JP2014090822A - 眼科撮影装置、撮影制御装置および撮影制御方法 - Google Patents
眼科撮影装置、撮影制御装置および撮影制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】被検者に必要以上の負担を課さずに、被検体像による高精度な合焦を実現する。
【解決手段】
撮影制御装置は、光源により照明された被検体を撮像素子により撮像することにより得られた被検体像を用いて、撮像素子のための撮影光学系を被検体に対して合焦状態とするための合焦動作を実行する。撮影制御装置は、この合焦のための合焦動作の実行中は、該合焦動作の非実行時よりも、取得される被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、眼科撮影装置、撮影制御装置および撮影制御方法に関する。
一般に、無散瞳眼底カメラに代表される眼科撮影装置では、撮像素子により撮像された眼底観察像を見ながら、撮影者は装置と被検眼との上下左右、前後の位置合わせやピント合わせを行う。また、近年では、撮像素子により撮像された眼底観察像を用いて自動でピントを合わせる自動合焦機能を備えた眼科撮影装置も広く知られている。
眼科撮影装置の自動合焦の方式は大きく2種類に大別できる。一つは、特許文献1のように被検眼の瞳上で分割された指標を投影し、撮像された指標像の位置関係を画像処理にて検知することにより自動合焦を行う方式である。ここで指標像を用いた自動合焦方式を指標像自動合焦方式と定義する。この指標像自動合焦方式は、被検眼光学系の乱視等の屈折異常に対し、指標の瞳上での分割方向については正確に合焦できるが、指標の瞳上の分割方向以外については正確に合焦できない。
もう一つは、特許文献2のように自動合焦の際、被検眼眼底に投影された指標像を用いず、眼底観察像そのものの階調差を画像処理にて検知することで自動合焦を行う方式である。ここで眼底像を用いた自動合焦方式を眼底像自動合焦方式と定義する。この眼底像自動合焦方式は、指標像自動合焦方式で述べた被検眼光学系の乱視等の屈折異常による誤差を最小化することができる。
しかしながら、撮像素子により撮像された眼底観察像を用いた眼底像自動合焦方式では、合焦の対象である眼底観察像の階調差が低く撮像素子の雑音の影響を受けやすい為、合焦の精度が低下するという課題がある。合焦精度は、眼底観察像と撮像素子の雑音との信号対雑音比(S/N比)を向上させることで改善される。そのような信号対雑音比の向上には、例えば観察用光源の照明光量を上げることが挙げられる。しかしながら、観察中には、例えば被検眼と装置との上下左右、前後方向の位置合わせの時のように、眼底観察像と撮像素子の雑音間との信号対雑音比(S/N比)を必ずしも向上させなくてもよい時がある。そのため、観察中において常に観察用光源の照明光量を上げてしまうと、被検者に必要以上の負担を課してしまうことになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、眼科撮影装置などにおいて、被検者に必要以上の負担を課さずに、被検体像による高精度な合焦を実現することを目的とする。
上記課題を解決する為の本発明の一形態による撮影制御装置は以下の構成を備える。すなわち、
撮影制御装置であって、
光源により照明された被検体を撮像素子により撮像することで得られた被検体像を用いて、撮影光学系を前記被検体に対して合焦状態とする合焦動作を行う合焦手段と、
前記合焦手段による合焦動作の実行中は、該合焦動作の非実行時よりも前記撮像により取得される前記被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更する変更手段と、を備える。
撮影制御装置であって、
光源により照明された被検体を撮像素子により撮像することで得られた被検体像を用いて、撮影光学系を前記被検体に対して合焦状態とする合焦動作を行う合焦手段と、
前記合焦手段による合焦動作の実行中は、該合焦動作の非実行時よりも前記撮像により取得される前記被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更する変更手段と、を備える。
本発明によれば、被検者に必要以上の負担を課さずに、被検体像による高精度な合焦を実現することができる。
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態のいくつかを説明する。なお、以下では、本発明の撮影制御装置を眼科撮影装置、特に、無散瞳眼底カメラに適用した場合を例示することにより、本発明の実施形態を説明する。
[第一実施形態]
図1は第一実施形態による無散瞳眼底カメラ100の構成例を示すブロック図である。本実施形態の無散瞳眼底カメラ100は眼底像自動合焦を行う機能を有している。まず無散瞳眼底カメラ100の構成について、図1を参照して説明する。
