JP3447984B2 - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents

医療用ガイドワイヤ

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    • A61M25/01—Introducing, guiding, advancing, emplacing or holding catheters
    • A61M25/09—Guide wires
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    • A61M2025/09175—Guide wires having specific characteristics at the distal tip

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、心臓血管系内にカ
テーテルを導入する際に用いる医療用ガイドワイヤに関
するものである。
【０００２】
【従来の技術】血管造影を目的として、極細可撓管体の
カテーテルを血管内に挿入したり、または、冠状動脈の
閉塞部位の治療に、バルーンカテーテルを血管内に挿入
するのに際し、そのカテーテルの挿入を安全確実にする
ために、可撓性線材からなる医療用ガイドワイヤが用い
られており、特公平４−２５０２４号公報・特公平４‐
２９２１７５号公報に示される公知例がある。
【０００３】そして、この医療用ガイドワイヤ１（以
下、単にガイドワイヤ１という）は、（図１・図２参
照）曲りくねった複雑な径路の血管６・分岐血管７に先
端部分４から挿入するので、柔軟な可撓性と進行方向の
荷重に対する垂直荷重性（耐座屈性）が要求され、さら
に、体外に位置する端末部分５を回転させながら血管内
へ挿入し進行させるので、その回転に対する応分の捩り
剛性と、端末部分５の操作によって血管内の先端部分４
の方向が操作できるステアリング性を併有する機械的性
質が必要であり、その先端部分４は、ワイヤ主体となる
極細線の芯材２に、コイルスプリング３を嵌装着した基
本構造を有している。
【０００４】即ち、例えば分岐血管７に挿入する場合
は、先端部分４の若干を指先等で「くの字状」に塑性変
形させた腰折れ部８を形成して血管内に挿入し、その腰
折れ部８が、挿入すべき分岐血管７の分岐点の近傍に達
すると、ガイドワイヤ１を回転させて腰折れ部８を分岐
血管７に導入する操作が行われ、その導入操作によっ
て、ガイドワイヤ１を分岐血管７に円滑に挿入進行する
ことができる。
【０００５】そこで、その分岐血管導入操作をし易くす
るには、腰折れ部８が形成し易くして形状安定性に優れ
ると共に、その腰折れ部８を有する先端部分４が、腰折
れ部８の折れ方向のみに容易に曲り、かつ、その折れ方
向以外の方向には応分の曲げ剛性が存在する一軸方向曲
げ容易の曲げ特性が好ましく、このような曲げ特性を付
与するために、芯材２の先端部分を長辺ａ・短辺ｂの長
方形横断面形状にしたものが普及している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来のガイドワ
イヤは先端部分４の前記の可撓性等の機械的性質を優先
すると共に、コイルスプリング３のコイル外径直径が概
ね０．３５５粍に制限された極細線形態であることか
ら、（図２参照）回転挿入力伝達の主材となる芯材２の
捩り剛性が不足して「例えば血管狭塞部９に達した先端
部分４が、その狭塞部９に栓づめ状態となって回転不能
になる」ことがあり、このような状態になると芯材２が
捩れ変形を生じて遂には破断に至って体内残留の危険を
もたらすことになる。
【０００７】さらに、その芯材２に連動回転するコイル
スプリング３の捩れ剛性が不足すると、コイルスプリン
グ３を構成する極細線材Ｗが捩れ応力による塑性変形を
生じて波打ち状となり、コイル外周の平滑性を低下する
と共にコイル外径が膨大変形し、血管内壁に直接接触す
るコイルスプリング３表面のそれ等不良現象によって血
