無線通信システムのカバレッジ・エリアは、一般にいくつかのセルに分割され、セルは1つまたは複数のネットワークに分類されることが可能である。各セルに位置するアクセス端末は、セルと関連する基地局と、エア・インターフェースとしばしば呼ばれる無線通信リンクを確立することによって、無線通信システムにアクセスすることができる。アクセス端末には、携帯電話、携帯情報端末、スマート・フォン、全地球測位システム装置、無線ネットワーク・インターフェース・カード、デスクトップ・コンピュータもしくはラップトップ・コンピュータなどの装置が含まれる。無線通信システムにおいてアクセス端末がセル間を移動するとき、アクセス端末は、無線通信システムにアクセス端末の現在位置を知らせる経路更新メッセージ(別称位置更新メッセージ)を定期的に与えることができる。アクセス端末の移動性により、アクセス端末の現在位置を推定するには、最新の経路更新メッセージが受信されたセルの位置を利用する。
アイドルもしくは休止モードまたはアクセス端末が電源を切ったときなどのいくつかの活動状態では、アクセス端末は、たとえ無線通信システムでセル間を移動し続けても、ある状態に遭遇するまで、経路更新メッセージの送信をやめることができる(例えばアクセス端末が最新の経路更新メッセージと関連するサブネットの境界を横切るとき、新しいサブネットとともに新しい位置更新を送信する)。したがって、情報がアクセス端末へ配信可能になったとき、無線通信システムは、どのセルがアクセス端末を含んでいるかがわからない可能性がある。そこで無線通信システムは、最新の既知のアクセス端末の位置について有する情報に基づいてネットワークにより判断されたページング・エリアに属する複数のセルに、例えば最新の既知のサブネットに属するセルに、ページング・メッセージを送信することによって、アクセス端末に到達しようと試みることができる。ページング・メッセージは、情報がアクセス端末に送信可能であることをアクセス端末に知らせる情報を含んでいる。アクセス端末がページング・メッセージを受信する場合、アクセス端末はセルの基地局にページング応答を与えることができる。ページング応答は、一般にアクセス端末が情報を受信可能であることを知らせ、またアクセス端末への情報の経路設定方法を示す情報を与えることもできる。
ページング・メッセージおよび経路更新メッセージは共に、システムのオーバーヘッドになる。したがって、無線通信システムは一般に、ページングの負荷に由来するオーバーヘッドを削減することと、アクセス端末によって送信される経路更新メッセージの数を削減することという2つの対立する目的にかなうように設計される。アクセス端末の位置が比較的高精度でわかっていて、各ページング・メッセージを、比較的少数のセルに送信することができるとき、ページングの負荷は典型的に最小となる。しかしながら、アクセス端末の位置の精度を上げるには、所与の時間中に多数の経路更新メッセージを送信する必要がある。対照的に、アクセス端末によって送信される経路更新メッセージの数を減らすと、無線通信システムによるアクセス端末の位置の推定の精度を下げる可能性があり、その結果として典型的に各ページング・メッセージが比較的多数のセルへ送信されることになる。
この問題の従来の解決法は、複数の基地局が機能するセルを含むサブネットを定めることである。そこでアクセス端末は、1つのサブネットから別のサブネットへ移るときに経路更新メッセージを送信することができ、無線通信システムは、最も新しく受信した経路更新メッセージによって示されるサブネットにある基地局を介してページング・メッセージを与えることにより、ページング・プロセスを開始することができる。例えば、無線通信システムが機能する地理的エリアは、10の基地局のグループが機能するセルを含む複数のサブネットに分割することができる。そこで無線通信システムのアクセス端末は、10の基地局のグループ間のセルの境界線を横切るときに位置の更新を行うことができ、無線通信システムは、サブネットの10の基地局のグループを介してページング・メッセージを与えることができる。
しかしながら、無線通信システムが機能するユーザおよび地理的エリアの数は増大しており、その結果、典型的なサブネットの大きさおよび数が増大している。従来の経路更新メッセージは、サブネットの境界を横切ることによって起動されるため、アクセス端末は、無線通信システムへ経路更新メッセージを与えることなく多くのセルを通過する可能性がある。結果として、無線通信システムは、アクセス端末の位置を突き止めるために、多数のセルにページング・メッセージを与えることを求められる可能性がある。したがって無線通信システムは、サブネットの多数の(および増加する可能性のある)セルにページング・メッセージを与えることに関連するオーバーヘッドへの対応に、システム・リソースの大きな割合を当てなければならない可能性がある。
