以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る自動取引システムの構成例を示す図である。本実施形態に係る自動取引システムは、ATM2、銀行ホスト(以下ホストとする)3、センタージャーナルサーバ4及び監視装置5を有する。
ATM2は、預金者等の利用者による操作に応じて、出金や入金、振込等の各種取引を実行する。ホスト3は、ATM2による取引の可否判断や、元帳に記録された預金残高の更新等の処理を実行すると共に、取引の許否判断の結果と取引の内容等をセンタージャーナルサーバ4に送信する。
センタージャーナルサーバ4は、ホスト3において実行された取引の許否判断の結果と取引の内容等を示すジャーナルを蓄積し、管理するサーバ装置である。センタージャーナルサーバ4は、ATM2及びホスト3の双方とネットワークを介して接続されている。センタージャーナルサーバ4は、ATM2からそのATM2において実行した取引の内容を受信すると、その内容をホスト3に送信する。また、センタージャーナルサーバ4は、ホスト3より取引の許否判断の結果と取引の内容等を受信すると、その内容を蓄積すると共に、ATM2に送信する。
監視装置5は、自動取引システム1内の状態を監視し、ATM2に対して、自動取引システム1内において発生した異常の通知等を行う。
ATM2とホスト3との接続形態としては、図1(a)に示すホスト直結型と、図1(b)に示すデータセンタ経由型とがある。
図1(a)に示すように、ホスト直結型の接続形態の自動取引システム1においては、ATM2は、ホスト3と直接に接続されている。
これに対し、図1(b)に示すデータセンタ経由型の接続形態の自動取引システム1Aにおいては、ATM2は、センタージャーナルサーバ4を含むデータセンタを介してホスト3と接続されている。
例えば災害等によりホスト3がダウンした場合には、ATM2は、ホスト3との間で取引に関する電文の送受信が不能となり、通常の取引処理が実行できなくなってしまう。このような場合であっても、本実施形態に係る自動取引システムによれば、センタージャーナルサーバ4が、自装置が保持するジャーナルに基づき、ATM2における出金の取引の可否を判断する。自動取引システムを構成する各装置の接続形態は、図1(a)及び図1(b)のいずれであってもよい。
以下に、本実施形態に係るホスト3ダウン時にATM2において出金取引を行う方法について、具体的に説明していく。
<ATM2の構成>
図2は、本実施形態に係るATM2の構成を示す図である。図2に示すように、本実施形態に係るATM2は、紙幣入出金部21、硬貨入出金部22、カード読取書込・レシート印字部23、通帳読取書込部24、顧客操作部25及び制御部26を有する。
紙幣入出金部21及び硬貨入出金部22は、それぞれ、ATM2の外部から利用者が投入した紙幣や硬貨の受け付けや、紙幣や硬貨の外部への放出を行う。カード読取書込・レシート印字部23は、ICカード等の読取や必要な情報のICカードへの書き込みや、レシートに取引結果の印字を行う。通帳読取書込部24は、通帳の読み取りや記帳等の処理を行う。顧客操作部25は、各種情報のATM2の画面への表示や、利用者がタッチパネル等を介して入力した情報の受け付けを行う。
制御部26は、主制御部6、ホスト通信制御部7、センタージャーナルサーバ通信制御部8及び監視装置通信制御部9を有し、本実施形態に係るホスト3ダウン時の出金取引処理を含め、ATM2の各部を制御する処理を実行する。
具体的には、主制御部6は、紙幣入出金部21、硬貨入出金部22、カード読取書込・レシート印字部23、通帳読取書込部24及び顧客操作部25の制御を行う。ホスト通信制御部7、センタージャーナルサーバ通信制御部8及び監視装置通信制御部9は、それぞれ、ホスト3、センタージャーナルサーバ4及び監視装置5との通信を制御する。
なお、図2においては、図1(a)のホスト直結型の構成をとる自動取引システム1において使用されるATM2の構成例を示しているため、ATM2は、ホスト通信制御部7を備えている。ATM2が図2(b)のデータセンタ経由型の構成をとる自動取引システム1Aにおいて使用される場合には、ATM2は、ホスト通信制御部7の代わりに、データセンタ通信部を有することとなる。
<センタージャーナルサーバ4の構成>
図3は、本実施形態に係るセンタージャーナルサーバ4の構成を示す図である。図3に示すように、本実施形態に係るセンタージャーナルサーバ4は、制御部11とジャーナルデータベース12とを有する。
ジャーナルデータベース12は、取引履歴データ31及びジャーナル出金データ32を格納する。取引履歴データ31は、ホスト3において実行した取引の許否判断の結果と取引の内容等を記録したジャーナルからなる。ジャーナル出金データ32は、ホスト3がダウンしている間のATM2における出金取引に関するデータであり、ホスト3が復旧するまでの間に、センタージャーナルサーバ4において一時的に保持するデータである。
制御部11は、ジャーナル読取部13、ジャーナル書込部14、取引可能判断処理部15、ATM通信制御部16及びホスト通信制御部17を有し、センタージャーナルサーバ4の各部を制御する。
具体的には、ジャーナル読取部13及びジャーナル書込部14は、それぞれジャーナルの読み取り及び書き込みを行う。なお、ジャーナルとは、一般的にはATM2においてホスト3の許可又は拒否を受けて処理した取引の内容を記録したものをいい、図3の取引履歴データ31がこれに相当する。但し、ジャーナル出金データ32は、ホスト3が復旧した場合には取引履歴データ31として登録をするデータである。このため、本実施形態においては、取引履歴データ31に加えてジャーナル出金データ32についても、「ジャーナル」に含めることとする。
取引可能判断処理部15は、ホスト3がダウンしているときにATM2がセンタージャーナルサーバ4に対して出金を許可するよう求めてきた場合は、ATM2に対して出金を許可するか否かを判断し、これに関する各種処理を実行する。
ATM通信制御部16及びホスト通信制御部17は、それぞれATM2及びホスト3との通信を制御する。