管壁障害をもたらすおそれがある。
【０００８】一方、以上の捩り剛性不足による不具合を
解消するために芯材２・コイルスプリング３の剛性を単
純に強くすると血管内への挿入性が低下して、ガイドワ
イヤ１の血管挿入による治療性を妨げると共に、治療患
者の苦痛を増大させることになる。そして、特に冠状動
脈狭塞部の治療では、先端部分４の外径が可及的に細
く、かつ、その狭塞部に栓づめ状態になっても端末部分
５の回転操作に連動する大なる捩り剛性が存在する「相
互に相反する関係の２特性共存」のガイドワイヤが求め
られている。本発明は、以上の従来技術の難点を解消
し、併せて当該分野の前記要求特性を満足する医療用ガ
イドワイヤを提供するものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】以上の技術課題を解決す
る本発明のガイドワイヤは「長方形横断面形状の芯材に
コイルスプリングを嵌装した柔軟可撓性の先端部分を有
する医療用ガイドワイヤにおいて、該芯材が受けるモー
メントを分母・該捩りモーメントに基づく該芯材の最大
捩り応力を分子とする該芯材の捩り剛性係数Ｋ×１００
０が１６以下にして、かつ、前記コイルスプリングの線
材直径を分母・該コイルスプリングのコイル中心直径を
分子とするコイル径・線径比が２．５〜３．５の領域に
属するコイルスプリングからなる構造」になっている。
なお、前記のコイル中心直径とは、ヘリカル状コイルの
線材の中心から中心までの直径を意味する。
【００１０】即ち、本発明のガイドワイヤの先端部分
は、コイル外径直径が概ね０．３５５粍の極細のコイル
スプリング内に長方形横断面形状の芯材を内嵌した極細
線体形態にして、血管内挿入時に生ずる捩りモーメント
に対する剛性が、その長方形状の長辺・短辺のサイズ比
によって複雑に変化する力学的特殊状態にあることか
ら、その芯材の前記捩り剛性特性に着目し、多数本の実
験結果から前記従来技術の「ガイドワイヤ先端部分の捩
り剛性不足」と「コイルスプリング線材の捩りモーメン
トによる塑性変形」の技術難点を解消する前記構要件を
創作構成したものである。
【００１１】そして、前記構成を必須要件にする本発明
のガイドワイヤは、先端部分の血管内への挿入性を特段
に良好にする前記芯材の長辺・短辺比を「１．２５〜
１．７５」の数値内に限定する態様を採択する。
【００１２】以下、前記構成の必須構成要件のそれぞれ
について技術解析する。即ち、前記構成要件の限定数値
は人体に実用可能な多数本の供試品ガイドワイヤを図３
に示す実験装置１０を用いて確認実験したデーターに基
づいて採択したものであり、構成要件別の内容は下記の
とおりである。なお、実験装置１０は、ガイドワイヤ１
を治療のために人体血管に挿入する場合の最も過酷な条
件以上と判断される「曲げ半径＝１０粍の１８０°曲げ
を７連設して両端を９０°曲げした模擬血管路１１を樹
脂板に穿設して内径直径０．４粍の樹脂チューブを埋め
込んだ構造」を有し、そのチューブ内を潤滑材不存在の
状態にしてガイドワイヤを挿入実験した。
【００１３】まず、前記捩り剛性係数Ｋの変化によるガ
イドワイヤ１の先端部分４の捩り特性の確認実験は前記
の実験装置１０に捩り剛性係数Ｋが異なる多数本の供試
品を挿入セットして端末部分５を人体血管挿着時と同様
な状態で回転させ、実験装置１０から突き出す先端部分
４のトラップ荷重Ｐ（先端部分４の回転が停止したとき
の荷重）と捩り剛性係数Ｋとの相関関係を調査した。
【００１４】なお、供試品の先端部分は芯材２の長辺ａ
・短辺ｂのサイズ組合せによる多様な捩り剛性係数Ｋを
予め算定し、それぞれの芯材２には線材直径ｄ＝０．０
９０粍・０．０７２粍の２種類にしてコイル中心直径Ｄ
＝０．２６５粍のコイルスプリング３を嵌装したものを
供試品とした。
【００１５】以上の実験結果は表１（このグラフの縦軸
はトラップ荷重（ｇ）、横軸は供試品の芯材２の捩り剛
性係数Ｋ）であり「捩り剛性係数Ｋ×１０００」が１６
以上では、コイルスプリング３の線材直径ｄに関係なく
トラップ荷重Ｐが低位一定にして人体血管の狭塞部９で
