JP2012527896A - 細胞を付着させ、培養し、検査するための基体 - Google Patents

細胞を付着させ、培養し、検査するための基体 Download PDF

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Abstract

本発明は、低血清まは無血清条件下で細胞を培養するために有用な基体を提供する。その基体は、血清タンパク質からの干渉がある細胞を利用した検査を実施するのに有用である。本発明の基体を使用する方法、並びに本発明の基体を製造する方法も提供される。

Description

優先権の主張
本出願は、2009年5月29日に出願された米国仮特許出願第61/182369号の恩恵を主張するものである。本文献およびその中に述べられた刊行物、特許、および特許文献の全開示がここに引用される。
本発明は、一般に、血清の存在下または不在下で細胞を付着させ、培養し、検査する(assay)ための支持体に関し、より詳しくは、プロピルアミン誘導体化エチレン無水マレイン酸層を有する支持体に関する。
粘着性哺乳類細胞の培養には、大抵、細胞を支持体に付着させられるように血清および/または細胞外タンパク質が存在する必要がある。しかしながら、これらのタンパク質が存在すると、細胞を利用した検査に干渉し得、未確定の因子を細胞中に導入し得る。その上、血清タンパク質は、ロット間でばらつきがあり、細胞を利用した検査および細胞培養に可変性を加え得る。
細胞の培養に度々要求される支持体またはマトリクスに関して、細胞を利用した検査の別の欠点が見られる。これらの支持体は、大抵、生体物質であり、生産するのに費用がかかり、いくらかは再生不可能であろう。例えば、Matrigel(商標)(ニュージャージー州、フランクリンレイクス所在のBD)およびコラーゲンサンドイッチ培養が、長期間に亘り優れた生体内(in vivo)様機能を維持するので、肝細胞培養に使用されてきた。「Matrigel」は、EHSマウス腫瘍に由来するものであり、細胞機能を支援するが、ロット間の可変性を示すであろう。人の肝臓のADME/Tox(薬物動態/毒性)用途へのこの基体の有用性は、(a)その供給源が、異なる種からのものであり、それゆえ、人の応答にとって良好なモデルを提供しないかもしれず、(b)合成由来ではないために、可変性であるので、限られるであろう。同様に、どの物質も、良好な安定性および機械的性質を有する3D足場に容易かつ再現可能に処理できない。
より予測できる細胞を利用した検査を可能にするために、長期間に亘り細胞機能を維持しながら、明確な組成を有する基体が必要とされている。ADME/Tox用途および他の用途のための、合成由来の再現性のある基体も必要とされている。
本発明のある態様において、細胞培養および細胞を利用した検査(assay)のための基体において、支持体、その支持体に結合した、アミノアルキルシランまたはその誘導体、例えば、アミノアルキルシルセスキオキサンまたはアミノプロピルシランを含む接合層(tie layer)、およびこの接合層に結合した合成高分子層を備えた基体であって、この合成高分子層が、複数のイオン化可能な親水基、イオン化可能な疎水基、またはこれらの組合せを含み、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基の少なくとも50%が不活性化または遮断されている基体が提供される。
本発明の別の態様において、細胞を付着させ、培養するための合成基体において、支持体、接合層、およびこの支持体の少なくとも1つの表面上の誘導体化されたアミノプロピルエチレン無水マレイン酸被覆を備えた合成基体であって、この誘導体化されたアミノプロピルエチレン無水マレイン酸被覆が、約10°から約80°、または約10°から約30°の表面接触角を有する合成基体が提供される。
本発明のさらに別の態様において、細胞培養および細胞を利用した検査を行う方法において、血清タンパク質の不在下で基体に少なくとも1つの細胞を付着させる工程であって、この基体は、支持体、その支持体に結合した、アミノアルキルシランまたはその誘導体、例えば、アミノアルキルシルセスキオキサンまたはアミノプロピルシランを含む接合層、およびこの接合層に結合した合成高分子層を備え、この合成高分子層が、複数のイオン化可能な親水基、イオン化可能な疎水基、またはこれらの組合せを含み、これらの層および基体が必要に応じて照射されたものである工程、血清タンパク質を使用せずに基体上の細胞を培養する工程、および細胞を利用した検査を行う工程を有してなる方法が提供される。
本発明のさらに別の態様において、細胞培養および細胞を利用した検査のための基体を製造する方法において、接合層を支持体に結合させる工程であって、この接合層が、アミノアルキルシラン、アミノアルキルシルセスキオキサンまたはその誘導体を含むものである工程、および合成高分子層を接合層に取り付ける工程であって、この合成高分子層が、複数のイオン化可能な親水基、イオン化可能な疎水基、またはこれらの組合せを含むものである工程を有してなる方法が提供される。
本発明の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者には容易に明白であるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、ここに記載された本発明を実施することによって認識されるであろう。
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、本発明の実施の形態を提示し、特許請求の範囲に記載された本発明の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されているのが理解されよう。添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、本発明の様々な実施の形態を示しており、説明と共に、本発明の原理および動作を説明するように働く。
本発明の実施の形態による、基体の表面の一般構造の概略図 本発明の実施の形態による、エチレンマレイン酸により誘導体化されたアミノプロピルシラン接合層を有する基体の概略図 本発明の実施の形態による、基体の合成の概略図 本発明の実施の形態による、基体の合成の概略図 本発明の実施の形態による、基体の合成の概略図 本発明の実施の形態による、基体の表面への照射および/または加水分解の影響を比較する一連のIRスペクトルのチャート 本発明の実施の形態による、異なる緩衝液の存在下での、基体の表面への加水分解の影響を示す一連のIRスペクトルのチャート 本発明の実施の形態による、基体の表面への異なる照射処理の影響を示す一連のIRスペクトルのチャート 本発明の実施の形態による異なる基体上のHepG2 C3a肝細胞の付着を示す棒グラフ 本発明の実施の形態による、1日目の異なる基体上のHepG2 C3a肝細胞の付着および7日目の異なる基体上のHepG2 C3a肝細胞の保持を示す棒グラフ 本発明の実施の形態による異なる基体上で血清と共に培養された初代培養肝細胞の遺伝子発現プロファイルを示す棒グラフ 本発明の実施の形態による異なる基体上で血清のない状況下で培養された初代培養肝細胞の遺伝子発現プロファイルを示す棒グラフ 本発明の実施の形態による、基体の表面上でのリン酸緩衝生理食塩水による加水分解後のγ線照射の影響を示す一連のIRスペクトルのチャート 本発明の実施の形態による、基体の表面上でのホウ酸緩衝液による加水分解後のγ線照射の影響を示す一連のIRスペクトルのチャート 本発明の実施の形態における無血清条件下での細胞培養へのn−プロピルアミンによるAPS/dEMAの異なる誘導体化条件の影響を示す棒グラフ 本発明の実施の形態における全血清条件下での細胞培養へのn−プロピルアミンによるAPS/dEMAの異なる誘導体化条件の影響を示す棒グラフ 本発明の基体の実施の形態を使用した細胞培養への様々な細胞培養培地の影響を示す棒グラフ 本発明の実施の形態における全血清、無血清および低γ線条件下での細胞培養へのAPS/dEMAのn−プロピルアミンによる異なるレベルの誘導体化および低γ線照射による処理の影響を示す棒グラフ 本発明の実施の形態における全血清、無血清および高γ線条件下での細胞培養へのAPS/dEMAのn−プロピルアミンによる異なるレベルの誘導体化および高γ線照射による処理の影響を示す棒グラフ
