JP2013235040A - 人体モデル、及び手術の練習方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体モデルを用いて、練習の結果を容易に確認すると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行う。
【解決手段】人体モデル(1)は、表層部に囲まれた被手術部(20)に対して、先端部に所定種類の細工が施された器具(50)を、表層部から被手術部へ向けて、該先端部側から突き通す医療手術の練習に用いられる。人体モデルは、表層部を模した人工表層部(10)と、被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部(23)と、人体の骨を含む第2深層部を模した第2人工深層部(30から32)とを備えており、人工表層部は、第1人工深層部に対する、人工表層部の外部からの目視チェックを不可能にする第1状態及び目視チェックを可能にする第2状態の一方を選択的に取るためのチェック用部(11)を有し、第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、被手術部周辺の体内部分を部分的に割愛して模している。
【選択図】図2
【解決手段】人体モデル(1)は、表層部に囲まれた被手術部(20)に対して、先端部に所定種類の細工が施された器具(50)を、表層部から被手術部へ向けて、該先端部側から突き通す医療手術の練習に用いられる。人体モデルは、表層部を模した人工表層部(10)と、被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部(23)と、人体の骨を含む第2深層部を模した第2人工深層部(30から32)とを備えており、人工表層部は、第1人工深層部に対する、人工表層部の外部からの目視チェックを不可能にする第1状態及び目視チェックを可能にする第2状態の一方を選択的に取るためのチェック用部(11)を有し、第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、被手術部周辺の体内部分を部分的に割愛して模している。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば医療手術の練習をするために好適に用いられる人体モデル、及びこれを用いた手術の練習方法の技術分野に関する。
この種の人体モデルとして、例えば、表面に人工皮膚が貼付され、胸部、腹部に相当する箇所の人工皮膚の下には弾性変形可能な弾性体が使用された触診訓練用人体モデル(特許文献1参照)や、妊産婦の全身モデルとして、乳房部位に模擬乳腺を組み込み、下腹部腔内に模擬軟産道と模擬外性器・会陰部とが柔軟性及び伸展性を有する材料で構成されている人体モデル(特許文献2参照)等が提案されている。
また、開口部を備えるボックスと、開口部を覆うように配置されており、ボックス内部が透けて見えると共に鏡視下手術用器具を挿通可能なメッシュカバーと、ボックス内部に配置された臓器モデルとを備える簡易腹部モデルが提案されている。この簡易腹部モデルでは、臓器モデルの展開操作中にその様子を、メッシュカバーを通して直接透き見することができるとされる(特許文献3参照)。
更には、皮膚部の下側に、皮下組織部、棘上靱帯部、棘間靱帯部、黄靱帯部、及び硬膜外腔としての空間部が、順番に接して配設された硬膜外穿刺シミュレータが提案されている。このシミュレータによれば、触診しながら(具体的には、皮膚部を押圧して本来の穿刺部位を確認しながら)、針先を差し込むことによって穿刺部位を確認できると共に、針先が靭帯を貫いて硬膜外腔まで進む感覚を会得できるとされる(特許文献4参照)。
しかしながら、上述した特許文献1、2及び4に開示された人体モデルに対して、その表層下にある深層部を被手術部と見立てて手術練習をした場合、その練習の結果を目視にて確認或いは評価することが困難である。特に特許文献4では、硬膜外腔までの穿刺の感覚を会得できても、実際の穿刺状態(即ち、練習の結果)を確認するには、各部材を取り外していく必要があり、その確認のために相応の手間を要するという技術的問題点がある。また、皮膚部、皮下組織部、棘上靱帯部、棘間靱帯部及び黄靱帯部は、各々の硬性を人体の組織に似せて形成されているものの、これら各部位は、箱状のケースに着脱可能に取り付けられており、現実と懸け離れた状態での練習を余儀なくされるという技術的問題点がある。
他方、特許文献3では、ボックス内部にある被手術部が、手術練習中でもメッシュカバーを介して見れてしまうので、被手術部が見えない状態で行うべき手術の練習には不向きであることこの上ない。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、練習の結果を容易に確認し得ると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行い得る人体モデル、及び該人体モデルを用いた手術の練習方法を提案することを課題とする。
本発明の第1の人体モデルは、上記課題を解決するために、少なくとも人体の皮膚を含む表層部に囲まれた前記人体の内部に存在する被手術部に対して、前記被手術部が見えないままで先端部に所定種類の細工が施された器具を、前記表層部から前記被手術部へ向けて、前記先端部側から突き通すことを一要素として行われる医療手術の練習をするための人体モデルであって、前記表層部を模しており、弾性材料から構成された人工表層部と、前記人工表層部に囲まれた内部空間に配置されており、前記被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部と、前記内部空間に配置されており、前記人体の骨を含む第2深層部を模しており、前記弾性材料よりも弾性が低い硬質材料から構成された第2人工深層部とを備えており、前記人工表層部は、前記第1人工深層部に対する、前記人工表層部の外部からの目視チェックを不可能ならしめる第1状態及び前記目視チェックを可能ならしめる第2状態の一方を選択的に取るように構成されたチェック用部を有し、前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、前記人工表層部が前記第2状態を取っている場合に前記目視チェックを可能ならしめるべく、前記外部から前記第1人工深層部のうち前記被手術部を模している箇所への見通しが効くように、前記被手術部周辺の体内部分を少なくとも部分的に割愛して模している。
