JP2012242214A - 異音検査方法及び異音検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な構成により各種異音の有無を良好に検査できる異音検査方法及び異音検査装置を提供する。
【解決手段】検査対象が発生する音を電気的な音信号に変換し(S1)、得られた音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出し(S3)、得られた音圧レベルの時間軸方向の変化に基づき、音圧レベルの変化が所定の異音に係るものであるか否かを判定するための特徴量を算出し(S7)、算出した特徴量について、その基準値と比較することにより、異音に対応するものであるか否かの判定を行う(S8)。
【選択図】図2
【解決手段】検査対象が発生する音を電気的な音信号に変換し(S1)、得られた音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出し(S3)、得られた音圧レベルの時間軸方向の変化に基づき、音圧レベルの変化が所定の異音に係るものであるか否かを判定するための特徴量を算出し(S7)、算出した特徴量について、その基準値と比較することにより、異音に対応するものであるか否かの判定を行う(S8)。
【選択図】図2
Description
本発明は、検査対象が所定の異音を発するか否かを検査する異音検査方法及び異音検査装置に関する。
車両製造上の不具合から、悪路の走行時等において、ドアのカタカタ音やインストルメントパネルのビビリ音等の異音を発する車両が製造されるおそれがある。このような車両を市場に流出させないために、車両の製造を完了する際に、車両が異音を発生するかどうかを検査し、異音を発生する車両については、異音の原因となる不具合を改善するようにしている。
このような異音の検査に際しては、従来、異音が発生したか否かを判定する装置が用いられる。このような装置として、一般に、検査対象の車両から取得した車内音の音信号について周波数帯域毎に平均化した音圧レベルが一定の閾値を超えた場合に、その車両は異音を発していると判定するというものが、よく用いられる。
このような装置として、例えば、特許文献1には、所定の走行条件が保たれている状態で取得された車内音データに基づいて異音が発生したか否かを判定するようにした異音判定装置が記載されている。
この装置においては、車両以外の外部で発生する環境音を車両の異音であると誤判定するのを防止するために、突発的な環境音が発生した場合には、取得した音信号からその突発的環境音の発生時のものを削除するか、又は取得した音信号からその突発的環境音を減算するようにしている。
しかしながら、上述のように、平均化した音圧レベルが閾値を超えるか否かにより異音の有無を判定する場合、車両以外の外部で発生する環境音中に突発的な環境音が含まれていると、取得した車内音の音信号から突発的な環境音を区別できず、誤った判定を行うおそれがある。
また、異音の持続時間が、音圧レベルを平均化する期間に比べて極めて短いときには、異音に係る音圧レベルも平均化されて他の音圧レベルに埋もれてしまうので、異音を検出することが困難になる。
また、上述の異音判定装置によれば、車両以外の外部で発生する環境音を取得するための装置を、検査対象の車両を走行させる道路に沿って配置するようにしているため、装置の構成が大掛りなものとなる。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、簡便な構成により各種異音の有無を良好に検査できる異音検査方法及び異音検査装置を提供することにある。
本発明に係る異音検査方法は、検査対象が発生する音を電気的な音信号に変換する信号変換工程と、前記信号変換工程で得られた音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出する音圧算出工程と、前記音圧算出工程で得られた音圧レベルの時間軸方向の変化に基づき、該音圧レベルの変化が所定の異音に係るものであるか否かを判定するための特徴量を算出する特徴量算出工程と、前記特徴量算出工程で算出された特徴量について、該特徴量の基準値と比較することにより、該算出された特徴量が前記異音に係るものであるか否かの判定を行う判定工程とを具備することを特徴とする。
本発明の方法によれば、所定の異音であるか否かを判定するための特徴量として、音圧レベルの時間軸方向の変化に基づいて算出される特徴量を採用したので、信号変換工程で取得された音信号中に、異音と同じ周波数帯域や中心周波数の突発的な環境音の信号が含まれている場合であっても、時間軸方向の変化が異なる場合には得られる特徴量の値も異なる。このため、突発的な環境音を異音であると誤判定するのを防止することができる。
