JP2010529954A - Fgf21関連障害を処置、診断および検出する方法 - Google Patents

Fgf21関連障害を処置、診断および検出する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、とりわけ、癌および血管疾患を処置する方法、癌および血管疾患を処置するための組成物、ならびに癌および血管疾患を診断および/または検出するための方法および組成物を提供する。

Description

発明の分野
本発明は、癌および血管疾患を含む、FGF21関連障害に関する。より具体的には、本発明は、癌および血管疾患を処置する方法、癌および血管疾患を処置するための組成物、および癌および血管疾患を診断および/または検出するための方法および組成物に関する。
発明の背景
線維芽細胞成長因子21 (FGF21)は、FGFタンパク質ファミリーのメンバーである(米国特許第6,716,626号)。今日までに同定されたFGFタンパク質は、さまざまな細胞型の増殖および分化を制御するシグナル伝達分子のファミリーに属する。FGFタンパク質のヒト生理学および病理学における重要性は、部分的には、胚発生、血管発生および成長、ならびに骨成長における役割によるものである。FGFファミリーメンバーの多くは、有裂分裂、発生、形質転換、血管新生、および細胞生存を含む細胞活性に関連する。FGFファミリーのいくつかのメンバーおよびそれらの生物学的役割は、Crossley et al., Development 121:439-451 (1995); Ohuchi et al., Development 124:2235-2244 (1997); Gemel et al., Genomics 35:253-257 (1996); およびGhosh et al., Cell Growth and Differentiation 7:1425-1434 (1996)に記載されている。
FGF21は、トランスジェニックマウスで過剰発現させると、食事により誘導される肥満から動物を保護し、糖尿病齧歯類に治療的に投与すると、血中グルコースおよびトリグリセリドレベルを低下させることから、脂肪細胞における有力なグルコース取り込みのアクチベーターであることが示されている(Kharitonenkov et al., Jour. of Clinical Invest. 115:1627-1635, 2005)。また、FGF21は、3T3-L1 脂肪細胞(Id)において、FGFR-1およびFGFR-2のチロシンリン酸化を刺激することが観察された。
現存する血管からの新規血管の形成である血管新生は、腫瘍成長および転移において重要である。腫瘍血管新生は、腫瘍細胞により分泌される血管新生成長因子により誘導される。成長因子塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、形質転換成長因子α (TGFα)、血小板由来成長因子(PDGF)、アンジオポエチン(Ang)-1、およびAng-2は、さまざまな実験モデルで血管新生を誘導することが示されている(Eggert et al., Clin. Cancer Res. 6:1900-1908, 2000)。その役割のために、血管新生は、腫瘍成長において役割を果たし、上記のような血管新生成長因子の阻害は、癌の処置のための戦略である。
血管疾患は、循環系に影響を及ぼし、冠動脈疾患(CAD)および末梢動脈疾患(PAD)のような疾患を含む。CADは、米国での死亡の主要な原因であり、研究により、血管新生の欠損をCADの進行と関連づけられている(例えば、Matsunaga, et al., Am J Physiol Heart Circ Physiol 288: H2042-H2046, 2005)。虚血の動物モデルでの研究は、血管新生成長因子の投与が血管新生を介した栄養かん流を増大させることを示す。末期CADを患う患者における、VEGFおよびFGFのような成長因子を用いた治療的血管新生の臨床試験は、運動時間の増加および狭心症症状の減少を示した。血管新生はまた、心筋梗塞後の血流を改善することが示された(Takeshita et al., J. Clin. Invest. 93:662-670, 1994)。したがって、血管新生因子は、血管疾患の処置のための有望な治療薬である。
しかしながら、今日まで、癌および血管疾患におけるFGF21の役割に関しては、十分に明らかにされていない。したがって、FGF21を調節する組成物および方法を同定する必要性が存在する。本発明は、これらのおよび他の重要な必要性に向けられたものである。
発明の要約
ある局面では、本発明は、処置を必要とする患者に治療上有効量のFGF21阻害剤を投与することを含む、該患者の癌もしくは癌症状を処置する方法を提供する。
ある局面では、患者でのFGF21関連活性を調節する方法であって、患者にFGF21関連生物学的活性を調節するのに有効な量のFGF21モジュレーターを投与することを含む方法を提供する。
ある局面において、本発明は、FGF21治療に感受性がある患者を同定する方法であって、コントロール細胞サンプルと比較して患者からの細胞サンプル中のFGF21過剰発現の証拠を検出することを含む方法を提供する。サンプル中におけるFGF21過剰発現の証拠の存在は、FGF21治療の候補である患者を示す。サンプル中におけるFGF21発現の証拠の非存在は、FGF21治療の候補ではない患者を示す。治療上有効量のFGF21阻害剤は、患者がFGF21治療の候補であるとき、患者に投与される。患者がFGF21治療の候補ではないとき、慣用的な癌処置レジメンが使用される。
ある局面では、本発明は、FGF21を発現する細胞での1種またはそれ以上の活性を調節する方法であって、細胞を1種またはそれ以上の活性を調節するのに有効な量のFGF21阻害剤と接触させることを含む方法を提供する。
ある局面おいて、本発明は、患者内の腫瘍を検出する方法であって、造影剤と結合したFGF21阻害剤を含む組成物を患者に投与し、患者内での造影剤の局在を検出することを含む方法を提供する。
ある局面おいて、本発明は、患者に治療上有効量のFGF21阻害剤を投与することを含む、患者または患者サンプルでのFGF21を発現する2種またはそれ以上の細胞の相互作用を阻害する方法を提供する。
ある局面おいて、本発明は、細胞内で配列番号2-203からなる群から選択される配列を含むエピトープに特異的に結合するFGF21抗体を発現させる方法を提供する。該方法は、細胞内でFGF21抗体をコードする核酸を発現させることを含む。
ある局面おいて、本発明は、癌阻害剤を同定する方法であって、癌がコントロールと比較してFGF21の特異的発現(differential expression)により特徴づけられる方法を提供する。該方法は、FGF21を発現する細胞を候補化合物と接触させ、FGF21関連活性が調節されるか否かを決定することを含む。FGF21関連活性の調節は、癌阻害剤であることを示す。
ある局面おいて、本発明は、癌阻害剤を同定する方法であって、癌がコントロールと比較してFGF21の特異的発現により特徴づけられる方法を提供する。該方法は、FGF21を発現する細胞を候補化合物と接触させ、FGF21の下流マーカーの活性が調節されるか否かを決定することを含む。下流マーカーの調節は、癌阻害剤であることを示す。
ある局面において、本発明は、FGF21阻害剤に対する患者の感受性を決定する方法であって、コントロールサンプルと比較して患者からの癌サンプル中のFGF21過剰発現の証拠を検出することを含む方法を提供する。FGF21過剰発現の証拠は、FGF21阻害剤に対する患者の感受性を示す。
ある局面において、本発明は、サンプルからFGF21タンパク質を精製する方法であって、(a) 固相担体に結合した抗FGF21抗体を含む親和性マトリクスを提供し; (b) サンプルを親和性マトリクスと接触させて、親和性マトリクス-FGF21タンパク質複合体を形成し; (c) 親和性マトリクス-FGF21タンパク質複合体をサンプルの残りから分離し; そして(d) 親和性マトリクスからFGF21タンパク質を遊離することを含む方法を提供する。
ある局面において、本発明は、細胞毒性剤または診断剤をFGF21を発現する1種またはそれ以上の細胞に送達する方法を提供する。該方法は、FGF21を発現する細胞を細胞毒性剤または診断剤と結合した抗体に曝すことを含む。
ある局面において、本発明は、候補FGF21阻害剤の有効性を決定する方法を提供する。該方法は、FGF21発現細胞を候補FGF21阻害剤と接触させ、FGF21の下流マーカーが調節されるか否かを決定することを含む。下流マーカーの調節は、候補FGF21阻害剤が有効な抗癌剤であることを示す。
ある局面において、本発明は、癌がFGF21関連癌であるか否かを決定する方法であって、癌細胞およびコントロール細胞でのFGF21発現を比較することを含む方法を提供する。コントロール細胞と比較した癌細胞でのFGF21発現のアップレギュレーションは、癌がFGF21関連癌であることを示す。
ある局面において、本発明は、癌がFGF21関連癌であるか否かを決定する方法であって、癌サンプルをFGF21阻害剤と接触させ、癌サンプル中のFGF21下流マーカーを測定することを含む方法を提供する。阻害剤の非存在下での下流マーカーと比較して、阻害剤の存在下での下流マーカーの調節は、癌がFGF21関連癌であることを示す。
ある局面において、本発明は、癌患者を処置する方法であって、癌がFGF21関連癌であるか否かを決定し、患者がFGF21関連癌であるとき、患者にFGF21を投与するか、または患者がFGF21関連癌を患っていないとき、患者に慣用的な癌治療剤を投与することを含む方法を提供する。
ある局面において、本発明は、処置を必要とする患者に治療上有効量のFGF21アクチベーターを投与することを含む、患者での血管疾患もしくは血管疾患症状を処置する方法を提供する。
ある局面において、本発明は、血管新生を誘導する方法であって、細胞を、コントロール細胞サンプルと比較して、少なくとも30%まで内皮細胞増殖を増加させるのに有効な量のFGF21アクチベーターと接触させることを含む方法を提供する。
ある局面において、本発明は、血管疾患の阻害剤を同定する方法を提供する。該方法は、FGF21を発現する細胞サンプルを候補化合物と接触させ、FGF21関連活性が調節されるか否かを決定することを含む。FGF21関連活性の調節は、血管疾患の阻害剤であることを示す。
ある局面において、本発明は、血管疾患の阻害剤を同定する方法であって、FGF21を発現する細胞サンプルを候補化合物と接触させ、FGF21の下流マーカーが調節されるか否かを決定することを含む。下流マーカーの調節は、血管疾患の阻害剤であることを示す。
ある局面において、本発明は、血管疾患用薬剤としての候補FGF21アクチベーターの有効性を決定する方法であって、細胞サンプルを候補FGF21アクチベーターと接触させ、FGF21下流マーカーが増加するか否かを測定することを含む方法を提供する。候補アクチベーターの非存在下での下流マーカーと比較して、候補アクチベーターの存在下での下流マーカーの増加は、候補FGF21アクチベーターが血管疾患の有効な薬剤であることを示す。
ある局面において、本発明は、線維芽細胞成長因子21(FGF21)および1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
ある局面において、本発明は、FGF21モジュレーターおよび1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物であって、FGF21モジュレーターが、単離二本鎖RNA (dsRNA); 配列番号1の配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、単離オリゴヌクレオチド; シグナルペプチドドメインおよびFGF受容体結合ドメインからなる群から選択されるFGF21のドメイン中のエピトープに結合する抗体; 小分子; 模倣剤; 可溶性受容体; またはデコイである組成物を提供する。
ある態様において、本発明は、FGF21ポリペプチドの1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合し、エピトープがシグナルペプチドドメインまたはFGF受容体結合ドメイン中に存在する精製抗体を提供する。
ある局面において、本発明は、配列番号1で示した配列の少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖および実質的にもしくは完全に第1鎖と相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖を含み、該dsRNA分子が627ヌクレオチド長未満である、単離dsRNA分子を提供する。
ある局面において、本発明は、配列番号1で示した配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む単離核酸を提供する。
ある局面において、本発明は、配列番号2の10から209個の連続したアミノ酸残基を含むFGF21ポリペプチドの断片を提供し、ここで、該断片は、FGF21ポリペプチド活性を保持する。
ある局面では、本発明は、FGF21受容体の阻害剤および1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物であって、該阻害剤が、単離二本鎖RNA (dsRNA); 配列番号1の配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、単離オリゴヌクレオチド; FGF21受容体のドメイン中のエピトープに結合する抗体; 小分子; 模倣剤; 可溶性受容体; またはデコイである組成物を提供する。
これらのおよび本発明の他の局面は、下記の本発明の詳細な説明において明らかにされるであろう。
図1は、FGF21による内皮細胞増殖の刺激を示す。 図2は、癌細胞でのFGF21 mRNAの発現を示す。 図3は、正常細胞でのFGF21 mRNAの発現を示す。 図4は、FGF19xとFGF21完全長ポリペプチド間のアライメントを示す。
詳細な説明
本発明は、癌および血管疾患を含む、FGF21関連障害を処置する方法、FGF21関連障害を処置するための組成物、およびFGF21関連障害を診断および/または検出するための方法および組成物を提供する。
本願の発明者らは、とりわけ、FGF21が大腸癌細胞で過剰発現している一方で、正常細胞では限定的にしか発現していないことを発見した。発明者らはまた、FGF21が内皮細胞の細胞増殖を刺激することを発見した。内皮細胞増殖は、血管新生の重要な工程であるので、FGF21はまた、新規血管成長を促進するのに有用であり、CADおよびPADのような血管疾患を処置するために使用することができる。細胞増殖における観察されたFGF21の影響および大腸癌細胞で観察されたFGF21のアップレギュレーションの観点から、FGF21は、癌の処置のための有用な標的であり得る。本発明のこれらのおよび他の局面を、本発明の適用において提供する。
定義
さまざまな定義が、本明細書を通して使用される。多くの語句は、当業者がそれらの語句に帰属すると考える意味を有する。下記で、または本明細書の他の場所で定義された語句は、全体として、本発明の文脈で提供される意味を有し、一般的には、当業者に理解されるものである。
本発明の実施は、他に示されていなければ、当分野における技術範囲内の、化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬学の慣用的な方法を用いて行われる。そのような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.); およびHandbook of Experimental Immunology, Vols. I IV (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds., 1986, Blackwell Scientific Publications); ならびにSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989)を参照のこと。
本明細書で使用する単数形は、内容が明らかに他のものを示している場合を除き、複数参照を含む。したがって、例えば、“抗体”に対する参照は、2個またはそれ以上の該抗体の混合物を含む。
本明細書で使用する“約”なる用語は、+/- 20%、+/- 10%、または+/- 5%の値を意味する。
本明細書で使用する“FGF21”なる用語は、線維芽細胞成長因子(FGF)タンパク質ファミリーのメンバーを意味する。例えば、FGF21のmRNA配列(GenBank受託番号NM_019113)は、配列番号1として示され、例えば、FGF21のアミノ酸配列(GenBank受託番号NP_061986)は、配列番号2として示される。
本明細書で使用する“FGF21受容体”なる用語は、FGF21のための膜結合受容体を意味する。FGF21のFGF21受容体への結合は、細胞応答および/または活性、例えば、細胞シグナル伝達イベントを生じる。ある態様では、FGF21受容体は、FGFR-1またはFGFR-2である。
“ポリペプチド”および“タンパク質”なる用語は、交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマー型を意味し、それは、コードおよび非コードアミノ酸、化学的もしくは生化学的に修飾もしくは誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る。該用語は、N末端メチオニン残基を有するか、または有しない、異種アミノ酸配列を含む融合タンパク質、異種および同種リーダー配列を含む融合タンパク質; 免疫学的にタグ化されたタンパク質などを含むが、これらに限定されない融合タンパク質を含む。
“個体”、“対象”、“宿主”および“患者”なる用語は、交換可能に使用され、診断、処置、または治療が望まれるすべての対象、特に、ヒトを意味する。他の対象は、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどを含み得る。ある好ましい態様において、対象はヒトである。
本明細書で使用する“癌”は、原発性もしくは転移性癌、白血病、またはリンパ腫を意味する。“癌細胞”なる用語は、形質転換した細胞を意味する。これらの細胞は、癌を患う患者から単離し得るか、またはインビトロで癌に形質転換させた細胞である。癌細胞は、すべての組織もしくは細胞培養株を含む多くの型のサンプルに由来するものであり得る。ある態様において、癌細胞は、過形成、腫瘍細胞、または新生物である。ある態様において、癌細胞は、大腸癌、肝臓癌、精巣癌、胸腺腫瘍、乳癌、皮膚癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、多発性骨髄腫および黒色腫から単離される。ある態様において、癌細胞は、公に利用可能な確立された細胞株から得られる。ある態様において、癌細胞は、従来からの患者サンプルまたは癌細胞を含むライブラリーから単離される。ある態様において、癌細胞を単離し、次いで、異なる宿主、例えば、異種移植で移植する。ある態様において、癌細胞は移植され、SCIDマウスモデルで使用される。ある態様において、癌は、大腸癌である。本明細書で使用する“大腸癌”なる用語は、“直腸癌”および“結腸直腸癌”と交換可能に使用され、大腸または直腸で発生する癌を意味する。
本明細書で使用する“形質転換した”なる用語は、その子孫に安定的に遺伝する、細胞の特性におけるすべての変化を意味する。ある態様では、“形質転換した”なる用語は、正常細胞の癌性細胞、例えば、腫瘍を生じることができる細胞への変化を意味する。ある態様では、形質転換細胞は、不死化している。形質転換は、受容体リン酸化なしの受容体の過剰発現、ウイルス感染、癌遺伝子および/または腫瘍抑制遺伝子の突然変異、ならびに/または細胞の成長および/または不死化特性を変化させるあらゆる他の技術を含む、多くの要因により生じ得る。
“癌性表現型”は、一般に、癌性細胞に特徴的なさまざまな生物学的現象のいずれかを意味し、該現象は、癌の型により変わり得る。癌性表現型は、一般に、例えば、細胞成長もしくは増殖(例えば、無制御成長もしくは増殖)、細胞周期の制御、細胞運動、細胞-細胞相互作用、または転移などの異常により同定される。
本明細書で使用する“転移”なる用語は、癌の起源、例えば、原発巣から離れた部位へ広がった癌を意味する。転移の部位は、骨、リンパ節、肺、肝臓、および脳を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する“血管新生”なる用語は、現存する血管からの新規血管の成長を意味する。
本明細書で使用する“臨床エンドポイント”なる用語は、癌の指標となる測定可能なイベントを意味する。臨床エンドポイントは、最初の転移までの時間、次の転移までの時間、転移のサイズおよび/または数、腫瘍のサイズおよび/または数、腫瘍の位置、腫瘍の攻撃性、生活の質、疼痛などを含むが、これらに限定されない。当業者は、臨床エンドポイントを決定し、測定する能力を有すると考えられる。臨床エンドポイントを測定する方法は、当業者に既知である。
本明細書で使用する“サンプル”なる用語は、患者からの生物学的材料を意味する。本発明でアッセイされるサンプルは、任意の特定の型に限定されない。サンプルは、単一細胞、複数細胞、組織、腫瘍、生物学的液体、生物学的分子、もしくは上清または前記のいずれかの抽出物を含むが、これらに限定されない。例えば、生検のために除去された組織、切除術の間に除去された組織、血液、尿、リンパ組織、リンパ液、脳脊髄液、粘液、および糞便サンプルを含む。使用されるサンプルは、アッセイ様式、検出法およびアッセイされる腫瘍、組織、細胞もしくは抽出物の性質に基づいて変わる。サンプルを調製する方法は、当分野で既知であり、使用される方法に適合したサンプルを得るために、容易に適用し得る。
本明細書で使用する“生物学的分子”なる用語は、ポリペプチド、核酸、およびサッカライドを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する“調節する”なる用語は、細胞の内側、外側、もしくは表面上に存在する遺伝子、タンパク質、もしくは任意の分子の質または量の変化を意味する。変化は、分子の発現もしくはレベルの増加または減少であり得る。“調節する”なる用語はまた、細胞増殖、成長、接着、アポトーシス、細胞内シグナル伝達、細胞から細胞へのシグナル伝達などを含むが、これらに限定されない生物学的機能/活性の質もしくは量を変化させることを含む。
本明細書で使用する“モジュレーター”なる用語は、癌もしくは血管疾患と関連する1種またはそれ以上の生理学的もしくは生化学的イベントを調節する組成物を意味する。ある態様において、モジュレーターは、癌と関連する1種またはそれ以上の生物学的活性を阻害する。ある態様において、モジュレーターは、1種またはそれ以上の生物学的活性を増大させ、それにより、血管疾患と関連する症状を改善する。ある態様において、モジュレーターは、小分子、抗体、模倣剤、デコイまたはオリゴヌクレオチドである。ある態様において、モジュレーターは、リガンド結合を妨害するか、またはリガンド結合部位に競合することにより作用する。ある態様において、モジュレーターは、リガンド結合から独立して作用する。ある態様において、モジュレーターは、リガンド結合部位に競合しない。ある態様において、モジュレーターは、癌または血管疾患に関与する遺伝子産物の発現を妨害する。ある態様において、モジュレーターは、癌または血管疾患に関与する2種またはそれ以上の生体分子の物理的相互作用を妨害する。ある態様において、本発明のモジュレーターは、細胞増殖、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、脂肪細胞へのグルコース取り込み、癌細胞生存およびアポトーシスからなる群から選択される1種またはそれ以上のFGF21生物学的活性を減少させる。ある態様において、本発明のモジュレーターは、細胞増殖、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、脂肪細胞へのグルコース取り込み、癌細胞生存およびアポトーシスからなる群から選択される1種またはそれ以上のFGF21生物学的活性を増大させる。本発明のモジュレーターはまた、FGF21とFGF21受容体間の相互作用、またはFGF21受容体のリン酸化を阻害し得る。FGF21受容体は、例えば、FGFR-1もしくはFGFR-2のうちの一方、またはその両方であり得る。ある態様において、本発明のモジュレーターは、FGF21とFGF21受容体間の相互作用、および/またはFGF21受容体のリン酸化を増大させる。ある態様において、FGF21モジュレーターは、FGF21発現を阻害する。ある態様において、FGF21モジュレーターは、FGF21発現を増加させる。
“遺伝子産物”は、遺伝子により発現するか、または産生された、生体高分子産物である。遺伝子産物は、例えば、非スプライスRNA、mRNA、スプライス変異型mRNA、ポリペプチド、翻訳後修飾ポリペプチド、スプライス変異型ポリペプチドなどであり得る。また、鋳型としてRNA遺伝子産物を用いて作製された生体高分子産物(すなわち、RNAのcDNA)が、この用語には含まれる。遺伝子産物は、酵素学的に、組み換え的に、化学的に、または遺伝子が天然である細胞内で作製され得る。ある態様において、遺伝子産物がタンパク様であるとき、それは、生物学的な活性を示す。ある態様において、遺伝子産物が核酸であるとき、それは、生物学的活性を示すタンパク様遺伝子産物に翻訳され得る。