本発明に係る第1の人体モデルは、例えば骨盤臓器脱等の医療手術の練習をするために、人体の少なくとも一部を模した人体模型である。本発明に係る医療手術では、一要素として、少なくとも練習者にとって被手術部が見えないままで、器具を、表層部を模した人工表層部から、被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部へ向けて突き通すことが行われる。ここで、「被手術部が見えないままで」とは、狭義には、人の目には何ら見えないままで、即ち人の視覚を通じてでは何らの情報も得られないままでという意味である。広義には、裸眼により或いは人の目により直接見えないが、内視鏡、MRI、CTスキャン等の特殊装置を利用して(見え難くとも見え易くとも)一応見える場合も含む意味であり、「少なくとも裸眼や眼鏡をかけただけの目では、被手術部が見えないままで」或いは「目視によってでは見えないままで」と言い換えることも可能である。
本発明に係る人工表層部は、チェック用部を有しており、このチェック用部の作用によって、目視チェックが不可能である第1状態、又は目視チェックが可能である第2状態を取る。ここで、「目視チェック」とは、少なくとも練習者が、第1人工深層部に対し、目視により観察、検査、点検等のチェックを行うことを意味する。尚、目視チェックの一環として、第1人工深層部のビデオ撮影を行なってもよい。人工表層部が第2状態を取ることで、こうした目視チェックを可能にするために、本発明に係る第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、被手術部周辺の体内部分、例えば膀胱、子宮、直腸、膣等を少なくとも部分的に割愛して模している。
尚、上記チェック用部は、人工表層部と一体的に構成されてもよい。即ち、人工表層部と同一の材料から同一機会に作られて、その後に切断等の細工が加えられて構成されてもよい。言い換えれば、チェック用部は、人工表層部の一部をなしてもよく、「チェック用部位」と読んでもよい。或いは、チェック用部は、人工表層部とは別体として構成されてもよい。即ち、人工表層部と同一または異なる材料から別に作られた後に、人工表層部に取り付け或いは後付けされてもよい。例えば、チェック用部を布、ビニール、金属等から構成してもよい。
本発明によれば、医療手術の練習が行われる際には、チェック用部の作用によって人工表層部が第1状態を取ると、第1人工深層部に対する、人工表層部の外部からの目視チェックが不可能な状態になる。言い換えれば、被手術部が見えないままで本来行われる医療手術の練習のために、第1人工深層部のうち被手術部を模している箇所が見えない状態が生成される。医療手術の練習後には、チェック用部の作用によって人工表層部が第2状態を取ると、該目視チェックが可能な状態になる。言い換えれば、該医療手術の練習の結果を確認できるように、第1人工深層部のうち被手術部を模している箇所が見える状態が生成される。
これにより、本番と同じく被手術部が見えないままで練習を行うことができ、その後、直ぐに或いは簡単に練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。より詳細には、一方で、狭義の練習中には、本番さながらに被手術部が人工表層部で覆われているために、被手術部が見えないままで練習できる。他方で、狭義の練習を終えた後には、チェック用部を介して、医療手術若しくは処置を終えた又は医療手術若しくは処置途中にある被手術部を見ることができる。尚、広義の練習とは、目視チェックまでも含む一連の練習を意味する。
しかも、本発明によれば、例えば骨盤等の骨を含む第2深層部を模した第2人工深層部により剛性が保たれており、実際の人体に、より近い感覚で練習を行える。即ち、表層部が柔らかく、且つ骨盤が存在しており、しかも骨盤が硬質材料でできているので、人体モデルの姿勢が安定し、一部の外国で行われ得る、死体を用いた練習に引けをとらない。
故に結果として、チェック用部を介して練習の結果を容易に確認すると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行うことが可能である。
本発明の第1の人体モデルの一の態様では、前記チェック用部は、着脱動作又は開閉動作により、前記第1及び第2状態の一方を選択的に取るように構成されている。
この態様によれば、チェック用部が着脱や開閉可能に構成されているので、練習の結果を容易に確認することが可能である。
或いは、チェック用部は、例えば電圧の印加、不印加に応じて透明及び不透明が物理的或いは化学的に変化する材料を含んで構成されてもよい。この場合、電圧の印加及び不印加の一方により、チェック用部を不透明にしておけば、それがチェック用部の第1状態(即ち、被手術部が透けて見えない状態)となる。他方、電圧の印加及び不印加の他方により、チェック用部を透明にしておけば、それがチェック用部の第2状態(即ち、被手術部が透けて見える状態)となる。よって、着脱動作や開閉動作を不要としつつ、練習直後における或いは練習途中における、目視チェックを簡単に行えるので便利である。
本発明の第1の人体モデルの他の態様では、前記第1人工深層部のうち少なくとも前記被手術部を模した被手術部分は、前記内部空間内に装着及び離脱可能に配置されており、前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、前記内部空間から前記外部へと前記被手術部分を離脱させて取り出すことを可能ならしめるべく、前記内部空間から前記外部へ至る動線を妨げないように、前記被手術部周辺の体内部分を少なくとも部分的に割愛して模している。
