JP2014513959A - 新生物の診断方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は一般的に、1種又は複数の核酸マーカーの発現レベルの変調についてスクリーニングすることによって、結腸直腸新生物の発症、発症の素因及び/又は進行について対象をスクリーニングする方法に関する。より詳細には、本発明は、膜微小胞における1種又は複数の遺伝子マーカーの発現レベルの変調についてスクリーニングすることによって、結腸直腸新生物の発症、発症の素因及び/又は進行について対象をスクリーニングする方法を提供する。本発明の発現特性は、限定はしないが、結腸直腸腺腫及び腺癌などの結腸直腸新生物の診断及び/又はモニターに関する適用を含む様々な適用において有用である。
【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は一般的に、1種又は複数の核酸マーカーの発現レベルの変調についてスクリーニングすることによって、結腸直腸新生物の発症、発症の素因及び/又は進行について対象をスクリーニングする方法に関する。より詳細には、本発明は、膜微小胞における1種又は複数の遺伝子マーカーの発現レベルの変調についてスクリーニングすることによって、結腸直腸新生物の発症、発症の素因及び/又は進行について対象をスクリーニングする方法を提供する。本発明の発現特性は、限定はしないが、結腸直腸腺腫及び腺癌などの結腸直腸新生物の診断及び/又はモニターに関する適用を含む様々な適用において有用である。
[発明の背景]
本明細書で著者が言及した出版物の書誌的事項は、記述の最後にアルファベット順にまとめられている。
本明細書において参照した任意の先行出版物(若しくは先行出版物から得られた情報)又は公知の任意の事柄は、先行出版物(若しくは先行出版物から得られた情報)又は公知の事柄が、本明細書が関与する事業分野における通常の一般知識の一部を形成することの了解又は承認又は何らかの形態であることを示すものではなく、そうであると見なすべきでもない。
腺腫は、腺組織に由来する、又は明確に規定された腺構造を示す上皮起源の良性腫瘍又は新生物である。腺腫の中には、線維組織(線維腺腫)及び上皮構造など、はっきりとした組織要素を示すものもあるが、気管支腺腫などその他の腺腫は、臨床症候群を引き起こし得る活性化合物を生成する。
腺腫は、進行して侵襲性新生物になることがあり、その場合腺癌と称される。したがって、腺癌は、身体の多くの器官の構成部分である腺構造から生じる悪性上皮腫瘍と定義される。腺癌という用語はまた、腺成長パターンを示す腫瘍に適用される。これらの腫瘍は、それらが生成する物質によって、例えば、粘液分泌性及び漿液性腺癌に、又は細胞の顕微鏡的構造のパターンによって、例えば、乳頭状及び濾胞状腺癌に下位分類することができる。これらの癌は、固形又は嚢胞(濾胞腺癌)であってもよい。各器官は、様々な組織学的種類を示す腫瘍を生成することがあり、例えば、卵巣は粘液性及び濾胞腺癌の両方を生成することがある。
腺腫は異なる器官では異なる振る舞いをする。一般的に、腺腫(すなわち、良性病変内で発生したがんの病巣)内に癌が存在する全体的確率は約5%である。しかし、これは腺腫の大きさに関係する。例えば、大腸(特に、結腸及び直腸)では、腺腫内におけるがんの出現は、1センチメートル未満の腺腫では稀である。このような発生は、4センチメートルを超える腺腫では40〜50%であると推定され、繊毛変化又は高度な形成異常などのある種の組織病理学的変化を示す。より程度の高い形成異常を有する腺腫は、癌の発生率がより高い。任意の所与の結腸直腸腺腫において、器官に現在存在するがん又は将来出現するがんの予測因子には、大きさ(特に9mmを上回る)、管状から繊毛状形態への変化の程度、高度な形成異常の存在及び「鋸歯状腺腫」と呼ばれる形態学的変化が含まれる。任意の所与の個体では、加齢、結腸直腸腺腫若しくはがんの家族内発生、男性(male gender)又は腺腫の多重度といったさらなる特性によって、器官におけるがんの危険性の将来的な増加、いわゆるがんの危険因子が予測される。腺腫の存在及びその大きさを除いて、これらのいずれも客観的には規定されておらず、数及び大きさ以外のその他全ては、観察者の誤差、及び問題となる特性の正確な規定の混乱に影響を受けやすい。このような要素は評価及び規定が困難であり得るので、現在又は将来のがんの危険性の予測因子としての価値は曖昧である。
散発性の腺腫が発生すると、26カ月以内に新たな腺腫が発生する可能性は約30%である。
結腸直腸腺腫は、特により豊かな国々では、発生率の増加が見られる腺腫の1種である。腺腫の原因及び腺癌の進行は未だに集中的な研究の対象となっている。現在までに、遺伝的素因に加えて、環境因子(食事など)がこの症状の発生にある役割を果たしていると推測されてきた。ほとんどの研究は、関連のある環境因子は、高脂肪食、低線維、低野菜摂取、喫煙、肥満、運動不足及び高精製炭水化物に関連すると示唆している。
結腸腺腫は、形成異常上皮が局所化した領域であり、最初は1個のみ又は数個の腸陰窩が関与し、表面から隆起していなくてもよいが、通常、増殖及び/又はアポトーシスの不均衡によって大きさの成長が増大しており、隆起していてもよい。腺腫は、いくつかの方法で分類することができる。1つは腺腫の肉眼的所見によるものであり、主要な記述子(descriptor)には、隆起の程度、すなわち平坦無茎型(すなわち、隆起しているが、明瞭な茎を有さない)又は有茎型(すなわち、茎を有する)が含まれる。その他の肉眼的な記述子には、結腸/直腸内における最大寸法の実寸及び実数が含まれる。小腺腫(およそ5又は10ミリメートル未満)は滑らかな黄褐色の表面を示すが、有茎型で、特に大きな腺腫は、敷石状又は分葉状の赤褐色の表面を有する傾向がある。より大きな無茎型腺腫は、より繊細な繊毛状表面を示し得る。別の一連の記述子には、組織病理学的分類が含まれ、臨床値の最も重要な記述子には、形成異常の程度(低又は高)、浸潤性がんの病巣が存在するかしないか、管状腺形成から繊毛腺形成への変化の程度(したがって、分類は、管状、繊毛又は管状繊毛である)、混合型過形成変化の存在並びにいわゆる「鋸歯状」腺腫及びその小集団が含まれる。腺腫は、直腸及び遠位結腸に起こることがより多いが、結腸及び/又は直腸のいかなる部位においても位置することができる。これらの記述子は全て、数及び大きさを除いて、比較的に主観的であり、観察者間の不一致に影響を受けやすい。
腺腫の様々な記述的特徴は、検出された時に任意の所与の腺腫の新生物の状態を確認するためだけでなく、人が結腸直腸腺腫又はがんを発生する将来的な危険性を予測するためにも有用である。がん又は新たな腺腫の再発の将来的な危険性の増加を示す個体における腺腫の特徴又は腺腫の数には、最大の腺腫の大きさ(特に10mm以上)、繊毛変化の程度(特に、少なくとも25%のこのような変化、とりわけ100%のこのような変化)、高度の形成異常、鋸歯状腺腫特徴の数(任意の大きさ又は組織学的状態の3個以上)又は存在が含まれる。大きさ又は数以外のものは、客観的ではなく、いずれも比較的に主観的で、観察者間の不一致の影響を受けやすい。新形成の将来的な危険性(したがって「危険性」)のこれらの予測因子は、リスク率及び将来的な大腸内視鏡検査の必要性及び頻度を決定するために使用されるので、実際に極めて重要である。したがって、より正確な危険性の分類は、大腸内視鏡検査の作業負荷を軽減させ、費用対効果を高め、不必要な手順による合併症の危険性を減少させることができる。
腺腫は、一般的には無症候性であり、したがって、浸潤的な特性を発現してがんになる前の段階における診断及び治療が困難になっている。腺腫の肉眼的所見に基づいて癌の有無を予測することは技術的に不可能であるが、大きな腺腫は小さな腺腫よりも悪性変化の領域を示しやすい。無茎型腺腫は、同じ大きさの有茎型腺腫よりも高い悪性腫瘍発生率を示す。腺腫の中には、便中において観察できる、又は検出可能な失血を生じるものがあり、時々肉眼によって認識することが可能であるが、失血が生じるときは顕微鏡的又は「潜血」であることが多い。大きな腺腫は、小さい腺腫よりも出血しやすい。しかし、便中の血液であるため、顕性であろうと潜血であろうと、腺腫ではない症状の指標でもあり得るので、腺腫の正確な診断は、切除(すなわち、ポリープ切除術)又は生検のいずれかによる組織の獲得及びその後の組織病理学的分析と組み合わせた大腸内視鏡などの非常に侵襲性の高い手順を適用しないと困難である。
したがって、腺腫の原因を明らかにし、腺腫を有する可能性が高い人々において大腸内視鏡の指示を可能にするより情報量の多い診断方法又は診断支援法を開発することが継続的に必要である。これらの腺腫は危険性が高いか、進行性であるか、又はこれらのいずれでもないことがある。さらに、特に多発性腺腫を有する人においては、大腸内視鏡の後、腺腫全てが除去されたことを確認することは困難であり得る。正確なスクリーニング試験によって、結腸から新生物が取り除かれたことを確実にするために2回目の大腸内視鏡を早期に行う必要性を最小限にすることができる。したがって、腺腫の分子マーカーの同定は、腺腫及び癌の原因を理解し、有用なスクリーニング試験の開発を含む腺腫の診断を改善し、腺腫の組織学的段階を解明し、腺腫の分子状態に基づいて患者の結腸直腸新形成の将来的な危険性を特徴付けて、腺腫の治療を促進するための手段を提供する。
今まで、研究は結腸直腸新生物を決定づける遺伝子突然変異の同定に焦点が当てられる傾向があった。しかし、より最近の発見では、健康な個体で発現する変異していない遺伝子の発現レベルの変化も新生物の発生を示すということが示唆された。これらの遺伝子発現変化は通常、結腸直腸組織試料において常法通り検出可能である。しかし、患者の視点から、結腸直腸組織試料の収集は侵襲性で、感染などの術後の合併症に関する危険性がないわけではない。末梢血の試料採取は一般的に分析用の生物学的試料の収集に関して極めて好ましい方法であるが、問題となる遺伝子の発現レベルの変化が診断的に有用なレベルで血液中において検出可能であるかどうかに全面的に依存している。
本発明までの研究において、結腸直腸新形成遺伝子マーカーの場合、その発現レベルは新形成において増加しているが、この発現増加は診断感受性の問題のため、血漿中で必ずしも容易に検出可能ではないことが測定されてきた。しかし、予期せぬことに、これらの遺伝子マーカーの小部分が、循環するエキソソーム内においてその発現レベルの著しい増加を示すことが発見された。この発見は、癌組織において発現が増加している結腸直腸遺伝子マーカーの全てが、エキソソーム中においても必ずしも増加していないので、予期しないことである。エキソソームは末梢において循環し、したがって、血液試料などを介して容易に収集することができるので、このようなことが測定されたことは特に重要である。さらにまた、全血又は血漿中における遺伝子発現レベルの分析は感受性の欠如の問題を有し得るが、以前に同定された結腸直腸新形成マーカーの小集団がエキソソームの限定された環境内で実際に検出可能であるという結論によって、無関係な汚染遺伝子物質のレベルを抑えられるため、著しく感受性の高い検出手段がもたらされる。それはまた、血液試料の使用中止など侵襲性を最小限に抑えた収集技術が使用されるという観点から非常に望ましいことである。
[発明の概要]
本発明の一態様は、個体における大腸新生物の発症又は発症の素因についてスクリーニングする方法を対象とし、前記方法は、前記個体の膜微小胞試料中における、
(i)

