JP2013512742A - 遠心力を加えることによって飲料を調製するためのシステム、複数のカプセルからなるカプセルセット、および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたカプセルシステムを提供する。
【解決手段】遠心浸出装置内のカプセルに遠心力を加えることによって飲料を調製するためのカプセルシステムは、様々なカプセル(1A、1B、1C、1D、1E)からなり、各カプセルが飲料を選択的に供給するためのものである、カプセルセットを備え、各カプセル(1A、1B、1C、1D、1E)が、少なくとも1つの飲料材料を含み、カプセルセットの各カプセルが、飲料材料を含む封入部(6)を有する本体(2)と、本体(2)を閉塞するための上壁(4)と、随意にフランジ状リム(3)とを含み、カプセルが、単独でまたは遠心浸出装置と協働して、遠心力を受ける液体に関する制限部または制限バルブを形成するように設計され、制限部または制限バルブの背圧が、カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して異なる。
【選択図】図5
【解決手段】遠心浸出装置内のカプセルに遠心力を加えることによって飲料を調製するためのカプセルシステムは、様々なカプセル(1A、1B、1C、1D、1E)からなり、各カプセルが飲料を選択的に供給するためのものである、カプセルセットを備え、各カプセル(1A、1B、1C、1D、1E)が、少なくとも1つの飲料材料を含み、カプセルセットの各カプセルが、飲料材料を含む封入部(6)を有する本体(2)と、本体(2)を閉塞するための上壁(4)と、随意にフランジ状リム(3)とを含み、カプセルが、単独でまたは遠心浸出装置と協働して、遠心力を受ける液体に関する制限部または制限バルブを形成するように設計され、制限部または制限バルブの背圧が、カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して異なる。
【選択図】図5
Description
本発明は、遠心力を用いてカプセル内に含まれる飲料材料に液体を通すことによって、該材料から飲料を調製するためのシステムに関する。
具体的には、本発明は、様々なリム部材を有し、この様々なリム部材が、飲料製造装置における専用の封止部材と係合するように設計された係合部を構成し、これにより、遠心力を受ける液体のためのバルブ手段が形成される、カプセルに関する。
遠心力を用いてカプセル内に含まれる原料に液体を強制的に通すことによって、コーヒーなどの飲料を調製するためのシステムが存在している。
例えば国際公開第2008/148604号パンフレットは、浸出遠心力を用いてカプセル内に含まれる材料に水を通すことによって、遠心浸出ユニット内で、該材料から飲料または食用液体を調製するためのカプセルであって、所定用量の材料を含む封入器と、遠心効果を受けて開き、これにより、浸出液体がカプセルから出て行くことを可能にする開口手段とを含むカプセルに関する。このカプセルは、遠心浸出装置の外部回転駆動手段に該カプセルを係合するための手段をさらに含むことができる。なお、この係合手段は、カプセルの回転中に発生するトルクに抵抗するように構成され、これにより、カプセルは基準回転位置に維持される。
したがって、遠心力の効果によって、コーヒーを浸出すること、または、他の食品材料を調製することには、圧力ポンプを用いる通常の浸出方法と比べて、多くの利点がある。例えば、圧力ポンプを用いてエスプレッソタイプまたはルンゴタイプのコーヒーを浸出する従来の方法では、供給されるコーヒー抽出物の品質に影響を与えるすべてのパラメータを制御することは、極めて困難である。一般に、これらのパラメータとして、圧力、圧力とともに減少する流量、コーヒー粉末の圧縮率、温度、および水流分布などが挙げられる。なお、コーヒー粉末の圧縮率は、流動特性にも影響を与え、また、粉砕したコーヒーの粒度に左右される。具体的には、抽出圧力および流量を変更することが容易ではない。というのも、抽出圧力および流量は、基本的に、ポンプによって与えることのできる静圧、コーヒーベッドの抵抗、および下流の濾過システムによって決まるからである。
遠心抽出の場合には、回転カプセルを遠心ポンプとして使用する。したがって、カプセルから流れ出る、遠心力を受ける液体の流量は、回転速度によって決まる。調製される飲料の品質は、制御によって、特に流量の制御によって決まる。具体的には、流量は、2つのパラメータ、すなわち、装置内のカプセルの回転速度、および、背圧の影響を受ける。なお、背圧は、遠心力を受ける液体がカプセルから放出される前に、該液体に与えられる。背圧が一定の場合、回転速度が高ければ高いほど、流量は大きくなる。反対に、回転速度が一定の場合、背圧が大きければ大きいほど、流量は小さくなる。
カプセルの回転速度は、通常、遠心力を用いる飲料製造装置の回転モータを選択的に作動させる制御手段によって制御される。これに対して、所定の背圧は、好ましくは、カプセルの出口またはカプセルを支持する遠心セルの外側における、遠心力を受ける液体に対する流量制限部によって得られる。
例えば、欧州特許出願公開第0651963号明細書には、圧力勾配が、蓋と遠心セルのカップとの境界面に挿入されるゴム弾性部品によって得られることが教示されている。この境界面で特定の圧力が達成されたとき、この部品が弾性的に変形して、液体のための濾過流路が形成される。コーヒーの粒子がセル内に保持される一方で、遠心力が加えられた液体は、濾過流路を通過することができる。さらに、仏国特許出願公開第2487661号明細書および国際公開第2006/112691号パンフレットは、固定制限部をフィルタの下流に配置することによって圧力勾配を形成する、遠心システムに関する。
さらにいえば、国際公開第2008/148646号パンフレットには、遠心セル内または遠心セル外に流量制限部を配置する解決策が提案されている。流量制限部は、有効な背圧を与える調整用ばね付勢バルブ(regulating spring biased valve)を含むことができる。ばね付勢バルブは、該バルブに加えられる、液体の十分な圧力の効果で開く。速度が高ければ高いほど、このバルブを通る流路がより大きくなり、流量がより大きくなる。このバルブには、ゴム部品またはばね部品などの弾性部品によって、予備荷重を加えることができる。
単純かつ汎用性のあるシステムによって、強さ、風味、香り、泡/クレマに関して種々の特性を有する飲料(例えば、コーヒー)を提供できる必要性がある。
背圧調整を行わない従来技術のシステムには、遠心速度を高くすることによってしか、流量を大きくすることができないという問題がある。したがって、このせいで、飲料の流量の変更が限定され、その結果さらに、特性の異なる飲料の供給可能性が限定される。さらに、回転速度が高くなりすぎると、雑音、処理の不安定性、振動、および装置における機械部品の早期の磨耗などの問題が発生する場合がある。
しかしながら、従来技術の飲料製造システムには、制限バルブにおける背圧を所定の値に調整するために、装置内に予備制約ばね(spring preconstraint)の調節機構がさらに必要であり、このせいで、様々な異なる所定の値への背圧の調節が複雑になるという欠点がある。
具体的には、利用者は、抽出前に、背圧の値を決める予備制約ばねを調節しなければならない。このことは、装置の利便性の観点から不利であり、また、これにより、調製所要時間が増加する。
したがって、ここで理解されるべきは、特にコーヒー飲料に関して、回転速度が一定の場合には、遠心力を受ける液体に与えられる背圧によって、コーヒー粉末と接触する熱い液体(湯)が、カプセル内に滞留する時間が決定され、これにより、コーヒーの風味および香りが直接影響を受けることである。さらに、調製される飲料の上に形成される泡/クレマなどの官能テクスチャ(organoleptic texture)も、与えられる背圧によって左右される。このように、調製されるコーヒー飲料の流量および泡/クレマに関して求められるのは、例えば、カプセル内に用意される飲料原料のタイプに応じて、制限バルブによって与えられる背圧の値を調節することである。
例えば、ロングカップ用コーヒー(long−volume coffee)(例えば、ルンゴ、アメリカーノなどのフィルタコーヒー)には、より高い流量が求められる場合がある。これは、コーヒーを苦くする可能性のある特定の混合物の抽出を避け、同時に調製時間を増加させるためである。反対に、よりショートカップ用のコーヒー(shorter coffee)(例えば、リストレットまたはエスプレッソ)には、より低い流量が求められる場合がある。
したがって、特に、遠心力を受ける液体に与えられる背圧をより簡便かつより正確に制御することによって、様々な品質特性(例えば、強さ、香りの程度、および/またはクレマ)を有する飲料の幅広い選択肢を提供する機会を与えるより単純な新しいカプセルシステムが必要とされている。
本発明は、上記した問題に対する解決策を提供し、既存技術にさらなる利点を与えるものである。
第1の態様では、本発明は、遠心浸出装置内のカプセルに遠心力を加えることによって、飲料を調製するためのカプセルシステムであって、
様々なカプセルからなり、各カプセルが飲料を選択的に供給するためのものである、カプセルセットを備え、
各カプセルが、少なくとも1つの飲料材料を含み、
カプセルセットの各カプセルが、飲料材料を含む封入部を有する本体と、本体を閉塞するための上壁と、フランジ状リムとを含み、
カプセルが、単独でまたは遠心浸出装置と協働して、遠心力を受ける液体のための制限部または制限バルブを形成するように設計され、
カプセルセットの少なくとも2つの互いに異なるカプセルに関して、制限部または制限バルブの背圧が異なる、カプセルシステムを提案する。
