JP3538516B2 - 濃度分布計測装置 - Google Patents

濃度分布計測装置

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JP3538516B2 JP05526797A JP5526797A JP3538516B2 JP 3538516 B2 JP3538516 B2 JP 3538516B2 JP 05526797 A JP05526797 A JP 05526797A JP 5526797 A JP5526797 A JP 5526797A JP 3538516 B2 JP3538516 B2 JP 3538516B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油化学プラント
や発電プラントに適用され、測定対象分子の濃度分布を
計測する濃度分布計測装置に係り、特に気体、液体ある
いは固体の媒質中に存在する特定分子の二次元あるいは
三次元濃度分布を計測する濃度分布計測装置に関する。
【0002】本発明に係る濃度分布計測装置は、例えば
石油化学プラントや発電プラントなどから大気中への万
一のガス漏洩時に、ガスの漏洩量および漏洩源位置など
を簡単かつ確実に短時間で検出するガス漏洩検出装置等
に好適に適用される。
【0003】
【従来の技術】一般に、測定対象分子としての特定分子
は多数の光吸収スペクトルを持っており、その光吸収ス
ペクトルの任意の1本に対応する波長λ0 を持つ光を、
測定対象分子に照射すると、その光エネルギは測定対象
分子に吸収される。測定対象分子に吸収されたエネルギ
は輻射過程と無輻射過程を経て緩和されるが、無輻射過
程によって緩和された吸収エネルギは分子周辺の温度お
よび圧力を上昇させる。
【0004】光吸収エネルギが充分大きいと、エネルギ
は圧力波または音響波として放出され、マイクロフォン
等の圧力変換器によって検出される。この圧力変換器の
出力信号から測定対象分子の濃度を測定する技術は、例
えば“光音響分光法とその応用−PAS”,沢田嗣郎
編,学会出版センター,(1982)などの文献で一般化さ
れている。
【0005】一方、気密性または液密性のシステムから
のガス漏洩を検出し、さらにその漏洩場所を特定するた
めの技術としては、特表平6−510121号公報の
「光音響漏れ検出及び方法」が知られている。ガス漏洩
を検知し、漏洩場所を特定する技術は、ガスの分子が光
を吸収したときに生じる光音響効果に基づいてガス漏洩
検出を行なうものである。このガス漏洩検出装置の構成
を図13に示す。
【0006】このガス漏洩検出装置は、パルス波、変調
波あるいは連続波のレーザビームまたは充分に平行化さ
れた光線1を発振する光源2と、その発振光1を試験に
供する部品またはシステム等の測定対象物3上で走査す
る走査機構4と、漏洩ガス分子5と発振光1の相互作用
によって発生した圧力波PWを検出する検出器7とから
構成される。検出された圧力波信号6は、信号処理装置
8にて処理されて、漏れが存在することを操作者に通知
するアラーム出力(漏れ指示信号)9に使われる。さら
に、発振光1の走査を制御されたパータンP1で行なう
ことで、漏洩場所の方向を知ることができるものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のガス漏洩検出装
置は遠隔非接触のガス検知手段であり、漏洩ガス分子5
の量が比較的大量な場合の漏洩場所の同定に有効であ
る。しかし、図14に示す通り、試験に供する部品また
はシステムの測定対象物3を構成する材料と照射光の間
には光熱歪効果による音波が発生し、この音波が背景雑
音Nとなるため、漏洩ガス量によっては、光とガス分子
の相互作用で発生する圧力波信号6と背景雑音Nを、従
来公知のガス漏洩検出装置で検出するのは困難となる。
また、上記ガス漏洩検出装置では、平面的なガス分布は
検知できるものの、その距離に関する情報や3次元的な
空間濃度分布を検知することは不可能であった。
【0008】一方、光音響効果を用いた従来のガス漏洩
検出装置では一般に、光源の発する発振光の波長を、測
定対象分子の非常に狭い吸収スペクトルに厳密に一致さ
せる必要がある。光源に安定な単一波長を発振するレー
ザ光源を用いたとしても、その発振波長は厳密には周辺
温度の影響などによって揺らぐため、常に測定対象分子
の吸収スペクトルと波長を一致させておくためには、温
度制御等の処置が必要になっていまい、ガス漏洩検出に
困難な作業が必要であった。
【0009】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、ガス分子の漏洩検出だけでなく、固体、液
体、気体媒質中に存在する固相、液相または気相分子の
二次元あるいは三次元濃度分布を検出することができる
とともに、その測定検出系の中で位置が既知の背景雑音
源の影響を効果的に除去し、正確で精度の高い測定を可
能とした濃度分布計測装置を提供することを目的とす
る。
【0010】また、本発明の他の目的は、到達した圧力
波レベルから光軸に沿った分子の濃度分布を換算する
際、伝播距離による音波の減衰を補正し、より正確な分
子の濃度分布情報を検知することができる濃度分布計測
装置を提供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、温度制御等の
煩雑な処置なしに、常に光源波長が測定対象分子の光吸
収スペクトルと一致するような光源を提供することがで
きる濃度分布計測装置を提供することにある。
【0012】また本発明の別の目的は、より広範囲で、
かつより低濃度までの分子濃度計測が可能となるように
圧力波信号をS/N比よく計測する濃度分布計測装置を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る濃度分布計
測装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に
記載したように、測定対象分子によって強く吸収される
波長のパルス光あるいは変調光を発振する光源と、この
光源からの発振光と前記分子の相互作用による光音響効
果で発生する圧力波を検出する音響検出手段と、この音
響検出手段の出力信号を前記測定対象分子の濃度信号あ
るいはアラーム信号に変換する信号処理手段と、前記光
源の発光から音響検出手段によって圧力波が検出される
までの時間差を計測する時間差計測手段と、前記時間差
計測手段の出力信号から圧力波の発生位置を同定する位
置同定手段を備えたものである。
【0014】また、上述した課題を解決するために、本
発明に係る濃度分布計測装置は、請求項2に記載したよ
うに、光源からの発振光を二次元平面上あるいは一次元
のライン上に走査する光走査手段と、この光走査手段を
駆動制御する駆動制御手段と、駆動制御手段から出力さ
れる発振光の走査方向信号と前記位置同定手段から出力
される位置信号と、前記信号処理手段から出力される分
子の濃度信号から、前記光源からの発振光の光軸に沿っ
た前記分子の三次元または二次元濃度分布を再構成し、
表示する濃度分布表示手段を備えたものである。
【0015】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項3に記載した
ように、前記信号処理手段から出力される測定対象分子
の濃度信号を入力する濃度情報補正手段を備え、この濃
度情報補正手段は位置同定手段から出力される位置信号
を入力して、分子濃度信号に媒質中伝播距離による減衰
補正を加えたものである。
【0016】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項4に記載
したように、光走査手段による発振光の照射方向に合せ
て音響検出手段の指向性を走査する検出指向性走査手段
を備え、上記音響検出手段はある特定方向に指向性を有
するものである。
