JP2017186262A - 検査用モノクローナル抗体及びこれを用いた検査キット - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒラメなどの魚から直接クドア属粘液胞子虫を特異的に検出できるモノクローナル抗体、検査具及び検査キットの提供
【解決手段】クドア属粘液胞子虫の胞子を凍結し融解することで当該胞子殻及び胞子内部の細胞を破壊し、当該細胞を構成するタンパク質を取得し、これを抗原として作製したモノクローナル抗体は、クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の内部構造を構成するタンパク質と結合するので、胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫も存在するヒラメなどの魚肉から、直接クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫を特異的に検出できる。当該モノクローナル抗体を利用した検査キットは、ネジなどの周方向の溝付き棒からなる採取具を具備しているので、大量のヒラメなどの魚類の検査ができる。
【選択図】図1
【解決手段】クドア属粘液胞子虫の胞子を凍結し融解することで当該胞子殻及び胞子内部の細胞を破壊し、当該細胞を構成するタンパク質を取得し、これを抗原として作製したモノクローナル抗体は、クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の内部構造を構成するタンパク質と結合するので、胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫も存在するヒラメなどの魚肉から、直接クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫を特異的に検出できる。当該モノクローナル抗体を利用した検査キットは、ネジなどの周方向の溝付き棒からなる採取具を具備しているので、大量のヒラメなどの魚類の検査ができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、魚類の寄生虫であるクドア属粘液胞子虫を検出できるモノクローナル抗体、当該モノクローナル抗体を用いた検査具(イムノクロマト試験片、ELISA法検査具)及び当該検査具を備えた検査キットに関する。
魚肉に寄生するクドア属粘液胞子虫の中には人への病原性があり、食中毒の原因となるものがある。例えば、ヒラメの生食よっておこる食中毒は、ヒラメに寄生するクドア属粘液胞子虫の一種であるクドア・セプテンプンクタータ(Kudoaseptempunctata)が原因であるとされている。これらのクドア属粘液胞子虫は魚肉中で胞子を形成するが、魚肉中には胞子を形成していないクドア属粘液胞子虫も存在する。また、ヒラメ肉に場合には、クドア・セプテンプンクタータの他に、クドア属粘液胞子虫であって、人への病原性のないクドア・シルシテス(Kudoathysites)、クドア・ラテオラブラシス(Kudoalateolabracis)が寄生することが知られている。したがって、これらのクドア属粘液胞子虫の検査においては、胞子未形成の当該胞子虫も検出でき、加えてヒラメ肉の場合には、クドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスと区別して、クドア・セプテンプンクタータを、食中毒の防止のために選択的に検出できることが必要となる。
(従来技術)
クドア属粘液胞子虫による食中毒の検査法としては、ヒラメ肉に寄生するクドア・セプテンプンクタータの検出をする検査が知られており、コンベンションPCR(PolymeraseChainReaction)及びRNAを用いた定量的RT(ReverseTranscription)−PCRによる方法(非特許文献1参照)、リアルタイムPCRによる方法(非特許文献2参照)やモノクローナル抗体を検査試薬として用いる方法(特許文献1参照)が知られている。
クドア属粘液胞子虫による食中毒の検査法としては、ヒラメ肉に寄生するクドア・セプテンプンクタータの検出をする検査が知られており、コンベンションPCR(PolymeraseChainReaction)及びRNAを用いた定量的RT(ReverseTranscription)−PCRによる方法(非特許文献1参照)、リアルタイムPCRによる方法(非特許文献2参照)やモノクローナル抗体を検査試薬として用いる方法(特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、PCR法(非特許文献1、非特許文献2)による方法はDNAの増幅器が必要であり、検査も判定には数時間にわたる長時間を要する。
免疫学的測定方法を利用するクドア・セプテンプンクタータの検査法においては、モノクローナル抗体を検査試薬として用いる方法が特許文献1に開示されている。特許文献1の方法は免疫学的測定方法のうち、イムノクロマトグラフ法を採用することで、短時間に検査することができ、装置もイムノクロマトグラフ用検査具(以下「イムノクロマト試験片」という。)を使用するため簡便である。特許文献1の検査方法は、クドア・セプテンプンクタータ胞子を検出する方法であるので、クドア・セプテンプンクタータ胞子の存在が必要である。ヒラメに感染したクドア・セプテンプンクタータでは、前記の通り、胞子の状態即ち胞子の殻で胞子が覆われている状態だけでなく、胞子殻が未形成の状態のものも多数存在しているので、ヒラメ肉からクドア・セプテンプンクターを検出するためには、胞子殻が未形成のものも検出できなければならない。しかし、特許文献1に係る検査方法及びこれに用いられるモノクローナル抗体は、ヒラメ肉からクドア・セプテンプンクタータ胞子を抽出し、精製した後、当該胞子の状態で検査をしなければならない。したがって、胞子が未形成のクドア・セプテンプンクタータも存在するヒラメ肉からは直接クドア・セプテンプンクタータを検出することができない。また、当該モノクローナル抗体は、クドア・セプテンプンクタータに反応するだけでなく、ヒラメの筋肉に寄生し人への病原性はないクドア・シルシテスにも反応性を示すので、ヒラメ肉から、クドア・シルシテスと区別して、クドア・セプテンプンクタータを選択的(以下「特異的」という。)に検出することができない。
大量のヒラメについてクドア・セプテンプンクタータの検査を短時間で実施する場合には、ヒラメから簡易かつ迅速にヒラメ肉を採取し、当該ヒラメ肉から直接、簡便にクドア・セプテンプンクタータを検出するする必要があるが、特許文献1などにはこれに関する検査具及び検査キットについては記載されておらず、大量のヒラメの検査をする検査具や検査キットの提供が課題である。
平成22年6月21日厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室「食中毒調査に係る病因物質不明事例の情報提供等に係る中間取りまとめ」
平成23年7月11日付け厚生労働省食品安全部監視安全課長通知
(課題1)
従来のクドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の検査に用いられるモノクローナル抗体は、クドア属粘液胞子虫の胞子を簡便かつ特異的に検出できる。しかし当該モノクローナル抗体は、胞子が未形成なクドア属粘液胞子虫が寄生する魚肉からクドア属粘液胞子虫を直接的に検出することが困難であった。また、ヒラメの場合には、当該モノクローナル抗体では、人に病原性のないクドア・シルシテスと区別して食中毒を起こすクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出することも困難であった。したがって、従来技術において解決すべき課題となる問題は、(I)クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の検査に用いられるモノクローナル抗体が、胞子が未形成なクドア属粘液胞子虫には反応しないことにより胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫を含むクドア属粘液胞子虫に感染したヒラメなどの魚肉から直接クドア属粘液胞子虫を検出できないこと、(II)ヒラメの場合に、クドア・シルシテスにも反応性を示し、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応しないことである。
従来のクドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の検査に用いられるモノクローナル抗体は、クドア属粘液胞子虫の胞子を簡便かつ特異的に検出できる。しかし当該モノクローナル抗体は、胞子が未形成なクドア属粘液胞子虫が寄生する魚肉からクドア属粘液胞子虫を直接的に検出することが困難であった。また、ヒラメの場合には、当該モノクローナル抗体では、人に病原性のないクドア・シルシテスと区別して食中毒を起こすクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出することも困難であった。したがって、従来技術において解決すべき課題となる問題は、(I)クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の検査に用いられるモノクローナル抗体が、胞子が未形成なクドア属粘液胞子虫には反応しないことにより胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫を含むクドア属粘液胞子虫に感染したヒラメなどの魚肉から直接クドア属粘液胞子虫を検出できないこと、(II)ヒラメの場合に、クドア・シルシテスにも反応性を示し、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応しないことである。
(課題2)
従来のクドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の検査には、前記従来のモノクローナル抗体を用いた検査具や検査キットを使用するので、魚肉からクドア属粘液胞子虫の胞子を分離し精製しなければならず、魚肉を直接的に検査に使用ができないので、大量の魚の検査ができなかった。また検体の採取具も、大量の検査に適したものがなかった。したがって、従来技術において解決すべき課題は、クドア属粘液胞子虫の検査に使用される検査キットが、クドア属粘液胞子虫に感染した魚から簡易かつ迅速に魚肉を採取できないこと及びクドア属粘液胞子虫が寄生している魚肉から直接、特異的に検出できないことにより、大量の魚から短時間でクドア属粘液胞子虫を検出する検査ができないことである。
従来のクドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫の検査には、前記従来のモノクローナル抗体を用いた検査具や検査キットを使用するので、魚肉からクドア属粘液胞子虫の胞子を分離し精製しなければならず、魚肉を直接的に検査に使用ができないので、大量の魚の検査ができなかった。また検体の採取具も、大量の検査に適したものがなかった。したがって、従来技術において解決すべき課題は、クドア属粘液胞子虫の検査に使用される検査キットが、クドア属粘液胞子虫に感染した魚から簡易かつ迅速に魚肉を採取できないこと及びクドア属粘液胞子虫が寄生している魚肉から直接、特異的に検出できないことにより、大量の魚から短時間でクドア属粘液胞子虫を検出する検査ができないことである。
発明者らは、以下の(1)〜(5)の工程を含んでなる方法により作製されるモノクローナル抗体が、上記課題1を解決できることを見出した。
(1)(抗原タンパク質調整工程)魚肉からクドア属粘液胞子虫を分離し、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を含む胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理を行うことにより当該胞子殻と当該胞子内部の細胞を破壊して、当該細胞を構成しているタンパク質を溶出させた当該懸濁溶液を調整する工程、
(2)(抗体産生細胞取得工程)工程(1)で得られたタンパク質を哺乳類又は鳥類の動物に1回以上接種し、当該動物の体内で、当該タンパク質に反応する抗体を産生する抗体産生細胞を作り出させ、当該抗体産生細胞を当該動物から摘出する工程、
(3)(細胞融合工程)工程(2)により得られた抗体産生細胞と当該動物と同一の動物種の骨髄腫細胞とを融合して、不死化抗体産生細胞Aを作製する工程、
(4)(スクリーニング工程)工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、当該クドア属粘液胞子虫に由来するタンパク質を用いて、当該タンパク質に反応する不死化抗体産生細胞Bを選別する工程、
(5)(クローニング工程)工程(4)で選別不死化抗体産生細胞Bを単一の細胞として単離した(以下「クローン化」という。)後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる工程。
(1)(抗原タンパク質調整工程)魚肉からクドア属粘液胞子虫を分離し、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を含む胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理を行うことにより当該胞子殻と当該胞子内部の細胞を破壊して、当該細胞を構成しているタンパク質を溶出させた当該懸濁溶液を調整する工程、
(2)(抗体産生細胞取得工程)工程(1)で得られたタンパク質を哺乳類又は鳥類の動物に1回以上接種し、当該動物の体内で、当該タンパク質に反応する抗体を産生する抗体産生細胞を作り出させ、当該抗体産生細胞を当該動物から摘出する工程、
(3)(細胞融合工程)工程(2)により得られた抗体産生細胞と当該動物と同一の動物種の骨髄腫細胞とを融合して、不死化抗体産生細胞Aを作製する工程、
(4)(スクリーニング工程)工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、当該クドア属粘液胞子虫に由来するタンパク質を用いて、当該タンパク質に反応する不死化抗体産生細胞Bを選別する工程、
(5)(クローニング工程)工程(4)で選別不死化抗体産生細胞Bを単一の細胞として単離した(以下「クローン化」という。)後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる工程。
工程(1)において、当該クドア属粘液胞子虫の胞子(胞子をリン酸緩衝生理食塩水(以下「PBS」という。)で懸濁した胞子懸濁溶液)を凍結し融解することにより当該胞子殻と胞子内部の細胞を破壊できる。この胞子殻の破壊をすることにより、当該胞子殻で覆われていたクドア属粘液胞子虫の内部構造を当該懸濁溶液中に露出させ、更に当該凍結と融解により、当該内部構造に含まれる細胞が破壊され、当該細胞を構成しているタンパク質を当該懸濁溶液中に溶出させ、工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質(以下「抗原タンパク質」という。)を含む懸濁溶液を調整することができる。工程(1)で得られる抗原タンパク質は、当該クドア属粘液胞子虫の胞子の内部の構造に由来するタンパク質である。本発明に係るモノクローナル抗体は、当該タンパク質を抗原として、工程(2)において当該動物に接種して得られた抗体産生細胞を不死化し、クローン化して得られた不死化抗体産生細胞が産生する抗体であるので、当該モノクローナル抗体は当該抗原タンパク質に反応する。したがって、本発明に係るモノクローナル抗体は、胞子(殻)が未形成の当該クドア属粘液胞子虫、即ちその内部構造が露出している当該クドア属粘液胞子虫に反応する。そのため、当該工程により作製されたモノクローナル抗体は、胞子(殻)が未形成の当該クドア属粘液胞子虫含む当該クドア属粘液胞子虫に汚染された魚肉から胞子の抽出や精製をすることなく、直接、当該クドア属粘液胞子虫を検出できる。
工程(1)において、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を凍結し融解する処理をした後、当該懸濁溶液に界面活性剤を加え可溶化処理を行なうことにより、当該胞子殻と細胞内部の細胞を構成しているタンパク質と界面活性剤とが結合し、当該溶液中でミセルを形成して、当該ミセルから工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を得ることができる。
工程(1)において、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を凍結し融解する処理をした後、当該胞子を含む胞子懸濁溶液に超音波を照射してさらに当該胞子内部の細胞を破壊し、当該胞子殻と細胞を構成しているタンパク質を当該溶液中に溶出させて、抗原となる当該抗原タンパク質を得ることができる。工程(1)に当該可溶化処理又当該超音波照射を追加することにより、当該胞子内部の細胞に残存しているタンパク質を更に当該溶液中に溶出させるので、当該溶液中に含まれる抗原タンパク質の量が増加する。したがって、工程(1)で当該処理等を加えた方法により得られたタンパク質を動物へ接種することにより、当該凍結・融解処理のみの場合より、クドア属粘液胞子虫の胞子の内部構造の細胞を構成するタンパク質へ反応する抗体を産生する抗体産生細胞が得られ易くなり、胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫へ反応するモノクローナル抗体が得られ易くなる。
