JP2634448B2 - 保存安全性に優れた絹フィブロイン水溶液及びその製造法 - Google Patents

保存安全性に優れた絹フィブロイン水溶液及びその製造法

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JP2634448B2 JP63265166A JP26516688A JP2634448B2 JP 2634448 B2 JP2634448 B2 JP 2634448B2 JP 63265166 A JP63265166 A JP 63265166A JP 26516688 A JP26516688 A JP 26516688A JP 2634448 B2 JP2634448 B2 JP 2634448B2
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    • A61K2800/524Preservatives

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高品質でしかも保存安定性に優れた絹フィ
ブロイン水溶液及びその製造法に係り、特に化粧料基剤
や食品基剤に好適な絹フィブロイン水溶液及びその製造
法に関する。
(従来の技術) 絹フィブロイン(シルク)は、その適度な吸湿性や保
湿性、皮膚や毛髪に対する優れた親和性や保護作用等の
特性を有しているために、従来から絹フィブロイン粉末
がメーキャップ化粧料基剤等の用途に使用されてきた。
従来、絹フィブロインや絹フィブロインペプチド粉末
として、特公昭40−24920号公報、特公昭26−4947号公
報並びに特公昭58−38449号公報には、絹糸をそのまま
或いは化学的処理で脆化させたものを粉砕した繊維状の
絹フィブロインパウダー、絹フイブロインを適当な濃厚
中性塩等に溶解透析し得られたコロイド溶液を粉霧乾燥
して製造したゲル状絹フィブロインを粉砕した粒状の絹
フィブロインパウダー、並びに絹フィブロインを適当な
無機中性塩或いはアルカリ性水溶液に溶解後透析し或い
はしないで得られたコロイド溶液から、凝固性塩の添
加、空気吹込み、等電点凝固、超音波処理或いは高ずり
変形速度での撹拌等で絹フィブロインを凝固析出せし
め、脱水、乾燥後粉砕した微粉末状絹フィブロインが開
示されている。
又絹繊維を原料とした水性化粧料基剤に関しては、絹
繊維を塩酸、硫酸、リン酸等の強酸水溶液中で煮沸分解
し、絹繊維の分解で生成する混合アミノ酸を主成分とす
る粉末を得る方法、特公昭42−17030号公報に記載の様
に、絹フィブロインを高濃度リン酸で処理して得られる
溶液にアセトン等の特定の有機溶媒よりなる凝固剤を混
合して部分分解物を析出せしめ、再びこれを水に分散し
た後、蛋白分解酵素を作用させ、次いで前記凝固剤を用
いて沈澱を析出させる方法が知られている。
これ等の方法のうち、前者は混合アミノ酸を主成分と
するものであるため、化粧用基剤として特に有用という
ものではない。又、後者の場合、本質的に固液反応であ
るため分子量分布は広くならざるを得ず、又平均分子量
を低くすればアミノ酸の生成量が必然的に増加し凝固剤
で析出し難くなる等のため品質、コスト両面に問題があ
り、操作も煩雑である。
一方、特公昭57−4723号公報には、銅−エチレンジア
ミン水溶液、水酸化銅−アンモニア水溶液、水酸化銅−
アルカリ−グリセリン水溶液、臭化リチウム水溶液、カ
ルシウム或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝
酸塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸ナトリ
ウム水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも一種の溶
媒に精練絹原料を溶解後透析することを特徴とする絹フ
ィブロイン水溶液の製造法が提案されている。
該方法の場合、溶媒が穏やかなものであるため絹フィ
ブロインの化粧料用基剤として有用な蛋白質構造を損傷
することが無く、又透析を を満足する多層膜構造物又は中空糸束構造物を使用して
いる為、透明で均一な高品質の水溶液を安定して製造す
ることができる。
ところで、この絹フィブロイン水溶液の長期保存期間
での品質安定性特に防カビ・防腐対策は不充分であって
種々の問題点や使用上の制約がある。即ち、一般に原料
や製品の防カビ・防腐対策としては防カビ・防腐剤を添
加するか、製造の最終工程で滅菌して密封するかのいず
