以下、本発明に係るドレーン排液の管理システムの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、ドレーン排液の管理システムの一例として、ドレーン排液管理システムを示す。ドレーン排液管理システムは、患者の身体に接続されたドレナージ用のドレーンチューブを流れるドレーン排液に含まれる管理対象成分の状態を測定し、ドレーン排液の状態について種々の観察・評価を行う。
ドレーン排液は、術後に体外に排出される、体内に溜まった血液や滲出液等を含む液体である。消化器系の手術が行われた場合、消化酵素であるアミラーゼや、胆汁色素であるビリルビンが患部から出ることがある。これらの成分は、臓器を傷付けたり、血管を溶解させたりため、出血が起こり易く、合併症のリスクとなり得る。したがって、ドレーン排液に含まれる管理対象成分の状態を測定することは、医療従事者が次の医療行為を検討する上で、大きな指標となる。ドレーン排液中の管理対象成分として、例えば、アミラーゼ、ビリルビン、血液の状態を測定することが考えられる。
(ドレーン排液管理システムの構成)
図1は実施の形態におけるドレーン排液管理システム5の概略構成を示す図である。ドレーン排液管理システム5は、非接触型のドレーン排液センサ10と、ドレーン排液モニタ20と、ドレーンチューブ30と、ドレーンバッグ40と、を備える。ドレーン排液センサ10は、透明なドレーンチューブ30を流れるドレーン排液中の管理対象成分である、管理対象成分(例えば、血液、アミラーゼ、ビリルビン)の状態を測定するために使用される。つまり、ドレーン排液センサ10は、測定装置の一例である。管理対象成分として、アミラーゼは、すい臓や唾液腺から分泌される消化酵素である。ビリルビンは、胆汁中に含まれる黄色の色素成分である。血液は、臓器や血管から出血したものである。
ドレーン排液モニタ20は、無線通信や有線通信によってドレーン排液センサ10と接続され、ドレーン排液センサ10による測定結果の記録・表示等を行う。ドレーン排液モニタ20の前面には、各種の情報を表示するディスプレイ21が配置される。
ドレーンチューブ30は、患者の身体から出るドレーン排液を流通し、ドレーンバッグ40に流す。ドレーンチューブ30は、ユーザが目視でドレーン排液を観察できるように、透光性を有する樹脂等の素材で成形される。ドレーンチューブ30の一端は、患者の身体に接続(挿入)され、ドレーンチューブ30の他端は、ドレーンバッグ40に接続される。ドレーンバッグ40は、ドレーンチューブ30から流入したドレーン排液を貯留する。
なお、ドレーンバッグ40に貯留しているドレーン排液は、ドレナージの開始から測定時点までに流入した排出物を含む。したがって、ドレーン排液を用いて、時間の経過と共に変動する、ドレーン排液中の管理対象成分の状態を時間と対応付けて測定することは困難である。
このため、ドレーン排液管理システム5では、患者の身体とドレーンバッグ40との間に接続されたドレーンチューブ30を流れるドレーン排液を用いて、ドレーン排液中の管理対象成分の状態を測定することにした。この方法により、ドレーン排液管理システム5は、患者に対して非侵襲で測定が可能となる。
図2Aはドレーン排液センサ10の内部構成を示す図である。ドレーン排液センサ10は、例えば箱形の筐体10zを有し、筐体10zの内部に、排液サンプリング機構110、及び血球分離・酵素反応機構150を収容する。
排液サンプリング機構110では、筐体10zの内部を貫通するように、メインチューブ130(主流路の一例)が取り付けられる。図2Aでは左右方向にメインチューブ130が設けられている。メインチューブ130の両端は、それぞれ筐体10zの両側面に形成された貫通孔10yから突出し、ドレーンチューブ30の両端に接続されてよい。なお、メインチューブ130が、ドレーンチューブ30の一部であってもよい。
メインチューブ130の略中央には、メインチューブ130から分岐するサブチューブ133(副流路の一例)が接続される。ここで、サブチューブ133の一端が接続されたメインチューブ130の位置を分岐点とも称する。サブチューブ133は、メインチューブ130の管内と連通可能な細長い流路133zを有する。分岐点は、サブチューブ133と流路133zとの接続位置であってよい。サブチューブ133は、弾性を有する材料(ゴム、樹脂、等)で成形されてよく、弾性回復する材料でよい。サブチューブ133は、弾性変形する範囲で変形され、塑性変形する範囲で変形されない。細長い流路133zは、通常閉じている。流路133zが通常閉じていることで、メインチューブ130内のドレーン排液Lqがサブチューブ133の流路133zに流入することなく、また、サブチューブ133の流路133z内の液体がメインチューブ130に逆流することもない。また、サブチューブ133のメインチューブ130側とは反対側(図2Sの下側)から気体が流入することもない。
サブチューブ133は、メインチューブ130から見ると、メインチューブ130の途中に突出して形成された突出部とも言える。この突出部に、切り込みが流路133zとして形成されているとも言える。
排液サンプリング機構110は、メインチューブ130及びサブチューブ133の他、一対の制限部材113,114、及び第1押圧部材115を有する。
一対の制限部材113,114は、それぞれ先端が湾曲して形成された仕切板113B,114B、及び加圧ユニット113A,114Aを有する。加圧ユニット113A,114Aによって駆動された仕切板113B,114Bは、それぞれメインチューブ130の分岐点を挟む両側の箇所(例えば2点)を押えるように移動する。一対の制限部材113,114は、サブチューブ133の分岐点を挟む、メインチューブ130の両側の箇所を押圧自在である。一対の制限部材113,114が略同時にメインチューブ130の両側の箇所を押圧することで、メインチューブ130にドレーン排液Lqが制限され、例えば流れなくなる。そのため、分岐点の近傍に位置する、メインチューブ130の管中央部130cでは、ドレーン排液Lqが滞留する。管中央部130cは、例えば、制限部材113,114により押圧される2点の間の領域でよい。
第1押圧部材115は、メインチューブ130の長手方向に沿って面一な平板を有する押圧板115B、及び加圧ユニット115Aを有する。加圧ユニット115Aによって駆動された押圧板115Bがメインチューブ130を押圧するように移動する。第1押圧部材115がメインチューブ130を押圧することによって、一対の制限部材113,114で塞がれた、メインチューブ130の管中央部130cに滞留するドレーン排液Lqの圧力が上昇する。
管中央部130cのドレーン排液Lqの圧力が上昇すると、サブチューブ133の流路133zが開口し、管中央部130cに滞留していたドレーン排液Lqがサブチューブ133の流路133zに流入する。サブチューブ133の流路133zに流入した排液は、流路133zの反対側の端面から押し出されるように流出する。流路133zの反対側の端面から流出したドレーン排液Lqは、サンプリング液sq(図12B参照)として、サブチューブ133と対向するように配置された測定用テープ200上に、滴下する。
加圧ユニット113A,114A,115A,116A(後述)は、センサユニット180からの駆動信号に従い、それぞれ仕切板113B,114B、押圧板115B、先端部116Bを進退方向に移動させる。例えば、加圧ユニットがモータギア機構で構成される場合、モータを駆動することによって、仕切板113B,114B、押圧板115B、先端部116Bはそれぞれ直進移動する。なお、加圧ユニットは、モータギア機構に限らず、電磁スライド機構、圧電素子、油圧スライド機構等で構成されてもよい。
血球分離・酵素反応機構150は、ドレーン排液Lqに含まれる血球を分離し、酵素と試薬を反応させ、酵素の吸光度を光学的に測定する。血球分離・酵素反応機構150は、酵素以外の管理対象成分(例えば血球、ビリルビン)の吸光度を光学的に測定してよい。血球分離・酵素反応機構150は、第2押圧部材116、テープ巻取り送り機構170、及びセンサユニット180を有する。
第2押圧部材116は、例えば先端が丸く形成された先端部116B、及び加圧ユニット116Aを有する。加圧ユニット116Aによって駆動された先端部116Bが測定用テープ200を押圧するように進退する。この測定用テープ200が押圧されることで、測定用テープ200に滴下されたサンプリング液sqに含まれる酵素と試薬の反応が行われてよい。この測定用テープ200を用いて酵素と試薬を反応させる動作の詳細については、後述する。
テープ巻取り送り機構170は、サンプリング液sqが滴下される測定用テープ200、未使用の測定用テープ200が巻かれた送りリール171、及び反応後の測定用テープ200が巻き取られる巻取りリール172を有する。また、テープ巻取り送り機構170は、巻取りリール172を駆動するモータ175、及び、測定用テープ200の移動を案内するローラ177,176を有する。巻取りリール172は、モータ175の駆動によって回転し、反応後の測定用テープ200を巻き取る。送りリール171は、測定用テープ200の移動によって連れ回りする。
なお、ここでは、巻取りリール172が測定用テープを巻き取るように回転したが、巻取りリール172及び送りリール171のそれぞれをモータで駆動し、測定用テープ200の巻取りと送りを同時に行うようにしてもよく、測定用テープ200の移動をより安定化させることができる。また、送りリール171だけをモータで駆動し、巻取りリール172は連れ回りするようにしてもよい。
センサユニット180は、測定用テープ200を挟んで、排液サンプリング機構110と対向するように、配置される。センサユニット180は、テープ巻取り送り機構170によって送り出された測定用テープ200に浸透したサンプリング液sq2(図12B参照)に含まれる酵素の吸光度を光学的に測定する。この測定では、センサユニット180は、所定波長(例えば410nmの波長)をピーク値とする光を測定光として、酵素を多く含むサンプリング液sq2が浸透した測定用テープ200に向けて投射する。センサユニット180は、サンプリング液sq2中の酵素によって吸光されず、散乱した光を受光し、散乱光の受光量を基に、サンプリング液sq2に含まれる酵素の吸光度を測定してよい。
図2Bはセンサユニット180の回路構成を示すブロック図である。センサユニット180は、回路基板188が内部に敷設された筐体180zを有する。センサユニット180は、CPU(Central Processing Unit)181、LED(Light Emitting Diode)182、フォトセンサ(PD)183、無線チップ184、及びバッテリ185を有する。回路基板188には、CPU181、フォトセンサ183、及びLED182が搭載される。
CPU181は、センサユニット180内の各部の動作を制御する。CPU181は、フォトセンサ183から得られる受光量を基に、吸光度を算出する等、各種の演算処理を行ってよい。CPU181は、加圧ユニット駆動部186及びモータ駆動部187としての機能を含む。加圧ユニット駆動部186は、加圧ユニット113A,114A、115A,116Aに対し、それぞれ駆動信号を出力する。モータ駆動部187は、巻取りリール172を回転させるモータ175に対し、駆動信号を出力する。CPU181は、計時機能を有し、サンプリング時の時刻や測定時の時刻を計測してよい。
CPU181は、吸光度等の測定データ(第1情報の一例)を生成する。測定データは、管理対象成分(例えば血液、アミラーゼ、ビリルビン)に関するデータである。測定データは、測定データが計測された時刻と対応付けられて管理されてよい。測定データは、例えば、管理対象成分の吸光度や吸光度の変化量の情報を含んでよい。測定データは、単時間当たりの管理対象成分の排出量に関する情報を含んでよい。測定データは、管理対象成分の総排出量に関する情報を含んでよい。なお、管理対象成分の排出量は、メインチューブ130を流れる管理対象成分の排出量であってもよいし、サブチューブ133を介してサンプリングされた管理対象成分の排出量(サンプリング量)であってよい。
