JP2016519595A - 自閉症スペクトラム障害におけるgaba−bアゴニスト薬物活性の脳磁図バイオマーカー - Google Patents

自閉症スペクトラム障害におけるgaba−bアゴニスト薬物活性の脳磁図バイオマーカー Download PDF

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Abstract

自閉症スペクトラム障害等の神経障害を診断するための組成物および方法が開示される。

Description

Timothy P.L. Roberts、James Christopher Edgarによる。
本出願は、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/787,077号に対し、35 U.S.C.§119(e)の下での優先権を主張する。上記出願を引用により本明細書に含める。
本発明は米国立衛生研究所により与えられた認可番号R01−DC008871の下での政府支援を受けてなされた。政府は本発明における特定の権利を有する。
発明の分野
本発明は、神経障害、特に、自閉症スペクトラム障害の診断の分野に関する。
発明の背景
いくつかの刊行物および特許文献が、本発明が属する技術水準を記載するために本明細書にわたって引用される。これら引用のそれぞれを、全体が示されているかのように引用により本明細書に含める。
自閉症スペクトラム障害(ASD)を有する個体における上側頭回(STG)聴力を調べる脳磁図(MEG)研究は、ほとんど一律に異常を報告する。例えば、時間領域において、いくつかの研究により、自閉症における聴性誘発反応ピークの潜時における遅延、特に、100ミリ秒(M100)のSTG聴覚反応の潜時における遅延が報告されている(Gage et al. (2003) Neuroreport., 14:2047−51; Roberts et al. (2010) Autism Res., 3:8−18)。遅延反応は、ASDにおける言語障害に寄与していると仮定されてきたが、かかる関連性についての明らかな機構的裏付けはない(Oram Cardy et al. (2008) Int. J. Psychophysiol., 68:170−5; Roberts et al. (2008) Int. J. Psychophysiol., 68:149−60)。新たに得られつつある証拠もまたASDにおける聴振動活動(auditory oscillatory activity)における機能障害を示唆している。自閉症を有する小児と同年齢の対照とに40Hzのクリック・トレインを提示すると、左半球40Hz定常状態ガンマ帯域活動の低下が、自閉症において観察された(Wilson et al. (2007) Biol. Psychiatry 62:192−7)。1000Hzの音を提示し、初期STG過渡ガンマ帯域応答を調べたところ、自閉症である成人ならびに自閉症の小児の親において左および右40Hz試行間コヒーレンス(ITC、位相同期性とも称される)の低下が観察され、自閉症におけるガンマ振動を外部刺激に合わせる能力における欠陥に対する議論が導かれた(Rojas et al. (2008) BMC Psychiatry, 8:66)。
M100応答の遅延と聴覚ガンマ活動の低下とが1つの異常を反映するのか、または2つの異常が異なるのかは不明である。さらに、以前の聴覚時間−周波数研究はガンマ−範囲活動(約30〜50Hz)にもっぱら注目していた。これに対する動機づけは、おそらく、(1)抑制性介在ニューロンプロセスとガンマ活動との関連(Bibbig et al. (2002) J. Neurophysiol., 88:1634−54; Whittington et al. (2000) Int. J. Psychophysiol., 38:315−36)、および(2)ASDにおける仮定される抑制性介在ニューロン機能障害(Casanova et al. (2002) J. Child Neurol., 17:692−5; Uhlhaaset al. (2007) Biol. Psychiatry, 62:190−1)による。しかしながら、高周波活動は、聴性誘発反応の唯一の成分ではなく、第一の成分でさえもなく、多くの研究により、高周波異常が低周波異常におそらくは関連するように低周波活動と高周波活動との連関が示されている(Canolty et al. (2010) Trends
Cogn. Sci., 14:506−15; Lakatos et al. (2004) Brain Res. Cogn. Brain Res., 19:1−9)。
ASDにおける低周波静止状態異常を観察する研究はまた、ASDにおける神経異常を完全に特徴づけるために、広範囲な周波数にわたって、刺激前および刺激後の振動過程を評価する必要性を示している(Cantor et al. (1986) J. Autism Dev. Disord., 16:169−87; Murias et al. (2007) Biol. Psychiatry, 62:270−3)。
発明の概略
本発明によると、対象における神経障害、特に、自閉症スペクトラム障害を診断する方法が提供される。特定の態様において、本方法は、対象に刺激(例えば、聴覚刺激)を与えた後に、脳磁図によって、対象における脳活動を測定することを含む。特定の態様において、50および/または100ミリ秒潜時が測定される。特定の態様において、脳活動(例えば、潜時)は右半球において測定される。正常対象と比較して、対象の応答の遅延の上昇は、対象が神経障害を有することを示す。特定の態様において、ガンマ周波数における刺激誘発活動(stimulus elicited activity)が測定される(例えば、試行間コヒーレンスまたは定常状態ガンマパワーが測定される)。正常対象と比較して、対象におけるガンマ周波数における刺激誘発活動の低下は、対象が神経障害を有することを示す。
本発明の別の側面によると、神経障害、特に、自閉症スペクトラム障害の治療のための薬剤候補をスクリーニングする方法が提供される。特定の態様において、本方法は、化合物を対象に投与すること、次いで、対象に刺激(例えば、聴覚刺激)を与えた後に、脳磁図によって、対象における脳活動を測定することを含む。特定の態様において、脳活動(例えば、潜時)は、右半球において測定される。化合物の投与後の脳活動における変調は、神経障害に対する化合物の活性を示す。例えば、化合物の投与前(ベースライン)に観察されたものと比較して、50および/または100ミリ秒応答の遅延の低下は、化合物が神経障害に対する治療薬であることを示す。同様に、化合物の投与前(ベースライン)に観察されたものと比較して、ガンマ周波数帯域における刺激誘発活動の上昇は、化合物が神経障害に対する治療薬であることを示す。
図1は、各周波数についてTDおよびASDを比較する、誘発活動およびファミリーワイズ−補正p値プロットを示す。TD>ASD差は青色で示し、ASD>TD差は赤色で示す。矢印は、ASDよりもTDにおいてより大きい誘発ガンマ活動が観察された例を示す。 図2は、各周波数についてTDおよびASDを比較する、ITC活動およびファミリーワイズ−補正p値プロットを示す。グランドアベレージマップにおいて、ITC値を対数変換してより高周波数での活動を強調した。TD>ASD差は青色で示し、ASD>TD差は赤色で示す。赤色矢印は、ASDよりもTDにおいてより大きいITCガンマ活動が観察された例を示す。 図3は、ASDを有する個体におけるCELF−4中心的言語指数スコア(Core Language Index scores)(x軸)および右STG刺激前ガンマ活動(y軸; 30〜50Hz)の散布図を提供する。ASDにおいて、より低いCELF−4スコアが右半球刺激前ガンマ活動の上昇と関連していた。 図4は、年齢(x軸)および刺激前全パワー(4〜80Hz活動の平均)の散布図を提供する。TD(上の列)およびASD(下の列)において、刺激前活動の上昇はより年齢が若いことを予測した。男性を青色で示し、女性をピンク色で示す。 図5は、STX209に応答しての自閉症におけるM100潜時のグラフを提供し、ベースラインおよび治療後を示す。 図6は、STX209に応答しての自閉症における試行間コヒーレンスのMEG測定を示す。 図7は、STX209に応答しての自閉症における定常状態ガンマのMEG測定を示す。
発明の詳細な説明
本明細書において、一過性正弦波音に対する、音源定位(source−localized)STG時間−領域および時間−周波数活動(誘発およびITC)を、ASDおよび同年齢のTD対照の小児の多数のサンプルにおいて調べた。以下の仮説を試験した:(1) ASDの小児は右半球M100 STG応答の遅延を示すであろう。(2)ガンマ所見に基づき(Wilson et al. (2007) Biol. Psychiatry 62:192−7; Rojas et al. (2008) BMC Psychiatry, 8:66)、ASDの小児は初期誘発ガンマ活動およびITCの低下を示すであろう。(3)刺激後のガンマ帯域およびM100潜時異常は関連しており、初期誘発ガンマ活動の低下はより遅延したM100応答を予測するであろう。(4)ガンマ−帯域異常以外の刺激前および刺激後の振動異常が観察されるであろう。(5)最後に、いくつかの研究が、聴覚処理障害および言語能力の間に関連性を示唆しているように(Oram Cardy et al. (2008) Int. J. Psychophysiol., 68:170−5; Roberts et al., Auditory Magnetic Mismatch Field Latency: A Biomarker for Language Impairment in Autism. Biol Psychiatry, 2011)、STG異常が言語能力試験での成績と関連していることが予測された。STG聴覚測度および年齢の間に関連が観察されているので、発達にわたってのこれらの測度の変化、ならびに年齢およびSTG M100潜時および時間−周波数測度の関連を評価した。
