JP3588069B2 - 車載モニタ支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に後部座席に着席した状態で視聴する車載モニタを支持する車載モニタ支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
主に後部座席に着席した状態で視聴する車載モニタを支持する車載モニタ支持構造に関する従来の技術として、例えば、実開平5−58502号公報に開示されたものがある。この公報に開示された車載モニタ支持構造は、左右に離間して配置された座席間に配置されたコンソールボックスの後部に車載モニタを支持するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、特にファミリーユースの乗用車両は、これを移動や運搬のための手段として利用することは勿論、それ以外にも、例えば食事や休憩をとるための空間として使用したり、レジャーを行う際の拠点として使用したりすることが多く、このために、居住空間としての使用しやすさも求められている。そして、このような居住空間としての使用しやすさを実現するための一例として、前部座席を左右に離間して配置するとともに、これら前部座席間にコンソールボックス等を一切配置せず、これら前部座席間を前部座席と後部座席との間で人が移動するための通路として利用することにより、いわゆるウォークスルーを可能としたものがある。
【0004】
ところで、車内での快適性をさらに向上させるために、主に後部座席に着席した状態で視聴するように車載モニタを搭載する場合、上記公報のように、前部座席間のコンソールボックスの後部に車載モニタを支持する構造を採用したのでは、当然のことながら、これらコンソールボックスおよび車載モニタが邪魔になって、上記したウォークスルーは困難になってしまうという問題があった。
【0005】
さらに、前席のヘッドレストにモニタを取り付けるものもあるが、この場合もウォークスルーは可能になるものの、後部座席の複数の人が見るためには、左右両方のヘッドレストにそれぞれモニタを設けなければならず、コストが増大してしまうという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、主に後部座席に着席した状態で視聴するように車載モニタを搭載する場合であっても、快適に視聴でき、かつコスト増を抑制した上で、前後の座席間の移動すなわちウォークスルーが容易に可能な車載モニタ支持構造の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の車載モニタ支持構造は、左右に離間して配置された座席(例えば実施の形態における運転席シート11および助手席シート12)のうちのいずれか一方の座席(例えば実施の形態における運転席シート11)の他方の座席(例えば実施の形態における助手席シート12)側に、上下方向に沿う軸線回りに回転する回転部(例えば実施の形態における回転支持部16)を設け、該回転部にモニタ(例えば実施の形態におけるモニタ60)を該モニタの一側を前記軸線に近接させ該モニタの他側を前記軸線よりも側方に延出させる状態で支持してなり、前記回転部は、シートフレーム(例えば実施の形態におけるシートフレーム18)に固定されたシート側取付ベース部(例えば実施の形態におけるシート側取付ベース部19)に取り付けられる揺動支持軸(例えば実施の形態における揺動支持軸20)に揺動部材(例えば実施の形態における揺動部材24)を介して支持され、前記シート側取付ベース部のガイドピン(例えば実施の形態におけるガイドピン21)が前記揺動部材のガイド溝(例えば実施の形態におけるガイド溝28)に挿入されるとともに該ガイド溝を部分的に塞いで前記ガイドピンの移動を規制する規制板(例えば実施の形態における規制板30)が設けられていることを特徴としている。
【0008】
これにより、いずれか一方の座席の他方の座席側に上下方向に沿う軸線回りに回転するように設けられた回転部を回転させることで、この回転部にその一側を前記軸線に近接させその他側を前記軸線よりも側方に延出させる状態で支持されたモニタを、その側方延出側が他方の座席側に位置する姿勢にすれば、両方の座席間においてモニタを横方向に広げることになって、後部座席での視聴が良好な状態となる。このとき、両方の座席間にモニタを配置するので、斜め上方向を向きながらモニタを見る必要はなく、ほぼ正面を向いてモニタを見ることができる。また、両方の座席間にモニタを配置するので、後部座席の複数の人が一つのモニタを無理なく見ることができる。他方、回転部を回転させることで、モニタを、その側方延出側が例えば後部座席側に位置する姿勢にすれば、このモニタが他方の座席側から離れ一方の座席側に倒れることになって、両座席間に人が通過可能な通路が形成される。
