JP3216090B2 - Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の熱処理方法 - Google Patents

Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の熱処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミックの持つ硬
さと金属の持つ強さを兼備した刃物や耐磨耗性部品、さ
らには、ヒータ材や自動車用の排ガス器用部品の製造に
適したFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の熱処
理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】普通、刃物や耐磨耗性部品のような用途
には、セラミックス、あるいは、超硬合金が一般に使わ
れる。しかし、前者のセラミックスは硬度は非常に高い
(Hv=2000)が割れや欠けが生じ易いし、後者の
超硬合金は割れや欠けは生じ難いがセラミックスに比べ
ると表面硬度が十分ではない(Hv=700〜150
0)。
【0003】それで、発明者らは、Fe−Cr−Ni−
Al系フェライト合金を用い、酸化性雰囲気での熱処理
によりアルミナ被膜を表面に析出させるようにして、セ
ラミックスの持つ表面硬度と金属の持つ強さを兼備した
耐磨耗性のあるものにすることを考えた。アルミナ被膜
により耐酸化性もつくようになる。しかしながら、下記
の問題がある。普通、Fe−Cr−Ni−Al系フェラ
イト合金を圧延などの塑性加工を施してから、打ち抜き
加工や曲げ加工などの後加工で部品形状に合わせた加工
を行い、その後、アルミナ被膜形成を行うようにするの
であるが、合金内に微細に分散析出したNiAlにより
合金の硬度が高くて後加工が簡単には出来ないことであ
る。
【0004】塑性加工を施したFe−Cr−Ni−Al
系フェライト合金をいったん熱処理(焼鈍)して後加工
の時点では合金硬度を下げ、その後、再び、アルミナ被
膜形成過程以降で硬度が上がる熱処理を行うことが考え
られる。しかし、焼鈍用の熱処理では合金の硬度は下が
っても、合金が脆化してしまい、その結果、後加工で割
れ等の加工不良が生じるという別の問題が出てくる。焼
鈍用の熱処理では、熱処理により、フェライト結晶粒の
粗大化、高Cr鋼に特有の475℃脆化などが起こるの
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑み、Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金の硬
度低減を脆化を伴わずに図れる熱処理方法を提供するこ
とを課題とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかる合金の熱処理方法の場合、塑性加
工が施されたFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金
に対して、950〜1200℃の温度において下記式X
の条件を満たす均熱処理(T:処理温度,t:処理時
間)を行い、 〔 950+ 250/(16t+1)〕℃≦T≦〔1015+ 300/
(t+1)〕℃ ・・X その後、10℃/分以下の冷却速度で650〜800℃
の温度まで徐冷してから、650〜800℃の温度で1
時間以下の均熱処理を行ったあと急冷するようにするよ
うにしている。そして、950〜1200℃の温度での
均熱処理(T:処理温度,t:処理時間)については、
下記式Yの条件を満たすことが好ましい。
【0007】〔 950+1100/( 7t+4)〕℃≦T≦〔10
15+ 300/(t+1)〕℃ ・・Y 以下、この発明について、より具体的に説明する。この
発明の場合、Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金
(以下、単に「フェライト合金」と言う)は、まず、熱
間、温間あるいは冷間での鍛造、押し出し圧延などの塑
性加工により後加工に適した薄板などの形状にする。そ
して、この塑性加工の済んだフェライト合金を、950
〜1200℃の温度で均熱処理する。なお、均熱処理と
は、処理するフェライト合金全体(表面と内部)が同じ
昇温温度の状態で行う熱処理である。
【0008】この均熱処理は、塑性加工で出来た不具
合、すなわち、フェライト結晶粒の加工歪み緩和や微細
フェライト結晶粒の異方性緩和、および、NiAl粒の
異方性緩和・粒子整形(形やサイズを整えること)、さ