【0017】またさらに、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項5に記載
したように、信号処理手段が、音響検出手段から出力さ
れる測定圧力波信号の平均化処理を行なう平均化処理手
段を有するものであり;また、請求項6に記載したよう
に、音響検出手段は発振光の光軸とほぼ直交する方向の
延長線上に配置されたものである。
【0018】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項7に記載した
ように、測定対象分子は、固体、液体あるいは気体媒質
に含まれる固相、液相あるいは気相分子であり;また、
請求項8に記載したように、測定対象分子は、気体媒質
中に含まれるメタンガス等の炭化水素ガスであり、光源
は、炭化水素ガスが強く光吸収する波長域で発振する赤
外線レーザ光源であったり;さらに、請求項9に記載し
たように、光源は、測定対象分子をラマン媒質としたラ
マンレーザ光源である。
【0019】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項10に記
載したように、測定対象分子はメタンガスであり、光源
は1.33μmの波長帯域、1.66μmの波長帯域あ
るいは3.39μmの波長帯域で発振する赤外線レーザ
光源あるいはメタンガスをラマン媒質としたラマンレー
ザ光源である。
【0020】また、本発明に係る濃度分布計測装置は、
上述した課題を解決するために、請求項11に記載した
ように、測定対象分子によって強く吸収される波長域の
光を発振する光源と、この光源からの発振光と測定対象
分子の相互作用による光音響効果で発生する圧力波を検
出する音響検出手段と、この音響検出手段の出力信号を
前記測定対象分子の濃度信号あるいはアラーム信号に変
換する信号処理手段と、前記測定対象分子によって強く
吸収される波長の光を発振した時間を測定する発振時間
測定手段と、前記発振時間測定手段で検出した発振タイ
ミングから音響検出手段によって圧力波が検出されるま
での時間差を計測する時間差計測手段と、前記時間差計
測手段の出力信号から圧力波の発生位置を同定する位置
同定手段とを備え、前記光源は測定対象分子の強い光吸
収波長域で波長掃引される波長掃引光源であるものであ
る。
【0021】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項12に記載し
たように、信号処理手段は、音響検出手段で測定された
出力信号と基準信号とを相関処理させる相関処理手段を
有し、相関処理手段で処理される基準信号は光源からの
発振タイミングあるいは測定対象分子に強く光吸収され
る波長の掃引光を発振させる波長掃引光源からの発振タ
イミングと同期した信号である。
【0022】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る濃度分布計測装置は、請求項13に記
載したように、光源はパルスレーザ光あるいは測定対象
分子の強い光吸収波長域で波長掃引される波長掃引光を
出力する赤外線レーザ光源であり、赤外線レーザ光源か
らの発振タイミングを音響検出手段の時系列測定出力信
号の周期と同期させたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係る濃度分布計測装置の
実施の形態について添付図面を参照して説明す。
【0024】図1は、本発明に係る濃度分布計測装置の
第1実施形態を示す基本的な構成図である。この濃度分
布計測装置10は、気体、液体または固体の透過性媒質
M中に含まれる測定対象である特定分子11の分子濃度
分布を測定できるようにしたものである。
【0025】濃度分布計測装置10は、測定対象分子1
1によって強く吸収される波長の光を発振する光源12
として、半導体レーザあるいは赤外線レーザ等のパルス
レーザ光源12aを備える。パルスレーザ光源12aか
ら測定対象分子11の光吸収波長に等しい波長のパルス
レーザ光が発振される。パルスレーザ光源12aから発
振されたパルスレーザ光13は、光透過性を有する媒質
M内に入り、媒質M中に含まれる測定対象分子11に照
射される。光源12はパルスレーザ光源12aに代え、
変調光を出力する光源であってもよい。
【0026】パルスレーザ光13が媒質M中の測定対象
分子11に到達すると、この分子11にパルスレーザ光
13の光エネルギが測定対象分子11と相互作用して吸
収され、光音響効果によって媒質M中を伝播する圧力波
PWが発生する。この圧力波PWは、マイクロフォン1
4a、圧電素子等の音響検出手段14によって検出さ
れ、信号処理手段15に入力される。
【0027】信号処理手段15では検出された信号レベ
ルから測定対象分子11の濃度信号Out1 に変換される
一方、アラーム信号のような分子の漏れ指示信号Out2
に変換され、ON−OFF信号として出力され、図示し
ない警報器や警報ランプを作動させるようになってい
る。
【0028】一方、パルスレーザ光源12aからの発振
タイミング(発振時刻)t2 と音響検出手段14で圧力
波PWが検出された検出タイミング(検出時刻)t3
の時間差が時間差計測手段16によって検出され、時間
差検出信号t1 として出力される。すなわち、時間差検
出手段16では、時間差信号t1 が次式に従って算出さ
れる。
【0029】
【数1】t1 =t3 −t2 ……(1)
【0030】時間差検出手段16からの時間差検出信号
1 は、続いて位置同定手段17に入力され、この位置
同定手段17により、測定対象分子11から発生する圧
力波PWの発生位置までの距離Lが同定される。測定対
象分子11で発生した圧力波PWは均質媒質M中では、
媒質Mの種類と温度で決まる一定速度vで伝播する。こ
のため、式(1)より時間差検出信号t1 を求めること
ができれば、次式により、圧力波PWの発生位置までの
距離Lが同定される。
【0031】
【数2】L=v・t1 ……(2) 例えば、圧力波(弾性波)の速度vは、媒質Mが大気で
ある場合、0℃、1気圧で約331m/sec であり、水
中では約1500m/sec 、ガラス材中では約5440
m/sec である。
【0032】しかして、音響検出手段14にて検出され
た圧力波信号は、信号処理手段15にて信号処理され、
測定対象分子11の濃度信号Out1 に変換されて、濃度
分布表示手段18あるいは図示しない記録装置に入力さ
れる。この濃度分布表示手段18には位置同定手段17
から出力される位置信号Lも入力される。濃度分布表示
手段18は分子の濃度信号Out1 と位置信号Lを入力し
て、測定対象分子11の濃度分布が再構成され、その再
構成結果を画面表示することができるようになってい
る。
【0033】ところで、音響検出手段14にて検出され
る圧力波PWは、媒質M中を伝播する際、その伝播距離
に応じて減衰する。したがって、同じ濃度の測定対象分
子11が発振パルスレーザ光13の光軸上の異なる2点
で存在したとすると、音響検出手段14にて検出される
圧力波信号の信号レベルに差が生じ、測定対象分子11
の濃度信号Out1 は、見掛け上遠い点の方が低くなる。
【0034】そこで、図2に示すように、濃度情報補正
手段20を備えることが好ましい。濃度情報補正手段2
0には、信号処理手段15からの出力信号である測定対
象分子11の濃度信号Out1 と位置同定手段17からの
出力位置信号Lが入力され、媒質M中の伝播による減衰
補正が行われる。具体的には、濃度情報補正手段20
は、位置同定手段17からの出力位置信号Lにより、信
号処理手段15からの出力信号Out1 を補正している。
濃度情報補正手段20は、信号処理手段15からの分子
の濃度信号Out1 に、媒質M中の伝播距離による減衰補
正をかけ、発振パルスレーザ光13の光軸に沿った分子
濃度を再構成し、より正確な分子濃度分布情報を得るこ
とができるようになっている。
【0035】次に、濃度情報補正手段20による媒質中