【0009】
本発明の請求項2記載の車載モニタ支持構造は、請求項1記載のものに関し、前記モニタは、前記回転部に対し上部の支持軸(例えば実施の形態における支持軸66)において回動可能とされていることを特徴としている。
本発明の請求項3記載の車載モニタ支持構造は、請求項1または2記載のものに関し、前記回転部を支持する支持部(例えば実施の形態における揺動支持部15)のカバー(例えば実施の形態における揺動部カバー85)に、前記モニタの音声を出力させるための外部出力端子(ヘッドフォン出力端子)を含む端子部(例えば実施の形態における端子部87)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
このように、回転部を支持する支持部のカバーに、モニタの音声を出力させるための外部出力端子を含む端子部が設けられているため、後部座席側からヘッドフォンの接続を容易に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造を図1〜図14を参照して以下に説明する。
【0012】
本実施形態の車載モニタ支持構造は、左右に離間して配置された座席のうちのいずれか一方の座席の他方の座席側に設けられるものであり、具体的には、図1に示すように、左右に離間して配置された運転席シート(一方の座席)11および助手席シート(他方の座席)12のうち、運転席シート11の助手席シート12側に付設されるものである。なお、運転席シート11および助手席シート12の間にはコンソールボックス等は設けられておらず、平坦な通路面13が形成されている。
【0013】
本実施形態の車載モニタ支持構造は、運転席シート11の助手席シート12側に左右方向に沿う軸線回りに回転可能となるように設けられる揺動支持部(支持部)15と、この揺動支持部15に設けられ、揺動支持部15によって立設させられた状態においては上下方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられる回転支持部(回転部)16とを有している。
【0014】
運転席シート11は、着席者の主として臀部を支承するシートクッション11aと、着席者の主として背部を支承するシートバック11bとを有しており、同様に、助手席シート12も、シートクッション12aおよびシートバック12bを有している。
【0015】
図2に示すように、運転席シート11のシートバック11b内に埋設された丸パイプからなるシートフレーム18にシート側取付ベース部19が固定されている。そして、上記した揺動支持部15は、このシート側取付ベース部19に取り付けられており、このシート側取付ベース部19に左右方向に軸線を常に沿わせる状態で取り付けられる揺動支持軸20を有している。なお、シート側取付ベース部19には、その揺動支持軸20を挟んで対称となる位置に揺動支持軸20と平行をなすように一対のガイドピン21が取り付けられている。
【0016】
また、図2〜図4に示すように、揺動支持部15は、揺動支持軸20を嵌合させることにより、左右方向に沿うこの揺動支持軸20の中心軸線回りに回転する支持部外筒23と、この支持部外筒23に一体的に設けられるとともに支持部外筒23と直交する方向における端部に取付部25が設けられた揺動部材24と、支持部外筒23の揺動支持軸20からの抜けを防止するために揺動支持軸20に螺合されるナット部材26とを有している。
【0017】
ここで、揺動部材24には支持部外筒23を挟んで対称となる位置に、揺動支持軸20を中心とした円弧状のガイド溝28が一対形成されており、これらガイド溝28には、それぞれガイド溝28を部分的に塞ぐ規制板30が図示せぬ嵌合部において嵌合し溶接されることにより固定されている。
【0018】
そして、支持部外筒23に揺動支持軸20を挿入させた状態において、ガイド溝28の規制板30で塞がれていない開口部31には、それぞれ一対一でシート側取付ベース部19のガイドピン21が挿入される。
【0019】
ここで、規制板30でガイド溝28が塞がれていない状態では、ガイドピン21は、それぞれ対応するガイド溝28内においてのみ移動可能となっており、このとき、ガイド溝28によって決められるガイドピン21の移動範囲が、揺動部材24の揺動支持軸20を中心とした回転の可能な範囲となっている。具体的に、揺動部材24は、規制板30でガイド溝28が塞がれていない状態では、取付部25を上側に配置した状態から取付部25を前方に傾動させこれを前方に向ける状態との間での回転が可能となっている。
【0020】
一方、規制板30でガイド溝28が塞がれた状態では、ガイドピン21は、それぞれ対応するガイド溝28の開口部31に挿入され、ガイド溝28内における移動が規制されることになる。なお、開口部31にガイドピン21が挿入された状態では、揺動部材24は、取付部25を上側に配置した状態となり、この状態からの揺動は規制板30により不可とされる。すなわち、規制板30によりガイドピン21のガイド溝28内の移動を規制することで、揺動支持部15のシート側取付ベース部19に対する回転が規制される。
