JP2022077094A - 非接触振動計測装置および非接触振動計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】得られた受信信号から所望の情報を抽出することのできる非接触振動計測装置および非接触振動計測方法を提供する。【解決手段】光源レーザ光をシードとして被測定対象の表面に照射する発振レーザ光を発振するレーザ発振器と、ビームスプリッタと、ビームスプリッタによって分岐された発振レーザ光、ならびに被測定対象の表面からレーザ発振器への散乱帰還レーザ光により変調されビームスプリッタによって分岐された変調発振レーザ光を受光し電気信号に変換する光検出部と、光検出部により変換された発振レーザ光もしくは変調発振レーザ光の強度である受信信号を収録する信号収録部とを具備し、信号収録開始から信号収録終了の時間内に、2つ以上の任意の値の遅延時間と、当該遅延時間毎に設けられた任意の幅の時間ゲートとが設けられ、夫々の時間ゲートで取得された受信信号を個々に収録する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、非接触振動計測装置および非接触振動計測方法に関する。
レーザによる計測技術は、コンクリートによるインフラ、溶接を伴う製造物から生体まで様々な分野で遠隔かつ非破壊で検査できる手法として注目されている。レーザを用いた超音波計測法、いわゆるレーザ超音波法は、従来実験室的な測定に用途が限られてきたが、大出力の受信用レーザ光源や粗面に強い干渉計測装置が開発され始めたことにより、急速に工業現場への適用が進んでいる。例えば溶接中の高温の溶接ビード上にレーザを照射し、発生した欠陥をその場で検出する溶接インプロセス検査などが実用化されている。
レーザ超音波法の最大の強みは非接触での計測が可能な点にあり、触れられないほど脆い、小さい、狭い、高温であるなどのプローブ接触が困難な対象、もしくは対象物への性能影響や対象物の大きさから、水などの媒質に浸漬できない対象等に適用が期待されている。
一方で、超音波の受信にレーザ干渉計測を用いるという特性上、超音波の受信にかかわる装置が大掛かりかつ高価となる。また、計測自体が不安定であり光源や干渉計そのものの安定性向上が必要となる。これらの問題点が、広範な普及への妨げとなってきた。
上述の課題を解決すべく、レーザ超音波法のロバスト化については色々な取組が成されてきた。例えば、測定対象の表面凹凸が生み出すスペックルノイズを低減するため、干渉計における受光用ダイオードをアレイ化したり、反射光が自己干渉を行うファブリペロー干渉計を用いたり、反射光と参照光の波面を揃えるフォトリフラクティブ効果のある結晶を途中に導入したりすることで、感度の安定化が一定の効果を上げてきた。
しかしそれでも、もともと用いるレーザ光のコヒーレンシを上げるために安定化された大型のレーザ光源を用いたり、テーブルトップサイズの干渉計を組んだりする必要があった。
それらと異なるアプローチとして、例えば、マイクロチップの薄型レーザ結晶で発生させたレーザを対象に照射し、反射してきた光を再びマイクロチップレーザの結晶に戻し、発生するレーザ光の乱れから粒子計測を行う技術が提案されている。
しかし、この手法で得られる受信信号は、マイクロチップ結晶で発生させたレーザ光と、このレーザ光が計測対象で反射してマイクロチップ結晶に帰還し、帰還レーザ光により変調した変調発振レーザ光の2つのレーザ光が混合したものになる。
本発明の目的は、上記のようにして得られた受信信号が、計測対象の表面状態や振動状態、マイクロチップ結晶の励起状態などの条件が変わったときの影響を受けている場合に、得られた信号から所望の情報を抽出することのできる非接触振動計測装置および非接触振動計測方法を提供することにある。