LED182は、所定波長(例えば410nmの波長)をピーク値とする光を測定光として出射する。フォトセンサ183は、アミラーゼ等の管理対象成分に吸光されずに散乱した光を受光し、受光量に応じた信号を出力する。
無線チップ184は、ドレーン排液モニタ20と無線通信を行い、センサユニット180で測定された各種データをドレーン排液モニタ20に送信する。無線通信には、近距離無線通信(Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等))や無線LAN(Local Area Network)等の通信を用いることができる。バッテリ185は、センサユニット180の各部に電力を供給する。バッテリ185は、充電可能なリチウムイオン電池等の二次電池でもよいし、アルカリ電池等の一次電池であってもよい。
図3はドレーンバッグ40の形状を示す図である。ドレーンバッグ40は、ドレーン排液を貯留する袋である。ドレーンバッグ40には、ドレーン排液が流れる流入チューブ41が取り付けられる。流入チューブ41の先端は、ドレーンチューブ30の一端に接続される。なお、流入チューブ41は、ドレーンチューブ30の一部でもよい。ドレーンバッグ40には、ドレーンチューブ30から流出したドレーン排液が流入し貯留する。また、ドレーンバッグ40の内部は陰圧に保持されるので、流入チューブ41の先端がドレーンチューブ30の一端に接続されても、ドレーンバッグ40内の貯留したドレーン排液はドレーンチューブ30に逆流しない。また、陰圧に保持されることで、ドレーン排液を排出する患者の感染予防にもなる。
ここで、ドレーンチューブ30にはメインチューブ130が接続され、メインチューブ130からはサブチューブ133が分岐する。サブチューブ133には、ドレーン排液Lqをサンプリングして抽出するために、流路133zが形成される。但し、サブチューブ133は、ドレーン排液Lqが通過しない際には、基本的に流路133zが閉鎖される。そのため、サブチューブ133は、流路133zから空気等がメインチューブ130側(ドレーンチューブ30側)へ進入することを抑制できる。したがって、ドレーン排液センサ10は、メインチューブ130及びサブチューブ133を備えても、サブチューブ133から空気等が進入することを抑制し、ドレーンバッグ40の陰圧を維持できる。よって、ドレーンバッグ40内の貯留したドレーン排液が、ドレーンチューブ30に逆流することを抑制できる。なお、ドレーン排液センサ10、ドレーンチューブ30、及びドレーンバッグ40が接続された状態で1週間した後であっても、ドレーンバッグ40においてほとんど空気等の気体が混入していないことが確認された。
図4はドレーン排液モニタ20の外観を示す一部破断斜視図である。ドレーン排液モニタ20は、箱形の筐体20zを有する。筐体20zの前面には、ディスプレイ21が配置される。ディスプレイ21には、測定結果を経時的に表すグラフ22、患者の名前などの種々の説明文23、測定結果の現在の値を表すメータ24、及び、患者の状態(正常・異常)を通知するための状態マーカ25等が表示される。
ドレーン排液モニタ20には、ドレーン排液モニタ20の各種制御を行うCPU26、ドレーン排液センサ10の測定データの記録等を行うメモリ27、及び、ドレーン排液センサ10の無線チップ184と無線通信を行う無線チップ28が設けられている。
また、ドレーン排液モニタ20には内部時計(図示省略)が内蔵されており、ドレーン排液センサ10(具体的にはセンサユニット180)によって測定された測定データと、測定データが計測された時刻と、が対応付けられてメモリ27に記録される。測定データは、単時間当たりの管理対象成分の排出量に関する情報を含んでよい。ドレーン排液Lqの単時間当たりの管理対象成分の排出量に関する情報は、例えば、単位時間当たりの、管理対象成分(例えば、アミラーゼ、ビリルビン、血液)の吸光度や吸光度の変化量の情報を含んでよい。グラフ22は、メモリ27に記録されている時系列データ(第2情報の一例)に基づき、測定結果の経時的変化を表すように表示される。また、測定データは、管理対象成分の総排出量に関する情報であってもよい。
CPU26は、メモリ27に記録された時系列データの一部または全部、及び、グラフ22の表示結果の少なくとも一方を、患者毎の電子カルテに登録(保持)してよい。電子カルテは、メモリ27に保存されてもよいし、ドレーン排液モニタ20とは別のサーバ(図示省略)に保存されてもよい。電子カルテがサーバに保存されている場合、ドレーン排液モニタ20は、無線チップ28によりサーバと相互通信することにより、電子カルテへの登録および電子カルテの閲覧が可能であるように構成され得る。
(排液サンプリング機構の動作)
図5は排液サンプリング機構110の動作を説明する図である。メインチューブ130が押圧されていない無圧状態(状態A)の場合、メインチューブ130の管内には、液体(例えば、ドレーン排液、蒸留水)が流れる。
始めに、制限部材113,114は、略同時にメインチューブ130を押圧し、液体の流れを制限する(状態B)。分岐点を挟むメインチューブ130の両側の管内、つまり管中央部130cは、仕切板113B,114Bによって塞がれる(図5の状態B参照)。これにより、管中央部130cの内外における液体の流通が制限される。なお、完全に塞がれることなく、液体が僅かに流れてもよい。管中央部130cには、そして、制限部材113,114の間の一定量の液体が滞留する。状態Bでは、サブチューブ133の流路133zは閉じており、流路133zは液体を通過させない。
制限部材113,114が略同時にメインチューブ130を押圧し、メインチューブ130の管中央部130cに液体が滞留した状態で、第1押圧部材115が、メインチューブ130の管中央部130cを押圧する(状態C)。管中央部130cが押圧されると、メインチューブ130の管中央部130cに滞留する液体の圧力が上昇する。この液体の圧力の上昇によって、分岐点でメインチューブ130に接続されたサブチューブ133の流路133zが広がる。メインチューブ130の管中央部130cに滞留していた液体は、サブチューブ133の流路133zに流入し、サブチューブ133の反対側の端面から流れ出る。ほぼ全ての液体が流れ出ると、メインチューブ130の管中央部130cは、凹んだ状態になる。これにより、制限部材113,114の間において滞留していた一定量の液体が、サブチューブ133を介して送出され得る。したがって、状態Cでは、サブチューブ133の流路133zは開き、流路133zは液体を通過させる。
第1押圧部材115がメインチューブ130の管中央部130cを押圧した状態で、制限部材113,114は、押圧を停止し、メインチューブ130の分岐点を挟む、両側の箇所(2箇所)を除圧する(状態D)。さらに、第1押圧部材115が管中央部130cの押圧を解除すると、メインチューブ130は、状態Aに戻り、無圧状態となる。なお、状態Dに続いて状態Aとなることで、管中央部130c内の圧力の低下により、サブチューブ133からメインチューブ130へ液体が逆流することを抑制できる。
また、状態Aの次に更に状態Bとなることで、メインチューブ130を流通していた新たな一定量の液体が滞留し、確保され得る。
状態A〜状態Dを繰り返すことで、排液サンプリング動作は、連続動作可能であり、一定量の液体を抽出可能である。なお、排液サンプリング機構110による排液サンプリング動作は、ドレーン排液Lqに限らず、種々な液体に対しても、液体サンプリング機構による液体サンプリング動作として適用可能である。
図6はドレーン排液センサ10による排液サンプリング動作手順を示すフローチャートである。CPU181は、サンプリング時期になるまで待つ(S1)。サンプリング時期は、例えば1時間に1回、適当な時刻に設定される。サンプリング時期になると、CPU181は、加圧ユニット113A,114Aに駆動信号を出力し、制限部材113,114による押圧を開始する(S2)。制限部材113,114によって、分岐点を挟むメインチューブ130の両側の箇所が押圧されると、メインチューブ130の管中央部130cは、仕切板113B,114Bによって塞がれる。メインチューブ130の管中央部130cには、液体が滞留する。
制限部材113,114による押圧を維持した状態で、CPU181は、加圧ユニット115Aに駆動信号を出力し、第1押圧部材115による押圧を開始する(S3)。メインチューブ130の管中央部130cが押圧されると、管中央部130cに滞留する液体の圧力が上昇する。この液体の圧力の上昇によって、サブチューブ133の流路133zが広がる。メインチューブ130の管中央部130cに滞留していた液体は、サブチューブ133の流路133zを通り、流路133zの反対側の端面から流出する。ほぼ全ての液体が流出すると、メインチューブ130の管中央部130cは、凹んだ状態になる。
CPU181は、加圧ユニット115Aに駆動信号を出力し、第1押圧部材115による押圧動作を維持した状態で、加圧ユニット113A,114Aへの駆動信号を停止し、制限部材113,114による除圧を開始する(S4)。制限部材113,114による除圧が行われても、メインチューブ130の管中央部130cが凹んだ状態は、維持される。
CPU181は、加圧ユニット115Aへの駆動信号を停止し、第1押圧部材115による除圧を開始する(S5)。第1押圧部材115による除圧動作が行われると、無圧状態に戻り、メインチューブ130の管中央部130cを介して液体が流れる。液体が流れる方向は、患者側からドレーンバッグ40に向かう方向である。
このような排液サンプリングの動作手順によれば、ドレーン排液管理システム5は、状態A〜状態Dを制御し、容易に状態A〜状態Dの状態を遷移させることができる。これにより、ドレーン排液管理システム5は、定量的且つ連続的にドレーン排液をサンプリングできる。
(排液サンプリング動作の検証)
次に、排液サンプリング機構110による排液サンプリング動作の第1検証結果を示す。第1検証動作では、まず、ドレーン排液Lqの代わりに、蒸留水を用い、排液サンプリング動作を繰り返し行い、サンプリング量の変化を調べた。図7Aは第1検証結果として、蒸留水を用いた場合の1サンプリング毎の重量の測定結果を示すグラフである。グラフの縦軸はサンプリング量(g)を示し、横軸はサンプリング回数を示す。蒸留水の場合、1gは1ml(ミリリットル)に相当する。グラフは、蒸留水のサンプリングを16回行った場合を示す。サンプリング量は、0.3g〜0.6gの範囲に収まっている。図7Bはサンプリング結果を示すテーブルである。このテーブルでは、平均値:0.46g、標準偏差:0.07、C.V(変動係数:coefficient of variation):15.8%が示される。
第1検証結果により、蒸留水を用いた場合、排液サンプリング機構110では、サンプリング量を一定量に安定させ(定量性を有し)、連続的にサンプリング可能であることが理解できる。
続いて、排液サンプリング機構110における排液サンプリング動作の第2検証結果を示す。第2検証動作では、第1検証動作と同様、蒸留水を用い、サンプリング量を3通りに設定し、排液サンプリング動作を繰り返し行い、サンプリング量の変化を調べた。
図8Aは排液サンプリング機構110の概略構成を示す図である。サンプリング量の調節は、メインチューブ130の管中央部130cの内容量を変更することで行われた。つまり、制限部材113,114間の間隔(距離)Lを変更することで、メインチューブ130の管中央部130cのドレーン排液等の内容量は変更される。間隔Lは10mm〜50mmの範囲で設定されてよい。また、管中央部130cを均一に押圧できるように、第1押圧部材115の押圧板115Bの長さも、間隔Lの長さと同等になるように調節されてよい。
図8Bは第2の検証結果として、サンプリング量を調節し、蒸留水を用いた場合の1サンプリング毎の重量の測定結果を示すグラフである。グラフの縦軸はサンプリング量(g)を示し、横軸はサンプリング回数を示す。グラフg11は、間隔Lが50mmである場合におけるサンプリング量の変化を示す。グラフg12は、間隔Lが24mmである場合におけるサンプリング量の変化を示す。グラフg13は、間隔Lが20mmである場合におけるサンプリング量の変化を示す。