【0021】
ここで、上記した規制板30は、板厚および材質の少なくともいずれか一方の設定により、ガイドピン21および揺動部材24の変形を伴うことなく、変形または破損が容易とされており、その結果、シート側取付ベース部19と揺動支持部15の揺動部材24との間に所定値以上の荷重が加わると規制板30がガイドピン21で押圧されて変形または破損させられる。その結果、ガイド溝28の開口部31を広げるように規制板30が変形または破損したり、さらには規制板30が変形または破損にともなってガイド溝28から脱落することになり、ガイドピン21が広がったガイド溝28に沿って移動することにより揺動支持部15の揺動部材24が揺動支持軸20を中心としてシート側取付ベース部19に対し回転する。
【0022】
そして、揺動部材24の取付部25に上記した回転支持部16が取り付けられる。すなわち、回転支持部16は、図4に示すように、揺動支持部15の取付部25にこの取付部25と揺動支持軸20の中心とを結ぶ方向に延出するように取り付けられる回転支持軸35と、この回転支持軸35を挿入させることによって、この回転支持軸35を中心に回転可能とされる略円筒状の支柱部36と、この支柱部36に固定された金属製の支持フレーム37と、この支持フレーム37に固定された金属薄板製の取付ベース38とを有している。支持フレーム37および取付ベース38は、回転支持軸35の回転軸線に対し直交する方向において一方に延出する形状をなしている。すなわち、支持フレーム37および取付ベース38は、回転支持部16の回転軸線に、その一側を近接させその他側をこの回転軸線よりも側方に延出させる状態とされている。
【0023】
なお、揺動支持部15の取付部25側には、回転位置決め部材15aが設けられており、この回転位置決め部材15aは、支柱部36の環状ガイド凹部39内を移動し、環状ガイド凹部39の両端の使用位置と収納位置とで位置決めされる。ここで、環状ガイド凹部39の両端側には、使用位置と収納位置とで回転位置決め部材15aを位置決めするための幅狭部39a(一方のみ図示)が形成されている。すなわち、回転位置決め部材15aが環状ガイド凹部39内を移動して一方の幅狭部39aを乗り越えると所定の角度位置(使用位置)に位置決めされることになり、回転位置決め部材15aが環状ガイド凹部39内を移動して他方の図示せぬ幅狭部を乗り越えると別の所定の角度位置(収納位置)に位置決めされることになる。
【0024】
ここで、上述したように揺動支持部15の揺動部材24のガイド溝28が規制板30で塞がれ、残った開口部31にシート側取付ベース部19のガイドピン21を挿入させた状態、すなわち取付部25を上側に位置させることにより回転支持軸35を上方に延出させる状態が、揺動支持部15および回転支持部16の基本となる立設姿勢となっている。そして、この立設姿勢において、回転支持部16の支柱部36、支持フレーム37および取付ベース38が、上下方向に沿う回転支持軸35の中心軸線回りに回転する。この立設姿勢は、詳しくは、回転支持軸35を運転席シート11のシートバック11bにほぼ沿わせるもので、シートバック11bが運転時の姿勢にあるときは、回転支持軸35が鉛直方向に対しその上部側が若干の所定量後方側に傾く姿勢である。以下において、このシートバック11bが運転時の姿勢にあるときの立設姿勢をもって回転支持部16をさらに説明する。
【0025】
取付ベース38には、フロントカバー取付部40が、下部と両側部とに複数形成されている。また、取付ベース38には、その上部すなわち揺動支持部15に対し反対側の両側部にモニタ取付部41が一対形成されている。なお、取付ベース38のモニタ取付部41より内側となる位置には揺動支持部15に対し反対方向に抜ける形状の切欠部42がそれぞれ形成されている。さらに、取付ベース38には、リヤカバー取付部43が、両側部の上下に複数形成されており、中間部分には、フロントカバー係合穴44が一対形成されている。この取付ベース38には、そのフロントカバー取付部40を介して合成樹脂製のフロントカバー46が取り付けられるとともに、そのリヤカバー取付部43を介して合成樹脂製のリヤカバー47が取り付けられる。これらのフロントカバー46およびリヤカバー47でモニタカバー48が構成されており、このモニタカバー48も回転支持部16の一部を構成している。
【0026】
図5〜図8に示すモニタカバー48のフロントカバー46は、支持フレーム37および取付ベース38さらには支柱部36を覆うもので、その下部の一側に、支柱部36を覆うための突出部50が設けられた略四角形状をなしている。
【0027】
