JP2011235532A - 接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い寸法精度で強固に、かつ短時間で効率よく接合することができる接合膜を用いて部材同士を接合する接合方法を提供する。
【解決手段】接合方法は、シロキサン結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合し、有機基からなる脱離基とを含む接合膜3を、プラズマ重合により前記基板上に形成することにより接合膜付き基材1を得る工程と、接合膜にエネルギーを付与することにより接合膜の表面に対向基板2との接着性を発現させる工程と、接合膜と対向基板とが密着するように、接合膜付き基材と前記対向基板とを貼り合わせることにより仮接合体を得る工程と、仮接合体を、前記第2の工程における前記接合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温で加熱することにより、前記接合膜の接合強度を向上させて接合体を得る工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合方法に関するものである。
2つの部材(基材)同士を接合(接着)する際には、従来、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤等の接着剤を用いて行う方法が多く用いられている。
例えば、従来のインクジェットプリンタが備える液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)では、樹脂材料、金属材料、シリコン系材料等の異種材料からなる部材同士が、接着剤を用いて接着されている(例えば、特許文献1参照)。
このように接着剤を用いて部材を接着する際には、液状またはペースト状の接着剤を接着面に塗布し、塗布された接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により接着剤を硬化させることで接着が完了する。
ところが、部材の接着面に接着剤を塗布する際には、印刷法等の煩雑な方法を用いる必要がある。例えば、接着面の一部の領域に対して選択的に接着剤を塗布する場合、塗布の位置精度や厚さを厳密に制御することは極めて困難である。このため、このように接着剤を用いた接着方法では、前述の液滴吐出ヘッドの部材同士を高い寸法精度で接着することは困難である。その結果、プリンターの印字精度を十分に高めることも困難であった。
また、接着剤の硬化時間が非常に長くなるため、接着に長時間を要するととともに、硬化中に部材同士の位置がずれてしまったり、硬化中の加熱により熱膨張率差のある部材同士の接着界面に熱応力が残留し、液滴吐出ヘッドの変形、損傷を招くおそれがある。
さらに、部材の構成材料によっては、接着強度を高めるためにプライマーを用いる必要があり、そのためのコストと手間が接着工程を複雑化している。
一方、接着剤を用いない接合方法として、固体接合による方法がある。
固体接合は、接着剤等の中間層が介在することなく、部材同士を直接接合する方法である。
このような固体接合によれば、接着剤のような中間層を用いないので、寸法精度の高い接合体を得ることができる。
しかしながら、接合可能な構成材料に制約があるため、部材が限定されるという問題がある。一般に、接合可能な材料は、シリコン系材料や一部の金属材料に限られており、しかも、同種材料同士の接合しかできない。
また、固体接合を行う雰囲気が減圧雰囲気に限られる上、高温(700〜800℃程度)の熱処理を必要とするなど、接合プロセスにも制約がある。
さらに、固体接合では、2つの部材の各接合面のうち、互いに接触している面全体が接合するため、一部を選択的に接合することは困難である。このため、仮に異種材料からなる部材同士を接合することができたとしても、熱膨張率差に伴って接合界面に大きな応力が発生し、接合体の反りや剥離等の問題を引き起こすおそれがある。
このような問題を受け、2つの部材同士を、高い寸法精度で強固に接合する方法が求められている。
そこで、特許文献2では、プラズマ重合法により形成された接合膜を用いて部材同士を接合する方法が提案されている。
このような接合膜は、気相成膜法で成膜されているため、従来に比べて接合膜の位置精度や厚さを厳密に制御しやすく、さらに、部材同士を、接合膜を介して接合するため、接合すべき部材の種類の選択の幅が広いことから、現在、着目されている。
特開2002−254660号公報 特開2008−307873号公報
このようなプラズマ重合法により形成される接合膜は、本発明者のさらなる検討により、部材同士をかかる接合膜を介して接合させた直後には、十分な接合強度が発揮されず、経時的に、その接合強度が向上することが判ってきた。
そのため、例えば、前述した複数の部材で構成される液滴吐出ヘッドの組み立てにおいて、各部材同士の接合に、かかる接合膜を用いると、2つの部材同士の接合には、ある程度の位置精度を確保することができるが、接合する部材の数が増加するにしたがって、部材同士の接合を連続的に行うと、位置ずれが生じ易くなり、製造される液滴吐出ヘッドの寸法精度の低下が懸念される。
したがって、本発明の目的は、短時間で効率よく接合することができる接合膜を用いて部材同士を接合する接合方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の接合方法は、第1の基板と第2の基板とを接合膜を介して接合する接合方法であって、
シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合し、有機基からなる脱離基とを含む接合膜を、プラズマ重合により前記第1の基板上に形成することにより接合膜付き基材を得る第1の工程と、
前記接合膜にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面および表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離することにより、前記接合膜の表面に前記対向基板との接着性を発現させる第2の工程と、
前記接合膜付き基材と前記第2の基板とを貼り合わせることにより仮接合体を得る第3の工程と、
前記仮接合体を、前記第2の工程における前記接合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温で加熱することによって接合体を得る第4の工程とを有することを特徴とする。
これにより、基板と対向基板とを、プラズマ重合により形成された接合膜を介して、高い寸法精度で強固に、かつ短時間で効率よく接合することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の工程において、前記接合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度は、25℃以上、80℃未満であることが好ましい。
これにより、接合膜の表面に活性化させることにより生じた活性手が、膜中に存在するもの同士で結合し、失活化してしまうことに起因して、接合膜の表面に発現した接着性が消失するのを的確に防止または抑制することができる。
本発明の接合方法では、前記第1の工程において、前記基板上に前記接合膜を成膜する際の成膜温度は、前記第4の工程における仮接合体の加熱温度よりも低いことが好ましい。
これにより、第4の工程において仮接合体を加熱した際に、接合膜中に形成されている活性手が失活することに起因して、このものの接合強度が向上する接合膜を確実に形成することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜を成膜する成膜温度は、25℃以上、80℃未満であることが好ましい。
かかる温度範囲に設定することにより、第4の工程において仮接合体を加熱した際に、接合膜中に形成されている活性手が失活することに起因して、このものの接合強度が向上する接合膜を確実に形成することができる。
本発明の接合方法では、前記第3の工程において、前記接合膜付き基材と前記対向基板とを貼り合わせる際の雰囲気の温度は、前記第4の工程における仮接合体の加熱温度よりも低いことが好ましい。
これにより、接合膜付き基材と対向基板とを貼り合わせる前に、接合膜の表面に活性化させることにより生じた活性手が、膜中に存在するもの同士で結合し、失活化してしまうことに起因して、接合膜の表面に発現した接着性が消失するのを的確に防止または抑制することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜付き基材と前記対向基板とを貼り合わせる際の雰囲気の温度は、25℃以上、80℃未満であることが好ましい。
これにより、接合膜付き基材と対向基板とを貼り合わせる前に、接合膜の表面に活性化させることにより生じた活性手が、膜中に存在するもの同士で結合し、失活化してしまうことに起因して、接合膜の表面に発現した接着性が消失するのを的確に防止または抑制することができる。
本発明の接合方法では、前記第4の工程において、前記仮接合体を加熱する温度は、80℃以上、200℃以下であることが好ましい。
これにより、得られる接合体における接合膜の接合強度を確実に向上させることができる。
本発明の接合方法では、前記第1の工程において、前記接合膜は、該接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10原子%以上、90原子%以下のものであることが好ましい。
これにより、接合膜は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜は、基板および対向基板に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
本発明の接合方法では、前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7以上、7:3以下であることが好ましい。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、基板と対向基板とをより強固に接合することができるようになる。
本発明の接合方法では、前記Si骨格の結晶化度は、45%以下であることが好ましい。
これにより、Si骨格は特にランダムな原子構造を含むものとなる。そして、寸法精度および接着性に優れた接合膜が得られる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、Si−H結合を含んでいることが好ましい。
Si−H結合は、シロキサン結合の生成が規則的に行われるのを阻害すると考えられる。このため、シロキサン結合は、Si−H結合を避けるように形成されることとなり、Si骨格の規則性が低下する。このようにして、接合膜中にSi−H結合が含まれることにより、結晶化度の低いSi骨格を効率よく形成することができる。
本発明の接合方法では、前記Si−H結合を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、Si−H結合に帰属するピーク強度が0.001以上、0.2以下であることが好ましい。
これにより、接合膜中の原子構造は、相対的に最もランダムなものとなる。このため、接合膜は、接合強度、耐薬品性および寸法精度において特に優れたものとなる。
本発明の接合方法では、前記脱離基は、アルキル基であることが好ましい。
これにより、耐候性および耐薬品性に優れた接合膜が得られる。
本発明の接合方法では、前記脱離基としてメチル基を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、メチル基に帰属するピーク強度が0.05以上、0.45以下であることが好ましい。
これにより、メチル基の含有率が最適化され、メチル基がシロキサン結合の生成を必要以上に阻害するのを防止しつつ、接合膜中に必要かつ十分な数の活性手が生じるため、接合膜に十分な接着性が生じる。また、接合膜には、メチル基に起因する十分な耐候性および耐薬品性が発現する。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを含むことが好ましい。
これにより、接着性により優れた接合膜が得られる。また、この接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなり、例えば、薬品類等に長期にわたって曝されるような被着体の接合に際して、有効に用いられるものとなる。
本発明の接合方法では、前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を含むことが好ましい。
これにより、接着性に特に優れた接合膜が得られる。
本発明の接合方法では、前記接合膜の平均厚さは、1nm以上、1000nm以下であることが好ましい。
これにより、第1の被着体と第2の被着体とを接合した接合体の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものであることが好ましい。
これにより、接合体の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。また、従来に比べ、短時間で強固な接合が可能になる。
本発明の接合方法では、前記第1の工程において、前記第1の基板および前記第2の基板の双方に前記接合膜を形成することが好ましい。