様々なカプセルからなり、各カプセルが飲料を選択的に供給するためのものである、カプセルセットを備え、
各カプセルが、少なくとも1つの飲料材料を含み、
カプセルセットの各カプセルが、飲料材料を含む封入部を有する本体と、本体を閉塞するための上壁と、フランジ状リムとを含み、
カプセルが、単独でまたは遠心浸出装置と協働して、遠心力を受ける液体のための制限部または制限バルブを形成するように設計され、
カプセルセットの少なくとも2つの互いに異なるカプセルに関して、制限部または制限バルブの背圧が異なる、カプセルシステムを提案する。
好ましくは、カプセルセットの少なくとも3つ以上の互いに異なるカプセルに関して、カプセルのみによって得られる背圧、または、カプセルと装置との協働によって得られる背圧が異なる。
好ましい形態では、カプセルのフランジ状リムが、遠心浸出装置と協働して、遠心力を受ける液体のための制限バルブを形成し、複数のカプセルからなるカプセルセットに関して、リムの幾何学的形状を異ならせることによって、カプセルセットの少なくとも2つの互いに異なるカプセル、好ましくは少なくとも3つの互いに異なるカプセルに関して、前記制限バルブの背圧を調節する。
最も好ましくは、複数のカプセルからなるカプセルセットに関して、リムの幾何学的形状を異ならせることによって、カプセルセットにおけるカプセルの各タイプに合わせて前記制限バルブの背圧を調節する。
「幾何学的形状」という用語は、本明細書では、リムの少なくとも一部が有する特定の形状および/または特定の寸法を意味している。
「様々なカプセル」、「カプセルの種類」、または「カプセルのタイプ」という用語は、カプセルが、以下のパラメータの中の任意の1つ、すなわち、カプセルのサイズ、材料の量、材料の濃度、特定の配合(例えば、ブレンド、コーヒーの原産地)、粒度分布、およびこれらの組合せのうちの任意の1つに関して、少なくとも1つの相違点を有していることを意味している。なお、この少なくとも1つの相違点によって、互いに異なる特性(香り、強さ、クレマ/泡、流れ時間など)を有することのできる飲料が特徴付けられる。
「カプセルからなるカプセルセット」という用語は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上の、タイプの異なる一連のカプセルを意味している。
「カプセルのサイズ」という用語は、特に、材料を受け入れるために潜在的に利用可能なカプセルの格納容量、および/または、カプセルの外部容量、例えばカプセル本体の外部容量を意味している。
「バルブ手段の背圧」という用語は、制限部または制限バルブによって生じる圧力損失を表している。制限部または制限バルブによって「ボトルネック効果」が発生するとき、遠心効果によって、制限部または制限バルブの上流に液圧が発生する。制限部があることによって、制限部より前の部分の圧力が増大する。この圧力は、液体と原料との相互作用(例えば、抽出)の処理に影響を及ぼす圧力である。
カプセルの好ましくは環状であるリムは、所定の幾何学的形状を有しており、飲料製造装置の専用の押圧面と共に、飲料の流れのための制限バルブ手段を形成する。その結果、リムは、特に、遠心力を受ける液体の流路を選択的に遮断し、これにより、カプセルからの該液体の放出が遅れるように構成される。より詳しくいえば、バルブ手段に加えられる、遠心力を受ける液体の圧力が閾値に達するとき、つまり、遠心力を受ける液体によってカプセルのリムが押し開かれるとき、バルブ手段は開く、つまり、流れが制限される隙間は、装置の押圧面がカプセルのリムから離れる方向に相対的に移動すること、反対にカプセルのリムが押圧面から離れる方向に相対的に移動すること、または、その両方によって、形成される。遠心力を受ける液体の圧力が閾値に達する前は、バルブ手段は閉じたままである。したがって、リムによって、遠心力を受ける液体のための流路が遮断される。
ここで、バルブ手段が開くか否かは、飲料製造装置の駆動手段によって駆動されるカプセルの回転速度によって決定されることに留意すべきである。したがって、バルブ手段によって、遠心力を受ける液体のための流路が、選択的に遮断または少なくとも十分に制限されているときに、飲料材料(例えば、粉砕したコーヒー)の予備浸潤ステップが実行される。このとき、装置からは液体はまだ放出されず、カプセルは注入された液体で満たされている。予備浸潤を行い、飲料の放出を遅らせた結果、材料を全体的に浸潤させることが可能になり、液体と飲料材料(例えば、コーヒー粉末)との相互作用の時間が大幅に増加し、浸出特性(例えば、コーヒー固形物の含有量および飲料の生産量)の大幅な改善が可能になる。
カプセルのリムが特定の幾何学的形状を有することによって、制限バルブの背圧が調節される。これにより、カプセルセットに関して、特に、カプセルのリムの(装置のバルブ部と係合させるための)専用バルブ部の厚さが変更される。さらにいえば、カプセルのリムの特定の設計に合わせて、バルブ部の厚さを変更することができる。カプセルのリムによって、変厚の突起または窪みを形成することができる。例えば、カプセルのリムは、矩形、三角形、または半球形の断面を有することができ、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくは少なくとも3つの互いに異なるカプセルに関して、異なる厚さを有することができる。
好ましくは、装置の専用バルブ部によってカプセルのリムのバルブ部に加えられる少なくとも背圧に関しては、カプセルのリムの幾何学的形状、つまり、カプセルのリムの厚さによって調節することができる。したがって、互いに異なるカプセルに合わせて背圧を調節することによって、流量および/または回転速度を変更し、これにより、幅広い様々な飲料を提供することができる。その結果、飲料が有する強さ、風味、および/またはクレマすなわち泡をカプセルのタイプに応じて制御することができる。
カプセルセットにおけるカプセルのリムは、様々な形状をとることができる。リムは、好ましくは、リムの全周にわたって形成される任意の断面を含むことができる。この断面は、平坦であってもよいし、窪んでいてもよい。この断面は、正方形、矩形、三角形、円形、楕円形などであってもよい。カプセルのリムは、好ましくは、剛性材料から作製される。したがって、リムは、専用の飲料調製装置における飲料調製動作の間も、相対的に一定の寸法および幾何学的形状を保つ。これにより、リムは、飲料の流路を制限するという役割を果たし、確実に開くことを保証する。この結果、押圧面の規定の背圧に打ち勝つために必要な液圧を分散させる場合のあるリムの弾力が抑制される。
他の形態では、リムは、ゴム(例えば、シリコーン)などの圧縮性材料から作製することもできる。この場合、バルブ手段の弾力は、バルブ手段によって少なくとも部分的に得ることができる。
好ましい実施形態では、リムは、カプセルの本体と一体に作製される。したがって、基本的に経済的な理由から、リムの封止部およびバルブ部を、カップ形状の本体と一体に形成することができる。
さらにいえば、遠心装置においてカプセルが作動させられているときに、カプセルの回転軸線に対して基本的に垂直になるように、リムが形成されるのが好ましい。
本発明の別の形態では、カプセルからなるカプセルセットは、全体としてのバルブ手段を含む。言い換えると、バルブ手段は、カプセルのバルブ部と装置のバルブ部との結合によって得られるのではなく、カプセル自体の部分によって得られる。バルブ手段を有するカプセルの例が、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる国際公開第2008/148604号パンフレットに記載されている。この引用された公報では、バルブ手段は、遠心効果を受けて開くことによって、浸出液体がカプセルから出て行くことを可能にする開口手段として言及されている。この開口手段またはバルブ手段は、弾性バルブを含むことができる。例えば、開口手段は、カプセルの壁と一体であり、かつ半径方向に屈曲する少なくとも1つのリップを含む。例えば、カプセルの蓋は本体に連結され、屈曲可能なリップはこの蓋の一部とされる。本発明との関連では、開口手段またはバルブ手段は、遠心力を受ける液体に対して、バルブの閉塞圧力(この閉塞圧力は、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくは少なくとも3つの互いに異なるカプセルに関して異なる)を加えるように構成され、および/または、開くことによって、バルブが開いた構成をとる場合に、(カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して異なる)制限領域を形成するように構成される。その結果、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくは3つ以上のカプセルに関して、バルブ手段によって生じる圧力損失が異なることになる。
別の形態では、カプセルからなるカプセルセットは、遠心力を受ける液体のための固定流量制限部を有するように構成される。なお、カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して、好ましくはカプセルセットの各カプセルに関して、この流量制限部の面積が異なる。「固定流量制限部」という用語によって意味されているのは、カプセルが有する、半径方向を向く1つ以上のオリフィスによって得られる流量制限部である。この流量制限部は、ベルヌーイ方程式に従って圧力損失を発生させる。したがって、遠心力を受ける液体は、カプセルのこの制限路を強制的に横切らされ、これにより、カプセル内に特定の背圧が発生する。好ましくは、固定制限部は、一連の制限オリフィスによって得られる。この一連の制限オリフィスの表面積の合計は、カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して、異なる。カプセルの蓋または側壁などの、カプセルの壁の外周部分に、制限オリフィスが設けられてもよい。