工程(1)において、魚肉がヒラメ肉の場合は、ヒラメ肉に寄生するクドア・セプテンプンクタータ胞子を凍結し融解して、当該胞子内部の細胞を破壊して、工程(2)の抗原 タンパク質を得る。
工程(4)において、工程(2)で得られた抗体産生細胞を工程(3)において不死化した不死化抗体産生細胞Aのうち、当該クドア属粘液胞子虫に由来する抗原タンパク質に反応する不死化抗体産生細胞Bを選別することにより、当該選別され、工程(5)でクローン化された不死化抗体産生細胞Bが産出するモノクローナル抗体は、食中毒の原因物質である特定のクドア属粘液胞子虫と特異的に反応する抗体となる。また、ヒラメ肉の場合に、工程(4)において、工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、クドア・セプテンプンクタータに由来する抗原タンパク質に反応し、クドア・シルシテス及びクドア・ラテオラブラシスに由来する抗原タンパク質に反応しない不死化抗体産生細胞Cを選別することにより、当該選別され、工程(5)でクローン化された不死化抗体産生細胞Cが産出するモノクローナル抗体は、クドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスとは反応せず、クドア・セプテンプンクタータにのみ特異的に反応するため、ヒラメ肉からクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出する検査に適した抗体となる。
本発明に係るモノクローナル抗体を用いる検査具は、クドア・セプテンプンクタータなどの当該クドア属粘液胞子虫を特異的にかつ簡便に検出できる検査具が適している。それらの検査具としては、公知のイムノクロマト法を利用するイムノクロマト試験片又は公知のELISA法を利用するELISA法検査具が挙げられる。いずれの検査具も本発明に係る2種類のモノクローナル抗体を用い、特別な装置は不要で、当該クドア属粘液胞子虫の簡便で特異的に検出することに適している。
本発明に係るイムノクロマト試験片においては、本発明に係るモノクローナル抗体を当該クドア属粘液胞子虫に対する第一及び第二のモノクローナル抗体として使用する。イムノクロマト試験片は、試料が滴下されるサンプルパッドと、その下流側に配置され、標識された第二のモノクローナル抗体(標識抗体)が予め塗布され、サンプルパッドから流出した試料と当該標識抗体が混合した複合体(コンジュゲート)が形成され、展開されるコンジュゲートパッドと、その下流側に配置され、第一のモノクローナル抗体(固相化抗体)が固定された検出部有し、コンジュゲートパッドから流出した当該複合体が展開されるメンブレンと、更にその下流側に過剰な試料や複合体を吸収する吸収パッドと、当該サンプルパッド、メンブレン、コンジュゲートパッド、吸収パッドを支持してなるバッキングシートからなる。当該メンブレンの検出部において、当該固相化抗体が当該複合体を構成している試料中の当該クドア属粘液胞子虫に由来する抗原タンパク質を反応することにより、当該クドア属粘液胞子虫を検出する。
なお、当該イムノクロマト試験片は全体形状が長方形のシート状であり、試料の供給側(サンプルパッド側)と下流端部(吸収パッド側)が同一形状であるため、試料をサンプルパッドに滴下するときに、サンプルパッド側がどちらにあるのか判別しにくい場合がある。その場合には、サンプルパッド側と吸収パッド側の端部の形状を異なる形状とすることもできる。
本発明に係るELISA法検査具は、本発明に係るモノクローナル抗体を使用し、当該モノクローナル抗体が、当該クドア属粘液胞子虫に対する第一及び第二のモノクローナル抗体であって、当該第一のモノクローナル抗体が、固定化されたプレートと酵素により標識された当該第二のモノクローナル抗体が含有された溶液と、を含むことを特徴とするELISA法検査具である。
上記の課題2を解決するため、本発明に係る検査キットは、検体採取具を魚に挿入し、引き抜くことにより、魚肉片を魚から採取できる検体採取具と、採取した当該魚肉が付着した当該検体採取具を緩衝液入り容器(以下「チューブ」という。)に入れ、当該チューブを振動することにより当該魚肉を当該採取具から剥離し、小片化してクドア属粘液胞子虫を緩衝液に溶出させたサンプル溶液を均質化するサンプル溶液調整部と、サンプル溶液を検査具に供給するためのサンプル溶液供給具と、本発明に係るモノクローナル抗体を用い、当該サンプル溶液からクドア属粘液胞子虫を検出する検査具を備える。
当該検体採取具は、検体の魚肉部に挿入し、引き抜くだけで、魚肉(検体)を魚の生体から直接採取できる採取具からなるので、魚の生体から直接、迅速かつ簡便に魚の肉片を採取でき、大量の魚の検査ができる。
当該サンプル溶液調整部は、当該検体採取具で採取した当該魚肉が付着した当該採取具を緩衝液入り容器にいれて、サンプル溶液を調整する。即ち当該容器ごと上下に振ることにより、緩衝液中で当該検体採取具に付着した魚肉を剥離し、剥離した魚肉は当該上下の振動で当該検体採取具やチューブの壁と衝突して破砕されて小片化し、小片化した魚肉は更に振動により緩衝液中に均一に分散し、サンプル溶液を均質化する。これにより魚肉中のクドア属粘液胞子虫(抗原)の緩衝液への溶出が促進されたサンプル溶液を得ることができる。その結果、当該サンプル溶液が滴下された検査具において、当該検査に用いられるモノクローナル抗体が、当該抗原を認識し易くなる。
当該検査具は、本発明に係るモノクローナル抗体を用いて、当該サンプル溶液からクドア属粘液胞子虫を検出することができる。本発明に係るモノクローナル抗体は、胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫を含むクドア属粘液胞子虫に汚染された魚肉からクドア属粘液胞子虫を、胞子を抽出、精製することなく、直接かつ特異的に検出できるので、これを用いた当該検査具はクドア属粘液胞子虫を魚肉から直接かつ特異的に検出する検査ができる。
以上により、当該検体採取具、サンプル溶液調整部及び検査具を含む本発明に係る検査キットは、クドア属粘液胞子虫に感染した魚からクドア属粘液胞子虫を直接的、特異的、かつ簡便に検出でき、大量の魚の検査ができる。
本発明に係る検査キットに含まれる当該検査具としては、イムノクロマト試験片やELISA法検査具が使用できる。いずれも公知の検査具で、クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫を特異的に検出できる。
本発明に係る検査キットに含まれる当該検体採取具として、周方向の溝付き棒状採取具であれば、魚肉部に挿入、引き抜くだけで当該採取具の溝部に検査に必要な量の検体(魚肉)を採取できるので、魚肉を直接に、迅速にかつ簡便に採取でき、そのため大量の魚の検査をする場合であっても短時間で検体が採取できる。
本発明に係る検査キットに含まれる当該サンプル溶液調整部には、魚肉を破砕し更に小片化を促進する場合には、チューブに替えてホモジナイザーを使用することもできる。当該ホモジナイザーを使用することで、検体採取具で採取した魚肉を更に小片化することもできる。
上記(1)〜(5)の工程を含んでなる方法により作製されるモノクローナル抗体が、胞子と胞子殻が未形成なクドア属粘液胞子虫に反応することで、胞子が未形成のクドア属粘液胞子虫を含むクドア属粘液胞子虫に感染したヒラメなどの魚肉から胞子を抽出し、精製することなく、直接、クドア属粘液胞子虫を検出する検査に適していること、及び魚肉に寄生し人への病原性がないクドア属粘液胞子虫(ヒラメ肉の場合はクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシス)に反応せず、人への病原性があるクドア属粘液胞子虫(ヒラメ肉の場合はクドア・セプテンプンクタータ)に特異的に反応することで、魚肉からクドア属粘液胞子虫を特異的に検出する検査することができる。
本発明に係る検査キットを使用することで、魚の生体から直接、特異的かつ簡便に魚肉を採取し、採取した魚肉からイムノクロマト試験片などの検査の使用に適したサンプル溶液を調整でき、当該溶液を使用した検査具により、クドア属粘液胞子虫を特異的に、簡便に検出ですることができる。また、本発明によれば、魚種がヒラメの場合には、ヒラメ肉に寄生するクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスと区別して、クドア・セプテンプンクタータのみに特異的に反応し、ヒラメ肉からクドア・セプテンプンクタータを迅速、簡便かつ直接的に検出することができ、特に大量のヒラメなどの魚の生体を迅速に検査できる検査キットを提供できる。
(工程(1)〜(5)の説明)
本発明に係るモノクローナル抗体は、工程(1)〜(5)の工程を含んでなる方法により作製される。工程(1)は魚肉からクドア属粘液胞子虫を分離し、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を含む胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理を行うことにより当該胞子殻と当該胞子内部の細胞を破壊して、当該細胞を構成しているタンパク質を溶出させた当該懸濁溶液を調整する工程であり、工程(2)は工程(1)で得られた抗原タンパク質を哺乳類又は鳥類の動物に1回以上接種し、当該動物の体内で、当該タンパク質に反応する抗体を産生する抗体産生細胞を作り出させ、当該抗体産生細胞を当該動物から摘出する工程であり、工程(3)は工程(2)により得られた抗体産生細胞と前記動物と同一の動物種の骨髄腫細胞とを融合して、不死化抗体産生細胞Aを作製する工程であり、工程(4)は工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、当該クドア属粘液胞子虫に由来する抗原タンパク質を用いて当該タンパク質に反応する不死化抗体産生細胞Bを選別する工程である。工程(5)は工程(4)で選別された不死化抗体産生細胞Bを単一の細胞として単離した後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる工程である。
本発明に係るモノクローナル抗体は、工程(1)〜(5)の工程を含んでなる方法により作製される。工程(1)は魚肉からクドア属粘液胞子虫を分離し、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を含む胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理を行うことにより当該胞子殻と当該胞子内部の細胞を破壊して、当該細胞を構成しているタンパク質を溶出させた当該懸濁溶液を調整する工程であり、工程(2)は工程(1)で得られた抗原タンパク質を哺乳類又は鳥類の動物に1回以上接種し、当該動物の体内で、当該タンパク質に反応する抗体を産生する抗体産生細胞を作り出させ、当該抗体産生細胞を当該動物から摘出する工程であり、工程(3)は工程(2)により得られた抗体産生細胞と前記動物と同一の動物種の骨髄腫細胞とを融合して、不死化抗体産生細胞Aを作製する工程であり、工程(4)は工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、当該クドア属粘液胞子虫に由来する抗原タンパク質を用いて当該タンパク質に反応する不死化抗体産生細胞Bを選別する工程である。工程(5)は工程(4)で選別された不死化抗体産生細胞Bを単一の細胞として単離した後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる工程である。
工程(1)(抗原タンパク質調整工程)においては、魚肉よりパーコール密度勾配遠心などの方法にてクドア属粘液胞子虫を分離して精製後、PBSに懸濁し、当該胞子の懸濁溶液の状態で、−80℃で冷凍保存する。以下の3種類の方法により、当該保存した懸濁液中のクドア属粘液胞子虫の胞子(胞子殻及び胞子内部)の細胞を破壊して、当該細胞を構成するタンパク質を当該懸濁溶液に溶出させ、工程(2)の動物に接種(免疫)するための抗原であるタンパク質を含む懸濁溶液を調整することができる。
(a)凍結・融解処理
保存中の胞子懸濁溶液を室温に戻し、PBSで希釈し、1又は2回以上繰り返し凍結し融解する。凍結する温度は−5℃以下で−196℃であり、融解する温度は100℃以下で0℃以上が好ましい。当該胞子の細胞は本処理により物理的に損傷し破壊されるので、胞子(及びその内部)の細胞を構成するタンパク質を当該懸濁溶液に溶出させ、工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を含む当該懸濁溶液を調整することができる。
(b)凍結・融解処理及び可溶化処理
胞子懸濁溶液をPBSで希釈し、2回以上凍結融解を行った後、当該溶液に界面活性剤を 加え室温で1昼夜静置する。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール又はモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンが好適に用いられる。この可溶化処理により、当該胞子内部の細胞を構成しているタンパク質に界面活性剤が結合し、当該溶液中でミセルを形成して、当該ミセルから工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を得ることができる。
(c)凍結融解及び超音波処理
胞子懸濁溶液をPBSで希釈し、2回以上凍結融解を行った後、氷で冷却しながら当該胞子を含む胞子懸濁溶液に超音波を照射して、更に当該胞子内部の細胞を破壊し、当該細胞を構成しているタンパク質を当該溶液中に溶出させて、工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を得ることができる。
(a)凍結・融解処理
保存中の胞子懸濁溶液を室温に戻し、PBSで希釈し、1又は2回以上繰り返し凍結し融解する。凍結する温度は−5℃以下で−196℃であり、融解する温度は100℃以下で0℃以上が好ましい。当該胞子の細胞は本処理により物理的に損傷し破壊されるので、胞子(及びその内部)の細胞を構成するタンパク質を当該懸濁溶液に溶出させ、工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を含む当該懸濁溶液を調整することができる。
(b)凍結・融解処理及び可溶化処理
胞子懸濁溶液をPBSで希釈し、2回以上凍結融解を行った後、当該溶液に界面活性剤を 加え室温で1昼夜静置する。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール又はモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンが好適に用いられる。この可溶化処理により、当該胞子内部の細胞を構成しているタンパク質に界面活性剤が結合し、当該溶液中でミセルを形成して、当該ミセルから工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を得ることができる。
(c)凍結融解及び超音波処理
胞子懸濁溶液をPBSで希釈し、2回以上凍結融解を行った後、氷で冷却しながら当該胞子を含む胞子懸濁溶液に超音波を照射して、更に当該胞子内部の細胞を破壊し、当該細胞を構成しているタンパク質を当該溶液中に溶出させて、工程(2)における動物への接種(免疫)のための抗原となる当該タンパク質を得ることができる。
工程(2)(抗体産生細胞取得工程)において、工程(1)で得られたタンパク質を抗原として哺乳類又は鳥類の動物に1回以上接種(免疫)する。当該動物としては、マウス、ラット、ウサギ又はニワトリが好ましく、取り扱いの良さや過去の免疫関連のデータの蓄積からマウスが更に好ましい。接種する箇所は腹腔内、皮内、皮下、筋肉又は静脈が好ましい。当該動物への免疫の過程で、当該動物の血清中の抗体力価をELISA法にて測定し、血清の抗体力価が高い当該動物を選択する。選択した動物に当該抗原タンパク質を接種して、当該動物の体内で、当該タンパク質に反応する抗体を産生する抗体産生細胞を作り出させ、当該抗体産生細胞(脾臓)を当該動物から摘出することができる。
工程(3)(細胞融合工程)において、工程(2)により得られた抗体産生細胞を含む細胞懸濁液と当該動物と同一の動物種の骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)とを一つの容器に入れて、ポリエチレングリコール(以下「PEG」という。)などの細胞融合剤を加えて抗体産生細胞と脾臓細胞を細胞融合して、不死化抗体産生細胞Aを作製する。
工程(4)(スクリーニング工程)において、工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aの中から、当該クドア属粘液胞子虫に特異的に反応する抗体を産生する不死化抗体産生細胞Bを選別(以下「スクリーニング」という。)するため、当該クドア属粘液胞子虫に由来するタンパク質を抗原として用いて、ELISA法により選別する。即ち抗体力価が高い不死化抗体産生細胞Bを選別する。魚種がヒラメの場合は、クドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスに由来するタンパク質に反応せず、クドア・セプテンプンクタータに由来するタンパク質に特異的に反応する抗体を産生する不死化抗体産生細胞Cの選別を行う。以上のスクリーニングはELISA法により、不死化抗体産生細胞の抗体力価を測定し、抗体力価の高い当該細胞即ち抗原に対する反応性が高い当該細胞を選別しつつ行う。
