JP2019176337A - 画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム - Google Patents
画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】印刷時に行われる色空間変換により生じる視認性の悪化を抑制することができる。【解決手段】印刷データに含まれる描画オブジェクトを描画処理して画像データを生成する画像処理装置であって、前記印刷データから処理対象とする描画オブジェクトを取得する取得手段と、前記描画処理の際に、前記処理対象の描画オブジェクトに指定されている色を特定の色空間の色に変換する色空間変換を行う色空間変換手段と、前記描画処理が済んだ描画オブジェクトの中から、前記処理対象の描画オブジェクトと描画領域が重なる描画オブジェクトを検出する検出手段と、前記検出手段が検出した描画オブジェクトと前記処理対象の描画オブジェクトとの、前記色空間変換の前と後とにおける色距離を導出する導出手段と、前記色空間変換により前記色距離が近接していると判断した場合に、前記処理対象の描画オブジェクトに輪郭オブジェクトを付加する付加手段と、を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、印刷物の視認性を向上する技術に関する。
表示デバイスにおける性能の向上や、解像度や発色数の改善、可搬性の改善などによって、多くのドキュメントが電子化された状態で利用されることが多くなってきている。一方で、これらの電子化されたドキュメントは用紙に出力(印刷)されて利用されることも多い。例えば、DTP(desktop publishing)編集のように、最終的に用紙出力することを前提にしてドキュメントが作成される場合がある。しかし、表示デバイス上での利用を前提に作成されたドキュメントは、通常、印刷された際の視認性が考慮されていない。したがって、そのようなドキュメントを印刷する場合には、印刷機器側で視認性を補う必要がある。特許文献1には、印刷部における視認性を改善するための技術が開示されている。特許文献1では、描画オブジェクト(以下、単にオブジェクトと表現する場合がある)の色と背景の色との近似度が所定値未満である場合に、オブジェクトの外周に輪郭を形成することで、オブジェクトが背景に溶け込むことを防止している。
しかし、特許文献1に記載された技術では、オブジェクトの色と背景の色との近似度を、RGB色空間で一律に算定している。つまり、印刷機器で行われる色空間変換(例えば、RGB色空間からCMYK色空間への変換)を考慮せずに近似度の算定が行われている。そのため、印刷時に不要な輪郭が形成されたり必要な輪郭が形成されなかったりして、印刷物上における視認性が確保できなくなる可能性がある。そこで、本発明は、印刷時に行われる色空間変換により生じる視認性の悪化を抑制することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
本発明による画像処理装置は、印刷データに含まれる描画オブジェクトを描画処理して画像データを生成する画像処理装置であって、印刷データから処理対象とする描画オブジェクトを取得する取得手段と、描画処理の際に、処理対象の描画オブジェクトに指定されている色を特定の色空間の色に変換する色空間変換を行う色空間変換手段と、描画処理が済んだ描画オブジェクトの中から、処理対象の描画オブジェクトと描画領域が重なる描画オブジェクトを検出する検出手段と、検出手段が検出した描画オブジェクトと処理対象の描画オブジェクトとの、色空間変換の前と後とにおける色距離を導出する導出手段と、色空間変換により色距離が近接していると判断した場合に、処理対象の描画オブジェクトに輪郭オブジェクトを付加する付加手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、印刷時に行われる色空間変換により生じる視認性の悪化を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態に記載されている構成要素は、本発明の例としての形態を示すものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
[実施形態1]
上述したような視認性の悪化には複数の要因が存在する。そのうちの1つは、表示デバイスと印刷物とにおける色空間の違いである。一般に、発光系の表示デバイスよりも反射光系の印刷物の方が、色空間が狭くなる。また、電子写真方式の印刷装置やサーマル方式のインクジェットプリンタにおいては、印刷工程において色材が加熱されるので、色材が熱で変成しないものを選択する必要があり、色材の発色性にさらに制約が加わる。このため、表示デバイスの表示色を用紙等の記録媒体に出力した場合、表現できない色域が発生する。このような問題の対応策として、表示デバイスの表示色を印刷物の印刷色に変換する際に、色空間の中心部では忠実に色変換を行う一方で、色空間の端部付近など、印刷物で表現できない色域では色変換時に少しずつ異なった色を割り当てていく方法がある。このような変換方法によれば、正確な色再現性が部分的に失われるものの、主要部については正確に色再現が行われるので、より深刻な階調性の喪失や色飽和による画像の不自然さは抑制される。この処理によって、印刷装置において色域が狭い領域では色空間が圧縮される。このような変換は、写真等の連続的な階調変化を伴う表現には有効であるが、色の差(色差または色距離ともいう)で視認性を確保しているドキュメントでは色の選択次第で不利に働く可能性がある。例えば、表示デバイス上で十分な色差を設定して視認性が確保されるようにして作成されたドキュメントでも、印刷時に上述したような変換が行われることで、色域が圧縮され色空間上の距離が近くなり、印刷物上において色差が確保されなくなる場合がある。より具体的には、背景画像上の文字や、有色背景のグラフの線などが、表示デバイス上で明確に視認できるにもかかわらず、印刷すると読みにくくなったり見にくくなったりする場合がある。そこで、本実施形態では、以下で説明するように、重畳するオブジェクト間の色距離が、印刷時における色空間変換によって近接すると判断した場合に、オブジェクトの外周に輪郭情報を生成する。それにより、印刷物上における描画オブジェクトの視認性を確保する。