この態様によれば、上述したチェック用部を第2状態にして行う目視チェックに加えて、練習が施された被手術部分そのものを、人体モデルの外部まで容易にして取り外すことが可能となる。よって練習の結果の目視チェックを、より高精度で或いはより効率的に行うことも可能となる。
しかも、被手術部分が度重なる練習により或いは一回の練習により、使い古された或いは傷んだ場合に、当該人体モデルのうち被手術部分のみを新規交換したり修理したりすることが可能となる。よって、当該人体モデル全体としての使用寿命を効率的に長めることができ、エコロジーに繋がる。
本発明の第1の人体モデルの他の態様では、前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方が、少なくとも部分的に割愛されているのに起因して前記人工表層部の表面レベルで低下する、前記人工表層部を前記内部空間側へ押し込む方向の力に対する剛性強度を補うように、前記人工表層部の弾性材料は、前記表層部に比して剛性強度が高い材料を含んで構成されている。
この態様によれば、第1人工深層部や第2人工深層部が割愛されている分だけ、柔らかくなる筈の人工表層部の表面レベルにおける剛性強度を、人工表層部の剛性強度を高めることで補う。即ち、内部空間が人工深層部の割愛の度合いに応じて空洞化されているにも関わらず、人工表層部の表面レベルにおける弾性を、生きた人体の表層部における弾性に近付けることが可能となる。
本発明の第1の人体モデルの他の態様では、前記人工表層部は、(I)前記練習の一環として手先を挿入可能であると共に前記内部空間に到達可能なように、前記弾性材料の弾性に応じて形状及び口径が可変である、前記人体の穴部を模した人工穴部と、(II)前記人工穴部の周囲にて、前記器具を前記人工表層部の外部から突き刺した場合に、前記先端部が、前記挿入された手先の任意箇所に到達するまで、貫通可能に構成されている貫通可能部とを有する。
本発明に係る人工穴部は、例えば膣口であって、手先を挿入可能であると共に、人工表層部に囲まれた内部空間に到達可能に形成されている。この場合、本発明に係る貫通可能部は、例えば膣の周囲に位置する任意の骨盤部分に対応する皮膚、靭帯、筋肉等を含む部位である。ここで、「手先を挿入可能」とは、指先又は手の先端側における一部を挿入可能であるという意味であり、指先若しくは指全体、手の全体、又は手首若しくは上腕までも挿入可能である場合も含む趣旨である。
この態様によれば、医療手術の練習では、先ず、人工穴部から手先が挿入され、挿入された手先が骨盤の任意箇所に配置される。この上で、器具が、貫通可能部に対し、人工表層部の外部から突き刺され、器具が、手先が配置されている骨盤の任意箇所に到達するまで貫通可能部を貫通することで、一要素として行われる練習が終了される。
この態様では、前記人体モデルは、前記人体の腹部、臀部及び腰部を含むと共に下脚のない下半身部分を模し、前記骨は、骨盤を含み、前記被手術部は、前記骨盤に囲まれた体内部分を含み、前記人工穴部は、膣口であり、前記チェック用部は、前記人工表層部における、前記腹部の前面に対応する箇所に位置しており、前記第2人工深層部は、前記人体における少なくとも消化器系の内臓を割愛して模していてよい。
本発明に係る被手術部における「骨盤に囲まれた体内部分」とは、膣周辺の例えば皮膚、靭帯、筋肉等を意味する。また、本発明に係る第2人工深層部は、該骨盤に囲まれた体内部分への見通しが効くように、消化器系の、例えば胃、腎臓、肝臓、腸等の内臓を割愛して模している。
このように構成すれば、医療手術の練習が行われる際には、チェック用部の作用によって人工表層部が第1状態を取り、腹部の前面から被手術部が見えない状態になる。医療手術の練習後には、チェック用部の作用によって人工表層部が第2状態を取り、腹部の前面から被手術部が見える状態になる。この場合、練習の結果として、人工表層部の外部から第1人工深層部へ向けて突き通された器具(特にその先端部)を目視により確認することが可能である。
これにより、本番と同じく被手術部が見えないままで練習を行うことができ、その後、直ぐに或いは簡単に練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。より詳細には、一方で、練習中には、本番さながらに被手術部が人工表層部で覆われているために、被手術部が見えないままで練習できる。他方で、練習を終えた後には、チェック用部を介して、医療手術若しくは処置を終えた又は医療手術若しくは処置途中にある被手術部を見ることができる。
これに加えて、当該人体モデルは、全体でなく主として腹部、臀部及び腰部を模しているが、練習のためには十分である。また、チェック用部は、腹部のみに配置されているが、被手術部が却ってよく見える。こうした当該人体モデルでは、運び易く、軽量且つ安価に構成することが可能である。
また、人工穴部を膣口として構成することで、骨盤臓器脱の医療手術を行う実際の女体と同じように、膣口から片手を入れつつ、膣口の脇から器具を突き刺すことが可能である。更には、消化器系の内臓を割愛した第2人工深層部を構成することで、練習の結果を、特に指導者や複数の練習者に直接或いはビデオカメラを介して見せるのに好都合である。
上述の前記人体の腹部、臀部及び腰部を含む下半身部分を模した態様では、前記人工表層部における、前記腰部の背面側に対応する側に設けられており、前記練習を行うための台に対し前記人工表層部を固定するための固定手段を更に備えてもよい。
本発明に係る固定手段は、例えば一又は複数の吸着板や固定クリップ等である。このように構成すれば、本物の人体と比べて動き易い、転がりやすい、不安定である当該人体モデルを、腰部の背面側に対応する、手術に邪魔にならない側に設けられた固定手段によって、例えば手術台等の台に容易に固定することが可能である。
このような固定手段は、人体モデルの本体の高さや姿勢を調整可能に設けられてもよい。このようにすると、練習をより実際の場合に近い状況で行うこと、練習を疲れないような状況で行うこと、練習を実演に適した状況で行うこと等が可能となる。
上述の前記貫通可能部に係る態様では、前記人工表層部は、前記貫通可能部を交換可能に構成されてもよい。