れか又は共用されるのであるが、原料や製品が開封後長
期間にわたって使用される場合、滅菌密封は無意味であ
り、又滅菌が不可能な原料や製品もある。その場合は専
ら防カビ・防腐剤を添加する手法がとられる。
絹フィブロイン水溶液を化粧品基剤用途に使用する場
合は、正にその典型的な例であるが、この場合、防カビ
・防腐剤として最も効果のある安息香酸、ソルビン酸、
P−オキシ安息香酸エステル等が冷水に難溶のため低温
時の溶解安定性が低く、このため防カビ・防腐効果を発
揮する所定量を添加できず、又、加熱して溶解量を増し
ても冷却するとともに、析出し、さらに防カビ・防腐剤
単独では絹フィブロイン水溶液の濁りやゲル化を促進す
るため不都合である。
本発明の絹フィブロイン水溶液は平均量体数2以上の
絹蛋白の水溶液であるが、分子量の増大とともに絹フィ
ブロイン水溶液の防カビ・防腐性は低くなるため菌汚染
のある場合本発明者等が先に提案した、絹フィブロイン
ペプチド(平均分子量160〜48000)の「保存安定性に優
れたペプチド及びその製造法」:特開昭63−92671号公
報の場合の保存安定化方法だけでは不充分である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者等は、絹フィブロイン水溶液の製品性状や品
質の改良について鋭意研究した結果、本発明を完成した
ものである。本発明の目的は、適度な吸湿性や保湿性、
皮膚や毛髪に対する優れた親和性や保護作用等の特性を
持ち、しかも長期間の保存安定性に優れた絹フィブロイ
ン水溶液を提供するにある。他の目的は、斯る水溶液を
工業的容易且つ安価に製造する方法を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は2価以上の多価アルコール及びそのポリマ
ー、さらにはポリビニルアルコールよりなる群から選ば
れたポリオールの1種又はその混合物を溶液濃度で0.10
〜5.0%(重量)、防カビ・防腐剤を溶液濃度で0.02〜
1.0%(重量)、さらにキレート化剤を溶液濃度で0.02
〜1.0%(重量)含有する、均一な溶液状態の絹フィブ
ロイン水溶液に係わるものであり、本発明方法は水系媒
体に溶解して製造した絹フィブロイン水溶液に、キレー
ト化剤を溶液濃度で0.02〜1.0%(重量)添加し、これ
にあらかじめ調整したポリオールを溶媒とする防カビ・
防腐剤の0.2〜20%(重量)濃度の溶液を混合すること
を特徴とする。
本発明は平均量体数2以上の絹フィブロイン水溶液に
有効であって、特に平均量体数600を上廻る場合に顕著
な効果がある(参考資料、特開昭63−92671号公報)。
本発明に使用する絹フィブロイン原料は、まゆ、生
糸、まゆ屑、生糸屑、ビス、揚り綿、絹布屑、ブーレッ
ト等を常法に従い必要に応じて活性剤の存在下、温水中
で又は酵素の存在下温水中でセリシンを除去し乾燥した
ものを使用する。
本発明に適用する絹フィブロインの溶液は、銅−エチ
レンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニア水溶液(シ
ュワイサー試薬)、水酸化銅−アルカリ−グリセリン水
溶液(ローエ試薬)、臭化リチウム水溶液、カルシウム
或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或いは硝酸塩又は
チオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶
液が挙げられるが、コスト及び使用上の点からカルシウ
ム又はマグネシウムの塩酸塩又は硝酸塩が好ましい。
又、これ等の水溶液の濃度は使用する溶媒の種類、温度
等により異なるが、金属塩等の濃度は通常10〜80%(重
量)、好ましくは20〜40%(重量)である。80%(重
量)以上でも溶解するが、生成する絹フィブロイン水溶
液に実質的な差異が無く経済性の点で問題である。
精練後の絹原料を前記水溶液よりなる溶媒に添加し、
温度60〜95℃、好ましくは70〜85℃でニーダの如き装置
内で均一に溶解するが、液比は通常2〜50、好ましくは
3〜30である。
得られた絹フィブロイン溶解液から高純度の絹フィブ
ロイン水溶液を得るためには、引続いて透析する。透析
はセロファン膜に代表される透析膜や中空繊維を使用し
た透析器を用い、前記の塩類等をほぼ完全に除去する。
この場合目的とする絹フィブロインの分子量分布を極力
狭くするためと、α構造のペプチドの割合を50重量%以
上に調整するためには、透析量と透析膜面積を特定する