から選択される任意の1つ若しくは複数の遺伝子、又は
(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの任意の1つ若しくは複数
の発現レベルを測定するステップを含み、対照レベルに対する前記遺伝子の発現レベルの増加が新生物の発症又は発症の素因の指標である。
別の態様では、前記新生物は、腺腫又は腺癌であり、結腸直腸腺腫又は腺癌がさらにより好ましい。
さらに別の態様では、前記方法は、前記遺伝子のタンパク質発現生成物又はそれらの断片についてスクリーニングすることを対象とする。
さらに別の態様では、個体における大腸新生物の発症又は発症の素因についてスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、前記個体の膜微小胞試料中における、
(i)

から選択される任意の1つ若しくは複数の遺伝子、又は
(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの任意の1つ若しくは複数
から選択される遺伝子から転写されたRNA転写物のレベルを測定することを含み、対照レベルに対する前記RNA転写物の発現レベルの増加が新生物の発症又は発症の素因の指標である。
さらに別の態様では、前記RNA転写物はmRNAである。
さらに別の態様では、前記膜微小胞はエキソソームである。
他の態様では、前記遺伝子は、
(i)

(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの1つ若しくは複数
のうちの1つ又は複数である。
さらに別の態様では、前記領域は、
(i)

(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの1つ若しくは複数
のうちの1つ若しくは複数である。
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈が特に必要としない限り、用語「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変形は、表示した整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むが、任意のその他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を排除しないことを意味するものと理解されたい。
本明細書で使用したように、用語「由来する」は、特定の整数若しくは整数の群が規定された種から始まっているが、規定された起源から必ずしも直接得られていないことを示していると見なすべきである。さらに、本明細書で使用したように、「1つの(a)」といった単数形、「及び(and)」及び「その(the)」には、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象が含まれる。
他に規定しない限り、本明細書で使用した技術用語及び科学用語は全て、本発明が属する分野の当業者が一般に理解している意味と同一の意味を有する。
ヒト血漿中におけるGAPDHレベル(n=398)をグラフによって表した図である。 KIAA1199が結腸直腸新生物患者の血漿においてより頻繁に検出されたことをグラフによって表した図である(45人の患者のパネルを示す)。
[発明の詳細な説明]
本発明は、1つには、結腸直腸新形成患者において発現が増加していることが知られている一連の遺伝子内に、実際に、これらの患者のエキソソームなどの膜微小胞内においてレベルの増加が検出できる遺伝子の小集団があるという測定を前提としている。この測定は驚くべきものである。組織内で発現のレベルが増加しているほとんどの遺伝子は、血漿中で、特にタンパク質レベルで検出可能であることが予測されるが、実際には検出の感受性は必ずしも十分ではない。エキソソームに本来備わっている性質、及び現在ではエキソソームを確実に濃縮することができるという事実のため、これらの遺伝子の発現レベルの変化を、RNAレベルで試験するために、タンパク質又はRNAについて全血又は血漿をただスクリーニングするよりもはるかに感受性が高い正確な手段がもたらされる。エキソソームは血液試料から都合良く収集することができるという事実と考え合わせると、侵襲性を最小限に抑えた方法に基づいた結腸直腸新形成をスクリーニングする特に感受性の高い手段がもたらされる。これは、結腸直腸新形成の早期診断を可能にするこの状況におおいに関連性がある。
したがって、本発明の一態様は、個体における大腸新生物の発症又は発症の素因についてスクリーニングする方法を対象とし、前記方法は、前記個体の膜微小胞試料中における、
(i)

