JP2720422B2 - 推論装置 - Google Patents

推論装置

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JP2720422B2
JP2720422B2 JP2013582A JP1358290A JP2720422B2 JP 2720422 B2 JP2720422 B2 JP 2720422B2 JP 2013582 A JP2013582 A JP 2013582A JP 1358290 A JP1358290 A JP 1358290A JP 2720422 B2 JP2720422 B2 JP 2720422B2
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直道 末田
安生 五嶋
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明はプラント等の各種制御対象機器に対する制御
操作を行う為の操作列を動的に生成する制御エキスパー
トシステムにおける推論装置に関する。
(従来の技術) エキスパートシステムにおける推論機構は診断問題を
中心として研究・開発が進められており、現在では計画
問題や設計問題等にも幅広く適用されつつある。また一
部のエキスパートシステムとしては既に試行的に実用化
されている。
ところで各種の制御プラントにおける制御問題は、上
述した診断問題を内包しており、操作シーケンスの自動
生成等にまでその制御対象範囲を広げると、計画/設計
問題におよぶ総合的な問題として捉えることができる。
その上、このような制御問題を推論実行する制御エキス
パートシステムを実現する場合には、性能的にリアルタ
イム性や安全性、安定性が求められると云う非常に難し
い問題がある。この為、柔軟な制御を可能とする制御エ
キスパートシステムを実現することが非常に困難なもの
となっている。
例えば大規模な自動化システムとなっている最近の火
力発電所制御システムは、高信頼化を図った制御用計算
機を主体として構成され、例えば階層型の機能分散制御
システムとして構築される。具体的には、その上位レベ
ルから順に、発電所レベル、ユニットレベル、グループ
レベル、ローカルレベルと云うように、その制御システ
ムが階層的に構成される。ここで上記ユニットは発電設
備の1セットを示しており、このレベルでユニット全体
の運転状況が判断される。そしてこのユニットレベルか
ら下位のレベルに対して各種の操作指令が出されるの
で、上記ユニットレベルでの操作制御は発電所制御にと
っても中心的な意味合いをなしていると云える。
ところが従来、ユニットレベルでの運転状況の判断に
基づく操作制御は、プラントの構造や特性,対象制御装
置,操作端の種別、更には専ら長年蓄積された経験的知
識や関連法規等を考慮し、システム設計段階で予め定め
られた制御知識に基づいて実行されるようになってい
る。つまり予め求められている制御知識に基づき、運転
状況に応じた操作を推論により求めてその制御を行うも
のとなっている。
この為、従来の制御システムにあっては、不測の事故
が発生したような場合、上述したように制御知識が固定
的に求められている為、これに対処して柔軟な対応策を
講じることができないと云う不具合がある。そしてこの
ような場合には、専ら熟練オペレータにその対策が委ね
られているのが実情である。
(発明が解決しようとしている課題) このように従来の制御エキスパートシステムでは、固
定的に定められた制御知識に基づいて予め想定された操
作シーケンスに沿って、そのときの運転状況に応じた操
作制御がなされるようになっている。この為、想定され
ていない不慮の事態が生じた場合には、例えばシステム
全体をトリップさせるか、或いは熟練したオペレータに
その操作制御を委ねる必要があり、制御エキスパートシ
ステムではこれに対処することができないと云う問題が
あった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、
その目的とするところは、予め想定された操作シーケン
ス以外の不慮の事態が生じた場合であっても、その事態
に対応した操作シーケンスを自動的に生成し、柔軟な操
作制御を行うことを可能とする制御エキスパートシステ
ムにおける推論装置を提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明に係る推論装置は、制御対象を構成している複
数の機器に関する運転原則とモデル知識とを用いて上記
制御対象に与えられた出力要求の充足に必要な操作を動
的に生成する操作導出推論部と、前記制御対象に関する