このように構成すれば、貫通可能部を所望のタイミングで交換することで、同じ人体モデルを用いて、概ねまっさらの状態で練習することが可能である。即ち、貫通可能部が度重なる手術の練習により或いは一回の手術の練習により、使い古された或いは傷んだ場合に、当該人体モデルのうち貫通可能部のみ又は上述した被手術部分と貫通可能部のみを新規交換したり修理したりが可能となる。よって、当該人体モデル全体としての使用寿命を効率的に長めることができ、エコロジーに繋がる。
或いは、前記人工表層部は、前記貫通可能部を交換不可能或いは困難に構成されていてもよい。この場合、模範練習等の初回の練習により器具が突き通されることで設けられた同一貫通穴を介して、毎度貫通させる形式でその後の練習が行われてもよい。又は、製造段階にて、形状が崩れにくい強固なる貫通穴を設けておき、その貫通穴を介して毎度貫通させる形式でその後の練習が行われてよい。実際の手術の際に、貫通穴の位置を外部から容易に特定可能な手術であれば、このように貫通穴の位置が固定された状況での練習で必要十分となり得る。
本発明の第1の人体モデルの他の態様では、前記人工表層部は、前記器具を、突き通すことに対して復元力を持っている。
ここで、「復元力」とは、器具が突き通され、その先端部により孔が一時的に形成されても、時間の経過により孔が閉じる程度の、人工表層部の弾性力を意味する。この態様によれば、該復元力により、同じ人体モデルを用いて、多数回に亘って練習することが可能である。
本発明の第2の人体モデルは、上記課題を解決するために、少なくとも人体の皮膚を含む表層部に囲まれた前記人体の内部に存在する被手術部に対して、前記被手術部が見えないままで先端部に所定種類の細工が施された器具を、前記表層部から前記被手術部へ向けて、前記先端部側から突き通すことを一要素として行われる医療手術の練習をするための人体モデルであって、前記表層部を模しており、弾性材料から構成された人工表層部と、前記人工表層部に囲まれた内部空間に配置されており、前記被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部と、前記内部空間に配置されており、前記人体の骨を含む第2深層部を模しており、前記弾性材料よりも弾性が低い硬質材料から構成された第2人工深層部とを備えており、前記第1人工深層部のうち少なくとも前記被手術部を模した被手術部分は、前記内部空間内に装着及び離脱可能に配置されており、前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、前記内部空間から前記人工表層部の外部へと前記被手術部分を離脱させて取り出すことを可能ならしめるべく、前記内部空間から前記外部へ至る動線を妨げないように、前記被手術部周辺の体内部分を少なくとも部分的に割愛して模している。
本発明に係る第2の人体モデルによれば、上述した本発明に係る第1の人体モデルの場合と同様に、医療手術の練習が目指チェックの前まで行われる。その後、被手術部分を、内部空間から離脱して、外部へ取り出せば、医療手術の練習が施された被手術部分そのものを外部にて目視チェックできる。或いは、取り出した被手術部分をビデオカメラ等で拡大撮影してもよい。いずれの場合にも、該医療手術の練習の結果を確認できるように、第1人工深層部のうち被手術部を模している被手術部分が外部に取り出された形で、見える状態が生成される。
このように被手術部分を取り出す際のその動線を妨げないように、本発明に係る第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、被手術部周辺の体内部分、例えば膀胱、子宮、直腸、膣等を少なくとも部分的に割愛して模している。本発明に係る「装着及び離脱可能」は、島状の被手術部分が第1人工深層部の切り欠き内や凹部内に嵌め込まれることで達成されていてもよいし、島状の被手術部分が、ネジ、糸、接着剤等の結合或いは接合手段により離脱可能に固定されることで達成されてもよい。
以上の結果、本発明の第2の人体モデルによれば、上述した本発明の第1の人体モデルの場合と同様に、本番と同じく被手術部が見えないままで練習を行うことができる。その後、被手術部分を人体モデルから取り出すことで、練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。
しかも、本発明の第2の人体モデルによれば、第1人工深層部や第2人工深層部が割愛されている分だけ、柔らかくなる筈の人工表層部の表面レベルにおける剛性強度を、人工表層部の剛性強度を高めることで補う。即ち、内部空間が人工深層部の割愛の度合いに応じて空洞化されているにも関わらず、人工表層部の表面レベルにおける弾性を、生きた人体の表層部における弾性に近付けることが可能となる。
仮に、人工深層部が割愛されている分だけ(即ち、中身が空洞化した分だけ)、内部空間側へ押し込む方向の力に対して、柔らかくなった或いはフニャフニャになったままの人工表層部では、現実には臓器等の存在により中身が空洞化していない生きた人体における表層部の状態から、かけ離れたものとなる。しかるに、この態様によれば、人工表層部を、人工深層部の割愛の度合いに応じて、内部空間に何らかの中味が詰まっている場合に比してより剛性強度の高い材料(例えば、より硬質な材料等)を含んで構成する。これにより、練習中における人工表層部の表面レベルでの弾性或いは触感を、内部空間に臓器等が存在する生きた人体の表層部における弾性或いは触感に近付けることができる。
本発明の第1の手術の練習方法は、上記課題を解決するために、上述した本発明に係る第1の人体モデルを用いて、前記チェック用部が前記第1状態を取っている際の前記人工表層部から、前記第1人工深層部へ向けて、前記器具を突き通す突き通し工程と、前記突き通し工程の後に、前記第1人工深層部に対して、前記先端部を利用して所定種類の医療処置を施す処置工程と、前記処置工程の後又は途中に、前記チェック用部に前記第2状態を取らせる状態変更工程と、前記状態変更工程の後に、前記チェック用部を介して前記第1人工深層部に対する前記目視チェックを行う目視チェック工程とを含む。