から選択される任意の1つ若しくは複数の遺伝子、又は
(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの任意の1つ若しくは複数
の発現レベルを測定することを含み、対照レベルに対する前記遺伝子の発現のレベルの増加が新生物の発症又は発症の素因の指標である。
問題の遺伝子は、遺伝子の名称及び染色体座標の両方を参照にして本明細書に記載されていることを理解されたい。染色体座標は、2009年2月に公表されたヒトゲノムデータベースバージョンHg19(本明細書では「Hg19座標」と称する)と一致する。
「大腸」については、大腸の6つの解剖学的領域の1つから得られた細胞をいうものと理解するべきで、その領域は回腸の端部領域後に始まり、これらは次のとおりである。
(i)盲腸、
(ii)上行結腸、
(iii)横行結腸、
(iv)下行結腸、
(v)S状結腸、及び
(vi)直腸。
「新生物」については、病変、腫瘍又はその他の被包性若しくは非被包性の塊又は新生物細胞を含む成長のその他の形態として理解するべきである。「新生物細胞」は、異常な成長を示す細胞として理解するべきである。「成長(growth)」という用語は、最も広義に理解されるべきで、増殖(proliferation)の関連を含む。これに関して、異常な細胞成長の1例は、制御されていない細胞増殖である。別の例は、細胞における不十分なアポトーシスであり、したがってその通常の寿命の延長である。新生物細胞は、良性細胞であっても悪性細胞であってもよい。好ましい実施形態では、対象の新生物は、腺腫又は腺癌である。本発明をいかなる1理論又は作用様式にも限定はしないが、腺腫は一般的に、上皮組織から得られたか、又は明らかに定義された上皮構造を示す上皮由来の良性腫瘍である。これらの構造は、腺性の外観を取り得る。腺腫は、腺腫内に悪性の細胞集団を含むことができ、例えば、良性腺腫から悪性腺癌への進行を伴って生じる。
本発明は、大腸内に位置する新生物細胞又は細胞集団をスクリーニングするために設計される。したがって、「細胞」又は「細胞集団」については、個々の細胞又は細胞の群をいうものと理解されたい。細胞の前記群は、細胞が散在した集団、細胞懸濁物、被包性の細胞集団又は組織の形態をとる細胞の集団であってもよい。
一実施形態では、前記新生物は、腺腫又は腺癌であり、結腸直腸腺腫又は腺癌がさらにより好ましい。
前記で詳述した遺伝子(本明細書では総称して「遺伝子マーカー」と称する)並びにそれらの転写及び翻訳発現生成物については、これらの遺伝子及びタンパク質の全形態並びにそれらの断片をいうものと理解されたい。当業者ならば理解するだろうが、遺伝子は個体間で対立遺伝子変種又は多型変種を示すことが知られている。したがって、これらの遺伝子については、本発明の診断適用に関して、個体間で実際の核酸配列の間に小さな遺伝子変種が存在し得ることに関わらず、同じ結果を実現するこのような変種にも適用されるものと理解されたい。遺伝子マーカーのスプライシング変種もよく存在し、このスプライシング変種は、例えば、複数のエキソンの組み合わせ又は5’若しくは3’末端のいずれかに関して、エキソンの発現及び配置の変種を示すこれらの遺伝子の他の転写形態を意味する。したがって、本発明は、RNA(例えば、mRNA、1次RNA転写物、miRNAなど)、cDNA及び他のスプライシング若しくは任意のその他の変異、遺伝子多型又は対立遺伝子変種から生じるアイソフォームの形態全てに適用されると理解されたい。前駆体型などの任意のサブユニットポリペプチドについても含むことも理解されたい。
本発明の方法に関して、これらの遺伝子マーカーの「発現レベル」のスクリーニングは、これらの遺伝子から転写されたRNA又はそれらから生成したcDNAの形態のいずれかをスクリーニングすることを含む様々な方法で実施することができる。「RNA転写物レベルのスクリーニング」については、RNAを直接スクリーニングするか、又はそれらから転写されたcDNAをスクリーニングすることをいうものと理解されたい。これらの生成物のいずれかのレベルの変化は、対象遺伝子の発現の変化の指標である。さらにまた、同定され、測定される核酸分子は、全分子又はそれらの断片とすることができる。例えば、どのように処理されたかに応じて、エキソソーム試料のRNAの断片のみを同定してもよい。前記断片が特定の遺伝子によってその起源を示すために十分な配列を含むならば、断片化された遺伝子分子は、本発明の方法の場合、有用である。
発現のレベルは、断片を含む膜微小胞内の対象遺伝子のタンパク質発現生成物の発現レベルについてスクリーニングすることによって評価してもよいことも理解されたい。本明細書で記載した遺伝子のタンパク質配列はよく知られており、公式に入手可能なデータベースから当業者によって日常的に得ることができる。しかしながら、本明細書ではKIA1199(配列番号1)、OLFM4(配列番号2)、DPEP1(配列番号3及び4)、S100A11(配列番号5)、ITGA6(配列番号6及び7)、TESC(配列番号8及び9)、REG4(配列番号10、11及び12)及びSLC12A2(配列番号13)のタンパク質配列を提供する。
一実施形態では、前記方法は、前記遺伝子のタンパク質発現生成物又はそれらの断片についてスクリーニングすることを対象とする。
「核酸分子」については、デオキシリボ核酸分子及びリボ核酸分子の両方並びにそれらの断片をいうものと理解されたい。したがって、本発明は、エキソソーム試料中におけるRNAレベルの直接的なスクリーニング又は関心のあるRNA集団から逆転写された相補的cDNAのスクリーニングの両方に適用される。DNA又はRNAのいずれかのスクリーニングを対象とする方法の設計は、十分当業者の技術の範囲内である。
「断片」については、対象遺伝子又は核酸分子の一部をいうものと理解されたい。前記に詳細に示したように、対象RNAは分解されるか、そうでなければ断片化され得るので、断片は、酵素的に処理することができるエキソソーム試料中の変調したRNAレベルのスクリーニングに関して特に関係がある。したがって、実際に対象のRNA分子の断片を検出することができ、その断片は、適切な特異的プローブを使用することによって確認される。
別の実施形態では、個体における大腸新生物の発症又は発症の素因についてスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、前記個体の膜微小胞試料中における、
(i)