動特性モデルを用い、定性推論の加減演算において不定
状態を回避する演算規則を適用したファジー推論により
前記操作導出推論部にて生成された操作に対する上記制
御対象の振る舞いを予測し、予測結果に応じた要求を上
記操作導出推論部に与える要求値導出推論部と、前記操
作導出推論部にて生成された操作を前記モデル知識を用
いて検証し、検証結果を上記操作導出推論部に与える操
作検証推論部と、これら各推論部を切換え動作させて最
終的に前記操作導出推論部から前記各機器に対する適切
な操作列を導出させる推論制御部とを具備してなること
を特徴としている。
そして、例えば故障診断によって検出された故障機器
と故障モードに基づいて、前記操作導出推論部にて異常
を回避して出力要求を満たす為に必要な概略の操作列を
生成し、要求値導出推論部にてその状況における動特性
を考慮してその操作による振舞いを予測する。その上
で、操作検証推論部にて各機器において要求されている
出力を得る為に必要な操作の前提となる入力が確保でき
るか、更には導出された操作により悪影響が出ないか否
かを検証しながら、制御対象機器に対する適切な操作を
同定していくようにしたことを特徴とするものである。
(作用) このように本発明では、オペレータが実際に不測の事
態に遭遇した時に行う問題解決の手法を要求値導出推論
部として推論機構内に組み込み、これによって近い将来
の振舞いを予測しながら制御対象機器に対する操作を同
定していくので、予め想定された操作シーケンス以外の
不慮の事態が生じた場合であっても、その事態に対応し
た操作シーケンスを自動的に生成し、柔軟な操作制御を
行うことが可能となる。
しかも定性推論の加減演算において不定状態を回避す
る演算規則を適用したファジー推論により前記操作対象
機器の振る舞いを予測していくので、必ず解が得られ、
この結果、適切な操作列を効率的に生成して制御対象機
器を効果的に制御することが可能となる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例に係る推論装置について、発
電プラントにおける制御操作の導出を例に説明する。
第1図は実施例装置の概略的な構成を示すブロック図
であり、大略的には制御対象機器に関する深い知識を格
納した記憶部と、この記憶部に格納された深い知識を用
いて制御対象機器の制御に必要な操作列を推論する推論
部とにより構成される。
即ち、この実施例における制御エキスパートシステム
での上記推論部における推論処理には、前記記憶部に格
納された制御対象機器に関するモデル知識1とその運転
原則2、および動特性モデル3とからなる深い知識が用
いられる。この深い知識とは、推論処理においてタスク
を直接処理するに必要な浅い知識に相対するもので、例
えば推論処理の実行過程で用いられる浅い知識を生成し
たり、この浅い知識の正当性を示し得るような、より基
本的な知識を示すものである。
このような深い知識の一部をなす上記モデル知識1
は、例えばその制御対象機器が発電システムにおける給
水ポンプである場合、例えば第2図に示すように記述さ
れる知識として与えられる。
即ち、このモデル知識1は、制御対象となる機器の機
能や構造,因果関係および機器の持つその他の属性を記
述したものである。
具体的には機能に関する知識としては第2図に示すよ
うに機器の取り得る状態(states)、可能な出力の範囲
(max,min)、出力要求(demand)を充足した状態の定
義(goal)等からなる。また構造に関する知識として
は、階層関係(components)があり、因果関係に関する
知識としては機器間の属性値の因果関係(forward)や
入出力間の関係(backward)がある。その他、このモデ
ル知識1には推論に必要な機器の属性(capacityなど)
が記述される。
また前記運転原則2は、実際に対象を運転制御する時
に考慮すべき安全性や経済性等の制約条件であり、例え
ば「故障機器は使用しない」「各機器は許容範囲内で使
用する」等の絶対条件や、機器選択条件・時期選択条件
等の知識からなる。
この機器選択条件は、例えば「同一機能を持つ機器
群に対して複数の操作候補が存在する場合、現在の状態
が目標状態に最も近い(先行している)機器への操作を
優先する;先行機優先原則」,「同一の機能を持つ機
器群は、最小の運転台数で目標状態を満足させるように
操作する;最小台数起動原則」,「同一の機能を持つ
機器群に含まれる各機器の寿命を平均化し、系全体とし
ての寿命を延ばすべく、起動時は運転時間の履歴の少な
いものを優先し、停止時には運転時間の履歴が多いもの
を優先する;寿命平均化原則」等からなる。
また前記動特性モデル3は、例えば発電プラントにお
