JP2013127376A - 食品の味覚判定方法及び味覚判定システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食品の味覚を判定する味覚判定方法であって、食品試料の分光スペクトルを測定する分光スペクトル測定工程S10、その食品試料について味覚の官能評価試験を行い、官能評価値を得る官能評価工程S11、その分光スペクトルにおける少なくとも1つの波長領域における反射光又は透過光の強度に係る分光計測値を求める分光計測工程S12の各工程により予め当その食品に関する味覚とその波長領域における分光計測値との相関関係R1を推定する。そして、その食品試料と同種の評価対象食品について分光測定を行う評価対象食品計測工程S20、その評価対象食品計測値と、上記の相関関係に基づいて味覚判定を行う味覚判定工程S21を有する食品の味覚判定方法を提供する。
【選択図】図1
Description
また、最近では人工脂質膜を用いた味覚センサーが製品化されている。
このような破壊測定の場合には、サンプルが商品とならないこと、全数検査が行えないため、各個体を測定したものではない問題がある。
この方法は、糖度を推定するだけで、必ずしも味覚評価と一致するとは言えないこと、Brix値は元来屈折率であるため糖度だけを表すものではないことなど、味覚を判定するための測定方法としては不十分である。
特許文献1は、二つ以下の波長における吸光度から、糖度を算出する方法として、青果物に関して糖度と水分含有量がほぼ逆相関の関係にあることを利用し、糖による光吸収の代わりに水による光吸収を測定することで、青果物の糖度を測定する技術を開示している。
特に、実際に人が食べておいしいと感じるのか、どのような尺度でおいしいと感じるかを考慮していないので、食品の味覚判定は実現できていない。
このような方法では、味覚という無数の組み合わせからなる繊細な感覚を的確に表現することは不可能であり、食品の味覚判定には全く不十分である。
すなわち、食品の味覚を判定する味覚判定方法であって、食品試料に対して照射光を照射し、反射光又は透過光の分光スペクトルを測定する分光スペクトル測定工程、その食品試料について味覚の官能評価試験を行い、官能評価値を得る官能評価工程、その分光スペクトルにおける少なくとも1つの波長領域における反射光又は透過光の強度に係る分光計測値を求める分光計測工程、の各工程により予め当その食品に関する味覚とその波長領域における分光計測値との相関関係を推定する。
そして、その食品試料と同種の評価対象食品について、その評価対象食品に対して少なくともその波長領域の照射光を照射して、反射光又は透過光の強度に係る評価対象食品計測値を求める評価対象食品計測工程、その評価対象食品計測値と、上記の相関関係に基づいて味覚判定を行う味覚判定工程を有する食品の味覚判定方法を提供する。
上記の分光計測工程における分光計測値が、上記の光の強度から算出する吸光度の2次微分値であってもよい。
すなわち、味覚相関データベース準備ステップとして、同種の食品試料に係る複数の上記の官能評価値と上記の分光計測値とを予めコンピュータの記憶手段に格納し、コンピュータの演算手段により、上記の相関係数の算出処理を行い、コンピュータのデータ解析手段によりその相関係数の正又は負のいずれかのピークと、その波長領域とを抽出して、その組み合わせを味覚相関データベースとしてその記憶手段に格納する。
次いで、味覚判定ステップとして、コンピュータの味覚判定手段が、その味覚相関データベースにおけるその波長領域についての分光計測値と評価対象食品計測値との差に基づき、その相関係数の正又は負に応じた評価結果を出力する。
すなわち、食品試料に対して照射光を照射し、反射光又は透過光の分光スペクトルを測定する分光スペクトル測定手段と、その分光スペクトルにおける少なくとも1つの波長領域における反射光又は透過光の強度に係る分光計測値を算出する分光計測値算出手段と、予め試験によって得てあるその食品試料に係る味覚の官能評価値と、その波長領域における分光計測値との相関関係を推定する味覚相関推定手段とにより味覚相関データベースを作成し、その食品試料と同種の評価対象食品に対して少なくともその波長領域の照射光を照射して、その反射光又は透過光の強度に係る評価対象食品計測値を求める評価対象食品計測手段と、その評価対象食品計測値と、上記の味覚相関データベースに格納された相関関係に基づいて味覚判定を行う味覚判定手段とを備えることを特徴とする。