から選択される任意の1つ若しくは複数の遺伝子、又は
(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの任意の1つ若しくは複数
から選択される遺伝子から転写されたRNA転写物のレベルを測定することを含み、対照レベルに対する前記RNA転写物の発現レベルの増加が新生物の発症又は発症の素因の指標である。
一実施形態では、前記RNA転写物はmRNAである。
「膜微小胞」については、細胞の細胞膜成分から構成される任意の粒子をいうものと理解されたい。前記膜微小胞は、細胞膜によって囲まれた管腔の形態をした構造をとる。膜微小胞の例には、限定はしないが、微粒子、エキソソーム、アポトーシス小胞、アポトーシス小体、細胞小胞などが含まれる。一実施形態では、前記膜微小胞はエキソソームである。
したがって、本発明の別の態様は、個体における大腸新生物の発症又は発症の素因についてスクリーニングする方法を対象とし、前記方法は、前記個体のエキソソーム試料中における、
(i)

から選択される任意の1つ若しくは複数の遺伝子、又は
(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの任意の1つ若しくは複数
の発現レベルを測定することを含み、対照レベルに対する前記遺伝子の発現レベルの増加が新生物の発症又は発症の素因の指標である。
一実施形態では、前記大腸新形成は結腸直腸腺腫又は腺癌である。
別の実施形態では、遺伝子発現の前記レベルは、mRNAなどのRNA転写物のレベルである。
さらに別の実施形態では、前記方法は、前記遺伝子のタンパク質発現生成物又はそれらの断片についてスクリーニングすることを対象とする。
「エキソソーム」については、多種多様な細胞の種類から分泌される小胞をいうものと理解されたい。本発明はいかなる一理論又は作用様式にも限定されるものではないが、後期エンドソーム又は多胞体は、内向きの出芽及び限定されたエンドソーム膜からのこれらの封入ナノ小胞への小胞の切断によって形成される内腔内小胞を含有する。これらの内腔内小胞は次に、細胞膜と融合するときのエキソサイトーシス中に多胞体内腔から細胞外環境に放出される。エキソソームは、膜の一部が陥入し、エンドサイトーシスされるとき、細胞内に生成される。より小さな小胞に分解され、最終的に細胞から排出される内部移行部分は、タンパク質並びにmRNA及びmiRNAなどのRNA分子を含有する。血漿由来のエキソソームは大部分がリボソームRNAを欠如しており、特に結腸直腸新形成で認められる遺伝子発現増加のいくつかは循環するエキソソーム集団に反映されることが現在では確定されているので、RNAの有用な原料である。
本発明のエキソソームは、生物学的試料から濃縮される。「生物学的試料」は、個体から得られた任意の生物学的材料を意味する。このような試料には、限定はしないが、血液、血清、血漿、尿、リンパ液、脳脊髄液、腹水、唾液、粘液、便、生検標本、母乳、胃液、胸腔内液、精液、汗、涙、毛、膣分泌物、及び個体の身体に導入され、その後、取り出された流体、例えば、肺洗浄後に肺から抜き出された生理食塩溶液又は浣腸洗浄から回収された溶液などが含まれる。本発明の方法にしたがって試験される生物学的試料は、直接試験されてもよく、又は試験の前にいくつかの形態の前処理を必要としてもよい。例えば、試料を分離するために、試料は緩衝液などの試薬の添加を必要としてもよい。さらに、試験の対象である試料は、新たに単離してもよく、又はより早い時点で単離し、その後保存するか、そうでなければ試験前に処理してもよいことを理解されたい。例えば、試料は、より早い時点で収集し、凍結するか、そうでなければ試験場所への輸送を容易にするために保存加工してもよい。さらに別の例では、試料は、可能性のある任意の病原体感染を無効にするために処理し、それによって技術者への感染の伝播の危険性を減少させてもよい。
一実施形態では、前記生物学的試料は、血液、血清、血漿、尿、便、唾液、涙又は腹水液試料である。
対象の生物学的試料が個体から収集される限り、「個体」という用語には、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、捕獲された野生動物(例えば、キツネ、カンガルー、シカ)、鳥類(例えば、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、エミュー、ダチョウ)、は虫類又は魚類が含まれるものと理解されたい。対象の個体は、ヒトが好ましい。
別の実施形態では、前記遺伝子は、
(i)

(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの1つ若しくは複数
のうちの1つ又は複数である。
別の実施形態では、前記領域は、
(i)