ける脱気器のレベルコントローラが第3図に示すような
伝達関数を各伝達要素が持つブロック線図で表現される
ような場合、第4図に示すように脱気器の基本的な動特
性を示す情報、例えば制御偏差E,比例偏差Ek,比例ゲイ
ンK0等の情報として与えられる。
しかしてこのような深い知識を用いて制御対象機器の
運転状況に応じた操作列を動的に生成する推論部は、こ
こでは第1図に示すように操作導出推論部5,操作検証推
論部6,要求値導出推論部7,および推論制御部8により構
成される。
このような構成を持つ推論部にて制御対象機器の運転
状況に応じた操作列、つまり浅い知識である操作列を導
出するには、機器に対する要求の生成と、その要求を満
足する操作の導出、および導出された操作による制御対
象とするシステム全体に対する影響の評価という3つの
機能が必要である。これらの3つの機能が前記推論制御
部8の制御管理の下で前記操作導出推論部5,操作検証推
論部6,要求値導出推論部7をそれぞれ起動することによ
り実現される。
先ず、操作導出推論部5における各機器に与えられた
出力要求の充足に必要な操作の導出について説明する
と、この操作導出推論部5では前述した機器のモデル知
識1と運転原則2とに基づく推論処理が行われる。
この操作導出推論部5における操作導出の為の推論処
理は、前述した制御対象機器のモデル知識1に記述され
た要求充足状態の定義(goal)と機器の取り得る状態
(states)、機器構造の階層関係(components)、およ
び入出力関係(backward)に基づいて行われる。
具体的には要求充足状態を機器の取り得る状態から推
論し、現在の状態からその要求充足状態への遷移に必要
な操作を推論して求め、機器に対して必要な操作が求め
られたならば、一旦、その推論処理を停止させる。但
し、ここでは操作の効果を維持するべく、その推論処理
中に一度操作した機器を再度操作することを禁止すると
云う前提条件の下で操作を導出する為の推論処理が進め
られる。
即ち、第5図にその推論処理手続きの流れを示すよう
に、先ず現在の状態において、要求が満たされているか
否かを判断し(ステップa1)、要求が満たされていない
機器がある場合には、その要求を満足させる操作がある
かを調べる(ステップa2)。この処理にて必要な操作が
見つからなかった場合は、要求発行元にバックトラック
し、要求の変更を依頼する(ステップa3)。この際、要
求発行元は前述した運転原則2の知識等を用いて、要求
の再発行を行う。
これに対して与えられた出力要求を充足させることの
可能な操作が見出されると、そこに要求された出力を得
るのに必要な制御対象機器への入力を確保するべく、そ
の入力側(上位側)の機器に対して要求することが必要
となる。そこでその制御対象機器に関する前述した動特
性モデル3を用いて後述する要求導出推論部7を起動し
(ステップa4)、その振舞いを予想してその入力側(上
位側)機器に対する適切な要求を生成する(ステップa
5)。
尚、入力側(上位側)機器に対する要求の発行のタイ
ミングは、操作が導出されてなければ要求充足が確認で
きた時点であり、操作が導出された場合はその操作を検
証推論にて検証した後となる。
その上で、新しい要求が以前の値と変化していないか
を調べ、要求の発行先がなくなれば、その推論を終了す
る。
また前記操作検証推論部6では、上述した操作導出推
論部5にて導出された操作が制御対象に悪影響を与えな
いかどうかを、前述した機器のモデル知識1に基づいて
推論する。ここで云う悪影響とは「操作による変化が原
因で、現状のままでは出力要求を満足できない機器が発
生すること」として定義される。
ちなみにこの悪影響の検出は、機器のモデル知識1に
記述された因果関係(forward)、機器の状態(status,
states)、および要求充足状態の定義(goal)に関する
知識に基づいて行われる。
即ち、この操作検証推論部6における操作検証の為の
推論処理は、例えば第6図に示す処理手続きに従って行
われる。
先ず、機器に対して操作が与えられたとすると(ステ
ップb1)、機器の状態に関する知識から属性値の変化を
調べる(モデル知識のstates情報を見る)(ステップb
2)。属性値の変化がない場合には、操作の実行により
悪影響が生じることがないと判断し、検証の成功を返す
(ステップb3)。
これに対して属性値の変化が検出された場合には、次
に要求充足状態をチェックする(ステップb4)。このチ
ェックは、属性値の変化後もその機器が出力要求(dema
nd)を満足し得るか否かを調べることによりなされる。
この検証にて要求充足状態が満足されないことが検出さ
れたならば、これを悪影響の発生として判定し、悪影響
