JP2019197390A - 移動体異常時制御装置、移動体異常時制御システムおよびその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常が発生した場合の分析を適切に行なう。【解決手段】ホスト装置(100)との間でデータをやり取りする移動体異常時制御装置(60)は、移動体(10)の異常を検出する検出部(61)により異常が検出された際の移動体の状況を検出し、前記検出した状況の少なくとも一部を記憶する。こうした異常が検出されたとき、該異常の内容を表わす異常情報をホスト装置に送信し、送信した異常情報に対してホスト装置が送信する異常分析プログラムを、移動体側で実施可能に記憶し、異常が検出された際に記憶された移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、異常分析プログラムを実行する。【選択図】図2
Description
本発明は、移動体異常時の制御に関する。
車両などの移動体は、移動体を駆動する装置や、移動方向・移動速度などを制御する装置など、複雑な装置構成を備える。このため、走行などの移動中に、異常が発生したとき、どの部位にどのような異常が発生したかを、調べる必要が生じる。そこで、移動体には、何らかの異常が発生すると、これを記録し、いわゆるダイアグ情報として、出力するものが提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1のシステムでは、車両において何らか異常が検出されると、ダイアグ情報をセンター装置に送信し、センター装置から異常診断用のプログラムやそのプログラムを動作させるシナリオを受信し、これらに沿って車載機器に対する故障部位の特定や診断を行なう。
しかしながら、実際の車両では、こうした診断プログラムを受信したシナリオに沿って動作させても、故障部位の特定や故障内容の診断を十分に行なえないことがあった。何らかの異常が生じたことがダイアグ情報の送信などで検知できても、異常によっては、再現性の低いものがあり、どのような場合に生じる不具合であるかを特定することができないことがあった。特に、近年のように、車両等の移動体の制御が複雑化してくると、制御対象毎に制御用コンピュータ(以下、ECUという)が備えられていることも多く、一つのECUが異常を検出したからと言って、そのECUに診断プログラムを実行させても、故障部位の特定や原因などを行なえないということも少なくなかった。
本件は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
一実施態様として、ホスト装置との間でデータをやり取りする移動体異常時制御装置が提供される。この移動体異常時制御装置(60)は、移動体(10)の異常を検出する検出部(61)と;前記異常が検出された際の前記移動体の状況を検出し、前記検出した状況の少なくとも一部を記憶する記憶部と;前記異常が検出されたとき、当該異常の内容を表わす異常情報を前記ホスト装置に送信する異常情報送信部(64,70)と;前記送信した異常情報に対して前記ホスト装置が送信する異常分析プログラムを実施可能に記憶し、前記異常が検出された際に記憶された前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、前記異常分析プログラムを実行する実行部(61,65)と;を備える。この移動体異常時制御装置は、異常が検出されると、必要な情報をホスト装置に送信し、これに対してホスト装置が送信する異常分析プログラムを実施可能に記憶し、異常が検出された際に、記憶された移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、異常分析プログラムを実行する。従って、異常の分析を適切に行なうことできる。
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態のハードウェア構成:
第1実施形態の異常時制御装置および異常時制御システムについて説明する。第1実施形態において、車両10は、車両各部の制御を行なう複数のECU(電子回路装置)を備え、各ECUが図示しない車内LAN(CAN)を介して、データのやり取りを行なっている。車両10には、エンジン20とこれを制御するエンジンECU21、変速機30とこれを制御する変速機ECU31、制動装置40とこれを制御する制動ECU41、空調装置50とこれを制御する空調ECU51、これらのECUが接続された異常時制御装置に相当するダイアグECU60、外部とのデータのやり取りを行なう通信装置70などが搭載されている。
A1.第1実施形態のハードウェア構成:
第1実施形態の異常時制御装置および異常時制御システムについて説明する。第1実施形態において、車両10は、車両各部の制御を行なう複数のECU(電子回路装置)を備え、各ECUが図示しない車内LAN(CAN)を介して、データのやり取りを行なっている。車両10には、エンジン20とこれを制御するエンジンECU21、変速機30とこれを制御する変速機ECU31、制動装置40とこれを制御する制動ECU41、空調装置50とこれを制御する空調ECU51、これらのECUが接続された異常時制御装置に相当するダイアグECU60、外部とのデータのやり取りを行なう通信装置70などが搭載されている。
エンジン20は車両10の駆動力を発生する内燃機関であり、図示しない燃料供給系や点火系など、周知の構成を備える。エンジンECU21は、燃料供給系における燃料噴射弁の制御や、点火系における点火時期制御、などエンジン20に関する制御を実施する。
変速機30は、エンジン20のクランク軸の回転数を変速するものであり、CVTなどいずれの形式であるかを問わない。変速ECU31は、車両10の速度や必要トルクなどを検出し、必要な変速比を求めて、変速機30の変速比を制御する。変速機30の出力は、ディファレンシャルギア32を介して、駆動輪である後輪35,36に伝達される。