工程(5)(クローニング工程)において、工程(4)で選別された不死化抗体産生細胞BまたはCをクローン化後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる。工程(4)及び(5)においては、当該不死化抗体産生細胞B又はCのスクリーニング及びクローニングの工程を2回以上繰り返す。
工程(5)において、魚種がヒラメについては、クドア・セプテンプンクタータに由来するタンパク質に反応性を示した陽性ウエル(不死化抗体産生細胞B)をクローン化して、不死化抗体産生細胞Bのクローンを作製する。当該クローンが産生するモノクローナル抗体はクドア・セプテンプンクタータに由来するタンパク質に高い反応性を示す。
さらに、当該スクリーニング工程において、クドア・セプテンプンクタータだけではなく、クドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスを対象として交差反応試験を行う。このスクリーニング(工程(4))とクローニング(工程(5))を複数回実施し、不死化抗体産生細胞Cのクローンを作製する。当該クローンが産生するモノクローナル抗体は、クドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスには反応せず、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応する。
工程(1)から(5)を含んでなる方法により作製された、本発明に係るモノクローナル抗体の中から、イムノクロマト法を利用する検査具(イムノクロマト試験片)に使用する抗体を選択する。イムノクロマト法を利用するイムノクロマト試験片に対して、ヒラメ肉に感染したクドア・セプテンプンクタータを検出するために用いられるモノクローナル抗体は、工程(1)〜(5)を含んでなる方法により作製されたモノクローナル抗体から、段落0039に記載した工程を繰り返して選択した3種類(Ks−3C5、Ks−6F9、Ks−1B11)の抗体を使用する。イムノクロマト法を構築するためには、2種類のモノクローナル抗体で抗原タンパク質をサンドイッチする必要があるため、抗原タンパク質をサンドイッチするのに適している抗体の組み合わせをサンドイッチELISA法により選択する。サンドイッチELISA法による選択の結果、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせと、Ks−1B11とKs−1B11の組み合わせに絞られる。次にクドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスとの交差反応性を検討する。その結果、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせが、交差性が低かったため、イムノクロマト法へ利用する抗体をこの組み合わせに決定する。図1にKs−3C5抗体とKs−6F9抗体がクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質と結合している写真(位相差顕微鏡像とFITC蛍光染色像)を示す。Ks−3C5抗体とKs−6F9抗体は、クドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスに反応せず、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応し、サブクラスがIgG1で、軽鎖がκ鎖であり、クドア・セプテンプンクタータの内部構造の分子量25,000から37,000の範囲にあるタンパク質を認識する。図2に、当該抗体が認識する抗原(クドア・セプテンプンクタータ)のウエスタンブロット法の結果の画像を示す。画像中のMはタンパク質分子量マーカーであり、レーン1とレーン2はそれぞれ2種類の当該抗体が認識している当該抗原を示し、レーン1はKs−6F9抗体を使用しており、レーン2はKs−3C5抗体を使用している。図2は、当該抗体がクドア・セプテンプンクタータの内部構造の分子量25,000から37,000の範囲にあるタンパク質を認識することを示す。
当該2種類のモノクローナル抗体は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに2016年1月15日付けで受託番号「NITEP−02181」で寄託された不死化抗体産生細胞Cのクローン(以下「ハイブリドーマ」という。)から産生される抗体(Ks−3C5抗体)及び独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに2016年1月15日付けで受託番号「NITEP−02182」で寄託されたハイブリドーマから産生される抗体(Ks−6F9抗体)である。
Ks−3C5抗体及びKs−6F9抗体は、公知の方法で作られた受託番号「NITEP−02181」で寄託されたハイブリドーマ及び「NITEP−02182」で寄託されたハイブリドーマから産生される。本発明におけるモノクローナル抗体は、クドア・セプテンプンクタータ胞子に特異的に反応する。
(検査具に使用されるイムノクロマト試験片)
イムノクロマト試験片は、当該モノクローナル抗体作製工程で取得した2種類の抗体(本発明に係るモノクローナル抗体)を使用して、第一の抗体が固定されるメンブレンと標識された第二の抗体が固定されるコジュゲートパッドと試料(ヒラメなどの魚肉片が入った検体懸濁液の供給部であるサンプルパッドと過剰の試料を吸収する吸収パッド及びこれらの支持体となるパッキングシートを積層することにより作製することができる。当該サンプルパッド、メンブレン、コンジュゲートパッド及び吸収パッドを構成する材料は、当該試料や複合体を展開し、保持する機能を有するために、好ましくは繊維材料、多孔質材料又はその他の当該機能を有する材料から構成される。
イムノクロマト試験片は、当該モノクローナル抗体作製工程で取得した2種類の抗体(本発明に係るモノクローナル抗体)を使用して、第一の抗体が固定されるメンブレンと標識された第二の抗体が固定されるコジュゲートパッドと試料(ヒラメなどの魚肉片が入った検体懸濁液の供給部であるサンプルパッドと過剰の試料を吸収する吸収パッド及びこれらの支持体となるパッキングシートを積層することにより作製することができる。当該サンプルパッド、メンブレン、コンジュゲートパッド及び吸収パッドを構成する材料は、当該試料や複合体を展開し、保持する機能を有するために、好ましくは繊維材料、多孔質材料又はその他の当該機能を有する材料から構成される。
本試験片の性能は、抗原がヒラメ肉に寄生するクドア・セプテンプンクタータの場合の検出感度は胞子数5000個程度であり、ヒラメ肉の場合の交差性はクドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスには反応せず、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応する。なお、本試験片の使用はヒラメ肉にのみ制限されものではなく、他の魚肉に寄生するクドア属粘液胞子虫の検出にも使用できる。
(検査具に使用されるELISA法検査具)
ELISA法検査具は、本発明に係る2種類のモノクローナル抗体を用い、公知のELISA法を利用する検査具であって、96穴マイクロタイタープレート、マイクロプレート固相化抗体(Ks−6F9抗体使用)、ペルオキシターゼ標識抗体(Ks−3C5抗体使用)、洗浄溶液、ブロッキング溶液、基質、反応停止液からなる。
ELISA法検査具は、本発明に係る2種類のモノクローナル抗体を用い、公知のELISA法を利用する検査具であって、96穴マイクロタイタープレート、マイクロプレート固相化抗体(Ks−6F9抗体使用)、ペルオキシターゼ標識抗体(Ks−3C5抗体使用)、洗浄溶液、ブロッキング溶液、基質、反応停止液からなる。
本検査具の性能は、抗原がヒラメ肉に寄生するクドア・セプテンプンクタータの場合の検出感度は胞子数40個程度であり、ヒラメ肉の場合の交差性はクドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスには反応せず、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応する。なお、本ELISA法検査具の使用はヒラメ肉にのみ制限されものではなく、他の魚肉に寄生するクドア属粘液胞子虫にも使用できる。
(検査キット)
検査キットは、検体の魚肉に挿入し、引き抜くことにより、検査に必要な量の魚肉片(検体)を得ることができる検体採取具と、当該魚の生体から採取した魚肉が付着した検体採取具を緩衝液入りチューブに入れ、クドア属粘液胞子虫を緩衝液に溶出させてサンプル溶液を調整するサンプル溶液調整部と、サンプル溶液を検査具に供給するためのサンプル溶液供給具と、本発明に係るモノクローナル抗体を用いて当該サンプル溶液からクドア属粘液胞子虫を検出する検査具からなる。検体採取具を検体の魚肉に挿入し、引き抜くことにより検査に必要な量(好ましくは10mg〜20mgであるが、この範囲外の量でも良い。)の魚肉を魚から採取できる検体採取具としては、周方向の溝付きの棒状採取具を使用する。当該棒状採取具としては、当該溝がスクリュー状である市販のネジ(ビス又はミニビス)を使用したネジ式採取具や当該溝が棒の周方向に非らせん状に1以上設けた棒状採取具などが挙げられる。特に市販のビス等を使用するネジ式検体採取具は、魚肉に挿入し、引き抜くだけで当該スクリュー上の溝に上記検査に必要な量の魚肉を採取でき、採取した魚肉がネジに付着した状態で、サンプル溶液調整部のチューブに投入し、振動を加えることにより均質化されたサンプル溶液を調整できる。また、ネジ式検体採取具は、安価で入手も容易であり、大量検体(魚の生体)から直接、簡易に魚肉を採取し、当該魚肉からクドア属粘液胞子虫を検出する検査が可能となる。当該ネジは、ビス(十字穴付き木ネジ;JISB11121995)又はミニビスなどが好適に使用できるが、溝がスクリュー形状のものであれば制限はない。材質は好ましくは鋼、ステンレスなどの鉄系材料、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金などの非鉄金属、セラミックスなどの無機材料、ヒラメなどの魚類の生体に挿入、引き抜きを繰り返して使用できる強度のあるものであれば、プラスチックスや木系材料などの有機系材料や有機材料と無機材料の複合材料であっても。ネジの寸法は、好ましくは呼び径(スクリュー外径)が1〜5mm、長さが20〜80mmのものが挙げられる。検体の魚肉に挿入し、引き抜くだけで検査に必要な量が採取でき、ネジ強度も当該挿入と引き抜きに耐えられるものであれば、特に制限はない。
検査キットは、検体の魚肉に挿入し、引き抜くことにより、検査に必要な量の魚肉片(検体)を得ることができる検体採取具と、当該魚の生体から採取した魚肉が付着した検体採取具を緩衝液入りチューブに入れ、クドア属粘液胞子虫を緩衝液に溶出させてサンプル溶液を調整するサンプル溶液調整部と、サンプル溶液を検査具に供給するためのサンプル溶液供給具と、本発明に係るモノクローナル抗体を用いて当該サンプル溶液からクドア属粘液胞子虫を検出する検査具からなる。検体採取具を検体の魚肉に挿入し、引き抜くことにより検査に必要な量(好ましくは10mg〜20mgであるが、この範囲外の量でも良い。)の魚肉を魚から採取できる検体採取具としては、周方向の溝付きの棒状採取具を使用する。当該棒状採取具としては、当該溝がスクリュー状である市販のネジ(ビス又はミニビス)を使用したネジ式採取具や当該溝が棒の周方向に非らせん状に1以上設けた棒状採取具などが挙げられる。特に市販のビス等を使用するネジ式検体採取具は、魚肉に挿入し、引き抜くだけで当該スクリュー上の溝に上記検査に必要な量の魚肉を採取でき、採取した魚肉がネジに付着した状態で、サンプル溶液調整部のチューブに投入し、振動を加えることにより均質化されたサンプル溶液を調整できる。また、ネジ式検体採取具は、安価で入手も容易であり、大量検体(魚の生体)から直接、簡易に魚肉を採取し、当該魚肉からクドア属粘液胞子虫を検出する検査が可能となる。当該ネジは、ビス(十字穴付き木ネジ;JISB11121995)又はミニビスなどが好適に使用できるが、溝がスクリュー形状のものであれば制限はない。材質は好ましくは鋼、ステンレスなどの鉄系材料、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金などの非鉄金属、セラミックスなどの無機材料、ヒラメなどの魚類の生体に挿入、引き抜きを繰り返して使用できる強度のあるものであれば、プラスチックスや木系材料などの有機系材料や有機材料と無機材料の複合材料であっても。ネジの寸法は、好ましくは呼び径(スクリュー外径)が1〜5mm、長さが20〜80mmのものが挙げられる。検体の魚肉に挿入し、引き抜くだけで検査に必要な量が採取でき、ネジ強度も当該挿入と引き抜きに耐えられるものであれば、特に制限はない。
当該サンプル溶液調整部のチューブ(図4,5参照)でも、上記の通り魚肉などの検体を破砕し、小片化して、均質化されたサンプル溶液を調整できるが、更に確実に魚肉を破砕し小片化することを促進するために、当該サンプル溶液の調整は、当該チューブに替えてバイオマッシャー、フィンガーマッシャー又はその他のホモジナイザーを使用することができる。
当該サンプル溶液調整部で調整されたサンプル溶液は、当該チューブから採取して検査具に供給される。このサンプル溶液供給具としては、適量のサンプル溶液(試料)を検査具に供給できるもので簡易なものが好ましく、例えば、スポイト、ピペットなどが挙げられるが、特に制限はない。
当該検査具には、本発明に係るモノクローナル抗体を使用したイムノクロマト試験片と
ELISA法検査具が使用できる。当該検査具は、当該抗体を用いることにより、クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫をヒラメ肉などの魚肉から直接、特異的にかつ簡便に検出できる。
ELISA法検査具が使用できる。当該検査具は、当該抗体を用いることにより、クドア・セプテンプンクタータなどのクドア属粘液胞子虫をヒラメ肉などの魚肉から直接、特異的にかつ簡便に検出できる。
(イムノクロマト試験片を使用する当該検査キットの性能)
検体採取具としてネジを用いた。当該ネジをヒラメに直接刺して、引き抜いてヒラメ肉を採取し、サンプル溶液調整具でPBSによるヒラメ肉の懸濁液(サンプル溶液)を調整し、スポイトによりイムノクロマト試験片のサンプルパッドにサンプル溶液を滴下(供給)し、検査した。その結果当該試験片によればクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉にのみ反応する。なお、本試験片を使用する検査キットは、ヒラメの検査にのみ限定されるものでなく、他の魚種の検査にも使用できる。
検体採取具としてネジを用いた。当該ネジをヒラメに直接刺して、引き抜いてヒラメ肉を採取し、サンプル溶液調整具でPBSによるヒラメ肉の懸濁液(サンプル溶液)を調整し、スポイトによりイムノクロマト試験片のサンプルパッドにサンプル溶液を滴下(供給)し、検査した。その結果当該試験片によればクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉にのみ反応する。なお、本試験片を使用する検査キットは、ヒラメの検査にのみ限定されるものでなく、他の魚種の検査にも使用できる。
(ELISA法検査具を使用する当該検査キットの性能)
検体採取具としてネジを用いた。当該ネジをヒラメに直接刺し、ヒラメ肉を採取し、サンプル溶液調整部でPBSによるヒラメ肉の懸濁液を調整して、スポイトにより当該懸濁液を96穴マイクロプレートの各穴へ分注した。その結果、当該検査具によればクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉の吸光度は高い数値となり、本検査キットはヒラメ肉から特異的にクドア・セプテンプンクタータを検出できる。なお、本検査具を使用した検査キットは、ヒラメの検査にのみ限定されるものでなく、他の魚種の検査にも使用できる。
検体採取具としてネジを用いた。当該ネジをヒラメに直接刺し、ヒラメ肉を採取し、サンプル溶液調整部でPBSによるヒラメ肉の懸濁液を調整して、スポイトにより当該懸濁液を96穴マイクロプレートの各穴へ分注した。その結果、当該検査具によればクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉の吸光度は高い数値となり、本検査キットはヒラメ肉から特異的にクドア・セプテンプンクタータを検出できる。なお、本検査具を使用した検査キットは、ヒラメの検査にのみ限定されるものでなく、他の魚種の検査にも使用できる。
本発明を実施した例を実施例1〜6に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(モノクローナル抗体の作製)
本発明に係るモノクローナル抗体を以下の通りの方法で作製した。
工程(1)(抗原タンパク質の調整)