このように、ホスト3がATM2と通信不能となっている間に利用者がATM2から出金を行おうとした場合には、センタージャーナルサーバ4が、ジャーナルデータベース12のジャーナルに基づき、出金を許可するか否かの判断を行う。ATM2は、出金許可が得られた場合には、センタージャーナルサーバ4が設定した出金限度額の範囲内で出金処理を行う。センタージャーナルサーバ4は、ホスト3が復旧すると、ジャーナル出金データ32として一時的に保持しておいたデータを取引履歴データ31に登録するとともに、ホスト3の元帳の預金残高を更新させるようホスト3に依頼を行う。ATM2においては、ホスト3のダウン時であっても、センタージャーナルサーバ4が決定した出金限度額の範囲内で出金を行うことができ、出金限度額は、取引履歴データ31に基づいて、取引対象の過去の口座の残金の変動に応じた金額が決定される。ホスト3のダウン中にセンタージャーナルサーバ4がどのように出金限度額を設定し、ATM2がこれにしたがって出金の取引を行うかについて、以下に具体的に説明する。
<ATM2の動作>
まず、ATM2の具体的な動作について説明する。
図4A〜図4Eは、本実施形態に係るATM2による取引処理を示したフローチャートである。ATM2の制御部26が、図4A〜図4Eに示す処理を実行する。
なお、図4A〜図4E及び以下の説明においては、例えば顧客(ATM2の利用者)が操作の途中で取消キーを押下して取引を中断する場合等の、本実施形態に係る出金の取引処理とは直接的に関係しない処理については、省略している。
まず、ATM2がステップS1で、制御部26により顧客操作部25を制御して、画面に取引種別選択画面を表示させる。顧客(利用者)による入力待ちの状態であるときに、ステップS2で、制御部26は、ATM2のタッチパネル等を介して、利用者による取引キーの押下を認識したか否かを判定する。取引キーの押下を認識した場合は、ステップS3に進む。取引キーの押下を認識していない場合は、処理をステップS22へと移行させる。
ここで表示させる取引種別選択画面は、入金(預け入れ)、出金(引き出し)、振込等のATM2で処理可能な取引の一覧を表示してボタンの押下等により利用者に所望の取引を選択させる、一般的な画面である。利用者によりいずれかの取引が選択されると、ステップS3に進む。
ステップS3で、制御部26は、押下された取引キーが出金取引キーであるか否かを判定する。出金取引キーが押下された場合には、ステップS4に進む。押下された取引キーが出金取引キー以外である場合は、ステップS28に進み、押下された取引キーに応じた処理を実行し、ステップS1に戻る。ステップS28の他の取引処理については、公知の技術であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
なお、ステップS2において、取引キーの押下を認識していない場合は、ステップS22で、制御部26は、監視装置5より強制電文を受信したか否かを判定する。強制電文を受信していない場合は、ステップS1に戻る。監視装置5から強制電文を受信している場合は、ステップS23に進む。
ステップS23で、制御部26は、受信した電文に、ホスト3が災害等によりダウンしている場合の取引処理を実行する旨の指示が含まれているか否かを判定する。受信した電文がホスト3ダウン時の取引処理を実行する旨の指示を含む場合は、ステップS24に進み、災害ホストダウン中の処理モードへと切り替えて、ステップS1に戻る。受信した電文が他の電文である場合は、ステップS25に進む。
ステップS25で、制御部26は、受信した電文に、災害等によりダウンしていたホスト3が復旧したことにより、通常の取引処理を実行する旨の指示が含まれているか否かを判定する。受信した電文がホスト3復旧時(通常時)の取引処理を実行する旨の指示を含む場合は、ステップS26に進み、ホスト3復旧時の処理(通常運用)モードへと切り替えて、ステップS1に戻る。受信した電文が他の電文である場合は、ステップS27に進む。
ステップS27では、制御部26は、他の強制電文を受信した場合における所定の処理を実行し、ステップS1に戻る。
ステップS1で表示した画面で出金取引キーが押下された場合の説明に戻ると、図4BのステップS4で、制御部26は、顧客操作部25を制御して、ICカード等を挿入するよう利用者に促す画面を表示させる。そして、ステップS5で、カードがカード読取書込・レシート印字部23に挿入されるのを待ち受ける。カードがカード読取書込・レシート印字部23に挿入されたことを認識すると、ステップS6に進む。
ステップS6で、制御部26は、顧客操作部25を制御して、利用者がカード(すなわち預金口座)の保有者であることを照合するための画面を表示させる。そして、ステップS7で、制御部26は、顧客操作部25からの入力に基づき、本人照合を行う。例えば災害等によりホスト3がダウンしている間には、ホスト3に保有されている情報と照合を行うことができない。このため、ステップS7の本人照合については、例えば、ステップS4においては生体認証情報を保持するICカードを受け付けて、生体認証を行うのが望ましい。あるいは、暗証番号を保持するカードを受け付けて、ATM2において照合を行う構成としてもよい。
ステップS8で、制御部26は、ステップS7における本人照合結果を判定する。照合結果がOKの場合は、ステップS9に進む。一方、照合結果がNGの場合は、出金取引を実行できないと判断し、ステップS29に進む。ステップS29では、制御部26は、カード読取書込・レシート印字部23からカードを放出して利用者に返却し、処理を終了する。
図4CのステップS9で、制御部26は、顧客操作部25を制御して、利用者に出金額を入力させるための画面を表示させる。ここで表示させる画面は、出金の取引において表示する一般的な画面である。ステップS10で、制御部26は、出金額が入力済で、かつ画面の確認キーが押下されたか否かを判定する。出金額が入力され、確認キーが押下されると、ステップS11に進む。