制動装置40は、車両10を制動する制動力を調整する油圧装置である。制動装置40は、後輪の車軸に設けられたホイールシリンダ45,47に送り込む油圧を制御する。図1では、後輪35,36側のブレーキのみを示しているが、実際には全車輪に、ホイールシリンダ45,47や、ブレーキディスク46,47等を備えたディスクブレーキ装置が設けられている。後輪側の車軸に設けられたブレーキディスク46,48は、ホイールシリンダ45,47に付設のディスクパッド(不図示)よって挟み込まれる構造となっており、ディスクパッドとブレーキディスクとの摩擦力により、制動力を発生する。ホイールシリング19〜22を駆動する油圧は、制動力ECU41により制御される。制動力ECU41は、図示しないブレーキペダルの踏込量等に基づく、各車輪に必要な制動力を算出し、各ホイールシリンダ45,47に送り込む油圧を、制動装置40を用いて制御する。
空調装置50は、図示しないラジエータやコンプレッサを駆動して、温風や冷風を車室内に吹き出し、車室内の空気調和を実現する装置である。空調ECU51は、車室内の温度などを検出し、空調装置50の動作を制御する。
ダイアグECU60は、車両10全体の動作状態の診断(ダイアグノーシス)を行なう。ダイアグECU60は、エンジンECU21,変速機ECU31,制動力ECU41,空調ECU51などに、車内LANにより接続されており、各ECUから、各ECUが制御する各装置の状態、特に正常でないと判断された場合の情報を受け取る。また、ダイアグECU60は、通信装置70に接続されており、通信装置70を介して、後述する管理センターと通信し、様々な情報をやり取りする。車両10のダイアグECU60と管理センターとの情報のやり取りに付いては、あとで詳しく説明する。
車両10には、この他、操舵を行なうためのハンドル80やハンドル80の動きを左右の前輪83,84に伝達する操舵ギア81等を備える。なお、図示の都合上、記載を省略したが、車両10には、前輪83,84を制動するブレーキ装置が設けられている。また、その他、車両10として必要な機器、例えばスタータモータやバッテリなども搭載されていることは勿論である。
次に、図2を用いて、車両10における制御情報のやり取りを、ダイアグECU60を中心に説明する。図2に示したように、ダイアグECU60は、処理を行なうCPU61、接続される他のECUやセンサ群とのデータのやり取りを司る入出力部62、プログラムやデータを記憶する記憶部63などを備える。
入出力部62には、前述したエンジンECU21、変速ECU31、制動力ECU41、空調ECU51と共に、センサ群90が接続されている。センサ群90には、車両10に搭載されている全てのセンサが含まれる。センサ群90に含まれるセンサを例示すると以下の通りである。
・車両10の位置を検出するGNSSセンサ91、
・車速を検出する車速センサ92、
・エンジン20のシリンダに配置された燃焼圧を検出する燃焼圧センサ93、
・車両10の加速度を検出する加速度センサ94、
・車両10に生じるヨーレートを検出するヨーレートセンサ95、
・制動装置40における油圧を検出する油圧センサ96、
・エンジン20の冷却水温を検出する水温センサ97、
・車室内の温度を検出する温度センサ98。
・車両10の位置を検出するGNSSセンサ91、
・車速を検出する車速センサ92、
・エンジン20のシリンダに配置された燃焼圧を検出する燃焼圧センサ93、
・車両10の加速度を検出する加速度センサ94、
・車両10に生じるヨーレートを検出するヨーレートセンサ95、
・制動装置40における油圧を検出する油圧センサ96、
・エンジン20の冷却水温を検出する水温センサ97、
・車室内の温度を検出する温度センサ98。
以上のセンサは例示であり、他のセンサ、例えば車両のロールやピッチを検出するセンサや、スリップ率、制動力などを検出するセンサ、等を採用することも差し支えない。また、車両10の制御に用いられる各種センサもセンサ群90に含まれる。これらのセンサ群90に含まれる各センサは、図2では、ダイアグECU60の入出力部62に接続されているものとして描いたが、実際には、それぞれのセンサの情報を直接的に必要とするECUに接続されている。ダイアグECU60は、車内LANを介して、各ECUから、センサ群90に含まれるセンサの検出値を受け取るので、便宜的に図2のように記載した。もとより、車内LANを利用してデータの共有を図ることができるので、いずれのECUに接続されているセンサの検出値であっても、ダイアグECU60を含む他のECUで、いつでも参照できるようにすることは容易である。
ダイアグECU60の記憶部63には、ダイアグECU60の制御用のソフトウェアを記憶するダイアグソフト格納部64、車両の異常を分析する異常分析プログラムであるトラップソフトウェアを記憶するトラップソフト格納部65、車両10の各部に生じた異常を記憶する異常記憶部67、トラップソフトの実行条件を記憶する車両状況記憶部68が備えられている。ダイアグECU60は、通常はダイアグソフト格納部64に格納された処理プログラムを実行し、各ECU21,31,41,51が送信する車両の状態を監視し、特に異常が生じた場合は、発生した異常を異常記憶部67に記憶する。ここで「異常」とは、予め設定された状態から逸脱した状態であり、車両10を直ちに停止すべき状態のみならず、車両10のインスツルメントパネルなどに表示して運転者に警告すれば足りる状態や、異常記憶部67に記憶し検査の際に外部の診断装置に出力すればよい状態など、種々のレベルの状態が含まれる。
ダイアグECU60は、何らかの異常が生じたと判断すると、通信装置70を介して管理センター100とやり取りする。管理センター100は、各車両との通信を行なう通信装置101の他、図示を省略した処理コンピュータや大容量の記憶部などを備える。記憶部には、配下の多数の車両が走行している各地域の気象情報などの環境データ102や、異常の原因を分析する多数のトラップソフトウェア(以下、トラップソフトとも呼ぶ)を記憶したトラップソフトデータベース(以下、トラップソフトDBとも呼ぶ)105などを記憶している。
環境データ102としては、気温や降雨量などの天候情報、大気圧や標高などの高度情報、交通渋滞などの交通状況などのデータを想定できる。また、トラップソフトDB105が記憶しているトラップソフトは、車種毎、異常フラグの値(以下、異常コードという)ごとに用意されている。トラップソフトは、更に細かく、例えば、車種を年式毎に分けて、あるいは輸出先(仕様地)ごとに分けて、データベース化してもよい。