図1は第一実施形態による無散瞳眼底カメラ100の構成例を示すブロック図である。本実施形態の無散瞳眼底カメラ100は眼底像自動合焦を行う機能を有している。まず無散瞳眼底カメラ100の構成について、図1を参照して説明する。
被検眼Eの眼底Erへ向かう光軸L1上には対物レンズ1、その後方に孔あきミラー2、フォーカスレンズ3、結像レンズ4、撮像素子5が順次配置され、撮影光学系を構成している。本実施形態では、無散瞳眼底カメラを構成する撮影光学系が例示されており、被検眼Eに対する眼底撮影光学系が構成されている。一方、孔あきミラー2の反射方向の光軸L2には、レンズ6、指標投影部7、ダイクロイックミラー8、コンデンサレンズ9、観察用光源10が配置されている。加えてダイクロイックミラー8の反射方向の光軸L3には、コンデンサレンズ11、撮影用光源12が配置されている。これら光軸L2、L3上の構成によって照明光学系が構成される。本実施形態では、無散瞳眼底カメラ100を構成する眼底照明光学系が例示されている。
ダイクロイックミラー8は観察用光源10の波長帯を透過し撮影用光源12の波長帯を反射する特性を有している。観察用光源10は、LEDが複数個配置され、赤外領域の波長の光を被検眼に照射する光源である。撮影用光源12は、可視領域の波長の光を眼底Erに照射する光源である。
さらに、無散瞳眼底カメラ100は、眼底像自動合焦部13、眼底カメラ制御部14、SN制御部15、表示用画像処理部16、表示部17を具備している。具体的には、眼底像自動合焦部13は、フォーカスレンズ3、撮像素子5、眼底カメラ制御部14に接続され、眼底カメラ制御部14の指示に基づき、撮像素子5からの画像から合焦評価値を算出したり、フォーカスレンズ3を駆動したりする。SN制御部15は、撮像素子5、観察用光源10、眼底カメラ制御部14、表示用画像処理部16に接続され、眼底カメラ制御部14の指示に基づき撮像素子5の増幅率設定や観察用光源10の発光光量設定を行う。眼底カメラ制御部14は撮影用光源12、眼底像自動合焦部13、SN制御部15に接続され、撮影用光源12の発光制御と眼底像自動合焦部13及びSN制御部15の動作開始や停止の全般的制御を行う。表示用画像処理部16は撮像素子5および表示部17に接続され、撮像素子5からの画像に対して、該画像を表示部17に表示する為の画像処理を行う。以上の、眼底像自動合焦部13、眼底カメラ制御部14、SN制御部15、表示用画像処理部16は、無散瞳眼底カメラ100の撮影制御部を構成している。
以下、以上のような構成を備えた本実施形態の無散瞳眼底カメラ100における、観察から撮影までの動作を説明する。はじめに、観察の動作について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。図2のフローチャートは眼底像自動合焦部13、眼底カメラ制御部14、SN制御部15の動作について示したものである。
撮影者が対物レンズ1の正面に被検眼Eを位置させ、撮影者からの所定操作に応じて観察が開始されると、SN制御部15は、まず観察用光源10の発光光量をI1に設定する(ステップS101)。SN制御部15により設定された発光光量I1にて観察用光源10が発光すると、その観察照明光は観察用光源10から対物レンズ1に至る眼底照明光学系を通り、被検眼Eの瞳孔Epを介して眼底Erを照明する。この観察用光源10により照明された眼底Erからの反射光は、対物レンズ1、孔あきミラー2、フォーカスレンズ3、結像レンズ4に至る眼底撮影光学系を通り、撮像素子5に達する。
観察用光源10の設定と同時に、SN制御部15は撮像素子5の増幅率をS1に設定する(ステップS102)。この設定された増幅率S1でもって撮像素子5は眼底観察像を撮像する。眼底観察像には、表示用画像処理部16にてモノクロ化処理やガンマカーブの演算などの処理が施され、表示部17に表示される。撮影者は表示部17に表示される眼底観察像を見ながら図示を省略している操作桿を操作して無散瞳眼底カメラ100を上下左右、前後に移動させることにより、被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との上下左右、前後方向の位置合わせを行う。