ページングされるセルの数を減らす1つの技術は、半径に基づくページングと呼ばれる。半径に基づくページング技術は、アクセス端末が最後に見られたセルの中心から所定の半径より大きい距離を移動するとき、アクセス端末が経路更新メッセージを与えるように要求する。あるいは、アクセス端末は、アクセス端末と関連する無線ネットワーク制御装置によってカバーされるセル群から所定の半径より大きい距離を移動するとき、経路更新メッセージを与えることができる。無線通信システムはこのとき、アクセス端末が最後に見られたセルにページング・メッセージを与えることによってアクセス端末をページングすることができる。アクセス端末がこのページング・メッセージに応答しない場合、無線通信システムは、所定の半径で定められたエリアのセルをページングすることができる。アクセス端末が前のページング・メッセージに応答しない場合、(次第に大きい半径で示される)次第に大きいエリアのセルにページング・メッセージを提供することができる。
サブネットが多数のセルを含むとき、半径に基づくページングはサブネットに基づくページングに好ましいものとすることができるが、半径に基づくページングには、やはりいくつかの欠点がある。所定の半径内のセルのすべてにページング・メッセージを与えることに関連するシステムのオーバーヘッドは、無線通信システムのリソースの大きな割合を消費する可能性がある。所定の半径内のセルの数は、半径を縮小することによって削減することができるが、この結果、アクセス端末が経路更新メッセージを送信する頻度が増すことになる。したがって、経路更新メッセージを与えることに関連するシステムのオーバーヘッドが増大し、無線通信システムのリソースの大きな割合を消費する可能性がある。経路更新メッセージの数が増えると、アクセス端末による電力消費量もまた増大する可能性がある。さらに、無線通信システムが、アクセス端末が最後に見られたセルから次第に増す距離のセルでアクセス端末の位置を突き止めようと試みるとき、比較的長いページング遅延を感じる可能性がある。
本発明の例示的な実施形態について以下に説明する。明瞭にするために、本明細書では実際の実施の特徴をすべて述べているわけではない。このような実際の実施形態の開発においては、開発者の特定の目標を達成するために、システム関連の制約およびビジネス関連の制約に従うなど、実施によって異なる数多くの実施時特有の決定をすべきであるということが当然理解される。さらに、このような開発努力は複雑で時間のかかるものであるが、しかしながらこの開示の利益を有する当業者には定常的な取組みであるということが理解される。
本発明の一部分および対応する詳細な説明は、ソフトウェア、またはコンピュータ・メモリ内のデータ・ビットで動作するアルゴリズムおよび記号表現に関して述べる。これらの説明および表示は、当業者が自身の作業の内容を他の当業者に効果的に伝えるためのものである。本明細書で使用され、また一般に使用されるアルゴリズムは、所望の結果につながるステップの首尾一貫したシーケンスであると考える。ステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必ずしもそうではないが、通常これらの量は、格納、転送、結合、比較、およびその他の操作が可能である光信号、電気信号、または磁気信号の形態をとる。主として一般的な用法という理由により、これらの信号をビット、値、要素、符号、文字、項、数字などと呼ぶことが、場合によっては好都合であることがわかっている。
しかしながら、これらの用語および同様の用語のすべては、適切な物理量と関連付けられなければならず、これらの量につけられた便宜的表示にすぎないということを、心に留めるべきである。特に別段の指定がなければ、記述から明らかなように、「処理」または「演算」または「計算」または「決定」または「表示」などの用語は、コンピュータ・システムまたは同様の電子計算装置の動作およびプロセスのことを指し、このコンピュータ・システムとは、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理量、電子量として表されるデータを操作し、コンピュータ・システムのメモリもしくはレジスタまたはこのような他の情報記憶装置、転送装置、もしくは表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するものである。