ここで、対象に200、300、500、および1000Hzの純音を提示し、脳磁図(MEG)によって、105名のASDを有する小児および36名の定型発達対照(TD)のサンプルにおけるSTG 聴覚野における活動を評価した。所見によると、ASDにおける聴覚STG処理が、複数の周波数にわたる刺激前異常によって特徴づけられ、そして初期高周波異常の後に低周波異常がおこるというプロファイルが明らかになった。刺激前活動の上昇は「中心的(core)」異常であり、刺激前活動は刺激後神経異常、集団の帰属関係、および臨床症状(CELF−4中心的言語指数(CLI))を予測するものであった。したがって、聴覚皮質におけるシナプス統合の欠陥がASDにおける振動異常ならびに患者の症状に関連している。ASDにおける刺激前活動の上昇はおそらくASDを有する個体における根本的な信号対雑音比の欠陥を実証し、振動活動の上昇は、適切な「神経音(neural tone)」を維持することができないこと、および次の刺激の前に静止状態に迅速に戻ることができないことを示唆している。
本明細書において提示する結果は、右半球M100 STG 500 Hz応答がASDにおいておよそ10ミリ秒遅延したことを実証する。さらに、刺激後 STG 約40Hz 誘発活動およびITCの低下が、ASDの小児において両側的に観察された。上記潜時およびガンマ異常は無関係であったため、これらの2つの異常がいくらか異なることが示された(例えば、左半球におけるM100潜時ではなくガンマでの群差)。刺激後ガンマ異常以外の振動異常がASDにおいて観察された。特に、刺激前異常に加えて、誘発およびITC低周波(約20Hzを下回る)群差が観察された。
本研究における際だった所見は、刺激前群差(左半球および右半球、4〜80Hz)であった。確実に群を区別することに加えて、刺激前活動の上昇は、両方の群におけるM100潜時を予測した。その他の所見はまた、刺激前活動をさらなる研究を正当化する測度として示した:(1)より高い30〜50Hz 右半球刺激前活動(全パワー)は、より低いCELF−4中心的言語指数スコアと関連しており、(2)年齢は刺激前測度と関連していたが、左半球刺激前活動における群差(4〜80 Hz)は、年齢に関連した刺激前活動における相違を除いた後でさえ維持されていた。
TDよりもASDにおいてより大きい刺激前活動は、おそらくASDの個体における根本的な信号対雑音比の欠陥を示す。特に、広範囲な周波数にわたって本研究において観察された(そしてまた静止状態研究においても観察された)、振動活動の上昇は、適切な「神経音」を維持することができないこと、およびおそらくまた、次の刺激の前に静止状態に迅速に戻ることができないことを示唆する。複数の因子がおそらくASDにおける背景活動の上昇の原因である。例えば、ガンマ活動を考慮すると、NMDAR アンタゴニスト(ケタミン、MK−801、およびPCPを含む)が、覚醒したげっ歯類において、インビボLFPおよびEEG記録を用いて、ベースラインガンマパワーの用量依存的上昇をもたらすことが実証されている(Ehrlichman et al. (2009) Neuroscience, 158:705−12; Hakami et al. (2009) PLoS One, 4: e6755; Lazarewicz et al. (2010) J Cogn Neurosci, 22:1452−64; Leung, L.W. (1985) Electroencephalogr Clin Neurophysiol, 60:65−77; Ma et al. (2000) Behav Brain Res, 111:1−11; Ma et al. (2007) Psychopharmacology (Berl), 191:961−74; Pinault, D. (2008) Biol Psychiatry, 63:730−5)。多数の研究により、NMDAR 遮断の後の介在ニューロンの機能障害および錐体細胞活動の上昇が実証されていることから、NMDAR アンタゴニストに関連したガンマパワーの上昇は、おそらく錐体ニューロン上へのGABAの放出の低下に関連している(Belforte et al. (2010) Nat Neurosci, 13:76−83; Jackson et al. (2004) Proc Natl Acad Sci U S A, 101:8467−72; Santana et al. (2011) Biol Psychiatry, 69:918−27)。
これと一致して、カルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミンを発現し、イオンチャネル型 GABA(A)−受容体を介して作用する、急速発火(fast−spiking)介在ニューロンが、刺激−誘発ガンマ−同調性をインビボで生じるために必要かつ十分であることが最近示された(Sohal et al. (2009) Nature, 459:698−702; Cardin et al. (2009) Nature, 459:663−7)。ASDにおいて、相次ぐ研究により、GABA受容体がASDにおいてダウンレギュレートされていること(Fatemi et al. (2009) J Autism Dev Disord., 39:223−30)、および、ASD関与者が対照と比較してガンマ−帯域振動活動の低下を示したこと(Orekhova et al. (2007) Biol Psychiatry, 62:1022−9)が示されている。急速発火表現型およびカルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミンの発現によって規定される介在ニューロンは、ガンマ振動に関係してきており(Tamas et al. (2000) Nat Neurosci, 3:366−71; Whittington et al. (1995) Nature 373:612−5)、インビボマウス研究は、パルブアルブミン介在ニューロンを阻害することにより、ガンマ振動が抑制され、これら介在ニューロンを駆動することが、緊急ガンマ振動を作るために十分であることを示している(Sohal et al. (2009) Nature, 459:698−702)。本研究において観察された刺激前群差に関して、急速発火介在ニューロンの光操作での阻害が、刺激−誘発ガンマ同調性を低下させ、また、刺激の非存在下でのベースラインLFPパワーの上昇ももたらしたことは言及に値する(Sohal et al. (2009) Nature, 459:698−702)。
ASDにおける刺激後ガンマ異常の機能的意義に関して、高密度皮質内アレイ記録を用いた最近の報告は、一次聴覚野内のシナプス統合は、受動的傾聴の際にガンマ振動周波数で特異的に増強されることを実証した(Rubenstein et al. (2003) Genes Brain Behav, 2:255−67)。この実験は、特異的な、そしておそらく必須の、傾聴におけるコヒーレントガンマ振動の役割についての強力な証拠を提供した。刺激期間直後にMEGを用いて頭皮から検出されたSTGガンマ振動の低下は、それゆえ、傾聴に影響する可能性があるだけでなく、皮質のその他の野における聴覚情報の下流統合にも大いに影響する可能性がある、ASDにおけるシナプス統合の欠陥を示唆する。
したがって、ASDにおける刺激後ガンマ異常は、おそらく皮質微小回路における異常な興奮性/抑制性均衡を示し、そしてこの不均衡はおそらく受動的傾聴の際の情報処理における機能障害を示す。おそらくASDにおける急速発火介在ニューロンの減少に起因する、シナプス統合における欠陥はまた、本研究において観察されたASD刺激前活動の上昇を説明する可能性もある(Sohal et al. (2009) Nature, 459:698−702)。しかしながら、GABAおよび抑制性介在ニューロン以外の神経機構が振動活動に影響し、どの因子がASDにおいて最も重要であるかを決定するにはさらなる研究が必要である。例えば、聴覚経路の聴放線における白質拡散異方性は、M100潜時に関連しており(Roberts et al. (2009) Neuroreport., 20:1586−1591)、おそらく聴放線における白質異常はまた、一次/二次聴覚野において信号対雑音比に影響している(特に、シータからアルファリズム)。
シータからガンマ刺激前活動の上昇は、いくつかの神経発達障害のより一般的な特徴である可能性がある。例えば、刺激前ガンマの上昇が統合失調症において報告されているが(Gandal et al. (2012) Neuropharmacol., 62:1504−1518)、統合失調症の個体はまた、ガンマを下回る周波数における刺激前活動の上昇を示す可能性がある。最後に、ガンマ−範囲活動のみ(刺激前および刺激後)が、CELF−4スコアに関連していたことは興味深い。左半球において、CELF−4スコアと初期刺激後誘発ガンマ活動との負の関係が観察された(即ち、刺激後活動の上昇がより低いCELF−4スコアと関連していた)。右半球において、CELF−4スコアと刺激前ガンマ活動との正の関係が観察された(即ち、刺激前活動の上昇がより高いCELF−4スコアと関連していた)。上記は、ガンマ活動が、ASDにおける言語能力に関して特に重要であることを示唆する。