管理センター100は、配下の多数の車両10と通信装置101を介してやり取りし、異常が生じたことを通報してきた車両10が走行している地域の環境データや、必要なトラップソフトを選択し、これらを車両10に送信する。従って、車両10のダイアグECU60と管理センター100とは、異常時制御システムを構成する。
A2.異常時制御:
以上説明したハードウェア構成の下で、各種ECUと管理センター100とが実行する異常時制御について、図3以下を用いて説明する。図3は、各ECUが実行する運転処理ルーチンを示すフローチャートである。エンジンECU21などの各ECUは、制御対象であるエンジン20などの装置の制御を行ないつつ、所定のインターバルで、図3に示したECU運転処理ルーチンを実行する。
以上説明したハードウェア構成の下で、各種ECUと管理センター100とが実行する異常時制御について、図3以下を用いて説明する。図3は、各ECUが実行する運転処理ルーチンを示すフローチャートである。エンジンECU21などの各ECUは、制御対象であるエンジン20などの装置の制御を行ないつつ、所定のインターバルで、図3に示したECU運転処理ルーチンを実行する。
図3に示した処理を開始すると、各ECUは、まず自分が制御している対象の状態を示すセンサからの出力を読み取る処理を行なう(ステップS105)。センサの出力は、図2ではダイアグECU60を介して読み取るように示したが、既に説明したように、直接読み取る構成であっても良い。エンジンECU21を例にとれば、エンジンECU21はセンサ群90の中から、車速センサ92,燃焼圧センサ93,加速度センサ94,水温センサ97などの出力を読み取る。もとより、図示を省略したアクセルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ、クランク軸の角度を検出するクランク角度センサなど、他のセンサの出力を読み取っても差し支えない。
これらのセンサの出力を読み取った後、ECUは、整合性の確認を行なう(ステップS110)。整合性の確認とは、読み取ったセンサの値が、制御対象(例えばエンジン20)の現在の状況に見合ったものであるかを確認することである。例えば、アクセルペダルの踏み込み量に基づいて、エンジンECU21は所定の燃料噴射量を指示するので、アクセルペダルの踏み込み量と、燃焼圧センサ93が検出する燃焼圧とは、所定の関係を示す。従って、現在のアクセルペダルの踏み込み量と燃焼圧とが、想定の範囲に入っていれば、両者の整合性は取れていると判断する。他方、アクセルペダルが大きく踏み込まれているにもかかわらず、燃焼圧センサ93が出力する燃焼圧が、それに見合った大きさになっていない場合などであれば、整合性がとれていないと判断する。
そこで、続いて、ステップS110での判断に基づき、異常が生じているか否かの判断を行なう(ステップS120)。整合性の確認は、多数の項目について行なわれるので、異常の判断はそれらを総合的に見て行なう。エンジンECU21を例に取れば、上記のアクセルペダルの踏み込み量と燃焼圧との整合性(第1整合性と呼ぶ)の他、例えばGNSSセンサ91と加速度センサ94と燃料噴射量との整合性(第2整合性と呼ぶ)を併せて確認し、総合的に異常が発生しているかを判断することが考えられる。第2整合性は、GNSSセンサ91から車両10の現在の走行位置が上り坂でなく、燃料噴射量が十分に大きいにもかかわらず、加速度が所定値以下の場合に、整合性がとれていないと判断する。この結果、第1整合性と第2整合性が共にとれていなければ、エンジン20は要求出力を出すための制御をしているにもかかわらず、出力が得られていないと判断し、何らかの異常が生じていると判断する。
この場合、ステップS120の判断は「YES」となり、ECUは異常発生を示す異常フラグをセットする処理を行ない(ステップS130)、同時に異常を検出した際の各センサの出力や演算した燃料噴射量などのデータをダイアグECU60に出力する(ステップS140)。ECUが出力するデータには、設定された異常フラグも含まれる。上記のステップS140の処理の後、あるいは、ステップS120で異常がなかったと判断された場合、「NEXT」に抜けて、本運転処理ルーチンを一旦終了する。
次に、車両のダイアグECU60と管理センター100とが協働して行なう異常時制御について、図4を用いて説明する。図4の左欄は、車両10が行なう車両側ダイアグ処理ルーチンを、右欄は管理センター100が行なう処理ルーチンを、それぞれ示す。車両10に搭載されたダイアグECU60は、所定のインターバルで図4左欄に示した車両側ダイアグ処理ルーチンを実行しており、本ルーチンを開始すると、まず異常フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS200)。異常フラグは、図3のECU運転処理ルーチンを用いた説明したように、各ECUにおいて、何らかの整合性がとれていない状態が検出されたとき、各ECUがこれをセットし、ダイアグECU60に異常検出時のデータと共に出力する(図3、ステップS140)。ダイアグECU60は図示しない別の割込ルーチンにおいて、この異常フラグと異常時のデータとを受け取り、これを異常記憶部67に記憶している。
異常フラグがセットされている場合には(ステップS200:「YES」)、次に異常時送信データを準備する処理を行なう(ステップS205)。異常時送信データとは、各ECUから送信された異常フラグと異常時データとを含む。ダイアグECU60は、これらのデータを管理センター100に送信する準備として、異常時送信データとしてのフォーマットに調える。なお、異常フラグがセットされていなければ(ステップS200:「NO」)、何も行なわず、「NEXT」に抜けて本ルーチンを一旦終了する。
ステップS205において、送信データの準備が整うと、ダイアグECU60は、異常時送信データと、トラップソフトの要求とを、管理センター100に送信する(ステップS210)。これらのデータおよび要求は、通信装置70を介して管理センター100に送信される。これらのデータおよび要求を送信した後、車両10のダイアグECU60は、トラップソフト等が管理センター100から送信されるまで待機する。