本明細書で使用する“FGF21活性の調節”は、例えば、薬剤とFGF21ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの相互作用、FGF21転写および/または翻訳の阻害(例えば、FGF21遺伝子またはFGF21転写産物とのアンチセンスもしくはsiRNA相互作用を介して、FGF21発現を促進する転写因子の調節を介して)などの結果として生じ得る、FGF21活性の増加もしくは減少を意味する。例えば、生物学的活性の調節は、生物学的活性の増加もしくは減少を意味する。FGF21活性は、内皮細胞増殖を評価すること、FGF21ポリペプチドレベルを評価すること、またはFGF21転写レベルを評価することを含むがこれらに限定されない手段により評価され得る。FGF21活性の比較はまた、FGF21下流マーカーのレベルを測定すること、FGF21シグナル伝達の阻害を測定すること、FGF21仲介細胞接着の阻害を測定すること、FGF21仲介癌細胞アポトーシスの活性を測定すること、癌細胞成長の阻害を測定すること、腫瘍形成の阻害を測定すること、およびサイクリン産生の阻害を測定することにより達成され得る。FGF21活性はまた、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGF21受容体間の相互作用、またはFGF21受容体のリン酸化を測定することにより評価し得る。ある態様において、FGF21受容体は、FGFR-1またはFGFR-2であり、FGF21受容体のリン酸化は、チロシンリン酸化であり得る。ある態様において、FGF21活性の調節は、FGF21関連表現型の調節を生じ得る。
本明細書で使用する“阻害する”なる用語は、活性もしくは量の縮小、減少、不活性化またはダウンレギュレーションを意味する。例えば、本発明の文脈において、FGF21モジュレーターは、1種またはそれ以上の癌細胞成長、腫瘍形成、癌細胞増殖、癌細胞転移、細胞移動、血管新生、FGF21シグナル伝達、FGF21仲介細胞-細胞接着、細胞-細胞相互作用、FGF21仲介細胞-細胞膜相互作用およびFGF21発現を阻害し得る。阻害は、コントロールと比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%であり得る。
本明細書で使用する“癌細胞で特異的に発現した”および“癌細胞で特異的に発現したポリヌクレオチド”なる用語は、本明細書において、交換して使用することが可能であり、癌性ではない同様の細胞型の細胞と比較して、癌性細胞で特異的に発現する遺伝子を示すか、もしくはそれに相当するポリヌクレオチドを意味し、例えば、mRNAは、少なくとも約25%、少なくとも約50%から約75%、少なくとも約90%、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、もしくは少なくとも約50倍またはそれ以上異なった(例えば、より高いもしくはより低い)レベルで見出される。該比較は、例えば、インサイチュハイブリダイゼーションまたは組織での細胞型間のある程度の区別を可能にする他のアッセイを用いて、組織で行われ得る。比較はまた、それらの組織起源から取り出された細胞間でなされるか、またはインサイチュでのある細胞とその組織起源から取り出された細胞間でなされ得る。ある態様において、遺伝子は、正常細胞と比較して、癌遺伝子でアップレギュレートされる。
FGF21関連癌はまた、癌の少なくとも1種の症状もしくは臨床エンドポイントが、軽減、終結、遅延、または予防されるとき“阻害”される。本明細書で使用するとき、FGF21関連癌はまた、癌の再発もしくは転移が、減少、減速、遅延、または予防されるとき“阻害”される。
本明細書で使用する“FGF21仲介細胞接着を阻害する”なる句は、FGF21阻害剤の存在下での細胞-細胞接着の阻害もしくは停止を意味し、ここで、少なくとも1種の細胞は、FGF21を特異的に発現する。この文脈で、FGF21仲介細胞接着は、FGF21阻害剤の非存在下でのFGF21仲介細胞接着と比較して、FGF21阻害剤により、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで減少し得る。FGF21仲介細胞接着の比較は、測定により、例えば、興味のある細胞を標識し、それらを、基質と結合した未標識細胞集団と共にインキュベートし、洗浄して、非接着集団から接着物を分離することにより達成され得る。この方法で、細胞接着は、基質上に保持された標識の量を測定することにより決定される。アッセイ系の例は、蛍光プローブ、例えば、カルセインAM、CFMDA (5-クロロメチルフルオレセインジアセテート)、5(6)-CFDA-SE [5-(および-6)-カルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル]で標識し、蛍光プレートリーダーまたはフローサイトメトリーにより蛍光を測定することを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する“癌細胞アポトーシスを増加させる”なる句は、FGF21の存在下、FGF21を特異的に発現する癌細胞のアポトーシスを増加させることを意味する。この文脈で、癌細胞アポトーシスは、FGF21阻害剤の非存在下での癌細胞アポトーシスと比較して、FGF21阻害剤で、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで増加させ得る。癌細胞アポトーシスの比較は、例えば、DNA断片化、カスパーゼ活性、ミトコンドリア膜電位の欠損、活性酸素種(ROS)の増加した産生、細胞内酸性化、クロマチン凝集、細胞表面におけるホスファチジルセリン(PS)レベル、および増加した細胞膜透過性を測定することにより達成し得る。
DNA断片化は、例えば、TUNELアッセイ(ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼdUTPニック末端標識)で測定し得る。アッセイの商業版は、例えば、APO-BrdU(商標) TUNELアッセイキット(Invitrogen)、APO-DIRECT(商標) キット(BD Biosciences Pharmingen)およびApoAlert(商標) DNA断片化アッセイキット(Clontech, a Takara Bio Company)で広く利用可能である。
カスパーゼ活性は、特定のカスパーゼに特異的な蛍光性、発色性および発光性基質によりモニターし得る。商業的なアッセイキットは、少なくとも、カスパーゼ1、2、3、6、7、8および9について利用可能である(例えば、Invitrogen, Chemicon, CalBiochem, BioSource International, Biovisionを参照のこと)。
ミトコンドリア膜電位の欠損は、健全な活性ミトコンドリアで特異的に蓄積する蛍光色素を用いて測定し得る。1つの例は、InvitrogenからのMitoTracker Redシステムであるが、これに限定されない。
活性酸素種(ROS)の産生は、例えば、H2DCFDA (Invitrogen)を含む蛍光色素を用いて測定し得る。
細胞内酸性化は、蛍光性もしくは発色性色素を用いて測定し得る。
クロマチン凝集は、例えば、Hoechst 33342を含む蛍光色素を用いて測定し得る。
ホスファチジルセリン(PS)レベルは、細胞表面で測定し得る。例えば、アネキシンVが、PSとの高親和性を有する。商業的に利用可能な多くのアッセイが、標識化アネキシンVの細胞表面への結合をモニターするのに適当である。
細胞膜透過性は、アポトーシス細胞には入るが、ネクローシス細胞には入らない蛍光色素であるYO-PRO-1 (Invitrogen)のような色素を用いて測定し得る。
本明細書で使用する“癌細胞成長を阻害する”なる句は、FGF21阻害剤の存在下での癌細胞成長の阻害もしくは停止を意味し、ここで、該細胞は、FGF21を特異的に発現する。この文脈で、癌細胞成長は、FGF21阻害剤の非存在下での癌細胞成長と比較して、FGF21阻害剤で、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで減少させ得る。癌細胞成長の比較は、例えば、MTTアッセイ(例えば、Vybrant(登録商標) MTT細胞増殖アッセイキット(Invitrogen)); BrdU取り込み(例えば、Absolute-S SBIPアッセイ(Invitrogen)); 細胞内ATPレベルを測定すること(例えば、ATPLite(商標)-M, 1,000アッセイキット(PerkinElmer)またはATP細胞生存アッセイキット(BioVision)を用いて); DiOc18アッセイ、膜透過性色素(Invitrogen);グルコース-6-ホスファターゼデヒドロゲナーゼ活性アッセイ(例えば、Vibrant細胞毒性アッセイ(Invitrogen)); または細胞LDH活性を測定することにより達成し得る。
本明細書で使用する“腫瘍形成を阻害する”なる句は、FGF21阻害剤の存在下での腫瘍形成の阻害もしくは停止を意味し、ここで、該腫瘍は、FGF21を特異的に発現する細胞を含む。この文脈で、腫瘍形成は、FGF21阻害剤の非存在下での腫瘍形成と比較して、FGF21阻害剤で、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで減少させ得る。腫瘍形成の比較は、例えば、細胞に基づくアッセイ(例えば、軟寒天でのコロニー形成); 一般的に、興味のある細胞を動物に接種することに依存する腫瘍形成のインビボモデル(例えば、無胸腺マウスもしくはラット、放射線を受けたマウスもしくはラット;脳、頬袋もしくは眼のような免疫学的寛容部位への接種; 同系動物の接種)を用いて、一定期間経過後の塊の大きさをモニターすることにより達成され得る。
本明細書で使用する“サイクリンD1を阻害する”なる句は、FGF21仲介サイクリン産生の阻害または停止を意味する。この文脈で、FGF21仲介サイクリン産生は、FGF21阻害剤の非存在下でのFGF21仲介サイクリン産生と比較して、阻害剤で、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで減少させ得る。サイクリン産生の比較は、例えば、RT-PCRもしくはノザンブロッティングにより、サイクリンmRNAレベルを; イムノブロッティング、免疫沈降もしくはELISAにより、サイクリンポリペプチドレベルを測定すること; またはサイクリン制御因子、例えば、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と複合体を形成するサイクリンのレベルを、例えば、CDK、p21WAF1、p27KIP-1を標的とする抗体を用いて測定するための共免疫沈降アッセイを含む機能的アッセイを用いること; ならびにCDKによるサイクリンのリン酸化を測定すること(放射性標識および免疫沈降解析またはFRETに基づく方法、例えば、CDK2/サイクリンAアッセイキット(Molecular Devices)を介してアッセイされ得る)により達成され得る。
本明細書で使用する“FGF21受容体のリン酸化を阻害する”なる句は、FGF21仲介FGF21受容体リン酸化の阻害または停止を意味する。この文脈で、FGF21仲介FGF受容体リン酸化は、FGF21阻害剤の非存在下でのFGF21仲介FGF受容体リン酸化と比較して、阻害剤で、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%まで減少させ得る。リン酸化レベルは、当業者に既知のリン酸化アッセイを用いて評価し得る。FGFR-1およびFGFR-2は、例えば、FGF21受容体である。
本明細書で使用する“細胞内シグナル伝達を阻害する”なる句は、FGF21を含む細胞内シグナル伝達カスケードの下流のメンバーにおけるFGF21の効果を減少させることを意味する。FGF21を含む細胞内シグナル伝達カスケードは、FGF21とFGFR-1もしくはFGFR-2のようなFGF21受容体間の相互作用により仲介される。FGF21シグナル伝達の阻害は、細胞内シグナル伝達経路の下流のメンバーのポリペプチドもしくはポリヌクレオチドレベルを測定することにより決定し得る。例えば、下流のマーカーは、FGF21受容体、例えば、FGFR-1もしくはFGFR-2遺伝子発現であり得る。当業者は、FGF21ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドレベルを測定する能力を有するものと考えられる。当業者はまた、FGF21の下流マーカーのレベルを測定し得る。
本明細書で使用する“細胞-細胞相互作用を阻害する”なる句は、FGF21を発現する2種またはそれ以上の細胞間の相互作用を減少させるか、または解消することを意味する。ある態様において、細胞間の相互作用は、細胞シグナル伝達を生じる。細胞-細胞相互作用は、当業者に既知の多くの方法で検出され得て、例えば、PKH26およびPKH67 (Sigma)を含む異なる蛍光膜色素で標識した、共培養プレ標識細胞間の膜交換の観察を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する“FGF21下流マーカー”は、遺伝子もしくは遺伝子産物、または遺伝子もしくは遺伝子産物の測定可能な指標である。ある態様において、FGF21の下流マーカーである遺伝子もしくは活性は、癌組織もしくは癌細胞で(正常なもしくは健全な組織での発現レベルと比較して)、または血管組織で、変えられた発現レベルを示す。ある態様において、下流マーカーの活性は、FGF21モジュレーターの存在下で変えられる。ある態様において、下流マーカーは、FGF21が本発明のFGF21モジュレーターで混乱を与えられたとき、変えられた発現レベルを示す。FGF21の下流マーカーは、FGFR-1およびFGFR-2を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される“血管疾患”なる用語は、循環系の疾患を意味する。血管疾患は、動脈疾患、例えば、冠動脈疾患(CAD)、末梢動脈疾患(PAD)、腹部大動脈瘤; および静脈疾患、例えば、血栓、深部静脈血栓症、静脈鬱滞疾患、静脈炎、静脈瘤を含む。アテローム性動脈硬化症は、多くの血管疾患の根本原因であり、したがって、アテローム性動脈硬化症を患う対象は、本明細書に記載された組成物および方法を用いた処置の候補である。
本明細書で使用される“アップレギュレート”なる用語は、活性もしくは量の増加、活性化または刺激を意味する。同様に、FGF21“アクチベーター”は、FGF21の活性もしくは量をアップレギュレートする組成物である。例えば、本発明の文脈で、FGF21モジュレーターは、FGF21受容体のレベルを増加させ得る。1つの態様において、FGFR-1もしくはFGFR-2のうちの1つまたはその両方は、FGF21モジュレーターに対する応答でアップレギュレートされる。アップレギュレーションはまた、FGF21関連活性、例えば、細胞増殖、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、癌細胞生存、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGF21受容体間の相互作用、またはFGF21受容体のリン酸化を意味する。FGFR21受容体は、FGFR-1もしくはFGFR-2のうちの1つまたはその両方であり得る。アップレギュレーションは、コントロールと比較して、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも400%、または少なくとも500%であり得る。FGF21モジュレーターは、FGF21受容体のリン酸化を増加させ得るか、または血管新生を増加させ得る。
本明細書で使用する“N末端”なる用語は、タンパク質の少なくとも最初の10アミノ酸を意味する。
本明細書で使用する“N末端ドメイン”および“N末端領域”は、交換可能に使用され、タンパク質の最初のアミノ酸で始まり、タンパク質のN末端半分における任意のアミノ酸で終わる、タンパク質の断片を意味する。例えば、FGF21のN末端ドメインは、配列番号2のアミノ酸1から配列番号2のアミノ酸9から209間の任意のアミノ酸までである。
本明細書で使用する“C末端”なる用語は、タンパク質の少なくとも最後の10アミノ酸を意味する。
本明細書で使用する“C末端ドメイン”および“C末端領域”は、交換可能に使用され、タンパク質のC末端半分における任意のアミノ酸で始まり、タンパク質の最後のアミノ酸で終わる、タンパク質の断片を意味する。例えば、FGF21のC末端ドメインは、配列番号2のアミノ酸105からアミノ酸約200の任意のアミノ酸で始まり、配列番号2のアミノ酸209で終わる。
本明細書で使用する“ドメイン”なる用語は、生体分子の既知もしくは未知の機能に関与する生体分子の構造的部分を意味する。ドメインは、その領域もしくは部分と同一の広がりを持ち得て、また該領域の全部もしくは部分に加えて、特定の領域と異なる生体分子の部分を組み込み得る。
本明細書で使用する“シグナルドメイン”(また、“シグナル配列”または“シグナルペプチド”)なる用語は、前駆体タンパク質(しばしば、膜結合もしくは分泌タンパク質)のN末端領域で、一連のアミノ酸配列で位置するペプチドドメインを意味し、翻訳後タンパク質の輸送に関与する。多くの場合において、シグナルドメインは、分類過程が完了した後、特化したシグナルペプチターゼにより、完全長タンパク質から除去される。各シグナルドメインは、前駆体タンパク質について、細胞内の特定の目的地を指定する。例えば、FGF21のシグナルドメインは、配列番号2(GenPept受託番号NP_061986を参照のこと)のアミノ酸1-28により示される。
本明細書で使用する“受容体結合ドメイン”なる用語は、膜結合受容体タンパク質と接触し、細胞応答、例えば、シグナル伝達イベントを生じる、タンパク質の任意の部分もしくは領域を意味する。
本明細書で使用する“リガンド結合ドメイン”なる用語は、FGF21の相当する天然配列の少なくとも1種の質的結合活性を保持する、タンパク質の任意の部分もしくは領域を意味する。
“領域”なる用語は、生体分子の一次構造の物理的に隣接した部分を意味する。タンパク質の場合には、領域は、該タンパク質のアミノ酸配列の隣接した部分により定義される。ある態様において、“領域”は、生体分子の機能と関連する。
本明細書で使用する“断片”なる用語は、生体分子の一次構造の物理的に連続した部分を意味する。タンパク質の場合には、部分は、該タンパク質のアミノ酸配列の連続した部分により示され、少なくとも、3-5アミノ酸、少なくとも、8-10アミノ酸、少なくとも、11-15アミノ酸、少なくとも、17-24アミノ酸、少なくとも、25-30アミノ酸、および少なくとも、30-45アミノ酸を意味する。オリゴヌクレオチドの場合には、部分は、該オリゴヌクレオチドの核酸配列の連続した部分により示され、少なくとも、9-15ヌクレオチド、少なくとも、18-30ヌクレオチド、少なくとも、33-45ヌクレオチド、少なくとも、48-72ヌクレオチド、少なくとも、75-90ヌクレオチド、および少なくとも、90-130ヌクレオチドを意味する。ある態様において、生体分子の部分は、生物学的活性を有する。本発明の文脈では、FGF21ポリペプチド断片は、配列番号2で示した全長FGF21ポリペプチド配列を含まない。
本明細書で使用する“FGF21関連細胞/腫瘍/サンプル”などは、非癌性および/または非転移性細胞、サンプル、腫瘍、または他の病状と比較して、FGF21の特異的な発現により特徴づけられる細胞、サンプル、腫瘍もしくは他の病状を意味する。ある態様において、FGF21関連細胞、サンプル、腫瘍もしくは他の病状は、非転移性細胞、サンプル、腫瘍、または他の病状と比較して、増加したFGF21発現の証拠により特徴づけられる。
本明細書で使用する“抗体”なる用語は、標的タンパク質またはその断片に特異的なモノクローナルおよびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、二機能性/二特異性抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および相補性決定領域(CDR)移植抗体である。“抗体”なる用語はさらに、インビボでの治療抗体遺伝子トランスファーを含む。Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、およびFvを含む抗体断片はまた、本発明により提供される。
本明細書で使用する“モノクローナル抗体”なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を意味し、それはすなわち、該集団を含む個々の抗体が、わずかな量で存在し得る、天然で生じる可能性のある突然変異を除いて同一であることを意味する。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に向けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体の混入なしに合成し得るという点で有利である。修飾“モノクローナル”は、実質的に均一な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示すが、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると考えるべきではない。例えば、本発明により使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法により作製され得るか、または組み換えDNA法により作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。“モノクローナル抗体”はまた、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記載された技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
本明細書に記載したモノクローナル抗体は、特に、“キメラ”抗体を含み、ここで、キメラ抗体は、それらが、望む生物学的活性を示すかぎりにおいて、重鎖および/または軽鎖の一方が、特定の種に由来するか、もしくは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体に相当する配列と同一であるか、もしくは相同であり、一方で、残りの鎖が、他の種に由来するか、もしくは他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体に相当する配列、およびそのような抗体の断片と同一であるか、もしくは相同である(米国特許第4,816,567号; およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。本明細書で興味のあるキメラ抗体は、非ヒト霊長類に由来する可変ドメイン抗原結合配列(例えば、Old World Monkey, Apeなど)およびヒト定常領域配列を含む“霊長類化”抗体を含む。
“抗体断片”は、インタクト抗体の一部を含み、好ましくは、その抗原結合もしくは可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片; ダイアボディ; 直線状抗体 (Zapata et al., Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]); 一本鎖抗体分子; および抗体断片(複数も可)から形成される多特異的抗体を含む。
“インタクト”抗体は、抗原結合可変領域ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変形であり得る。ある態様において、インタクト抗体は、1種またはそれ以上のエフェクター機能を有する。
抗体の“エフェクター機能”は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変形Fc領域)に起因する生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例は、C1q結合; 補体依存性細胞毒性; Fc受容体結合; 抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC); 貪食; 細胞表面受容体のダウンレギュレーション(例えば、B細胞受容体; BCR)などを含む。
“抗体依存性細胞仲介細胞毒性”または“ADCC”は、特定の細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌型Igにより、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原含有標的細胞に特異的に結合し、次いで、該標的細胞を細胞毒素で殺傷するのを可能にする細胞毒性の形態を意味する。抗体は、細胞毒性細胞を“作動可能にし”、そのような細胞殺傷のためには絶対的に必要とされる。ADCCを仲介する一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92 (1991)の464頁表3に要約されている。興味のある分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCCアッセイ、例えば、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載されたアッセイを実施し得る。該アッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、またはさらに、興味のある分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al. (USA) 95:652-656 (1998)に開示された動物モデルでアッセイされ得る。