クドア・セプテンプンクタータが感染したヒラメ肉よりパーコール密度勾配遠心にてクドア・セプテンプンクタータ胞子を分離して精製した後、当該胞子をPBSに入れて懸濁し、胞子懸濁溶液を作製した後、当該溶液を−80℃で凍結保存した。以下の3種類の方法によりマウスへ接種するための抗原であるタンパク質(抗原タンパク質)を得た。
(a)凍結融解処理抗原
当該溶液をPBSで希釈し、当該希釈後の溶液を−80℃で凍結した後、25℃で融解をする処理を2回繰り返した。
(b)凍結融解及び可溶化剤処理
当該溶液をPBSで希釈し、当該希釈後の溶液を上記条件で凍結と融解をする処理を2回繰り返した後、界面活性剤(可溶化剤)としてオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(0.1%TritonX−100)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)又はモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルブタン(0.1%Tween20)を加え、室温で1昼夜静置して可溶化した。
(c)凍結融解及び超音波処理
当該溶液をPBSで希釈し、当該希釈後の溶液を上記条件で凍結と融解をする処理を2回繰り返した後、氷で冷却しながら超音波処理を行った。
本発明に係るモノクローナル抗体を以下の通りの方法で作製した。
工程(1)(抗原タンパク質の調整)
クドア・セプテンプンクタータが感染したヒラメ肉よりパーコール密度勾配遠心にてクドア・セプテンプンクタータ胞子を分離して精製した後、当該胞子をPBSに入れて懸濁し、胞子懸濁溶液を作製した後、当該溶液を−80℃で凍結保存した。以下の3種類の方法によりマウスへ接種するための抗原であるタンパク質(抗原タンパク質)を得た。
(a)凍結融解処理抗原
当該溶液をPBSで希釈し、当該希釈後の溶液を−80℃で凍結した後、25℃で融解をする処理を2回繰り返した。
(b)凍結融解及び可溶化剤処理
当該溶液をPBSで希釈し、当該希釈後の溶液を上記条件で凍結と融解をする処理を2回繰り返した後、界面活性剤(可溶化剤)としてオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(0.1%TritonX−100)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)又はモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルブタン(0.1%Tween20)を加え、室温で1昼夜静置して可溶化した。
(c)凍結融解及び超音波処理
当該溶液をPBSで希釈し、当該希釈後の溶液を上記条件で凍結と融解をする処理を2回繰り返した後、氷で冷却しながら超音波処理を行った。
工程(2)(抗体産生細胞の取得)
工程(1)により得られた抗原タンパク質をマウスへ接種した。1群当たり、3匹のBALB/cマウスを準備し、初回接種(免疫)は、1回の接種で、マウス1匹当たり、1×106個のクドア・セプテンプンクタータ胞子から得られる量の当該タンパク質(抗原タンパク質)を、フロイント完全アジュバンド(DifcoLaboratories)にて乳化し、2回目免疫以降は、フロイント不完全アジュバンド(DifcoLaboratories)にて乳化し、合計3回皮下、皮内、筋肉、腹腔又は静脈へ接種した。3回目免疫1週間後にマウスの尾の静脈より採血した血清を取得し、血清中の抗体力価をELISA法(血清抗体力価測定、詳細は段落0056に記載)にて測定し、当該抗体力価が高いマウスを選択した(下記表1参照)。選択したマウスの腹腔内にアジュバンドを使用しないで1×106個のクドア・セプテンプンクタータ胞子から得られる量の当該タンパク質を接種し、その3日後に脾臓(抗体産生細胞)を摘出する。当該抗体産生細胞をRPMI1640培地が入っているシャーレ上でステンレスメッシュを用いてすりつぶし、抗体産生細胞が含まれた細胞懸濁液を得た。
工程(1)により得られた抗原タンパク質をマウスへ接種した。1群当たり、3匹のBALB/cマウスを準備し、初回接種(免疫)は、1回の接種で、マウス1匹当たり、1×106個のクドア・セプテンプンクタータ胞子から得られる量の当該タンパク質(抗原タンパク質)を、フロイント完全アジュバンド(DifcoLaboratories)にて乳化し、2回目免疫以降は、フロイント不完全アジュバンド(DifcoLaboratories)にて乳化し、合計3回皮下、皮内、筋肉、腹腔又は静脈へ接種した。3回目免疫1週間後にマウスの尾の静脈より採血した血清を取得し、血清中の抗体力価をELISA法(血清抗体力価測定、詳細は段落0056に記載)にて測定し、当該抗体力価が高いマウスを選択した(下記表1参照)。選択したマウスの腹腔内にアジュバンドを使用しないで1×106個のクドア・セプテンプンクタータ胞子から得られる量の当該タンパク質を接種し、その3日後に脾臓(抗体産生細胞)を摘出する。当該抗体産生細胞をRPMI1640培地が入っているシャーレ上でステンレスメッシュを用いてすりつぶし、抗体産生細胞が含まれた細胞懸濁液を得た。
(ELISA法による血清中の抗体力価の測定)
パーコール密度勾配遠心で精製し、−80℃で凍結保存したクドア・セプテンプンクタータを準備する。1×106個(クドア・セプテンプンクタータの胞子数)/mLの濃度に調整した胞子懸濁溶液を工程(1)と同一条件で凍結し融解する処理を2回行い、当該溶液を工程(1)と同一の可溶化処理を行った可溶化胞子液を1×103個/穴になるように96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。その後可溶化胞子液を除去してから、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。当該静置後ブロッキング液を除去して、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、クドア・セプテンプンクタータを接種したマウスより得られた血清を500倍希釈し、そこから5倍段階希釈を行い、マウス血清希釈液100μLを各穴へ加え、室温で1時間静置した。室温での静置後マウス血清希釈液を除去してから、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Kirkegaard&PerryLaboratories)を0.5%ゼラチン含有PBSで2500倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのo−フェニレンジアミン二塩基酸塩(OPD)基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。当該吸光度により工程(1)の3種類の処理による抗原タンパク質の抗体力価の比較を行った。
パーコール密度勾配遠心で精製し、−80℃で凍結保存したクドア・セプテンプンクタータを準備する。1×106個(クドア・セプテンプンクタータの胞子数)/mLの濃度に調整した胞子懸濁溶液を工程(1)と同一条件で凍結し融解する処理を2回行い、当該溶液を工程(1)と同一の可溶化処理を行った可溶化胞子液を1×103個/穴になるように96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。その後可溶化胞子液を除去してから、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。当該静置後ブロッキング液を除去して、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、クドア・セプテンプンクタータを接種したマウスより得られた血清を500倍希釈し、そこから5倍段階希釈を行い、マウス血清希釈液100μLを各穴へ加え、室温で1時間静置した。室温での静置後マウス血清希釈液を除去してから、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Kirkegaard&PerryLaboratories)を0.5%ゼラチン含有PBSで2500倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのo−フェニレンジアミン二塩基酸塩(OPD)基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。当該吸光度により工程(1)の3種類の処理による抗原タンパク質の抗体力価の比較を行った。
クドア・セプテンプンクタータ0.5%SDS可溶化抗原に対する3種類の処理による抗原タンパク質を免疫したマウスから採取した血清中の抗体産生細胞が産生する抗体の抗体力価(血清希釈倍率500倍のときのみのデータ)を表1に示す。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表1によると、(a)凍結融解処理抗原接種マウス、(b)凍結融解及び0.5%SDS可溶化処理抗原接種マウス、(c)凍結融解及び超音波処理抗原接種マウスいずれもバックグラウンドである0.5%ゼラチンの吸光度に対してクドア・セプテンプンクタータ抗原の吸光度が大きく上昇しており、当該抗原に強く反応していることから、3種類の抗原((a)凍結融解処理抗原、(b)凍結融解及び0.5%SDS可溶化処理抗原、(c)凍結融解及び超音波処理抗原)を接種したマウスについて、抗体力価が上昇し、3種類の抗原を基に作製される抗体が、クドア・セプテンプンクタータの0.5%SDS可溶化抗原(胞子内部の細胞に由来するタンパク質を含む。)に反応した。これにより工程(1)の凍結・融解処理等により得られた抗原タンパク質から作製されるモノクローナル抗体の中には、胞子内部の細胞に由来する抗原タンパク質に反応する抗体が存在する。したがって、本発明に係るモノクローナル抗体は、目的である胞子を形成していないクドア属粘液胞子虫を検出できる。特に凍結し融解する処理に加えて可溶化処理をした抗原(表1の(b))は抗体力価の上昇が最も大きく、次いで凍結・融解処理後に超音波による処理をした抗原(表1の(c))、次いで凍結・融解処理のみの抗原(表1の(a))の順となっている。したがって、工程(1)において、クドア・セプテンプンクタータ胞子の凍結・融解処理に加えて、可溶化処理や超音波を照射する処理をすることによって、更にマウスの抗体力価を上昇させる効果がある。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表1によると、(a)凍結融解処理抗原接種マウス、(b)凍結融解及び0.5%SDS可溶化処理抗原接種マウス、(c)凍結融解及び超音波処理抗原接種マウスいずれもバックグラウンドである0.5%ゼラチンの吸光度に対してクドア・セプテンプンクタータ抗原の吸光度が大きく上昇しており、当該抗原に強く反応していることから、3種類の抗原((a)凍結融解処理抗原、(b)凍結融解及び0.5%SDS可溶化処理抗原、(c)凍結融解及び超音波処理抗原)を接種したマウスについて、抗体力価が上昇し、3種類の抗原を基に作製される抗体が、クドア・セプテンプンクタータの0.5%SDS可溶化抗原(胞子内部の細胞に由来するタンパク質を含む。)に反応した。これにより工程(1)の凍結・融解処理等により得られた抗原タンパク質から作製されるモノクローナル抗体の中には、胞子内部の細胞に由来する抗原タンパク質に反応する抗体が存在する。したがって、本発明に係るモノクローナル抗体は、目的である胞子を形成していないクドア属粘液胞子虫を検出できる。特に凍結し融解する処理に加えて可溶化処理をした抗原(表1の(b))は抗体力価の上昇が最も大きく、次いで凍結・融解処理後に超音波による処理をした抗原(表1の(c))、次いで凍結・融解処理のみの抗原(表1の(a))の順となっている。したがって、工程(1)において、クドア・セプテンプンクタータ胞子の凍結・融解処理に加えて、可溶化処理や超音波を照射する処理をすることによって、更にマウスの抗体力価を上昇させる効果がある。
工程(3)(細胞融合工程)
上記工程(1)の(a)の抗原を使用して得られた抗体産生細胞を含む細胞懸濁液およびミエローマ細胞(P3X63Ag8u.1)をそれぞれウシ胎児血清(以下「FBS」という。)不含RPMI1640培地(Gibco)で2回遠心洗浄し(1200rpm、5分、室温)、最終的に複数の抗体産生細胞を含む細胞懸濁液と複数の骨髄腫細胞を1本の丸底チューブへまとめた。当該抗体産生細胞の当該細胞懸濁液と当該骨髄細胞の混合物を遠心分離して(1200rpm、5分、室温)、上澄み液を除去し、細胞塊をタッピングでほぐした後、細胞融合用試薬の50%ポリエチレングリコール(PEG)6000を含有する培地(RPMI1640培地(FBS不含))2mLを細胞が入っているチューブへ1分間かけて加え、複数の抗体産生細胞と複数のミエローマ細胞を細胞融合させ複数の不死化抗体産生細胞Aを得た。その後、RPMI1640培地(FBS不含)10mLを当該チューブへ3分間かけて加えた。
上記工程(1)の(a)の抗原を使用して得られた抗体産生細胞を含む細胞懸濁液およびミエローマ細胞(P3X63Ag8u.1)をそれぞれウシ胎児血清(以下「FBS」という。)不含RPMI1640培地(Gibco)で2回遠心洗浄し(1200rpm、5分、室温)、最終的に複数の抗体産生細胞を含む細胞懸濁液と複数の骨髄腫細胞を1本の丸底チューブへまとめた。当該抗体産生細胞の当該細胞懸濁液と当該骨髄細胞の混合物を遠心分離して(1200rpm、5分、室温)、上澄み液を除去し、細胞塊をタッピングでほぐした後、細胞融合用試薬の50%ポリエチレングリコール(PEG)6000を含有する培地(RPMI1640培地(FBS不含))2mLを細胞が入っているチューブへ1分間かけて加え、複数の抗体産生細胞と複数のミエローマ細胞を細胞融合させ複数の不死化抗体産生細胞Aを得た。その後、RPMI1640培地(FBS不含)10mLを当該チューブへ3分間かけて加えた。
工程(4)(選別(スクリーニング)工程)
その後、10%FBS含有HAT培地(Sigma−Aldrich)を100mL加え、96穴培養プレートに200μLずつ分注し、37℃、5%CO2存在下で1週間培養した。培養開始3日後に、10%FBS含有HAT培地で培地交換を行った。当該培地交換を行った培地(不死化抗体産生細胞A)を、1週間培養した後に培養プレートの各穴(以下「穴」という)より培養上清100μLを回収し、ELISA法(詳細は段落0062)を用いて、以下の2種類の方法により選別し、次の工程(クローニング工程)へ進む穴(不死化抗体産生細胞B又はC)を選択した。
(ア)クドア・セプテンプンクタータのみを対照としたスクリーニング工程
(イ)クドア・セプテンプンクタータ、クドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスを対照にしたスクリーニング工程
2種類のスクリーニングの結果により(下記表2,3にデータを示す)、(ア)については、クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い穴(穴中の不死化抗体産生細胞が産生する抗体の抗体力価が高い穴)、(イ)については、クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い穴で、なおかつクドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスに反応性が低い穴を選択した。
その後、10%FBS含有HAT培地(Sigma−Aldrich)を100mL加え、96穴培養プレートに200μLずつ分注し、37℃、5%CO2存在下で1週間培養した。培養開始3日後に、10%FBS含有HAT培地で培地交換を行った。当該培地交換を行った培地(不死化抗体産生細胞A)を、1週間培養した後に培養プレートの各穴(以下「穴」という)より培養上清100μLを回収し、ELISA法(詳細は段落0062)を用いて、以下の2種類の方法により選別し、次の工程(クローニング工程)へ進む穴(不死化抗体産生細胞B又はC)を選択した。
(ア)クドア・セプテンプンクタータのみを対照としたスクリーニング工程
(イ)クドア・セプテンプンクタータ、クドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスを対照にしたスクリーニング工程
2種類のスクリーニングの結果により(下記表2,3にデータを示す)、(ア)については、クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い穴(穴中の不死化抗体産生細胞が産生する抗体の抗体力価が高い穴)、(イ)については、クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い穴で、なおかつクドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスに反応性が低い穴を選択した。
(ア)クドア・セプテンプンクタータのみを対照としたスクリーニング工程のデータ
上記数値は490nmの吸光度数値である。培養プレートの約600穴のうち、クドア・セプテンプンクタータに高い反応性を示した上記表2に記載の5穴の細胞(不死化抗体産生細胞B)を選別した。表2より本工程で得られた5種類の不死化抗体産生細胞Bは、クドア・セプテンプンクタータ胞子の内部構造に由来するタンパク質を含む、クドア・セプテンプンクタータ胞子に由来するタンパク質に高い反応性を示している。