(ii)以下のHg19座標

によって規定される領域のうちの1つ若しくは複数
のうちの1つ又は複数である。
本発明の方法は、エキソソーム試料中の前記遺伝子マーカーの発現レベルとこれらの遺伝子の対照レベルとの比較に基づいている。「対照レベル」は、「正常レベル」であり、正常な個体の対応するエキソソーム集団によって発現した遺伝子のレベルである。
正常(又は「非新生物」)レベルは、個体を反映する標準的結果又は問題の患者以外の個体から得られた総体的な結果に対する試験結果の分析などの任意の適切な方法を使用して測定することができる。この分析形態は、予め測定された標準に対して、関心のある試験試料である1つのエキソソーム試料の収集及び分析を必要とするキットの設計を可能にするので、実際に好ましい分析方法である。正常レベルをもたらす標準的結果は、当業者に周知の任意の適切な手段によって計算することができる。例えば、正常血漿から得られたエキソソームの集団は、問題の遺伝子マーカーのレベルに関して評価することができ、それによって将来試験試料全てを分析する標準値又は値の範囲となる。正常レベルは、特定のコホートの対象から測定し、そのコホートから得られた試験試料に関して使用することができることも理解されたい。したがって、年齢、性別、民族又は健康状態などの特性に関して異なるコホートに対応するいくつかの標準値又は範囲を決定することができる。前記「正常レベル」は、離散したレベル又は一連のレベルであってもよい。正常レベルに対する対象の遺伝子マーカーの発現レベルの増加は、新生物である組織の指標である。
前記対照レベルは、非新生物レベルであることが好ましい。
本発明のこれらの態様によると、前記大腸組織は、結腸直腸組織であることが好ましい。
前記新生物は結腸直腸腺腫又は腺癌であることがよりさらに好ましい。
遺伝子マーカー転写生成物がエキソソーム試料中に存在する限り、生物学的試料は直接試験してもよく、そうでなければエキソソーム試料中に存在する核酸物質の全て又はいくつかを試験前に単離してもよい。このために、既に記載したように、前記遺伝子マーカーの発現レベルの変化をスクリーニングするとき、RNA転写物自体又はRNA転写物から転写されたcDNAをスクリーニングしてもよいことは理解されよう。エキソソーム集団又はエキソソームから得られた分子について、試験前に前処理、例えば、生きたウイルスの不活性化又はゲルによる分離を行うことは本発明の範囲内である。エキソソーム試料は新たに収集してもよく、又は試験前に保存し(例えば、凍結によって)、そうでなければ試験前に処理してもよいことも理解されたい。
どの種類の試料を選択することが本明細書で開示した方法にしたがって試験するために最も適しているかは、状況の性質次第である。
腺腫又は腺癌などの新生物の「発症」については、形成異常を示す個体の1個又は複数の細胞についていうものと理解されたい。この点について、形成異常細胞の塊が発生した腺腫又は腺癌はよく発達していることがある。一方、診断時点に、異常な細胞分裂の発生が単に比較的少ないだけであれば、腺腫又は腺癌は、非常に早期の段階であり得る。本発明は、腺腫又は腺癌などの新生物の発生に対する個体の素因の評価にも適用される。決して本発明を制限するものではないが、遺伝子マーカーレベルの変化は、腺腫若しくは腺癌又は別の腺腫若しくは腺癌の将来的な発生などの新形成が発生する個体の素因の指標となり得る。
好ましい方法は、新形成の発生又は新形成が発生する素因を診断することであるが、特定の環境下では、例えば、腺腫又は腺癌の発生などの新生物状態の変調を対象とする治療的又は予防的治療の効果をモニターするためには、前記マーカーレベルの逆の変化の検出が望ましいことがある。例えば、遺伝子マーカーレベルの上昇が、個体が腺腫又は腺癌の発生を特徴とする症状を発生したことを示す場合、治療計画の開始後のこのマーカーのレベルの減少のスクリーニングは、対象の個体の症状の回復又は改善のその他の形態を示すために利用することができる。
したがって、本発明の方法は、新形成発生の危険性が考えられる個体の1回試験若しくは持続的モニターとして、又は新形成発生の阻害、そうでなければ遅延を対象とした治療的若しくは予防的治療計画の有効性のモニターとして有用である。これらの場合、エキソソーム中における遺伝子マーカー発現レベルの変調のマッピングは、個体の状態又は現在使用されている治療的若しくは予防的計画の有効性の有益な指標である。したがって、本発明の方法は、個体の正常レベル(前記に定義した通り)に対して、又は前記個体の生物学的試料から測定された1種又は複数の早期マーカー発現レベルに対して、個体における遺伝子マーカー発現レベルの変化をモニターすることに適用されるものと理解されたい。
エキソソーム試料は、任意の適切な生物学的試料から得ることができ、その試料から単離するか、又は濃縮することができる。単離又は濃縮を実施する方法は公知で、特定の環境に適した方法を選択し、適用することは、当業者の技術の範囲内である。例えば、エキソソームを一部として含む生物学的試料に、細胞物質が破壊されるような機械的破壊及びエキソソーム以外の酵素的除去を行うことによって、エキソソームを濃縮することができる。エキソソームに対する細胞の物理的特性の違いによって、機械的細胞破壊方法は、エキソソーム以外の細胞を破壊するために十分な力を示すように設計することができる。これは、エキソソームに対して細胞の質量が比較的により大きいなど、物理的特性の顕著な違いによる。完全な細胞又はエキソソームの存在を確認するために生物学的試料を調べるための方法は、極めて簡単で日常的であるので、機械的な細胞破壊の広く知られている標準的技術のいずれかを最適化して、エキソソームも破壊されないことを確実にする手段は、日常的な手法の問題である。同様に、任意の新たに開発された技術の最適化も容易であろう。
機械的な細胞破壊の実施方法は当業界では周知であり、限定はしないが、
(i) 遠心、
(ii) 超音波(界面活性剤含有の有無は問わない)、
(iii) 例えば、ガラス、セラミック、ジルコニウム又はスチール製の小ビーズを使用し、界面活性剤添加の有無は問わないビーズミル、
(iv) ホモジナイズ、
(v) 窒素噴出法(nitrogen burst method)
(vi) 小プローブ超音波、
(vii) 低浸透圧ショック、
(viii) 高剪断の機械的方法、
(ix)ロータ−ステータ型破砕機、
(x) バルブ型処理装置、
(xi) 固定式ジオメトリプロセッサ(fixed geometry processors)、
(xii) 定圧処理装置、
(xiii) 浸透圧をベースにした電気穿孔、及び
(xiv) 電気透過化が含まれる。
対象の生物学的試料が血液若しくは血漿試料、又は天然の、そうでなければ診断上関心のある分子を分解する酵素を含有するその他の生物学的試料である限り、例えば、この濃縮方法によって、細胞集団に対してだけでなく、その試料中のエキソソームではないタンパク質性及び非タンパク質物質に対しても、エキソソーム集団の濃縮が便利に実現される。
本発明の診断方法は、関心のある遺伝子マーカーの存在を検出するために、エキソソーム核酸物質の増幅又は配列決定を必要とするので、前述した濃縮方法を使用することは、核酸物質の分析を対象とする技術がこの点に関して選択的であるので、対象の生物学的試料をさらに精製する必要はなく、エキソソームではない核酸物質が分解されているならば正確な結果が得られことを意味する。この濃縮方法は、エキソソーム由来の核酸を分析する前に、エキソソーム構造に障害を与えることなく望ましくない細胞物質を除去すること、さらに、血漿中に天然に存在するヌクレアーゼによって核酸分子の混入を軽減することの両方を実現する。
標準的アプリケーションにおいて、この濃縮方法は密度に基づいて試料内の成分を分離するために遠心力のアプリケーションを使用することができるが、ペレットに圧縮するだけでなく、選択的に細胞を破壊し、その後、エキソソームを含有する上清をデカント/収集するように主に設計されている。細胞を破壊するのに適した遠心力が用いられないならば、ペレットから上清が分離されても、核酸含有物を保持する汚染細胞がまだ含まれることがある。この場合、エキソソーム集団を収集する目的がそのRNAを分析することなので、エキソソームRNAを保持して収集するように設計されたステップは全て、溶液中に残存する完全な細胞のRNAを同様に保持して収集するため、やむを得ず異常な結果が導かれる。しかし、細胞を選択的に破壊する力を適用することによって、全細胞が溶解し、したがってエキソソーム集団が濃密に濃縮される。したがって、このようなペレットはいずれも全細胞からは構成されないので、形成されたどのペレットからも上清を分離する必要はない。したがって、このような分離ステップの追加は不要である。
エキソソームRNAを分析することが求められる限り、新たに曝露された細胞核酸は生物学的試料中に天然に存在する、又は生物学的試料に添加された酵素によって分解されるので、分解された細胞物質を含む溶液中にエキソソームが残存するという事実はほとんど重要ではない。したがって、さらに濃縮又は精製を実施する必要はない。しかし、これは、いかなる追加的ステップの実施も排除するものではないことを理解されたい。例えば、ペレットにするために1回又は複数回の回転を実施し、試料中に存在する最も高密度な粒子状物質の部分を除去し、その後、それらから収集した上清に診断方法を実施してもよい。しかし、この特別な濃縮技術の特有の利点は、実際には必要でないことである。それにも関わらず、本発明の診断方法を適用する前に、使用する試料の種類及びその調製様式の性質の両方を決定し、さらに、濃縮に続いて濃縮されたエキソソーム集団の処理方法を決定することは、十分に当業者の技術の範囲内である。
前記に詳述したように、機械的な細胞破壊の後、溶液内にまだいくつかの汚染物(すなわち、非エキソソーム分子)が残ることがあることを理解されたい。これらの汚染物がDNA及びRNAなどの核酸分子である限り、便利に除去することができる。同様に、タンパク質も除去できる。これは、ヌクレアーゼ及びプロテアーゼなどの酵素の使用によって実現することができる。エキソソームの核酸又はタンパク質内容物を利用するためにエキソソーム自体が溶解されなかったならば、これは、本発明の方法によって得られる試料をさらに精製する便利な手段となる。このために、少なくとも血漿試料中においては、機械的破壊ステップ後の汚染細胞の分解によって放出された細胞質由来のRNAなどの遊離RNAを分解するのに十分なリボヌクレアーゼが存在することが観察された。この方法によって、細胞の強度は維持されないが、エキソソームの強度は維持されることが確実で、エキソソーム内に含有されるRNAに最終的に関心がある限り、エキソソーム由来のRNAの分析から得られた結果が正確であるように、この方法は汚染する遊離RNAを除去する便利な手段となる。機能的ヌクレアーゼ(DNアーゼ若しくはリボヌクレアーゼ)又はプロテイナーゼも、十分な量が試料中に天然に存在しない場合、これらの分子は、機械的細胞破壊プロセスの開始前又は途中の任意の適切な時点で、試料中に導入することができることを理解されたい。