フロントカバー46は、図7に示すように、その裏側に、フロントカバー取付部40にネジ止めされる取付ボス51が対応位置にそれぞれ形成されており、また、フロントカバー係合穴44に対し挿入されることで係合する係合爪52が対応位置にそれぞれ形成されている。さらに、フロントカバー46には、その裏側の下部に、図6に示すように回路基板54を挟持するための挟持片部55が形成されており、また、図9に示すように回路基板54に取り付けられた受光素子56に別個の図示せぬワイヤレスのリモートコントロール装置からの信号を受光させるための受光穴57とが形成されている。この受光穴57は、透光可能な受光カバー58で覆われている。なお、ワイヤレスのリモートコントロール装置は、テレビチューナの選局操作や、モニタ60の映像表示の調整等の操作を行うためのものである。
【0028】
フロントカバー46には、その表側の略中央部に液晶等のモニタ60を収納するための収納凹部62が形成されており、収納凹部62の上部には、表裏両側に開口する開口部63が形成されている。モニタ60は、その画面60a側を収納凹部62に対し反対側に配置した状態で、図6に示すように、その上部を開口部63に挿入しつつ収納凹部62に収納されることになる。このように収納凹部62に収納された状態でモニタ60は、図10に一方側のみ示すように、取付ベース38の一対のモニタ取付部41に一対のモニタ支持部65を介して上部の一対の支持軸66において回動可能に取り付けられる。すなわち、モニタ60は、その上部の支持軸66を中心に、図6に実線で示すように、全体として収納凹部62内に収納される状態と、図6に二点鎖線で示すように、その下部が収納凹部62から突出する状態との間で揺動するようにモニタ支持部65を介して取付ベース38に取り付けられる。ここで、モニタ支持部65も回転支持部16の一部を構成している。
【0029】
なお、モニタ支持部65には、図示は略すが、モニタ60のフロントカバー46に対する揺動停止角度を40〜60°の範囲で無段階に切換可能であり、しかもその揺動限界を決める揺動停止角度切換機構が設けられている。また、このように揺動するモニタ60とフロントカバー46の挟持片部55に取り付けられる回路基板54とは、フレキシブル配線68により電気的に接続されている。さらに、回路基板54からは、図11に示すようにハーネス69が延出している。
【0030】
ここで、図4に示すように、取付ベース38が、回転支持軸35の中心軸線よりも側方に延出する形状をなしているため、図10に示すように、モニタ支持部65を介してこの取付ベース38に取り付けられた状態のモニタ60は、その一側(画面の左右方向における一側)を回転支持軸35の中心軸線すなわち回転支持部16の回転中心軸線に近接させ、その他側(画面の左右方向における他側)をこの中心軸線よりも側方に延出させる状態で支持されることになる。
【0031】
図6に示すように、フロントカバー46の収納凹部62の下側位置には、全体として収納凹部62内に収納されたモニタ60の下部のロック穴71に対し係合および係合解除することにより、モニタ60をフロントカバー46に対しロックおよびロック解除するロック機構72が設けられている。このロック機構72は、図8に示すように、フロントカバー46の表面側に露出し使用者により押圧操作されるボタン74と、このボタン74の押圧操作により図示せぬカムおよびスライドにより下降させられるロック部材75と、ボタン74を押圧操作方向に対し反対方向に付勢する戻しスプリング76と、ロック部材75を上昇方向に付勢する戻しスプリング77とを有している。
【0032】
そして、ロック機構72は、通常、戻しスプリング77の付勢力でロック部材75を上昇させており、その上端のロック部78を収納凹部62に突出させている。この状態で、モニタ60が全体として収納凹部62内に収納されていると、モニタ60のロック穴71にロック部78が係合し、モニタ60をフロントカバー46に対しロックする(図6に実線で示すモニタ60の状態参照)。
【0033】
他方、この状態から、ボタン74が押圧操作されると、図示せぬカムおよびスライドによりロック部材75が下降し、ロック部78がモニタ60のロック穴71から抜け出る。これにより、モニタ60は、使用者による手動によって、支持軸66を中心に揺動し、図示せぬ揺動停止角度切換機構による停止可能な角度の中で任意の角度位置に停止させられる(図6に二点鎖線で示すモニタ60の状態参照)。このとき、使用者がボタン74に対する押圧操作を解除すると、ボタン74は、戻しスプリング76でフロントカバー46の表面側に戻るとともに、ロック部材75も戻しスプリング77によりロック部78を収納凹部62に突出させる状態に戻ることになる。
【0034】