上記数値は490nmの吸光度数値である。培養プレートの約600穴のうち、クドア・セプテンプンクタータに高い反応性を示した上記表2に記載の5穴の細胞(不死化抗体産生細胞B)を選別した。表2より本工程で得られた5種類の不死化抗体産生細胞Bは、クドア・セプテンプンクタータ胞子の内部構造に由来するタンパク質を含む、クドア・セプテンプンクタータ胞子に由来するタンパク質に高い反応性を示している。
(イ)クドア・セプテンプンクタータ、クドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスを対照したスクリーニング工程のデータ
上記数値は490nmの吸光度数値である。クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い穴で、なおかつクドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスに反応性が低い穴の細胞(不死化抗体産生細胞C)として、上記表3に記載の5穴の細胞を選別した。
上記数値は490nmの吸光度数値である。クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い穴で、なおかつクドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスに反応性が低い穴の細胞(不死化抗体産生細胞C)として、上記表3に記載の5穴の細胞を選別した。
(ELISA法による不死化抗体産生細胞のスクリーニング)
パーコール密度勾配遠心で精製し、−80℃で凍結保存したクドア・セプテンプンクタータを準備した。1×106個/mLの濃度に調整した胞子懸濁溶液を工程(1)と同一条件で凍結し融解する処理を2回行い、当該溶液を工程(1)と同一の可溶化処理を行った可溶化胞子液を1×10個/穴になるように96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。可溶化胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、細胞培養プレートの培養液(培養上清)から100μL採取し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。当該静置後培養上清を除去してから、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Kirkegaard&PerryLaboratories)を0.5%ゼラチン含有PBSで2500倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。その結果を表2と表3に示す。
パーコール密度勾配遠心で精製し、−80℃で凍結保存したクドア・セプテンプンクタータを準備した。1×106個/mLの濃度に調整した胞子懸濁溶液を工程(1)と同一条件で凍結し融解する処理を2回行い、当該溶液を工程(1)と同一の可溶化処理を行った可溶化胞子液を1×10個/穴になるように96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。可溶化胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、細胞培養プレートの培養液(培養上清)から100μL採取し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。当該静置後培養上清を除去してから、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Kirkegaard&PerryLaboratories)を0.5%ゼラチン含有PBSで2500倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。その結果を表2と表3に示す。
培養プレートの約600穴(約600の不死化抗体産生細胞B)のうち、クドア・セプテンプンクタータに高い反応性を示した不死化抗体産生細胞B(Ks−1A1株、Ks−2D12株、Ks−4A11株、Ks−5H5株、Ks−5E7株)を選別した。表2より本工程で得られた5種類の不死化抗体産生細胞Bは、クドア・セプテンプンクタータ胞子及び胞子の内部構造に由来するタンパク質に対し高い反応性を示している。表3では、クドア・セプテンプンクタータに対する反応性が高い不死化抗体産生細胞Cで、なおかつクドア・シルシテス、クドア・ラテオラブラシスに反応性が低い不死化抗体産生細胞Cとして、5種類の細胞(Ks−1B11株、Ks−2A2株、Ks−3C5株、Ks−4B1株、Ks−4B1株、Ks−6F9株)を選別した。例えば、Ks−3C5株の場合は、表3によれば、クドア・セプテンプンクタータの0.5%SDS可溶化抗原に対する490nmの吸光度数値は0.793であるのに対し、クドア・シルシテスの当該抗原の当該数値は0.050であり、クドア・ラテオラブラシスの当該抗原の当該数値は0.046であり、吸光度数値の高い抗原への反応性は高く、特異的であり、吸光度数値の低い抗原への反応性は低いことから、不死化抗体産生細胞C(Ks−3C5株)はクドア・シルシテストとドア・ラテオラブラシスへの反応性は低く、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応する。したがって、前記(イ)のスクリーニング工程により、ヒラメ肉から食中毒を起こすクドア・セプテンプンクタータのみを特異的に検出できる不死化抗体産生細胞Cが選別された。
工程(5)(クローニング工程)
上記工程(4)で選択した穴で成育している不死化抗体産生細胞B又はCを、ピペットを用いて採取しPBSに投入して懸濁した後、血球計算盤で細胞数を計測した。その後、1個/100μLになるように10%FBS含有RPMI1640培地で希釈し、100μLずつ新しい細胞培養プレートへ分注した。37℃、0.5%CO2存在下で2週間程度培養し、その培養上清を用いてELISA法試験を行った。この作業を4回繰り返し行い、不死化抗体産生細胞B及びCを単一細胞化し、当該細胞Bについては5株のハイブリドーマ株を得た。また、当該細胞Cについては、最終的に3株(Ks−3C5株、Ks−6F9株、Ks−1B11株)のハイブリドーマ株を樹立した。表4は、当該ハイブリドーマ株が産出するモノクローナル抗体が、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応し、クドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスに反応しないことを示す。
上記工程(4)で選択した穴で成育している不死化抗体産生細胞B又はCを、ピペットを用いて採取しPBSに投入して懸濁した後、血球計算盤で細胞数を計測した。その後、1個/100μLになるように10%FBS含有RPMI1640培地で希釈し、100μLずつ新しい細胞培養プレートへ分注した。37℃、0.5%CO2存在下で2週間程度培養し、その培養上清を用いてELISA法試験を行った。この作業を4回繰り返し行い、不死化抗体産生細胞B及びCを単一細胞化し、当該細胞Bについては5株のハイブリドーマ株を得た。また、当該細胞Cについては、最終的に3株(Ks−3C5株、Ks−6F9株、Ks−1B11株)のハイブリドーマ株を樹立した。表4は、当該ハイブリドーマ株が産出するモノクローナル抗体が、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応し、クドア・シルシテスとクドア・ラテオラブラシスに反応しないことを示す。
スクリーニング、クローニング後に取得された3株のハイブリドーマ株(クローン(不死化抗体産生細胞Cのクローン))の産生するモノクローナル抗体の抗体力価を表4に示す。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表4は、3株のハイブリドーマ株(クローン(不死化抗体産生細胞Cのクローン))の産生する抗体が、食中毒を起こすクドア・セプテンプンクタータに反応性が高く、ヒラメに寄生して、人への病原性のないクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスに反応性が低いことを示している。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表4は、3株のハイブリドーマ株(クローン(不死化抗体産生細胞Cのクローン))の産生する抗体が、食中毒を起こすクドア・セプテンプンクタータに反応性が高く、ヒラメに寄生して、人への病原性のないクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスに反応性が低いことを示している。
本発明に係るもモノクローナル抗体の中からからイムノクロマト法(イムノクロマト試験片)に使用するモノクローナル抗体の組み合わせ(固相化抗体と標識抗体の組み合わせ)をサンドイッチELISA法より選択するとともに、選択された当該抗体がクドア・セプテンプンクタータ胞子内部に由来するタンパク質を認識し結合することを確認した。
(精製モノクローナル抗体の調整)
標識抗体を作製するために、本発明に係るモノクローナル抗体を次の(α)〜(γ)の処理により精製した。
(α)腹水の採取
樹立したハイブリドーマ株を10%FBS含有I1640培地で培養し、1×106
細胞/mLに調整した細胞懸濁液を準備した。各ハイブリドーマ株につき3匹ずつ細胞投与し、2週間前に0.5mLのプリスタン(和光純薬)を腹腔内に接種したBALB/cマウスを準備し、上記調整細胞を1mLずつ腹腔内に接種した。接種1週間後〜2週間後の間に、定期的に腹部に貯留した腹水をシリンジにより採取した。マウス1匹当たり、5mL程度の腹水を採取できた。採取した腹水は、遠心分離(3000rpm、15分、4℃)を行い、上清を−80℃で凍結保存した。
(β)腹水の精製
上記で採取した腹水を、PBSで2倍希釈し、ProteinGを利用したアフィニティーカラムクロマトグラフィーによりモノクローナル抗体の精製を行った。ProteinGカラム(GEヘルスケア)をベット体積の10倍容量のPBSで洗浄し、希釈した腹水を加えた。その後、ベット体積の20倍容量のPBSでカラムを洗浄した後、ベット体積の5倍容量の0.1Mグリシン(pH2.5)を加え、カラムに吸着したIgG画分を溶出した。溶出後、1Mトリス緩衝液(pH9.0)を加え、溶出溶液を中和した。その後、PBSにて透析を行い、溶媒をPBSに置換した。
(γ)モノクローナル抗体の濃縮
精製溶液を50,000の分画分子量の限外濾過装置(メルクミリポア)により5mg/mLになるように濃縮した後、−80℃で凍結保存した。
標識抗体を作製するために、本発明に係るモノクローナル抗体を次の(α)〜(γ)の処理により精製した。
(α)腹水の採取
樹立したハイブリドーマ株を10%FBS含有I1640培地で培養し、1×106
細胞/mLに調整した細胞懸濁液を準備した。各ハイブリドーマ株につき3匹ずつ細胞投与し、2週間前に0.5mLのプリスタン(和光純薬)を腹腔内に接種したBALB/cマウスを準備し、上記調整細胞を1mLずつ腹腔内に接種した。接種1週間後〜2週間後の間に、定期的に腹部に貯留した腹水をシリンジにより採取した。マウス1匹当たり、5mL程度の腹水を採取できた。採取した腹水は、遠心分離(3000rpm、15分、4℃)を行い、上清を−80℃で凍結保存した。
(β)腹水の精製
上記で採取した腹水を、PBSで2倍希釈し、ProteinGを利用したアフィニティーカラムクロマトグラフィーによりモノクローナル抗体の精製を行った。ProteinGカラム(GEヘルスケア)をベット体積の10倍容量のPBSで洗浄し、希釈した腹水を加えた。その後、ベット体積の20倍容量のPBSでカラムを洗浄した後、ベット体積の5倍容量の0.1Mグリシン(pH2.5)を加え、カラムに吸着したIgG画分を溶出した。溶出後、1Mトリス緩衝液(pH9.0)を加え、溶出溶液を中和した。その後、PBSにて透析を行い、溶媒をPBSに置換した。
(γ)モノクローナル抗体の濃縮
精製溶液を50,000の分画分子量の限外濾過装置(メルクミリポア)により5mg/mLになるように濃縮した後、−80℃で凍結保存した。
(精製モノクローナル抗体のペルオキシダーゼ標識)
上記(α)〜(γ)の処理により精製したモノクローナル抗体を使用してサンドイッチELISAに使用する標識抗体を作製した。当該精製したモノクローナル抗体のペルオキシダーゼ標識は、PeroxidaseLabelingKit−NH2(同仁化学)を用いて、作業を行った。最終的には、1mg/mLのペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体を得た後、−80℃で凍結保存した。
上記(α)〜(γ)の処理により精製したモノクローナル抗体を使用してサンドイッチELISAに使用する標識抗体を作製した。当該精製したモノクローナル抗体のペルオキシダーゼ標識は、PeroxidaseLabelingKit−NH2(同仁化学)を用いて、作業を行った。最終的には、1mg/mLのペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体を得た後、−80℃で凍結保存した。
(イムノクロマト法(イムノクロマト試験片)に使用するモノクローナル抗体の選別)
イムノクロマト法を構築するためには、2種類のモノクローナル抗体で抗原タンパク質をサンドイッチする必要があるため、不死化抗体産生細胞Cの産生す抗体の中から抗原タンパク質をサンドイッチするのに適している抗体の組み合わせをサンドイッチELISA法(詳細は段落0072)により検討した(表5参照)。その結果、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせと、Ks−1B11とKs−1B11の組み合わせに絞られた。そのため、次にシルシテスとラテオラブラシスとの交差反応性を検討した(表6参照)。その結果、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせが、交差性が低かったため、イムノクロマト法へ利用する抗体をこの組合せに決定した。
イムノクロマト法を構築するためには、2種類のモノクローナル抗体で抗原タンパク質をサンドイッチする必要があるため、不死化抗体産生細胞Cの産生す抗体の中から抗原タンパク質をサンドイッチするのに適している抗体の組み合わせをサンドイッチELISA法(詳細は段落0072)により検討した(表5参照)。その結果、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせと、Ks−1B11とKs−1B11の組み合わせに絞られた。そのため、次にシルシテスとラテオラブラシスとの交差反応性を検討した(表6参照)。その結果、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせが、交差性が低かったため、イムノクロマト法へ利用する抗体をこの組合せに決定した。
サンドイッチELISA法によるイムノクロマト法に適したクローンの組み合わせの検討結果を表5に示す(抗原はクドア・セプテンプンクタータ)。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表5は、選別した3株のクローン(モノクローナル抗体を産生する不死化抗体産生細胞Cのクローン)の組み合わせのうち、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせの吸光度数値が3.873と3.903であり、Ks−1B11とKs−1B11の組み合わせの吸光度数値が3.614であり、これら組み合わせの吸光度即ち抗体力価(抗原(クドア・セプテンプンクタータ)への反応性)が他の組み合わせ(例えば、Ks−1B11とKs−3C5の組み合わせの吸光度は0.601)に比べ非常に高いことを示している。したがって、これらの抗体の組み合わせは、イムノクロマト法(イムノクロマト試験片)による抗原の特異的な検出に使用することができる。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表5は、選別した3株のクローン(モノクローナル抗体を産生する不死化抗体産生細胞Cのクローン)の組み合わせのうち、Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせの吸光度数値が3.873と3.903であり、Ks−1B11とKs−1B11の組み合わせの吸光度数値が3.614であり、これら組み合わせの吸光度即ち抗体力価(抗原(クドア・セプテンプンクタータ)への反応性)が他の組み合わせ(例えば、Ks−1B11とKs−3C5の組み合わせの吸光度は0.601)に比べ非常に高いことを示している。したがって、これらの抗体の組み合わせは、イムノクロマト法(イムノクロマト試験片)による抗原の特異的な検出に使用することができる。