“ヒトエフェクター細胞”は、1種またはそれ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を行う白血球である。ある態様において、該細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を行う。ADCCを仲介するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞障害性T細胞および好中球を含む(PBMCおよびNK細胞が好まれる)。エフェクター細胞は、その天然起源から、例えば、本明細書に記載した血液またはPBMCから単離され得る。
“Fc受容体”または“FcR”なる用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために使用される。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体のアレル変異型およびあるいはスプライス変異型を含む)を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA (“活性化受容体”)およびFcγRIIB (“阻害受容体”)を含み、それらは、同様のアミノ酸配列を有するが、主に、その細胞内ドメインにおいて異なる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞内ドメインに、免疫受容体チロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞内ドメインに、免疫受容体チロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)を含む(総説M. in Daron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照のこと)。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92 (1991); Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994); およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)に概説されている。将来同定され得るものを含む他のFcRは、本明細書の“FcR”なる用語に包含される。該用語はまた、新生児型FcRnを含み、それは、母体IgGの胎児への移動に関与する(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))。
“補体依存性細胞毒性”または“CDC”は、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を意味する。補体活性経路は、補体系の最初の成分(C1q)の同種抗原と複合体を形成した分子(例えば、抗体)への結合により開始される。補体活性を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されたCDCアッセイを行い得る。
本明細書で使用する“エピトープ”なる用語は、ポリペプチドの抗原決定基を意味する。ある態様において、エピトープは、エピトープに特有の立体配座中に3またはそれ以上のアミノ酸を含み得る。ある態様において、エピトープは、直線もしくは立体配座のエピトープである。一般に、エピトープは、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、および少なくとも12個の該アミノ酸、より一般的には、少なくとも8-10個の該アミノ酸からなる。当分野で既知のアミノ酸の立体配座を決定する方法は、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴を含む。
本明細書で使用する“エピトープ含有断片”なる用語は、1個またはそれ以上のエピトープを含むポリペプチドの断片を意味する。ある態様において、エピトープ含有断片は、完全長ポリペプチドではない。
“相補性決定領域”なる句は、天然免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性および特異性を共に示すアミノ酸配列を意味する。例えば、Chothia et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987); Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services NIH Publication No. 91-3242 (1991)を参照のこと。“定常領域”なる句は、エフェクター機能を与える抗体分子の部分を意味する。本発明において、マウス定常領域は、ヒト定常領域で置換される。対象ヒト化抗体の定常領域は、ヒト免疫グロブリンに由来する。重鎖定常領域は、5つのアイソタイプのいずれかから選択し得る: α、δ、ε、γまたはμ。抗体をヒト化する1つの方法は、非ヒト重鎖および軽鎖配列をヒト重鎖および軽鎖配列と共に並べ、非ヒトフレームワークを、ヒト化配列の構造を予測する該アライメント分子モデリングに基づいて、ヒトフレームワークを用いて選択および置換し、親抗体の構造と比較することを含む。この工程の後に、ヒト化配列モデルの予測された構造が、親非ヒト抗体の非ヒトCDRの構造に近似するまで、CDRの構造を変化させるCDR領域の残基で、繰り返し復帰突然変異を行う。そのようなヒト化抗体はさらに、例えば、Ashwell受容体による取り込みおよび除去を促進するために誘導体化され得る。例えば、米国特許第5,530,101号および第5,585,089号を参照のこと(それは、引用により本明細書の一部とする)。
“アンタゴニスト”なる用語は、最も広い意味で使用され、本明細書に開示された腫瘍細胞抗原の生物学的活性を、部分的もしくは完全に、妨害するか、阻害するか、もしくは中和するすべての分子を含む。同様に、“アゴニスト”なる用語は、最も広い意味で使用され、本明細書に開示された腫瘍細胞抗原の生物学的活性を模倣するすべての分子を含む。適当なアゴニストもしくはアンタゴニスト分子は、特に、アゴニストもしくはアンタゴニスト抗体もしくは抗体断片、腫瘍細胞抗原の断片もしくはアミノ酸配列変異型、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子などを含む。腫瘍細胞抗原のアゴニストもしくはアンタゴニストを同定する方法は、興味のある抗原を発現する腫瘍細胞を候補アゴニストもしくはアンタゴニスト分子と接触させ、通常、腫瘍細胞抗原と関連する1種またはそれ以上の生物学的活性における検出可能な変化を測定することを含み得る。アンタゴニストはまた、合理的設計またはファージディスプレイ(例えば、1998年8月13日に公開されたWO98/35036を参照のこと)により作製されたペプチドであり得る。ある態様において、最適な分子は、抗体のCDRに基づいて設計された“CDR模倣剤”もしくは抗体類似体であり得る。そのようなペプチドは、それ自身で拮抗的であり得て、ペプチドは、所望により、ペプチドのアンタゴニスト特性を付加するか、もしくは促進するために、細胞毒性剤と融合させ得る。
本明細書で使用する“オリゴヌクレオチド”なる用語は、一連の結合したヌクレオチド残基を意味する。オリゴヌクレオチドは、アンチセンスおよびsiRNAオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。オリゴヌクレオチドは、DNA配列の部分を含み、少なくとも約10ヌクレオチドから約500ものヌクレオチドを有する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約10ヌクレオチドから約50ヌクレオチド、約15ヌクレオチドから約30ヌクレオチド、および約20ヌクレオチドから約25ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成し得て、プローブとして使用することも可能である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、一本鎖である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、二本鎖である少なくとも1つの部分を含む。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、RNA干渉オリゴヌクレオチド(RNAiオリゴヌクレオチド)である。
本明細書で使用する“アンチセンスオリゴヌクレオチド”なる用語は、FGF21の転写もしくは翻訳と関連するポリヌクレオチド配列(例えば、FGF21ポリヌクレオチドのプロモーター)を含む、FGF21ポリヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有する非修飾もしくは修飾核酸を意味し、ここで、アンチセンスポリヌクレオチドは、FGF21ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズすることができる。特に興味があるのは、インビトロまたはインビボで、FGF21ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写および/または翻訳を阻害することができるアンチセンスポリヌクレオチドである。
本明細書で使用する“siRNAオリゴヌクレオチド”、“RNAiオリゴヌクレオチド”、“低分子干渉RNA”、または“siRNA”は、交換可能に使用され、転写後遺伝子サイレンシングを介して作用するオリゴヌクレオチドを意味する(また、RNA干渉(RNAi)として既知である)。該用語は、RNA干渉“RNAi”を可能とする二本鎖核酸分子を意味する(Kreutzer et al., WO 00/44895; Zernicka-Goetz et al. WO 01/36646; Fire, WO 99/32619; Mello and Fire, WO 01/29058を参照のこと)。SiRNAは、一般に、RNA分子であるが、さらに、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドを包含する。SiRNA遺伝子標的化実験は、細胞への一過的なsiRNA導入により行われる(それは、リポソーム仲介トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションのような古典的な方法により達成される)。siRNAの分子は、21-から23-ヌクレオチドRNAであり、通常、RNAiを開始する長い二本鎖RNA(dsRNA)のRNase III加工産物と類似した特徴的な2-から3-ヌクレオチド3'-オーバーハング末端を有する。
本明細書で使用するFGF21 RNAの“標的領域”は、オリゴヌクレオチド、例えば、ASOもしくはsiRNAがハイブリダイズする領域である。標的領域は、ASOもしくはアンチセンス鎖もしくはsiRNAと完全に相補的であるか、または標的領域とASOまたはsiRNAの間に、少なくとも1、2、3または4個のミスマッチが存在し得る。
本明細書で使用する“デコイ”なる用語は、FGF21受容体、例えば、FGFR-1またはFGFR-2に結合可能な、少なくともFGF21ポリペプチドの一部を含むポリペプチドを意味する。ある態様において、デコイは、リン酸化FGF21受容体に結合することができる。
本明細書で使用する“一塩基多型”(“SNP”)なる用語は、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド挿入またはヌクレオチド欠失を意味し、挿入および欠失の場合には、遺伝子の位置で、1個またはそれ以上のヌクレオチドの挿入もしくは欠失を含む。
本明細書で使用する“治療上有効な量”なる用語は、治療上有効量の医薬が個体に投与されたとき、個体における癌細胞の増殖および/もしくは生存、または癌細胞の転移の1種またはそれ以上の臨床エンドポイントで、それらを減少させるか、または退行させるものとして観察される薬効を産生することを意味することをいう。治療上有効量は、通常、有効成分を含まない組成物が、同様の条件下で個体に投与されたときに観察される効果と比較した効果により決定される。対象のための正確な有効量は、対象のサイズおよび健康状態、状態の性質および程度、ならびに治療剤または投与のために選択される治療剤の組み合わせに依存する。しかしながら、特定の状況下での有効量は、通常の実験により決定され、臨床医の判断の範囲内である。
本明細書で使用する“と組み合わせて”または“と結合して”なる用語は、本発明のFGF21モジュレーターを他の治療レジメンと共に投与することを意味する。
本明細書で使用する“感受性がある”なる用語は、FGF21療法が処置の許容される方法である患者、すなわち、正に応答する可能性が高い患者を意味する。FGF21療法に感受性がある癌患者は、FGF21療法に感受性がない患者と比較して高いレベルのFGF21を発現する。FGF21療法に適した候補ではない癌患者は、癌細胞内もしくは上に、FGF21を欠損しているか、または低いレベルを有している腫瘍サンプルを有する癌患者を含む。
本明細書で使用する“検出すること”なる用語は、活性(例えば、遺伝子発現)もしくは生体分子(例えば、ポリペプチド)の証拠を確立するか、発見するか、または確認することを意味する。
“天然配列”ポリペプチドは、自然に由来するポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドである。そのような天然配列ポリペプチドは、自然から単離し得るか、または組み換えもしくは合成法により産生され得る。したがって、天然配列ポリペプチドは、天然に生じるヒトポリペプチド、マウスポリペプチド、もしくは他のすべての哺乳類種に由来するポリペプチドのアミノ酸配列を有し得る。
“アミノ酸配列変異型”なる用語は、ある程度まで天然配列ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。通常、アミノ酸配列変異型は、天然リガンドの少なくとも1個の受容体結合ドメインまたは天然受容体の少なくとも1個のリガンド結合ドメインと、天然リガンドの少なくとも1個の受容体結合ドメインまたは天然受容体の少なくとも1個のリガンド結合ドメインと、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%の相同性を有する。アミノ酸配列変異型は、天然アミノ酸配列のアミノ酸配列内の特定の位置に、置換、欠失、および/または挿入を有する。
本明細書で使用する“相同なヌクレオチド配列”もしくは“相同なアミノ酸配列”、またはその変形は、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルにおいて、少なくとも一定の割合での相同性により特徴づけられる配列を意味し、“配列同一性”と交換可能に使用される。相同なヌクレオチド配列は、タンパク質のアイソフォームをコードする配列を含む。そのようなアイソフォームは、例えば、RNAのオルタナティブスプライシングの結果として、同じ生物の異なる組織で発現し得る。あるいは、アイソフォームは、異なる遺伝子によりコードされ得る。相同なヌクレオチド配列は、哺乳類を含むが、これらに限定されないヒト以外の種のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。相同ヌクレオチド配列はまた、本明細書に記載したヌクレオチド配列の天然に生じるアレル変異型および突然変異を含むが、これらに限定されない。ある態様において、相同ヌクレオチド配列は、野生型配列と同じか、もしくは類似の結合特性および/または活性を有するポリペプチドをコードする。相同なアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換を含み、該ポリペプチドが、野生型配列と同じか、もしくは類似の結合特性および/または活性を有するアミノ酸配列を含む。ある態様において、ヌクレオチドもしくはアミノ酸配列は、それが、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するとき、相同である。ある態様において、ヌクレオチドもしくはアミノ酸配列は、それが、1-10、10-20、20-30、30-40、40-50、または50-60ヌクレオチド/アミノ酸置換、付加、または欠失を有するとき、相同である。ある態様において、相同アミノ酸配列は、5個以下のまたは3個以下の保存的アミノ酸置換を有する。
相同性もしくは同一性割合は、例えば、Smith and Watermanのアルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482-489)を用いる既定の設定を用いたGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for UNIX, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison WI)により決定され得る。ある態様において、プローブと標的間の相同性は、約75%から約85%である。ある態様において、核酸は、配列番号1またはその部分と少なくとも約85%、約90%、約92%、約94%、約95%、約97%、約98%、約99%および約100%相同なヌクレオチドを有する。そのような配列の相補体をまた提供する。ある態様において、該相補体は、ヌクレオチド配列の十分なおよび完全な相補体である。
相同性はまた、ポリペプチドレベルであり得る。ある態様において、配列番号2、またはその部分と約85%、約90%、約92%、約94%、約95%、約97%、約98%、約99%および約100%相同である。ある態様において、ポリペプチドは、5個まで、10個まで、15個まで、20または30個までのアミノ酸挿入、欠失もしくは置換を有する。
本明細書で使用する“プローブ”なる用語は、可変長の核酸配列を意味する。ある態様において、プローブは、少なくとも約10個および約6,000個ものヌクレオチドを含む。ある態様において、プローブは、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも50または少なくとも75個の連続したヌクレオチドを含む。プローブは、同一の、類似の、もしくは相補的な核酸配列の検出で使用される。より長いプローブは、通常、天然もしくは組み換え起源から入手され、標的配列に対して高度な特異性を示すが、オリゴマーと比較すると標的に対して非常にゆっくりとハイブリダイズする。プローブは、一本鎖もしくは二本鎖であり得て、PCR、膜に基づくハイブリダイゼーション(hybridization membrane-based)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、またはELISA様技術で特異性を有するように設計される。
本明細書で使用する“混合”なる用語は、同じ領域で、1種またはそれ以上の化合物、細胞、分子などを一緒に混ぜ合わせる工程を意味する。これは、例えば、試験管、ペトリ皿、または1種もしくはそれ以上の化合物、細胞、分子などを混合し得るいずれかの容器で行われ得る。
本明細書で使用する“単離された”なる用語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または抗体が天然で生じるのとは異なる環境中に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、または宿主細胞を意味する。細胞を単離する方法は、当業者に既知である。単離されたポリヌクレオチド、ポリペプチド、または抗体は、一般に、実質的に精製される。
本明細書で使用する“実質的に精製された”なる用語は、その天然環境から取り出され、それが天然で関連する他の化合物を、少なくとも60%、少なくとも75%、および少なくとも90%含まない化合物(例えば、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドもしくは抗体)を意味する。
本明細書で使用する“結合する”なる用語は、2種またはそれ以上の生体分子もしくは化合物間の物理的もしくは化学的相互作用を意味する。結合は、イオン性、非イオン性、水素結合、ファン・デル・ワールス力、疎水性相互作用などを含む。結合は、直接もしくは間接的であり得て; 間接的な結合は、他の生体分子もしくは化合物の効果を介するか、またはそれらによるものである。直接結合は、他の分子もしくは化合物の効果を介するか、またはそれらによらないで生じる相互作用を意味し、代わりの他の実質的な化学中間体が存在しない。
本明細書で使用する“接触させる”なる用語は、直接もしくは間接的に、1個の分子を第2の分子に物理的に近接させること意味する。該分子は、任意の数の緩衝液、塩、溶液などであり得る。“接触させる”は、例えば、ポリヌクレオチドを、核酸分子を含むビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコ、もしくはマイクロアレイなどに入れることを含む。“接触させる”はまた、例えば、抗体を、ポリペプチドを含むビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコ、もしくはマイクロアレイなどに入れることを含む。接触は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで起こり得る。
本明細書で使用する“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”または“ストリンジェント条件”は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが、その標的配列にはハイブリダイズするが、他の配列に対しては最小限のハイブリダイズしかしない条件を意味する。ストリンジェント条件は、配列依存性であり、異なる状況下で異なり得る。より長い配列は、より高い温度で、それらの適当な相補体と特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェント条件は、既定のイオン強度およびpHで、特異的な配列のための熱融解温度(Tm)よりも約5℃低い温度まで選択される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列とハイブリダイズする温度である(既定のイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)。標的配列は、一般に、Tmで過剰に存在するので、プローブの50%は、平衡状態でそれらの相補体とハイブリダイズする。典型的には、ストリンジェント条件は、塩濃度が、pH 7.0から8.3で、約1.0 M未満のナトリウムイオン、典型的には、約0.01から1.0 Mのナトリウムイオン(または、他の塩)であり、温度が、短プローブ、プライマーもしくはオリゴヌクレオチド(例えば、10から50ヌクレオチド)について、少なくとも約30℃および長プローブ、プライマーもしくはオリゴヌクレオチドについて、少なくとも約60℃のものである。ストリンジェント条件はまた、不安定化剤、例えば、ホルムアミドの添加により達成され得る。
本明細書で使用する“中等度のストリンジェンシー条件”は、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが、その標的配列にはハイブリダイズするが、他の配列に対しては限られた数しかハイブリダイズしない条件を意味する。中等度の条件配列依存性であり、異なる状況下で異なり得る。中等度の条件は、当業者に既知であり、とりわけ、Maniatis et al.に記載されている(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory; 2nd Edition (December 1989))。
本明細書に記載された核酸組成物は、例えば、ポリペプチドを産生するために、生物学的サンプル(例えば、ヒト細胞の抽出物)中のmRNAもしくはそのようなサンプルから産生されるcDNAの検出のためのプローブとして、ポリヌクレオチドのさらなるコピーを産生するために、リボザイムもしくはオリゴヌクレオチド(一本および二本鎖)を産生するために、および一本鎖DNAプローブとして、または三本鎖形成オリゴヌクレオチドとして使用され得る。本明細書に記載されたプローブは、例えば、サンプル中の本明細書で示されたポリヌクレオチドの存在もしくは非存在を決定するために使用され得る。ポリヌクレオチドは、癌と関連するポリペプチドに特異的な抗体を作製するために使用され得て、その結果、抗体は、診断法、予後診断法、本明細書に詳述したものなどにおいて有用である。ポリペプチドはまた、本明細書に詳述した治療的介入のための標的として有用である。本発明の抗体はまた、例えば、本発明のポリペプチドを精製、検出および標的化するために使用され得て、インビトロおよびインビボでの診断および治療法を含む。例えば、抗体は、生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドレベルを定性的および定量的に測定するために、免疫アッセイにおいて有用である(例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988を参照のこと))。これらのおよび他の使用は、下記に詳述されている。
