figure 0003629087
【0040】
式中、nは重合度を示す。
【0041】
第1の発明において、ポリシランとアルカリ可溶性の有機化合物を配合してレジストが調製される場合、アルカリ可溶性の有機化合物の配合量が95wt%以下に設定されることが好ましい。これは、アルカリ可溶性の有機化合物の配合量が多すぎるとレジストの感度が低下する傾向があるためである。なお、アルカリ可溶性の有機化合物の性能をレジストに対し充分に付与するうえでは、アルカリ可溶性の有機化合物の配合量を0.01wt%以上とすることが望まれる。
【0042】
第1の発明のレジストは、通常上述したポリシランと必要に応じ配合されるポリシランの架橋剤やアルカリ可溶性の有機化合物を、適切な有機溶媒に溶解させることにより調製される。ここでの有機溶媒としては、具体的にはトルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルセロソルブ、o−ジクロロベンゼン、クロロホルム、エタノール、i−プロピルアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が例示され、これらは単独または混合物の形で用いることができる。
【0043】
次に第1の発明のレジストを使用したパターン形成方法について説明する。まず、上述したように調製されたレジスト液を所定の基板上に塗布する。次に、得られた塗膜をプリベークすることによって、有機溶媒をある程度蒸発させレジスト膜を成膜する。次いでレジスト膜表面上に、所望のマスクパターンを介して紫外線、KrFエキシマレーザ光、電子線、X線等のエネルギー線を照射する。なおエネルギー線としては、波長400nm以下の紫外線が好ましく、照射量は0.1mJ/cm〜5J/cm程度に設定されることが望まれる。またこのとき、密着露光、投影露光のいずれの方式も採用することができる。
【0044】
ここで露光部のポリシランは、上述した通りシラノール性水酸基を生成してアルカリ水溶液に対し可溶化しているので、続いてアルカリ現像を行なうことでレジスト膜の露光部が選択的に溶解除去され、ポジ型パターンが形成される。このとき、アルカリ水溶液としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の有機アルカリ水溶液や水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ水溶液を用いればよく、浸漬法、スプレー法等の方式を採用することができる。なお、ここでは、アルカリ水溶液の代わりにフッ酸水溶液を用いてポジ型パターンを形成することも可能である。
【0045】
また上述したような第1の発明のパターン形成方法は、以下に示す多層レジストシステムに特に好ましく適用される。すなわちこの場合は、まず基板上に平坦化剤を塗布した後、通常50〜250℃好ましくは80〜220℃で0.5〜120分好ましくは1〜90分乾燥させ、所望の厚さの平坦化層を形成する。ここに用いる基板としては、例えばシリコンウェハ、表面に各種の絶縁膜や電極、配線等が形成され段差を有するシリコンウェハ、ブランクマスク等を挙げることができる。また平坦化剤は、半導体集積回路等の製造において支障を生じない程度の純度を有するものであればいかなるものでもよい。このような平坦化剤としては、例えば置換ナフトキノンジアジドとノボラック樹脂からなるポジ型レジスト、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルブチラール等を挙げることができる。これらの樹脂は、単独または混合物の形で用いられる。
【0046】
次いで得られた平坦化層上に、レジスト液を塗布した後、50〜200℃好ましくは80〜120℃で0.5〜120分好ましくは1〜60分プリベークして所望の厚さのレジスト膜を成膜する。なお、ここでのレジスト液の塗布方法としては、スピナーを用いた回転塗布法、浸漬法、噴霧法、印刷法等を採用することができる。またレジスト膜の厚さは、塗布方法、レジスト液中のポリシラン濃度、粘度等により任意に調整することが可能である。
【0047】
続いてこのレジスト膜に対し、上述した通りの露光、現像を行ないポジ型パターンを形成した後、必要に応じ50〜200℃、0.5〜120分程度の熱処理好ましくはステップベークを施す。こうした熱処理を施すことで、第1の発明のレジストにおいてポリシランの架橋剤が配合されていると、パターン中のポリシランのケイ素原子が架橋剤を介し結合してポリシランの架橋が進行するので、パターンの強度、耐熱性等が向上する。またポリシランの架橋剤が配合されていない場合でも、大気中等の酸素を取り込んでポリシランのケイ素原子が酸素原子を介して結合し得るので、ポリシランの架橋に基づくパターンの強度、耐熱性等の向上が期待できる。
【0048】
さらにこのとき、上述したような熱処理を施す前に形成されたパターンを露光し、ポリシランの光酸化、ラジカル発生剤からのラジカル生成等を予め誘起させて、熱処理時のポリシランの架橋の進行を助長させてもよい。ここでもポリシランの架橋剤は特に配合されていなくても、ポリシランのケイ素原子は大気中等の酸素を取り込んだうえで三次元的に強固に架橋し得る。しかもこうした露光を行なうことで、ポリシランの主鎖を切断した際に、ケイ素原子を酸素原子を介して再結合せしめ、極めて強度、耐熱性等の優れたガラスマトリックスを形成することができるので、結果として得られたガラスマトリックスのパターンをそのまま表面保護膜、絶縁膜等として利用することも可能となる。
【0049】
次に、形成されたパターンをマスクとして露出する平坦化層を酸素ガスプラズマまたは適当な溶媒を用いてエッチングする。このとき、より好ましいのは酸素ガスプラズマを用いた酸素リアクティブイオンエッチング法(酸素RIE法)であり、通常1×10−4〜1×10−1Torr、0.01〜10w/cmで1〜120分間処理する。ここで、第1の発明のレジストを使用して形成されたパターンは、酸素RIEに曝されることによって、表面層に二酸化ケイ素(SiO)またはそれに類似した膜が形成され、露出した平坦化層の10〜100倍の耐酸素RIE性を有するようになる。このため、パターンから露出した平坦化層部分が酸素RIE法により選択的に除去され、最適なパターンプロファイルが得られる。
【0050】
こうして得られたパターンをマスクとして、最後に基板のエッチングを行なう。このときのエッチング方法としては、例えばウェットエッチング法やドライエッチング法が採用されるが、3μm以下の微細なパターンを形成する場合にはドライエッチング法が好ましい。ウェットエッチング剤としては、シリコン酸化膜をエッチング対象とする場合にはフッ酸水溶液、フッ化アンモニウム水溶液等が、アルミニウムをエッチング対象とする場合には、リン酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液等が、クロム系膜をエッチング対象とする場合には硝酸セリウムアンモニウム水溶液等が夫々用いられる。ドライエッチング用ガスとしては、CF,C,CCl,BCl,Cl,HCl,H等を挙げることができる。必要に応じてこれらのガスは組合わせて使用される。エッチングの条件としては、微細パターンが形成される物質の種類と用いられたレジストとの組合わせに基づいて、反応槽内のウェットエッチング剤の濃度、ドライエッチング用ガスの濃度、反応温度、反応時間等を決定するが、特にその方法等に制限されない。
【0051】
上述したようなエッチング後には、基板上に残存する平坦化層及び第1の発明のレジストを使用して形成されたパターンを、例えばナガセ化成社製商品名:J−100等の剥離剤、酸素ガスプラズマ等によって除去する。
【0052】
なお以上の工程以外に、その目的に応じてさらに工程を付加することも何等差支えない。例えば、第1の発明のレジストからなるレジスト膜と平坦化層または平坦化層と基板との密着性を向上させる目的から各液の塗布前に行なう前処理工程、レジスト膜の現像後に現像液を除去する目的で行なうリンス工程、ドライエッチングの前に行なう紫外線の再照射工程等を挙げることができる。また、以上は第1の発明のレジストを多層レジストシステムに適用する場合について示したが、第1の発明のレジストは従来の単層レジストに適用することも可能である。
【0053】
次に、第2の発明について詳細に説明する。
【0054】
第2の発明のケイ素ポリマー組成物において使用され得るポリシランは、下記一般式(2)で表される繰返し単位を有する化合物である。
【0055】
【化16】
Figure 0003629087
【0056】
(ただし式中、Rは置換または非置換のアリール基、または置換または非置換のアルキル基を示す。)
このポリシランの側鎖に導入されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が例示され、また、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、およびヘキシル基等が挙げられる。このようなポリシランは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、一般式(2)で表される繰返し単位以外の繰返し単位とのコポリマーであってもよい。ただし、コポリマーの場合、一般式(2)で表される繰返し単位が30%以上、さらには50%以上含有されることが好ましい。ポリシランの分子量については特に限定されないが、分子量が500〜100,000さらには1,000〜10,000のものが好ましい。何となれば、ポリシランの分子量が500未満であると、膜質の良好な塗膜の形成が困難となり、一方、前記ポリシランの分子量が100,000を越えると、溶媒可溶性が低下するおそれがある。ここで、第2の発明のケイ素ポリマー組成物においては、前述の第1の発明で用いられ得るポリシランに加えて、以下のようなポリシランを使用することができる。