また、信号変換工程で得られた音信号を、例えば短時間フーリエ変換(STFT)を用い、時間幅が10msec程度のフレーム単位で周波数領域のスペクトルに変換して音圧レベルを得ることにより、時間軸方向の変化に基づいて得られる特徴量の基準値として、短時間の変化に対応するものを採用することができる。かかる特徴量の基準値を用いることにより、継続時間が短い種類の異音であっても、良好に判別することができる。
したがって、本発明によれば、環境音のみを別途収録して音信号から減算する等の必要なく、簡便な構成により、各種異音の有無を良好に検査することができる。
本発明に係る異音検査装置は、検査対象が発する音を電気的な音信号に変換する信号変換手段と、前記信号変換手段により得られた音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出する音圧算出手段と、前記音圧算出手段により得られた音圧レベルの時間軸方向の変化に基づき、該音圧レベルの変化が所定の異音に係るものであるか否かを判定するための特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量の基準値を記憶する記憶手段と、前記特徴量算出手段により算出された特徴量について、前記特徴量の基準値と比較することにより、該算出された特徴量が前記異音に係るものであるか否かの判定を行う判定手段とを具備することを特徴とする。
これによれば、上述の異音検査方法の発明の場合と同様に、簡便な構成により、各種異音の有無を良好に検査することができる。
本発明において、前記特徴量は、前記音圧レベルの時間軸方向の変化において、該音圧レベルが所定の値からピーク値まで時間Tで立ち上がった場合にその立上り量Mを時間Tで除したM/Tで示される音圧立上り度であってもよい。また、前記特徴量は、前記音圧レベルの時間軸方向の変化において、前記音圧レベルが所定値以上となってから所定値以下となった場合に、その間の持続時間dであってもよい。
かかる特徴量を、異音であるか否かを判定するための特徴量として採用することにより、周波数帯域及び中心周波数が同じような突発的環境音を異音であると誤って判定する確率を減少させることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る異音検査装置の構成を示すブロック図である。この異音検査装置は、被検査車両が段差路、波状路、ペルジアン路等を走行したり、キャッツアイ上を走行したりする際に、ドアのカタカタ音や、インストルメントパネルのビビリ音、シートのキシミ音等の異音が車室内で発生するかどうかを検査するためのものである。
同図に示すように、この異音検査装置は、車室内の音を記録するための2つのマイクロフォン1及び2と、マイクロフォン1及び2からの音信号を処理して所定の異音の有無を検査する処理部3と、処理部3に指示を与えるための操作部4と、処理部3がユーザに対して処理結果等を表示するための表示部5とを備える。
マイクロフォン1及び2は車室内の前席及び後席にそれぞれ配置され、前席及び後席における車室内の音を電気的な音信号に変換する。処理部3は、CPU、記憶装置、プログラム等により構成される。
処理部3は、マイクロフォン1及び2からの音信号を記録する室内音収録部31と、室内音収録部31により記録された音信号について解析を行う音信号解析部32と、音信号解析部32の解析結果に基づき所定の特徴量を算出する特徴量算出部33と、特徴量算出部33により算出された特徴量に基づき、該特徴量が所定の異音に係るものであるか否かを判定する異音判定部34と、異音判定部34による判定の際に参照される異音特徴量テーブル35とを備える。
室内音収録部31は、マイクロフォン1及び2からの音信号をそれぞれデジタル信号に変換して記録する。記録する音信号には、マイクロフォン1及び2が設置された被検査車両が段差路、波状路、ペルジアン路等を走行したり、キャッツアイ上を走行したりする際の車室内の音に係るものが含まれる。
音信号解析部32は、室内音収録部31により記録された音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出する。特徴量算出部33は、音信号解析部32により得られた音圧レベルに基づき、記録された音信号に所定の異音が含まれるか否かを判定するための特徴量を算出する。
異音特徴量テーブル35には、この特徴量の基準値が記憶されている。異音判定部34は、特徴量算出部33により算出された特徴量と、異音特徴量テーブル35の特徴量の基準値とを比較し、算出された特徴量が、所定の異音に対応するものであるか否かを判定する。
図2は、処理部3による異音検査処理を示すフローチャートである。この異音検査処理では、被検査車両が悪路を走行する際に、車室内で所定の異音が発生するか否かが検査される。