先端部分４が回転不能になるおそれがある。しかし、
「捩り剛性係数Ｋ×１０００」が１６以下では、トラッ
プ荷重Ｐが急速に増大するので、人体血管の狭塞部９に
おける先端部分４の回転不能が有効に防止できる。
【００１６】
【表１】
【００１７】なお、補足すれば捩り剛性係数Ｋは長方形
材の長辺ａと短辺ｂの長さ数値による定数にして、表２
に示す材料力学算定式によって算定できる。
【００１８】
【表２】
【００１９】続いて、コイルスプリング３の捩りモーメ
ントに基づく線材変形の防止手段の前記のコイル径・線
径比の解析実験の結果は表３（横軸はコイル中心直径Ｄ
とコイル線材直径ｄのＤ／ｄの数値、縦軸はガイドワイ
ヤ１を実験装置１０によって人体適用状態で捩り操作し
た後の線材の変形発生率（供試品中の波打ち変形が生じ
たものの割合）が示してある）のとおりであり、Ｄ／ｄ
が２．５〜３．５の領域においては、人体治療に使用し
た後のコイルスプリング３の線材の「波打ち塑性変形」
を極めて有効に防止し得る事実が明白であり、この実験
データーに基づいて前記のＤ／ｄ＝２．５〜３．５の必
須要件を限定採択した。なお、Ｄ／ｄが２．５以下では
コイル成形による強い曲げ応力によって線材表面に「ひ
び割れ・表面剥離」の不良が生じて実用性を失うので成
形性上の下限となる。
【００２０】
【表３】
【００２１】次に、血管挿入性を良好に確保するための
前記の「芯材２の長辺ａ・短辺ｂの比＝１．２５〜１．
７５」の限定要件は実験装置１０による下記の官能実験
結果に基づいて限定採択した。即ち、長辺・短辺比＝概
ね１．０〜２．５の供試品を多数本準備し、１０名のパ
ネラーによるパネルテストによる挿入フィーリングを
「良・やや良・普通・不良・極めて不良」の５段階に区
分して層別し、全員が良・やや良とした「１．２５〜
１．７５」の領域を限定採択した。なお、そのパネルテ
ストの内容は下記の表４のとおりである。
【００２２】
【表４】
【００２３】以上の技術解析のとおり、本発明の前記必
須要件は数値限定であるものの、その数値限定の技術要
素が、当業者が容易に着想し得ない前記の「芯材２の捩
り剛性係数Ｋとコイルスプリング３のＤ／ｄ比」である
ことから、前記の数値限定は単なる設計数値の限定では
なく、新規着想に基づく技術思想を構成している。な
お、本発明の捩り剛性係数Ｋを適用する芯材２の先端部
分４は、芯材２の横断面積が最小にして前記の血管狭塞
部９に最先に係合する先端部分を意味する。
【００２４】
【作用】前記必須要件の構成を満足する本発明のガイド
ワイヤ１は、表１・表２のデーターから芯材２の先端部
分４のトラップ荷重が大に確保できると共に、コイルス
プリング３の線材Ｗの有害な塑性変形の発生がなく、前
記従来技術の難点が解消できる。そして、前記必須要件
の捩り剛性係数Ｋを有し、かつ、芯材２の長辺・短辺比
が前記限定要件を満足する本発明の前記態様のガイドワ
イヤ１は、良好な血管挿入性を兼有することができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガイドワイヤ１の
実施例を説明する。まず、第一実施例のガイドワイヤは
芯材２の先端部分の長方形断面が長辺ａ＝０．０９９粍
・短辺ｂ＝０．０５２粍にして、かつ、コイルスプリン
グ３のコイル中心直径Ｄ＝０．２６５粍・コイル線材直
径ｄ＝０．０９０粍に設定されている。この第一実施例
のものは、捩り剛性係数Ｋ×１０００＝１４．７・Ｄ／
ｄ＝２．９４にして本発明の必須構成要件を満足してい
る。
【００２６】次に、第二実施例のガイドワイヤ１は、芯
材２の長辺ａ＝０．０９３粍・短辺ｂ＝０．０７０粍に
して、かつ、コイルスプリング３のコイル中心直径Ｄ＝
０．２６５粍・コイル線材直径ｄ＝０．０９０粍に設定
されている。この第二実施例のものは、捩り剛性係数Ｋ
×１０００＝９．５・ａ／ｂ＝１．３２９・Ｄ／ｄ＝
２．９４にして、前記必須構成要件と態様要件を具備し
ている。
【００２７】そして、第三実施例のガイドワイヤ１は、
芯材２の長辺ａ＝０．１０１粍・短辺ｂ＝０．０７９粍
