JP2938315B2 - アルカリ電池用セパレーター - Google Patents

アルカリ電池用セパレーター

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JP2938315B2
JP2938315B2 JP5177207A JP17720793A JP2938315B2 JP 2938315 B2 JP2938315 B2 JP 2938315B2 JP 5177207 A JP5177207 A JP 5177207A JP 17720793 A JP17720793 A JP 17720793A JP 2938315 B2 JP2938315 B2 JP 2938315B2
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弘之 川井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリマンガン電
池、酸化銀電池等の負極活物質として亜鉛を用いるアル
カリ電池のセパレーターに関するものであり、さらには
亜鉛負極に水銀が添加されていないアルカリ電池の、寿
命の向上、内部短絡の防止等の電池性能を向上させるア
ルカリ電池用セパレーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電池用セパレーターに要求され
る性能としては、耐アルカリ性、電解液吸液性、セパレ
ート性等が挙げられる。
【0003】耐アルカリ性とは、電解液として用いられ
る水酸化カリウム水溶液等のアルカリに対してセパレー
ターが変質、溶出等を起こさないことであり、これに欠
けると電池反応に悪影響を及ぼしたり、セパレーターの
劣化により電池の両極間に内部短絡を起こしたりする弊
害を生じる。
【0004】電解液吸液性とは、電池反応に必要な電解
液を充分に含むことであり、これに欠けると電池反応が
阻害され、アルカリ電池の特徴である大電流を取り出せ
なくなるという弊害を生じる。
【0005】セパレート性とは、微細な細孔を有するこ
とであり、これに欠けると電池反応で生成する導電性の
酸化亜鉛の針状結晶がセパレーターを貫通し、内部短絡
を起こす弊害を生じる。
【0006】従来のアルカリマンガン電池用セパレータ
ーは上記の性能を満たすべく、様々な検討がなされてき
た。
【0007】例えば、電解液吸液性を高めるためのもの
には、特公昭53−11059号公報に記載されている
ような、ポリビニルアルコール系繊維と親水性繊維を組
み合わせた湿式不織布があり、また例えばセパレート性
を高めるためのものには、特開昭62−154559号
公報に記載されているような、0.8デニール以下のポ
リビニルアルコール系繊維とセルロース系繊維を組み合
わせたものがある。
【0008】しかるに近年、環境保護を目的に亜鉛の自
己放電反応を抑制するために負極に添加されている水銀
量を低くすることが求められ、1985年以前には亜鉛
に対して9.0%重量添加されていたものが1987年
には1.5重量%となり、さらに1992年には水銀を
無添加とすることが決定している。
【0009】水銀の添加率が低下するにしたがって、酸
化亜鉛の針状結晶が微細化するために、電池の内部短絡
が起こり易くなる傾向にある。また、電解液への酸化亜
鉛の溶解量が多くなることで電池反応が阻害されるた
め、終止電圧に至るまでの電池寿命が低下する傾向にあ
る。
【0010】したがって、現状の水銀添加率が亜鉛に対
して1.5重量%となるまでに、さらに高度なセパレー
ト性と電解液吸液性を有したセパレーターの検討が種々
行われてきた。
【0011】例えば、特開平1−146249号公報に
記載されているように、0.5デニール以下のポリビニ
ルアルコール系繊維を主体としたものがある。しかしな
がら、これは使用する繊維を細くすることによって、極
めて良好なセパレート性が得られ、水銀添加率が亜鉛に
対して1.5重量%の場合にも内部短絡は起こさないも
のの、セパレーターの密度が高くなるため電解液吸液性
が低下し、組み合わせてあるセルロース系繊維の膨潤を
考慮しても電解液量が不足するものであった。これを解
決する手段として、特開平2−119049号公報に記
載されているような、叩解可能な耐アルカリ性セルロー
ス繊維と合成繊維とを混抄してなるセパレーターが検討
された。これはセルロース系繊維を叩解して微細化し、
セパレーターを緻密化することによって、水銀添加率が
亜鉛に対して1.5重量%の場合にもセパレート性に優
れ、かつセルロース系繊維自体の膨潤のために電解液吸
液性にも優れるものであった。
【0012】しかしながら、水銀が添加されていない亜
鉛負極を用いた場合には、先に述べたように酸化亜鉛針
状結晶の微細化の傾向が水銀添加率1.5重量%の場合
よりも一段と大きくなるため、上記のセパレーターをも
ってしてもセパレート性、電解液吸液性で不充分なもの
であった。
【0013】以上のように、水銀無添加の亜鉛負極を用
いたアルカリ電池において、セパレート性と電解液吸液
性の両方を満たすアルカリ電池用セパレーターは現在ま
で得られていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、亜鉛負極に