注目すべきことに、M100応答は右半球におけるよりも左半球において観察された頻度が低かった。例えば、500 Hzの音条件について、ASDの小児の90%が観察可能な右M100応答を有していたが、63%のみが観察可能な左M100応答を有していた。おそらく非常に異常な聴力を有する(即ち、同定可能なM100応答が無い)、ASDの個体からのデータはしたがって半球−特異的な時間領域および時間−周波数解析には含めなかった。したがって、本研究における左半球異常は、大いに過小評価されている可能性がある。右半球ではなく左半球−刺激前群差は年齢と関連した相違を除いた後に残っていたため、刺激前活動の測度は、この主張の裏づけを提供する。
本研究では片耳聴覚刺激を用いたが、両耳聴覚刺激もまた用いることができる。両耳聴覚刺激は、同側性経路と対側性経路との観察されたSTG聴覚異常への寄与のより具体的な検討を可能とする可能性がある。
したがって、ASDのスペクトル−経時プロファイルを本明細書において観察したところ、ASDにおける聴覚STG処理は、刺激前異常、そして初期高周波異常、次いで低周波異常により特徴づけられた。刺激前活動の上昇は「中心的」異常であると思われ、刺激前活動は、刺激後神経異常、集団の帰属関係、および臨床症状(CELF−4中心的言語指数)を予測するものであった。聴覚皮質におけるシナプス統合の欠陥がASDにおける振動異常ならびに患者の症状に関連している可能性がある。ASDにおける刺激前活動の上昇はおそらくASDを有する個体における根本的な信号対雑音比の欠陥を実証し、振動活動の上昇は、適切な「神経音」を維持することができないこと、および次の刺激の前に静止状態に迅速に戻ることができないことを示唆している。
自閉症スペクトラム障害(ASD)を有する個体を治療するための、新たに現れつつあり、見込みがある治療法の方針は、シナプスのレベルでの神経伝達物質放出/再吸収(特に、GABAおよびグルタミン酸)の操作を伴う。しかしながら、かかる治療のための適切な候補を同定するための遺伝学的、生理学的または行動学的データがほとんど存在しない。応答者と非応答者との初期識別のための方法論も存在しない。したがって、臨床試験は、試験対象患者基準および応答測度の両方に関して支障がある。
本発明の方法論は、これらの課題の両方に取り組むものであり、したがって「階層化バイオマーカー」および「有効性の初期信号」としての使用に適した一群の測度であると考えることができる。単一(または複合)聴覚刺激の提示の際の脳活動を記録するために脳磁図(MEG)を用いることで、ASDの小児において、非定型の少なくとも2つの神経信号を特徴づけることができる。具体的には、これらは、(i)同年齢の対照と比較してASDにおいて系統的に遅延する、聴覚刺激に対する50および/または100ミリ秒応答成分の潜時、および、(ii)同年齢の定型発達対照に対してASDの小児における試行間コヒーレンス、ITC、(または「信頼度」)の減少を実証する、ガンマ周波数帯域(約30−50Hz)における刺激誘発活動、である。これらの測度は、感覚入力から高次処理への信号のニューロン伝播を特徴づけるため、これらはシナプス伝達の質に対して非常に感受性が高く、MEGの精巧な時間分解能(典型的には<1ミリ秒)のおかげで異常を明らかにする。
新規な治療学は、ASDの小児におけるシナプスを標的とするので、これらの測度(具体的には、聴性誘発50および100ミリ秒潜時ならびに聴覚誘発ガンマ−帯域試行間コヒーレンス(位相同期性としても知られる))は、(i)かかる介入についての個体の適切性(階層化バイオマーカー)および(ii)シナプス標的化(synaptically−targeted)医薬品の所望の生物活性の証拠の、生理学的に特異的な指標を表す。これは、臨床成績のための代替マーカーの必要な前駆体である。
本発明によると、対象における、神経障害を診断する方法または神経障害(特に、自閉症スペクトラム障害)の予後を提供する方法が提供される。特定の態様において、対象は、小児(例えば、18歳まで)であり、特に、幼児(例えば、3、4、または5歳まで)である。特定の態様において、本方法は、刺激、特に、聴覚刺激(例えば、単一または複合聴覚刺激;例えば、約100〜約1000 Hz、特に、約200〜約700 Hzまたは約300〜約500 Hzの聴覚信号)の後に脳磁図を用いて脳活動を測定することを含む。特定の態様において、50および/または100ミリ秒(潜時)応答が測定され、ここで、正常対象と比較しての応答における遅延は、対象が自閉症スペクトラム障害を有することを示す。遅延の量は、自閉症スペクトラム障害の重症度と相関している可能性がある。特定の態様において、ガンマ周波数帯域(約30〜約50 Hz、特に、約40 Hz)における刺激誘発活動が測定され、ここで、正常対象と比較しての試行間コヒーレンス(ITC)の減少は、自閉症スペクトラム障害を示す。低下の程度は、自閉症スペクトラム障害の重症度に相関している可能性がある。特定の態様において、対象および対照は同年齢である。
本発明によると、対象における、神経障害、特に、自閉症スペクトラム障害に対する治療法をスクリーニングする方法が提供される。特定の態様において、対象は、小児(例えば、18歳まで)であり、特に、幼児(例えば、3、4、または5歳まで)である。特定の態様において、本方法は、対象に治療法を施すこと(例えば、化合物および/または非薬理学的介入を与えること)、および、上記脳磁図方法を行うことを含み、ここで、正常対象のものに対して、対象のベースライン(即ち、治療法(例えば、化合物)を与える前)からの結果の変動は、治療法(例えば、化合物)が、自閉症スペクトラム障害に対して有効であることを示す。この方法は、ベースラインを確立するために、治療法を施す前に上記脳磁図方法を行うことをさらに含んでいてもよい。あらゆる種類の化合物または分子を、本発明の方法において候補治療薬として試験することができ、例えば、限定されないが、天然または合成化学物質(小分子化合物等)、有機および無機化合物および分子、および生体高分子(糖類−、脂質−、ペプチド−、ポリペプチド−および核酸−ベースの化合物および分子等)が挙げられる。
本発明の別の側面によると、対象が、神経障害、特に、自閉症スペクトラム障害に対する治療法についての候補であるか否かを決定する方法が提供される。特定の態様において、対象は、小児(例えば、18歳まで)であり、特に、幼児(例えば、3、4、または5歳まで)である。特定の態様において、本方法は、対象に治療法を施すこと(例えば、化合物および/または非薬理学的介入を与えること)、および、上記脳磁図方法を行うことを含み、ここで、正常対象のものに対して、対象のベースライン(即ち、治療法(例えば、化合物)を与える前)からの結果の変動は、対象が試験される治療法(例えば、化合物)に応答性であることを示す。この方法は、ベースラインを確立するために、治療法を施す前に上記脳磁図方法を行うことをさらに含んでいてもよい。治療法は、神経障害について承認された治療法であってもよいし、または神経障害についての候補治療法であってもよい。特定の態様において、本方法は、患者が治療法(例えば、薬物)の治験への包含について適切であるかを決定するために使用することができる。あらゆる種類の化合物または分子を、本発明の方法において候補治療薬として試験することができ、例えば、限定されないが、天然または合成化学物質(小分子化合物等)、有機および無機化合物および分子、および生体高分子(糖類−、脂質−、ペプチド−、ポリペプチド−および核酸−ベースの化合物および分子等)が挙げられる。
本明細書において実証するように、電気生理学的信号(例えば、静止活動(resting activity)および誘発反応)は、自閉症スペクトラム障害(ASD)等の状態におけるニューロン異常の神経発達障害のバイオマーカーとして役立ち、発達の非常に初期にそれらを検出可能とする。自閉症は典型的には幼少期における臨床症状によって診断され、より早期の診断には、乳幼児期(<2−3歳)における非定型の脳活動に対する感受性が必要であろう。したがって、脳磁図(MEG)システムは、約6から約48月齢の小児から脳活動を検出するために最適化され得る。したがって、乳幼児および/または小児用MEGシステムを使用するのが望ましい。全頭乳幼児および/または幼児用MEGシステムの一例は、Roberts et al.( Frontiers Hum. Nuerosci. (2014) 8:1−99)に記載されているArtemis123である。
上記の方法に加えて、白質内部の差もまた、上記方法において記載される電気生理学的聴覚反応の代わりに、または電気生理学的聴覚反応と組み合わせて用いることができる。特定の態様において、本方法は、異方性比率または拡散異方性を用いること(例えば、拡散異方性画像を行うこと)を含む。特定の態様において、正常対象と比較しての軸方向の拡散係数の上昇は、対象が自閉症スペクトラム障害を有することを示す。特定の態様において、正常対象と比較して放射拡散係数の成熟低下のより遅い速度は、対象が自閉症スペクトラム障害を有することを示す。
定義
単数形の「ある」、「1つの」および「その」は、文脈が明らかに別段に指示しない限り、複数の言及を含む。