の距離伝播減衰補正の処理内容を具体的に説明する。
【0036】この距離伝播減衰補正の処理内容を説明す
るに当たり、簡単化のために、パルスレーザ光源12a
と音響検出手段14であるマイクロフォン14aを同位
置に設置した例を採用して、発振パルスレーザ光13の
レーザライン(光軸)上のガス濃度分布を測定する。
【0037】マイクロフォン14aから測定対象分子1
1による圧力波PWの発生位置までの距離をz、測定対
象分子11の光吸収係数をαとし、レーザライン上に分
子濃度C(z)で測定対象分子11、例えばガス分子が
分布していると仮定する。
【0038】任意の点zでの光強度I0p(z)は、
【数3】 で表わされる。
【0039】これから、z点で発生する音響エネルギを
計算する。
【0040】図3に示すように、媒質M中に測定対象分
子11が分布している領域Aをパルスレーザ光が通過す
ると、パルスレーザ光は測定対象分子11に光吸収さ
れ、エネルギEが(I0 −I0P)だけ失われる。パルス
レーザ光の光強度はI0 からI0pに変化するレーザ光強
度分布曲線Bで表わされる。
【0041】今、測定対象分子11が分布している領域
Aである小さな領域dzに着目すると、この微小領域d
zを通過することによる光強度はdIac(z)だけ低下
するので、微小領域dzの測定対象分子が吸収したエネ
ルギdEは、
【数4】dE=dIac(z)・dz ……(4) の面積でほぼ表わされる。
【0042】吸収されたエネルギのうち、η0p(発光の
量子収率)は光として再放出され、残りが音(あるいは
熱)になるので、式(3)および式(4)よりz点で発
生する音響エネルギは、次式で表わされる。
【0043】
【数5】
【0044】ところで、z点で発生した圧力波はマイク
ロフォン14aにt秒後に観測されるので、媒質M中の
速度をvで表わすと、
【数6】t=z/v ……(6) が成立する。
【0045】一方、測定対象分子11が分布している領
域Aで吸収されたエネルギEは、音(あるいは熱)に変
換されて検出されるか、これらのエネルギEは一括して
測定される訳ではなく、TOF法(飛行時間法)に従
い、発生位置毎に順次時系列的に計測される。そこで、
単位時間dt当りに検知されるエネルギは、式(4)と
式(6)およびその微分式(dz=vdt;v=一定)
から
【数7】 となり、この式(7)から測定対象分子11で生じる音
響エネルギ(音響パワー)I0ac (t)は、
【数8】 となる。
【0046】発生した音響エネルギは、発生箇所からマ
イクロフォン14aまでの伝播で距離の2乗に反比例し
て減衰するので、マイクロフォン14aの実質的なマイ
ク面積をSとすると、検出される音響エネルギは、
【数9】 となる。式(9)は、音源(発生箇所)から離れる程、
同じ立体角でも面積が大きくなり、音響エネルギのパワ
ー密度が低下することを表している。
【0047】式(9)は、パルスレーザ光のレーザライ
ン(光軸)上の測定対象分子11の分子濃度(ガス濃
度)とマイクロフォン14aで受けた検出信号との関係
を示しており、式(9)を解くことによって、測定対象
分子11の一次元濃度分布を測定することができる。
【0048】予め濃度が既知の校正用分子(ガス)で発
生する音響信号強度をデータベース化しておき、それを
逐次参照する方法などもある。この方法によっても、発
振パルスレーザ光13に沿った光軸上の分子11の濃度
分布が正確に計測できる。
【0049】図4は、本発明に係る濃度分布計測装置の
第1実施形態における実施例を示すものである。図1に
示された濃度分布計測装置と同じ構成には同一符号を付
して説明を省略する。
【0050】この実施例に示された濃度分布計測装置1
0は、光透過性を有する固体媒質Ms中に測定対象であ
る特定分子11aの濃度分布を測定する装置に適用した
例を示す。例えば、透明ガラスやプラスチック中に含ま
れる不純分子等の特定分子の濃度分布の測定に適した濃
度分布計測装置10である。
【0051】この濃度分布計測装置10は、光源12と
して光パラメトリック効果を用いた波長可変光源(OP
O光源)12bを備えており、このOPO光源12bか
ら波長λa、繰返し周期T0 のパルスレーザ光13が発
振せしめられる。OPO光源12bは例えば赤外線レー
ザ光源であり、OPO光源12bから発振されたパルス
レーザ光13は、測定対象分子11の代表的な光吸収波
長λaに合せられ、発振パルスレーザ光13は反射ミラ
ー等からなる走査光学系23を介して固体媒質Msに入
射され、固体媒質Ms内を伝播して走査される。
【0052】固体媒質Ms中に測定対象である特定分子
(不純物などの分子)11aが存在すると、入射された
パルスレーザ光は測定対象分子11aと光音響効果で決
まる相互作用が行なわれる。固体媒質Ms中に入射され
る発振パルスレーザ光13が固体媒質Ms中を伝播し、
測定対象分子11aに照射されると、この測定対象分子
11aと相互作用をし、測定対象分子11aはパルスレ
ーザ光13の光エネルギを吸収して光音響効果により圧
力波(音波)を発生させる。発生した圧力波は、固体媒
質Ms中を速度vsで伝播する。
【0053】一方、固体媒質Msには、音響検出手段1
4として圧電素子14bが音響カプラーであるカップラ
ント24を介して音響的に結合されており、このカップ
ラント24を介して圧力波PWが圧電素子14bによっ
て検出される。カップラント24は固体媒質Msと音響
的インピーダンスが合せられて固体媒質Msと音響的に
結合している。カップラント24は固体媒質MS に発振
パルスレーザ光13の入射側に取り付けた例を示した
が、取付位置は発振パルスレーザ光13の入射側に限定
されない。発振パルスレーザ光13の入射光軸とほぼ直
交する方向の延長線上で取り付けることも望ましい。
【0054】圧電素子14bで検出された圧力波信号
は、信号処理手段15の平均化処理手段としてのシグナ
ルアベレージャ25に入力され、このシグナルアベレー
ジャ25にてOPO光源12bの発振周期T0 をベース
に平均化処理され、ランダム雑音が除去される。シグナ
ルアベレージャ25にて平均化処理された圧力波信号
は、バンドパスフィルタ26にて濾波され、特定周波数
帯域の圧力波信号が通過される。バンドパスフィルタ2
6は、特徴的な周波数fsを中心帯域とする圧力波信号
を濾波してA/D変換器27に低対象分子11aの濃度
信号として出力される。A/D変換器27では、特定周
波数fsより充分に高いサンプリング周波数を印加して
アナログ濃度信号をデジタル濃度信号に変換し、測定対
象分子11aのデジタル濃度信号としてデジタル信号処
理装置28に入力される。
【0055】一方、デジタル信号処理装置28は時間差
測定手段16を備えており、この測定手段16には、O
PO光源12bからの発振パルスレーザ光信号も入力さ
れ、この時間差測定手段16でOPO光源12bからの
発振タイミングt2 とA/D変換器27からの時系列デ
ジタル信号による圧力波検知タイミングt3 との時間差
1 が検出され、時間差検出信号t1 が位置同定手段1
7に出力される。
【0056】位置同定手段17では、OPO光源12b
からの発振タイミングt2 を基準として予め入力されて
いる既知の固定媒質Ms中の音速vsから時系列デジタ
ル信号の各点に相当する圧力波発生位置が同定される。
【0057】また、デジタル信号処理装置28は、濃度
情報補正手段20を備えている。この濃度情報補正手段
20は、予め用意された時系列信号レベル−分子濃度の
対応テーブルを備えた較正テーブル29と濃度較正手段
30とから構成される。濃度情報補正手段20には、A
/D変換器27からの時系列デジタル信号と位置同定手
段17からの出力位置信号Lが入力され、予め用意され
た時系列レベル−分子濃度の較正テーブル29からの対
応テーブルと比較され、時系列デジタル信号(測定対象
分子の濃度分布信号)の各点に相当する分子濃度が同定
される。この分子濃度信号Out1 と位置同定手段17か