水銀を無添加としたアルカリ電池において、内部短絡を
起こさず、終止電圧に至る電池寿命を向上させ、さらに
電気容量を低下させないアルカリ電池とするために、セ
パレート性と電解液吸液性の両方に優れ、かつ膨潤度が
低くまた電池の内部抵抗を低くすることができるアルカ
リ電池用セパレーターを提供することを目的とするもの
である。
【0015】
【課題を解説するための手段】本発明の上記目的は、セ
ルロースを溶剤に溶解させ直接にセルロースを析出させ
ることにより得られる溶剤紡糸セルロース繊維のフイブ
リル化物を主体繊維の少なくとも一部とするアルカリ電
池用セパレーターによって達成される。
【0016】またこのような溶剤紡糸セルロース繊維と
して、湿潤ヤング率が20g/d以上で、配向性△nが
42×10−3以上である繊維が好ましく、さらにセル
ロースをアミンオキサイドに溶解させた紡糸原液を水中
に乾湿式紡糸してセルロースを析出させた溶剤紡糸セル
ロース繊維が特に好ましい。
【0017】さらにこのようなセパレーターとしては、
上記の溶剤紡糸セルロース繊維のフイブリル化物と1デ
ニール以下のポリビニルアルコール系繊維を実質的な主
体繊維とし、該フイブリル化物対該ポリビニルアルコー
ル系繊維の重量比が95:5〜25:75であり、さら
にポリビニルアルコール系のバインダーが存在してお
り、該バインダー対該主体繊維の重量比が3:97〜3
0:70であるアルカリ電池用セパレーターが好まし
い。
【0018】
【作用】本発明のセパレーターでは、主体繊維の少なく
とも一部として、セルロースを溶剤に溶解させ直接にセ
ルロースを析出させることにより得られる溶剤紡糸セル
ロース繊維のフイブリル化物が用いられるが、特にその
中でも湿潤ヤング率が20g/d以上であり、かつ配向
性△nが42×10−3以上であるセルロース繊維のフ
イブリル化物が用いられる。かかる特性を有するセルロ
ース繊維のフイブリル化物を用いることによって得られ
る利点は次のとおりである。
【0019】すなわち湿潤ヤング率が高いことから水中
でのへたりが少なく、叩解により極めて長いフイブリル
が生成する。したがって、セパレーター性能に極めて優
れたセパレーターとなる。しかも生成したフイブリルも
また湿潤ヤング率が高いことより、セパレーターとした
のちにおいてもアルカリ液中でへたることがなく、電解
液保持性においても極めて優れている。また、配向性が
高いことより、叩解により生成されたフイブリルも配向
性が高いため、耐アルカリ性が高く、この点においても
電解液保持性に優れている。特に本発明においては、叩
解度を高めて高度にフイブリル化した場合には、細くて
長いフイブリル化物が得られているため、特に優れた性
能を有するセパレーターが得られる。
【0020】本発明に用いる溶剤紡糸セルロース繊維に
は、資源リサイクルの観点からも、セルロースIIの単
独、もしくはセルロースIIとセルロースI(木材パル
プや木綿等)とを混合したものを原料として溶剤紡糸し
たものも含まれるが、原料としてセルロースIのみを用
い、これから直接セルロースIIを析出させた溶剤紡糸
セルロース繊維が最も好適である。
【0021】本発明で言う溶剤紡糸セルロース繊維と
は、従来のビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨン
のように、セルロースを一旦セルロース誘導体に化学的
に変換させたのち再度セルロースに戻す、いわゆる再生
セルロース繊維と異なり、セルロースを化学的に変化さ
せることなく、単に溶剤に溶解して得られる溶液からセ
ルロースを析出させた繊維を意味する。
【0022】かかる溶液紡糸セルロース繊維は、従来の
ビスコースを経由してセルロースIIを再生させたビス
コースレーヨン、ポリノジックレーヨン、強力レーヨ
ン、銅アンモニアレーヨン等の再生セルロース繊維とは
全く性能を異にするものである。この溶液紡糸セルロー
ス繊維は、繊維内部フイブリルが極めて良好に繊維の最
内層部まで発達したセルロース繊維であり、湿潤ヤング
率、結晶化度、配向性が高いことが知られている(Tex
tile Research Journal;No. 2;p61;198
7)。かかる溶剤紡糸セルロース繊維を、後に述べるよ
うな適当な方法を用いて叩解処理することによって所望
のフイブリル化物が得られる。
【0023】本発明に用いられる溶剤紡糸セルロース繊
維の製造に用いられる溶剤としては、セルロースを化学
反応を伴うことなくセルロースを溶解するものであるな
らばどのようなものでもよく、具体例を挙げれば、塩化
亜鉛水溶液のような無機の溶剤、N−メチルモルホリノ
キサイドで代表されるアミンオキサイド類あるいはこれ
と水との混合溶剤のような有機の溶剤が挙げられるが、
なかでもアミンオキサイドが好ましい。
【0024】上述の特性を有するセルロース繊維の好ま
しい例としては、セルロースをアミンオキサイドに溶解
させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸してセルロースを析
出させ得られた繊維をさらに延伸する方法で製造された
溶剤紡糸繊維が挙げられ、このような繊維の代表例が、
英国コートールズ社よりテンセルという商品名で、ある
いはオーストリアのレンジング社よりソルーシヨンとい