車両10からのデータおよび要求の送信を受けると管理センター100は、図4右欄に示した処理ルーチンを実行する。まず、管理センター100は、通信装置101を用いてこのデータを受信する(ステップS310)。管理センター100は受け取った異常フラグおよび異常時送信データの中身を解析し、これらの異常情報に応じたトラップソフトを選択する(ステップS320)。トラップソフトDB105には、トラップソフトが車種別や異常コード別に格納されているので、その中から、異常時送信データを送ってきた車両10が該当するトラップソフトを選択するのである。例えば、車両10がエンジン20の運転処理における異常を検出し、その異常に対応する異常フラグ(異常コード)を送ってきていれば、この異常コードに対応して、エンジン20の異常を解析するトラップソフトであって、車両10の車種に適合するトラップソフトを選択する。
管理センター100は、更に選択したトラップソフトの実行条件をセットする(ステップS330)。実行条件は、管理センター100が異常時送信データを解析し、異常が起きた状況を分析することで、セットされる条件である。異常が生じた結果だけでなく、どのような条件下で異常が生じたかを解析し、その条件を絞り込み、セットしている。例えば、エンジン20の回転数の範囲や、車速の範囲、アクセルペダルの踏込量の範囲、水温の範囲など、異常が生じた際の状況を絞り込み、これをトラップソフトの実行条件としてセットするのである。
管理センター100は、トラップソフトの選択(ステップS320)と実行条件のセット(ステップS330)とが完了すると、トラップソフトおよびその実行条件を、異常を報知してきた車両10に、通信装置101を介して送信し(ステップS340)、この処理ルーチンを一旦終了する。
管理センター100がトラップソフトと実行条件とを送信すると、車両10のダイアグECU60は、これをトラップソフトの実行関連処理(ステップS220)において検出する。第1実施形態では、ダイアグECU60は、トラップソフトの実行関連処理(ステップS220)において、まずトラップソフトとその実行条件とを受信する(ステップS222)。トラップソフトとその実行条件を受信すると、次にトラップソフトをトラップソフト格納部65に、実行条件を車両状況記憶部68に、それぞれ記憶する。
その後、ダイアグECU60は、トラップソフト格納部65に格納したトラップソフトをCPU61の制御の下で実行する(ステップS230)。トラップソフトは、実際には、所定のインターバルで起動される割込処理ルーチンとして実行される。この処理については、図5を用いて説明する。
トラップソフト実行処理ルーチンが起動されると、ダイアグECU60は、その時点の運転環境条件を取得する処理を行なう(ステップS232)。運転環境条件とは、車両10の状態、例えば車速、アクセルペダルの踏込量、冷却水の水温、などの各センサ群90からの検出結果や、管理センター100から取得できる車両現在地の天候や交通状況などが含まれる。
続いて、取得した運転環境条件を解析し、現在の車両10の運転環境条件が、トラップソフト実行条件を満たすかを判断する(ステップS234)。トラップソフトの実行条件は、管理センター100からトラップソフトと共に送信され、車両状況記憶部68に記憶されているので、現在の運転環境条件が、実行条件として受け取った各種の範囲に入っているかを判断するのである。
車両10は様々な状況で走行するから、車両は常に異常が生じた際の運転環境条件となる訳ではない。車両10が、以前に異常が生じた際の運転条件や環境条件に似た運転環境条件になっておらず、トラップソフトの実行条件が満たされていないと判断すれば(ステップS234:「NO」)、トラップソフトの実行処理(ステップS230)が開始されてから、所定時間が経過したか否かの判断を行なう(ステップS238)。所定時間が経過していなければ、ステップS234の判断から処理を繰り返す。
判断を繰り返しているうちに、現在の車両10の環境運転条件が、トラップソフトの実行条件に入っていると判断すると(ステップS234:「YES」)、トラップソフト格納部65に記憶されたトラップソフトを呼び出してこれを実行する(ステップS236)。車両10は、以前に異常が生じた際の運転条件や環境条件に似た運転環境条件になっているから、トラップソフトは、同じ異常が生じるか否か、異常の有無に関わらずその運転環境条件下でのセンサ群90からの検出結果の詳細などを取得し、異常が発生する場合の(あるいは異常が発生しない場合の)車両10の振る舞いを詳しく分析する。
車両の環境運転条件が、トラップソフトの実行条件を満たすことなく、ステップS234、S238の判断を繰り返しているうちに、所定時間が経過した場合には(ステップS238:「YES」)、上述したステップS236を実行する。車両の運転環境条件は整っていないものの、トラップソフトを実行しないよりは、一旦実行して分析することが望ましい場合があるからである。
こうしてトラップソフトによる詳細な分析を行なうことで、トラップソフト実行関連処理(ステップS220)を終え、分析結果処理を実行する(ステップS240)。分析結果処理は、分析結果に基づいて行なわれる各種処理である。例えば、トラップソフトで解析したところ、前回異常が生じた場合と近似の運転環境条件で、同じ異常が発生した場合には、これを管理センター100に通知すると共に、異常に再現性があることから、インスツルメントパネルに表示を行ない、運転者に車両10の修理・保守等を依頼または指示する。あるいは、前回異常が生じた場合と近似の運転環境条件では無い状態でトラップソフトが動作し、異常は生じなかったもののセンサ群90から取得した検出結果の整合性に異常とまでは言えないものの標準的な値から逸脱する傾向が見い出された場合には、これを管理センター100に通知して更なる指示を求めたり、異常が再現する可能性があるとして、インスツルメントパネルに表示を行ない、運転者に、機会を見て、車両10をディーラーやサービスセンターに持ち込むことを依頼または指示する。もとより、何らの異常や整合性からの逸脱などが見い出されなければ、前回の異常は単発的な異常であったとして、管理センター100にその旨通知し、車両10としては特に修理等の指示を行なわない、といった対応とをとる。