また、本発明のソフトウェア実施態様は、典型的に何らかの形態のプログラム記憶媒体上に符号化される、または何らかの形態の伝送媒体上に実施されることにも注意する。プログラム記憶媒体は、磁気的(例えばフロッピー(登録商標)・ディスク、もしくはハード・ドライブ)または光学的(例えばコンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリすなわち「CD ROM」)とすることができ、またリード・オンリーもしくはランダム・アクセスとすることができる。同様に、伝送媒体は、ツイスト・ペア線、同軸ケーブル、光ファイバー、または当技術分野に知られるその他の好適な伝送媒体とすることができる。本発明は、いかなる所与の実施のこれらの態様にも限定されない。
次に、添付の図を参照して本発明を説明する。単に説明の目的のために、また当業者には周知の詳細で本発明をわかりにくくしないように、図面では様々な構造、システム、および装置を概略的に示している。しかしながら、本発明の例示的実施例を記載して説明するために、添付の図面を含んでいる。本明細書で使用する語および語句は、当業者によるこれらの語および語句の理解と一致する意味を有するものと理解され、解釈されたい。用語または語句の特別な定義、すなわち当業者によって理解される通常の従来通りの意味とは異なる定義は、本明細書でのこの用語または語句の一貫した使用に包含しないものとする。用語または語句が特別な意味、すなわち当業者によって理解されるもの以外の意味を有することを意図する範囲については、このような特別な定義を、この用語または語句に特別な定義を直接かつ明白に与える定義方法で、本明細書において明示的に説明する。
図1は、無線通信システム100の第1の例示的実施形態を概念的に示している。第1の例示的実施形態において無線通信システム100は、複数の地理的エリア、すなわちセル105(1つのみを数字105で示す)に無線接続性を与えるように構成されている。無線接続性は、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)、符号分割多元接続(CDMA、CDMA 2000)などの1つまたは複数の標準またはプロトコルにより提供されることが可能である。しかしながら、特定の標準、プロトコル、またはその組合せは、設計上の選択であって、本発明にとって重要ではない。明瞭にするために図1には示していないが、基地局、基地局のルータなどを使用して、セル105に無線接続性を与えることが可能であることも、本開示の利益を享受する当業者には理解されたい。
アクセス端末110が、無線通信システム100の中に配置されており、この無線通信システムは、アクセス端末110に無線接続性を与えることができる。図1にはただ1つのアクセス端末110を示しているが、無線通信システム100に任意の数のアクセス端末110を配置することが可能であることを、本開示の利益を享受する当業者には理解されたい。また、アクセス端末110は、「移動体」、「移動局」、「ユーザ機器」、「加入者局」、「加入者端末」などの用語を使用して言及される場合もあることを、当業者には理解されたい。例示的なアクセス端末110には、携帯電話、携帯情報端末、スマート・フォン、ページャ、テキスト・メッセージング装置、全地球測位装置、ネットワーク・インターフェース・カード、ノートブック・コンピュータ、およびデスクトップ・コンピュータが含まれるが、これらに限定されない。アクセス端末110を設定するおよび/または動作させる技術は、当技術分野では知られており、明瞭にするために、本発明に関連するアクセス端末110を設定するおよび/または動作させる態様のみを、本明細書でさらに説明する。
無線通信システム100の中には、1つまたは複数のアクセス・ネットワーク130を配置することができる。図1にはただ1つのアクセス・ネットワーク130を示しているが、無線通信システム100に任意の数のアクセス・ネットワークを配置することが可能であることを、本開示の利益を享受する当業者には理解されたい。また、本発明は、アクセス・ネットワーク130を含む無線通信システムに限定されないことを、当業者には理解されたい。代替的実施形態において無線通信システムは、セルを無線通信システム100と接続する他の装置(無線ネットワーク制御装置など)を含むことができる。アクセス・ネットワーク130を設定するおよび/または動作させる技術は、当技術分野では知られており、明瞭にするために、本発明に関連するアクセス・ネットワーク130を設定するおよび/または動作させる態様のみを、本明細書でさらに説明する。