これにより、基板および対向基板の種類によらず、2つの接合膜を介して確実に基板と対向基板とを強固に接合することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の工程において、前記第1の基板および前記第2の基板に形成された前記接合膜の双方にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の表面に前記対向基板との接着性を発現させることが好ましい。
これにより、基板および対向基板の種類によらず、2つの接合膜を介して確実に基板と対向基板とを強固に接合することができる。
基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の接合方法において接合膜にエネルギーを付与する前の状態を示す部分拡大図である。 本発明の接合方法において接合膜にエネルギーを付与した後の状態を示す部分拡大図である。 本発明の接合方法においてエネルギー付与後の接合膜をさらに加熱した後の状態を示す部分拡大である。 本発明の接合方法に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。 基板上に接合膜を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。 基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の接合方法を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図である。 図12に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。 図12に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。
以下、本発明の接合方法を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の接合方法は、第1の基板と第2の基板とを接合膜を介して接合する接合方法であり、シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合し、有機基からなる脱離基とを含む接合膜を、プラズマ重合により前記第1の基板上に形成することにより接合膜付き基材を得る第1の工程と、前記接合膜にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面および表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離することにより、前記接合膜の表面に前記対向基板との接着性を発現させる第2の工程と、前記接合膜付き基材と前記第2の基板とを貼り合わせることにより仮接合体を得る第3の工程と、前記仮接合体を、前記第2の工程における前記接合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温で加熱することによって接合体を得る第4の工程とを有する。
このような接合方法では、前記接合膜付き基材と第2の基板とを貼り合わせることにより得られた仮接合体を、前記第1の工程における前記接合膜の成膜温度よりも高い温度で加熱するため、得られる接合体における接合膜の接合強度をより強固なものとすることができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の接合方法(本発明の接合方法)の第1実施形態について説明する。
図1および図2は、基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)、図3は、本発明の接合方法において接合膜にエネルギーを付与する前の状態を示す部分拡大図、図4は、本発明の接合方法において接合膜にエネルギーを付与した後の状態を示す部分拡大図、図5は、本発明の接合方法においてエネルギー付与後の接合膜をさらに加熱した後の状態を示す部分拡大図、図6は、本発明の接合方法に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図、図7は、基板上に接合膜を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1ないし図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態にかかる接合方法は、基板(第1の基板)に接合膜を形成する工程と、基板に形成された接合膜に対してエネルギーを付与して、接合膜中から脱離基を脱離させることにより、接合膜を活性化させる工程と、用意した対向基板(第2の基板)と、基板に形成された接合膜とが密着するように、これらを貼り合わせる工程と、接合膜を介して貼り合わされた基板と対向基板とを加熱することにより接合膜の接合強度を向上させて、接合体を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、基板2を用意し、図1(a)に示すように、この基板2上に接合膜3を形成することにより、接合膜付き基材1を得る(第1の工程)。
基板2は、接合膜3を支持する程度の剛性を有するものであれば、いかなる材料で構成されたものであってもよい。
具体的には、基板2の構成材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の樹脂系材料、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこれらの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス鋼、酸化インジウムスズ(ITO)、ガリウムヒ素のような金属系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材料、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのようなセラミックス系材料、グラファイトのような炭素系材料、またはこれらの各材料の1種または2種以上を組み合わせた複合材料等が挙げられる。
また、基板2は、その表面に、Niめっきのようなめっき処理、クロメート処理のような不働態化処理、または窒化処理等を施したものであってもよい。
また、基板(基材)2の形状は、接合膜3を支持する面を有するような形状であればよく、板状のものに限定されない。すなわち、基材の形状は、例えば、塊状(ブロック状)、棒状等であってもよい。
なお、本実施形態では、基板2が板状をなしていることから、基板2が撓み易くなり、基板2は、対向基板4の形状に沿って十分に変形可能なものとなるため、これらの密着性がより高くなる。また、接合膜付き基材1において、基板2と接合膜3との密着性が高くなるとともに、基板2が撓むことによって、接合界面に生じる応力を、ある程度緩和することができる。
この場合、基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.01以上、10mm以下であるのが好ましく、0.1以上、3mm以下であるのがより好ましい。なお、後述する対向基板4の平均厚さも、前述した基板2の平均厚さと同様の範囲内であるのが好ましい。
一方、接合膜3は、基板2と後述する対向基板4との間に位置し、これらの基板2、4の接合を担うものである。
本発明の接合方法に用いられる接合膜3は、プラズマ重合により形成されたものであり、図3〜5に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものである。このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。これは、Si骨格301の結晶性が低くなる(非晶質化する)ため、結晶粒界における転位やズレ等の欠陥が生じ難いためであると考えられる。このため、接合膜3自体が接合強度、耐薬品性、耐光性および寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合体5においても、接合強度、耐薬品性、耐光性および寸法精度が高いものが得られる。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303がSi骨格301から脱離し、図4に示すように、接合膜3の表面35および内部に、活性手304が生じることに起因して、接合膜3の表面に接着性が発現するものである。かかる接着性が発現すると、接合膜3は、対向基板4に対して効率よく接合可能なものとなる。そして、この接合膜3を対向基板4に対して貼り合わせた状態で加熱すると、接合膜3を介した、基板2と対向基板4との接合は、より強固なものとなる。
なお、脱離基303とSi骨格301との結合エネルギーは、Si骨格301中のシロキサン結合302の結合エネルギーよりも小さい。このため、接合膜3は、エネルギーの付与により、Si骨格301が破壊されるのを防止しつつ、脱離基303とSi骨格301との結合を選択的に切断し、脱離基303を脱離させることができる。
また、このような接合膜3は、流動性を有しない固体状のものとなる。このため、従来、流動性を有する液状または粘液状の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。これにより、接合体5の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間での接合が可能となる。
また、得られた接合膜付き基材1を流通させる場合には、接合膜3が固体状であるため、流通または保管途中で接合膜3が流れ出す等の不具合が防止される。
なお、接合膜3においては、特に接合膜3を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10原子%以上90原子%以下であるのが好ましく、20原子%以上80原子%以下であるのがより好ましい。Si原子とO原子とが、前記範囲の含有率で含まれていれば、接合膜3はSi原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜3自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜3は、後工程[4]における加熱の後に、対向基板4に対して特に高い接合強度を示すものとなる。
また、接合膜3中のSi原子とO原子の存在比は、3:7以上7:3以下であるのが好ましく、4:6以上6:4以下であるのがより好ましい。Si原子とO原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、後工程[4]における加熱の後において、接合膜3の安定性が高くなり、対向基板4に対してより強固に接合することができるようになる。
また、接合膜3中のSi骨格301の結晶化度は、45%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。これにより、Si骨格301は十分にランダムな原子構造を含むものとなり、より非晶質的な特性を示す。このため、前述したSi骨格301の特性が顕在化し、接合膜3の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
なお、Si骨格301の結晶化度は、一般的な結晶化度測定方法により測定することができ、具体的には、結晶部分における散乱X線の強度に基づいて測定する方法(X線法)、赤外線吸収の結晶化バンドの強度から求める方法(赤外線法)、核磁気共鳴吸収の微分曲線の下の面積に基づいて求める方法(核磁気共鳴吸収法)、結晶部分には化学試薬が浸透し難いことを利用した化学的方法等により測定することができる。
これらのうち、簡便性等の観点からX線法が好ましく用いられる。
また、Si骨格301の結晶化度を測定する際には、接合膜3に対して上述の測定方法を適用すればよいが、あらかじめ接合膜3に前処理を施しておくのが好ましい。この前処理としては、後述する接合膜3にエネルギーを付与する処理(例えば、紫外線照射処理等)が挙げられる。エネルギーの付与により、接合膜3中の脱離基が脱離し、Si骨格301の結晶化度をより正確に測定することが可能になる。
また、接合膜3は、その構造中にSi−H結合を含んでいるのが好ましい。このSi−H結合は、プラズマ重合法によってシランが重合反応する際に重合物中に生じるものであるが、このとき、Si−H結合がシロキサン結合の生成が規則的に行われるのを阻害すると考えられる。このため、シロキサン結合は、Si−H結合を避けるように形成されることとなり、Si骨格301の原子構造の規則性が低下する。このようにして、プラズマ重合法によれば、結晶化度の低いSi骨格301を効率よく形成することができる。
一方、接合膜3中のSi−H結合の含有率が多ければ多いほど結晶化度が低くなるわけではない。具体的には、接合膜3の赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピークの強度を1としたとき、Si−H結合に帰属するピークの強度は、0.001以上0.2以下程度であるのが好ましく、0.002以上0.05以下であるのがより好ましく、0.005以上0.02以下であるのがさらに好ましい。Si−H結合のシロキサン結合に対する割合が前記範囲内であることにより、接合膜3中の原子構造は、相対的に最もランダムなものとなる。このため、Si−H結合のピーク強度がシロキサン結合のピーク強度に対して前記範囲内にある場合、接合膜3は、接合強度、耐薬品性および寸法精度において特に優れたものとなる。
