JP3524207B2 - カラー受像管の製造方法 - Google Patents

カラー受像管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管の製造
方法に係り、特にシャドウマスクの熱膨張を抑制して、
色純度の劣化をおこしにくいカラー受像管の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般にカラー受像管は、図5に示すよう
に、有効部1が曲面からなるパネル2と漏斗状のファン
ネル3とからなる外囲器を有し、そのパネル2の有効部
1内面に、青、緑、赤に発光する3色蛍光体層からなる
蛍光体スクリーン4が設けられ、この蛍光体スクリーン
4に対向かつ所定間隔(q値)離れて、その内側に下記
シャドウマスク5が配置されている。一方、ファンネル
3のネック6内に3電子ビーム7B ,7G ,7R を放出
する電子銃8が配設されている。そして、この電子銃8
から放出される3電子ビーム7B ,7G ,7R をファン
ネル3の外側に装着された偏向装置9の発生する磁界に
より偏向し、シャドウマスク5を介して蛍光体スクリー
ン4を水平、垂直走査することにより、カラー画像を表
示する構造に形成されている。
【0003】上記シャドウマスク5は、電子銃8から放
出される3電子ビーム7B ,7G ,7R がそれぞれ所定
の3色蛍光体層に正しくランディングするように選別す
るためのものであり、図6に示すように、蛍光体スクリ
ーン側を凸曲面とする主面部11に多数の開孔が所定の
配列で形成されたマスク本体12と、このマスク本体1
2の周辺部に取付けられたマスクフレーム13とからな
り、図5に示したように、パネル2に設けられた複数個
のスタッドピン14と、マスクフレーム13に取付けら
れて、上記スタッドピン14に係止する複数個の弾性支
持体15とにより、パネル2の内側に支持されている。
そのマスク本体12の開孔には、円形状のものと矩形状
のものとがあり、開孔が円形状のシャドウマスク5は、
主として、文字や図形などを表示するディスプレイ用カ
ラー受像管に、開孔が矩形状のシャドウマスク5は、一
般家庭で用いられる民生用カラー受像管に用いられてい
る。
【0004】ところで、このカラー受像管においては、
マスク本体12の開孔を通って蛍光体スクリーンに達す
る電子ビームは、電子銃から放出される全電子ビームの
15〜20%程度であり、他の電子ビームは、そのほと
んどがシャドウマスク5に衝突して、マスク本体12
80℃程度まで加熱する。従来のシャドウマスク5で
は、一般にマスク本体12は、熱膨張係数が12×10
−6/℃(10〜20℃)である板厚が0.1〜0.3
mm程度の冷間圧延鋼板(軟鋼板)で形成されているた
め、上記加熱によりマスク本体12は熱膨張し、蛍光体
スクリーン方向に膨出する、いわゆるドーミングをおこ
す。その結果、蛍光体スクリーンとシャドウマスク5と
の間隔が所定のq値からずれ、電子ビームがそれぞれ所
定の蛍光体層に正しくランディングしなくなり、色純度
の劣化が生ずる。
【0005】このマスク本体12の熱膨張による電子ビ
ームのランディングずれは、人間工学的見地からパネル
の有効部を平坦化して外光の反射を少なくし、かつ画像
の歪を少なくしたFS(Flat Square)管の場合、特に
大きくなる。すなわち、FS管は、パネルの有効部の平
坦化に対応して、マスク本体の主面部も平坦化され、通
常のカラー受像管のシャドウマスクにくらべて、マスク
本体の曲率半径が大きい。そのため、仮に通常のカラー
受像管のマスク本体と同程度に熱膨張したとしても、結
果的に蛍光体層に対する電子ビームのランディングずれ
が大きくなり、色純度の劣化が顕著となる。
【0006】上記マスク本体の熱膨張による色純度の劣
化を防止する手段として、特公昭42−25446号公
報などには、熱膨張係数が冷間圧延鋼板の約1/10で
ある鉄−ニッケル合金からなるアンバーなどの低熱膨張