例えば被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との位置関係が所定の関係を満たし位置合わせが完了したと判断されると、眼底像自動合焦の開始が指示される。すなわち、位置合わせ完了を契機に自動的に眼底像自動合焦が開始される(ステップS103、YES)。なお、本発明は位置合わせ完了後に自動的に眼底像自動合焦を開始する場合に限定されるものではなく、スイッチ等の操作部を介した撮影者による合焦開始の指示操作に応じて眼底像自動合焦を開始するようにしてもよい。眼底像自動合焦が開始されると、眼底像自動合焦部13は、光源である観察用光源10により照明された被検体(本実施形態では眼底)を撮像素子5により撮像することで得られた被検体像を用いて、撮影光学系を前記被検体に対して合焦状態とする合焦動作を実行する。また、合焦動作の実行中は、該合焦動作の非実行時よりも撮像素子5を用いた撮像により取得される被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定が変更される。
本実施形態では、上記の撮影設定の変更として、合焦動作の実行中における観察用光源10の発光光量を増加させるとともに、撮像素子5からの信号の増幅率を小さくする。まず、SN制御部15は観察用光源10の発光光量をI1からI2に変更する。ここで発光光量I2は発光光量I1よりも大きい(I2>I1)関係となっている。観察用光源10は、このSN制御部15により設定された発光光量I2にて発光する(ステップS104)。また、発光光量I2の設定と同時に、SN制御部15は撮像素子5の増幅率をS1からS2に変更する。ここで、増幅率S2は増幅率S1よりも小さい(S1>S2)関係となっている(ステップS105)。
次に、眼底像自動合焦部13は眼底像自動合焦を実行する(ステップS106)。眼底像自動合焦において、眼底像自動合焦部13は、撮像素子5を用いた撮像により得られた被検体像を用いて合焦評価を行い、この合焦評価に基づいて、自動的に眼底撮影光学系を眼底Erに対して合焦状態とする。すなわち、眼底像自動合焦部13は、ステップS104で設定が変更された観察用光源10により眼底Erを照明しながら、ステップS105で設定が変更された撮像素子5で撮影された眼底観察像を受け取る。眼底像自動合焦部13は、受け取った眼底観察像中の所定のエリアを合焦評価エリアとして設定する。ここで合焦評価エリアとは、眼底観察像のどの部位に着目して眼底像自動合焦を実行するかを示すものである。図3は眼底観察像における合焦評価エリアの一例を示したものである。図3を見ると、マスク18内の眼底観察像が描画されている部分から、中大血管が描画された部分が合焦評価エリア19として設定されている。なお、本実施形態では中大血管が描画された部分を合焦評価エリア19としたが、これに限定されるものではなく、たとえば乳頭などの他の描画部分であっても良い。また、たとえば、撮影者が眼底観察像から所望の位置を合焦評価エリア19として指定してもよいし、眼底観察像のあらかじめ定められた位置および領域が合焦評価エリア19として設定されるようにしてもよい。
図4は図3で設定した合焦評価エリア19を抜き出して示したものである。眼底像自動合焦部13は、設定された合焦評価エリア19に対して合焦評価値が最大となるフォーカスレンズ位置をフォーカスレンズ3を駆動させて探索する。この合焦評価値は、合焦評価エリア内に描画された眼底観察像の構造物間の階調差の大きさである。
図5は、図4で示した点線20上の地点P1〜P3における階調値を示したものである。図4及び図5において、地点P1〜P2までが神経線維層の描画部分であり、地点P2が血管と神経線維層の境界の描画部分であり、地点P2〜P3が血管の描画部分である。また本来この階調値には撮像素子5のノイズが重畳されているが、図5では、説明上分かりやすいように撮像素子5のノイズの影響の無い理想的な場合が示されている。
本例の場合、合焦評価値は神経線維層部と血管部との階調差(CT1)となる。合焦評価値CT1が最大となるフォーカスレンズ位置を探索し、探索完了後はその位置へフォーカスレンズを移動させて眼底像自動合焦が完了する(ステップS106)。眼底像自動合焦が終了すると、SN制御部15は観察用光源10の発光光量をI2からI1に設定し直す(ステップS107)。するとこのSN制御部15に変更された発光光量I1にて観察用光源10が発光する。これと同時に、SN制御部15は、撮像素子5の増幅率をS2からS1に設定し直す(ステップS108)。撮像素子5は、この設定された増幅率S1によって眼底観察像を撮像することになる。
次に撮影手順について説明する。上述に示す被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との精密な位置合わせ及び眼底像自動合焦が完了した状態になると、撮影者は図示を省略している撮影開始スイッチを操作することによって撮影を行うことができる。