図8Cはサンプリング結果を示すテーブルである。このテーブルには、間隔Lが50mmである場合、平均値:0.48g、標準偏差:0.02、C.V:5.2%が示される。また、間隔Lが24mmである場合、平均値:0.22g、標準偏差:0.033、C.V:15.2%が示される。また、間隔Lが20mmである場合、平均値:0.55g、標準偏差:0.0065、C.V:12.0%が示される。
第2検証結果により、蒸留水を用いた場合、排液サンプリング機構110は、いずれのサンプリング量においても、サンプリング量を一定量に安定させ(定量性を有し)、連続的にサンプリング可能であることが理解できる。また、100μリットル(蒸留水の場合、0.1g)以下のサンプリング量であっても、安定してサンプリング動作が可能であることが理解できる。
(排液サンプリング動作における圧力に関する考察)
次に、排液サンプリング動作を行う際にサブチューブ133の流路133zに加わる力について考察する。メインチューブ130を流れる液体をサンプリングする場合、サンプリング条件として、式(1)を満たす必要がある。
P2 < P < P1 …… (1)
P1は、制限部材113,114の仕切板113B,114Bがそれぞれメインチューブ130を押圧する押圧力である。Pは、制限部材113,114によって仕切られ、メインチューブ130の管中央部130cに滞留している液体の内部圧力である。P2は、サブチューブ133の流路133zを開口する開口力P21、又は流路133zに液体が流れる場合の抵抗力P22である。
したがって、P1>Pは、制限部材113,114による制限力が、第1押圧部材115により押圧された場合でもメインチューブ130における液体の流通制限を維持可能な力であることを示している。また、P>P2は、第1押圧部材115による押圧力が、サブチューブ133を介して液体を通過可能な力を示している。
排液サンプリング動作を安定して行うためには、押圧力P1を内部圧力Pより高くすることと、開口力P21及び抵抗力P22を低くすることが考えられる。ここでは、押圧力P1が必要以上に大きくされることなく、開口力P21が低くされてよい。この場合、メインチューブ130に大きな押圧力P1が繰り返し加わることが抑制され、メインチューブ130の劣化が抑制可能である。
流路133zが閉じている場合、つまり、P2>Pの場合、P2は開口力P21である。開口力P21は、式(2)で表されてよい。c:亀裂の長さ、Gc:エネルギー解放率、E:ヤング率である。
式(2)を参照すると、亀裂の長さが大きい程、開口力P21が小さくなることが理解できる。したがって、亀裂として、サブチューブ133のメインチューブ130との接続位置に開口部133b(図10B参照)を設けると、サブチューブ133の流路133zに液体が流入し易くなり、つまりサンプリングの際に必要な第1押圧部材115による押圧力が小さくて済む。開口部133bは、通常時(第1押圧部材115の非押圧時)でも流路133zより断面積が大きい開口部でよい。また、開口部133bの流路133zに沿う方向の長さが長い程、サブチューブ133の流路133zに液体が流入し易くなり、サンプリングの際に必要な第1押圧部材115による押圧力が小さくて済む。
また、流路113zに液体が流れている場合、つまり、P2<Pの場合、P2は抵抗力P22である。抵抗力P22は、式(3)で表されてよい。ε:歪、L:流路長さ、λ:摩擦係数、ρ:密度、v:流速である。
次に、生体の組織粉砕液を用いて、排液サンプリング動作を検証する。ここでは、生体としてマウスを用いる場合を示す。
(組織粉砕液の採取)
図9はマウスの組織粉砕液の作製を説明する図である。マウスの組織粉砕液は、以下のような手順で作製された。マウスms1から腸組織sp1を取り出し、容器310に入った生理食塩水ws1に浸す。その後、生理食塩水ws1に腸組織sp1が浸漬された容器310をホモジナイザ300にセットする。ホモジナイザ300は、容器310に収容された、生理食塩水ws1に浸漬された腸組織sp1を粉砕し、生理食塩水中に粉砕した腸組織sp1を分散させる。ホモジナイザとして、超音波によるキャビテーションで組織を粉砕する超音波式、攪拌して組織を粉砕する撹拌式、組織に圧力をかけて粉砕する高圧式等、種々の方式のものが使用可能である。ホモジナイザ300によって生理食塩水ws1に組織片mzが分散することで、マウスの組織粉砕液Lq1が得られる。なお、生体から排出されるドレーン排液Lqも様々な組織が混入している可能性があり、マウスの組織粉砕液Lq1は、ドレーン排液Lqと近似していると想定される。
(サブチューブの開口部の形状)
次に、サブチューブ133の分岐点付近に設けられ得る開口部133bについて考察する。
図10Aは、サブチューブ133が開口部133bを有しない場合のメインチューブ130の分岐点の近傍を示す拡大図である。メインチューブ130の管中央部130cは、多量の組織片mzを含む組織粉砕液Lq1で満たされてよい。第1押圧部材115によって押圧力が加えられると、管中央部130cの内部圧力Pが上昇し、式(2)で表される開口力P21を超えると、サブチューブ133の流路133zが開く。
図10Aでは、開口部133bが存在しないので、亀裂の長さcはほぼ値0である。開口部133bが存在しない場合、流路133zの入口が狭い(メインチューブ130側の断面積が小さい)ので、組織片mzが流路133zの入口付近に付着したときの開口力P21が変化し易い。
図10Bは、サブチューブ133が開口部133bを有する場合のメインチューブ130の分岐点の近傍を示す拡大図である。開口部133bの形状は、例えば断面が三角形状であるが、他の形状(例えば断面が半円形状、三角形以外の多角形状)でもよい。開口部133bを設けると、メインチューブ130とサブチューブ133とが接続する接続位置の開口面積(開口部133bの開口面積、断面積)は、サブチューブ133における流路133zの断面積(流路断面積)よりも、大きくてよい。つまり、開口部133bの断面が、流路133zの開口部133b以外の断面よりも広い。例えば、図10Bでは、流路133zにおいて、開口部133bの断面s1の断面積が、流路133zの断面s2の断面積よりも大きくてよい。また、亀裂の長さcに相当する、開口部133bの流路133zに沿う方向の長さL11は、例えば1mmでよい。この場合、亀裂の長さcは、組織片mzの長さ(100μm程度)と比べて十分に長いので、流路133zを開口するための開口力P21が安定する。したがって、安定した排液サンプリング動作が実施可能となる。なお、亀裂の長さcだけでなく、亀裂の幅が開口力P21に関係してもよい。なお、上記の流路133zの断面積等は、流路133zが開いている場合を想定したものである。流路133は通常閉じており、この場合の流路133zの断面積は値0である。
また、メインチューブ130を流通するドレーン排液Lqに含まれる粒子の大きさによって、開口部133bの開口面積が決定されてよい。例えば、管理対象成分の粒子が小さい場合には、サブチューブ133の入口付近において詰まることが少ないので、流路133zの入口付近が詰まり難くサンプリングの定量性があまり低下しないとして、開口部133bの開口面積が比較的小さくされ、又は開口部133bを設けなられなくてもよい。一方、管理対象成分の粒子が大きい場合には、流路133zの入口付近において詰まり易いことを加味して、開口部133bの開口面積が比較的大きくされてよい。
このように、ドレーン排液センサ10は、開口部133bを備えることで、メインチューブ130とサブチューブ133との分岐点付近において組織片が詰まることを抑制できる。したがって、ドレーン排液センサ10は、サブチューブ133を通過したサンプリング液としてのドレーン排液を、安定した量で採取できる。つまり、ドレーン排液センサ10は、サンプリング量の定量性を向上できる。なお、組織片は、サブチューブ133の分岐点付近において詰まりの原因となり得るが、一端流路133zに進入すれば、流路133zを通過可能である。
また、ドレーン排液センサ10は、開口部133bを備えることで、流路133zの入口付近に組織片mzが付着し難くなり、流路133zの入口が塞がれた状態となることを低減でき、開口力P21の上昇を抑制できる。このため、管中央部130cの内部圧力Pの力を小さくできるので、メインチューブ130が破損し難くなり、安定して排液サンプリングできる。
図11Aは、サブチューブ133が開口部133bを有する場合と有しない場合とにおける、1サンプリング毎の重量の測定結果を示すグラフである。グラフg22に示すように、サブチューブ133が開口部133bを有しない場合、組織粉砕液のサンプリング量は、0.1g〜0.5gの範囲で大きく変動している。一方、グラフg21に示すように、サブチューブ133がテーパ状の開口部133bを有する場合、組織粉砕液のサンプリング量は、0.4g〜0.5gの狭い範囲に収まっている。
図11Bは図11Aのグラフg21,g22で示される組織粉砕液の平均重量[g]、標準偏差、C.V.[%]を示すテーブルである。サブチューブ133が開口部133bを有しない場合、平均重量0.32[g]、標準偏差0.11、C.V.35.8[%]である。サブチューブ133が開口部133bを有する場合、平均重量0.48[g]、標準偏差0.02、C.V.5.2[%]である。
この結果、組織粉砕液のサンプリングを行う場合、開口部133bを備え、開口部133bの出口が流路133zの入口に接続されることが望ましい。これにより、流路133zの入口付近での組織粉砕液の詰まりを抑制し、流路133zに組織粉砕液が導入され易くなる。なお、開口部の形状は、開口部133bの形状に限られず、組織片mzが流入しやすい形状であることが望ましい。
(サンプリング液の測定)
次に、排液サンプリング機構110によってサンプリングされたドレーン排液すなわちサンプリング液に含まれる酵素の量を測定する方法について説明する。
血球分離・酵素反応機構150は、前述したように、ドレーン排液に含まれる血球を分離し、酵素と試薬を反応させ、酵素の量を光学的に測定する。
(測定用テープの構造)
図12Aは測定用テープ200の構造を示す断面図である。測定用テープ200は、4層のシート構造を有する。4層のシートは、最下層に配置されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シート201、その上に積層された試薬202、さらにその上に積層されたスペーサ203、及び最上層に配置された血球分離膜の一例としてのガラス膜204で構成される。PETシート201と試薬202とは、酵素反応シート205を形成する。血球分離膜は、ドレーン排液に含まれる管理対象成分(例えば血球、アミラーゼ、ビリルビン)のサイズ、管理対象成分の吸着、等を基に、血球と非血球(例えばアミラーゼ)と分離可能である。
ガラス膜204は、ガラス繊維を束ねてシート状にしたものであり、不織布のように形成されたものである。ガラス膜204は、多数のガラス繊維が重なり合って、折り合って、シート状に形成されてよい。
ガラス膜204は、管理対象成分を吸着する。ガラス膜204の吸着力は、管理対象成分毎(例えば、血球、アミラーゼ、ビリルビン)に異なってよい。また、ガラス膜204の吸着力は、ガラス膜204の表面積によって変化してよい。ガラス膜204の表面積の大きさは、ガラス膜204の密度に応じて決定されてよい。ガラス膜204は、帯電吸着してよい。具体的には、ガラス繊維が、プラスに帯電し、サンプリング液中で血球(例えば血球のリン脂質)がマイナスに帯電し、両者が電気的に引き合ってよい。一方、ガラス繊維とサンプリング液中における酵素との吸着力は、ガラス繊維と血球との吸着力よりも弱くてよい。この場合、酵素がガラス繊維上を多少移動した後にガラス繊維に吸着されてよい。
酵素反応シート205は、酵素と反応する試薬202を含む。試薬202は、例えば、酵素がアミラーゼである場合、アミラーゼと反応し、アミラーゼを黄色に変色させる。また、この試薬と反応したアミラーゼは、測定光の一部を吸光する。試薬202は、例えば、市販の乾式臨床化学検査装置に使用されるアミラーゼ活性測定試薬でよい。