上述したような視認性の悪化には複数の要因が存在する。そのうちの1つは、表示デバイスと印刷物とにおける色空間の違いである。一般に、発光系の表示デバイスよりも反射光系の印刷物の方が、色空間が狭くなる。また、電子写真方式の印刷装置やサーマル方式のインクジェットプリンタにおいては、印刷工程において色材が加熱されるので、色材が熱で変成しないものを選択する必要があり、色材の発色性にさらに制約が加わる。このため、表示デバイスの表示色を用紙等の記録媒体に出力した場合、表現できない色域が発生する。このような問題の対応策として、表示デバイスの表示色を印刷物の印刷色に変換する際に、色空間の中心部では忠実に色変換を行う一方で、色空間の端部付近など、印刷物で表現できない色域では色変換時に少しずつ異なった色を割り当てていく方法がある。このような変換方法によれば、正確な色再現性が部分的に失われるものの、主要部については正確に色再現が行われるので、より深刻な階調性の喪失や色飽和による画像の不自然さは抑制される。この処理によって、印刷装置において色域が狭い領域では色空間が圧縮される。このような変換は、写真等の連続的な階調変化を伴う表現には有効であるが、色の差(色差または色距離ともいう)で視認性を確保しているドキュメントでは色の選択次第で不利に働く可能性がある。例えば、表示デバイス上で十分な色差を設定して視認性が確保されるようにして作成されたドキュメントでも、印刷時に上述したような変換が行われることで、色域が圧縮され色空間上の距離が近くなり、印刷物上において色差が確保されなくなる場合がある。より具体的には、背景画像上の文字や、有色背景のグラフの線などが、表示デバイス上で明確に視認できるにもかかわらず、印刷すると読みにくくなったり見にくくなったりする場合がある。そこで、本実施形態では、以下で説明するように、重畳するオブジェクト間の色距離が、印刷時における色空間変換によって近接すると判断した場合に、オブジェクトの外周に輪郭情報を生成する。それにより、印刷物上における描画オブジェクトの視認性を確保する。
<画像形成装置の概要>
図1は、第1実施形態の画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。図1(a)に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、記憶部101、一時記憶部102、入出力機構103、CPU104、画像処理部105、印刷機構109、及び操作部108を備える。また、一時記憶部102と、入出力機構103と、CPU104と、画像処理部105と、印刷機構109とは、互いに内部バス110によって接続される。なお、本実施形態では、描画光源がレーザ走査型である電子写真方式の印刷機構部を備える画像形成装置を例にする。
図1は、第1実施形態の画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。図1(a)に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、記憶部101、一時記憶部102、入出力機構103、CPU104、画像処理部105、印刷機構109、及び操作部108を備える。また、一時記憶部102と、入出力機構103と、CPU104と、画像処理部105と、印刷機構109とは、互いに内部バス110によって接続される。なお、本実施形態では、描画光源がレーザ走査型である電子写真方式の印刷機構部を備える画像形成装置を例にする。
画像形成装置100は記憶手段と入出力手段とハードロジックから構成されている。記憶部101は、電源遮断時に内容が消失しない記憶装置であり、ROMや不揮発性メモリ等で構成される。記憶部101は、印刷機構制御プログラム111、画像生成プログラム112、UI制御プログラム113、及び画像形成装置100の設定情報114を格納する。また、記憶部101には、データ退避領域115が設けられている。一時記憶部102は、電源遮断時に記憶しているデータが消失する記憶装置であり、例えば、RAMである。一時記憶部102には、プログラム展開領域121、作業領域122、受信バッファ123、及び画像展開領域124が設けられている。画像展開領域124には、印刷イメージを示す画像データ等が展開される。入出力機構103は、入出力(I/O)ポートである。入出力機構103は、外部I/F(インターフェース)131や操作部I/F132や内部I/F133を含む。これらのインターフェースを介してCPU104により、画像形成装置100の印刷機構の制御や外部機器との情報の送受、操作パネルの制御が行われる。
CPU104は、記憶部101上の各プログラムまたはプログラム展開領域121上の追加プログラムに基づいて動作する。また、CPU104は、各プログラムの実行時に設定情報114を参照し、入出力機構103を介して各部を制御し、印刷画像データの生成を行う。
画像処理部105は、CPU104と同様に、入出力機構103を介して各部の制御を行う。ただし、画像処理部105は、特に実行速度やタイミングが重要視される処理を担当する。また、画像処理部105は、印刷画像データの加工や生成を行う。画像処理部105は、画像処理ロジックを含む。画像処理ロジックは、画像展開領域124上の画像データをレーザ駆動信号に変換し、該レーザ駆動信号で印刷機構109のレーザユニット151を駆動する。画像展開領域124上に展開された画像データが多値のときには、画像処理ロジックは多値の画像データを光量に変換してレーザ駆動信号としてレーザユニット151を駆動する。
無線通信部106は、外部I/F131を介して、外部機器と画像形成装置100との間で、無線通信による情報の送受を行う。有線通信部107は、外部I/F131を介して、外部機器と画像形成装置100との間で、有線通信による情報の送受を行う。操作部108は、画像形成装置100の設定操作を受け付けたり、画像形成装置100の状態や設定に関する情報を表示したりする。
操作部108は、少なくとも人間の視覚を刺激する発光素子やディスプレイパネル等の表示手段と、スイッチやタッチパネル等の入力手段とを有する。なお、操作部108は、表示手段の代わりに視覚以外の知覚を刺激する手段、例えば音声スピーカ等の聴覚を刺激する手段を有していてもよい。また、操作部108は、スイッチやタッチパネル以外に、発声による音声を入力する手段や、視線の移動による操作等を入力する手段を有していてもよい。
印刷機構制御プログラム111は、印刷機構109の高電圧系、搬送系、光量制御系、熱定着系等を制御するためのプログラムである。画像生成プログラム112は、無線通信部106または有線通信部107を介して外部機器から受信され受信バッファ123に格納された印刷データに基づいて、画像展開領域124上に画像データを生成する。UI制御プログラム113は、操作部108に対して入力される情報を操作部I/F132を介して、画像形成装置100の内部に伝達する。また、UI制御プログラム113は、ユーザに提示するための情報を、操作部I/F132を介して操作部108に出力する。
設定情報114は、ユーザが変更可能な情報であって、電源遮断時にも保持し続ける必要が有る情報である。設定情報114は、例えば、スリープ状態に移行するまでの時間情報や、ユーザのセキュリティ管理情報、用紙情報である。