【0057】
【化17】
Figure 0003629087
【0058】
【化18】
Figure 0003629087
【0059】
【化19】
Figure 0003629087
【0060】
式中、n,m,kは重合度を示し、PSはポリシラン骨格である。
【0061】
なお、上記一般式(2)において、Rにフェニル基のような置換もしくは非置換のアリール基が導入されている場合には、第2の発明のケイ素ポリマー組成物を用いて形成される絶縁膜に適度な柔軟性を付与して、クラック等の発生を確実に防止できるので好ましい。ただし、第2の発明では、ポリシラン単独の場合に比べ、SiO微粉末および/またはSiN微粉末を配合することで絶縁膜の耐クラック性が高められるため、Rが置換もしくは非置換のアルキル基であっても特に差し支えない。
【0062】
また、第2の発明で用いられるSiO微粉末および/またはSiN微粉末は、特に限定されないが、平坦性や均一性の良好な塗膜を形成する観点から、直径10μm以下のものが好ましい。なお、微粉末の直径は、より好ましくは0.1μm以下である。
【0063】
第2の発明において前述のような微粉末の配合量は、ポリシランに対し1〜70wt%、さらには10〜50wt%であることが好ましい。すなわち1wt%未満であると、形成される絶縁膜においてさほどの緻密化や高抵抗化などを期待し難く、一方70wt%を越えると膜質の良好な塗膜の形成が困難となるおそれがある。
【0064】
さらに、第2の発明のケイ素ポリマー組成物には、有機金属化合物を配合してもよい。すなわち、こうした有機金属化合物は、ポリシランの架橋剤となって、絶縁膜を形成した際にその基板との密着性の向上などに寄与する。さらに、絶縁膜を形成するに当り、ケイ素ポリマー組成物の膜を加熱乾燥するに先だって膜への露光を施す場合などに、有機金属化合物が紫外線を吸収することで容易に開環してシラノール(Si−OH)と結合するので、露光感度や露光波長領域を拡大する触媒としても機能する。
【0065】
この有機金属化合物としては、例えばアルミニウム、チタン、クロム、ジルコニウム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム、コバルト等の金属に各種の有機基が直接結合したもの、または前記金属の錯体を挙げることができる。これらの有機金属化合物のうち、特に、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が有用であり、また上述したような有機基及び錯体を形成する際の配位子としては、1)アルコキシ基、2)フェノキシ基、3)アシルオキシ配位子、4)β−ジケトン配位子、5)o−カルボニルフェノラート配位子等が挙げられる。具体的には、以下に示すような置換基または配位子等が金属原子に結合した有機金属化合物が好ましい。
【0066】
1)アルコキシ基
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメトキシ基、イソプロポキシ基、ペントオキシ基が挙げられる。
【0067】
2)フェノキシ基
フェノキシ基としては、例えばフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基等が挙げられる。
【0068】
3)アシルオキシ配位子
アシルオキシ配位子としては、例えばアセタト、プロピオナト、イソプロピナト、ブチラト、ステアラト、エチルアセトアセタト、プロピルアセトアセタト、ブチルアセトアセタト、ジエチルマラト、ジビバロイルメタナト等を挙げることができる。
【0069】
4)β−ジケトン配位子
β−ジケトン配位子としては、例えばアセチルアセトナト、トリフルオロアセチルアセトナト、ヘキサフルオロアセチルアセトナト、下記化20に示す(Cー1)〜(C−3)の配位子等を挙げることができる。
【0070】
【化20】
Figure 0003629087
【0071】
5)o−カルボニルフェノラート配位子
o−カルボニルフェノラート配位子としては、例えばサリチルアルデヒダト等が挙げられる。
【0072】
有機アルミニウム化合物の具体例としてはトリスメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウム、トリスパラメチルフェノキシアルミニウム、イソプロポキシジエトキシアルミニウム、トリスブトキシアルミニウム、トリスアセトキシアルミニウム、トリスイソオウロピオナトアルミニウム、トリスアセチルアセトナトアルミニウム、トリストリフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、トリスヘキサフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、トリスエチルアセチルアセトナトアルミニウム、トリスジエチルマラトアルミニウム、トリスプロピルアセチルアセトナトアルミニウム、トリスブチルアセトアセタナトアルミニウム、トリスジビバロイルメタナトアルミニウム、ジアセチルアセトナトジビバロイルメタナトアルミニウム、または下記化21、化22に示す(D−1)〜(D−6)の化合物等を挙げることができる。
【0073】
【化21】
Figure 0003629087
【0074】
【化22】
Figure 0003629087
【0075】
また、第2の発明のケイ素ポリマー組成物には、例えば絶縁膜の形成に当たって膜の加熱乾燥前に膜への露光を施す際あるいはパターンを形成する際の増感剤として、ラジカル発生剤または酸発生剤を配合することもできる。なお、ラジカル発生剤とは化学放射線の照射によりラジカルを発生する化合物であり、酸発生剤とは、化学放射線の照射により酸を発生する化合物である。
【0076】
ラジカル発生剤としては、例えば、アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキサイド、ジターシャリブチルペルオキサイドなどの過酸化物、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインアルキルアリールチオエーテル、ベンゾイルアリールエーテル、ベンゾイルアルキルアリールチオエーテル、ベンジルアルアルキルエタノール、フェニル−グリオクザルアルキルアセタール、ベンゾイルオキシムなどのアルキルアリールケトン、下記化23で示される有機ハロゲン化物を挙げることができる。
【0077】
【化23】
Figure 0003629087
【0078】
前記有機ハロゲン化物のなかで、米国特許第3779778号明細書に記載されたトリハロメチル−s−トリアジン類、すなわち下記化24に示す一般式(3)で表される化合物が好ましい。具体的には、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−メチル−s−トリアジン、2,4,6−トリス(クロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。
【0079】
【化24】
Figure 0003629087
【0080】
ただし、式中のQは臭素原子または塩素原子、Pは−CQ、−NH、−NHR、−N(R、−OR、置換あるいは非置換のフェニル基(ここで、Qは臭素原子または塩素原子、Rはフェニル基、ナフチル基または炭素数6以下の低級アルキル基である。)、Rは−CQ、−NH、−NHR、−N(R、−OR、−(CH=CH)−W、置換あるいは非置換のフェニル基(ここで、Qは臭素原子または塩素原子、Rはフェニル基、ナフチル基または炭素数6以下の低級アルキル基、nは1〜3の整数、Wは芳香族基、複素環基、または下記化25に示す一般式(4)で表される基である。)を示す。
【0081】
【化25】
Figure 0003629087
【0082】
ただし、式中のZは酸素原子若しくは硫黄原子、Rは低級アルキル基若しくはフェニル基を示す。
【0083】
前記一般式(3)において、Wで表される芳香環もしくは複素環はさらに置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば塩素原子、臭素原子、フェニル基、炭素数6以下の低級アルキル基、ニトロ基、フェノキシ基、アルコキシ基、アセトキシ基、アセチル基、アミノ基およびアルキルアミノ基等を挙げることができる。
【0084】
前記有機ハロゲン化物のなかで、さらに米国特許第3987037号明細書に開示されたビニルハロメチル−s−トリアジンで置換された化合物が好ましい。このビニルハロメチル−s−トリアジン化合物は、少なくとも1つのトリハロメチル基と少なくとも1つのエチレン性不飽和結合でトリアジン環と共役している基とを有する光分解性のs−トリアジン類であり、前記一般式(3)の中のRとして−(CH=CH)−Wが導入された化合物である。
【0085】