さらに、この状態でモニタ60を収納凹部62内に収納させるように使用者が手動で揺動させると、モニタ60が傾斜形状のロック部78に当接しロック部材75を押し下げつつ収納凹部62に入り、ロック穴71に位置が合うとロック部材75が戻しスプリング77の付勢力でロック穴71に入り込み、モニタ60をフロントカバー46に対しロックする。
【0035】
モニタカバー48のリヤカバー47は、フロントカバー46に嵌合されることで、支持フレーム37および取付ベース38さらには支柱部36の一部をフロントカバー46とともに覆うもので、図5に示すように、その下部に、支柱部36を覆うための突出部80が設けられた略四角形状のものである。リヤカバー47は、その裏側に、図12に示すように、リヤカバー取付部43にネジ止めされる取付部81が対応位置にそれぞれ形成されており、このネジ止めの際にネジおよび工具が挿入される取付穴82が側部に形成されている。この取付穴82には、ネジ止め後に取付穴カバー83が嵌合される。
【0036】
ここで、上記フロントカバー46、リヤカバー47およびモニタ60の取付ベース38への取り付けの手順は、以下の通りである。
【0037】
まず、モニタ支持部65を支持軸66に取り付けた状態にあるモニタ60の前記モニタ支持部65をモニタ取付部41に固定し、その後、モニタ60をフロントカバー46の開口部63内に挿入し、フロントカバー46をその係合爪52を取付ベース38のフロントカバー係合穴44に挿入し係合させる。これにより、フロントカバー46は、取付ベース38に対し概略の位置決めがなされた状態で仮固定される。
【0038】
そして、モニタ支持部65を取付ベース38のモニタ取付部41にネジ止めし、その次に、フロントカバー46の取付ボス51を取付ベース38のフロントカバー取付部40に裏側からネジ止めする。これにより、モニタ60およびフロントカバー46が取付ベース38に取り付けられる。
【0039】
次に、フレキシブル配線68を回路基板54に接続させるとともに、フロントカバー46の挟持片部55に回路基板54を取り付けて、取付ベース38を覆うようにリヤカバー47をフロントカバー46に嵌合させる。そして、リヤカバー47の取付部81を取付ベース38のリヤカバー取付部43に側方から取付穴82を介してネジ止めし、取付穴82に取付穴カバー83を嵌合させる。
【0040】
以上のようにして、運転席シート11のシートバック11bと助手席シート12のシートバック12bとの間に、シートバック12bよりもシートバック11bに近接するようにしてこのシートバック11bに付設されてモニタ60を支持する回転支持部16は、回転支持軸35を中心に回転することになり、その結果、立設姿勢にある状態で、上下方向に沿う回転支持軸35の中心軸線回りに回転する。そして、図1に示すように、この回転支持部16にその一側を前記中心軸線に近接させその他側を前記中心軸線よりも側方に延出させる状態で支持されたモニタ60およびモニタカバー48を、その側方延出側が助手席シート12側に位置する姿勢にすれば、運転席シート11のシートバック11bと助手席シート12のシートバック12bとの間で、モニタ60を画面60aが後方に向くように横方向に広げることになって、後部座席での視聴が良好な状態となる。なお、このときの支柱部36の角度位置が環状ガイド凹部39において回転位置決め部材15aが一方の幅狭部39aを乗り越えて環状ガイド凹部39の一方の端部位置に位置する上記した使用位置となる。そして、この状態で、図13に示すように、モニタ60のモニタカバー48に対する揺動角度を調整することで、視点の高さの変化に対応できる。
【0041】
他方、立設姿勢にある状態で、回転支持部16を回転させることにより、図14に示すように、モニタ60およびモニタカバー48を、その側方延出側が例えば後部座席側に位置する姿勢にすれば、モニタ60およびモニタカバー48が助手席シート12側から離れ運転席シート11側かつ後部座席側に倒れることになって、運転席シート11および助手席シート12の両方の間に人が通過可能な通路が形成され、前後の席間でのウォークスルーが可能となる。なお、このときの支柱部36の角度位置が環状ガイド凹部39において回転位置決め部材15aが図示せぬ他方の幅狭部を乗り越えて環状ガイド凹部39の他方の端部位置に位置する上記した収納位置となる。
【0042】
回転支持部16は、基本的に運転席シート11にぶつからない範囲で回動可能である。そして、いずれの角度にあるときも、モニタ60のフロントカバー46に対する揺動角度を調整することで、視点の高さの変化に対応できる。ただし、立設姿勢にある回転支持部16は、モニタ60の画面60aが運転席者側に向くことは、環状ガイド凹部39および回転位置決め部材15aで規制されるようになっている。
【0043】
揺動支持部15には、図1に示すように、その外殻を構成する揺動部カバー(カバー)85が設けられている。揺動部カバー85は、回転支持部16の回転支持軸35を中心とした回転に対しては何も規制をしないように設けられている。