データ退避領域115は、一時記憶部102内の情報を退避させるための領域であって、退避された情報を保持する。データ退避領域115に退避される情報としては、例えば定型書式の印刷イメージがある。また、データ退避領域115は、印刷イメージを管理上一定期間保持するときにも使用される。
プログラム展開領域121は、記憶部101上に存在しないプログラムを追加で使用する場合や、より速くプログラムを参照できるハードウェア構成を備える場合などに使用される。作業領域122は、画像データの生成における中間段階の様々なデータを格納する領域である。受信バッファ123は、外部機器から無線通信部106または有線通信部107を介して受信されたデータ(印刷データ)を、一時的に格納する領域である。
画像展開領域124には、受信バッファ123上の印刷データから印刷機構の光描画用の画像データが展開される。
内部バス110は、画像形成装置100の各部を相互に接続する。本実施形態では、内部バス110は、高速に大量のデータを授受可能なように16〜64ビット、またはそれ以上のビット数の信号線で構成される。
図1(b)には、印刷機構109の主要構成が示されている。本実施形態では、露光光源であるレーザ光源をポリゴンミラーによって走査する構成を示すが、他の露光光源を使用する場合も同様である。レーザユニット151は、レーザ光を発する光源である。ポリゴンミラー152は、レーザユニット151から発せられるレーザ光を走査する。光学系153は、ポリゴンミラー152の反射光の等角走査を感光体(感光ドラム155)上の等速走査に変換する。レーザユニット151、ポリゴンミラー152、及び光学系153によって、搬送方向と直交する一次元方向の光学像(光走査画像)が感光体上に形成される。また、円筒形状の感光ドラム155を回転させることで、二次元走査を実現する。感光ドラム155の表面は不図示の帯電機構によって一律に帯電されているので、感光ドラム155に対してレーザ光が照射されると、その部分に電流が流れ帯電させた電荷が失われ、光走査画像から二次元の電位潜像(二次元潜像)が形成される。レーザユニット151は印刷画像データに基づいて光走査画像を描画するので、印刷イメージに対応した電位潜像が形成される。
現像ローラ154は、トナーを表面に一様に付着させた状態で、感光ドラム155表面に近接または接触する。そして、現像ローラ154は、感光ドラム155の表面にトナーを供給する。トナー供給後の現像ローラ154表面の空隙部には再び感光ドラム155と対向する前に、不図示のトナー容器からトナーが再供給される。
現像ローラ154の表面に供給されたトナーのうち感光体上の二次元潜像と対向したトナーは、感光ドラム155側に移動する。これにより、二次元潜像が現像され、感光ドラム155上にトナー像が形成される。なお、画像形成装置100がモノクロ印刷装置である場合には、画像形成装置100には、レーザユニット151、ポリゴンミラー152、光学系153、及び現像ローラ154の各部が1セット搭載される。また、画像形成装置100がカラー印刷装置である場合には、画像形成装置100には、上記各部が3〜4セット搭載される。さらに、画像形成装置100が特色を含むカラー印刷が可能なカラー印刷装置である場合には、画像形成装置100には、各部が5セット以上搭載される。そして、各セットそれぞれで、異なる色顔料を含むトナーの現像が行われる。
感光ドラム155上に形成されたトナー像は、記録媒体(用紙)158に転写される。なお、画像形成装置100がカラー印刷装置である場合には、転写ベルト157上で各色のトナー像が重畳され合成される。そして、合成されたトナー像が用紙158に転写される。転写ベルト157と用紙158とは転写部159で接していて、転写部159において、転写ベルト157上のトナー像が用紙158へと転写される。用紙158に転写されたトナー像は、定着器156によって加圧加熱され用紙158に定着される。これにより、印刷物が完成する。
<色の表現>
色域を示す図として、しばしばCIExy色度図が用いられる。図2(a)には、CIExy色度図が示されている。色域は本来曲線で囲まれた領域であるが、図2(a)に示すように、傾斜した三角形で簡易的に表現可能である。実際の色空間は3次元の広がりを有しているが、RGB色空間とCMYK色空間の違いを提示しやくするために、図2(a)では、RGB色空間を実線の三角形で、CMYK色空間を破線の三角形で表現している。図2(a)に示されるように、CMYK色空間は、RGB色空間よりも狭い。このため、表示デバイス上で表示されているドキュメントを、指定された色でそのまま印刷することができない場合がある。したがって、印刷物を自然に見せるためには、CMYK色空間で表現不可能な色も、該色に近い色であって、CMYK色空間で表現可能な色に変換する必要がある。
色域を示す図として、しばしばCIExy色度図が用いられる。図2(a)には、CIExy色度図が示されている。色域は本来曲線で囲まれた領域であるが、図2(a)に示すように、傾斜した三角形で簡易的に表現可能である。実際の色空間は3次元の広がりを有しているが、RGB色空間とCMYK色空間の違いを提示しやくするために、図2(a)では、RGB色空間を実線の三角形で、CMYK色空間を破線の三角形で表現している。図2(a)に示されるように、CMYK色空間は、RGB色空間よりも狭い。このため、表示デバイス上で表示されているドキュメントを、指定された色でそのまま印刷することができない場合がある。したがって、印刷物を自然に見せるためには、CMYK色空間で表現不可能な色も、該色に近い色であって、CMYK色空間で表現可能な色に変換する必要がある。
ドキュメントの色が、RGB色空間とCMYK色空間とが重なっている領域、すなわち互いの色空間の色が一対一で対応している領域(色空間の中心部)に属する場合には、その色を完全に再現することができる。しかし、互いの色空間の色が一対一で対応していない領域(色空間の端部付近)に属する場合には、ドキュメントの色を完全に再現できない。そこで、折衷策として、色空間の中心部では、RGBで指定された色を忠実にCMYKの色に変換する。そして、色空間の端部付近では、RGBで指定された色を該指定された色に対応しないCMYKの色に割り当てる。つまり、RGBで指定された色がCMYK色空間で表現不可能な色である場合には、RGBで指定された色をCMYK色空間で表現可能ないずれかの色に割り当てる。このとき、端部に近づくほど大きな色ずれを許容するようにする。また、連続した色再現のために徐々に色ずれを変化させる。図2(a)では、この様子を矢印と点で提示している。図2(a)に示す色空間の中心部の各点は、各点に位置する色が色空間変換時に変動しない様子を表現している。一方、色空間の端部付近における各矢印は、各矢印の始点に位置する色(RGBの色)が、色空間変換時に、各矢印の終点に位置する色(CMYKの色)に変動する様子を表現している。各矢印の長さは、色空間変換時における色変動の大きさを模式的に表している。図2(a)の矢印と点で示されるように、矢印の分布域では、色と色との相互距離すなわち色距離(色差)が、色空間変換の前後で圧縮される。