ステップS11で、制御部26は、顧客操作部25を制御して、ホスト3等の他の装置と通信中であるときに表示すべき画面を表示させる。ここで表示させる画面は、例えば、「少々お待ちください」等のメッセージを含む一般的な画面である。
ステップS12で、制御部26は、ホスト3が災害等によりダウン中の取引処理モードであるか否かを判定する。災害等によりホスト3がダウン中である場合は、ホスト3と通信不能であるとして、ステップS13に進む。ATM2とホスト3とが通信可能な状態(通信が正常)である場合は、処理をステップS30へと移行させる。
ステップS13では、制御部26は、センタージャーナルサーバ4宛に出金取引を要求する電文を生成し、センタージャーナルサーバ4に送信する。ステップS14で、制御部26のセンタージャーナルサーバ通信制御部8は、センタージャーナルサーバ4との間で通信処理を行い、ステップS15で、センタージャーナルサーバ4から取引結果を含む電文を受信する。
図5は、ATM2がセンタージャーナルサーバ4宛に送信する電文のフォーマット例を示す図である。このうち、図5(a)は、ATM2が上記ステップS13において生成し送信するセンタージャーナル取引要求電文を例示する。
図5(a)に示すとおり、センタージャーナルサーバ4宛に送信する取引要求電文は、取引日時、口座番号、入力金額、電文分類及び取引種別を含む。
取引日時は、例えば、ATM2において取引要求電文を生成した日時である。口座番号は、ステップS4で挿入されたカードから読み取った口座番号であり、これにより、預金口座を識別する。入力金額は、ステップS9〜ステップS10において利用者により入力された金額である。電文分類は、取引要求電文であることを識別する情報であり、取引種別は、「ジャーナル出金」であることを表す情報である。
取引種別の「ジャーナル出金」とは、通常のホスト3から出金許可を得て行う出金に対し、ホスト3のダウン時にセンタージャーナルサーバ4により出金許可を得て行う出金である。
図6は、ATM2がセンタージャーナルサーバ4から受信する電文のフォーマット例を示す図である。このうち、図6(a)は、ATM2が上記ステップS15において受信するセンタージャーナル取引判断の結果、取引を不可とする旨を通知する電文を例示し、図6(b)は、取引を許可する旨を通知する電文を例示する。
図6(a)及び図6(b)に示すとおり、ATM2がステップS15でセンタージャーナルサーバ4から受信する電文には、取引日時、口座番号、出金金額、出金可否及びホストダウン時出金限度額(以下出金限度額と略記する)を含む。
取引日時は、例えば、センタージャーナルサーバ4が図5(a)の電文を受信した日時である。出金金額には、図5(a)の電文に含まれる入力金額が格納される。出金可否は、センタージャーナルサーバ4において取引の許否を判断した結果を表す情報が格納される。図6(a)では、取引不可とする旨の情報(NG)が格納され、図6(b)では、取引を許可する旨の情報(OK)が格納される。出金限度額は、センタージャーナルサーバ4においてジャーナルに基づき決定した出金限度額である。
なお、図4CのステップS12において、ホスト3が通常運用モードである場合には、ステップS30に進み、制御部26は、ホスト3宛に出金取引を要求する電文を生成し、ホスト3に送信する。ステップS31で、制御部26のホスト通信制御部7は、ホスト3との間で通信処理を行い、ステップS32で、ホスト3から応答電文を受信する。 ステップS33で、制御部26は、出金許可応答を受信したか否かを判定する。ステップS32においてホスト3から受信した電文が、出金を許可する旨の指示を含む場合には、図4EのステップS39へと処理を移行させる。ステップS39以降の処理については後述する。
一方、ステップS32においてホスト3から受信した電文が、出金不可とする旨の指示を含む場合には、ステップS34に進み、制御部26は、カード読取書込・レシート印字部23からカードを放出して利用者に返却し、処理を終了する。
ステップS30乃至ステップS34の処理については、ホスト3との電文の送受信等についての一般的な処理であるので、電文のフォーマット等の詳細な説明については、省略する。
災害等によるホスト3ダウン中の処理の説明に戻ると、図4DのステップS16では、制御部26は、ステップS9〜ステップS10で入力された金額が、センタージャーナルサーバ4から通知された出金限度額以下であるか否かを判定する。入力金額が出金限度額以下である場合は、利用者が出金を求める金額については全額支払いが可能であるとして、図4EのステップS39へと処理を移行させる。ステップS39以降の処理については後述する。入力金額が出金限度額を超える場合は、ステップS17に進む。
ステップS17で、制御部26は、出金限度額が0円より高いか否かを判定する。出金限度額に1円以上の金額が設定されている場合は、ステップS18に進む。そして、ステップS18で、制御部26は、顧客操作部25を制御して、図7Aに例示するような画面を表示させ、図6(b)の電文中のホストダウン時出金限度額を、取引限度額として出力する。一方、ホストダウン時出金限度額が0円である場合は、センタージャーナルサーバ4により出金取引不可と判定されたとして、ステップS35へと処理を移行させる。
ステップS35では、制御部26は、顧客操作部25を制御して、図7Bに示すような画面を表示させ、ジャーナルに基づき取引の許否を判定した結果、出金取引を行うことができない旨のメッセージを出力する。ステップS36で、カード読取書込・レシート印字部23からカードを放出して利用者に返却し、処理を終了する。
一方、ステップS18で、図7Aに例示する画面を表示させた後、ステップS19で、制御部26は、出金限度額の範囲内での出金取引を行うか否かを判定する。ここでは、図7Aの画面中の出金限度額内での取引を行うか否かの質問に対し、利用者が、ボタンB1のうち、「はい」または「いいえ」のうちいずれを選択したかにより判定する。ボタンB1のうち、「はい」及び「いいえ」のいずれかのボタンが押下されると、「はい」の場合はステップS20へ、「いいえ」の場合はステップS37へと処理を移行させる。このうち、ステップS37では、制御部26は、顧客操作部25を制御して、カード等の媒体を返却するときの一般的な画面を表示し、ステップS38で、カード読取書込・レシート印字部23からカードを放出して利用者に返却し、処理を終了する。