これらの対応は、予め異常の内容や、トラップソフト処理結果に応じて詳細に定めておけばよい。例えば、エンジン20や変速機30あるいは制動装置40のように車両の運転に直接関わる装置の異常に関しては、分析結果処理をより安全サイドなものとして規定し、空調装置50のように、運転自体に支障とならない装置の異常に関しては、分析結果処理を、運転者の判断に任せる対応として規定してもよい。
以上説明した第1実施形態によれば、車両10に搭載されたセンサ群90からの検出結果の整合性がとれず、異常が生じたと判断した場合、その異常に対応したトラップソフトとトラップソフトの実行条件とを、管理センター100から受け取り、トラップソフトを車両10において実行する。トラップソフトは、車両10の運転環境条件が、トラップソフトの実行条件を満たした場合に実行されるので、トラップソフトの実行と分析とを、異常が再現しやすい条件で実行できる。このため、異常の再現性を含む異常の分析を一層詳しく行なうことができる。
また、本実施形態では、車両10の運転環境条件が、トラップソフトの実行条件を満たすまでトラップソフトの実行を待つものの、所定の時間が経過すれば、条件を満たしていなくてもトラップソフトを実行する。従って、条件が満たされないままトラップソフトを実行せずに、時間を徒過してしまうということがない。
B.第2実施形態:
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態において、車両10は第1実施形態と同様の構成を備える。第2実施形態では、ダイアグECU60が実行する車両側ダイアグ処理ルーチンおよび管理センター100が実行する管理センター処理ルーチンが、第1実施形態とは異なる。図6に、第2実施形態における各処理ルーチンを示した。図6において、図3に示した両処理と同一の処理については、同じステップ番号を付し、詳しい説明は省略する。
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態において、車両10は第1実施形態と同様の構成を備える。第2実施形態では、ダイアグECU60が実行する車両側ダイアグ処理ルーチンおよび管理センター100が実行する管理センター処理ルーチンが、第1実施形態とは異なる。図6に、第2実施形態における各処理ルーチンを示した。図6において、図3に示した両処理と同一の処理については、同じステップ番号を付し、詳しい説明は省略する。
第1実施形態との差異について簡単に説明すると、第2実施形態では車両側で最初に検出された整合性の不一致は、「異常」ではなく「仮異常」として扱われる。そしてこの仮異常に関する通知を受けた管理センター100は、トラップソフトとその実行条件を、仮異常を検出した車両だけでなく、所定の車両に送信する。送信を受けた各車両でのトラップソフト実行とその結果の分析を、更に管理センター100は受け取り、仮異常が本異常であるかを判断し、更にその結果を車両に返している。このように、異常を「仮異常」と「本異常」とに分け、異常が発生したのでない車両でもトラップソフトを実行させる点で、第2実施形態は第1実施形態と相違する。
図6に従って、ダイアグECU60および管理センター100の処理について説明する。車両10に搭載されたダイアグECU60は、本ルーチンを開始すると、まず仮異常フラグがセットされているか否かを判断する(ステップS201)。仮異常フラグは、図3のECU運転処理ルーチンを用いて説明したように、各ECUにおいて、何らかの整合性がとれていない状態が検出されたとき、各ECUがこれをセットし、出力する異常フラグと同じものである。
仮異常フラグがセットされている場合には(ステップS201)、次に仮異常時送信データを準備する処理を行なう(ステップS206)。仮異常時送信データとは、各ECUから送信された仮異常フラグと仮異常時データとを含む。ダイアグECU60は、これらのデータを管理センター100に送信する準備として、仮異常時送信データとしてのフォーマットに調える。
送信データの準備が整うと、ダイアグECU60は、仮異常時送信データと、トラップソフトの要求とを、管理センター100に送信する(ステップS211)。これらのデータおよび要求は、通信装置70を介して管理センター100に送信される点などは、第1実施形態と同様である。
車両10からのデータおよび要求の送信を受けると管理センター100は、図6右欄に示した処理ルーチンを実行する。まず、管理センター100は、通信装置101を用いてこのデータを受信する(ステップS310)。管理センター100は受け取った仮異常フラグおよび仮異常時送信データの中身を解析し、これらの仮異常情報に応じたトラップソフトを選択する(ステップS321)。トラップソフトDB105には、トラップソフトが車種別や異常コード別に格納されているので、その中から、仮異常時送信データを送ってきた車両10が該当するトラップソフトを選択するのである。例えば、車両10がエンジン20の運転処理における異常を検出し、その異常に対応する仮異常フラグ(仮異常コード)を送ってきていれば、この仮異常コードに対応して、エンジン20の異常を解析するトラップソフトであって、車両10の車種に適合するトラップソフトを選択する。
管理センター100は、選択したトラップソフトの実行条件をセットする(ステップS330)。実行条件は、管理センター100が仮異常時送信データを解析し、仮異常が起きた状況を分析することで、セットされる条件である。仮異常が生じた結果だけでなく、どのような条件下で異常が生じたかを解析し、その条件を絞り込み、セットしている。例えば、エンジン20の回転数の範囲や、車速の範囲、アクセルペダルの踏込量の範囲、水温の範囲など、仮異常が生じた際の状況を絞り込み、これをトラップソフトの実行条件としてセットするのである。
管理センター100は、トラップソフトの選択(ステップS320)と実行条件のセット(ステップS330)とが完了すると、次に、トラップソフトとその実行条件を送信する対象車両を選定する処理を行なう(ステップS350)。この処理は、仮異常が生じた車両と同じ車種や年式の車両では、同じ異常が生じる可能性があるため、仮異常が生じた車両10だけでなく、同じ異常が生じ得る可能性の高い車両を選定するのである。例えば、トラップソフトおよびその実行条件を送信する対象車両として、同じ車種、同じ年式の車両であって、現在管理センター100から通信可能な範囲に存在する車両を選定する。