本明細書において用いる場合、「対象」という用語は、動物、特に、哺乳類、特に、ヒトを指す。本明細書において用いる場合、「小児」は18 歳までのヒトを指す。
「自閉症スペクトラム障害」という用語は、限定されないが、以下を含む発達障害の一群を指す:自閉症;アスペルガー症候群;特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOSまたは非定型自閉症);レット症候群;および小児期崩壊性障害。「自閉症スペクトラム障害」は典型的には、様々な程度の、(1)社会的相互作用における欠陥、(2)言語および非言語コミュニケーションにおける欠陥、および、(3)反復的な行動または興味によって特徴づけられる疾患または障害を指す。
本明細書において用いる場合、「診断」は、対象における疾患を検出することおよび同定することを指す。この用語はまた、疾患を有することが知られている患者における疾患状態(進行、退行、安定化、治療に対する応答等)を、評価すること、調べること、および/または予後予測することもまた包含し得る。
本明細書において用いる場合、「予後」という用語は、対象の将来の健康(例えば、予期される罹患率または死亡率、疾患にかかる可能性、および疾患の重症度)に対する、疾患の存在の影響に関する情報を提供することを指す。換言すると、「予後」という用語は、可能性が高い疾患の経過および転帰または疾患からの回復の可能性の、予測を提供することを指す。
本明細書において用いる場合、「小分子」という用語は、比較的に低分子量(例えば、4,000未満、2,000未満、特に1 kDa未満または800 Da未満)を有する物質または化合物を指す。典型的には、小分子は有機分子であり、それらはアミノ酸またはジペプチドである可能性があるが、タンパク質、ポリペプチド、または核酸ではない。
以下の実施例は本発明の様々な態様を例証するために提供される。それらはいかなるようにも本発明を限定する意図ではない。
実施例1
方法
参加者
募集手順および包含/排除情報は、Roberts et al.(Autism Res. (2010) 3:8−18)に詳細に記載されている。ASDを有する個体は合併している障害 (例えば、ADHD)についてスクリーニングしていないが、既知の神経性疾患または遺伝子疾患(例えば、発作性疾患、頭部損傷、脆弱X)または精神発達遅滞(非言語および言語 IQ の両方が75を下回る)を有する個体は排除した。データは、ASDを有する105名の小児(11名の女性)および36名のTD(19名の女性)小児から解析した。ASDを有する小児において、自閉症診断観察検査での平均スコアは12.5(SD = 4.44;ほぼすべての症例においてモジュール 3を与えられた)であり、対人応答性尺度での平均スコアは81.73(SD=20.27)であり、対人コミュニケーション質問紙での平均スコアは20.77(SD=9.49)であった。
両方の群の年齢範囲は、6〜16 歳であり、t−検定により、これらの群は年齢において類似していることが実証された(TD = 10.90歳 +/−2.78; ASD = 10.07歳 +/−2.37; t(139)=1.74、有意差なし)。これらの群はそれらのウェクスラー児童用知能検査-IV 知覚推理指標スコアでは差はなかった(TD = 108.83+/−14.64; ASD = 103.61+/−15.18; t(139)=1.80、有意差なし)。ASDを有する個体はより低いCELF−4中心的言語指数スコアを有していた(TD = 109.44+/−11.29; ASD = 88.70+/−19.37; t(139)=6.08、p < 0.01)。
聴覚刺激
聴覚刺激はイヤーチップ挿入 (Etymotic ER3A、Elk Grove、Il)を介して与えた。ASDを有する小児はより弱い聴力を有する傾向があり(検出閾値はTD 群よりも約 5 dB高かった)、TDおよびASD 群は聴力閾値において異なっており、左耳では、t(137)=1.94、p<0.05、右耳では、t(118)=2.88、p<0.01であった(2名の参加者は閾値情報を欠いていた)。しかしながら、刺激を、個々に決定した閾値を上回る45dBにて提示し、個体(および群)の聴力閾値差について制御した。MEG 試験の際に、300ミリ秒の持続時間(10ミリ秒のオンセットオフセット勾配を有する) の、200、300、500および1000Hzの正弦波音を、両耳に提示した。音は無作為に提示し、刺激間隔は1秒とした(微小振動 +/− 100ミリ秒)。およそ 7分間の記録時間にわたって、各々4つの周波数での105の音を提示した。
MEG記録
記録は275−チャンネル MEG システム(VSM MedTech Inc.、Coquitlam、BC)を用いて得た。頭皮に付着させた3つの頭部位置指示コイルにより、頭部に対するMEGセンサーの位置および配向の連続的特定を提供した。疲労を最小化するために、対象には、快適に見える距離に位置させたスクリーン上に映した動画を見せた(しかし、聴かせはしなかった)。瞬目活動の同定を補助するために、瞬目眼電図(EOG; 双極傾斜、右上および左下部位)を収集した。心電図(ECG)記録のために左鎖骨および右鎖骨上にもまた電極を付着させた。帯域フィルター(0.03〜300Hz)の後に、EOG、ECG、およびMEG 信号を1200Hzでデジタル化し、MEGデータのために三次磁場勾配計を用いて環境ノイズを低下させた。
MEGデータ解析
時期 (刺激前 500ミリ秒から刺激後500ミリ秒)を連続的記録から規定した。瞬目および心拍活動を、Roberts et al.(Autism Res. (2010) 3:8−18)において概要が述べられている手順を用いて補正した。瞬目または心拍以外の人為現象を伴う時期は、振幅および傾斜基準によって棄却した(振幅>1200fT/cm、傾斜>800fT/cm/サンプル)。非混入時期は刺激タイプにしたがって平均した。
左STGおよび右STGにおけるM100源(source)の強度および潜時の決定は、複数の源を有するモデルを用いて、各個体の生MEG 表面活動を脳空間(MEGデータはモントリオール神経研究所(Montreal Neurologic Institute)(MNI) 平均化脳に共記載した) に変換するための標準源モデルを適用することにより、達成した(Scherg, M. (1990) Fundamentals of dipole source potential analysis, in Auditory evoked magnetic fields and electric potentials. Advances in audiology, M.H.G.L.R. Gandori, Editor. Karger: Basel, Switzerland. p. 40−69; Scherg et al. (1996) Electroencephalogr Clin Neurophysiol Suppl., 46:127−37 ; Scherg et al. (1985) Electroencephalogr Clin Neurophysiol, 62:290−9)。源モデルは、(1) 左および右 STG 双極子源、および、(2)脳背景活動をモデル化し、さらなる振動活動についてのプローブ源として役立つ、9つの固定された領域源を含めることによって構築した。各参加者について導かれる瞬目源ベクトルもまた、瞬目活動を除くために含めた(Berg et al. (1994) Electroencephalogr Clin Neurophysiol, 90:229−41; Lins et al. (1993) Brain Topogr, 6:65−78)。最後の源モデルは生MEGについての源モンタージュとして役立つ(Scherg et al. (1994) Neurophysiol Clin, 24:51−60; Scherg et al. (2002) J Clin Neurophysiol, 19:91−112)。M100 STG 応答の強度および潜時は、標準的位置に配置された双極子源を用いて得たが、各対象において、左および右半球双極子は最大M100に方向づけられていた。したがって、位置は固定されていたが、標準的 STG 源の配向は各対象について最適化されていた。
M100 STG 潜時を測定するために、1Hz(6dB/オクターブ、前方)から40Hz(48dB/オクターブ、ゼロ位相)の帯域フィルターを適用し、左および右 M100 STG ピーク潜時(ナノ−アンペア−メーター、nAmにて測定される)を、社内 MatLab ソフトウェアを用いて、M100 スコアリングウィンドウ(90〜190 ミリ秒)における最大点から算出した。
左および右 STG 源についての、単一試行の位相および振幅の算出には、各参加者において導き出された源モデルが、生のフィルターの掛かっていないデータに適用される、手順 (Hoechstetter et al. (2004) Brain Topogr, 16:233−8.)を改変したものを用いた。時間領域から時間−周波数領域への変換には、複雑な復調手順 (Papp et al. (1977) Biomed Sci Instrum, 13:135−45)を用い、これはBESA 5.2において実行され、2Hzずつ、4〜80Hzの周波数を用いた。1. 25ミリ秒毎に、各 25ミリ秒工程で連続データの、+/− 39.4ミリ秒および +/− 2.83Hz(半値全幅パラメーター)を使用して、音オンセットに対して連続的データを解析した。時間−周波数測度は、刺激オンセットに対して−400〜400ミリ秒にてコンピュータ処理した。誘発活動について、各周波数での背景活動(−400〜−100ミリ秒の平均パワー)を算出し、周波数の関数として差し引いた。誘発活動に加えて、各時間−周波数ビンについて、試行間コヒーレンスと称される位相同期の測度を、以下のようにコンピュータ処理し、