材を用いてマスク本体を形成することが示されている。
このように低熱膨張材でマスク本体を形成すると、ドー
ミングを小さくして蛍光体層に対する電子ビームのラン
ディングずれを小さくし、色純度の劣化を軽減すること
ができる。しかし低熱膨張材は、価格が高く、またアニ
ール後の降伏点強度が高いため、マスク本体の成形歩留
が低くなる。そのため、マスク本体が冷間圧延鋼板から
なるカラー受像管にくらべて、価格が高くなる。
【0007】またマスク本体の熱膨張による色純度の劣
化を防止する他の手段として、マスク本体に被膜を形成
し、この被膜の作用によりドーミングを抑制して、色純
度の劣化を軽減する下記(イ)乃至(ニ)に示す方法が
ある。
【0008】(イ) 特開昭60−54139号公報な
どに示されている方法で、マスク本体の表面に鉛ホウ酸
塩の結晶化ガラスを塗布し、その被膜を高温度の熱処理
により溶融結合して、ドーミング抑制作用をもたせる方
法である。しかしこのような方法は、被膜中に有害な鉛
を含むため、作業環境や公害の面から取扱いに注意が必
要であり、好ましいものではない。
【0009】(ロ) 特公昭60−14459号公報に
示されている方法で、マスク本体の電子銃側の面に、原
子番号が70を越える重金属物質の粒子を含む形成液、
たとえば酸化ビスマス粒子を含む水溶性懸濁液をスプレ
ー法により塗布して、電子反射被膜を形成する方法であ
る。しかしこの方法は、電子ビームを反射してマスク本
体の加熱を防止する作用が十分でなく、その結果生ずる
ドーミングに対しては十分な抑制作用がなく、色純度の
劣化防止に対して所望の効果が得られない。
【0010】(ハ) 特開平4−48530号公報に示
されている方法で、マスク本体の電子銃側の面に、酸化
ビスマス粒子、タングステン粒子および部分黒鉛化炭素
粒子を水ガラスと混ぜた形成液をスプレー法により塗布
して、電子ビームの反射以外に熱伝導や熱輻射を高め、
それにより、マスク本体のドーミングを抑制する方法で
ある。この方法によれば、色純度の劣化を比較的良好に
防止することができる。しかしこの方法は、塗布液中の
材料粒子を平均粒径が約2μm になるまで、ボールミル
などにより粉砕しなければならず、その均一粉砕がむつ
かしく、シャープな粒度分布が得られない。そのため、
上記形成液を塗布すると、マスク本体の開孔形状の変化
や孔づまりが発生しやすい。これを防ぐためには、被膜
の厚さを3μm 程度に制御することが必要であるが、粒
度分布がシャープでなく、かつ比重の異なる粒子を均一
に混じり合わせた状態でスプレーすることが困難なた
め、均一な被膜が得にくい。
【0011】(ニ) 特開昭62−11024号公報に
示されている方法で、マスク本体の表面に非晶質の金属
酸化物などをバインダーとして原子番号の小さい金属を
含む導電性の被膜を形成して、熱輻射の向上とともに、
帯電による電子ビームの軌道変化を防止し、それにより
色純度の劣化を防止する方法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、シャド
ウマスクの熱膨張によるカラー受像管の色純度の劣化を
防止する手段として、従来よりマスク本体の表面に電子
反射、熱伝導、熱輻射などを高める被膜を形成する方法
が知られている。しかしこのような方法は、被膜を形成
しない場合にくらべて、マスク本体に被膜を形成するた
めの形成液を塗布して所定の被膜を形成する工程、およ
び塗膜を焼成する高温度の熱処理工程が必要であり、設
備的、経済的負担が大きい。
【0013】特にマスク本体の電子銃側の面に被膜を形
成する場合は、電子銃から放出された電子ビームの衝撃
によりガス放出の可能性が大きく、その放出ガスにより
電子銃のカソードが被毒し、電子放出特性が劣化してカ
ラー受像管の寿命を短くする。その放出ガス量を少なく
するためには、被膜の焼成を高温度でおこなえばよい
が、所定形状に成形されたマスク本体は、650℃以上