が発生した機器名を出力して検証の失敗を通知し(ステ
ップb5)、その推論処理を一旦停止させる。
一方、出力要求(demand)が満足していることが確認
されたならば、前述した機器の因果関係に基づいてその
影響の伝播先があるか否かを検証する(ステップb6)。
そして影響の伝播がないことが確認された場合には、検
証の成功を通知してその推論処理を終了する(ステップ
b7)。また影響の伝播先が存在する場合には、そこで発
生した変化を、その伝播先である他の機器に伝播し(ス
テップb8)、同様にしてその変化の影響を評価する。そ
して属性値の変化がなくなるか、或いは影響の伝播先が
なくなれば、その推論処理を終了する。
さて要求値導出推論部7における操作に対応した振る
舞いの予想は、次のようなファジー化定性推論によって
行われる。
一般にプラントに不測の異常が発生した場合、オペレ
ータは上述したモデルの構造や結合関係等の知識に基づ
いて上記異常に対処し得る操作を導くが、それと同時に
モデルの動特性をも考慮して経験的にプラントの振舞い
を予測し、その予測結果を配慮した上で上記異常に対処
するに適した操作の導出が行われる。
これに対してプラントの振る舞いを推論処理に基づい
て予測する手法として定性推論を用いることが考えられ
る。この定性推論は定性的に機器の状態を把握していく
方式であり、上述した人間の思考に近いとされている。
またその推論モデルとしても定量シミュレーションのよ
うに厳密なモデル化を必要としない為、モデル化し易い
という特徴があり有力な技術であると云われている。し
かしその反面、定性推論には、例えば「定性的に演算式
を解釈する為にその解が一義的に求まらず、複数の解が
組合せ的に求められて爆発を起こす可能性がある。」ま
た「求まった解も定性的状態を表わす為、定量的に行っ
ている制御システムにおいては、直接的には使えない場
合が多い。」等の不具合がある。
そこで本発明は定性推論の加減演算において不定状態
を回避する演算規則を適用したファジー推論を導入する
ことで、定性推論の上述した問題点を克服し、制御系で
も充分に利用可能な枠組みを組み入れるようにしたこと
を特徴としている。
第7図はこのようなファジー化定性推論に用いられる
メンバシップ関数の例を示す図である。
このファジー化定性推論では対象モデルを『対象のも
つパラメータのあいまい定量値』『パラメータ間の制約
条件』という2種類の情報を用いて記述される。そして
対象の初期条件と入力パラメータのあいまい定量値を与
えることにより、対象の振舞いを推論するものとなって
いる。
尚、ここではパラメータ関係式を記述する為の演算要
素として、次の6種類が用意されている。
積分 X=∫Ydt integ(X,Y) 符号反転 Y=−X minus(X,Y) 加算 W=X+Y add(X,Y) 乗算 W=X*Y mult(X,Y) 係数 W=a*X coef(a,X) 等号 W=X equal(X) 時間関数 W=f(t)time(t) 一方、メンバーシップ関数は第7図に示すように次の
5種類が準備されている。
P :正 PS: Z :零 NS: N :負 但し、PS・NSは各々PとZ,NとZの中間値を表わすメ
ンバーシップ関数である。
またこのファジー化定性推論における制約ルールは、
例えば加算(add)を例にとると第8図に示すように与
えられる。
即ち、W=X+Y;add(X,Y)なるファジー化推論を行
う場合には、その入力X,Yに応じて、その出力Wは第8
図に示す制約ルールに従い、 IF X=N and Y=N,THEN W=N IF X=N and Y=Z,THEN W=N IF X=N and T=P,THEN W=Z として求められるようになっている。
このようなファジー化定性推論を採用した要求値導出
推論部7は、例えば前述した第3図に示す脱気器レベル
制御モデルの場合、その動特性である積分時定数T0や比
例ゲインK0等は第4図に示すように与えられる。このよ
うな動特性に示される条件下で給水ポンプを一台停止
し、一台起動するときの給水ポンプ側の要求流量パター
ンQbが 脱気器流出量 Qb=sin(t/5)=0.4p.uとして与えら
れ、 積分偏差 Ic=0.4p.u 脱気器レベル L =0.0p.u (但し、p.u;per−unit;ファジー値) が与えられた場合、脱気器レベルを正常に保つ為の復水
流量Qcのパターンは、上述したファジー化定性推論によ
り、例えば第9図に示すように求められる。すなわち、
第3図に示した動特性モデルの各演算式を先に説明した
6種類の演算要素にあてはめて上述したファジー演算規
則に基づいてファジー演算し、各Qc,Qb,Lを求める。な
