JP2015007175A - インクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法 - Google Patents

インクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】間欠吐出特性(発一性)に優れるインクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法を提供する。
【解決手段】色材、インクの蒸発防止剤および水を含有するインクジェット用の記録インクである。蒸発防止剤として、難水溶性化合物と、易水溶性化合物と、を含有し、難水溶性化合物は、水に対する飽和溶解量(20℃)が1.0(g/100g)以上、3.0(g/100g)以下の化合物であり、易水溶性化合物は、水に対する飽和溶解量(20℃)が20.0(g/100g)以上で、かつ、親疎水度係数が0.37以下の化合物であり、難水溶性化合物は、前記記録インク100g中に、水に対する飽和溶解量(20℃)の0.7倍以上、1.0倍以下の量が含有され、前記易水溶性化合物の含有率a(質量%)と、前記難水溶性化合物の含有率b(質量%)とが、1.0≦a/b≦6.0の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法に関するものである。
インクジェット方式の記録方法は、低騒音、低ランニングコストで、装置の小型化が容易であり、カラー化も容易である等の利点を有している。従って、現在ではプリンタのみならず複写機等にも広く応用されている。
近年、前記記録方法においては、高画質化を図るためにインク液滴の微小化が進展しており、高画質化とともに画像品位の信頼性を向上させることが要求されている。このような状況の下、特に重要な課題とされているのが間欠吐出特性(「発一性」とも称される。)の改善である。前記記録方法において、記録ヘッドの一部の吐出口から長時間に渡ってインクが吐出されず、かつ、記録ヘッドの回復動作を行わない場合には、前記吐出口からインク中の水分等の蒸発が進行し、乾燥によるインクの増粘やノズルへのインクの固着が起こる。その後、前記吐出口から再度インクを吐出させようとすると、1発目のインクの吐出が不安定になり、或いはインクの吐出が不能(不吐)となり、その結果、画像が乱れてしまうおそれがある。
特に近年、前記記録方法において、用紙より幅広のライン型ヘッドを用い、ヘッドを固定した状態のままヘッドの下に用紙を搬送し、その用紙に対してインクを付与し、1パスで記録を行うライン方式が採用されるようになってきた。ライン方式はヘッドを左右に往復させながら用紙を送って印刷を行うシリアル方式と比較して高速印刷が可能であるという利点がある。
一方、シリアル方式においては、ヘッド(ノズル)が用紙の1つの箇所を複数回通過するのに対し、ライン方式は用紙の1つの箇所を1回しかヘッド(ノズル)が通過しない。従って、シリアル方式は1つのノズルに不具合があっても他のノズルにカバーさせることができ、画像品位の低下を抑制し得るのに対し、ライン方式は1つのノズルでも吐出不安定ないし不吐が発生すると、即時に画像品位を低下させる原因となる。従って、ライン方式においては、間欠吐出特性の改善が極めて重要な課題となっている。
前記のような間欠吐出特性を改善し得る方策としては、色素および液媒体から構成されるインクジェット用インクにおいて、前記液媒体中に炭素原子数7以上のアルキレングリコールを含有させることが提案されている(特許文献1)。特許文献1には、この技術によってプリント一時停止後のヘッドの目詰りを防止することができる旨が記載されている。
また、水、着色剤およびエチレングリコール系有機溶媒を含有するインクジェット用記録液において、他の有機溶媒よりも前記エチレングリコール系有機溶媒を多量に含有させることが提案されている(特許文献2)。特許文献2には、この技術によって低湿度環境下で一定時間以上、吐出されていない吐出口において、水の蒸発により吐出口付近のインク粘度が上昇し、正常な吐出が行なわれなくなる欠点を改善することができる旨が記載されている。
特開平3−255171号公報 特開2000−297237号公報
本発明者らは、特許文献1または特許文献2に記載されたような従来のインクについて間欠吐出特性の評価を行った。その結果、いずれのインクも、インク中の水分が一旦、蒸発し始めると、ノズル先端部においてインクが経時的に増粘していき、間欠吐出特性が顕著に低下することが判明した。
本発明は、前記従来技術の課題を解決するためになされたものである。即ち、記録ヘッドが、大気中に曝露され、かつ、印字をさせない状態で長期間放置された場合等、インク中の水分が蒸発し易い条件下にあっても、水の蒸発が実質的に停止され、長期間に渡って吐出特性が良好なインクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法を提供するものである。換言すれば、本発明は、間欠吐出特性(発一性)に優れるインクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法を提供するものである。
本発明者らは前記課題について鋭意検討を行った。その結果、インクの蒸発防止剤として、易水溶性化合物に加えて難水溶性化合物を用い、これらの化合物の水溶性の程度および量比を精密に制御することによって、前記課題を解決し得ることに想到し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示すようなインクジェット用の記録インクおよびインクジェット方式の記録方法が提供される。
[1]記録インク:
本発明によれば、色材、インクの蒸発防止剤および水を含有するインクジェット用の記録インクであって、前記蒸発防止剤として、難水溶性化合物と、易水溶性化合物と、を含有し、前記難水溶性化合物は、水に対する飽和溶解量(20℃)が1.0(g/100g)以上、3.0(g/100g)以下の化合物であり、前記易水溶性化合物は、水に対する飽和溶解量(20℃)が20.0(g/100g)以上で、かつ、下記式(1)で示される親疎水度係数が0.37以下の化合物であり、前記難水溶性化合物は、前記記録インク100g中に、水に対する飽和溶解量(20℃)の0.7倍以上、1.0倍以下の量が含有され、前記易水溶性化合物の含有率a(質量%)と、前記難水溶性化合物の含有率b(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用の記録インク;が提供される。
Figure 2015007175
式(2)
1.0≦a/b≦6.0
本発明の記録インクにおいては、前記難水溶性化合物が、1のベンゼン環と、水酸基と、を有する芳香族化合物であること;前記芳香族化合物が、フェノキシアルカノール、フェニルアルカノールおよびアミノフェノールの群から選択される少なくとも1種であり、かつ、炭素数が6〜9の化合物であること;が好ましい。
また、本発明の記録インクにおいては、前記易水溶性化合物が、多価アルコールおよび尿素類の群から選択される少なくとも1種の化合物であること;が好ましい。
[2]記録方法:
また、本発明によれば、インクジェット用の記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドから前記[1]に記載の記録インクを吐出させ、前記記録ヘッドの下に搬送された記録媒体に対して前記記録インクを付与し、記録を行うことを特徴とするインクジェット方式の記録方法;が提供される。
本発明の記録方法においては、前記記録ヘッドとして、ノズル壁によって仕切られた複数のノズル流路が形成され、前記ノズル流路に連通する複数の吐出口が形成され、各々のノズル流路の内部にヒーターが配置されているサーマル方式の記録ヘッドを用い、前記記録インクを前記ヒーターにより加熱し、熱によって発生した気泡の圧力を利用して前記記録インクを前記吐出口から吐出させること;が好ましい。