スペーサ203は、上層のガラス膜204で採取されたサンプリング液sqのうち、酵素を含むサンプリング液sq2を下層に通過させるための孔部203z(開口の一例)を一定間隔毎に有する。
PETシート201は、透光性を有する樹脂であり、測定光(例えば410nmの波長がピーク値となる光)を透過させる。
試薬202と反応したアミラーゼは、波長410nmの光を吸光し易い。一方、血球の吸光波長は420nmである。したがって、試薬202と反応したアミラーゼに410nmがピーク値である測定光を投射し、測定光に基づく散乱光からアミラーゼの吸光度を測定する場合、血球の吸光波長420nmと一部重なり、正確な測定が難しくなる。このため、血球分離・酵素反応機構150は、血球及び非血球(例えばアミラーゼ、ビリルビン)に分離して、吸光度等を測定する。
図12B及び図12Cは測定用テープ200を用いて血球分離・酵素反応を行う様子を説明する図である。サブチューブ133の流路133zから流出したサンプリング液sqがガラス膜204に滴下されると、ガラス膜204に血球が吸着する。そのため、血球を多く含むサンプリング液sq1(血球の成分)は、ガラス膜204の滴下位置の近傍に留まる。
一方、酵素(例えばアミラーゼ)を多く含むサンプリング液sq2(酵素の成分)は、ガラス膜204に滴下されると、ガラス膜204の滴下位置においてすぐには吸着されず、滴下位置から広がるように、例えば図12Bの左方向に移動する。アミラーゼを多く含むサンプリング液sq2は、ガラス膜204に滴下された後、1秒程度、ガラス膜204を移動して浸透し、ガラス膜204に吸着される。したがって、ガラス膜204の滴下位置の近傍には、血球を多く含むサンプリング液sq1が滞留し、ガラス膜204の滴下位置から離れた位置では、アミラーゼを多く含むサンプリング液sq2が滞留する。つまり、ガラス膜204の面は、血球が多く存在するサンプリング液sq1が滞留する血球吸着領域ar1(第1吸着領域の一例)と、酵素等の非血球が多く存在するサンプリング液sq2が滞留する非血球吸着領域ar2(第2吸着領域の一例)とに、分離される。
スペーサ203の面には、一定の間隔で孔部203zが形成される。孔部203zは、アミラーゼを多く含むサンプリング液sq2が滞留しているガラス膜204に対向して位置する。孔部203zは、ガラス膜204の面内を移動したサンプリング液sq2を酵素反応シート205に送り出すために、第2押圧部材116の先端部116Bがガラス膜204を押圧できる大きさに形成される。
図12Cでは、第2押圧部材116の先端部116Bが、サンプリング液sq2が浸透したガラス膜204を押圧する。ガラス膜204に浸透したサンプリング液sq2は、スペーサ203の孔部203zを介して酵素反応シート205に流出する。酵素反応シート205では、サンプリング液sq2に含まれるアミラーゼが試薬202と反応し、黄色に変色する(図12Cにおける、孔部203z及び試薬202に示された網点表示参照)。
センサユニット180は、テープ巻取り送り機構170によって送り出された測定用テープ200に浸透したサンプリング液sq2に含まれるアミラーゼの吸光度を測定する。アミラーゼの吸光度を測定する際、センサユニット180のLED182は、吸光波長である410nmをピーク値とする測定光を、サンプリング液sq2が浸透した測定用テープ200に投射する。センサユニット180のフォトセンサ183は、LED182から投射され、サンプリング液sq2中のアミラーゼによって吸光されず、散乱した光を受光する。センサユニット180のCPU181は、フォトセンサ183で受光した散乱光の受光量を基に、サンプリング液sq2に含まれるアミラーゼの吸光度を測定する。
(血球分離膜の検討)
本実施形態では、血球分離膜として主にガラス膜204を用いたが、その他の膜材質を用いた場合と比較する。図13は血球分離膜に用いられる各種材質の特性を示すテーブルである。このテーブルでは、モノリス膜、セルロース膜、ガラス膜を用いた場合の比較結果を示す。なお、この血球分離膜の検討では、測定対象として、ニワトリの保存血液にアミラーゼを加えたものを用いた。
モノリス膜では、孔径が1μmと小さく、測定に必要な5μlを超えるような抽出が行えず、アミラーゼの抽出量が少ない。セルロース膜では、孔径が5−10μmと大きく、10−15μmサイズの血球を分離することができない。また、セルロース膜を用いると、血球が変形して細分化された血球がセルロース膜を通過し、必要な分離ができないこともある。一方、ガラス膜204では、管理対象成分の吸着力の差を利用して血球分離でき、測定に必要な5μlを超える量の確保もできる。
図14は血球分離膜の面に沿ってサンプリング液sqに含まれる血球と非血球とを分離する方法を説明する図である。血球baは、ガラス膜204との親和性が非血球よりも高く、ガラス膜204に吸着し易い。そのため、血球baは、ガラス膜204における滴下位置近傍に留まる。サンプリング液sqに含まれる非血球の一例としてのアミラーゼrzは、ガラス膜204との親和性が血球baよりも低く、血球と比較するとガラス膜204により吸着され難い。そのため、アミラーゼrzは、例えば毛細管現象によりガラス膜204に沿って移動し、浸透する。アミラーゼrzは、血球baが留まった領域とは離れた領域において、吸着されて留まる。このように、血球分離膜を使用して血球を分離することを膜分離とも称する。
図15は膜分離による吸光度の変化と、遠心分離による吸光度の変化と、の相関を示すグラフである。測定対象として、ニワトリの保存血液にアミラーゼを加えたものを用い、アミラーゼ活性の測定における1分間の吸光度の変化を調べた。アミラーゼ活性は、アミラーゼが試薬202と反応する能力を表し、単位U/Lで表される。グラフの縦軸は膜分離による吸光度の変化量ΔAを示す。グラフの横軸は遠心分離による吸光度の変化量ΔAを示す。膜分離による吸光度の変化量ΔAをyとし、遠心分離による吸光度の変化量ΔAをxとすると、このグラフg31は、式(4)で表される。相関係数は0.999である。
y = 1.03x ……(4)
したがって、遠心分離による吸光度の変化と同様の精度で、膜分離による吸光度の変化が得られると言える。言い換えると、遠心分離による血球分離と同様の精度と、膜分離による血球分離が可能であるとも言える。よって、遠心分離機のような大きな機器を用いなくても、ガラス膜204等の血球分離膜を用いて同等の吸光度等の測定結果が得られる。
(アミラーゼ活性の測定)
図16A、図16B、及び図16Cは、アミラーゼ活性の各種測定法を説明する図である。アミラーゼ活性を測定するために、アミラーゼを含む液体を酵素反応シート205に添加する。この添加方法として、標準法、浸透濾過法、転写法が検討された。
図16Aは標準法を示す。標準法では、遠心分離により分離されたアミラーゼを含む液体sqx1を、マイクロピペットMPで酵素反応シート205に滴下する。
図16Bは浸透濾過法を示す。浸透濾過法では、ガラス膜204の裏面に酵素反応シート205を予め接触させ、ガラス膜204の表面にサンプリング液sqx2を滴下する。この場合、サンプリング液sqx2に含まれる血球の成分は、ガラス膜204の滴下位置近傍に留まる。一方、サンプリング液sqx2に含まれるアミラーゼの成分は、ガラス膜204を浸透して移動し、酵素反応シート205に至るまで浸透する。サンプリング液sqx2は、例えば、ニワトリの保存血液にアミラーゼを加えたものでよい。
図16Cは転写法を示す。転写法では、ガラス膜204に酵素反応シート205を予め接触させず、ガラス膜204の表面にサンプリング液sqx2を滴下する。この場合、サンプリング液sqx2に含まれる血球の成分は、ガラス膜204の滴下位置近傍の血球吸着領域ar1に留まる。一方、サンプリング液sqx2に含まれるアミラーゼの成分は、ガラス膜204を浸透して移動し、非血球吸着領域ar2に留まる。アミラーゼの成分の移動後、ガラス膜204に酵素反応シート205を接触させ、ガラス膜204から酵素反応シート205へアミラーゼを転写する。
図17A、図17A、及び図17Cは、図16A、図16B、及び図16Cに示した各種測定法におけるアミラーゼ活性の測定結果を示すグラフである。各グラフの縦軸は各種測定法における吸光度の変化量(ΔA)を示す。横軸はアミラーゼ活性を示す。
標準法では、図17Aに示すように、吸光度の変化量(ΔA)とアミラーゼ活性との相関が高いこと(線形に近い関係であること)が確認された。浸透濾過法では、図17Bに示すように、吸光度の変化量(ΔA)とアミラーゼ活性との相関が低いことが確認された。転写法では、図17Cに示すように、標準法と同様、吸光度の変化量(ΔA)とアミラーゼ活性との相関が高いこと(線形に近い関係であること)が確認された。また、転写法では、アミラーゼ活性の範囲:75−2400U/Lにおいて、相関係数が0.988であり、C.V.が5.72%である。
標準法では、遠心分離を行うために、遠心分離機が必要となる。そのため、ドレーン排液センサ10が遠心分離機を含むと、ドレーン排液センサ10が高価かつ大型化し、携帯性が低下する。
浸透濾過法では、予めガラス膜204と酵素反応シート205とが接触することで、酵素反応シート205における試薬202が流出し易い。この場合、試薬202とアミラーゼとの反応が不十分となることがある。図17Bにおいて吸光度の変化量(ΔA)とアミラーゼ活性との相関が低いことは、試薬202とアミラーゼとの反応が不十分であることに起因すると考えらえる。
転写法では、ガラス膜204と酵素反応シート205との接触時間が、浸透濾過法の場合よりも短いため、酵素反応シート205における試薬202が流出し難い。そのため、図17Cにおいて吸光度の変化量(ΔA)とアミラーゼ活性との相関が高くものと考えらえる。また、図17Aと図17Cとは近似したグラフの形状となっているため、転写法では、標準法と同様の測定精度で測定結果が得られる。なお、図12Cでは、ガラス膜204におけるアミラーゼを含む領域に、アミラーゼの移動後(分離後)に酵素反応シート205と接触し得る。つまり、図12Cでは、転写法が採用されている。
図18はドレーン排液管理システム5によるアミラーゼ活性の測定手順を示すフローチャートである。この測定は、排液サンプリング動作と同様、例えば1時間に1回、適当な時刻に設定される。
センサユニット180のCPU181は、モータ駆動部187を介して指令信号を出力し、測定用テープ200を巻取り方向に送るように、モータ175を駆動する(S11)。モータ175が回転すると、巻取りリール172は、回転し、排液サンプリング動作を行うために、サブチューブ133の真下(対向位置)が滴下箇所となるように、測定用テープ200を巻き取り、送りリール151は、測定用テープ200を送り出す。
CPU181は、排液サンプリング動作を行い、測定用テープ200にサンプリング液sqを滴下する(S12)。この排液サンプリング動作は、図6のフローチャートで示した手順で行われてよい。
CPU181は、血球分離及びサンプリング液sqの移動を行うために所定時間だけ待機する(S13)。この所定時間の待機中、測定用テープ200のガラス膜204に滴下されたサンプリング液sqのうち、血球を多く含むサンプリング液sq1は、滴下位置近傍(血球吸着領域ar1)に滞留し、アミラーゼを含むサンプリング液sq2は、滴下位置から離れた箇所(非血球吸着領域ar2)に移動する(図12B参照)。
CPU181は、モータ駆動部187に指令信号を出力し、測定用テープ200を巻取り方向に所定量だけ移動するように、モータ175を駆動する(S14)。モータ175が回転すると、巻取りリール172は、回転し、測定用テープ200を滴下位置から所定量だけ巻取り方向(図12Cの右方向)に移動し、巻取りリール172に巻き取られ、送りリール171に送り出される。この所定量は、サンプリング液sqの滴下位置からサンプリング液sq2が浸透している位置までの距離、つまり、サブチューブ133の流出口とスペーサ203の孔部203zとの間の距離に相当する。
