JP2015096714A - 制御装置、燃焼器、ガスタービン、制御方法及び制御プログラム - Google Patents
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メイン系統は、それぞれ異なる本数のノズルを備えた複数の燃料系統が備えられており、部分負荷での燃焼効率低下によるCO(Carbon Monoxide)、UHC(Unburned Hydro Carbon:未燃炭化物)増加抑制のために、燃料系統を切り替えて燃料流量を制御する必要がある。このため燃料系統ごとに燃料流量調節弁が設けられ、この燃料流量調節弁の弁開度を調節することによって各燃料系統に供給する燃料流量が制御される。例えば、特許文献1及び特許文献2には燃料系統の切替時に燃料流量調節弁を制御し燃料流量を調節することでガスタービン出力や回転数の変動を抑制する手法が提案されている。
従来はこの問題に対し、人が確認しながら燃料流量調節弁を調節することで燃料系統に供給される燃料流量の比率を所望の値に近づけるようにしていた。
以下、本発明の一実施形態による制御装置を図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態における制御装置を備えるガスタービン装置のブロック図の一例である。図1に示すように、ガスタービン10は、空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機11と、圧縮空気中で燃料ガスを燃焼させ高温の燃焼ガスを生成する燃焼器12と、燃焼ガスにより駆動するタービン13と、を備えている。ガスタービン10は、発電機17はロータ16で連結されている。
圧縮機11の入り口にはIGV(inlet guide vane)14が備えられており、IGV14は圧縮機11への空気の流入を調整する。
燃焼器12は、燃料ガス供給装置(図示せず)と接続されている。燃焼器12と燃料ガス供給装置との間の燃料供給配管には燃料流量調節弁15が備えられている。燃料を供給する系統は複数系統設けられており、燃料流量調節弁15はその燃料系統ごとに備えられている。本実施形態においては各燃料系統としてメインA、メインB、パイロット、トップハットの4系統が備えられており、それぞれの燃料系統の先端には燃焼器に燃焼ガスを噴射するノズルが備えられている。
燃料流量調節弁15は、弁開度制御部18と接続されている。弁開度制御部18は、各燃料系統ごとに備えられた各燃料流量調節弁15の弁開度を調節して各燃料系統が燃焼器12に供給する燃料流量を制御する。
燃料流量指令値決定部100は所定の方法で燃焼器12に供給する燃料流量を示す燃料流量指令値を決定する。
全メイン燃料流量指令値101は、燃料流量指令値決定部100が決定した燃料流量のうちメイン系統(例えばメインA系統及びメインB系統)から燃焼器12に供給される燃料流量を示す値である。
弁開度制御部18は、全メイン燃料流量指令値101を取得し、全メイン燃料流量指令値101とメインA系統及びメインB系統に供給する燃料の比率とから各系統に供給する燃料流量を制御する。弁開度制御部18は、乗算器103、関数発生器104、弁開度指令値補正部19を備えている。
ここでメインA系統割合102a、メインB系統割合102bは、メインA系統及びメインB系統に全メイン燃料流量指令値101を振り分ける割合を示している。例えばメインA系統にノズルが3本備えられていて、メインB系統にはノズルが5本備えられている場合、メインA系統割合102aは「3/8」、メインB系統割合102bは「5/8」となる。メインA系統割合102a、メインB系統割合102bの値は、弁開度制御部18が備える記憶部(図示せず)に予め設定されているものとする。
制御器105は、圧力計21aが計測した圧力値a3及び圧力計21bが計測した圧力値b3を取得する。ここで圧力計21a及び圧力計21bとは、ガスタービン装置の備える圧力計測部であって、燃焼器12へ燃焼ガスを供給する複数の燃料系統それぞれの燃料流量調節弁15の下流に備えられており、燃焼ガスが各ノズルに分散される前(上流)における燃料供給配管内の燃焼ガスの圧力を計測する圧力計である。
制御器105は、これら圧力計21a、圧力計21bが計測した圧力値a3と圧力値b3との偏差に基づいて弁開度指令値に対する補正量を算出する。
制御器105は、計測した圧力値a3と圧力値b3とが等しくなるように燃料流量調節弁15aの弁開度指令値を補正する値(弁開度補正量a5)を例えばPID(Proportional Integral Derivative)制御などフィードバック制御の手法を用いて算出する。
弁開度制御部18は、関数発生器104aが算出した弁開度指令値a2と、弁開度指令値補正部19が補正した弁開度補正量a5を加算して燃料流量調節弁15aの弁開度を、また、関数発生器104bが算出した弁開度指令値b2に基づいて燃料流量調節弁15bの弁開度を制御する。
燃料流量調節弁15aで流量を制御した燃料ガスは、マニホールド22に備えられたメインA系統の配管に接続された各ノズルから燃焼器12へ供給される。燃料流量調節弁15bで流量を制御した燃料ガスは、マニホールド22に備えられたメインB系統の配管に接続された各ノズルから燃焼器12へ供給される。
図3を用いて図2で説明した弁開度指令値補正部19の動作の一例について説明する。