本明細書で使用する“造影剤”なる用語は、本発明の抗体、小分子、もしくはプローブと結合した組成物を意味し、当分野で既知の技術を用いて検出され得る。本明細書で使用する“遺伝子発現の証拠”なる用語は、遺伝子が発現する任意の測定可能な指標を意味する。
“薬学的に許容される担体”なる用語は、治療剤、例えば、抗体またはポリペプチド、遺伝子、ならびに他の治療剤の投与のための担体を意味する。該用語は、それ自身、組成物を受ける個体に有害な抗体の産生を誘導せず、過度の毒性なしに投与され得る任意の医薬担体を意味する。適当な担体は、大きくて、ゆっくりと代謝される巨大分子、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸重合体、アミノ酸共重合体、脂質凝集体および不活性ワクチン粒子であり得る。そのような担体は、当業者に既知である。治療組成物中の薬学的に許容される担体は、液体、例えば、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールを含み得る。補助物質、例えば、湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝物質などはまた、そのようなビヒクル中に存在し得る。
本発明の方法および組成物により処置され得る癌の特定の例は、FGF21関連癌を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用する“FGF21関連癌”は、非癌性細胞と比較して、FGF21を特異的に発現する細胞により特徴づけられる癌を意味する。本発明はまた、FGF21が、癌細胞成長、腫瘍形成、癌細胞増殖、癌細胞転移、細胞移動、血管新生、FGF21シグナル伝達、FGF21仲介細胞-細胞接着、細胞-細胞相互作用、およびFGF21発現において役割を果たす、すべての腫瘍細胞型に適用可能である。ある態様において、癌は、大腸癌、肝臓癌、精巣癌、胸腺腫瘍、乳癌、皮膚癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、多発性骨髄腫および黒色腫である。ある態様において、癌は、大腸癌である。ある態様において、そのような癌は、コントロールと比較して、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、または少なくとも約300%のFGF21の特異的発現を示す。
本発明は、FGF21発現と関連する疾患および障害の処置、阻害、および管理、ならびに該疾患および障害の症状の処置、阻害、および管理のための方法および組成物を提供する。本発明のある態様は、FGF21過剰発現と関連する疾患もしくは障害を処置、阻害または管理する方法および組成物に関する。例えば、本発明のある態様は、癌転移、癌細胞増殖、癌細胞成長および癌細胞浸潤を含むがこれらに限定されない、癌を処置、阻害または管理する組成物を含む方法および組成物に関する。本発明のある態様は、FGF21発現もしくは過剰発現から恩恵を受ける疾患もしくは障害を処置、阻害または管理する組成物を含む方法および組成物に関する。例えば、本発明のある態様は、CADおよびPADを含むがこれらに限定されない、血管疾患を処置、阻害または管理する方法および組成物に関する。
癌の処置
FGF21の過剰発現と関連する疾患もしくは障害、例えば、癌の処置のために、本発明は、本発明のFGF21モジュレーターと共に他の有効成分を含む方法を提供する。ある態様において、該方法はさらに、1種またはそれ以上の慣用的な癌治療剤を患者に投与することを含む。ある態様において、本発明の方法はさらに、患者を1種もしくはそれ以上の化学療法、放射線療法、ホルモン除去、または外科手術で処置することを含む。
本発明はまた、現在のもしくは標準的な癌処置、例えば、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および生物学的療法に部分的もしくは完全に不応になった癌または他の過剰増殖性細胞障害もしくは疾患の処置、阻害および管理のための方法および組成物を提供する。
本発明はまた、癌を診断し、および/または癌進行を予測するために、本発明のFGF21モジュレーター、特に、FGF21抗体を用いた診断および/または画像化法を提供する。ある態様において、本発明の方法は、腫瘍および/または転移を画像化し、その位置を特定する方法ならびに診断および予後診断の方法を提供する。ある態様において、本発明の方法は、FGF21関連療法の妥当性を評価する方法を提供する。
血管疾患の処置
FGF21発現もしくは過剰発現から利益を得る疾患もしくは障害、例えば、血管疾患の処置のために、本発明は、本発明のFGF21モジュレーターと共に他の有効成分を含む方法を提供する。ある態様において、該方法はさらに、1種またはそれ以上の慣用的な癌治療剤を患者に投与することを含む。ある態様において、本発明の方法はさらに、血管形成術、ステント植込み術、アテローム切除術、バイパス術、または抗血小板剤、抗凝固剤、もしくは血栓溶解剤のような薬剤の投与を含む。ある態様において、本発明の方法はさらに、患者を特別な食事の状態に置き、脂肪およびコレステロール摂取を制御するか、または特別な運動レジメンに置くことを含む。
本発明はまた、現在のもしくは標準的な処置に部分的もしくは完全に不応になった血管障害もしくは疾患の処置、阻害および管理のための方法および組成物を提供する。
本発明はまた、血管疾患を診断し、および/または疾患の進行を評価するために、本発明のFGF21モジュレーター、特に、FGF21抗体を用いた診断および/または画像化法を提供する。ある態様において、本発明の方法は、例えば、処置レジメンの進行をモニターするために、新たな血管成長を画像化する方法を提供する。ある態様において、本発明の方法は、FGF21関連療法の妥当性を評価する方法を提供する。
FGF21モジュレーター
本発明は、とりわけ、癌の処置、診断、検出もしくは画像化のための、または血管疾患の処置、診断、検出もしくは画像化のためのFGF21モジュレーターを提供する。FGF21モジュレーターはまた、癌および血管疾患用医薬の製造において有用である。
ある態様において、FGF21モジュレーターは、オリゴヌクレオチド、小分子、模倣剤、デコイ、または抗体である。ある態様において、FGF21モジュレーターは、コントロールと比較して、25%、50%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、99%もしくは100%までFGF21生物学的活性を阻害する。ある態様において、FGF21モジュレーターは、コントロールと比較して、少なくとも25%、50%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、99%もしくは100%までFGF21発現を阻害する。ある態様において、FGF21モジュレーターは、コントロールと比較して、少なくとも25%、50%、75%、100%、150%、200%、250%、400%または500%までFGF21生物学的活性をアップレギュレートする。ある態様において、FGF21モジュレーターは、コントロールと比較して、少なくとも25%、50%、75%、100%、150%、200%、250%、400%または500%までFGF21発現をアップレギュレートする。
ある態様において、調節されるFGF21活性は、1種またはそれ以上の細胞増殖(例えば、内皮細胞増殖)、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、脂肪細胞へのグルコース取り込み、癌細胞生存、FGF21とFGF21受容体間の相互作用、FGF21受容体のリン酸化、またはアポトーシスである。FGF21受容体は、例えば、FGFR-1またはFGFR-2であり得る。FGF21受容体のリン酸化は、FGF21受容体のチロシンリン酸化であり得る。
ある態様において、FGF21モジュレーターは、FGF21ポリペプチドの抗原性領域を含むか、またはそれに向けられる。FGF21の抗原性領域は、下記を含むが、これらに限定されない:
Figure 2010529954
抗体
ある態様において、FGF21モジュレーターは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、またはFab断片である。抗体は、例えば、酵素、放射性同位体、またはフルオロホアで標識し得る。ある態様において、抗体は、FGF21以外のポリペプチドについて、約1x105Ka未満の結合親和性を有する。ある態様において、FGF21モジュレーターは、少なくとも1x108Kaの親和性でFGF21に結合する、モノクローナル抗体である。
本発明はまた、例えば、イムノアッセイを用いて、競合結合を決定するために当分野で既知のいずれかの方法により決定される、抗体の本発明のエピトープへの結合を競合的に阻害する抗体を提供する。ある態様において、該抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%まで、エピトープへの結合を競合的に阻害する。
ある態様において、抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体は、例えば、下記を含むさまざまな方法により達成し得る:(1) 非ヒト相補性決定領域(CDR)をヒトフレームワークおよび定常領域に移植すること(当分野で、“ヒト化”と呼ばれる工程)、またはあるいは、(2) 非ヒト可変ドメインの全体を移植するが、表面残基の置換により、それらをヒト様表面で“覆うこと”(当分野で、“ベニアリング”と呼ばれる工程)。本発明において、ヒト化抗体は、“ヒト化”および“ベニアリング”抗体の両方を含む。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することにより作製し得て、そこでは、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的もしくは完全に不活性化されている。上記の方法で(Upon challenge)、ヒト抗体産生が観察され、それは、遺伝子再構成、集合、および抗体レパートリーを含むあらゆる観点において、ヒトで観察されるものと酷似している。この方法は、例えば、米国特許第5,545,807号; 第5,545,806号; 第 5,569,825号; 第5,625,126号; 第5,633,425号; 第5,661,016号、ならびに下記の科学公開物: Marks et al., Bio/Technology 10, 779 783 (1992); Lonberg et al., Nature 368 856 859 (1994); Morrison, Nature 368, 812 13 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845 51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65 93 (1995); Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 81:6851-6855 (1984); Morrison and Oi, Adv. Immunol., 44:65-92 (1988); Verhoeyer et al., Science 239:1534-1536 (1988); Padlan, Molec. Immun. 28:489-498 (1991); Padlan, Molec. Immunol. 31(3):169-217 (1994); およびKettleborough, C.A. et al., Protein Eng. 4(7):773-83 (1991)に記載されている(それらの各々を引用により本明細書の一部とする)。
本発明の抗体は、異なるメカニズムを介して機能し得る。ある態様において、抗体は、抗体標的化細胞における溶解性攻撃である抗体依存性細胞毒性(ADCC)を誘導する。ある態様において、抗体は、例えば、抗原結合、アポトーシスの誘導、および補体依存性細胞毒性(CDC)を含む、複数の治療機能を有する。
ある態様において、本発明の抗体は、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る。例えば、ある態様において、本発明は、部分的もしくは完全な本発明のポリペプチドを用いて、受容体/リガンド相互作用を破壊する抗体を提供する。ある態様において、本発明の抗体は、本明細書に開示したエピトープ、またはその部分に結合する。ある態様において、抗体の非存在下での活性と比較して、リガンド活性または受容体活性を、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、または少なくとも50%まで調節する抗体を提供する。
ある態様において、FGF21抗体は、FGF21とFGF21受容体、例えば、FGFR-1もしくはFGFR-2の相互作用を阻害するか、またはFGF21受容体のリン酸化を阻害する。ある態様において、FGF21抗体は、血管新生、細胞増殖、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性(例えば、チロシンキナーゼ活性)、脂肪細胞へのグルコース取り込み、および癌細胞生存を阻害する。ある態様において、FGF21抗体は、アポトーシスを増加させる。ある態様において、FGF21抗体は、コントロール細胞集団と比較して、細胞集団中の少なくとも30%の細胞でアポトーシスを生じさせる。
ある態様において、本発明は、中和抗体を提供する。ある態様において、中和抗体は、受容体アンタゴニストとして作用し、すなわち、リガンド仲介受容体活性における生物学的活性のすべてもしくは一部を阻害する。ある態様において、抗体は、本明細書に開示した発明のペプチドにおける特定の生物学的活性を含む生物学的活性についてのアゴニスト、アンタゴニストもしくは逆アゴニストとして特定され得る。
本発明の抗体は、単独で、または他の組成物と共に使用し得る。抗体はさらに、異種ポリペプチドと、NもしくはC末端で組み換え的に融合させ得るか、またはポリペプチドもしくは他の組成物と化学的に結合(共有および非共有結合を含む)させ得る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイでの標識として有用な分子および異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素のようなエフェクター分子と組み換え的に融合させるか、または結合させ得る。例えば、PCT国際公開WO 92/08495; WO 91/14438; WO 89/12624; 米国特許第5,314,995号; およびEP 396,387を参照のこと。
キメラおよびヒト化抗体に加えて、完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウス(例えば、米国特許第6,075,181号、第6,091,001号、および第6,114,598号を参照のこと(そのすべては、引用により本明細書の一部とする))、またはヒト免疫グロブリン遺伝子のファージディスプレイライブラリー(例えば、McCafferty et al., Nature, 348:552 554 (1990). Clackson et al., Nature, 352:624 628 (1991)、およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581 597 (1991)を参照のこと)に由来し得る。ある態様において、抗体は、scFv-ファージディスプレイライブラリーにより作製および同定され得る。抗体ファージディスプレイ技術は、市販の起源、例えば、Xoma (Berkeley, CA)から入手可能である。
モノクローナル抗体は、Kohler et al. (1975) Nature 256:495-496の方法、またはその修飾を用いて作製し得る。典型的には、マウスを、抗原を含む溶液で免疫化する。免疫化は、生理食塩水中に、好ましくは、フロイント完全アジュバントのようなアジュバントで、抗原含有溶液を混合もしくは乳化し、該混合物もしくは乳化物を非経腸で注射することにより行い得る。当分野で既知のすべての免疫化法を、本発明のモノクローナル抗体を得るために使用し得る。動物の免疫後、脾臓(および所望により、いくつかの巨大リンパ節)を除去し、単一細胞に解離させる。脾臓細胞は、細胞懸濁液を興味のある抗原で被覆したプレートもしくはウェルに適用することにより、スクリーニングし得る。抗原に特異的な膜結合免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合し、洗い流されない。次いで、生じたB細胞、またはすべての解離脾臓細胞を、骨髄腫細胞と融合するように誘導し、ハイブリドーマを形成させ、選択培地で培養する。生じた細胞を、連続もしくは限界希釈で播種し、興味のある抗原に特異的に結合する(そして、関連のない抗原に結合しない)抗体の産生についてアッセイする。その後、選択されたモノクローナル抗体(mAb)分泌ハイブリドーマを、インビトロで(例えば、組織培養瓶または中空糸反応器で)、またはインビボで(マウスでの腹水として)培養する。
発現についてのハイブリドーマの使用とは別に、抗体は、米国特許第5,545,403号; 第5,545,405号; および第5,998,144号(これらの各々は、引用により本明細書の一部とする)に記載されたとおり、CHOもしくは骨髄腫細胞株のような細胞株で作製し得る。簡潔には、該細胞株を、軽鎖および重鎖をそれぞれ発現することができるベクターでトランスフェクトする。2つのタンパク質を別々のベクターでトランスフェクトすることにより、キメラ抗体を作製し得る(Immunol. 147:8; Banchereau et al. (1991) Clin. Immunol. Spectrum 3:8; およびBanchereau et al. (1991) Science 251:70 (そのすべてを引用により本明細書の一部とする))。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991))を含む、当分野で既知の技術を用いて作製し得る。Cole et al.およびBoerner et al.の技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の作製のために利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985)およびBoerner et al., J. Immunol., 147(1):86 95 (1991))。ヒト化抗体は、例えば、下記を含むさまざまな方法により達成し得る(1) 非ヒト相補性決定領域(CDR)をヒトフレームワークおよび定常領域に移植すること(当分野で、“ヒト化”と呼ばれる工程)、またはあるいは、(2) 非ヒト可変ドメインの全体を移植するが、表面残基の置換により、それらをヒト様表面で“覆うこと”(当分野で、“ベニアリング”と呼ばれる工程)。本発明において、ヒト化抗体は、“ヒト化”および“ベニアリング”抗体の両方を含む。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば、マウスに導入することにより作製し得て、そこでは、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的もしくは完全に不活性化されている。上記の方法で、ヒト抗体産生が観察され、それは、遺伝子再構成、集合、および抗体レパートリーを含むあらゆる観点において、ヒトで観察されるものと酷似している。この方法は、例えば、米国特許第5,545,807号; 第5,545,806号; 第 5,569,825号; 第5,625,126号; 第5,633,425号; 第5,661,016号、ならびに下記の科学公開物: Marks et al., Bio/Technology 10, 779 783 (1992); Lonberg et al., Nature 368 856 859 (1994); Morrison, Nature 368, 812 13 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845 51 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826 (1996); Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65 93 (1995); Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 81:6851-6855 (1984); Morrison and Oi, Adv. Immunol., 44:65-92 (1988); Verhoeyer et al., Science 239:1534-1536 (1988); Padlan, Molec. Immun. 28:489-498 (1991); Padlan, Molec. Immunol. 31(3):169-217 (1994); およびKettleborough, C.A. et al., Protein Eng. 4(7):773-83 (1991)に記載されている(それらの各々を引用により本明細書の一部とする)。完全ヒト化抗体は、Morphosys (Martinsried/Planegg, Germany)のような市販の起源を用いたスクリーニングアッセイで同定し得る。
ヒト化抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように改変されたトランスジェニック動物を用いて作製し得る。例えば、WO 98/24893は、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物を開示しており、そこでは、該動物は、内在性重鎖および軽鎖遺伝子座の不活性化のために、機能的内在性免疫グロブリンを産生しない。WO 91/10741はまた、免疫原に対する免疫応答を開始する(mounting)ことができるトランスジェニック非霊長類哺乳類宿主を開示しており、そこでは、該抗体は、霊長類定常および/または可変領域を有し、内在性免疫グロブリンコード遺伝子座は、置換されているか、または不活性化されている。WO 96/30498は、哺乳類での免疫グロブリン遺伝子座を修飾し、例えば、定常もしくは可変領域のすべてまたは部分を置換して、修飾抗体分子を形成するためのCre/Loxの使用を開示している。WO 94/02602は、不活性化内在性Ig遺伝子座および機能的ヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳類宿主を開示している。米国特許第5,939,598号は、トランスジェニックマウスの製造法を開示しており、そこでは、マウスは、内在性重鎖を欠損しており、1種またはそれ以上の異種定常領域を含む外来性免疫グロブリン遺伝子座を発現する。本発明の抗体はまた、米国特許第5,766,886号に記載されたヒト改変技術を用いて作製し得て、それは、引用により本明細書の一部とする。
上記のトランスジェニック動物を用いて、選択した免疫原分子に対する免疫応答を産生させ、抗体産生細胞を動物から取り出し、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するために使用し得る。当分野で既知の免疫化プロトコール、アジュバントなどは、例えば、WO 96/33735に記載されたトランスジェニックマウスの免疫化に使用される。モノクローナル抗体は、対応するタンパク質の生物学的活性もしくは生理学的効果を阻害するか、または中和する能力について試験し得る。
本発明の抗体は、Fang et al. (2005), Nat. Biotechnol. 23, 584-590に記載されたインビボ治療抗体遺伝子送達により、対象に投与され得る。例えば、組み換えベクターを、MAb重鎖および軽鎖コード配列間に位置するポリペプチドの酵素非依存的翻訳時自己切断を仲介するペプチドを含む、複数シストロン性の発現カセットを送達するために作製し得る。発現により、化学量論的(stochiometric)量の両MAb鎖を生じる。酵素非依存的翻訳時自己切断を仲介するペプチドの好ましい例は、口蹄疫由来2Aペプチドである。
ある態様において、抗体の断片は、完全長抗体の望まれる親和性を保持する。したがって、ある態様において、抗FGF21抗体の断片は、FGF21に結合する能力を保持する。該断片は、対応する完全長抗FGF21抗体と同様の特性により特徴づけられ、すなわち、該断片は、ヒト細胞の表面に発現するヒトFGF21抗原に特異的に結合する。
ある態様において、抗体は、FGF21の細胞外ドメイン中の1種またはそれ以上のエピトープに結合する。ある態様において、抗体は、1種またはそれ以上のFGF21関連生物学的活性を調節する。ある態様において、抗体は、1種またはそれ以上の癌細胞成長、腫瘍形成、および癌細胞増殖を阻害する。