また、本発明の記録方法においては、前記記録ヘッドとして、前記記録媒体より幅広のライン型ヘッドを用い、前記記録ヘッドを固定した状態のまま前記記録ヘッドの下に前記記録媒体を搬送し、前記記録媒体に対して前記記録インクを付与し、1パスで記録を行うこと;前記記録ヘッドとして、1ノズル列当たりの総ノズル数が1200以上、複数のノズル流路によって形成されるノズル列の長さが2インチ以上のものを用いること;が好ましい。
更に、本発明の記録方法においては、前記記録ヘッドとして、前記吐出口の開口面積が、100μm2以上、350μm2以下のものを用い、前記記録ヘッドから前記記録インクを3.0pl以上、10.0pl以下の吐出量で吐出させること;が好ましい。
本発明のインクおよび記録方法は、記録ヘッドが、大気中に曝露され、かつ、印字をさせない状態で長期間放置された場合等、インク中の水分が蒸発し易い条件下にあっても、水の蒸発が実質的に停止されるため長期間に渡って吐出特性が良好である。即ち、間欠吐出特性(発一性)に優れる。
記録ヘッドのノズルの内部構造を模式的に示す上面図である。 図1Aに示すノズルの内部構造を模式的に示す側面図である。 図1Aに示すノズルの吐出口を模式的に示す正面図である。 本発明の記録ヘッドを模式的に示す正面図である。 図2Aに示す記録ヘッドのA−A断面図である。 図2Aに示す記録ヘッドのB−B断面図である。 記録装置の全体構成を模式的に示す正面図である。 評価用の印刷パターンを模式的に示す平面図である。 印刷パターンの評価基準を模式的に示す平面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。但し、本発明は下記の実施形態に限定されず、その発明特定事項を有する全ての対象を含むものである。
[1]記録インク:
本発明の記録インクは、インクジェット用の記録インクであり、必須成分として色材、インクの蒸発防止剤および水を含有する。以下、成分毎に説明する。
[1−1]蒸発防止剤:
蒸発防止剤は、色材等の媒体である水の蒸発を防止し、乾燥によるインクの増粘やノズル先端部でのインクの固着による間欠吐出性の低下を防止するための添加剤である。本発明の記録インクは、前記蒸発防止剤として、難水溶性化合物と、易水溶性化合物と、を含有している。
[1−1A]難水溶性化合物:
難水溶性化合物は、水に対する溶解性を示すものの、その溶解量が微量である化合物である。難水溶性化合物は、インク中の水が蒸発してその濃度が上昇すると、インク中に溶解しきれなくなり、インクから分離される。ここで、非印字ノズルの先端部は大気中に暴露されているため、インク中の水が特に揮発し易い。従って、非印字ノズルの先端部には、インクから分離された難水溶性化合物によって油膜が形成され、この油膜によりインク中の水の更なる蒸発が抑制される。このような難水溶性化合物の作用によって、長期間に渡って安定的に記録インクを吐出させることができ、また、間欠吐出性を向上させることができる。
本発明にいう「難水溶性化合物」は、水に対する飽和溶解量(20℃)が1.0(g/100g)以上、3.0(g/100g)以下の化合物である。前記飽和溶解量が1.0(g/100g)以上の化合物を用いることにより、初期状態(水が蒸発する前の状態)において難水溶性化合物をインク中に溶解させておくことが可能となる。このような効果をより確実に発揮させるためには前記飽和溶解量が1.7(g/100g)以上の化合物を用いることが好ましい。一方、前記飽和溶解量が3.0(g/100g)以下の化合物を用いることにより、水が蒸発した状態において難水溶性化合物をインクから分離させることが可能となる。このような効果をより確実に発揮させるためには前記飽和溶解量が2.5(g/100g)以下の化合物を用いることが好ましい。
以上説明したように、本発明にいう「難水溶性化合物」は、前記飽和溶解量の範囲を満たす化合物であることが必要である。従って、前記飽和溶解量が0.6(g/100g)である1−ヘキサノールは、たとえ水溶性が低くても前記難水溶性化合物には含まれない。また、前記飽和溶解量が4.4(g/100g)のベンジルアルコールは、後述するフェニルアルカノールの構造を有するが、前記難水溶性化合物には含まれない。
前記難水溶性化合物は、1のベンゼン環と、水酸基と、を有する芳香族化合物であることが好ましい。前記芳香族化合物には、1または2以上の水酸基を有する芳香族化合物が含まれる。但し、1の水酸基を有する芳香族化合物が好ましい。水酸基を有する芳香族化合物は、顔料を安定的に分散させることができる点において好ましい(例えば、後述するフェノキシアルカノールまたはフェニルアルカノール等)。
水酸基はベンゼン環に直接結合されていてもよいし、他の官能基を介して間接的にベンゼン環に結合されていてもよい。後述するフェノキシアルカノールは水酸基がアルコキシ基を介してベンゼン環に結合された化合物であり、フェニルアルカノールは水酸基がアルキル基を介してベンゼン環に結合された化合物であり、アミノフェノールは水酸基がベンゼン環に直接結合された化合物である。
前記芳香族化合物は、フェノキシアルカノール、フェニルアルカノールおよびアミノフェノールの群から選択される少なくとも1種であり、かつ、炭素数が6〜9の化合物であることが好ましい。「炭素数が6〜9」とは、フェノキシアルカノール、フェニルアルカノールが、ベンゼン環以外に炭素数1〜3の炭化水素基を有していることを意味する。中でも、ベンゼン環以外に炭素数2または3の炭化水素基を有しているものが好ましい。具体的には、下記表1に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2015007175
これらの化合物の中でも、顔料を安定的に分散させることができるという理由から、1−フェノキシプロパノール、2−フェニルエチルアルコール、1−フェノキシエタノール、2−フェノキシエタノールが好ましく、1−フェノキシエタノール、2−フェニルエチルアルコール、1−フェノキシプロパノールが更に好ましい。
本発明の記録インクは、前記難水溶性化合物を少なくとも1種含有していればよい。但し、前記難水溶性化合物を1種のみ含有しているものが好ましい。前記難水溶性化合物は、前記記録インク100g中に、水に対する飽和溶解量(20℃)の0.7倍以上、1.0倍以下の量が含有されている。例えば、1−フェノキシエタノールは水に対する飽和溶解量(20℃)が2.5(g/100g)であるから、記録インク100g中に、1.75〜2.5gの量を含有させればよい。なお、難水溶性化合物が複数種含まれている場合には、個々の難水溶性化合物がそれぞれ、前記含有量の範囲を満たしている必要がある。
前記飽和溶解量(20℃)の0.7倍以上とすることにより、非印字ノズルの先端部に十分な体積の油膜を形成することができ、インク中の水の蒸発を抑制する効果が発揮される。このような効果をより確実に発揮させるためには、前記飽和溶解量(20℃)の0.75倍以上とすることが好ましく、0.8倍以上とすることが更に好ましく、0.9倍以上とすることが特に好ましい。一方、前記飽和溶解量(20℃)の1.0倍以下とすることにより、初期状態(水が蒸発する前の状態)における難水溶性化合物の分離を防止し、均一なインクを形成することができる。従って、吐出不良を防止することができ、また、間欠吐出性を向上させることができる。
[1−1B]易水溶性化合物:
易水溶性化合物は、水に対する溶解性が高い化合物である。易水溶性化合物は保湿性(水和力)が高いため、インク中の水の蒸発を抑制し、乾燥によるインクの増粘やノズルへのインクの固着を防止することができる。加えて、難水溶性化合物との親和性が低いので、難水溶性化合物によるノズル先端部での油膜形成を促進する。従って、長期間に渡って安定的に記録インクを吐出させることができ、また、記録インクの間欠吐出性を向上させることができる。更に、色材との親和性も高いため、インクの分散安定性を向上させる作用がある。
本発明にいう「易水溶性化合物」は、水に対する飽和溶解量(20℃)が20.0(g/100g)以上で、かつ、下記式(1)で示される親疎水度係数が0.37以下の化合物である。
Figure 2015007175
前記飽和溶解量が20.0(g/100g)以上の化合物を用いることにより、易水溶性化合物に難水溶性化合物が溶解され難くなり、難水溶性化合物の油膜をより一層形成し易くなる。即ち、難水溶性化合物の作用を阻害し難くすることができる。なお、易水溶性化合物の水に対する飽和溶解量に上限はない。即ち、任意の比率で水と混和する化合物も使用することができる。