必要がある。即ち下記式を満足する多層膜構造物又は中
空糸集束構造物を使用して脱塩を行なう。
(ここで、プライミング容量とは透析チューブ又は膜間
の内容積を示す) 上記数値が10未満の場合、積分離が迅速に行なわれな
いため透析器中での滞留時間が長くなり、得られるフィ
ブロイン水溶液は、既に腐敗が始まっている事が多い。
その場合、フィブロイン蛋白は腐敗による変性で水不溶
(β構造)化し、これを再び冷水易溶性化することは困
難である。
特に本発明を円滑に且つ経済的に行うために、上記数
値は30以上が好ましく、50以上が特に好ましい。該条件
を満足させる為には、例えば中空糸集束構造物の場合中
空糸の直径を4mm以下にする必要がある。
本発明方法に於いて得られた透析液は、残留塩濃度が
0.003〜0.06%(重量)と極めて少なく、特に中空糸の
径が0.2mm程度になると、 となり透析器中での滞留時間数10分で、これを達成する
ことができ、これより極めて高品質の絹フィブロイン水
溶液を得ることができる。
本発明に於て蛋白質濃度は本質的なものではないが、
通常1〜30%(重量)、好ましくは2〜20%(重量)
で、必要に応じて濃縮される。1%(重量)以下では後
工程で濃縮の必要があり不経済であるし、30%(重量)
以上では粘性が高くなって反応や操作に無理がある。
絹フィブロインの平均分子量が数百〜数千のものを得
ようとする場合、これを酵素或いは酸又はアルカリを用
いて加水分解を行なう。
本発明に於いて、絹フィブロイン水溶液を長期間の保
存安定性を付与するため、まずキレート化剤を溶液濃度
で0.02〜1.0%重量添加する。次いで、あらかじめ調整
したポリオールを溶媒とする防カビ・防腐剤0.2〜20%
(重量)濃度の溶液を混合する。防カビ・防腐剤をポリ
オールに溶解する場合必要に応じて90〜100℃に加温す
るのが効率的である。
本発明に於て、キレート化剤の量が溶液濃度で0.02%
(重量)以下の場合は室温で数ケ月保存した水溶液に色
相の褐変や濁りが認められる。一方、1.0%を超える添
加は保存安定性に有意差が無く経済的でないし、又絹フ
ィブロインの純度がそれだけ低くなり好ましくない。
本発明のキレート化剤は、通常のキレート化剤が絹フ
ィブロインの用途で問題がなければすべて適用できる
が、経済性の点でEDTA又はトリポリ燐酸ソーダ或いはヘ
キサメタ燐酸ソーダが望ましい。EDTAはpHとの関係で2N
a塩又は3Na塩がより望ましい。
本発明のポリオールは2価以上の多価アルコール及び
そのポリマー、さらにはポリビニルアルコールであっ
て、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコ
ール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリグリセリンである。これ等ポリ
オールは本質的には絹フィブロイン水溶液のゲル化剤で
ある。従って、これを多量に混合するのは該水溶液の安
定性を低くすることになり本発明の目的に逆行すること
になる。
一方、ポリオールは冷水に難溶性の食品添加物用の防
カビ・防腐剤を絹フィブロイン水溶液に均一な溶液状態
で溶解させる。即ち、冷水に難溶性の食品添加物用の防
カビ・防腐剤は冷水に難溶であるばかりか、90〜100℃
に加熱して水に溶解させても、これを冷却すれば防カビ
・防腐剤は再び析出してくるが、あらかじめポリオール
に溶解した防カビ・防腐剤は高濃度で安定して水に溶解
することができることが一般に知られている。これは防
カビ・防腐剤がポリオールと溶媒和状態(分子化合物)
で、水に溶解しているからに他ならない。
以上のような意味でポリオールは防カビ・防腐剤の絹
フィブロイン水溶液中での安定化剤としての働きをし、
一方前述のごとく絹フィブロインの不安定化剤としての
挙動をする。このポリオールの持つ安定化剤と不安定化
剤との働きの微妙なバランスから、ポリオールの溶液濃
度(重量)は0.10〜5.0%、好ましくは0.50〜2.0%が適
当である。
本発明の防カビ・防腐剤は特に限定されるものでは無
いが、絹フィブロイン水溶液の用途が化粧品・食品の場
合、食品添加物用の物が好ましい。具体的には安息香
酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸、及びこ
れ等の塩、P−オキシ安息香酸エステル等であり、特に
冷水に難溶性の安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、