実施の形態において、本発明は、支持体を含む、細胞培養および細胞を利用した検査のための基体であって、支持体が、支持体に結合した接合層およびこの接合層に結合した合成高分子層を含むものである基体を提供する。接合層は、アミノアルキルシルセスキオキサンまたはアミノプロピルシランなどのアミノアルキルシランまたはその誘導体であってよく、一方で、合成高分子は、複数のイオン化可能な親水基、イオン化可能な疎水基、またはその組合せを含んでよい。この被覆は、非限定的例として、UV線またはγ線により照射されてもよい。非限定的例として、基体は、誘導体化されたアミノプロピルシランエチレン無水マレイン酸表面被覆を有する支持体を含んでもよい。本発明は、基体を製造する方法、並びに細胞培養および/または細胞を利用した検査に基体を使用する方法も提供する。
本発明の実施の形態において、基体により、血清または細胞外タンパク質の不在下で哺乳類細胞の付着および培養が可能になる。血清および細胞外タンパク質がないと、本発明の基体を使用した細胞を利用した検査における干渉およびバックグラウンドが小さくなる。さらに、実施の形態において、本発明の基体は、高度の再現性で製造するのが経済的な合成基体である。反対に、組織および細胞系統を含む、天然に生じる物質から得られる哺乳類細胞を培養するための基体は、費用がかかり、ロット間の可変性を被るであろう。
図1に示されるように、本発明の基体10は、支持体12、支持体12に結合した接合層14および接合層14に結合した合成高分子層16を含んでよい。合成高分子層16は、RおよびR1を含んでよく、ここでRおよびR1は、高分子層16における独立したモノマーを表す。RおよびR1は、説明目的のために示されており、高分子層16がいくつの独立したポリマーを含んでもよい、すなわち、R、R1、R2、・・・・Rnを含んでもよいことが認識されよう。あるいは、高分子層16は、RおよびR1が同じであってよいホモポリマーを含んでもよい。図1においてyおよびzにより示される高分子層におけるモノマーの数は様々であってよく、yおよびzは整数である。yまたはzが1より大きい場合、一連の同じモノマーがあってもよく、もしくは高分子層16に沿って交互である個々のモノマーユニットがあってもよい。合成高分子層16はR2をさらに含んでもよく、ここで、R2は、高分子層16の、イオン化可能であってよい、親水基または疎水基であってよい。イオン化可能な親水基は、イオンを形成する、または使用条件下で正または負の電荷を有する基である。イオンは、加水分解および/または照射処理などの不活性化処理工程中に生成される。イオン化可能な親水基は、処理前に比較的親水性であった。イオン化可能な疎水基は、処理前に比較的疎水性であった。合成高分子層16は、簡単にするために、図1に示される1つのR2基以外に、複数のイオン化可能な親水基および疎水基を含んでもよい。イオン化可能な親水基の例としては、以下に限られないが、カルボキシル、アミノ、およびアルデヒドが挙げられる。疎水基の例としては、以下に限られないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、(またはさらに高次のnマー)および二重または三重結合を有するペンダント基を有しても有さなくてもよいフェニルが挙げられる。イオン化可能な疎水基の一例としてはn−プロピルアミンが挙げられるであろう。親水基および疎水基は、血清および/または細胞外タンパク質の不在下で細胞を基体に付着させるのに関与してもよい。さらに、R2は、細胞または生体分子に対して不活性である、またはそれと共有結合を形成しないであろう。細胞または他の生体分子は高分子層16に曝露されてよく、ここで、細胞は、以下に限られないが、イオン、疎水性またはファンデルワールスの相互作用などの非共有結合相互作用により、基体10に付着する。
基体10は、加水分解および/または照射により処理されてもよい。単独または組合せの両方の処理により、例えば、未処理の基体10と比べて、基体10の表面上の合成高分子層16でのカルボン酸陰イオンおよび他の荷電部分の数を増加させることによって、基体10の表面の親水性を増加させてもよい。例えば、図1の基体10は、「」により示されるように照射される。加水分解または照射処理は、どの無水物または他の反応性基を加水分解することによって、カルボキシル部分の数を増加させてよい。本発明の基体10は、非共有結合相互作用により細胞に付着する。意外なことに、従来技術の基体と表面とは異なり、細胞が、低レベルの血清の存在下または血清の不在下で、基体10上で機能し、増殖することができる。
従来技術における他の基体は、支持体、接合層および合成高分子層を含むという点で、本発明と似ている。特に、米国特許出願公開第2006/0257919号および同第2007/0154348号の各明細書には、支持体、接合層および複数のイオン化可能な基を含む合成高分子層を有する基体が開示されている。従来技術の基体は、タンパク質および核酸などの生体分子を結合させるために使用されることが意味され、したがって、合成高分子層の部分の大半が反応性であることを必要とする。「反応性」とは、別の分子への共有結合を促進するであろう触媒、酵素または任意の他の条件を導入せずに、合成高分子層の部分が別の分子に共有結合できることを意味する。例えば、無水物部分は、例えば、どのような追加の反応促進剤なく、第一級アミン部分と反応するので、反応性部分である。基体に付着できる生体分子の数が多いほど、基体の性能が良くなる。この点に関して、従来技術は、反応性基のほんの10%から50%は、生体分子の結合の前に、不活性化または遮断されてよいことを教示している。「不活性化された」または「遮断された」基は、共有結合の形成を促進するであろう触媒、酵素または任意の他の条件を導入せずには、別の分子に共有結合できないものである。反対に、本発明は、細胞を基体に付着させるために、イオン結合、水素結合およびファンデルワールスの相互作用などの非共有結合相互作用に依存する。実施の形態において、本発明の基体の合成高分子層は、反応性基を不活性化された基に転化するために誘導体化されてもよい。さらに、本発明のγ線および加水分解処理が、反応性基(無水物などの)を不活性化された荷電基に転化してもよい。例えば、無水マレイン酸は、γ線および/または加水分解によって、本発明の基体においてマレイン酸に転化される。本発明の基体の合成高分子層は、不活性化または遮断のいずれかがされた反応性部分を約50%超有する。したがって、不活性化または遮断された基の高い割合のために、本発明の基体は、従来技術の基体の目的を覆す。
本発明の基体10の例示の実施の形態が図2に示されており、ここで、支持体12上の接合層14は、アミノプロピルシルセスキオキサンである。合成高分子層16は、各々独立して、以下に限られないが、Hまたはスチレンなどの親水基または疎水基であってよい、R4およびR5をさらに含む。R4およびR5の親水基および疎水基は、血清および/または細胞外タンパク質の不在下で細胞を基体に付着させるのに関与してもよい。さらに、R4およびR5は、細胞または生体分子を基体に共有結合させなくてよい。
支持体12としては、以下に限られないが、細胞培養表面、細胞を利用した検査表面、細胞培養容器、マルチウェルプレート、マイクロプレート、スライド、ストリップウェル、ペトリ皿、フラスコ、多層細胞培養装置(共にニューヨーク州、コーニング所在のコーニング社(Corning Incorporated)から市販されている、Hyperflask(登録商標)またはCellstack(登録商標)などの)、流体装置内の細胞室または接合層14に結合できる任意の他の材料が挙げられるであろう。支持体12は、平ら、繊維状、または実質的に三次元であってよい。ある態様において、支持体12がマイクロプレートである場合、穴の数および穴の容積は、分析の規模および領域に応じて様々であろう。本発明の基体10に使用するための支持体12の他の例としては、以下に限られないが、384穴マイクロプレート、96穴マイクロプレート、24穴皿、6穴皿、10cm皿、またはT75フラスコなどの細胞培養表面が挙げられるであろう。