弁開度指令値補正部19は、制御器105と関数発生器106を備えており、関数発生器106については、上述のとおりである。
制御器105は、減算器107、PID調整器108を備えている。
減算器107は、圧力値a3と圧力値b3との差(偏差)を算出しPID調整器108に出力する。
PID調整器108は、圧力値a3と圧力値b3との偏差を取得し、所定のPID制御による方法で圧力値a3に対する補正量(圧力補正量a4)を算出する。そしてPID調整器108は、圧力補正量a4からその補正量に対応する弁開度補正量a5を算出する。弁開度補正量a5の算出には関数を用いてもよいし、圧力補正量と弁開度補正量とを対応づけて記憶部が保持するテーブルから弁開度補正量を読み込んで決定してもよい。
なお、PID調整器が行う補正の手法は、PID制御に限定するものではない。その他のフィードバック制御である例えばPI(Proportional Integral)制御によって偏差を低減してもよい。
なお、この例は、一つの燃料系統(メインA系統)と他の燃料系統(メインB系統)とにおける予め定められた燃料流量比が「3:5」で、この燃料流量比と配管径に基づいて他の燃料系統における圧力(圧力値b3)を補正係数「1」によって補正する場合の例である。
この例は、一つの燃料系統(メインA系統)と他の燃料系統(メインB系統)とにおける予め定められた燃料流量比が「3:5」で、この燃料流量比と配管径に基づいて他の燃料系統における圧力(圧力値b3)を補正係数「3/5」によって補正する場合の例である。
特に本実施形態においては、燃料流量指令値ごとに弁開度の補正量を記憶するので、燃料流量指令値を変更しても過去に学習した補正量を適用して直ちに燃料系統ごとの燃料流量を所望の値に制御することができる。
図4は、本実施形態における制御装置の一例を示す第2の図である。
図4を用いて本実施形態における燃料流量調節弁15の弁開度の補正方法の変形例を説明する。図2と同じ機能部には同じ符号を付して説明する。先に説明した実施形態と異なりこの変形例では、弁開度指令値補正部19が燃料流量調節弁15aの弁開度指令値に対する弁開度補正量a5だけでなく、燃料流量調節弁15bの弁開度指令値に対する補正量(弁開度補正量b5)も算出する。そして弁開度制御部18は、関数発生器104a、関数発生器104bが算出した弁開度指令値a2及び弁開度指令値b2をそれぞれ弁開度補正量a5及び弁開度補正量b5で補正した値に基づいて燃料流量調節弁15a、燃料流量調節弁15bの弁開度を制御する。
図5を用いて図4で説明した弁開度指令値補正部19の動作の一例について説明する。
減算器107、PID調整器108、関数発生器106の動作は図3で説明したとおりである。この変形例ではさらに乗算器110を備えている。乗算器110は、関数発生器106の算出した弁開度補正量a5を取得し、弁開度補正量a5と予め定められた補正ゲインとを乗算し、燃料流量調節弁15bの弁開度補正量b5を算出する。例えば弁開度補正量a5が、燃料流量調節弁15aを「a%」開く方向性で補正することを示す値であれば、燃料流量調節弁15bは「b%」閉じる方向で補正することになる。補正ゲインは、このように弁開度補正量a5を弁開度補正量b5に換算する為の係数であって、記憶部に予め保持されているものとする。
弁開度制御部18は、弁開度指令値a2を弁開度補正量a5で補正した弁開度指令値a6を用いて燃料流量調節弁15aの弁開度を制御する。また、弁開度制御部18は、弁開度指令値b2を弁開度補正量b5で補正した弁開度指令値a6を用いて燃料流量調節弁15bの弁開度を制御する。
以下、本発明の第二実施形態による制御装置を図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態における制御装置が備える弁開度指令値補正部の一例を示す図である。
本実施形態による制御器105は、不感帯設定部111を備えている点で第一実施形態と異なる。第二実施形態による弁開度指令値補正部19のその他の構成は、第一実施形態と同様である。
不感帯設定部111は、実際に計測された圧力値a3と圧力値b3との偏差が所定の許容範囲内に収まっている場合にこの偏差に対する不感帯を設けるための機能である。不感帯とする範囲については記憶部に設定値が記憶されているものとする。
本実施形態においては、不感帯を設けることで圧力値a3と圧力値b3との偏差が許容範囲外であるときだけ弁開度の補正を行う。これによって刻々と変化する圧力値a3,圧力値b3の値に対して逐一反応し頻繁に補正を行わなくて済むため、有意な補正量を維持することができる、また、ガスタービンを安定運用することができる。
以下、本発明の第三実施形態による制御装置を図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態における制御装置が備える弁開度指令値補正部の一例を示す図である。
本実施形態による制御器105は、スイッチ112を備えている点で第一実施形態と異なる。第三実施形態による弁開度指令値補正部19のその他の構成は、第一実施形態と同様である。