また、親疎水度係数が0.37以下の化合物は、保湿性(水和力)が高いため、インク中の水の蒸発を抑制し、乾燥によるインクの増粘やノズルへのインクの固着を防止することができる。また、色材との親和性も高いため、インクの分散安定性を向上させる作用がある。このような効果をより確実に発揮させるためには、親疎水度係数が0.31以下の化合物を用いることが好ましく、0.30以下の化合物を用いることが更に好ましい。具体的には、表2に示す、親疎水度係数が0.31以下の化合物が特に好ましい。一方、親疎水度係数の下限は特に限定されない。親疎水度係数が低いほど高い保湿性を有する。後に例示する易水溶性化合物の中では、親疎水度係数が−0.43のポリエチレングリコール600が最も親疎水度係数が低い化合物である。
式(1)に示す「親疎水度係数」は、易水溶性化合物の保湿性(水和力)の程度を示す指標である。式(1)中の「水分活性値」は、下記式(1a)で示される。
(式1a)
水分活性値=(水溶液の水蒸気圧)/(純水の水蒸気圧)
希薄溶液においてはラウールの法則が成り立ち、その蒸気圧降下率は溶媒や溶質の種類に拘わらず溶質のモル分率に比例する。従って、水溶液中の水のモル分率と水分活性値は等しくなるはずである。しかし、実際に各種水溶性化合物の水溶液を用いて測定した水分活性値は、水のモル分率と一致しないことが多い。これは、溶質の水和力の程度によって水溶液の水蒸気圧が影響を受けるためである。即ち、溶質の水和力が大きい場合には水の蒸発が抑制されるため、水溶液の水蒸気圧が理論値より低くなる。従って、水溶液の水分活性値が水のモル分率より低くなり、その結果、親疎水度係数も小さくなる。一方、溶質の水和力が小さい場合には水の蒸発は抑制され難いため、水溶液の水蒸気圧は理論値より高くなる。従って、水溶液の水分活性値は水のモル分率より高くなり、その結果、親疎水度係数も大きくなる。
水分活性値には様々な測定方法が存在するが、本発明にいう「水分活性値」は、25℃の温度条件下、各々の易水溶性化合物の20質量%水溶液をチルドミラー露点測定法により測定した水分活性値を意味するものとする。水分活性測定装置としては、例えば、デカゴン<DECAGON>社製「アクアラブCX−3TE」等を用いることができる。
前記水分活性値は、各々の易水溶性化合物の一律濃度(20質量%)の水溶液を用いて測定している。しかし、その値を式(1)に代入することによって、易水溶性化合物の分子量が異なり水のモル分率が変動した場合でも、易水溶性化合物の水和力の程度を相対比較することが可能である。なお、水溶液の水分活性値が1を越えることはないため、親疎水度係数の最大値は1である。
本発明の記録インクにおいては、易水溶性化合物として、多価アルコールおよび尿素類の群から選択される少なくとも1種の化合物であって、親疎水度係数が0.37以下のものを用いることが好ましい。
「多価アルコール」とは、直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素を構成する2以上の水素原子を水酸基で置き換えた構造の化合物(アルカンポリオール)である。また、「多価アルコール」には、前記アルカンポリオールの縮合体(ジエチレングリコール等)、前記縮合体のエーテル酸素原子を硫黄原子に置き換えた化合物(チオジグリコール等)を含むものとする。多価アルコールの中でも、水溶性有機溶媒として用いられる多価アルコールが好ましい。
例えば、エチレングリコール(エタンジオール)、プロパンジオール(1,2−、1,3−)、ブタンジオール(1,2−、1,3−、1,4−)、ペンタンジオール(1,2−、1,3−、1,4−、1,5−)、ヘキサンジオール(1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−)等のアルカンジオール;
グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルカントリオール;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のアルカンポリオールの縮合体類;等を挙げることができる。
尿素類とは、下記一般式に示すような尿素骨格(カルボニル炭素の両端に2の窒素原子が結合した構造)を有する化合物である。尿素類としては、尿素の他、エチレン尿素等を挙げることができる。これらの化合物は、20℃で固体の水溶性化合物であるが、水に溶解されることによって、多価アルコールと同様の効果を奏する。
Figure 2015007175
代表的な多価アルコールおよび尿素類の親疎水度係数を表2に示す。
Figure 2015007175
表2に示す化合物のうち、トリメチロールプロパンより上段に記載された化合物は、全て多価アルコールであり、前記飽和溶解量が20.0(g/100g)以上の条件は満たすものの、親疎水度係数が0.37以下という条件を満たさない(例えば、1,5−ペンタンジオールの親疎水度係数は0.41)。即ち、これらの多価アルコールは水和力が不十分であり、本発明の記録インクにおける「易水溶性化合物」として使用することはできない。
一方、トリメチロールプロパンおよびこれより下段に記載された化合物は、本発明の記録インクにおける「易水溶性化合物」として使用することができる。即ち、これらの化合物は前記飽和溶解量が20.0(g/100g)以上、親疎水度係数が0.37以下という2つの条件を満たしている。これらの化合物の中でも、沸点が高く、揮発し難い点において、グリセリンが好ましい。従って、易水溶性化合物としてはグリセリンを単独で用いるか、グリセリンとその他の易水溶性化合物を併用することが好ましい。
本発明の記録インクは、前記易水溶性化合物を少なくとも1種含有していればよい。但し、顔料の分散安定性およびインクの保湿性を向上させる観点からは、前記易水溶性化合物を2種以上含有していることが好ましい。
[1−1C]難水溶性化合物と易水溶性化合物の量比:
本発明の記録インクは、前記易水溶性化合物の含有率a(質量%)と、前記難水溶性化合物の含有率b(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たしている。
式(2)
1.0≦a/b≦6.0
a/bの値を1.0以上とすることで、一定量の易水溶性化合物が含有されることになる。従って、インク中の水の蒸発が防止され、ひいては乾燥によるインクの増粘やノズルへのインクの固着が防止される。また、顔料の分散安定性を向上させることができる。これらの効果をより確実に得たい場合には、a/bの値を4.0以上とすることが好ましく、5.0以上とすることが更に好ましい。一方、a/bの値を6.0以下とすることで、インクの初期粘度を低下させることができ、間欠吐出性を向上させることができる。これらの効果をより確実に得たい場合には、a/bの値を5.7以下とすることが好ましい。
本発明の記録インクにおいて、難水溶性化合物が複数種含まれている場合、あるいは易水溶性化合物が複数種含まれている場合には、それらの合計量を基準にa/bの値を算出する。例えば、易水溶性化合物として、エチレン尿素(親疎水度係数:0.30)とグリセリン(親疎水度係数:0.11)を含む場合には、これらの合計量を基準にa/bの値を算出する。
なお、インク全量に対する難水溶性化合物または易水溶性化合物の含有率は特に限定されない。但し、難水溶性化合物の合計量がインク全量に対し0.7質量%以上、4質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上、3.5質量%以下であることが更に好ましい。また、易水溶性化合物の合計量がインク全量に対し1質量%以上、20質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上、17.5質量%以下であることが更に好ましい。
[1−2]色材:
色材には、染料および顔料が含まれる。染料および顔料としては、従来、インクジェット用の記録インクにおいて用いられてきた染料および顔料を好適に用いることができる。但し、従来公知のもののみならず、新たに発見ないし合成された染料や顔料を用いることもできる。