の高温度で熱処理すると、変形するため、高温度熱処理
が不可能であり、被膜から十分にガスを放出させること
ができない。
【0014】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、工程数の増加させることなくマスク本体の
電子銃側の面にカソードの電子放出特性を劣化させない
電子反射膜を形成し、この電子反射膜により電子ビーム
の衝突によるマスク本体の熱膨張を緩和して、色純度の
劣化をおこさないカラー受像管とすることができる製造
方法を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】カラー受像管の製造方法
において、軟鋼板に多数の開孔を形成し、この開孔の形
成された軟鋼板の一方の面に電子反射膜形成用成膜液を
塗布して電子反射膜形成用被膜を形成し、この電子反射
膜形成用被膜の形成された軟鋼板をアニールすると同時
に電子反射膜形成用被膜を焼成して電子反射膜を形成し
たのち、この電子反射膜の形成された軟鋼板をプレス成
形してマスク本体とし、このマスク本体を用いてカラー
受像管を組立てた。
【0016】
【0017】さらに、酸化タングステン微粒子とリン酸
アルミニウムを主成分とし、酸化タングステン微粒子を
15〜50重量%含有する電子反射膜形成用形成液を塗
布して電子反射膜形成用被膜を形成するようにした。
【0018】
【作用】上記のように、開孔の形成された軟鋼板の一方
の面に形成された電子反射膜形成用被膜を焼成して電子
反射膜を形成したのち、この電子反射膜の形成された軟
鋼板を成形してマスク本体を形成すると、成形後のマス
ク本体では変形のため実施できない高温度で電子反射膜
形成用被膜を焼成することができ、膜の付着力を高める
ことができる。また軟鋼板および電子反射膜形成用被膜
を構成する材料の結晶水や被膜に吸蔵されているガスを
十分に放出させることができる。その結果、カソードの
電子放出特性を劣化させない電子反射膜が得られ、長寿
命かつマスク本体の熱膨張による色純度の劣化をおこし
にくいカラー受像管とすることができる。しかも電子反
射膜形成後に成形すると、その電子反射膜がプレス成形
時の潤滑油の作用をし、潤滑油の使用量を少なくでき、
かつ成形後の脱脂洗浄を簡略化することができる。
【0019】また、電子反射膜形成用被膜の形成された
軟鋼板のアニールと同時に電子反射膜形成用被膜を焼成
して電子反射膜を形成すると、マスク本体の製造工程を
短縮でき、かつ格別の焼成炉を設けることなく電子反射
膜を形成することができる。
【0020】さらに、酸化タングステン微粒子とリン酸
アルミニウムを主成分とし、酸化タングステン微粒子を
15〜50重量%含有する電子反射膜形成用形成液を塗
布して電子反射膜形成用被膜を形成すると、焼成後に得
られる電子反射膜を酸化タングステン微粒子相互が繋が
った網目構造とすることができ、一般に強固な無機質の
連続膜をプレス成形するとき生じやすい膜剥がれを防止
することができる。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。
【0022】カラー受像管の製造は、図3に示すよう
に、まず後述する方法により製作されたマスク本体にマ
スクフレームを溶接してシャドウマスクを組立て、この
シャドウマスクのマスクフレームに、パネルの有効部内
面との間隔が所定の間隔となるように弾性支持体を溶接
し、その弾性支持体をパネルに設けられたスタッドピン
に着脱可能に係止して、パネル・マスク組合体を組立て
る。つぎにこのパネル・マスク組合体について、そのパ
ネルの有効部の内面に、写真印刷法によりシャドウマス
クを露光用マスクとして蛍光体スクリーンを形成する。
一方、ファンネルの内面に酸化鉄を主成分とする導電塗
料を塗布して、内面導電膜を形成する。
【0023】つぎに上記蛍光体スクリーンが形成されか
つシャドウマスクの装着されたパネルと上記内面導電膜