ここで、和は全部でN回の試行のものであり、φ(k)は、k回目の試行における信号の位相である。試行間コヒーレンス(ITC)は正規化された測度であり、ITC=1は位相可変性がないことを反映し、ITC=0は試行にわたっての最大の位相可変性を反映する(Lachaux et al. (1999) Hum. Brain Mapp, 8:194−208)。
群比較
時間−領域解析のために、対応のないt−検定により、M100源の強度および潜時における群差を探索した。一次時間−周波数解析では、t−検定を用いて25 ミリ秒ビンにおける4〜80 Hz の間の各偶数周波数および刺激オンセットの0〜400 ミリ秒後での活動を調べ、その結果、各半球について624回のt−検定(39 周波数×16時間ビン)を行った。ファミリーワイズエラーを制御するために、クラスタリング方法(この方法は、所与の確率レベルで雑音が閾値処理された後、所与のサイズのクラスターを生じる雑音の確率場の確率を、コンピュータ処理する) を用いて補正p値を得た。所望のファミリーワイズ補正を得るために必要とされるクラスターサイズを、標準的 fMRI パッケージ(AFNI AlphaSim、B. Douglas Ward)を用いて決定し、クラスタリングを特別注文 MatLab ソフトウェアを用いて行った。時間−周波数フィルター (即ち、時間 = +/− 39.4ミリ秒であり、周波数 = +/− 2.83Hzである)を特徴づける、時間(x 軸)および周波数(y 軸) 半値全幅パラメーターを用いて、各時間−周波数値についての初期p−値閾値である0.05、およびクラスターサイズ閾値である12 値 (時間および/または周波数において隣接している)によりファミリーワイズ補正されたp=0.05を提供した。
各群における男性および女性のパーセンテージに差があるため、時間−周波数解析を女性を除いて(女性のみの解析をコンピュータ処理するために十分なASD 群における女性がいなかった)、再実行した。さらに、時間−周波数群差が観察された、年齢範囲(6〜16 歳)が大きいため、関心領域解析を、年齢を制御した後でも群差が残存するかを決定するために、年齢を共変数として用いて実行した(群が年齢について変わらない場合、年齢の共変数としての使用は適切であった)。
最後に、各時間−周波数測度および症状重症度の間の関連を、CELF−4中心的言語指数および総合能力指数(GAI)、ウェクスラー児童用知能検査-IV(WISC−IV; Wechsler, D., Wechsler Intelligence Scale for Children 3rd ed. 2003, San Antonio, TX:The Psychological Corporation)から得たIQ測度を用いて調べた。GAIは学習記憶および処理速度を混同することのない、IQの指数を提供する。最後に、年齢との関連を調べるために、相関もまた用いた。群比較と同様に、確率場クラスタリングにより、すべての相関解析においてファミリーワイズエラーを制御した。
結果
STG 潜時
M100。群潜時差が右半球においてのみ観察された。右半球 M100応答のピークは、300 Hz (t(119) = 1.57、p = 0.12; わずかに有意)、および500 Hz (t(127) = 2.49、p = 0.01) において、ASDにおけるほうがTDにおけるよりも遅延しており、300 Hzおよび500 Hzの音刺激に対する右半球応答について、それぞれ、ASDを有する小児において7ミリ秒および約10 ミリ秒の遅延がみられた。
STG 時間−周波数活動
誘発振動活動。図1に示すように、補正されたクラスターは、ASD群においてTD 群(青色クラスター)におけるよりも、約50から約150ミリ秒のガンマ誘発活動のより小さい上昇を示した。ガンマ群差は両側的にすべての刺激について観察されたが、200、300および500 Hz 刺激について非常に顕著であった。低周波誘発群差は、右半球において500 Hzでのみ観察され、この半球および刺激周波数でM100 群潜時差はもっとも顕著であった。
誘発時間−周波数解析を男性のみを含めて再実行した。ガンマ群差がわずかに有意であった右 500 Hzを除いては、所見のパターンに変化はなかった。群差が観察されたROIを調べ、年齢を共変数として用いた解析を再実施したところ(全サンプル)、所見のパターンに変化はなかった。
試行間コヒーレンス(ITC)。図2に示すように、補正されたクラスターは、TD 群に対してASD群において、300、500、および1000 Hzにて約50から約200ミリ秒(クラスター)の左半球および右半球ガンマITCの低下を示した(グランドアベレージプロットは200 Hzでの右ガンマ群差を示唆しているが、これはこのサンプルにおいて有意性に達していなかった)。ITC測度は誘発測度と比べて低周波群差に対してより感受性であった。特に、TD群よりもASD群における低周波 ITCの低下が50ミリ秒以降の1000 Hzを除くすべての周波数から観察された。
ITC 時間−周波数解析を男性のみを含めて再実行した。所見のパターンは左 300 Hzについては変化がなく、右 300 Hzについてわずかに有意であった。男性を排除すると、群差は左または右のいずれの 500 Hz ガンマ活動についても解明されなかった。群差が観察されたROIを調べ、年齢を共変数として(全サンプル) 解析を再実行したところ、所見のパターンには変化はなかった。
刺激前振動活動。4つの音(即ち、200、300、500、および1000 Hz)を無作為に提示したため、すべての音についての試行(およそ420の試行)を平均した後に、群刺激前差を評価した。刺激前測度を各試行を時間−周波数変換し、次いで平均することにより、コンピュータ処理した(即ち、刺激前全パワー測度をコンピュータ処理した)。表1は、右STG高ガンマを除いて、調べたすべての周波数(即ち、シータ、アルファ、ベータ、低ガンマ、高ガンマ)において群差が観察されたことを示し、ASDにおいて刺激前パワーが上昇していた。
表1:刺激前群差を、すべての音についての試行(およそ420の試行)を平均した後に評価した。群平均(SD)およびp−値は、シータ、アルファ、ベータ、低ガンマ、および高ガンマについて、左および右 STGについて報告する。
男性のみを調べたところ、所見のパターンは、すべての刺激前群比較について変化はなかった。年齢を共変数として解析を再実行したところ(全サンプル)、右低ガンマ群および高ガンマ群を除いて、年齢に関連した相違を除いた後の比較は有意でなくなり、所見のパターンはすべてのその他の刺激前群比較について変化はなかった。
右M100 STG潜時の予測
時間−周波数測度が右半球 M100 STG 潜時を予測し、したがってASD 潜時遅延の原因となり得るかを決定するために、M100 潜時および刺激前活動ならびにM100応答に先行する刺激後活動の間の関連に相関指数で指標をつけた。より大きい左および右 STG 刺激前活動(4〜80 Hz)は、より長いM100 潜時と関連しており、集中的な解析は、この関連は、両方の半球においてすべての周波数帯域にわたって一般的に観察されたことを示した。M100の前の刺激後時間−周波数測度は右 M100 潜時と関連していなかった。したがって、刺激前電気生理学的異常の機能的意義が関係している。
刺激前活動、群、およびM100 潜時の間の関連をさらに調べるために、4〜80 Hz 刺激前活動を第一に(ほとんどの周波数での刺激前群差を単一の測度としてコンピュータ処理したため)、群を第二に、そしてそれらの相互作用を最後に入れ、M100 潜時を従属変数として、階層的回帰を行った。回帰は、群潜時差が観察された場合にのみ行った: 500 Hz 音に対する右半球応答。第一に加えた、刺激前活動が有意差の原因であった(r2 = 0.07、p<0.01)。第二に加えた、群がさらなる有意差の原因であり(r2 = 0.02、p<0.05)、刺激前活動および群の両方が、M100 潜時における独特の相違を予測したことが示された。相互作用の項は有意ではなかった。
臨床測度との関連
ASDにおける時間−周波数(即ち、誘発、ITC、および刺激前活動)およびCELF−4中心的言語指数およびGAIスコアの間の関連に相関指数で指標をつけた。ファミリーワイズ補正された相関マップを調べたところ、ガンマ活動との関連のみが観察された。左半球において、より低いCELF−4中心的言語指数スコアが、初期 100 Hz 刺激後誘発ガンマの上昇と関連していた(r = 0.33、p < 0.001; 同様の関連性は、いずれの半球においてもいずれのその他の周波数についても観察されなかった)。図3に示すように、CELF−4中心的言語指数でのより不良な成績および30〜50Hz 右半球刺激前活動の上昇の間に関連性があった(r = 0.36、p=0.01)。GAIスコアとの関連は観察されなかった。
年齢との関連
年齢およびM100 潜時の間の関連性が観察されている。本研究において、ゼロ次相関は、すべての音について年齢がM100 潜時を予測したことを示した(rs >0.40、ps < 0.003)。図4に示すように、年齢および刺激前活動(音にわたっての平均)の間の強い関連もまた観察された。