Ks−3C5とKs−6F9の組み合わせでのサンドイッチELISA法の検出感度を表6に示す(抗原はクドア・セプテンプンクタータなど)。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表6の結果よりKs−3C5とKs−6F9の組み合わせでのサンドイッチELISA法の検出感度は、クドア・セプテンプンクタータの可溶化胞子液であれば8個以上の胞子でクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できる。ホルマリン胞子液であれば40個で以上の胞子でクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できる。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表6の結果よりKs−3C5とKs−6F9の組み合わせでのサンドイッチELISA法の検出感度は、クドア・セプテンプンクタータの可溶化胞子液であれば8個以上の胞子でクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できる。ホルマリン胞子液であれば40個で以上の胞子でクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できる。
(サンドイッチELISA法によるイムノクロマト法に適した抗体の絞り込み)
5mg/mLの精製モノクローナル抗体をPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μmL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、1×106/mLの濃度に調整した胞子液を2回凍結融解し、前述の可溶化処理を行った可溶化胞子液、もしくはホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×103個/穴になるように96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、室温で1時間静置した。胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体を0.55ゼラチン含有PBSで200倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。
5mg/mLの精製モノクローナル抗体をPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μmL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、1×106/mLの濃度に調整した胞子液を2回凍結融解し、前述の可溶化処理を行った可溶化胞子液、もしくはホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×103個/穴になるように96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、室温で1時間静置した。胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体を0.55ゼラチン含有PBSで200倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。
(イムノクロマト法へ使用する抗体が結合する抗原タンパク質の確認)
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9の抗原認識部位を決定するため、免疫染色法とウエスタンブロット法を行った(詳細はそれぞれ段落0074と0075)。この結果から、K−3C5とKs−6F9は、ともにクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質に結合し(図1参照)、分子量25,000〜37,000の範囲(28,000付近)のタンパク質を認識している抗体であることを確認した(図2参照)。
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9の抗原認識部位を決定するため、免疫染色法とウエスタンブロット法を行った(詳細はそれぞれ段落0074と0075)。この結果から、K−3C5とKs−6F9は、ともにクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質に結合し(図1参照)、分子量25,000〜37,000の範囲(28,000付近)のタンパク質を認識している抗体であることを確認した(図2参照)。
(免疫染色法による抗体の抗原への結合状態の観察)
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9のクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質への結合の状態を以下の免疫染色法(抗原抗体反応(当該結合状態)を可視化するための発色法)により観察した。1×106個/mLのホルマリン含有クドア・セプテンプンクタータを10μL使用した。PBSで2回遠心洗浄し(6,000rpm、3分、室温)、上清を除去する。沈査を10μg/mLに希釈した精製モノクローナル抗体100μLで懸濁し、30分、室温で静置した。その後、PBSで2回遠心洗浄し(6,000rpm、3分、室温)、FITC標識された抗マウスIgG抗体(SantaCruzBiotechnology,Inc)をPBSで50倍希釈し、30分、室温で静置した。その後、PBSで2回遠心洗浄し(6,000rpm、3分、室温)、沈査を20μLのPBSで懸濁し、この懸濁液を蛍光顕微鏡で観察した。図1の位相差顕微鏡像とFITC蛍光染色像に示される様にモノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9が、クドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質に結合していることが判った。
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9のクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質への結合の状態を以下の免疫染色法(抗原抗体反応(当該結合状態)を可視化するための発色法)により観察した。1×106個/mLのホルマリン含有クドア・セプテンプンクタータを10μL使用した。PBSで2回遠心洗浄し(6,000rpm、3分、室温)、上清を除去する。沈査を10μg/mLに希釈した精製モノクローナル抗体100μLで懸濁し、30分、室温で静置した。その後、PBSで2回遠心洗浄し(6,000rpm、3分、室温)、FITC標識された抗マウスIgG抗体(SantaCruzBiotechnology,Inc)をPBSで50倍希釈し、30分、室温で静置した。その後、PBSで2回遠心洗浄し(6,000rpm、3分、室温)、沈査を20μLのPBSで懸濁し、この懸濁液を蛍光顕微鏡で観察した。図1の位相差顕微鏡像とFITC蛍光染色像に示される様にモノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9が、クドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質に結合していることが判った。
(ウエスタンブロット法による抗体が認識する抗原タンパク質の分子量の同定)
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9が認識するクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質の分子量をウエスタンブロットにて同定した。1×106個/mLのホルマリン含有クドア・セプテンプンクタータを10μL使用した。胞子液に、等量の10%2−メルカプトエタノール含有SDS−PAGEサンプルバッファーを加えた後、100℃で10分間加熱した。加熱した胞子液を、ポリアクリルアミドゲルであるSuperSep10−20%(和光純薬)を用いて電気泳動した後、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」という。)膜へ転写した。転写後、PVDF膜は、1%スキムミルク含有PBSでブロッキング作業を行った。ブロッキング後、0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄し、ブロッキング液で10μg/mLに希釈したペルオキシダーゼ標識したモノクローナル抗体を加え、室温で60分間静置した。その後、0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄し、発色基質であるEzWestBlue(アトー株式会社)を2mL加え、1分間反応させた。その後、大量の蒸留水で洗浄後、出現したバンドを確認した。出現したバンドの位置からマーカーのタンパク質の分子量を同定した結果、図2に示されるようにモノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9は、ともに分子量25,000〜37,000の範囲(28,000付近)のタンパク質を認識した。
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9が認識するクドア・セプテンプンクタータの胞子内部のタンパク質の分子量をウエスタンブロットにて同定した。1×106個/mLのホルマリン含有クドア・セプテンプンクタータを10μL使用した。胞子液に、等量の10%2−メルカプトエタノール含有SDS−PAGEサンプルバッファーを加えた後、100℃で10分間加熱した。加熱した胞子液を、ポリアクリルアミドゲルであるSuperSep10−20%(和光純薬)を用いて電気泳動した後、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」という。)膜へ転写した。転写後、PVDF膜は、1%スキムミルク含有PBSでブロッキング作業を行った。ブロッキング後、0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄し、ブロッキング液で10μg/mLに希釈したペルオキシダーゼ標識したモノクローナル抗体を加え、室温で60分間静置した。その後、0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄し、発色基質であるEzWestBlue(アトー株式会社)を2mL加え、1分間反応させた。その後、大量の蒸留水で洗浄後、出現したバンドを確認した。出現したバンドの位置からマーカーのタンパク質の分子量を同定した結果、図2に示されるようにモノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9は、ともに分子量25,000〜37,000の範囲(28,000付近)のタンパク質を認識した。
(Ks−3C5株、Ks−6F9株のサブクラスの確認)
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9の特性であるサブクラスを調べるために、IsoStripMouseMonoclonalAntibodyIsotypingKit(RocheLifeScience)を用いて試験した。その結果、両方の抗体ともIgG1のサブクラスに属し、軽鎖がκ鎖である事を同定した。
モノクローナル抗体K−3C5とKs−6F9の特性であるサブクラスを調べるために、IsoStripMouseMonoclonalAntibodyIsotypingKit(RocheLifeScience)を用いて試験した。その結果、両方の抗体ともIgG1のサブクラスに属し、軽鎖がκ鎖である事を同定した。
(ハイブリドーマの寄託)
モノクローナル抗体Ks−3C5を産生するハイブリドーマは、2016年1月15日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号「NITEP−02181」で寄託された。モノクローナル抗体Ks−6F9を産生するハイブリドーマは、2016年1月15日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号「NITEP−02182」で寄託された。
モノクローナル抗体Ks−3C5を産生するハイブリドーマは、2016年1月15日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号「NITEP−02181」で寄託された。モノクローナル抗体Ks−6F9を産生するハイブリドーマは、2016年1月15日付けで独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに受託番号「NITEP−02182」で寄託された。
検査キットを構成する検査具の作製と作製した検査具の性能を評価した。
(イムノクロマト試験片の作製とクドア・セプテンプンクタータの検出の確認)
(A)抗体固相化メンブレンの作製
塗布に使用するモノクローナル抗体Ks−6F9の濃度を1mg/mLへ5mMリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し、塗布機を用いてHi−FlowPlusHF135ニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア)へ1μL/cmの条件で塗布した。その後、60℃で30分間静置し、乾燥させた。乾燥後、0.5%含有50mMホウ酸緩衝液(pH8.5)に浸した後、室温で一昼夜乾燥させた。当該乾燥させた後、低湿保管庫で当該メンブレンを保存した。
(A)抗体固相化メンブレンの作製
塗布に使用するモノクローナル抗体Ks−6F9の濃度を1mg/mLへ5mMリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し、塗布機を用いてHi−FlowPlusHF135ニトロセルロースメンブレン(メルクミリポア)へ1μL/cmの条件で塗布した。その後、60℃で30分間静置し、乾燥させた。乾燥後、0.5%含有50mMホウ酸緩衝液(pH8.5)に浸した後、室温で一昼夜乾燥させた。当該乾燥させた後、低湿保管庫で当該メンブレンを保存した。
(B)コンジュゲートパッドの作製
金コロイドに結合させるモノクローナル抗体Ks−3C5を100μg/mLへ純水で希釈し、10mLの40nmの金コロイド溶液(BBISolutions)へ加え、室温で30分間静置した。その後、20mL1%ウシ血清アルブミン含有トリス緩衝液(pH8.0)にて2回遠心洗浄後(10,000rpm、4℃で15分間)、上清を除去し、沈査を2mLの1%ウシ血清アルブミン含有トリス緩衝液(pH8.0)にて懸濁し、4℃で冷蔵保存した。冷蔵保存後に1mLの量の、抗体が結合した金コロイド溶液を10mm×150mmのGlassfiberconjugatepad(メルクミリポア)へ塗布し、真空低温乾燥器を用いて60℃で30分間当該Glassfiberconjugatepadを乾燥した後、当該コンジュゲートパッドを低湿保管庫で保存した。
金コロイドに結合させるモノクローナル抗体Ks−3C5を100μg/mLへ純水で希釈し、10mLの40nmの金コロイド溶液(BBISolutions)へ加え、室温で30分間静置した。その後、20mL1%ウシ血清アルブミン含有トリス緩衝液(pH8.0)にて2回遠心洗浄後(10,000rpm、4℃で15分間)、上清を除去し、沈査を2mLの1%ウシ血清アルブミン含有トリス緩衝液(pH8.0)にて懸濁し、4℃で冷蔵保存した。冷蔵保存後に1mLの量の、抗体が結合した金コロイド溶液を10mm×150mmのGlassfiberconjugatepad(メルクミリポア)へ塗布し、真空低温乾燥器を用いて60℃で30分間当該Glassfiberconjugatepadを乾燥した後、当該コンジュゲートパッドを低湿保管庫で保存した。
(C)各部材の積層(貼り合わせ)工程
上記で作製した抗体固相化メンブレン、コンジュゲートパッド、サンプルパッドとして、吸収パッドとしてCellulosefibersamplepad(メルクミリポア)、バッキングシート(Lohmann)を準備した。バッキングシートの各部材の貼り付け位置に、抗体固相化メンブレン、吸収パッド、コンジュゲートパッド、サンプルパッドの順に各部材が2mmずつ重なるように貼り合わせた。
上記で作製した抗体固相化メンブレン、コンジュゲートパッド、サンプルパッドとして、吸収パッドとしてCellulosefibersamplepad(メルクミリポア)、バッキングシート(Lohmann)を準備した。バッキングシートの各部材の貼り付け位置に、抗体固相化メンブレン、吸収パッド、コンジュゲートパッド、サンプルパッドの順に各部材が2mmずつ重なるように貼り合わせた。
(D)裁断工程
部材を張り合わせたバッキングシートを裁断機により5mm幅に切断し、低湿保管庫で保存した。なお、この工程でイムノクロマト試験片のサンプルパッド側の端部の形状と吸液パッド側の端部の形状を異なるものにするために、吸液側端部を試料の流れの方向に対して斜めにカットすることができる。
部材を張り合わせたバッキングシートを裁断機により5mm幅に切断し、低湿保管庫で保存した。なお、この工程でイムノクロマト試験片のサンプルパッド側の端部の形状と吸液パッド側の端部の形状を異なるものにするために、吸液側端部を試料の流れの方向に対して斜めにカットすることができる。
(検出感度の定性的評価)