らには、フェライト結晶粒とNiAl粒の界面の歪み緩
和などを行うためになされる。950℃以上の温度とす
ると、塑性加工で引き延ばされ線状ないし平板状に変形
したNiAl粒が、固溶・再析出により粗大化し丸棒状
ないし球状に変わり、これに従ってNiAl粒の異方性
が緩和されてゆく。それに、フェライト結晶粒とNiA
l粒の間で原子拡散が起こるのに伴い、両粒間界面の歪
みも緩和される。また、NiAl粒の異方性緩和と同時
に、フェライト結晶粒自体の歪みや異方性も緩和されて
ゆく。塑性加工で組織に生じた加工組織の不具合が解消
されるのである。ただ、均熱処理温度が、1200℃を
越えると、硬度向上をもたらすNiAl粒は急速に母材
に固溶して消失し、フェライト結晶粒の粗大化が抑えら
れず、しかも、1200℃以下に降温するに伴いNiA
lは再析出するのであるが、この時、フェライト結晶粒
界にもNiAlが析出し、結果として、合金の脆化が起
こる。
【0009】950〜1200℃の温度での均熱処理の
場合、完全固溶化温度以下ではあるが、高温のため熱活
性化されており、NiAlはフェライト母相中への固溶
・再析出を激しく繰り返している。NiAlの固溶速度
・再析出速度は温度の関数ではあるが、析出速度の方が
大きく初めから一定の大きさがあるNiAl粒は粗大化
(平均粒径数μm程度)するようになる。一方、フェラ
イト母相中では新たなNiAl粒の核形成も起こってい
るが、粒径が小さなNiAl核は高温のため不安定で大
きく成長することは出来ない。硬度の上昇を抑えつつ、
加工組織の不具合を解消できるようになるのである。
【0010】そして、この950〜1200℃の均熱処
理では処理温度T(℃)と処理時間t(hr)が、下記
の式Xを満たす必要がある。 〔 950+ 250/(16t+1)〕℃≦T≦〔1015+ 300/
(t+1)〕℃ ・・X 低い温度では均熱処理時間を長くし、高い温度では均熱
処理時間を短くするのが良いのである。低い温度で均熱
処理時間が足りないと加工組織の不具合を解消できない
し、また、合金硬度も低くなってくれない。高い温度で
均熱処理時間が長過ぎると、NiAl粒およびフェライ
ト結晶粒の過大化を招くとともに、合金脆化が起こり加
工で割れ易くなるなどの不都合を招来する。
【0011】そして、この950〜1200℃の均熱処
理で処理温度T(℃)と処理時間t(hr)は、下記の
式Yの範囲であることが好ましい。 〔 950+1100/( 7t+4)〕℃≦T≦〔1015+ 300/
(t+1)〕℃ ・・Y X式を満足する均熱処理の場合、後加工が圧延打ち抜き
加工、あるいは、直線曲げ加工のうち圧延方向と平行な
方向(同じ方向)への曲げ(圧延同一方向曲げ)では割
れは発生しないのであるが、圧延方向と直角方向への曲
げ(圧延直角方向曲げ)あるいはエンボス加工では割れ
が生じる。特定の後加工に対してしか十分な改善がなさ
れないのである。これが、Y式も満たす均熱処理の場合
には、圧延直角方向曲げあるいはエンボス加工でも割れ
が生じなくなるのである。冷間加工やプレス抜きなどの
圧縮剪断加工に対する適性だけでなく、冷間での圧延直
角方向曲加工やエンボス加工などの曲げや引っ張り変形
を伴う加工に対する適性も向上するようになるのであ
る。
【0012】950〜1200℃の均熱処理のあと、降
温するのであるが、そのまま冷却するのではなく、一
旦、650〜800℃の温度まで徐冷し、普通、650
〜800℃の温度で温度で均熱処理する。このとき、9
50〜1200℃の温度から10℃/分以下の冷却速度
で650〜800℃の温度まで徐冷する。徐冷後の均熱
処理は必須ではなく、徐冷してから均熱処理せずに急冷
するようにしてもよい。これ以上の冷却速度で降温させ
ると合金の硬度が十分に低くならないからである。つま
り、950〜1200℃から650〜800℃までの降
温を、10℃/分以下の冷却速度で徐冷した場合と、1
0℃/分を越す冷却速度で急冷した場合とで比較する
と、前者の方が1μm以下のNiAl粒の生成が少な
く、その結果、必要な硬度の低下が図れるようになるの
である。これは、徐冷中に、粒径1μm以下のNiAl
粒がより大きく成長し、その分、微細なNiAl粒の生
成が妨げられるからであると推察している。普通、5〜
8℃/分程度の冷却速度が好ましい。冷却速度を小さく
するほど硬度低下は大きくなるが、1℃/分程度で硬度
低下効果が飽和状態となるとともにエネルギーも無駄に
なることから、1℃/分未満にはならないようにするの
がよい。
【0013】650〜800℃の温度範囲とするのは、