年齢がM100 潜時および刺激前群差の原因となる程度を調べるために、年齢を第一に、群を第二に、そしてそれらの相互作用を最後に入れ、M100 STG 潜時または右STG 刺激前活動(4〜80 Hz)を従属変数として、階層的回帰を行った。M100 潜時を従属変数としたところ、全部の回帰モデル(年齢、群、相互作用)がM100 潜時における有意差(ps < 0.01)の原因であった。すべての解析について(即ち、各半球および各音)、第一に加えた、年齢が有意差(ps < 0.001) の原因であった。群または相互作用のいずれの項もさらなる相違(500 Hz 刺激に対する右半球応答についてわずかに有意な群、p =0.08) の原因ではなかった。
刺激前活動を従属変数としたところ、全部の回帰モデル(年齢、群、相互作用)が刺激前活動における有意差(ps < 0.001) の原因であった。第一に加えた年齢は、有意差(左半球 = 28%、p < 0.001; 右半球 = 22%、p < 0.001) の原因であった。群は左半球においてのみさらなる相違(5%、p < 0.003)の原因であった。相互作用の項は有意ではなかった。
実施例2
GABA−8 アゴニストであるSTX209(アルバクロフェン(arbaclofen))の最近のフェーズ/I 臨床試験からの単一の対象に、ベースラインおよび治療の12週間後にMEGを行った。図5は聴覚 M100 潜時が治療後に短縮されていることを示す。実際、両方の半球における4つの刺激についての100 ミリ秒潜時の低下が観察された。図6および7は、両方の半球におけるガンマ−帯域試行間コヒーレンスの上昇を実証している。図6は、ベースラインにて有意なガンマ ITCがない一方で、ガンマ帯域 ITCは治療後に回復したことを示す。図7は定常状態ガンマパワー(AM 音によって誘発され、40Hzにて駆動されている)が治療後に強化されていることを示す。
実施例3
定型発達の際に、白質(WM)のミエリン形成が、より効率的な軸索信号伝導を可能とするために電気的絶縁を与える。このミエリン形成は、基礎的な感覚情報の処理ならびにより複雑な認知的作業の間の処理速度の上昇において非常に重要な決定因子である(Dockstader et al. (2012) Hum. Brain Mapp. 33,179−191; Kandel et al. (1991) In:
Principles of Neural Science. Elsevier Science Publishing Co., Inc., New York; Stufflebeam et al. (2008) NeuroImage 42:710−716)。発達の際のミエリン形成の重要性のために、発達障害を有する個体における白質成熟およびその結果の研究は興味深い。拡散異方性画像(DTI)は、水分拡散機構の測度である異方性比率(FA)を介して、白質成熟および WMの微細構造特性の、間接的測定を可能とする(Beaulieu, C. (2002) NMR Biomed., 15:435−455; Harsan et al. (2006) J. Neurosci. Res. 83:392−402)。
DTIは、脳構造の測定を提供する一方、脳磁図(MEG)は、高時間分解能での神経活動の記録を可能とする。したがって、DTIの微細構造データに対するMEGの機能的補完は、脳形態および脳機能の間の関連性についての洞察を与える(Dockstader et al. (2012) Hum. Brain Mapp. 33,179−191; Roberts et al. (2009) Neuro Report 20:1586−1591; Roberts et al. (2010) Autism Res., 3:8−18; Stufflebeam et al. (2008) NeuroImage 42:710−716)。 DTI 研究は小児期にわたる年齢にともなうFAの上昇を見出し (Ashtari et al. (2007) NeuroImage 35:501−510; Hasan et al. (2007) NeuroImage 34:1497−1505.; Schmithorst et al. (2002) Radiology 222:212−218)、その他の研究は、小児における年齢および誘発反応の潜時の間の逆相関を示した(Paetau et al. (1995) J. Clin. Neurophysiol., 12:177−185; Roberts et al. (2009) Neuro Report 20:1586−1591; Roberts et al. (2010) Autism Res., 3:8−18)。FAおよび潜時と発達との成熟関連性により、これらの測度の間の関連の検討が促されてきており(Dockstader et al. (2012) Hum. Brain Mapp. 33,179−191; Roberts et al. (2009) Neuro Report 20:1586−1591; Stufflebeam et al. (2008) NeuroImage 42:710−716)、FAの上昇および潜時の低下の間の関連が、発育変動の生物物理学的特徴であることを示す研究がなされている(Roberts et al. (2009) Neuro Report 20:1586−1591)。
定型発達 (TD)小児に対して、ASDを有する小児における、非定型の白質 FAおよび聴覚反応の遅延が実証されている(Lange et al. (2010) Autism Res., 3:350−358; Lee et al. (2007) Neurosci. Lett., 424:127−132; Gage et al. (2003) NeuroReport 14:2047−2051; Gage et al. (2003) Brain Res. Dev. Brain Res., 144:201−209; Oram Cardy et al. (2008) Int. J. Psychophysiol., 68:170−175; Roberts et al. (2008) Int. J. Psychophysiol., 68:149−160; Roberts et al. (2010) Autism Res., 3:8−18)。さらに、TD 小児における、聴放線 (視床の内側膝状核から、上側頭葉における一次聴覚野へと伸びている、非常に重要な WM 経路)のFAおよび100ミリ秒聴覚反応(M100)の潜時の間の関連が観察されており、FAおよびM100 潜時の両方が、年齢−依存的発育変動を示す(Roberts et al. (2009) NeuroReport 20:1586−1591)。
本研究では、初期の「中間潜時」皮質 50ミリ秒聴覚反応(M50)およびM50 潜時の、年齢および視床皮質投射のFAとの関連を調べる(Reite et al. (1988) Electroencephalogr. Clin. Neurophysiol., 70:490−498)。(MEG 例および興味のある聴覚反応は研究の間で異なっているが) Roberts et al. (2009) NeuroReport 20:1586−1591によって報告されたTD 個体の何名か(N=24)を本研究の同齢集団に含める。M50 潜時の成熟の速度およびWM 視床皮質投射において群差、ならびにこれらの測度の間の関連における群差が観察されるであろうことが仮定され、ASD 集団はM50 潜時およびFAの間のより弱い関連性を示すことが仮定された。
実験手順
参加者は、41名のTD 小児/青年 (平均年齢 = 10.88、SD = 2.70) および58名のASDを有する小児/青年(年齢 = 10.41、SD = 2.51)であった。群には年齢において差はなかった(p = 0.37)。ASD 診断は、DSM−IV 基準の熟練した臨床医の判断に基づいて以前になされたものであり、自閉症診断観察検査(ADOS)についての経験的に確立されたカットオフ値、ならびに、対人コミュニケーション質問紙(SCQ)および対人応答性尺度(SRS)を含む親が完成する質問票(parent−completed questionnaire)によって研究の参加の間、確認した(対象募集ならびに試験除外基準および試験対象患者基準についてのさらなる詳細は、Roberts et al. (2010) Autism Res., 3:8−18を参照されたい)。言語の基礎の臨床評価 (CELF−4) である中心的言語指数およびウェクスラー児童用知能検査(WISC−IV)である全検査IQ 、知覚推理指標(PRI)、および言語理解指数(VCI)についてのスコアもまた得た。
構造測定