らの出力位置信号Lがディスプレーとしての濃度分布表
示手段18に入力され、この濃度分布表示手段18にて
発振パルスレーザ光13の光軸に沿った方向の測定対象
分子11aの濃度分布が表示される。発振パルスレーザ
光13の光軸方向に沿う濃度分布は、図示しない記録装
置に出力し、記録保持させるようにしてもよい。
【0058】図4に示された、濃度分布計測装置10に
おいて、信号処理手段15からの時系列デジタル信号の
周期である周波数fsにOPO光源12bの発振周波数
0を同調させると、周波数同一同調により信号検出の
S/N比が向上し、S/N比のよい信号検出が可能とな
る。
【0059】図5は、本発明に係る濃度分布計測装置の
第2実施形態を示す基本的な構成図である。
【0060】図1に示された濃度分布計測装置10は、
光源12としてパルスレーザ光を発振させる赤外線レー
ザ光源等のパルスレーザ光源12aを用いる。パルスレ
ーザ光源12aから発振されたパルスレーザ光13は光
走査手段26によって二次元平面操作により、媒質M中
に存在する測定対象分子11の濃度分布を二次元的ある
いは三次元的に計測することができる。
【0061】光走査手段26は駆動制御手段27によっ
て作動制御され、発振パルスレーザ光13の走査方向が
制御される。駆動制御手段27から出力される発振パル
スレーザ光の走査方向信号Out3 が濃度分布表示手段1
8に入力されるようになっている。
【0062】濃度分布表示手段18は、駆動制御手段2
7から出力される発振パルスレーザ光13の走査方向信
号Out3 と、信号処理手段14から出力される測定対象
分子11の濃度信号Out1 と、位置同定手段17から出
力される位置信号Lとから測定対象分子11の二次元あ
るいは三次元濃度分布が再構成され、その結果が表示さ
れるようになっている。上記濃度分布表示手段18を用
いて発振パルスレーザ光13の光軸に沿った濃度分布と
して二次元あるいは三次元に再構成され、二次元あるい
は三次元の分子濃度分布として表示される。
【0063】図5に示された濃度分布計測装置10の他
の構成は、図1に示された濃度分布計測装置と異ならな
い。濃度分布計測装置10の濃度分布測定作用も、駆動
制御手段27で光走査手段26を駆動制御し、タイミン
グをとって発振パルスレーザ光13を二次元平面上で走
査させる以外は、図1に示された濃度分布計測装置と作
用も同じくする。
【0064】図5に示された濃度分布計測装置10にお
いては、パルスレーザ光源12aからの発振パルスレー
ザ光13を光走査手段26で二次元走査(面走査)する
ことで、媒質M中に拡がる測定対象分子11の二次元あ
るいは三次元濃度分布を計測し、濃度分布表示手段18
に再構成して表示することができる。
【0065】図6は本発明に係る濃度分布計測装置の第
2実施形態における実施例を示す構成図である。
【0066】この実施例に示された濃度分布計測装置1
0は、基本的な構成は、図5に示す濃度分布計測装置と
実質的に同じくし、信号処理手段15およびデジタル信
号処理装置28の構成は、図4に示された濃度分布計測
装置と同じくするので、同じ構成には同一符号を付して
説明を省略する。
【0067】図6に示された濃度分布計測装置10は気
体の媒質MG 中に含まれる測定対象分子11の二次元ま
たは三次元濃度分布を精度よく測定するようにしたもの
である。測定対象分子11には気体の媒質MG として例
えば大気中に含まれるメタンガスがある。測定対象分子
11にはメタンガス以外にも、エタンガス、プロパンガ
ス等の炭化水素(CH)ガスを含むガス分子11bがあ
る。
【0068】この濃度分布計測装置10は、光源12と
してパルスレーザ光13を発振させるラマンレーザ光源
12cが用いられる。ラマンレーザ光源12cは、繰返
し周期T1 で発振する励起用パルス光源32と測定対象
分子11と同じガス分子11bが封入されたラマンセル
33から構成される。気体媒質MG 中の音速をvg 、測
定対象分子11の代表的な光吸収波長をλc とする。
【0069】図6に示された濃度分布計測装置10にお
いては、ラマンレーザ光源12cから発振せしめられた
パルスレーザ光13は、照射および走査光学系34を介
して気体媒質MG 中を走査される。照射および走査光学
系34は例えば反射ミラーのミラー光学系で構成され、
駆動制御装置34により走査方向が駆動制御される。
【0070】気体媒質MG 中に測定対象分子11である
ガス分子11b、例えばメタンガスが空間的な拡がりを
もって存在するとする。気体媒質MG 中を走査され、伝
播するパルスレーザ光13が、ガス分子11bに照射さ
れると、このガス分子11bと光音響効果で決まる相互
作用をする。
【0071】ガス分子11bが特定波長λc の光エネル
ギを吸収すると、光エネルギの一部を光音響効果により
圧力波(音波)に変換する。例えばガス分子11bがメ
タンガスの場合、光吸収波長は1.33μm、1.66
μmまたは3.39μmの波長帯域であり、この波長帯
域のレーザ光を強く吸収する。その結果、発生する圧力
波は気体媒質MG 中を速度vg で伝播する。
【0072】一方、気体媒質MG 中には、発振パルスレ
ーザ光13の光軸とほぼ直交する方向の延長線上にマイ
クロフォンアレイ14cが音響検出手段14として設け
られる。マイクロフォンアレイ14cは複数のマイクロ
フォン36を発振パルスレーザ光13の光軸方向に沿っ
て列状に配列したものである。各マイクロフォン36の
後段には、例えば適応フィルタ回路のような指向性信号
処理回路37が備えられる。この信号処理回路37は外
部の指向性駆動制御装置38により駆動制御され、指向
性が制御される。
【0073】ところで、気体媒質MG 中にガス分子11
bがある拡がりを持って分布しているとすると、光速は
音速に比べて充分に速いため、光音響効果による音源の
分布はパルスレーザ光13の光軸に沿った線状形状とな
る。すなわち、ガス分子11bから発生する圧力波PW
は線状の拡がりを持った波形状となる。このように、音
源から放射される圧力波はある指向性を持つことが知ら
れている。
【0074】したがって、気体媒質MG 中を伝播される
パルスレーザ光13の光軸とほぼ直交する少なくとも一
方の延長線上に音響検出手段14を配置すれば、音源か
らの圧力波PWの効率的な検知が可能となり、圧力波P
Wはマイクロフォンアレイ14cによって検出される。
その際、マイクロフォンアレイ14cによる圧力波PW
の検出がより効率的に行なわれるように、指向性駆動制
御装置38により指向性信号処理回路37の指向性が制
御される。
【0075】マイクロフォンアレイ14cを備えた音響
検出手段14で検出された圧力波信号は、続いて信号処
理手段15の平均化処理手段としてのシグナルアベレー
ジャ25に入力され、このシグナルアベレージャ25に
て励起用パルス光源30の発振周期T2 で平均化処理さ
れ、ランダム雑音が除去される。
【0076】シグナルアベレージャ25にてランダム雑
音が除去され、平均化された圧力波信号は、続いて、特
徴的な特定周波数fg を中心帯域とするバンドパスフィ
ルタ26で濾波される。バンドパスフィルタ26にて濾
波された時系列の圧力波信号は、特定周波数fg より充
分に高いサンプリング周波数でA/D変換器27により
時系列のデジタル圧力波信号に変換され、ガス分子11
cの時系列濃度信号としてデジタル信号処理装置28に
入力される。このA/D変換器27には、励起用パルス
光源32からの発振信号も同様に入力され、その発振タ
イミングを基準として、予め入力された音速vg から時
系列信号の各点に相当する位置が同定される。
【0077】一方、デジタル信号処理装置28には、励
起用パルス光源32からの発振信号も時間差測定手段1
6に入力され、その発振タイミングt2 とA/D変換器
27からの時系列デジタル信号による圧力波検知タイミ
ングt3 との時間差t1 が時間差測定手段16で検出さ
れ、その時間差検出信号t1 が位置同定手段17に出力