その後、現在管理センター100は、異常を報知してきた車両10を含む複数の車両においてトラップソフトを実行させる処理である複数車両トラップソフト実行処理(ステップS360)を実行する。この処理は、複数の車両でトラップソフトが実行されるのと同期して行なわれるので、後でまとめて説明する。
管理センター100がトラップソフトとその実行条件とを、ステップS350で選定した複数の車両に送信すると、各車両10のダイアグECU60は、これをトラップソフトの実行関連処理(ステップS220)においてこれを検出し、トラップソフトの実行関連処理を実施する。図6では、仮異常を検出してこれを管理センター100に出力した車両が、複数車両の一台として、トラップソフトを実行することを記載したが、他の車両でも同じように、トラップソフト実行関連処理(ステップS220)が行なわれる。この処理の内容は、図4および図5に示した通りなので、その説明は省略する。
こうしてトラップソフト実行関連処理(ステップS220)を終えると、ダイアグECU60は、分析結果処理を行ない、その結果を送信する処理を実行する(ステップS241)。この処理は、第1実施形態のステップS240に対応する処理である。分析の結果は、第1実施形態と同様に、管理センター100に送信されるが、本実施形態では、複数の車両10が、それぞれ分析結果を送信する点で、第1実施形態と相違する。この分析結果の送信は、各車両10から行なわれ、管理センター100は複数車両トラップソフト実行処理(ステップS360)において、この複数の車両10の各々からの分析結果の送信を受ける。
複数車両トラップソフト実行処理(ステップS360)を図7に拠って説明する。既に説明した様に、管理センター100は、トラップソフトとその実行条件を送信する車両の選定を終えると、複数車両トラップソフト実行処理を開始し、まず各車両に、トラップソフトとその実行条件とを送信する処理を実行する。その後、各車両からの分析結果の送信を待ち、順次分析結果を受信する(ステップS366)。各車両10は、仮異常が生じたのと同様の運転環境条件が整ったときにトラップソフトを実行し、その結果を分析して管理センター100に送信するが、その内容は、車輌毎に異なる。そこで、次に、仮異常と同じ異常が発生した車両の割合を計算する処理を行なう(ステップS368)。以上が、複数車両トラップソフト実行処理(ステップS360)の内容である。
複数車両トラップソフト実行処理(ステップS360)が終了すると、次に管理センター100は、計算した割合、つまり仮異常と同じ異常が発生した車両の割合が、予め定めた閾値以下か否かの判断を行ない(ステップS370)、閾値以下であれば、仮異常として扱ってきた異常は、最初に仮異常の発生を通知してきた車両独自の異常、つまり本異常であると判断し、本異常判定を該当車両に送信する(ステップS380)。他方、仮異常と同じ異常が発生した車両の割合が閾値より大きいと判定された場合(ステップS370:「NO」)には、本異常判定を当該車両に送信する処理(ステップS380)は行なわず、ステップS390に移行する。多くの車両で仮異常と同じ状況が発生しているのであれば、特定の車種に固有の現象やあるいは走行環境に依存した現象の可能性があるため、当該車両に本異常判定の通知を行なわない(保留する)のである。前者の例としては、例えば仮異常の判定用閾値が特定の車種で不適切な値になっているようなケースが想定できる。後者の走行環境としては、例えば、真夏の高温、真冬の極低温、梅雨時などの高湿度、冬場の低湿度、台風などの通過による気圧の低下・暴風などにより、仮異常が発生しやすい条件が考えられる。また、仮異常を検出した車両が、高度の高い場所や舗装されていない悪路等を走行していて仮異常を検出した場合、その車両の近くの車両が同様の現象を検出するといったケースも、走行環境に依存した現象の可能性があると想定される。
ステップS390では、異常判定の結果を管理センター100における管理者に通知する(ステップS390)。管理者とは、管理センター100の管理者であってもよいが、車両の安全な運行に責任を持つ管理者であることが望ましい。管理者は、異常の発生の判定結果を得て、対応を検討することができる。例えば、該当車両(同じ車種、年式など)に対して共通の要因が疑われる場合には、要因を更に分析し、必要があれば、該当する車種に対してメンテナンスを促すといった対応を検討する。ステップS390の処理後、「NEXT」に抜けて、本処理ルーチンを一旦終了する。
他方、管理センター100におけるステップS380の処理により、本異常判定が送信されると、車両10のダイアグECU60は、これを受信し(ステップS280)、運転者に警告を行なう(ステップS290)。仮異常を検出した車両で起きた現象が同様の車種で生じる割合が小さかったために、当該車両固有の異常と判断されたのであり、早急な修理や保守が求められるからである。なお、本異常の通知は、仮異常を検出した車両10だけであってもよいし、トラップソフトの実行関連処理(ステップS220)において、同様の異常を発生した他の車両を含んでもよい。あるいは、仮異常に対して選定された全車両であってもよい。これらの処理を終了した後、「NEXT」に抜けて、車両側ダイアグ処理ルーチン地を一旦終了する。
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する上、更に、車種などが同じ車両でのトラップソフトの実行結果を参照して、異常に対する対応を決定することができる。従って、仮異常を生じた車両にとっては、自車のみならず、他車での判定結果も参考に、対応を決めることができる。例えば、仮異常を検出した車両固有の異常かを判定して、早期の対応を取ることが可能となる。また、仮異常が生じた車両と同じ車種や年式等の車両は、これまで検出していなかった異常の存在を早期に検出できる。なお、第2実施形態では、同じ車種、同じ年式の車両を送信対象車両として選定したが(図6、ステップS350)、更に細かい条件で選定してもよい。例えば、搭乗している人の数や累積走行距離が同様の車両に限定するなどしてもよい。また、同じ車種に限らず、同じ排気量の車種など、選定の範囲を拡げることも差し支えない。