実施形態の非接触振動計測装置は、光源を備え、前記光源から出力される光源レーザ光をシードとして被測定対象の表面に照射する発振レーザ光を発振するレーザ発振器と、ビームスプリッタと、前記ビームスプリッタによって分岐された発振レーザ光、ならびに前記被測定対象の表面から前記レーザ発振器への散乱帰還レーザ光により変調され前記ビームスプリッタによって分岐された変調発振レーザ光を受光し電気信号に変換する光検出部と、前記光検出部により変換された発振レーザ光もしくは変調発振レーザ光の強度である受信信号を収録する信号収録部と、を具備し、信号収録開始から信号収録終了の時間内に、2つ以上の任意の値の遅延時間と、当該遅延時間毎に設けられた任意の幅の時間ゲートとが設けられ、それぞれの前記時間ゲートで前記光検出部により取得された受信信号を個々に収録することを特徴とする。
本発明によれば、得られた受信信号が計測対象の表面状態や振動状態、マイクロチップ結晶の励起状態などの条件が変わったときの影響を受けている場合に、得られた信号から所望の情報を抽出することのできる非接触振動計測装置および非接触振動計測方法を提供することができる。
以下、実施形態に係る非接触振動計測装置および非接触振動計測方法について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る非接触振動計測装置および非接触振動計測方法について説明する。代表的例を図1および図2に示す。なお、本図では同軸で描画するべき光路について、説明性のために平行としている場合がある。
第1実施形態に係る非接触振動計測装置および非接触振動計測方法について説明する。代表的例を図1および図2に示す。なお、本図では同軸で描画するべき光路について、説明性のために平行としている場合がある。
図1に示すように、非接触振動計測装置は、レーザ発振器2、光検出部3、ビームスプリッタ7を具備している。レーザ発振器2は、光源レーザ光10を発振するための光源1を備え、光源1から出力される光源レーザ光10をシードとして被測定対象21表面に照射する発振レーザ光11を発振する。
光検出部3は、ビームスプリッタ7によって分岐された発振レーザ光11、ならびに被測定対象21表面からレーザ発振器2への散乱帰還レーザ光12により変調された変調発振レーザ光13を受光し電気信号である受信信号14に変換する。ビームスプリッタ7は、上記した発振レーザ光11、変調発振レーザ光13ならびに散乱帰還レーザ光12を所定の比率に分岐する。
また、非接触振動計測装置は、信号収録部4、信号処理部5、信号収録時間設定部6、全体制御部9を具備している。信号収録部4は、光検出部3により変換された発振レーザ光11および変調発振レーザ光13の両方もしくは片方の強度である受信信号14を収録する。信号処理部5は、信号収録部4に収録された上記受信信号14の処理を行う。また、信号収録時間設定部6は、後述するように、信号収録開始から信号収録終了の時間内に、2つ以上の任意の値の遅延時間Tdiと、遅延時間毎に設けられた任意の幅の時間ゲートTgiの設定等の信号収録時間の設定を行う。全体制御部9は、これらの信号処理系の動作および装置全体の動作の制御を行う。
ここで、受信信号14をデジタル化する、周波数フィルタをかける若しくはフィルタ帯域を制御するといった信号処理および収録は全体制御部9によって行われる。全体制御部9は波形や条件等を表示する表示部、マウスやキーボード、タッチパネルといったユーザインタフェースを有してもよい。
図1に示すように、光源1から発せられた光源レーザ光10は、レーザ発振器2に入射され、レーザ発振器2は発振レーザ光11を生じる。発振レーザ光11はビームスプリッタ7で所定の比率で分割され、片方は被測定対象21表面に、他方は光検出部3に照射される。
被測定対象21表面で反射された発振レーザ光11は、散乱帰還レーザ光12となって再びビームスプリッタ7へ戻り、ビームスプリッタ7から透過した散乱帰還レーザ光成分がレーザ発振器2に再帰する。
散乱帰還レーザ光12が再帰したレーザ発振器2は、散乱帰還レーザ光12が変調されていた場合、発振レーザ光11の固有振動に他の周波数帯域が乗じる変調発振レーザ光13となって発振される。この変調発振レーザ光13は、ビームスプリッタ7を通して光検出部3で電圧波形となる受信信号14に変換される。光検出部3に入射するレーザ光を集光するために、集光部8を設ける場合もある。