エキソソームを精製するその他の方法には、密度をベースにした分離技術、濾過又は膜抗原特異的親和性単離法など、当業界で周知の技術が含まれる。
エキソソーム内のmRNAを単離し、分析すること、例えば、遺伝子マーカー発現レベルの変化を評価することを求める限り、エキソソームの核酸内容物を曝露するためにエキソソームを溶解して、その後核酸分子のmRNA小集団を分析することが必要である。このために、エキソソームRNAの分析はしばしば、全RNAの単離及びその後の関心のある特異的転写物のPCR増幅に基づく。全RNAを単離し分析する方法は周知である。
エキソソームから全RNAを単離するために使用することができ、使用されてきた方法は多種多様である。このようなエキソソームから全RNAを単離する最初のステップは、変性条件下でエキソソームを破壊し開くことである。利用される方法は、細胞からRNAを単離するために使用される方法を模倣している。Chirgwin et al.Biochemistry、18(24):5294〜9、1979)は、タンパク質のジスルフィド結合を切断するために2−メルカプトエタノール0.1Mを含むタンパク質変性剤チオシアン酸グアニジンの4M溶液中においてホモジナイズすることによって、全RNAを効率よく単離する方法を考案した。次に、Chirgwinは、エタノール抽出又は塩化セシウムによる超遠心によってRNAを単離した。Chomczynski及びSacchi(Analytical Biochemistry、162(1):156〜9、1987)は、この方法を変更して、チオシアン酸グアニジン及びフェノール−クロロホルムの混合物を使用した迅速な1ステップ抽出方法を考案し、この方法は、多数の試料の処理、又は少量の細胞若しくは組織からのRNAの単離に特に有用である。
現在利用可能なキットの多くはこれら2つの方法に基づいており、最適な結果のためにチオシアン酸グアニジン及びフェノール−クロロホルムを独自に混合している。界面活性剤溶解及び有機溶媒抽出などの別の溶解方法も、親和性マトリクスへの吸着の代わりに使用することができる。
単離された核酸を利用するには、細胞溶解及び細胞ヌクレアーゼの不活性化の両方が必要で、この方法は細胞を破壊し開くのに十分に過酷であるが、完全な核酸を生じるのに十分に穏やかでなければならない。これは、ホモジナイズによって機械的に、又は界面活性剤溶解若しくはカオトロピック剤によって化学的に実施することができる。ほとんどの手順では、溶解及び不活性化は、1種類の溶液によって実施される。例えば、Molecular Research Center Inc.によって製造され、Life Technologies’ MessageMaker(登録商標)mRNA単離システムで使用されるTRIzol試薬は、酸性フェノール及びイソチオシアン酸グアニジンの混合物である。組織試料は、TRIzol中において溶解され、全RNAはクロロホルム抽出及びイソプロパノール沈殿によって得られる。同様に、BIOTECX Laboratories Inc.製のULTRASPEC(登録商標)RNA単離キットで使用したChaosolvは、グアニジン塩及び尿素の14M溶液で、変性剤として作用し、フェノール及びその他の界面活性剤と併用して使用される。
RNAを従来の方法によって単離することが困難な細胞及び組織のために、Bio101はFastPrepシステムを提供している。このシステムは、迅速な往復動作及びマトリクスとカオトロピック試薬の組み合わせを使用する卓上機器をベースにしており、数秒の内に同時に組織をホモジナイズし、細胞を溶解し、RNAを安定化する。溶解マトリクスの迅速な撹拌は、広範な物質の効率的な溶解を引き起こす。特定の細胞及び組織の種類からRNAを単離するように設計されたFastRNA(登録商標)キットはそれぞれ、様々な溶解マトリクス、すなわち、シリカ粒子(細菌用)、セラミック粒子(酵母、真菌及び藻類用)及びジルコニウム粒子(植物及び動物組織用)を含有する。
シリカ若しくはガラスをベースにしたマトリクス又はフィルターは、RNAの選択的吸着のために通常選択される。全RNAは、カオトロピック塩の存在下でマトリクス又はフィルターに結合し、通常、使用者は溶解物から抽出するための有機溶媒の使用を回避することが可能になる。
AmbionのRNAqueousシステムは、RNAのガラス線維フィルターへの結合を利用する。小規模アプリケーションのために設計された標準的RNAqueousキットでは、フィルターは微量遠心管内のフィルターカートリッジ内に収納されている。溶液は、遠心によって、又は吸引下でフィルターを通過する。より大きなアプリケーションでは、フィルターはRNAqueous−MIDIキット内のルアーロック式シリンジフィルター内に収納されている。溶液は、10又は20mlシリンジを使用して、ガラス繊維フィルターから押し出すことができる。いくつかの試料を一気に処理するために、シリンジフィルターユニットは、吸引マニホールド上に設置することができる。
Bio101のRNaid Plusキットは、独自のシリカゲルベースのRNAMATRIX(登録商標)を含む。RNAをRNAMATRIXに結合させる前に、この方法は溶解物の酸フェノール抽出を必要とする。RNA結合はバッチ様式で、回転モジュールはマトリクスから溶出したRNAを分離するために使用される。
逆結合方式を使用するBioline Ltd.のRNAceキットは、汚染DNAを無機質担体に結合させることによって細胞溶解物からRNAを単離するために使用される。得られた上清は、汚染DNAを含まない未分解RNAを含有する。
CLONTECHは、いずれもシリカ支持体によるRNAの精製をベースにしたNucleoSpin(登録商標)RNA II及びNucleoTrap mRNAキットを提供している。NucleoSpinカラムは、カオトロピック塩の存在下でDNA及びRNAを結合する特有のシリカ膜を含む。DNAは、DNアーゼ1をカラムに直接添加することによって調製物から除去される。NucleoTrapは、懸濁物中においてRNAを結合する活性化球状シリカマトリクスである。
S.N.A.P.は、Invitrogen Corpから入手できるシリカをベースにした樹脂である。S.N.A.P.全RNA単離キットでは、樹脂は膜/カラム様式に充填され、複数の試料の効率的な処理を可能にする。
Life TechnologieのGLASSMAX RNA単離スピンカートリッジは、RNAに結合する負電荷のシリカマトリクスを含む。細胞をイソチオシアン酸グアニジンで溶解すると、試料は酸ナトリウム溶液中に懸濁する。これは、スピンカートリッジに適用され、その後カートリッジから結合したRNAを溶出させることができる。
QIAGENのRNeasyキットは、チオシアン酸グアニジン溶解の利点とシリカゲル膜による迅速な精製を組み合わせる。複数の適用に適応させるため、膜は様々な大きさのスピンカラム内及び96ウェルプレート内に収納されている。RNeasy 96の手順は、吸引マニホールド、遠心器を使用して手動で実施するか、BioRobot 9604で自動化することができる。植物組織からのRNA収量を増加させるためには、QIAshredderカラムをRNeasy Plantミニキットに含める。これらのカラムは、RNeasyスピンカラムを使用する前に、粘稠な植物及び真菌溶解物のホモジナイゼーション及び濾過のために使用される。
Roche Molecular BiochemicalsのHigh Pure RNA単離キットは、全核酸を結合するためにスピンフィルター管内にガラス繊維フリースを使用している。一緒に精製されるDNAは、最終的にDNアーゼ1消化ステップによって消化される。キットは、培養細胞、組織及びウイルスからのRNAの単離のために利用することができる。
StrataPrep全RNAMiniprepキットは、様々な組織及び細胞の多様な試料量から全RNAを単離する。少量のRNAを必要とする実験のために設計すると、方法には、RT−PCR用に全RNAを調製するために最適な特定のDNA除去ステップが含まれる。マイクロスピンカップ形式は、多数の試料を同時に処理することを可能にする。
磁気分離は、RNAを分離する迅速な手段を提供する。ポリスチレン又は酸化鉄及び多糖類などのいくつかの物質から形成することができる超常磁性粒子は、磁場内に置くと磁気を帯びるが、磁場から取り出すと残存磁性を保持しない。残存磁性がないと、磁気的な凝集を誘導することなく確実に粒子を繰り返し分離し再懸濁することができる。
Advanced Biotechnologies製のRiboMag全RNA単離キットは、全RNAを単離するために、磁気分離とシリカ吸着を組み合わせている。非フェノール性溶解ステップ及び細胞壁をペレットにする迅速な回転の後、上清を磁気シリカと混合する。10μgを上回る量の場合、磁気分離はアルコール沈殿と置換することができる。磁気分離器は、10又は20本の1.5ml試験管及び96ウェルプレートに利用することができる。Advanced Biotechnologiesはまた、組織、細胞、細菌、植物、酵母及び生物学的流体からの全RNAの1ステップ単離のために、フェノールグアニジンをベースにした全RNA単離試薬(TRIR)を提供している。
しかし、全RNAはmRNA以外を含むことを踏まえると、mRNAの特異的分析は、mRNAが全RNAの小部分のみを構成するとき、特に関心のある特定のmRNA転写物のコピー数が非常に低いときは、最適ではあり得ない。
このために、エキソソーム由来のmRNAが完全長でポリアデニル化され得ることが最近確認されたので、ポリ(A)テールの標的化をベースにしたエキソソームmRNAの特異的単離方法の開発が可能になった。ポリアデニル化RNAを標的化して単離する方法は当業界では周知で、容易であり日常的に適用されている。