光学的または電気的検出用途について、支持体12は、透明、不浸透性、または反射性、並びに導電性、半導体、または絶縁性であってよい。生物学的用途について、支持体材料は、多孔質または非多孔質のいずれであってもよく、有機または無機いずれの材料から選択してもよい。
さらに別の態様において、支持体12は、プラスチック、重合または共重合物質、セラミック、ガラス、金属、結晶質材料、貴金属または半貴金属、金属または非金属の酸化物、無機酸化物、無機窒化物、遷移金属、またはそれらの任意の組合せを含んでよい。さらに、支持体12は、どの検出装置にも配置できるように構成されてもよい。ある態様において、センサを、支持体12の底部/下側に組み込み、その後の検出のために使用してもよい。これらのセンサとしては、以下に限られないが、光学回折格子、プリズム、電極、および石英結晶微量天秤が挙げられる。検出方法としては、蛍光、燐光、化学発光、屈折率、質量、および電気化学が挙げられる。ある態様において、支持体は共振導波路回折格子センサである。
さらに別の態様において、支持体12は無機材料からなってもよい。無機支持体材料の例としては、以下に限られないが、金属、ガラスまたはセラミック材料が挙げられる。支持体材料として使用できる金属の例としては、以下に限られないが、金、白金、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、クロム、鋼、およびヒ化ガリウムが挙げられる。支持体材料に使用されるガラスおよびセラミック材料としては、以下に限られないが、石英、ガラス、磁器、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスおよび他の混合酸化物が挙げられる。無機支持体材料のさらに別の例としては、グラファイト、セレン化亜鉛、マイカ、シリカ、ニオブ酸リチウム、および無機単結晶材料が挙げられる。
さらに別の態様において、支持体12は有機材料からなってもよい。ここにおいて有用な有機材料は、その寸法安定性および耐溶媒性のために、高分子材料から製造されてもよい。有機支持体材料の例としては、以下に限られないが、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル;ポリフッ化ビニリデン;ポリテトラフルオロエチレン;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリ(メタ)アクリレート;ポリスチレン、ポリエチレン;環状ポリオレフィン;エチレン/ビニルアセテートまたはコポリマー、または他の公知の有機支持体材料が挙げられる。
本発明のある態様において、接合層14(図1参照)が支持体12に結合されるであろう。接合層14は、以下に限られないが、アミノシランなどのアミンを含んでよい。さらに別の態様において、接合層は、直鎖または分岐鎖アミノシラン、アミノアルコキシシラン、アミノアルキルシラン、アミノアリールシラン、アミノアリールオキシシラン、もしくはその誘導体または塩に由来してよい。さらに別の態様において、接合層は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ベータ−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ベータ−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N’−(ベータ−アミノエチル)−3−アミノプロピルメトキシシラン、またはアミノプロピルシルセスキオキサンに由来してよい。
本発明の別の態様において、合成高分子層16は、共有結合または静電結合いずれかにより、接合層に結合されてもよい。合成高分子層16は、複数のイオン化可能な親水基および/またはイオン化可能な疎水基(すなわち、図1のR2または図2のR2、R4およびR5)を有してもよい。本発明のある態様において、イオン化可能な基は、以下に限られないが、カルボキシレートなどの負に帯電した基、またはイオン対、または以下に限られないが、アミノ基などの正に帯電した基に転化されてもよい。イオン化可能な基の非限定的例は、マレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸であってよい。疎水基は、以下に限られないが、プロピル、エチルまたはフェニルなどの、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリル基を有してもよい。イオン化可能な親水基および疎水基は、血清および/または細胞外タンパク質の不在下で細胞を基体10に付着させるのに関与してもよい。さらに、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基自体は、細胞または生体分子を基体に共有結合させないという点で不活性であろう。あるいは、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基は、細胞または生体分子を基体10に共有結合させないという点で不活性である部分に転化されてもよい。
本発明のさらに別の態様において、高分子層16のイオン化可能な親水基および疎水基の約50%未満が反応性基である。反応性基は、触媒または別の化合物の補助なく、別の分子(すなわち、生体分子)と共有結合を形成できる基である。本発明の別の態様において、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な親水基を処理して、50%未満の反応性基を有する基体を提供してもよい。言い方を変えれば、実施の形態において、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基を処理して、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基の50%超が不活性化された基体を提供してもよい。加水分解または照射によるイオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基の処理が、反応性基を不活性化するであうし、そこで、それらは別の分子と共有結合をもはや形成できない。あるいは、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基は、もはや反応性ではないように誘導体化または遮断されてもよい。例示の実施の形態において、合成高分子層16は、約10%から約40%の反応性基を有してよい。もしくは、言い方を変えれば、実施の形態において、合成高分子層16は、約90%から約60%の不活性化された基、または50%超の不活性化された基を有してよい。
基体10の合成高分子層16にある反応性基の数が少ないほど、無血清条件下でより良好な細胞機能が得られることが分かった。このことが図18および19に示されている。図18および19は、様々な程度の誘導体化を有する基体上での無血清条件下で培養した細胞におけるCYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4レベルの基本応答を示している。CYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4は、シトクロムP450酵素1A2、2B6および3A4である。基体に低(図18)または高(図19)γ線を照射した。90%の誘導体化で、低γ線処理後の無血清条件下で培養された細胞が良好に応答した(図18参照)。これらの条件は、これらの条件においてこれらの細胞にとって最適であったが、他の細胞、またはこれらの同じ細胞の他の機能は、異なる条件下で最適に働くかもしれないことが当業者に認識されよう。