本構成において、光源1から発せられる光源レーザ光10としては、代表的なダイオードレーザや、He-Ne等のレーザ、YAG等のレーザ、ファイバレーザ等が挙げられる。ここでは何かに限定されるものではなく、後述するレーザ発振器2ともっとも相性の良いものを用いることが重要である。
発振レーザ光11を生ずるレーザ発振器2は、光源レーザ光10をシードとして連続波を生じるものがよい。色々な媒体が利用できるが、例えばNd:YVO4やNd:YAGのようにサブmm~数mm程度の結晶板厚さ(共振器厚さ)にマイクロチップ化して利用するものが好適と想定される。例えば、Nd:YVO4をレーザ発振器2として用いた場合は、光源レーザ光10の波長は808.8nm周辺が好適であり、これにあわせて光源1を選択することとなる。もちろん、ここで例示した以外の組合せでもよく、発振レーザ光11を生じる組合せであればよい。
ビームスプリッタ7は、主にハーフミラー等で代表される偏光に依存せずに光を一定割合に分岐させるものでもよいし、偏光ビームスプリッタ(ポーラライザ)のようにある位相に応じて透過と反射を分岐するものでもよい。ポーラライザを用いる場合には、ポーラライザの前段あるいは後段に位相情報を変化させるλ/2やλ/4の波長板を適宜挿入してもよい。
被測定対象21は、材料の種類としては金属や複合材、樹脂等が想定される。被測定対象21表面に照射された発振レーザ光11は、被測定対象21表面が定常状態であれば、そのまま発振レーザ光11が反射し、そのまま散乱帰還レーザ光12としてレーザ発振器2に戻ってくる。ここで、被測定対象21表面が超音波等で代表されるように高速で振動していた場合、その振動が定常状態の発振レーザ光11に対して波長および位相変化した散乱帰還レーザ光12を生じることとなる。
ここで、光検出部3により変換された発振レーザ光11および変調発振レーザ光13の両方もしくは片方の強度である受信信号14を収録する信号収録部4の機能について説明する。
図2は、信号収録開始時刻Tsから信号収録終了時刻Teの間において、信号収録開始時刻Tsから遅延時間Td1の後に時間ゲートTg1、遅延時間Td2の後に時間ゲートTg2が設けられ、それぞれの時間ゲート内の信号が取得される場合を示している。例えば時間ゲートTg1で取得される信号が計測したい振動現象についての情報を含んでいるとして、その直後の時間ゲートTg2にどのような信号が現れるかの情報を得ることができる。信号収録部4における信号収録は、信号収録開始時刻Tsから信号収録終了時刻Teの間の信号を一旦収録して各時間ゲートTg1、Tg2の信号を切り出して収録し直してもよく、各時間ゲートTg1、Tg2の信号のみを収録してもよい。
ここで、遅延時間Tdi、時間ゲートTgiの設定は、別に設けられた信号収録時間設定部6にて任意の値にすることができるが、信号収録部4に時間設定機能を持たせて行うことでもよい。時間設定は、計測に用いるプログラム内でデータ取得タイミング等を指定する方法や、遅延パルス発生器からトリガを出して行う方法が考えられる。信号の解析は信号処理部5にて行われるが、後述するように、信号処理部5の機能として、信号強度比較機能、信号周波数特性比較機能を持たせて詳細な評価を行うこともできる。
図2では、振動信号の直後の信号を遅延時間および時間ゲートの設定により取得する例を示したが、遅延時間、時間ゲートは、それぞれ2つ以上、そして任意の値に設定できるので、信号収録開始時刻Tsから信号収録終了時刻Teの間であれば、どの時間帯に設定しても良い。