また、Si骨格301に結合する脱離基303は、Si骨格301から脱離することによって、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないようSi骨格301に確実に結合しているものである必要がある。
なお、プラズマ重合法による成膜の際には、原料ガスの成分が重合して、シロキサン結合を含むSi骨格301と、それに結合した残基とを生成するが、例えばこの残基が脱離基303となり得る。
かかる観点から、脱離基303には、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子を含み、これらの各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものが好ましく用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜3の接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記のような各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基、メルカプト基、スルホン酸基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
これらの各基の中でも、脱離基303は、特に有機基であるのが好ましく、アルキル基であるのがより好ましい。有機基およびアルキル基は化学的な安定性が高いため、有機基およびアルキル基を含む接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
ここで、脱離基303が特にメチル基(−CH)である場合、その好ましい含有率は、赤外光吸収スペクトルにおけるピーク強度から以下のように規定される。
すなわち、接合膜3の赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピークの強度を1としたとき、メチル基に帰属するピークの強度は、0.05以上0.45以下であるのが好ましく、0.1以上0.4以下であるのがより好ましく、0.2以上0.3以下であるのがさらに好ましい。メチル基のピーク強度がシロキサン結合のピーク強度に対する割合が前記範囲内であることにより、メチル基がシロキサン結合の生成を必要以上に阻害するのを防止しつつ、接合膜3中に必要かつ十分な数の活性手が生じるため、接合膜3に十分な接着性が生じる。また、接合膜3には、メチル基に起因する十分な耐候性および耐薬品性が発現する。
このような特徴を有する接合膜3の構成材料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのようなシロキサン結合とそれに結合した脱離基303となり得る有機基とを含む重合物等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、基板2に対して特に強固に被着するとともに、対向基板4に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、基板2と対向基板4とを強固に接合することができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性(非接着性を含む)を示すが、エネルギーを付与されることにより、容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化し、接着性を発現するが、この非接着性と接着性との制御を容易かつ確実に行えるという利点を有する。
なお、この撥水性(非接着性)は、主に、ポリオルガノシロキサン中に含まれた有機基(アルキル基)による作用である。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、エネルギーを付与されることにより、表面35に接着性が発現するとともに、表面35以外の部分においては、前述した有機基(例えば、アルキル基)による作用・効果が得られるという利点も有する。したがって、このような接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなり、例えば、薬品類等に長期にわたって曝されるような光学素子や液滴吐出ヘッドの組み立てに際して、有効に用いられるものとなる。
また、ポリオルガノシロキサンの中でも、特に、オクタメチルトリシロキサンの重合物を含むものが好ましく、主成分とするものがより好ましい。オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とする接合膜3は、接着性に特に優れるものである。また、オクタメチルトリシロキサンを主成分とする原料は、常温で液状をなし、適度な粘度を有するため、取り扱いが容易であるという利点もある。
このような接合膜3の平均厚さは、1nm以上、1000nm程度であるのが好ましく、2nm以上、800nm以下であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、接合体5の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、後工程[4]における加熱の後において、基板2と対向基板4とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合体5の寸法精度が低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が保たれる。このため、例えば、基板2の接合面(接合膜3に隣接する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせた際に、両者の密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上、接合膜3について詳述したが、このような接合膜3は、プラズマ重合により作製されたものである。プラズマ重合によれば、緻密で均質な接合膜3を効率よく作製することができる。これにより、接合膜3は、対向基板4に対して特に強固に接合し得るものとなる。さらに、プラズマ重合で作製された接合膜3は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、接合体5の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
以下、接合膜3を作製する方法について説明する。
かかる構成の接合膜3は、以下のようにして製造されるが、以下、接合膜3の作製方法を説明するのに先立って、プラズマ重合法により接合膜3を作製する際に用いるプラズマ重合装置について説明する。
図6に示すプラズマ重合装置100は、チャンバー101と、基板2を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。以下、各部について詳細に説明する。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態にして使用されるため、内部と外部との圧力差に耐え得る耐圧性能を有するものとされる。
図6に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
チャンバー101の上方には供給口103が、下方には排気口104が、それぞれ設けられている。そして、供給口103にはガス供給部190が接続され、排気口104には排気ポンプ170が接続されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
第1の電極130は板状をなしており、基板2を支持している。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図6に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
第1の電極130の基板2を支持する面には、静電チャック(吸着機構)139が設けられている。
この静電チャック139により、図6に示すように、基板2を鉛直方向に沿って支持することができる。また、基板2に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で基板2をプラズマ処理に供することができる。
第2の電極140は、基板2を介して、第1の電極130と対向して設けられている。なお、第2の電極140は、チャンバー101の側壁の内壁面から離間した(絶縁された)状態で設けられている。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
このような電源回路180によれば、第1の電極130は接地されているので、第1の電極130と第2の電極140との間に高周波電圧が印加される。これにより、第1の電極130と第2の電極140との間隙には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
ガス供給部190は、チャンバー101内に所定のガスを供給するものである。
図6に示すガス供給部190は、液状の膜材料(原料液)を貯留する貯液部191と、液状の膜材料を気化してガス状に変化させる気化装置192と、キャリアガスを貯留するガスボンベ193とを有している。また、これらの各部とチャンバー101の供給口103とが、それぞれ配管194で接続されており、ガス状の膜材料(原料ガス)とキャリアガスとの混合ガスを、供給口103からチャンバー101内に供給するように構成されている。
貯液部191に貯留される液状の膜材料は、プラズマ重合装置100により、重合して基板2の表面に重合膜を形成する原材料となるものである。
このような液状の膜材料は、気化装置192により気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)となってチャンバー101内に供給される。なお、原料ガスについては、後に詳述する。
ガスボンベ193に貯留されるキャリアガスは、電界の作用により放電し、およびこの放電を維持するために導入するガスである。このようなキャリアガスとしては、例えば、Arガス、Heガス等が挙げられる。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される混合ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、混合ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することができる。
排気ポンプ170は、チャンバー101内を排気するものであり、例えば、油回転ポンプ、ターボ分子ポンプ等で構成される。このようにチャンバー101内を排気して減圧することにより、ガスを容易にプラズマ化することができる。また、大気雰囲気との接触による基板2の汚染・酸化等を防止するとともに、プラズマ処理による反応生成物をチャンバー101内から効果的に除去することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定される。
本実施形態では、かかる構成のプラズマ重合装置100を用いて、基板2上に接合膜3を作製する方法を一例として説明する。
本発明の接合方法において、接合膜3は、強電界中に、原料ガスとキャリアガスとの混合ガスを供給することにより、原料ガス中の分子を重合させ、重合物を基板2上に堆積させることにより得ることができる。以下、詳細に説明する。
まず、基板2を用意し、次いで、基板2をプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納して封止状態とした後、排気ポンプ170の作動により、チャンバー101内を減圧状態とする。
次に、ガス供給部190を作動させ、チャンバー101内に原料ガスとキャリアガスの混合ガスを供給する。供給された混合ガスは、チャンバー101内に充填される(図7(a)参照)。
ここで、混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20%以上、70%以下に設定するのが好ましく、30%以上、60%以下に設定するのがより好ましい。これにより、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
また、供給するガスの流量は、ガスの種類や目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量を、それぞれ、1ccm以上、100ccm以下に設定するのが好ましく、10ccm以上、60ccm以下に設定するのがより好ましい。
次に、電源回路180を作動させ、一対の電極130、140間に高周波電圧を印加する。これにより、一対の電極130、140間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図7(b)に示すように、重合物が基板2の表面25上に付着・堆積する。これにより、プラズマ重合膜からなる接合膜3が形成される(図7(c)参照)。
また、プラズマの作用により、基板2の表面25が活性化・清浄化される。このため、原料ガスの重合物が基板2の表面に堆積し易くなり、接合膜3の安定した成膜が可能になる。このようにプラズマ重合によれば、基板2の構成材料によらず、基板2上に接合膜3を確実に成膜することができる。
原料ガスとしては、例えば、メチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシロキサンのようなオルガノシロキサン等が挙げられる。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜、すなわち接合膜3は、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポリオルガノシロキサンで構成されることとなる。