前記一般式(3)で表されるトリハロメチル−s−トリアジン類を下記化26に、その他のラジカル発生剤を下記化27〜化31に具体的に例示する。
【0086】
【化26】
Figure 0003629087
【0087】
【化27】
Figure 0003629087
【0088】
【化28】
Figure 0003629087
【0089】
【化29】
Figure 0003629087
【0090】
【化30】
Figure 0003629087
【0091】
【化31】
Figure 0003629087
【0092】
前記酸発生剤としては、例えばオニウム塩、ハロゲン含有化合物、オルトキノンジアジド化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、ニトロベンジル化合物が挙げられる。これらのなかでも、オニウム塩、オルトキノンジアジド化合物が好ましい。
【0093】
オニウム塩としては、具体的にはヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。好ましくは、下記化32で表される化合物を挙げることができる。
【0094】
【化32】
Figure 0003629087
【0095】
(式中、R〜R11は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換のアルキル基またはアルコキシ基、XはSbF、AsF、PF、BF、CFCO、ClO、CFSO、または下記に示す群から選択される。)
【化33】
Figure 0003629087
【0096】
(ただし、R12は水素原子、アミノ基、アニリノ基、置換もしくは非置換のアルキル基またはアルコキシ基、R13、R14は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ置換または非置換のアルコキシ基、R15は水素原子、アミノ基、アニリノ基、置換もしくは非置換のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
さらに、下記化34および化35で表される化合物も、好ましいオニウム塩として挙げられる。
【0097】
【化34】
Figure 0003629087
【0098】
式中、R、R10、Xは上記と同様である。
【0099】
【化35】
Figure 0003629087
【0100】
式中、R、R10、Xは上記と同様である。
【0101】
前記ハロゲン含有化合物としては、具体的にはハロアルキル基含有炭化水素系化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等を挙げることができ、特に下記化36および化37に示す化学式で表される化合物が好ましい。
【0102】
【化36】
Figure 0003629087
【0103】
(式中、R16はトリクロロメチル基、フェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基またはメトキシナフチル基を示す。)
【化37】
Figure 0003629087
【0104】
(式中、R17〜R19は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基または水酸基を示す。)
前記キノンジアジド化合物としては、具体的にはジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができ、特に下記化38〜化41で表される化合物が好ましい。
【0105】
【化38】
Figure 0003629087
【0106】
【化39】
Figure 0003629087
【0107】
【化40】
Figure 0003629087
【0108】
(式中、R20は−CH−、−C(CH−、−C(=O)−、または−SO−を示し、qは1〜6の整数、rは0〜5の整数、qとrとの合計は1〜6である。)
【化41】
Figure 0003629087
【0109】
(式中、R21は水素原子またはメチル基、R22は−CH−、−C(CH−、−C(=O)−、または−SO−を示し、sは1〜6の整数、tは0〜5の整数、sとtとの合計は1〜6である。)
前記スルホン化合物としては、具体的にはβ−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン等を挙げることができ、特に下記化42に示す化学式で表される化合物等が好ましい。
【0110】
【化42】
Figure 0003629087
【0111】
(式中、R23〜R26は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ置換もしくは非置換のアルキル基またはハロゲン原子、Yは−C(=O)−または−SO−を示し、uは0〜3の整数である。)
前記ニトロベンジル化合物としては、具体的にはニトロベンジルスルホネート化合物、ジニトロベンジルスルホネート化合物等を挙げることができ、特に下記化43に示す化学式で表される化合物等が好ましい。
【0112】
【化43】
Figure 0003629087
【0113】
(式中、R27は置換または非置換のアルキル基、R28は水素原子またはメチル基、R29は下記に示す群から選択される基であり、vは1〜3の整数である。)
【化44】
Figure 0003629087
【0114】
(ただし、R30は水素原子またはメチル基、R31、R32は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ置換または非置換のアルコキシ基を示す。)
前記スルホン酸化合物としては、具体的にはアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができ、特に下記化45〜化47で表される化合物が好ましい。
【0115】
【化45】
Figure 0003629087
【0116】
(式中、R33、R34は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基、R35、R36は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基を示す。)
【化46】
Figure 0003629087
【0117】
(式中、R37は水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基、R38,R39は互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれ置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基を示し、R38とR39とは互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【化47】
Figure 0003629087
【0118】
(式中、Zはフッ素原子または塩素原子を示す。)
なお、上述したような増感剤の配合量は、上記一般式(2)で表されるポリシラン100重量部に対して0.1〜30重量部、さらには1〜10重量部とすることが好ましい。増感剤の配合量が0.1重量部未満であると、露光時に発生するラジカルや酸とポリシランとの反応が不十分になるおそれがある。一方、前記増感剤の配合量が30重量部を越えると、例えばポジ型のパターンの形成において、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。なお、増感剤としてハロメチル−s−トリアジン類を用いた場合には、前記ポリシラン100重量部に対してこの化合物を0.011〜3重量部、好ましくは1〜2重量部程度の少量の配合でも十分感度向上がなされたケイ素ポリマー組成物を得ることができる。
【0119】
第2の発明のケイ素ポリマー組成物は、上述したポリシランと、SiO微粉末およびSiN微粉末の少なくとも一方の微粉末、並びに必要に応じて配合される有機金属化合物、ラジカル発生剤や酸発生剤を、適切な有機溶媒に溶解させることにより調製される。ここで、使用され得る有機溶媒としては、具体的には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテートセルソルブ、ブチロラクトン、ブチル乳酸などが例示され、これらは単独でまたは混合物の形で用いることができる。なおこのとき、微粉末は、シリカゾル、種々の界面活性剤、極性基、官能基を有するポリマーなどの分散剤を用いて分散させることが好ましい。
【0120】
かかるケイ素ポリマー組成物を用いて絶縁膜を製造するに当たっては、まず、この組成物を含有する溶液を調製して、スピンコート法等により所定の基板上に塗布した後、50〜150℃程度の温度で乾燥させて溶媒を揮発させ、有機ポリシランを主体とした有機ケイ素化合物膜を成膜する。
【0121】
ここで、基板としては、例えば透光性のガラスや樹脂からなる透明基板、表面に配線が形成された半導体基板、同配線が形成されたガラス基板等を用いることができる。
【0122】
次いで、前記基板上の塗膜を酸素含有雰囲気中で加熱処理して酸素架橋三次元化することにより絶縁膜を形成する。前記酸素含有雰囲気としては、酸素を含むガス雰囲気であればよく、特に酸素を1%以上含む雰囲気が好ましい。
【0123】