一方、図4EのステップS20以降の処理では、出金限度額の範囲内で出金を行うための処理を実行する。
ステップS20では、制御部26は、顧客操作部25を制御して、図7Cに示すような画面を表示させ、出金限度額を示しつつ、利用者に対し、その範囲内での再度の金額指定を行わせる。例えば、図7Cのボタン群B2により入力された金額を、再設定された出金額とする。
ステップS21で、制御部26は、再入力された金額と出金限度額とを比較して、再入力された金額が出金限度額以下であるか否かを判定する。ステップS20で入力された金額が出金限度額を超える場合は、ステップS20に戻り、利用者に金額を再入力させる。ステップS20で入力された金額が出金限度額の範囲内(出金限度額以下)である場合は、ステップS39へと処理を移行させる。
ステップS39で、制御部26は、ステップS9〜ステップS10またはステップS20で利用者が指定した金額分の現金を計数する。ステップS40については、ステップS37と同様である。ステップS41で、制御部26は、紙幣入出金部21や硬貨入出金部22、カード読取書込・レシート印字部23や通帳読取書込部24を制御して、カードや通帳等の媒体と現金とを放出させ、ステップS42に進む。
ステップS42で、制御部26は、ホスト3が災害等によりダウン中であるか否かを判定する。ホスト3がダウン中である場合は、ステップS43へ、ホスト3が正常に動作している場合はステップS44へと処理を移行させる。
ステップS43では、制御部26は、取引種別が「ジャーナル出金」であることを表す情報を含むセンタージャーナル書込電文を生成し、センタージャーナルサーバ4宛に送信し、処理を終了する。ステップS44では、制御部26は、取引種別が「出金」であることを表す情報を含むセンタージャーナル書込電文を生成し、センタージャーナルサーバ4宛に送信し、処理を終了する。
図5(b)及び図5(c)は、それぞれステップS43及びステップS44においてATM2が送信するセンタージャーナル書込電文を例示する。
図5(b)及び図5(c)に示すとおり、センタージャーナル書込電文は、取引日時、口座番号、入力金額、電文分類及び取引種別を含む。電文の各項目は、図5(a)のセンタージャーナル取引要求電文に含まれる項目と同様であるが、図5(b)については、S20において金額が変更された場合はその値が設定される。電文分類には、センタージャーナルサーバ4に対してジャーナルの書き込みを求める旨の「書込」が格納される。取引種別については、ホスト3が通常動作を行っており、ホスト3により出金許可を得ている場合は、図5(c)のとおり、「出金」が格納される。ホスト3ダウン時にセンタージャーナルサーバ4により出金許可を得ている場合は、図5(b)のとおり、「ジャーナル出金」が格納される。
このように、センタージャーナルサーバ4は、図5(a)に例示する電文を受信すると、ATM2における出金取引を許可するか否かの判定を行い、図5(b)及び図5(c)に例示する電文を受信すると、ジャーナル書き込み処理を実行する。
<センタージャーナルサーバ4の動作>
次に、センタージャーナルサーバ4の具体的な動作について説明する。
図8は、本実施形態に係るセンタージャーナルサーバ4によるセンタージャーナル処理を示したフローチャートである。センタージャーナルサーバ4の制御部11が、図8に示す処理を実行する。
まず、センタージャーナルサーバ4が他の装置からの電文を受信すると、ステップS51で、制御部11は、電文をATM2から受信したか否かを判定する。他の装置から送信された電文である場合には、ステップS52に進み、受信した電文に応じた所定の処理を実行し、ステップS51に戻る。ATM2から送信された電文である場合には、ステップS53に進む。
ステップS53で、制御部11は、電文中の電文分類が「データ書込」であるか否かを判定する。電文分類が「データ書込」の電文については、先に図5(b)や図5(c)を参照して説明したとおりである。ATM2から受信した電文の電文分類が「データ書込」である場合は、ステップS54に進み、所定のジャーナル書込処理を実行し、ステップS51に戻る。ステップS54のジャーナル書込処理については、後にフローチャート等の図面を参照して詳しく説明する。ATM2から受信した電文の電文分類が「データ書込」でない場合は、ステップS55に進む。
ステップS55で、制御部11は、電文中の電文分類が「取引要求」であるか否かを判定する。電文分類が「取引要求」の電文については、先に図5(a)を参照して説明したとおりである。ATM2から受信した電文の電文分類が「取引要求」である場合は、ステップS56に進み、所定の取引許可判断処理を実行し、ステップS51に戻る。ステップ56の取引許可判断処理については、後にフローチャート等の図面を参照して詳しく説明する。ATM2から受信した電文分類が「取引要求」でない場合は、ステップS51に戻る。
このように、センタージャーナルサーバ4は、受信した電文がATM2からの電文であり、その電文分類が「データ書込」及び「取引要求」である場合には、それぞれ電文分類に応じてデータ書込処理及び取引許可判断処理を実行する。
<取引許可判断処理>
図9は、センタージャーナルサーバ4による取引許可判断処理を示したフローチャートである。上記のとおり、図9に示す一連の処理は、図8のステップS56に示す取引許可判断処理の詳細を示すものであり、センタージャーナルサーバ4の制御部11は、ATM2から図5(a)の取引要求電文を受信したことを契機として、図9の処理を開始する。
まず、ステップS61で、制御部11は、ジャーナルデータベース12の取引履歴データ31より、取引許可判断に利用するデータを抽出する。