ホルマリン含有PBSで懸濁されただけのクドア・セプテンプンクタータホルマリン胞子溶液を5×104/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、それから5倍段階希釈の行い試験サンプルを得た。その後、100μLの希釈胞子液を作製したイムノクロマト試験片に滴下し、イムノクロマト試験片の検出感度の定性的評価をした。
ホルマリン含有PBSで懸濁されただけのクドア・セプテンプンクタータホルマリン胞子溶液を5×104/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、それから5倍段階希釈の行い試験サンプルを得た。その後、100μLの希釈胞子液を作製したイムノクロマト試験片に滴下し、イムノクロマト試験片の検出感度の定性的評価をした。
イムノクロマト試験片のクドア・セプテンプンクタータの検出感度を表7に示す。
上記表7の結果より、胞子数5,000個程度が検出感度であることが判明した。
上記表7の結果より、胞子数5,000個程度が検出感度であることが判明した。
(交差性の定性的評価)
クドア・セプテンプンクタータ胞子をホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×104/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、100μLの希釈胞子液を作製したイムノクロマト試験片に滴下し、Ks−6F9抗体とKs−3C5抗体を塗布したイムノクロマト試験片の交差性を定性的に評価した。対象として、ヒラメ肉1gを1mLのPBSに加え、フィンガーマッシャー(ザルスタット)でホモジナイズし、同様に反応性の有無を評価した。
クドア・セプテンプンクタータ胞子をホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×104/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、100μLの希釈胞子液を作製したイムノクロマト試験片に滴下し、Ks−6F9抗体とKs−3C5抗体を塗布したイムノクロマト試験片の交差性を定性的に評価した。対象として、ヒラメ肉1gを1mLのPBSに加え、フィンガーマッシャー(ザルスタット)でホモジナイズし、同様に反応性の有無を評価した。
Ks−6F9抗体とKs−3C5抗体を塗布したイムノクロマト試験片による交差性を表8に示す。
上記表8において、上記表8に記載の各検体の当該懸濁液を滴下した当該イムノクロマト試験片の当該メンブレン上のテストラインが発色した時(当該抗体が抗原と反応したことを示す。)を「+」とし、発色しなかった時を「−」とした。上記表8の結果より、当該試験片に使用されるKs−6F9抗体とKs−3C5抗体の組み合わせは、ヒラメに寄生するクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスに反応せず、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応することが認められた。これにより、当該モノクローナル抗体を使用したイムノクロマト試験片を使用することにより、クドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できることができることが確認できた。また、本イムノクロマト試験片をヒラメ以外魚類のクドア属粘液胞子虫の検出に使用することも、特に制限はない。
上記表8において、上記表8に記載の各検体の当該懸濁液を滴下した当該イムノクロマト試験片の当該メンブレン上のテストラインが発色した時(当該抗体が抗原と反応したことを示す。)を「+」とし、発色しなかった時を「−」とした。上記表8の結果より、当該試験片に使用されるKs−6F9抗体とKs−3C5抗体の組み合わせは、ヒラメに寄生するクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスに反応せず、クドア・セプテンプンクタータに特異的に反応することが認められた。これにより、当該モノクローナル抗体を使用したイムノクロマト試験片を使用することにより、クドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できることができることが確認できた。また、本イムノクロマト試験片をヒラメ以外魚類のクドア属粘液胞子虫の検出に使用することも、特に制限はない。
(ELISA法検査具によるクドア・セプテンプンクタータの検出の確認)
本発明に係るモノクローナル抗体を用いたELISA法検査具の構成と当該査具の性能を確認した。
(ELISA法検査具の構成部材)
ELISA法用96穴マイクロプレートはマキシソープ(サーモフィッシャーサイエンテフィック株式会社)を使用した。ELISA法用マイクロプレート固相化用抗体はKs−6F9株、ペルオキシダーゼ標識抗体はKs−3C5株を使用した。洗浄溶液は0.05%Tween20含有PBSを使用した。ブロッキング溶液は0.5%ゼラチン含有PBSを使用した。基質は0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を使用した。反応停止液としては2N硫酸を使用した。
本発明に係るモノクローナル抗体を用いたELISA法検査具の構成と当該査具の性能を確認した。
(ELISA法検査具の構成部材)
ELISA法用96穴マイクロプレートはマキシソープ(サーモフィッシャーサイエンテフィック株式会社)を使用した。ELISA法用マイクロプレート固相化用抗体はKs−6F9株、ペルオキシダーゼ標識抗体はKs−3C5株を使用した。洗浄溶液は0.05%Tween20含有PBSを使用した。ブロッキング溶液は0.5%ゼラチン含有PBSを使用した。基質は0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を使用した。反応停止液としては2N硫酸を使用した。
(ペルオキシダーゼ酵素標識抗体の作製)
サンドイッチELISA法で使用するペルオキシダーゼが標識された抗体を作製するため、精製したモノクローナル抗体(Ks−3C5株)をPeroxidaseLabelingKit-NH2(同仁化学)を用いて、抗体にペルオキシダーゼを標識した。最終的には、1mg/mLのペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体(Ks−3C5株)を得た後、−80℃で凍結保存した。
サンドイッチELISA法で使用するペルオキシダーゼが標識された抗体を作製するため、精製したモノクローナル抗体(Ks−3C5株)をPeroxidaseLabelingKit-NH2(同仁化学)を用いて、抗体にペルオキシダーゼを標識した。最終的には、1mg/mLのペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体(Ks−3C5株)を得た後、−80℃で凍結保存した。
(検出感度の定量的評価)
クドア・セプテンプンクタータ胞子をホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×104の濃度になるようにPBSで希釈し、それから5倍段階希釈を行い、試験サンプルを得た。その後、100μLの各希釈胞子液を用いてELISA法試験を行い、反応性を定量的に評価した。5mg/mLの精製モノクローナル抗体(Ks−6F9)をPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、上記希釈胞子液を各穴へ100μL加え、室温で1時間静置した。希釈胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体(Ks−3C5)を0.5%ゼラチン含有PBSで2000倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。クドア・セプテンプンクタータについてのELISA法検査具の検出感度を表9に示す。
クドア・セプテンプンクタータ胞子をホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×104の濃度になるようにPBSで希釈し、それから5倍段階希釈を行い、試験サンプルを得た。その後、100μLの各希釈胞子液を用いてELISA法試験を行い、反応性を定量的に評価した。5mg/mLの精製モノクローナル抗体(Ks−6F9)をPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、上記希釈胞子液を各穴へ100μL加え、室温で1時間静置した。希釈胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体(Ks−3C5)を0.5%ゼラチン含有PBSで2000倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。クドア・セプテンプンクタータについてのELISA法検査具の検出感度を表9に示す。
クドア・セプテンプンクタータについてのELISA法検査具の検出感度を表9に示す。
上記数値は490nmの吸光度数値である。上記の結果より、胞子数40個程度が検出感度であることを判明した。
上記数値は490nmの吸光度数値である。上記の結果より、胞子数40個程度が検出感度であることを判明した。
(交差性の定量的評価)
ホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×104個/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、100μLの希釈胞子液を作製したイムノクロマト試験片に滴下し、反応性を確認した。5mg/mLの精製モノクローナル抗体(Ks−6F9)をPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを100μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、上記希釈胞子液を各穴へ100μL加え、室温で1時間静置した。希釈胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体(Ks−3C5)を0.5%ゼラチン含有PBSで2000倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。ELISA法検査具によるモノクローナル抗体(Ks−6F9、Ks−3C5)の交差性の評価結果を表10に示す。
ホルマリン含有PBSで懸濁されただけのホルマリン胞子溶液を5×104個/mLの濃度になるようにPBSで希釈し、100μLの希釈胞子液を作製したイムノクロマト試験片に滴下し、反応性を確認した。5mg/mLの精製モノクローナル抗体(Ks−6F9)をPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを100μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、上記希釈胞子液を各穴へ100μL加え、室温で1時間静置した。希釈胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体(Ks−3C5)を0.5%ゼラチン含有PBSで2000倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。ELISA法検査具によるモノクローナル抗体(Ks−6F9、Ks−3C5)の交差性の評価結果を表10に示す。
ELISA法検査具によるモノクローナル抗体(Ks−6F9、Ks−3C5)の交差性の定量的評価の評価結果を表10に示す。
上記数値は490nmの吸光度数値である。上記の表10より、クドア・セプテンプンクタータの吸光度とクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスの吸光度を比較すると、クドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスの数値と比較してクドア・セプテンプンクタータの数値が有意に高いので(クドア・シルシテス等の数値は当該抗体が反応しないバックグランドである0.5%ゼラチンと同等)、当該モノクローナル抗体を使用した当該検査具はクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できることが判った。
上記数値は490nmの吸光度数値である。上記の表10より、クドア・セプテンプンクタータの吸光度とクドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスの吸光度を比較すると、クドア・シルシテスやクドア・ラテオラブラシスの数値と比較してクドア・セプテンプンクタータの数値が有意に高いので(クドア・シルシテス等の数値は当該抗体が反応しないバックグランドである0.5%ゼラチンと同等)、当該モノクローナル抗体を使用した当該検査具はクドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できることが判った。
(検査キットの性能評価)
(I)イムノクロマト試験片を使用した検査キット
検体採取具として、ネジ外径2.1mm、長さ38mmのネジ((株)八幡ねじ「ミニビス」MN−38Cu)を使用した。当該イムノクロマト試験片としては、実施例3の試験片を使用した。当該試験片の抗体固相化メンブレンにはモノクローナル抗体Ks−6F9が塗布されており、コンジュゲートパッドには、金コロイド溶液で標識されたモノクローナル抗体Ks−3C5が塗布された。ヒラメ肉片1g当たりの感染している個数の異なる3種類(1.23×106個/g、4.5×105個/g、7.5×104/g)のクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉と未感染ヒラメ肉(顕微鏡検査にて未感染を確認)の合計4種類をサンプルとした。当該ネジをヒラメに直接刺し、ヒラメの生体から直接ヒラメ肉を採取した。その後ヒラメ肉を含むネジの重さを計量し、事前に計量しておいたネジ単体の重さを差し引きヒラメ肉の重さを計量した。その結果、採取したヒラメ肉重量は15mgであった。当該ヒラメ肉と、PBS中のヒラメ肉が10mg/mLの濃度になるようにPBSをチューブへ加え、良く上下に振り混合し、ヒラメ肉の懸濁液を得た。なお、サンプルを更に小片化する場合には、チューブに替えてフィンガーマッシャーなどのホモジナイザーを使用した。その後、スポイト(0.2mL用、アズワン株式会社)を用いてチューブ内のヒラメ肉懸濁液を採取し、イムノクロマト試験片へ3滴滴下した。イムノクロマト試験片の判定結果の測定部位にあるテストラインの発色の有無により、クドア・セプテンプンクタータに感染しているヒラメ肉との反応性(クドア・セプテンプンクタータとの反応性)を確認した。イムノクロマト試験片を使用した検査キットの性能評価結果を表11に示す。
(I)イムノクロマト試験片を使用した検査キット
検体採取具として、ネジ外径2.1mm、長さ38mmのネジ((株)八幡ねじ「ミニビス」MN−38Cu)を使用した。当該イムノクロマト試験片としては、実施例3の試験片を使用した。当該試験片の抗体固相化メンブレンにはモノクローナル抗体Ks−6F9が塗布されており、コンジュゲートパッドには、金コロイド溶液で標識されたモノクローナル抗体Ks−3C5が塗布された。ヒラメ肉片1g当たりの感染している個数の異なる3種類(1.23×106個/g、4.5×105個/g、7.5×104/g)のクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉と未感染ヒラメ肉(顕微鏡検査にて未感染を確認)の合計4種類をサンプルとした。当該ネジをヒラメに直接刺し、ヒラメの生体から直接ヒラメ肉を採取した。その後ヒラメ肉を含むネジの重さを計量し、事前に計量しておいたネジ単体の重さを差し引きヒラメ肉の重さを計量した。その結果、採取したヒラメ肉重量は15mgであった。当該ヒラメ肉と、PBS中のヒラメ肉が10mg/mLの濃度になるようにPBSをチューブへ加え、良く上下に振り混合し、ヒラメ肉の懸濁液を得た。なお、サンプルを更に小片化する場合には、チューブに替えてフィンガーマッシャーなどのホモジナイザーを使用した。その後、スポイト(0.2mL用、アズワン株式会社)を用いてチューブ内のヒラメ肉懸濁液を採取し、イムノクロマト試験片へ3滴滴下した。イムノクロマト試験片の判定結果の測定部位にあるテストラインの発色の有無により、クドア・セプテンプンクタータに感染しているヒラメ肉との反応性(クドア・セプテンプンクタータとの反応性)を確認した。イムノクロマト試験片を使用した検査キットの性能評価結果を表11に示す。
イムノクロマト試験片を使用した検査キットの性能評価結果を表11に示す。
上記の表11において、当該試験片のテストラインが発色した時(当該イムノクロマト試験片に用いられているモノローナル抗体(Ks−6F9とKs−3C5の組み合わせ)が抗原に反応した時)を「+」、発色しなかった時(当該反応しなかった時)を「−」とした。表11では、未感染のヒラメ肉から作製した当該懸濁液には反応せず、クドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉から作製した当該懸濁液のみに反応している。これにより、当該検査キットが、溝付き棒状採取具でヒラメから直接、迅速かつ簡便をヒラメ肉が採取できること、当該検査キットを構成する当該イムノクロマト試験片のテストラインの発色の有無により反応性が確認できるので、ヒラメ肉から直接クドア・セプテンプンクタータへの反応性を迅速、簡便に判定できることが確認できた。