診断的な本発明のRNA増幅又は探索ステップは、プライマーの使用に基づく。「プライマー」又は「オリゴヌクレオチドプライマー」については、一連のヌクレオチドを含む任意の分子又はそれらの機能的誘導体若しくは類似体をいうものであり、その機能には、関心のある核酸分子の一領域に対するハイブリダイゼーションが含まれるものと理解されたい。プライマーは、非核酸成分を含んでもよいことを理解されたい。例えば、プライマーはまた、蛍光若しくは酵素的タグなどの非核酸タグ、又はプローブとして分子の使用を容易にする、そうでなければその検出若しくは固定を容易にするいくつかのその他の非核酸成分を含んでいてもよい。プライマーはまた、以下に詳細に論じるオリゴヌクレオチドタグなどの核酸成分を追加して含んでいてもよい。別の例では、プライマーは、核酸側鎖を示すペプチド主鎖を含むタンパク質核酸であってもよい。
本発明で使用するために適切なプライマーの設計及び合成は、当業者には周知である。一実施形態では、対象のプライマーの長さは4〜60ヌクレオチドであり、別の実施形態では10〜50の長さであり、さらに別の実施形態では、15〜45の長さであり、さらに別の実施形態では20〜40の長さであり、さらに別の実施形態では25〜35の長さである。さらに別の実施形態では、プライマーの長さは、約26、27、28、29、30、31、32、33又は34ヌクレオチドである。
様々な技術を使用して、相対的な遺伝子発現レベルを測定するために増幅生成物を分析することができる。使いやすさ又は感受性などの操作上の特性は、様々な技術が様々な目的のために有用であり得るように変化する。それらには、限定はしないが、
・ 配列決定
・ ピロシーケンス
・ 酵素消化
・ マイクロアレイ分析
・ 変性剤濃度勾配ゲル電気泳動
・ アガロースゲルをベースにした分離
・ リアルタイムPCRサイクラ−による融解曲線分析
・ 定量的リアルタイムPCR
・ 変性剤高性能液体クロマトグラフィー
・ 質量分析
・ プライマー伸長
・ オリゴヌクレオチドライゲーション
・ 突然変異特異的ポリメラーゼ鎖反応
・ 変性剤濃度勾配電気泳動(DGGE)
・ 温度勾配変性剤電気泳動
・ 変性剤一定電気泳動
・ 1本鎖高次構造電気泳動
・ 変性剤高性能液体クロマトグラフィー(DHPLC)が含まれる。
タンパク質発現生成物の検出に関して、生物学的試料中におけるタンパク質発現生成物の試験は、当業者には周知のいくつかの適切な方法のいずれか1つによって実施することができる。適切な方法の例には、限定はしないが、ウェスタンブロッティング、ELISA、免疫組織科学又はフローサイトメトリー法の場合などの抗体をベースにしたスクリーニングが含まれる。これらには、もちろん、非競合型の1部位及び2部位又は「サンドイッチ」アッセイ、並びに従来の競合型結合アッセイが含まれる。これらのアッセイにはまた、標的に対する標識抗体の直接結合が含まれる。
前述の遺伝子マーカー発現レベルのスクリーニングに適した方法の選択及び適用は、十分に当業者の技術の範囲内である。
本発明はさらに、以下の非限定的実施例を参照にして説明する。
実施例1
血漿標本中における遺伝子マーカーの検出性を試験するために、市販のTaqManアッセイをApplied Biosystemsから購入した。PCRアンプリコン位置(すなわち、エキソン−エキソン接合部)の位置決めは、42個の対応させた正常標本及び鋸歯状腺腫のヒトSTエキソン1.0マイクロアレイ試験によって、すなわち、正常な結腸標本と腺腫結腸標本の間の違いの倍率が最高を示すエキソンに向けて導いた。
全部で46個の遺伝子(付録1及び2の赤/緑に着色された遺伝子)を標的とする全部で68のTaqManアッセイを、血漿2mLから抽出されたRNAから生成したcDNA(RNA:cDNA1:1)2.5μlに使用した。血漿は、K3−EDTAバキュテナー採血管9mLに収集した全血の2回の連続的遠心ステップ(1,500g、10分、摂氏4度)から生成した。TaqManアッセイは、正常な患者15人、結腸腺腫を有する患者15人及び結腸癌を有する患者15人(大腸内視鏡によって得られた表現型)の45個の血漿標本の少なくとも1パネルで試験した。表1(並びに表2及び3)は、46種類の特有の遺伝子から得られたRNAのシグナルをまとめて示す。
血漿中の組織mRNAの検出性は、結腸直腸新生物組織標本で認められた発現レベルと相関しないことは、表2から明らかである。例えば、非新生物対照に対して新生物結腸組織標本中で異なって発現した遺伝子上位5つのうち3つの転写物、すなわち、DPEP1、MMP7及びCDH3は、非常に感受性の高い方法を使用しても、結腸直腸癌の患者から得られたヒト血漿中で検出できなかった。反対に、正常標本と新生物標本の間で比較的ほとんど違いのない発現しか示さなかった結腸直腸組織バイオマーカーのいくつか、例えば、CRNDE及びOLFM4は、血漿標本中で容易に検出できた。
アンプリコンの位置(すなわち、どのエキソン−エキソン接合部がPCRアッセイによって増幅されるか)、アンプリコンの大きさ(アンプリコンサイズがより大きいほどPCR増幅はより困難である)、PCRアッセイによって増幅されたスプライシング変種の数、染色糸及び染色体の位置、mRNAの大きさ及びmRNAの細胞内での位置などの要素を調べた。血漿中のmRNAの検出性に対して、これらの要素の間には相関は認められなかった。
しかし、観察された予期せぬ驚くべき相関は、いくつかのmRNA標的の血漿での検出性と推定エキソソーム含量との間の相関であった。これによって、結腸直腸新形成での発現が増加しているいくつかの遺伝子マーカーは実際に、エキソソームで著しく増加したレベルで検出することができるが、その他は(驚くべきことに)検出できないという結論が導かれた。
実施例2
材料及び方法
臨床標本
健康なドナー(136)、腺腫(124、任意の等級)及び癌(138、任意の等級)患者の血液標本を、Flinders Medical Center(Adelaide、Australia)又は臨床標本供給業者(Proteogenex、USA)との共同で入手した。結腸直腸新生物の状態を、大腸内視鏡によって確認し、全標本を病理学的に調査した。血漿は、全血の静脈切開術標本(K3EDTAバキュテナー)から血液採取の4時間以内に2×1500g回転法を使用して生成した。
血漿RNA抽出、cDNAライブラリーの生成及び抽出品質の管理
RNAは、QIAamp循環核酸抽出キット(Qiagen、Australia)を使用して血漿の一部2mLから抽出し、最終的な量100pLに希釈した。標本間の核酸抽出効率の違いを正規化するために、RNA単離前にarRNAエンテロウイルス(Asuragen、US)で各血漿標本をスパイクし、回収率を、抽出手順の後で測定した。RNA10μLをcDNA反応物20μLに変換することによって(SuperScript(登録商標)、Invitrogen、USA)10個の別個のcDNAパネル(それぞれ、健康なドナー15人、腺腫15人及び癌15人を含む)を生成した。
qRT−PCRによる血漿mRNA発現分析
組織対血漿の発現移動性(portability)は、48個の特有の遺伝子を標的とするTaqman遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems、USA)を使用して調べた。アッセイは、患者当たりcDNA2.5μLに対して3連で実施した。患者の倍率変化は、「正常な」標本のCt中央値に対する患者のCt平均値(修正arRNA)として計算した。
血漿の検出可能対検出不可能mRNA転写物の分析
血漿中で検出可能なmRNAの部分を、一連の記述子共変数(例えば、アンプリコンの長さ、染色体位置、GC含量など)について血漿中で検出できないmRNA転写物と比較した。特に、mRNA発現と、特定のmRNA又はタンパク質が一連のヒト及びマウス組織細胞から得られたエキソソームにおいて検出可能であることが認められたという証拠との対応を評価した。
結果
(1)全RNAは血漿標本から容易に抽出される
GAPDHは、市販のTaqMAN遺伝子発現GAPDHアッセイHs99999905_m1(Applied Biosystems、USA)を使用して分析した血漿標本398個全てで検出された(Ct平均30.21;95%CI:27.5〜32.9)。
(2)血漿中における検出性と結腸組織におけるバイオマーカー発現の間の相関
試験した46個の異なる遺伝子のうち、21個は血漿標本のいずれにおいても検出可能なRNAシグナルを示さなかったが、22個は検出可能であるが、癌と非新生物対照血漿との間に発現の違いは示さなかった。組織中で実証された3つのmRNAバイオマーカーのみは、同様に、非新生物対照よりも新生物血漿において高濃度で発現した。
(3)血漿中のKIAA1199mRNAレベルは新生物標本で上昇した。
市販のTaqMAN遺伝子発現KIAA1199アッセイ、Hs01552116_m1は、全部で96人の健康なドナー及び95人の結腸直腸腺腫及び99人の癌患者を含む6つのcDNA血漿ライブラリーにおいてKIAA1199を検出するために使用し、3連の3つのうち2つが陽性のqRT−PCRシグナルを示した場合に陽性試料の指定基準を適用すると、平均感受性は74%(CI:58〜90%)であり、特異性は66%(CI:45〜87%)であった。
(4)組織バイオマーカーの検出性は、微小胞中における出現と相関する
例えば、アンプリコンの大きさ/位置、%GC、増幅したスプライシング変種の数、転写物の大きさなどの一連の要素を調査したが、組織対血液の存在対応の欠如は明らかにされなかった。しかし、血漿中におけるRNA検出とエキソソームでの発現の証拠の対応は確認された。しかし、これは、エキソソームタンパク質及びRNAのデータベースであるExoCartaデータベースで提供された情報と完全には相関しなかった。特に、血漿中でPCR増幅シグナルを有さない遺伝子の約30%は、それにも関わらずExoCartaデータベースに列挙されているが、血漿中で検出できる遺伝子の約30%はこのデータベース中には認められなかった。このことは、このデータベースが非ヒト細胞系データから作成されており、これらの結果の性質は予測できないことを示すという事実及びこのデータベースの有用性は注意深く扱わなければならないという事実によって説明することができる。
当業者であれば、本明細書で記載した本発明は、特に記載した変更及び改変以外の変更及び改変を行うことができることは明らかであろう。本発明はこのような変更及び改変を全て含むことを理解されたい。本発明は又、本明細書で言及した、又は示したステップ、特徴、組成物及び化合物全てを、個々に、又は集合的に含み、前記ステップ又は特徴の任意の2つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含む。