図10は、取引履歴データ31の構造例を示す図である。センタージャーナルサーバ4は、出金以外の取引(入金、記帳、残高照会等)についても取引履歴データとしてジャーナルデータベース12に書き込みを行う。また、ジャーナルデータベース12にはセンタージャーナルサーバ4に接続される他のATM2において取引された取引履歴データも書き込まれている。しかし、ここでは、ホスト3ダウン時の取引許可判断に関するデータ構造のみを図示し、出金以外の取引のデータは省略している。
図10に示すとおり、取引履歴データ31は、取引日時、口座番号、出金額及び残高を含む。図10のうち、「取引回数」については、図10に示す取引履歴データ31が、時間的に昇順に示されていることを表すために付している。取引履歴データ31のうち、取引日時は、例えば、センタージャーナルサーバ4が、図5(b)や図5(c)のジャーナルへの書き込みを求める電文を受信した日時等の取引処理が実行された日時である。口座番号は、ATM2において取引処理を実行した口座番号である。出金額は、取引においてATM2が支払いを行った金額であり、残高は、支払い後の口座残高である。
図9のステップS61では、取引履歴データ31のうち、(1)所定の期間内に(2)所定の口座番号の口座から(3)出金取引が行われているデータを抽出する。図10に示す例では、(1)1年以内に(2)口座番号「012345」の口座から(3)出金取引が行われているデータを抽出している。
なお、実施例では、条件(1)の期間を1年としているが、これに限定されるものではない。
図9のステップS62で、制御部11は、ステップS61において抽出したデータより、出金取引が所定の回数以上行われているか否か、すなわち、所定の件数以上のデータが抽出されたか否かを判定する。
出金取引が所定の回数未満である場合は、制御部11は、出金限度額を決定することができないとして、ステップS63に進む。ステップS63で、制御部11は、推測残高として0円を設定し、ステップS64で、出金限度額として0円を設定する。そして、ステップS65で、制御部11のATM通信制御部16は、取引不可である旨の電文をATM2に送信し、処理を終了する。
推測残高及び出金限度額については、後に詳しく説明する。また、先に説明したとおり、ステップS65でセンタージャーナルサーバ4がATM2に送信する電文は、図6(a)に例示するとおりである。
出金取引が所定の回数以上行われている場合は、ステップS62からステップS66に進み、制御部11は、図11A〜図11Cに示すセンタージャーナル取引許可判断の処理を実行し、処理を終了する。
図11A〜図11Cは、センタージャーナル取引許可判断の詳細処理を示したフローチャートである。上記のとおり、図11A乃至図11Cに示す一連の処理は、図9のステップS66に示す処理の詳細を示すものである。具体的には、センタージャーナルサーバ4において管理するジャーナルのうち、残高の推移の傾向より残高を推測し、推測した残高に応じて出金限度額を決定する処理である。取引可能判断処理部15が、図11A乃至図11Cに示す処理を実行する。
まず、ステップS71で、制御部11の取引可能判断処理部15は、図9のステップS61で抽出したデータの中から、「期間1」における残高の平均を求める。ステップS72及びステップS73では、それぞれ「期間2」及び「期間3」の残高の平均を求める。
ここで、期間1〜期間3とは、図9のステップS61で用いる条件のうち、(1)の期間(実施例では1年)を3つに等分し、時間的に先の期間から順に、期間1(実施例では1〜4ヶ月目)、期間2(実施例では5〜8ヶ月目)・・・とするものである。また、以下においては、各期間の残高の平均を、単に「期間n(n=1、2または3)の残高」ともいう。
ステップS71〜ステップS73において、取引履歴データ31のうち、出金取引後の残高のみを使用し、例えば残高照会や記帳等の取引後の残高については平均を求めるのに使用しないことで、より実態に即した平均を求めることができる。
ステップS74で、制御部11の取引可能判断処理部15は、条件(a)を満たすか否かを判定する。条件(a)とは、「期間1の残高よりも期間2の残高が高く、かつ期間2の残高よりも期間3の残高が高いこと」である。条件(a)を満たす場合は、ステップ75に進み、条件(a)を満たさない場合は、ステップS77へと進む。
図12は、センタージャーナルサーバ4による残高の推移の傾向を推測する方法について説明するための図である。このうち、図12(a)は、上記の条件(a)を満たす場合の期間1〜期間3の推測される残高の推移を模式的に示している。
図12(a)に示すように、条件(a)を満たす場合は、平均残高が上昇傾向にあり、センタージャーナルサーバ4が取引の可否を判断している時点における残高は、少なくとも、期間1〜期間3全体の平均の残高を上回る可能性が高いと推測できる。実際の残高を超えない範囲で可能な限り多くの金額の出金を許可することが好ましいため、センタージャーナルサーバ4の取引可能判断処理部15は、出金限度額として、高めの金額を設定する。
具体的には、図11AのステップS75で、取引可能判断処理部15は、推測残高に過去1年における平均残高を設定する。そして、ステップS76で、取引可能判断処理部15は、出金限度額として、ステップS75で設定した推測残高に所定の割合(Aとする)を掛けて得られる金額を設定し、図11CのステップS88へと処理を移行させる。ステップS75において推測残高に掛ける所定の割合Aについては、口座残高の傾向に応じた値を設定する。実施例では、条件(a)を満たす場合は残高の推移が最も安定的であるとして、最も高い割合であるA=90%とする。
図11AのステップS74において、条件(a)を満たさない場合は、ステップS77で、取引可能判断処理部15は、更に、条件(b)を満たすか否かを判定する。条件(b)とは、「期間1の残高が、期間2の残高±15%の範囲内にあり、かつ期間2の残高が、期間3の残高±15%の範囲内にあること」である。条件(b)を満たす場合は、ステップS78に進み、条件(b)を満たさない場合は、図11BのステップS80へと進む。
図12(b)は、条件(b)を満たす場合の期間1〜期間3の推測される残高の推移を模式的に示している。