ある態様において、抗体は、FGF21のN末端シグナルペプチドドメインまたはFGF21の受容体結合ドメインからなる群から選択されるドメイン中の、1種またはそれ以上のFGF21エピトープに結合するモノクローナル抗体である。
ある態様において、モノクローナル抗体は、FGF21のC末端ドメイン中のFGF21エピトープに結合する。ある態様において、モノクローナル抗体は、実施例4で示したFGF21の領域2もしくは領域5中のFGF21エピトープに結合する(また、図4を参照のこと)。
本発明による適当な抗体は、直線状もしくは立体配座のエピトープ、またはその組み合わせを認識することができる。ある態様において、本発明の抗体は、配列番号3-203から選択されるFGF21の抗原性領域のエピトープに結合する。ある態様において、抗体は、配列番号117-203からなる群から選択される配列を有するエピトープに特異的である。ある態様において、抗体は、配列番号186-203からなる群から選択される配列を有するエピトープに特異的である。これらのペプチドは、必ずしも正確に、1つのエピトープのみをマップし得ず、また、免疫原性ではないFGF21配列を含み得る。
本発明の抗体が結合し得る他の潜在的なエピトープを予測する方法は、当業者に既知であり、Kyte-Doolittle解析(Kyte, J. and Dolittle, R.F., J. Mol. Biol. (1982) 157:105-132), Hopp and Woods解析(Hopp, T.P. and Woods, K.R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1981) 78:3824-3828; Hopp, T.J. and Woods, K.R., Mol. Immunol. (1983) 20:483-489; Hopp, T.J., J. Immunol. Methods (1986) 88:1-18.), Jameson-Wolf解析(Jameson, B.A. and Wolf, H., Comput. Appl. Biosci. (1988) 4:181-186.)、およびEmini解析(Emini, E.A., Schlief, W.A., Colonno, R.J. and Wimmer, E., Virology (1985) 140:13-20.)を含むが、これらに限定されない。
ある態様において、潜在的なエピトープは、理論上の細胞外ドメインを決定することにより同定される。TMpred (K. Hofmann & W. Stoffel (1993) TMbase - A database of membrane spanning proteins segments Biol. Chem. Hoppe-Seyler 374,166を参照のこと)またはTMHMM (Krogh et al., Predicting transmembrane protein topology with a hidden Markov model: Application to complete genomes. Journal of Molecular Biology, 305:567-580, 2001)のような解析アルゴリズムを、そのような予測を行うために使用し得る。SignalP 3.0 (Bednsten et al., J Mol Biol. 340:783-95, 2004)のような他のアルゴリズムを、シグナルペプチドの存在を予測し、該ペプチドが完全長タンパク質から切断され得るか否かを予測するために使用し得る。細胞の外側におけるタンパク質の部分は、抗体相互作用のための標的として役立ち得る。
抗体は、1) それらが生物学的活性の閾値レベルを示し、および/または2) それらが既知の関連ポリペプチド分子と有意な交差反応を示さないとき、“特異的に結合する”と定義される。抗体の結合親和性は、例えば、Scatchard解析(Scatchard, Ann. NY Acad. Sci. 51: 660-672, 1949)により、当業者に容易に決定され得る。ある態様において、本発明の抗体は、標的癌関連ポリペプチドについて、少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、103倍、104倍、105倍、106倍またはそれ以上で、それらの標的エピトープまたは模倣デコイに結合する。
ある態様において、抗体は、10-4Mもしくはそれ未満、10 7Mもしくはそれ未満、10-9Mもしくはそれ未満の高い親和性で、またはサブナノモル親和性(0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1 nMまたはそれ未満)で結合する。ある態様において、FGF21のための抗体の結合親和性は、少なくとも1 x 106 Kaである。ある態様において、FGF21のための抗体の結合親和性は、少なくとも5 x 106 Ka、少なくとも1 x 107 Ka、少なくとも2 x 107 Ka、少なくとも1 x 108 Ka、またはそれ以上である。本発明の抗体はまた、本発明のポリペプチドに対するそれらの結合親和性の観点で、記載もしくは特定され得る。ある態様において、結合親和性は、5 x 10-2 M、10-2 M、5 x 10-3 M、10-3 M、5 x 10-4 M、10-4 M、5 x 10-5 M、10-5 M、5 x 10-6 M、10-6 M、5 x 10-7 M、10-7 M、5 x 10-8 M、10-8 M、5 x 10-9 M、10-9 M、5 x 10-10 M、10-10 M、5 x 10-11 M、10-11 M、5 x 10-12 M、10-12 M、5 x 10-13 M、10-13 M、5 x 10-14 M、10-14 M、5 x 10-15 M、もしくは10-15 M(またはそれ未満)未満のKdでのそれらを含む。
ある態様において、本発明の抗体は、FGF21ポリペプチドに結合するが、FGF21の既知の関連するファミリーメンバーには結合しない。抗体のFGF21および関連するポリペプチドへの結合は、ウエスタンブロット解析(Ausubel et al.)を用いてアッセイし得る。既知の関連するポリペプチドの例は、FGFタンパク質ファミリーの他のメンバー(例えば、FGF19x (WO 01/18209)など)を含むが、それらに限定されない。
ある態様において、本発明の抗体は、FGF21のオーソログ、ホモログ、パラログもしくは変異型、またはその組み合わせおよびサブコンビネーションに結合する。ある態様において、本発明の抗体は、FGF21のオーソログに結合する。ある態様において、本発明の抗体は、FGF21のホモログに結合する。ある態様において、本発明の抗体は、FGF21のパラログに結合する。ある態様において、本発明の抗体は、FGF21の変異型に結合する。ある態様において、本発明の抗体は、FGF21のオーソログ、ホモログ、パラログもしくは変異型、またはその組み合わせおよびサブコンビネーションに結合しない。ある態様において、本発明の抗体は、FGF19xに特異的に結合しない。
ある態様において、抗体は、既知の関連ポリペプチドに対してスクリーニングし、FGF21ポリペプチドに特異的に結合する抗体集団を単離し得る。例えば、ヒトFGF21ポリペプチドに特異的な抗体を、適当な緩衝液条件下で、不溶性マトリックスに固定された他のFGFタンパク質(FGF19xなど)を含むカラムを通して流す。そのようなスクリーニングにより、密接に関連したポリペプチドと交差反応を起こさないポリクローナルおよびモノクローナル抗体の単離が可能となる(Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988; Current Protocols in Immunology, Cooligan et al. (eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc., 1995)。特異的な抗体のスクリーニングおよび単離は、当分野で既知である(Fundamental Immunology, Paul (eds.), Raven Press, 1993; Getzoff et al., Adv. in Immunol. 43: 1-98, 1988; Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Goding, J. W. (eds.), Academic Press Ltd., 1996; Benjamin et al., Ann. Rev. Immunol. 2: 67-101, 1984を参照のこと)。そのようなアッセイの典型例は、同時の免疫電気泳動法、放射性免疫アッセイ(RIA)、放射性免疫沈降法、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ドットブロットもしくはウエスタンブロットアッセイ、阻害もしくは競合アッセイ、およびサンドウィッチアッセイを含む。
ある態様において、本発明の抗体は、配列番号3-111、配列番号133-138、または配列番号160-164 (表2)からなる群から選択される配列からなるエピトープに特異的に結合しない。ある態様において、本発明の抗体は、配列番号2の残基1-49からなるエピトープに特異的に結合しない。ある態様において、抗体は、FGF19xに結合しない。
本発明はまた、SMIPまたは標的タンパク質に特異的な結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である抗体を提供する。これらの構築体は、抗体エフェクター機能を実行するのに必要な免疫グロブリンドメインと融合させた抗原結合ドメインを含む一本鎖ポリペプチドである。例えば、WO03/041600、米国特許公開20030133939および米国特許公開20030118592を参照のこと。
ある態様において、本発明の抗体は、中和抗体である。中和抗体は、病原体、例えば、ウイルスもしくは細菌、例えば、癌と関連するウイルスもしくは細菌(例えば、JCポリオーマウイルス、Epstein-Barrウイルス、またはヘリコバクターピロリ)に結合する。ある態様において、中和抗体は、受容体アンタゴニストとして有効に作用し、すなわち、リガンド仲介受容体活性化についての生物学的活性の全部もしくは一部を阻害し得る。ある態様において、抗体は、本明細書に記載した本発明のペプチドの特定の生物学的活性を含む生物学的活性についてのアゴニスト、アンタゴニストもしくは逆アゴニストとして特定し得る。
本発明の抗体を、問題となる腫瘍細胞抗原に結合後、素早く内在化される能力について、または結合後の細胞表面上に留まる能力についてスクリーニングし得る。ある態様において、例えば、ある型の免疫抱合体の構築において、抗体が内在化される能力は、内在化が毒素部分を放出するのに必要とされる場合、望ましくあり得る。あるいは、抗体がADCCまたはCDCを促進するために使用されるとき、抗体が細胞表面上に留まることがより望ましくあり得る。スクリーニング法は、これらの型の振る舞いを区別するために使用され得る。例えば、腫瘍抗原を保持する細胞を使用し得て、そこでは、細胞は、ヒトIgG1 (コントロール抗体)または本発明の抗体の1つと共に、約1 μg/mLの濃度で、氷上で(内在化を妨害するために、0.1%アジ化ナトリウムを含む)、もしくは37℃で3時間(アジ化ナトリウムなしで)、インキュベートされる。次いで、細胞を、氷冷染色バッファー(PBS + 1% BSA + 0.1% アジ化ナトリウム)で洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG-FITCを用いて、氷上で30分間、染色する。幾何平均蛍光強度(MFI)は、FACS Caliburにより記録される。MFIの差異が、アジ化ナトリウムの存在下、氷上で、本発明の抗体と共にインキュベートされた細胞とアジ化ナトリウムの非存在下、37℃での細胞の間で観察されなければ、抗体は、内在化されたのではなく、細胞表面に結合したままであると疑われる。しかしながら、細胞が、アジ化ナトリウムの非存在下、37℃でインキュベートされたときに、表面染色可能抗体の減少が見出されると、抗体は、内在化可能であるものと疑われる。
抗体複合体
ある態様において、本発明の抗体は、複合体を形成し得る。ある態様において、抗体複合体は、癌治療剤、癌診断、または癌性細胞の画像化のために有用である。ある態様において、抗体複合体は、血管疾患もしくは障害の診断もしくは画像化のために有用である。
診断適用のために、抗体は、典型的には、検出可能な部分で標識し得る。多くの標識が利用可能であり、それは、一般に、下記の区分に分類され得る:
(a) 放射性核種、例えば、下記したもの。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2, Coligen et al., Ed. Wiley-Interscience, New York, N.Y., Pubs. (1991)に記載された技術を用いて、放射性同位体で標識し得て、放射能は、シンチレーション計数を用いて測定し得る。
(b) 蛍光標識、例えば、フルオレセインの希土類キレート(ユウロピウムキレート)およびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリンならびにテキサスレッドが利用可能である。蛍光標識は、例えば、上記のCurrent Protocols in Immunologyに記載された技術を用いて、抗体に結合させ得る。蛍光は、蛍光光度計を用いて定量し得る。
(c) さまざまな酵素-基質標識が利用可能であり、米国特許第4,275,149号は、これらのいくつかの概説を提供する。酵素は、一般に、発色性基質の化学変化を触媒し、それは、さまざまな技術を用いて測定し得る。例えば、酵素は、基質中の色変化を触媒し得て、それは、分光光度法で測定し得る。あるいは、酵素は、基質の蛍光もしくは化学発光を変え得る。蛍光の変化を定量するための技術は、上記したとおりである。化学発光基質は、化学反応により電子的に励起され、次いで、測定可能な(例えば、化学発光計を用いて)光を放出するか、またはエネルギーを蛍光アクセプターへ提供する。酵素標識の例は、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ; 米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(例えば、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼなどを含む。酵素を抗体に結合させるための技術は、O'Sullivan et al., Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym. (ed J. Langone & H. Van Vunakis), Academic press, New York, 73:147-166 (1981)に記載されている。
抗体はまた、インビボ診断アッセイで使用し得る。ある態様において、抗体を、放射性核種で標識し、免疫シンチオグラフィーを用いて、腫瘍の位置を特定し得る。便利には、本発明の抗体は、診断アッセイを行うための指示書と共に、キット、すなわち、パッケージ化された規定量の試薬の組み合わせで提供し得る。抗体が酵素で標識されているとき、キットは、酵素により必要とされる基質および補因子(例えば、検出可能な発色団もしくはフルオロホアを提供する基質前駆体)を含み得る。さらに、他の添加剤、例えば、安定化剤、緩衝液(例えば、ブロック緩衝液または溶解緩衝液)などを含み得る。さまざまな試薬の相対的な量は、幅広く変わり得て、実質的にアッセイの感度を最適化する試薬の溶液の濃度を提供する。とりわけ、試薬は、通常凍結乾燥された乾燥粉末として提供され、溶解時に、適当な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む。
ある態様において、抗体は、1種またはそれ以上のマイタンシン分子と結合する(例えば、抗体分子あたり約1から約10マイタンシン分子)。例えば、マイタンシンは、May-SS-Meに変換され得て、それは、May-SH3に還元され、修飾抗体と反応し(Chari et al. Cancer Research 52: 127-131 (1992))、マイタンシノイド-抗体免疫抱合体を産生し得る。ある態様において、共役体は、約10-11 MのIC50を有する非常に強力なマイタンシン誘導体DM1 (N2'-デアセチル-N2'-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-マイタンシン)(例えば、2002年12月12日に公開されたWO02/098883を参照のこと)もしくはDM4 (N2'-デアセチル-N2'(4-メチル- -4-メルカプト-1-オキソペンチル)-マイタンシン)(例えば、2004年12月2日に公開されたWO2004/103272を参照のこと)であり得る。
ある態様において、抗体複合体は、1種またはそれ以上のカリケアマイシン分子と結合した抗腫瘍細胞抗原抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、ピコモル以下の濃度で、二本鎖DNA切断を産生できる。使用され得るカリケアマイシの構造類似体は、γ1I、α2I、α3I、N-アセチル-γ1I、PSAGおよびθI1 (Hinman et al. Cancer Research 53: 3336-3342 (1993)およびLode et al. Cancer Research 58: 2925-2928 (1998))を含むが、これらに限定されない。また、米国特許第5,714,586号; 第5,712,374号; 第5,264,586号; および第5,773,001号を参照のこと(その各々は、引用により本明細書の一部とする)。
ある態様において、抗体は、多くの癌で過剰生産されている酵素により、活性型で遊離されることが可能なプロドラッグに結合する。例えば、抗体複合体は、ドキソルビシンのプロドラッグ型で作製され得て、ここで、活性成分は、プラスミンにより複合体から遊離される。プラスミンは、多くの癌性組織で過剰生産されていることが既知である(Decy et al, (2004) FASEB Journal 18(3): 565-567を参照のこと)。
ある態様において、抗体は、酵素学的に活性な毒素およびその断片と結合する。ある態様において、毒素は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖(緑濃菌由来)、緑濃菌エンドトキシン、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、アメリカヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、リボヌクレアーゼ(Rnase)、デオキシリボヌクレアーゼ(Dnase)、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、オフィシナリス阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、ネオマイシンおよびトリコテセンを含むが、これらに限定されない。例えば、1993年10月28日に公開されたWO 93/21232を参照のこと。ある態様において、毒素は、低い先天的免疫原性および作用機序(例えば、細胞毒性機構対細胞増殖抑制的機構)を有し、それは、癌性細胞が毒素に対して耐性になる機会を減少させる。
ある態様において、複合体は、本発明の抗体と免疫モジュレーター間で作製される。例えば、ある態様において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドを使用し得る。これらの分子は、抗原特異的抗体応答を誘導し得る有力な免疫原である(Datta et al, (2003) Ann N.Y. Acad. Sci 1002: 105-111を参照のこと)。さらなる免疫モジュレーター化合物は、幹細胞成長因子、例えば、“S1因子”、リンホトキシン、例えば、腫瘍壊死因子(TNF)、造血因子、例えば、インターロイキン、コロニー刺激因子(CSF)、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)、インターフェロン(IFN)、例えば、インターフェロンα、βもしくはγ、エリスロポエチン、およびトロンボポエチンを含み得る。
ある態様において、放射性結合抗体を提供する。ある態様において、該抗体は、32P、33P、47Sc、59Fe、64Cu、67Cu、75Se、77As、89Sr、90Y、99Mo、105Rh、109Pd、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、161Th、166Ho、169Er、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、198Au、199Au、211Pb、212Pb、213Bi、58Co、67Ga、80mBr、99mTc、103mRh、109Pt、161Ho、189mOs、192Ir、152Dy、211At、212Bi、223Ra、219Rn、215Po、211Bi、225Ac、221Fr、217At、213Bi、255Fmならびにその組み合わせおよびサブコンビネーションを用いて作製され得る。ある態様において、ボロン、ガドリニウムもしくはウラン原子を抗体に結合させる。ある態様において、ボロン原子は、10Bであり、ガドリニウム原子は、157Gdであり、ウラン原子は、235Uである。
ある態様において、放射性核種共役体は、20から10,000 keVのエネルギーを包含する放射性核種を有する。放射性核種は、1000 keV未満のエネルギーを有するAuger放射体、20から5000 keVのエネルギーを有するP放射体、または2000から10,000 keVのエネルギーを有するαもしくは‘a’放射体であり得る。
ある態様において、γ、βもしくは陽電子放出同位体である放射性核種を含む診断放射性共役体を提供する。ある態様において、放射性核種は、20から10,000 keVのエネルギーを有する。ある態様において、放射性核種は、18F、51Mn、52mMn、52Fe、55Co、62Cu、64Cu、68Ga、72As、75Br、76Br、82mRb、83Sr、89Zr、94mTc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Ga、75Se、97Ru、99mTc、114mIn、123I、125I、13Liおよび197Hgからなる群から選択される。
ある態様において、本発明の抗体は、光活性もしくは造影剤である診断剤と結合する。光活性化合物は、クロマジェンもしくは色素のような化合物を含み得る。造影剤は、例えば、常磁性イオンであり得て、そこでは、該イオンは、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)およびエルビウム(III)からなる群から選択される金属を含む。造影剤はまた、X線技術またはコンピュータ断層撮影で使用される放射線不透過性化合物、例えば、ヨウ素、イリジウム、バリウム、ガリウムおよびタリウム化合物であり得る。放射線不透過性化合物は、バリウム、ジアトリゾエート、ヨード化ケシ油エチルエステル、クエン酸ガリウム、イオカルミン酸、イオセタム酸、ヨーダミド、ヨージパミド、ヨードキサム酸、イオグラミド、イオヘキソール、イオパミドール、イオパノ酸、ヨープロセム酸、ヨーセファム酸、イオセル酸、イオスラミド、メグルミン、イオセメチン酸、ヨータスル、ヨーテトル酸、イオタラム酸、イオトロクス酸、イオキサグル酸、イオキソトリゾ酸、イポダート、メグルミン、メトリザミド、メトリゾ酸、プロピリオドンおよび塩化タリウムからなる群から選択され得る。ある態様において、診断免疫抱合体は、超音波増強剤、例えば、本発明の抗体に結合したガス充填リポソームを含み得る。診断免疫抱合体は、腫瘍もしくは癌診断および検出の、術中、内視鏡的もしくは血管内の方法を含むがこれらに限定されない、さまざまな手順のために使用され得る。
ある態様において、抗体複合体は、さまざまな二官能性タンパク質結合剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジプイミデートHCL)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス-(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリレン2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を用いて作製される。例えば、リシン抗毒素は、Vitetta et al. Science 238: 1098 (1987)に記載されたとおり製造され得る。カーボン-14-標識 1-イソチオシアネートベンジル-3-メチルジエチレントリアミン5酢酸(MX-DTPA)は、放射性核種の抗体への結合のためのキレート剤の一例である。WO94/11026を参照のこと。リンカーは、細胞内で細胞毒性薬剤の放出を促進する“切断可能リンカー”であり得る。例えば、酸不安定リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカーが使用され得る(Chari et al. Cancer Research 52: 127-131 (1992))。薬剤はさらに、炭水化物部分を介して、本発明の抗体に結合し得る。