すなわち、本発明では味覚判定を行う食品の食品試料について官能評価試験を行い、その官能評価値と分光測定値との相関関係を推定する。そして、同種の評価対象食品について相関関係に基づいた味覚判定を行うので、必ずしも糖度等の味覚成分の分析を行う必要はなく、総合的な評価基準に従った味覚判定が可能である。
図1は、本発明における食品の味覚判定方法のフローチャートである。図に示すように、本発明の食品の味覚判定方法は、大きく食品試料に対して分光計測を行い、分光計測値と味覚の相関関係を得るための準備段階(S1)と、評価対象食品に対して分光計測を行い、得られた相関関係を用いて味覚を判定する判定段階(S2)とに分かれる。
例えば、イチゴの品種Aについて「おいしい」という官能評価値に係る相関関係が抽出できれば、品種改良や消費者の数年単位での嗜好の変化がない限り、準備段階(S1)を毎年行う必要はなく、品種Aの味覚判定方法、あるいは味覚判定システムとして判定段階(S2)のみを実施すればよい。
まず食品試料の分光スペクトルを測定する(S10:分光スペクトル測定工程)。分光スペクトルの測定は公知のいかなる方法を用いることもできるが、本実施例では拡散反射法を用いる。図2は本発明に係る分光スペクトル測定装置の概要図であり、主要な3形態を示している。
図2(a)が拡散反射法の測定方法を示しており、ハロゲンランプを用いた光源(1)から食品試料(2)に対して光を照射し、その拡散反射光を分光器(3)で測定する。
一方、図2(c)は、透過法による測定方法であり、食品試料の後ろ側から光源(1)の光を照射し、食品試料(2)を透過した光を分光器(3)で測定する。これが後分光方式である。
Vector Machine)など、任意の解析方法を用いることができる。
これに対して本発明は、食品がおいしいかどうかと言った総合的な味覚評価は、必ずしも糖度や酸度で定量的に評価できないことに注目し、これらの味覚成分にとらわれない味覚判定方法を提供するものである。
官能評価試験では、味覚判定を行う評価対象食品と同種の食品試料に関して、評価者が実際に試食し、所定の評価項目についての評価を行う。例えば、本実施例ではイチゴを対象として、各評価者が6個のサンプルを試食し、計8人が官能評価を行った。6個のサンプルの内訳は、3通りの入手経路毎に2サンプルで、スーパーで購入した品種Aが2個(試料1、試料2)、直売所で購入した品種A(試料3、試料4)、異なる品種B(試料5、試料6)である。サンプル数は全48である。
異なる品種を混ぜた場合のデータの利用方法に関しては後述する。
その結果、この評価者によるイチゴを対象とした官能試験では、美味しさと甘みは強い相関があり、酸味とは逆相関の関係にあることが分かる。これからすると、糖度を測ることで商品の品質を評価した従来の手法は一応合理性があるように見える。
すなわち、官能評価試験で甘みが少ないとされた試料5、6について糖度を従来の手法で実測してみたところ、糖度の平均値は次の表1の通り、他の試料に比べてむしろ高いという結果が出た。
分かりやすく比較すれば、日本酒の利き酒において、従来の方法が日本酒の成分分析を行い、その分析結果に従って評価を行うのに対し、本発明は鑑定人が実際に口にして評価を行うことに対応する。従って、客観性は前者が優れるが、鑑定人と味覚が類似した者にとっては、後者の方が実際の評価に近い結果を得ることができる。
コンピュータは公知のパーソナルコンピュータや、スマートフォン、PDAなどの携帯型端末装置で実施すればよく、この構成は周知であるから説明を省略する。最低限図3に示すCPU(30)と、データの入力を受け付ける入力インターフェース(31)、メモリやハードディスクなどの記憶手段(32)とを備える。
分光計測値は分光スペクトルの各値全てでもよいし、その一部でもよい。また、分光スペクトルで測定した反射光又は透過光の強度そのものでもよいし、それを所定の演算で計算した結果でも良い。
1つの試料の各波長iにおける拡散反射強度をaiとし、同じくテフロン(登録商標)の拡散反射強度をbiとする。
このとき、吸光度は次式によって表される。
この結果からさらに2次微分値Diを算出する。2次微分値は、波長間隔の幅をx[nm]とすると、次式によって表される。
記憶手段(32)には、各試料に対する2次微分値Din1〜Dinyが分光計測値(322)として格納される。