前記加熱処理は、100〜600℃の温度で行うことが好ましい。前記加熱処理温度を100℃未満にすると、十分な酸化がなされず、酸素架橋三次元化を十分に行うことが困難になる。一方、前記加熱処理温度が600℃を越えると、体積収縮が大きくなりすぎて、形成された絶縁膜にクラックが発生するおそれがある。より好ましい加熱処理温度は、200〜500℃である。
【0124】
こうして第2の発明のケイ素ポリマー組成物を用いて得られた絶縁膜では、上述したような酸素架橋三次元化によりSi−O−Si結合の三次元化構造を有するガラス化したケイ素系マトリックスが形成されるので、基板への密着性や耐熱性が非常に優れている。しかも、第2の発明のケイ素ポリマー組成物には、SiO微粉末およびSiN微粉末の少なくとも一方の微粉末が配合されているので、この組成物を用いることにより高抵抗、高強度等優れた特性を有する絶縁膜を製造することができる。すなわち、SiO微粉末を混合したことによって、膜の密度が上がり、高抵抗、高強度かつ耐絶縁破壊性を有する膜を形成することができる。また、SiN微粉末を混合したことによって、膜の密度が上がり、高抵抗、高強度かつイオントラップ性、HOバリア性を兼ね備えた絶縁膜を形成することができる。
【0125】
なお、前記ケイ素ポリマー組成物を含む溶液を基板上に塗布し成膜した後で、この膜を加熱処理する前に、酸素含有雰囲気中で紫外線による全面露光を行うことが好ましい。この露光の工程において、紫外線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特に200〜300nmの波長の紫外線を照射することが好ましい。また照射量は、10mJ〜10J、さらには100mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。
【0126】
このように全面露光を施すことによって、前記膜中のポリシランが分解して酸性度の高いシラノール結合(Si−OH)が生成される。このような露光後にこの有機ケイ素化合物膜を加熱することによって、全体に高い架橋密度のシロキサン結合(Si−O−Si)が速やかに形成される。したがって、露光工程を経ない場合よりも低温での加熱処理を行うことができ、基板への密着性が高く、かつ良好な耐熱性を有する絶縁膜を容易に形成することができる。
【0127】
前記全面露光後の有機ケイ素化合物膜は、前記加熱処理前に、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、チタンなどの金属アルコキシドのゾルに浸漬してもよい。これによって、前記全面露光で生成されたシラノール(Si−OH)とケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、チタンなどの金属が結合し、その後の加熱処理により極めて高い架橋密度で、基板への密着性、耐熱性がよりいっそう向上された絶縁膜が得られる。
【0128】
また、第2の発明のケイ素ポリマー組成物を用いて、パターニングされた絶縁膜を製造することも可能である。以下に、ポジ型パターンおよびネガ型パターンを得る方法を、それぞれ詳細に説明する。
【0129】
ポジ型パターンは、上記一般式(2)において、Rが置換または非置換のアリール基であるポリシランの場合に形成することができる。すなわち、まず、かかるポリシランと、SiO微粉末およびSiN微粉末の少なくとも一方の微粉末、並びに必要に応じて有機金属化合物等の成分を配合して、前述と同様にケイ素ポリマー組成物を調製し、この組成物を含有する溶液を基板上に塗布して有機ケイ素化合物膜を形成する。
【0130】
次いで、この有機ケイ素化合物膜の所定の領域に紫外線を照射して、選択的に露光を施す。ここでのパターン露光は、前述と同様の条件で行うことができる。紫外線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特に200〜300nmの波長の紫外線を照射することが好ましい。また照射量は、10mJ〜10J、さらには100mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。
【0131】
パターン露光後の有機ケイ素化合物膜は、アルカリ水溶液で現像して、露光部を選択的に溶解除去する。アルカリ水溶液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの有機アルカリ;KOH、NaOHなどの無機アルカリを用いることができる。また、フッ酸水溶液を用いて露光部を溶解除去することも可能である。なお、現像後の有機ケイ素化合物膜は、適宜純水で水洗する。
【0132】
その後、有機ケイ素化合物膜に対して、酸素含有雰囲気下、必要に応じて全面露光を施した後、100〜600℃、好ましくは200〜500℃の温度で加熱処理を施すことによって、パターニングされた絶縁膜が得られる。
【0133】
なお、全面露光は前述のパターン露光と同様の条件で行うことができる。
【0134】
上述のようなポジ型のパターンの形成においては、有機ケイ素化合物膜に選択的に露光を施すことによって、膜中のポリシランが分解して露光部に酸性度の高いシラノール性水酸基(Si−OH)が選択的に形成される。このような露光後にアルカリ水溶液で現像することによって、前記有機ケイ素化合物膜の露光部が選択的に溶解除去されてポジ型パターンが形成される。次いで、有機ケイ素化合物膜パターンを必要に応じて全面露光することによって、全面にシラノール性水酸基(Si−OH)が形成され、この後に加熱処理することによってパターン全体に架橋密度の高いシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。したがって、ガラスマトリックスからなり、基板への密着性が高く、かつ良好な耐熱性を有する高精度のパターンを容易に形成することができる。
【0135】
一方、ネガ型パターンは、上記一般式(2)におけるRがアリール基の場合のみならず、この基がアルキル基の場合にも形成することができる。ネガ型パターンの形成に当たっては、まず、有機ケイ素化合物膜に選択的に露光を施し、加熱処理した後、有機溶媒で現像して未露光部を選択的に溶解除去する。
【0136】
パターン露光は、前述と同様の条件で行うことができる。すなわち、紫外線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特に200〜300nmの波長の紫外線を照射することが好ましい。また照射量は、10mJ〜10J、さらには100mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。
【0137】
現像前の加熱処理は、加熱時間にもよるが100〜150℃の温度で行うことが好ましい。これは、100℃未満だとシラノール性水酸基の生成した露光部での架橋が不十分となるおそれがあり、逆に150℃を越えると未露光部についてもケイ素ポリマーの架橋が進行してしまうことがあり、いずれの場合も精度のよい有機ケイ素化合物膜のパターニングが困難となるからである。
【0138】
また、有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、またはメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒等の極性溶媒を挙げることができる。さらに、上記一般式(2)のRが置換または非置換のアリール基であるポリシランを用いた場合には、現像前に予め有機ケイ素化合物膜に紫外線を照射してシラノール性水酸基を生成させれば、アルカリ水溶液やフッ酸水溶液での現像を行うことも可能である。
【0139】
現像後の有機ケイ素化合物膜は、酸素含有雰囲気下、100〜600℃、好ましくは200〜500℃の温度で加熱処理を施すことによって、パターニングされた絶縁膜が得られる。
【0140】
上述のようなネガ型パターンの形成においては、有機ケイ素化合物膜に選択的に露光を施すことによって、膜中のポリシランが分解して露光部にシラノール性水酸基(Si−OH)が選択的に生成する。このような露光後に比較的低い温度(例えば100〜150℃)で加熱処理することによって、シラノール性水酸基(Si−OH)が選択的に架橋される。その結果、溶媒に不溶な架橋密度のシロキサン結合(Si−O−Si)が露光部に形成され、未露光部との間で選択的な溶解性が現れる。続いて、有機溶媒で現像することにより未露光部が選択的に溶解除去されてネガ型のパターンが形成される。この後、パターニングされた有機ケイ素化合物膜全体を比較的高い温度(例えば200〜500℃)で加熱処理することによって、全体に高い架橋密度のシロキサン結合(Si−O−Si)が生成される。したがって、ガラス化したケイ素系マトリックスからなり、基板への密着性が高く、かつ良好な耐熱性を有する絶縁膜パターンを容易に形成することができる。
【0141】
なお、得られるパターンの形状はネガ型パターンの方が優れているが、ポジ型パターンは環境に影響の少ないアルカリ水溶液を使用できるという利点を有している。
【0142】