カプセルセットにおける様々なカプセルは、カプセルセットにおける本体を様々な深さにすることによって得られる様々な格納容積の本体を含んでもよい。ただし、このとき、挿入直径(D)は、カプセルセットのすべてのカプセルに関して同じである。したがって、「挿入直径」という用語は、カプセルの本体の外面を基に測定される基準直径を表している。
さらに、カプセルセットにおけるカプセルは、様々な種類の飲料材料を含むようにさらに設計されてもよい。これにより、カプセル本体のサイズは同じままである。
好ましい実施形態では、システムに係るカプセルは、様々な種類のコーヒー粉末を含む。これにより、特性(強さ、香り、風味、クレマ、…)および様々な量(例えば、25、40、110、250、400mL)(例えば、リストレット、エスプレッソ、ルンゴ、ドッピオ、アメリカーノ、ロングブラックコーヒーなど)、これに加えて、好ましくは様々なクレマ特性(量および/または質感)を有するコーヒー飲料が製造される。
「様々な種類」の飲料材料またはコーヒーの「様々な種類」が意味しているのは、カプセルの重量、粉砕サイズ、タップ密度、焙煎の度合い、原産地、ブレンド、原料の特質(コーヒー、茶、ココア、添加物など)、およびこれらの組合せに関する任意の相違である。
したがって、カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して、リムのバルブ部の厚さが異なる。なお、リムのバルブ部の厚さは、バルブ部を特定の設計にすることまたは他の方法によって設定される。これにより、カプセルが装置内に係合されるとき、つまり、カプセルのバルブ部が、装置のバルブ部または専用押圧面と係合されるときに、バルブ手段の様々な背圧が定まる。その結果、遠心力を受ける液体に与えられる背圧が、装置内に挿入されるカプセルに応じて変更される。装置内のカプセルの回転速度および挿入されたカプセルに応じて、飲料の流量が設定される。
したがって、ここで理解できることは、それによって抽出条件が制御されて、抽出によって決まる多くの様々な品質特性(風味、香り、色、クレマなど)をもたらすことができることである。
その結果、カプセルセットにおける各カプセルは、様々な量および様々な特性の飲料を供給することができる。これにより、浸出処理中の背圧を、特定のカプセルによって調製される特定の飲料に合わせて調節することができる。したがって、装置自体の力を設定する調節機構(force−set adjustment mechanism)によって背圧を調節する必要もなく、幅広い飲料を調製することができる。というのも、この役割を担うのは、装置内に適切に挿入されたときにこのパラメータを設定するカプセルだからである。
好ましい実施形態では、カプセルのリムのバルブ部の厚さは、好ましくは、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、より好ましくは、カプセルセットの少なくとも3つ以上のカプセルに関して、可変とされる。したがって、リムのバルブ部の特定の厚さについては、好ましくは、より少量のコーヒー粉末を含むカプセルの厚さが、より多量のコーヒー粉末を含むカプセルの厚さより大きくなるように設計される。同時に、より少量のコーヒー粉末を含むカプセルの回転速度を、より多量のコーヒー粉末を含むカプセルよりも大きく設定することができる。
例えば、より小さいカプセルおよび/またはより少量のコーヒー粉末を含むカプセル(例えば、リストレットタイプまたはエスプレッソタイプのカプセル)に関しては、より厚くより濃密なクレマが求められる。このより厚くより濃密なクレマは、より大きいカプセルおよび/またはより多量のコーヒー粉末を含むカプセルと比べて、背圧を相対的により高くすることによって得ることができる。なお、より多量のコーヒー粉末を含むカプセルからは、より多量のコーヒー飲料(例えば、ルンゴタイプまたはアメリカーノタイプのコーヒー飲料)を調製することができる。
他の形態では、カプセルセットにおける少なくとも2つのカプセル、好ましくは3つ以上のカプセルに関して、回転速度を一定に設定することができる。この場合、飲料流量は、カプセルのみによって発生する背圧によって設定される。
例えば、抽出を最適化するために、より少量のコーヒー(例えば、リストレットコーヒー)には、より多量のコーヒー(例えば、ルンゴ、アメリカーノ、ロングブラックなど)よりも、相対的により低い流量が求められる場合がある。したがって、より多量の飲料材料を含むカプセルに関しては、相対的により低い値に背圧を調節することができ、これにより、相対的により少量の飲料材料を含むカプセルと比べて、流量を増加させる。
したがって、好ましい実施形態では、カプセルセットにおけるカプセルの種類に応じて、リムのバルブ部の厚さを変更し、これにより、制限バルブにおける背圧を調節する。
好ましいが、非限定的な形態では、カプセル内のコーヒー粉末の量が減少する場合および/またはカプセルのサイズが小さくなる場合に、リムのバルブ部の厚さを増加させる。
別の形態では、カプセルは、流量制限オリフィスを(つまり、上記したバルブ手段の代わりとして)有する。この流量制限オリフィスの面積の合計は、カプセルセットに関して、粉末の量および/またはカプセルセットにおけるカプセルのサイズの増加に応じて、増加する。したがって、カプセルが大きくなればなるほど、カプセル内の遠心力を受ける液体のための流れ面積がより大きくなり、その結果、制限オリフィスによって与えられる背圧がより低くなる。さらに、カプセル内のコーヒー粉末の量が減少する場合および/またはカプセルのサイズが小さくなる場合、装置における回転速度はより高く設定される。
他の形態では、カプセル内のコーヒー粉末の量が減少する場合および/またはカプセルのサイズが小さくなる場合、上記のように、回転速度を一定に設定することもできる。
さらに、上記したすべての形態に関して、カプセル内のコーヒー粉末の量が減少する場合および/またはカプセルのサイズが小さくなる場合、装置における回転速度をより低く設定することもできる。
反対に、上記したすべての形態に関して、カプセル内のコーヒー粉末の量が減少する場合および/またはカプセルのサイズが小さくなる場合、装置における回転速度をより高く設定することもできる。
本発明のシステムに係るカプセルは、カプセル識別手段をさらに含んでもよい。このカプセル識別手段は、カプセルセットにおける様々なカプセルと関連付けられ、これにより、背圧それ自体の他に、少なくとも1つの浸出パラメータが調節される。
好ましくは、カプセル識別手段によって調節可能なパラメータとして、回転速度、カプセル内に供給される液体の量、注入される液体の温度、液体供給ポンプの圧力および/または流量、ならびにこれらの任意の組合せ、回転の遅いまたは回転のない予備浸潤時間、およびこれらの組合せを挙げることができる。
したがって、カプセル識別手段も、様々な特性(量、風味、強さ、クレマ、色など)を有する幅広い飲料の供給に関係する。
さらにいえば、これらの手段によって、広範囲の流量(背圧の設定によって得られる流量)を維持しながらも、回転速度の有効範囲を小さくすることが可能になる。これにより、より単純で、より安価で、より信頼性が高く、およびエネルギー消費のより少ないシステムが実現される。
システムの装置の側に、検出手段を備え付けることによって、カプセルに設けられた識別手段を識別することができる。したがって、検出手段は、遠心浸出装置内に配置される制御手段と関連付けられ、これによって前記浸出パラメータの調節が制御される。
この制御手段は、パラメータを制御する、装置における制御ユニットとすることができる。このパラメータは、カプセルを回転駆動するモータの回転速度、水量および/または水流量、水ポンプによって遠心カプセル内に供給される水圧、およびこれらの組合せから選択される。
一形態では、識別手段には、複数のカプセルからなるカプセルセットに関して様々なリムの幾何学的形状(例えば、厚さ)が含まれる。
言い換えれば、システムは、幾何学的形状を識別することによって、例えば、バルブ部の厚さを検出することによって、カプセルセットのカプセルを識別し、これに応じて、浸出パラメータの調節、例えば、回転速度および/または量の調節を行う。これらのパラメータを所定の値に調節するように自動的に制御することができるし、したがって、これらのパラメータを一定の範囲内に調節するように制御することもできる。パラメータが一定の範囲で調節されるように設定された場合、利用者には、これらのパラメータに関して、この範囲内の好ましい値を選択し、これにより、自分の好みに合わせて飲料をカスタマイズする機会が与えられる。このために、装置は、一定の範囲内でこれらのパラメータの値を正確に設定するためのつまみなどの選択手段を含む。
したがって、装置における検出手段は、バルブ手段の背圧を検出するための手段を含む。この背圧は、装置内に挿入されるカプセルのバルブ部の特定の厚さに応じて発生する。カプセルには、他のいかなる識別手段(例えば、バーコード、RFIDなど)も必要ではないという利点を有する。
装置の検出手段として、圧力センサおよび/または距離センサから選択することができる。圧力センサによって、カプセルにより装置のバルブ部に加えられる圧力すなわち力(例えば、予備制約)、または、逆に装置のバルブ部によりカプセルに加えられる圧力すなわち力を検出することができる。距離センサによって、カプセルによりもたらされる、ばね付勢バルブ手段における距離の変動を検出することができる。距離センサは、光学センサ、機械センサ、および/または電気センサ(例えば、容量センサ)などの任意の適切なセンサとすることができる。