される。
【0078】位置同定手段17では、ラマンレーザ光源
12cからの発振タイミングt2 を基準として予め既知
の気体媒質MG 中の音速から時系列デジタル信号の各点
に相当する圧力波発生位置(音源の位置)が二次元ある
いは三次元的に同定される。発振パルスレーザ光13を
気体媒質MG 中に伝播させることにより、発振パルスレ
ーザ光13の光軸に沿った圧力波発生位置が一次元的に
同定され、発振パルスレーザ光13を線状(一次元)走
査あるいは平面状(二次元)走査することにより、圧力
波発生位置が二次元的あるいは三次元的に同定される。
【0079】また、デジタル信号処理装置28は、濃度
情報補正手段20を必要に応じて備える。濃度情報補正
手段20は、図4に示すものと同様、較正テーブル29
と濃度較正手段30とを有する。
【0080】濃度情報補正手段20には、A/D変換器
27からの時系列デジタル圧力波信号(ガス分子の時系
列濃度信号)と、位置同定手段17からの出力位置信号
Lとが入力され、予め用意された時系列信号レベル−分
子濃度の較正テーブル29から時系列デジタル信号(ガ
ス分子の濃度信号)の各点(圧力波発生位置)に相当す
るガス分子の濃度が同定される。
【0081】濃度情報補正手段20からのガス分子の濃
度信号Out1 と位置同定手段17からの出力位置信号L
が濃度分布表示手段18に入力され、この濃度分布表示
手段18にて発振パルスレーザ光13の光軸方向のガス
濃度分布が表示される。発振パルスレーザ光13を照射
および走査光学系32でライン状(一次元)あるいは平
面状(二次元)に走査させることにより、ガス分子11
bの光軸を含む二次元あるいは三次元濃度分布が表示さ
れる。
【0082】一方、気体媒質MG に向けて照射されるパ
ルスレーザ光13は、駆動制御装置35によって駆動制
御される照射および走査光学系34によって二次元的に
走査される。一次元的なライン走査であってもよい。
【0083】また、照射および走査光学系34によるパ
ルスレーザ光13の照射方向信号を元にマイクロフォン
14cの指向性も適切な方向に走査される。この二次元
的な照射方向信号もデジタル信号処理装置28に取り込
まれ、パルスレーザ光13の照射方向、ガス分子11b
の位置、ガス分子11bの濃度情報から、ガス分子11
bの三次元(二次元)的濃度分布が再構成され、再構成
結果がディスプレイとしての濃度分布表示手段18にタ
イムラグなく表示することができる。この再構成はデジ
タル信号処理装置28で行なっても、また濃度分布表示
手段18で行なってもよい。
【0084】図7は圧力波(光音響)信号測定試験にお
ける測定試験装置の配置例を示す原理図である。
【0085】この測定試験装置においては、測定対象分
子11のリーク源としてガスノズルから吹き出されるガ
ス分子11bを採用し、このガス分子11bを中心とし
て所定距離、例えば100mm離れた同心円上にマイクロ
フォン36を等間隔に多数本配列し、ガス分子11b上
にレーザ光を照射したとき、ガス分子11bから発生せ
しめられる音源(圧力波)の指向性評価をしたものであ
り、その評価結果を図8に示す。
【0086】図8に示された光音響(圧力波)の指向性
評価において、レーザ光をX軸方向に走査し、点Oに存
在するガス分子11bにレーザ光を照射すると、光音響
信号源はレーザ光の光軸に沿った線音源となり、ガス分
子11bで発生する音源(光音響)の規格化された音響
強度(デシベルあるいはパスカル値)は、レーザ光の光
軸に直交する横方向位置に設置された音響検出手段14
(マイクロフォン36)が、最高になることがわかっ
た。各マイクロフォン36による音響強度の測定値は、
図8に示す指向性分布曲線Cとなった。この音響強度の
指向性分布曲線Cから発振レーザ光の光軸とほぼ直交す
る方向(垂直方向)での測定が有利となることがわかっ
た。
【0087】光音響の指向性評価試験結果から、図6に
示すように、発振パルスレーザ光13の光軸に直交する
方向に音響検出手段14を設置することが、ガス分子1
1bの濃度分布を正確に効率よく測定する上で好ましい
ことがわかった。音響検出手段14の設置位置は、媒質
Mが固体あるいは液体である場合にも同様であり、発振
レーザ光の光軸に直交する方向に設置することが、能率
的な分子濃度分布検出する上で、好ましいことがわかっ
た。ただ、音響強度の指向性分布曲線の拡がりから、発
振レーザ光の光軸とほぼ直交方向に音響検出手段14を
設置することは好ましいが、必ずしもこの設置位置に限
定されない。
【0088】図9は、本発明に係る濃度分布計測装置の
第3実施形態を示す基本的な構成図である。
【0089】図1および図5に示された濃度分布計測装
置と実質的に同じ構成には同一符号を付して説明を省略
する。
【0090】図9に示された濃度分布計測装置10は、
光源12として赤外線レーザ光源等のパルスレーザ光源
12aを用いる。パルスレーザ光源12aから発振され
るパルスレーザ光13は光走査手段26によって二次元
平面P2 上をジグザグ状に走査される。光走査手段26
による平面走査により媒質M中に存在する測定対象分子
11の濃度分布を二次元的あるいは三次元的に計測する
ことができる。
【0091】この濃度分布計測装置10は、駆動制御手
段27によって作動制御され、発振パルスレーザ光13
の走査方向が制御される。駆動制御手段27から出力さ
れる走査方向信号Out3 が濃度分布表示手段18に入力
されるようになっている。
【0092】また、駆動制御手段72は、音響検出手段
14に指向性を持たせるため、音響検出手段14の検出
指向性走査手段40を駆動制御し、光走査手段26の駆
動制御と同期し、あるいは所要のタイムラグを備えて音
響検出手段14であるマイクロフォン14aを特定の方
向に指向させるようになっている。駆動制御手段27
は、光走査手段26による発振パルスレーザ光13の照
射信号(走査方向信号)Out3 に合せて検出指向性走査
手段40を駆動制御し、音響検出手段14であるマイク
ロフォン14aの向き(指向性D1 )を走査するように
なっている。
【0093】しかして、駆動制御手段27から出力され
る走査方向信号Out3 が濃度分布表示手段18に入力さ
れる。濃度分布表示手段18は、駆動制御手段27から
の走査方向信号Out3 と、信号処理手段14から出力さ
れる測定対象分子11の濃度信号Out1 と、位置同定手
段17から出力される位置信号Lとから、測定対象分子
11の二次元あるいは三次元濃度分布が表示されるよう
になっている。そして、この濃度分布表示手段18を用
いて発振パルスレーザ光13の光軸に沿った濃度分布と
して再構成され、発振パルスレーザ光13をライン状
(一次元)あるいは平面状(二次元)走査することによ
り、測定対象分子11の二次元あるいは三次元濃度分布
が再構成されて表示される。
【0094】図9に示す濃度分布計測装置10の他の構
成は、図1または図5に示された濃度分布計測装置と異
ならない。濃度分布計測装置10の測定対象分子11の
濃度測定作用も、図5に示す濃度分布計測装置とほぼ同
一である。図5に示す濃度分布計測装置とは、光走査手
段26を駆動制御する駆動制御手段27が検出指向性走
査手段40を駆動制御し、音響検出手段14の指向性
を、光走査手段26と同期的あるいは所定のタイミング
をとって走査させる以外は異ならない。
【0095】図9に示された濃度分布計測装置10にお
いては、パルスレーザ光源12aから発振されたパルス
レーザ光13を光走査手段26で一次元走査(ライン走
査)あるいは二次元走査(面走査)することで、媒質M
中に拡がる測定対象分子11の二次元あるいは三次元濃
度分布を、指向性をもった音響検出手段14で能率よく
検出し、再構成して濃度分布表示手段18に正確に表示
することができる。
【0096】このように、光走査手段26によるパルス
レーザ光13の照射方向Out3 に合せて指向性音響検出
手段14の指向性D1 が検出指向性走査手段40によっ