第2の発明のケイ素ポリマー組成物は、側鎖でケイ素原子に直接結合した水素原子を有するポリシランと、SiO微粉末およびSiN微粉末のいずれか一方の微粉末とを含有することを特徴とするものである。したがって、この組成物を用いることにより、Si−O−Si結合の三次元構造を有するガラス化したケイ素系マトリックスからなり、このマトリックス中にSiO微粉末およびSiN微粉末のいずれか一方の微粉末が含浸された絶縁膜を製造することができる。得られる絶縁膜は、上述したような微粉末を含有しているので膜の密度が上がり、高抵抗、かつ高強度を有しており、SiO微粉末を使用した場合には、さらに耐絶縁破壊性を高めることができる。また、SiN微粉末を使用した場合には、イオントラップ性およびHOバリア性を付与することができる。
【0143】
次に、第3の発明の絶縁膜の製造方法を詳細に説明する。
【0144】
第3の発明の製造方法においては、ケイ素ポリマーとしては、下記一般式(2)で表される繰返し単位を有するポリシランを使用することができる。
【0145】
【化48】
Figure 0003629087
【0146】
(ただし式中、Rは、置換または非置換のアリール基、あるいは置換または非置換のアルキル基を示す。)
すなわち、上述した第2の発明のケイ素ポリマー組成物におけるポリシランと同様の化合物を使用することができる。かかるポリシランを含有する膜は、その所定の領域に紫外線を照射した後、SiO等の微粉末を含有する溶液に浸漬すると、微粉末は紫外線照射部に選択的に含浸される。一般にポリシランは、紫外線のエネルギーを吸収するとSi−Si結合が切断された後大気中の酸素や水分などを取り込んで酸化され、1個のケイ素原子につき2個のシラノール性水酸基(Si−OH)を生成し得るので、ポリシランの紫外線照射部にはこのシラノール性水酸基と微粉末との相互作用に基づき、微粉末が選択的に吸着される。
【0147】
さらに、上記一般式(2)で表される繰返し単位を有するポリシランは、その側鎖でケイ素原子と直接結合した水素原子もまた、紫外線を照射することでシラノール性水酸基に変化する。従って紫外線に対する感度が高まるとともに、1個のケイ素原子につき3個のシラノール性水酸基を生成させることができるので、結果的に微粉末が吸着される速度が著しく速められ、含浸に要する時間の大幅な短縮が可能となる。
【0148】
一方、第3の発明において、ポリシランの光酸化物を主体としたケイ素系マトリックス中に含浸される微粉末としては、前述の第2の発明と同様のSiO微粉末およびSiN微粉末を使用することができ、その粒径は、前述と同様の理由から、10μm以下さらには0.1μm以下であることが好ましい。
【0149】
また、このような微粉末を含有する溶液を調製する際に用いられる溶媒としては、水、アルコールなどが挙げられ、微粉末の溶液中の濃度は1〜10wt%程度であることが好ましい。すなわち濃度が1wt%未満であると、微粉末が十分に含有された絶縁膜を得ることが困難となり、濃度が10wt%を越えると、得られる絶縁膜の組成にムラを生じるおそれがある。
【0150】
さらに、金属アルコキシドあるいはその分解生成物のゾル溶液を用い、これに微粉末を配合しても構わない。なお、ここでの金属アルコキシドは半金属のアルコキシドであってもよく、例えばケイ素やアルミニウム、ジルコニウム、チタンなどのエトキシドをアルコールと水との混合溶液に溶解または分散させ、次いで酸を加えてゾル化させた後、SiO微粉末等を配合することで調製される。金属アルコキシドの配合量は、溶液の流動性が損なわれることがない範囲内で適宜設定されればよく、具体的には溶媒に対し70wt%以下程度である。
【0151】
第3の発明において、ポリシランを主体とした有機ケイ素化合物膜の所定の領域に紫外線を照射した後、上述したようなSiO微粉末等を含有するゾルに浸漬してその紫外線照射部への含浸を行うと、例えば、微粉末の水、アルコールなどへの分散性が低い場合にも、微粉末をゾル中に良好に分散させたうえで吸着させることも可能となる。
【0152】
さらに、ケイ素のアルコキシドあるいはその分解生成物のゾル溶液については、有機ケイ素化合物膜を浸漬したときにこのケイ素のアルコキシドあるいはその分解生成物が微粉末とともに吸着して、有機ケイ素化合物膜を加熱乾燥した際、ポリシランへの紫外線の照射で生成したシラノール性水酸基と相互に反応する。従って、架橋成分としてSi−O−Si結合の三次元構造に直接関与することになり、絶縁膜の耐久性などの向上に寄与する。なおここでは、ケイ素のアルコキシドあるいはその分解生成物とポリシランへの紫外線の照射で生成したシラノール性水酸基との反応を促進させる触媒がゾル溶液中に配合されていてもよい。
【0153】
またこのとき、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの親水性有機溶媒を適宜併用することで、含浸の工程における微粉末の吸着速度を速めることも可能である。ただし水溶性有機溶媒を併用する場合、その量は20wt%以下に設定されることが好ましい。この理由は、溶液中の水溶性有機溶媒の量が多いと含浸の工程での膜の溶出が促進される傾向があるからである。
【0154】
なお、特にケイ素のアルコキシドあるいはその分解生成物のゾル溶液は、微粉末を配合することなく、微粉末の含浸工程の後に有機ケイ素化合物膜に含浸させてもよい。この場合には、有機ケイ素化合物膜の露光部にSiO等の微粉末を含浸させた後、加熱乾燥の工程に先だってゾル溶液を有機ケイ素化合物膜に含浸させる。この場合も、ケイ素のアルコキシドあるいはその分解生成物が架橋成分となってSi−O−Si結合の三次元構造を有するケイ素系マトリックスに取り込まれるので、結果的に耐久性などが優れた絶縁膜を得ることが可能となる。
【0155】
上述したようなポリシランおよび微粉末を用いて本発明の絶縁膜を製造する場合、まず、ポリシランを含有する溶液を調製して透光性のガラスや樹脂などからなる透明基板や半導体基板上に塗布した後、50〜150℃程度の温度で乾燥させて溶媒を揮発させ、ポリシランを主体とした有機ケイ素化合物膜を成膜する。このときポリシランの溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテートセルソルブ、ブチロラクトン、ブチル乳酸などを用いることができ、ポリシランを1〜50wt%含有する溶液を調製し、必要に応じて0.1μm程度のフィルタで濾過した後、基板上にスピンコート法等により塗布すればよい。
【0156】
なお、ここで用いられるポリシランを含有する溶液には、前述の第2の発明において説明したような有機金属化合物、増感剤としてのラジカル発生剤および酸発生剤等が配合されていてもよい。この場合、これらの成分の配合量は、上述した量と同程度とすることが好ましい。
【0157】
次いで、基板上の有機ケイ素化合物膜の所定の領域に、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザなどから紫外線を照射する。このように紫外線を照射することで、第3の発明で用いられるポリシランは、紫外線のエネルギーを吸収してSi−Si結合が切断された後、大気中の酸素や水分などを取り込んで酸化され、側鎖でケイ素原子と直接結合した水素原子とともにシラノール性水酸基を生成する。
【0158】
上述したような露光の工程において、紫外線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特に200〜300nmの波長の紫外線を有機ケイ素化合物膜に照射したときには、十分に絶縁化された絶縁膜が得られやすい。また照射量は10mJ〜10J、さらには100mJから3J程度に設定されることが好ましい。すなわち、照射量が10Jを越えると露光時間が長時間化して製造性が低下するうえ、ピンホールなどが発生して膜質も損なわれる傾向がある。一方10mJ未満では、露光不足のため含浸の工程におけるポリシランの紫外線照射部への微粉末の含浸が不十分となるおそれがある。
【0159】
次に、有機ケイ素化合物膜を、SiO等の微粉末を含有する溶液に0〜50℃の温度下0.5〜10分程度浸漬する。ここで、シラノール性水酸基が生成した有機ケイ素化合物膜の紫外線照射部に、微粉末が選択的に吸着する。含浸後の有機ケイ素化合物膜は、適宜水洗する。続いて、有機ケイ素化合物膜を50〜150℃で5〜30分程度加熱乾燥することで、有機ケイ素化合物膜中に浸透した溶媒が除去されるとともに、露光の工程において、多数生成したシラノール性水酸基が相互に反応し、結果的にSi−O−Si結合の三次元構造を有するケイ素系マトリックスが形成される。従って、このケイ素系マトリックス中にSiO等の微粉末が含有されてなる耐久性や機械的強度の優れた絶縁膜が得られる。
【0160】
なお、上述したような有機ケイ素化合物膜の露光が全面露光でない場合は、前記ケイ素化合物膜の露光部にSiO等の微粉末を含浸させた後、この膜を加熱処理する前に紫外線による全面露光を行ってもよい。この露光の工程において、紫外線の波長は150〜400nm程度であればよいが、特に200〜300nmの波長の紫外線を照射することが好ましい。また照射量は、10mJ〜10J、さらには100mJ〜3J程度に設定されることが好ましい。
【0161】
また有機ケイ素化合物膜の露光部に微粉末を含浸させる工程の後、加熱処理前に、上述したように有機ケイ素化合物膜を金属アルコキシドのゾル溶液に浸漬することもできる。このようにゾル溶液に浸漬することによって、全面露光の工程で生成したシラノール性水酸基と、有機ケイ素化合物膜に吸着した金属アルコキシドの金属が結合し、その後の加熱処理により極めて高い架橋密度で、基板への密着性、耐熱性がさらに向上された絶縁膜を形成することができる。