C.その他の実施形態:
上記実施形態では、トラップソフトは、何らかの異常が生じたときに、管理センター100から実行条件と共に送信を受けたが、管理センター100から送信を受けるのであれば、そのタイミングは、異常又は仮異常の検出時に限る必要はない。例えば、車両10が管理センター100と通信可能な範囲に入ったときに、各装置用のトラップソフトをまとめて受信し、トラップソフト格納部65に記憶しておいてもよい。また、運転者への警告(図6、ステップS290)等は、視覚的なものに限る必要はなく、音声などで通知してもよい。また、警告などの報知は、車両10のインスツルメントパネルに限る必要はなく、運転者の持つ携帯電話(スマートホン等)に通知するようにしてもよい。
上記実施形態では、トラップソフトは、何らかの異常が生じたときに、管理センター100から実行条件と共に送信を受けたが、管理センター100から送信を受けるのであれば、そのタイミングは、異常又は仮異常の検出時に限る必要はない。例えば、車両10が管理センター100と通信可能な範囲に入ったときに、各装置用のトラップソフトをまとめて受信し、トラップソフト格納部65に記憶しておいてもよい。また、運転者への警告(図6、ステップS290)等は、視覚的なものに限る必要はなく、音声などで通知してもよい。また、警告などの報知は、車両10のインスツルメントパネルに限る必要はなく、運転者の持つ携帯電話(スマートホン等)に通知するようにしてもよい。
管理センター100からトラップソフトと共に送信される実行条件は、車速等、車両側の運転条件に限る必要はなく、雨が降っている状態で、など、環境条件を含んでいることも差し支えない。実行条件は、異常または仮異常を検出した車両が検出した運転環境条件と同じものである必要はなく、等価または対応関係があると考えられる他の条件で代替してもよい。例えば、車速は、加速度の積分値に置き換えても良い。降雨という条件は、制動装置40の異常に関する場合は、降雪で置き換えてもよい。
上記実施形態では、移動体として4輪の自動車を取り上げたが、移動体としては2輪車など4輪未満の車両、あるいは5輪以上の車両であっても差し支えない。また船舶やドローンなどであっても適用可能である。
異常を検出する装置は、移動体に搭載された全ての装置である必要はなく、その一部であってもよい。また、移動体異常時制御装置としての構成に留まらず、異常時制御装置とホスト装置(管理センター)からなる異常時制御システムとして構成しても良い。更には、異常時制御方法として実施することも差し支えない。
ホスト装置との間でデータをやり取りする移動体異常時制御装置は、以下の形態を採用することが可能である。即ち、前記移動体の異常を検出する検出部と;前記異常が検出された際の前記移動体の状況を検出し、前記検出した状況の少なくとも一部を記憶する記憶部と;前記異常が検出されたとき、当該異常の内容を表わす異常情報を前記ホスト装置に送信する異常情報送信部と;前記送信した異常情報に対して前記ホスト装置が送信する異常分析プログラムを実施可能に記憶し、前記異常が検出された際に記憶された前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、前記異常分析プログラムを実行する実行部とを備える移動体異常時制御装置として実施できる。
こうした移動体異常時制御装置において、前記異常が検出された際の前記移動体の状況は、前記移動体の使用環境であり;前記実行部は、前記異常分析条件を、前記異常情報および前記使用環境から定めるものとしてもよい。こうすれば、例えば天候や交通状況と言った使用環境も含めて、異常の発生の再現性を検証できる。
こうした移動体異常時制御装置において、前記移動体は車両であり;前記車両は、動力を発生する動力発生装置、前記発生した動力を車輪に伝達する動力伝達装置、前記車両を制動する制動装置、および前記車両の車室内の空気調和を行なう空調装置のうちの少なくとも2つの装置を搭載しており;前記異常情報は、異常が生じた装置が、前記搭載している装置のいずれであるかの情報を含むものとしてもよい。こうすれば、車両において、動力発生装置、動力伝達装置、制動装置および空調装置などの主要な装置について異常分析プログラムを実行して異常の分析を行なうことができる。
上記の移動体異常時制御装置において、前記実行部は、前記異常が検出された際の前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされない状態が所定期間以上継続した場合には、前記異常分析プログラムを実行するものとしてもよい。こうすれば、異常分析条件が所定時間に亘って満たされない場合でも、異常分析プログラムを実施できる。
この他、移動体の制御を行なう制御装置と、この制御装置とデータをやり取り可能なホスト装置とを備えた移動体異常時制御システムとして、実施することも可能である。この場合、単に移動体の異常時制御装置と同様の作用効果が得られるだけでなく、異常時制御システムとして、異常分析プログラムを異常が発生した車両以外の車両にも実行させるものとしてもよい。こうすれば、異常が発生する可能性が高い車両で、異常分析プログラムを実行させて、異常状態を推定するとができ、異常の分析の確度を高めることができる。
こうした移動体異常時制御システムにおいて、異常状態の推定は、前記異常分析プログラムを実行した他の移動体のうち、前記異常状態が発現した移動体の割合により行なうものとしてもよい。異常状態が発現する移動体の割合が高ければ、異常として対応すべき優先度の高い異常として判断できる。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、上記実施形態においてハードウェアにより実現した構成の一部は、ソフトウェアにより実現できる。また、ソフトウェアにより実現している構成の少なくとも一部は、ディスクリートな回路構成により実現することも可能である。