図3は、2番目の時間ゲートTg2を、時間ゲートTg1における振動信号の収録直後ではなく、信号収録終了時刻Teの直前に行う場合を示している。図2、図3は、2つの時間ゲートによる信号収録を1回行う場合のデータ取得タイミングを示しているが、図4に示すように2回以上、繰り返し計測することも考えられる。これは例えば、パルス発生器などにより、一定の時間周期で発生させたトリガ毎、あるいは、別の計測センサなどに入力される情報が、例えば電圧値などがあらかじめ定めた閾値を超えることに対して働くトリガ毎に信号収録を行う方法などが考えられるが、手動で信号収録開始、終了を決める方法など、他の方法を用いても良い。信号収録の繰り返しを行う場合、図3に示したように、Tg2で取得した信号を、次の収録が開始する前の計測系の状態確認のために用いることが可能である。
次に、図5に示すように、加振源20により被測定対象21を振動させて計測をする場合を考える。図6に時間チャートを示す。ここでは加振時刻Tvと同時刻に信号収録を開始しているが、この限りではなく、例えば加振した時刻に対して遅延時間を設けて信号収録を開始しても良い。加振源20により発生した振動による信号Sviを時間ゲートTg1で取得し、時間ゲートTg2の信号をバックグラウンド(振動の無い場合)の信号として用いることができる。
加振源20による加振により発生した振動が被測定対象21内を伝搬し、繰り返し計測される場合、図7に示されるようにSvを複数回取得する場合もある。また加振する場合でも、図4と同様に、2回以上繰り返して信号収録を行うことが可能である。図8に例を示す。加振を行う場合も、パルス発生器からのトリガを使う方法や、加振のタイミングをトリガとして信号収録開始する方法など様々な方法が考えられる。
次に、時間ゲートを用いて取得した信号の特性を評価する方法について考える。ここまでで信号の取得に関わる構成として、信号収録部4、信号処理部5、信号収録時間設定部6があるが、信号処理部5の機能として、信号強度比較機能、信号周波数特性比較機能を持たせることができる。それぞれの機能について説明する。
まず、信号強度比較機能について説明する。発振レーザ光11を被測定対象21に照射すると、散乱帰還レーザ光12の量は、被測定対象21の表面の状態、すなわち粗さや形状などにより、変化する。鏡面に近い仕上げの表面粗さで形状が平面の場合、入射する発振レーザ光11に対して、散乱帰還レーザ光12は、正反射となる割合が高くなる。一方、粗い表面や曲面の被測定対象21に発振レーザ光11を照射する場合は、反射する際、散乱しやすく、したがって入射方向に帰還する散乱帰還レーザ光12の光量は低くなる。
意図的に加振する場合でも、被測定対象21自身が振動、あるいは外的要因のために振動している場合であっても、振動についての情報は、変調発振レーザ光13により得られるが、変調発振レーザ光13は散乱帰還レーザ光12が十分な光量をもってレーザ発振器2に帰還することが必要であり、光検出部3で得られる変調発振レーザ光13の信号強度は、散乱帰還レーザ光12の増減により変化する。
しかし、前述したように、光検出部3は、発振レーザ光11および変調発振レーザ光13がビームスプリッタ7で分岐したものを受光しており、発振レーザ光11と変調発振レーザ光13を分離することはできない。したがって、光源1のレーザ出力やレーザ発振器2のレーザ発振効率の変化と、散乱帰還レーザ光12の光量の変化による変調発振レーザ光13の振幅の変化を区別することができない。
図9は、加振毎に信号収録を行い、それぞれの信号収録時間内で、2つの時間ゲートを設けてデータを取得し、そのデータ間の比較を最大信号強度により行う例を示している。計測箇所を変えながら計測を行うと、前述のような表面状態の変化による散乱帰還レーザ光12の光量が変化する場合がある。
ここで3回の加振(時刻Tv1、Tv3、Tvn)に対して行った信号収録結果(M1、M3、Mn)の各々のTg1、Tg2における信号強度について振幅の最大値(Tg1:I11、I31、In1、Tg2:I12、I32、In2)を同じ時間ゲート間で比較すると、I11<I31=In1、I12<I32<In2、などの関係を評価することができる。時間ゲートTg2の信号強度は、振幅に関係のないバックグラウンドとして扱うことができる。このバックグラウンドの変化で、振幅情報をもった時間ゲートTg1の信号強度を補正することで、例えば被測定対象21の表面状態の変化の影響を取り除いた信号強度評価が可能となる。すなわち、上記したとおり信号強度は、I11<I31=In1となっているが、これをバックグラウンドの変化で補正すれば、I11<I31>In1となる。バックグラウンドの変化は、被測定対象21の表面状態の変化の他、光源1やレーザ発振器2の変化等によって生じる可能性がある。