スペーサ203の孔部203zの上(対向位置)に、サンプリング液sq2が浸透したガラス膜204が位置する状態で、CPU181は、加圧ユニット駆動部186により第2押圧部材116を押圧する(S15)。この押圧では、第2押圧部材116の先端部116Bが、サンプリング液sq2が浸透したガラス膜204を例えば真上から押圧する。ガラス膜204に浸透したサンプリング液sq2は、孔部203zを通過し、酵素反応シート205にしみ出す。
なお、サンプリング液sq2がガラス膜204からしみ出さず、204が孔部203zを介して弾性変形することで、ガラス膜204のサンプリング液sq2の浸透部分(吸着部分)と酵素反応シート205とが接触するようにされてもよい。この場合、ガラス膜204は、弾性変形が可能に構成されてよい。
CPU181は、アミラーゼと試薬の反応時間だけ待機する(S16)。この反応時間において、酵素反応シート205に含まれる試薬202と、サンプリング液sq2に含まれるアミラーゼとが反応し、反応したアミラーゼが黄色に変色する。
CPU181は、アミラーゼと試薬202の反応箇所に対し、光学的読み取りを行う(S17)。この光学的読み取りでは、CPU181は、LED182を点灯し、反応箇所に向けて測定光を投射する。反応箇所では、投射された測定光の一部がアミラーゼによって吸光され、残りの一部が散乱する。CPU181は、フォトセンサ183により散乱された光を受光し、受光した光の受光量を基に吸光度の変化量(ΔA)を算出する。
CPU181は、例えば図17Cに示すグラフを基に、吸光度の変化量(ΔA)からアミラーゼ活性を算出する(S18)。CPU181は、無線チップ184によりドレーン排液モニタ20と通信を行い、アミラーゼに関する測定データ(例えば、アミラーゼの吸光度の変化量(ΔA)、アミラーゼ活性の値、アミラーゼの濃度の値)を測定時刻の情報と共に送信する(S19)。ドレーン排液モニタ20のCPU26は、無線チップ28を介してドレーン排液センサ10からアミラーゼに関する測定データ及び測定時刻の情報を受信すると、ディスプレイ21を介して各種データ(測定データ、測定時刻、その他のデータ)を表示する。
このような管理対象成分(例えばアミラーゼ)の測定手順によれば、ドレーン排液管理システム5は、CPU181が血球分離・酵素反応機構150の各部を制御することで、
ドレーン排液がサンプリングされたサンプリング液sqの状態を自動的に測定し、測定データを導出できる。また、ドレーン排液管理システム5は、ドレーン排液モニタ20に情報を表示でき、測定データ等の管理対象成分に関する情報を可視化できる。よって、ユーザは、患者の回復傾向を容易に把握できる。
図19はドレーン排液モニタ20の表示を示す図である。ドレーン排液モニタ20の前面に配置されたディスプレイ21には、一例として、アミラーゼ活性を表す吸光度の変化量(ΔA)の測定結果を示すグラフ22が表示されてよい。また、ディスプレイ21には、患者の名前などの種々の説明文23、吸光度の変化量(ΔA)を表すメータ24、及び、患者の状態(正常・異常)を通知するための状態マーカ25が併せて表示されてよい。
グラフ22において、破線L1は、正常範囲の上限を示し、破線L2は、正常範囲の下限を示す。術後の患者の状態が正常であれば、患者の身体に接続されたドレーンチューブ30内を流れるドレーン排液中のアミラーゼによる吸光度の変化量は、術後の時間経過に従って次第に減少していく。この例では、それぞれの測定結果の経時的推移が正常範囲内を維持している。このとき、状態マーカ25として「正常」の文字が表示される。一方、それぞれの測定結果の経時的推移が正常範囲外となると、状態マーカ25として「異常」の文字が表示されてよい。
(ビリルビンの測定)
上記では、ドレーン排液Lq中の管理対象成分として、消化酵素であるアミラーゼについて主に説明した。なお、臓器の分泌液の一例として、胆汁および尿などに含まれるビリルビンも、管理対象成分の1つとなり得る。ビリルビンはそれ自体が黄色の色素を有するので、ビリルビンの濃度を非接触で光学的に検出することが可能である。したがって、ビリルビンの濃度を測定する場合、試薬と反応させて着色するための酵素反応シートが不要である。
図20は測定用テープ200Aの構造を示す断面図である。測定用テープ200Aは、ガラス膜204AとPETシート201Aの2層構造を有する。
図21A及び図21Bはビリルビンの測定法を説明する図である。図21Aでは、分光光度計BKを用いたビリルビンが測定される(標準法)。図21Bでは、血球分離膜を用いてビリルビンが測定される(膜測定)。
ビリルビンについても、アミラーゼと同様に、図14で説明したように、膜分離可能である。つまり、サンプリング液sqに含まれる非血球の一例としてのビリルビンは、ガラス膜204との親和性が血球よりも低く、血球と比較するとガラス膜204により吸着され難い。そのため、ビリルビンは、例えば毛細管現象によりガラス膜204に沿って移動し、浸透する。ビリルビンは、血球baが留まった領域とは離れた領域において、吸着されて留まる。
図21Bに示すように、膜測定では、血球とビリルビンの吸着力の差を利用し、ガラス膜204にサンプリング液sqを吸着することで、ビリルビンを多く含むサンプリング液の領域(非血球吸着領域ar3)が形成される。具体的には、ガラス膜204にサンプリング液sqを滴下すると、血球はガラス膜204に優先的に吸着する。つまり、ガラス膜204に対する血球の吸着力が、ガラス膜204に対するビリルビンの吸着力よりも大きい。ガラス膜204において、血球は血球吸着領域ar1において吸着され、ビリルビンは非血球吸着領域ar3において吸着される。ビリルビンが吸着されている非血球吸着領域ar3に対し、測定光として410nmの波長をピーク値として有する光を用いて測定することで、ビリルビンの吸光度が測定可能である。
図22Aは標準法を用いた場合のビリルビンの測定結果を示すグラフである。グラフの縦軸は吸光度(Abs)を表す。横軸はビリルビン量(mg/ml)を表す。分光光度計BKによるビリルビンの測定では、ビリルビン量が0−32(mg/ml)である範囲において、吸光度(Abs)とビリルビン量(mg/ml)は、高い相関を有する。
図22Bは膜測定を用いた場合のビリルビンの測定結果を示すグラフである。グラフの縦軸は吸光度(Abs)を表す。横軸はビリルビン量(mg/ml)を表す。ガラス膜204を用いたビリルビンの測定においても、吸光度(Abs)とビリルビン量(mg/ml)は、高い相関を有する(線形に近い関係である)。ここでは、ビリルビン量:0−32(mg/ml)の範囲において、相関係数は0.987であり、C.V.は1.06%である。
したがって、分光光度計BKによる吸光度の測定精度と同様の精度で、膜測定による吸光度が得られると言える。ドレーン排液センサ10は、ガラス膜204等の血球分離膜を用いたビリルビンを測定することで、分光光度計BKのような大型化の装置を必要とせず、携帯性に優れ、コストダウンを図れる。
ビリルビンの吸光度等の測定データは、ドレーン排液モニタ20に送られ、ディスプレイ21に表示されてよい。
(測定用テープの変形例)
図12Aでは、測定用テープ200として、アミラーゼの測定に使用される4層構造を有するテープを例示した。また、図20では、ビリルビンの測定に使用される2層構造を有するテープを例示した。測定用テープの構造は、これらのテープの構造に限定されない。
図23はアミラーゼとビリルビンの両方の状態を測定可能な測定用テープ200Bの構造を示す図である。測定用テープ200Bは、測定用テープ200Bの長さ方向において、前述した4層構造と2層構造を繰り返すように製造される。アミラーゼの状態を測定する場合、ドレーン排液センサ10は、測定用テープ200Bにおいて、4層構造を有する領域AS1を使用する。一方、ビリルビンを測定する場合、ドレーン排液センサ10は、測定用テープ200Bにおいて2層構造を有する領域AS2を使用する。
このように、ドレーン排液センサ10は、2層構造を有する領域AS2と4層構造を有する領域ASS1を有する測定用テープ200Bを用いることで、ドレーン排液センサ10が同時に測定できる物質の種類を増やすことができる。また、複数の異なる管理対象成分の測定において、ドレーン排液センサ10を共用できることから、2つのドレーン排液センサを設ける場合と比べ、コストが低下し、省スペース化が可能である。また、複数の異なる管理対象成分の測定において、測定用テープ200が1つで済むことから、2つの測定用テープ200を用いる場合と比べ、コストが低下し、省スペース化が可能である。
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、ドレーン排液センサ10が、2つの制限部材113,114を備えることを例示した。なお、制限部材113,114は2つに限られない。管中央部130cにおいて一定量のドレーン排液Lqが塞き止められ、滞留可能であれば、制限部材の数は1つでも3つ以上でもよい。また、管中央部130cにおいて一定量のドレーン排液が塞き止められ、滞留可能であれば、制限部材以外の部材(例えば弁)が設けられてもよい。例えば弁が電気的に開閉することで、ドレーン排液の通過及び滞留を切り替えてよい。
上記実施形態では、ドレーン排液センサ10が、2つの制限部材113,114と第1押圧部材115とが別体として設けられることを例示したが、制限部材113,114及び第1押圧部材115の少なくとも一部が一体として設けられてもよい。例えば、2つの制限部材113,114及び第1押圧部材115の代わりに、1つの第3押圧部材140が設けられてもよい。
図24は、第3押圧部材140の構造例を示す斜視図である。第3押圧部材140は、2つの第1押圧部141、第2押圧部142、及び回転軸143を備える。
第1押圧部141は、第3押圧部材140において、メインチューブ130においてドレーン排液Lqが流れる方向に沿う両端部に位置する。第1押圧部141では、メインチューブ130が延びる方向に沿って回転軸143が通過する。第1押圧部141は、回転軸143を回転中心として回転する。第1押圧部141は、ドレーン排液Lqが流れる方向に垂直な方向の断面が、略扇形形状を有し、例えば扇形の中心角が略180度の略半円形状を有する。第1押圧部141は、回転中心と第1押圧部141の外周までの距離が一定でない。そのため、第1押圧部141は、回転軸143の回転により、メインチューブ130を流れるドレーン排液Lqの流通を制限したり、ドレーン排液Lqの流通の制限を解除したりする。したがって、第1押圧部141は、制限部材113,114と同様に作用する。
第2押圧部142は、第3押圧部材140において、2つの第1押圧部141の間に位置する。第2押圧部142は、メインチューブ130が延びる方向に沿って回転軸143が通過する。第2押圧部142は、回転軸143を回転中心として回転する。第2押圧部142は、ドレーン排液Lqが流れる方向に垂直な方向の断面が、略扇形形状を有し、例えば扇形の中心角が略60度の形状を有する。第2押圧部142は、回転中心と第2押圧部142の外周までの距離が一定でない。そのため、第2押圧部142は、回転軸143の回転により、メインチューブ130において第1押圧部141により流通を制限されたドレーン排液Lqを押圧してサブチューブ133を通過させたり、ドレーン排液Lqを押圧せずにサブチューブ133を通過させなかったりする。したがって、第2押圧部142は、第1押圧部材115と同様に作用する。
回転軸143は、センサユニット180のCPU181からの駆動信号に従い、回転してよい。回転軸143の回転により、第1押圧部141及び第2押圧部142が回転する。
なお、第1押圧部141及び第2押圧部142は、断面が略扇形形状を有するが、第1押圧部141の断面における扇形の中心角(例えば180度)は、第2押圧部142の断面における扇形の中心角(例えば60度)よりも大きくされる。つまり、第1押圧部141の断面扇形と第2押圧部142の断面扇形とを、これらの断面に平行な投影面に投影すると、中心角の小さい第2押圧部142の断面扇形は、中心角の大きい第1押圧部141の断面扇形の内部に含まれる(例えば図25A〜図25C参照)。