本発明の第1の手術の練習方法によれば、チェック用部が第1状態を取っている場合に、突き通し工程を実施し、該突き通し工程の後に実施される処置工程の後又は途中に、チェック用部を第2状態に変更して、目視チェックを行うから、本番と同じく被手術部が見えないままで練習を行うことができ、その後、直ぐに或いは簡単に練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。故に、練習の結果を容易に確認すると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行うことが可能である。
本発明の第2の手術の練習方法は、上記課題を解決するために、上述した本発明に係る第2の上記人体モデルを用いて、前記人工表層部から、前記第1人工深層部へ向けて、前記器具を突き通す突き通し工程と、前記突き通し工程の後に、前記第1人工深層部に対して、前記先端部を利用して所定種類の医療処置を施す処置工程と、前記処置工程の後又は途中に、前記被手術部分を前記外部へ取り出す取出工程と、前記取出工程の後に、前記被手術部分に対する前記目視チェックを行う目視チェック工程とを含む。
本発明の第2の手術の練習方法によれば、被手術部分が内部空間に装着されている場合に、突き通し工程を実施し、該突き通し工程の後に実施される処置工程の後又は途中に、被手術部分を内部空間から離脱し、それを外部へ取り出して目視チェックを行うから、本番と同じく被手術部が見えないままで練習を行うことができ、その後、直ぐに或いは簡単に練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。故に、練習の結果を容易に確認すると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行うことが可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態>
<実施形態の構成>
初めに、図1及び図2を参照し、本実施形態に係る人体モデル1の構成について説明する。ここに、図1は、人体モデル1の第1状態を示す斜視図であり、図2は、人体モデル1の第2状態を示す斜視図である。
<実施形態>
<実施形態の構成>
初めに、図1及び図2を参照し、本実施形態に係る人体モデル1の構成について説明する。ここに、図1は、人体モデル1の第1状態を示す斜視図であり、図2は、人体モデル1の第2状態を示す斜視図である。
図1及び図2において、人体モデル1は、その外観が、人体の腹部、臀部及び腰部を含むと共に下脚のない下半身部分を模した人工表層部10で形成されている。人工表層部10には、股間に対応する箇所に、本発明に係る「人工穴部」の一例として、膣口21(図2及び図3に示される)が設けられている。人工表層部10は、例えばシリコン樹脂等の弾性材料から構成されている。即ち、膣口21は、弾性率に応じて、その形状及び口径が可変であって、後述する骨盤臓器脱手術の練習をする際には、膣口21を介して人工表層部10の内部空間に、練習者の手先が挿入される。人工表層部10には、腰部の背面に対応する箇所に、本発明に係る「固定手段」の一例として、人工表層部10を固定するための一対の吸盤(図3に示される)が取り付けられている。
人工表層部10の内部空間には、本発明に係る「第1人工深層部」の一例として、小陰唇22(図2に示される)、仙棘靭帯23、及び内閉鎖筋(不図示)が設けられている。人工表層部10の内部空間には、本発明に係る「第2人工深層部」の一例として、尾骨30、恥骨結合部(不図示)、坐骨(不図示)、恥骨(不図示)、腸骨31、及び仙骨(不図示)から成る骨盤、並びに背骨32が設けられている。これら骨部は、例えばプラスチック樹脂等の硬質材料から構成されている。本実施形態では、骨盤に囲まれた仙棘靭帯23の全体が、本発明に係る「被手術部」或いは「被手術部分」の一例として、後述する骨盤臓器脱手術の練習における所定の処理を施す対象となる。
本実施形態では、人工表層部10は、腹部の前面に対応する箇所に、チェック用部11が設けられている。チェック用部11は、第1状態及び第2状態のうちの一方を選択的に取るように、人工表層部10本体に着脱可能に構成されている。具体的には、図1に示すように、チェック用部11が人工表層部10本体に取り付けられた第1状態では、被手術部としての仙棘靭帯23の全体を、人工表層部10の外部から目視によりチェックすること(即ち、本発明に係る「目視チェック」の一例)は不可能である。一方、図2に示すように、チェック用部11が人工表層部10本体から取り外された第2状態では、被手術部としての仙棘靭帯23の全体を、人工表層部10の外部から目視によりチェックすることが可能である。尚、チェック用部11の構成について、上述したものに限定されず、その材料、形状、設置位置、状態変更(第1又は第2状態への変移)の態様が、少なくとも被手術部としての仙棘靭帯23の全体に対する目視チェックを可能にするものであれば、どのようなものであっても構わない。
人工表層部10の内部空間の構成について、本実施形態では、仙棘靭帯23周辺に本来存在する膀胱、子宮、直腸、膣といった体内部分が割愛されている。これは、人工表層部10が第2状態を取る場合に、仙棘靭帯23の全体への見通しが効くようにするためである。即ち、被手術部としての仙棘靭帯23の全体に対する、人工表層部10の外部からの目視チェックを可能にしている。
尚、人工表層部10の内部空間には、更に、仙棘靭帯23の全体に対する目視チェックに支障をきたすことなく、割愛された体内部分に代わって人工表層部10の形状を保持するための形状保持部33が設けられている。
本実施形態では、人体モデル1を用いて、本発明に係る「医療手術の練習」の一例として、骨盤臓器脱手術の練習が行われる。ここで、「骨盤臓器脱手術」とは、子宮、膀胱、直腸等の骨盤内にある臓器の下垂を治療する手術であり、具体的には、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から生成されるメッシュ(図3に示される)を、ナイロン等から生成される固定糸(図3に示される)で、骨盤に繋がる仙棘靭帯23に固定するものである。
<実施形態の作用>