お、6種類の演算要素は,Addで示した制約規則を持って
いる。従ってこの場合、脱気器はその最大値を入力側の
復水ポンプに出力要求として発行することになる。
ここで上述した一連の推論処理動作を第10図に示す発
電プラントの給水系統を例にとり説明する。
今、3台の給水ポンプA,B,Cの許容最大値が各々400
(T/H)であり、ポンプシステム(ポンプA,B,C)に対す
る現在の出力要求が各々[320],[320],[0.0](T
/H)であって、ポンプAのみがAPC (Automatic Plant
Controller)の下で運転中とする(以下の説明では単位
を省略する)。
この状態で、例えばポンプAに異常点検を必要とする
一般停止故障が発生し、状態監視部からポンプAに対し
てその診断結果が操作同定機構に送られたものする。
この場合の推論動作を前述した各推論機構に対応させ
て説明すると、先ず操作検証推論部6における検証推論
によりポンプAの停止操作がプラントに与える影響が評
価される。そしてポンプAを[APC]から[off]に操作
すると、(states)の記述からその属性(capacity)が
[400]から[0]に変化することが検出される。そこ
で機器のモデル知識のgoalに記述された要求充足状態
(要求値≦capacity)をチェックすると、要求を満足で
きないことが判明し、停止操作による悪影響がポンプA
で発生することが検出される。そこでポンプAに悪影響
が発生したことを出力してここでの検証推論を一時停止
する。
しかる後、前記操作導出推論部5を起動して操作導出
推論を開始し、悪影響を回避する為の操作を導出する。
この処理では、先ず悪影響発生箇所であるポンプAに注
目する。しかし既にポンプAについては操作済みであ
り、このポンプAからは回避操作を導出することができ
ないため、要求の発行元であるポンプシステムにバック
トラックする。
これを受けてポンプシステムは、前述した運転原則2
に基づいて要求の展開方法を変更し、ポンプA,B,Cに各
々[0],[320],[0]なる要求を再発行する。
するとポンプAは現在の[off]状態でこの新しい要
求を満足しており、またポンプCは要求の変化がないの
で両者に対する操作は不要であることが求められる。
これに対してポンプBは、その要求値が許容範囲内
(min=0≦320≦400=max)であるが、現在の状態[of
f]では要求充足状態となり得ない。従ってポンプBに
対する操作が必要になる。この結果、ポンプBに対し
て、前述した機器が取り得る状態の記述(states)か
ら、[APC]状態であれば要求充足状態(320≦400)と
なり得ることが推論される。そこでポンプBを[off]
から[APC]に切り換えるという操作を推論結果として
出力し、操作導出推論を一時停止させる。
その後、導出された操作による新たな悪影響の有無の
検証の為に操作検証推論部6による検証推論を起動す
る。そして悪影響がないことが確認されると、再度操作
導出推論が起動され、入力側の機器に対する新たな要求
の発行を行なう。このようにして入力側の機器(脱気
器)に新たな要求を伝播する際、[demand]によりポン
プBの立ち上げ時の動特性情報[Sin(t/5)]を伝播さ
せる。
しかして脱気器は1つのタンクであり、ここでは操作
を行なう要素のない機器であると云える。そこでこの時
点では操作検証推論部6は脱気器については何等悪影響
のないことを確認し、前述した要求を更に入力側(上位
側)の機器である復水ポンプシステムに伝播する。この
時、脱気器は貯水レベルを維持する必要がある為、前述
した要求値導出推論部7により、そこでの貯水レベルを
維持させる為の復水ポンプからの流入量の遷移状態を予
測する為のファジー化定性推論が起動される。
この結果、第9図に示すように 最大 p.u= 0.55 p.u 最大予測流量 =システム定格流量(800t/h)*0.55=440 (但し、システム定格流量はプラントが100%負荷時
の流量である。) る復水流量Qcのパターンが求められる。この結果、復水
ポンプシステムには[440]の要求が伝播されることに
なる。
このようにして給水ポンプ系に対する要求に対する操
作に応じて復水ポンプ系に対する要求が伝播されて、そ
の発電プラントの給水系統に対する操作列が適性に、且
つ動的に生成されていくことになる。
以上のように本装置によれば、操作導出推論と操作検
証推論を交互に繰り返して実行され、その推論過程にお
いて必要に応じてファジー化定性推論による要求値導出
推論により状態遷移状況を予測しながらその操作が導出
されていく。この結果、上述した例においては、給水ポ
ンプを切り替え起動を行う操作を導出した過渡特性の影