の形成されたファンネルを組合わせて加熱炉に入れ、フ
リットガラスによりそれらを一体に接合(封着)する。
ついでその一体に接合されたパネルおよびファンネルか
らなる外囲器のネック内に電子銃を封止する。そしてこ
の電子銃の封止された外囲器を排気する。
【0024】その後、外囲器内真空度を高めるために、
外囲器内に配置されたゲッターを加熱して飛散させ、さ
らに電子銃のカソードからの電子放出を安定化させるエ
ージング、耐電圧を高めるための耐電圧処理を施したの
ち、特性検査をおこなうことにより製造される。
【0025】上記マスク本体の製造は、図1に示すよう
に、まずフォトエッチング法により冷間圧延鋼板(軟鋼
板)に、多数の円形状または矩形状の開孔を所定の配列
で形成して平板状のフラットマスクを形成する。
【0026】つぎに、このフラットマスクの電子銃側と
なる一方の面に、下記電子反射膜形成用形成液を、エア
スプレーあるいはエアレススプレー法により塗布して電
子反射膜形成用被膜を形成する。その電子反射膜形成用
形成液は、少なくとも三酸化タンステン(WO)を
主成分とする酸化タンステン粒子およびリン酸アルミ
ニウム(Al・3P・6HO)を含有
し、粒径1μm以下の球状の酸化タングステン微粒子を
15〜50%含む液からなる。つぎに上記電子反射膜形
成用被膜の形成されたフラットマスクをアニール炉にい
れて、600〜800℃でアニール処理すると同時に、
電子反射膜形成用被膜を焼成して、膜厚2〜15μmの
電子反射膜を形成する。
【0027】つぎに上記のようにアニールされかつ電子
反射膜の形成されたフラットマスクをプレス加工装置に
より所定のマスク本体形状にプレス成形する。さらにこ
の成形マスクを洗浄して、成形時に付着したプレス油な
どの表面の汚れを除去する。その後、この洗浄されたマ
スク本体を黒化炉に入れて、550〜650℃でその表
面を黒化処理したのち、表面状態を検査することにより
所要のマスク本体が得られる。
【0028】上記マスク本体の製造方法が従来の製造方
法と異なる点は、第1に、フラットマスクの状態で電子
反射膜を形成すること第2に、その電子反射膜の形成を
フラットマスクのアニール処理と同時におこなうこと第
3に、特定組成の電子反射膜形成用形成液を用いること
にある。
【0029】すなわち、従来のマスク本体の製造方法
は、図2に示すように、フォトエッチング法により平板
状のフラットマスクを形成したのち、順次、アニール処
理→プレス成形→洗浄→黒化処理→検査して、マスク本
体を製作し、このマスク本体に電子反射膜形成用形成液
を塗布し、焼成して所要のマスク本体を製造している
が、この例のマスク本体の製造方法では、上記のように
フラットマスクの状態で電子反射膜を形成し、しかもそ
の電子反射膜を形成するための焼成をアニール処理と同
時におこなっている。
【0030】このように電子反射膜をフラットマスクの
状態で形成すると、つぎのような効果が得られる。 (イ) 高温度の焼成が可能となり、電子反射膜の付着
力を高めることができる。すなわち、リン酸アルミニウ
ムを結着剤とする電子反射膜に十分な付着力や耐水性を
与えるためには、520℃以上の熱処理が必要である
が、一般にカラー受像管の製造工程における最高熱処理
温度は、ガラスからなるパネルの変形防止上、ガラスの
転位点以下の約460℃が限界であり、520℃以上の
温度で加熱することができない。一方、所定の形状に成
形されたマスク本体を650℃以上の温度で熱処理する
と変形しやすい。しかしフラットマスクの状態では、6
50℃以上の温度で熱処理することが可能であり、その
高温度の熱処理により電子反射膜の付着力を高めること
ができる。 (ロ) フラットマスクの状態で高温度で熱処理するこ
とにより、軟鋼板および電子反射膜形成用被膜を構成す
る材料の結晶水や吸蔵ガスを十分に放出させることがで
きる。その結果、カラー受像管に組込み、動作時に電子
ビームが衝突してもガス放出が少なく、電子銃を構成す