図12(b)に示すように、期間1と期間2、期間2と期間3の残高の差がいずれも所定の範囲内(実施例では±15%)にある場合は、センタージャーナルサーバ4が取引の可否を判断している時点における残高についても、期間1〜期間3全体の平均残高と大きくは異ならないと推測できる。このため、センタージャーナルサーバ4の取引可能判断処理部15は、出金限度額として、条件(a)を満たす場合よりは低額であるが、相対的に高めの金額を設定する。
具体的には、図11AのステップS78で、取引可能判断処理部15は、推測残高を設定し、ステップS79で、出金限度額として、設定した推測残高に所定の割合(Bとする)を掛けて得られる金額を設定し、図11CのステップS88へと処理を移行させる。推測残高の決定方法については、ステップS75と同様である。所定の割合Bについては、実施例では、口座の残高の推移は比較的安定的として、B=60%とする。
ステップS76やステップS79のとおり、実施例では、取引可能判断処理を行っている時点における残高が、推測残高(過去1年の平均残高)を上回るか、これと大きくは異ならないと推測される場合であっても、推測残高そのものを出金限度額には設定しない。これは、取引履歴データ31(ジャーナル)には、例えば公共料金の口座引き落とし等の情報は含まれないためである。すなわち、推測残高をそのまま出金限度額に設定してしまうと、実際の残高を超えた出金を許可してしまう可能性があるためである。したがって、A=90%、B=60%等の所定の割合を推測残高に掛けた金額を出金限度額とすることで、ホスト3と通信ができず、実際の残高が不明な場合であっても、実際の残高を超える出金を許可してしまうことを効果的に防止している。
図11BのステップS80で、取引可能判断処理部15は、条件(c)を満たすか否かを判定する。条件(c)とは、「期間1の残高よりも期間2の残高が高く、かつ期間2の残高が期間3の残高よりも高いこと」である。条件(c)を満たす場合は、ステップS82に進み、条件(c)を満たさない場合は、ステップS81へと進む。
図12(c)は、条件(c)を満たす場合の期間1〜期間3の推測される残高の推移を模式的に示している。
図12(c)に示すように、条件(c)を満たす場合は、平均残高が山型に変化しており、センタージャーナルサーバ4が取引の可否を判断している時点における残高を推測しにくい。実際の残高を超える出金を回避するため、センタージャーナルサーバ4の取引可能判断処理部15は、期間1〜期間3の全期間を通じて最も低い残高を基準として、出金限度額を設定する。
具体的には、図11BのステップS82で、取引可能判断処理部15は、過去1年における最低の残高を抽出し、これを推測残高に設定する。ここでは、図9のステップS61で抽出した複数の件数のデータのうち、最も低い残高を抽出する。そして、ステップS83で、取引可能判断処理部15は、出金限度額として、ステップS82で設定した推測残高に所定の割合(Cとする)を掛けて得られる金額を設定し、図11CのステップS88へと処理を移行させる。ステップS82において推測残高に掛ける所定の割合Cについては、口座の残高の推移はやや不安定であるとして、AやBよりも低い値を設定する。実施例では、C=30%とする。
図11BのステップS80において、条件(c)を満たさない場合は、ステップS81で、取引可能判断処理部15は、更に、条件(d)を満たすか否かを判定する。条件(d)とは、「期間1の残高が期間2の残高よりも高く、かつ期間2の残高よりも期間3の残高が高いこと」である。条件(d)を満たす場合は、ステップS82に進み、条件(d)を満たさない場合は、ステップS84へと進む。
図12(d)は、条件(d)を満たす場合の期間1〜期間3の推測される残高の推移を模式的に示している。
図12(d)に示すように、条件(d)を満たす場合は、平均残高が谷型に変化しており、センタージャーナルサーバ4が取引の可否を判断している時点における残高を推測しにくい。この場合は、センタージャーナルサーバ4の取引可能判断処理部15は、図12(c)の山型に平均残高が推移している場合と同様に、期間1〜期間3の全期間を通じて最も低い残高を基準として、出金限度額を設定する。
出金限度額の具体的な設定方法については、ステップS82及びステップS83に示すとおりであり、これらのステップにおける具体的な処理については、前述のとおりである。
図11BのステップS81で、条件(c)を満たさない場合は、ステップS84で、取引可能判断処理部15は、条件(e)を満たすか否かを判定する。条件(e)とは、「期間1の残高が期間2の残高よりも高く、且つ期間2の残高が期間3の残高よりも高いこと」である。条件(e)を満たす場合は、ステップS85に進み、条件(e)を満たさない場合は、ステップS87に進む。
図12(e)は、条件(e)を満たす場合の期間1〜期間3の推測される残高の推移を模式的に示している。
図12(e)に示すように、条件(e)を満たす場合は、平均残高が下降傾向にあり、センタージャーナルサーバ4が取引の可否を判断している時点における残高は、少なくとも、期間1〜期間3全体の平均の残高を下回る可能性が高いと推測できる。前述のとおり、実際の残高を超える支払いをしてしまうことを回避する必要があるため、センタージャーナルサーバ4の取引可能判断処理部15は、出金限度額として、上記の条件(a)〜条件(d)を満たす場合よりも更に低めの金額を設定する。
具体的には、図11BのステップS85で、取引可能判断処理部15は、推測残高に過去1年における最低の残高を抽出し、これを推測残高に設定する。そして、ステップS86で、取引可能判断処理部15は、出金限度額として、ステップS85で設定した推測残高に所定の割合(Dとする)を掛けて得られる金額を設定し、図11CのステップS88へと処理を移行させる。ステップS86において推測残高に掛ける所定の割合Dについては、口座の残高の推移は不安定であるとして、A〜Cよりも更に低い値を設定する。実施例では、D=20%とする。