撮影開始スイッチが操作されると眼底カメラ制御部14は撮影用光源12を発光させる。撮影用光源12の発した撮影照明光は撮影用光源12から対物レンズ1に至る眼底照明光学系を通り眼底Erを照明する。撮影用光源12によって照明された眼底Erからの反射光は対物レンズ1から、孔あきミラー2、フォーカスレンズ3を経て、結像レンズ4に至る眼底撮影光学系を通り、撮像素子5に達する。撮像素子5によって撮像された眼底撮影像は、表示用画像処理部16にて色調変換処理され、ガンマカーブの演算処理が施され、表示部17に表示される。
本実施形態では、上述のように眼底像自動合焦が作動しているか否かに応じて観察用光源10の発光光量及び撮像素子5の増幅率の設定を切り替えること、そしてその関係がI2>I1、S1>S2となることを特徴としている。このように動作することがなぜ本実施形態の特徴となるのか、その理由を以下に説明する。説明では眼底像自動合焦が作動時、未作動時に分けて其々説明することとする。
<眼底像自動合焦:未作動>
眼底像自動合焦が未作動の時に行われる観察行為は、被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との上下左右、前後方向の位置合わせである。この位置合わせにおいて、表示部17に表示される眼底観察像に要求される事は、撮影者が眼底観察像全体を見て、乳頭や黄斑、血管などの眼底の構造物と無散瞳眼底カメラ100との相対的な位置関係を確認できることである。
眼底像自動合焦が未作動の時に行われる観察行為は、被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との上下左右、前後方向の位置合わせである。この位置合わせにおいて、表示部17に表示される眼底観察像に要求される事は、撮影者が眼底観察像全体を見て、乳頭や黄斑、血管などの眼底の構造物と無散瞳眼底カメラ100との相対的な位置関係を確認できることである。
従って上述の要求の範囲内で、観察用光源10の発光光量は出来る限り小さい値(I1)に設定し、一方、撮像素子5の増幅率は出来る限り高い値(S1)に設定する。そうすることにより必要以上の観察照明光を被検者に照射しない、つまり被検者に余計な負担をかけないで位置あわせすることが可能となる。
一方、撮像素子5の増幅率を出来る限り高い値(S1)にすると、撮像素子5の雑音も同様に増幅されてしまい眼底観察像と撮像素子5の雑音との信号対雑音比が低くなる。それにより、例えば眼底観察像を拡大等して詳細に一部分だけを観察した場合に、撮像素子5の雑音が確認されてしまう。しかしながら位置合わせでは撮影者が眼底観察像全体を見て、乳頭や黄斑、血管などの眼底の構造物と無散瞳眼底カメラ100との相対的な位置関係を確認できればよいので、この信号対雑音比の低さはさほど問題とはならない。
<眼底像自動合焦:作動>
眼底像自動合焦では、ステップS106で示したように眼底観察像に対して合焦評価を行う。しかしながら、この眼底観察像の構造物間の階調差は非常に小さい、例えば神経線維層と血管部の階調差CT1は5〜15程度である。その為、眼底像自動合焦の合焦精度は撮像素子5による雑音の影響を大きく受けてしまう。
眼底像自動合焦では、ステップS106で示したように眼底観察像に対して合焦評価を行う。しかしながら、この眼底観察像の構造物間の階調差は非常に小さい、例えば神経線維層と血管部の階調差CT1は5〜15程度である。その為、眼底像自動合焦の合焦精度は撮像素子5による雑音の影響を大きく受けてしまう。
以下、眼底像自動合焦の合焦精度がどのように雑音の影響をうけるかについて説明する。図6は、観察用光源10の発光光量I1、撮像素子5の増幅率S1、つまり眼底像自動合焦が未作動時と同設定にした場合の地点P1〜P3(図4)における階調値を示したものである。撮像素子5の増幅率S1は高い値である為、その影響として、図5に対して撮像素子5の雑音N2が階調値に重畳されていることが分かる。撮像素子5の雑音N2の大きさは撮像素子5の増幅率が高い値であればあるほど大きな値をとり、逆に撮像素子5の増幅率が低い値であればあるほど小さな値をとる。
このような場合において眼底像自動合焦を実行すると、階調差CT1を算出しなければならないはずが、雑音N2の影響により階調差CT2を算出してしまうため、合焦精度が大きく低下する。その為、眼底像自動合焦作動時では、観察用光源10の発光光量を出来る限り大きい値(I2)に設定し、一方、撮像素子5の増幅率は出来る限り低い値(S2)に設定にする。つまり眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くなる設定にする。このような設定により、高い合焦精度を実現できる。