プラズマ重合の際、一対の電極130、140間に印加する高周波の周波数は、特に限定されないが、1kHz以上、100MHz以下であるのが好ましく、10MHz以上、60MHz以下であるのがより好ましい。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01W/cm以上、100W/cm以下であるのが好ましく、0.1cm以上、50W/cm以下であるのがより好ましく、1cm以上、40W/cm以下であるのがさらに好ましい。高周波の出力密度を前記範囲内とすることにより、高周波の出力密度が高過ぎて原料ガスに必要以上のプラズマエネルギーが付加されるのを防止しつつ、ランダムな原子構造を有するSi骨格301を確実に形成することができる。すなわち、高周波の出力密度が前記下限値を下回った場合、原料ガス中の分子に重合反応を生じさせることができず、接合膜3を形成することができないおそれがある。一方、高周波の出力密度が前記上限値を上回った場合、原料ガスが分解する等して、脱離基303となり得る構造がSi骨格301から分離してしまい、得られる接合膜3において脱離基303の含有率が低くなったり、Si骨格301のランダム性が低下する(規則性が高くなる)おそれがある。
また、成膜時のチャンバー101内の圧力は、133.3×10−5〜1333Pa(1×10−5〜10Torr)程度であるのが好ましく、133.3×10−4〜133.3Pa(1×10−4〜1Torr)程度であるのがより好ましい。
原料ガス流量は、0.5〜200sccm程度であるのが好ましく、1〜100sccm程度であるのがより好ましい。一方、キャリアガス流量は、5〜750sccm程度であるのが好ましく、10〜500sccm程度であるのがより好ましい。
処理時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、4〜7分程度であるのがより好ましい。
また、基板2上に接合膜3を成膜する際の成膜温度、すなわちチャンバー101内の設定温度は、後工程[4]において、仮接合体を加熱する加熱温度よりも低いのが好ましい。
具体的には、チャンバー101内の設定温度は、25℃以上、80℃未満であるのが好ましく、40℃以上、60℃以下であるのがより好ましい。
チャンバー101内をかかる温度範囲に設定することにより、後工程[4]において仮接合体5’を加熱した際に、膜中に形成されている活性手304が失活することに起因して、このものの接合強度が向上する接合膜3を確実に形成することができる。
以上のようにして、プラズマ重合装置100を用いて、基板2上に接合膜3が形成される。
なお、プラズマ重合により形成された接合膜3は、光を透過させることができるが、接合膜3の屈折率は1.35以上、1.6以下の範囲で調整することが可能となる。このような接合膜3は、その屈折率が、水晶や石英ガラスの屈折率に近いため、前述したように、接合膜3を光路が貫通するような構造の光学部品を製造する際に好適に用いられる。
また、接合膜3は、水晶や石英ガラスの熱膨張率に近いため、接合膜3と光学部品との熱膨張率の差が小さくなり、後工程[4]において得られる接合体5の接合後の変形を抑制することができる。
なお、基板2の少なくとも接合膜3を形成すべき領域には、基板2の構成材料に応じて、接合膜3を形成する前に、あらかじめ、基板2と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、基板2の接合膜3を形成すべき領域を清浄化するとともに、該領域を活性化させることができる。これにより、基板2と接合膜3との接合強度を高めることができる。
また、これらの各表面処理の中でもプラズマ処理を用いることにより、接合膜3を形成するために、基板2の表面を特に最適化することができる。
なお、表面処理を施す基板2が、樹脂材料(高分子材料)で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、基板2の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3の接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる基板2の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
このような材料で構成された基板2は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、比較的活性の高い水酸基が結合している。したがって、このような材料で構成された基板2を用いると、上記のような表面処理を施さなくても、基板2と接合膜3との密着強度を高めることができる。
なお、この場合、基板2の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合膜3を形成すべき領域の表面付近が上記のような材料で構成されていればよい。
[2]次に、図1(b)に示すように、接合膜付き基材1が備える基板2上の接合膜3の表面35に対してエネルギーを付与する(第2の工程)。
エネルギーが付与されると、接合膜3では、図4に示すように、脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、接合膜3の表面35および内部に活性手が生じる。これにより、接合膜3の表面35付近に、対向基板4との接着性が発現する。
このような状態の接合膜付き基材1は、対向基板4と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよく、例えば、エネルギー線を照射する方法、接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。これらの中でも、接合膜3にエネルギーを付与する方法として、本実施形態では、特に、接合膜3にエネルギー線を照射する方法、または、接合膜3をプラズマに曝す方法を用いるのが好ましい。これらの内、エネルギー線を照射する方法は、接合膜3に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができることから、また、プラズマに曝す方法は、接合膜3の表面付近を選択的に活性化させることができ、接合膜3の収縮がないか極めて少ないため、エネルギー付与方法として好適に用いられる。
これらのうち、エネルギー線を照射する方法を用いる場合、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等、またはこれらのエネルギー線を組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長150nm以上、300nm以下の紫外線を用いるのが好ましい(図1(b)参照)。かかる紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜3中のSi骨格301が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、Si骨格301と脱離基303との間の結合を選択的に切断することができる。これにより、接合膜3の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜3に接着性を発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、脱離基303の脱離を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、160〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜3の面積に応じて異なるが、1mW/cm〜1W/cm程度であるのが好ましく、5mW/cm〜50mW/cm程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜3の表面35付近の脱離基303を脱離し得る程度の時間、すなわち、接合膜3の内部の脱離基303を多量に脱離させない程度の時間とするのが好ましい。具体的には、紫外線の光量、接合膜3の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分程度であるのが好ましく、1〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザー光としては、例えば、エキシマレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、COレーザー、He−Neレーザー等が挙げられる。
また、接合膜3に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、特に大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜3に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による基板2の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、接合膜3から脱離する脱離基303の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基303の脱離量を調整することにより、接合膜3を介した基板2と対向基板4との間の接合強度を容易に制御することができる。
すなわち、脱離基303の脱離量を多くすることにより、接合膜3の表面35および内部に、より多くの活性手が生じるため、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基303の脱離量を少なくすることにより、接合膜3の表面および内部に生じる活性手を少なくし、接合膜3に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
また、エネルギーを付与する方法として、プラズマに曝す方法を用いる場合、接合膜3に対するプラズマの接触は、例えば、前述したプラズマ重合装置100を用いて行うことができる。かかる装置を用いれば、接合膜3の形成と、接合膜3へのエネルギー付与とを同一の装置内で行うことができるので、接合体5を得るための時間の短縮化を図ることができる。
プラズマに曝すことによるエネルギー付与は、ガス供給部190からチャンバー101内に供給するガスの種類を、原料ガスとキャリアガスの混合ガスに代えて、処理ガスを用いることにより行うことができる。
この処理ガスとしては、特に限定されないが、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガスのような希ガス、酸素ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、処理ガスには、希ガスを主成分とするガスを用いるのが好ましく、特にヘリウムガスを主成分とするガスを用いるのが好ましい。
すなわち、処理に用いるプラズマは、ヘリウムガスを主成分とするガスをプラズマ化したものであるのが好ましい。ヘリウムガスを主成分とする処理ガスは、プラズマ化の際にオゾンを発生させ難く、このため、接合膜3の表面35のオゾンによる変質(酸化)を防止することができる。その結果、接合膜3の活性化の程度が低下するのを抑制すること、すなわち、接合膜3を確実に活性化させることができる。
この場合、ヘリウムガスを主成分とする処理ガスのガス供給部190からチャンバー101への供給速度は、10以上、20000sccm以下であるのが好ましく、30以上、15000sccm以下であるのがより好ましい。これにより、接合膜3の活性化の程度を制御し易くなる。
また、この処理ガス中のヘリウムガスの含有量は、85vol%以上が好ましく、90vol%以上(100%も含む)がより好ましい。これにより、前述した効果をさらに顕著に発揮させることができる。
ここで、エネルギーが付与される前の接合膜3は、図3に示すように、Si骨格301と脱離基303とを有している。かかる接合膜3にエネルギーが付与されると、脱離基303(本実施形態では、メチル基)がSi骨格301から脱離する。これにより、図4に示すように、接合膜3の表面35に活性手304が生じ、活性化される。その結果、接合膜3の表面に接着性が発現する。
ここで、接合膜3を「活性化させる」とは、接合膜3の表面35および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301において終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。このような活性手304によれば、対向基板4に対して、特に強固な接合が可能となる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜3に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成することができる。
なお、本実施形態では、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる前に、あらかじめ、接合膜付き基材1の接合膜3に対してエネルギーを付与する場合について説明したが、エネルギーを付与する方法としてエネルギー線を照射する方法を選択した場合には、かかるエネルギーの付与を、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる(重ね合わせる)際、または貼り合わせた(重ね合わせた)後に行うようにしてもよい。