う商品名でそれぞれ販売されている溶剤紡糸セルロース
繊維である。
【0025】なお、乾湿式紡糸とは、紡糸原液を口金か
ら一旦空気で代表される気体中に吐出したのち、直ちに
凝固浴中に導き凝固させる方法であり、通常は口金を凝
固浴液面上5〜200mmの気体中に設置し口金から吐
出した紡糸原液を気体中を通過させたのち凝固浴に導き
該原液を凝固させる方法が用いられる。
【0026】本発明で用いる溶剤紡糸セルロース繊維
は、湿潤ヤング率が高いことから、水中でのへたりが少
ないため、ビーター、リフアイナー等による叩解時の応
力によって有効に叩解され、極めて長いフイブリルを生
成する。繊維の結晶化度、配向性が高いことから、叩解
によって生成したフイブリル自体の結晶化度、配向性も
高く、耐アルカリ性が高いため、強アルカリ性である電
解液中での繊維形態保持力が大きい。この長くかつ結晶
性の高いフイブリルが後に述べるセパレート性に著しい
効果を与えるものである。この様に、溶剤紡糸セルロー
ス繊維は、湿潤ヤング率が高く、フイブリルが極めて良
好に繊維の最内層部まで発達した繊維であって、叩解に
より繊維が完全に分割されて単に極細繊維が得られるも
のではなく、長い外部フイブリルが相互に一部結合し
て、その結合箇所がもとの繊維直径を保持した形態であ
り、さらに叩解後に所定のフイブリル直径を有する。か
かる溶剤紡糸セルロース繊維は、以下に述べるように水
銀を無添加としたアルカリ電池用セパレーターとして極
めて有効である。
【0027】上述の溶剤紡糸セルロース繊維を用いた本
発明のセパレーターの利点は、第一に、反応に有効な電
解液が、終止電圧に至るまでセパレーターに充分に保持
されることである。通常のセパレーターの場合には、電
解液の大部分を繊維間の空隙に保持しているため、使用
中に電解液が負極側に移動しやすい傾向にあり、反応に
必要な電解液が枯渇し、大電流放電が阻害される弊害が
あるのに対し、本発明の叩解した溶剤紡糸セルロースの
繊維を用いた場合には、フイブリル間に電解液が強固に
保持されたるため、電解液の負極側への移動が起こりに
くく、終止電圧に当たるまで両極とセパレーターの界面
に充分な量の電解液が存在し、電池反応が円滑に進行す
る。
【0028】従来のビスコースレーヨン、ポリノジック
レーヨン、強力レーヨン、銅アンモニアレーヨン等の再
生セルロースでも叩解によってフイブリル化するものも
あるが、これらの再生セルロースの湿潤ヤング率は一般
に低く、それの高いものでも18g/d程度であるため
水中でのへたりが大きく、叩解時の外部応力が強くても
極めてフイブリル化しにくい上に叩解により得られるフ
イブリルは、繊維の最表層がフイブリル化して得られた
短いフイブリルであり、繊維表面に毛が密生したような
形態であるため、本発明の溶剤紡糸セルロース繊維と同
叩解度とした場合でも、フイブリル間に電解液を強固に
保持させ、電解液の負極側への移動を起こりにくくする
ことは出来ない。
【0029】従って、本発明に用いる溶剤紡糸セルロー
ス繊維の湿潤ヤング率は、20g/d以上、好ましくは
25g/d以上である。ただし、湿潤ヤング率が150
g/d以上のものは現在の工業的技術では製造すること
が難しい。また、本発明に用いる溶剤紡糸セルロース繊
維の叩解度としては、CSFで表わして700mlより
大きいと電解液を保持するのに充分なフイブリルが生成
しないこと、また25ml未満であると次の述べる電池
の内部抵抗が上昇すると共に均一な地合いを得るとがで
きない。したがってCSFで表わして25〜700ml
であることが好ましく、より好ましくは25〜500m
l、さらに好ましくは50〜200mlである。
【0030】溶剤紡糸セルロース繊維を用いた本発明の
セパレーターの第2の利点は、電池の内部抵抗の上昇を
抑制することである。叩解可能なセルロース系繊維、例
えば麻パルプ、コットンリンターパルプ、木材パルプ等
を用いた場合は、上記で述べたようにCSF300〜7
00mlの叩解度に叩解した際に、同叩解度の溶剤紡糸
セルロース繊維のフイブリルと同様に微細パルプ間に電
解液を強固に保持させ、電解液の負極側への移動を起こ
りにくくすることは可能であるが、これらのセルロース
系繊維は叩解によって単に繊維が細分化されるだけのも
のであるため、セパレーターの密度が増加し電池の内部
抵抗を上昇させる弊害を生じる。これに対して本発明の
叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を用いる場合は、繊維
の主骨格がセパレーターを構成し、適度な空隙を有する
形態のため、セパレーターの密度は増加せず、電池の内
部抵抗は上昇しない。
【0031】また、従来のビスコースレーヨン、ポリノ
ジックレーヨン、強力レーヨン、銅アンモニアレーヨン
等の再生セルロース繊維を叩解してフイブリル化させた
場合には、溶剤紡糸セルロース繊維と同様に、繊維の主
骨格がセパレーターを構成して適度な空隙を有するため
に、電池の内部抵抗が上昇しない傾向はあるものの、こ
れらのフイブリルは耐アルカリ性に欠けるものであるた
め、後に述べるセパレート性には寄与せず、セパレータ
ーとして使用するのに好ましくない。
【0032】本発明の溶剤紡糸セルロース繊維の叩解前