響によって、復水ポンプ(最大給水容量=400)も追加
起動する必要があるという操作列が生成されることにな
る。
尚、本発明は上述した実施例に限定されるものではな
い。ここでは発電プラントの給水系統に対する制御操作
を推論により導出する例について説明したが、その他の
種々の制御プラントシステムに対しても同様に適用する
ことができる。またファジー推論で用いられるメンバー
シップ関数についても、その制御システム仕様に応じて
種々変更可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱
しない範囲で種々変形して実施することができる。
[発明の効果] 制御対象を構成している複数の機器に関する運転原則
とモデル知識とを用いて制御対象に与えられた出力要求
の充足に必要な操作を動的に生成するようにしているの
で、制御対象に不測事態が発生した場合であっても、こ
の不測事態を回避できる操作列を生成できる。
要求値導出推論部を設け、この要求値導出推論部で制
御対象に関する動特性モデルを用い、定性推論の加減演
算において不定状態を回避する演算規則を適用したファ
ジー推論という、簡易、高速で、しかも解への収束性を
保証した手法を用いて制御対象の将来の振る舞いを予測
し、この予測結果を参照しながら操作列を生成するよう
にしているので、柔軟でかつ木目の細かい制御システム
の構築に寄与できる。
生成された操作に対して、操作検証推論部において制
御対象のモデル知識を用いて検証しているので、安全性
を損なうことのない、精度の高い操作列を生成できる。
推論制御部で操作導出推論部、要求値導出推論部、操
作検証推論部を適宜切換え動作させて最終的に操作導出
推論部から前記各機器に対する適切な操作列を導出させ
るようにしているので、制御対象の動特性を考慮に入れ
た安全でかつ精度の高い操作列を自動生成できる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の一実施例に係る制御プラントシステムにお
ける推論装置について示すもので、第1図は実施例装置
の概略的な構成図、第2図はモデル知識の記述例を示す
図、第3図は制御対象機器としての脱気器の制御系を示
す図、第4図は第3図に示した脱気器の動特性を示す
図、第5図は操作導出推論部での操作導出処理手続きの
流れを示す図、第6図は操作検証推論部における検証処
理手続きの流れを示す図である。 また第7図は要求値導出推論部で用いられるメンバーシ
ップ関数の例を示す図、第8図は要求値導出推論部での
ファジー化定性推論で用いられる制約ルールの例を示す
図、第9図はファジー化定性推論で求められる要求流量
パターンQbに対する復水流量パターンQcの例を示す図、
第10図は操作導出推論の対象となる発電プラントの給水
系統の例を示す図である。 1…モデル知識、2…運転規則、3…動特性モデル、5
…操作導出推論部、6…操作検証推論部、7…要求値導
出推論部、8…推論制御部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−251202(JP,A) 特開 平1−243102(JP,A) 鈴木淳三、外5名、「深い知識に基づ く制御用エキスパートシステム」、第9 回知識工学シンポジウム資料、計測自動 制御学会、平成元年3月、P.153−158 馬場俊光、外3名、「ファジー化定性 推論による高度な診断知識獲得」、第9 回知識工学シンポジウム資料、計測自動 制御学会、平成元年3月、P.159−164

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御対象を構成している複数の機器に関す
    る運転原則とモデル知識とを用いて上記制御対象に与え
    られた出力要求の充足に必要な操作を動的に生成する操
    作導出推論部と、 前記制御対象に関する動特性モデルを用い、定性推論の
    加減演算において不定状態を回避する演算規則を適用し
    たファジー推論により前記操作導出推論部にて生成され
    た操作に対する上記制御対象の振る舞いを予測し、予測
    結果に応じた要求を上記操作導出推論部に与える要求値
    導出推論部と、 前記操作導出推論部にて生成された操作を前記モデル知
    識を用いて検証し、検証結果を上記操作導出推論部に与
    える操作検証推論部と、 これら各推論部を切換え動作させて最終的に前記操作導
    出推論部から前記各機器に対する適切な操作列を導出さ
    せる推論制御部と を具備してなることを特徴とする推論装置。
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