650℃を下回ると合金の脆化が起こるからであり、8
00℃を越すと硬度低下効果が十分に現れないからであ
る。十分な合金硬度の低減を確保するという点では、6
50〜750℃の範囲であることが好ましい。均熱処理
の処理時間は、1時間以内とする。この均熱処理により
微細なNiAl粒の量が少なくなり、十分な硬度低下が
達成できるようになる。均熱処理の効果は処理時間が1
時間で飽和に達し、これ以上の処理を行ったとしても効
果の増大は期待できず、消費エネルギーの量が増えるだ
けであるため、処理時間を1時間以下とする。
【0014】続いて、急冷を行う。急冷により、Fe−
Cr−Ni−Al系フェライト合金の脆化温度領域(約
400〜550℃)を急速に通過させ、σ脆化や475
℃脆化が起こらないようにするのである。この急冷の方
法は、室温雰囲気に放置する通常の空冷やファン又はブ
ロアを用いる強制空冷などが用いられる。水冷は、熱応
力割れを起こす恐れがあるため用いない方がよい。
【0015】このようにして、熱処理を行った合金を後
加工して所定の形に整えてから、普通、酸化性雰囲気に
おいて、1100〜1350℃程度の熱処理を行い、α
−アルミナ皮膜を形成する。アルミナ被膜形成後は、急
冷するなどして合金硬度を高くするようにする。続い
て、原材料であるFe−Cr−Ni−Al系フェライト
合金の含有元素について、その含有量の限定理由を説明
する。
【0016】この発明の合金は、フェライト生成元素で
あるCrおよびAlと、オーステナイト生成元素である
Niを多量に含有したFe基合金であり、合金を主とし
てフェライト相にする理由は、次の通りである。フェラ
イト相の合金は、酸化加熱処理により、緻密で下地との
密着性の良い厚いアルミナ(Al2 3 )皮膜を形成し
易いが、オーステナイト相の合金はアルミナ皮膜が均一
に生じず、剥離するからである。
【0017】〔Cr:20〜40wt%〕 Crは、合金
表面に緻密で均一なアルミナ皮膜を形成させるために必
要であるが、この発明の合金ではNiを含有するため、
合金をフェライト相にするためには、Niが下限値でA
lが上限値の場合でも25wt%以上のCrが必要であ
る。Ni量が下限値、Al量が上限値付近、Cr量が2
5wt%未満の合金ではアルミナ皮膜の形成が不完全であ
る。このため、Crの下限は25wt%である。また、合
金中のCr含有量が増加するにつれて脆化の傾向が強く
なるので、Crの上限は35wt%である。
【0018】〔Ni:10〜25wt%〕 Niは、微細
なNiAlを合金中に析出させ、母材の機械的性質(例
えば、硬度)を向上させるものと推察されるが、Alと
の共存下でNiAlを析出させるのに不可欠の元素であ
る。機械的性質の向上に十分効果的であるためには15
wt%以上のNiを必要とする。Ni量が増加すれば、N
iAlの析出には好都合であるが、オーステナイト生成
元素であるNiの含有量を増加すれば、それに伴ってC
rおよびAlの含有量を増加させる必要がある。しか
し、Ni量が25wt%を越えると、Cr量を増加させね
ばならず、そうすると脆化し易くなるので、Niの上限
値は25wt%である。
【0019】〔Al:4〜8wt%〕 Alは、微細なN
iAlを合金中に析出させ、さらに、高温酸化処理によ
り合金表面にアルミナ皮膜を形成させるために不可欠な
元素である。緻密で均一な皮膜を形成させるためには、
4wt%以上のAlを含有することが必要である。Al含
有量の増加は、NiAlの析出やアルミナ皮膜の形成に
有利であるが、8wt%を越えると合金の加工性が低下す
るので、Alの上限は8wt%である。
【0020】〔Zr,Y,Hf,Ce,La,Ndおよ
びGdのうちのいずれか1種または2種以上:0.05
〜1.0重量%〕 これらの各元素は必要に応じて添加
されるものであり、アルミ皮膜内に混入して皮膜の脆さ
を改善するとともに皮膜直下の合金内に内部酸化物粒子
として分散し、皮膜の密着性を著しく向上させる。これ
らの効果を発揮させるには、0.05wt%以上で含有さ
せることが好ましい。他方、1wt%を越えて含有する
と、合金の加工性が急激に低下するので、上限は1wt%
である。
【0021】〔Ti,NbおよびMoのうちのいずれか
1種または2種以上:2重量%以下〕 これらの各元素
も必要に応じて添加されるものであり、アルミ皮膜内に
混入して皮膜の脆さを改善するとともに皮膜直下の合金
内に内部酸化物粒子として分散し、皮膜の密着性を著し
く向上させるなどの効果を奏する。ただ、2重量%を越
えて含有すると、合金特性の劣化等を招来するため、上
限は2重量%に抑えるようにする。