参考文献一覧
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Chomczynski and Sacchi(Analytical Biochemistry,162(1):156−9,1987。

Claims (13)

  1. 個体における大腸新生物の発症又は発症の素因についてスクリーニングする方法であって、前記個体の膜微小胞試料中における、
    (i)

    から選択される任意の1つ若しくは複数の遺伝子、又は
    (ii)以下のHg19座標

    によって規定される領域のうちの任意の1つ若しくは複数の発現レベルを測定するステップを含み、対照レベルに対する前記遺伝子の発現レベルの増加が新生物の発症又は発症の素因の指標である方法。
  2. 前記新生物が腺腫である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記新生物が腺癌である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記大腸新生物が結腸直腸新生物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記遺伝子から転写されたRNA又は前記RNAから逆転写されたcDNAのいずれかのレベルについてスクリーニングすることを対象とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記RNAがmRNAである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記遺伝子のタンパク質発現生成物又はそれらの断片についてスクリーニングすることを対象とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記微小胞がエキソソーム、アポトーシスブレブ、微粒子、アポトーシス小体又は細胞ブレブである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記微小胞がエキソソームである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記生物学的試料が、血液、血清、血漿、尿、便、唾液、涙又は腹水液試料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記遺伝子が、
    (i)

    (ii)以下のHg19座標

    によって規定される領域の1つ又は複数である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記遺伝子が、
    (i)

    (ii)以下のHg19座標

    によって規定される領域のうちの1つ又は複数である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記個体がヒトである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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