【0044】
揺動部カバー85は、回転支持部16が立設姿勢にある状態で後部座席側となるフロントカバー88と逆側のリヤカバー89とを有しており、フロントカバー88には、回転支持部16が立設姿勢にある状態で後部座席側に向く面に、ヘッドフォン接続用の外部出力端子等を含む端子部87が設けられている。この端子部87は、揺動部カバー85内において別のハーネスに接続されている。この端子部87は、音声信号を図示せぬヘッドフォンに出力させる。なお、端子部87に、映像用の入出力端子を設けても良い。
【0045】
以上に述べた本実施形態の車載モニタ支持構造によれば、運転席シート11の助手席シート12側に上下方向に沿う軸線回りに回転するように設けられた回転支持部16を回転させることで、この回転支持部16にその一側を前記軸線に近接させその他側を前記軸線よりも側方に延出させる状態で支持されたモニタ60を、その側方延出側が助手席シート12側に位置する姿勢にすれば、運転席シート11および助手席シート12間においてモニタ60を横方向に広げることになって、後部座席での視聴が良好な状態となる。このとき、運転席シート11のシートバック11bと助手席シート12のシートバック12bとの間にモニタ60を配置するので、斜め上方向を向きながらモニタ60を見る必要はなく、ほぼ正面を向いてモニタ60を見ることができる。また、運転席シート11のシートバック11bと助手席シート12のシートバック12bとの間にモニタ60を配置するので、後部座席の複数の人が一つのモニタ60を無理なく見ることができる。他方、回転支持部16を回転させることで、モニタ60およびモニタカバー48を、その側方延出側が例えば後部座席側に位置する姿勢にすれば、モニタ60およびモニタカバー48が助手席シート12側から離れ運転席シート11側に倒れることになって、これら運転席シート11と助手席シート12との間に人が通過可能な通路が形成される。
【0046】
したがって、主に後部座席に着席した状態で視聴するようにモニタ60を搭載する場合であっても、快適に視聴でき、かつコスト増を抑制した上で、前後の座席間の移動すなわちウォークスルーが容易に可能となる。
【0047】
しかも、運転席シート11にモニタ60を支持する回転支持部16および揺動支持部15を設けているため、この運転席シート11は走行中空席にならないことから、モニタ60に生じる振動を抑制でき画面をブレにくくすることができる。また、運転席シート11にモニタ60を支持することで、走行中運転者による視聴が困難となるようにすることができる。
【0048】
揺動支持部15のシートフレーム18に固定されるシート側取付ベース部19とこれに取り付けられる揺動支持軸20およびガイドピン21等は、運転席シート11に付設されるアームレストの揺動機構をそのまま使用できる。このため、アームレストが付設される仕様の運転席シート11であれば、そのままこれを用いてモニタ60を支持することができる(勿論、助手席シート12でも同じ)。逆に言えば、回転支持部16および揺動支持部15の揺動部材24等に換えて、アームレストを揺動支持軸20に取り付ければ、左右方向に沿う軸線回りの回転でこのアームレストをその前部を上下に揺動させることによりその使用および格納が可能となる。
【0049】
なお、以上の実施形態においては、車載モニタ支持構造が、運転席シート11の助手席シート12側に設けられる場合を例にとり説明したが、勿論、助手席シート12の運転席シート11側に設けることも可能である。また、前後に三列以上にシートが配列されている場合には、運転席シート11および助手席シート12よりも後側にありかつ最後部ではない座席であって左右に離間して配置される座席のいずれか一方の座席の他方の座席側に、車載モニタ支持構造を設けてもよい。
【0050】
また、以上の実施形態においては、モニタ60をモニタカバー48に対し揺動させるものを例にとり説明したが、揺動支持部15により回転支持部16が左右方向に沿う軸線回りに回転可能であるため、モニタ60をモニタカバー48に対し固定とし、揺動支持部15により回転支持部16を前後に揺動させることでモニタ60を揺動させるようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の車載モニタ支持構造によれば、いずれか一方の座席の他方の座席側に上下方向に沿う軸線回りに回転するように設けられた回転部を回転させることで、この回転部にその一側を前記軸線に近接させその他側を前記軸線よりも側方に延出させる状態で支持されたモニタを、その側方延出側が他方の座席側に位置する姿勢にすれば、両方の座席間においてモニタを横方向に広げることになって、後部座席での視聴が良好な状態となる。このとき、両方の座席間にモニタを配置するので、斜め上方向を向きながらモニタを見る必要はなく、ほぼ正面を向いてモニタを見ることができる。また、両方の座席間にモニタを配置するので、後部座席の複数の人が一つのモニタを無理なく見ることができる。他方、回転部を回転させることで、モニタを、その側方延出側が例えば後部座席側に位置する姿勢にすれば、このモニタが他方の座席側から離れ一方の座席側に倒れることになって、両座席間に人が通過可能な通路が形成される。
