JP2010246210A - モータの駆動方法、及びモータ駆動システム、ヒートポンプシステム、ファンモータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明に係るモータの駆動方法及びモータ駆動システムでは、接続スイッチ回路等の新たな構成を設けることなく、インバータのスイッチング素子が短絡故障した場合にモータを安定して駆動させることができる。
【解決手段】本発明に係るモータ駆動システムは、回転子を有する三相のブラシレスDCモータ1を駆動する三相インバータ21と、三相インバータ21に供給する信号を制御する信号制御部とを備えている。信号制御部は、スイッチング素子Qxにおいて短絡故障が検出された場合に、スイッチング素子Quをオフ状態にし、回転子の位置を固定するために、スイッチング素子Qvをオフ状態にし、スイッチング素子Qyをオン状態にし、スイッチング素子Qwをオン状態にし、スイッチング素子Qzをオフ状態にし、回転子の位置を固定後に、第2レグ及び第3レグに設けられたスイッチング素子のスイッチングにより回転子を回転させる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るモータ駆動システムは、回転子を有する三相のブラシレスDCモータ1を駆動する三相インバータ21と、三相インバータ21に供給する信号を制御する信号制御部とを備えている。信号制御部は、スイッチング素子Qxにおいて短絡故障が検出された場合に、スイッチング素子Quをオフ状態にし、回転子の位置を固定するために、スイッチング素子Qvをオフ状態にし、スイッチング素子Qyをオン状態にし、スイッチング素子Qwをオン状態にし、スイッチング素子Qzをオフ状態にし、回転子の位置を固定後に、第2レグ及び第3レグに設けられたスイッチング素子のスイッチングにより回転子を回転させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータの駆動方法に係る発明であり、回転子を有する三相のブラシレスDCモータを三相インバータによって駆動するモータの駆動方法及びモータ駆動システム、ひいてはヒートポンプシステムに適用される。
回転子を有する三相のブラシレスDCモータ(電動機)には、回転子(ロータともいう)の位置を検出するために、ホールセンサが3個設けられる。このホールセンサからの位置検出信号を利用して、三相インバータ(U相,V相,W相)のスイッチング素子を制御してブラシレスDCモータが駆動される。
しかし、三相インバータのスイッチング素子のうち、1相(例えば、U相)の下アームに位置するスイッチング素子が短絡故障した場合、当該1相(U相)の上アームに位置するスイッチング素子をオン状態にすると、三相インバータのDC母線同士に短絡が発生する。このような短絡故障が生じた場合、ブラシレスDCモータの駆動を制御する回路は、過電流の発生により異常を検出し、インバータからの波形出力を停止させ、ブラシレスDCモータの駆動を止める。なお、ブラシレスDCモータの駆動を制御する回路が、過電流による保護動作を行なわない場合、インバータをさらに故障させ、又は/更にインバータに直流を供給する電源の故障も引き起こす。
このように、電動機を駆動するインバータに短絡故障が生じた場合、特許文献1では、インバータからの波形出力を停止させ、電動機を止める駆動が行われる。しかしながら、インバータに短絡故障が生じても電動機の駆動を継続させたい場合がある。このような場合に、限定された運転状態で電動機を駆動する方法が、特許文献2に開示されている。特許文献2では、インバータの短絡故障時に、DC電圧の中性点と出力線とを接続するV結線運転を行なって、電動機が駆動される。また、特許文献3には、インバータが短絡故障した場合でも、ハイブリッド自動車の退避走行を確保する電動機の駆動方法が開示されている。
特許文献2の駆動方法では、インバータの短絡故障時にV結線を行うため、中性点と出力線とを接続する接続スイッチ回路が三相分必要となる。そのため、当該特許文献2の駆動方法を用いるインバータは、大型化すると共に、装置コストが増加する。
また、特許文献3の駆動方法では、誘導電動機であれば比較的容易に駆動することができるが、電動機がPMモータ(永久磁石式同期電動機)であるブラシレスDCモータの場合、回転子の位置に合わせて電圧出力を行なう必要があるため、起動時に過大な電流が流れたり、安定した駆動ができなかったりする不具合が生じる。更に、短絡により生じる出力トルクの不具合に対応することができていない。
そこで、本発明に係るモータの駆動方法及びモータ駆動システムでは、接続スイッチ回路等の新たな構成を設けることなく、インバータのスイッチング素子が短絡故障した場合にモータを安定して駆動させることができる。
上記課題を解決するため、この発明のモータの駆動方法の第1の態様は、回転子を有する三相のモータを三相インバータによって駆動する方法である。三相インバータはこの順に進相する第1相乃至第3相に対応した第1乃至第3レグを備える。第1乃至第3レグのそれぞれは、三相インバータの出力端と、出力端に対して一方側に第1アームを、他方側に第2アームを有し、第1及び第2のアームのそれぞれにスイッチング素子が設けられる。そして、この発明のモータの駆動方法の第1の態様は、(a)スイッチング素子の短絡故障を検出するステップと、(b)(a)ステップで、第1レグ(L1)の第2アームに設けられたスイッチング素子において短絡故障を検出した場合に、第1レグの第1アームに位置するスイッチング素子をオフ状態にするステップと、(c)(i)第3レグの第1アームに設けられたスイッチング素子をオン状態にし、第3レグの第2アームに設けられたスイッチング素子をオフ状態にするか、(ii)第2レグの第1アームに設けられたスイッチング素子をオン状態にし、第2レグの第2アームに設けられたスイッチング素子をオフ状態にするか、の少なくとも何れか一方を実行して回転子の位置を固定するステップと、(d)ステップ(c)の後に、第2レグ及び第3レグに設けられたスイッチング素子のスイッチングにより回転子を回転させるステップとを備える。
この発明のモータの駆動方法の第2の態様は、その第1の態様であって、ステップ(c)において、第3レグの第1アームに設けられたスイッチング素子をオン状態にし、第3レグの第2アームに設けられたスイッチング素子をオフ状態にし、 第2レグの第1アームに設けられたスイッチング素子をオフ状態にし、第2レグの第2アームに設けられたスイッチング素子をオン状態にして回転子の位置を固定する。
この発明のモータの駆動方法の第3の態様は、その第1の態様または第2の態様であって、(d)ステップにおいて、モータへの通電方法は180°通電である。
この発明のモータの駆動方法の第4の態様は、その第1の態様乃至第3の態様のいずれかであって、(d)ステップにおいて、第2レグ及び第3レグの、第1アームに位置するスイッチング素子をパルス幅変調で制御する。
この発明のモータの駆動方法の第5の態様は、その第1の態様乃至第4の態様のいずれかであって、(d)ステップにおいて、短絡故障によりブラシレスDCモータがトルクを出力できない期間は電圧出力を行わない。
この発明のモータの駆動方法の第6の態様は、その第5の態様であって、(d)ステップにおいて、短絡故障によりブラシレスDCモータがトルクを出力できない期間、第1乃至第3レグのいずれの第1アームに設けられたスイッチング素子もオフ状態にし、第2及び第3レグのいずれの第2アームに設けられたスイッチング素子もオン状態にする。
この発明のモータの駆動方法の第7の態様は、その第5の態様であって、(d)ステップにおいて、短絡故障によりブラシレスDCモータがトルクを出力できない期間、第1乃至第3レグのいずれの第1アームに設けられたスイッチング素子もオフ状態にし、第2及び第3レグのいずれの第2アームに設けられたスイッチング素子もオフ状態にする。
また、この発明のモータの駆動方法の第8の態様は、(A)スイッチング素子の短絡故障を検出するステップと、(B)ステップ(A)で、スイッチング素子の短絡故障が検出された場合、モータへの通電方法を、120°通電から180°通電へ切り換えるステップとを備える。
この発明のモータの駆動方法の第9の態様は、その第8の態様であって、三相インバータはこの順に進相する第1相乃至第3相に対応した第1乃至第3レグを備える。第1乃至第3レグのそれぞれは、三相インバータの出力端と、出力端に対して一方側に第1アームを、他方側に第2アームを有する。第1及び第2のアームのそれぞれにスイッチング素子が設けられる。そしてステップ(A)で第1レグの第2アームに設けられたスイッチング素子において短絡故障を検出した場合に、ステップ(B)は、下記ステップ(B1)(B2)を実行する。即ち:(B1)前記第1レグの前記第1アームに位置する前記スイッチング素子(Qu)をオフ状態にするステップ、(B2)前記ステップ(B1)の後に、前記第2レグ及び前記第3レグの、前記第1アームに位置する前記スイッチング素子をパルス幅変調で制御してスイッチングすることにより前記回転子を回転させるステップである。
この発明のモータの駆動方法の第10の態様は、その第8の態様または第9の態様であって、ステップ(B)において、短絡故障によりモータが正常なトルクを出力できない期間は電圧出力を行なわない。
また、この発明のモータ駆動システムは、回転子を有する三相のモータを駆動する三相インバータと、三相インバータに供給する信号を制御する信号制御部とを備える。三相インバータは、この順に進相する第1相乃至第3相に対応した第1乃至第3レグを含み、第1乃至第3レグのそれぞれは、それぞれ三相インバータの出力端と、出力端に対して一方側に第1アームを、他方側に第2アームを有し、第1及び第2のアームのそれぞれにスイッチング素子が設けられる。信号制御部は、第1レグの第2アームに設けられたスイッチング素子において短絡故障が検出された場合に、第1レグの第1アームに位置するスイッチング素子をオフ状態にし、回転子の位置を固定するために、(i)第3レグの第1アームに設けられたスイッチング素子をオン状態にし、第3レグの第2アームに設けられたスイッチング素子をオフ状態にするか、(ii)第2レグの第1アームに設けられたスイッチング素子をオン状態にし、第2レグの第2アームに設けられたスイッチング素子をオフ状態にするか、の少なくとも何れか一方を実行し、回転子の位置を固定後に、第2レグ及び第3レグに設けられたスイッチング素子のスイッチングにより回転子を回転させる。
また、短絡異常を検出した旨を表示する表示部をさらに備えてもよい。
また、短絡故障発生時に、モータの停止又は駆動継続の指示をする指示部をさらに備えてもよい。
また、三相インバータへの入力電流を計測することで短絡故障を検出する短絡故障検出回路をさらに備えてもよい。
この発明のヒートポンプシステムは、三相のモータと、モータを駆動する上記のいずれか1つに記載のモータ駆動システムとを備える。
この発明のファンモータプシステムは、ファンと、ファンを回転させる三相のモータと、モータを駆動する上記のいずれか1つに記載のモータ駆動システムとを備える。
このモータの駆動方法の第1の態様によると、接続スイッチ回路等の新たな構成を設けることなく、インバータのスイッチング素子が短絡故障した場合にモータを安定して駆動することができる。
このモータの駆動方法の第2の態様によると、ゲート信号の位相差についての自由度が大きくなる。
このモータの駆動方法の第3の態様によると、最大で電気角180度分のトルク出力が可能となるため、モータを正常に駆動することができる期間が増加する。
このモータの駆動方法の第4の態様によると、パルス幅変調によって出力電圧を制御し、より精度良くモータの回転速度制御が可能となる。
このモータの駆動方法の第5乃至第7の態様によると、正常ではないトルクを出力することによるブレーキ動作を回避し、モータ1の減速・電流増加・異音を防止する。
特に第6の態様または第7の態様によれば、直流バスへの回生が行われず、短絡故障によるモータのブレーキ動作を抑え、モータの減速を最小限に抑えることができる。
このモータの駆動方法の第8乃至第10の態様によると、180°通電へ切り換えることで、最大で電気角180度分のトルク出力が可能となり、モータを正常に駆動することができる期間が増加する。さらに、このモータの別の駆動方法では、インバータのスイッチング素子が短絡故障した場合でもモータを安定して駆動することができる。
特に第9の態様、第10の態様によれば、それぞれ第4の態様、第5の態様と同様の利点が得られる。
このモータ駆動システムによると、中性点接続スイッチ回路等の新たな構成を設けることなく、インバータのスイッチング素子が短絡故障した場合にモータの運転を継続して行うことができる。
また、表示部により短絡故障をユーザに報知することができ、ユーザに対して短絡故障による欠相異常を有する多相モータに関する注意を喚起し、故障修理の依頼を適切かつ迅速に行うことができる。その結果、モータ駆動を正常状態に早く復帰させることが可能となる。
また、ユーザが指示部を操作することで、主体的にブラシレスDCモータの停止又は駆動継続の制御をすることができる。
また、短絡故障検出回路で入力電流が計測されるので、これに基づいてスイッチング素子の短絡故障の有無を検出することができ、以て上記のモータ駆動システムの構成に資する。
このヒートポンプシステムによると、圧縮機モータやファンモータ、ポンプ用モータ等の駆動に、上記のモータ駆動システムを用いることで、モータを駆動するインバータに短絡故障が生じてもシステム全体としては駆動を継続することが可能になる。
このファンモータシステムによると、上記のモータ駆動システムを用いることで、モータを駆動するインバータに短絡故障が生じてもシステム全体としては駆動を継続することが可能になる。またファンモータは慣性が大きい点で望ましい。
第1の実施の形態.