て走査されれば、その他の方向から放射される雑音成分
の影響を効果的に除去でき、感度の良い濃度分布計測が
可能となる。
【0097】図10は、本発明に係る濃度分布計測装置
の第3実施形態における具体的な実施例を示す構成図で
ある。
【0098】この実施例に示された濃度分布計測装置1
0の基本的な構成は図9に示す装置とほぼ同様であるの
で、同じ構成には、同一符号を付して説明する。
【0099】図10に示された濃度分布計測装置10は
液体媒質ML 中に存在する測定対象分子11、例えば不
純物の分子の濃度分布を測定するものである。透過性を
有する液体媒質ML 中に測定対象分子11cが存在する
とし、液体媒質ML の音速をvL 、測定対象分子11c
の代表的な光吸収波長をλc とする。
【0100】この濃度分布計測装置10は、光源12に
波長可変半導体レーザ光源12dが用いられる。波長可
変半導体レーザ光源12dから繰返し同期T1 が波長λ
c1からλc2まで時間的に線形に波長掃引されたレーザ光
13aが発振せしめられる。レーザ光源12dから発振
されたレーザ光13aは、ハーフミラー等の分岐用光学
系44で分岐される。なお、発振レーザ13aの波長λ
c は、
【数10】λc1<λc <λc2 の関係に保たれる。
【0101】分岐された発振レーザ光の一方13aは照
射および走査光学系34を介して液体媒質ML に入射さ
れ、液体媒質ML 中を伝播する。液体媒質ML 中を伝播
する発振レーザ光13aが測定対象分子11cに照射さ
れると、この測定対象分子11cが発振レーザ光13a
のエネルギを吸収し、光音響効果で決まる相互作用をす
るようになっている。
【0102】発振レーザ光13aが測定対象分子11c
に照射され、この測定対象分子11cが発振レーザ光1
3aの光エネルギを吸収すると、光音響効果により、圧
力波(音波)PWが発生する。発生した圧力波PWは液
体媒質ML 中を速度vL で伝播する。
【0103】一方、液体媒質ML を収容した容器45内
には音響検出手段14としてパラボラ型ハイドロフォン
46が走査ステージ47に搭載されて収容される。パラ
ボラ型ハイドロフォン46はパラボラ48と液体(水)
中使用のマイクロフォン49とを一体的に組み合せたも
のであり、このパラボラ型ハイドロフォン46により光
音響効果により発生する圧力波PWを検出するようにな
っている。
【0104】また、波長可変半導体レーザ光源12dか
らの発振レーザ光から分岐された他方のレーザ光13b
は測定対象分子11cと同じ分子が封入された光透過性
のある密閉容器50内に入射される。発振レーザ光の他
方13bが入射された密閉容器50内で、分子11cが
発振レーザ光13bの光エネルギを吸収し、光音響効果
により圧力波(音響)を発生させる。密閉容器50内で
光音響効果により発生した圧力波PWは密閉容器50に
取り付けられたマイクロフォン51で検出され、この検
出された圧力波信号が基準信号として信号処理手段15
を構成する相関計52に入力される。
【0105】信号処理手段15の相関計52は相関処理
手段として構成され、この相関計52にパラボラ型ハイ
ドロフォン46で検出された時系列の圧力波信号も入力
され、マイクロフォン51からの基準信号である出力信
号と相関処理される。相関処理された圧力波信号(測定
対象分子11cの濃度信号)は、予め用意された時系列
信号レベル−分子濃度の較正テーブル29から入力され
る較正表と比較され、時系列圧力波信号の各点に相当す
る濃度が同定されるとともに、密閉容器50内で検出さ
れた基準信号である出力圧力波信号からパラボラ型ハイ
ドロフォン46で検出された圧力波信号の遅れ時間が検
出され、算出される。
【0106】相関計52で相関処理された測定対象分子
11cの圧力波信号に相当する分子の濃度信号はCPU
等の演算器53に入力されて演算処理される。この演算
器53は、図4および図6に表示されたデジタル信号処
理装置28に相当するものであり、内部に時間差測定手
段16および位置同定手段17を備えている。
【0107】演算器53の時間差測定手段16にはマイ
クロフォン51からの出力圧力差信号も入力され、この
出力圧力差信号と相関計52からの測定された測定対象
分子11cの圧力波信号(測定遅れ時間)との時間差が
算出され、この時間差信号と液体媒質ML 中の既知の音
速vL から位置同定手段17により時系列圧力波信号の
各点の発生位置、すなわち測定対象分子11cの位置が
同定される。位置同定手段71からの出力位置信号Lが
画像処理装置55に出力される。
【0108】また、波長可変半導体レーザ光源12dか
ら液体媒質ML に向けて発振されたレーザ光13aは駆
動制御装置35により駆動制御される走査光学系34に
よって二次元的に面走査される。一次元的にライン走査
してもよい。
【0109】そして、駆動制御装置35に駆動制御され
る走査光学系34の照射走査方向をベースにパラボラ型
ハイドロフォン46も走査ステージ47によって適切な
方向に向けられる。
【0110】しかして、液体媒質ML 中に入射され、伝
播される二次元(あるいは一次元)的な照射方向信号、
位置同定手段17で同定された出力位置信号、およびパ
ラボラ型ハイドロフォン46で検出された圧力波信号
(測定対象分子11cの濃度信号)は図示しないA/D
変換器でデジタル信号に変換されて画像処理装置55に
取り込まれ、三次元濃度分布(または二次元濃度分布)
として再構成され、結果がディスプレー等の濃度分布表
示手段18に表示される。
【0111】この濃度分布計測装置10においては、波
長可変半導体レーザ光源12dの波長掃引周期T1 をM
系列信号等を用いて種々変化させれば、周期的な雑音成
分を効率的に除去でき、S/N比の優れた信号検出が可
能となる。
【0112】図11は、本発明に係る濃度分布計測装置
の第4実施形態を示す基本的な構成図である。
【0113】図1に示される濃度分布計測装置と実質的
に同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0114】図11に示された濃度分布計測装置10は
光源12として波長掃引光源12eが用いられる。波長
掃引光源12eは測定対象分子11によって強く光吸収
される波長λ0 付近で波長掃引されるようになってい
る。具体的には波長掃引光源12eからの連続発振波長
の時間変化に示す図12のように、波長λ0 付近の所定
の波長領域において、波長λ0 を挟んで一方の波長λ1
から他方の波長λ2 に繰返し波長掃引するものである。
【0115】波長掃引光源12eから発振された波長掃
引のレーザ光から波長λ0 のレーザ光の発振時間を測定
する発振時間測定手段57が設けられ、この発振時間測
定手段57により、波長λ0 のレーザ光が発振される発
振タイミングt4 が測定される。この波長λ0 は、測定
対象分子11が強く光吸収される波長に等しい。
【0116】発振時間測定手段57で検出された発振タ
イミングt4 は時間差測定手段16に入力される一方、
音響検出手段14にて検出された圧力波PWの検出タイ
ミングt3 が時間差測定手段16に入力され、この時間
差測定手段16で波長掃引光の発振タイミングから音響
検出手段14によって圧力波PWが検出されるまでの時
間差t1 を検出している。この時間差信号t1 は位置同
定手段17に入力される。位置同定手段17は媒質M中
を伝播される圧力波PWの速度が予め既知であるので、
既知の圧力伝播速度と時間差t1 とから圧力波PWの発
生位置を同定することができる。
【0117】図11に示す濃度分布計測装置10は、測
定対象分子11が強く光吸収する波長域付近で波長掃引
される波長掃引光源12eを用いたので、この波長掃引
光源12eがλ1 からλ2 まで波長が掃引される間に必
ず1度、光源12eから完全にλ0 に波長チューニング
された光13が発振されることになる。このような波長
掃引光源12eを用いれば、常に厳密にλ0 にチューニ