カプセルの他の識別手段は、光学手段(例えば、1次元または2次元のバーコード)、高周波手段(例えば、RFIDタグ)、磁気手段(例えば、ホール効果、磁気誘導)、カプセル色の識別手段、または機械的な識別手段とすることができる。
カプセルの他の識別手段は、カプセルの深さとすることができる。この場合のカプセルの深さは、カプセルセットに関して様々であり、同時係属の欧州特許出願公開第10170042.5号明細書に記載されている機械センサ、光学センサ、または電磁気センサによって検出される。このため、当該装置内のカプセルを検出するための装置は、容器内のカプセルの外面の相対的位置を検出するための少なくとも1つの手段と、前記外面の検出された相対的位置に対応するコードを用意する手段とを含み、前記相対的位置は、カプセルが容器内に配置される場合に、該容器のサイズを表すこと、によって特徴付けられる。
本発明との関連では、カップ形状の本体は、アルミニウムおよび/またはプラスチックを含むことができる。カップ形状の本体をプラスチックのみから作製することもできる。リムは、好ましくは、本体と一体の部品である。カプセルは、カップ形状の本体を閉塞するための蓋膜をさらに備える。この蓋膜は、好ましくは、リムの封止部にしっかりと固定される。
本発明との関連における「閉塞」という用語には、オリフィス(例えば、流量制限オリフィスまたは流量制限孔)が蓋に存在する構成も含まれる。したがって、閉塞は、蓋に対して本体を閉塞する、液密または気密の構成に必ずしも限定されない。
本発明に係るカプセルは、ガスバリア材料から形成することができ、また、該カプセルの上壁すなわち膜によって、ガスを浸透させないように閉塞することができる。これにより、飲料材料(例えば、焙煎し粉砕したコーヒーの粒子)の鮮度が、長期間にわたって保たれる。
この膜は、好ましくは、該膜の封止部の近くに、少なくとも穿孔可能な周辺領域を含む。この膜の封止部は、本体のフランジ状リムにしっかりと固定される。したがって、穿孔可能領域は、飲料製造装置の穿孔手段によって穿孔することができる。これにより、カプセルの一連の液体出口が設けられる。したがって、カプセル内の、遠心力を受ける液体は、一連の出口を通ってカプセルから出て行くことができる。このとき、この液体によって、カプセルのリムに圧力を加えることができる。穿孔されたオリフィスなどの一連の出口を十分小さくして、液体(例えば、コーヒー抽出物)を濾過してもよい。開口圧力に達すると、バルブ手段が開いて、流量が制限される隙間が形成され、液体は、遠心力を受けてカプセルの外側に出て行き、供給されるために集められる。
他の可能な形態では、本発明のカプセルは、穿孔可能な膜の代わりに、有孔の蓋を含む。この有孔の蓋は、紙、プラスチックおよび/もしくはアルミニウム、バイオ素材、またはこれらの材料の任意の組合せから形成することができる。カップ形状の本体も、紙、ボール紙、バイオ素材、またはこれらの材料の任意の組合せから形成することができる。
さらにいえば、カプセルはまた、再充填可能なカプセルであってもよい。この再充填可能なカプセルは、蓋部材を有する。この蓋部材は、例えばジョイントによって、該カプセルの本体に取り付けられる。したがって、利用者は、自分の味の好みに従って、飲料原料をカプセルに供給することができる。
別の可能な形態では、カプセルは、カップ形状の本体内に挿入される内部フィルタ部を含む。さらにいえば、内部フィルタを覆う蓋膜によって、カプセルを閉塞してもよい。蓋膜は、穿孔可能であってもよいし、剥離可能であってもよい。例えば、内部フィルタ部は、国際公開第2008/148646号パンフレットに記載されている、遠心力を受ける液体を濾過するための濾過口または濾過スロットを有するプラスチック部品とすることができる。
本発明に係るカプセルは、抽出可能な材料(粉砕したコーヒーなど)、または、液体に溶ける材料もしくは液体中に分散する材料(粉末ミルクまたはスープ粉末など)を含むことができる。具体的には、この材料は、粉砕したコーヒー、インスタントコーヒー、チョコレート、ココア粉末、茶葉、インスタントティー、ハーブティー、コーヒー・紅茶用のクリーム/粉末状ミルク、栄養組成物(例えば、乳幼児用粉ミルク、フォローアップ粉ミルク(growing−up milk)、粘性物質)、乾燥果実または乾燥植物、料理用粉末、およびこれらの組合せから選択することができる。
カプセルには、食品原料と共に、窒素および/または二酸化炭素などの気体を封入してもよい。
好ましくは、カプセルは、原料区画を覆うガスバリア材料を含む。しかしながら、カプセルが、「それ自体では」気密でない場合、外部包装を使用して、カプセルを個別に包装すること、または、複数のカプセルをまとめて包装することができる。この場合、この包装は、装置内にカプセルが挿入される前に取り除かれる。
好ましい実施形態では、本発明に係るカプセルと協働して使用される専用の飲料製造装置のバルブ部の押圧面は、比較的平坦な環状面を形成する。この環状面に対して、カプセルのリムのバルブ部は、押圧することができる。したがって、閉塞動作は、環状封止ラインまたは環状封止面の形態をしたバルブ手段における係合によって、促進される。好ましくは、この押圧面は、フランジ状リムのバルブ部に対して略平行にされる。もちろん、押圧面は、わずかに凹んでいてもよいし、遠心軸線に対して半径方向に屈曲した凸ラインであってもよい。
ここで、専用の飲料製造装置のバルブ部が、好ましくは、ばね荷重手段と結合されることに留意すべきである。このばね荷重手段は、遠心力を受ける液体のための流量が制限される隙間の開口を可能にするためのものである。なお、この開口は、押圧面が、カプセルのリムから離れる方向に相対的に移動することによって行われる。ここで留意すべきは、押圧面とカプセルとの間の流量が制限される隙間は、互いの間の相対的移動によって、開くことができることである。この相対的移動は、押圧面がカプセルから離れる方向に移動すること、または、カプセルホルダを可動部品とすることなどにより、カプセルが押圧面から離れる方向に移動することによって実現することができる。第三の選択肢は、ばね付勢手段の力に逆らって移動する注入ヘッドの押圧面と、カプセルホルダを支持する面との両方を有することである。
さらに本発明は、様々なカプセルからなるカプセルセットであって、各カプセルが、カプセルに遠心力を加えることによって、飲料製造装置内で、飲料を選択的に供給するためのものであり、
各カプセルが、少なくとも1つの飲料材料を含み、
カプセルセットの各カプセルが、飲料材料を含む封入部を有する本体と、本体を閉塞するための上壁と、フランジ状リムとを含み、
カプセルが、少なくとも1つの部分に厚さを有するリムを含み、この厚さが、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくはカプセルセットの少なくとも3つのカプセル関して、異なっており、これにより、カプセルが飲料製造装置内に係合されたときに、カプセルの部分に加えられる、装置のばね付勢手段の背圧すなわち戻り力が調節される、カプセルセットに関する。
各カプセルが、少なくとも1つの飲料材料を含み、
カプセルセットの各カプセルが、飲料材料を含む封入部を有する本体と、本体を閉塞するための上壁と、フランジ状リムとを含み、
カプセルが、少なくとも1つの部分に厚さを有するリムを含み、この厚さが、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくはカプセルセットの少なくとも3つのカプセル関して、異なっており、これにより、カプセルが飲料製造装置内に係合されたときに、カプセルの部分に加えられる、装置のばね付勢手段の背圧すなわち戻り力が調節される、カプセルセットに関する。
カプセルセットの様々なカプセルは、本明細書にこれまで記載されたカプセルの可能な特性、および、以下に記載するカプセルの可能な特性のすべてを含む。
さらなる態様として、本発明は、飲料製造システムによって飲料を調製するための方法であって、該飲料製造システムが、様々なカプセルからなるカプセルセットを含み、この様々なカプセルが、該システムの専用の飲料製造装置内に挿入されて、単独でまたは該装置との連携により、遠心力を受ける液体のための制限部および/または制限バルブを形成するように設計されている、方法であって、
飲料製造装置内にカプセルセットのカプセルを挿入して、装置によってカプセルに遠心力を加えるステップを含み、
浸出中に、背圧が、制限部または制限バルブによって、遠心力を受ける液体に対して加えられ、背圧が、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくはカプセルセットの少なくとも3つのカプセルに関して異なる、方法を提案する。
飲料製造装置内にカプセルセットのカプセルを挿入して、装置によってカプセルに遠心力を加えるステップを含み、
浸出中に、背圧が、制限部または制限バルブによって、遠心力を受ける液体に対して加えられ、背圧が、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくはカプセルセットの少なくとも3つのカプセルに関して異なる、方法を提案する。
好ましい形態では、上記の方法が、
前記カプセルのバルブ部を飲料製造装置のバルブ部に係合させ、これにより、バルブ手段に所定閾値の圧力を加えて、遠心力を受ける液体が所定閾値の圧力に打ち勝つまで、遠心力を受ける液体の流れが遮断および/または制限するステップと、
カプセルセットのカプセルに関して、カプセルのバルブ部の厚さを変更することによって、装置内に挿入されるカプセルのタイプに応じて、制限バルブの背圧を設定するステップと、を含む。
前記カプセルのバルブ部を飲料製造装置のバルブ部に係合させ、これにより、バルブ手段に所定閾値の圧力を加えて、遠心力を受ける液体が所定閾値の圧力に打ち勝つまで、遠心力を受ける液体の流れが遮断および/または制限するステップと、