の単繊維デニールとしては、0.4デニール未満である
とセパレーターの密度が増加し電池の内部抵抗を上昇さ
せる弊害を生じるため、0.4デニール以上が好まし
く、より好ましくは1.0デニール以上である。
【0033】第3の利点は、極めて良好なセパレート性
が得られることである。先に述べたように、従来のビス
コースレーヨン、ポリノジックレーヨン、強力レーヨ
ン、銅アンモニアレーヨン等の再生セルロース繊維も叩
解によりフイブリル化するものもあるが、これらは再生
セルロースであるため結晶化度、配向性が一般に低く、
高いものでも結晶化度が50%程度、配向性△nが40
×10-3に満たない。従って、これら再生セルロース繊
維は繊維の耐アルカリ性に欠けるため、電解液中に溶出
するなど繊維形態保持が不能となるため極細のものを用
いることができない。特に叩解によって生成したフイブ
リルは、超極細であるため更に電解液に溶出しやすく、
このフイブリルによってセパレート性を得ることはでき
ない。またこれら再生セルロース繊維の繊維内層部の結
晶化度は繊維外層部よりも更に低いため、繊維外層部が
フイブリル化することで耐アルカリ性に欠ける繊維内層
部が露出され、叩解が進むに従って繊維成分が電解液中
に溶出しやすくなり、従ってセパレーターとして使用す
るのに好ましくない。
【0034】これらの再生セルロース繊維に対して、結
晶化度が50%以上、より好ましくは55%以上、配向
性が△n=42×10-3以上、より好ましくは44×1
-3以上であるセルロース繊維、つまり本発明の溶剤紡
糸セルロース繊維を用いた場合には、繊維内層部まで充
分に結晶化したフイブリルが生長するため、叩解後のフ
イブリルは耐アルカリ性に極めて優れたものであり、ま
た叩解によって露出された繊維内部も耐アルカリ性に優
れている。このため繊維主骨格によって構成された空隙
を、叩解によって生成した長いフイブリルが交絡して均
一に埋めることにより、電池の内部抵抗の上昇を抑制し
つつ、極めて良好なセパレート性が長期に亘って維持さ
れる。
【0035】本発明の溶剤紡糸セルロース繊維の叩解後
のフイブリル直径としは、5μmを越えると有効なセパ
レート性が得られないことから、5μm以下が好まし
く、より好ましくは3μm以下である。また本発明の溶
剤紡糸セルロース繊維の叩解前の単繊維デニールとして
は、3.0デニールを越えるとセパレート性を阻害する
ため、3.0デニール以下が好ましく、より好ましくは
2.0デニール以下である。従来のビスコースレーヨ
ン、ポリノジックレーヨン、強力レーヨン、銅アンモニ
アレーヨン等の再生セルロース繊維を叩解して得られた
フイブリルは、先に述べたように、繊維の最表層がフイ
ブリル化して得られた短いフイブリルであり、繊維表面
に毛が密生したような形態であるため、電池組込み初期
の繊維形態を保持した状態に於いても、繊維主骨格によ
って構成された空隙を均一に埋めることができず、シヨ
ートを発生しやすい状態となりセパレーターとして使用
できない。
【0036】さらに、本発明のセパレーターの特長点は
セパレーターの膨張度が小さく、負極活物質を多く充填
できることである。通常セルロース系繊維をセパレータ
ーに用いた場合は、電解液によって繊維が膨潤するため
に、セパレーターとしても膨潤度が大きくなり、電池を
作成する際に、負極活物質の充填量が減るために、電気
容量が減少するという弊害を生じる。叩解可能なセルロ
ース系繊維、例えば麻パルプ、コットンリンターパル
プ、木材パルプ等を用いた場合も、これらは叩解により
繊維が単に細分化するのみで、それらが絡合してもセパ
レーターとしての膨潤を抑えることは出来ないが、本発
明の叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を用いた場合に
は、フイブリルがセパレーターを構成する繊維主骨格に
絡合して繊維主骨格を支えるために、繊維としては膨潤
するものの、セパレーターとしては膨潤度が低く抑えら
れる傾向にある。従来のビスコースレーヨン、ポリノジ
ックレーヨン、強力レーヨン、銅アンモニアレーヨン等
の再生セルロース繊維を叩解した場合は、先に述べたよ
うに生成したフイブリルが極めて短いために構成する繊
維主骨格に絡合して繊維主骨格を支えることができず、
セパレーターの膨潤度は高くなり好ましくない。
【0037】本発明に用いるバインダーとしては、耐電
解液性の点から、ポリビニルアルコール系バインダーが
用いられる。形態としては、繊維状、粉末状、溶液状の
ものがあるが、湿式抄造によってセパレーターを製造す
る場合には、繊維状バインダーであることが好ましい。
ポリビニルアルコール系バインダーが粉末状、溶液状で
あった場合、セパレーターの紙力を発現させるためには
これらが溶解する必要があるが、この際にポリビニルア
ルコールが被膜を形成して、セパレーターの繊維間の空
隙を塞ぐため、電解液吸液性の低下、電池の内部抵抗の
上昇が起こる。これに対して、繊維状バインダーを用い
た場合は、通常の使用法、つまり完全に溶解させた場合
には上と同じ現象が起こり好ましくないが、乾燥前持ち
こみ水分率を下げる、あるいは乾燥温度を下げる等の手
段により、バインダーを完全に溶解させず、繊維形態を
残したままバインダー繊維と主体繊維との交点のみの点