また、後述するように、本発明では、接合膜3にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温で、後工程[4]において、仮接合体5’を加熱する。すなわち、本工程[2]において、接合膜3にエネルギーを付与する際に、その雰囲気の温度を、後工程[4]において、仮接合体5’を加熱する温度より低く設定する。
具体的には、接合膜3にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度は、25℃以上、80℃未満であるのが好ましく、40℃以上、60℃以下であるのがより好ましい。
接合膜3にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度をかかる範囲に設定することにより、接合膜3の表面35に活性化させることにより生じた活性手304が、膜中に存在するもの同士で結合し、失活化してしまうことに起因して、接合膜3の表面に発現した接着性が消失するのを的確に防止または抑制することができる。
[3]次に、対向基板(他の被着体)4を用意し、図1(c)に示すように、活性化させた接合膜3と対向基板4とが密着するように、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる(第3の工程)。
これにより、図2(d)に示すような、基板2と対向基板4とが接合膜3を介して接合された仮接合体5’が得られる。
ここで、本工程において、接合膜付き基材1と対向基板4とが接合膜3の表面に発現した接着性に基づいて接合されるメカニズムについて説明する。
例えば、対向基板4の接合膜付き基材1との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、接合膜付き基材1の接合膜3と対向基板4とが接触するように、これらを貼り合わせたとき、接合膜付き基材1の接合膜3の表面35に存在する水酸基と、対向基板4の前記領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、接合膜付き基材1と対向基板4とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、脱水縮合する。その結果、接合膜付き基材1と対向基板4との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が酸素原子を介して結合することにより、接合膜付き基材1と対向基板4とが接合されると推察される。すなわち、基板2と対向基板4とが接合膜3を介して接合されると推察される。
しかしながら、かかる構成の接合膜3を介した基板2と対向基板4との接合では、本発明者のさらなる検討により、上述したような脱水縮合反応は、接合膜3の表面35を対向基板4に接触させた直後には十分には進行しないため、仮接合体5’に対して外力が作用した際等に、対向基板4に対する基板2の位置ズレが生じてしまうことが判ってきた。
このような仮接合体5’に関して、本発明者は、さらなる検討を行った結果、仮接合体5’に対して、加熱することにより、上述した脱水縮合反応が早期に進行し、接合膜3を介した基板2と対向基板4との接合強度が向上し、その結果、仮接合体5’に生じる位置ズレを効果的に防止し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、仮接合体5’を加熱する方法、仮接合体5’の接合強度が向上するメカニズム等については、次工程[4]において詳述する。
また、本工程で用意する対向基板4としては、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、具体的には、前述した基板2の構成材料と同様の材料が挙げられ、対向基板4および基板2の構成材料は、基板2と異なっていても同じでもよい。
さらに、対向基板4の形状も、基板2と同様、接合膜3が密着する面を有する形状であれば、特に限定されず、例えば、板状(層状)、塊状(ブロック状)、棒状等とされる。
このような対向基板4の接合膜付き基材1との接合に供される領域には、対向基板4の構成材料に応じて、接合を行う前に、あらかじめ、対向基板4と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜付き基材1と対向基板4との接合強度をより高めることができる。
なお、表面処理としては、基板2に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
また、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる際の雰囲気の温度は、後工程[4]において、仮接合体5’を加熱する加熱温度よりも低いのが好ましい。
具体的には、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる際の雰囲気の温度は、25℃以上、80℃未満であるのが好ましく、40℃以上、60℃以下であるのがより好ましい。
接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる際の雰囲気の温度をかかる範囲に設定することにより、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる前に、接合膜3の表面35に活性化させることにより生じた活性手304が、膜中に存在するもの同士で結合し、失活化してしまうことに起因して、接合膜3の表面に発現した接着性が消失するのを的確に防止または抑制することができる。
[4]次に、接合膜3を介して基板2と対向基板4とが貼り合わされた接合体5’を加熱することにより、接合膜3の接合強度を向上させて、図2(e)に示すような接合体5を得る。
ここで、加熱される前の接合膜3は、図4に示すように、接合膜3の表面35に活性手304が生じた状態となっている。このような状態で、接合膜付き基材1に対向基板4を貼り合わせると、前述したように、例えば、接合膜3と対向基板4の表面とに存在する水酸基が、水素結合によって互いに引き合うこととなるが、本工程[4]のように、仮接合体5’を加熱する構成とすることにより、接合膜3および対向基板4中における分子の運動エネルギーが向上するため、水酸基同士が互いに接触する接触機会が増大することから、これら接合膜3と対向基板4との間においてより多くの水素結合を生じさせることができる。さらに、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士を、より早期に脱水縮合させることができるため、仮接合体5’の加熱により、接合膜3の接合強度を短時間により向上させることができるものと推察される(図5参照。)。
このように、水酸基等の活性手304に結合が生じ、活性手304が不活化(消失)することに起因して、接合膜3の接合強度が向上する。
このとき、仮接合体5’を加熱する際の温度は、本発明の接合方法では、前記工程[2]における接合膜3にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温に設定される。これにより、活性化された活性手304を消失させて、上述したような脱水縮合反応を短時間で進行させることができるため、得られる接合体5における接合膜3は、優れた接合強度を発揮するものとなる。
具体的には、仮接合体5’を加熱する温度は、80℃以上、200℃以下であるのが好ましく、100℃以上、150℃以下であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1分以上、30分以下であるのが好ましく、5分以上、15分以下であるのがより好ましい。
接合膜3を加熱する際の条件をかかる範囲内に設定することにより、得られる接合体5における接合膜3の接合強度を確実に向上させることができる。
このようにして得られた接合体5では、従来の接合方法で用いられていた接着剤のように、主にアンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のような短時間で生じる強固な化学的結合に基づいて、接合膜付き基材1と対向基板4とが接合されている。このため、接合体5は短時間で形成することができ、かつ、極めて剥離し難く、接合ムラ等も生じ難いものとなる。
また、このような接合膜付き基材1を用いて得られた接合体5を得る方法によれば、従来の固体接合のように、高温(例えば、700℃以上)での熱処理を必要としないことから、耐熱性の低い材料で構成された基板2および対向基板4をも、接合に供することができる。
また、接合膜3を介して基板2と対向基板4とを接合しているため、基板2や対向基板4の構成材料に制約がないという利点もある。
以上のことから、本発明の接合方法によれば、基板2および対向基板4の各構成材料の選択の幅をそれぞれ広げることができる。
さらに、接合体5’を加熱する構成とすることにより、接合膜3の接合強度を短時間により確実に向上させることができる
また、固体接合では、接合層を介していないため、基板2と対向基板4との間の熱膨張率に大きな差がある場合、その差に基づく応力が接合界面に集中し易く、剥離等が生じるおそれがあったが、接合体5では、接合膜3によって応力の集中が緩和され、剥離を防止することができる。
以上のようにして、図2(e)に示す接合体5を得ることができる。
なお、図2(e)では、接合膜付き基材1の接合膜3の全面を覆うように対向基板4を重ね合わせているが、これらの相対的な位置は、互いにずれていてもよい。すなわち、接合膜3から対向基板4がはみ出るように、接合膜付き基材1と対向基板4とが重ね合わされていてもよい。
このようにして得られた接合体5は、基板2と対向基板4との間の接合強度が5MPa(50kgf/cm)以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm)以上であるのがより好ましい。このような接合強度を有する接合体5は、その剥離を十分に防止し得るものとなる。そして、後述のように、本発明の接合方法により得られる接合体5を、例えば、液滴吐出ヘッドに適用した場合、耐久性に優れた液滴吐出ヘッドを優れた歩留まりで製造することができる。また、接合膜付き基材1によれば、基板2と対向基板4とが上記のような大きな接合強度で接合された接合体5を効率よく作製することができる。
なお、従来のシリコン直接接合のような固体接合では、接合に供される表面を活性化させても、その活性状態は、大気中で数秒〜数十秒程度の極めて短時間しか維持することができなかった。このため、表面の活性化を行った後、接合する2つの基板を貼り合わせる等の作業に要する時間を、十分に確保することができないという問題があった。
これに対し、本発明によれば、Si骨格301を有する接合膜3を用いて接合を行っているため、長時間にわたって活性状態を維持することができる。このため、貼り合わせ作業に要する時間を十分に確保することができ、接合作業の効率化を高めることができる。
なお、接合体5を得た後、この接合体5に対して、接合体5の接合強度を高めるために、以下の工程を行うようにしてもよい。これにより、接合体5の接合強度のさらなる向上を図ることができる。
[5]本工程では、得られた接合体5を、基板2と対向基板4とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、基板2の表面および対向基板4の表面に、それぞれ接合膜3の表面がより近接し、接合体5における接合強度をより高めることができる。
また、接合体5を加圧することにより、接合体5中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、接合体5における接合強度をさらに高めることができる。
このとき、接合体5を加圧する際の圧力は、接合体5が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して接合体5における接合強度を高めることができる。
なお、この圧力は、基板2および対向基板4の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、基板2および対向基板4の各構成材料や各厚さ等に応じて若干異なるものの、0.2MPa以上、10MPa以下であるのが好ましく、1MPa以上、5MPa以下であるのがより好ましい。これにより、接合体5の接合強度を確実に高めることができる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、基板2および対向基板4の各構成材料によっては、基板2および対向基板4に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体5を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、前記工程[5]を、前記工程[4]の後に施す場合について説明したが、かかる場合に限定されず、前記工程[3]および/または前記工程[4]と同時に、前記工程[5]を施すようにしても、接合体5における接合強度のさらなる向上を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の接合方法の第2実施形態について説明する。