ングされた光源を用いることなく、効率の良い計測を行
なうことが可能となる。さらに、波長掃引光源12eが
波長λ0 の光を発振した時間t4 から音響検出手段14
によって圧力波PWが検出されるまでの時間差t1 を計
測する時間差計測手段16を用いれば、図1に示された
濃度分布計測装置と同様の作用によって圧力波の発生位
置を同定することが可能となる。
【0118】なお、本発明の各実施形態では光源として
パルスレーザ光源や波長掃引光源を用いた例を示した
が、パルスレーザ光源あるいは波長掃引光源は例えば赤
外線レーザ光源で構成される。パルスレーザ光源は波長
可変の半導体レーザ光源で構成しても、またはラマンレ
ーザ光源で構成してもよい。
【0119】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る濃度
分布計測装置においては、固体、液体あるいは気体など
の媒質中に存在する固相、液相あるいは気相の測定対象
分子の分子濃度を、発振光の光軸方向に沿って時間分割
することで濃度分布測定系の中で位置が既知の背景雑音
源の影響を効果的に除去できるので、測定対象分子の光
軸に沿った濃度分布あるいは光軸を含む二次元あるいは
三次元濃度分布情報として効率的に精度よく測定するこ
とができる。
【0120】請求項1に係る濃度分布計測装置において
は、光源からの発振タイミングと音響検出手段によって
検出される圧力波の検出タイミングを時間差計測手段に
入力して時間差を検出し、この時間差から圧力波の発生
位置を位置同定手段で同定したので、媒質中に存在する
測定対象分子の濃度と圧力波発生位置を計測でき、測定
対象分子の濃度分布を測定することができる。
【0121】請求項2に係る濃度分布計測装置において
は、駆動制御手段によって光走査手段を駆動制御し、発
振光を一次元ライン上あるいは二次元平面上に走査した
ので、駆動制御手段から出力される発振光の走査方向信
号と、位置同定手段から出力される位置信号と、信号処
理手段から出力される分子の濃度信号から発振光の光軸
に沿った測定対象分子の二次元または三次元濃度分布を
再構成し、濃度分布表示手段で簡単かつ容易に表示で
き、測定対象分子の光軸方向に沿う二次元あるいは三次
元濃度分布を目視で確認でき、迅速な対応を図ることが
できる。
【0122】請求項3に係る濃度分布計測装置において
は、濃度情報補正手段を備えて、媒質中の伝播距離によ
る減衰補正を分子濃度信号に加えたので、到達した圧力
波レベルから光軸に沿った測定対象分子の濃度分布を換
算する際、伝播距離による圧力波の減衰を補正し、より
正確な測定対象分子の濃度分布情報を検知することがで
きる。
【0123】請求項4に係る濃度分布計測装置において
は、音響検出手段の指向性を走査する検出指向性走査手
段を備えたから、音響検出手段を圧力波の発生位置側の
最適方向に向けることができ、検出指向性走査手段によ
って音響検出手段を走査させれば、その他の方向から放
射される雑音成分の影響を効果的に除去し、より感度の
良い濃度分布計測が可能となる。
【0124】請求項5に係る濃度分布計測装置において
は、測定された時系列圧力波信号の平均化処理を行なう
平均化処理手段を信号処理手段に有することにより、圧
力波信号に含まれるランダム雑音を除去することがで
き、圧力波信号をS/N比よく計測することが可能とな
り、より広範囲の計測、より低濃度までの濃度計測がで
きるようになる。
【0125】請求項6に係る濃度分布計測装置において
は、音響検出手段を発振光の光軸とほぼ直交する方向の
延長線上に配置することにより、圧力波の光音響の指向
性を考慮して音響検出手段を設置することができ、圧力
波の検出を効率よく能率的に行なうことができる。
【0126】請求項7に係る濃度分布計測装置において
は、大気中のガス分子のみでなく、固体、液体あるいは
気体媒質中に含まれる固相、液相あるいは気相分子の濃
度分布測定に拡張できる。
【0127】請求項8および9に係る濃度分布計測装置
においては、測定対象分子は、炭化水素ガスであり、光
源に赤外線レーザ光源あるいはラマンレーザ光源を用い
たので、炭化水素ガスの光吸収波長域のレーザ光を簡単
かつ容易に発振させることができ、温度制御等の煩雑な
発振光の波長制御を行なうことなく、常に光源波長が測
定対象分子の光吸収スペクトルと一致するような波長掃
引可能な光源を提供することが可能となる。
【0128】請求項10に係る濃度分布計測装置におい
ては、赤外線レーザ光あるいはラマンレーザ光源を用い
てメタンガスの光吸収波長域のレーザ光を発振させるこ
とができるので、気体媒質、例えば大気中に含まれるメ
タンガスの濃度分布を簡単かつ容易に検出できる。
【0129】請求項11に係る濃度分布計測装置におい
ては、波長掃引光源を用いて測定対象分子の強い光吸収
波長域で簡単に波長掃引させることができ、温度制御等
の煩雑な処置なしに、常に光源波長が測定対象分子の吸
収スペクトルと一致するような光源を提供することが可
能となる。
【0130】請求項12に係る濃度分布計測装置におい
ては、相関処理手段が設けられて、音響検出手段で測定
された時系列の出力信号と基準信号とが相関処理され、
時系列出力信号の各点に相当する分子濃度が同定される
とともに、その遅れ時間が検出され、時系列出力信号の
各点の発生位置を同定することが容易となる。
【0131】請求項13に係る濃度分布計測装置におい
ては、赤外線レーザ光源からの発振タイミングと音響検
出手段の測定された時系列出力信号の周期とを同期させ
ることにより、周波数同調が生じて、S/N比のよい信
号検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る濃度分布計測装置の第1実施形態
を示す基本的な構成図。
【図2】本発明に係る濃度分布計測装置の第1実施形態
における変形例を示す構成図。
【図3】測定対象分子が分布している媒質空間を伝播さ
れる光の光強度分布を示す図。
【図4】本発明に係る濃度分布計測装置の第1実施形態
における具体的な実施例を示す構成図。
【図5】本発明に係る濃度分布計測装置の第2実施形態
を示す基本的な構成図。
【図6】本発明に係る濃度分布計測装置の第2実施形態
における具体的な実施例を示す構成図。
【図7】光音響信号の指向性評価試験に用いられる試験
装置のレイアウトを示す原理図。
【図8】光音響?の指向性評価試験における音響強度の
指向性分布曲線を示す測定図。
【図9】本発明に係る濃度分布計測装置の第3実施形態
を示す基本的な構成図。
【図10】本発明に係る濃度分布計測装置の第3実施形
態における実施例の構成図。
【図11】本発明に係る濃度分布計測装置の第4実施形
態を示す基本的な構成図。
【図12】波長掃引光源からの発振波長の時間変化の一
例を示す図。
【図13】従来のガス漏洩検出装置を示す構成図。
【図14】従来技術における背景雑音の発生例を示す
図。
【符号の説明】
10 濃度分布計測装置 11 特定分子(測定対象分子) 11a 特定分子 11b ガス分子 11c 測定対象分子 12 光源 12a パルスレーザ光源 12b 波長可変光源 12c ラマンレーザ光源 12d 波長可変半導体レーザ光源 13 パルスレーザ光 14 音響検出手段 14a マイクロフォン 14b 圧電素子 14c マイクロフォンアレイ 15 信号処理手段 16 時間差測定手段 17 位置同定手段 18 濃度分布表示手段(ディスプレー) 20 濃度情報補正手段 23 走査光学系 24 カップラント(音響カプラ) 25 シグナルアベレージャ(平均化処理手段) 26 光走査手段 27 駆動制御手段 28 デジタル信号処理手段 29 較正テーブル 30 濃度較正手段 32 励起用パルス光源 33 ラマンセル 34 照射および走査光学系 35 駆動制御装置 36 マイクロフォン 37 指向性信号処理回路 38 指向性駆動制御装置 40 検出指向性走査手段 44 分岐用光学計 45 容器 46 パラボラ型ハイドロフォン 47 走査ステージ 50 密閉容器 51 マイクロフォン 52 相関計(相関処理手段) M 媒質 PW 圧力波