図1に、本実施の形態に係る三相のブラシレスDCモータ及びモータ駆動システムのブロック図を示す。図1に示す三相のブラシレスDCモータ1はファン5を回転させる。例えば、ファン5は空気調和機やヒートポンプシステムの室外機におけるファンとして採用される。あるいはブラシレスDCモータ1は、圧縮機モータ、ポンプ用モータに採用される。
図1に、本実施の形態に係る三相のブラシレスDCモータ及びモータ駆動システムのブロック図を示す。図1に示す三相のブラシレスDCモータ1はファン5を回転させる。例えば、ファン5は空気調和機やヒートポンプシステムの室外機におけるファンとして採用される。あるいはブラシレスDCモータ1は、圧縮機モータ、ポンプ用モータに採用される。
ブラシレスDCモータ1は、回転子11と固定子12とを備えている。固定子12には、スター結線されたU相,V相及びW相の駆動コイルLu,Lv,Lwを備えている。この駆動コイルLu,Lv,Lwの一方端は、インバータ21の出力端T1,T2,T3にそれぞれ接続され、他方端は全て中性端TNに接続されている。
回転子11は、N極及びS極からなる2極の永久磁石を含む。この回転子11は、固定子12に対して回転する。回転子11の回転に伴い、ファン5が回転する。回転子11の位置は、ブラシレスDCモータ1の近傍に設けたホール素子6が出力する位置信号Hu,Hv,Hwに基づいて算出される。
ブラシレスDCモータ1を駆動するモータ駆動システムは、モータ駆動回路2、電源部3、モータ制御回路4を備えている。このモータ駆動回路2には、インバータ21、ゲートドライブ回路22、短絡故障検出回路23を備えている。
インバータ21は、この順に進相するU相,V相,W相のそれぞれに対応したレグL1,L2,L3を備えている。レグL1,L2,L3はDC母線J1,J2の間で並列に接続されている。
レグL1,L2,L3には、それぞれインバータ21の出力端T1,T2,T3を有している。さらに、レグL1,L2,L3の各々には、出力端T1,T2,T3に対して一方側(図中上側)に上アームを、他方側(図中下側)に下アームを有している。また、レグL1,L2,L3の上アームには、スイッチング素子Qu,Qv,Qwがそれぞれ設けられ、レグL1,L2,L3の下アームには、スイッチング素子Qx,Qy,Qzがそれぞれ設けられている。
スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzは、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタである。さらに、このスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのそれぞれに並列に、かつ電流が流れる方向を反対にしてダイオードDu,Dv,Dw,Dx,Dy,Dzが接続されている。
電源部3は、AC電源31からの出力電圧を、直流電圧に変換してDC母線J1,J2を介してインバータ21に供給している。電流検出回路7は低電位側のDC母線J2上に設けられる。電流検出回路7は、電源部3からインバータ21に入力する電流を計測する。そして、短絡故障検出回路23は、計測した電流が所定値を超える異常電流の場合、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのいずれで短絡故障が生じているかを検出する。
次に、図1に示すモータ制御回路4は、回転速度演算部41、回転速度制御部42、駆動信号作成部43を備えている。回転速度演算部41は、ホール素子6から出力される位置信号Hu,Hv,Hwに基づいて、回転子11の現在の回転速度vmを所定の演算で求める。回転速度制御部42は、回転速度演算部41で求めた回転速度vmと、外部から入力される回転速度指令V*とに基づいて、デューティ指令D*の信号を出力する。駆動信号作成部43は、回転子11の位置信号Hu,Hv,Hw及びデューティ指令D*並びに後述する短絡故障検出回路23からの制御信号に基づいてスイッチング信号Gu’,Gv’、Gw’,Gx’,Gy’,Gz’を生成する。なお、回転子11の位置信号Hu,Hv,Hwは、スイッチング信号Gu’,Gv’、Gw’,Gx’,Gy’,Gz’のタイミングを決定する。スイッチング信号Gu’,Gv’、Gw’,Gx’,Gy’,Gz’は更に、デューティ指令D*に基づいてパルス幅変調される。
ゲートドライブ回路22は、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのそれぞれのゲート端子に接続されている。ゲートドライブ回路22は、スイッチング信号Gu’,Gv’、Gw’,Gx’,Gy’,Gz’(パルス幅変調されたものも含む)に基づき、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzに供給してこれらの動作を制御するゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzを生成する。ゲート信号Gu,Gv、Gwはこの順に進相しつつ二値“H”“L”間を遷移する。ゲート信号Gw,Gx,Gyも同様である。
図1に示す短絡故障検出回路23には、表示部25が接続されている。表示部25は短絡故障検出回路23によって検出された短絡故障の有無、あるいは更に故障箇所を含む情報を表示する。ユーザは表示部25の表示によって故障を了知し、ブラシレスDCモータ1に関する注意が喚起される。これは故障修理の依頼を適切かつ迅速に行うことに資する。結果として故障修理を迅速に行い、正常状態に復帰させることにも繋がる。
また短絡故障検出回路23には、指示部26が接続されている。指示部26は、故障が発生したときに、ブラシレスDCモータ1を駆動させるための動作実行指示を受け付ける。ユーザは、表示部25で短絡故障が発生したこと知った場合に、ブラシレスDCモータ1を停止させるか、以下に説明する短絡故障時のモータの駆動を行うかを指示部26から指示することができる。ブラシレスDCモータ1の騒音、振動が許容できない場合にはブラシレスDCモータ1を停止させることが望ましい。また性能の低下を甘受しながらもブラシレスDCモータ1を回転させるべきであれば下記の方法で駆動すべき旨を指示することが望ましい。
なお、本実施の形態では、短絡故障を検出する方法として、電流検出回路7及び短絡故障検出回路23を利用する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzの短絡故障を検知できるのであれば他の構成を利用しても良い。
つまり、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1では、短絡故障検出回路23が信号制御部として機能して、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzの短絡故障時に、ブラシレスDCモータ1を以下に説明する駆動ができるように駆動信号生成部43からゲートドライブ回路22へ供給されるスイッチング信号Gu’,Gv’、Gw’,Gx’,Gy’,Gz’を制御している。
以下、まずは正常なモータの駆動方法について説明し、次に、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのいずれか1つが短絡故障したときのモータの駆動方法を具体的に説明する。
図2に、回転子11が正方向(CCW:Counter ClockWise)に回転している場合の、駆動コイルLu,Lv,Lwに発生する誘起電圧Vun,Vvn,Vwn及びその他の各信号のタイミングチャートを示す。図2に示すタイミングチャートに記載している他の信号には、回転子11の位置信号Hu,Hv,Hw、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gz、出力端T1(U相),T2(V相),T3(W相)の出力電圧がある。図2に示すタイミングチャートでは、位置信号Hu,Hv,Hwの位相が、誘起電圧Vun,Vvn,Vwnの位相に対して電気角で210度程度進んでいる。これは正方向に回転しているときには、位置信号Hu,Hv,Hwの極性が誘起電圧Vun,Vvn,Vwnと逆極性となることで位相が180度進み、かつ誘起電圧Vun,Vvn,Vwnよりも30度進むからである。なお、位置信号位相はこれに限定されるものではないが、以下のいずれの説明でも、位置信号位相と誘起電圧とが上記の位相差を有する場合を例にとっている。
図2に示すタイミングチャートは、位置信号Hu,Hv,Hwが取り得る値の6パターンに応じて、電気角60度分に対応した区間に区分されている。なお、図2に示すタイミングチャートによるブラシレスDCモータ1の駆動は、120°通電方式(二相通電方式)であり、ゲート信号の誘起電圧に対する位相差φは0度(同相)としている。具体的には誘起電圧Vvnの正のピークの位置に対して、V相のゲート信号Gvの正のピークの中央は同相となっている。当該位相差φの本実施の形態における重要性については後に検討する。
下アーム側のスイッチング素子を制御するゲート信号Gx,Gy,Gzにはパルス幅変調が施されているが、図2の説明ではパルス幅変調を無視して、ゲート信号の“H”/“L”を説明する。
まず、位置信号モード“0”の区間では、位置信号Hu,Hv,Hwのそれぞれが“L”,“H”,“H”となり、回転子11が電気角30度〜90度の位置にある。この区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“H”,“L”,“L”,“L”,“L”,“H”である。なお、V相の出力電圧は、ゲート信号Gv,Gy共に“L”であってスイッチング素子Qv,Qy共にオフしているため、インバータ21の制御のみでは決定されず、ブラシレスDCモータ1の誘起電圧など、インバータ21の外部からの要因で決定されることになる。図2ではこのように、インバータ21の外部からの要因で決定される出力電圧をハッチングにて示している。以降の他の図においても同様である。出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“+M”,“F”,“−M”である。ここで出力電圧についての記号Fは、インバータ21の外部からの要因で決定されることを示す。