アクセス端末110は、1つまたは複数の移動パターンを定めるように構成されている。本明細書で使用する「移動パターン」という用語は、アクセス端末110と関連する使用パターンに基づいて選択される1つまたは複数のセル105を指すと理解されるであろう。一実施形態では、移動パターンは、プライマリ・セル(例えば、アクセス端末がユーザの自宅、職場、またはユーザが大部分の時間を過ごす可能性があるその他の場所にあるとき、アクセス端末に無線接続性を与えるセル)を離れた後に、プライマリ・セルに帰るまでにアクセス端末110が訪れると思われるセル105を含む。例えば、特定のユーザは、ほぼ毎週土曜日の朝に自宅を離れ、同じサッカー場、同じ食料雑貨店、同じレストランもしくはレストラン街、1つまたは複数の衣料品店街へ行き、その後土曜日の午後に自宅へ帰る場合がある。したがって、アクセス端末110に関連する1つの移動パターンは、サッカー場、食料雑貨店、レストラン、および衣料品店を含むエリアに無線接続性を与えるセル105を含むことができる。また、警察官、配送トラック、郵便配達人などによりたどられる経路を用いて、移動パターンを定める場合もある。一部の実施形態では、移動パターンは単一セル105を含むことができる。例えば、自宅、職場などユーザが大きな割合の時間を過ごすと思われるプライマリ・セルもまた、移動パターンとみなされる。
例示の実施形態では、アクセス端末110はプライマリ・セル115に示してある。アクセス端末110は、一部の場合に、いくつかのセル105を通過することができる経路120に沿って移動することがある。したがって、アクセス端末110は、このセル105のサブセット(破線の六角形で示す)を、経路120に沿って移動するときにアクセス端末110が訪れると思われるセル105を含む移動パターンに分類すべきであると判断することができる。同様に、アクセス端末110は、他の場合に、別の経路125に沿って移動することがあり、したがって1つまたは複数のセル105(実線の六角形で示す)を別の移動パターンに属するものとして割り当てることができる。定められた移動パターンは、アクセス端末110に格納される、および/またはアクセス・ネットワーク130に提供されることが可能である。移動パターンに含まれるセル105を定める技術について、以下により詳細に説明する。
またアクセス端末110は、アクセス端末が現在、定められた移動パターンの1つまたは複数と関連付けることができる経路に沿って移動中である可能性を判断するように構成される。例えば、アクセス端末110は、現在、経路120と関連する移動パターンのセル105の1つにあることを、例えば現在訪れているセルおよび/または前に訪れたセルを、格納された移動パターンと比較することによって判断することができる。アクセス端末110はまた、プライマリ・セル115を出発してから、経路120と関連する移動パターンのいくつかの他のセル105を訪れたと判断することもできる。したがって、アクセス端末110は、アクセス端末が経路120または同様の経路に沿って移動しており、その結果アクセス端末110が移動パターンと関連するセル105の1つにある可能性が高いと判断する。
アクセス端末110は、移動パターンに基づいて経路更新メッセージを与えるかどうかを判断することができる。本明細書で使用する「経路更新メッセージ」という用語は、アクセス端末110の位置を判断するために使用することができる情報を含むメッセージのことを指すと理解されるであろう。一実施形態では、アクセス端末110が、経路120と関連する移動パターンのセル105の1つに留まっている限り、アクセス端末110は経路更新メッセージを与えないことが可能である。例えば、従来、アクセス端末110は、プライマリ・セル115の中心から所定の半径で定められた円135の外側に移動する度に、経路更新メッセージを与えることができる。しかしながら、アクセス端末が、経路120と関連する移動パターンのセル105の1つに留まっている限り、アクセス端末110は経路更新メッセージを与えないことが可能である。アクセス端末110が、経路120と関連する移動パターンにないセル105に入ると、経路更新メッセージをアクセス・ネットワーク130に与えることができる。