[1−2A]染料:
染料の分子構造等は特に限定されないが、水溶性染料を用いることが好ましい。例えば、以下に掲げるイエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料、ブラック染料等を好適に用いることができる。
イエロー染料としては、例えば、
(1)C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99等の酸性染料;
(2)C.I.ダイレクトイエロー8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、142等の直接染料;
(3)C.I.リィアクティブイエロー2、3、17、25、37、42等の反応染料;
(4)C.I.フードイエロー3等の食用色素;等を挙げることができる。
マゼンタ染料としては、
(1)C.I.アシッドレッド6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289等の酸性染料;
(2)C.I.ダイレクトレッド2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230等の直接染料;
(3)C.I.リィアクティブレッド7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59等の反応染料;
(4)C.I.フードレッド87、92、94等の食用色素;等を用いることが好ましい。
シアン染料としては、
(1)C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161等の酸性染料;
(2)C.I.ダイレクトブルー1、15、22、25、41、76、77、80、86、87、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226等の直接染料;
(3)C.I.リィアクティブブルー4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100等の反応染料;等を挙げることができる。
ブラック染料としては、例えば、
(1)C.I.アシッドブラック2、48、51、52、110、115、156等の酸性染料;
(2)C.I.ダイレクトブラック17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195等の直接染料;
(3)C.I.リィアクティブブラック1、8、12、13等の反応染料;
(4)C.I.フードブラック1、2等の食用色素;等を挙げることができる。
その他にも、例えばバイオレット染料であるC.I.ダイレクトバイオレット107(直接染料)等を用いることもできる。
[1−2B]顔料:
顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれを用いてもよい。また、これらの顔料は天然顔料でも合成顔料でもよい。
無機顔料としては、シリカ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等を挙げることができる。カーボンブラックには、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が含まれる。
有機顔料としては、例えば、
(1)アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;
(2)フタロシアニン顔料、ペリレン・ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;
(3)塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;
(4)ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等、前記(1)〜(3)以外の顔料;等を挙げることができる。
前記有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにより例示すると、
(1)C.I.ピグメントイエロー74、93、109、110、128、138等のイエロー顔料;
(2)C.I.ピグメントレッド122、202、209等のマゼンタ顔料;
(3)C.I.ピグメントブルー15:3、60等のシアン顔料;
(4)C.I.ピグメントブラック7等のブラック顔料;
(5)C.I.ピグメントオレンジ36、43等のオレンジ顔料;
(6)C.I.ピグメントグリーン7、36等のグリーン顔料;等を挙げることができる。但し、水に分散可能であれば、カラーインデックスに記載されていない顔料でも使用することができる。
本発明の記録インクを調製する際には、粉末状、顆粒状または塊状等の乾燥顔料の他、顔料のウエットケーキ、スラリー等を用いることができる。
顔料は自己分散顔料、樹脂分散顔料のいずれも用いることができる。但し、自己分散顔料を用いることが好ましい。
自己分散顔料は、上記顔料の表面に分散性付与基を、直接的に、またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して、間接的に結合することで合成することができる。このようにして、顔料から合成された自己分散顔料は、分散剤を別途添加しなくても水性溶媒中に分散または溶解させることができる。
自己分散顔料の表面に結合される分散性付与基は、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基(−COOH)、ケトン基(−CO)、水酸基(−OH)、スルフォン酸基(−SO3H)、リン酸基(−PO32)等を挙げることができる。
また、自己分散顔料は、インクの保存安定性を良好にし、かつ、ノズルの目詰まりを防止するため、その平均粒径が50nm以上、250nm以下の範囲内のものを用いることが好ましい。なお、顔料の平均粒径は、動的光散乱法を用いた粒度分布計を用いて測定することができる。粒度分布計としては、例えば、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子社製「F−PAR1000」)等を挙げることができる。
前記色材の含有率は、特に限定されず、色材の種類、記録インクの要求特性等により適宜決定すればよい。但し、記録インク全体に対し、1.0質量%以上、7.0質量%以下の比率で含有されていることが好ましい。1.0質量%以上とすることにより、所望の画像濃度を有する印刷物を形成することができる。一方、7.0質量%以下とすることにより、記録インクの保存性や吐出性が良好となる。
[1−3]水:
水は記録インクの媒体である。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水の含有率は特に限定されないが、記録インク全体に対し、70質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、72質量%以上、89質量%以下であることが更に好ましい。
[1−4]他の添加剤:
本発明の記録インクは、目的に応じて、蒸発防止剤以外の添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤としては、例えば界面活性剤、防黴剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、還元防止剤、塩等を挙げることができる。
[1−4A]界面活性剤:
界面活性剤としては、従来、インクジェット用の記録インクにおいて用いられてきた界面活性剤を好適に用いることができる。例えばノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンエステル、ソルビタンエステルエーテル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、オキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸のアルコールアミド、多価アルコールの脂肪酸エステル、アセチレンアルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、アセチレングリコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物;等を挙げることができる。