ある態様において、本発明の抗体および細胞毒性剤を含む融合タンパク質は、例えば、組み換え技術もしくはペプチド合成により作製され得る。ある態様において、細胞毒性剤と結合した抗腫瘍抗原抗体を含むそのような免疫複合体が、患者に投与される。ある態様において、免疫複合体および/またはそれが結合する腫瘍細胞抗原タンパク質は、細胞に内在化し、その結果、それが結合した癌細胞を殺傷することにおいて、免疫複合体の増加した治療効果を生じる。ある態様において、細胞毒性剤は、癌細胞内の核酸を標的とするか、またはそれを妨害する。細胞毒性剤の例は、マイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼおよびDNAエンドヌクレアーゼを含む。
ある態様において、腫瘍プレ標的化での利用のために、抗体を“受容体”(例えば、ストレプトアビジン)と結合させ、ここで、抗体-受容体複合体を患者に投与し、次いで、洗浄剤を用いて循環から非結合複合体を除去し、その後、細胞毒性剤(例えば、放射性ヌクレオチド)と結合させた“リガンド”(例えば、アビジン)を投与する。
ある態様において、抗体を、標的細胞リソソーム内で遊離される細胞毒性分子と結合させる。例えば、薬剤モノメチルアウリスタチンE (MMAE)を、タンパク質分解性リソソーム酵素カテプシンBにより切断され、その後、抗体複合体の内在化を生じるバリン-シトルリン結合により、結合させ得る(例えば、2003年4月3日に公開されたWO03/026577を参照のこと)。ある態様において、MMAEを、切断可能部位としてヒドラゾン官能基を含む、酸に不安定なリンカーを用いて、抗体と結合させ得る(例えば、2002年11月11日に公開されたWO02/088172を参照のこと)。
抗体依存性酵素仲介プロドラッグ療法(ADEPT)
ある態様において、本発明の抗体は、抗体を、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、WO81/01145を参照のこと)を活性型抗癌剤に変換させるプロドラッグ活性化酵素と結合させることにより、ADEPTで使用され得る。例えば、WO 88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。
ある態様において、ADEPTのために有用な免疫抱合体の酵素要素は、プロドラッグをそのより活性な、細胞毒性型に変換するような方法でそれに作用することができるすべの酵素を含む。
ADEPTにおいて有用な酵素は、リン酸含有プロドラッグを遊離薬剤に変換するために有用なアルカリホスファターゼ; 硫酸含有プロドラッグを遊離薬剤に変換するために有用なアリールスルファターゼ; 非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに変換するために有用なシトシンデアミナーゼ; ペプチド含有プロドラッグを遊離薬剤に変換するために有用なプロテアーゼ、例えば、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えば、カテプシンBおよびL); D-アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するために有用なD-アラニルカルボキシペプチターゼ; グリコシル化プロドラッグを遊離薬剤に変換するために有用な炭水化物切断酵素、例えば、β-ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ; β-ラクタムで誘導体化された薬剤を遊離薬剤に変換するために有用なβ-ラクタマーゼ; ならびに各々、フェノキシアセチルもしくはフェニルアセチル基を用いて、それらのアミン窒素で誘導体化された薬剤を遊離薬剤に変換するために有用なペニシリンアミダーゼ、例えば、ペニシリンVアミダーゼもしくはペニシリンGアミダーゼを含むが、これらに限定されない。ある態様において、酵素活性を有する抗体(当分野でまた、“抗体酵素”として既知である)は、本発明のプロドラッグを遊離活性型薬剤に変換するのに使用され得る(例えば、Massey, Nature 328: 457-458 (1987)を参照のこと)。抗体-抗体酵素共役体は、抗体酵素の腫瘍細胞集団への送達のために、本明細書に記載したとおり作製され得る。
ある態様において、ADEPT酵素を、当分野で既知の技術、例えば、上記したヘテロ二官能性架橋剤の使用により、抗体に共有的に結合させ得る。ある態様において、少なくとも本発明の酵素の機能的に活性な部分と結合した、少なくとも本発明の抗体の抗原結合領域を含む融合タンパク質を、当分野で既知の組み換えDNA技術を用いて構築し得る(例えば、Neuberger et al., Nature, 312: 604-608 (1984)を参照のこと)。
ある態様において、細胞毒性的な方法ではなく、細胞増殖抑制的な方法で作用する抗体の同定は、未処理コントロール培養と比較した処理標的細胞培養の生存率を測定することにより達成され得る。生存率は、当分野で既知の方法、例えば、CellTiter-Blue(登録商標) Cell Viability AssayもしくはCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay (各々、Promega、カタログ番号G8080およびG5750)を用いて検出され得る。ある態様において、処理が、上記した方法により測定された細胞死のあらゆる証拠なしに、コントロール培養と比較して細胞数を減少させるとき、抗体は、潜在的に細胞増殖抑制的であると考えられる。
ある態様において、インビトロスクリーニングアッセイは、当分野で既知のアッセイを用いて、ADCCを促進する抗体を同定するために行われ得る。1つの例示的なアッセイは、インビトロADCCアッセイである。クロム51-標識標的細胞を作製するために、腫瘍細胞株を、組織培養プレートで増殖させ、PBS中の滅菌10 mM EDTAで集める。分離細胞を、細胞培養培地で2回洗浄する。細胞(5×106)を、200 μCiのクロム5 (New England Nuclear/DuPont)を用いて、不定期に混合しながら、37℃で1時間、標識する。標識細胞を、細胞培養培地で3回洗浄し、次いで、1×105 細胞/mLの濃度まで再懸濁する。細胞は、オプソニン化なしに使用されるか、またはPBMCアッセイにおいて100 ng/mLおよび1.25 ng/mLで、またはNKアッセイにおいて20 ng/mLおよび1 ng/mLで、試験抗体を用いたインキュベーションにより、アッセイ前に、オプソニン化される。末梢血単核細胞を、正常な健全ドナーからヘパリンを用いて血液を集めることにより調製し、等量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈する。次いで、血液を、LYMPHOCYTE SEPARATION MEDIUM(登録商標) (LSM: Organon Teknika)で層化させ、製造者の指示にしたがって、遠心分離する。単核細胞を、LSM-血漿界面から集め、PBSで3回、洗浄する。エフェクター細胞は、1×107細胞/mLの最終濃度まで、細胞培養培地に懸濁される。LSMを介した精製後、ナチュラルキラー(NK)細胞を、製造者の指示にしたがって、NK細胞単離キットおよび磁性カラム(Miltenyi Biotech)を用いて、陰性選択により、PBMCから単離する。単離NK細胞を集め、洗浄し、細胞培養培地で2×106細胞/mLの濃度まで再懸濁する。NK細胞の同定は、フローサイトメトリー解析により確認される。種々のエフェクター: 標的比率は、細胞培養培地で、マイクロタイタープレートの行に沿って、2倍エフェクター細胞(PBMCまたはNK)を連続希釈することにより作製される(100 μLの最終濃度)。エフェクター細胞の濃度は、PBMCについて、1.0×107/mLから2.0×104 /mLの範囲内、NKについて、2.0×106/mLから3.9×103/mLの範囲内である。エフェクター細胞のタイトレーション後、1×105細胞/mLでの100 μLのクロム51標識標的細胞(オプソニン化または非オプソニン化)を、プレートの各ウェルに加える。これは、NK細胞について、100:1の最初のエフェクター:標的比率を生じる。すべてのアッセイはデュプリケートで行い、各プレートは、自発溶解(エフェクター細胞なし)および全溶解(標的細胞+100 μLの1%ドデシル硫酸ナトリウム、1N 水酸化ナトリウム)のためのコントロールを含む。プレートを、37℃で18時間、インキュベートし、その後、細胞培養上清を、上清収集系(Skatron Instrument, Inc.)を用いて集め、Minaxi auto-gamma 5000 series gamma counter (Packard)で1分間、計測する。その後、結果を、下記の式を用いて、細胞毒性割合として示す:
Figure 2010529954
CDCを促進する抗体を同定するために、当業者は、当分野で既知のアッセイを行い得る。1つの例示的なアッセイは、インビトロCDCアッセイである。インビトロで、CDC活性は、異なる試験抗体の濃度の非存在もしくは存在下、腫瘍細胞抗原発現細胞をヒト(または他の起源)補体含有血清とインキュベートすることにより測定され得る。次いで、細胞毒性を、ALAMAR BLUE(登録商標)を用いて、生細胞を定量することにより測定する(Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202 163-171 (1997))。コントロールアッセイは、熱不活性化血清を用いて、および/または対象となる腫瘍細胞抗原を発現しない細胞を用いて、抗体の有無下で行われる。あるいは、赤血球細胞を、腫瘍抗原または腫瘍抗原に由来するペプチドで被覆し、次いで、CDCを、赤血球細胞の溶解を観察することによりアッセイし得る(例えば、Karjalainen and Mantyjarvi, Acta Pathol Microbiol Scand [C]. 1981 Oct; 89(5):315-9を参照のこと)。
細胞死を誘導する抗体を選択するために、例えば、PI、トリパンブルーもしくは7AAD取り込みにより示される膜統合の欠損を、コントロールとの比較で評価し得る。1つの例示的なアッセイは、腫瘍抗原発現細胞を用いたPI取り込みアッセイである。このアッセイにより、腫瘍細胞抗原発現細胞を、10% 熱不活性化FBS (Hyclone)および2 mM L-グルタミンを補充したダルベッコ修飾イーグル培地(D-MEM): ハムF-12 (50:50)で培養する。(したがって、該アッセイは、補体および免疫エフェクター細胞の非存在下で行われる)。腫瘍細胞を、100 x 20 mm ディッシュで、ディッシュあたり3 x 106の濃度で播種し、一夜、付着させる。次いで、培地を除去し、新鮮な培地単独で、または10 μg/mLの適当なモノクローナル抗体を含む培地で置き換える。細胞を、3日間、インキュベートする。各処理後、単層を、PBSで洗浄し、トリプシンで引き剥がす。次いで、細胞を、4℃で5分間、1200 rpmで遠心分離し、ペレットを、3 mLの氷冷Ca2+結合バッファー(10 mM Hepes, pH 7.4, 140 mM NaCl, 2.5 mM CaCl2)に再懸濁し、細胞塊の除去のために、35 mm ストレーナー-キャップ12 x 75チューブ(チューブあたり1 mL、処理群あたり3チューブ)に等分する。次いで、チューブに、PI(10 μg/mL)を入れる。サンプルは、FACSCAN(商標)フローサイトメトリーおよびFACSCONVERT(商標)を用いて解析され得る。CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)。PI取り込みにより決定される統計学的に有意なレベルの細胞死を誘導する抗体は、細胞死誘導抗体として選択され得る。
抗体はまた、PET造影剤として18F-アネキシンを用いて、アポトーシス活性についてインビボでスクリーニングされ得る。この手順で、アネキシンVは、18Fで放射性標識され、試験において、抗体を投与された後、試験動物に提供される。アポトーシス過程で早期に生じるイベントの1つは、細胞膜の内側から外側細胞表面へのホスファチジルセリンの外転であり、そこでは、アネキシンが接近可能である。次いで、動物を、PET画像にかける(Yagle et al, J Nucl Med. 2005 Apr;46(4):658-66を参照のこと)。動物はまた、犠牲にされ、個々の器官もしくは腫瘍が取り出され、標準プロトコールにしたがって、アポトーシスマーカーについて解析され得る。
ある態様において、癌は、遺伝子発現産物、例えば、FGF21の過剰発現により特徴づけられ得るが、本願はさらに、腫瘍抗原過剰発現癌ではないと考えられる癌を処置する方法を提供する。癌中の腫瘍抗原発現を決定するために、さまざまな診断/予後診断アッセイが利用可能である。ある態様において、遺伝子発現産物過剰発現は、IHCにより解析され得る。腫瘍生検からのパラフィン包理組織切片を、IHCアッセイにかけることができ、下記のとおりの腫瘍抗原タンパク質染色強度基準を提供し得る:
スコア0: 染色は観察されないか、または膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+: かすかな/わずかな認識可能な膜染色が、腫瘍細胞の10%より多くで検出される。細胞は、それらの膜の一部でのみ染色される。
スコア2+: 弱いものから中等度の完全膜染色が、腫瘍細胞の10%より多くで観察される。スコア3+: 中等度から強度の完全膜染色が、腫瘍細胞の10%より多くで観察される。
腫瘍抗原過剰発現評価について、0または1+のスコアを有する腫瘍は、腫瘍抗原を過剰発現していないものとして特徴づけられ、一方で、2+または3+のスコアを有する腫瘍は、腫瘍抗原を過剰発現しているものとして特徴づけられ得る。
あるいは、FISHアッセイ、例えば、INFOR(商標)(Ventana, Ariz.により販売)もしくはPATHVISION(商標)(Vysis, Ill.)は、腫瘍中の腫瘍抗原過剰発現の程度(あるとすれば)を決定するために、ホルマリン固定、パラフィン包理腫瘍組織で行われ得る。
さらに、抗体は、ポリマーとの共有結合により化学的に修飾され得て、例えば、それらの循環半減期を増加させ得る。各抗体分子を、1種またはそれ以上(すなわち、1、2、3、4、5またはそれ以上)のポリマー分子に結合させ得る。ポリマー分子は、好ましくは、リンカー分子により抗体に結合する。ポリマーは、一般に、合成もしくは天然で生じるポリマー、例えば、所望により置換されていてもよい直鎖もしくは分岐鎖ポリアルケン、ポリアルケニレンもしくはポリオキシアルキレンポリマーまたは分岐鎖もしくは非分岐鎖ポリサッカライド、例えば、ホモもしくはヘテロポリサッカライドであり得る。ある態様において、ポリマーは、ポリオキシエチレンポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温で、水に可溶であり、一般式: R(O--CH2--CH2)n O--R (式中、Rは、水素であるか、またはアルキルもしくはアルカノール基のような保護基であり得る)を有する。ある態様において、保護基は、1から8個の炭素を有する。ある態様において、保護基は、メチルである。記号nは、1から1,000、または2から500の正の整数である。ある態様において、PEGは、1000から40,000、2000から20,000、または3,000から12,000の平均分子量を有する。ある態様において、PEGは、少なくとも1個のヒドロキシ基を有する。ある態様において、ヒドロキシは、末端ヒドロキシ基である。ある態様において、それは、阻害剤上の遊離アミノ基と反応して活性化されるヒドロキシ基である。しかしながら、反応基の型および量は、共有結合PEG/本発明の抗体を達成するのに変わり得るものと理解されるであろう。それらをペプチドに結合させるポリマーおよび方法は、米国特許第4,766,106号; 第4,179,337号; 第4,495,285号; および第4,609,546号に示されており、その各々は、その全体を引用により本明細書の一部とする。
安全性試験
本発明の抗体は、安全性および毒物学的な特性について調べられ得る。この型の試験のためのガイドラインは、USDA CBER部門により発行された文書である“Points to Consider in the Manufacture and Testing of Monoclonal Antibody Products for Human Use” (Docket No. 94D-0259, February 28, 1997)に見出され得る(それは、引用により本明細書の一部とする)。一般に、候補抗体は、非標的組織結合および交差反応を評価するために、多くのヒト組織サンプルおよび/または単離ヒト細胞型を用いて、前臨床試験でスクリーニングされる。これらのヒト組織研究から満足のいく結果を得た後、一連の組織サンプルまたはさまざまな動物種からの単離細胞を、一般的な毒物学的試験で使用するのに適当な種を同定するためにスクリーニングし得る。交差反応動物種が同定されないとき、他の型のモデルが適当であると考えられ得る。これらの他のモデルは、ヒト腫瘍細胞が齧歯類宿主に移植される異種移植のような試験、または毒物学的試験のために選択される動物種中の対応する腫瘍細胞抗原を認識する代理モノクローナル抗体の使用を含み得る。当然のことながら、これらの型の代替モデルからのデータは、最初の近似であり、より高等な種への手順は、注意深くなされるべきである。
候補ネイキッド抗体について、簡単な耐容性を調べるための試験が行われ得る。これらの試験において、候補分子の治療指数は、任意の用量依存性薬理学的効果を観察することにより特徴づけられ得る。幅広い範囲の用量が使用されるべきである(例えば、0.1 mg/kgから100 mg/kg)。腫瘍細胞抗原数の差異、候補抗体の交差反応動物標的への親和性および抗体結合後の細胞応答の差異は、治療指数の概算において考慮されるべきである。薬理学的および薬物動態学的試験はまた、候補抗体がヒトで試験されるときの最初の投与量を決定するのを助ける適当な動物モデルで行われるべきである。
候補免疫抱合体について、抱合体の安定性試験は、インビボで実施されなければならない。最適には、薬理学的および薬物動態学的試験は、候補免疫抱合体からのすべての分解産物の結果を決定するために、免疫抱合体の個々の構成要素で実施されるべきである。薬理学的および薬物動態学的試験はまた、上記したとおり、最初の投与量を決定するのを助ける適当な動物モデルで行われるべきである。薬剤がネイキッド抗体での前処理と組み合わせて提供されるとき、安全性試験設計には、さらなる考慮がなされなければならない。安全性試験は、ネイキッド抗体単独で行われなければならず、試験は、免疫抱合体の最終用量がこの型の処置レジメンではより低くなることに留意して、免疫抱合体と共に設計されなければならない。
放射性免疫抱合体について、動物組織分布試験は、生体分布データを決定するために行われなければならない。さらに、投与された放射能の全投与量の代謝的分解の計算を、投与された早期および後期の時間点で行われなければならない。放射免疫抱合体は、血清または血漿を用いて、インビトロでの安定性について試験され得て、遊離放射性核種、放射免疫抱合体および標識非抗体化合物の割合を測定する方法が開発されなければならない。
オリゴヌクレオチド
ある態様において、FGF21モジュレーターは、オリゴヌクレオチドである。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスもしくはRNAiオリゴヌクレオチドである。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、FGF21遺伝子もしくは遺伝子産物の領域、ドメイン、部分、もしくは断片に相補的である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5から約100ヌクレオチド、約10から約50ヌクレオチド、約12から約35ヌクレオチド、および約18から約25ヌクレオチドを含む。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、FGF21遺伝子もしくは遺伝子産物の領域、ドメイン、部分、もしくは断片と、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相同である。ある態様において、FGF21遺伝子もしくは遺伝子産物の少なくとも15、20、25、30、35、40、50、または100個の連続したヌクレオチドにわたり、実質的なもしくは完全な配列相同性が存在する。ある態様において、FGF21遺伝子もしくは遺伝子産物の全長にわたり、実質的なもしくは完全な配列相同性が存在する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、中程度のもしくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子に結合する。
ある態様において、FGF21モジュレーターは、二本鎖RNA(dsRNA)分子であり、RNAiにより作用する(RNA干渉)。ある態様において、dsRNAのうちの一方の鎖は、FGF21遺伝子の領域、ドメイン、部分、もしくは断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相同である。ある態様において、FGF21遺伝子の少なくとも15、20、25、30、35、40、50、100、200、300、400、500、または1000個の連続したヌクレオチドにわたり、実質的なもしくは完全な配列相同性が存在する。ある態様において、FGF21遺伝子の全長にわたり、実質的な配列相同性が存在する。
ある態様において、FGF21モジュレーターは、SNPを含むFGF21 RNAの領域にハイブリダイズする。ある態様において、FGF21モジュレーターは、配列番号1のヌクレオチド位置36、325、326、420、516、521、または621に相当する位置にハイブリダイズする。ある態様において、FGF21モジュレーターは、表1に示したSNPを含むFGF21 RNAの領域にハイブリダイズする。
ある態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用される。この配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づき得て(または、それから設計され得て)、特定の細胞もしくは組織中の同一の、類似の、または相補的なDNAもしくはRNAの存在を増幅するか、確認するか、または検出するために使用される。
小分子
ある態様において、FGF21モジュレーターは、小分子である。本明細書で使用する“小分子”なる用語は、10キロダルトン未満の分子量を有する有機もしくは無機非ポリマー化合物を意味する。小分子の例は、ペプチド、オリゴヌクレオチド、有機化合物、無機化合物などを含む。ある態様において、小分子は、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1キロダルトン未満の分子量を有する。
模倣剤
ある態様において、FGF21モジュレーターは、模倣剤である。本明細書で使用する“模倣剤”なる用語は、ペプチドの活性を模倣する化合物を意味するように使用される。模倣剤は、非ペプチドではあるが、非ペプチド結合により結合したアミノ酸を含み得る。1997年6月10日に発行された米国特許第5,637,677号、およびその特許出願(それらは、引用により本明細書の一部とする)は、模倣剤の製造に関する詳細な手引きを含んでいる。簡潔には、FGF21の三次元構造と特異的に相互作用するペプチドの三次元構造を、ペプチドではない分子で複製する。ある態様において、FGF21模倣剤は、FGF21の模倣剤またはFGF21のリガンドの模倣剤である。
デコイ
ある態様において、FGF21モジュレーターは、FGF21ポリペプチドの少なくとも一部を含むデコイである。ある態様において、デコイは、天然FGF21ポリペプチドとFGF21受容体、例えば、FGFR-1もしくはFGFR-2への結合に関して競合する。ある態様において、デコイは、定量、定性、および/または視覚化を促進するために標識される。他の態様では、デコイはさらに、デコイまたはデコイ-FGF21受容体複合体、例えば、デコイ-FGFR-1もしくはデコイ-FGFR-2複合体の単離および/または分離を促進する部分を含む。ある態様において、デコイは、抗体または抗体断片と融合したFGF21ポリペプチドの少なくとも一部を含む。
癌を処置/予防する方法
本発明は、対象に治療上有効量の1種またはそれ以上の本発明のFGF21モジュレーターを投与することを含む、対象の癌もしくは癌症状を処置および/または予防する方法を提供する。ある態様において、癌は、FGF21の過剰発現と関連する癌である。ある態様において、癌は、大腸癌、肝臓癌、精巣癌、胸腺腫瘍、乳癌、皮膚癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、多発性骨髄腫または黒色腫である。ある態様において、癌は、非ホルモン制御(non-hormonally regulated)組織である。ある態様において、対象は、癌を患っているか、または癌の素因があると診断される。