図8および図9は、基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図8および図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付き基材と、接合膜を備える対向基板(基板)とを接合するようにしたこと、すなわち、2枚の接合膜付き基材同士を接合するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
換言すれば、本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付き基材を2枚用意する工程と、それぞれの接合膜付き基材が有する各接合膜に対してそれぞれエネルギーを付与して、各接合膜を活性化させる工程と、各接合膜同士が密着するように、2枚の接合膜付き基材同士を貼り合わせる工程と、2つの接合膜を介して貼り合わされた基板同士を加熱することにより接合膜の接合強度を向上させて、接合体を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、前記第1実施形態と同様にして、2枚の接合膜付き基材1を製造する(図8(a)参照)。
なお、本実施形態では、これら2枚の接合膜付き基材1は、図8(a)に示すように、用意した基板210上に接合膜31を形成するとともに、別途用意した基板220上に接合膜32を形成することにより得ることができる。
[2]次に、図8(b)に示すように、2枚の接合膜付き基材1の各接合膜31、32に対して、それぞれエネルギーを付与する。
各接合膜31、32にエネルギーが付与されると、各接合膜31、32では、図3に示す脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、図4に示すように、各接合膜31、32の表面35および内部に活性手304が生じ、各接合膜31、32が活性化される。これにより、各接合膜31、32にそれぞれ接着性が発現する。
このような状態の2枚の接合膜付き基材1は、接合膜31、32同士が化学的結合に基づいて互いに強固に接着可能なものとなる。
なお、エネルギー付与方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
ここで、接合膜3を「活性化させる」とは、前述したように、各接合膜31、32の表面351、352および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301に終端化されていない結合手(未結合手)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。
[3]次に、図8(c)に示すように、活性化されることにより接着性が発現した各接合膜31、32同士が密着するように、2枚の接合膜付き基材1同士を貼り合わせる。これにより、図9(d)に示すような、基板210と基板220とが、2つの接合膜31、32を介して接合された仮接合体5’が得られる。
ここで、本工程において、2枚の接合膜付き基材1同士がそれぞれ備える接合膜31、32の表面に発現した接着性に基づいて接合するが、この接合は、以下のような2つのメカニズム(i)、(ii)の双方または一方によるものであると推察される。
(i)例えば、各接合膜31、32の表面351、352に水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、各接合膜31、32同士が密着するように、2枚の接合膜付き基材1同士を貼り合わせたとき、各接合膜付き基材1の接合膜31、32の表面351、352に存在する水酸基同士が、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、2枚の接合膜付き基材1同士が接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合する。その結果、2枚の接合膜付き基材1同士の間では、水酸基が結合していた結合手同士が酸素原子を介して結合する。これにより、2枚の接合膜付き基材1同士がより強固に接合されると推察される。すなわち、2枚の基板210、220同士が、2つの接合膜31、32を介して接合されると推察される。
(ii)2枚の接合膜付き基材1同士を貼り合わせると、各接合膜31、32の表面351、352や内部に生じた終端化されていない結合手(未結合手)同士が再結合する。この再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じることから、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。これにより、各接合膜31、32を構成するそれぞれの母材(Si骨格301)同士が直接接合して、各接合膜31、32同士が一体化する。
以上のような(i)または(ii)のメカニズムにより、図9(d)に示すような接合体5’が得られる。
しかしながら、接合膜31と接合膜32との界面において、(i)のメカニズムでは、前記第1実施形態で説明したのと同様に、脱水縮合反応がこれらを互いに接触させた直後には十分に進行しないこと、また、(ii)のメカニズムでは、結合手(未結合手)同士の再結合が十分に進行しないことに起因して、仮接合体5’に対して外力を付与した際等に、対向基板4に対する基板2の位置ズレが生じてしまうため、本発明の接合方法では、仮接合体5’に対して、加熱する構成となっている。これにより、上述した脱水縮合反応および結合手の再結合を早期に進行させることができる。
[4]次に、2つの接合膜31、32を介して2つの基板210、220同士が、貼り合わされた仮接合体5’を加熱することにより、接合膜3の接合強度を向上させて、図9(e)に示すような接合体5を得る。
ここで、加熱される前の接合膜31、32は、図4に示すように、接合膜31、32の表面35に活性手304が生じた状態となっている。このような状態で、接合膜付き基材1同士を貼り合わせると、前述したように、例えば、接合膜31、32中に含まれる水酸基同士が、水素結合によって互いに引き合ったり、結合手同士が再結合したりすることとなるが、本工程[4]のように、仮接合体5’を加熱する構成とすることにより、接合膜31、32中における分子の運動エネルギーが向上するため、水酸基同士および結合手同士が互いに接触する接触機会が増大することから、これら接合膜31、32同士間においてより多くの水素結合や結合手の再結合を生じさせることができる。さらに、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士を、より早期に脱水縮合させることができるため、仮接合体5’の加熱により、接合膜3の接合強度を短時間により向上させることができるものと推察される(図5参照。)。
なお、接合体5を得た後、この接合体5に対して、必要に応じ、前記第1実施形態における前記工程[5]を行うようにしてもよい。
以上のように、基板2と対向基板4とのそれぞれに接合膜31と接合膜32とを形成する構成とすれば、基板2および対向基板4の種類によらず、接合膜31、32を介して確実に基板2と対向基板4とを強固に接合することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の接合方法の第3実施形態について説明する。
図10および図11は、基板と対向基板とを接合する本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図10および図11中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付き基材と対向基板とが接合された接合体から、基板(第1の基板)を剥離することにより接合膜を対向基板に転写し、この転写された接合膜を用いて被着体(第2の基板)と対向基板とを接合するようにしたこと以外は、前記第1実施形態と同様である。
換言すれば、本実施形態にかかる接合方法は、基板に接合膜を形成する工程と、基板に形成された接合膜に対してエネルギーを付与して、接合膜を活性化させる工程と、用意した対向基板と、基板に形成された接合膜とが密着するように、これらを貼り合わせる工程と、接合膜を介して貼り合わされた基板と対向基板とを加熱することにより接合膜の接合強度を向上させて接合体を得る工程と、接合体から基板を剥離して対向基板に接合膜を転写する工程と、対向基板に転写された接合膜に対してエネルギーを付与して、接合膜を再活性化させる工程と、用意した被着体と、対向基板に転写された接合膜とが密着するように、これらを貼り合わせる工程と、接合膜を介して貼り合わされた被着体と対向基板とを加熱することにより接合膜の接合強度を向上させて転写接合体を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、基板2を用意し、前記第1実施形態と同様にして、図10(a)に示すように、この基板2上に接合膜3を形成することにより、接合膜付き基材1を得る(第1の工程)。
なお、本実施形態では、基板2として、母材21に剥離層22が設けられたものを用意する。これにより、後工程[5]において、接合体5から基板2を容易に剥離することができるようになるため、接合膜3を確実に対向基板4に転写することができる。
母材21としては、前記第1実施形態で説明した基板2の構成材料のうち樹脂材料が好適に選択される。樹脂材料で構成される基板2は、その柔軟性により、接合体5から基板2を剥離する際に撓むことができるため、接合体5から容易に剥離することができるものとなる。
剥離層22の構成材料としては、例えば、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ABS樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレン−プロペン共重合体(FEP)およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂に代えて、フッ化チタン酸カリウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウムおよびケイフッ酸等のフッ素系無機材料を用いるようにしてもよい。
[2]次に、前記第1実施形態と同様にして、接合膜付き基材1が備える基板2上の接合膜3の表面35に対してエネルギーを付与する。
これにより、接合膜3の表面35および内部に活性手304が生じ、接合膜3が活性化されることに起因して、接合膜3に接着性が発現する。
[3]次に、前記第1実施形態と同様にして、対向基板4を用意し、図10(b)に示すように、活性化させた接合膜3と対向基板4とが密着するように、接合膜付き基材1と対向基板4とを貼り合わせる。
これにより、基板2と対向基板4とが接合膜3を介して接合された仮接合体5’が得られる。
[4]次に、接合膜3を介して基板2と対向基板4とが貼り合わされた接合体5’を加熱することにより、接合膜3の接合強度を向上させて、接合体5を得る。
[5]次に、図10(c)に示すように、接合体5から基板2を剥離することにより、対向基板4に接合膜3を転写させる。
ここで、本実施形態では、基板2として、母材21上に剥離層22が設けられたものを用いることから、接合体5から基板2を容易に剥離し得る。
[6]次に、前記工程[2]と同様にして、対向基板4上に転写された接合膜3の表面35に対して再度エネルギーを付与する。
これにより、接合膜3が再活性化されることに起因して、接合膜3に再度接着性が発現する。
[7]次に、被着体6を用意し、前記工程[3]と同様にして、図11(a)に示すように、活性化させた接合膜3と被着体6とが密着するように貼り合わせる。
これにより、基板2と対向基板4とが接合膜3を介して接合された仮転写接合体が得られる。
なお、本工程で用意する被着体6としては、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、具体的には、前記第1実施形態で説明した基板2の構成材料と同様の材料が挙げられる。
[8]次に、前記工程[4]と同様にして、接合膜3を介して被着体6と対向基板4とが貼り合わされた仮転写接合体を加熱することにより、接合膜3の接合強度を向上させて転写接合体5Aを得る(図11(b)参照。)。
なお、前記工程[4]において接合体5を得た後、および/または、前記工程[8]において転写接合体5Aを得た後に、これら接合体5および/または転写接合体5Aに対して、必要に応じ、前記第1実施形態における前記工程[5]を行うようにしてもよい。
以上のように、転写された接合膜3を用いて対向基板4と被着体6とを接合する構成とすれば、任意の組み合わせの対向基板4と被着体6とを、接合膜3を介して強固に接合することができる。
<液滴吐出ヘッド>
ここでは、本発明の接合体をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図12は、本発明の接合方法を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図、図13は、図12に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図14は、図12に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図12は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図12に示すインクジェット式記録ヘッド10は、図14に示すようなインクジェットプリンタ9に搭載されている。