以上まとめると、眼底像自動合焦の未作動時は、被検者への負担を減らす為、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を低い設定(観察用光源の発光光量I1、撮像素子5の増幅率S1)にする。この時行われる位置合わせでは、撮影者は眼底観察像全体を見て、眼底の構造物と装置との相対的な位置関係を見る為、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比の低さは問題とならない。一方、眼底像自動合焦の作動時は、未作動時に対して眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くする設定(すなわち、観察用光源の発光光量I2、撮像素子5の増幅率S2)とし、高精度の眼底像自動合焦を実現する。つまり眼底像自動合焦の未作動時に対し作動時の観察用光源10の発光光量及び撮像素子5の増幅率の関係はI2>I1、S1>S2となる。
なお、眼底像自動合焦の作動時においても表示部17には眼底観察像が表示されているので、撮影者は被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との上下左右、前後方向の位置合わせを行うことは可能である。
また、上記実施形態では、眼底像自動合焦の未作動時に対し作動時の眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くする為に、観察用光源10の発光光量をI2、撮像素子5の増幅率をS2としたが、発光光量と増幅率のいずれかを変更するようにしてもよい。たとえば、眼底像自動合焦において、観察用光源10の発光光量をI1からI2に変更し、撮像素子5の増幅率はS1のままとしても、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くすることはできる。同様に、観察用光源10の発光光量をI1のままとし、撮像素子5の増幅率をS1からS2に変更しても、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くすることはできる。
また、上記実施形態では、眼底像自動合焦の未作動時に対し作動時の眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くする為に、撮像素子5の増幅率の設定を変更したが、これに限られるものではない。たとえば、撮像素子5の電荷蓄積時間を変更しても同様に眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くすることができる。この場合、眼底像自動合焦が未作動時の電荷蓄積時間をSP1、作動時の電荷蓄積時間をSP2とすると、SP1>SP2の関係となるようにすればよい。なお、電荷蓄積時間の変更と合わせて増幅率の設定を変更することとしてもよい。
また、上記実施形態では無散瞳眼底カメラを例に説明したがこれに限られるものではない。眼底観察像を用いて眼底像自動合焦する眼科撮影装置であれば眼底像自動合焦の未作動時に対し作動時の眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高くすることにより高精度の眼底像自動合焦を行うことができる。
また、上記実施形態では眼底像自動合焦を行う場合について説明したが、眼底像自動合焦を行わずに撮影者が撮像素子5によって撮像された眼底観察像をみながら手動で合焦させる場合についても同様の効果が得られる。具体的には、撮影者からの操作入力に応じてフォーカスレンズ3を移動して合焦状態とする手動合焦モードに移行した場合に、撮影制御装置が合焦動作の実行中と判断し、撮像により得られる画像の信号対雑音比を向上する撮影設定に変更する。あるいは、手動でフォーカスレンズ3が操作されたことを検知する検知部を設け、その検知部の検知結果により合焦動作の動作中、非動作中を判定するようにしてもよい。合焦部の未作動時は被検者の負担を減らす為、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を低い設定にする。一方、合焦部の作動時では、未作動時に対し、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高い設定にすることで、手動による合焦時においても、被検者に負担をかけずに、高精度の合焦を提供することができる。
[第二実施形態]
図7は第二実施形態の構成を示す構成図であり、図1に示す構成と同様の構成には同一の参照番号が付されている。図7では、図1の眼底像自動合焦部13が自動合焦部21に置き換わっている。自動合焦部21はフォーカスレンズ3、撮像素子5、指標投影部7、眼底カメラ制御部14に接続されており、第一の自動合焦としての指標像自動合焦及び第二の自動合焦としての眼底像自動合焦を行うことができる。無散瞳眼底カメラ100では、指標像自動合焦を行った後、眼底像自動合焦を行うようになっている。但し、指標像自動合焦と眼底像自動合焦は選択的に実行されてもよい(すなわち指標像自動合焦と眼底像自動合焦の時間的な前後関係は任意である)。