位置信号モード“1”の区間では、位置信号Hu,Hv,Hwのそれぞれが“L”,“H”,“L”となり、回転子11は電気角90度〜150度の位置にある。この区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“H”,“L”,“L”,“L”,“H”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“+M”,“−M”,“F”である。
位置信号モード“2”の区間では、位置信号Hu,Hv,Hwのそれぞれが“H”,“H”,“L”となり、回転子11が電気角150度〜210度の位置にある。この区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“L”,“H”,“L”,“H”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“F”,“−M”,“+M”である。
位置信号モード“3”の区間では、位置信号Hu,Hv,Hwのそれぞれが“H”,“L”,“L”となり、回転子11が電気角210度〜270度の位置にある。この区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“L”,“H”,“H”,“L”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−M”,“F”,“+M”である。
位置信号モード“4”の区間では、位置信号Hu,Hv,Hwのそれぞれが“H”,“L”,“H”となり、回転子11が電気角270度〜330度の位置にある。この区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“H”,“L”,“H”,“L”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−M”,“+M”,“F0”である。
位置信号モード“5”の区間では、位置信号Hu,Hv,Hwのそれぞれが“L”,“L”,“H”となり、回転子11が電気角330度〜30度の位置にある。この区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“H”,“L”,“L”,“L”,“H”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“F”,“+M”,“−M”である。
次に、本実施の形態に係るインバータ21において、U相の下アームに位置するスイッチング素子Qxが短絡故障した場合の駆動について説明する。
まず、図3に、U相の下アームに位置するスイッチング素子Qxが短絡故障した場合のタイミングチャートを示す。スイッチング素子Qxが短絡故障しているので常時オンとなるので、図3ではゲート信号Gxとして実際の波形と共に、仮想的に常時“H”となる波形も破線で併記している。これはつまり、スイッチング素子Qxが短絡故障を、ゲート信号Gxの故障に読み替えて図示していることになる。
このようにスイッチング素子Qxが短絡故障している状態では、スイッチング素子QuをオンするとDC母線J1、J2間が短絡するので、スイッチング素子Quをオン状態にすることはできない。そのため、ゲート信号Guは、図3のタイミングチャートに示すように、常時“L”に設定され、スイッチング素子Quは常時オフ状態となる。このように、正常動作であればゲート信号Guが“H”となるべきであるのに(この場合のゲート信号Guを破線で併記した)、上記のDC母線J1,J2間の短絡を回避するためにゲート信号Guが“L”となっている期間を「DC短絡回避期間」と仮称する。図3では当該期間に「DC短絡回避」と表示した。本実施の形態ではDC短絡回避期間はゲート信号Guが“H”となる期間に対応して電気角120度分の長さとなる。
このようにスイッチング素子Qxが短絡故障し、且つスイッチング素子Quが常時オフ状態でインバータ21が駆動されると、図3に示す出力電圧(U相,V相,W相)は、図2に示す正常な出力電圧(U相,V相,W相)と異なることになる。
具体的に、DC短絡回避期間となる位置信号モード“0”及び“1”の区間では、ゲート信号Gu,Gv,Gwが全て“L”となり、上アーム側のスイッチング素子Qu,Qv,Qwは全てオフとなる。
位置信号モード“0”の区間において“H”となるのはゲート信号Gzのみであり、短絡故障しているスイッチング素子Qxの他に導通しているのは、スイッチング素子Qzのみとなる。よって位置信号モード“0”の区間においてU相及びW相の出力電圧は“−M”となる。この区間においては、上アームが全てオフしているため、電源部からモータへの電力供給はなされない。
同様にして、位置信号モード“1”の区間において“H”となるのはゲート信号Gyのみであり、W相の出力電圧はインバータ21の外部からの要因で決定されることになる。従って、DC短絡回避期間、ここでは位置信号モード“0”及び“1”の区間においては、ブラシレスDCモータ1はトルク出力ができない。
位置信号モード“2”の区間では、スイッチング素子Qxが正常時にはオフしているべきであるのにオンしている期間であるので、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれが“−M”,“−M”,“+M”となり正常な時の出力(“F”,“−M”,“+M”)と異なる。そのため、位置信号モード“2”の区間において、ブラシレスDCモータ1は、正常なトルク出力とは異なるトルク出力をする。
位置信号モード“3”の区間では、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzが正常時と同じスイッチング状態となるので出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれが“−M”,“0”,“+M”となり、正常な時の出力と同じである。そのため、位置信号モード“3”の区間において、ブラシレスDCモータ1は、正常なトルク出力が可能である。但し下アームのスイッチング素子Qx,Qy,Qzに入力するゲート信号Gx,Gy,Gzをパルス幅変調している場合、スイッチング素子Qxはチョッピング動作しない。よって厳密には、位置信号モード“3”の区間であっても、正常動作時と全く同じトルク出力が行われるわけではない。このように、パルス幅変調を無視すれば正常動作時と同じスイッチングを行うものの、パルス幅変調が奏功しない状況でのトルク出力を、「準正常なトルク出力」と仮称する。
位置信号モード“4”の区間では、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzが正常時と同じスイッチング状態となるので出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれが“−M”,“+M”,“F”となり、正常な時の出力と同じである。そのため、位置信号モード“4”の区間において、ブラシレスDCモータ1は、正常なトルク出力が可能である。但し、位置信号モード“3”の区間と同様に、このトルク出力は準正常なトルク出力である。
位置信号モード“5”の区間では、スイッチング素子Qxが正常時と異なるスイッチング状態となるので出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれが“−M”,“+M”,“−M”となり正常な時の出力(“F”,“+M”,“−M”)と異なる。そのため、位置信号モード“5” の区間において、ブラシレスDCモータ1は、正常なトルク出力とは異なるトルク出力をする。
以上のことから、スイッチング素子Qxが短絡故障した場合には、トルク出力できない期間や正常なトルクを出力できない期間が存在する。よってブラシレスDCモータ1を起動しなおす場合には、準正常なトルク出力が得られる位置で回転子11を一旦固定し、その後、図3に示されたタイミングチャートでブラシレスDCモータ1を駆動することが望ましい。以下、このような手順を具体的に説明する。
本実施の形態に係るモータの駆動方法のフローチャートを図4に示す。まず、図4に示すステップS1では、短絡故障しているスイッチング素子の相及びアームの位置を検出する。短絡故障しているスイッチング素子の特定は、短絡故障検出回路23によって行われる。具体的な特定方法は、各スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzの導通パターンと、当該導通パターンが採用されたときに流れる電流を電流検出回路7で計測する。これにより各相及び各アームのスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzの正常・異常を判定し、短絡しているスイッチング素子の相及びアームを特定する。当該特定方法は、特許文献1等で用いられている既存の方法であるため、更なる詳細な説明は省略する。
次に、ステップS2では、短絡故障したスイッチング素子と同じ相で、逆側アームに位置するスイッチング素子をオフ状態にする。これにより、同一のレグにおいて上アームと下アームを介してDC母線J1、J2が短絡することを避け、インバータ21や電源部3にダメージを与えるのを防ぐためである。