カプセルセットのカプセルに関して、カプセルのバルブ部の厚さを変更することによって、装置内に挿入されるカプセルのタイプに応じて、制限バルブの背圧を設定するステップと、を含む。
好ましい実施形態では、上記の方法は、リムのバルブ部の厚さを、0.2〜10mmの様々な値、より好ましくは0.5〜3mmの様々の値とするステップをさらに含む。実例として、複数のカプセルからなるカプセルセットは、それぞれのリムの厚さが1.0、1.4、および1.8mmの、少なくとも3つのタイプのカプセルを含む。
さらに、上記の方法は、装置内に係合されるカプセルによって設定される背圧に応じて、バルブ手段を通過する遠心力を受ける液体の流量を決定する回転速度によって、装置内のカプセルを回転させるステップを含む。
好ましくは、制限部またはバルブ手段によって加えられる背圧(つまり、気圧より高い圧力)は、カプセルのタイプに応じて、5N/cm2(0.5バール)〜180N/cm2(18バール)の範囲に及ぶことができ、より好ましくは15N/cm2(1.5バール)〜134N/cm2(13.4バール)の範囲に及ぶことができ、最も好ましくは27N/cm2(2.7バール)〜87N/cm2(8.7バール)の範囲に及ぶことができる。
開いた構成をとっているバルブ、または、オリフィスによって形成される制限部は、好ましくは、カプセルおよび/または装置の設計によって制御され、0.5〜4.0mm2、より好ましくは0.75〜3.0mm2、最も好ましくは1.0〜2.5mm2、例えば約1.7mm2となる。
回転速度は、好ましくは、2000〜16500rpm、最も好ましくは4000〜10000rpmの範囲内に制御される。カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくはカプセルセットの少なくとも3つのカプセルに関して、カプセル内の液体が遠心力を受けている間、少なくとも1つの回転速度が、上記の制御範囲内で異なる。
流量は、好ましくは、0.1〜10ml/秒の範囲内、より好ましくは0.5〜3.5ml/秒の範囲内に制御される。同様に、カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくはカプセルセットの少なくとも3つのカプセルに関して、カプセル内の液体が遠心力を受けている間、少なくとも1つの流量が異なる。
本発明に係る方法によって、飲料の特性(特に、特定の飲料の香り、強さ、およびクレマの品質ならびに量)を調節することが可能になる。これにより、例えば、リストレットタイプおよびエスプレッソタイプのコーヒー飲料のための背圧を、ルンゴタイプまたはアメリカーノタイプの飲料のための背圧より高く設定することができる。さらに、ルンゴタイプのコーヒーの流量として、リストレットタイプおよびエスプレッソタイプのコーヒー飲料のための流量より高い流量を要求することもできる。
背圧の設定は、システムにおけるカプセルの設計を様々に適合させることによって行われ、組込み式の解決策がもたらされる。この組込み式の解決策は、様々な特性を有する飲料が調製される各飲料調製のために、装置内のカプセルを封止する専用の封止部材のばね荷重を外部から操作しなければならない解決策とは対照的である。したがって、より便利でより信頼性の高い、飲料浸出中の背圧の調節が可能になる。
さらなる態様では、本発明は、カプセルのリムのバルブ部の様々な幾何学的形状の使用に関する。これにより、カプセルのタイプに応じて、飲料調製処理中に、遠心力を利用した飲料調製装置において調整される飲料の少なくとも1つの浸出パラメータが適合される。
本発明のさらなる特徴、好適性、および目的は、添付図面の図と関連して記載される、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に明らかとなる。
図1a、図1b、および図1cは、本発明に係るカプセルセットのカプセル1A、1B、1Cの好ましい実施形態に関する。これらのカプセルは、好ましくは、本体2、リム3、および上壁部材すなわち穿孔可能膜4を含む。その結果、膜4および本体2によって、封入部すなわち原料区画6が封止されている。図に示されているように、膜4は、好ましくは、リム3の内側環状部Rに結合されている。リム3の内側環状部Rは、好ましくは、1〜5mmである。膜4は、熱溶着ラインまたは超音波溶着ラインなどの封止によって、本体のリム3に結合されている。
リムは、必ずしも図示されているように水平でなくてもよい。経時的なカプセル原料の脱気によって経時的に増加する、穿孔可能膜を押す圧力に対して封止の抵抗を増加させるために、リムをわずかに屈曲させてもよい。
カプセルのリム3は、好ましくは、カプセル1の回転軸線Zに対して基本的に垂直な方向に外側に(図示のように)伸長しているか、または、カプセル1の回転軸線Zに対して(上記のように屈曲させられる場合)わずかに傾斜した方向に外側に伸長している(図3参照)。したがって、回転軸線Zは、浸出装置内のカプセルに遠心力を加える際の回転軸線を表している。
図示された実施形態は例示的な実施形態にすぎず、本発明に係るカプセル1、特にカプセルの本体2が様々な異なる実施形態をとることができることを理解されたい。
カプセル1A、1B、1Cは、好ましくは、使い捨てのカプセルである。しかしながら、これらのカプセルによって、一度に1杯分以上の飲料を供給することができ、例えば、同時に2つのカップを満たすのに十分な量のコーヒー抽出物を供給することができることに留意されたい。
各カプセルの本体2は単一の凸部5a、5b、5cを有し、凸部5a、5b、5cは、それぞれ、可変深さd1、d2、d3を有する。これにより、凸部5a、5b、5cは、連続的に切り取られていてもよいし、部分的に円筒部となっていてもよい。
したがって、カプセルは1A、1B、1Cは、好ましくは、様々な容量を有するものの、同じ挿入直径「D」を有する。図1aのカプセルは、容量の小さいカプセル1Aを示している。一方で、図1bおよび図1cのカプセルは、それぞれ、容量のより大きいカプセル1Bおよび1Cを示している。ここで、挿入直径「D」は、リム3の下面と本体2の上部とが交差する点において定められている。しかしながら、この挿入直径「D」は、装置内のカプセルに関する別の基準直径であってもよい。
カプセルの本体2は、好ましくは、剛性または半剛性である。このカプセルの本体2は、EVOHなどのガスバリア層、アルミニウム合金、またはプラスチックとアルミニウム合金との積層物を含む、食品グレードのプラスチック(例えば、ポリプロピレン)から形成することができる。膜4は、バリア層、アルミニウム合金、またはプラスチックとアルミニウム合金との組合せも含むプラスチックフィルムなどのより薄い材料から作製することができる。一般に、膜4の厚さは、例えば10〜250ミクロンである。この膜を穿孔することによって、本明細書において後に記載する水の入口が形成される。また、膜は、穿孔可能な周辺領域をさらに含む。
さらに、膜4の代わりとして、カプセル1A、1B、1Cは、剛性または半剛性の蓋部材を含んでもよい。この蓋部材は、好ましくは、プラスチックのディスクの形状を有する。このプラスチックのディスクは、水注入部材を案内できる入口を有する中央部と、出口開口が円周状に配置された周辺部との少なくともいずれか一方を有する。
小さいカプセルと大きいカプセルとの容量の相違は、主に、カプセルセットにおけるカプセルの本体2の深さ(d1、d2、d3)を変えることによって得られる。具体的には、より小さいカプセル1Aの本体の深さは、より大きいカプセル1B、1Cの本体の深さよりも浅い。
もちろん、様々な容量を得るための同等(図示せず)の態様は、カプセルの底の形状またはカプセルの他の寸法(例えば、カプセルの直径)を変更することであろう。
容量の小さいカプセル1Aが含む抽出原料(例えば、粉砕したコーヒー)の量は、好ましくは、容量のより大きいカプセル1B、1Cの抽出量より少ない。したがって、小さいカプセル1Aは、4〜8グラムの量の粉砕したコーヒーを用いて、10mL〜60mLのショートコーヒーを供給するためのものである。より大きいカプセル1Bは、例えば60〜120mLのミディアムサイズのコーヒーを供給するためのものである。また、最も大きいカプセルは、例えば120〜500mLのロングサイズのコーヒーを供給するためのものである。さらに、ミディアムサイズのコーヒーのカプセル1Bは、6〜15グラムの量の粉砕したコーヒーを含むことができる。また、ロングサイズのコーヒーのカプセル1Cは、8〜30グラムの量の粉砕したコーヒーを含むことができる。
加えて、本発明に係るカプセルセットのカプセルは、焙煎し粉砕したコーヒーの様々なブレンドもしくは様々な原産地のコーヒー、ならびに/または様々な焙煎特性および/もしくは様々な粉砕特性を有するコーヒーを含んでもよい。
図1a〜図1cに示されているように、リム3の幾何学的形状は、例えばL字型の断面を備えるように構成されてもよい。このL字型の断面には、環状の外側突起8がある。環状の外側突起8は、膜4が配置されている平面に対して垂直な方向に形成されている。それによって、リム3の厚さh1、h2、h3は、好ましくは、図示のカプセル1A、1B、1Cに含まれる飲料材料の量および/または特性に合わせて構成される。これにより、カプセルが、飲料製造装置の専用の封止部材15によって封止されるときに、カプセルにかかる背圧を調節することが可能になる。