接着をさせた場合には、電解液吸液性の低下、電池の内
部抵抗の上昇を招くことなくセパレーターの強力を上げ
ることができる。これに適したポリビニルアルコール系
バインダー繊維の水中溶解温度としては、60℃より低
いと上記で述べた使用法を用いてもバインダーが完全に
溶解して好ましくなく、98℃より高いとバインダーと
しての機能を発現しないため60〜98℃が好ましく、
より好ましくは70〜90℃であり、また抄紙時の乾燥
温度としては、ドライヤー温度70〜150℃、好まし
くは80〜120℃の範囲内が用いられる。
【0038】バインダーの添加量としては、ポリビニル
アルコール系バインダーと全主体繊維の重量比が3/9
7よりも少ないと、必要なセパレーターの強力が得られ
ないこと、また30/70よりも多いと電池性能に有効
な主体繊維の量が少なくなることから、3/97〜30
/70とすることが好適である。
【0039】本発明のセパレーターを構成する主体繊維
としては、上記で述べてきたように、セパレート性、電
解液吸液性、電池の内部抵抗低下、低膨潤度の点から、
基本的には叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を用いる
が、これと他の合成繊維とを組み合わせたものが地合い
向上のために好ましい。一般に溶剤紡糸セルロース繊維
の叩解度が進むと該セルロース繊維の凝集によってセパ
レーターの地合いが悪化する傾向があるが、合成繊維を
混合することによって凝集を防ぐことができる。先に述
べたように、電解液保持及び内部抵抗低下、さらに地合
いの向上のために叩解度700〜25mlの範囲内にあ
ることが必要であるが、CSF700mlのものを用い
る場合においても主体繊維の5重量%以上の合成繊維含
有量が好ましい。
【0040】本発明に用いる合成繊維としては、耐電解
液性の点でポリビニルアルコール系繊維、ポリアミド系
繊維、ポリオレフイン系繊維などが挙げられる。特に好
ましいのは、ポリビニルアルコール系繊維である。
【0041】また上記の性能を大きく損なわない範囲
で、他のセルロース系繊維が混抄されていても良い。た
だし最も好ましいものは叩解した溶剤紡糸セルロース繊
維とポリビニルアルコール系繊維のみを主体繊維とする
ものである。
【0042】ポリビニルアルコール系繊維を主体繊維の
一部として用いる理由としては、第一にポリビニルアル
コール系繊維が各種繊維の中でも耐電解液性に極めて優
れ、かつ電解液吸液性に優れることが挙げられるが、こ
れのみではなくセパレーターの膨潤度を下げる効果を有
することが大きな理由である。本発明のセパレーターで
は先に述べたようにバインダーとしてポリビニルアルコ
ール系バインダーを用いるが、これとポリビニルアルコ
ール系繊維とは、両者の水素結合力が有効に働くために
接着力が高い。このためポリビニルアルコール系バイン
ダーとポリビニルアルコール系繊維の両者がセパレータ
ーの骨格を形成し、叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を
含む他の主体繊維の支持体となり、全体としてセパレー
ターの膨潤を低く抑えることができる。ポリビニルアル
コール系繊維を用いない場合には、他の主体繊維とポリ
ビニルアルコール系バインダーとの接着力は弱いため
に、膨潤を抑えることができにくい。先に述べたように
叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を用いた場合にはその
フイブリルの絡合力で膨潤を抑える傾向はあるものの、
ポリビニルアルコール系繊維と組合わせた場合には、さ
らに低い膨潤度が得られ、極めて有効である。
【0043】ポリビニルアルコール系繊維の好ましいデ
ニールとしては、先に述べたように、亜鉛負極に対して
水銀を無添加とした場合は、1.5重量%添加されてい
る場合と比較して、極めて高度なセパレート性が要求さ
れるため、1デニール以下、特に0.5デニール以下、
さらに好ましくは0.3デニール以下のポリビニルアル
コール系繊維とすることが好ましい。しかしながら、単
に繊維を細くするだけでは、電解液吸液性の低下や電池
の内部抵抗の増加を招くため、好ましくない。
【0044】ここに於いて、今まで述べてきたように叩
解した溶剤紡糸セルロース繊維と組み合わせることによ
って始めて細いデニールの繊維を使用する意味が生じて
くる。即ち、叩解した溶剤紡糸セルロース繊維によって
電解液吸液性、電池の内部抵抗低下の要求を満たすた
め、ポリビニルアルコール系繊維は1デニール以下とす
ることによっても、電解液吸液性の低下、電池の内部抵
抗の上昇を起こすことなく、また叩解した溶剤紡糸セル
ロース繊維のフイブリルの効果とあいまって、さらに高
度なセパレート性が得られ、水銀無添加の場合でも内部
短絡を起こすことがない。特に、従来用いられてきたよ
うな太いデニールのものでは、同じ混抄率では本数が少
なくなるため効果は少ないが、細くすることによって少
ない混抄率で効果が大きく、またそうすることにより、
電解液保持材としての叩解した溶剤紡糸セルロース繊維
の混抄率を増加させることができる。したがって、本発
明に用いるポリビニルアルコール系繊維は1デニール以
下が好ましい。ただし、現在の工業的技術からは、0.