以下、本実施の形態の説明ではステップS1においてU相に対応するレグL1の下アームスイッチング素子Qxの短絡故障が検出された場合を例に採って説明する。もちろん、他のスイッチング素子の短絡故障が検出された場合についても、本実施の形態は同様にして機能する。上記の例に則っていえば、ステップS2ではレグL1の上アームに位置するスイッチング素子Quをオフ状態にする。具体的にはゲート信号Guを“L”にする。
次に、ステップS3では、モータを起動する際に、回転子11を所定の位置に固定する。上記の例に則っていえば、V相に対応するレグL2の上アームに設けられたスイッチング素子Qvをオフ状態にし、レグL2の下アームに設けられたスイッチング素子Qyをオン状態にし、W相に対応するレグL3の上アームに設けられたスイッチング素子Qwをオン状態にし、レグL3の下アームに設けられたスイッチング素子Qzをオフ状態にして回転子11の位置を固定する。
回転子11を固定する位置についてさらに詳しく説明する。図5に、回転子11が正方向に回転している場合の誘起電圧Vun,Vvn,Vwn、位置信号Hu,Hv,Hw、回転子11の位置、及び直流励磁相のタイミングチャートを示す。誘起電圧Vun,Vvn,Vwnは、それぞれU相の駆動コイルLu、V相の駆動コイルLv、W相の駆動コイルLwで誘起される。
直流励磁相は、短絡故障が生じていない正常な場合に、各回転子位置に固定するために駆動コイルに流される励磁電流の相を示している。例えば、直流励磁相“U−”の記載は、U相の駆動コイルLuに負の励磁電流が流れることを示し、直流励磁相“V+”の記載は、V相の駆動コイルLuに正の励磁電流が流れることを示し、直流励磁相“W+”の記載は、W相の駆動コイルLwに正の励磁電流が流れることを示し、直流励磁相“W0”の記載は、W相の駆動コイルLwに励磁電流が流れないことを示している。但し電流が中性端TNに流れ込む方向を正方向として採用する。
インバータ21及びブラシレスDCモータ1に故障が生じていなければ、各直流励磁相はインバータ21の各スイッチング素子のスイッチングパターンによって以下のように実現される。直流励磁相“U+”の状態はスイッチング素子Qu,Qxがそれぞれオン、オフすることで実現される。直流励磁相“U−”の状態はスイッチング素子Qu,Qxがそれぞれオフ、オンすることで実現される。直流励磁相“U0”の状態はスイッチング素子Qu,Qxがいずれもオフすることで実現される。直流励磁相“V+”の状態はスイッチング素子Qv,Qyがそれぞれオン、オフすることで実現される。直流励磁相“V−”の状態はスイッチング素子Qv,Qyがそれぞれオフ、オンすることで実現される。直流励磁相“V0”の状態はスイッチング素子Qv,Qyがいずれもオフすることで実現される。直流励磁相“W+”の状態はスイッチング素子Qw,Qzがそれぞれオン、オフすることで実現される。直流励磁相“W−”の状態はスイッチング素子Qw,Qzがそれぞれオフ、オンすることで実現される。直流励磁相“W0”の状態はスイッチング素子Qw,Qzがいずれもオフすることで実現される。
直流励磁相は、誘起電圧に対して電気角90度遅れている。具体的に、図5では、回転子11の位置が270度において、誘起電圧Vunの負のピークが位置し、誘起電圧Vvn,Vwnはいずれも正となる。他方、これに対応して直流励磁相が“U−,V+,W+”となるのは、回転子11の位置が(270+90=)360度(図5では0°として示されている)である。
まず、スイッチング素子Qxの短絡故障で、スイッチング素子Quを常時オフ状態とするため、U相の駆動コイルLuに正の電流は流れることがない。更に、短絡故障によりスイッチング素子Qxは常時オン状態に相当する。よって直流励磁相が“U+”あるいは“U0”となる区間で回転子11を固定することはできない。図5に示すタイミングチャートでは、回転子11が固定できない区間に記号「×」を重ね書きして示している。
この観点からは、ゲート信号Guを“L”にしてスイッチング素子Quをオフにし、スイッチング素子Qv、Qwの少なくともいずれか一方をオンにすればよい。例えばスイッチング素子Qvをオンにする場合には、DC母線J1,J2間の短絡を回避すべくスイッチング素子Qyをオフにし、スイッチング素子Qw,Qzの両方をオフ、もしくはそのいずれか一方のみをオンにすればよい。あるいはスイッチング素子Qwをオンにする場合には、DC母線J1,J2間の短絡を回避すべくスイッチング素子Qzをオフにし、スイッチング素子Qv,Qyの両方をオフ、もしくはそのいずれか一方のみをオンにすればよい。但し、スイッチング素子Qxは短絡故障しているので、ゲート信号Gxは“H”,“L”のいずれでもよい。
但し、回転子11の理想的な固定位置は相互に30度で離散的に存在する。よってここでは各固定位置について、理想的な固定位置に対して進相側、遅相側のいずれにも15度の余裕を考慮した30度の幅を持たせて示している。
さて、回転子11を固定した後に起動するためには、ブラシレスDCモータ1から正常トルク出力が得られる区間、あるいは準正常なトルク出力が得られる区間に固定しなければならない。さもないと回転子11を固定後にブラシレスDCモータ1がトルクを出力できず、駆動が継続できない。
そこで、回転子11を固定する位置は、ブラシレスDCモータ1が正常トルク出力、あるいは準正常なトルク出力が得られる区間内へと、更に限定される。図5に示すタイミングチャートにおいて、ブラシレスDCモータ1がトルク出力可能な区間は、図3のタイミングチャートで説明したように、位置信号モード“3”及び“4”の区間のみである。
以上のことから、ステップS3(図4参照)において回転子11を固定すべき区間は、図5において記号「×」が重ね書きされず、かつ図3を参照して位置信号モード“3”または“4”の区間である。よって起動時に与える準正常なトルク出力は位置信号モード“4”の区間に対応する。更に、“U−,V0,W+”の区間(理想的な固定位置が330度)は位置信号モード4,5にまたがっているため、換言すれば固定位置が遅相側(回転子位置の角度が増大する側)にわずかでもずれれば、固定後の起動時に正常もしくは準正常なトルクを出力できない恐れがある。よって回転子を固定すべき区間は“U−,V−,W+”(理想的な固定位置が300度)の区間に限定される。
また、回転子11を固定すると誘起電圧は発生しないので、直流励磁相は誘起電圧ではなくインバータ21から供給される電流で決定すべきである。この観点からも、インバータ21から電流を流し、直流励磁相“U−,V−,W+”を実現して回転子位置を300度近傍に固定することが望ましい。
なお、直流励磁の際には、電流増加を抑え、かつモータ及び負荷の慣性による回転子位置のハンチングを抑えるため、パルス状のPWM波形を印加することが更に望ましい。その際には、“U−”は短絡相でありチョッピングを行なうことはできないため、短絡相と逆アーム側の通電相である“V+”相、“W+”相をチョッピングする。
次に、図4のステップS4では、ステップS3の後に、短絡故障を考慮して、V相に対応するレグL2及びW相に対応するレグL3に設けられたスイッチング素子Qv,Qy,Qw,Qzをスイッチングすることで回転子11を回転させて、ブラシレスDCモータ1を駆動する。つまり、スイッチング素子Qxの短絡故障で、スイッチング素子Quを常時オフ状態とするため、回転子11をステップS2で固定子した後の駆動は、残りのスイッチング素子Qv,Qy,Qw,Qzをスイッチングすることで行う。
正方向に回転するために、回転子11を固定する位置は上述の区間に限定されるものの、回転が一旦開始すると、位置信号モード“3”,“4”の区間で準正常なトルク出力が得られる(図5においてφ=0°と付記して示された範囲)。
以上のように、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の駆動方法は、ステップS1〜ステップS4を備えるので、接続スイッチ回路等の新たな構成を設けることなく、インバータ21のスイッチング素子が短絡故障した場合にモータを安定して駆動することができる。
図3に示すタイミングチャートでは、ゲート信号Gx,Gy,Gzをパルス幅変調させて波形をチョッピングしている。つまり、短絡故障している側のアーム(下アーム)に設けられたスイッチング素子Qx,Qy,Qzに供給されるゲート信号Gx,Gy,Gzをパルス幅変調している。なお、スイッチング素子Qxが短絡故障しているために、スイッチング素子Qxが常にオン状態になる。従って、図3に示す位置信号モード“3”及び“4”の区間では、パルス幅変調させたゲート信号でスイッチング素子を駆動できず、厳密には正常なトルク出力を得ることができなかった。
そこで、本実施の形態の変形として、ゲート信号Gu,Gv,Gwをパルス幅変調させて波形をチョッピングする態様を説明する。図6に示すタイミングチャートは、ゲート信号Gy,Gzをパルス幅変調させることに代えて、ゲート信号Gv,Gwをパルス幅変調させる点以外は、図3に示すタイミングチャートと同じである。また、本変形例に係るモータ駆動システムの構成も、図1に記載のモータ駆動システムと同じであるため、詳細な説明は省略する。つまり、短絡故障している側の反対側のアーム(ここでは上アーム)に設けられたスイッチング素子Qv,Qwに供給されるゲート信号Gv,Gwをパルス幅変調している。なお、この場合スイッチング素子Qxが短絡故障しているために、スイッチング素子Quは常にオンできず、スイッチング素子Quには、チョッピングした波形ではなく一定値(“L”レベル)のゲート信号Guが入力される。
従って、図6に示す位置信号モード“3”及び“4”の区間では、パルス幅変調させたゲート信号Gv,Gwをスイッチング素子Qv,Qwに供給する駆動を行うことができる。そのため、本変形例に係るモータの駆動方法では、出力電圧の制御ができ、より精度良くモータの回転速度制御が可能となる。