図25A、図25B、及び図25Cは、第3押圧部材140の各回転状態における第3押圧部材140及びメインチューブ130の状態の一例を示すA−A断面図である。図25Aは、図24の状態に相当し、無負荷状態(状態α)を示す。状態αでは、第1押圧部141及び第2押圧部142の双方が、メインチューブ130を押圧していない。したがって、状態αは、図5の状態Aに相当する。
図25Bは、状態αから所定角度回転した状態βを示す。状態βでは、メインチューブ130は、2つの第1押圧部141により2点が押圧されているが、第2押圧部142により押圧されていない。つまり、メインチューブ130が2つの第1押圧部141により押圧され、メインチューブ130を流れるドレーン排液Lqが、2つの第1押圧部141の間で滞留する。一方、滞留したドレーン排液Lqは、未だ第2押圧部142により押圧されていないので、サブチューブ133に流入しない。したがって、状態βは、図5の状態Bに相当する。
図25Cは、状態αから所定角度回転した状態γを示す。状態γでは、メインチューブ130は、第1押圧部141により押圧されており、且つ、第2押圧部142により押圧されている。つまり、メインチューブ130を流れるドレーン排液Lqが、2つの第1押圧部141により押圧され、2つの第1押圧部141の間で(管中央部130cにおいて)滞留する。更に、管中央部130cに滞留したドレーン排液Lqは、第2押圧部142により押圧され、サブチューブ133に流入して通過し、サンプリング液Sqとして抽出される。したがって、状態γは、図5の状態Cに相当する。
このように、ドレーン排液センサ10は、第3押圧部材140が回転することで、例えばカムシャフトのような機構を用いることで、メインチューブ130を流れるドレーン排液Lqから、一定量のサンプリング液Sqを抽出できる。よって、1つの部材によりメインチューブ130内の液体の流通の制限とサブチューブ133からの液体の抽出とを実現でき、液体サンプリングに係る構成を簡素化できる。また、第3押圧部材140では回転軸143を駆動することで済むので、例えば制限部材113,114及び第1押圧部材115の3つを駆動する場合と比較して、駆動箇所を少なくでき、駆動機構の故障の可能性を低減できる。よって、ドレーン排液センサ10は、第3押圧部材140を用いることで、液体サンプリングの長期信頼性を向上できる。
上記実施形態では、ドレーンチューブ30を介して生体から排出されるドレーン排液をサンプリングや測定の対象とすることを例示したが、ドレーン排液以外の液体がサンプリングや測定の対象とされてよい。例えば、体液誘導管を通じて生体から排出又は生体へ導入される生体液が、サンプリングや測定の対象とされてよい。
体液誘導管は、例えば、ドレーン(ドレーンチューブ)、カテーテル(カテーテルのチューブ)、投薬チューブ(投薬に使用されるチューブ)、を含んでよい。体液誘導管には、生体液が流れる。
ドレーンは、脳神経用、耳鼻咽喉用、呼吸器用、循環器用、乳腺・内分泌用、上部消化管用、胆肝膵用、泌尿器用、婦人科用、整形外科用、等のドレーンを含んでよい。脳神経用のドレーンは、脳室ドレーン、脳槽ドレーン、硬膜外ドレーン、皮下ドレーン、血腫腔ドレーン、腰椎ドレーン、脳内視鏡手術後に用いられるドレーン、等を含んでよい。耳鼻咽喉用のドレーンは、頭頸部手術後に用いられるドレーン、等を含んでよい。呼吸器用のドレーンは、胸腔ドレーン、縦隔ドレーン、等を含んでよい。循環器用のドレーンは、心嚢ドレーン、頭頸部手術後に用いられるドレーン、等を含んでよい。乳腺・内分泌用のドレーンは、乳癌手術後に用いられるドレーン、乳腺炎ドレーン、甲状腺手術後に用いられるドレーン、等を含んでよい。上部消化管用のドレーンは、胸部・縦隔ドレーン、頸部ドレーン、腹部ドレーン、上腹部腹膜炎ドレーン、腹腔内膿瘍ドレーン、胃手術後に用いられるドレーン、等を含んでよい。胆肝膵用のドレーンは、経皮経肝胆嚢ドレーン、経皮経肝胆ドレーン、肝膿瘍ドレーン、内視鏡的胆道ドレーン、急性膵炎に対するドレーン、下部消化管の後腹膜膿瘍ドレーン、直腸癌手術後に用いられるドレーン、肛囲膿瘍ドレーン、等を含んでよい。泌尿器用のドレーンは、一般手術後に用いられるドレーン、内視鏡手術後に用いられるドレーン、経皮的・経尿道的アプローチに用いられるドレーン、等を含んでよい。婦人科用のドレーンは、開腹手術後に用いられるドレーン、内視鏡手術後に用いられるドレーン、等を含んでよい。整形外科用のドレーンは、関節腔ドレーン、等を含んでよい。また、その他のドレーンとして、切開排膿ドレーン、等が含まれてよい。
カテーテルは、血管造影用カテーテル、バルーンカテーテル、心臓カテーテル、脳血管カテーテル、がんカテーテル治療に用いられるカテーテル、血管留置カテーテル、尿道カテーテル、等を含んでよい。
投薬チューブは、投薬装置(投薬システム)に用いられるチューブ、等を含んでよい。投薬装置は、血中の薬剤濃度を直接制御する投薬ポンプ(TCI(Target Controlled Infusion)ポンプ)、等を含んでよい。TCIポンプは、ポンプの動作を制御して、薬剤の投与速度を調節し、薬剤の血中濃度を目標血中濃度となるように制御する。
図26は、TCIポンプ10Aにより患者PA1へ薬剤や輸液(以下、薬剤等ともいう)を含む生体液を導入することを説明する図である。TCIポンプ10Aから患者PA1へ、投薬チューブ30Aを介して薬剤等を含む生体液が導入される。また、患者PA1からTCIポンプ10Aへ、投薬チューブ30Aを介して生体液が送られる。つまり、TCIポンプ10Aは、患者PA1への薬剤の投与量や投与速度を調整し、患者PA1との間で生体液を循環させ、患者PA1の体内での薬剤の濃度を制御する。このようなTCIポンプ10Aにより、例えば、患者PA1の血中の薬剤濃度を直接制御する投薬システムを実現可能である。
TCIポンプ10Aは、患者PA1に投与される薬剤の投与の制御に係る構成以外の構成については、ドレーン排液センサ10と同様の構成を有してよく、例えば図2に示した構成と同様でよい。TCIポンプ10Aは、TCIポンプ10Aから患者PA1へ向かう生体液をサンプリングし、管理対象成分を測定してよい。また、TCIポンプ10Aは、患者PA1からTCIポンプ10Aへ向かう生体液をサンプリングし、管理対象成分を測定してよい。
上記実施形態では、血球分離膜として、ガラス膜204を用いることを例示したが、その他の部材を用いてもよい。例えば、血球と帯電吸着可能なプラスに帯電する膜が用いられてもよいし、帯電吸着以外の吸着メカニズムを有する部材が用いられてもよい。
上記実施形態では、サンプリング液sq中の各管理対象成分のデータが時系列に取得されることを例示した。これらの時系列データに加え、ドレーン排液Lqやサンプリング液sqの総排出量の時系列データが取得されてもよい。ドレーン排液Lqの総排出量の時系列データは、例えば、ドレーンバッグの重さを測定するセンサ(例えば歪センサ)の出力値に基づいて取得されてよい。サンプリング液sqの総排出量の時系列データは、例えば、排液サンプリング機構110により、サンプリング液sqの抽出量が毎回測定され、各回分を積算されることで、取得されてよい。また、時系列データは、ドレーン排液Lqやサンプリング液sqの単位時間あたりの排出量のデータを含んでもよい。
上記実施形態では、ドレーン排液センサ10のCPU181は、アミラーゼの吸光度の変化量に基づいて、アミラーゼの濃度を算出してもよい。アミラーゼの濃度のデータは、測定データの一例である。例えば、アミラーゼの吸光度の変化量とアミラーゼの濃度の対応情報をメモリ等に保持しておき、この対応情報に基づいて、アミラーゼの濃度が導出されてよい。ドレーン排液センサ10のCPU181は、ビリルビンの吸光度に基づいて、ビリルビンの濃度を算出してもよい。ビリルビンの濃度のデータは、測定データの一例である。例えば、ビリルビンの吸光度とビリルビンの濃度の対応情報をメモリ等に保持しておき、この対応情報に基づいて、ビリルビンの濃度が導出されてよい。
上記実施形態では、ドレーン排液センサ10とドレーン排液モニタ20とが別々の装置と構成されるが、ドレーン排液センサ10及びドレーン排液モニタ20は、同じ筐体を有する装置として構成されてもよい。
上記実施形態では、メインチューブ130にドレーンチューブ30が接続されることを例示したが、メインチューブ130はドレーンチューブ30の一部であってもよい。
上記実施形態では、ドレーン排液センサ10の血球分離・酵素反応機構150は、管理対象成分として、サンプリング液sqに含まれる血液濃度を測定してもよい。サンプリング液sq中の血液濃度は、例えば次のようにして測定可能である。例えば、血球吸着領域ar1(血球が多く含まれるサンプリング液sq1)に測定光を照射し、散乱光を受光することで、サンプリング液sq中の血液濃度を導出可能である。なお、血液濃度を測定を測定するための測定光として、例えば、660nmや850nmの波長をピーク値として有する光を用いてよい。このように、生体液(例えば管理対象成分)に、生体の血球(例えば患者の静脈血)が含まれてよい。ドレーン排液センサ10は、患者の静脈血を測定することで、血液の状態を基にして患者の状態を評価できる。
上記実施形態では、液体のサンプリングに係る例を開示したが、実施形態はこれに限定されない。例えば、液体の分注、滴下といった、液体を一定の容量ずつ吐出する用途に適用可能であることは明らかである。
このように、ドレーン排液管理システム5は、患者の生体から排出されるドレーン排液Lqの採取、分離、分注、分析、等を実施し、患者に対する以降の処置を検討するための指標を、ユーザに提供できる。また、ドレーン排液Lqの採取、分離、分注、分析、等を、1つのデバイスであるドレーン排液センサ10により実施可能である。
また、患者は、ドレーンチューブ30を例えば1週間程度、患者の体に装着することが想定される。ドレーン排液Lqのサンプリングの頻度は、例えば、1時間に1回程度、1週間で170回程度でよい。
以上のように、ドレーン排液管理システム5は、生体からドレーンチューブ30を通じて排出されるドレーン排液の少なくとも一部を取得する排液サンプリング機構110(取得部の一例)と、取得されたドレーン排液内の管理対象成分(例えば、血液、アミラーゼ、ビリルビン)を測定し、測定データ(管理対象成分に関する第1情報の一例)を生成する血球分離・酵素反応機構150(生成部の一例)と、測定データと、測定データが検出された時刻と、が対応付けられたデータが記録されるメモリ27(記録部の一例)と、このデータに基づき、測定データの経時的変化を表す時系列データ(第2情報の一例)を表示するディスプレイ21(表示部の一例)と、を備えてよい。取得されたドレーン排液は、例えばサンプリング液sqでよい。生体からドレーンチューブ30を通じて排出されるドレーン排液の少なくとも一部を取得することには、ドレーンチューブ30の途中からドレーン排液が取得される「分取」が含まれてよい。ドレーンチューブ30は、体液誘導管の一例である。ドレーン排液は、生体液の一例である。なお、取得部は、生体へ体液誘導管を通じて導入される生体液の少なくとも一部を取得してもよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、ドレーン排液に影響を及ぼす管理対象成分をドレーンチューブから外部に抽出できる。また、ドレーン排液管理システム5は、抽出された管理対象成分を測定でき、測定結果に基づく測定データを導出できる。また、ドレーン排液管理システム5が測定データの経時的変化を表す時系列データをディスプレイ21に表示することで、ユーザ(医師・看護師、その他の医療関係者)が、ドレーン排液の状態を評価する際、目視での評価に代えて(又は、目視での評価に加え)、時系列データに基づいて評価できる。よって、ユーザは、目視のみに基づく評価に比べ、より客観的に患者の回復傾向を評価できる。