癌の症状は、当業者に既知であり、体重減少、貧血、腹痛、腸閉塞、血便、下痢、便秘、排便習慣の他の変化、大腸転移、死、衰弱、過度の疲労、困難な摂食、食欲の減退、慢性咳、悪化した息切れ、喀血、血尿、嘔気、嘔吐、肝転移、肺転移、骨転移、腹部膨満、腫脹、腹腔内の液体(fluid in peritoneal cavity)、膣出血、腹部膨満、大腸の穿孔、急性腹膜炎(感染、発熱、疼痛)、疼痛、吐血、多量の発汗、発熱、高血圧、黄疸、目まい、悪寒、筋けいれん、肺転移、膀胱転移、肝転移、骨転移、腎臓転移および膵臓転移、困難な嚥下などを含むが、これらに限定されない。
調節化合物の治療上有効量は、当業者に既知の手順にしたがって経験的に決定され得て、とりわけ、患者の年齢、状態の重篤度、および最終的に望まれる医薬製剤に依存する。本発明のモジュレーターの投与は、例えば、吸入もしくは坐薬で、または粘膜組織へ、例えば、膣洗浄、直腸、尿道、口腔および舌下組織、経口、局所、鼻腔内、腹腔内、非経腸、静脈内、リンパ液内、腫瘍内、筋肉内、間質内、動脈内、皮下、眼内、滑液嚢内、経上皮、ならびに経皮的に行われ得る。ある態様において、阻害剤は、洗浄、経口または動脈内で投与される。他の適当な導入法はまた、再充填可能な、もしくは生分解性のデバイスおよび徐放性ポリマーデバイスを含み得る。上記したとおり、本発明の治療組成物はまた、組み合わせ療法の一部として、他の既知の抗癌剤もしくは他の既知の抗骨疾患処置レジメンと共に、投与され得る。
本発明はさらに、患者のFGF21関連生物学的活性を調節する方法を提供する。該方法は、患者に1種またはそれ以上のFGF21生物学的活性を調節するのに有効な量のFGF21モジュレーターを投与することを含む。FGF21生物学的活性を測定するための適当なアッセイは、上記および下記したとおりである。
本発明はまた、それを必要とする対象に治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを投与することを含む、該患者の癌細胞成長を阻害する方法を提供する。FGF21関連細胞成長を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知であり、上記および下記したとおりである。
本発明はさらに、それを必要とする患者の癌を阻害する方法を提供する。該方法は、患者が本明細書に記載したFGF21治療のための候補であるか否かを決定し、患者がFGF21治療のための候補であるとき、該患者に治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを投与することを含む。患者がFGF21治療のための候補でないとき、患者は、慣用的な癌処置で処置される。
本発明はまた、癌を患っていると診断されたか、またはその疑いがある患者での癌を阻害する方法を提供する。該方法は、該患者に治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを投与することを含む。
本発明はまた、患者に治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを投与することを含む、患者での2個もしくはそれ以上の細胞の相互作用を阻害する方法を提供する。FGF21関連細胞相互作用を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知であり、上記および下記したとおりである。
本発明はまた、患者に本明細書に記載した治療上有効量のFGF21組成物を投与することを含む、患者での1種またはそれ以上の癌症状を調節する方法を提供する。
本発明はさらに、それを必要とする患者に治療上有効量のFGF21モジュレーターを投与することを含む、患者での細胞成長を阻害する方法を提供する。FGF21関連足場非依存性細胞成長を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知であり、上記および下記したとおりである。
本発明はまた、それを必要とする患者に治療上有効量のFGF21モジュレーターを投与することを含む、患者での癌細胞の遊走を阻害する方法を提供する。FGF21関連細胞遊走を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知である。
本発明はまた、それを必要とする患者に治療上有効量のFGF21モジュレーターを投与することを含む、患者での癌細胞の接着を阻害する方法を提供する。FGF21関連細胞接着を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知である。
本発明はまた、それを必要とする患者に治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを投与することを含む、患者での血管新生を阻害する方法を提供する。血管新生を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知であり、上記および下記したとおりである。
本発明はまた、癌、癌転移を発症する素因があるか、または転移を有し、その結果、再発またはぶり返しが起こりやすい患者を予防的に処置する方法を提供する。該方法は、例えば、癌もしくは転移性腫瘍の家系を有するか、または癌転移のための遺伝学的素因を示す高いリスク個体において、特に有用である。ある態様において、腫瘍は、FGF21関連腫瘍である。さらに、該方法は、外科的切除により除去されたか、もしくは慣用的な癌処置で処置された、FGF21関連腫瘍を患っていた患者が、FGF21関連腫瘍を再発するのを予防するのに有用である。
本発明はまた、患者に治療上有効量のFGF21モジュレーターを投与することを含む、癌進行を阻害し、および/または癌退行を引き起こす方法を提供する。
ある態様において、抗癌処置を必要とする患者は、化学療法および/または放射線療法と併用して、本発明のFGF21モジュレーターで処置される。例えば、FGF21モジュレーターの投与後、患者はまた、治療上有効量の抗癌放射線で処置され得る。ある態様において、化学療法処置は、FGF21モジュレーターと併用して提供される。ある態様において、FGF21モジュレーターは、化学療法および放射線療法と併用して投与される。
処置法は、患者に1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを単回もしくは複数回投することを含む。ある態様において、FGF21モジュレーターは、薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と共にFGF21モジュレーターを含む、滅菌、ピロゲンフリーな注射可能医薬組成物として投与される。
ある態様において、本発明の治療レジメンは、外科手術、放射線療法、ホルモン除去、および/または化学療法を含むが、これらに限定されない癌の慣用的な処置レジメンを用いて使用される。本発明のFGF21モジュレーターの投与は、慣用的な癌処置の前に、同時に、後に行われ得る。ある態様において、2種またはそれ以上の異なるFGF21モジュレーターが患者に投与される。
ある態様において、患者に投与されるFGF21モジュレーターの量は、1種またはそれ以上の癌細胞成長、腫瘍形成、癌細胞増殖、癌細胞転移、癌細胞遊走、血管新生、FGF21シグナル伝達、FGF21仲介細胞-細胞接着、血管形成、キナーゼ活性、癌細胞生存、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGF21受容体間の相互作用、FGF21受容体のリン酸化、およびFGF21発現を阻害するのに有効な量である。FGF21受容体は、FGFR-1またはFGFR-2であり得る。ある態様において、患者に投与されるFGF21モジュレーターの量は、アポトーシスを介した癌細胞死を増加させるのに有効な量である。
併用療法
ある態様において、本発明は、2種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを含み、癌および/または血管疾患に対するさらに改善された効果を与える組成物を提供する。ある態様において、FGF21モジュレーターは、モノクローナル抗体である。2種またはそれ以上のFGF21抗体を含む組成物は、癌または血管疾患を患うか、もしくはその素因があるヒトもしくは哺乳類に投与され得る。1種またはそれ以上の抗体はまた、細胞毒性剤もしくは化学療法剤のような他の治療剤と共に投与され得る。2種またはそれ以上の治療剤の共投与は、薬剤がそれらの治療効果を及ぼす時間内で重複するかぎり、薬剤が同時にまたは同じ経路で投与されることを必要としない。異なる日もしくは週での投与と同様に、同時のまたは連続した投与が意図される。
ある態様において、異なる抗体の組み合わせ、もしくは“カクテル”の投与が意図される。そのような抗体カクテルは、それらが異なるエフェクターメカニズムを利用する抗体を含むか、または細胞毒性抗体を免疫エフェクター機能に依存した抗体と直接組み合わせ得るので、特定の利点を有し得る。組み合わせでのそのような抗体は、相乗的治療効果を示し得る。
細胞毒性剤は、細胞の機能を阻害もしくは妨害し、および/または細胞の破壊を引き起こす物質を意味する。該用語は、放射性同位体(例えば、131I、125I、90Yおよび186Re)、化学療法剤、および毒素、例えば、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素学的に活性な毒素または合成毒素、またはその断片を含むことを意図する。非細胞毒性剤は、細胞の機能を阻害もしくは妨害せず、および/または細胞の破壊を引き起こさない物質を意味する。非細胞毒性剤は、細胞毒性であるように活性化され得る薬剤を含み得る。非細胞毒性剤は、ビーズ、リポソーム、マトリクスまたは微粒子を含み得る(例えば、米国特許公開2003/0028071および2003/0032995を参照のこと(それは、引用により本明細書の一部とする))。そのような薬剤は、本発明による抗体と結合させるか、共役させるか、連結させるか、または関連させ得る。
ある態様において、慣用的な癌医薬は、本発明の組成物と共に投与される。慣用的な癌医薬は、下記を含む:
a) 癌化学療法剤;
b) 追加の薬剤;
c) プロドラッグ。
癌化学療法剤は、アルキル化剤、例えば、カルボプラチンおよびシスプラチン; ナイトロジェンマスタードアルキル化剤; ニトロソウレアアルキル化剤、例えば、カルムスチン(BCNU); 代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート; フォリン酸; プリン類似体代謝拮抗剤、メルカプトプリン; ピリミジン類似体代謝拮抗剤、例えば、フルオロウラシル(5-FU)およびゲムシタビン(Gemzar(登録商標)); 抗腫瘍性ホルモン剤、例えば、ゴセレリン、リュープロリドおよびタモキシフェン; 天然抗腫瘍剤、例えば、アルデスロイキン、インターロイキン-2、ドセタキシル、エトポシド(VP-16)、インターフェロン-α、パクリタキセル(Taxol(登録商標))およびトレチノイン(ATRA); 天然抗腫瘍性抗生物質、例えば、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ダウノマイシンおよびマイトマイシンCを含むマイトマイシン; および天然ビンカアルカロイド抗腫瘍剤、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン; ヒドロキシウレア; アセグラトン、アドリアマイシン、イホスファミド、エノシタビン、エピチオスタノール、アクラルビシン、アンシタビン、ニムスチン、塩酸プロカルバジン、カルボクオン、カルボプラチン、カルモフール、クロモマイシンA3、抗腫瘍ポリサッカライド、抗腫瘍血小板因子、シクロホスファミド(Cytoxin(登録商標))、シゾフィラン、シタラビン(シトシンアラビノシド)、ダカルバジン、チオイノシン、チオテパ、テガフール、ドラスタチン、ドラスタチン類似体、例えば、アウリスタチン、CPT-11 (イリノテカン)、ミトサントロン、ビノレルビン、テニポシド、アミノプテリン、カルミノマイシン、エスペラミシン(例えば、米国特許第4,675,187号を参照のこと)、ネオカルチノスタチン、OK-432、ブレオマイシン、フルツロン、ブロクスウリジン、ブスルファン、ホンバン、ペプロマイシン、ベスタチン(Ubenimex(登録商標))、インターフェロン-β、メピチオスタン、ミトブロニトール、メルファラン、ラミニンペプチド、レンチナン、Coriolus versicolor抽出物、テガフール/ウラシル、エストラムスチン(エストロゲン/メクロレタミン)を含むが、これらに限定されない。
癌患者のための治療として使用され得るさらなる薬剤は、EPO、G-CSF、ガンシクロビル; 抗生物質、ロイプロリド; メペリジン; ジドブジン(AZT); インターロイキン1から18(突然変異体および類似体を含む); インターフェロンまたはサイトカイン、例えば、インターフェロンα、βおよびγホルモン、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)および類似体ならびに性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH); 成長因子、例えば、形質転換成長因子-β (TGF-β)、線維芽細胞成長因子(FGF)、神経最長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子相同因子(FGFHF)、肝細胞成長因子(HGF)およびインスリン成長因子(IGF); 腫瘍壊死因子-α&β(TNF-α&β); 浸潤阻害因子-2 (IIF-2); 骨形成タンパク質1-7 (BMP 1-7); ソマトスタチン; チモシン-α-1; γ-グロブリン; スーパーオキシドジスムターゼ(SOD); 補体因子; 抗血管新生因子; 抗原性物質; ならびにプロドラッグを含む。
“プロドラッグ”は、薬学的に活性な物質の前駆体もしくは誘導体を意味し、それは、親薬剤と比較して、腫瘍細胞に対する弱い細胞毒性を示すか、もしくは非細胞毒性であり、活性もしくはより活性な親型へと酵素学的に活性化または変換され得る。例えば、Wilman, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)およびStella et al., “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照のこと。プロドラッグは、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、b-ラクタム含有プロドラッグ、所望により置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは所望により置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシンおよびより活性な細胞毒性遊離薬剤に変換され得る他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含むがこれらに限定されない。本明細書での使用のために、プロドラッグ型に誘導体化され得る細胞毒性薬剤の例は、上記の化学療法剤を含むが、これらに限定されない。
臨床的局面
ある態様において、本発明の方法および組成物は、特に、大腸癌、肝臓癌、精巣癌、胸腺癌、乳癌、皮膚癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、多発性骨髄腫および黒色腫において有用である。ある態様において、癌は、導管腺癌、小葉癌、または転移性腺癌である。
血管疾患を処置/予防する方法
本発明は、対象の血管疾患もしくは血管疾患の症状を処置し、および/または予防する方法を提供し、それは、対象に治療上有効量の1種またはそれ以上の本発明のFGF21モジュレーターを投与することを含む。ある態様において、血管疾患は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤、血栓、深部静脈血栓症、静脈鬱滞疾患、静脈炎、または静脈瘤である。ある態様において、対象は、血管疾患を患っているか、または血管疾患の素因があると診断されている。ある態様において、対象は、アテローム性動脈硬化を患っている。
血管疾患の症状は、当業者に既知であり、間欠性跛行、扁桃炎、虚血性安静時痛、潰瘍、壊疽、筋萎縮、疼痛、足および脚にわたる脱毛(hair loss over toes and legs)、爪肥厚(thick toenails)、つややかな皮膚(shiny skin)、胸痛、息切れなどを含むがこれらに限定されない。
調節化合物の治療上有効量は、当業者に既知の手順にしたがって経験的に決定され得て、とりわけ、患者の年齢、状態の重篤度、および最終的に望まれる医薬製剤に依存する。本発明のモジュレーターの投与は、例えば、吸入もしくは坐薬で、または粘膜組織へ、例えば、直腸洗浄、尿道、口腔および舌下組織、経口、局所、鼻腔内、腹腔内、非経腸、静脈内、リンパ液内、筋肉内、間質内、動脈内、皮下、眼内、滑液嚢内、経上皮、ならびに経皮的に行われ得る。ある態様において、阻害剤は、洗浄、経口または動脈内で投与される。他の適当な導入法はまた、再充填可能な、もしくは生分解性のデバイスおよび徐放性ポリマーデバイスを含み得る。上記したとおり、本発明の治療組成物はまた、血管疾患を処置するために、他の既知の薬剤もしくは他の処置レジメンとの組み合わせ療法の一部として、投与され得る。
本発明はまた、患者に治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを投与することを含む、該患者の血管新生を増加させる方法を提供する。血管新生を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知であり、顕微鏡アッセイおよびフォン・ヴィレブランド因子もしくはCD31を血管新生のポジティブマーカーとして検出する免疫組織化学を含む(例えば、Auerbach, Clinical Chemistry 49:1, 32-40, 2003; Taraboletti and Giavazzi, EJC 40:881-889, 2004を参照のこと)。
本発明はさらに、血管疾患を患っていると診断されたか、もしくはそれが疑われる患者において、血管疾患を阻害する方法を提供する。該方法は、治療上有効量の1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを患者に投与することを含む。
本発明はまた、治療上有効量のFGF21モジュレーターを患者に投与することを含む、該患者での血管形成を増加させるための方法を提供する。血管形成を測定するための適当なアッセイは、当業者に既知であり、上記した血管新生を測定するためのアッセイおよび内皮細胞増殖のモニタリングを含む(WO 01/63281)。
本発明はまた、該患者に、本明細書に記載した治療上有効量のFGF21組成物を投与することを含む、患者での1種またはそれ以上の血管疾患の症状を調節する方法を提供する。
本発明はまた、血管疾患を発症する素因がある患者を予防的に処置するための方法を提供する。該方法は、例えば、血管疾患の家系を有するか、または血管疾患の遺伝学的な素因を示すハイリスクな個体において特に有用である。
本発明はまた、患者に治療上有効量のFGF21モジュレーターを投与することを含む、血管疾患の進行を阻害する方法を提供する。
ある態様において、血管疾患の処置を必要とする患者は、外科手術、薬剤、または特別食もしくは運動レジメンと組み合わせて、本発明のFGF21モジュレーターで処置される。例えば、FGF21モジュレーターの投与後、患者はまた、治療上有効量の抗血小板剤、抗凝固剤もしくは血栓溶解剤で処置され得る。ある態様において、対象は、FGF21モジュレーターでの処置の前および/もしくは後に、血管形成術、ステント、アテローム切除術またはバイパス外科手術で処置される。本発明のFGF21モジュレーターの投与は、血管疾患の慣用的な処置の前に、同時に、後に、実施され得る。ある態様において、2種またはそれ以上の異なるFGF21モジュレーターが患者に投与される。
医薬組成物
本発明はまた、本明細書に記載した1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ある態様において、医薬組成物は、注射用、液体溶液もしくは懸濁液として製造され、注射前に、液体ビヒクルでの溶液もしくは懸濁液のために適当な固体形がまた、製造され得る。リポソームは、薬学的に許容される担体の定義に含まれる。薬学的に許容される塩はまた、医薬組成物、例えば、鉱酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩など; および有機酸の塩、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸エステル塩などで存在し得る。薬学的に許容される賦形剤の詳細な考察は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (1995) Alfonso Gennaro, Lippincott, Williams, & Wilkinsで利用可能である。
FGF21を検出する方法
本発明はまた、FGF21を検出するための方法を提供する。ある態様において、FGF21は、患者または患者サンプルに存在する。ある態様において、該方法は、1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを含む組成物を患者に投与し、患者内の造影剤の局在を検出することを含む。ある態様において、患者サンプルは、癌細胞を含む。ある態様において、FGF21モジュレーターは、造影剤と結合しているか、または検出可能に標識されている。ある態様において、FGF21モジュレーターは、造影剤と結合したFGF21抗体であり、1種またはそれ以上の腫瘍を検出するか、またはFGF21治療に対する患者の感受性を決定するために投与される。標識化抗体は、細胞上における高濃度の受容体に結合し、それにより、腫瘍細胞上に蓄積する。標準的な画像化技術を用いて、腫瘍の部位を検出し得る。
本発明はまた、FGF21を発現するか、もしくは過剰発現する細胞または腫瘍を画像化し/検出する方法を提供し、FGF21モジュレーターを含む組成物をサンプルと接触させ、サンプル中のFGF21モジュレーターの存在を検出することを含む。ある態様において、サンプルは、患者サンプルである。ある態様において、患者サンプルは、癌細胞を含む。ある態様において、FGF21モジュレーターは、造影剤と結合しているか、または検出可能に標識されている。
本発明はまた、患者、細胞またはサンプル中に存在するFGF21の量を定量する方法を提供する。該方法は、1種またはそれ以上の抗体、プローブ、もしくは小分子を患者またはサンプルに投与し、サンプル中に存在するFGF21の量を定量することを含む。ある態様において、抗体、プローブ、もしくは小分子は、造影剤と結合しているか、または検出可能に標識されている。そのような情報は、例えば、腫瘍がFGF21と関連しているか否か、したがって、特定の処置が使用されるべきか、もしくは避けられるべきかを示す。ある態様において、当業者に既知の標準的な技術を用いて、腫瘍細胞を含むと考えられるサンプルを取得し、標識化抗体、プローブ、オリゴヌクレオチド、および小分子と接触させる。すべての結合しなかった標識化抗体、プローブ、オリゴヌクレオチドもしくは小分子を除去した後、細胞に結合した標識化抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチドもしくは模倣剤の量、または非結合として除去された抗体、ペプチド、オリゴヌクレオチドもしくは模倣剤の量を決定する。該情報は、存在するFGF21の量と直接関連する。
画像化は、当業者に既知の手順を用いて行い得る。画像化は、例えば、ラジオシンチグラフィー、核磁気共鳴画像法(MRI)またはコンピューター断層撮影(CTスキャン)により行い得る。造影剤のために最も一般的に使用される放射性標識は、放射性ヨウ素およびインジウムを含む。CTスキャンによる画像化は、鉄キレートのような重金属を使用し得る。MRIスキャニングは、ガドリニウムまたはマンガンのキレートを使用し得る。さらに、ポジトロン断層法(PET)は、酸素、窒素、鉄、炭素、またはガリウムのポジトロン放射体を用いて可能であり得る。
ある態様において、FGF21モジュレーターは、FGF21抗体である。ある態様において、モジュレーターは、造影剤と結合しているか、または検出可能に標識されている。ある態様において、造影剤は、18F、43K、52Fe、57Co、67Cu、67Ga、77Br、87MSr、86Y、90Y、99MTc、111In、123I、125I、127Cs、129Cs、131I、132I、197Hg、203Pb、または206Biである。
検出法は、当業者に既知である。例えば、ポリヌクレオチドを検出する方法は、PCR、ノザンブロッティング、サザンブロッティング、RNAプロテクション、およびDNAハイブリダイゼーション(インサイチュハイブリダイゼーションを含む)を含むが、これらに限定されない。ポリペプチドを検出する方法は、ウエスタンブロッティング、ELISA、酵素活性アッセイ、スロットブロッテイング、ペプチドマスフィンガープリント、電気泳動、免疫化学および免疫組織化学を含むが、これらに限定されない。検出法の他の例は、放射性免疫測定(RIA)、化学発光免疫アッセイ、蛍光免疫測定、時間分解蛍光免疫測定(TR FIA)、二色蛍光顕微鏡、または免疫クロマトグラフィーアッセイ(ICA) (すべて、当業者に既知である)を含むが、これらに限定されない。本発明のある好ましい態様において、ポリヌクレオチド発現は、PCR方法論を用いて検出され、ポリペプチド産生は、ELISA技術を用いて検出される。