相関係数がある程度大きな正の値をとる時は、おいしいという評価と強い相関関係があると認められ、ある程度大きな負の値となる時は、おいしいという評価値を小さくする、すなわちおいしくないことと強い相関が認められる。
そこで、ここで算出した相関係数を味覚相関データベース(323)として記憶することもできる。
本処理はコンピュータによっても実施可能であり、データ解析処理部(303)が公知の手法でピーク値を抽出してもよい。
ピーク値を抽出した場合には、相関係数を全部記憶するのではなく、注目すべき周波数領域、例えば、680nmにおける2次微分値が所定の閾値を超えた場合をおいしい、710nmにおける2次微分値が所定の閾値を超えた場合にはおいしくない、と定義した味覚相関データベース(323)を出力することもできる。
図1に戻って、判定段階(S2)では評価対象食品について評価対象食品計測工程(S20)を行う。本工程(S20)も、分光スペクトル測定工程(S10)と同様な測定を行えばよい。すなわち、ハロゲンランプの光源(1)から、評価対象食品に照射光を照射し、反射光又は透過光の強度に係る評価対象食品計測値を求める。
少なくとも、上記味覚相関データベース(323)に記録した周波数領域だけを測定すればよい。例えば、680nm,710nmについて測定するだけであれば、この周波数の発光特性を有する発光ダイオードから照射して反射光の強度を測定してもよく、装置の簡略化、簡便な計測方法に寄与する。
そして、味覚判定処理部(304)において、味覚相関データベース(323)を参照し、味覚を判定する(S21:味覚判定工程)。味覚判定結果(R2)は、例えばコンピュータに付属したモニタや、プリンタ等から、評価対象食品のそれぞれに対して出力する。
あるいは特定の周波数について「おいしい」「おいしくない」と定義した場合には、評価対象食品について、当該周波数領域の計測値を算出し、その値が相関関係で定義した閾値を超えている場合には「おいしい」又は「おいしくない」と判定する。複数ある場合には多数決によってもよいし、周波数領域ごとに重み付けを行って、重みを乗じ、重み付け評価値を計算してもよい。
例えば、上記実施例ではイチゴを食品の例としたが、もちろんこれに限定されるものではなく、果実を含む青果物を始めとして、あらゆる食品に適用することができる。照射光が反射又は透過すればよいので、液体、固体に関わらない。
味覚に変化の大きな青果物が最適な適用対象であるが、工場等で生産された加工食品の品質検査に用いる構成でもよい。
本発明は、このように品種毎の細かな味覚判定を行うことも可能であり、従来の判定技術に比して格段に高精度な味覚判定に寄与する。
そこで、全ての評価者による官能評価結果から、全試料の平均官能値を減算して、官能評価を相対的な評価とする。これにより、試料間の偏りを無くし、適切な相関係数の算出を行うことができるようになる。
味覚判定装置は、例えば果実の場合に収穫に適するか否かの判定に用いたり、流通段階の市場や店頭で、品質を評価するのに用いることもできる。
S10 分光スペクトル測定工程
S11 官能評価工程
S12 分光計測工程
R1 分光計測値と味覚の相関関係
S2 判定段階
S20 評価対象食品計測工程
S21 味覚判定工程
R2 味覚判定結果
Claims (8)
- 食品の味覚を判定する味覚判定方法であって、
食品試料に対して照射光を照射し、反射光又は透過光の分光スペクトルを測定する分光スペクトル測定工程、
該食品試料について味覚の官能評価試験を行い、官能評価値を得る官能評価工程、
該分光スペクトルにおける少なくとも1つの波長領域における反射光又は透過光の強度に係る分光計測値を求める分光計測工程、
の各工程により予め当該食品に関する味覚と該波長領域における分光計測値との相関関係を推定し、
該食品試料と同種の評価対象食品について、
該評価対象食品に対して少なくとも該波長領域の照射光を照射して、その反射光又は透過光の強度に係る評価対象食品計測値を求める評価対象食品計測工程、
該評価対象食品計測値と、前記相関関係に基づいて味覚判定を行う味覚判定工程
を有する食品の味覚判定方法。 - 前記分光計測工程において、
前記反射光又は透過光の各波長領域における前記分光計測値と、同種の食品試料に係る複数の官能評価値とから、各波長領域について官能評価値との相関係数を算出し、
前記評価対象食品計測工程において、
前記相関係数が正又は負のピークとなる波長領域についての前記評価対象食品計測値を計測し、
前記味覚判定工程において、
該相関係数の正又は負に応じた評価と、該評価対象食品計測値とから味覚判定を行う