中でも、アセチレングリコール、アセチレンアルコールおよびこれらのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、前記アルキレンオキサイド付加物が更に好ましい。アセチレングリコールとしては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等を挙げることができる。アセチレンアルコールとしては、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等を挙げることができる。これらのアルキレンオキサイド付加物としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド付加物(エアープロダクツ社製「サーフィノール465」、同「サーフィノール485」等);POE(10)アセチレングリコール(日信化学工業社製「オルフィンE1010」、川研ファインケミカル社製「アセチレノールE100」等)を挙げることができる。
界面活性剤は、インク全体に対し0.05質量%以上、2質量%以下の比率で含有されていることが好ましい。0.05質量%以上とすることにより記録インクのノズル内のヌレ性を向上させることができ、吐出安定性を向上させることができる。一方、2質量%以下とすることにより、ノズル先端部で記録インク中の水分が蒸発した際の、記録インクの粘度上昇を低減させることができ、間欠吐出特性が向上する。
[1−4B]防黴剤:
防黴剤としては、例えばベンズイソチアゾリン−3−オン(ロンザジャパン社製「プロキセルXL−2(S)」等)等を用いることができる。防黴剤は、インク全体に対し0.01質量%以上、0.1質量%以下の比率で含有されていることが好ましい。
[1−4C]表面張力調整剤:
表面張力調整剤としては、例えば1,2−ヘキサンジオール等を用いることができる。表面張力調整剤は、インク全体に対し1質量%以上、5質量%以下の比率で含有されていることが好ましい。
[1−5]粘度:
本発明の記録インクは、粘度を1.5mPa・s以上、3.0mPa・s以下とすることが好ましい。粘度を1.5mPa・s以上とすることにより、特に顔料インクの場合において、顔料粒子の沈降速度を低下させることができ、顔料粒子が沈降し難くなる。一方、3.0mPa・s以下とすることにより、インクの流動性が向上し、ひいてはインクの吐出安定性も向上させることができる。前記効果をより確実に発揮させるためには、粘度を1.5mPa・s以上、2.5mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上、2.0mPa・s以下とすることが更に好ましい。
インクの粘度は、JIS Z 8803に準拠して、温度25℃の条件下、E型粘度計(例えば、東機産業社製「RE−80L粘度計」等)を用い、測定した値を意味するものとする。インクの粘度は、易水溶性化合物の項で例示した水溶性有機溶剤ならびに界面活性剤の種類や量等により調整することができる。
[2]記録方法:
本発明の記録方法は、インクジェット用の記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドから本発明の記録インクを吐出させ、前記記録ヘッドの下に搬送された記録媒体に対して前記記録インクを付与し、記録を行うものである。
[2−1]記録ヘッド:
以下、記録ヘッドの構造について、図1A〜図1Cおよび図2A〜図2Cを用いて説明する。但し、本発明で使用する記録ヘッドは、以下に説明する構成に限定されるものではない。
[2−1A]ノズル部分の構造:
まず、ノズル部分の構造について図1A〜図1Cを用いて説明する。図1Aは記録ヘッドのノズルの内部構造を模式的に示す上面図である。図1Bは図1Aに示すノズルの内部構造を模式的に示す側面図である。図1Cは図1Aに示すノズルの吐出口を模式的に示す正面図である。
サーマル方式の記録ヘッドは、図示のようにノズル壁153によって仕切られた複数のノズル流路159が形成され、ノズル流路159に連通する複数の吐出口151が形成され、各々のノズル流路159の内部にヒーター152が配置される。このような構造のヘッドは、ノズル流路159内部に充填された記録インクをヒーター152により加熱し、熱によって発生した気泡の圧力を利用して記録インクを液滴として吐出口151から吐出(飛翔)させることができる。
図示の形態では、ノズル流路159と共通液室156との間に、ヘッド内のインク流路中に浮遊する異物をトラップするためのノズルフィルタ155が設置されている。また、ノズル天板162が貼り付けられる天板部材161は異方性エッチング等で形成されたインク供給開口(不図示)を備え、外部からのインクを共通液室156からノズル流路159に導入可能に構成されている。
ノズル流路159はノズル壁153によって左右の両側面側が仕切られることに加えて、ノズル天板162によって上面側が、ノズル底板164によって底面側が仕切られている。即ち、ノズル流路159は、ノズル壁153、ノズル天板162およびノズル底板164を隔壁として周囲の空間から区画された略四角柱状の内部空間である。ノズル天板162は、Si等で構成される天板部材161に貼り付けられており、ノズル底板164はヒーターボード163に貼り付けられている
吐出口151はノズル流路159の一端に形成されるインクを吐出させる開口部であり、ノズル流路159を経由して共通液室156に連通されている。吐出口151はフェイス面に形成される。図示の例では、フェイス面はノズル壁153と一体的に形成されているが、別途フェイスプレートを設置してフェイス面を形成してもよい。吐出口151の開口面積は10〜350μm2、より好ましくは、100〜350μm2に構成される。開口面積をこの範囲とすることで、記録インクを0.5pl以上、より好ましくは、3.0pl以上、10.0pl以下の吐出量で吐出させることが可能となる。なお、前記開口面積は吐出口幅171と吐出口高さ172の積で表される。
ノズル流路は複数のノズル流路によってノズル列を形成している。ノズル列を形成するノズル流路の数は特に限定されないが、本発明の効果を発現させるためには、1ノズル列当たりの総ノズル数が1200以上であることが好ましい。より具体的には、1インチ当たりのノズル数が600〜2400個で、そのノズル列の長さが2インチ以上であることが好ましい。このような構成とすれば、解像度を600dpi以上とすることができる。
ヒーター152は、ノズル流路159に充填されたインクを加熱発泡させるための加熱手段である。ヒーター152はヒーターボード163に設置されている。ヒーター152としては抵抗体(例えばチッ化タンタル等からなる抵抗体)を用いることができる。ヒーター152には通電のためのアルミニウム等からなる電極(図示せず)が接続されており、その一方にはヒーター152への通電を制御するためのスイッチングトランジスタ(図示せず)が接続されている。スイッチトランジスタは制御用のゲート素子等の回路からなるICによって駆動を制御され、ヘッド外部からの信号によって、所定のパターンで駆動する。
ノズルの全長は200μm以上、300μm以下とすることが好ましい。この場合の「ノズルの全長」とは、ノズル流路159の長さを意味し、具体的にはノズル流路159を構成するノズル壁153の吐出口151側の端部から共通液室156側の端部までの長さを意味する。
ノズル流路159は、ヒーター中心157から吐出口151側の端部までの部分であるノズル前方部181と、ヒーター中心157から共通液室156側の端部までの部分であるノズル後方部182に区分される。吐出速度の観点から、ノズル前方部181の流抵抗(前方抵抗)と、ノズル後方部182の流抵抗(後方抵抗)は、前方抵抗/後方抵抗の値が0.3〜0.8であることが好ましい。なお、流抵抗は、流路断面積、流路長、吐出するインクの粘度等の値から、ハーゲン・ポアズイユの法則により計算で求めることができる。即ち、使用するインク(ひいてはその粘度)が定まれば、前方抵抗/後方抵抗の値は、ノズルの流路断面積、流路長等により調整することができる。