詳しくいえば、例えばリストレットコーヒー飲料またはエスプレッソコーヒー飲料を調製するための少量の飲料材料を含むカプセル(例えば、カプセル1A)に関しては、強く(つまり、コーヒー抽出物内に移っているコーヒー固形物の総量が多い)また厚いクレマを有するコーヒーを提供するために、遅い抽出が求められるかもしれない。これらの特性は、より速い抽出の場合と比較することができる。より速い抽出は、より多量のコーヒー粉末を含むカプセル1Bまたは1Cから流れ出る飲料について求められる場合がある。したがって、飲料抽出中の回転速度が一定の場合、より少量の材料を含む、容量のより小さいカプセル1Aの背圧が、より多量の材料を含むより大きいカプセル1Bまたは1Cの背圧よりも大きくなるように調節すべきである。したがって、カプセル1Aのリムのバルブ部8の図示されている厚さh1は、カプセル1B、1Cのそれぞれの図示されている厚さh2、h3よりも、厚くなるように選択される。したがって、カプセル1A、1B、1Cのそれぞれの厚さhは、カプセルの容量および/または各カプセル内に含まれる飲料材料の量に応じて、大きくなるように構成されている。
例えば、図1aに示されている、サイズのより小さいカプセルの場合、厚さh1は、好ましくは、1.0〜2.5mmから選択される。図1bおよび図1cに示されている、サイズのより大きいカプセルの場合、好ましくは、厚さh2は0.8〜1.8mmから選択され、厚さh3は0.5〜1.5mmから選択される。もちろん、これらの値は、バルブ手段の構成に応じて、とりわけ、装置側のバルブ手段の構成に応じて、大きく異なり得る。
しかしながら、以下の図4を参照して後に説明するように、厚さがまた、カプセル内に含まれる飲料材料の量、また、カプセルが飲料製造装置内に封入されているときにカプセル1のリム3と突起8のそれぞれに所定の力を加える力印加手段(force loading means)に応じて、小さくされ得ることに留意すべきである(図3および図4参照)。
さらに、装置内に取り付けられる力生成手段を調節付加とすることができることに留意すべきである。これは、装置内にカプセルがいったん係合された場合に、カプセルのリムに背圧を与える封止部材に掛かる力を変化させないためである。したがって、加えられる背圧の調節は、好ましくは、カプセルのリムの幾何学的構造を変更することによってのみ行われる。
図1a〜図1cに示されているように、突起8の幅bによって、リムのバルブ部は、半径方向に範囲を定められている。この突起8の幅bの値は、好ましくは、カプセルセットのカプセル1A、1B、1Cの様々な実施形態に関して、等しい。
特定のカプセルのリム3の厚さ、すなわち環状突起8の厚さ(h1、h2、h3)は、容量に関してだけでなく、カプセル内に含まれる飲料材料(例えば、量、密度、配合など)の特質に関しても調節されていて、これにより、カプセルのリム3が専用の装置のバルブ部に係合されたときに発生する背圧が、所望の値に調節されることに留意すべきである。
図2aおよび図2bは、本発明に係るカプセルのさらに好ましい実施形態に関する。したがって、カプセル1Dおよび1Eの図示の実施形態は、好ましくは、カプセル1A、1B、1Cと同じ直径Dを有する。
図2aに示されているように、カプセル1Dは、円錐台形状であり、本体2を含んでいる。また、本体2は、好ましくは、一定の壁の厚さtを有する。カプセルのリム3は、本体2と一体に形成されている。この図に示されているように、カプセルのリム3は、好ましくは、基本的に矩形の断面を有する。この矩形の断面は、厚さhおよび幅bを有する。したがって、厚さhおよび/または幅bは、好ましくは、カプセルのタイプに合わせて調節される。厚さhは、カプセルの壁が有する好ましくは一定の厚さtとは異なってもよい。
図示の実施形態の場合、膜4は、カプセルのリム3の上面の環状部Rにしっかり固定されている。しかしながら、膜4は、さらに、リム3の上面全体にしっかり固定されてもよい。このとき、環状部Rは、幅bと等しい。
図2bは、本発明に係る、カプセルからなるカプセルセットの他のカプセル1Eを示している。この実施形態では、リム3の幾何学的形状は、基本的に中央が浮出し加工された突起8を有する。この突起8は、リムの上壁4の封止平面より上に突き出ている。
本発明との関連では、厚さ「h」(または「h1」、「h2」、「h3」など)は、リム3の下面から、リムの最も高い位置まで(つまり、リムが伸長している場合は、リム3の伸長部8の最も高い位置まで)の距離として測定される。
いずれにしても、上記の厚さは、後に説明するように装置内にカプセルを挿入することによって発生する、飲料抽出処理中の背圧を調節するために適合された有効な距離である。
図1a〜図1c、図2a、および図2bを参照して説明したように、カプセルのリム部3は、様々な幾何学的設計を採用することができる。これにより、飲料抽出処理中の少なくとも1つの浸出パラメータが、影響を受けて調節される。
図3は、本発明のシステムに係る、閉じた状態の装置の側断面図を示している。これによれば、装置は、回転カプセルホルダ10、駆動手段27、およびコレクタ11を備える。遠心力を受ける液体は、コレクタ11に衝突し、飲料出口12を通って流れ出る。駆動手段27を回転モータとすることができる。この回転モータは、カプセルホルダ10の(図示のように)底面または上面(図示せず)に連結されている。
さらに、装置は、水注入手段18を含む。この水注入手段18は、注入部材13を有する。この注入部材13は、カプセル1の膜4の中央部に孔を開けるために、配置されている。注入手段18は、好ましくは、国際公開第2008/148604号パンフレットに記載されている一連の出口穿孔器24をさらに備える。その結果、膜4の環状部には出口が形成される。これにより、カプセル1の回転運動中に、抽出飲料が、カプセル1から出て行くことが可能になる。注入手段18は、液体回路22に接続されている。この液体回路22は、液体供給源21、ポンプ20、および加熱手段19を含む。これにより、所定量の加熱された加圧液体が、飲料抽出処理中にカプセル1に供給される。
装置は、さらにバルブ部15を備えている。このバルブ部15は、水注入ユニット18の周囲に配置され、かつ環状の押圧下面15aを有する。
バルブ部15および注入ユニット18は、好ましくは、カプセルホルダ10に対して移動可能である。これにより、飲料抽出処理の前にカプセル1をカプセルホルダ10に挿入すること、および、飲料抽出処理の後にカプセル1をカプセルホルダ10から取り出すことが可能になる。
さらにいえば、注入手段18、バルブ部15、およびカプセルホルダ10は、軸線Zを中心に回転可能である。
さらに、バルブ部15は、注入ユニット18から独立して移動できるように形成されている。これは、カプセルの厚さが様々となる可能性と、その場合でもバルブ部15がカプセルに係合したときに、注入部の相対的位置が影響を受けることはないことを考慮したためである。これを実現するために、バルブ部15を注入ユニット18の周囲に摺動可能に取り付けることができる。
バルブが開いた構成をとっている場合、比較的小さい流量制限部が、面15aとリムのバルブ部8との間に形成される。これにより、遠心力を受ける液体の流れを、液体の狭い噴流とし装置の衝撃面11に向かって放出することができる。この制限部によって、環状の開口部が形成される。この開口部の表面積は、好ましくは、1.0〜10.0mm2である。この流量制限部の表面積は、カプセルによって設定された、バルブにおける背圧値およびカプセルの回転速度に応じて変動する場合がある。なお、一般に、回転速度が大きければ大きいほど、表面積はより大きくなる。
カプセルホルダ10は、内周面10bを有する。内周面10bは、カプセル1の直径「D」と実質的に等しい基準直径を成している。これにより、カプセルは、半径方向に遊びの生じ得ない状態で、カプセルホルダ10にぴったりと嵌め込まれる。
カプセルホルダ10の中央部は、好ましくは、中空であるか、または、十分に深くなっている。これにより、カプセルホルダ10は、カプセルセットのどんなカプセルをも収容することができる。したがって、カプセルセットのどのカプセル1A、1B、1C、1D、1Eを受け入れるために、単一のカプセルホルダがあれば十分である。図示のコレクタ11は、飲料出口12の部位で終端している。飲料出口12は、例えば、調製された飲料を集めるための1つ以上のカップに向けられた少なくとも1つの開いた導管として形成される。
ここで、カプセルホルダが、様々な形状をとることができること、さらには単純な環状の中空リングから形成されてもよいことに留意すべきである。もちろん、このカプセルホルダは、異なるカプセルホルダと交換可能としてもよい。異なるカプセルホルダは、例えば、カプセルの様々なサイズもしくは形状により良く適合するカプセルホルダ、または、より広範囲のサイズおよび/もしくは形状に適合するカプセルホルダである。
さらに、カプセル1は、リム3においてカプセルホルダ10の上部のフランジ10a上にしっかりと置かれている。このとき、本体2は、半径方向に大きくは変形しない。この構成では、水注入ユニット18およびバルブ部15は、それぞれ、膜4およびリムと係合している。したがって、装置のバルブ部15とカプセルのバルブ部8との係合によって、システムにはバルブ23が形成されている。