上記の表11において、当該試験片のテストラインが発色した時(当該イムノクロマト試験片に用いられているモノローナル抗体(Ks−6F9とKs−3C5の組み合わせ)が抗原に反応した時)を「+」、発色しなかった時(当該反応しなかった時)を「−」とした。表11では、未感染のヒラメ肉から作製した当該懸濁液には反応せず、クドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉から作製した当該懸濁液のみに反応している。これにより、当該検査キットが、溝付き棒状採取具でヒラメから直接、迅速かつ簡便をヒラメ肉が採取できること、当該検査キットを構成する当該イムノクロマト試験片のテストラインの発色の有無により反応性が確認できるので、ヒラメ肉から直接クドア・セプテンプンクタータへの反応性を迅速、簡便に判定できることが確認できた。
(II)ELISA法検査具を使用した検査キット
検体採取具としては、実施例4と同一のネジを使用した。ELISA用マイクロプレート固相化用抗体とペルオキシダーゼ標識抗体は、実施例3と同一のKs−6F9とKs−3C5の組み合わせを用いた。ヒラメ肉片1g当たりの感染している個数の異なる3種類(1.23×106個/g、4.5×105個/g、7.5×104/g)のクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉と未感染ヒラメ肉(顕微鏡検査にて未感染を確認)の合計4種類をサンプルとした。当該ネジをヒラメに直接刺し、ヒラメ肉を採取した。その後ヒラメ肉を含むネジの重さを計量し、事前に計量しておいたネジ単体の重さを差し引きヒラメ肉の重さを計量した。その結果、採取したヒラメ肉重量は15mgであった。当該ヒラメ肉と、PBS中のヒラメ肉が10mg/mLの濃度になるようにPBSをチューブへ加え、良く上下に振り混合し、ヒラメ肉の懸濁液を得た。なお、サンプルを更に小片化する場合には、チューブに替えてフィンガーマッシャーなどのホモジナイザーを使用した。5mg/mLの精製モノクローナル抗体(Ks−6F9)はPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ヒラメ懸濁液を、スポイト(0.2mL用、アズワン株式会社)を用いてチューブより採取し3滴96穴マイクロプレートの各穴へ滴下し、室温で1時間静置した。胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体(Ks−3C5)を0.5%ゼラチン含有PBSで2000倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。具を使用した検査キットの性能評価結果を表12に示す。
検体採取具としては、実施例4と同一のネジを使用した。ELISA用マイクロプレート固相化用抗体とペルオキシダーゼ標識抗体は、実施例3と同一のKs−6F9とKs−3C5の組み合わせを用いた。ヒラメ肉片1g当たりの感染している個数の異なる3種類(1.23×106個/g、4.5×105個/g、7.5×104/g)のクドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉と未感染ヒラメ肉(顕微鏡検査にて未感染を確認)の合計4種類をサンプルとした。当該ネジをヒラメに直接刺し、ヒラメ肉を採取した。その後ヒラメ肉を含むネジの重さを計量し、事前に計量しておいたネジ単体の重さを差し引きヒラメ肉の重さを計量した。その結果、採取したヒラメ肉重量は15mgであった。当該ヒラメ肉と、PBS中のヒラメ肉が10mg/mLの濃度になるようにPBSをチューブへ加え、良く上下に振り混合し、ヒラメ肉の懸濁液を得た。なお、サンプルを更に小片化する場合には、チューブに替えてフィンガーマッシャーなどのホモジナイザーを使用した。5mg/mLの精製モノクローナル抗体(Ks−6F9)はPBSで5μg/mLになるように希釈し、100μLずつ96穴マイクロプレートの各穴へ分注し、4℃で一晩静置した。抗体溶液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ブロッキング液として0.5%ゼラチン含有PBSを300μL各穴へ分注し、室温で1時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ヒラメ懸濁液を、スポイト(0.2mL用、アズワン株式会社)を用いてチューブより採取し3滴96穴マイクロプレートの各穴へ滴下し、室温で1時間静置した。胞子液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体(Ks−3C5)を0.5%ゼラチン含有PBSで2000倍希釈し、各穴へ加え、室温で1時間静置した。ペルオキシダーゼ標識精製モノクローナル抗体希釈液を除去した後、0.05%Tween20含有PBSにて3回洗浄を行った。その後、0.5mg/mLのOPD基質液(Sigma−Aldrich)を100μL各穴へ加え、室温で10分静置し、反応を停止させるために2N硫酸を50μL各穴へ加え、吸光度測定装置により490nmの吸光度を測定した。具を使用した検査キットの性能評価結果を表12に示す。
ELISA法検査具を使用した検査キットの性能評価結果を表12に示す。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表12において、クドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉から作製された当該懸濁液(3種類)の吸光度が、未感染のヒラメ肉から作製した当該懸濁液の吸光度に対して有意に高い数値を示している。この結果から、当該イムノクロマト試験片と同一のモノクローナル抗体を使用したELISA法検査具による本検査キットにおいても、周方向の溝付き棒状採取具により、ヒラメから迅速、簡便に検体のヒラメ肉が採取でき、ヒラメ肉(を含む懸濁液)から直接クドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できることが判った。
上記数値は490nmの吸光度数値である。表12において、クドア・セプテンプンクタータに感染したヒラメ肉から作製された当該懸濁液(3種類)の吸光度が、未感染のヒラメ肉から作製した当該懸濁液の吸光度に対して有意に高い数値を示している。この結果から、当該イムノクロマト試験片と同一のモノクローナル抗体を使用したELISA法検査具による本検査キットにおいても、周方向の溝付き棒状採取具により、ヒラメから迅速、簡便に検体のヒラメ肉が採取でき、ヒラメ肉(を含む懸濁液)から直接クドア・セプテンプンクタータを特異的に検出できることが判った。
本発明は、ヒラメなどの魚に感染し食中毒の原因となるクドア属粘液胞子虫を魚肉から直接検出でき、大量の検体の検査にも対応できる、検査具、検査キット及びこれらに用いるモノクローナル抗体を提供できる。
1サンプルパッド
2コンジュゲートパッド
3メンブレン
4吸収パッド
5バッキングシート
6ネジ
7スポイト
8チューブ
9イムノクロマト試験片
10ELISA用マイクロプレート
2コンジュゲートパッド
3メンブレン
4吸収パッド
5バッキングシート
6ネジ
7スポイト
8チューブ
9イムノクロマト試験片
10ELISA用マイクロプレート
Claims (25)
- 以下の(1)〜(5)の工程を含んでなる方法により作製されるモノクローナル抗体:
(1)魚肉からクドア属粘液胞子虫を分離し、当該クドア属粘液胞子虫の胞子を含む胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理を行うことにより当該胞子殻と当該胞子内部の細胞を破壊して、当該細胞を構成しているタンパク質を溶出させた当該懸濁溶液を調整する工程、
(2)工程(1)で得られたタンパク質を哺乳類又は鳥類の動物に1回以上接種し、当該動物の体内で、当該タンパク質に反応する抗体を産生する抗体産生細胞を作り出させ、当該抗体産生細胞を当該動物から摘出する工程、
(3)工程(2)により得られた抗体産生細胞と前記動物と同一の動物種の骨髄腫細胞とを融合して、不死化抗体産生細胞Aを作製する工程、
(4)工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、前記クドア属粘液胞子虫に由来するタンパク質を用いて当該タンパク質に反応する不死化抗体産生細胞Bを選別する工程、
(5)工程(4)で選別された不死化抗体産生細胞Bを単一の細胞として単離した後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる工程 - 前記魚肉が、ヒラメ肉であり、前記クドア属粘液胞子虫が、クドア・セプテンプンクタータであることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体
- 前記請求項1において、
前記工程(1)の魚肉がヒラメ肉でありかつクドア属粘液胞子虫がクドア・セプテンプンクタータであって、
前記工程(4)は、前記工程(3)で得られた不死化抗体産生細胞Aのうち、クドア・セプテンプンクタータに由来するタンパク質に反応し、クドア・シルシテス及びクドア・ラテオラブラシスに由来するタンパク質には反応しない不死化抗体産生細胞Cを選別する工程であり、
前記工程(5)は、前記工程(4)で得られた不死化抗体産生細胞Cを単一の細胞として単離した後、当該細胞にモノクローナル抗体を産生させる工程であることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体 - 前記工程(1)のクドア属粘液胞子虫の胞子を凍結する温度が、−5℃以下、−196℃以上であり、融解する温度が100℃以下、0℃以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つの請求項に記載のモノクローナル抗体
- 前記工程(1)において、前記胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理をした後、前記懸濁溶液に界面活性剤を加え可溶化処理をすることにより、前記胞子殻と胞子内部の細胞を構成しているタンパク質と当該界面活性剤とがミセルを形成し、当該ミセルから当該タンパク質を得ることを特徴とする請求項4に記載のモノクローナル抗体
- 前記工程(1)において、前記胞子懸濁溶液を凍結し融解する処理をした後、当該胞子を含む胞子懸濁溶液に超音波を照射することにより当該胞子殻と胞子内部の細胞をさらに破壊し、当該細胞を構成しているタンパク質を得ることを特徴とする請求項4に記載のモノクローナル抗体
- 前記工程(2)において、前記接種の箇所を前記動物の腹腔内、皮内、皮下、筋肉又は静脈とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つの請求項に記載のモノクローナル抗体
- 前記工程(2)で使用する動物が、マウスであることを特徴とする請求項7に記載のモノクローナル抗体
- 前記請求項8記載のモノクローナル抗体が、IgG1のサブクラスに属しかつκ軽鎖を有し、クドア・セプテンプンクタータの内部構造の分子量25,000から37,000の範囲にあるタンパク質を認識する抗体であることを特徴とする請求項8記載のモノクローナル抗体
- 前記請求項9記載のモノクローナル抗体が、受託番号「NITE P−02181」で寄託たれ不死化抗体産生細胞又は受託番号「NITE P−02182」で寄託された不死化抗体産生細胞から産生される抗体であることを特徴とする請求項9に記載のモノクローナル抗体
- クドア属粘液胞子虫を検出するための検査具であって、
前記請求項1に記載のモノクローナル抗体が、クドア属粘液胞子虫に対する第一及び第二のモノクローナル抗体であり、
第一のモノクローナル抗体が固定されたメンブレンと、
標識された第二のモノクローナル抗体が固定されたコンジュゲートパッドと、
試料が外部から添加されるサンプルパッドと、
過剰な試料を吸収する吸収パッドと、
前記サンプルパッド、メンブレン、コンジュゲートパッド、吸収パッドを支持してな
るバッキングシートと、
を含むことを特徴とするイムノクロマト試験片 - クドア属粘液胞子虫を検出するための検査具であって、
前記請求項2乃至10のいずれか一つの請求項に記載のモノクローナル抗体が、クドア属粘液胞子虫に対する第一及び第二のモノクローナル抗体であり、第一のモノクローナル抗体が固定されたメンブレンと、
標識された第二のモノクローナル抗体が固定されたコンジュゲートパッドと、試料が外部から添加されるサンプルパッドと、
過剰な試料を吸収する吸収パッドと、
前記サンプルパッド、メンブレン、コンジュゲートパッド、吸収パッドを支持してなるバッキングシートと、
を含むことを特徴とするイムノクロマト試験片 - 前記イムノクロマト試験片のサンプルパッドと吸収パッドの端部の形状が異なることを特徴とする請求項11に記載のイムノクロマト試験片
- 前記イムノクロマト試験片のサンプルパッドと吸収パッドの端部の形状が異なることを特徴とする請求項12に記載のイムノクロマト試験片
- 前記請求項12に記載のクドア属粘液胞子虫が、クドア・セプテンプンクタータであることを特徴とする請求項14に記載のイムノクロマト試験片
- クドア属粘液胞子虫を検出するための検査具であって、
前記請求項1に記載のモノクローナル抗体が、クドア属粘液胞子虫に対する第一及び第二のモノクローナル抗体であり、
当該第一のモノクローナル抗体が、固定化されたプレートと、
酵素により標識された当該第二のモノクローナル抗体が含有された溶液と、
を含むことを特徴とするELISA法検査具 - クドア属粘液胞子虫を検出するための検査具であって、
前記請求項2乃至10のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体が、クドア属粘液
胞子虫に対する第一及び第二のモノクローナル抗体であり、
当該第一のモノクローナル抗体が、固定化されたプレートと、
酵素により標識された当該第二のモノクローナル抗体が含有された溶液と、
を含むことを特徴とするELISA法検査具 - 前記請求項17に記載のクドア属粘液胞子虫が、クドア・セプテンプンクタータであることを特徴とする請求項17に記載のELISA法検査具
- 検体採取具を魚に挿入し引き抜くことにより、魚肉片を魚から採取できる検体採取具と、
採取した当該魚肉が付着した当該検体採取具を緩衝液入り容器に入れ、当該容器を振動することにより当該魚肉を当該検体採取具から剥離し、小片化してクドア属粘液胞子虫を当該緩衝液に溶出させたサンプル溶液を均質化するサンプル溶液調整部と、
当該サンプル溶液を検査具に供給するためのサンプル溶液供給具と、
前記請求項1に記載のモノクローナル抗体を用い、当該サンプル溶液からクドア属液
胞子虫を検出する検査具と、
を含むことを特徴とする検査キット - 検体採取具を魚に挿入し引き抜くことにより、魚肉片を魚から採取できる検体採取具と、
採取した当該魚肉が付着した当該検体採取具を緩衝液入り容器に入れ、当該容器を震動することにより当該魚肉を当該採取具から剥離し、小片化してクドア属粘液胞子虫を 当該緩衝液に溶出させたサンプル溶液を均質化するサンプル溶液調整部と、
当該サンプル溶液を検査具に供給するためのサンプル溶液供給具と、
前記請求項2乃至10のいずれか一つの請求項に記載のモノクローナル抗体を用い、当該サンプル溶液からクドア属粘液胞子中を検出する検査具と、
を含むことを特徴とする検査キット - 前記検体採取具が周方向の溝付きの棒状採取具であることを特徴とする請求項19又は20に記載の検査キット
- 前記サンプル溶液調整部が前記魚肉を入れた緩衝液中でホモジナイザーを用いて物理的に粉砕し小片化する処理を含むことを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一つの請求項に記載の検査キット
- 前記検査具が前記請求項11又は12に記載のイムノクロマト試験片であることを特徴とする請求項19又は20に記載の検査キット
- 前記検査具が、前記請求項16又は17に記載のELISA法検査具であることを特徴とする請求項19又は20に記載の検査キット
- 前記請求項20に記載の魚肉がヒラメ肉であり、前記請求項20に記載のクドア属粘液胞子虫が、クドア・セプテンプンクタータであることを特徴とする請求項20に記載の検査キット
Priority Applications (2)
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JP2016074820A JP2017186262A (ja) | 2016-04-03 | 2016-04-03 | 検査用モノクローナル抗体及びこれを用いた検査キット |
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Cited By (3)
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-
2016
- 2016-04-03 JP JP2016074820A patent/JP2017186262A/ja active Pending
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