【0162】
さらに第3の発明の製造方法においても、有機ケイ素化合物膜の所定の領域を選択的に溶解除去してパターニングされた絶縁膜を形成することが可能である。以下に、パターニングされた絶縁膜の製造方法を詳細に説明する。
【0163】
まず、基板上に形成された有機ケイ素化合物膜に、所定のパターンを有するマスクを介して上述と同様の条件で紫外線を照射し、次いで、アルカリ水溶液を用いて有機ケイ素化合物膜の露光部を選択的に溶解除去することによって、パターニングされた有機ケイ素化合物膜を得る。
【0164】
なお、このような方法によってパターニングされた有機ケイ素化合物膜を得るためには、使用されるポリシランは、上記一般式(2)においてRが置換または非置換のアリール基である必要がある。
【0165】
ここで用いられるアルカリ水溶液としては、前述の第2の発明でポジ型パターンを形成する場合と同様のものが挙げられる。すなわち、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの有機アルカリ;KOH、NaOHなどの無機アルカリを用いることができる。また、フッ酸水溶液を用いて露光部を溶解除去することも可能である。なお、現像後の有機ケイ素化合物膜は、適宜純水で水洗する。
【0166】
続いて、パターニングされた有機ケイ素化合物膜に、前述と同様の条件で紫外線を照射して、シラノール性水酸基(Si−OH)を生成させ、引き続いて、パターニングされた有機ケイ素化合物膜をSiO等の微粉末を含有する溶液に浸漬して微粉末を吸着させる。最後に、有機ケイ素化合物膜を前述と同様の条件で加熱処理することで、パターニングされた絶縁膜が得られる。
【0167】
なお、加熱処理工程の前には、前述と同様の金属アルコキシドのゾル溶液に浸漬させて絶縁膜の耐熱性等をさらに向上させることもできる。
【0168】
また、パターニングされた絶縁膜は、有機ケイ素化合物膜の所定の領域に選択的に露光を施した後、SiO等の微粉末を露光部に含浸し、熱処理、現像処理の工程を経ることにより形成することもできる。この場合には、まず、基板上に形成された有機ケイ素化合物膜に対して、前述と同様の条件でパターン露光を行なった後、この膜の露光部にSiO等の微粉末を選択的に含浸させる。
【0169】
次に、有機ケイ素化合物膜を50〜150℃で5〜30分程度、第2の発明でネガ型パターンを形成する場合と同様に熱処理する。なお、熱処理工程の前には、上述したような金属アルコキシドのゾル溶液に有機ケイ素化合物膜を浸漬させて、絶縁膜の耐熱性等をさらに向上させることもできる。
【0170】
この後、微粉末が含浸していない部分は、有機溶媒またはアルカリ水溶液のいずれを用いて溶解除去することも可能である。すなわち、微粉末が含浸していない未露光部はシラノール性水酸基が生成していないために、熱処理することによっても溶媒に不溶な架橋密度のシロキサン結合(Si−O−Si)は形成されない。したがって、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;エタノール等のアルコール系溶媒等で溶解除去することができる。一方、アルカリ水溶液で微粉末の未含浸部分を溶解除去するには、予め有機ケイ素化合物膜に紫外線を照射して露光を施す。ここでの露光は、前述と同様の条件で行うことができ、波長が150〜400nm、より好ましくは200〜300nmの光を用いて行うことが好ましい。露光時の照射量は、10mJ〜10J、より好ましくは100mJ〜3Jにすることが望ましい。この露光によりシラノール性水酸基が形成されるので、上述したようなアルカリ水溶液を用いて容易に溶解除去される。ただしこの場合は、使用されるポリシランにおいて上記一般式(2)中のRが置換または非置換のアリール基である必要がある。なお、ここでもフッ酸水溶液を使用することができる。
【0171】
第3の発明の方法により、Si−O−Si結合の三次元構造を有するガラス化したケイ素系マトリックスからなり、このマトリックス中にSiO微粉末およびSiN微粉末の少なくとも一方の微粉末が含浸された絶縁膜を製造することができる。得られる絶縁膜は、第2の発明のケイ素ポリマー組成物を用いた場合と同様に、含浸された微粉末に起因して膜の密度が上がり、高抵抗、かつ高強度を有しており、SiO微粉末を使用した場合には、さらに耐絶縁破壊性を高めることができる。また、SiN微粉末を使用した場合には、イオントラップ性およびHOバリア性を付与することができる。
【0172】
【発明の実施の形態】
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【0173】
(実施例I)
(実施例I−1)
下記化学式で示される平均分子量4,000のポリシラン15gをt−ブチル乳酸エステル100gに溶解させ、得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ0.5μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外線を500mJ/cm照射し、2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、40秒の現像を行なったところ、パターン形状の良好なポジ型パターンが精度よく形成された。
【0174】
【化49】
Figure 0003629087
【0175】
式中、nは重合度を示す。
【0176】
(比較例I−1)
下記化学式で示される平均分子量4,000のポリシラン15gをt−ブチル乳酸エステル100gに溶解させ、得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ0.8μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外線を500mJ/cm照射し、25℃の2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬したが、パターンは全く形成されなかった。
【0177】
【化50】
Figure 0003629087
【0178】
式中、nは重合度を示す。
【0179】
(実施例I−2)
平均分子量が9,000である以外は実施例(I−1)と同一構造のポリシラン100gと、このポリシランの架橋剤となるラジカル発生剤としてのベンゾイルペルオキシド4g及び不飽和化合物であるフェニレンジアルデヒド6gをトルエン50gに溶解させ、得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ0.5μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外線を500mJ/cm照射し、2.48wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、40秒の現像を行なった結果、パターン形状の良好なポジ型パターンが精度よく形成された。
【0180】
さらに、このパターンを徐々に加熱して100℃〜200℃のステップベークを30分程度施したところ、パターン形状が損なわれることがなく、しかも熱処理後のパターンの表面硬度は鉛筆硬度で3Hと充分な強度を有していることが確認された。
【0181】
(実施例I−3)
実施例(I−1)と同様のポリシラン5gとアルカリ可溶性の有機化合物である平均分子量12,000のポリビニルフェノール10gをt−ブチル乳酸エステル100gに溶解させ、得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ0.6μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外線を500mJ/cm照射し、1.19wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、40秒の現像を行なったところ、パターン形状の良好なポジ型パターンが精度よく形成された。
【0182】
(比較例I−2)
下記化学式で示される平均分子量5,000のポリシラン5gとアルカリ可溶性の有機化合物である平均分子量12,000のポリビニルフェノール10gをt−ブチル乳酸エステル100gに溶解させ、得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ0.6μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外光を500mJ/cm照射し、1.19wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、40秒の現像を試みたが、パターンは全く形成されなかった。
【0183】
【化51】
Figure 0003629087
【0184】
(実施例I−4)