以上の例では、ゲート信号と誘起電圧との位相差φを0度(同相)とする場合に関して説明を行なったが、位相差に依存して回転子位置に対する出力電圧相が変わるため、モータを起動できる位相差φは適切に設定されることが望まれる。
ブラシレスDCモータ1の各相コイルに対する回転子位置の基準位置(例えば0度)を一つに設定すれば、当該回転子位置に対する直流励磁相の位相差は唯一に決定され、従って誘起電圧に対する回転子位置も唯一に決定される。誘起電圧と直流励磁相との位相関係は回転子位置の基準位置に依存せずに唯一に決定されるからである。具体的には図2、図3、図5,図6の例で言えば、回転子位置の基準位置たる0度としては、誘起電圧Vunが負から正へと遷移する位置が採用されている。そして上述のように回転子固定位置は、短絡相及び短絡アームに基づいて直流励磁相から決定され、図5では幅30度の領域として複数が示されている。よって誘起電圧に対する回転子位置が一つ決まれば、短絡相及び短絡アームに基づいて回転子固定位置は一意に決定される。
さて、図3から判るように、準正常トルク出力が得られる角度はゲート信号に依存しており、回転子位置には依存しない。従ってゲート信号の回転子位置に対する位相差が差分Δで異なれば、準正常なトルク出力が得られる区間の回転子位置に対する位相差も差分Δ異なることになる。上述の通り、誘起電圧に対する回転子位置は唯一に決定されるので、ゲート信号の回転子位置に対する位相差が差分Δで動けば、誘起電圧に対するゲート信号の位相差も差分Δで動くことになる。以上のことから、ゲート信号の誘起電圧に対する位相差φが差分Δで大きくなれば、準正常なトルク出力が可能な範囲は差分Δで位相が進む。
図5にはトルク出力可能期間として、位相差φ=0°の場合の他、φ=−15°(進相)の場合及びφ=+195°(遅相)の場合に準正常なトルク出力が可能な範囲も併記した。位相差φ=−15°の場合に準正常なトルク出力が可能な範囲は、位相差φが0度の場合に準正常なトルク出力が可能な範囲よりも15度進相側にずれている。また位相差φが+195度の場合に準正常なトルク出力が可能な範囲は、位相差φが0度の場合に準正常なトルク出力が可能な範囲よりも195度遅相側にずれている。
位相差φが−15度を越えて減少する(ゲート信号が誘起電圧に対して15度を越えて進相となる)と、準正常なトルク出力が可能な範囲は、30度の幅を有する回転子固定位置の区間を完全に覆うことはできない。具体的には回転子固定位置の内で最も進相側にある直流励磁相“U−,V−,W+”の区間すら、準正常なトルク出力が可能な範囲から遅相側にはみ出すことになる。回転子固定位置は理想的な位置を中心として進相/遅相それぞれ15°程度の余裕を見るべきであるので、位相差φが−15度を越えて減少することは望ましくない。
同様にして、位相差φが+195度を越えて増大する(ゲート信号が誘起電圧に対して195度を越えて遅相となる)と、準正常なトルク出力が可能な範囲は、30度の幅を有する回転子固定位置の区間を完全に覆うことはできない。具体的には回転子固定位置の内で最も遅相側にある直流励磁相“U−,V+,W−”の区間すら、準正常なトルク出力が可能な範囲から進相側にはみ出すことになる。よって位相差φが+195°を越えて増大することは望ましくない。
以上の観点からは通電区間の誘起電圧に対する位相差φは−15度以上+195度以下であることが望ましい。但し、実際上、出力されるトルクが逆方向に回転することを避けるべく、位相差φは90度以下となる必要がある。よって実際上、位相差φについて望ましい範囲は進相側で15度以下、遅相側で90度以下、となる。図5には位相差φが+90度(90度の遅相)の場合についても準正常なトルク出力が可能な範囲を併記した。
上述の位相差φに依存して回転子固定位置を設定することが望ましい。例えば位相差φが−15度の場合には、回転子固定位置は直流励磁相“U−,V−,W+”の区間に設定されるべきである。そしてこれよりも位相差φが遅相側に動くと、回転子固定位置として望ましい位置は遅相側(回転子位置が増大する側)に拡がって行く。しかし上述のように位相差φについて望ましい範囲は遅相側で90度以下であり、当該範囲は直流励磁相“U−,V+,W−”の区間を完全に覆うことはないので、直流励磁相“U−,V+,W−”の区間は回転子固定位置としては望ましくない。
上述の位相差φに依存して回転子固定位置を設定することが望ましい。例えば位相差φが−15度の場合には、回転子固定位置は直流励磁相“U−,V−,W+”の区間に設定されるべきである。そしてこれよりも位相差φが遅相側に動くと、回転子固定位置として望ましい位置は遅相側(回転子位置が増大する側)に拡がって行く。しかし上述のように位相差φについて望ましい範囲は遅相側で90度以下であり、当該範囲は直流励磁相“U−,V+,W−”の区間を完全に覆うことはないので、直流励磁相“U−,V+,W−”の区間は回転子固定位置としては望ましくない。
他方、位相差φが+90度となるまでゲート信号を遅相することは稀であり、実際に実現される位相差のいずれに対しても直流励磁相“U−、V−、W+”の区間は回転子固定位置として適切であるといえる。更に具体的には、位相差φは遅相側にはせいぜい45度までしか遅相しないので、本実施の形態でより好適な回転子固定位置は直流励磁相“U−、V−、W+”(理想的な固定位置が300度)、“U−,V0,W+”(理想的な固定位置が330度)、“U−,V+、W+”(理想的な固定位置が0度)の三箇所である。
以上のこと、及びU相下アームで短絡故障が生じて直流励磁相“U−”は実現されていることから、本実施の形態でより好適な回転子固定位置を設定するためには直流励磁相“W+”を実現すれば足りると言える。
更に、実際に取り得る位相差φがいずれであっても準正常なトルク出力が可能な範囲によってカバーされるので、本実施の形態で最も好適な回転子固定位置は直流励磁相“U−,V−,W+”の区間であると言える。
以上の結果を直流励磁相とインバータ21のスイッチング素子との関連で把握すると、以下のようにいうことができる。インバータ21のU相のレグL1の下アームにあるスイッチング素子Qxが短絡故障した場合、当該相に相当する駆動コイルLuは低電位側のDC母線J2に短絡する。この場合、回転子11を望ましい固定位置に固定するためには、駆動コイルLwに正の電流を流し、直流励磁相“W+”を実現することが望ましい。よってW相に対応してインバータ21に設けられたレグL3の上アームに位置するスイッチング素子Qwをオン状態に、レグL3の下アームにあるスイッチング素子Qzをオフ状態にする。これにより好適な回転子固定位置として直流励磁相“U−、V−、W+”、“U−,V0,W+”、“U−,V+、W+”に相当する位置のいずれかを採用することができる。
あるいはレグL2の上アームにあるスイッチング素子Qvをオン状態にし、レグL2の下アーム側にあるスイッチング素子Qyをオフ状態にしてもよい。これにより好適な回転子固定位置として直流励磁相“U−、V+、W+”、“U−,V+,W0”、“U−,V+、W−”に相当する位置のいずれかを採用することができる。
即ち、短絡相に相当するレグL1とは異なるレグL2,L3のいずれかで、短絡アームとは反対側の上アームに位置する二つのスイッチング素子の少なくとも何れか一つをオンする。そしてオンされたスイッチング素子と同じレグに属し、短絡アームと同じ側に位置するスイッチング素子をオフにする。
短絡相たるU相に対して120度遅相する(240度進相する)W相に対応するレグL3においてスイッチング素子Qw,Qzをそれぞれオン,オフしつつも、更に、短絡相たるU相に対して120度進相する(240度遅相する)V相に対応するレグL2においてスイッチング素子Qv,Qyをそれぞれオフ、オンする事が望ましい。これにより位相差φの選定について自由度が大きな回転子固定位置として直流励磁相“U−、V−、W+”に相当する位置を採用することができる。
上記説明から明らかなように、回転子位置及び誘起電圧を介在して説明してきたものの、結局は回転子位置及び誘起電圧というブラシレスDCモータ1側の変数に依存せず、インバータ21における短絡故障に対して、インバータ21のスイッチングの望ましい態様が設定される。
例えば最も望ましい回転子固定位置は図5に即して言えば回転子位置300度の位置にあると説明された。しかし既述の通り、回転子位置の角度は位置信号や誘起電圧に対して一つに決定できるものの、ブラシレスDCモータ1が異なれば、回転子位置の基準は異なりうる。しかし本実施の形態では、どの位置に回転子11を固定するかはインバータ21においてどのスイッチング素子が短絡故障したかによって決定され、回転子位置の基準が誘起電圧に対してどの位置にあるかには依存しない。
そして図3に示されるように準正常なトルク出力が可能な範囲は二つのスイッチングパターンしかない。具体的には、スイッチング素子Qxが短絡故障しているためにゲート信号Gxの“L”/“H”は不問としてゲート信号Gu,Gv,Gw,Gy,Gzがそれぞれ、(i) “L”、“L”、“H”、“L”、“L”、あるいは(ii)“L”、“H”、“L”、“L”、“L”の2パターンである。よって回転子固定位置がいずれであっても、準正常なトルク出力を得るためには、レグL1の第1アーム(短絡箇所と同相で逆アーム)にあるスイッチング素子Quと、レグL2,L3の両方の第2アーム(短絡箇所と異なる相で同側アーム)にあるスイッチング素子Qy,Qzの3つがオフであり、レグL2,L3の両方の第1アーム(短絡箇所と異なる相で逆アーム)にあるスイッチング素子Gv,Gwのいずれか一方のみがオンする状態で始まる位相でゲート信号を順次遷移させることになる。
第2の実施の形態.