バルブ23は、荷重生成システム16、17によって得られる弾性の閉塞荷重の力を受けて、閉じるよう設計されている。この荷重生成システムは、好ましくは、ばね付勢部品16を含む。ばね付勢部品16は、所定の弾性荷重を封止部材15に加える。この荷重は、主に、バルブ部15の押圧面15aに沿って分配される。この押圧面15aは、閉塞時に、リム3のバルブ部の環状面に対して作用する。さらに、この面は、単純な環状の接触ラインであってもよい。したがって、通常、十分な圧力がバルブの上流域に加わるまで、遠心力を受ける液体のための流路をバルブ23が閉塞する。なお、この十分な圧力は、穿孔手段24によって形成されたオリフィスから流出する、遠心力を受ける液体によって、加えられる。ここで、装置のバルブをばね付勢機能と押圧面15aとを兼ね備える単一のゴム弾性部材として設計することができることに留意すべきである。ここで、少量の液体をバルブ手段23を通過させて漏らすことが求められる場合があることに留意すべきである。というのも、この液漏れは、カプセルが液体で満たされる間に、カプセル内に含まれる気体または空気を排出するのに役に立つからである(図示せず)。この漏れは、半径方向の小さい溝またはオリフィスによって得ることができる。この半径方向の小さい溝またはオリフィスは、任意のバルブ部(装置のバルブ部15および/またはカプセルのリム3)に設けられる。さらに、この漏れは、漏れ口を形成する、膜4の小さい浮出し部によって実現されてもよい。小さい浮出し部は、バルブ部15の面上にあってもよい。このようにして、液体は、膜4とバルブ部15との間を流れる。また、液体が、ばね付勢部品16の力に抗して、封止部材15の全体を押し上げることによって、バルブ23は開く。このようにして、遠心力を受ける液体は、バルブ部15の面15aと、リム3の上面もしくは上部ラインまたは突出部18との間に形成された制限部を横切ることができる。このようにして、図3の矢印Aによって示されているようにコレクタ11に向かって、または、コレクタとバルブ23との間に配置される、装置における垂直方向の別の環状壁(図示せず)に向かって、液体は高速で噴出される。
したがって、カプセル1からの飲料の抽出は、カプセルと共に、注入ユニット18と、バルブ部15と、カプセルホルダ10とを駆動して、例えば500〜16500rpmの抽出速度で軸線Zを中心に回転(Y)させることによって、行われる。この回転は、回転モータ27によって駆動される。この回転モータ27は、少なくともカプセルホルダ10または注入ユニット18に接続されている。したがって、本発明に係るシステム内に配置されるカプセル1が作動されている間、カプセル1は、軸線Zを中心に回転している。したがって、中心を通してカプセル1に注入される液体は、本体2の側壁の内面に沿って案内されて、膜4の内面の高さまで移動し、その後、穿孔部材24によって膜4に形成された穿孔された出口濾過開口を通過する。カプセル1内の液体に遠心力を加えることによって、カプセル内に供給された液体と原料または材料とが相互作用する。これにより、食用液体(例えば、液体抽出物)が生成される。
ここで、リム3の厚さhなどのリム3の幾何学的形状によって、カプセル1のリム3に対して押圧面15aによって作用する力を調節することができることを理解すべきである。したがって、リム3の厚さhを所定の値に適合させることによって、特に、リム3に作用する加えられる背圧を調節することができる。したがって、厚さhをより大きくすることによって、より高い背圧を得ることができる。というのも、厚さhをより大きくすることによって、ばね付勢部品16の圧縮率がより高くなり、その結果、押圧面15aに加わる力がより大きくなるからである。これに対し、厚さhの値をより低くすることによって、ばね付勢部品16の圧縮率がより低くなり、その結果、押圧面15aに作用する力が相対的に低くなるため、背圧がより低くなる。したがって、好ましくは、結果としてより高い背圧を得るために、厚さhはより高く設計される。
したがって、本発明の単純な形態では、上記したような、背圧の特定の調節によって、結果として得られる流量は、例えば、装置内に挿入されるカプセルのタイプ(例えば、1A、1B、または1C)に応じて設定される。
したがって、本発明によって、組込み式の解決策がもたらされる。この解決策によれば、装置内のカプセル1を封止する封止部材15のばね荷重は、特質の異なる飲料を調整することのできる飲料調製手続きのそれぞれに関して、外部から操作される必要がない。その代わりとして、ばね荷重は、好ましくは、一定の所定値に保たれる。その結果、カプセルのリム3の幾何学的形状を変更することによって、背圧を正確に調節することが可能になる。したがって、本発明に係るシステムによって飲料を浸出している最中にカプセル1に加えられる背圧の、より簡便でかつより信頼性の高い調節が可能になる。
本発明のより複雑な形態では、カプセル1はさらに、浸出パラメータの制御および/または飲料製造装置との相互作用を行う識別手段を含む。
したがって、この識別手段によって、好ましくは、飲料製造装置内に係合されるカプセルのタイプに関する情報を得ることが可能になる。したがって、カプセルに関して得られた情報に応じて、浸出パラメータ、容量、および/または飲料を調整する際の回転速度を、装置によって自動で調節することができる。さらに、利用者には、カスタマイズの選択肢が与えらえられる。これにより、利用者は、一定の範囲内で特定の抽出パラメータを変更することができるようになる。
好ましい実施形態では、カプセル1のリム3のバルブ部によって、識別手段成が形成されるように、このバルブ部を設計する。この識別手段によって、バルブ部の幾何学的形状、例えば、バルブ部の特定の厚さに応じて、識別可能な情報を装置に提供することができる。したがって、装置は、好ましくは、検出手段26を含む。この検出手段26は、カプセルの識別手段と相互作用するように設計される。
図3に示されているように、装置の検出手段26を、装置の荷重生成手段16、17に接続される圧力センサとすることができる。検出手段26は、好ましくは、装置の制御手段25に接続される。これにより、係合されたカプセルのリム3に作用する現時点での背圧、つまり、圧力値または力の値に関する情報が得られる。したがって、制御手段25は、好ましくは、少なくとも駆動手段27と、ポンプ20と、加熱手段19とに接続される。このようにして、浸出パラメータ、すなわち、モータ27の回転速度、飲料製造処理中にカプセルに供給される液体の温度、圧力、および/または量などの抽出パラメータを、検出手段26から提供された情報に応じて調節することができる。特に、リム3の厚さhは、結果として得られるバルブ23の背圧を変更するために設計される。これにより、調製される特定の飲料の浸出パラメータが適合される。さらに、圧力センサ26によって検出された情報に応じて、回転速度は、所望の流量に対応する所望の値に調節される。その結果、様々な速度または速度範囲を、検出手段26によって検出された情報に応じて、選択することができる。速度の選択は、制御ユニット25によって行われる。これにより、制御部25は、回転モータ26、および、必要に応じてポンプ20の流量を制御して、選択された速度に応じて、カプセル内に十分な液体が確実に供給されるようにする。
異なる形態(図示せず)では、圧力検出手段を1つ以上の距離センサと取り替えることができる。例えば、リムの厚さhを、直接的または間接的に検出することができる。例えば、荷重生成手段16、17の長さ(例えば、ばねの長さ)の変動を、距離センサによって検地することができ、また、この長さを制御部25に情報として供給して、浸出パラメータ(例えば、回転速度および/または注入される液体の量)を調節することができる。
本発明の流れ制御の原理が、図5に示されている。この図は、異なる2つのカプセル(つまり、戻り力(backforce)が異なる2つのカプセル)に関して、モータの回転速度(rpm)に応じた飲料流量(mL/sec)の変化、例えば、コーヒー流量の変化を示している。ここでは、戻り力は、環状の押圧面15aによって(装置のばね荷重部材16の圧縮に起因して)、カプセルのリム部8の接触面に加えられる力である。なお、リム部8の接触面と接触する押圧面は、約186mm2であると想定されている。下の曲線は、240ニュートンの戻り力(すなわち1.29Mpaもしくは12.9バールの背圧)を設定するカプセルを示している。上の曲線は、リム部8の厚さがより小さい別のカプセルを示している。その結果、この厚さにより、わずか150ニュートンのより低い戻り力(すなわち0.819Mpaもしくは8.19バールの背圧)が設定される。ここで明らかなのは、比較的狭い範囲の回転速度、すなわち、9000〜12000rpmの回転速度を維持しながら、両方のカプセルに関して、広範囲(例えば、0.5〜3.5mL/secの範囲)において流量を設定することができることである。単一のカプセルのみを用いて、150ニュートンの単一の戻り力を与えた場合、かなり広い範囲の速度、つまり、9000〜16500超rpmの範囲の速度によって、同じ流量範囲がカバーされる。したがって、本発明は、かなり広い範囲の流量を利用することによって、飲料の特性を調整するより大きな可能性を提供する。特に、1つの利点は、より広範囲にわたる流量によって飲料を供給する可能性を保ちながら、有用な速度範囲を減少させる点ある。
図4は、本発明に係る装置の別の好ましい実施形態に関する。この図4は、カプセルホルダ10および装置のバルブ部15によって囲まれたリム部3によって構成されたバルブ手段23の側断面を示している。しかしながら、この場合、得られる背圧は、荷重生成手段16によって得られる。この荷重生成手段16は、この実施形態の場合、2つの磁石Mを含んでいる。これらの2つの磁石Mは、それぞれ、バルブ部15およびカプセルホルダ10に配置されている。これにより、磁石Mを、装置の軸線Zの周囲に配置することができる(図3参照)。これにより、カプセルのリム3を囲んでいる封止部材15とカプセルホルダ10との間の均一な力の分配が可能になる。
図3に係る図示の実施形態とは対照的に、ここで、結果として発生する背圧が、リム3の厚さhの増加に対応して減少することに留意すべきである。これは、互いに対向する2つの磁石M間の引力が、これらの磁石間の距離が増加する場合に、減少するからである。このことは、リムの高さhを設計する際に考慮しなければならない。したがって、この実施形態では、高さhが減少することによって、封止部材15とカプセル1のリム3との間、および、カプセルホルダ10とカプセル1のリム3との間に作用する、結果として発生する背圧がより大きくなる。