また、ドレーン排液と同様に、ドレーン排液以外の生体液についても、生体液に影響を及ぼす管理対象成分がドレーンチューブから外部に抽出可能である。また、抽出された管理対象成分が測定可能であり、測定結果に基づく測定データが導出可能である。また、測定データの経時的変化を表す時系列データがディスプレイ21に表示されることで、ユーザが、生体液の状態を評価する際、目視での評価に代えて(又は、目視での評価に加え)、時系列データに基づいて評価できる。よって、ユーザは、目視のみに基づく評価に比べ、生体液を基に、より客観的に患者の回復傾向を評価できる。
このように、ドレーン排液管理システム5は、生体から排出され又は生体へ導入される生体液に含まれる管理対象成分の状態を客観的に評価できる。
管理対象成分は、酵素、ビリルビン、又は血球の成分を含んでよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、例えば、患者が排出する又は患者に導入される酵素、ビリルビン、又は血球の成分を管理でき、患者の状態を把握し易くなる。
第1情報は、酵素の量、ビリルビンの量、又は血球の量の情報を含んでよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、例えば、患者が排出する又は患者に導入される酵素の量、ビリルビンの量、又は血球の量を測定でき、患者の状態を把握し易くなる。
管理対象成分は、血球及び非血球を含んでよい。血球分離・酵素反応機構150は、ドレーン排液から血球と非血球(例えばアミラーゼ、ビリルビン)とを分離するガラス膜204(血球分離膜の一例)と、ガラス膜204により分離された非血球の状態を測定するセンサユニット180(測定部の一例)と、を備えてよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、ガラス膜204を用いることで、非血球の状態を測定する際に、非血球とは特性の異なる血球の成分が混在して測定することを抑制できる。よって、ドレーン排液管理システム5は、非血球の成分の測定精度を向上できる。したがって、ドレーン排液管理システム5は、非血球の成分の測定精度を向上しつつ、ドレーン排液に含まれる非血球の状態を客観的に評価できる。また、ドレーン排液管理システム5は、膜分離により血球と非血球とを分離できるので、遠心分離機を用いなくて済み、血球と非血球とを分離するための装置の小型化かつ低コスト化が可能である。
また、ガラス膜204は、非血球との吸着力より血球との吸着力が大きくてよい。センサユニット180は、ガラス膜204において血球と分離して吸着された非血球の吸光度を測定してよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、ガラス膜204との吸着力の差を利用して、血球と非血球とを容易に分離できる。また、ドレーン排液管理システム5は、非血球の吸光度を測定することで、吸光度を基に、例えば吸光度との対応が一意に定まる非血球の濃度を導出(例えば算出)できる。
また、ガラス膜204は、ガラス膜204に沿って非血球を移動させ、血球が吸着する血球吸着領域ar1(第1吸着領域の一例)と、非血球が吸着する非血球吸着領域ar2、ar3(第2吸着領域の一例)と、を形成してよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、ガラス膜204において、血球の成分が滞留する領域と非血球の成分が滞留する領域との位置を分離できる。よって、ドレーン排液管理システム5は、例えばそれぞれの領域に対して測定光を照射することで、血球及び非血球のそれぞれの状態を区別して検出可能である。
また、ドレーン排液管理システム5は、酵素反応シート205を備えてよい。非血球は、酵素を含んでよい。酵素反応シート205は、ガラス膜204により分離された酵素と反応してよい。センサユニット180は、酵素反応シート205により反応した酵素の吸光度を測定してよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、無色の酵素が管理対象成分である場合でも、酵素反応シート205を用いて酵素を着色できる。よって、着色された酵素に測定光が照射された場合に、酵素反応シート205における酵素が測定光を散乱でき、フォトセンサ183が散乱光を受光できる。よって、ドレーン排液管理システム5は、無色の酵素が管理対象成分である場合でも、酵素の吸光度を測定でき、吸光度を基に酵素の濃度も導出できる。
また、酵素反応シート205は、排液サンプリング機構110により少なくとも一部のドレーン排液が取得された後に、ガラス膜204における非血球吸着領域ar2と接触するよう構成されてよい。
これにより、ガラス膜204において非血球が移動し、非血球吸着領域ar2に到達した後に、酵素と酵素反応シート205とが接触可能となる。また、ドレーン排液管理システム5は、非血球吸着領域ar2に酵素が到達した後に、ガラス膜204と酵素反応シート205とを接触させることで、ガラス膜204と酵素反応シート205との接触時間を短縮できる。そのため、酵素反応シート205における試薬202がガラス膜204に流出し難い。そのため、酵素と酵素反応シート205との反応が十分となり、酵素の吸光度を高精度に測定できる。
また、管理対象成分は、アミラーゼを含んでよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、消化酵素であるアミラーゼに関する情報(アミラーゼの吸光度、アミラーゼの吸光度の変化、アミラーゼ活性、アミラーゼの濃度、等)を測定し、測定データを生成できる。
また、管理対象成分は、ビリルビンを含んでよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、胆汁色素であるビリルビンに関する情報(ビリルビンの吸光度、ビリルビンの濃度、等)を測定し、測定データを生成できる。
また、ガラス膜204は、ガラス繊維を束ねてシート状に成形され、血球分離膜の一例として用いられてよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、血球分離膜としてガラス膜204を用いることで、モノリス膜と比較すると、モノリス膜の孔が小さいために非血球を十分に取得できないことを抑制でき、測定用に必要十分な非血球の量を確保できる。また、ドレーン排液管理システム5は、血球分離膜としてガラス膜204を用いることで、セルロース膜のように孔が存在しないので、血球も非血球も通過することを抑制でき、ガラス繊維の毛細管現象等により、血球と非血球とを好適に分離できる。また、ドレーン排液管理システム5は、ガラス繊維を束ねてシート状に成形されたガラス膜204を用いることで、ガラス膜204を不織布と同様に容易に取り扱い可能となる。
測定データは、ドレーン排液の単位時間あたりの排出量に関する情報を含んでよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、ドレーン排液の単位時間あたりの排出量の評価し、適切に患者の回復傾向を評価できる。更に、ドレーン排液管理システム5は、患者が受けた手術の内容によっては、ドレーン排液の排出量と他の情報との相関関係を検討することにより、更に適切な評価を行い得る。
測定データは、ドレーン排液の総排出量に関する情報を含んでよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、ドレーン排液の総排出量(例えば、ドレーンチューブ30の使用開始時から現時点までの合計排出量)の評価し、適切に患者の回復傾向を評価できる。更に、ドレーン排液管理システム5は、患者が受けた手術の内容によっては、ドレーン排液の総排出量と他の情報との相関関係を検討することにより、更に適切な評価を行い得る。
ドレーン排液管理システム5は、データの一部又は全部、及び、時系列データの少なくとも一つを電子カルテに登録するメモリ27(登録部の一例)を、備えてよい。
これにより、複数のユーザが、電子カルテを介して、患者の回復傾向の情報を共有できる。換言すると、複数人によって患者のドレーン排液の状態を評価できる。その結果、ユーザが一人で評価する場合に比べ、客観的かつ適正な評価を行うことが可能となる。ドレーン排液管理システム5は、このような複数人によるドレーン排液の状態の評価を可能とするために、ドレーン排液に関する測定データや測定データに関する時系列データを蓄積し、ユーザによる評価を支援できる。
排液サンプリング機構110は、メインチューブ130(主流路の一例)と、メインチューブ130から分岐したサブチューブ133(副流路の一例)と、サブチューブ133における2点の間の範囲とこの範囲の外側との間におけるドレーン排液の流通を制限する2つの制限部材113,114と、メインチューブ130においてドレーン排液の流通が制限された状態で、2点の間においてメインチューブ130を押圧する第1押圧部材115と、を備えてよい。サブチューブ133は、第1押圧部材115による押圧時には、メインチューブ130からのドレーン排液を通過させ、第1押圧部材115による非押圧時には、メインチューブ130からのドレーン排液を通過させなくてよい。
これにより、ドレーン排液管理システム5は、簡単な構成でドレーン排液をサンプリングでき、携帯性に優れ、持ち運び容易な排液サンプリング機構110を有することができる。よって、サンプリング時に患者が定位置に留まる必要がなく、サンプリング時のユーザの自由度が向上する。また、ドレーン排液管理システム5は、メインチューブ130における2点間の距離を測定時に不変にしておくことで、2点間に存在するドレーン排液の液量を安定化できる。このドレーン排液の液量が、1回のサンプリング量となる。また、ドレーン排液管理システム5は、第1押圧部材115による押圧時にドレーン排液を通過させ、第1押圧部材115による非押圧時にドレーン排液を通過させないことで、1回の押圧により1回分のサンプリング量のドレーン排液を出し切ることができる。よって、サブチューブ133内に液残りすることを抑制できる。したがって、ドレーン排液管理システム5は、毎回のサンプリングにおいてドレーン排液が前回分と混在することを抑制でき、サンプリングタイミングに応じた測定精度の高い測定データを導出できる。
また、上記実施形態では、ドレーン排液(液体の一例)をサンプリングするドレーン排液センサ10(液体吐出装置の一例)は、メインチューブ130(主流路の一例)と、メインチューブ130から分岐したサブチューブ133(副流路の一例)と、サブチューブ133における2点の間の範囲とこの範囲の外側との間におけるドレーン排液の流通を制限する2つの制限部材113,114と、メインチューブ130においてドレーン排液の流通が制限された状態で、2点の間においてメインチューブ130を押圧する第1押圧部材115と、を備えてよい。サブチューブ133は、第1押圧部材115による押圧時には、メインチューブ130からの液体を通過させ、第1押圧部材115による非押圧時には、メインチューブ130からの液体を通過させなくてよい。サンプリングは、吐出の一例である。
これにより、ドレーン排液センサ10は、簡単な構成でドレーン排液をサンプリングでき、携帯性に優れ、持ち運び容易となる。よって、サンプリング時に患者が定位置に留まる必要がなく、サンプリング時のユーザの自由度が向上する。また、ドレーン排液センサ10は、メインチューブ130における2点間の距離を測定時に不変にしておくことで、2点間に存在するドレーン排液の液量を安定化できる。このドレーン排液の液量が、1回のサンプリング量となる。また、ドレーン排液管理システム5は、第1押圧部材115による押圧時にドレーン排液を通過させ、第1押圧部材115による非押圧時にドレーン排液を通過させないことで、1回の押圧により1回分のサンプリング量のドレーン排液を出し切ることができる。よって、サブチューブ133内に液残りすることを抑制できる。したがって、ドレーン排液センサ10は、毎回のサンプリングにおいてドレーン排液が前回分と混在することを抑制でき、サンプリングタイミングに応じた測定精度の高い測定データを導出できる。
このように、ドレーン排液センサ10は、携帯性に優れ、液体がサンプリング後にサブチューブ133内に残存することを抑制できる。