下記化学式で示される平均分子量7,000のポリシラン5gとアルカリ可溶性の有機化合物であるポリアミック酸(30℃で測定した濃度0.5g/dlのN−メチル−2−ピロリドン溶液の固有粘度:0.54dl/g)10gをγ−ブチロラクトン100gに溶解させ、得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ1.2μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外光を照射し、0.56wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、10秒の現像を行なったところ、パターン形状の良好なポジ型パターンが精度よく形成された。さらにこのパターンに対し、150℃で1時間、250℃で1時間、400℃で1時間の熱処理を施したところ、パターン中のポリアミック酸が充分にイミド化されてポリイミド樹脂を主体とする膜パターンを得ることができた。
【0185】
【化52】
Figure 0003629087
【0186】
式中、PSはポリシラン骨格である。
【0187】
(実施例I−5)
下記化学式で示される平均分子量12,000のポリシラン2gをトルエン10gに溶解して、20wt%の溶液を調製した。得られたレジスト液をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ0.7μmのレジスト膜を成膜した。次いで、マスクパターンを介して低圧水銀ランプから波長254nmの紫外線を1J/cm照射し、2.38wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、90秒現像したところ、線幅1.0μmのパターンが形成された。さらに、このパターンを室温から400℃まで徐々に昇温したところ、誘電率2.8%、体積抵抗率1×1013Ω・cmの絶縁膜が得られた。
【0188】
【化53】
Figure 0003629087
【0189】
式中、nは重合度を示す。
【0190】
なお、前述した工程において、パターン露光後の膜を150℃で10分加熱し、トルエンで90秒間現像したところ、前述と同様に線幅1.0μmで反転パターンが形成された。このパターンを室温から400℃まで徐々に昇温したところ、誘電率2.8%、体積抵抗率1×1013Ω・cmの絶縁膜が得られた。
【0191】
(実施例I−6)
下記化学式で示される平均分子量12,000のポリシランを用いる以外は、前述の実施例(I−5)と同様の溶液を調製し、前述と同様にしてこの溶液を基板上に塗布し、露光、現像を行ったところ、線幅1.0μmのパターンが形成された。さらに、このパターンを室温から400℃まで徐々に昇温したところ、誘電率3.2%、体積抵抗率1×1013Ω・cmの絶縁膜が得られた。
【0192】
【化54】
Figure 0003629087
【0193】
式中、nは重合度を示す。
【0194】
以上の結果から、本発明のレジストを用いることにより、アルカリ現像が可能で微細なパターンを精度よく形成することができるポリシランを含有するレジストが得られることがわかる。
【0195】
参考例
まず、参考例で用いられるポリシランを以下のように合成した。
【0196】
(ポリシランAZrの合成)
アルゴン雰囲気下−20℃で乾燥したジエチルエーテル60ml及びジルコノセンジクロル5.34gを攪拌し、ここに1.5Mのメチルリチウムを少量ずつ添加し70分間攪拌した。さらに0℃で30分攪拌した後、ジエチルエーテルを取り除き、生成した白い固体を昇華してジルコノセンジメチルを調製した。
【0197】
次に、フェニルシランにこのジルコノセンジメチルを50:1のモル比で添加し、フェニルシランを室温下5時間重合させた。次いで、得られた粗製のポリマーをトルエンに溶解し、メタノール中に攪拌しながら投入してポリマーを再沈させた。さらに、ポリマーを同様にメタノール中で2回再沈させた後80〜90℃で減圧乾燥して、重量平均分子量約6,000の下記化学式で示されるポリシランAZrを得た。
【0198】
【化55】
Figure 0003629087
【0199】
式中、nは重合度を示す。
【0200】
(ポリシランBZrの合成)
上述したように合成されたポリシランAZr10g及びアゾビス(イソブチロニトリル)15.5gをアセトン50gに溶解し3日間還流することで、ケイ素原子と結合する水素原子の50%をイソプロピル基に置換せしめ、重量平均分子量約6,000の下記化学式で示されるポリシランBZrを得た。
【0201】
【化56】
Figure 0003629087
【0202】
(ポリシランCNaの合成)
メチルジクロロシラン10g及びメチルフェニルジクロロシラン16.6gをトルエンに溶解し、50wt%トルエン溶液を調製した。一方1L用フラスコ中、細断した金属Na8.4gをトルエン100mlに分散させ、ここに先の50wt%トルエン溶液を110℃で少しずつ滴下した。2時間攪拌した後、室温まで温度を下げてアルゴン雰囲気下で濾過した濾液を濃縮し、これをイソプロピルアルコールに滴下してポリマーを析出させた。
【0203】
次いで、得られたポリマーを減圧乾燥して再びトルエンに溶解し、水洗後同様にイソプロピルアルコールに滴下することでポリマーを調製した。さらに、このような操作を5回繰返した後ポリマーを減圧乾燥し、重量平均分子量約12,000の下記化学式で示されるポリシランCNaを得た。
【0204】
【化57】
Figure 0003629087
【0205】
(ポリシランENaの合成)
メチルジクロロシラン10g、メチルフェニルジクロロシラン10g及びフェニルトリクロロシラン7.4gをトルエンに溶解して50wt%トルエン溶液を調製した以外は、ポリシランCNaを合成したときと全く同様にして、重量平均分子量約15,000の下記化学式で示されるポリシランENaを得た。
【0206】
【化58】
Figure 0003629087
【0207】
式中、PSはポリシラン骨格である。
【0208】
(ケイ素ポリマー組成物の調製)
ポリシランAZr15gをトルエン85gに溶解してトルエン溶液を得、さらにこの溶液に、平均粒径約0.2μmのSiO微粉末2.5gを分散剤により分散させてケイ素ポリマー組成物(P−1)を得た。
【0209】
また、ポリシランAZr15gをトルエン85gに溶解してトルエン溶液を得、さらにこの溶液に、平均粒径約0.2μmのSiN微粉末5gを分散剤により分散させてケイ素ポリマー組成物(P−2)を得た。
【0210】
参考例1)
ケイ素ポリマー組成物(P−1)をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。次いで、有機ケイ素化合物膜にマスクパターンを介して低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射し、2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で25℃、1分現像を行なった結果、ポジ型パターンが形成された。
【0211】
このパターンを400℃で1時間加熱したところ、鉛筆硬度5Hの緻密な絶縁膜が得られた。得られた膜についてシリコン基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらに、この膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0212】
参考例2)
ケイ素ポリマー組成物(P−1)をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。次いで、有機ケイ素化合物膜にマスクパターンを介して低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した後、この基板を150℃で10分加熱した。その後、トルエンで1分間現像した結果、ネガ型パターンが形成された。
【0213】
このパターンを400℃で1時間加熱したところ、鉛筆硬度5Hの緻密な絶縁膜が得られた。得られた膜についてシリコン基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらに、この膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0214】
参考例3)
ケイ素ポリマー組成物(P−2)をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。次いで、有機ケイ素化合物膜にマスクパターンを介して低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射し、2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で1分間現像した結果、ポジ型パターンが形成された。
【0215】
このパターンに対し低圧水銀ランプから紫外線を1J/cm照射した後、300℃で1時間加熱したところ、鉛筆硬度5Hの緻密な絶縁膜が得られた。得られた膜についてシリコン基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらに、この膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0216】
さらに、以下のようにして、Naトラップ性およびHOバリアー性を調べた。まず、シリコン基板の表面にCVD法によりSiO膜を形成した後、このSiO膜の表面に、ポジ型パターンを形成しないことを除いて前述と同様にして絶縁膜を形成して試料とした。
【0217】
この試料を1wt%NaOH水溶液に1時間浸漬した後、SIMSにより基板および絶縁膜中のNaイオンの検出を試みた。その結果、Naイオンは絶縁膜の表面付近に吸着され、SiO膜にはその存在は認められなかった。