【0052】
したがって、主に後部座席に着席した状態で視聴するように車載モニタを搭載する場合であっても、快適に視聴でき、かつコスト増を抑制した上で、前後の座席間の移動すなわちウォークスルーが容易に可能となる。
【0053】
さらに、本発明の請求項2記載の車載モニタ支持構造によれば、回転部を支持する支持部のカバーに、モニタの音声を出力させるための外部出力端子が設けられているため、後部座席側からヘッドフォンの接続を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造を示す斜視図であって、モニタを横方向に広げた状態を示すものである。
【図2】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造における揺動支持部を示す図3におけるX−Xに沿う断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造における揺動支持部の一部を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造における要部を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造における要部を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造におけるモニタおよびモニタカバーを示す側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造におけるモニタカバーのフロントカバーを裏面側から見た図である。
【図8】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造におけるモニタカバーのフロントカバーの側断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造におけるモニタカバーを示す部分側断面図である。
【図10】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造における要部を示す一部を破断した正面図である。
【図11】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造における要部を示す一部を破断した背面図である。
【図12】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造におけるモニタカバーを示す部分正断面図である。
【図13】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造を示す斜視図であって、モニタを横方向に広げ、かつモニタカバーに対し揺動させた状態を示すものである。
【図14】本発明の一実施形態の車載モニタ支持構造を示す斜視図であって、モニタを倒した状態を示すものである。
【符号の説明】
11 運転席シート(一方の座席)
12 助手席シート(他方の座席)
15 揺動支持部(支持部)
16 回転支持部(回転部)
60 モニタ
85 揺動部カバー(カバー)
87 端子部
Claims (3)
- 左右に離間して配置された座席のうちのいずれか一方の座席の他方の座席側に、上下方向に沿う軸線回りに回転する回転部を設け、該回転部にモニタを、該モニタの一側を前記軸線に近接させ該モニタの他側を前記軸線よりも側方に延出させる状態で支持してなり、
前記回転部は、シートフレームに固定されたシート側取付ベース部に取り付けられる揺動支持軸に揺動部材を介して支持され、
前記シート側取付ベース部のガイドピンが前記揺動部材のガイド溝に挿入されるとともに該ガイド溝を部分的に塞いで前記ガイドピンの移動を規制する規制板が設けられていることを特徴とする車載モニタ支持構造。 - 前記モニタは、前記回転部に対し上部の支持軸において回動可能とされていることを特徴とする請求項1記載の車載モニタ支持構造。
- 前記回転部を支持する支持部のカバーに、前記モニタの音声を出力させるための外部出力端子を含む端子部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の車載モニタ支持構造。
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