本発明の別の態様において、合成高分子層16は、イオン化可能な基を有する第1のモノマーおよび疎水基を有する第2のモノマーを含むコポリマーを有してもよい。例えば、高分子層16は、以下に限られないが、マレイン酸およびエチレンなどのアルキルモノマーのコポリマーであってもよい。イオン化可能な基は、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの組合せを有してもよい。さらに別の態様において、合成高分子層16は、イオン化可能な基を有する第1のモノマー、第2のモノマーおよび疎水性ペンダント基を有する第3のモノマーのターポリマーを有してもよい。第2と第3のモノマーは、エチレン、スチレン、オクタデセン、メチルビニルエーテル、イソブチレンまたはそれらの組合せを含んでよい。実施の形態において、第2と第3のモノマーは、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリルアミド、アクリレート基またはそれらの組合せであってよく、疎水性ペンダント基を有してもよく、ここで、疎水性ペンダント基は、アルキル(シクロアルキルを含む)、アリール、またはアリル基もしくはそれらの組合せであってよい。非限定的例は、マレイン酸、エチレンなどのアルキルモノマー、およびプロピルアクリルアミド基のターポリマーであってよい。
あるいは、合成高分子層16は、イオン化可能な基を有する第1のモノマー、疎水基を有する第2のモノマーおよびペプチドや生物学的リガンドなどの小分子により表面をさらに修飾することのできる反応性の第3のモノマーを含むターポリマーまたはトリポリマーを含んでよい。反応性の第3のモノマーはエチレンであってよい。反応性基の第3のモノマーは、合成高分子層、すなわち、基体が50%未満の反応性基または部分を有するような濃度で存在してよい。
本発明のさらに別の態様において、合成高分子層16は、以下に限られないが、エチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、マレイン酸/酢酸ビニル共重合体、その無水物誘導体またはそれらの任意の混合物を含んでよい。その無水物誘導体をイオン化および/または加水分解して、合成高分子層16において負に帯電したカルボキシレート部分を提供してもよい。本発明の例示の態様において、合成高分子層は、以下に限られないが、n−プロピルアミンなどのアミノ部分により誘導体化されている。誘導体化の量は、約20モル%から約50モル%または約20モル%から約90モル%であってよい。追加の実施の形態において、誘導体化の量は、20モル%超、40モル%超、45モル%超、50モル%超、60モル%超、70モル%超、または80モル%超である。
本発明の別の態様において、合成高分子層16の表面接触角は、培養された細胞の無血清または低血清付着および増殖にとって重要であろう。合成高分子層16の表面接触角は、約10°から約80°、約10°から約70°、約10°から約60°、約10°から約50°、約10°から約40°、または約10°から約30°であってよい。表面接触角は、合成高分子層16の疎水性を反映する。一般に、当該技術分野において、接触角が大きいほど、表面はより疎水性であるのに対し、接触角が小さいほど、表面はより親水性であると理解されている。
本発明の基体10は、基体への細胞の付着または他の望ましい細胞特徴を促進させる小分子をさらに含んでもよい。その小分子は合成高分子層に共有結合または静電結合のいずれにより付着させてもよい。小分子の非限定的例としては、以下に限られないが、ペプチド、タンパク質、生物学的リガンド、グルコース、ガラクトース、N−アセチルガラクトース、ガラクトースおよびN−アセチルガラクトースのアミン化されたものなどの糖、多糖類およびそれらの組合せが挙げられる。細胞付着を支援するペプチドの例は、YIGSR、RGD、ポリロイシン(すなわち、ロイシンダイマーまたはトリマー)またはその擬態物(mimics)であってよい。小分子は、ASGPRなどの肝細胞レセプタまたはEGFレセプタもしくはそれらの擬態物と特異的に相互作用するであろう。例えば、ガラクトースおよびN−アセチルガラクトースは、ASGPRと相互作用するのに対し、ロイシンのオリゴマーなどの疎水性ペプチドまたは部分は、EGFレセプタと相互作用する。しかしながら、小分子を加えない基体それ自体は、適切な細胞付着および機能を提供することが認識されよう。
小分子は、基体の合成高分子に、直接的またはスペーサの使用により間接的いずれで結合してもよい。そのようなスペーサは、当該技術分野において公知であり、小分子を基体に結合させるための官能基および/または長さに基づいて選択されてよい。そのようなスペーサの非限定的例は、アルキルまたはPEGスペーサ(C3〜C18)であってよい。
本発明の実施の形態は、開示された基体を製造する方法も提供する。実施の形態において、その方法は、接合層を基体に結合させる工程を含み、その接合層は、以下に限られないが、アミノシランなどのアミンを含んでよい。さらに別の態様において、接合層は、直鎖または分岐鎖アミノシラン、アミノアルコキシシラン、アミノアルキルシラン、アミノアリールシラン、アミノアリールオキシシラン、もしくはその誘導体または塩に由来であってよい。さらに別の態様において、接合層は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ベータ−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ベータ−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N’−(ベータ−アミノエチル)−3−アミノプロピルメトキシシラン、またはアミノプロピルシルセスキオキサンに由来してよい。
接合層は、支持体に共有結合または静電結合のいずれにより結合させてもよい。接合層は、当該技術分野に公知の様々な技法を使用して基体上に配置してもよい。ある実施の形態において、接合層は、基体上に分配しても、浸漬被覆しても、溶液から吹き付けても、蒸着しても、スピンコートしても、スクリーン印刷しても、またはロボット式ピンプリントまたはスタンプしてもよい。これは、完全に組み立てられた支持体上または底部挿入物のいずれに行ってもよい(例えば、底部挿入物を穴あきプレートに取り付けて、マイクロプレートを形成する前に)。あるいは、第2の接合層があってもよく、この場合、第1の接合層が第2の接合層を通じて支持体に結合する。
この随意的な第2の接合層は、当該技術分野に公知の様々な接着技法を使用して第1の接合層に結合してもよい。ある実施の形態において、第2の接合層は、第1の接合層上に分配しても、浸漬被覆しても、溶液から吹き付けても、蒸着しても、スピンコートしても、スクリーン印刷しても、またはロボット式ピンプリントまたはスタンプしてもよい。これは、完全に組み立てられた支持体上または底部挿入物のいずれに行ってもよい(例えば、底部挿入物を穴あきプレートに取り付けて、マイクロプレートを形成する前に)。
この方法は、合成高分子を接合層に共有結合または静電結合のいずれにより付着させて、合成高分子層を形成する工程をさらに含む。ある実施の形態において、合成高分子層は、接合層上に分配しても、浸漬被覆しても、溶液から吹き付けても、蒸着しても、スピンコートしても、スクリーン印刷しても、またはロボット式ピンプリントまたはスタンプしてもよい。これは、完全に組み立てられた支持体上または底部挿入物のいずれに行ってもよい(例えば、底部挿入物を穴あきプレートに取り付けて、マイクロプレートを形成する前に)。合成高分子層は、複数のイオン化可能な親水基および疎水基を含んでもよい。本発明のある態様において、イオン化可能な基は、以下に限られないが、カルボキシレートまたはイオン対などの負に帯電した基に転化されてもよい。イオン化可能な基の非限定的例は、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、カルボン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アクリル酸またはメタクリル酸であってよい。あるいは、イオン化可能な基は、以下に限られないが、アミノ基などの正に帯電した基に転化しても差し支えない。疎水基は、以下に限られないが、プロピル、エチルまたはフェニルなどの、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリル基を含んでもよい。さらに、イオン化可能な親水基および疎水基自体は、細胞または生体分子を基体に共有結合させないという点で不活性であろう。あるいは、イオン化可能な親水基および疎水基は、細胞または生体分子を基体に共有結合させないという点で不活性である部分に転化されてもよい。言い換えれば、イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基は不活性化されてもよい。例えば、無水物基は、n−プロピルアミンへの共有結合により不活性化されてもよい。この共有結合は「誘導体化」と考えられる。その結果生じた構造は、イオン化可能であり、疎水性であり、不活性化されている。