フロントページの続き (72)発明者 黒木 雅彦 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社 エネルギー・環境 研究所内 (72)発明者 倉澤 英暁 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社 エネルギー・環境 研究所内 (72)発明者 落合 誠 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 向井 成彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 相川 徹郎 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 横山 邦彦 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会 社東芝 本社事務所内 (56)参考文献 特開 平5−66192(JP,A) 特開 平9−101230(JP,A) 特表 平6−510121(JP,A) Tom McRae,Photo−A coustic Leak Locat ion and Alam,1993 FA LL CONFFERENCE QUA LITY TESTING SHOW, 米国,1994年 3月15日,1993,PAG E.97−99 吉田豊 他,レーザ音響効果を用いた ガスの定量化に関する基礎的研究,研 究・業績発表講演会講演要旨集 S62年 度春季大会,日本,1987年 5月21日, PAGE.41−42 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/00 - 3/40 G01N 21/00 - 21/61 G01N 29/00 - 29/28 JICSTファイル(JOIS)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象分子によって強く吸収される波
    長のパルス光あるいは変調光を発振する光源と、この光
    源からの発振光と前記分子の相互作用による光音響効果
    で発生する圧力波を検出する音響検出手段と、この音響
    検出手段の出力信号を前記測定対象分子の濃度信号ある
    いはアラーム信号に変換する信号処理手段と、前記光源
    の発光から音響検出手段によって圧力波が検出されるま
    での時間差を計測する時間差計測手段と、前記時間差計
    測手段の出力信号から圧力波の発生位置を同定する位置
    同定手段を備えたことを特徴とする濃度分布計測装置。
  2. 【請求項2】 光源からの発振光を二次元平面上あるい
    は一次元のライン上に走査する光走査手段と、この光走
    査手段を駆動制御する駆動制御手段と、駆動制御手段か
    ら出力される発振光の走査方向信号と前記位置同定手段
    から出力される位置信号と、前記信号処理手段から出力
    される分子の濃度信号から、前記光源からの発振光の光
    軸に沿った前記分子の三次元または二次元濃度分布を再
    構成し、表示する濃度分布表示手段を備えた請求項1に
    記載の濃度分布計測装置。
  3. 【請求項3】 前記信号処理手段から出力される測定対
    象分子の濃度信号を入力する濃度情報補正手段を備え、
    この濃度情報補正手段は位置同定手段から出力される位
    置信号を入力して、分子濃度信号に媒質中伝播距離によ
    る減衰補正を加えた請求項1または2に記載の濃度分布
    計測装置。
  4. 【請求項4】 光走査手段による発振光の照射方向に合
    せて音響検出手段の指向性を走査する検出指向性走査手
    段を備え、上記音響検出手段はある特定方向に指向性を
    有する請求項2に記載の濃度分布計測装置。
  5. 【請求項5】 信号処理手段は、音響検出手段から出力
    される測定圧力波信号の平均化処理を行なう平均化処理
    手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の濃度
    分布計測装置。
  6. 【請求項6】 音響検出手段は発振光の光軸とほぼ直交
    する方向の延長線上に配置された請求項1ないし5のい
    ずれかに記載の濃度分布計測装置。
  7. 【請求項7】 測定対象分子は、固体、液体あるいは気
    体媒質に含まれる固相、液相あるいは気相分子である請
    求項1ないし6のいずれかに記載の濃度分布計測装置。
  8. 【請求項8】 測定対象分子は、気体媒質中に含まれる
    メタンガス等の炭化水素ガスであり、光源は、炭化水素
    ガスが強く光吸収する波長域で発振する赤外線レーザ光
    源である請求項7に記載の濃度分布計測装置。
  9. 【請求項9】 光源は、測定対象分子をラマン媒質とし
    たラマンレーザ光源である請求項7に記載の濃度分布計
    測装置。
  10. 【請求項10】 測定対象分子はメタンガスであり、光
    源は1.33μmの波長帯域、1.66μmの波長帯域
    あるいは3.39μmの波長帯域で発振する赤外線レー
    ザ光源あるいはメタンガスをラマン媒質としたラマンレ
    ーザ光源である請求項7に記載の濃度分布計測装置。
  11. 【請求項11】 測定対象分子によって強く吸収される
    波長域の光を発振する光源と、この光源からの発振光と
    測定対象分子の相互作用による光音響効果で発生する圧
    力波を検出する音響検出手段と、この音響検出手段の出
    力信号を前記測定対象分子の濃度信号あるいはアラーム
    信号に変換する信号処理手段と、前記測定対象分子によ
    って強く吸収される波長の光を発振した時間を測定する
    発振時間測定手段と、前記発振時間測定手段で検出した
    発振タイミングから音響検出手段によって圧力波が検出
    されるまでの時間差を計測する時間差計測手段と、前記
    時間差計測手段の出力信号から圧力波の発生位置を同定
    する位置同定手段とを備え、前記光源は測定対象分子の
    強い光吸収波長域で波長掃引される波長掃引光源である
    ことを特徴とする濃度分布計測装置。
  12. 【請求項12】 信号処理手段は、音響検出手段で測定
    された出力信号と基準信号とを相関処理させる相関処理
    手段を有し、相関処理手段で処理される基準信号は光源
    からの発振タイミングあるいは測定対象分子に強く光吸
    収される波長の掃引光を発振させる波長掃引光源からの
    発振タイミングと同期した信号である請求項1または1
    1に記載の濃度分布計測装置。
  13. 【請求項13】 光源はパルスレーザ光あるいは測定対
    象分子の強い光吸収波長域で波長掃引される波長掃引光
    を出力する赤外線レーザ光源であり、赤外線レーザ光源
    からの発振タイミングを音響検出手段の時系列測定出力
    信号の周期と同期させた請求項1または11に記載の濃
    度分布計測装置。
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Tom McRae,Photo−Acoustic Leak Location and Alam,1993 FALL CONFFERENCE QUALITY TESTING SHOW,米国,1994年 3月15日,1993,PAGE.97−99
吉田豊 他,レーザ音響効果を用いたガスの定量化に関する基礎的研究,研究・業績発表講演会講演要旨集 S62年度春季大会,日本,1987年 5月21日,PAGE.41−42

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