るカソードの劣化を軽減でき、長寿命カラー受像管が得
られる。 (ハ) フラットマスクの一方の面に微粒子からなる電
子反射膜を形成したのち、マスク本体に成形すると、そ
の電子反射膜がプレス成形時の潤滑油の作用をする。そ
のため、潤滑油の使用量を少なくでき、かつ成形後の脱
脂洗浄を簡略化することができる。 (ニ) プレス成形するためのアニールと同時に電子反
射膜形成用被膜を焼成するため、マスク本体の製造工程
を短縮でき、かつ格別の焼成炉を設置することなく電子
反射膜を形成することができる。 (ホ) 酸化タングステン粒子およびリン酸アルミニウ
ムを主成分として、粒径1μm 以下の球状の酸化タング
ステン微粒子15〜50%含む特定組成の電子反射膜形
成用形成液を用いることにより、プレス成形しても膜剥
がれの生じない電子反射膜とすることができる。
【0031】すなわち、一般に強固な無機質の連続膜の
形成された材料をプレス成形すると、膜はがれが生じや
すいが、上記特定組成の電子反射膜形成用形成液を用い
て電子反射膜を形成すると、僅かな量で緻密構造の膜を
形成することができ、かつ個々の粒子が網目構造のよう
につながった膜とすることができ、プレス成形しても膜
剥がれの生じない膜とすることができる。
【0032】なお、電子反射膜形成用形成液中の酸化タ
ングステン微粒子の含有量を15〜50%としたが、こ
れは、15%よりも少なくなると、均一に分散しにくく
なるばかりでなく、マスク本体の熱膨張による蛍光体ス
クリーン上における電子ビームのランディングずれ、す
なわち、ュリティ・ドリフト抑制効果が減少する。ま
た50%よりも多くなると、膜の付着力が不十分とな
り、粒子の脱落による不良が生じやすくなるためであ
る。
【0033】また、電子反射膜の膜厚を2〜15μmと
したが、これは、2μmよりも薄くなると、ュリティ
・ドリフト抑制効果が減少し、15μmよりも厚くなる
と、マスク本体の開孔の孔づまりや酸化タングステン粒
子の脱落による不良が生じやすくなるばかりでなく、プ
レス成形時に電子反射膜が剥がれやすくなるためであ
る。
【0034】なおまた、酸化タングステン粒子を用いて
電子反射膜を形成すると、その高い熱放射率および電子
反射能力により、ュリティ・ドリフト抑制効果を向上
させることができる。すなわち、完全黒体の熱放射率を
1とすると、従来電子反射膜の主成分として知られてい
る酸化ビスマスの熱放射率は0.8〜0.85、タング
ステンは0.95〜0.98、三酸化タングステンは
0.92〜0.95であり、三酸化タングステンを主成
分とする酸化タングステン粒子を用いることにより、タ
ングステン粒子からなる膜と同等であり、四三酸化鉄や
酸化ビスマスからなる膜よりも、熱放射率の高い電子反
射膜を形成することができる。
【0035】実際に25インチカラー受像管に上記方法
により製造されたマスク本体を組込んで特性を評価し、
つぎの結果が得られた。
【0036】フラットマスクの電子銃側となる一方の面
に酸化タングステン微粒子30%含む電子反射膜形成用
形成液を塗布して電子反射膜を形成したマスク本体をカ
ラー受像管に組込み、陽極電圧26 kV、カソード電流
1330 mAで、図4に示すように、蛍光体スクリーン
4の中心から水平方向(X軸方向)に160mm離れた位
置に幅88mmの帯状の白色パターン20を描き、スイッ
チ・オン後、シャドウマスクの熱膨張により時間ととも
に変化する蛍光体スクリーン4上での電子ビームの移動
量を白色パターン20の中心21(X軸上の点)におい
て測定した。その結果、表1に示すように、電子反射膜
を形成しないマスク本体を組込んだカラー受像管での電
子ビームの移動量を100%とした場合、この例のマス
ク本体を組込んだカラー受像管では、68%と、上記電
子反射膜を形成しないマスク本体を組込んだカラー受像
管に対して32%改善することができた。
【0037】
【表1】
【0038】また上記カラー受像管を長時間動作させた