前記方法は、無水物などの任意の反応性基を合成高分子層の疎水基または帯電基にイオン化または転化する工程をさらに含んでよい。あるいは、合成高分子層を処理して、表面接触角を減少させることにより反映されるように親水性を増加させてもよい。これにより、細胞および生物学的部分の非共有付着が可能になるであろう。ある例示の実施の形態において、この方法は、照射の前または後のいずれかで基体の表面を加水分解する工程をさらに含んでよい。基体の表面の加水分解はさらに、基体の細胞結合特性をさらに向上させるであろう。接合層および合成高分子層の結合後、基体は、少なくとも5分間に亘り、または90分間ほど長くに亘り、緩衝液中で保温する。緩衝液としては、以下に限られないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、他のリン酸緩衝液およびホウ酸緩衝液が挙げられる。緩衝液は、少なくとも約100mMの濃度を有してよく、pHは約7.0から約10.0までであってよい。加水分解後、緩衝液は、脱イオン水で洗浄することによって除去しても、または洗浄せずに除去してもよい。
代わりの例示の実施の形態において、合成高分子層の表面基は、低および高γ線殺菌により所望の部分にイオン化または転化してもよい。高γ線殺菌は約25から約40kGYまでであってよい。低γ線殺菌は10〜18kGYであってよい。理論により拘束することを意図するものではないが、加水分解、照射またはその両方は、基体の表面接触角を変え、その結果、基体の物理的性質を変えるであろう。照射された基体は、約10°から約80°に及ぶまたは約10°から約30°に及ぶ合成高分子層の表面接触角を有するであろう。
さらに別の態様において、前記方法は、照射または緩衝液処理により合成高分子層の疎水基または親水基をイオン化または加水分解する前に、基体に小分子を結合させる工程をさらに含んでもよい。小分子は、基体への細胞付着または他の望ましい細胞特徴を促進させるものであると考えられる。小分子は、基体の照射前に、共有結合または静電結合により、合成高分子層に結合させてもよい。小分子またはその混合物を含む水溶液を基体に加える。小分子含有溶液は、基体が多穴プレートまたは他の容器である場合、穴に加えてもよく、または基体を溶液中に浸漬してもよい。基体の表面上の一貫した結合のために、基体および溶液を穏やかに振盪するかいずれかの様式で動かして、溶液を基体の全体に亘り動かし続けてもよい。結合工程は、結合を生じさせるどのような温度で行ってもよいが、小分子または下にある基体を劣化させない。次いで、基体表面を、以下に限られないが、空気乾燥または小さい生体分子を劣化させない低温条件下での乾燥などの当該技術分野に公知の方法によって乾燥させてもよい。所望の小分子を結合させるためにどの条件を使用するかは、当業者に公知であろう。
さらに別の態様において、小分子溶液の濃度は、ペプチドとタンパク質については、約0.001から約0.005mM、糖については約5mMから約15mMであってよい。小分子の表面への結合は当該技術分野においてよく知られており、所望の小分子は、必要以上の実験を行わずに、本発明の基体に結合させられるであろうと認識されよう。小分子の非限定的例としては、以下に限られないが、ペプチド、タンパク質、生物学的リガンド、グルコース、ガラクトース、N−アセチルガラクトース、ガラクトースおよびN−アセチルガラクトースのアミン化されたものなどの糖、多糖類およびそれらの組合せが挙げられる。細胞付着を支援するペプチドの例は、YIGSR、RGD、RGD配列を含有するペプチド、ポリロイシン(すなわち、ロイシンダイマーまたはトリマー)またはその擬態物であってよい。小分子は、ASGPRなどの肝細胞レセプタまたはEGFレセプタもしくはそれらの擬態物と特異的に相互作用するであろう。例えば、ガラクトースおよびN−アセチルガラクトースは、ASGPRと相互作用するのに対し、ロイシンのオリゴマーなどの疎水性ペプチドまたは部分は、EGFレセプタと相互作用する。しかしながら、小分子を加えない基体それ自体は、適切な細胞付着および機能を提供することが認識されよう。
小分子は、基体の合成高分子に、直接的またはスペーサの使用により間接的いずれで結合してもよい。そのようなスペーサは、当該技術分野において公知であり、小分子を基体に結合させるための官能基および/または長さに基づいて選択されてよい。そのようなスペーサの非限定的例は、アルキルまたはPEGスペーサ(C3〜C18)であってよい。
前記方法は、細胞培養などの殺菌状態を必要とする用途に基体を使用する前に、基体を殺菌する工程をさらに含む。殺菌工程は、基体を細胞培養に使用するときに望ましいであろう。基体にUV線またはγ線を照射してよい。UV処理は、30分間から2時間に亘り365nmであってよい。あるいは、UV処理は45分間から75分間であってよい。別の態様において、基体に、約5から約60kGYまたは約10から約40kGYのγ線を照射してもよい。γ線照射は、約10から約20kGYの低γ線殺菌、または約25から約40kGYの高γ線殺菌のいずれであってもよい。先の工程において合成高分子層をイオン化するのに使用した低γ線および高γ線照射により、基体を同時に殺菌してもよいことが認識されよう。
本発明の基体を製造する方法の例が図3、4および5に示されている。図3、4および5に示されたR2およびR5は、先の図1および2について記載されたようなものであり、ここで、アスタリスクは照射を表し、w、yおよびzは、約0から約30までの整数である。基体の合成高分子層を照射すると、基体の性質が変化することが分かった。照射中に生じる変化を、通常の合成中に典型的または特徴的であり、UVおよびγ線照射自体に関して同じであるどのような結合によっても化学的に定義することは難しい。基体表面の接触角の変化および反応性基の不活性基への転化が、観察された2つの変化である。γ線照射の際により多くのカルボニル基が観察されるが、UV照射ではそれほどでもない。同様に、γ線照射により、より親水性の被覆が生成されるのに対し、UV照射では、より疎水性の被覆が生成される。それゆえ、照射を記載するために、一般的な(*)を使用した。図3は、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド/1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(NHS/EDC)化学反応を使用した、加水分解され誘導体化されたポリマレイン酸を含む合成高分子層を接合層に結合させるための合成経路の一例を示している。この例において、接合層が基体上に堆積される。接合層は、当該技術分野に公知の様々な技法を使用して、基体に堆積させてもよい。例えば、支持体を、接合層の溶液中に浸漬してもよい。さらに別の態様において、接合層は、基体上に分配しても、溶液から吹き付けても、蒸着しても、スクリーン印刷しても、ロボット式ピンプリントまたはスタンプしてもよい。これは、完全に組み立てられた支持体上または底部挿入物のいずれに行ってもよい(例えば、底部挿入物を穴あきプレートに取り付けて、マイクロプレートを形成する前に)。合成高分子層を接合層上に堆積させてもよい。合成高分子層は、当該技術分野に公知の様々な技法を使用して、接合層に結合させてもよい。実施の形態において、合成高分子は、接合層上に分配しても、浸漬被覆しても、溶液から吹き付けても、蒸着しても、スピンコートしても、スクリーン印刷しても、ロボット式ピンプリントまたはスタンプしてもよい。これは、完全に組み立てられた支持体上または底部挿入物のいずれに行ってもよい(例えば、底部挿入物を穴あきプレートに取り付けて、マイクロプレートを形成する前に)。図3および5に示されるように、合成高分子に存在する無水物基を、接合層への結合前に、加水分解してもよい。あるいは、図4に示されるように、合成高分子の無水物基を、合成高分子層が接合層に結合させた後に、加水分解してもよい。NHS/EDCは、カルボン酸基を第一級アミン含有分子により架橋するのに有用である。接合層Xが、第一級アミンを含有するアミノプロピルシルセスキオキサンなどの化合物であり、高分子がカルボン酸基を含有する場合、NHS/EDCを使用して、高分子の接合層への結合を促進させてもよい。NHS/EDC化学反応は当該技術分野において公知である。合成高分子層の接合層への結合後、基体を照射して、基体を殺菌する。