図2(b)には、描画指定色(ここでは、RGB色)に十分に色差があるオブジェクト間で印刷前後において色近接が生じる様子が示されている。ここでは、ドキュメント上に存在するオブジェクトAとオブジェクトBとの2つの描画オブジェクトを例にして説明する。図2(b)における黒色の点201,202は、RGB色空間上におけるオブジェクトA,Bの色、すなわち、表示デバイス上におけるオブジェクトA,Bの描画指定色を示す。一方、白色の点211,212は、CMYK色空間上におけるオブジェクトA,Bの色、すなわち、印刷物上におけるオブジェクトA,Bの印刷色である。例えば、オブジェクトAの描画指定色(RGB色)が(0,255,4)であって、オブジェクトBの描画指定色(RGB色)が(8,255,55)であるとき、表示デバイス上におけるこの2つの色の色差ΔEはおよそ20である。この2つのオブジェクトを印刷すると、図中の白色の点211,212で示されるように色差ΔEはおよそ8まで小さくなる。ドキュメント上でこの2つのオブジェクトの位置が離れていれば印刷物上における各オブジェクトの視認性には何ら問題は発生しない。しかし、互いのオブジェクトの描画領域が重なっている場合には、各オブジェクトの視認性に問題が生じる。このとき、生じる視認性の問題について図3を用いて説明する。図3は、2つのオブジェクトの位置と視認性との関係を説明するための図である。図3(a)には、表示デバイス上に2つのオブジェクト301,302が離れて配置されて表示されている様子が示されている。図3(a)に示すように、互いのオブジェクトが離れて配置されている場合には視認性に問題は生じない。図3(b)には、表示デバイス上にオブジェクト301,302が重ねて表示されている様子が示されている。図3(b)に示すように、オブジェクト301,302が重なっている場合でも、互いの色差が大きければ視認性に問題は生じない。しかし、図3(c)に示すように、印刷時における色空間変換によって、互いのオブジェクトの色差が小さくなって識別が困難になる場合がある。そこで、本実施形態では、印刷時に色圧縮される領域におけるオブジェクトの重なりに対して補正を加える。具体的には、図3(d)に示すように、オブジェクトの境界部分に輪郭を加える補正を行って、表示デバイス上で識別可能であった情報を印刷後においても識別可能なようにする。なお、表示デバイス上において既に視認不可であった情報に対しては、図3(d)に示すような補正は行わない。
<補正処理>
図4は、第1実施形態における輪郭情報の生成処理を示すフローチャートである。ここでは、画像展開領域124に用意されたページメモリに対して描画オブジェクトが逐次展開される場合を例にする。図4に示される一連の処理は、CPU104が記憶部101に記憶されている画像生成プログラム112等を一時記憶部102に展開し実行することにより行われる。あるいは、図4におけるステップの一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
図4は、第1実施形態における輪郭情報の生成処理を示すフローチャートである。ここでは、画像展開領域124に用意されたページメモリに対して描画オブジェクトが逐次展開される場合を例にする。図4に示される一連の処理は、CPU104が記憶部101に記憶されている画像生成プログラム112等を一時記憶部102に展開し実行することにより行われる。あるいは、図4におけるステップの一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
CPU104は、受信バッファ123に格納されている印刷データから描画オブジェクトを取得する(ステップS401)。以下、「ステップS401」を単に「S401」と記す。他のステップの表記についても同様である。次いで、CPU104は、色空間変換を行う。より具体的には、CPU104は、描画オブジェクトの描画指定色(RGB色)から印刷色(CMYK色)を生成する(S402)。次いで、CPU104は、S401で取得した描画オブジェクト(以下、処理対象の描画オブジェクト、または対象描画オブジェクトと呼ぶ)が他の描画オブジェクトと重なっているか否かを判定する(S403)。この判定処理(以下、重なり判定と呼ぶ)については、後述する。S403において描画オブジェクトが重なっていないと判定した場合には、CPU104は、対象描画オブジェクトを描画する(S407)。この描画処理において、描画オブジェクトを構成する各ベクトルの座標が実際の印刷座標に変換され、ベクトル列の内側が規定の濃度で塗りつぶされる。例えば、印刷装置が電子写真方式である場合には、ベクトル列の内側が濃度を表現する階調パターンで塗りつぶされる。描画処理が終了すると、描画済みの描画オブジェクトは受信バッファ123から破棄される。そこで、CPU104は、S407で描画した描画オブジェクトの描画領域を示す位置情報(描画範囲情報ともいう)をオブジェクト情報として作業領域122に登録する。また、CPU104は、S407で描画した描画オブジェクトの描画指定色(RGB色)及び印刷色(CMYK色)を示す色情報をオブジェクト情報として作業領域122に登録する(S408)。図5は、オブジェクト情報を格納するテーブルの一例を示す図である。このオブジェクト情報は、後述するように、S403の重なり判定に用いられる。なお、本実施形態では、色情報としてRGB値とCMYK値とを登録する際、それらの値をそのまま登録するようにしてもよいし、それらの値を均等色空間上の値(均等色空間値)に変換してから登録するようにしてもよい。
ここで、S403の重なり判定について説明する。S403において、CPU104は、以前に描画処理された描画オブジェクトに関する情報を取得する。具体的には、CPU104は、S408で作業領域122に登録した描画オブジェクトのオブジェクト情報を取得する。このとき、作業領域122に複数の描画オブジェクトのオブジェクト情報が登録されている場合には、各描画オブジェクトのオブジェクト情報がそれぞれ取得される。そして、CPU104は、作業領域122から取得したオブジェクト情報(より具体的には位置情報)に基づいて、対象描画オブジェクトと描画領域が重複する他の描画オブジェクト(以下、重なり検出オブジェクトと呼ぶ)が存在するか否かを判定する。このとき、重なり検出オブジェクトが複数存在する場合には、複数の重なり検出オブジェクトのうちのいずれかがS404の判定に用いられる。なお、本実施形態では、複数の重なり検出オブジェクトのうち最後に検出された重なり検出オブジェクトをS404の判定に用いることとするが、それに限定されない。例えば、対象描画オブジェクトと複数の重なり検出オブジェクトのそれぞれとの上下(図3における手前と奥)方向の位置関係や内包関係を考慮して、S404の判定に用いる重なり検出オブジェクトを決定するようにしてもよい。