請求項1に記載の味覚判定方法。 - 前記分光計測工程における分光計測値が、
前記光の強度から算出する吸光度である
請求項1又は2に記載の味覚判定方法。 - 前記分光計測工程における分光計測値が、
前記光の強度から算出する吸光度の2次微分値である
請求項1又は2に記載の味覚判定方法。 - 前記請求項2に記載の味覚判定方法をコンピュータを用いて実行する方法であって、
味覚相関データベース準備ステップとして、
同種の食品試料に係る複数の前記官能評価値と前記分光計測値とを予めコンピュータの記憶手段に格納し、
コンピュータの演算手段により、前記相関係数の算出処理を行い、
コンピュータのデータ解析手段により該相関係数の正又は負のいずれかのピークと、その波長領域とを抽出して、その組み合わせを味覚相関データベースとして該記憶手段に格納し、
次いで、味覚判定ステップとして、
コンピュータの味覚判定手段が、該味覚相関データベースにおける該波長領域についての分光計測値と評価対象食品計測値との差に基づき、該相関係数の正又は負に応じた評価結果を出力する
ことを特徴とするコンピュータによる味覚判定方法。 - 食品の味覚を判定する味覚判定システムであって、
食品試料に対して照射光を照射し、反射光又は透過光の分光スペクトルを測定する分光スペクトル測定手段と、
該分光スペクトルにおける少なくとも1つの波長領域における反射光又は透過光の強度に係る分光計測値を算出する分光計測値算出手段と、
予め試験によって得てある該食品試料に係る味覚の官能評価値と、該波長領域における分光計測値との相関関係を推定する味覚相関推定手段と
により味覚相関データベースを作成し、
該食品試料と同種の評価対象食品に対して少なくとも該波長領域の照射光を照射して、その反射光又は透過光の強度に係る評価対象食品計測値を求める評価対象食品計測手段と、
該評価対象食品計測値と、前記味覚相関データベースに格納された相関関係に基づいて味覚判定を行う味覚判定手段と
を備える食品の味覚判定システム。 - 前記味覚相関推定手段が、
前記反射光又は透過光の各波長領域における前記分光計測値と、同種の食品試料に係る複数の官能評価値とから、各波長領域について官能評価値との相関係数を算出すると共に、
前記評価対象食品計測手段が、
前記相関係数が正又は負のピークとなる波長領域についての前記評価対象食品計測値を計測し、
前記味覚判定手段が、
該相関係数の正又は負に応じた評価と、該評価対象食品計測値とから味覚判定を行う
請求項6に記載の味覚判定システム。 - 前記請求項6又は7に記載の味覚判定システムで用いられる味覚判定装置であって、
前記味覚相関データベースと、
前記食品試料と同種の評価対象食品に対して少なくとも該波長領域の照射光を照射して、その反射光又は透過光の強度に係る評価対象食品計測値を求める評価対象食品計測手段と、
該評価対象食品計測値と、前記味覚相関データベースに格納された相関関係とに基づいて味覚判定を行う味覚判定手段と
を備える食品の味覚判定装置。
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JP2011276263A JP2013127376A (ja) | 2011-12-16 | 2011-12-16 | 食品の味覚判定方法及び味覚判定システム |
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JP2022047369A (ja) * | 2020-09-11 | 2022-03-24 | Tdk株式会社 | 味覚推定モデルの作成方法、味覚推定システム、及び、味覚推定プログラム |
EP4070076A4 (en) * | 2019-12-04 | 2024-01-17 | Profileprint Pte Ltd | SYSTEM AND METHOD FOR NON-DESTRUCTIVE RAPID FOOD PROFILING USING ARTIFICIAL INTELLIGENCE |
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2011
- 2011-12-16 JP JP2011276263A patent/JP2013127376A/ja active Pending
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