[2−1B]ノズル材:
ノズル流路159を仕切るノズル壁153、ノズル天板162、ノズル底板164は、例えば感光性樹脂により形成することができる。感光性樹脂としては、ラジカル重合反応を利用したネガ型レジスト、カチオン重合反応を利用したネガ型レジスト等を挙げることができる。
その他、ネガ型フォトレジストとしては、化薬マイクロケム社製の「SU−8シリーズ」、「KMPR−1000」、東京応化工業社製の「TMMR」、「TMMR S2000」、「TMMF S2000」等を用いることもできる。
これらの感光性樹脂の中でも、耐溶剤性、ノズル壁としての強度に優れたエポキシ系感光性樹脂を用いることが好ましい。具体的な市販品としては、東京応化工業社製「TMMR」が特に好ましい。
[2−1C]ヘッドの全体構造:
次に、記録ヘッドの全体構造について図2A〜図2Cを用いて説明する。図2A〜図2Cに示すような構造のヘッドは、特開2013−014111号公報に開示されている。従って、本願明細書においては前記公報の内容を引用することとし、その概略を説明するに留める。なお、図2Aは、本実施形態の液体吐出ヘッドの構造例を説明するための正面図であり、図2Bは、図2AのA−A断面図であり、図2Cは、図2AのB−B断面図である。説明の便宜上、正面図において液体供給ケースカバーは省略している。
記録ヘッドは、図示のように、複数のノズル流路と連通した共通液室112と、共通液室112と連通した開口部と、開口部と連通したメイン液体供給室126と、メイン液体供給室126と連通する液体供給路137と、液体供給路137と連通する液体供給室(第一液体供給室134、第二液体供給室135)と、液体供給室を、液体供給の際の流れに沿って上流側より第一液体供給室134と、第二液体供給室135とに分離するように配設された供給フィルター118と、メイン液体供給室126の一部に設けられた気液分離部120と、気液分離部120と連通する空気室141と、を備えていることが好ましい。
そして、ノズル流路と、共通液室112と、開口部と、メイン液体供給室126と、液体供給路137と、液体供給室(第一液体供給室134、第二液体供給室135)と、供給フィルター118と、気液分離部120と、空気室141とが、ノズル流路の配列方向と液体の吐出方向を含む平面に対して、平行平面上に配置され、メイン液体供給室126と、液体供給路137と、供給フィルター118と、気液分離部120と、空気室141とが、各々積層することなく配置されていることが好ましい。
セラミック製のベースプレート110はシリコンにより形成されるヒーター基板111を支持している。ヒーター基板111には、液体の吐出エネルギー発生素子としての複数の電気熱変換体(ヒーターまたはエネルギー発生部)とこれらの電気熱変換体に対応するノズルを構成するための複数の流路壁とが形成されている。また、ヒーター基板111には各ノズルに連通する共通液室112を囲む液室枠も形成されている。このように形成されたノズルの側壁および液室枠の上には、共通液室112を形成する天板113が接合されている。したがって、ヒーター基板111と天板113は互いに一体化した状態でベースプレート110に積層接着されている。このような積層接着は、銀ペーストなどの熱伝導率のよい接着剤によって行われる。ベースプレート110におけるヒーター基板111の後方には、実装済みのPCB(電気配線基板)114が両面テープ(図示せず)により支持されている。ヒーター基板111上の各吐出エネルギー発生素子とPCB114とは、各々の配線に対応するワイヤボンディングにより電気的に接続されている。
天板113上面には、液体供給部材115が接合されている。液体供給部材115は液体供給ケース116と液体供給ケースカバー117より構成されており、液体供給ケースカバー117が液体供給ケース116の上面を塞ぐことにより、後述する液室や液体供給路が形成される。本実施形態においては、液体供給ケース116と液体供給ケースカバー117の接合は、熱硬化型の接着剤により行われる。また、液体供給ケース116には供給フィルター118および排出フィルター119が配設されている。供給フィルター118は液体供給部材115に供給された液体中の異物の除去を目的とし、排出フィルター119は液体吐出ヘッド外部からの異物の侵入を防止することを目的とする。各々のフィルターは熱溶着によって液体供給ケース116に固定されている。さらに液体供給ケース116の一部には気液分離部120が形成され、気液分離部120に突出する形で外部より液面検知センサ121が実装されており、上述したような液室内の液体量の制御を行う。
ここで、液体供給ケースと116液体供給ケースカバー117の2つの部品の嵌合により形成される液室および液体供給路等の構成について説明する。液体供給ケース116の天板113との接合面には、ノズルの配列方向と略平行かつノズル列の幅に渡って矩形状の開口部(以下、液体供給口127という)が形成されており、液体供給口127の延長上には貯留室状のメイン液体供給室126が形成されている。すなわち、メイン液体供給室126はノズル列と略平行かつノズル列の幅に渡って形成されている。また、液体供給口127と対向側の天面は、ほぼ全域にわたって気液分離部120を最上部とした傾斜(以下、メイン液体供給室傾斜129という)を成している。メイン液体供給室傾斜129には2つの開口部が形成されており、1つは液体連通部131、他方は気液分離部120である。
気液分離部120はメイン液体供給室126の一部を成し、メイン液体供給室126の他の部分よりも深さが大きくなっている。これは、後述するように液室内の液体に混在する気泡を破泡する効果を高めるためである。図示の形態においては、気液分離部120の内部にステンレスの電極を3本実装しており、図中左側より上限検知電極123、グランド電極124、下限検知電極125である。グランド電極124と上限検知電極123間の通電、グランド電極124と下限検知電極125間の通電により、メイン液体供給室126内の液面を上限と下限の間に維持する構成となっている。図示の形態の記録ヘッドにおいては、気液分離がなされた液体の液面を検知することで、検知の信頼性を向上させることが可能である。
気液分離部120の延長上にはエア連通部130があり、その先はエア流路として機能する空気室141となる。さらに先には前述した排出フィルター119が配設されており、排出ジョイント133に連通する。排出フィルター119は撥水性を有する材質によって構成されており、万が一エア流路(空気室141)に液体が流入し、排出フィルター119にインクが付着することで、フィルター内部にインクのメニスカスが形成されても、その撥水性によってフィルター部の毛管力を低減することができ、インクを容易に除去することができる。
一方、メイン液体供給室傾斜129に設けられた液体連通部131を介して液体供給路137が設けられている。液体供給路137は、液体連通部131から供給フィルター118近傍まで管状を成しており、メイン液体供給室126とほぼ同一平行平面上に形成される。供給フィルター118もまた、メイン液体供給室126と略同一平行平面上に配置されている。供給フィルター118は液体供給室を二室に分離するように配設され、供給ジョイント132に連通する側の室、すなわち液体吐出ヘッド内の液体供給の流れに沿って上流側の室が第一液体供給室134、下流側が第二液体供給室135となっている。供給フィルター118はメイン液体供給室126と略同一平行平面上に配置されているため、供給フィルター118の両面に隣接する第一液体供給室134および第二液体供給室135もまた、メイン液体供給室126やノズル配列面139とほぼ平行平面上に配置されることになる。
第二液体供給室135は供給フィルター118上方に開口(以下、第二液体供給室開口136という)があり、これを介して液体供給路137に連通している。また、第二液体供給室135の天面はこの開口を最上部とする傾斜(以下、第二液体供給室傾斜138という)が形成されている。