ときの電子放出特性の劣化を測定(寿命試験)した結
果、表2に示すように、電子反射膜を形成しないマスク
本体を組込んだカラー受像管の3000時間後の電子放
出量を100%とした場合、この例のマスク本体を組込
んだカラー受像管では、98%とほぼ同等の特性が得ら
れた。しかも管内ガスによる蛍光体スクリーンのイオン
焼けも認められなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】開孔の形成された軟鋼板の一方の面に電
子反射膜形成用被膜を形成し、この電子反射膜形成用被
膜の形成された軟鋼板を焼成して電子反射膜を形成した
のち、この電子反射膜の形成された軟鋼板を成形してマ
スク本体を形成すると、成形後のマスク本体では変形の
ため実施できない高温度で電子反射膜形成用被膜を焼成
することができ、電子反射膜の付着力を高くすることが
できる。また軟鋼板および電子反射膜形成用被膜を構成
する材料の結晶水や被膜に吸蔵されているガスを十分に
放出させることができる。その結果、カソードの電子放
出特性を劣化させない電子反射膜が得られ、長寿命かつ
マスク本体の熱膨張による色純度の劣化をおこしにくい
カラー受像管とすることができる。しかも電子反射膜形
成後に成形することにより、その電子反射膜がプレス成
形時の潤滑油の作用をし、潤滑油の使用量を少なくで
き、かつ成形後の脱脂を簡略化することができる。
【0041】また、電子反射膜形成用被膜の形成された
軟鋼板をアニールすると同時に電子反射膜形成用被膜を
焼成して電子反射膜を形成すると、マスク本体の製造工
程を短縮でき、かつ格別の焼成炉を設けることなく電子
反射膜を形成することができる。
【0042】さらに、酸化タングステン微粒子とリン酸
アルミニウムを主成分とし、酸化タングステン微粒子を
15〜50重量%含有する電子反射膜形成液を塗布して
電子反射膜形成用被膜を形成すると、焼成後に得られる
電子反射膜を、酸化タングステン微粒子相互がつながっ
た網目構造とすることができ、一般に強固な無機質の連
続膜をプレス成形するとき生じやすい膜剥がれを防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るマスク本体の製造工
程を示す図である。
【図2】上記この発明の一実施例に係るマスク本体の製
造工程と比較のために示した従来のマスク本体の製造工
程図である。
【図3】この発明の一実施例であるカラー受像管の製造
工程を示す図である。
【図4】マスク本体の熱膨張による蛍光体スクリーン上
における電子ビームの移動量の測定を説明するための図
である。
【図5】カラー受像管の構成を示す図である。
【図6】シャドウマスクの構成を示す図である。
【符号の説明】
なし
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟鋼板に多数の開孔を形成し、この開孔
    の形成された軟鋼板の一方の面に電子反射膜形成用成膜
    液を塗布して電子反射膜形成用被膜を形成し、この電子
    反射膜形成用被膜の形成された軟鋼板をアニールすると
    同時に電子反射膜形成用被膜を焼成して電子反射膜を形
    成したのち、この電子反射膜の形成された軟鋼板をプレ
    ス成形してマスク本体とし、このマスク本体を用いてカ
    ラー受像管を組立てることを特徴とするカラー受像管の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化タングステン微粒子とリン酸アルミ
    ニウムを主成分とし上記酸化タングステン微粒子を15
    〜50重量%含有する電子反射膜形成用形成液を塗布し
    て電子反射膜形成用被膜を形成することを特徴とする請
    求項1記載のカラー受像管の製造方法。
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