制限部材113,114による制限力は、第1押圧部材115により押圧された場合でもメインチューブ130における液体の流通制限を維持可能な力でよい。第1押圧部材115による押圧力は、サブチューブ133が液体を通過可能な力でよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、制限部材113,114によって排液の流通が制限された状態でドレーン排液をサンプリングでき、メインチューブ130における2点の外側への排液の流出及び2点の外側からの排液の流入を抑制できる。よって、ドレーン排液センサ10は、1回のサンプリング量を一定に保つことができ、定量性を向上できる。また、ドレーン排液センサ10は、第1押圧部材115の押圧によりサブチューブ133が液体を通過させることができ、サブチューブ133を介して1回のサンプリング量を抽出できる。
サブチューブ133における、メインチューブ130とサブチューブ133とが接続する接続位置の開口面積は、サブチューブ133における流路133zの断面積(流路断面積)よりも、大きくてよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、組織粉砕液と同様に様々な組織片を含み得るドレーン排液がサブチューブ133の入口付近で詰まることを抑制できる、そのため、ドレーン排液センサ10は、サブチューブ133の入口からドレーン排液が進入することを容易にし、接続位置の開口面積よりも面積が小さい流路133z内へドレーン排液を誘導でき、流路133zを介してドレーン排液を送出し易くできる。よって、ドレーン排液センサ10は、例えば組織片を多く含み、又は比較的大きな組織片を含むドレーン排液をサンプリングする場合でも、1回のサンプリング量を安定化でき、定量性を向上できる。
ドレーン排液センサ10は、制限部材113,114による制限が解除された後、第1押圧部材115による押圧が解除されるように構成されてよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、制限部材113,114による制限が解除されることで、次のサンプリングにおいて送出されるドレーン排液を、メインチューブ130における2点の間に誘導できる。ドレーン排液センサ10は、第1押圧部材115による押圧が解除されることで、次のサンプリングにおいて新たなドレーン排液をサブチューブ133側へ流入させるための準備ができる。また、第1押圧部材115による押圧が解除される際、制限部材113,114による制限が既に解除されているので、第1押圧部材115による押圧の解除に応じてメインチューブ130における2点の間において圧力が低下することを抑制できる。よって、押圧されサブチューブ133に移動したドレーン排液が再度メインチューブ130側に逆流することを抑制できる。そのため、ドレーン排液センサ10は、第1押圧部材115による押圧の解除に伴って、1回のサンプリング動作(1回の第1押圧部材115による押圧動作)によって送出されるドレーン排液の量が変化することを抑制できる。したがって、ドレーン排液センサ10は、サンプリング量の定量性の低下を抑制できる。
排液サンプリング機構110は、制限部材113,114による制限及び制限の解除並びに第1押圧部材115による押圧及び押圧の解除は、反復して行われるように構成されてよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、ドレーン排液のサンプリングを連続的に実施できる。ドレーン排液センサ10は、1時間に1回、等、制限部材113,114による制限及び制限の解除並びに第1押圧部材115による押圧及び押圧の解除を行うことで、定期的に自動的にサンプリング液を取得可能となる。
制限部材113,114は、メインチューブ130における2点を押圧し、2点の間の範囲とこの範囲の外側との間におけるドレーン液体の流通を制限してよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、メインチューブ130の2点を押圧するという簡易な動作により、ドレーン排液の流通を制限できる。
また、メインチューブ130における2点の間隔は、調整可能でよい。
これにより、サンプリング量を容易に可変できる。そのため、ドレーン排液センサ10は、例えば管理対象成分の測定に必要なサンプリング量が、管理対象成分(例えば血液、アミラーゼ、ビリルビン)毎に異なる場合でも、測定される管理対象成分(例えばアミラーゼ)に合わせて所望のサンプリング量が得られるよう、2点の間隔を調整してよい。また、2点の間隔は、予め定められていてもよいし、動的に変更されてもよい。例えば、モータ等により制限部材113,114がメインチューブ130を押圧する位置を、メインチューブ130が延びる方向に沿って移動させてよい。例えば、ドレーン排液センサ10は、CPU181が、操作部(不図示)を介して管理対象成分の情報を入力することで、管理対象成分の測定に必要なサンプリング量をメモリ等から取得し、サンプリング量に応じて2点の間隔を調整してよい。
また、ドレーン排液センサ10は、サブチューブ133を通過したドレーン液体を分析する血球分離・酵素反応機構150(分析部の一例)を備えてよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、ドレーン排液のサンプリングから分析までを一貫して実施できる。したがって、ドレーン排液センサ10は、患者に携帯され、ドレーン排液の分析も実施できる。よって、ドレーン排液センサ10は、患者の自由度を向上させつつ、患者の状態を自動的に把握できる。また、ドレーン排液センサ10は、ドレーン排液のサンプリングと分析とを別々の装置により実施する場合と比較して、ドレーン排液のサンプリングから分析に要する時間を短縮できる。
また、メインチューブ130は、生体から排出されたドレーン排液が流通するドレーンチューブ30に接続されてよい。ドレーン排液が、液体の一例として用いられてよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、生体から排出されるドレーン排液を容易にサンプリングできる。また、ドレーン排液以外の液体がサンプリングされてもよい。この場合、ドレーン排液センサ10は、このサンプリングされた液体の状態を分析できる。
また、ドレーン排液は、血球と非血球とを含んでよい。血球分離・酵素反応機構150は、ドレーン排液から血球と非血球とを分離するガラス膜204(血球分離膜の一例)を含み、ガラス膜204により分離された非血球の状態を測定してよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、ガラス膜204を用いることで、非血球の状態を測定する際に、特性の異なる血球の成分が混在して測定することを抑制できる。よって、ドレーン排液センサ10は、非血球の成分の測定精度を向上できる。したがって、ドレーン排液センサ10は、非血球の成分の測定精度を向上しつつ、ドレーン排液に含まれる非血球の状態を客観的に評価できる。また、ドレーン排液センサ10は、膜分離により血球と非血球とを分離できるので、遠心分離機を用いなくて済み、血球と非血球とを分離するドレーン排液センサ10の小型化かつ低コスト化が可能である。
また、血球分離・酵素反応機構150は、ガラス膜204により分離された非血球に含まれる酵素と反応する酵素反応シート205を含み、酵素反応シート205により反応した酵素の吸光度を測定してよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、無色の酵素が管理対象成分である場合でも、酵素反応シート205を用いて酵素を着色できる。よって、着色された酵素に測定光が照射された場合に、酵素反応シート205における酵素が測定光を散乱でき、フォトセンサ183が散乱光を受光できる。よって、ドレーン排液センサ10は、無色の酵素が管理対象成分である場合でも、酵素の吸光度を測定でき、吸光度を基に酵素の濃度も導出できる。
また、血球分離・酵素反応機構150は、ガラス膜204と、酵素反応シート205と、孔部203z(開口の一例)を有しガラス膜204及び酵素反応シート205の間に配置されたスペーサ203と、を有する測定用テープ200と、測定用テープ200を巻き取る巻取りリール172又は測定用テープ200を送り出す送りリール171(巻取部材の一例)と、酵素の吸光度の測定毎に、巻取りリール172又は送りリール171を駆動するモータ175(駆動部の一例)と、を備えてよい。巻取りリール172又は送りリール171は、モータ175の駆動により、測定用テープ200を巻き取り又は送り出してよい。
これにより、ドレーン排液センサ10は、スペーサ203を介してガラス膜204と酵素反応シート205とを離間できる。そのため、ドレーン排液センサ10は、酵素反応シート205とガラス膜204との接触時間が長くなることによる、酵素反応シート205の試薬202がガラス膜204上に拡散することを抑制できる。また、測定用テープ200が送りリール171又は巻取りリール172内に保持されていることで、必要時に測定用テープ200が送り出されることで、酵素の測定において測定用テープ200を使用可能である。また、モータ175の駆動力により測定用テープ200を送り出すことで、測定用テープ200における所望の位置がサブチューブ133の流出口に対向するよう調整できる。よって、測定用テープ200におけるガラス膜204は、所望の位置でサブチューブ133からのサンプリング液sqを受けることができる。また、モータ175を連続的に駆動することで、連続して酵素を含むサンプリング液sqを取得し、酵素の吸光度を測定できる。
血球分離・酵素反応機構150は、第2押圧部材116を備えてよい。第2押圧部材116は、測定用テープ200におけるスペーサ203の孔部203zと第2押圧部材116が対向する位置において、測定用テープ200を押圧し、測定用テープ200におけるガラス膜204により分離された酵素と酵素反応シート205とを接触させてよい。
ドレーン排液センサ10では、取得されたドレーン排液がガラス膜204により分離され、非血球としての酵素が、ガラス膜204において孔部203zに対向する位置に移動する。この酵素が移動した位置において、第2押圧部材116によりガラス膜204が押圧されることで、スペーサ203を介して酵素を含むガラス膜204の領域と酵素反応シート205とが接触する。よって、酵素の移動後において酵素が酵素反応シート205と接触することとなり、転写法と同様に、非血球吸着領域ar2に吸着された酵素を酵素反応シート205に転写できる。したがって、酵素反応シート205に含まれる試薬202が酵素と反応せずに外部に移動し、酵素の着色が不十分となることを抑制できる。よって、ドレーン排液センサ10は、酵素の吸光度の測定精度の低下を抑制でき、酵素の状態の測定精度の低下を抑制できる。
また、上記実施形態では、測定用テープ200は、生体から排出され血球と非血球とを含むドレーン排液から、血球と非血球とを分離するガラス膜204(血球分離膜の一例)と、ガラス膜204により分離された非血球に含まれる酵素と反応する酵素反応シート205と、孔部203z(開口の一例)を有しガラス膜204及び酵素反応シート205の間に配置されたスペーサ203と、を有してよい。
これにより、測定用テープ200は、スペーサ203を介してガラス膜204と酵素反応シート205とを離間できる。測定用テープ200は、酵素反応シート205とガラス膜204との接触時間が長くなることによる、酵素反応シート205の試薬202がガラス膜204上に拡散することを抑制できる。また、測定用テープ200は、スペーサ203の一部に孔部203zを有することで、例えば押圧等の外力を利用して、孔部203zを介してガラス膜204と酵素反応シート205とを接触させることができ、必要時にガラス膜204上の酵素と酵素反応シート205に含まれる試薬202とを反応させることができる。よって、測定用テープ200は、試薬202と反応した酵素を用いた各種分析(例えば吸光度の測定)を補助できる。