第1の実施の形態では、120°通電方式(二相通電方式)によるブラシレスDCモータ1の駆動方法について説明した。本実施の形態では、180°通電方式(三相通電方式)によるブラシレスDCモータ1の駆動方法について説明する。本実施の形態に係る三相のブラシレスDCモータ及びモータ駆動システムの構成は、第1の実施の形態で説明した図1のブロック図の構成と同じである。そのため、以降の説明では、本実施の形態に係る三相のブラシレスDCモータ及びモータ駆動システムの構成についての詳細な説明は省略し、駆動方法についてのみ説明する。
第1の実施の形態では、120°通電方式(二相通電方式)によるブラシレスDCモータ1の駆動方法について説明した。本実施の形態では、180°通電方式(三相通電方式)によるブラシレスDCモータ1の駆動方法について説明する。本実施の形態に係る三相のブラシレスDCモータ及びモータ駆動システムの構成は、第1の実施の形態で説明した図1のブロック図の構成と同じである。そのため、以降の説明では、本実施の形態に係る三相のブラシレスDCモータ及びモータ駆動システムの構成についての詳細な説明は省略し、駆動方法についてのみ説明する。
まず、180°通電方式(三相通電方式)でブラシレスDCモータ1を正常に駆動する場合の駆動方法について説明する。図7に、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の回転子11が正方向(CCW)に回転している場合の、駆動コイルLu,Lv,Lwに発生する誘起電圧Vun,Vvn,Vwn及びその他の各信号のタイミングチャートを示す。なお、ここではゲート信号の誘起電圧に対する位相差φを−30度(30度進相)としている。具体的には誘起電圧Vvnの正のピークの位置に対して、V相のゲート信号Gvのピークの中央は30度進相となっている。
図7に示すタイミングチャートに記載している他の信号には、回転子11の位置信号Hu,Hv,Hw、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gz、出力端T1(U相),T2(V相),T3(W相)の出力電圧がある。図7に示すタイミングチャートでも、第1の実施の形態と同様に、位置信号Hu,Hv,Hwの位相は、誘起電圧Vun,Vvn,Vwnの位相に対して電気角で210度進んでいる。
まず、位置信号モード“0”の区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“H”,“L”,“L”,“L”,“H”,“H”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“+M”,“−1/2M”,“−1/2M”である。
位置信号モード“1”の区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“H”,“L”,“H”,“L”,“H”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“+1/2M”,“−M”,“+1/2M”である。
位置信号モード“2”の区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“L”,“H”,“H”,“H”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−1/2M”,“−1/2M”,“+M”である。
位置信号モード“3”の区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“H”,“H”,“H”,“L”,“L”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−M”,“+1/2M”,“+1/2M”である。
位置信号モード“4”の区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“L”,“H”,“L”,“H”,“L”,“H”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−1/2M”,“+M”,“−1/2M”である。
位置信号モード“5”の区間では、ゲート信号Gu,Gv、Gw,Gx,Gy,Gzのそれぞれのレベルが“H”,“H”,“L”,“L”,“L”,“H”であり、出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“+1/2M”,“+1/2M”,“−M”である。
次に、本実施の形態に係るインバータ21において、U相の下アームに位置するスイッチング素子Qxが短絡故障した場合の駆動について説明する。
まず、図8に、U相の下アームに位置するスイッチング素子Qxが短絡故障した場合のタイミングチャートを示す。図3と同様に図8においても、スイッチング素子Qxが短絡故障していることを、ゲート信号Gxが仮想的に常時“H”となる波形を破線で、実際の波形とともに併記している。
第1の実施の形態と同様に、短絡故障がなければゲート信号Guは“H”を採るはずのDC短絡回避期間が設けられる。但し第1の実施の形態とは異なり、三相通電方式を採用するので、DC短絡回避期間は電気角の半周期(180度)に及ぶ。第1の実施の形態と同様に、短絡故障がなければゲート信号Guがとる波形(“H”の部分)を破線で併記した。
このように、スイッチング素子Qxが短絡故障して常時オン状態となり、これに対応してスイッチング素子Quが常時オフ状態である場合、インバータ21が駆動されると、図8に示す出力電圧(U相,V相,W相)は、図7に示す正常な出力電圧(U相,V相,W相)と異なることになる。
以下、パルス幅変調によるチョッピングは第1の実施の形態の変形と同様に、短絡故障している側の反対側のアーム(ここでは上アーム)に設けられたスイッチング素子Qv,Qwに供給されるゲート信号Gv,Gwをパルス幅変調する場合について説明する。但し、短絡故障している側のアーム(ここでは下アーム)に設けられたスイッチング素子Qy,Qzに供給されるゲート信号Gy,Gzをパルス幅変調する場合に三相通電方式を適用することも可能である。短絡故障しているアームと同じ側のアーム(ここでは下アーム)をチョッピングする場合に準正常なトルク出力となるのは二相通電方式の場合と同様であるが、短絡相ではない通電相の通電パターンによって1相のみチョッピングされる場合(ここではレグ2,3をそれぞれチョッピングする位置信号モード“2”,“4”に相当)があり、通電相全てがチョッピングされない場合とも異なるトルクが出力されるところは、二相通電とは異なる。
DC短絡回避期間は、具体的には、位置信号モード“5”,“0”及び“1”の区間に相当する。位置信号モード“5”の区間ではスイッチング素子の導通パターンは実質的には位置信号モード“4”の区間でのスイッチング素子の導通パターンと同一になる。よって出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−1/2M”,“+M”,“−1/2M”である。
位置信号モード“0”の区間ではスイッチング素子の導通パターンは、実質的にはゼロベクトルの一の態様に対応する。即ち上アーム側のスイッチング素子Qu,Qv,Qwが全てオフし、下アーム側のスイッチング素子Qx,Qy,Qzが全てオンする。よって出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“0”,“0”,“0”である。
位置信号モード“1”の区間ではスイッチング素子の導通パターンは実質的には位置信号モード“2”の区間でのスイッチング素子の導通パターンと同一になる。よって出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれは“−1/2M”,“−1/2M”,“+M”である。
このように、三相通電方式を採用する場合、トルク出力ができない期間は位置信号モード“0”の区間のみであり、位置信号モード“5”,“1”の区間においては異なるトルク出力が得られることになる(図中記号“A”を付記した)。また二相通電方式を採用した場合とは異なり、出力電圧がインバータ21の外部からの要因で決定される区間はない。
位置信号モード“2”,“3”及び“4”の区間では、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzが正常時と同じスイッチング状態となるので出力電圧(U相,V相,W相)のそれぞれが正常な時の出力電圧と同じである。そのため、位置信号モード“2”,“3”及び“4”の区間において、ブラシレスDCモータ1は正常なトルク出力ができる。
本実施の形態では、三相通電方式においてスイッチング素子Qxが短絡故障した場合に、ブラシレスDCモータ1を、以下に説明する方法により駆動させる。
本実施の形態に係るモータの駆動方法のフローチャートも図4と同じである。ステップS1で短絡故障しているスイッチング素子の相及びアームの位置を検出し、ステップS2で一つのスイッチング素子をオフにする。ステップS2でオフされるスイッチング素子は、ステップS1で短絡故障したと特定されたスイッチング素子と同じレグに属し、かつアームの位置が逆のものである。以下、ステップS1において、U相に対応するレグL1の下アームのスイッチング素子Qxが短絡故障したことが検出された場合を例にとって説明する。この場合、第1の実施の形態と同様に、スイッチング素子Quをオフ状態にする。
次に、ステップS3で、モータを起動する際に、回転子11を所定の位置に固定する。上記の例に則っていえば、V相に対応するレグL2の上アームに設けられたスイッチング素子Qvをオフ状態にし、レグL2の下アームに設けられたスイッチング素子Qyをオン状態にし、W相に対応するレグL3の上アームに設けられたスイッチング素子Qwをオン状態にし、レグL3の下アームに設けられたスイッチング素子Qzをオフ状態にして回転子11の位置を固定する。
回転子11を固定する位置についてさらに詳しく説明する。図9に、回転子11が正方向に回転している場合の誘起電圧Vun,Vvn,Vwn、位置信号Hu,Hv,Hw、回転子11の位置、及び直流励磁相のタイミングチャートを示す。
図9に示すタイミングチャートにおいて、ブラシレスDCモータ1がトルク出力可能な期間は、図8のタイミングチャートで説明したように、位置信号モード“2”,“3”及び“4”の区間のみである。
第1実施の形態で説明したように直流励磁相を“U+”とする区間、あるいは“U0”とする区間に回転子11を固定することはできない。図9に示すタイミングチャートでも図5と同様に、回転子11を固定できない区間に記号「×」を重ね書きして示している。
第1の実施の形態と同様に、この観点からは、ゲート信号Guを“L”にしてスイッチング素子Quをオフにし、スイッチング素子Qv、Qwの少なくともいずれか一方をオンにすればよい。
但し、回転子11を固定した後に起動するためには、ブラシレスDCモータ1を正常トルク出力が得られる区間に固定しなければならない。よって、起動時に回転子11を固定する位置は、図5において記号「×」が重ね書きされず、かつ位置信号モード“2”、“3”または“4”の区間であり、結局は、第1の実施の形態と同じ区間で回転子11を固定することになる。
次に、図4のステップS4で、第1の実施の形態と同様にしてスイッチング素子Qv,Qy,Qw,Qzをスイッチングし、ブラシレスDCモータ1を駆動する。但し、図9に示すタイミングチャートからも分かるように、180°通電方式(三相通電方式)の駆動による短絡故障時のトルク出力可能な期間は、120°通電方式(二相通電方式)の駆動による短絡故障時のトルク出力可能な期間より長くなる。
以上のように、本実施の形態に係る180°通電方式(三相通電方式)によるブラシレスDCモータ1の駆動方法でも、ステップS1〜ステップS4を備えるので、接続スイッチ回路等の新たな構成を設けることなく、インバータ21のスイッチング素子が短絡故障した場合にモータを安定して駆動することができる。また、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の駆動方法は、120°通電方式(二相通電方式)よりも正常に駆動できる期間が長いので、短絡故障による駆動損失をより抑えることができる。
従って少なくとも一部の期間は三相通電を行うことが望ましく、より望ましくは二相通電を実行することなく、三相通電を連続して行うことが望ましい。
第1の実施の形態と同様に、ゲート信号の誘起電圧に対する位相差に依存して、好適な回転子位置が異なる。図9にはトルク出力可能期間として、位相差φ=30°の場合の他、φ=+45°(進相)の場合及びφ=−225°(遅相)の場合に正常なトルク出力が可能な範囲も併記した。位相差φ=+45°の場合に正常なトルク出力が可能な範囲は、位相差φが30度の場合に正常なトルク出力が可能な範囲よりも15度進相側にずれている。また位相差φが−225度の場合に正常なトルク出力が可能な範囲は、位相差φが30度の場合に正常なトルク出力が可能な範囲よりも255度遅相側にずれている。