操作部4からの指示に応じて異音検査処理を開始すると、図2に示すように、処理部3は、ステップS1において、室内音収録部31により、走行中の被検査車両の前席及び後席に配置されたマイクロフォン1及び2からの音信号を、例えば25.6kHzでサンプリングし、デジタルデータに変換して記録する。次に、音信号解析部32により、ステップS2〜S4までの信号解析処理を行う。
まず、ステップS2では、ステップS1で記録された音信号から悪路に係る音信号を抽出する。すなわち、被検査車両が、段差路や、波状路、ペルジアン路等の悪路を走行したり、キャッツアイ上を走行したりしたことに起因して特定の音圧レベルを超えてから、一定期間が経過するまでの音信号を抽出する。
次に、ステップS3において、ステップS2で抽出した音信号について短時間フーリエ変換(STFT)による時間周波数解析を行う。すなわち、例えば10msecや20msecを1フレームとして、フレーム毎にオクターブ解析を行い、音圧レベルg(k,t)を得る。kは周波数インデックスであり、tはフレームインデックスである。
次に、ステップS4において、ステップS3で得られた音圧レベルg(k,t)について、周波数帯域毎の音圧レベルの時間的な平均値h(k)を算出する。算出される平均値h(k)は、突発音を検出する際の基準となる。
突発音とは、ここでは、突発的に平均値h(k)を所定音圧レベルを超えて出現する音圧レベルに対応する音である。突発音には、被検査車両の不具合に起因するカタカタ音のような一連の異音を構成する1つずつの音の他、被検査車両以外の原因により環境音として突発的に発生するものが含まれる。
図3は、ステップS4で算出される平均値h(k)の一例を示す。平均値h(k)は、主として被検査車両の走行音に起因する成分を反映したものとなる。したがって、図3のように比較的低域にピークがある周波数特性を有するとともに、周波数特性は被検査車両が走行する悪路の種類や被検査車両の種類によって異なる。
次に、特徴量算出部33により、ステップS5〜S7の処理を行う。まず、ステップS5において、ステップS3で得られた音圧レベルg(k,t)とステップS4で算出した平均値h(k)との差を算出し、この差が、所定の基準音圧差Dを超える場合があるか否かを判定する。すなわち、D<g(k,t)−h(k)が成立するg(k,t)が存在するか否かを判定する。この関係が成立するとき、g(k,t)−h(k)により算出される音圧レベルの音信号部分が、突発音を構成する。
図4は、この判定に供されるi番目のフレーム(t=i)のg(k,i)とh(k)の一例を示す。この例では、該フレームにおけるg(k,i)が、平均値h(k)のピークより高音側においてもピークを示している。この高音側ピークの前後の周波数範囲において、D<g(k,i)−h(k)が成立する。この関係を満足するg(k,i)−h(k)の音圧レベルが、該フレームでの突発音を構成している。
ステップS5において、D<g(k,t)−h(k)が成立するg(k,t)が存在しないと判定した場合には、ステップS2で抽出した音信号中に、突発音に係る音信号の存在が認められなかったことになるので、そのまま異音検出処理を終了する。一方、存在すると判定した場合には、ステップS6において、突発音の音圧レベルを抽出する。
突発音の音圧レベルの抽出は、ステップS5でD<g(k,t)−h(k)が成立すると判定したg(k,t)について、g(k,t)−h(k)の値を記録することによって行う。
図5は、このようにして記録される1フレーム分の突発音の音圧レベルの一例を示す。この例では、図4で例示したフレームについて記録された突発音の音圧レベルを示している。記録された音圧レベルは、基準音圧差Dを超えた値を有する。このような突発音の音圧レベルの記録が、D<g(k,t)−h(k)を満たすg(k,t)が存在する各フレームについて行われる。
次に、ステップS7において、ステップS6で記録した突発音の音圧レベルに基づき、所定の特徴量を算出する。算出する特徴量は、突発音の中心周波数a、周波数幅b、音圧立上り度c及び持続時間d(以下、「特徴量a〜d」という場合もある。)である。
図6は、中心周波数a及び周波数幅bを示す。g(k,t)−h(k)の値が最も大きいg(k,t)を含むフレームがj番目のフレームであり、このフレームのg(k,j)及びh(k)の関係が図6のようであるとすれば、中心周波数aは、g(k,j)−h(k)の値が最大の値となる周波数である。また、周波数幅bは、このフレームにおいて、D<g(k,j)−h(k)を満足する周波数の幅である。
かかる中心周波数a及び周波数幅bは、音の特徴を表現する基本的な特徴量であり、その値に対応する音域の特徴を把握するために必要とされる特徴量である。