本実施形態では、重なり検出オブジェクトが複数存在する場合には、最後に検出された重なり検出オブジェクトをS404の判定に用いる実装とするが、それに限定されない。例えば、対象描画オブジェクトと複数の重なり検出オブジェクトのそれぞれとの上下(図3における手前と奥)方向の位置関係や内包関係を考慮して、S404の判定に用いる重なり検出オブジェクトを決定するようにしてもよい。
S403において描画オブジェクトが重なっていると判定した場合には、CPU104は、色距離の判定を行う(S404)。ここで、S404の判定処理(以下、色距離判定と呼ぶ)について説明する。CPU104は、重なり検出オブジェクトについて、RGB色空間とCMYK色空間との双方について対象描画オブジェクトとの色距離を導出する。そして、CPU104は、導出した色距離に基づいて、色空間変換により生じる色距離の近接の度合いを判定する。ただし、RGB値やCMYK値は機器制御を行うための値であり、人間の主観と異なり、人間の感覚はこれらの刺激に対して等値ではない。そこで、より人間の感覚に近い均等色空間における色距離判定が必要である。1976年にCIEより提案された均等色空間はL*a*b*空間と表記される。その後も、人間の感覚により近い色空間としていくつかの均等色空間が提案されている。色距離を導出する際、RGB値やCMYK値を、人間の感覚に近い色空間(上記のL*a*b*のような均等色空間)の値に変換することで、色距離の近接や変化をおおよそ1つの閾値で判定することが可能となる。なお、色距離判定にはいずれの色空間を使用しても構わないが、本実施形態ではL*a*b*色空間を使用する場合について説明する。CPU104は、S404の色距離判定により、対象描画オブジェクトと重なり検出オブジェクトとの色距離が色空間変換により近接したと判断した場合には、補正が必要であると判断してS405の処理に移行する。一方、近接していないと判断した場合には、CPU104は、補正が不要であると判断してS407の処理に移行する。
ここで、図6を用いてS404の色距離判定について説明する。図6は、S404の動作の流れを示すフローチャートである。まず、CPU104は、対象描画オブジェクトの印刷色(CMYK値)を均等色空間上の座標値D1に変換する(S601)。次に、CPU104は、重なり検出オブジェクトの均等色空間上の座標値D2を取得する(S602)。具体的には、CPU104は、作業領域122のオブジェクト情報から取得した重なり検出オブジェクトの印刷色データ(CMYK値)を均等色空間上の値に変換して、D2を導出する。なお、オブジェクト情報の色情報が均等色空間上の値で表現されているときには、CPU104は、その値をそのままD2として取得する。次いで、CPU104は、D1とD2との距離L1を導出する(S603)。L1(=|D2−D1|)は、重なり合う2つの描画オブジェクトの印刷物上における色距離である。CPU104は、L1と閾値N1との比較を行う(S604)。ここで、閾値N1について説明する。L*a*b*色空間の数値幅を100とすると、人間が判別できる色差ΔEはおおむね1.0〜2.3であると言われている。この値は人間が判別できる色差の限界値である。したがって、背景オブジェクト上に文字や直線などの描画オブジェクトが重ねて描かれている場合において視認性を確保するためには、遥かに大きな色差が必要である。さらにL*a*b*色空間は人間の主観に対して完全に等距離な色空間ではないので、色距離の判定に用いる閾値に対してマージンを与える必要がある。よって、本実施形態では、S604の比較に用いる閾値N1として例えば色差ΔEに換算して10前後の値を設定する。S603で導出した色距離L1が閾値N1以上である場合には(S604のNO)、CPU104は、互いのオブジェクトは非近接であると判断して(S610)、処理を終了する。一方、色距離L1が閾値N1より小さい場合には(S604のYES)、CPU104は、対象描画オブジェクトの指定色(RGB値)を均等色空間上の座標値C1に変換する(S605)。次いで、CPU104は、重なり検出オブジェクトの指定色(RGB値)の均等色空間上の座標値C2を取得する(S606)。具体的には、CPU104は、作業領域122のオブジェクト情報から取得した重なり検出オブジェクトの指定色データ(RGB値)を均等色空間上の値に変換して、C2を導出する。なお、オブジェクト情報の色情報が均等色空間上の値で表現されているときには、CPU104は、その値をそのままC2として取得する。次いで、CPU104は、C1とC2との色距離L2を導出する(S607)。L2(=|C2−C1|)は、重なり合う2つのオブジェクトの色空間変換前における色距離であって、表示デバイス上における色距離である。次いで、CPU104は、距離L2と閾値N2とを比較して、重なり合う2つのオブジェクトの色空間変換前における色距離が十分に離れていたか否かを判定する(S608)。なお、閾値N2には閾値N1よりも大きな値が設定される。本実施形態では、S608の比較に用いる閾値N2として例えば色差ΔEに換算して20前後の値を設定する。距離L2が閾値N2以下である場合(S608のNO)、すなわち、色空間変換前から2つのオブジェクトの色距離が近かった場合には、CPU104は、色空間変換による色近接は発生していないと判断する(S610)。この場合、色空間変換後における色距離L1はドキュメントを作成したユーザが意図するものであると判断できる。一方、L2がN2より大きい場合(S608のYES)、すなわち、色空間変換により2つのオブジェクトの色距離が短くなったと判断される場合は、CPU104は、色空間変換による色近接が発生していると判断する(S609)。この場合、ドキュメントを作成したユーザが意図しない視認性の悪化が発生していると判断できる。このように、本実施形態では、2つの閾値N1,N2を用いて色距離の判定を行うことで、色空間変換前において十分に視認性を確保できていた色距離が、色空間変換によって視認性が低い色距離に圧縮されたか否かを判断している。
図4のフローの説明に戻る。S404で色距離が近接したと判断した場合には、CPU104は、対象描画オブジェクトの輪郭を示す輪郭情報を生成する(S405)。次いで、CPU104は、対象描画オブジェクトの描画指定色から閾値N3以上離れた色を設定したオブジェクトを、S405で生成した輪郭情報に従って対象描画オブジェクトに加える(S406)。このとき、追加されるオブジェクトを輪郭オブジェクトと呼ぶ。本実施形態では、描画オブジェクトと輪郭オブジェクトとの間で大きく色相や明度を変えるために、ΔEに換算して50以上の数値が、N3に設定される。なお、描画指定色と色空間の端部の色との距離は、色空間の中央部において飽和する。すなわち、対象描画オブジェクトの描画指定色が色空間の中央部に位置する場合には、該描画指定色とのΔEが50以上である色がCMYK色空間(図2に示す破線の三角形)外に位置する可能性がある。したがって、輪郭オブジェクトの色を適切に設定できなくなる可能性がある。しかし、実際には、色空間の圧縮は色空間の端部付近で発生するので、そのような問題は生じない。S406で輪郭オブジェクトが追加されている場合には、S407において、該輪郭オブジェクトともに対象描画オブジェクトが、画像展開領域124に用意されたページメモリに展開される。そして、ページメモリ上に展開された描画オブジェクト及び輪郭オブジェクトは、2値または多値のビットイメージに変換され、階調表現のためにディザリングが施される。S408において、CPU104は、描画が終了した描画オブジェクトの描画領域を示す位置情報と、該描画オブジェクトの描画指定色(RGB色)及び印刷色(CMYK色)を示す色情報とを、該描画オブジェクトを破棄する前にオブジェクト情報に登録する。