信号強度は、振幅の最大値以外に、時間ゲート内の信号強度の平均値、あるいは時間ゲート内のさらに限定した時間範囲の信号強度の最大値や平均値でもよく、その他、統計的処理により強度を数値化する方法が考えられる。また同じ信号収録(M1、M3、Mn)の中での信号強度の比較だけでなく、例えば、時間ゲートTg2の信号のみを抽出して、計測中の変化傾向をモニタリングすることなども可能である。
続いて各時間ゲートにおける信号に対して周波数解析を行い比較する場合を説明する。図10は、2回の加振(時刻Tv1、Tv3)の信号収録結果(M1、M3)各々の時間ゲートTg1、Tg2における信号についてフーリエ変換による周波数特性評価を行った例を示している。時間ゲートTg1は振動の影響を受けている時間の信号、時間ゲートTg2は振動を受けていない時間の信号として、両者を比較することで、与えられた振動の有無による周波数特性の違いを評価することが可能である。
また、遅延時間Td2の値を変えて計測することで、振動の影響を受けなくなる時刻を知ることも可能である。さらに、図11に示すように、同じ信号収録時間内の信号の比較だけでなく、別の加振に対する信号との比較(例えば、M1のTg1とM2のTg1との比較)や、時間ゲートが同じものあるいは異なるものと組み合わせて比較(例えば、M1のTg1とM2のTg2との比較)することなどが可能である。こうした機能は、発振レーザ光11、変調発振レーザ光13がそれぞれの周波数特性を有し、発振条件の違いや振動の有無により変化することから、詳細な比較を可能にし、振動現象を明らかにするために有効である。また、周波数特性評価と前述した信号強度の評価を組み合わせて行ってもよい。
本第1実施形態に示した信号評価のための信号収録時間設定は、計測前にあらかじめ値を決めて行っても良いし、一度計測したデータに対して、後から時間ゲートなどを設けて評価することも可能である、また、繰り返し計測をする場合、同じ時間設定で計測を続けることを想定しているが、途中で設定値を変えてもよいし、繰り返し毎に違う値に設定してもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。ここでは超音波探傷における超音波受信を行う場合について説明する。図12は超音波の励起源(加振源20)としてパルスレーザを照射する場合を示している。なお、図12において23は、加振源20を操作する走査機構である。レーザ超音波法では、数ナノ秒のパルス幅のパルスレーザを被測定対象21の表面に照射することにより、超音波を発生することができる。
次に、第2実施形態について説明する。ここでは超音波探傷における超音波受信を行う場合について説明する。図12は超音波の励起源(加振源20)としてパルスレーザを照射する場合を示している。なお、図12において23は、加振源20を操作する走査機構である。レーザ超音波法では、数ナノ秒のパルス幅のパルスレーザを被測定対象21の表面に照射することにより、超音波を発生することができる。
パルスレーザ光源として使用するレーザは、例えばNd: YAGレーザ、CO2レーザ、Er:YAGレーザ、チタンサファイアレーザ、アレキサンドライトレーザ、ルビーレーザ、色素(ダイ)レーザおよびエキシマレーザなどが挙げられ、もちろんこれ以外のレーザ光源も考えられる。レーザ光源は1台だけでなく2台以上の複数台から構成することもある。
超音波の受信側は、発振レーザ光11を被測定対象21に照射し、散乱帰還レーザ光12がレーザ発振器2に再注入され、そして発生する変調発振レーザ光13を光検出部3で受光することで、超音波Uの受信信号14を得る。パルスレーザの照射位置は、加振源20である照射プローブを走査機構23で走査することにより変えることが可能である。