DTIは、30方向での軸平面における全脳 2×2×2 mm3 等方性取得および3T(Siemens Verio商標、Siemens Medical Solutions、Erlangen、Germany)での1000 s/mm2 のb−値からなるものであり、70ミリ秒のTE、11秒のTR、スピンエコーエコープラナー系列、32−チャンネルヘッドコイル、45 mT/mの最大傾斜強度、および一般化自動較正部分並列取得による並列取得因子2を備えた改変単極 Stejskal−Tanner系列を用いるものであった。処理後には、テンソル固有値、FAの算出、および線維追跡を行った。解析は、0.25のFA 閾値および70°の角度カットオフ値を用いる線維割当連続追跡(Fiber Assignment by Continuous Tracking:FACT) アルゴリズムを用いてDTIStudioにおいて行った (Mori et al. (1999) Ann. Neurol., 45:265−269; Paetau et al. (1995) J. Clin. Neurophysiol., 12:177−185)。各ケースの画質は金属および/または動きに起因するアーチファクトのあらゆる兆候について目視検証した。かかるアーチファクトが観察されたケースは解析から除外した(Roberts et al. (2010) Autism Res., 3:8−18)。
DTI 解析により、内側膝状核と上側頭葉の一次聴覚野とを連結している視床皮質投射である、左および右聴放線を調べた。関心領域(ROI)は軸方向に色分けされたFAマップ上に示され、FAについて直接調べた。左および右 ROI内にシードを配置することによる線維追跡もまた、左および右聴放線の線維路の再構築を可能とし、ROI 配置を確認するために用いた。視床皮質経路の微細構造をさらに詳細に調査するために、平均拡散係数(MD)、軸方向の拡散係数(AD)および放射拡散係数(RD)の測度もまたコンピュータ処理した。これらのパラメーターは拡散テンソルの3つの固有値により関連しており、即ち:軸方向の拡散係数は主固有値の値(λ1)に等しく、放射拡散係数は第2および第3の固有値の算術平均((λ23)/2)である。平均拡散係数は3つのすべての固有値の算術平均としてコンピュータ処理する(したがって、RDおよびADの2:1重みつき平均と考えることができる)。FAは3つの固有値の標準偏差と考えることができる。
機能測定
データ取得に先立って、300ミリ秒の持続時間および10ミリ秒の立ち上がり時間の1000Hzの音を、両耳に、各耳についての聴覚閾値に達するまで増加的に提示した。タスクの間に音を、45dB 感覚レベル(閾値を上回る)で提示した。タスク刺激はEprime v1.1を用いて提示される1000Hz音および2000 Hz 音からなるものとした。音は音圧トランスデューサーおよびイヤーチップ挿入 (ER3A、Etymotic Research、Illinois)を介する対象の周辺耳道への伝音チュービングを介して提示した。各刺激試行は、50ミリ秒の音(無作為に提示された1000 Hz 音および2000 Hz 音)および2350ミリ秒(±100ミリ秒)の試行間間隔からなるものとした。アーチファクト−混入時期は棄却し、アーチファクトのない時期を平均し、1Hz(6dB/オクターブ、前方)から40Hz(48dB/オクターブ、ゼロ位相)の帯域フィルターを適用した。
MEG 解析ではM50 応答の潜時に着目した。全275 チャンネルのMEGデータを用いて、Roberts et al. (2009) NeuroReport 20:1586−1591により概要を述べられている方法を適用し、M50 源のピーク潜時の決定を、各参加者の生MEG 表面活動を脳空間へと変換するために、左および右 STG 源を含めた標準源モデルを各参加者に適用することにより達成した(Scherg et al. (1985) Electroencephalogr. Clin. Neurophysiol. 62:32−44)。両側 STG 源をM50 ピーク振幅にて各対象に方向づけた。M50 ピークは、M50 ピークがM100に直接先行する適切なセンサー−レベルトポグラフィーを有する最初のピークであり、刺激オンセット後の30−130 ミリ秒のスコアリングウィンドウにおける、Roberts et al. (2009) NeuroReport 20:1586−1591に記載の方法と同様の方法を用いて採取した。M50 潜時応答はベースラインについて補正する社内 MATLAB ソフトウェアを用いてスコア化した。M50 スコアリングウィンドウの潜時範囲の延長は、幼児およびASDにおいて観察されたより長いM50 潜時に応えるものであった(Roberts et al. (2010) Autism Res. 3:8−18)。
反復測定分散分析(Repeated−measure ANOVA)により群および半球ならびに群×半球相互作用の主効果を評価した。半球効果は聴放線 FAについて有意ではなかったので、半球を横切って相殺して(collapsing)さらなる解析を行った。周辺平均 FAおよびM50 潜時における群差を、年齢−共変一般線形モデルによって評価した。FAおよびM50 潜時と年齢との間の関連における群差を、年齢を第1に、群を第2に、および相互作用項(即ち、群×M50 潜時)を第3に入れて階層線形回帰を用いて調べた。FAおよびM50の間の関連における群差は階層線形回帰を用いて同様に調べた。
結果
7名の対象を、MRI 試験を完了することができなかったため(2名のASD)、または、MEGデータにおける過剰な金属アーチファクトのため(2名のTD、3名のASD)、最終解析から除外した。使用可能なデータを、39名のTD 小児/青年 (平均年齢 = 11.02、SD = 2.68)および53名のASDを有する小児/青年(年齢 =10.42、SD = 2.43)から得た。このわずかに減少したサンプルにおいて、群には年齢において差はなかった(p = 0.23)。
反復測定分散分析はFAについて半球の主効果を示さず(F = 1.34、p = 0.24)、有意な群または群×半球相互作用のいずれもなかった。したがって、引き続く解析では半球にわたって相殺し、左および右 DTIまたはMEGを平均した。M50について、両側応答が観察されなかった場合(8名の対象(3名のTD および5名のASD)において左 M50がなく、15名の対象(4名のTDおよび11名のASD)において右 M50がなかった)、識別可能な応答のみを用いた。M50の存在下では群差または半球差のいずれも観察されなかった(フィッシャー直接検定、p>0.05)。さらに、M50 応答を有する対象またはM50 応答を有さない対象は、年齢またはFAのいずれにおいても異ならなかった。さらなる解析のために、FAおよびM50 潜時を調べる階層的回帰を行い、年齢を第1に、診断を第2に、そして相互作用項を第3に入れた。
年齢−補正した周辺平均 FAについて、TD(平均 0.37±0.049) 群およびASD(平均 0.36±0.047) 群の間に差はなく、F = 0.07、p = 0.79であった。年齢−補正した周辺平均 M50 潜時について、TD(平均 67.67±14.94) 群およびASD(平均 73.49±14.27) 群の間に有意差があり、F = 4.31、p = 0.04であり、ASDにおける潜時延長(約10%)はM100 潜時所見と一貫性があった。
M50 潜時は TD(r = 0.43、p<0.01、勾配 = −2.4ミリ秒/年齢) およびASD(r = 0.44、p<0.01、勾配 = −2.6ミリ秒/年齢)において年齢とともに低下した。勾配の間の群差は有意ではなかった(p = 0.43)。
FAは TD(r = 0.50、p<0.01、勾配 = 0.009/年齢)において年齢とともに上昇したがASD(r = 0.11、p = 0.44、勾配 = 0.002/年齢)においてはそうではなかった。勾配の間の群差は有意であった(p = 0.03)。
M50 潜時はTD(r = 0.42、p<0.01、勾配 = −127.13)においてFAの上昇とともに低下したが、ASD(r = 0.028、p = 0.85、勾配 = 8.37) においてはそうではなかった。勾配の間の群差は有意であった(p = 0.03)。
TD 群のみを考慮すると、年齢のFAに対する効果(p<0.01)のリグレッションアウト(regressing out)の後、CELF−4 CLIとの残余関連は有意であり(p = 0.054)、CELF−4 CLIのポイント上昇あたり0.001 FA単位の正の勾配を有していた。この正の関係は、ASD 群において明らかに失われており(FA対M50の関連性の減少を想起させる)、ASDではCELF−4 は FAにおける1% R2 変化のみの原因であった(p = 0.46)。ASDまたはTDのいずれにおいても、非言語IQ (WISC−IVのPRI) との関連は同定されなかった(p>0.05)。M50 潜時について、SLIにおけるM100 所見と同様に、TDまたはASDのいずれについてもCELF−4 CLIとの関連はみられなかった(p>0.05)。