細胞毒性剤または診断剤を細胞に送達する方法
本発明はまた、細胞毒性剤または診断剤をFGF21を発現する1種またはそれ以上の細胞に送達する方法を提供する。ある態様において、該方法は、細胞毒性剤または診断剤と結合した本発明のFGF21モジュレーターを細胞と接触させることを含む。
FGF21治療に対する感受性を決定する方法
本発明はまた、FGF21治療に対する患者の感受性を決定するための方法を提供する。該方法は、患者または患者サンプルにおけるFGF21の特異的発現の証拠の存在または非存在を検出することを含む。患者またはサンプルにおけるFGF21の特異的発現の証拠の存在は、FGF21治療に感受性がある患者であることを示す。ある態様において、患者または患者サンプルにおけるFGF21の特異的発現の非存在は、FGF21治療の候補ではない患者であることを示す。
ある態様において、治療法は、最初に、FGF21療法に感受性がある患者を同定すること含み、これは、処置を必要とする対象に造影剤と結合したFGF21モジュレーターを含む組成物を投与し、患者内におけるFGF21 RNAもしくはタンパク質の証拠の存在もしくは非存在を検出することを含む。ある態様において、該治療法はさらに、患者がFGF21療法の候補であるとき、1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターを患者に投与し、患者がFGF21療法の候補でないとき、慣用的な処置で患者を処置することを含む。
ある態様において、治療法は、最初に、FGF21療法に感受性がある患者を同定すること含み、これは、患者のFGF21遺伝子におけるSNPの存在もしくは非存在をアッセイすることを含む。SNPは、表1に示した1個もしくはそれ以上のSNPであり得る。SNPの存在もしくは非存在は、制限酵素断片長多型法(RFLP)、制限部位産生PCR、DNA塩基配列決定法、などを含むいずれかの既知の方法により決定し得る。ある態様において、SNPの存在は、患者がFGF21関連癌もしくは障害を患っており、および/またはFGF21モジュレーターを用いた処置の候補であることを示し得る。
ある態様において、患者が、配列番号2の174位に対応する位置でロイシン以外のアミノ酸を有するFGF21ポリペプチドを有すると決定されたとき、該患者は、FGF21モジュレーターを用いた処置の候補として同定される。ある態様において、患者は、174位でプロリンを有する。
ある治療法において、1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターは、患者が癌を患うか、もしくは癌に感受性があると同定されたとき、単独で、または他の抗癌剤と共に、該患者に投与される。
ある治療法において、1種またはそれ以上のFGF21モジュレーターは、患者が血管疾患を患うか、もしくは血管疾患に感受性があると同定されたとき、単独で、または他の血管疾患処置用医薬と共に、該患者に投与される。
癌の進行を評価する方法
本発明はまた、患者での癌の進行を評価する方法を提供し、それは、第1時間点での生物学的サンプル中のFGF21の発現産物レベルを、第2時間点での同じ発現産物レベルと比較することを含む。第1時間点と比較した第2時間点での発現産物のレベルの変化は、癌の進行を示す。
スクリーニング法
本発明はまた、抗癌剤または血管新生もしくは抗血管新生剤をスクリーニングするための方法を提供する。該方法は、FGF21を発現する細胞を候補化合物と接触させ、FGF21関連生物学的活性が調節されるか否かを決定することを含む。ある態様において、1種またはそれ以上の癌細胞成長、インテグリン仲介活性、腫瘍形成、癌細胞増殖、癌細胞転移、細胞移動、血管新生、FGF21シグナル伝達、FGF21仲介細胞-細胞接着、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGFR-1もしくはFGFR-2の一方もしくは両方間の相互作用、FGFR-1もしくはFGFR-2のリン酸化およびFGF21発現の阻害は、抗癌剤であることを示している。他の態様において、1種またはそれ以上の内皮細胞増殖、血管新生、血管形成、FGF21シグナル伝達、FGF21仲介細胞-細胞接着、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGFR-1もしくはFGFR-2の一方もしくは両方間の相互作用、FGFR-1もしくはFGFR-2のリン酸化およびFGF21発現の増加は、血管疾患の処置剤であることを示している。
本発明はさらに、癌阻害剤を同定する方法を提供する。該方法は、FGF21を発現する細胞を候補化合物およびFGF21リガンドと接触させ、FGF21関連生物学的活性が調節されるか否かを決定することを含む。ある態様において、1種またはそれ以上の癌細胞成長、インテグリン仲介活性、腫瘍形成、癌細胞増殖、癌細胞転移、細胞移動、血管新生、FGF21シグナル伝達、FGF21仲介細胞-細胞接着、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGFR-1もしくはFGFR-2の一方もしくは両方間の相互作用、FGFR-1もしくはFGFR-2のリン酸化およびFGF21発現の阻害は、癌阻害剤であることを示している。ある態様において、患者に投与されるFGF21モジュレーターの量は、癌細胞アポトーシスを増加させるのに有効な量である。
ある態様において、本発明は、例えば、推定上のモジュレーターを下流マーカーの活性もしくはレベルを調節する能力についてスクリーニングすることにより、抗癌剤、特に、抗転移性癌剤に関してスクリーニングする方法を提供する。ある態様において、FGFR-1もしくはFGFR-2レベルを増加させる候補薬剤は、血管疾患を処置する薬剤として同定される。
ある態様において、本発明は、例えば、推定上のモジュレーターを下流マーカーの活性もしくはレベルを調節する能力についてスクリーニングすることにより、血管疾患を処置する薬剤に関してスクリーニングする方法を提供する。ある態様において、FGFR-1もしくはFGFR-2レベルを増加させる候補薬剤は、血管疾患を処置する薬剤として同定される。
FGF21を精製する方法
ある態様において、本発明は、FGF21を含むサンプルからFGF21タンパク質を精製する方法を提供する。該方法は、固相担体に結合した本発明のFGF21抗体を含む親和性マトリクスを提供し、サンプルを該親和性マトリクスと接触させて親和性マトリクス-FGF21タンパク質複合体を形成し、該親和性マトリクス-FGF21タンパク質複合体をサンプルの残りから分離し、FGF21タンパク質を親和性マトリクスから遊離することを含む。
キット
ある態様において、本発明は、FGF21過剰発現と相関する遺伝子もしくは遺伝子産物を画像化し、および/または検出するためのキットを提供する。本発明のキットは、検出可能な抗体、小分子、オリゴヌクレオチド、デコイ、模倣剤もしくはプローブならびに本発明の方法を実施するための指示書を含む。所望により、キットはまた、1種またはそれ以上の下記のものを含み得る: コントロール(ポジティブおよび/またはネガティブ)、コントロールのための容器、ポジティブおよび/またはネガティブ結果に関する典型例の写真または記載。
本明細書に記載した特許、特許出願、受託番号および公開物の各々は、その全体を引用により本明細書の一部とする。
本明細書に記載したものに加えて、本発明のさまざまな修飾は、上記記載の観点から、当業者には明らかである。そのような修飾はまた、追加された本発明の態様の範囲内であることを意図する。本発明はさらに、下記の実施例で例証されるが、それは、例示の目的のためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例1: FGF21は、内皮細胞増殖を刺激する
増殖アッセイは、ウシ副腎皮質内皮(ACE)細胞を用いて行った。細胞を調製し、記載されたとおり培養した(Gospodarowicz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:7311-7315, 1989; Gospodarowicz et al., J. Cellular Physiology 127:121-136, 1986)。アッセイ時に、ACE細胞を、無血清培地中、24ウェル組織培養プレートに、ウェルあたり5000細胞で播種した。FGF21または煮沸FGF21を、デュプリケートで、1.4から466 ng/mLの範囲のさまざまな濃度で加え、72時間インキュベーションを行った。インキュベーション後、細胞を集めて、Coulter細胞カウンターで計測した。細胞計測は、デュプリケートサンプル間で平均化した。FGF21は、細胞増殖を刺激したが、煮沸FGF21は、細胞増殖に影響を与えなかった(図1)。
実施例2: 大腸癌細胞株は、高FGF21発現レベルを示す
FGF21 mRNAレベルを、正常な成体組織ならびに癌および正常な組織に由来する細胞株を調べた(図2および3)。発現レベルを、リアルタイムRT-PCRを用いてアッセイし、RNAレベルを、ハウスキーピング遺伝子GusBのRNAレベルに対して標準化した。
正常なヒト成体器官からの全RNA(Stratagene, La Jolla, CA)および培養細胞からの全RNAを、オリゴ-dT18プライマーを用いて、20 μlの全反応量で、42℃で1時間、逆転写し、次いで、94℃で5分間加熱した(First-Strand(商標) cDNA Synthesis Kit, Clontech)。その後、生じた混合物を、Lightcycler(登録商標) Instrument (Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, Indiana)でのPCRの鋳型として使用した。
PCRは、下記の遺伝子特異的プライマーを用いて行った。
Figure 2010529954
各Lightcyclerキャピラリー中の20-μlのPCR反応混合物は、2 μlの10x PCR緩衝液II、3 mM MgCl2 (Perkin-Elmer, Foster City, CA)、140 μM dNTP、1:50000のSYBR Green I、0.25 mg/ml BSA、1ユニットのTaqポリメラーゼ(Boehringer Mannheim, Indianapolis, Indiana)、0.175 μMの各プライマー、2 μlのRT反応混合物を含んでいた。PCR増幅は、95℃で20秒間の変性で開始し、その後、95℃で5秒間の変性、60℃で1秒間のアニーリング、72℃で30秒間の伸長を45サイクル行った。最終サイクルの最後に、PCR産物を60℃で5秒間アニールし、次いで、0.2℃/秒で95℃までゆっくりと加熱し、特定のPCR産物の融解曲線を測定した。すべての実験は、デュプリケートで行われた。データ解析は、定量および融解曲線オプションを備えたLightcycler Software (Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis, Indiana)を用いて行った。
心臓組織が、正常な組織型の中で最も高レベルのFGF21を発現することが観察された。したがって、発現レベルは、正常な心臓FGF21発現の割合として評価した。最大のFGF21発現レベルは、LS174T細胞(ヒト結腸直腸腺癌; 心臓と比較して、56倍のFGF21発現)、SW480細胞(ヒト結腸直腸腺癌; 心臓と比較して、31倍のFGF21発現)、HCT116 (ヒト結腸直腸腺癌; 心臓と比較して、4.6倍のFGF21発現)、およびHCT15 (ヒト結腸直腸腺癌; 心臓と比較して、181倍のFGF21発現)で観察された(図2)。
実施例3: FGF21配列特徴づけ
いくつかのSNPをFGF21で同定した。
表1
Figure 2010529954
1 ヌクレオチド位置は、配列番号1での位置に相当する。
2 アミノ酸位置は、配列番号2での位置に相当する。
FGF21 (米国特許第6,716,626号)およびFGF19x (WO 01/18209)は、それらのN末端(アミノ酸1-148)で同一であるが、アミノ酸149の後は、分岐している(図4)。アミノ酸149からのFGF19xのC末端は、5アミノ酸(LQRLL)長のみである。アミノ酸149からのFGF21のC末端は、60アミノ酸長である。FGF21転写産物は、4つのエクソンを有し、エクソン2-4がコード領域残基である(エクソン2: nt 1 - 235 (コドン1 - 78); エクソン3: nt 236 - 339 (コドン79 - 112); エクソン4: nt 340 - 630 (コドン113 - 210))。FGF21は、mRNA転写産物の4番目のエクソンの全体を含むが、FGF19xは、4番目のエクソンの一部のみを含む。両タンパク質のシグナルペプチドは、アミノ酸1-28に位置する。FGF21のFGF21受容体結合ドメインは、アミノ酸45-165である。
実施例4: FGF-21エピトープ
抗体認識および抗体作製のためのFGF21の直線状エピトープは、当分野で既知の多くの方法のいずれかにより同定し得る。いくつかの例示される方法は、抗原のアミノ酸配列に由来するペプチドの抗体結合能力を探索することを含む。結合は、BIACOREもしくはELISA法を用いて評価し得る。他の技術は、平面的な固相担体(“チップ”)上のペプチドライブラリーを抗体に曝し、固相スクリーニングで使用される複数の方法のいずれかを用いて結合を検出することを含む。さらに、ファージディスプレイを、エピトープの選択で、数回のバイオパニング後、ペプチドライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。
下記の表2は、抗FGF21抗体による認識のために適当な直線状エピトープとして同定された、FGF21(配列番号2)の領域を提供する。
表2
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アミノ酸45-63に位置するエピトープは、FGF21の領域1 (Pfam受託番号PF00167、ドメイン配列の開始)のエピトープを示し; アミノ酸71-90に位置するエピトープは、FGF21の領域3 (Pfam受託番号PF00167)のエピトープを示し; アミノ酸101-119に位置するエピトープは、FGF21の領域4 (Pfam受託番号PF00167)のエピトープを示し; アミノ酸136-170に位置するエピトープは、FGF21の領域2 (Pfam受託番号PF00167、ドメイン配列の終末端)のエピトープを示し; およびアミノ酸196-209に位置するエピトープは、FGF21の領域5 (C末端)のエピトープを示す。
本発明は、特定のその態様に関して記載されているが、さまざまな変化が許容され、本発明の真の精神および範囲から離れることのない等価物で置換し得るものと当業者により理解されるべきである。さらに、本発明の目的、精神および範囲に、特定の状況、材料、物質の組成(composition of matter)、工程、工程段階(複数もある)(process step or steps)を適用し得る。すべてのそのような修飾は、本発明の範囲内に含まれることを意図する。

Claims (38)

  1. 処置を必要とする患者に治療上有効量のFGF21阻害剤を投与することを含む、患者の癌もしくは癌症状を処置する方法。
  2. 患者でのFGF21関連活性を調節する方法であって、患者にFGF21関連生物学的活性を調節するのに有効な量のFGF21阻害剤を投与することを含む、方法。
  3. FGF21を発現する細胞での1種またはそれ以上の活性を調節する方法であって、細胞を活性を調節するのに有効な量のFGF21阻害剤と接触させることを含む、方法。
  4. 患者に治療上有効量のFGF21阻害剤を投与することを含む、患者でのFGF21を発現する2種またはそれ以上の癌細胞の相互作用を阻害する方法。
  5. FGF21阻害剤が、
    (a) FGF21の細胞外ドメイン(ECD)中のエピトープに選択的に結合する、抗体;
    (b) 配列番号1、211および212で示した配列、またはその完全相補体の少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖および実質的に第1鎖と相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖を含み、該分子が627ヌクレオチド長未満である、単離二本鎖RNA(dsRNA);
    (c) 配列番号1、211および212からなる群から選択される配列、またはまたはその完全相補体と少なくとも90%同一である配列の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、単離核酸分子;
    (d) 小分子;
    (e) 模倣剤;
    (f) 可溶性受容体; および
    (g) デコイ
    からなる群から選択される請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
  6. さらに、慣用的な癌治療剤を患者に投与することを含む、請求項1、2または4のいずれか1項に記載の方法。
  7. FGF21阻害剤が、コントロールと比較して、少なくとも30%までFGF21の発現を減少させる、請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
  8. FGF21阻害剤が、コントロールと比較して、FGF21を発現する癌細胞の集団での少なくとも30%の細胞でアポトーシスを生じる、請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
  9. 癌細胞が内皮細胞である、請求項3または4に記載の方法。
  10. 癌細胞が大腸癌細胞である、請求項3または4に記載の方法。
  11. FGF21阻害剤が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、またはFab断片である、請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
  12. 抗体が、配列番号3-203からなる群から選択される1種またはそれ以上のFGF21のエピトープに特異的に結合する、請求項11に記載の方法。
  13. 抗体が、FGF21のFGF受容体結合ドメイン中の1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合し、該1種またはそれ以上のエピトープが、配列番号3-180から選択される、請求項11に記載の方法。
  14. 抗体が、FGF21のC末端ドメイン中の1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合し、該1種またはそれ以上のエピトープが、配列番号118-203から選択される、請求項11に記載の方法。
  15. 抗体が、FGF21 mRNAの第3エクソンによりコードされたFGF21ポリペプチド中の1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合し、該1種またはそれ以上のエピトープが、配列番号26-76から選択される、請求項11に記載の方法。
  16. 抗体が、FGF21の免疫原性領域中の1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合し、該免疫原性領域が、免疫原性領域1、2、3、4および5から選択される、請求項11に記載の方法。
  17. 癌症状が、体重減少、貧血、食後の腹痛、腸閉塞、便潜血、下痢、便秘、排便習慣の他の変化、および大腸癌転移からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  18. 癌阻害剤を同定する方法であって、癌がコントロールと比較してFGF21の特異的発現により特徴づけられ、FGF21を発現する細胞を候補化合物と接触させ、FGF21関連活性が調節されるか否かを決定することを含み、ここで、FGF21関連活性の調節が、候補化合物が癌阻害剤であることを示す、方法。
  19. 癌阻害剤を同定する方法であって、該癌がコントロールと比較してFGF21の特異的発現により特徴づけられ、FGF21を発現する細胞を候補化合物と接触させ、FGF21の下流マーカーの活性が調節されるか否かを決定することを含み、ここで、下流マーカーの調節が、候補化合物が癌阻害剤であることを示す、方法。
  20. 処置を必要とする患者に治療上有効量のFGF21モジュレーターを投与することを含む、患者での血管疾患もしくは血管疾患症状を処置する方法。
  21. FGF21モジュレーターが、コントロールと比較して、少なくとも30%まで患者での細胞増殖をアップレギュレートする、請求項20に記載の方法。
  22. FGF21モジュレーターが、1種またはそれ以上のFGF21関連活性をアップレギュレートする、請求項20に記載の方法。
  23. 血管疾患の阻害剤を同定する方法であって、FGF21を発現する細胞サンプルを候補化合物と接触させ、FGF21関連活性が調節されるか否かを決定することを含み、ここで、FGF21関連活性の調節が、候補化合物が血管疾患の阻害剤であることを示す、方法。
  24. 血管疾患が、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、腹部大動脈瘤、血栓、深部静脈血栓症、静脈鬱滞疾患、静脈炎、または静脈瘤である、請求項20または23に記載の方法。
  25. FGF21関連活性が、細胞増殖、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、脂肪細胞へのグルコース取り込み、FGF21とFGFR-1もしくはFGFR-2の一方または両方間の相互作用、FGFR-1もしくはFGFR-2タンパク質のリン酸化、およびアポトーシスからなる群から選択される、請求項2、3または22のいずれか1項に記載の方法。
  26. 線維芽細胞成長因子21(FGF21)モジュレーターおよび1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物であって、FGF21モジュレーターが、単離二本鎖RNA (dsRNA); 配列番号1の少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む、単離オリゴヌクレオチド; シグナルペプチドドメインおよびFGF受容体結合ドメインからなる群から選択されるFGF21のドメイン中のエピトープに結合する抗体; 小分子; 模倣剤; 可溶性受容体; またはデコイである、組成物。
  27. FGF21モジュレーターが、FGF21阻害剤である、請求項26に記載の組成物。
  28. FGF21モジュレーターが、FGF21アクチベーターである、請求項26に記載の組成物。
  29. 細胞増殖、血管新生、血管形成、細胞シグナル伝達、キナーゼ活性、脂肪細胞へのグルコース取り込み、癌細胞生存、FGF21とFGFR-1もしくはFGFR-2の一方または両方間の相互作用、FGFR-1もしくはFGFR-2タンパク質のリン酸化、およびアポトーシスからなる群から選択される少なくとも1種のFGF21関連活性を調節する、請求項26に記載の組成物。
  30. FGF21モジュレーターが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、またはFab断片である、請求項26に記載の組成物。
  31. 抗体が、配列番号3-203からなる群から選択される1種またはそれ以上のFGF21のエピトープに特異的に結合する、請求項30に記載の組成物。
  32. 抗体が、FGF21のFGF受容体結合ドメイン中の配列番号3-180からなる群から選択される1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合する、請求項30に記載の組成物。
  33. 抗体が、FGF21のC末端ドメイン中の配列番号118-203からなる群から選択される1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合する、請求項30に記載の組成物。
  34. 抗体が、FGF21 mRNAの第3エクソンによりコードされるFGF21ポリペプチド中の配列番号26-76からなる群から選択される1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合する、請求項30に記載の組成物。
  35. 抗体が、免疫原性領域1、2、3、4、および5からなる群から選択されるFGF21の免疫原性領域中の1種またはそれ以上のエピトープに特異的に結合する、請求項30に記載の組成物。
  36. 抗体が標識されている、請求項30に記載の組成物。
  37. 標識が、酵素、放射性同位体、毒素またはフルオロホアである、請求項36に記載の組成物。
  38. FGF21モジュレーターが、配列番号1で示した配列の少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含むヌクレオチドの第1鎖および実質的に第1鎖と相補的な配列を含むヌクレオチドの第2鎖を含むdsRNA分子であり、該dsRNA分子が627ヌクレオチド長未満である、請求項26に記載の組成物。
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