次に、図3を参照し、本実施形態に係る人体モデル1の作用について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る骨盤臓器脱手術の練習をする際に、人体モデル1が設置される状態を示す平面図である。
次に、図3を参照し、本実施形態に係る人体モデル1の作用について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る骨盤臓器脱手術の練習をする際に、人体モデル1が設置される状態を示す平面図である。
図3に示すように、骨盤臓器脱手術の練習をする際には、人体モデル1が、水平な練習台41(本発明に係る「台」の一例)の上面に、腹部の前面が上向きになるように設置される。この時、腰部の背面に取り付けられた一対の吸盤40が練習台41に押し付けられることで、練習台41に対し人工表層部10が固定される。尚、一対の吸盤40に代えて又は加えて、人工表層部10をより確実に固定するべく、練習台41側に、人工表層部10の各部位を留めるための複数の固定クリップが取り付けられていても構わない。
図3において、骨盤臓器脱手術の練習では、主として、穿刺用針50、固定糸51、及びメッシュ52が用いられる。穿刺用針50には、固定糸51を通すための小孔が先端部に設けられている。穿刺用針50は、本発明に係る「器具」の一例として、固定糸51が通された先端部を、人工表層部10から第1人工深層部(被手術部)へ向けて突き通すのに使用される。先端部は、膣口21に挿入され仙棘靭帯23に触れ得る手先の任意位置(例えば、中指の腹)に到達するまで突き通される。この突き通しにより形成された孔が、膣口21の周囲に×印(図3に4箇所示される)で示されている。
メッシュ52は、子宮、膀胱、及び直腸の少なくともいずれか一つを支持する支持部52aと、該支持部52aに連続しており仙棘靭帯23に直接に固定されるアーム部52bとから成る。メッシュ52は、穿刺用針50の突き通しが実施されるより前に、人工表層部10の内部空間に配置される。該突き通しが実施された後、突き通された先端部の固定糸51で、アーム部52bが所定位置に導かれることで、メッシュ52が仙棘靭帯23に固定される。
図3には、人工表層部10の外部から見て、仙棘靭帯23に対応する領域が、被手術部20として一点鎖線で示されている。人工表層部10は、該領域の部分に、穿刺部12を設けている。穿刺部12は、本発明に係る「貫通可能部」の一例として、穿刺用針50を貫通可能に構成されている。本実施形態では、同一の人体モデル1を用いて、穿刺用針50の突き通しをまっさらな状態で多数回練習できるように、穿刺部12を交換することが可能に構成されている。尚、穿刺部12を交換可能に構成する代わりに、穿刺部12を、復元力を持つ弾性材料から形成してもよい。ここに、「復元力」とは、穿刺用針50の突き通しにより形成された孔が時間の経過により閉じる程度の弾性力を示す。
尚、本実施形態では、穿刺部12だけでなく仙棘靭帯23もまた、穿刺用針50を貫通可能に構成されている。仙棘靭帯23は、同一の人体モデル1を用いて多数回練習できるように、その配置を考慮すれば、交換するよりも、復元力を持つ弾性材料から形成されることが望ましい。
<骨盤臓器脱手術の練習(その1)>
次に、図4を参照し、本実施形態に係る骨盤臓器脱手術の練習の工程について説明する。ここに、図4は、骨盤臓器脱手術の練習の一工程を示すフローチャートである。
次に、図4を参照し、本実施形態に係る骨盤臓器脱手術の練習の工程について説明する。ここに、図4は、骨盤臓器脱手術の練習の一工程を示すフローチャートである。
図4において、骨盤臓器脱手術の練習をする際には、練習者は、先ず、初期設定工程として、チェック用部11を第1状態(即ち、被手術部20に対する、人工表層部10の外部からの目視チェックが不可能である状態)に変更する(ステップS101)。この後、練習者は、股部に対向し、突き通し工程として、穿刺用針50の先端部の小穴に固定糸51を通した後、膣口21に手先を挿入した上で、該先端部を人工表層部10から被手術部20(仙棘靭帯23)へ向けて突き通す(ステップS102)。この時、該先端部が、中指の腹に到達するまで突き通される。こうした突き通しの後、固定糸51の一部を人工表層部10の内部空間に残して、穿刺用針50が人工表層部10の外部に引き出される。
続いて、練習者は、処置工程として、人工表層部10の内部空間に残された固定糸51で、メッシュ52のアーム部52bを所定位置に導き、仙棘靭帯23にメッシュ52を固定する(ステップS103)。
メッシュ52が仙棘靭帯23に固定されると、練習者は、状態変更工程として、人工表層部10本体からチェック用部11を取り外し、チェック用部11を第2状態(即ち、被手術部20に対する、人工表層部10の外部からの目視チェックが可能である状態)に変更する(ステップS104)。すると、練習者は、目視チェック工程として、チェック用部11を介して、被手術部20としての仙棘靭帯23の全体を、練習の結果として目視チェックする(ステップS105)。これにより、一連の骨盤臓器脱手術の練習が終了する。
上述した骨盤臓器脱手術の練習の工程によれば、チェック用部11が第1状態を取っている場合に、突き通し工程を実施し、該突き通し工程の後に実施される処置工程の後に、チェック用部11を第2状態に変更して、目視チェックを行うから、本番と同じく被手術部20が見えないままで練習を行うことができ、その後、直ぐに或いは簡単に練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。故に、練習の結果を容易に確認すると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行うことが可能である。
<穿刺部位の交換>
次に、図5を参照し、本実施形態に係る骨盤臓器脱手術の練習に用いられる、人体モデル1の穿刺部位を交換する工程について説明する。ここに、図5は、穿刺部位の交換の工程を示すフローチャートである。ここで、「穿刺部位」とは、実際に穿刺用針50が突き通される部位であって、具体的には、穿刺部12と、仙棘靭帯23全体をカバーする被手術部20とを示す。