最後に、CPU104は、未処理の描画オブジェクトが残っているか否かを確認する(S409)。未処理の描画オブジェクトが残っていれば(S409のYES)、S401の処理に戻る。一方、未処理の描画オブジェクトが残っていなければ(S409のNO)、すなわち全ての描画オブジェクトの処理が完了していれば、処理を終了する。
なお、S403の重なり判定における判定方法としては、描画オブジェクトの全座標で精密に重なりを確認する方法と、より簡易な矩形領域による判定する方法がある。任意形状の描画オブジェクトは、三角形オブジェクトの集合体に分割することができる。したがって、描画オブジェクトの重なりを精密に判定する場合には、それぞれの描画オブジェクトを三角形のサブオブジェクトに分割し、サブオブジェクト間で相互に比較を行い重なり判定すればよい。矩形領域による判定では、判定対象とする2つの描画オブジェクトのそれぞれに対応する矩形領域同士の重なりを判定する。矩形領域同士の重なりを判定する場合、文字等の複雑な形状を有する描画オブジェクトに対しては外接する矩形領域を導出し、該矩形領域を重なり判定用として使用する。なお、矩形領域は、4点から構成されるが、座標情報としては2点4値しか有さないので、矩形領域同士の重なり判定に要する演算負荷は、三角形のサブオブジェクト1組に対して行われる重なり判定に要する演算負荷よりも軽くなる。
また、RGB値やCMYK値を人間の主観の均等色空間に変換して色距離を導出した場合には、上述したように、N1,N2,N3として固定値を用いることができる。しかし、RGB値やCMYK値のままで色距離を導出した場合には、N1,N2,N3は、互いに色空間が異なる値となるため、閾値調整が困難になる。したがって、S404の色距離判定は、RGB値やCMYK値を均等色空間に変換した上で行われることが望ましい。なお、本実施形態では、N1,N2,N3は、予め設定情報114内に記憶されているものとする。
図7は、描画オブジェクトに外接する矩形領域が導出される様子を示す図である。図7に示すように、1つの描画オブジェクトを構成する座標値からX方向Y方向それぞれの最大値最小値を取り出せば、図中において破線で示す矩形の描画範囲を簡単に導出できる。図7においては、X方向Y方向の最小値を組み合わせた座標(X9,Y1)から、X方向Y方向の最大値を組み合わせた座標(X5,Y7)までを結んだ矩形(X9,Y1)−(X5,Y7)が描画範囲情報として取得される。
図8は、輪郭情報から輪郭オブジェクトが生成される様子が示されている。また、図8に示すように、元の描画オブジェクト801を構成するベクトルのそれぞれに対して線幅Wを指定して、線幅Wの矩形を生成する。矩形オブジェクト802は、元の描画オブジェクト801を構成するベクトルの1つであるベクトル801aから生成される矩形オブジェクトである。元の描画オブジェクト801を構成する全てのベクトルについて矩形オブジェクトを生成することで、それらら全てのベクトルを内包する矩形オブジェクトの集合体803が生成される。本実施形態では、上記のようなPDLに実装された機能を利用して、元の描画オブジェクトから矩形オブジェクトの集合体を生成して、該集合体を輪郭オブジェクトとする。1つの描画オブジェクトを構成するベクトルすべてをラインに変換して新たに得られる矩形オブジェクトの集合体は、元の描画オブジェクトの輪郭から両側に幅W/2分の広がりを有する描画オブジェクトになる。この描画オブジェクトは両側に広がりを有しているので、元の描画オブジェクトより先に描画を行ってから元の描画オブジェクトを重ねて描画することによって、元の描画オブジェクトの外側に輪郭オブジェクトを残すことができる。
また、例えばPostscript(登録商標)のような高機能PDLでは、描画オブジェクトを構成する外周ベクトル情報を取り出す機能が実装されている。そのような高機能PDLには、さらにその外周ベクトル情報を矩形のラインオブジェクト群に変換する機能も実装されている。したがって、S405の輪郭情報生成処理では、そのような機能を利用して描画オブジェクトの輪郭情報を生成してもよい。
以上に説明したように、本実施形態では、重畳するオブジェクト間の色距離が印刷時における色空間変換により近接すると判断した場合には、描画オブジェクトに輪郭オブジェクトを付加する。それにより、ユーザが意図しない視認性の悪化が印刷物上において発生する可能性がある場合でも、視認性を確保することが可能となる。
なお、本実施形態では、S608の判定処理において、RGB色空間における色距離(距離L2)とCMYK色空間における色距離(距離L1)と所定の閾値(閾値N2)とを比較して、重なりオブジェクトの色距離が近接するか否かを判定する例を示した。しかし、CMYK色空間における色距離L1とRGB色空間における距離L2との差分量と、該差分値に対する所定の閾値N4とを比較して、S608の判定処理するようにしてもよい。すなわち、S608の判定処理を以下の式を用いて行うようにしてもよい。このような判定方法によっても、オブジェクト間の近接を検出することができる。
L2−L1>N4
例えば、RGB色空間からCMYK色空間への色空間変換においてΔE=10以上の色距離の変化を検出したい場合には、閾値N4に10を設定すればよい。
L2−L1>N4
例えば、RGB色空間からCMYK色空間への色空間変換においてΔE=10以上の色距離の変化を検出したい場合には、閾値N4に10を設定すればよい。
また、以下の式を用いて、RGB色空間における距離L2をCMYK色空間における色距離L1で除算して得られる比率(L2/L1)と、該比率に対する所定の閾値N5とを比較して、S608の判定処理するようにしてもよい。このような判定方法によっても、オブジェクト間の近接を検出することができる。
L2>N5×L1
例えば、RGB色空間からCMYK色空間への色空間変換において色距離が50%以上短くなるような近接を検出したい場合には、閾値N5に2を設定すればよい。
L2>N5×L1
例えば、RGB色空間からCMYK色空間への色空間変換において色距離が50%以上短くなるような近接を検出したい場合には、閾値N5に2を設定すればよい。