本発明の他の可能な形態(図示せず)では、カプセルと装置との協働によって得られるバルブは、カプセルの一部としてのバルブと取り替えることができる。この場合、バルブは、少なくとも2つのタイプのカプセル、好ましくはカプセルセットの各タイプのカプセルに関して幾何学的に設計され、遠心力を受ける液体に対して様々な背圧を与える。
本発明の別の可能な形態(図示せず)では、背圧は、固定制限部によって、例えば少なくとも1つ、好ましくは複数の半径方向に配置された出口オリフィスによって、得られる。この出口オリフィスは、カプセルを貫通するように形成される。また、その開口表面積の合計は、カプセルセットにおけるカプセルのタイプに応じて変更される。この制限オリフィスによって、背圧が生じる。この背圧は、出口オリフィスの数、および、各オリフィスの個々の開口部に応じて決まる。例えば、オリフィスは、カプセルの上壁を通る円形路、または、カプセルの側壁を通る環状路に沿って設けることができる。流量制限部の表面積の合計は、0.5〜5.0mm2、さらに好ましくは0.75〜3.0mm2、最も好ましくは1.0〜2.5mm2、であって、例えば約1.7mm2であってもよい。カプセルの周囲に流量制限部を形成する出口オリフィスの数は、1〜300の範囲、さらに好ましくは3〜150の範囲に及ぶことができる。例えば、第1のカプセルは、それぞれが0.2mm2の10のオリフィスから形成される流量制限部を含み、第2のカプセルは、それぞれが0.2mm2の15のオリフィスからなる流量制限部を有する。別の形態では、第1のカプセルが、それぞれが0.2mm2の10のオリフィスから形成される流量制限部を含み、第2のカプセルは、それぞれが0.25mm2の10のオリフィスからなる制限部を有する。第1のカプセルは、第2のカプセルとは異なる、流量対圧力との関係を有する。具体的には、第1のカプセルの制限部の表面積の合計がより小さいことによって、第1のカプセルは、遠心力を受ける液体に対して、第2のカプセルよりも高い背圧を与える。回転速度はそれぞれ特定の値に制御され、これにより、製造される飲料の特性に対応した、第1および第2のカプセルの流量が確保される。もちろん、他の様々な背圧特性を確保するために、複数のカプセルからなるカプセルセットに関して、他のカプセルのタイプを設計することもできる。
本発明について、好ましい実施形態を参照して説明を行ってきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱せずに、多くの修正および変更を行うことができる。
Claims (17)
- 遠心浸出装置内のカプセルに遠心力を加えることによって、飲料を調製するためのカプセルシステムであって、
様々なカプセル(1A、1B、1C、1D、1E)からなり、各カプセルが飲料を選択的に供給するためのものであるカプセルセット、を備え、
各カプセル(1A、1B、1C、1D、1E)が、少なくとも1つの飲料材料を含み、
前記カプセルセットの各カプセルが、前記飲料材料を含む封入部(6)を有する本体(2)と、前記本体(2)を閉塞するための上壁(4)と、随意にフランジ状リム(3)と、を含み、
前記カプセルが、単独でまたは前記遠心浸出装置と協働して、遠心力を受ける液体のための制限部または制限バルブを形成するように設計され、
前記制限部または前記制限バルブの背圧が、前記カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくは少なくとも3つのカプセル、に関して異なる、
カプセルシステム。 - 前記フランジ状リムが、前記カプセルから流れ出る液体であって前記遠心力を受ける当該液体のための制限バルブを、前記遠心浸出装置と協働して形成するように設計され、
前記リム(3)の幾何学的形状が、前記カプセルからなるカプセルセットに関して異なり、これにより、前記カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して、前記制限バルブの前記背圧が調節される、請求項1に記載のカプセルシステム。 - 前記リム(3)のバルブ部の厚さ(h)が、前記カプセルからなるカプセルセットに関して様々に変更され、これにより、前記リム(3)のバルブ部が前記遠心浸出装置のバルブ部(15)に係合されたときのバルブ手段の背圧が調節される、請求項2に記載のカプセルシステム。
- 前記リム(3)が、前記カプセルの前記本体(2)と一体に形成され、かつ、該カプセルの回転軸線(Z)に対して基本的に垂直な方向、または、該カプセルの回転軸線(Z)に対してわずかに傾斜した方向に形成される、請求項2または3に記載のカプセルシステム。
- 前記カプセル(1A、1B、1C、1D、1E)が、様々な種類の飲料材料を含むように設計されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカプセルシステム。
- 前記カプセル(1A、1B、1C、1D、1E)の前記リム(3、8)が、好ましくは、非圧縮性材料、または、例えばゴムなどの圧縮性材料からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカプセルシステム。
- 前記カプセルが、前記遠心力を受ける液体のための固定流量制限部を形成するように設計され、前記流量制限部の面積が、前記カプセルセットの少なくとも2つのカプセルに関して異なる、請求項1に記載のカプセルシステム。
- 前記カプセルが、飲料製造装置と相互作用する識別手段(3)を、さらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカプセルシステム。
- 前記識別手段(3)が、
カプセルを回転駆動するモータの回転速度、
水量および/または水の流量、
遠心力が加えられるカプセル内に水ポンプによって供給される水圧、ならびに、
これらの組合せ、
から選択されるパラメータの制御を可能にする、請求項8に記載のカプセルシステム。 - 前記識別手段が、前記カプセルからなるカプセルセットに関して幾何学的形状の異なるリムを含む、請求項8または9に記載のカプセルシステム。
- 様々なカプセル(1A、1B、1C、1D、1E)からなるカプセルセットであって、
前記カプセルのそれぞれが、該カプセルに遠心力を加えることによって、飲料製造装置内で飲料を選択的に供給するためのものであり、
各カプセル(1A、1B、1C、1D、1E)が、少なくとも1つの飲料材料を含み、
前記カプセルセットの各カプセルが、前記飲料材料を含む封入部(6)を有する本体(2)と、前記本体(2)を閉塞するための上壁(4)と、フランジ状リム(3)と、を含み、
前記カプセルが、リム(3)を含み、該リム(3)が、厚さ(h)を有する少なくとも1つの部分(8)を有し、該厚さ(h)が、前記カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくは前記カプセルセットの少なくとも3つのカプセに関して異なり、これにより、前記カプセルが前記飲料製造装置内に係合されたときに、前記カプセルの前記部分(8)に加えられる、前記装置のばね付勢手段(15、16、17)の背圧すなわち戻り力が調節される、
カプセルセット。 - 飲料製造システムによって飲料を調製するための方法であって、該飲料製造システムが、様々なカプセルからなるカプセルセットを含み、該様々なカプセルが、前記システムにおける専用の飲料製造装置内に挿入されて、単独でまたは前記装置と協働して、遠心力を受ける液体のための制限部および/または制限バルブを形成するように設計されている、当該方法であって、
前記カプセルセットのカプセルを前記飲料製造装置内に係合し、該装置によって該カプセルに遠心力を加えるステップ、を含み、
浸出中に、背圧が、前記制限部または前記制限バルブによって、前記遠心力を受ける液体に対して加えられ、前記背圧が、前記カプセルセットの少なくとも2つのカプセル、好ましくは少なくとも3つのカプセルに関して異なる、方法。 - 前記カプセルのバルブ部と前記飲料製造装置のバルブ部とを係合し、これにより、前記遠心力を受ける液体の流れを遮断および/または制限するためのバルブ手段に所定閾値の圧力を、該遠心力を受ける液体の圧力が、該所定閾値の圧力に打ち勝つまで、加えるステップと、
前記装置内に挿入されるカプセルのタイプに応じて、前記カプセルからなるカプセルセットにおける前記カプセルの前記バルブ部の厚さを変更することによって、前記制限バルブの前記背圧を設定するステップと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。 - カプセルの種類に応じて前記カプセルのリムの厚さ(h)を調節するステップ、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
- 前記カプセルセットに関して、リムのバルブ部の厚さが、0.2mm〜10mmの範囲、さらに好ましくは0.5mm〜3mmの範囲内で様々な値をとるようにする、請求項13または14に記載の方法。
- 少なくとも1つの回転速度によって、前記装置内の前記カプセルを回転させ、
該少なくとも1つの回転速度が、前記装置内に係合される前記カプセルによって設定される前記背圧に応じて、バルブ手段を通る遠心力を受ける液体の少なくとも1つの流量を決定する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。 - カプセルのタイプに応じて、飲料調製処理中に遠心力を利用した飲料調製装置において調整される飲料の少なくとも1つの浸出パラメータを調節するための、カプセルのリムのバルブ部の様々な幾何学的形状の使用。
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