図7は第二実施形態の構成を示す構成図であり、図1に示す構成と同様の構成には同一の参照番号が付されている。図7では、図1の眼底像自動合焦部13が自動合焦部21に置き換わっている。自動合焦部21はフォーカスレンズ3、撮像素子5、指標投影部7、眼底カメラ制御部14に接続されており、第一の自動合焦としての指標像自動合焦及び第二の自動合焦としての眼底像自動合焦を行うことができる。無散瞳眼底カメラ100では、指標像自動合焦を行った後、眼底像自動合焦を行うようになっている。但し、指標像自動合焦と眼底像自動合焦は選択的に実行されてもよい(すなわち指標像自動合焦と眼底像自動合焦の時間的な前後関係は任意である)。
指標像自動合焦は、被検眼光学系の乱視等の屈折異常に対し、指標の瞳上での分割方向については正確に合焦できるが、指標の瞳上の分割方向以外については正確に合焦できない。指標像自動合焦はこのような課題があるものの、その後行う眼底像自動合焦時の合焦位置を大凡特定することできる。そこで、はじめに指標像自動合焦を行い、次に眼底像自動合焦を行うことによって、眼底像自動合焦時の探索範囲を限定することができ、その結果、合焦に要する時間を大きく改善することが可能である。
撮影については第一実施形態と同様である為、説明を省略する。以下、第二実施形態による観察時の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。なお図8のフローチャートは眼底カメラ制御部14、SN制御部15、自動合焦部21の動作について示したものである。図2と同一のステップについては同一の番号が付されている。
撮影者が対物レンズ1の正面に被検眼Eを位置させ、観察を開始すると、SN制御部15は観察用光源10の発光光量をI1に設定し(ステップS101)、撮像素子5の増幅率をS1に設定する(ステップS102)。これにより観察用光源10が発光光量I1で発光し、撮像素子5が増幅率S1にて撮像する。撮影者は表示部17に表示される眼底観察像を見ながら被検眼Eと無散瞳眼底カメラ100との上下左右、前後方向の位置合わせを行う。
次に自動合焦部21は指標投影部7から指標を被検眼Eに向けて投影する(ステップS201)。すると図9に示すように、撮像素子5によって撮像される眼底観察像に指標像22が描画される。指標像自動合焦が開始されると(ステップS202、YES)、自動合焦部21はステップS101、S102及びS201の設定下で撮像された眼底観察像を撮像素子5から受け取り、指標像自動合焦を行う(ステップS203)。
指標像自動合焦においては、まず、図9に示されるように自動合焦部21が眼底観察像中の眼底Erに投影した指標像を含む所定サイズのエリアを合焦評価エリア23として設定する。なお、指標の眼底上での投影位置は光学設計上予め定まっているため、合焦評価エリア23は、例えば眼底観察像の中心付近に固定されている。なお、本発明において合焦評価エリア23は固定位置に限定されるものではなく、眼底観察像から指標像を抽出し、抽出した指標像を含む所定の大きさのエリアを合焦評価エリア23とするようにしてもよい。すなわち、本発明において合焦評価エリア23の位置は固定されていてもよいし自動で決定されることとしてもよい。図10は図9に示した合焦評価エリア23を抜き出した図である。また、図11は図10中の点線23a及び23b上の階調値を示した図ある。点線23aに沿った階調値は実線24aで、点線23bに沿った階調値は点線24bでそれぞれ示されている。自動合焦部21は、実線24aのピーク位置25aと点線24bのピーク位置25bをそれぞれ検出し、これらの2つの関係から距離Dを算出する。そして、自動合焦部21は、算出した距離Dの値に基づいてフォーカスレンズ3を移動させる。こうして、指標像自動合焦が完了する。
この指標像自動合焦時、観察用光源10の発光光量I1及び撮像素子5の増幅率S1の設定に変更はない。その理由は以下の通りである。図11に示すように指標像22の階調差は眼底観察像の構造物間の階調差に対して非常に大きい。その為、撮像素子5の増幅率S1が高くても撮像素子5の雑音の影響は受けにくく合焦精度は悪くならないからである。
眼底像自動合焦を含むステップS103以降の処理(ステップ103〜S108)は第一実施形態と同様である。
以上説明したように、指標像自動合焦作動時は、被検者への負担を減らす為、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を低い設定(観察用光源の発光光量I1、撮像素子5の増幅率S1)にする。このように信号対雑音比を低い設定にしても、もともと指標像22の階調差は高い為、指標像自動合焦の合焦精度は低下しない。一方、眼底像自動合焦が作動時は、第一実施形態で説明したように、指標像自動合焦作動時に対し、眼底観察像と撮像素子5の雑音間の信号対雑音比を高い設定(観察用光源の発光光量I2、撮像素子5の増幅率S2)にし、高精度の眼底像自動合焦を実現する。