以上のように、メイン液体供給室126、気液分離部120、液体供給路137、供給フィルター118、第一液体供給室134、第二液体供給室135は、各々ノズル配列面139と略平行平面上に設定される。一方でA−A断面に示すように、メイン液体供給室126、液体供給路137、供給フィルター118、気液分離部120は互いに平面の鉛直方向に重ならないように配置することが重要である。
[2−2]記録装置:
本発明の記録方法を実施するための記録装置の構成は特に限定されないが、例えば図3に示す構造を有するインクジェット方式の記録装置を好適に用いることができる。図3は、記録装置の全体構成を模式的に示す正面図である。
図示の記録装置100は、記録媒体Pの記録領域の幅方向の全域に渡って延在する長尺なヘッド22を用いた記録装置の例である。記録装置100には、画像情報を送るホストPC(パーソナルコンピュータ)102が接続されている。記録装置100には、4つの記録ヘッド(以下、単にヘッド22K、22C、22M、22Yと記す。)が記録媒体Pの搬送方向(矢印A方向)に沿って並列配置されている。
ヘッド22K、22C、22M、22Yは、いわゆるライン型ヘッドであり、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向(図中の矢印Aに直交する方向)に沿って、複数のノズルが所定の密度で配置されている。ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズルの配置幅は記録装置100の最大記録幅(記録媒体Pの幅)よりもやや幅広に構成されている。記録装置100においては、ヘッド22K、22C、22M、22Yは定位置に固定した状態のまま、これらを左右に往復させることなく、ヘッド22K、22C、22M、22Yの下に記録媒体Pを搬送し、記録媒体Pに対して記録インクを付与し、1パスで記録(画像形成)を行う。
搬送機構26は、記録媒体Pを載置して搬送する搬送ベルト26a、この搬送ベルト26aを回転させる搬送モータ26b、搬送ベルト26aに張力を与えるローラ26c等から構成されている。
記録装置100は、ホストPC102から送信される記録情報に基づいて、ヘッド22K(ブラックインク用)、ヘッド22C(シアンインク用)、ヘッド22M(マゼンタインク用)、ヘッド22Y(イエローインク用)から記録媒体Pにインクを吐出することにより記録を行う。
記録を行う際には、記録媒体Pを供給ユニット24から供給し、搬送機構26によって矢印A方向に搬送する。搬送により、記録媒体Pの記録開始位置がヘッド22K(ブラックインク用)の下に到達すると、ホストPC102から送られた記録データ(画像情報)に基づいて、ヘッド22Kの複数のノズルからブラックインクが選択的に吐出される。同様にヘッド22C、ヘッド22M、ヘッド22Yの順に、各色のインクが吐出されて記録媒体Pへのカラー記録が完成する。
図示の記録媒体Pはロール紙である。但し、記録媒体として、紙のみならず、布、プラスチックフィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等のインクを受容可能な媒体であれば、材質を問わず使用することができる。
記録装置100には、ヘッド22K、22C、22M、22Yに初期状態と同様の適正な吐出性能を発揮させるための回復装置が組み込まれている。この回復装置は、キャップユニット50、ブレード等を有する回復ユニット40と、負圧発生手段とを備えている。
キャップユニット50はヘッド22K、22C、22M、22Yに独立して設けられている。キャップユニット50をヘッド22K、22C、22M、22Yのフェイス面22Ks、22Cs、22Ms、22Ysに密着させ、前記負圧発生手段によりキャップユニット50内に負圧を発生させることで、ヘッドのノズル内の増粘インク等を強制的に吸引することができる(吸引回復処理)。
また、前記ブレードにより、ヘッド22K、22C、22M、22Yのフェイス面22Ks、22Cs、22Ms、22Ysに付着したインクを払拭することができる(ワイピング動作)。前記吸引回復処理および前記ワイピング動作によって、ヘッド22K、22C、22M、22Yにおけるノズルのインク吐出状態を初期の適正なインク吐出状態に回復させることができる。
なお、回復装置は記録装置100からワンタッチで脱着可能な構成となっており、サービスマンあるいはユーザが所定のタイミングで交換できるようになっている。
この他、記録装置100には、ヘッド22K、22C、22M、22Yに供給されるインクが貯留されたメインタンク28K、28C、28M、28Y、ヘッド22K、22C、22M、22Yへのインクの供給および回復処理を行うための各種ポンプ等が備えられている。
以下、実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例の構成のみに限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」、「%」は特に断らない限り質量基準である。
(実施例1)
容器に、色材3.0部、難水溶性化合物2.4部、易水溶性化合物12.5部、界面活性剤0.1部、防黴剤0.02部、表面張力調整剤3.0部を投入し、これに純水(イオン交換水)を加えて、全体を100部とした。これらをスターラーで30分間攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより実施例1のインクを調製した。
色材としては、市販のブラック水性顔料分散液(キャボット社製「CAB−O−JET400」)を用いた。この顔料分散液は、色材としてカーボンブラックを約15%含有する分散液である。マイクロトラック粒度分布計(日機装社製「ナノトラック NPA150」)を用い、レーザー散乱法により求めたカーボンブラック粒子の平均粒径は0.13μmであった。
難水溶性化合物としては、1−フェノキシエタノールを用いた。1−フェノキシエタノールの水に対する飽和溶解量(20℃)は2.5g/100gである。実施例1のインクにおいては、1−フェノキシエタノールが水に対する飽和溶解量(20℃)の0.96倍(2.4g/2.5g)含有されている。
易水溶性化合物としてはグリセリンを用いた。グリセリンの水に対する飽和溶解量(20℃)は20g/100g以上、親疎水度係数は0.11である。実施例1のインクにおいては、易水溶性化合物(グリセリン)の含有率a(12.5%)と、難水溶性化合物(1−フェノキシエタノール)の含有率b(2.4%)とが、a/b=5.2である。
界面活性剤としては、POE(10)アセチレングリコール(川研ファインケミカル社製「アセチレノールE100」)、防黴剤としては、ベンズイソチアゾリン−3−オン(ロンザジャパン社製「プロキセルXL−2(S)」)、表面張力調整剤としては、1,2−ヘキサンジオールを用いた。
(実施例2〜6、比較例1〜8)
表3に記載のように組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6、比較例1〜8のインクを調製した。
Figure 2015007175
前記実施例または比較例においては、難水溶性化合物として、2−フェニルエチルアルコール、1−フェノキシプロパノールを用いた。難水溶性であるが、本発明の条件を満たさない化合物として1−ヘキサノール、ベンジルアルコールを用いた。これらの物性を表4に示す。
Figure 2015007175
前記実施例または比較例においては、易水溶性化合物としてグリセリン、エチレン尿素、トリエチレングリコールを用いた。易水溶性であるが、本発明の条件を満たさない化合物として1,5−ペンタンジオールを用いた。これらの物性を表5に示す。
Figure 2015007175
(評価)
実施例および比較例のインクについては、間欠吐出特性(発一性)を評価した。評価方法は、以下の通りとした。
実施例または比較例のインクを記録ヘッドのインクタンクに充填し、前記記録ヘッドをインクジェット方式の記録装置に搭載させた。25℃、相対湿度30%の環境下で、記録媒体に対する印刷を実施した。