スイッチ112は、弁開度の補正を行うか否かを切り替える切替手段である。スイッチ112は、スイッチの切替に応じて圧力値a3と圧力値b3との偏差、又は値「0」をPID調整器108へ出力する。例えば、スイッチ112が手動により又はガスタービンが過渡的な状態であることを示す信号に基づいて自動で「ON」となった状態においてはスイッチ112は、値「0」をPID調整器108へ出力し、「OFF」となった状態では減算器107が算出した偏差をPID調整器108へ出力してもよい。この場合、スイッチが「ON」となっている間は偏差が「0」となる為、PID調整器108は補正量を算出しない。
本実施形態によれば、負荷遮断、ランバック、負荷変化中などガスタービンが過渡的な状態にあるときはスイッチ112をONにすることで補正動作を停止させることができる。それによって通常運転時に適切に設定された補正量を維持することができる。
以下、本発明の第四実施形態による制御装置を図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態における制御装置が備える弁開度指令値補正部の一例を示す図である。
本実施形態による制御器105は、不感帯設定部111、スイッチ112を備えている点で第一実施形態と異なる。第四実施形態による弁開度指令値補正部19のその他の構成は、第一実施形態と同様である。
本実施形態によれば第一〜三実施形態の効果を併せ持つことが可能である。つまり通常運転時には、複数燃料系統のノズルの上流における圧力を計測し、その計測値に基づき燃料流量調節弁の弁開度を補正することで所望の燃料流量でそれぞれの燃料系統に燃料を供給することができる。また、計測した圧力値と目標とする圧力値との差が所定以下であれば補正量の算出を停止し燃料流量調節弁の不必要な調節を行わないようにすることでガスタービンを安定して運転することができる。また、ガスタービンが過渡的な運転状態にあるときには補正量の算出を停止することで通常の運転状態における補正量を維持することができる。
14・・・IGV、15・・・燃料流量調節弁、16・・・ロータ、17・・・発電機、
18・・・弁開度制御部、19・・・弁開度指令値補正部、21・・・圧力計、
22・・・マニホールド、100・・・燃料流量指令値決定部、
101・・・全メイン燃料流量指令値、102・・・メイン系統割合、
103・・・乗算器、104・・・関数発生器、105・・・制御器、
106・・・(記憶装置付)関数発生器、107・・・減算器、
108・・・PID調整器、109・・・記憶指令信号、110・・・乗算器、
111・・・不感帯設定部、112・・・スイッチ
Claims (9)
- 燃焼器へ燃焼ガスを供給する複数の燃料系統それぞれに備えられた前記燃焼ガスの流量を調節する燃料流量調節弁と前記燃焼器に前記燃焼ガスを噴射するノズルとの間における燃焼ガスの圧力を計測する圧力計測部と、
前記複数の燃料系統のうち一つの燃料系統における前記圧力と、前記一つの燃料系統と他の燃料系統とにおける予め定められた燃料流量比に基いて前記他の燃料系統における前記圧力との偏差に基づいて算出した補正量によって前記一つの燃料系統及び他の燃料系統のうち少なくとも一つの燃料流量調節弁の弁開度を補正する弁開度指令値補正部と、
を備えることを特徴とする制御装置。 - 前記弁開度指令値補正部は、前記複数の燃料系統のうち少なくとも一部に備えられた前記燃料流量調節弁の弁開度を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 前記弁開度指令値補正部は、前記複数の燃料系統に備えられた全ての前記燃料流量調節弁の弁開度を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 前記弁開度指令値補正部は、前記偏差が許容範囲外であるときに前記補正を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。 - 前記弁開度指令値補正部は、前記補正を行うか否かを切り替える切替手段を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の制御装置を備えることを特徴とする燃焼器。
- 請求項6に記載の燃焼器を備えることを特徴とするガスタービン。
- 燃焼器へ燃焼ガスを供給する複数の燃料系統それぞれに備えられた前記燃焼ガスの流量を制御する燃料流量調節弁と前記燃焼器に前記燃焼ガスを噴射するノズルとの間における燃焼ガスの圧力を計測し、
前記複数の燃料系統のうち一つの燃料系統における前記圧力と、前記一つの燃料系統と他の燃料系統とにおける予め定められた燃料流量比に基いて前記他の燃料系統における前記圧力との偏差に基づいて算出した補正量によって前記一つの燃料系統及び他の燃料系統のうち少なくとも一つの燃料流量調節弁の弁開度を補正する
ことを特徴とする制御方法。 - 燃焼器へ燃焼ガスを供給する複数の燃料系統それぞれに備えられた前記燃焼ガスの流量を制御する燃料流量調節弁と前記燃焼器に前記燃焼ガスを噴射するノズルとの間における燃焼ガスの圧力を計測する圧力計測部を備えた制御装置のコンピュータを、
前記複数の燃料系統のうち一つの燃料系統における前記圧力と、前記一つの燃料系統と他の燃料系統とにおける予め定められた燃料流量比に基いて前記他の燃料系統における前記圧力との偏差に基づいて算出した補正量によって前記一つの燃料系統及び他の燃料系統のうち少なくとも一つの燃料流量調節弁の弁開度を補正する手段
として機能させるための制御プログラム。
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