以上のように、第二実施形態によれば、眼底像自動合焦の実行中以外は観察光の光量を低く抑えて、被検者の負担を低減することができる。またはじめに指標像自動合焦を行い、次に眼底像自動合焦を行うことにより合焦に要する時間を大きく改善することができるため、被検者への負担をより低減することができる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
Claims (12)
- 撮影制御装置であって、
光源により照明された被検体を撮像素子により撮像することで得られた被検体像を用いて、撮影光学系を前記被検体に対して合焦状態とする合焦動作を行う合焦手段と、
前記合焦手段による合焦動作の実行中は、該合焦動作の非実行時よりも前記撮像により取得される前記被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする撮影制御装置。 - 前記変更手段は、前記合焦動作の実行中における前記光源の発光光量を、該合焦動作の非実行時における発光光量より増加させることを特徴とする請求項1に記載の撮影制御装置。
- 前記変更手段は、前記合焦動作の実行中における前記撮像素子からの信号の増幅率を、該合焦動作の非実行時における増幅率より小さくすることを特徴とする請求項1または2に記載の撮影制御装置。
- 前記変更手段は、前記合焦動作の実行中における前記撮像素子における電荷蓄積時間を、該合焦動作の非実行時における電荷蓄積時間よりも短くすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮影制御装置。
- 前記合焦手段は、前記撮像により得られた被検体像を用いて合焦評価を行い、前記合焦評価に基づいて前記撮影光学系を自動的に前記合焦状態とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮影制御装置。
- 前記合焦手段における前記合焦動作では、前記撮影光学系におけるフォーカスレンズの移動が前記被検体と前記撮影光学系との位置関係が所定の関係を満たしたことを契機に行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮影制御装置。
- 前記合焦手段は、前記被検体に指標を投影して得られた被検体像の中の指標の画像に基づいて前記合焦動作を行う第一の自動合焦を実行し、その後、被検体像から得られる被検体の画像に基づいて前記合焦動作を自動的に行う第二の自動合焦を実行し、
前記変更手段は、前記第二の自動合焦による合焦動作の実行中は、前記第一の自動合焦による合焦動作の実行中よりも、前記撮像により取得される前記被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮影制御装置。 - 前記第一の自動合焦による合焦動作の実行中の撮影設定は、前記合焦手段による合焦動作の非実行時の撮影設定と同じであることを特徴とする請求項7に記載の撮影制御装置。
- 前記合焦手段は、前記被検体に指標を投影して得られた被検体像の中の指標の画像に基づいて前記合焦動作を行う第一の自動合焦および被検体像から得られる被検体の画像に基づいて前記合焦動作を自動的に行う第二の自動合焦を選択的に行い、
前記変更手段は、前記第二の自動合焦手段による合焦動作の実行中は、前記第一の自動合焦手段による合焦動作の実行中よりも、前記撮像により取得される前記被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮影制御装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮影制御装置と、
前記光源と、
前記撮像素子と、
前記撮影光学系とを有し、
前記被検体像として眼底像を撮影することを特徴とする眼科撮影装置。 - 撮影制御方法であって、
合焦手段が、光源により照明された被検体を撮像素子により撮像することで得られた被検体像を用いて、撮影光学系を前記被検体に対して合焦状態とする合焦動作を行う工程と、
変更手段が、前記合焦動作の実行中は、該合焦動作の非実行時よりも前記撮像により取得される前記被検体像の信号対雑音比が高くなるように、撮影設定を変更する工程と、を有することを特徴とする撮影制御方法。 - 請求項11に記載された撮影制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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