位相差φが45度を越えて増大する(ゲート信号が誘起電圧に対して45度を越えて進相となる)と、回転子固定位置の内で最も進相側にある直流励磁相“U−,V−,W+”の区間すら、正常なトルク出力が可能な範囲から遅相側にはみ出す。位相差φが−225度を越えて減少する(ゲート信号が誘起電圧に対して225度を越えて遅相となる)と、回転子固定位置の内で最も遅相側にある直流励磁相“U−,V+,W−”の区間すら、正常なトルク出力が可能な範囲から進相側にはみ出すことになる。
以上の観点からは通電区間の誘起電圧に対する位相差φは−225度以上45度以下であることが望ましい。但し、実際上、出力されるトルクが逆方向に回転することを避けるべく、位相差φは−90度以上となる必要がある。よって実際上、位相差φについて望ましい範囲は進相側で45度以下、遅相側で90度以下、となる。図9には位相差φが−90度(90度の遅相)の場合についても正常なトルク出力が可能な範囲を併記した。
上述の位相差φに依存して回転子固定位置を設定することが望ましい。例えば位相差φが+45度の場合には、回転子固定位置は直流励磁相“U−,V−,W+”の区間に設定されるべきである。そしてこれよりも位相差φが遅相側に動くと、回転子固定位置として望ましい位置は遅相側(回転子位置が増大する側)に拡がって行く。そして二相通電の場合とは異なり、位相差φが90度遅相しても、正常なトルク出力が可能な範囲は直流励磁相“U−,V+,W−”の区間を完全に覆う。換言すれば回転子を固定できる位置であれば、どの位置に回転子を固定しても、適切に位相差φを選定して、モータを正方向に回転する起動を行うことが可能である。よって本実施の形態においては適切に位相差φを選定することができる観点で、直流励磁相“V+”,“W+”の少なくともいずれか一方が実現されれば回転子固定位置が適切に設定できることになる(直流励磁相“U−”は短絡故障によって実現されている)。
このように二相通電の場合と三相通電の場合とで回転子を固定する好適な範囲が相違することは、回転子固定位置について進相/遅相にそれぞれ15度の余裕を持った場合に回転子固定位置が150度の範囲を持つことに起因する。即ち二相通電の場合には準正常なトルク出力が可能な範囲が120度の幅しか有さず、これは回転子固定位置が全体として拡がる150度よりも小さいに対し、三相通電の場合には正常なトルク出力が可能な範囲が180度という150度よりも大きな幅を有することに起因する。
そして位相差φが−90度となっても直流励磁相“U−、V−、W+”の区間は正常なトルク出力が可能な範囲によってカバーされる。よって本実施の形態で最も好適な回転子固定位置は直流励磁相“U−,V−,W+”の区間であると言える。
但し、位相差φは遅相側にはせいぜい45度までしか遅相しないことが通常であることに鑑みれば、本実施の形態で好適な回転子固定位置は直流励磁相“U−、V−、W+”、“U−,V0,W+”、“U−,V+、W+”,“U−,V+、W0”の四箇所であると言える。但しU相下アームで短絡故障が生じて直流励磁相“U−”は実現されている。
第1の実施の形態で述べたのと同様に、直流励磁相とインバータ21のスイッチング素子との関連で把握すると、以下のようにいうことができる。インバータ21のU相のレグL1の下アームにあるスイッチング素子Qxが短絡故障した場合、短絡相に相当するレグL1とは異なるレグL2,L3のいずれかで、短絡アームとは反対側の上アームに位置する二つのスイッチング素子の少なくとも何れか一つをオンする。そしてオンされたスイッチング素子と同じレグに属し、短絡アームと同じ側に位置するスイッチング素子をオフにする。
また第1の実施の形態と同様に、位相差φの選定について自由度が大きな回転子固定位置として直流励磁相“U−、V−、W+”に相当する位置を採用するため、短絡相たるU相に対して120度遅相する(240度進相する)W相に対応するレグL3においてスイッチング素子Qw,Qzをそれぞれオン,オフしつつも、更に、短絡相たるU相に対して120度進相する(240度遅相する)V相に対応するレグL2においてスイッチング素子Qv,Qyをそれぞれオフ、オンする事が望ましい。
第1の実施の形態で説明したように、回転子位置及び誘起電圧を介在して説明してきたものの、結局は回転子位置及び誘起電圧というブラシレスDCモータ1側の変数に依存せず、インバータ21における短絡故障に対して、インバータ21のスイッチングの望ましい態様が設定される。よって本実施の形態でも、どの位置に回転子11を固定するかはインバータ21においてどのスイッチング素子が短絡故障したかによって決定され、回転子位置の基準が誘起電圧に対してどの位置にあるかには依存しない。
そして図8に示されるように正常なトルク出力が可能な範囲は三つのスイッチングパターンしかない。具体的には、スイッチング素子Qxが短絡故障しているためにゲート信号Gxの“L”/“H”は不問としてゲート信号Gu,Gv,Gw,Gy,Gzがそれぞれ、(i) “L”、“L”、“H”、“H”、“L”、あるいは(ii)“L”、“H”、“H”、“L”、“L”、あるいは(iii)“L”、“H”、“L”、“L”、“H”の3パターンである。よって回転子固定位置がいずれであっても、正常なトルク出力を得るためには、レグL1の第1アーム(短絡箇所と同相で逆アーム)にあるスイッチング素子Quがオフ、レグL2、L3の第1アーム(短絡箇所と異なる相で逆アーム)にあるスイッチング素子Qv,Qwのすくなくともいずれか一方がオン、レグL2,L3の第2アーム(短絡箇所と異なる相で同側アーム)にあるスイッチング素子Qy,Qzをそれぞれスイッチング素子Qv,Qwと相補的にオン/オフする状態で始まる位相で、ゲート信号を順次遷移させることになる。
第3の実施の形態.
第2の実施の形態で述べたように、180°通電方式(三相通電方式)の駆動による短絡故障時のトルク出力可能な期間は、120°通電方式(二相通電方式)の駆動による短絡故障時のトルク出力可能な期間より長くなる。そのため、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのいずれか一つが短絡故障した場合、180°通電方式(三相通電方式)の方がブラシレスDCモータ1を駆動するには有利である。
第2の実施の形態で述べたように、180°通電方式(三相通電方式)の駆動による短絡故障時のトルク出力可能な期間は、120°通電方式(二相通電方式)の駆動による短絡故障時のトルク出力可能な期間より長くなる。そのため、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのいずれか一つが短絡故障した場合、180°通電方式(三相通電方式)の方がブラシレスDCモータ1を駆動するには有利である。
そこで、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の駆動方法では、スイッチング素子における短絡故障を発見したときには、120°通電方式(二相通電方式)から180°通電方式(三相通電方式)へ通電方式を変更する。図11に、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の駆動方法のフローチャートを示す。なお、本変形例に係るブラシレスDCモータ1及びモータ駆動システムの構成については、図1に示した構成と同じであるため詳細な説明は省略する。
まず、ステップS11では、ブラシレスDCモータ1を、図2に示すタイミングチャートで120°通電方式(二相通電方式)で駆動する。次に、ステップS12では、ブラシレスDCモータ1を駆動するインバータ21のスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzのいずれかに短絡故障が発生しているか否かを判断する。スイッチング素子に短絡故障が発生しているか否かを判断する方法は、第1の実施の形態で述べた方法と同じ方法を用いる。
例えば、図2に示すタイミングチャートのようにゲート信号Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gzが生成され、短絡故障検出回路7が異常電流を検出することで、短絡故障の有無を判断する。ステップS12において短絡故障がないと判断されればステップS11,S12が引き続き実行され、短絡故障があると判断されればステップS13が実行される。
ステップS13では、ブラシレスDCモータ1の通電方式を180°通電方式(三相通電方式)へ変更して駆動する。具体的には、スイッチング素子の短絡故障により、図3に示すタイミングチャートで駆動していたブラシレスDCモータ1を、図8に示すタイミングチャートで駆動するように変更する。但し、図8に示すタイミングチャートでは、パルス幅変調するゲート信号を下アーム側のスイッチング素子Qy,Qzに入力されるゲート信号Gy,Gzから、上アーム側のスイッチング素子Qv,Qwに入力されるゲート信号Gv,Gwに変更している。これにより、上述のように、準正常なトルク出力ではなく、正常なトルク出力を得ることができる。
以上のように、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の駆動方法では、スイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzに短絡故障が発生した場合、120°通電方式(二相通電方式)から180°通電方式(三相通電方式)へ通電方式を変更して駆動するので、最大で電気角180度分のトルク出力が可能となり、モータを正常に駆動することができる期間が増加する。かかる効果はスイッチング素子の短絡故障があった場合に、ブラシレスDCモータ1を一旦固定しなくても得られる効果である。
第4の実施の形態.
第1乃至第3の実施の形態において、DC短絡回避期間では、短絡故障したスイッチング素子を含む側のアームを全てのレグにおいて導通させ、反対側のアームを全てのレグにおいて非導通させることが望ましい。上述の例で言えば、スイッチング素子Qxが短絡故障した場合、レグL1〜L3のいずれの上アームに設けられたスイッチング素子Qu,Qv,Qwもオフ状態にし、第2及び第3レグL2,L3のいずれの下アームに設けられたスイッチング素子Qy,Qzもオン状態にする。
第1乃至第3の実施の形態において、DC短絡回避期間では、短絡故障したスイッチング素子を含む側のアームを全てのレグにおいて導通させ、反対側のアームを全てのレグにおいて非導通させることが望ましい。上述の例で言えば、スイッチング素子Qxが短絡故障した場合、レグL1〜L3のいずれの上アームに設けられたスイッチング素子Qu,Qv,Qwもオフ状態にし、第2及び第3レグL2,L3のいずれの下アームに設けられたスイッチング素子Qy,Qzもオン状態にする。
例えば第3の実施の形態を例に取れば、図10に示すゲート信号をスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qy,Qzに入力する。スイッチング素子Qxは短絡故障しているので、ゲート信号Gxは“H”、“L”のいずれでもよいが、“H”とする方が、ゲート信号のパターンが簡単となる。
図10に示すゲート信号の波形は、図8に示すゲート信号の波形とほぼ同じであるが、DC短絡回避期間、つまり位置信号モード“5”,“0”,“1”の区間で、ゲート信号Gu,Gv,Gwが“L”レベルで、且つゲート信号Gy,Gzが“H”レベルである。図10に示すゲート信号でスイッチング素子Qu,Qv,Qw,Qx,Qy,Qzをスイッチングすることで、インバータ21はゼロベクトルで駆動されることになり、直流バスへの回生が行われず、ブラシレスDCモータ1の駆動にブレーキがかかることもない。
このようにDC短絡回避期間ではインバータ21をゼロベクトルで駆動することにより、DC短絡回避期間におけるブレーキ動作を抑え、ブラシレスDCモータ1の減速を最小限に抑えることができる。
更に、DC短絡回避期間以外でも、正常なトルク出力も準正常なトルク出力もブラシレスDCモータ1が出力できない期間では、インバータ21が電圧出力を行わないことが望ましい。ブラシレスDCモータ1に対して正常ではないトルクを出力することによるブレーキ動作を回避し、ブラシレスDCモータ1の減速・電流増加・異音を防止するためである。
具体的には、二相通電を採用する場合(例えば第1の実施の形態)では「DC短絡回避期間」に相当する位置信号モード“0”,“1”の区間のみならず、「異なるトルク出力」が出力される位置信号モード“2”,“5”の区間においてもインバータ21が電圧出力を行わないことが望ましい。三相通電を採用する場合(例えば第2の実施の形態)では、「異なるトルク出力」が出力される位置信号モード“1”,“5”の区間はDC短絡回避区間に含まれる。
インバータ21が電圧出力を行わないスイッチングの態様として、インバータ21をゼロベクトルで駆動する他、スイッチング素子が全てオフする態様を採用してもよい。これにより、直流バスへの回生が行われず、ブラシレスDCモータ1の駆動にブレーキがかかることもない。
その他.