P−オキシ安息香酸エステルの場合本発明は効果的であ
る。防カビ・防腐剤は2種以上が共用されることが多
く、このため冷水に易溶性の防腐剤と難溶性の防腐剤が
混用されるが、この場合も本発明は有効である。
防カビ・防腐剤の添加量は前述のポリオールの添加量
の上限によって制限され、特に化粧品・食品用途の場合
は日本薬局方及び化粧品原料基準等で規定されるため溶
液濃度で0.02〜1.0%(重量)が適当である。0.02%
(重量)以下の場合絹フィブロイン水溶液に対して防カ
ビ・防腐効果はほとんど無い。
(実施例) 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。な
お、実施例中の測定及び測定結果の算出は次の方法で行
なった。
a.平均重合度の測定 絹フィブロインを完全加水分解した場合のアミノ酸モ
ル量を求め、これを(a)とする。供試絹フィブロイン
の末端基量を測定しこれを(b)とする。平均重合度=
(a)/(b)として求める。(a)を得るには(1)
絶乾固形分量より灰分量を差引き、これと絹フィブロイ
ン構成アミノ酸の平均分子量(約80)より求める。
(2)ケルダール窒素測定より求めた窒素原子量をアミ
ノ酸モル量とする。(3)水酸化ナトリウム又は塩酸加
水分解後、生成アミノ酸をニンヒドリン比色定量する等
の方法に依る。各測定法に若干の違いがあるが、一般に
良い一致を示す。(b)はフォルモール測定法により末
端−CO2H基を測定すれば良い。
b.光透過度の測定 日立557型二波長分光光度計を用い、420mμでの光透
過度を測定した。測定試料は絹フィブロイン濃度5%に
調整し、セル長は10mmである。
実施例1 絹フィブロイン原料として絹紡績屑を用いて、これの
100部をマルセン石けん30部、水3000部の溶液で95〜98
℃において3時間撹拌精練し、残膠を0.1%以下にまで
減少させ、水洗後80℃で熱風乾燥した。
塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)100部に水100部を混
合して38重量%塩化カルシウム水溶液200部を調製して1
10℃に加熱した。これに精練ずみの絹紡屑40部をニーダ
を用いて5分間で撹拌しながら投入後、さらに30分間撹
拌し完全に溶解させた。
次に、内径200μ、膜厚20μ、厚さ500mmの再生セルロ
ース系中空糸を2000本束ね、これの両端を中空穴を閉塞
することなく集束固定(シール)したホローファイバー
型の透析装置を用いて、前記溶解液を0.2/時間の割
合で流入させて脱イオン水を用いて透析し、フィブロイ
ン水溶液を得た。該フィブロイン水溶液のフィブロイン
濃度は13重量%で、残留塩化カルシウムは0.001重量%
であった。
得られたフィブロイン水溶液に、ナガセ生化学工業社
製ビオブラーゼ・コンクを絹フィブロイン固形分に対し
て0〜5.0重量%添加し20℃から70℃に昇温しながら4
時間加水分解反応させた。反応を終了させるために15分
間沸とうし、冷却後、これにEDTA・2Na塩を溶液濃度で
0.4%(重量)添加し0.6μの孔径のメンブラン過後、
それぞれ7.5%(重量)のP−オキシ安息香酸エチルと
P−オキシ安息香酸ブチルを溶解している1,3−ブチレ
ングリコールを混合した。混合後のそれぞれの薬剤の溶
液濃度はEDTA・2Na塩0.4%、P−オキシ安息香酸エチル
0.15%、P−オキシ安息香酸ブチル0.15%、1,3−ブチ
レングリコール1.7%であった(実施例1〜6)。比較
例として防カビ・防腐剤及びポリオールを全く添加せ
ず、EDTA・2Na塩は0.4%混合した(比較例1〜6)。
この両者につき、1ケ月後(実施例、比較例1に付て
は10日後)の着色度と濁りの程度を分光光度計及び肉眼
で測定した。着色度は420mμでの光の透過度で測定し
た。その結果を混合液調製直後の透過度の割合で第1表
に示す。なお、各試料は1時間/1日開封し、意識的に菌
汚染させた。又、平均重合度100以上の数字は測定方法
の限界でやや不正確である。
第1表で明らかなように、キレート化剤と防カビ・防
腐剤の添加効果は顕著であって、その効果は絹フィブロ
インの平均分子量が大なる程大きく、特に加水分解を受
けていない時は防カビ・防腐剤を添加しない場合、1〜
2日で腐敗ゲル化するのに対して、添加した場合10日以
上均一で安定した水溶液の状態を保つことができる。
実施例2 本発明例1に準じて絹フィブロイン水溶液中の防カビ
・防腐剤及び1,3−ブチレングリコールの溶液濃度は変
えず、キレート化剤の溶液濃度のみ変えて検討した。そ