記録装置としては、図3に示す構造の記録装置を使用した。より具体的には、サーマル方式のインクジェット記録装置(キヤノンファインテック社製「LXD5500」)を使用した。
記録ヘッドとしては、図1A〜図1Cおよび図2A〜図2Cに示す構造の記録ヘッドを使用した。この記録ヘッドは前記記録装置用のヘッドである。
記録媒体としては、120mm×80mmのマットラベル(キヤノンファインテック社製)を用いた。
図4は、評価用の印刷パターンを模式的に示す平面図である。まず、記録媒体200の表面に、基準となる横罫線202を印刷した。印刷後、60秒間、インクの吐出を休止し、記録媒体200を搬送方向Dに向かって搬送し、再度、評価用の横罫線204を印刷した。横罫線202、204は、記録ヘッド上に1200dpiの密度で並んだ4800本の吐出口から、インク滴を1発ずつ吐出し、印字した。印刷条件は、搬送速度150mm/sec、解像度1200dpi×1200dpiとした。
図5は、印刷パターンの評価基準(評価A〜Dのイメージ)を模式的に示す平面図である。間欠吐出特性は、評価用の横罫線204の画像品位を、以下に示す基準により評価した。下記評価AおよびBは、画像品位として十分なレベル、即ち、印刷された横罫線が乱れのない綺麗な直線であるか、一部に乱れはあるが直線と認識することができるものである。一方、下記評価CおよびDは、画像品位として許容できないレベル、即ち、印刷された図形が直線とは認識することができないものである。その結果を表6に示す。
A:不吐ノズルはない。印刷された多数のドットに殆ど位置ズレがなく、前記多数のドットは連続的に配置されている。
B:不吐ノズルはない。印刷された多数のドットの一部に僅かな位置ズレがあるが、前記多数のドットは連続的に配置されている。
C:不吐ノズルはないが、印刷された多数のドットの一部に比較的大きい位置ズレがある。その位置ズレによって前記多数のドットの連続性が失われている。
D:不吐ノズルがあり、印刷されるべき多数のドットの一部にドット抜けがある。そのドット抜けによって前記多数のドットの連続性が失われている。
Figure 2015007175
表6に示すように、本発明の要件を満たすインクを用いて印刷を行った場合は、いずれも評価がAまたはBであり、間欠吐出特性が良好であった(実施例1〜6)。特に、a/bの値が5以上のインクを用いた場合は、評価がAであり、極めて良好な結果を示した(実施例1〜3および5、6)。また、易水溶性化合物を2種以上含有するインクを用いた場合も、評価がAであり、極めて良好な結果を示した(実施例6)。
一方、本発明の要件を満たさないインクを用いて印刷を行った場合は、いずれも評価がCまたはDであり、間欠吐出特性が不良であった(比較例1〜8)。特に、難水溶性化合物を含有していないインクを用いた場合(比較例1)、難水溶性化合物の量が、水に対する飽和溶解量(20℃)に対し1.0倍を超えるインクを用いた場合(比較例3)、難水溶性ではあるが、水に対する飽和溶解量(20℃)が3.0g/100gを超える化合物を含有するインクを用いた場合(比較例8)は、評価がDであり、間欠吐出特性は極めて不良であった。
本発明の記録インクおよび記録方法は、インクジェット用の記録インク、インクジェット方式の記録方法として好適に利用することができる。
22、22K、22C、22M、22Y:ヘッド、22Ks、22Cs、22Ms、22Ys:フェイス面、24:供給ユニット、26:搬送機構、26a:搬送ベルト、26b:搬送モータ、26c:ローラ、28K、28C、28M、28Y:メインタンク、40:回復ユニット、50:キャップユニット、100:記録装置、102:ホストPC、110:ベースプレート、111:ヒーター基板、112:共通液室、113:天板、114:PCB(電気配線基板)、115:液体供給部材、116:液体供給ケース、117:液体供給ケースカバー、118:供給フィルター、119:排出フィルター、120:気液分離部、121:液面検知センサ、123:上限検知電極、124:グランド電極、125:下限検知電極、126:メイン液体供給室、127:液体供給口、129:メイン液体供給室傾斜、130:エア連通部、131:液体連通部、132:供給ジョイント、133:排出ジョイント、134:第一液体供給室、135:第二液体供給室、136:第二液体供給室開口、137:液体供給路、138:第二液体供給室傾斜、139:ノズル配列面、141:空気室、151:吐出口、152:ヒーター、153:ノズル壁、155:ノズルフィルタ、156:共通液室、157:ヒーター中心、159:ノズル流路、161:天板部材、162:ノズル天板、163:ヒーターボード、164:ノズル底板、171:吐出口幅、172:吐出口高さ、181:ノズル前方部、182:ノズル後方部、200:記録媒体、202、204:横罫線、P:記録媒体、D:搬送方向。

Claims (9)

  1. 色材、インクの蒸発防止剤および水を含有するインクジェット用の記録インクであって、
    前記蒸発防止剤として、難水溶性化合物と、易水溶性化合物と、を含有し、
    前記難水溶性化合物は、水に対する飽和溶解量(20℃)が1.0(g/100g)以上、3.0(g/100g)以下の化合物であり、
    前記易水溶性化合物は、水に対する飽和溶解量(20℃)が20.0(g/100g)以上で、かつ、下記式(1)で示される親疎水度係数が0.37以下の化合物であり、
    前記難水溶性化合物は、前記記録インク100g中に、水に対する飽和溶解量(20℃)の0.7倍以上、1.0倍以下の量が含有され、
    前記易水溶性化合物の含有率a(質量%)と、前記難水溶性化合物の含有率b(質量%)とが、下記式(2)の関係を満たすことを特徴とするインクジェット用の記録インク。
    Figure 2015007175
    式(2)
    1.0≦a/b≦6.0
  2. 前記難水溶性化合物が、1のベンゼン環と、水酸基と、を有する芳香族化合物である請求項1に記載の記録インク。
  3. 前記芳香族化合物が、フェノキシアルカノール、フェニルアルカノールおよびアミノフェノールの群から選択される少なくとも1種であり、かつ、炭素数が6〜9の化合物である請求項2に記載の記録インク。
  4. 前記易水溶性化合物が、多価アルコールおよび尿素類の群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録インク。
  5. インクジェット用の記録ヘッドを用い、
    前記記録ヘッドから請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録インクを吐出させ、前記記録ヘッドの下に搬送された記録媒体に対して前記記録インクを付与し、記録を行うことを特徴とするインクジェット方式の記録方法。
  6. 前記記録ヘッドとして、ノズル壁によって仕切られた複数のノズル流路が形成され、前記ノズル流路に連通する複数の吐出口が形成され、各々のノズル流路の内部にヒーターが配置されているサーマル方式の記録ヘッドを用い、
    前記記録インクを前記ヒーターにより加熱し、熱によって発生した気泡の圧力を利用して前記記録インクを前記吐出口から吐出させる請求項5に記載の記録方法。
  7. 前記記録ヘッドとして、前記記録媒体より幅広のライン型ヘッドを用い、
    前記記録ヘッドを固定した状態のまま前記記録ヘッドの下に前記記録媒体を搬送し、前記記録媒体に対して前記記録インクを付与し、1パスで記録を行う請求項5または6に記載の記録方法。
  8. 前記記録ヘッドとして、1ノズル列当たりの総ノズル数が1200以上、複数のノズル流路によって形成されるノズル列の長さが2インチ以上のものを用いる請求項5〜7のいずれか一項に記載の記録方法。
  9. 前記記録ヘッドとして、前記吐出口の開口面積が、100μm2以上、350μm2以下のものを用い、
    前記記録ヘッドから前記記録インクを3.0pl以上、10.0pl以下の吐出量で吐出させる請求項5〜8のいずれか一項に記載の記録方法。
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