図4および5は、照射前に基体を加水分解する工程も含む。図4は、誘導体化されたポリ無水マレイン酸の接合層Xへの適用を示しており、その後、緩衝液による未反応の無水物基の加水分解およびその後の照射が続く。図5は、接合層への結合の際のN−スクシンイミドエステルの加水分解を示し、これによりポリマレイン酸が形成され、これは、その後の工程において緩衝液への曝露の際にさらに加水分解される。
本発明のある態様において、細胞培養および細胞を利用した検査を行う方法であって、血清または外的に添加されたタンパク質の不在下で本発明の基体上の実施の形態に少なくとも1つの細胞を付着させ、血清または外的に添加されたタンパク質の不在下で基体上の細胞を培養する各工程を含む方法が提供される。細胞は、所望の群集(confluence)に到達するのに必要な時間の量だけ培養してよい。これは、約1日間から約14日間までであってよい。細胞が所望の群集に到達した後、細胞を、直接基体上の細胞を利用した検査に使用してよい。細胞は、血清または血清タンパク質の不在下で基体に付着してもよいが、低レベルの血清または外因性タンパク質を使用してもよい。通常の用途において、培地中10%の血清が、支持体への良好な細胞の付着にとって基準である。実施の形態において、「低血清」条件は、10%未満の血清、7%未満の血清、5%未満の血清、2%未満の血清、0.5%から2%の血清を含む、または無血清の培地であってよい。細胞は、所望の細胞タイプにとって標準的な条件下で培養される。例えば、哺乳類細胞は、CO2制御環境において、約37℃で培養してよい。
細胞は、当業者に望まれるどのような細胞であってもよい。本発明の実施の形態において、細胞は哺乳類細胞である。例としては、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ウサギおよびヒツジを含む哺乳類の初代肝細胞、並びにヒト細胞系統HepG2、HepG2/C3AまたはFaN2−4を含む細胞系統が挙げられる。
本発明の基体にどんな細胞を利用した検査を使用してもよい。基体の支持体の選択は、望ましい検査のタイプに依存することが認識されよう。例えば、望ましい検査のタイプに応じて、6穴または96穴プレートが好ましいであろう。さらに、細胞を利用した検査を使用して、細胞に関するパラメータをいくつ決定してもよい。検査は、薬物のスクリーニングにおけるように、ある化合物に対する細胞の応答または細胞中の目的とする経路を判定するために使用してよい。それは、関心のある化合物または分子に関する毒性、代謝またはバイオアベイラビリティの検査であってもよい。本発明は、検査方法により制限されないことが認識されよう。
本発明の利点および改良が、以下の実施例によりさらに実証され、明白にされる。これらの実施例は、説明のみであり、本発明の他の実施の形態を制限も排除もすることは意図されていない。
実施例1
APS/dEMA基体の合成スキーム: 浸漬被覆または分配プロセスを使用して、2%の水溶液としてアミノプロピルシラン(APS)(Gelest WSA−9911)をガラス上に施すことによって、APS/dEMA基体を製造した。アミノプロピルシランの濃度は、水中20〜25%の濃度で列記されたエマルションから希釈して、2%であった。アミノプロピルシラン層を乾燥させた後、浸漬被覆または分配によって、誘導体化したEMA(dEMA)を施した。EMA(ポリエチレン無水マレイン酸(CAS番号9006−2−2、パート番号188050、Sigma Aldrich、Mw=100,000〜500,000))の誘導体化は、EMA溶液(14mg/ml)へのNMP中の10mg/mlのプロピルアミン溶液の添加により、不活性雰囲気中で行われた。粘着剤(Arocure 09106)を使用して、このガラス挿入物を96穴の穴あきプレートに接着した。
追加の小分子を含むそれら基体について、リン酸またはホウ酸緩衝液中のペプチド、糖またはペプチド+糖の混合物から適切な溶液を調製した。典型的に、10mM濃度の糖および0.002mM濃度のペプチドを使用した。使用した小分子としては、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、RGD、YIGSR、ロイシントリマーおよびロイシンダイマーが挙げられた。100μlの小分子溶液を、マイクロチャンネル・ピペットを使用して、96穴マイクロプレート上のAPS/dEMA基体上に配置し、反応が完了するまで、典型的に、60分間から一晩、プレート振盪機上において室温で培養させた。次いで、穴を殺菌PBSで何回も濯いだ。最後に、プレートにUV(365nm光)を1時間照射した。APS/dEMA合成高分子被覆表面の加水分解は、緩衝液中での小分子との培養中に生じたことに留意されたい。
実施例2
基体表面の分析: APS/dEMAの基体表面への照射処理並びに異なる緩衝液による加水分解の影響を分析した。疎水性および親水性は、接触角を測定することによって分析した。一般に、接触角が大きいほど、表面はより疎水性であるのに対し、接触角が小さいほど、表面はより親水性であることが当該技術分野において理解されている。得られた接触角測定値の要約が表1に与えられている。
Figure 2012527896
表1の最初の欄では、UV殺菌された、低レベル(10〜18kGY)でγ線殺菌された、または高レベル(25〜40kGY)でγ線殺菌されたサンプルに対して、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、加水分解されていないエチレン/無水マレイン酸共重合体を比較している。表1の2番目の欄では、リン酸緩衝生理食塩水により加水分解されたか、またはリン酸緩衝生理食塩水により加水分解され、その後、UV殺菌されたサンプルに対して、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、加水分解されていないエチレン/無水マレイン酸共重合体を比較している。この表の3番目の欄では、ホウ酸緩衝液により加水分解されたか、またはリン酸緩衝生理食塩水により加水分解され、UV殺菌されたサンプルに対して、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、加水分解されていないエチレン/無水マレイン酸共重合体を比較している。最後に、この表の4番目の欄では、ホウ酸緩衝液により加水分解され、その後、脱イオン水により洗浄されたか、または加水分解工程後にUV殺菌が行われたサンプルに対して、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、加水分解されていないエチレン/無水マレイン酸共重合体を比較している。