【0218】
Oバリアー性の評価に当たっては、まず、前述と同様の試料をDOを収容したシャーレ内に1日放置した。この際、基板の塗布面がDO雰囲気に曝されるように配置した。その後、SIMSにより基板および絶縁膜中のDOの検出を試みた結果、絶縁膜中およびSiO膜中にはDOの存在は認められなかった。
【0219】
参考例4)
ケイ素ポリマー組成物(P−2)をシリコン基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。次いで、有機ケイ素化合物膜にマスクパターンを介して低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した後、この基板を150℃で10分加熱した。その後、トルエンで1分間現像した結果、ネガ型パターンが形成された。
【0220】
このパターンを400℃で1時間加熱したところ、鉛筆硬度5Hの緻密な絶縁膜が得られた。得られた膜についてシリコン基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらに、この膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0221】
さらに、前述の参考例3と同様にして、有機ケイ素化合物膜のNaトラップ性およびH2Oバリアー性を調べたところ、Naトラップ能力およびH2Oバリアー性を有していることを確認した。
【0222】
(比較例II−1)
ポリシランAZrのかわりに、平均分子量8,000のポリメチルフェニルシランを含有するケイ素ポリマー組成物を用いた以外は参考例1と全く同様にして、有機ケイ素化合物膜を形成した。次いで、この有機ケイ素化合物膜を400℃に加熱したが十分に緻密な膜は得られず、鉛筆硬度Bで膜が損傷するとともに基板から剥離した。
【0223】
参考例5)
ポリシランAZrの15wt%トルエン溶液をシリコンウェハ基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。得られた有機ケイ素化合物膜に低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した。続いて、SiO2微粉末(平均粒径約0.1μm)を10wt%の濃度で分散させたイソプロピルアルコール溶液に上記ウェハを浸漬し、水洗後150℃で30分、400℃で1時間加熱乾燥させることにより、SiO2微粉末が含浸したケイ素系マトリックスからなる絶縁膜を形成することができた。
【0224】
得られた膜は鉛筆硬度が5Hと十分に緻密であり、またシリコンウェハ基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらにこの膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0225】
参考例6)
ポリシランBZrの15wt%トルエン溶液をシリコンウェハ基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。得られた有機ケイ素化合物膜に低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した。続いて、SiN微粉末(平均粒径約0.1μm)を10wt%の濃度で分散させたイソプロピルアルコール溶液に上記ウェハを浸漬し、水洗後150℃で30分、400℃で1時間乾燥させることにより、SiN微粉末が含浸したケイ素系マトリックスからなる絶縁膜を形成することができた。
【0226】
得られた膜は鉛筆硬度が5Hと十分に緻密であり、またシリコンウェハ基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらにこの膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0227】
さらに、前述の参考例3と同様にして、有機ケイ素化合物膜のNaトラップ性およびH2Oバリアー性を調べたところ、Naトラップ能力およびH2バリアー性を有していることを確認した。
【0228】
参考例7)
ポリシランENaの15wt%トルエン溶液をシリコンウェハ基板上に回転塗布した後、100℃で10分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。得られた有機ケイ素化合物膜に低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した。続いて、SiN微粉末(平均粒径約0.1μm)を10wt%の濃度で分散させたイソプロピルアルコール溶液に上記ウェハを浸漬し、水洗後150℃で30分、400℃で1時間乾燥させることにより、SiN微粉末が含浸したケイ素系マトリックスからなる絶縁膜を形成することができた。
【0229】
得られた膜は鉛筆硬度が5Hと十分に緻密であり、またシリコンウェハ基板との密着性を碁盤目試験で評価したところ、100/100が基板上に残存しており、膜の剥離は全く認められなかった。さらにこの膜の体積抵抗率は1×1014Ω・cmと良好であり、かつ300℃に加熱しても軟化しなかった。
【0230】
さらに、前述の参考例3と同様にして、有機ケイ素化合物膜のNaトラップ性およびH2Oバリアー性を調べたところ、Naトラップ能力およびH2バリアー性を有していることを確認した。
【0231】
参考例8)
ポリシランCNaの15wt%トルエン溶液をシリコンウェハ基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を作製した。得られた有機ケイ素化合物膜にマスクパターンを介して低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した。続いて、SiN微粉末(平均粒径約0.1μm)を10wt%の濃度で分散させたイソプロピルアルコール溶液に上記ウェハを浸漬し、水洗後150℃で30分乾燥させることにより、露光部に選択的にSiN微粉末が含浸したケイ素系マトリックスからなる絶縁膜を形成することができた。
【0232】
参考例9)
ポリシランBZrの15wt%トルエン溶液をシリコンウェハ基板上に回転塗布した後、100℃で5分プリベークして厚さ2μmの有機ケイ素化合物膜を形成した。得られた有機ケイ素化合物膜にマスクパターンを介して低圧水銀ランプからの紫外線を1J/cm2照射した。続いて、SiN微粉末(平均粒径約0.1μm)を10wt%の濃度で分散させたイソプロピルアルコール溶液に上記ウェハを浸漬し、水洗後150℃で30分乾燥させることにより、露光部に選択的にSiN微粉末が含浸したケイ素系マトリックスからなる絶縁膜を形成することができた。
【0233】
さらに、この膜に低圧水銀ランプから全面照射を行った後、2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で1分現像したところ、SiN微粉末が含浸していない部分が溶解除去され、パターニングされた絶縁膜が形成された。このパターンを400℃で1時間加熱することにより、緻密な絶縁膜パターンを形成することができた。
【0234】
(比較例II−2)
ポリシランAZrの代わりに平均分子量8,000のポリメチルフェニルシランを用いた以外は、参考例5と全く同様にしてSiO2微粉末が含浸した絶縁膜を形成した。しかしながら、ここで得られた膜では、鉛筆硬度がBで膜が損傷するとともに基板から剥離し、基板との密着性などが不十分であった。
【0236】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のレジスト及びパターン形成方法によれば、アルカリ現像で微細なパターンを精度よく、かつ高い感度で形成することが可能となる。しかも、得られたパターンをガラス化して、強度、耐熱性などの優れた絶縁膜パターンとして用いることもできる。また、本発明によれば、基板への密着性、耐熱性に優れるとともに、高抵抗、高強度の絶縁膜を製造する方法や、こうした絶縁膜を簡便に製造し得るケイ素ポリマー組成物が提供される。
【0237】
本発明を用いて製造される絶縁膜は、半導体デバイスのパッシベーション膜や層間絶縁膜として有用であり、その工業的価値は大きい。

Claims (2)

  1. 下記化学式のいずれかで表されるポリシランを含有するレジスト膜を基板上に成膜する工程と、
    基板上のレジスト膜の所望の領域を露光する工程と、
    露光後のレジスト膜をアルカリ水溶液で現像して露光部を溶解除去し、ポジ型パターン得る工程と
    を具備することを特徴とするパターン形成方法。
    Figure 0003629087
    Figure 0003629087
    Figure 0003629087
    Figure 0003629087
    Figure 0003629087
    (式中、n,m,kは重合度を示し、PSはポリシラン骨格である。)
  2. 前記ポジ型パターンを熱処理して、前記ポリシラン中のケイ素原子の架橋を進行させる工程をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
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