図11BのステップS84において、条件(e)を満たさない場合は、ステップS87で、取引可能判断処理部15は、出金限度額として、0円を設定し、図11CのステップS88に進む。これは、条件(a)〜条件(e)のいずれにも該当しない場合は、期間1〜期間3の残高の傾向を推測することができず、ジャーナル出金を不可とするためである。
図11CのステップS88では、取引可能判断処理部15は、取引の許否判断対象とされている口座についてのジャーナル出金データ32が存在するか否かを判定する。ここでの取引の許否判断対象とされている口座とは、図9のステップS61におけるデータ抽出の条件のうち、(2)の口座番号をいう。
また、ジャーナル出金データ32とは、ホスト3がダウンしている間にセンタージャーナルサーバ4において取引の許否を判断し、これに基づきATM2が出金の取引を行った場合の取引内容を含むデータをいう。詳しくはジャーナル書込処理の説明で述べるが、センタージャーナルサーバ4の許否判断により処理した出金取引の内容については、ホスト3がダウンしている間はセンタージャーナルサーバ4のジャーナルデータベース12にジャーナル出金データ32として保存しておく。すなわち、ジャーナル出金データ32は、すでにATM2が出金を行ったものの、未だ取引履歴データ31やホスト3の元帳の預金残高が更新されていない取引についてのデータである、ということができる。
取引の許否判断対象とされている口座についてのジャーナル出金データ32が存在する場合は、ステップS89に進み、該当するデータが存在しない場合は、特に処理を行わず、ステップS90へと処理を移行させる。
ステップS89では、取引可能判断処理部15は、ステップS76、S79、S83、S86またはS87において設定した出金限度額から、ステップS88の判定において該当するデータと判定したジャーナル出金データ32に含まれる出金額の合計額を減算し、減算により得られる金額を出金限度額として設定し直す。ここでは、先に取引種別「ジャーナル出金」を行ったが未だ取引履歴データ31に反映されていない出金額分を減算することにより、実際の残高を超える出金を許可してしまうことを回避している。
ステップS90で、取引可能判断処理部15は、出金限度額に1円以上が設定されているか否かを判定する。出金限度額に1円以上の金額が設定されている場合は、ステップS91に進み、取引可能判断処理部15は、図6(b)の取引を許可する旨を通知する電文をATM2に送信し、処理を終了する。出金限度額に0円が設定されている場合は、ステップS92に進み、取引可能判断処理部15は、図6(a)の取引不可とする旨を通知する電文をATM2に送信し、処理を終了する。
なお、上記の実施例では、1年を3つの期間、すなわち4ヶ月ごとに区切ってそれぞれにおける残高の平均を求めて残高の推移の傾向を求めているが、これに限定されるものではない。期間を2分割して、あるいは3以上に分割して残高の推移の傾向を求めてもよい。
<ジャーナル書込処理動作>
図13は、本実施形態に係るセンタージャーナルサーバ4によるジャーナル書込処理を示したフローチャートである。センタージャーナルサーバ4のうちの制御部11の各部が図5(b)または図5(c)のジャーナル書込電文を受信したことを契機として、図13に示す処理を開始する。
まず、ステップS101で、ジャーナル書込部14が、受信したジャーナル書込電文に含まれる取引種別を参照し、「ジャーナル出金」であるか否かを判定する。取引種別「ジャーナル出金」である場合とは、ホスト3がダウンしている間にセンタージャーナルサーバ4の判断にしたがって出金を行うことであり、これについては、図5(a)の説明等で述べたとおりである。ジャーナル出金である場合(ホスト3がダウン中である場合)は、ステップS102に進み、ジャーナル書込部14が、受信した電文に基づき、ジャーナル出金データ32の書き込みを行い、処理を終了する。
図14は、ジャーナル出金に関してセンタージャーナルサーバ4が処理するデータ等について説明する図である。このうち、図14(a)は、ジャーナル出金データ32の構造例を示す図である。
図14(a)に示すとおり、ジャーナル出金データ32は、取引日時、口座番号、出金額及び残高を含む。ジャーナル出金データ32に含まれるこれらの情報のうち、取引日時、口座番号及び出金額は、図5(b)のそれぞれ取引日時、口座番号及び入力金額を設定する。ジャーナル出金データ32の残高については、一致する口座番号のジャーナル出金データ32が既に登録されている場合は、対応する最新のジャーナル出金データ32の残高より、これから登録しようとしている取引の出金額を減算して求める。一致する口座番号のジャーナル出金データ32がジャーナルデータベース12に未登録である場合は、一致する口座番号の取引履歴データ31の中から取引日時が最新のデータを1件取り出す。そして、取り出したデータの残高から、これから登録しようとしている取引の出金額を減算することにより求める。
ステップS101において、取引種別が「ジャーナル出金」でないと判定した場合は、処理をステップS103へと移行させる。取引種別がジャーナル出金でない場合とは、取引種別「出金」の場合であり、これは、ホスト3が通常どおり運用されている状態における出金取引であることを表す。
ステップS103では、ジャーナル書込部14は、ジャーナルデータベース12にジャーナル出金データ32が存在するか否かを判定する。ジャーナル出金データ32が存在する場合とは、過去にジャーナル出金を行ったまま、未だ取引履歴データ31への反映やホスト3の元帳の預金残高を更新させていない取引が存在する場合である。そこで、ジャーナル出金データ32が存在する場合は、ステップS104に進み、取引履歴データ31への登録処理を行う。
ステップS104では、ジャーナル読取部13は、ジャーナルデータベース12のジャーナル出金データ32を1件読み込む。そして、ステップS105で、ホスト通信制御部17は、読み込んだジャーナル出金データ32の出金額によりホスト3の元帳の預金残高を更新させる旨の要求を含む電文をホスト3宛に送信する。図14(b)は、ステップS105においてセンタージャーナルサーバ4がホスト3宛に送信する電文のフォーマットを例示する。