n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、加水分解されたか、またはされていないエチレン/無水マレイン酸共重合体の、1時間に亘る365nmでのUV殺菌の場合について、接触角は、水洗を使用した場合を除いて、加水分解されていない表面と加水分解された表面の両方について、わずかに増加した。γ線照射により、加水分解されていない表面について、接触角は劇的に減少した。接触角は、低γ線への曝露では、約2分の1に減少し、高γ線への曝露では、約4分の1に減少した。表面接触角の最大の減少が、その後に水洗を行わない、PBSまたはホウ酸緩衝液により加水分解されたサンプルについて、観察された。γ線照射された表面の挙動は、加水分解後にUV殺菌されたものと似ていた。例えば、PBS加水分解後のUV殺菌は、約10度の接触角を示した。
基体表面の様々な処理の化学的比較は、基体のIR分析によって行った。図6は、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、加水分解されていないエチレン/無水マレイン酸共重合体(APS/dEMA)601、365nmで1時間に亘りUVに曝露されたもの602、およびリン酸緩衝生理食塩水により無水物基を酸基に加水分解し、その後、365nmで1時間に亘りUVに曝露されたもの603の赤外線スペクトルを示している。リン酸緩衝生理食塩水に曝露され、その後、UV曝露されたサンプルには、1786cm-1および1857cm-1のピークが明らかにない。603は、加水分解とその結果としての無水物基の損失のためであった。言い換えると、無水物基は前記処理によって不活性化された。図6に示されるように、UV殺菌単独602では、表面を加水分解も、無水物基をカルボン酸基に変化もさせない。代わりに、接触角の変化により示されるように(表1)、表面をわずかにより疎水性にするようである。
図7は、加水分解されていないAPS/dEMAの、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、またはリン酸/水により加水分解されたAPS/dEMAとの比較を示している。リン酸緩衝生理食塩水により加水分解された、UV殺菌されたAPS/dEMA表面も、比較のために含まれている。図7は、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、未処理のエチレン/無水マレイン酸共重合体701、100mMのホウ酸緩衝液(pH=9)で加水分解されたもの702、リン酸緩衝生理食塩水により加水分解されたもの703、100mMのホウ酸緩衝液で加水分解され、脱イオン水で洗浄されたもの704、またはリン酸緩衝生理食塩水により加水分解され、脱イオン水で洗浄され、365nmで1時間に亘りUV殺菌されたもの705の赤外線スペクトルを示している。異なる緩衝液処理は、1857cm-1および1786cm-1の無水物のピークの完全な加水分解、並びに1581cm-1でのカルボン酸陰イオンの強度の変化を示している。水洗によりなくなる、ホウ酸緩衝液への曝露の際の1444および1419cm-1でのバンドの大きな変化は、この時点では説明がつかない。様々な加水分解方法について、1589、1444および1410cm-1のバンドにおける差が見られ、異なる表面が細胞に曝露されることを示す。1589cm-1のバンドは、たぶんカルボン酸塩に起因し、異なる表面についてのこの基の存在が、ホウ酸>リン酸>ホウ酸/水>未加水分解の順に高いことを示す。表面上のこの基の量は、図9に示されるように、細胞付着と相関する。加水分解中に1786cm-1のバンドがないことが、加水分解の際に加水分解されていない表面における無水物官能基の損失を示す。1444cm-1および1419cm-1でのピークは、おそらく水により洗い流されるホウ素と窒素との間の錯体に起因する。
図8は、高レベルで殺菌されたAPS/dEMAおよび未処理のAPS/dEMAに対するUV殺菌されたAPS/dEMAの比較を示している。図8は、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、未処理のエチレン/無水マレイン酸共重合体801、365nmで1時間に亘りUV殺菌されたもの802および未殺菌のもの803の赤外線スペクトルを示している。25〜40kGYでのγ線殺菌は、未殺菌またはUV殺菌の場合と比べて、1856および1786cm-1での無水物バンドに対して1726cm-1のカルボニルバンドにおける変化を示す。1726対1780cm-1の比における差が、γ線殺菌とUV殺菌との間に明らかに見られる。その結果は、γ線殺菌について、1726の1857cm-1に対する相対強度を比べることによって、加水分解されていない未照射表面と比べた加水分解されていないγ線照射表面における無水物基に対してカルボニル基がより多くあったことを示唆している。
γ線照射のみと、リン酸緩衝液またはホウ酸緩衝液いずれかによる加水分解後の影響が、それぞれ、図13および14に示されている。図13および14の両方とも、加水分解され、次いで、γ線殺菌された表面と、加水分解されずにγ線照射された表面を比較している。先の実施例におけるように、表面は、n−プロピルアミンにより約40%誘導体化された、未処理のエチレン/無水マレイン酸共重合体であった。γ線殺菌のみでは、1729を1852cm-1の相対強度、それぞれ、901と902を比較した場合、無水物基と比べてカルボニル基をより多く生成するようであるのに対し、加水分解により、1852および1786cm-1での無水物のピークは完全になくなる903。
実施例3
APS/dEMA基体上の細胞培養の分析: プレート上で培養された細胞は、初代肝細胞、または肝細胞系統HepG2C3aのいずれかであった。HepG2C3a細胞(ATCCカタログ番号CRL−10741)について、培養は、コーニングの組織培養処理済みT75フラスコ上においてMEME(ATCCカタログ番号30−2003)+10%のウシ胎仔血清(Gibcoカタログ番号16000)+1%のペニシリン−ストレプトマイシン(Gibcoカタログ番号15140)中で行った。細胞培養には、20未満の細胞継代を使用した。トリプシン(Gibcoカタログ番号25300)を使用して、T75TCTフラスコのために細胞を分離し、試験のために基体に播種した。播種密度は、LDH付着研究については、25K/穴であった。低温保存した初代細胞培養について、初代肝細胞(Xeno Tech, LLC)を解凍し、Percoll単離キット(Xeno Tech, LLC)を使用して精製した。生存細胞を、対照としてのBDのCollagen Iおよび「Matrigel」表面と共に、様々なAPS/dEMA表面上で10%のFBSを含有するMFE培地(コーニング)または無血清MFE培地またはHBSS内で培養した。播種密度は、96穴フォーマットにおいて60K細胞/穴であった。細胞は、37℃で18〜24時間に亘り付着させた。試験表面上での培養期間の残りに亘り、二日目に培地を無血清MFE培地に切り換えた。
細胞付着は、細胞付着に関するLDHアッセイにより分析し、PremegaのCyto Tox96非放射線細胞毒性アッセイ番号G1780からのキットを使用して行った。図9は、検出されたLDHの量により決定されるように、血清含有条件で増殖した細胞に関する細胞付着データを表す。図9に示されるように、ホウ酸/水およびリン酸と比べた、加水分解されていないAPS/dEMA表面に関するより多い細胞付着が、Topas(登録商標)上に被覆されたAPS/dEMAに観察され、カルボン酸塩とHepG2C3A細胞付着との間の逆の関係を示唆する。LDHのレベルにより測定される、細胞にガラクトースとロイシンダイマーを共に、またはロイシントリマーを添加することの細胞付着への影響が、図10に示されている。付着は、異なる表面上での培養の一日目(斜線の棒)で測定され、七日目(白い棒)に維持が測定された。基本的な表面化学的付着および維持を、それぞれの日にCOllage Iに観察されたものと比較し、Collagen Iの付着/100の%として報告されている。