図7は、音圧立上り度c及び持続時間dを示す。D<g(k,t)−h(k)を満たすg(k,t)が存在する各フレームのg(k,t)の値は、時間及び周波数に応じて、例えば図7のように変化する。そして、D<g(k,t)−h(k)を満たすg(k,t)が存在する最初のフレームから最後のフレームまでの時間が持続時間dとされる。
すなわち、持続時間dは、D<g(k,t)−h(k)を満たすg(k,t)が存在するフレームが持続する時間である。また、音圧立上り度cは、g(k,t)−h(k)の最大値、すなわちピーク音圧レベルMを、持続時間dで除した値である。したがって、音圧立上り度c及び持続時間dは、いずれも、音圧レベルの時間軸方向の変化に基づいて算出される特徴量である。
また、持続時間dは、突発的に発生する異音を把握するための特徴量であり、車室内の異音と車外からの環境音とを区別するために用いられる。音圧立上り度cは、音を聞く際に音圧の変化が大きいものが敏感に感じ取られるという人間の聴覚の特性を考慮し、特徴量として採用したものである。
なお、音圧立上り度cは、ピーク音圧レベルMを、D<g(k,t)−h(k)を満たすg(k,t)が存在する最初のフレームから、ピーク音圧レベルMを含むフレームに至るまでの時間Tで除した値M/Tとしてもよい。
次に、異音判定部34により、ステップS8及びS9の処理を行う。すなわち、まず、ステップS8において、ステップS7で算出した特徴量が、被検査車両について予め定められた所定の異音のいずれかに対応するか否かを判定する。この判定では、表1の異音特徴量テーブルが参照される。
なお、表1の異音特徴量テーブルにおける特徴量a〜dの基準値は、単位の異なる各特徴量a〜dについて、同じ尺度で評価できるようにするために、表2の特徴量テーブルにおける本来の計測値に基づく特徴量a〜dの基準値を、平均値及び標準偏差を用いて正規化したものとなっている。
表1の異音特徴量テーブルの「車種」欄には、被検査車両となり得る車両の車種が登録され、「異音」欄には、各車種について発生し得る異音が登録されている。
また、「特徴量の基準値」欄における「中心周波数a」、「周波数幅b」、「音圧立上り度c」及び「持続時間d」の欄には、「異音」欄の異音毎に、その異音の特徴量a〜dについて、比較の基準となる基準値が記録されている。また、「閾値L」欄には、「異音」欄の異音毎に、対応する特徴量a〜dの基準値の中心点に対する距離の閾値Lの値が記録されている。
閾値Lは、突発音が「異音」欄中のいずれかの異音に対応するか否かの判定に用いられるものである。すなわち、閾値Lは、特徴量a〜dの4つのパラメータを座標軸とする四次元空間において、突発音の特徴量a〜dの中心点が、いずれかの異音の特徴量a〜dに係る基準値の中心点から、対応する閾値Lの距離以内に存在するか否かにより、その突発音がいずれかの異音に該当するか否かを判定するために用いられる。
したがって、ステップS7で算出した特徴量a〜dの中心点が、表1における被検査車両の車種のいずれかの異音に対応する特徴量a〜dの基準値の中心点から、その異音に対応する閾値L以下の距離にあれば、ステップS7で算出した特徴量a〜dは、その異音に対応するものであると判定される。すなわち、被検査車両は、その異音を発するものであると判定されることになる。
この場合には、ステップS9において、被検査車両がその異音を発する旨を表示部5において表示し、異音検出処理を終了する。
ステップS7で算出した特徴量a〜dの中心点が、表1における被検査車両の車種の異音について記録されているいずれの特徴量a〜dの基準値の中心点からも、対応する閾値L内の距離になければ、ステップS7で算出した各特徴量は、いずれの異音にも対応しないものであると判定される。すなわち、被検査車両は、いずれの異音も発していないものであると判定されることになる。この場合には、そのまま異音検出処理を終了する。
表1の異音特徴量テーブルは、検査の対象とされ得る各車種について、異音を発する車両を複数台ずつ用意し、上述のステップS1〜S7の処理と同様にして特徴量a〜dを算出することにより作成することができる。その際、取得した特徴量を、例えば、特徴量空間において、NN法(最近傍決定法)で各車種の各異音のクラスタに分類し、中心点を求めることにより、各特徴量a〜dの基準値を求めることができる。
ただし、上述のように、表1の異音特徴量テーブルにおける特徴量a〜dの基準値は、単位の異なる各特徴量a〜dについて同じ尺度で評価できるようにするために、正規化したものとなっている。閾値Lの値としては、対応する異音を特定するのに適した値が採用されるが、その場合、異音の種類を考慮することができる。