図13は、パルスレーザによる超音波励起の代わりに、加振源20として圧電素子により超音波を送信する場合を示している。図12の場合でも同様だが、被測定対象21の内部に存在する欠陥22から反射される超音波を自己光混合干渉法で受信することにより、欠陥探傷を行うことが可能である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1……光源、2……レーザ発振器、3……光検出部、4……信号収録部、5……信号処理部、6……信号収録時間設定部、7……ビームスプリッタ、8……集光部、9……全体制御部、10……光源レーザ光、11……発振レーザ光、12……散乱帰還レーザ光、13……変調発振レーザ光、14……受信信号、20……加振源、21……被測定対象、22……欠陥、23……走査機構。
Claims (9)
- 光源を備え、前記光源から出力される光源レーザ光をシードとして被測定対象の表面に照射する発振レーザ光を発振するレーザ発振器と、
ビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタによって分岐された発振レーザ光、ならびに前記被測定対象の表面から前記レーザ発振器への散乱帰還レーザ光により変調され前記ビームスプリッタによって分岐された変調発振レーザ光を受光し電気信号に変換する光検出部と、
前記光検出部により変換された発振レーザ光もしくは変調発振レーザ光の強度である受信信号を収録する信号収録部と、
を具備し、
信号収録開始から信号収録終了の時間内に、2つ以上の任意の値の遅延時間と、当該遅延時間毎に設けられた任意の幅の時間ゲートとが設けられ、それぞれの前記時間ゲートで前記光検出部により取得された受信信号を個々に収録する
ことを特徴とする非接触振動計測装置。
- 請求項1に記載の非接触振動計測装置において、
前記遅延時間と前記時間ゲートを設定するための信号収録時間設定部を備えることを特徴とする非接触振動計測装置。
- 請求項1又は2に記載の非接触振動計測装置において、
収録した前記受信信号を解析するための信号処理部を備えることを特徴とする非接触振動計測装置。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の非接触振動計測装置において、
前記信号収録開始から前記信号収録終了までのステップを繰り返し行うことを特徴とする非接触振動計測装置。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載の非接触振動計測装置において、
前記時間ゲート毎に得られた受信信号の信号強度を比較する信号強度比較機能を有することを特徴とする非接触振動計測装置。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の非接触振動計測装置において、
前記時間ゲート毎に得られた受信信号の周波数特性を比較する信号周波数特性比較機能を有することを特徴とする非接触振動計測装置。
- 請求項1乃至6の何れか1項に記載の非接触振動計測装置を用いた非接触振動計測方法であって、
前記信号収録開始から前記信号収録終了の時間内に、前記被測定対象に対して加振源にて振動を加え、振動を加えた時間から、第1遅延時間の後に設けられ1つ以上の第1時間ゲートと、第1遅延時間とは異なる値の第2遅延時間の後に設けられた1つ以上の第2時間ゲートがあり、それぞれの時間ゲートで取得された受信信号を収録することを特徴とする非接触振動計測方法。
- 請求項7に記載の非接触振動計測方法であって、
前記加振源としてパルスレーザを用いることを特徴とする非接触振動計測方法。
- 請求項7に記載の非接触振動計測方法であって、
前記加振源として圧電素子を用いることを特徴とする非接触振動計測方法。
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