次に、図5を参照し、本実施形態に係る骨盤臓器脱手術の練習に用いられる、人体モデル1の穿刺部位を交換する工程について説明する。ここに、図5は、穿刺部位の交換の工程を示すフローチャートである。ここで、「穿刺部位」とは、実際に穿刺用針50が突き通される部位であって、具体的には、穿刺部12と、仙棘靭帯23全体をカバーする被手術部20とを示す。
図5において、例えば図4に示される骨盤臓器脱手術の練習が一度行われた後(ステップS100)、同一又は他の練習者による、同一の人体モデル1を用いての練習が終了されるか否かが判定される(ステップS111)。この判定により、同一の人体モデル1を用いての練習が終了されると判定された場合(ステップS111:Yes)、穿刺部位の交換が行われることはない。
一方、同一の人体モデル1を用いての練習が継続されると判定された場合(ステップS111:No)、練習者は、被手術部20が未だ使用可能か否か(即ち、被手術部20が使い古された或いは痛んだか否か)を判定する(ステップS112)。この判定により、被手術部20が未だ使用可能であると判定された場合(ステップS112:Yes)、続いてステップS114の処理が行われる。
一方、被手術部20が既に使用不能であると判定された場合(ステップS112:No)、練習者は、被手術部交換工程として、被手術部20を新しいものに交換する(ステップS113)。続いて、練習者は、穿刺部12が未だ使用可能か否か(即ち、穿刺部12が使い古された或いは痛んだか否か)を判定する(ステップS114)。この判定により、穿刺部12が未だ使用可能であると判定された場合(ステップS114:Yes)、ステップS100に戻り、同一の人体モデル1を用いて骨盤臓器脱手術の練習が再開される。
一方、穿刺部12が既に使用不能であると判定された場合(ステップS114:No)、練習者は、穿刺部交換工程として、穿刺部12を新しいものに交換する(ステップS115)。この後、ステップS100に戻り、同一の人体モデル1を用いて骨盤臓器脱手術の練習が再開される。
上述した穿刺部位の交換の工程によれば、人体モデル1のうち被手術部20のみ又は被手術部20と穿刺部12のみを新規交換することが可能である。よって、人体モデル1全体としての使用寿命を効率的に長めることができ、エコロジーに繋がる。
<骨盤臓器脱手術の練習(その2)>
次に、図6を参照し、図4に示される骨盤臓器脱手術の練習の工程より他の工程について説明する。ここに、図6は、骨盤臓器脱手術の練習の他の工程を示すフローチャートである。図6に示される工程と図4に示される工程との間には、初期設定工程及び状態変更工程での処理に差異がある。
次に、図6を参照し、図4に示される骨盤臓器脱手術の練習の工程より他の工程について説明する。ここに、図6は、骨盤臓器脱手術の練習の他の工程を示すフローチャートである。図6に示される工程と図4に示される工程との間には、初期設定工程及び状態変更工程での処理に差異がある。
図6において、骨盤臓器脱手術の練習をする際には、練習者は、先ず、初期設定工程として、被手術部20を人工表層部10の内部空間の所定位置に装着する(ステップS201)。この後、練習者は、股部に対向した上で、図4に示される工程と同様に、突き通し工程として、穿刺用針50の先端部を人工表層部10から仙棘靭帯23へ向けて突き通した後(ステップS102)、処置工程として、メッシュ52のアーム部52bを所定位置に導き、仙棘靭帯23にメッシュ52を固定する(ステップS103)。
続いて、練習者は、状態変更工程として、人工表層部10の内部空間から被手術部20を離脱し、これを外部へ取り出す(ステップS204)。すると、練習者は、目視チェック工程として、外部へ取り出された被手術部20としての仙棘靭帯23の全体を、練習の結果として目視チェックする(ステップS105)。これにより、一連の骨盤臓器脱手術の練習が終了する。
上述した骨盤臓器脱手術の練習の工程によれば、被手術部20が人工表層部10の内部空間に装着されている場合に、突き通し工程を実施し、該突き通し工程の後に実施される処置工程の後に、被手術部20を内部空間から離脱し、それを人工表層部10の外部へ取り出して目視チェックを行うから、本番と同じく被手術部20が見えないままで練習を行うことができ、その後、直ぐに或いは簡単に練習の結果を目視により確認できるので、非常に練習の質が高くなる。故に、練習の結果を容易に確認すると共に、実際の人体に近い感覚で練習を行うことが可能である。
尚、本実施形態では、人体モデル1を用いて、骨盤臓器脱手術の練習を行うが、同一の人体モデル1を用いて、骨盤臓器脱手術より他の医療手術の練習を行っても構わない。但し、他の医療手術の練習でも、骨盤臓器脱手術での突き通し工程と同様に、少なくとも練習者にとって被手術部が見えないままで、穿刺用針50等の器具を、人工表層部10から被手術部20へ向けて突き通すことが一要素として実施される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、人体モデル及びこれを用いた手術の練習方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…人体モデル、10…人工表層部、11…チェック用部、20…被手術部、21…膣口、22…小陰唇、23…仙棘靭帯、30…尾骨、31…腸骨、32…背骨、50…穿刺用針
Claims (12)
- 少なくとも人体の皮膚を含む表層部に囲まれた前記人体の内部に存在する被手術部に対して、前記被手術部が見えないままで先端部に所定種類の細工が施された器具を、前記表層部から前記被手術部へ向けて、前記先端部側から突き通すことを一要素として行われる医療手術の練習をするための人体モデルであって、
前記表層部を模しており、弾性材料から構成された人工表層部と、
前記人工表層部に囲まれた内部空間に配置されており、前記被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部と、
前記内部空間に配置されており、前記人体の骨を含む第2深層部を模しており、前記弾性材料よりも弾性が低い硬質材料から構成された第2人工深層部と