図14に示すインクジェットプリンタ9は、装置本体92を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口922と、上部面に操作パネル97とが設けられている。
操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体92の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
制御部96の制御により、給紙装置95は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッドユニット93の駆動源となるキャリッジモータ941と、キャリッジモータ941の回転を受けて、ヘッドユニット93を往復動させる往復動機構942とを備えている。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、ヘッド10にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
なお、インクカートリッジ931として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
往復動機構942は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸943と、キャリッジガイド軸943と平行に延在するタイミングベルト944とを有している。
キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト944の一部に固定されている。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト944を正逆走行させると、キャリッジガイド軸943に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置95は、その駆動源となる給紙モータ951と、給紙モータ951の作動により回転する給紙ローラ952とを有している。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部96は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置94や給紙装置95等を制御することにより印刷を行うものである。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ931のインク残量、ヘッドユニット93の位置等を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部96は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子14、印刷装置94および給紙装置95は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
以下、ヘッド10について、図12および図13を参照しつつ詳述する。
ヘッド10は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備えるヘッド本体17と、このヘッド本体17を収納する基体16とを有している。なお、このヘッド10は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
ノズル板11は、例えば、SiO、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、Al、Fe、Ni、Cuまたはこれらを含む合金のような金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸化物系材料、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料等で構成されている。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
ノズル板11には、インク室基板12が固着(固定)されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
各インク室121は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズル孔111に対応して配設されている。各インク室121は、後述する振動板13の振動により容積可変であり、この容積変化により、インクを吐出するよう構成されている。
インク室基板12を得るための母材としては、例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス基板、各種樹脂基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド10の製造コストを低減することができる。
一方、インク室基板12のノズル板11と反対側には、振動板13が接合され、さらに振動板13のインク室基板12と反対側には、複数の圧電素子14が設けられている。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
各圧電素子14は、それぞれ、下部電極142と上部電極141との間に圧電体層143を介挿してなり、各インク室121のほぼ中央部に対応して配設されている。各圧電素子14は、圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体16は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体16にノズル板11が固定、支持されている。すなわち、基体16が備える凹部161に、ヘッド本体17を収納した状態で、凹部161の外周部に形成された段差162によりノズル板11の縁部を支持する。
以上のような、ノズル板11とインク室基板12との接合、インク室基板12と振動板13との接合、およびノズル板11と基体16とを接合する際に、少なくとも1箇所において本発明の接合方法が適用されている。
このようなヘッド10は、接合部の接合界面の接合強度および耐薬品性が高くなっており、これにより、各インク室121に貯留されたインクに対する耐久性および液密性が高くなっている。その結果、ヘッド10は、信頼性の高いものとなる。
また、比較的低温で信頼性の高い接合ができるため、線膨張係数の異なる材料でも大面積のヘッドができる点でも有利である。
さらに、上述した本発明の接合方法を適用し得る部位同士の接合のうち、複数の箇所において本発明の接合方法を適用したとしても、本発明の接合方法によれば、短時間で各部材同士を高い寸法精度で強固に接合することできるので、ヘッド10の各部材に位置ズレが生じることなく、高い寸法精度でヘッド10を製造することができる。
このようなヘッド10は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層143に変形が生じない。このため、振動板13にも変形が生じず、インク室121には容積変化が生じない。したがって、ノズル孔111からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に一定電圧が印加された状態では、圧電体層143に変形が生じる。これにより、振動板13が大きくたわみ、インク室121の容積変化が生じる。このとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル孔111からインク滴が吐出される。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極142と上部電極141との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子14は、ほぼ元の形状に戻り、インク室121の容積が増大する。なお、このとき、インクには、インクカートリッジ931からノズル孔111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔111からインク室121へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供給される。
このようにして、ヘッド10において、印刷させたい位置の圧電素子14に、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
なお、ヘッド10は、圧電素子14の代わりに電気熱変換素子を有していてもよい。つまり、ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してインクを吐出する構成(いわゆる、「バブルジェット方式」(「バブルジェット」は登録商標))のものであってもよい。
かかる構成のヘッド10において、ノズル板11には、撥液性を付与することを目的に形成された被膜114が設けられている。これにより、ノズル孔111からインク滴が吐出される際に、このノズル孔111の周辺にインク滴が残存するのを確実に防止することができる。その結果、ノズル孔111から吐出されたインク滴を目的とする領域に確実に着弾させることができる。
以上、本発明の接合方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の接合方法では、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
また、前記各実施形態では、対向基板と基板(または被着体)との2枚の基材を接合する方法について説明しているが、3枚以上の基材を接合する場合に、本発明の接合方法を用いるようにしてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.失活化温度の検討
1−1.接合体の製造
(サンプルNo.1A)
<1A> まず、基板として、縦30mm×横10mm×平均厚さ0.05mmのポリイミド基板を用意し、対向基板として、縦30mm×横10mm×平均厚さ0.5mmの単結晶シリコン基板を用意した。
<2A> 次に、ポリイミド基板を図6に示すプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納し、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次いで、基板の表面処理を行った面に、平均厚さ150nmのプラズマ重合膜を成膜した。なお、成膜条件は以下に示す通りである。
<成膜条件>
・原料ガスの組成 :オクタメチルトリシロキサン
・原料ガスの流量 :30sccm
・キャリアガスの組成:アルゴン
・キャリアガスの流量:30sccm
・高周波電力の出力 :250W
・チャンバー内圧力 :4Pa(低真空)
・チャンバー内温度 :60℃
・処理時間 :2分
このようにして成膜されたプラズマ重合膜は、オクタメチルトリシロキサン(原料ガス)の重合物で構成されており、シロキサン結合を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格と、アルキル基(脱離基)とを含むものである。
これにより、ポリイミド基板上にプラズマ重合膜を形成してなる接合膜付き基材を得た。
<3A> 次に、ポリイミド基板上に形成されたプラズマ重合膜に、図6に示すプラズマ重合装置100を用いて、以下に示す条件でプラズマを接触させた。これにより、プラズマ重合膜(接合膜)を活性化させて、その表面に活性手を生成させることにより接着性を発現させた。
<プラズマ処理条件>
・処理ガス :酸素ガス
・ガス供給速度 :20sccm
・高周波電力の出力 :50W
・チャンバー内圧力 :4Pa(低真空)
・チャンバー内温度 :60℃
・処理時間 :1分
<4A> 次に、単結晶シリコン基板および活性化されたプラズマ重合膜を備えるポリイミド基板の双方を、チャンバー内に収納し、100℃×5分間の条件で加熱した後、この温度条件を維持したまま、各基板のプラズマ重合膜が形成されている面同士が接触するように、単結晶シリコン基板とポリイミド基板とを重ね合わせたのち、10kNで5分間加圧することにより、単結晶シリコン基板とポリイミド基板とがプラズマ重合膜を介して接合された接合体を得た。
(サンプルNo.2A)
前記工程<4A>におけるチャンバー内の温度を100℃に代えて150℃としたこと、すなわちプラズマ重合膜を加熱する温度を150℃としたこと以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして接合体を得た。
(サンプルNo.3A)
前記工程<4A>におけるチャンバー内の温度を100℃に代えて200℃としたこと、すなわちプラズマ重合膜を加熱する温度を200℃としたこと以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして接合体を得た。
1−2.接合体の評価
1−2−1. 接合体形成の確認
まず、各サンプルNo.の接合体について、それぞれ、目視にて、プラズマ重合膜を介したポリイミド基板と単結晶シリコン基板との接合が良好に形成されているか否かを確認した。
その結果、何れのサンプルNo.の接合体においても、目視ではプラズマ重合膜を介した接合が良好に形成されていると思われた。
1−2−2. 剥離・転写の確認
各サンプルNo.の接合体について、1日放置した後、それぞれ、単結晶シリコン基板からポリイミド基板を剥離することにより、単結晶シリコン基板側にプラズマ重合膜を転写した。