図14(b)に示すとおり、ホスト元帳更新依頼電文は、取引日時、口座番号、入力金額、電文分類及び種別情報を含む。ホスト元帳更新依頼電文に含まれるこれらの情報のうち、取引日時、口座番号及び入力金額については、図14(a)のジャーナル出金データ32の取引日時、口座番号及び出金額を設定することができる。電文分類については、ホスト3の元帳の預金残高を更新させることを求めることを表す「元帳更新要求」を設定する。種別情報については、支払いを行ったことを表す「出金」を設定する。
ホスト元帳更新依頼電文を送信すると、ステップS106で、ジャーナル書込部14は、ステップS104で読み込んだ1件分のジャーナル出金データ32を削除する。そして、ステップS107で、ジャーナル書込部14は、削除したジャーナル出金データ32の内容を取引履歴データ31に書き込み、ステップS103に戻る。
このように、ステップS104〜ステップS107の処理により、未だ取引履歴データ31やホスト3の元帳の預金残高を更新させていない取引について、1件ずつホスト3に元帳の預金残高の更新を要求しつつ、自装置の取引履歴データ31に書き込んでいく。ホスト3の元帳の預金残高の更新及び取引履歴データ31への書き込みが済んだジャーナル出金データ32から順に削除していき、ジャーナルデータベース12にジャーナル出金データ32が存在しなくなると(あるいは初めからジャーナル出金データ32が存在しない場合は)、ステップS103からステップS108に進む。
ステップS108で、ジャーナル書込部14は、ジャーナル書込電文の内容を取引履歴データ31に書き込み、処理を終了する。
上記のとおり、ホスト3のダウン中には(ステップS101でYesの場合)、センタージャーナルサーバ4は、ステップS102においてジャーナル出金データ32として一時的に保持しておく。ホスト3が復旧し、通常の出金取引が行えるようになると(ステップS101でNoの場合)、センタージャーナルサーバ4は、まず、ステップS103〜ステップS107の処理により、ホスト3の元帳の預金残高の更新(の依頼)及びジャーナル出金データ32の取引履歴データ31への登録を行う。それから、ステップS108で、図13に示す処理を開始する契機となったジャーナル書込電文に含まれる内容を取引履歴データ31に登録している。これにより、ホスト3のダウン時にセンタージャーナルサーバ4が判断した結果に基づきATM2が出金取引を行った場合であっても、適切なタイミングでホスト3の元帳の預金残高の更新や、ジャーナルデータベース12の取引履歴データ31への登録が可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る自動取引システム1によれば、ATM2において利用者が出金を行おうとしたときに、ホスト3がダウン中である場合は、センタージャーナルサーバ4が、自装置が保有するジャーナルより、残高の推移の傾向を推測する。センタージャーナルサーバ4は、推測した残高の推移の傾向より、出金限度額を決定し、ATM2は、センタージャーナルサーバ4の決定にしたがって出金の取引を行う。これにより、災害等によりホスト3がダウンしている間であっても、可能な限り多額の出金を可能としつつ、実際の残高を超える出金を許可してしまうことを効果的に防止している。
更に、本実施形態によれば、ホスト3がダウンしている間にセンタージャーナルサーバ4の判断によりATM2において出金取引を行った場合は、センタージャーナルサーバ4において行った取引の内容を、ジャーナル出金データ32として一時的に保持しておく。ホスト3が復旧した場合には、保持しておいたジャーナル出金データ32に基づきホスト3の元帳の預金残高の更新を行うことで、元帳の預金残高が不整合な状態となることがない。
更には、センタージャーナルサーバ4は、ジャーナル出金データ32の内容をホスト3の元帳の預金残高を更新後にそのジャーナル出金データ32を削除する。これにより、ホスト3の復旧後に通常の出金取引について取引履歴データ31への書き込み及びホスト3の元帳の預金残高の更新を行うタイミングで、過去に行った「ジャーナル出金」の内容についても併せて処理することが可能となる。
出金限度額の決定方法については、例えば過去1年間等の所定の期間のジャーナル(取引履歴データ31)を複数の期間に分け、分けた各期間の残高の平均を求めることにより、当該所定の期間における残高の推移の傾向を判断し、残高を推測する。このようにして求めた推測残高に基づき出金限度額を決定することで、最新のジャーナルの残高のみに基づく場合と比較して、より正確に出金限度額を設定することが可能となる。
出金限度額は、残高の推移の傾向より推測した残高に対して、残高の推移の傾向に応じた割合を掛けて得られる金額を設定することが望ましい。これにより、可能な限り多額の出金を可能としつつ、実際の残高を超える出金を許可してしまうことを効果的に防止する。
更には、センタージャーナルサーバ4のジャーナルデータベース12に上記ジャーナル出金データ32が存在するときは、ジャーナル出金データ32の出金額分を更に減算して得られる金額を出金限度額に設定することが望ましい。未だホスト3の元帳の預金残高の更新や取引履歴データ31には反映されていないものの、センタージャーナルサーバ4の判断により許可した取引の内容を含めて出金限度額を設定することで、実際の残高を超える出金を許可してしまうことを回避することができる。
また、ATM2の利用者が上記の方法で設定した出金限度額を超える金額の出金を求めてきた場合には、出金は許可されない。このような場合であっても、出金限度額の範囲内での出金額の再設定を受け付けて、出金を許可することが望ましい。可能な範囲での出金を行うことが可能となる。
この他にも、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良及び変更が可能である。例えば、前述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構成要素を削除してもよく、更には各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。