にして、かつ、コイルスプリング３のコイル中心直径Ｄ
＝０．２６５粍・コイル線材直径ｄ＝０．０９０粍に設
定されている。この第三実施例のものは、捩り剛性係数
Ｋ×１０００＝６．９・ａ／ｂ＝１．２７８・Ｄ／ｄ＝
２．９４にして、前記必須構成要件と態様要件を具備し
ている。
【００２８】続いて、第四実施例のガイドワイヤは、同
じく長辺ａ＝０．１０７粍・短辺ｂ＝０．０６７粍にし
て、かつ、コイルスプリング３のコイル中心直径Ｄ＝
０．２７５粍・コイル線材直径ｄ＝０．０８０粍に設定
されている。この第四実施例のものは、捩り剛性係数Ｋ
×１０００＝８．５・ａ／ｂ＝１．５９７・Ｄ／ｄ＝
３．４３にして、前記必須構成要件と態様要件を具備し
ている。
【００２９】以上の実施例のガイドワイヤを血管治療に
実用したところ、血管狭塞部９において先端部分４の回
転停止や、コイルスプリング３の線材Ｗの波打ち塑性変
形の不良発生が全く認められず高品位性能であることが
確認された。さらに、前記第二〜四実施例のものは血管
への挿入性も極めて良く、本発明の前記技術解析におけ
るテストデーターが実用血管治療の作用と符合すること
が明白に立証された。
【００３０】
【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明の医療用ガ
イドワイヤは、ガイドワイヤとしての柔軟可撓性の基本
性能を具備した基において、血管内における先端部位が
高トラップ荷重性能を有すると共に、有害な塑性変形を
生ずるおそれがなく、その上、良好な血管内挿入性を有
する高品質ガイドワイヤを提供し、ガイドワイヤ使用に
よる血管治療性の一段の向上を図る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】医療用ガイドワイヤの基本形態を示し、（Ａ）
はその正面図、（Ｂ）は（Ａ）のＤＤ断面図、（Ｃ）は
その使用状態の説明図
【図２】従来の医療用ガイドワイヤの使用状態を示し、
（Ａ）（Ｂ）ともその説明図
【図３】本発明の医療用ガイドワイヤの作用確認用実験
装置の形態図
【符号の説明】
１ 医療用ガイドワイヤ ２ 芯材 ３ コイルスプリング ４ 先端部分 ５ 端末部分 ６ 血管 ７ 分岐血管 ８ 腰折れ部 ９ 血管狭塞部 １０ 実験装置 １１ 模擬血管路 Ｄ コイルスプリングのコイル中心直径 ｄ コイルスプリングの線材径 Ｗ コイルスプリングの線材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平９−56822（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−182800（ＪＰ，Ａ) 国際公開99／019018（ＷＯ，Ａ１) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A61M 25/09

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 長方形横断面形状の芯材にコイルスプリ
    ングを嵌装した柔軟可撓性の先端部分を有する医療用ガ
    イドワイヤにおいて、該芯材が受ける捩りモーメントを
    分母・該捩りモーメントに基づく該芯材の最大捩り応力
    を分子とする該芯材の捩り剛性係数Ｋ×１０００が１６
    以下にして、かつ、前記コイルスプリングの線材直径を
    分母・該コイルスプリングのコイル中心直径を分子とす
    るコイル径・線径比が２．５〜３．５の領域に属するコ
    イルスプリングからなる構造を特徴とする医療用ガイド
    ワイヤ。
  2. 【請求項２】 芯材の長辺と短辺の長さの比が、１．２
    ５〜１．７５の領域に属する請求項１の医療用ガイドワ
    イヤ。
  3. 【請求項３】 コイルスプリングのコイル外径直径が概
    ね０．３５５粍以下である請求項１または請求項２の医
    療用ガイドワイヤ。
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