01デニール未満のポリビニルアルコール系繊維を直接
得ることは難しいが、フイブリル化等の方法によりこの
ように極細繊維を得ることができる。
【0045】本発明に用いる叩解した溶剤紡糸セルロー
ス繊維の全主体繊維に対する混抄率としては、95重量
%以上であると膨潤度が大きくなること、25重量%以
下であると電解液吸液性が低下する傾向があること、及
び内部抵抗が上昇する傾向があることから、95〜25
重量%が好ましく、より好ましくは90〜30重量%、
さらに好ましくは75〜40重量%である。
【0046】本発明のセパレーターの製造方法について
は、溶剤紡糸セルロース繊維を所定のCSFまで叩解
し、これと1デニール以下の合成繊維、そして必要に応
じて他のセルロース系あるいは合成繊維を混合し、さら
にバインダーを加えて水中で分散させ、通常の湿式抄造
を行うものである。
【0047】本発明に用いる溶剤紡糸セルロース繊維の
叩解方法としては、通常用いられるビーター、ダブルデ
イスクリフアイナー等によると、金属によって繊維が激
しく擦られるために、繊維の主骨格が切断される場合が
ある。この場合、CSFは低下しても、見掛けの叩解が
進むだけであるため、実際には有効なフイブリルが生成
しない。本発明者らの検討によれば、叩解は刃を潰した
パルパーと、歯間隔を溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長
に合わせたフアイバライザー(高速離解機)を組み合わ
せて用いることが好ましい。かかる組合わせを用いる方
法は、金属同志の接触を避けながら、内部乱流と剪断作
用による叩解を行うことにより、繊維主骨格の切断を起
こさず、繊維の軸方向に表面からの剥離による長いフイ
ブリルを生成するため、ビーター、ダブルデイスクリフ
アイナー等による叩解と比較して極めて有効な叩解方法
であることが明らかとなった。
【0048】
【実施例】本発明の実施態様及び効果を以下の実施例に
より、さらに詳しく説明する。
【0049】なお、繊維の配向性△nは、偏光顕微鏡と
ベレックのコンベンセーターを用い、繊維のレターデー
ションを測定し、且つ光を照射した部分の繊維の厚さを
測定して、下記の式により求めた。
【0050】
【数1】△n=レターデーション/繊維の厚さ 叩解度CSFは、JIS P8121に記載された方法
にしたがって測定した。
【0051】また光学顕微鏡観察によれば、叩解後の溶
剤紡糸セルロース繊維は繊維主骨格が残存し、そこを結
合箇所として長いフイブリルが生成している形態であっ
たため、叩解後のフイブリル直径は、光学顕微鏡観察に
よりフイブリル10本の太さを測定し、その平均値とし
た。
【0052】湿潤ヤング率はJIS L-1073に準
ずる方法により測定した。また結晶化度は、X線回折強
度曲線を取り、これを結晶部と非晶部に分離し、各々の
面積を求め、これから次式によって求めた。
【0053】
【数2】結晶化度=100×(結晶部面積)/(結晶部
面積+非晶部面積) 実施例1 湿潤ヤング率が26g/d、配向性△n=45×1
-3、結晶化度58.5%で、1.5デニール、長さ2m
mの溶剤紡糸セルロース繊維(コートールズ社製、テン
セル)をパルパーとフアイバライザーにて叩解し、CS
F 150mlのフイブリル化物とした。この繊維の叩
解後のフイブリル直径は0.5μmであり、繊維主骨格
の切断は殆ど観察されなかった。この繊維を全主体繊維
に対して59重量%と、0.3デニール、長さ2mmの
ポリビニルアルコール系繊維を全主体繊維に対して41
重量%とを混合し、さらにこの混合物からなる主体繊維
に、水中溶解温度75℃、1.0デニール、長さ3mm
のポリビニルアルコール系繊維状バインダーを、全主体
繊維:バインダーの重量比が85:15となるような量
で添加してスラリーを調整した。
【0054】このスラリーを丸網抄紙機にて抄紙し、ド
ライヤー温度110℃で乾燥を行い、坪量32.3g/
2、厚さ0.107mmのセパレーターを得た。このセ
パレーター中に、ポリビニルアルコール系繊維状バイン
ダーが半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0055】実施例2 上記実施例1において、主体繊維の組成比を溶剤紡糸セ
ルロース繊維:ポリビニルアルコール系繊維=80:2
0(重量比)に変更する以外は実施例1と同様にして、
坪量34.2g/m2、厚さ0.108mmのセパレータ
ーを得た。このセパレーター中には、ポリビニルアルコ
ール系繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が
残っていた。
【0056】実施例3 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維の叩解
度(CSF値)を200mlとしてフイブリル直径を
0.8μm(但し繊維主骨格の切断は殆ど観察されず)
としたフイブリル化物を用いる以外は実施例1と同様に
してセパレーターを作製した。得られたセパレーターは
坪量33.5g/m2、厚さ0.108mmであった。こ
のセパレーター中には、ポリビニルアルコール系繊維状
バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0057】実施例4 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維の叩解
度(CSF値)を50mlとしてフイブリル直径を0.
1μm(繊維主骨格の切断が若干観察される)としたフ
イブリル化物を用いる以外は実施例1と同様にしてセパ
レーターを作製した。得られたセパレーターは坪量3
5.2g/m2、厚さ0.108mmであった。このセパ
レーター中には、ポリビニルアルコール系繊維状バイン
ダーが半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0058】実施例5 上記実施例1において、ポリビニルアルコール系繊維状
バインダーを、水中溶解温度60℃、太さ1.0デニー
ル、長さ3mmのポリビニルアルコール系繊維状バイン
ダーに置き換える以外は実施例1と同様にしてセパレー
ターを作製した。得られたセパレーターは坪量35.4
g/m2、厚さ0.107mmであった。このセパレータ
ー中には、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーが
完全に溶解し、フイルム状となっていた。
【0059】実施例6 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維とし
て、湿潤ヤング率が24g/d、配向性△n=42×1
-3、結晶化度53.5%で、4.0デニール、長さ5m
mの溶剤紡糸セルロース繊維を用いて実施例1と同様に
して叩解してCSF値を150mlとしたフイブリル化
物(フイブリル直径約0.5μm、繊維主骨格の切断
は、ほぼ半数の繊維に観察された)を用いて実施例1と
同様にしてセパレーターを作製した。得られたセパレー
ターは坪量32.4g/m2、厚さ0.108mmであっ
た。このセパレーター中には、ポリビニルアルコール系
繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残って
いた。
【0060】実施例7 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維の叩解
度(CSF値)を20mlとしてフイブリル直径を0.