異なる基体上で培養された初代ヒト肝細胞の遺伝子発現レベルを、定量リアルタイムPCR法を使用して評価した。手短に言うと、全RNAを、最初にRNAquesous−96キット(Applied Biosystems)を使用した初代ヒト肝細胞から単離し、Quanti−iT Ribogreen RNA試薬キット(Invitrogen)を使用して定量した。次いで、cDNAをTaqMan Reverse−Transcription試薬によって合成した。PCR反応は、cDNAを、TaqMan PCR Master Mix溶液を含有する反応混合物に加えることによって調製し、特注のTaqMan低密度アレイ(マイクロ流体カード)内に装填した。PCR増幅したcDNAを、Applied Biosystems 7900HT高速リアルタイムPCRシステムでのリアルタイム蛍光によって検出した。
図11および12は、血清あり(図11)または無血清(図12)の様々なプレート上で培養した初代肝細胞についての遺伝子発現プロファイルを示している。これらの図は、Collagen I上で培養された初代ヒト肝細胞(ゼロのLog10の強度目盛りで誤差棒で示されている、左側)、APS/dEMAのロイシントリマー誘導体、APS/dEMAのガラクトース/ロイシンダイマー誘導体、APS/dEMAおよび「Matrigel」に関する遺伝子発現プロファイルを示している。ここで、ABCB1およびABCB2は肝細胞トランスポータを指し、ALBはアルブミンを指し、CDH1はE−Cadherinを指し、CDKN18はP27を指し、1A2、2B6および3A4は、CYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4を指し、GJB1はギャップ結合タンパク質1を指し、UGT1はグルコロノシルトランスフェラーゼを指す。CYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4は、シトクロムP450酵素1A2、2B6および3A4である。本発明の基体上で培養した細胞に関する初代肝細胞遺伝子発現は、全血清条件下で、CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4およびALBについてCollagen I上で培養した細胞の遺伝子発現を超えた。本発明の基体上で培養した細胞に関する初代肝細胞遺伝子発現は、全血清条件下で、ABCB1、ABCB2、CDH1、CDKN18、GJB1およびUGT1について、Collagen I上で培養した細胞と同様であった。本発明の基体上で培養した細胞に関する初代肝細胞遺伝子発現は、無血清条件下で、CYP1A2およびCYP2B6について、「Matrigel」上で培養した細胞についての遺伝子発現を超えた。本発明の基体上で培養した細胞に関する遺伝子発現は、無血清条件下で、ABCB2、CDH1、CDKN18、CYP3A4、UGT1、GJB1について、「Matrigel」上で培養した細胞と同様であった。
図15および16は、n−プロピルアミンによる異なる誘導体化条件下で、γ線殺菌したAPS/dEMAに関するCollagen Iに対する、3種類のシトクロムP450酵素のCYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4のRTPCR応答を示している。誤差棒は、95%の信頼性のレベルを表す。基体は、無血清条件下(図15)または全血清条件下(図16)のγ線高またはγ線低殺菌レベルであった。無血清条件下でのγ線低殺菌(10〜18kGY)では、最良の応答は43%のdEMAで見られた。γ線高(25〜40kGY)では、誘導体化に対する機能応答は、20%の誘導体化レベルでそれほど明白ではなく、平均で最高の応答を示している。無血清条件は、一般に、全血清よりも良好である。誤差棒は、データにおいて95%の信頼性のレベルを表す。両方の場合について、初代ヒト肝細胞(Xenotech、ロット番号70)を、機能分析の前に、7日間に亘り全血清条件下または無血清条件下でMFE培地(コーニング所有)内で培養した。全血清条件は、10%のウシ胎仔血清レベルを表す。
図17は、APS/dEMA基体を使用して異なる培地条件下で培養した細胞に関するRTPCRデータを示している。43%のAPS/dEMAを低γ線条件下(10〜18kGY)で殺菌し、3種類のシトクロムP450酵素のCYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4に関するMFE培地中でのCollagen Iと比較した。43%のAPS/dEMAの全てを全血清条件下で行った。培地条件は、MFE(コーニング所有の培地、商標)、Gibco(商標)Hepatozyme SFM(カタログ番号17705)、Xenotech肝細胞培養培地(カタログ番号K2300)またはBD(商標)肝細胞培養培地キット(カタログ番号355056)であった。この場合について、初代ヒト肝細胞(Xenotech、ロット番号770)を、機能分析の前に、7日間に亘りそれぞれの培地中で培養した。全血清条件は、10%のウシ胎仔血清レベルを表す。
図18は、低γ線殺菌を使用した、血清ありおよび無血清での、0〜90%の誘導体化を有する表面上で培養した初代細胞における3種類のシトクロムP450酵素のCYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4の基本的遺伝子発現を示している。図18は、高γ線殺菌を使用した、血清ありおよび無血清での、0〜90%の誘導体化を有する表面上で培養した初代細胞における3種類のシトクロムP450酵素のCYP1A2、CYP2B6およびCYP3A4の基底遺伝子発現を示している。誘導体化(不活性化)の割合が増加するにつれて、細胞機能が改善された。図18は、特にCYP3A4の基底遺伝子発現について、基底遺伝子発現は、43%と90%の間の誘導体化または不活性化で改善される。
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の様々な改変および変更を行えることが当業者には明白であろう。それゆえ、本発明は、本発明の改変および変更を、それらが添付の特許請求の範囲およびその同等物の含まれるという条件で包含することが意図されている。
10 基体
12 支持体
14 接合層
16 合成高分子層

Claims (5)

  1. 細胞培養および細胞を利用した検査のための基体において、
    支持体、
    該支持体に結合した、アミノアルキルシランまたはその誘導体を含む接合層、および
    該接合層に結合した合成高分子層であって、複数のイオン化可能な親水基、イオン化可能な疎水基、またはこれらの組合せを含む合成高分子層、
    を備えた基体であって、
    前記イオン化可能な親水基、イオン化可能な疎水基またはそれらの組合せの少なくとも50%が不活性化されていることを特徴とする基体。
  2. 前記接合層がアミノプロピルシランまたはアミノアルキルシルセスキオキサンを含むことを特徴とする請求項1記載の基体。
  3. 前記イオン化可能な親水基およびイオン化可能な疎水基が、マレイン酸、アクリル酸、n−アクリルオキシスクシンアミド、メタクリル酸、スルホン酸またはリン酸、エチレン、スチレン、オクタデセン、メチルビニルエーテル、イソブチレン、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリルアミド、アクリレート基、アルキル、アリル、アリール、またはシクロアルキル基、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルまたは高次のアミンを含むことを特徴とする請求項1記載の基体。
  4. 前記合成高分子層が、エチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、マレイン酸/酢酸ビニル共重合体、そのn−アルキルアミンおよび酸誘導体またはそれらの任意の混合物を含むことを特徴とする請求項1記載の基体。
  5. 前記合成高分子層が、ポリ(メタ)アクリレート−co−N−アクリルオキシスクシンイミド、ポリアクリルアミド−co−N−アクリルオキシスクシンイミド、そのn−アルキルアミンまたは酸誘導体またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1記載の基体。
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