また、本実施形態では、印刷時にRGB色空間からCMYK色空間への色空間変換を行う画像処理装置を例にして説明した。しかし、描画指定色はRGB色に限定されない。また、印刷色はCMYK色に限定されない。つまり、本実施形態は、印刷時に特定の色空間から別の特定の色空間への色空間変換を行う画像処理装置に対して適用可能である。
また、グラデーションが施された背景など、描画オブジェクト内の場所ごとに濃度が変化する場合には、描画オブジェクト内の局所領域ごとに、代表色(例えば、局所領域内での平均値)を決定してからS403及びS404の判定処理を行うようにしてもよい。その場合、各局所領域について得られたS404の判定結果に基づいて、局所領域ごとに輪郭オブジェクトの色を導出してもよいし、いずれかの局所領域について導出された輪郭オブジェクトの色を、他の輪郭オブジェクトに共通に設定してもよい。
また、受信バッファ123に格納されている印刷データに対して、オブジェクトの境界部分に輪郭を加える補正処理を行うか否かをユーザが指定可能なようにしてもよい。例えば、操作部108の表示手段に上記補正処理を行うか否かを指定するためのユーザインタフェース(UI)画面を表示させるようにしてもよい。また例えば、プリンタドライバの設定画面を介して上記補正処理を行うか否かを指定可能なようにしてもよい。
また、本実施形態では、描画対象オブジェクトの外周全体に輪郭オブジェクトを付加する例を示した。しかし、描画対象オブジェクトの外周の一部、例えば、描画対象オブジェクトの外周のうち、重なり検出オブジェクトと重複する部分にのみ輪郭オブジェクトを付加するようにしてもよい。
[実施形態2]
実施形態1においてはPDLを描画オブジェクトの輪郭ベクトルに対する演算の形で生成したが、処理系によっては文字などの描画オブジェクトがビットイメージ化されている場合がある。
実施形態1においてはPDLを描画オブジェクトの輪郭ベクトルに対する演算の形で生成したが、処理系によっては文字などの描画オブジェクトがビットイメージ化されている場合がある。
ベクトル情報から文字情報を生成する演算コストが大きい場合、文字キャッシュ(フォントキャッシュ)が採用される。文字キャッシュは使用された文字のビットイメージを保存しておいて、文字が再使用される時にはそのビットイメージを再利用することによって、演算コストを低減させる手法である。また、漢字のように書体数が多いフォントの場合、コストの関係で印刷装置の内部に、該当するフォントが実装されていない場合がある。印字装置の中に求めるデザインのフォントが実装されていない場合には、文字をビットイメージの形で受け取ることになる。このような場合には、ビットイメージから輪郭情報を生成する必要がある。
このように、文字をベクトル情報ではなくビットイメージで受け取った場合には、受け取ったビットイメージ(元のビットイメージ)に対して、上下左右斜め方向に画素をずらす処理(以下、太らせ処理と呼ぶ)を施して新たなビットイメージを生成する。図9は、文字の太らせ処理を説明するための図である。図9(a)には、元のビットイメージを斜め右下方向に1ドットずらすことで新たなビットイメージが生成される様子が示されている。図9(a)における斜線の領域は元のビットイメージを表していて、黒色で塗りつぶされた領域は新たに生成されたビットイメージを表している。元のビットイメージを1ビット太らせる場合には、図9(a)に示す処理を上、下、左、右、右斜め上、右斜め下、左斜め上、左斜め下の8方向に対して行えばよい。そして、新たに生成された8つのビットイメージをそれぞれ重ね合わせると、図9(b)に示すような、元のビットイメージを1ビット太らせたビットイメージが得られる。元のビットイメージに2ビット幅の輪郭を付加したい場合には、図9(a)に示す処理を24方向に対して行えばよい。このように、元のビットイメージを指定ビット数太させたい場合には、指定ビット数に対応する各方向に図9(a)に示す処理を行えばよい。本実施形態ではこのように、本来文字を太らせるために利用される手法を、輪郭情報の生成に利用する。なお、CPU104は、図9(b)に示すビットイメージの描画を先に行ってから、元のビットイメージの描画を行う。そのような手順で描画を行うことによって、輪郭を付加されたビットイメージが描画される。
なお、ここでは、ビットイメージ化された文字の描画オブジェクトを例にして説明したが、ビットイメージ化された文字以外の描画オブジェクトについても同様に処理することで輪郭を付加することができる。
[実施形態3]
ベクトル情報から輪郭情報を生成する場合も、ビットイメージ情報から輪郭情報を生成する場合も、輪郭情報の生成の演算コストは大きい。そこで、本実施形態では、描画オブジェクトが文字オブジェクトである場合に、文字オブジェクトの書体サイズに応じた付加オブジェクト(後述する、図10(b)に示す描画オブジェクト)を生成する。そして、生成した付加オブジェクトを文字オブジェクトの描画位置に先に描画してから、文字オブジェクトを描画する。それにより、文字オブジェクトの視認性を確保する。
ベクトル情報から輪郭情報を生成する場合も、ビットイメージ情報から輪郭情報を生成する場合も、輪郭情報の生成の演算コストは大きい。そこで、本実施形態では、描画オブジェクトが文字オブジェクトである場合に、文字オブジェクトの書体サイズに応じた付加オブジェクト(後述する、図10(b)に示す描画オブジェクト)を生成する。そして、生成した付加オブジェクトを文字オブジェクトの描画位置に先に描画してから、文字オブジェクトを描画する。それにより、文字オブジェクトの視認性を確保する。
図10は、付加オブジェクトを説明するための図である。図10(a)には、背景オブジェクト1001と文字オブジェクト1002とが示されている。S404において、互いのオブジェクトの色距離が色空間変換によって近接すると判断された場合、CPU104は、S407において、図10(b)に示すように、付加オブジェクト1003を文字オブジェクト1002の描画位置に先に描画する。そして、CPU104は、付加オブジェクト1003の上に文字オブジェクト1002を描画する。図10(c)には、付加オブジェクト1003の上に描画された文字オブジェクト1002が示されている。なお、付加オブジェクトのサイズは、文字オブジェクトの文字サイズから、該文字オブジェクトに応じたサイズを導出すればよい。また、付加オブジェクトの形状は、角丸四角形に限らず、楕円や矩形などその他の形状であってもよい。このように、本実施形態では、オブジェクト境界から均一の幅ではないが、簡易的な輪郭オブジェクトを文字オブジェクトに付加することで、該文字オブジェクトの印刷物上における視認性を確保している。また、それにより、文字オブジェクトがベクトルかビットイメージであるかの区別なく、かつ複雑な演算を必要とすることなく、文字オブジェクトの印刷物上における視認性を確保することが可能となる。なお、生成する付加オブジェクトのサイズは活字のボディと同様に、日本語フォントに対しては書体と文字サイズごとにサイズを変更すれば十分であるが、アルファベットのように1文字ずつ文字幅が異なる場合には、文字ごとに幅を設定すればよい。