の結果(保存10日後)を第2表に示す。
以上のように、キレート化剤の添加量は0.02重量%で
実用的には効果が認められ、又1.0重量%以上の添加は
効果の割に経済的でない。
実施例3 本発明例1に準じて絹フィブロイン水溶液中のキレー
ト化剤の溶液濃度及び防カビ・防腐剤の溶液濃度(絶体
量)は変えず、1,3−ブチレングリコールの溶液濃度の
み変えて検討した(従って、1,3−ブチレングリコール
溶媒の防カビ・防腐剤濃度は変化)。その結果(保存10
日後)を第3表に示す。
以上のように、ポリオールの添加量は0.10重量%で実
用的には効果が認められ、0.10重量%以下では防カビ・
防腐剤の溶解量が不足するので絹フィブロイン水溶液は
腐敗ゲル化し、又、5.0重量%以上の添加は絹フィブロ
イン水溶液をゲル化するので好ましくない。
実施例4 本発明例1に準じて絹フィブロイン水溶液中のキレー
ト化剤の溶液濃度及び1,3−ブチレングリコールの溶液
濃度は変えず、防カビ・防腐剤の溶液濃度のみ変えて検
討した。その結果(保存10日後)を第4表に示す。
以上のように防カビ・防腐剤の添加量は0.02重量%で
実用的には効果が認められ、又1.0重量%以上の添加は
防カビ・防腐剤が析出し、絹フィブロイン水溶液が白濁
するので好ましくない。
実施例5 絹フィブロイン水溶液中の溶液濃度は本発明例1と全
く同じくしたが、混合方法は加温した絹フィブロイン水
溶液中に1,3−ブチレングリコール、EDTA・2Na塩、P−
オキシ安息香酸エチル、P−オキシ安息香酸ブチルを混
合溶解した。
しかしながら、冷却するとともに防カビ・防腐剤の大
部分は析出し、絹フィブロイン水溶液は3日後に腐敗ゲ
ル化した。
実施例6 本発明例1に準じて、種々の防カビ・防腐剤について
検討した。その結果を第5表に示す(保存10日後)。
以上のように、防カビ・防腐剤としては安息香酸、ソ
ルビン酸、P−オキシ安息香酸エステル等が顕著な効果
を示すことが分る。
実施例7 本発明例1に準じて、種々のポリオールについて検討
した。その結果を第6表に示す(保存10日後) 以上のように、ポリオールとしては1,3−ブチレング
リコールのみならず、プロピレングリコール、1,4−ブ
チレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール
等が顕著な効果を示すことが分る。
(発明の効果) 以上の如く、本発明の方法により得られた絹フィブロ
イン水溶液は、その添加されたキレート化剤、ポリオー
ル類及び防カビ・防腐剤の効果で、長期間液の腐敗、着
色、濁り或いはゲル状物の発生を抑えた状態で保存でき
る。
さらに本発明で得られた絹フィブロイン水溶液は、皮
膜形成能が良く、吸湿性、保湿性が良好であり、さらに
皮膚に対する親和性や保護作用等に優れた特性を持って
おり、化粧料用基剤、医薬品、食品、カプセル剤、分析
用基剤、その他に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 29:04 71:02)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2価以上の多価アルコール及びそのポリマ
    ー、さらにはポリビニルアルコールよりなる群から選ば
    れたポリオールの1種又はその混合物を溶液濃度で0.10
    〜5.0%(重量)、防カビ・防腐剤を溶液濃度で0.02〜
    1.0%(重量)、さらにキレート化剤を溶液濃度で0.02
    〜1.0%(重量)含有する、均一な溶液状態の絹フィブ
    ロイン水溶液。
  2. 【請求項2】水系媒体に溶解して製造した絹フィブロイ
    ン水溶液に、キレート化剤を溶液濃度で0.02〜1.0%
    (重量)添加し、これにあらかじめ調整したポリオール
    を溶媒とする防カビ・防腐剤の0.2〜20%(重量)濃度
    の溶液を混合することを特徴とする、溶液濃度(重量)
    でそれぞれポリオールを0.10〜5.0%、防カビ・防腐剤
    を0.02〜1.0%、キレート化剤を0.02〜1.0%含有する均
    一な溶液状態の絹フィブロイン水溶液の製造法。
JP63265166A 1988-10-20 1988-10-20 保存安全性に優れた絹フィブロイン水溶液及びその製造法 Expired - Lifetime JP2634448B2 (ja)

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