を備えており、
前記人工表層部は、前記第1人工深層部に対する、前記人工表層部の外部からの目視チェックを不可能ならしめる第1状態及び前記目視チェックを可能ならしめる第2状態の一方を選択的に取るように構成されたチェック用部を有し、
前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、前記人工表層部が前記第2状態を取っている場合に前記目視チェックを可能ならしめるべく、前記外部から前記第1人工深層部のうち前記被手術部を模している箇所への見通しが効くように、前記被手術部周辺の体内部分を少なくとも部分的に割愛して模している
ことを特徴とする人体モデル。 - 前記チェック用部は、着脱動作又は開閉動作により、前記第1及び第2状態の一方を選択的に取るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の人体モデル。
- 前記第1人工深層部のうち少なくとも前記被手術部を模した被手術部分は、前記内部空間内に装着及び離脱可能に配置されており、前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、前記内部空間から前記外部へと前記被手術部分を離脱させて取り出すことを可能ならしめるべく、前記内部空間から前記外部へ至る動線を妨げないように、前記被手術部周辺の体内部分を少なくとも部分的に割愛して模していることを特徴とする請求項1又は2に記載の人体モデル。
- 前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方が、少なくとも部分的に割愛されているのに起因して前記人工表層部の表面レベルで低下する、前記人工表層部を前記内部空間側へ押し込む方向の力に対する剛性強度を補うように、前記人工表層部の弾性材料は、前記表層部に比して剛性強度が高い材料を含んで構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の人体モデル。
- 前記人工表層部は、(I)前記練習の一環として手先を挿入可能であると共に前記内部空間に到達可能なように、前記弾性材料の弾性に応じて形状及び口径が可変である、前記人体の穴部を模した人工穴部と、(II)前記人工穴部の周囲にて、前記器具を前記人工表層部の外部から突き刺した場合に、前記先端部が、前記挿入された手先の任意箇所に到達するまで、貫通可能に構成されている貫通可能部とを有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の人体モデル。 - 前記人体モデルは、前記人体の腹部、臀部及び腰部を含むと共に下脚のない下半身部分を模し、
前記骨は、骨盤を含み、
前記被手術部は、前記骨盤に囲まれた体内部分を含み、
前記人工穴部は、膣口であり、
前記チェック用部は、前記人工表層部における、前記腹部の前面に対応する箇所に位置しており、
前記第2人工深層部は、前記人体における少なくとも消化器系の内臓を割愛して模している
ことを特徴とする請求項5に記載の人体モデル。 - 前記人工表層部における、前記腰部の背面側に対応する側に設けられており、前記練習を行うための台に対し前記人工表層部を固定するための固定手段を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の人体モデル。
- 前記人工表層部は、前記貫通可能部を交換可能に構成されていることを特徴とする請求項5から7に記載の人体モデル。
- 前記人工表層部は、前記器具を、突き通すことに対して復元力を持っていることを特徴とする請求項1から8に記載の人体モデル。
- 少なくとも人体の皮膚を含む表層部に囲まれた前記人体の内部に存在する被手術部に対して、前記被手術部が見えないままで先端部に所定種類の細工が施された器具を、前記表層部から前記被手術部へ向けて、前記先端部側から突き通すことを一要素として行われる医療手術の練習をするための人体モデルであって、
前記表層部を模しており、弾性材料から構成された人工表層部と、
前記人工表層部に囲まれた内部空間に配置されており、前記被手術部を含む第1深層部を模した第1人工深層部と、
前記内部空間に配置されており、前記人体の骨を含む第2深層部を模しており、前記弾性材料よりも弾性が低い硬質材料から構成された第2人工深層部と
を備えており、
前記第1人工深層部のうち少なくとも前記被手術部を模した被手術部分は、前記内部空間内に装着及び離脱可能に配置されており、
前記第1及び第2人工深層部の少なくとも一方は、前記内部空間から前記人工表層部の外部へと前記被手術部分を離脱させて取り出すことを可能ならしめるべく、前記内部空間から前記外部へ至る動線を妨げないように、前記被手術部周辺の体内部分を少なくとも部分的に割愛して模している
ことを特徴とする人体モデル。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の人体モデルを用いて、
前記チェック用部が前記第1状態を取っている際の前記人工表層部から、前記第1人工深層部へ向けて、前記器具を突き通す突き通し工程と、
前記突き通し工程の後に、前記第1人工深層部に対して、前記先端部を利用して所定種類の医療処置を施す処置工程と、
前記処置工程の後又は途中に、前記チェック用部に前記第2状態を取らせる状態変更工程と、
前記状態変更工程の後に、前記チェック用部を介して前記第1人工深層部に対する前記目視チェックを行う目視チェック工程と
を含むことを特徴とする手術の練習方法。 - 請求項10に記載の人体モデルを用いて、
前記人工表層部から、前記第1人工深層部へ向けて、前記器具を突き通す突き通し工程と、
前記突き通し工程の後に、前記第1人工深層部に対して、前記先端部を利用して所定種類の医療処置を施す処置工程と、
前記処置工程の後又は途中に、前記被手術部分を前記外部へ取り出す取出工程と、
前記取出工程の後に、前記被手術部分に対する前記目視チェックを行う目視チェック工程と
を含むことを特徴とする手術の練習方法。
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