10 車両、19 ホイールシリング、20 エンジン、21 エンジンECU、30 変速機、31 変速機ECU、32 ディファレンシャルギア、35,36 後輪、40 制動装置、41 制動力ECU、45,47 ホイールシリンダ、46,48 ブレーキディスク、50 空調装置、51 空調ECU、60 ダイアグECU、61 CPU、62 入出力部、63 記憶部、64 ダイアグソフト格納部、65 トラップソフト格納部、67 異常記憶部、68 車両状況記憶部、70 通信装置、80 ハンドル、81 操舵ギア、83,84 前輪、90 センサ群、91 GNSSセンサ、92 車速センサ、93 燃焼圧センサ、94 加速度センサ、95 ヨーレートセンサ、96 油圧センサ、97 水温センサ、98 温度センサ、100 管理センター、101 通信装置、102 環境データ、105 トラップソフトデータベース(DB)
Claims (8)
- ホスト装置(100)との間でデータをやり取りする移動体異常時制御装置(60)であって、
移動体(10)の異常を検出する検出部(61)と、
前記異常が検出された際の前記移動体の状況を検出し、前記検出した状況の少なくとも一部を記憶する記憶部(67)と、
前記異常が検出されたとき、当該異常の内容を表わす異常情報を前記ホスト装置に送信する異常情報送信部(64、70)と、
前記送信した異常情報に対して前記ホスト装置が送信する異常分析プログラムを実施可能に記憶し、前記異常が検出された際に記憶された前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、前記異常分析プログラムを実行する実行部(61,65)と
を備える移動体異常時制御装置。 - 請求項1記載の移動体異常時制御装置であって、
前記異常が検出された際の前記移動体の状況は、前記移動体の使用環境であり、
前記実行部は、前記異常分析条件を、前記異常情報および前記使用環境から定める
移動体異常時制御装置。 - 請求項1または請求項2記載の移動体異常時制御装置であって、
前記移動体は車両であり、
前記車両は、動力を発生する動力発生装置(20)、前記発生した動力を車輪に伝達する動力伝達装置(30)、前記車両を制動する制動装置(40)、および前記車両の車室内の空気調和を行なう空調装置(50)のうちの少なくとも2つの装置を搭載しており、
前記異常情報は、異常が生じた装置が、前記搭載している装置のいずれであるかの情報を含む
移動体異常時制御装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動体異常時制御装置であって、
前記実行部は、
前記異常が検出された際の前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされない状態が所定期間以上継続した場合には、前記異常分析プログラムを実行する
移動体異常時制御装置。 - 移動体の制御を行なう制御装置(21,31,41,51,60)と、前記制御装置とデータをやり取り可能なホスト装置(100)とを備えた移動体異常時制御システム(10)であって、
前記制御装置は、
前記移動体の異常を検出する検出部(61)と、
前記異常が検出された際の前記移動体の状況を検出し、前記検出した状況の少なくとも一部を記憶する記憶部(67)と、
前記異常が検出されたとき、当該異常の内容を表わす異常情報を前記ホスト装置に送信する異常情報送信部(64,70)と、
前記送信した異常情報に対して前記ホスト装置が送信する異常分析プログラムを実施可能に記憶し、前記異常が検出された際に記憶された前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、前記異常分析プログラムを実行する実行部(61,65)と
を備え、
前記ホスト装置は、前記異常情報を前記移動体の前記制御装置から受信したとき、前記異常分析プログラムを前記移動体に送信するプログラム送信部(101,105)を備える
移動体異常時制御システム。 - 請求項5記載の移動体異常時制御システムであって、
前記ホスト装置とデータをやり取り可能な他の移動体を含み、
前記ホスト装置は、
前記異常を検出した移動体から受け取った異常情報に基づいて、前記他の移動体のうち、前記異常分析プログラムを実行すべき移動体を選定し、
前記選定した移動体に前記異常分析プログラムを送信して実行させ、その実行結果を解析して、異常状態の推定を行なう
移動体異常時制御システム。 - 前記異常状態の推定は、前記異常分析プログラムを実行した他の移動体のうち、前記異常状態が発現した移動体の割合により行なう請求項6記載の移動体異常時制御システム。
- 移動体の異常時に実行される制御方法であって、
前記移動体の異常を検出し(S130,S200)、
前記異常が検出された際の前記移動体の状況を検出し、前記検出した状況の少なくとも一部を記憶し(140)、
前記異常が検出されたとき、当該異常の内容を表わす異常情報を、前記移動体の外部に存在するホスト装置に送信し(S210)、
前記ホスト装置は、前記異常情報を前記移動体から受信したとき、異常分析プログラムを前記移動体に送信し(S340)、
前記ホスト装置が送信した異常分析プログラムを実施可能に記憶し(S224)、
前記異常が検出された際に記憶された前記移動体の状況に対応した異常分析条件が満たされたときに、前記異常分析プログラムを実行する(S230,S234、S236)
移動体異常時制御方法。
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JP2018091132A JP2019197390A (ja) | 2018-05-10 | 2018-05-10 | 移動体異常時制御装置、移動体異常時制御システムおよびその方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021144858A1 (ja) * | 2020-01-14 | 2021-07-22 | パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ | 異常検知システム、異常検知装置、及び異常検知方法 |
-
2018
- 2018-05-10 JP JP2018091132A patent/JP2019197390A/ja active Pending
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