上記の実施の形態に係るモータ駆動システムに対して、各始動時にステップ1(短絡故障の検出)を行うことで、確実に毎回駆動することが可能なモータ駆動システムを構築することができる。
上記の実施の形態に係るモータ駆動システムに対して、各始動時にステップ1(短絡故障の検出)を行うことで、確実に毎回駆動することが可能なモータ駆動システムを構築することができる。
また、短絡故障により停止したブラシレスDCモータ1を再始動する場合も、本実施の形態に係るブラシレスDCモータ1の駆動方法を利用することで、ブラシレスDCモータ1を確実に駆動することができる。よって当該ブラシレスDCモータ1及びモータ駆動システムを採用したヒートポンプシステム等の安定動作が可能となる。
さらに、ブラシレスDCモータ1の駆動方法を短絡故障時の応急運転モードとすることで、当該ブラシレスDCモータ1及びモータ駆動システムを採用したヒートポンプシステム等の信頼性が向上する。
空調調和装置のようなヒートポンプ装置に用いられる、圧縮機モータやファンモータ、ポンプ用モータのような用途においては、短絡異常が生じている状態でモータの運転を続けても、長期間に及ばなければ、性能の低下はあるものの、空気調和装置が使用できなくなる場合は稀である。他方、性能の低下を甘受するので短絡異常の修理を待つ間も空気調和装置の使用を続けたいという要望がある。よってヒートポンプシステムに、上記の実施の形態や変形を適用することは、短絡異常が生じている場合にも運転が可能となる点で好適である。図1ではヒートポンプ装置100にファン5及びこれを回転させるブラシレスDCモータ1が採用されていることを模式的に示した。
ブラシレスDCモータ以外のモータに本実施の形態、ひいては本発明を適用することも可能ではあるが、直流励磁によって回転子の位置を固定しやすい点で、ブラシレスDCモータに適用することが好適である。
また本実施の形態、本発明は正常あるいは準正常なトルク出力が得られる期間が限定されるので、慣性が大きいモータに対して特に有効であり、その観点からはファンモータに適用することが好適である。
例えば室外ファンモータの場合、外風などの外力でモータが回転している場合があるが、その場合には回転子の位置を固定しなくても起動が容易である。
この場合は、正常あるいは準正常なトルクを出力できる位置に回転子が動いた場合に通電を開始すればよい。
また、モータ制御回路4はマイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成してもよい。上記記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)、ハードディスク装置などの各種記憶装置の1つ又は複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。
当該マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップ(換言すれば手順)を実行し、回転速度演算部41や、回転速度制御部42や、駆動信号作成部43の機能を実現する。よってマイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。もちろん、モータ制御回路4はこれに限らず、モータ制御回路4によって実行される各種手順、あるいは実現される各種手段又は各種機能(例えば回転速度演算部41、回転速度制御部42、駆動信号作成部43、又はそれらの機能)の一部又は全部をハードウェアで実現しても構わない。
1 ブラシレスDCモータ
2 モータ駆動回路
3 電源部
4 モータ制御回路
5 ファン
6 ホール素子
7 短絡故障検出回路
11 回転子
12 固定子
21 インバータ
22 ゲートドライブ回路
23 過電流保護回路
25 表示部
26 指示部
31 AC電源
41 回転速度演算部
42 回転速度制御部
43 駆動信号作成部
100 ヒートポンプ装置
2 モータ駆動回路
3 電源部
4 モータ制御回路
5 ファン
6 ホール素子
7 短絡故障検出回路
11 回転子
12 固定子
21 インバータ
22 ゲートドライブ回路
23 過電流保護回路
25 表示部
26 指示部
31 AC電源
41 回転速度演算部
42 回転速度制御部
43 駆動信号作成部
100 ヒートポンプ装置
Claims (16)
- 回転子を有する三相のモータ(1)を三相インバータ(21)によって駆動する方法であって、
前記三相インバータはこの順に進相する第1相乃至第3相(U,V,W)に対応した第1乃至第3レグ(L1〜L3)を備え、
前記第1乃至第3レグのそれぞれは、前記三相インバータの出力端(T1,T2,T3)と、前記出力端(T1,T2,T3)に対して一方側に第1アームを、他方側に第2アームを有し、
前記第1及び第2のアームのそれぞれにスイッチング素子(Qu,Qv,Qw;Qx,Qy,Qz)が設けられ、
(a)前記スイッチング素子の短絡故障を検出するステップと、
(b)前記(a)ステップで、前記第1レグ(L1)の前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qx)において短絡故障を検出した場合に、前記第1レグの前記第1アームに位置する前記スイッチング素子(Qu)をオフ状態にするステップと、
(c)(i)前記第3レグの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子(Qw)をオン状態にし、前記第3レグの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qz)をオフ状態にするか、(ii) 前記第2レグの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子(Qv)をオン状態にし、前記第2レグの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qy)をオフ状態にするか、の少なくとも何れか一方を実行して前記回転子の位置を固定するステップと、
(d)前記ステップ(c)の後に、前記第2レグ及び前記第3レグに設けられた前記スイッチング素子のスイッチングにより前記回転子を回転させるステップとを備えることを特徴とするモータの駆動方法。 - 前記ステップ(c)において、前記第3レグの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子(Qw)をオン状態にし、前記第3レグの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qz)をオフ状態にし、 前記第2レグの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子(Qv)をオフ状態にし、前記第2レグの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qy)をオン状態にして前記回転子の位置を固定する、請求項1記載のモータの駆動方法。
- 請求項1または請求項2に記載のモータの駆動方法であって、
前記(d)ステップにおいて、前記モータ(1)への通電方法は180°通電であることを特徴とするモータの駆動方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のモータの駆動方法であって、
前記(d)ステップにおいて、前記第2レグ及び前記第3レグの、前記第1アームに位置する前記スイッチング素子をパルス幅変調で制御することを特徴とするモータの駆動方法。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のモータの駆動方法であって、
前記(d)ステップにおいて、前記短絡故障により前記モータが正常なトルクを出力できない期間は電圧出力を行なわないことを特徴とするモータの駆動方法。 - 請求項5記載のモータの駆動方法であって、
前記(d)ステップにおいて、前記短絡故障によりモータが正常なトルクを出力できない期間は、前記第1乃至第3レグのいずれの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子もオフ状態にし、前記第2及び第3レグのいずれの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子もオン状態にすることを特徴とするモータの駆動方法。 - 請求項5記載のモータの駆動方法であって、
前記(d)ステップにおいて、前記短絡故障によりモータが正常なトルクを出力できない期間は、前記第1乃至第3レグのいずれの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子もオフ状態にし、前記第2及び第3レグのいずれの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子もオフ状態にすることを特徴とするモータの駆動方法。 - 三相インバータ(21)のスイッチング素子が短絡故障した場合のモータの駆動方法であって、
(A)前記スイッチング素子の短絡故障を検出するステップと、
(B)前記(A)ステップで、前記スイッチング素子の短絡故障が検出された場合、モータへの通電方法を、120°通電から180°通電へ切り換えることを特徴とするモータの駆動方法。 - 請求項8記載のモータの駆動方法であって、
前記三相インバータはこの順に進相する第1相乃至第3相(U,V,W)に対応した第1乃至第3レグ(L1〜L3)を備え、
前記第1乃至第3レグのそれぞれは、前記三相インバータの出力端(T1,T2,T3)と、前記出力端(T1,T2,T3)に対して一方側に第1アームを、他方側に第2アームを有し、
前記第1及び第2のアームのそれぞれにスイッチング素子(Qu,Qv,Qw;Qx,Qy,Qz)が設けられ、
前記(A)ステップで前記第1レグ(L1)の前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qx)において短絡故障を検出した場合に、前記ステップ(B)は、
(B1)前記第1レグの前記第1アームに位置する前記スイッチング素子(Qu)をオフ状態にするステップと、
(B2)前記ステップ(B1)の後に、前記第2レグ及び前記第3レグの、前記第1アームに位置する前記スイッチング素子をパルス幅変調で制御してスイッチングすることにより前記回転子を回転させるステップと
を実行することを特徴とするモータの駆動方法。 - 請求項8又は請求項9記載のモータの駆動方法であって、
前記(B)ステップにおいて、前記短絡故障により前記モータが正常なトルクを出力できない期間は電圧出力を行なわないことを特徴とするモータの駆動方法。 - 回転子を有する三相のモータ(1)を駆動する三相インバータ(21)と、
前記三相インバータ(21)に供給する信号を制御する信号制御部と、
を備えるモータ駆動システムであって、
前記三相インバータは、この順に進相する第1相乃至第3相(U,V,W)に対応した第1乃至第3レグ(L1〜L3)を含み、
前記第1乃至第3レグのそれぞれは、それぞれ前記三相インバータの出力端(T1,T2,T3)と、前記出力端(T1,T2,T3)に対して一方側に第1アームを、他方側に第2アームを有し、
前記第1及び第2のアームのそれぞれにスイッチング素子(Qu,Qv,Qw;Qx,Qy,Qz)が設けられ、
前記信号制御部は、前記第1レグ(L1)の前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qx)において短絡故障が検出された場合に、前記第1レグの前記第1アームに位置する前記スイッチング素子(Qu)をオフ状態にし、
前記回転子の位置を固定するために、(i)前記第3レグの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子(Qw)をオン状態にし、前記第3レグの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qz)をオフ状態にするか、(ii) 前記第2レグの前記第1アームに設けられた前記スイッチング素子(Qv)をオン状態にし、前記第2レグの前記第2アームに設けられた前記スイッチング素子(Qy)をオフ状態にするか、の少なくとも何れか一方を実行し、
前記回転子の位置を固定後に、前記第2レグ及び前記第3レグに設けられた前記スイッチング素子のスイッチングにより前記回転子を回転させることを特徴とするモータ駆動システム。 - 請求項11に記載のモータ駆動システムであって、
短絡異常を検出した旨を表示する表示部(25)をさらに備えるモータ駆動システム。 - 請求項11又は請求項12に記載のモータ駆動システムであって、
短絡故障発生時に、前記モータ(1)の停止又は駆動継続の指示をする指示部(26)をさらに備えるモータ駆動システム。 - 請求項11乃至請求項13のいずれか1つに記載のモータ駆動システムであって、
前記三相インバータ(21)への入力電流を計測することで短絡故障を検出する短絡故障検出回路をさらに備えるモータ駆動システム。 - 三相のモータ(1)と、
前記モータ(1)を駆動する請求項11乃至請求項14のいずれか1つのモータ駆動システムとを備えるヒートポンプシステム。 - ファン(5)と、
前記ファンを回転させる三相のモータ(1)と、
前記モータ(1)を駆動する請求項11乃至請求項14のいずれか1つのモータ駆動システムとを備えるファンモータシステム。
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