なお、輪郭を付加する描画オブジェクトとして文字オブジェクトを例にして説明した。しかし、文字オブジェクト以外の描画オブジェクトであっても、該描画オブジェクトのサイズが取得可能であれば、同様にして付加オブジェクトを生成して描画することで、視認性を確保することが可能となる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
Claims (14)
- 印刷データに含まれる描画オブジェクトを描画処理して画像データを生成する画像処理装置であって、
前記印刷データから処理対象とする描画オブジェクトを取得する取得手段と、
前記描画処理の際に、前記処理対象の描画オブジェクトに指定されている色を特定の色空間の色に変換する色空間変換を行う色空間変換手段と、
前記描画処理が済んだ描画オブジェクトの中から、前記処理対象の描画オブジェクトと描画領域が重なる描画オブジェクトを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した描画オブジェクトと前記処理対象の描画オブジェクトとの、前記色空間変換の前と後とにおける色距離を導出する導出手段と、
前記色空間変換により前記色距離が近接していると判断した場合に、前記処理対象の描画オブジェクトに輪郭オブジェクトを付加する付加手段と、を備える
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記付加手段は、
前記色空間変換後における前記色距離が第1の閾値より小さく、且つ、前記色空間変換前における前記色距離が第2の閾値より大きい場合に、前記色距離が近接していると判断し、
前記第2の閾値には、前記第1の閾値より大きい値が設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記付加手段は、
前記色空間変換前における前記色距離と前記色空間変換後における前記色距離との差が所定の閾値より大きい場合に、前記色距離が近接していると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記付加手段は、
前記色空間変換前における前記色距離を前記色空間変換後における前記色距離で除算して得られる比率が所定の閾値より大きい場合に、前記色距離が近接していると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記特定の色空間がCMYK色空間である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記色空間変換が、RGB色空間からCMYK色空間への変換である
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。 - 前記描画処理が済んだ描画オブジェクトの描画領域を示す位置情報と、該描画オブジェクトに指定されている色を示す色情報とを示すオブジェクト情報を格納する格納手段をさらに備え、
前記検出手段は、
前記オブジェクト情報に格納されている各描画オブジェクトの位置情報を参照して、該各描画オブジェクトの中から前記処理対象の描画オブジェクトと描画領域が重なる描画オブジェクトを検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記付加手段は、
前記処理対象の描画オブジェクトを構成するベクトルのそれぞれについて、該ベクトルを内包し且つ該ベクトルに直交する方向に所定の幅を有する矩形オブジェクトを生成し、
前記生成した各矩形オブジェクトを描画してから、前記処理対象の描画オブジェクトを描画することで、前記処理対象の描画オブジェクトに輪郭を付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記付加手段は、
前記処理対象の描画オブジェクトがビットイメージ化されている場合には、前記処理対象の描画オブジェクトを指定ビット数太らせて生成したビットイメージを描画してから、前記処理対象の描画オブジェクトを描画することで、前記処理対象の描画オブジェクトに輪郭を付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記付加手段は、
前記処理対象の描画オブジェクトを内包する背景オブジェクトを生成し、該背景オブジェクトを描画してから前記処理対象の描画オブジェクトを描画することで、前記処理対象の描画オブジェクトに輪郭を付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記処理対象の描画オブジェクトが文字オブジェクトであり、前記背景オブジェクトの形状が楕円または角丸四角形である
ことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。 - 前記輪郭オブジェクトを付加する処理を前記付加手段に実行させるか否かを指定するためのユーザインタフェースをさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 印刷データに含まれる描画オブジェクトを描画処理して画像データを生成する画像処理装置の制御方法であって、
前記印刷データから処理対象とする描画オブジェクトを取得するステップと、
前記描画処理の際に、前記処理対象の描画オブジェクトに指定されている色を特定の色空間の色に変換する色空間変換を行うステップと、
前記描画処理が済んだ描画オブジェクトの中から、前記処理対象の描画オブジェクトと描画領域が重なる描画オブジェクトを検出するステップと、
前記検出された描画オブジェクトと前記処理対象の描画オブジェクトとの、前記色空間変換の前と後とにおける色距離を導出するステップと、
前記色空間変換により前記色距離が近接していると判断した場合に、前記処理対象の描画オブジェクトに輪郭オブジェクトを付加するステップと、を含む
ことを特徴とする制御方法。 - コンピュータを、請求項1から請求項12のうちのいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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JP2018062943A JP2019176337A (ja) | 2018-03-28 | 2018-03-28 | 画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム |
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