05μm(繊維主骨格の大部分が切断されていることが
観察される)としたフイブリル化物を用いる以外は実施
例1と同様にしてセパレーターを作製した。得られたセ
パレーターは坪量35.8/m2、厚さ0.107mmで
あった。このセパレーター中には、ポリビニルアルコー
ル系繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残
っていた。
【0061】実施例8 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維の叩解
度(CSF値)を750mlとしてフイブリル直径を4
μm(繊維主骨格の切断は観察されず)としたフイブリ
ル化物を用いる以外は実施例1と同様にしてセパレータ
ーを作製した。得られたセパレーターは坪量32.6g
/m2、厚さ0.107mmであった。このセパレーター
中には、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーが半
溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0062】実施例9 上記実施例1において、主体繊維の組成比を溶剤紡糸セ
ルロース繊維:ポリビニルアルコール系繊維=40:6
0(重量比)と変更する以外は実施例1と同様にして、
坪量33.2g/m2、厚さ0.107mmのセパレータ
ーを得た。このセパレーター中には、ポリビニルアルコ
ール系繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が
残っていた。
【0063】実施例10 上記実施例1において、主体繊維の組成比を溶剤紡糸セ
ルロース繊維:ポリビニルアルコール系繊維=97.3
(重量比)と変更する以外は実施例1と同様にして、坪
量34.9g/m2、厚さ0.106mmのセパレーター
を得た。このセパレーター中には、ポリビニルアルコー
ル系繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残
っていた。
【0064】実施例11 上記実施例1において、主体繊維の一部として用いるポ
リビニルアルコール系繊維を0.5デニール、長さ3m
mのポリビニルアルコール系繊維に置き換える以外は上
記実施例1と同様にして坪量33.9g/m2、厚さ0.
106mmのセパレーターを作製した。このセパレータ
ー中には、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーが
半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0065】実施例12 上記実施例1において、主体繊維の一部として用いるポ
リビニルアルコール系繊維を1.0デニール、長さ5m
mのポリビニルアルコール系繊維に置き換える以外は上
記実施例1と同様にして坪量34.3g/m2、厚さ0.
106mmのセパレーターを作製した。このセパレータ
ー中には、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーが
半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0066】実施例13 上記実施例1において、主体繊維の一部として用いるポ
リビニルアルコール系繊維を1.0デニール、長さ5m
mのポリプロピレン繊維に置き換える以外は上記実施例
1と同様にして坪量32.9g/m2、厚さ0.106m
mのセパレーターを作製した。このセパレーター中に
は、ポリビニルアルコール系繊維状バインダーが半溶解
状態で、繊維の形態が残っていた。
【0067】実施例14 上記実施例1において、主体繊維の一部として用いるポ
リビニルアルコール系繊維の37重量%をマーセル化コ
ットンリンターパルプ(配向性:30×10-3以下)に
置き換える以外は上記実施例1と同様にして坪量35.
3g/m2、厚さ0.108mmのセパレーターを作製し
た。このセパレーター中には、ポリビニルアルコール系
繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残って
いた。
【0068】比較例1 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維のフイ
ブリル化物を、配向性30×10-3以下のマーセル化コ
ットンリンターパルプをパルパーとフアイバライザーに
て叩解してCSF値を150mlとしたフイブリル化物
に置き換える以外は上記実施例1と同様にして坪量3
7.5g/m2、厚さ0.105mmのセパレーターを作
製した。このセパレーター中には、ポリビニルアルコー
ル系繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残
っていた。
【0069】比較例2 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維のフイ
ブリル化物を、湿潤ヤング率が6g/dr、配向性△n
=19×10-3、結晶化度32.1%で、1.5デニール
(dr)、長さ2mmのビスコースレーヨンを叩解して
CSF値720mlとしたフイブリル化物(このビスコ
ースレーヨンは更に叩解を続けてもCSF値720ml
以下にはならず)に置き換える以外は実施例1と同様に
して坪量32.7g/m2、厚さ0.105mmのセパレ
ーターを作製した。このセパレーター中には、ポリビニ
ルアルコール系繊維状バインダーが半溶解状態で、繊維
の形態が残っていた。
【0070】比較例3 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維のフイ
ブリル化物を、湿潤ヤング率が18g/dr、配向性△
n=39×10-3、結晶化度46.1%で、0.5デニー
ル(dr)、長さ2mmのポリノジックレーヨンを叩解
してCSF値150mlとしたフイブリル化物に置き換
える以外は上記実施例1と同様にして坪量35.9g/
2、厚さ0.104mmのセパレーターを作製した。こ
のセパレーター中には、ポリビニルアルコール系繊維状
バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0071】比較例4 上記実施例1において、溶剤紡糸セルロース繊維のフイ
ブリル化物を使用することなく主体繊維の全体を0.3
デニール、長さ2mmのポリビニルアルコール系繊維と
する以外は上記実施例1と同様にして坪量33.8g/
2、厚さ0.107mmのセパレーターを作製した。こ