【0022】〔Fe:残部〕 以上の成分の他をFeが
占める。ただし、残部が完全にFeである場合のみに限
定されず、不可避的に不純物としてFe中に存在するも
の(Si等)があってもよい。この発明の方法で得られ
たアルミナ皮膜付のFe−Cr−Ni−Al系フェライ
ト合金の用途としては、耐磨耗性や耐食性が要求される
電気カミソリの内刃、外刃、バリカン刃の固定刃や可動
刃などの刃物や電動工具等の軸、チャックやギアなどの
機構部品、内燃機関用あるいは腐食雰囲気用バルブなど
に応用できる。しかし、用途は、これらに限定されな
い。
【0023】
【作用】この発明にかかるフェライト合金の熱処理方法
によれば、熱処理条件が適切であるため、塑性加工で生
じた合金内の粒子および粒子間の歪みなどを微細なNi
Al粒の析出を抑えながら緩和・解消させられ、その結
果、合金の脆化を伴わずに合金の硬度の低減が図れるよ
うになる。
【0024】この発明の方法の実施は、熱処理温度と処
理時間を適切に設定する程度の操作が加わるだけのこと
で何らの困難もなく容易である。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。この発
明は、下記の実施例に限らないことは言うまでもない。
実施例では、下記組成の柱状インゴット合金1,2を用
いた。 〔合金1〕Cr:26.0重量% Ni:15.0重量% Al:4.5重量% Zr: 0.2重量% Y: 0.6重量% Ti:0.5重量% 残部:Fe 〔合金2〕Cr:35.0重量% Ni:21.0重量% Al:7.0重量% Zr: 0.3重量% 残部:Fe −実施例1〜13− 合金1を真空溶解し、熱間押し出し、熱間圧延、熱間圧
延により0.3mm厚みと3mm厚みの2種類の薄板を
得た。つまり、塑性加工を施したフェライト合金薄板を
得たのである。この薄板の母材硬度はいずれも約Hv=
450であった。
【0026】これらの合金薄板に対し、図1に示す温度
変化を経る熱処理を、表1に示す具体的条件で実施し
た。なお、図1および表1中の温度T1,T2,t1,
t2は、以下の通りである。 T1: 950〜1200℃での均熱処理温度 t1: 950〜1200℃での均熱処理時間 α: 950〜1200℃から650〜800℃への冷
却速度 T2: 650〜800℃での均熱処理温度 t2: 650〜800℃での均熱処理時間 熱処理後の薄板の母材硬度はいずれも約Hv=290と
十分に低減されていた。
【0027】そして、熱処理後、3mmの薄板に対して
は、冷間で圧下量60%まで圧延する後加工を施した。
また、0.3mmの薄板に対しては、冷間で圧下量70
%まで圧延し、曲げ半径0.4R、曲げ角度80°とい
う条件の圧延直角方向曲げ、圧延同一方向曲げ、およ
び、エンボス加工を打ち抜きをプレス金型を使って行っ
た。冷間圧延、曲げ、エンボス加工、打ち抜き後の割れ
の有無を調べた。結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】−比較例1〜12− この発明の条件を外れる表3に示す条件の熱処理を行
い、実施例1〜13と同様の後加工と割れ調査を行っ
た。割れの有無の調査結果を表4に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】−実施例14〜26− 合金2を真空溶解し、熱間押し出し、熱間圧延、熱間圧
延により0.25mm厚みと3mm厚みの2種類の薄板
にした。つまり、塑性加工を施したフェライト合金薄板
を得たのである。この薄板の母材硬度はいずれも約Hv
=550であった。
【0034】これらの合金薄板に対し、図1に示す温度
変化を経る熱処理を、表5に示す具体的条件で実施し
た。なお、図1および表5中の温度T1,T2,t1,
t2は上記と同様である。熱処理後の薄板の母材硬度は
いずれも約Hv=340と十分に低減されていた。
【0035】そして、熱処理後、3mmの薄板に対して
は、冷間で圧下量60%まで圧延する後加工を施した。
また、0.25mmの薄板に対しては、冷間で圧下量7
0%まで圧延し、曲げ半径0.4R、曲げ角度80°と
いう条件の圧延直角方向曲げ、圧延同一方向曲げ、およ
び、エンボス加工を打ち抜きをプレス金型を使って行っ
た。冷間圧延、曲げ、エンボス加工、打ち抜き後の割れ
の有無を調べた。結果を表6に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】−比較例13〜24− この発明の条件を外れる表7に示す条件の熱処理を行
い、実施例14〜26と同様の後加工と割れ調査を行っ