結果はまた半球の主効果の欠如も示した。半球にわたってM50 潜時値を相殺することにより、TDにおけるものと比較してASDにおけるM50 潜時において、統計的に有意な(p<0.05) 遅延が明らかになった。いずれの半球についても、半球にわたって相殺された値についても、周辺平均 FAにおける群間差はなかった。M50 潜時は、左半球 (r = 0.34、p<0.05、勾配 = −2.2 ミリ秒/年齢)および右半球(r = 0.53、p<0.05、勾配 = −2.8ミリ秒/年齢) においてTDにおいて年齢とともに低下した。半球の間に群内有意差はなかった(p = 0.63)。M50 潜時は、左半球(r = 0.45、p<0.05、勾配 = −2.9 ミリ秒/年齢)および右半球(r = 0.25、p = 0.11、勾配 = −1.6 ミリ秒/年齢)においてASDにおいて年齢とともに低下した。勾配の間の群差はいずれの半球についても有意ではなかった(p>0.36)。半球にわたって相殺されると、両方の群においてM50 潜時の有意な年齢−依存的短縮があり、勾配においては有意に相違しなかったが、切片における有意差により、 TDにおけるものと比較してASDにおける持続的なM50 潜時遅延が明らかである。FAは、左半球(r =0.33、p<0.05、勾配 = 0.007/年齢)および右半球(r = 0.50、p<0.05、勾配 = 0.011/年齢)においてTDにおいて年齢とともに上昇した。FAは、左半球(r = 0.08、p = 0.55、勾配 = 0.002/年齢)または右半球(r =0.09、p = 0.54、勾配 = 0.002/年齢)のいずれにおいてもASDにおいて年齢により変化しなかった。勾配の間の群差は、左半球については有意ではなかったが(p = 0.19)、右半球については有意であった(p<0.05)。半球にわたって相殺することにより、勾配における有意な群差が明らかになった(TD = 0.002 単位/年齢; ASD = 0.009 単位/年齢、p<0.05)。M50 潜時は、左半球(r = 0、p<0.05、勾配 = −102.16)および右半球(r = 0、p<0.05、勾配 = −87.19)においてTDにおいてFAの上昇とともに低下した。M50 潜時は左半球(r = 0、p = 0.24、勾配 = 44.22)または右半球(r = 0、p = 0.39、勾配 = −40.46)のいずれにおいてもASDにおいてFAによって変化しなかった。勾配の間の群差は左半球において有意であったが(p<0.05)、右半球において有意ではなかった(p = 0.44)。
TDに対してASDにおける異方性比率(FA)の年齢−依存性の低下の生物学的基礎を理解するために、関連する拡散パラメーターである、平均拡散係数、軸方向の拡散係数および放射拡散係数(MD、AD、RD)を解析した。ASDを有する個体ではTDに対して軸方向の拡散係数が上昇していた(p<0.05)。ASDを有する個体は放射拡散係数の成熟低下を示したが、TDにおいて観察されたものよりもより遅い速度でのものであった。また、ASDを有する個体は年齢とともに軸方向の拡散係数が低下する有意でない傾向を示したが、一方、TD 群は軸方向の拡散係数に対する年齢−依存性の欠如を示した。
仮定していたように、聴放線のFAは、(TD 小児においてのみであるが)年齢と正に関連しており、M50 潜時は、(TDおよびASDの両方について) 年齢と負に関連してした。群間差を調べると、ASD 群はM50 応答の遅延を示した。興味深いことに、ASD 群ではM50 応答が遅延していたが、M50 潜時対年齢の関連性の勾配は群間で差がなく;むしろ、切片に差があった。さらに、群間で平均聴放線 FAにおける群差はなかったが(年齢について補正)、FAは、TDにおいて年齢とともに上昇したが、ASD 群では上昇しなかった。実際、この研究の主な知見は、ASDを有する小児における聴放線 FAにおける発育変動の、明らかな非存在、またはすくなくとも考慮すべき遅延である。
TD 群において、聴放線のFAは、年齢およびM50 潜時と関連しており、聴覚皮質の電気生理学的応答の成熟におけるWM 発達の役割を示唆していた。ASD 群において、M50 潜時は、有意な成熟年齢依存性を示したが、M50 潜時は聴放線 FAとは有意に関連しておらず、ASDにおける聴覚皮質電気生理および視床皮質白質の構造−機能関連性の間の非連関(uncoupling)を示している。したがって白質伝導速度以外の因子が、聴性誘発反応の成熟に影響しており、これらの因子の少なくともいくつかはASDにおける非定型の発達速度を示さない。シナプス伝達等のこれらの因子の研究には興味がもたれる。1例として、Edgar et al.(2013)は、刺激前パワーがM100応答潜時を予測し、刺激前パワーの上昇 (即ち、より大きい雑音)はより長いM100応答潜時を予測することを示した。
FAと対照的に、聴放線の平均拡散係数は、TDと同様の様式にて、ASDにおいて年齢とともに低下した。しかしながら、根底にある軸方向の拡散係数変化および放射拡散係数変化の検討は、平均拡散係数の所見の根底にある機構は、群間で異なることを示唆している。特に、放射拡散係数は、TDにおけるよりもASDにおいてより遅い速度で低下する傾向があった一方で、軸方向の拡散係数はASDにおいて低下する傾向にあったがTDにおいて漸近的であった。これらの傾向の組合せは、FAについて観察されたASDおよびTDの間の年齢−勾配における有意差、およびMDの年齢−勾配における群差の欠如の原因となっている。TDにおいて観察されたものから勾配において相違しなかった、ASDにおけるM50 発達曲線を考慮すると、各年齢においてTD 群と比較してASDにおいて持続していた5−6 ミリ秒のシフトは、おそらくASD 群における非定型のWM 成熟に起因しうる。ASD 群における軸方向の拡散係数および放射拡散係数の年齢−関連変化にもかかわらず、これら変化(および実際、複合測度である、平均拡散係数)の成熟M50 潜時との関連の欠如は、これらDTI パラメーターにより指数をつけられたWM 成熟過程は実際にASDにおいて非定型であることを示唆している。
WM 拡散異方性および電気生理学的聴覚皮質応答は発達にわたって成熟し、個体の年齢が上がると異方性比率および初期の聴覚潜時は大きくなる。ASDを有する個体は異常な WM 発達およびM50 応答における遅延を示した。拡散異方性比率およびM50 潜時の間の強い相関がTD 群においてのみ観察され、これはWM 成熟は電気的刺激の伝導を促進して、より効率的で迅速な電気生理学的活動を達成することを示唆している。WM構造および聴覚皮質機能の関連性の減少がASDを有する個体において観察されたが、M50 潜時は、同年齢の定型発達対照と比較して系統的に遅延したにもかかわらず、ASDにおいて年齢の関数として低下した。したがって、白質伝導速度以外の因子が聴性誘発反応に影響しており、これら因子の少なくともいくつかはASDにおいて非定型の発達曲線を示さない。
特定の本発明の好ましい態様を上記に記載し、具体的に例証したが、本発明はかかる態様に限定される意図ではない。様々な改変が、以下の特許請求の範囲に示す、本発明の範囲と精神とを逸脱することなくそれら態様になすことができる。

Claims (14)

  1. 対象における自閉症スペクトラム障害を診断する方法であって、対象に聴覚刺激を与えた後、脳磁図によって、該対象における脳活動を測定することを含み、
    ここで、正常対象と比較して該対象における50および/または100ミリ秒応答の遅延が、対象が該自閉症スペクトラム障害を有することを示す、方法。
  2. 対象における自閉症スペクトラム障害を診断する方法であって、対象に聴覚刺激を与えた後、脳磁図によって、該対象における脳活動を測定することを含み、
    ここで、正常対象と比較して該対象におけるガンマ周波数帯域における刺激誘発活動の低下が、対象が該自閉症スペクトラム障害を有することを示す、方法。
  3. 正常対象が対象と同年齢のものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 自閉症スペクトラム障害に対する治療法をスクリーニングする方法であって、該方法が:
    a)対象に治療法を施すこと;および、
    b)対象に聴覚刺激を与えた後、脳磁図によって、該対象における脳活動を測定すること、を含み、
    ここで、ベースラインと比較して該対象における50および/または100ミリ秒応答の遅延の低下が、治療法が該自閉症スペクトラム障害に対して有効であることを示すか、または、
    ベースラインと比較して該対象におけるガンマ周波数帯域における刺激誘発活動の上昇が、治療法が該自閉症スペクトラム障害に対して有効であることを示す、方法。
  5. 治療法を施す前に対象に聴覚刺激を与えた後、脳磁図によって、該対象における脳活動を測定することにより、対象のベースラインを決定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 該治療法が化合物である、請求項4に記載の方法。
  7. 該化合物が小分子である、請求項6に記載の方法。
  8. 該治療法が非薬理学的介入である、請求項4に記載の方法。
  9. 対象が自閉症スペクトラム障害に対する治療法に応答性であるか否かを決定する方法であって、該方法が:
    a)対象に治療法を施すこと;および、
    b)対象に聴覚刺激を与えた後、脳磁図によって、該対象における脳活動を測定すること、を含み、
    ここで、ベースラインと比較して該対象における50および/または100ミリ秒応答の遅延の低下が、該対象が治療法に応答性であることを示すか、または、
    ベースラインと比較して該対象におけるガンマ周波数帯域における刺激誘発活動の上昇が、該対象が治療法に応答性であることを示す、方法。
  10. 化合物の投与の前に対象に聴覚刺激を与えた後、脳磁図によって、該対象における脳活動を測定することにより、対象のベースラインを決定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 該治療法が化合物である、請求項9に記載の方法。
  12. 該化合物が小分子である、請求項9に記載の方法。
  13. 該治療法が非薬理学的介入である、請求項9に記載の方法。
  14. 該対象が、治験への包含について容認できるものであると決定される、請求項9に記載の方法。
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