のセパレーター中には、ポリビニルアルコール系繊維状
バインダーが半溶解状態で、繊維の形態が残っていた。
【0072】以上18種類のセパレーターについて、電
解液吸液量、膨潤度を下記の方法で測定した。
【0073】(1)電解液吸液量 セパレーターを5cm×5cmにサンプリングし、重量
を測定する。これを35重量%の水酸化カリウム水溶液
に25℃で30分浸漬する。15秒間液切りし、重量を
測定する。下記の式により、電解液吸液量を求める。
【0074】
【数3】電解液吸液量(g/g)=(浸漬後重量−浸漬
前重量)/浸漬前重量 (2)膨潤度 セパレーターを5cm×5cmにサンプリングし、18
0g/cm2の荷重の厚さ計にて厚さを測定する。これ
を35重量%の水酸化カリウム水溶液に25℃で30分
間浸漬する。15秒間液切りし、同じ方法で厚さを測定
し、下記の式により膨潤度を求める。
【0075】
【数4】膨潤度(%)=(浸漬後厚さ−浸漬前厚さ)/
浸漬前厚さ×100 次に、これらのセパレーターを用いて、水銀無添加の亜
鉛負極を用いた単3のアルカリマンガン電池を作成し
た。
【0076】図1は本発明のセパレーターを用いた単3
形アルカリ乾電池の半断面図を示す。
【0077】図1において、1は正極端子を兼ねる正極
缶である。この正極缶1内には、二酸化マンガンと黒鉛
からなる円筒状の正極合剤2が圧入されている。3は本
発明による有底円筒状のセパレーターで、その内部には
水銀無添加の亜鉛合金粉末をゲル状電解液に分散、混合
した亜鉛負極4が充填されている。5は負極集電子、6
は正極缶1の開口部を閉塞する樹脂封口体で、この樹脂
封口体6には、負極端子を兼ねる底板7が前記負極集電
子5の頭部に溶接されて、金属製ワッシャー8と共に配
置されている。そして前記正極缶1の開口部を内部にか
しめることにより封口されている。
【0078】上述のように作成した電池を米国ANSI
の規格に基づき、10Ωでの連続放電と、10Ωでの1
日あたり1時間の放電を行い、0.9Vの終止電圧に至
るまでの時間を測定した。
【0079】電解液吸液量、膨潤度、放電時間の結果を
表1〜5に示す。表中、◎は極めて良好、○は良好、△
はやや不良、×は極めて不良であることを示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】表1〜5より本発明品は、セパレート性、
電解液吸液性、低膨潤度に優れ、したがって電池性能と
しても、優れたセパレート性によりシヨートがなく、ま
た優れた電解液吸液性、低膨潤度、低内部抵抗により大
電流放電性にも優れていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセパレーターを用いた単3形アルカリ
乾電池の半断面図を示す。
【符号の説明】
1 正極缶 2 正極合剤 3 セパレーター 4 負極 5 負極集電子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曾根高 友康 岡山市海岸通1丁目2番1号 株式会社 クラレ内 (72)発明者 中西 慎吾 大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会 社クラレ内 (72)発明者 浅岡 準一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 元谷 祐司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−74439(JP,A) 特開 平2−119049(JP,A) 特開 昭57−101340(JP,A) 特開 昭64−52375(JP,A) 特開 昭63−224144(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 2/16

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースを溶剤に溶解させ直接にセル
    ロースを析出させることにより得られるセルロース繊維
    のフイブリル化物を主体繊維の少なくとも一部とするこ
    とを特徴とするアルカリ電池用セパレーター。
  2. 【請求項2】 セルロース繊維が、湿潤ヤング率が20
    g/d以上で、配向性△nが42×10−3以上である
    請求項1に記載のアルカリ電池用セパレーター。
  3. 【請求項3】 セルロース繊維が、セルロースをアミン
    オキサイドに溶解させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸し
    てセルロースを析出させた溶剤紡糸セルロース繊維であ
    る請求項1に記載のアルカリ電池用セパレーター。
  4. 【請求項4】 セルロース繊維の結晶化度が50%以上
    である請求項1に記載のアルカリ電池用セパレーター。
  5. 【請求項5】 フイブリル化物の叩解度(CSF値)が
    700〜25mlである請求項1に記載のアルカリ電池
    用セパレーター。
  6. 【請求項6】 セルロース繊維のフイブリル化前の単繊
    維デニールが0.4〜3.0デニールである請求項1に記
    載のアルカリ電池セパレーター。
  7. 【請求項7】 主体繊維の5重量%以上が1デニール以
    下の合成繊維である請求項1に記載のアルカリ電池用セ
    パレーター。
  8. 【請求項8】 合成繊維がポリビニルアルコール系繊維
    である請求項7に記載のアルカリ電池用セパレーター。
  9. 【請求項9】 湿潤ヤング率が20g/d以上で、配向
    性△nが42×10-3以上であるセルロース繊維のフイ
    ブリル化物と1デニール以下のポリビニルアルコール系
    繊維を実質的な主体繊維とし、該フイブリル化物対該ポ
    リビニルアルコール系繊維の重量比が95:5〜25:
    75であり、さらにポリビニルアルコール系のバインダ
    ーが存在しており、該バインダー対該主体繊維の重量比
    が3:97〜30:70であることを特徴とするアルカ
    リ電池用セパレーター。
  10. 【請求項10】 バインダーとして繊維状バインダーが
    使用される請求項9に記載のアルカリ電池用セパレータ
    ー。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    セパレーターを用いたアルカリ電池。
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