た。割れの有無の調査結果を表8に示す。
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】実施例と比較例の割れの有無の調査結果を
みれば、この発明にかかる熱処理は後加工の際の加工性
を十分に上げるものであることがよく分かる。なお、図
2に、実施例1〜26および比較例9〜13および22
〜26の950〜1200℃の温度での均熱処理の温度
と時間を、横軸に処理時間をとり、縦軸に処理温度をと
って、 950+ 250/(16t+1)、1015+ 300/(t+
1)、 950+1100/( 7t+4)の3本の曲線と共にプロッ
トした。実施例1〜8,14〜21は、上記X,Y式の
両方を満足し、これに対し、実施例9〜13,22〜2
6上記X式のみを満足しており、割れの調査結果に符合
することが良く分かる。
【0042】なお、図2のプロット点と各実施例・比較
例の番号の対応は、以下の通りである。 A・・実施例1,14 B・・実施例2,15 C・・実施例3,16 D・・実施例4,17 E・・実施例5,18 F・・実施例6,19 G・・実施例7,20 H・・実施例8,21 I・・実施例9,22 J・・実施例10,23 K・・実施例11,24 L・・実施例12,25 M・・実施例13,26 a・・比較例9,22 b・・比較例10,23 c・・比較例11,24 d・・比較例12,25 e・・比較例13,26
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の熱処理における処理時間の経過と処
理温度の関係をあらわすグラフである。
【図2】実施例・比較例の均熱処理の温度と時間を式X
・Y中の曲線と共にプロットしてあらわすグラフであ
る。
【符号の説明】 T1 950〜1200℃での均熱処理温度 t1 950〜1200℃での均熱処理時間 α 950〜1200℃から650〜800℃への冷
却速度 T2 650〜800℃での均熱処理温度 t2 650〜800℃での均熱処理時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−83820(JP,A) 特公 昭59−29091(JP,B2) 特公 昭58−56734(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 6/00 - 6/00 102 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塑性加工が施されたFe−Cr−Ni−
    Al系フェライト合金を熱処理する方法であって、 Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金が、Cr:2
    0〜40重量%、Ni:10〜25重量%、Al:4〜
    8重量%、Zr,Y,Hf,Ce,La,NdおよびG
    dのうちのいずれか1種または2種以上:0.05〜
    1.0重量%、残部:Feからなる組成であり、 上記Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合金に対し
    て、 950〜1200℃の温度において下記式Xの条件を満
    たす均熱処理(T:処理温度,t:処理時間)を行い、 〔 950+ 250/(16t+1)〕℃≦T≦〔1015+ 300/(t+1)〕℃ ・・X その後、10℃/分以下の冷却速度で650〜800℃
    の温度まで徐冷してから、650〜800℃の温度で1
    時間以下の均熱処理を行ったあと急冷するようにするこ
    とを特徴とするFe−Cr−Ni−Al系フェライト合
    金の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 前記Fe−Cr−Ni−Al系フェライ
    ト合金が、Ti,NbおよびMoのうちのいずれか1種
    または2種以上:2重量%以下をさらに含む組成である
    請求項1に記載のFe−Cr−Ni−Al系フェライト
    合金の熱処理方法。
  3. 【請求項3】 950〜1200℃の温度での均熱処理
    (T:処理温度,t:処理時間)が下記式Yの条件を満
    たす 〔 950+1100/( 7t+4)〕℃≦T≦〔1015+ 300/(t+1)〕℃ ・・Y 請求項1または2に記載のFe−Cr−Ni−Al系フ
    ェライト合金の熱処理方法。
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