そして、各サンプルNo.の接合体について、それぞれ、目視にて、単結晶シリコン基板側にプラズマ重合膜が良好に転写されているか否かを確認した。
その結果、サンプルNo.1AおよびサンプルNo.2Aの接合体においては、目視にて、単結晶シリコン基板側にプラズマ重合膜が良好に転写されていることが判った。これに対して、サンプルNo.3Aの接合体では、ポリイミド基板を単結晶シリコン基板から剥離する際に、ポリイミド基板が、このものとプラズマ重合膜との界面で剥離されることなく、プラズマ重合膜中で剥離が生じてしまい、接合膜を単結晶シリコン基板側に転写することができなかった。
このことは、前記工程<4A>において、各基板同士をプラズマ重合膜を介して接触させる前に、プラズマ重合膜を加熱する際の温度を200℃に設定した場合では、その表面に生成した活性手の多くが失活してしまい、これに起因してプラズマ重合膜(接合膜)の接合強度が低下したことによると考えられる。したがって、プラズマ重合膜の加熱により活性手の殆どが失活してしまう失活点は、5分間加熱した場合では、150℃以上、200℃以下の間にあると推察された。
2.失活化による接合の検討
2−1.接合体の製造
(実施例1B)
<1B> まず、前記工程<1A>で用意したのと同様のポリイミド基板および単結晶シリコン基板を、それぞれ、基板および対向基板として用意した。
<2B> 次に、前記工程<2A>で説明したのと同様にして、ポリイミド基板の表面処理を行った面にプラズマ重合膜を成膜した。
<3B> 次に、前記工程<3A>で説明したのと同様にして、ポリイミド基板に形成されたプラズマ重合膜に、プラズマを接触させることにより、プラズマ重合膜(接合膜)を活性化させて、その表面に活性手を生成させることにより接着性を発現させた。
<4B> 次に、単結晶シリコン基板と、活性化されたプラズマ重合膜を備えるポリイミド基板とを、これら同士がプラズマ重合膜を介して接触するように、重ね合わせた状態で、チャンバー内に収納し、このものを2kNで5分間加圧することにより、単結晶シリコン基板とポリイミド基板とがプラズマ重合膜を介して接合された仮接合体を得た。
なお、プラズマ重合膜を介した状態で単結晶シリコン基板とポリイミド基板とを加圧する際のチャンバー内の温度は、60℃とした。
<5B> 次に、この仮接合体をチャンバー内に収納した状態で、100℃×5分間の条件で加熱することにより、接合膜の接合強度を向上させて接合体を得た。
(実施例2B〜24B)
前記工程<4B>における加圧条件、および前記工程<5B>における加熱条件を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Bと同様にして接合体を得た。
(比較例1B〜6B)
前記工程<4B>における加圧条件、および前記工程<5B>における加熱条件を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Bと同様にして接合体を得た。
2−2.接合体の評価
2−2−1. 接合体形成の確認
まず、各実施例および各比較例の接合体について、それぞれ、目視にて、プラズマ重合膜を介したポリイミド基板と単結晶シリコン基板との接合が良好に形成されているか否かを確認した。
その結果、何れの実施例および比較例の接合体においても、目視ではプラズマ重合膜を介した接合が良好に形成されていると思われた。
2−2−2. 剥離・転写の確認
各実施例および比較例の接合体について、前記工程<5B>終了直後に、それぞれ、単結晶シリコン基板からポリイミド基板を剥離することにより、単結晶シリコン基板側にプラズマ重合膜を転写した。
そして、各実施例および比較例の接合体について、それぞれ、目視にて、単結晶シリコン基板側にプラズマ重合膜が良好に転写されているか否かを確認し、単結晶シリコン基板側への接合膜の転写の状態を以下の基準にしたがって評価した。
<剥離・転写の評価基準>
◎:プラズマ重合膜がポリイミド基板に残存することなく、ほぼ完全に単結晶シリコン基板に転写されている
○:プラズマ重合膜の一部が単結晶シリコン基板に転写されることなく、ポリイミド基板に残存している
△:プラズマ重合膜の50%以上が単結晶シリコン基板に転写されることなく、ポリイミド基板に残存している
×:単結晶シリコン基板とプラズマ重合膜との間でほぼ完全に剥離が生じ、プラズマ重合膜がほぼ完全にポリイミド基板に残存している
2−2−3. 再結合の確認
各実施例および比較例の接合体について、前記2−2−2.で単結晶シリコン基板に転写された接合膜と、新たに用意した縦30mm×横10mm×平均厚さ0.5mmの水晶基板を前記工程<3A>で説明したのと同様にして、プラズマを接触させた後に貼り合わせ、このものを10kNで5分間加圧することにより、単結晶シリコン基板同士がプラズマ重合膜(接合膜)を介して接合された転写接合体を得た。
なお、単結晶シリコン基板と水晶基板とを加圧する際の加圧温度は、各実施例および比較例の接合体得た際の前記工程<5B>の温度と同様に設定した。
そして、各実施例および比較例の接合体について、それぞれ、目視にて、各単結晶シリコン基板への接合状態を確認し、以下の基準にしたがって評価した。
<再結合の評価基準>
◎:単結晶シリコン基板および水晶基板に対して、ほぼ完全にプラズマ重合膜が接合している
○:新たに用意した水晶基板に対して、プラズマ重合膜が接合していない部分が若干存在する
△:新たに用意した水晶基板に対して、プラズマ重合膜が接合していない部分が50%以上存在する
×:新たに用意した水晶基板に対して接合することができない
以上、2−2−2.および2−2−3.の各評価結果を表1に示す。
Figure 2011235532
表1から明らかなように、各実施例で得られた接合体は、プラズマ重合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温で仮接合体を加熱することにより、仮接合体が備えるプラズマ重合膜同士の接合強度が高くなり、これに起因して、単結晶シリコン基板に対するプラズマ重合膜の剥離・転写、および新たな単結晶シリコン基板に対する再結合が良好に行われたものと推察される。
これに対して、各比較例で得られた接合体は、単結晶シリコン基板に対するプラズマ重合膜の剥離・転写、および新たな単結晶シリコン基板に対する再結合が良好には行われなかった。特に、比較例1Bおよび比較例4Bでは、目視においてプラズマ重合膜を介した接合が良好に形成されていると思われたものの、単結晶シリコン基板とプラズマ重合膜との間での接合が行われていなかった。これは、プラズマ重合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも低温で仮接合体を加熱したため、仮接合体が備えるプラズマ重合膜同士の接合強度が十分に向上しなかったことによるものと推察される。
1……接合膜付き基材 2、210、220……基板 21……母材 22……剥離層 25……表面 3、31、32……接合膜 301……Si骨格 302……シロキサン結合 303……脱離基 304……活性手 35、351、352……表面 4……対向基板 5……接合体 5A……転写接合体 5’……仮接合体 6……被着体 100……プラズマ重合装置 101……チャンバー 102……接地線 103……供給口 104……排気口 130……第1の電極 139……静電チャック 170……ポンプ 171……圧力制御機構 180……電源回路 182……高周波電源 183……マッチングボックス 184……配線 190……ガス供給部 191……貯液部 192……気化装置 193……ガスボンベ 194……配管 195……拡散板 10……インクジェット式記録ヘッド 11……ノズル板 111……ノズル孔 114……被膜 12……インク室基板 121……インク室 122……側壁 123……リザーバ室 124……供給口 13……振動板 131……連通孔 14……圧電素子 140……第2の電極 141……上部電極 142……下部電極 143……圧電体層 16……基体 161……凹部 162……段差 17……ヘッド本体 9……インクジェットプリンタ 92……装置本体 921……トレイ 922……排紙口 93……ヘッドユニット 931……インクカートリッジ 932……キャリッジ 94……印刷装置 941……キャリッジモータ 942……往復動機構 943……キャリッジガイド軸 944……タイミングベルト 95……給紙装置 951……給紙モータ 952……給紙ローラ 952a……従動ローラ 952b……駆動ローラ 96……制御部 97……操作パネル P……記録用紙

Claims (20)

  1. 第1の基板と第2の基板とを接合膜を介して接合する接合方法であって、
    シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合し、有機基からなる脱離基とを含む接合膜を、プラズマ重合により前記第1の基板上に形成することにより接合膜付き基材を得る第1の工程と、
    前記接合膜にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面および表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離することにより、前記接合膜の表面に前記対向基板との接着性を発現させる第2の工程と、
    前記接合膜付き基材と前記第2の基板とを貼り合わせることにより仮接合体を得る第3の工程と、
    前記仮接合体を、前記第2の工程における前記接合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度よりも高温で加熱することによって接合体を得る第4の工程とを有することを特徴とする接合方法。
  2. 前記第2の工程において、前記接合膜にエネルギーを付与する際の雰囲気の温度は、25℃以上、80℃未満である請求項1に記載の接合方法。
  3. 前記第1の工程において、前記基板上に前記接合膜を成膜する際の成膜温度は、前記第4の工程における仮接合体の加熱温度よりも低い請求項1または2に記載の接合方法。
  4. 前記接合膜を成膜する成膜温度は、25℃以上、80℃未満である請求項3に記載の接合方法。
  5. 前記第3の工程において、前記接合膜付き基材と前記対向基板とを貼り合わせる際の雰囲気の温度は、前記第4の工程における仮接合体の加熱温度よりも低い請求項1ないし4のいずれかに記載の接合方法。
  6. 前記接合膜付き基材と前記対向基板とを貼り合わせる際の雰囲気の温度は、25℃以上、80℃未満である請求項5に記載の接合方法。
  7. 前記第4の工程において、前記仮接合体を加熱する温度は、80℃以上、200℃以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の接合方法。
  8. 前記第1の工程において、前記接合膜は、該接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10原子%以上、90原子%以下のものである請求項1ないし7のいずれかに記載の接合方法。
  9. 前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7以上、7:3以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の接合方法。
  10. 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1ないし9のいずれかに記載の接合方法。
  11. 前記接合膜は、Si−H結合を含んでいる請求項1ないし10のいずれかに記載の接合方法。
  12. 前記Si−H結合を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、Si−H結合に帰属するピーク強度が0.001以上、0.2以下である請求項11に記載の接合方法。
  13. 前記脱離基は、アルキル基である請求項1ないし12のいずれかに記載の接合方法。
  14. 前記脱離基としてメチル基を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、メチル基に帰属するピーク強度が0.05以上、0.45以下である請求項13に記載の接合方法。
  15. 前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを含む請求項1ないし14のいずれかに記載の接合方法。
  16. 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を含む請求項15に記載の接合方法。
  17. 前記接合膜の平均厚さは、1nm以上、1000nm以下である請求項1ないし16のいずれかに記載の接合方法。
  18. 前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものである請求項1ないし17のいずれかに記載の接合方法。
  19. 前記第1の工程において、前記第1の基板および前記第2の基板の双方に前記接合膜を形成する請求項1ないし18のいずれかに記載の接合方法。
  20. 前記第2の工程において、前記第1の基板および前記第2の基板に形成された前記接合膜の双方にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の表面に前記対向基板との接着性を発現させる請求項19に記載の接合方法。
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