すなわち、表1の異音特徴量テーブルにおける各異音の特徴量a〜dの中心点を頂点として、その異音に該当する確率が正規分布を呈するとすれば、異音の特徴によって異音の出方が似ているもの、例えばガラスのビビリ音等に関しては相関値を高く(標準偏差σを小さく)して他の音と区別し易くなるように、閾値Lの値を小さく設定することができる。
逆に、異音の出方にバラツキが大きいもの、例えばスライドドアの打音については、相関値に余裕をもたせて検出率が向上するように、閾値Lの値を大きく設定することができる。このように、異音の種類に応じ、その特徴量a〜dのバラツキ度合いに合わせて閾値Lの値を設定するのが好ましい。ただし、特徴量a〜dを学習させる場合には、相関値を低く(標準偏差σを大きく)して、より精度が高い閾値を自動で学習するようにプログラムするのが好ましい。
以上のように、本実施形態によれば、基本的な特徴量である中心周波数a及び周波数幅bに加え、音圧レベルの時間軸方向の変化に基づいて得られる特徴量として、音圧立上り度c及び持続時間dを採用したので、被検査車両から発する異音と同じ周波数帯域や中心周波数の突発的な環境音が存在する場合であっても、その異音を、極力環境音と混同することなく検出することができる。
その際、短時間フーリエ変換及びオクターブ解析により得られたフレーム毎及び帯域毎の音圧レベルから時間的な平均値を減じた音圧レベルに基づいて各特徴量を算出するようにしたため、突発的な異音を環境音に埋もれさせることなく検出することができる。また、フレームの幅を小さくし、短時間の音圧レベルの変化に基づく特徴量によりステップS8の判定を行うことによって、継続時間が短い種類の異音であっても、良好に判別することができる。
また、減算する時間的平均値として、ステップS3で得られた音圧レベルの時間的平均値を用いるようにしたため、音信号の記録時に走行した悪路の種類に応じた環境音の影響が減算により除去されるので、悪路の種類に拘わらず、異音の有無をより的確に検査することができる。
1,2…マイクロフォン(信号変換手段)、32…音信号解析部(音圧算出手段)、33…特徴量算出部(特徴量算出手段)、34…異音判定部(判定手段)、35…異音特徴量テーブル(記憶手段)。
Claims (6)
- 検査対象が発生する音を電気的な音信号に変換する信号変換工程と、
前記信号変換工程で得られた音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出する音圧算出工程と、
前記音圧算出工程で得られた音圧レベルの時間軸方向の変化に基づき、該音圧レベルの変化が所定の異音に係るものであるか否かを判定するための特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記特徴量算出工程で算出された特徴量について、該特徴量の基準値と比較することにより、該算出された特徴量が前記異音に係るものであるか否かの判定を行う判定工程とを具備することを特徴とする異音検査方法。 - 前記特徴量は、前記音圧レベルの時間軸方向の変化において、該音圧レベルが所定の値からピーク値まで時間Tで立ち上がった場合にその立上り量Mを時間Tで除したM/Tで示される音圧立上り度であることを特徴とする請求項1に記載の異音検査方法。
- 前記特徴量は、前記音圧レベルの時間軸方向の変化において、前記音圧レベルが所定値以上となってから所定値以下となった場合に、その間の持続時間dであることを特徴とする請求項1に記載の異音検査方法。
- 検査対象が発する音を電気的な音信号に変換する信号変換手段と、
前記信号変換手段により得られた音信号に基づき、所定時間幅のフレーム毎に、所定幅の帯域毎の音圧レベルを算出する音圧算出手段と、
前記音圧算出手段により得られた音圧レベルの時間軸方向の変化に基づき、該音圧レベルの変化が所定の異音に係るものであるか否かを判定するための特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量の基準値を記憶する記憶手段と、
前記特徴量算出手段により算出された特徴量について、前記特徴量の基準値と比較することにより、該算出された特徴量が前記異音に係るものであるか否かの判定を行う判定手段とを具備することを特徴とする異音検査装置。 - 前記特徴量は、前記音圧レベルの時間軸方向の変化において、該音圧レベルが所定の値からピーク値までMだけ時間Tで立ち上がった場合にM/Tで示される音圧立上り度であることを特徴とする請求項4に記載の異音検査装置。
- 前記特徴量は、前記音圧レベルの時間軸方向の変化において、前記音圧レベルが所定値以上となってから所定値以下となった場合に、その間の持続時間dであることを特徴とする請求項4に記載の異音検査装置。
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