移動パターンを示す情報を使用して、アクセス端末110をページングすることができる。一実施形態では、各アクセス端末110と関連する移動パターンのセルを含むデータベースが、アクセス・ネットワーク130に格納される。例えば、データベースは、アクセス端末110が移動パターンの1つまたは複数を定めるとき、アクセス端末110によって与えられる情報を使用して形成されることが可能である。またアクセス端末110は、アクセス端末が現在、既知の移動パターンの1つまたは複数と関連付けることができる経路に沿って移動中であることを示す情報を与えることができる。例えば、アクセス端末110は、経路更新メッセージなど、現在の移動パターンを示す識別番号を含むメッセージを送信することができる。そこでアクセス・ネットワーク130は、アクセス端末110と関連する現在の移動パターンを示す情報を使用して、この移動パターンのセル105を介してページング・メッセージを送信する。
図2は、無線通信システム200の第2の例示的実施形態を概念的に示している。第2の例示的実施形態において無線通信システム200は、複数の地理的エリア、すなわち2つのプライマリ・セル210、215を含むセル205に無線接続性を与えるように構成されている。例えばプライマリ・セル210は、ユーザの自宅を含む地理的エリアに無線接続性を与えることができ、プライマリ・セル215は、ユーザの職場を含む地理的エリアに無線接続性を与えることができる。セル205は、自宅から職場までおよび職場から自宅までのユーザの通勤経路に対応する経路220にある。このユーザは通常、自宅から職場まで(およびその逆)の通勤中にアクセス端末225を携帯し、したがってアクセス端末225は、この時間にわたって、経路220にあるセル205はある移動パターンの一部であると判断することができる。この移動パターンを示す情報は、アクセス端末225および/またはセル205、210、215と関連する1つまたは複数のアクセス・ネットワーク(図示せず)に格納することができる。
ユーザがプライマリ・セル210を離れて、この移動パターンと関連するセル205の1つに入ると、アクセス端末225は、このセル205がこの移動パターンと関連していると判断することができる。アクセス端末225は、プライマリ・セル210を離れることに応答して、経路更新メッセージを与えることができる。経路更新メッセージに含まれる情報は、アクセス端末225がこの移動パターンと関連するセル205で見つけられる可能性が最も高いことを無線通信システム200に知らせることができる。アクセス端末225に向かうことになる情報が無線通信システム200によって受信される場合、この移動パターンのセル205を介してページング・メッセージを送信することができる。
一部の場合では、移動パターンのセル205の数が大きい可能性がある。例えば、ユーザは、人口密集地域を通って比較的長距離を通勤する場合があり、そこでプライマリ・セル210とプライマリ・セル215との間を移動するとき、比較的多数のセル205を通過する可能性がある。したがって、一部の実施形態においてアクセス端末225は、セル205の1つまたは複数から移動した距離を利用して、経路更新メッセージの送信を起動することもできる。例えば、アクセス端末225は、プライマリ・セル210から半径235より大きい距離を移動したとき、たとえアクセス端末225がまだ移動パターンと関連するセル205の中を移動中である場合でも、経路更新メッセージを送信することができる。一実施形態では、半径235は、アクセス端末225が既知の移動パターンに沿って移動していないときに、半径に基づくページング技術で使用される半径240より大きくなるように選択することができる。半径235、240の特定の値は設計の選択の問題であって、本発明にとって重要ではないことを、本開示の利益を享受する当業者には理解されたい。
図3は、経路更新メッセージを与える方法300の1つの例示的実施形態を概念的に示している。例示の実施形態では、アクセス端末は、1つまたは複数の移動パターンを定めており、これは少なくとも1つのプライマリ・セルを含む。また移動パターンは、上述のように、アクセス・ネットワークに格納することもできる。またアクセス端末は、前の経路更新メッセージを与えた後に、あるセルにある間にアイドル・モードに入ったと仮定し、このセルを最後のRUMのセルと呼ぶ。例示の実施形態においてアクセス端末はアイドル・モードであり、その後アイドル状態のアクセス端末が(305において)起動する。アクセス端末は、次に現在のセルと関連する識別子、および現在のセルから最後のRUMのセルまでの半径を(310において)確認することができる。例えば、アクセス端末は、ブロードキャスト・チャネルを監視することによってセルの識別子を受信することができ、このセルの識別を用いて、現在のセルから最後のRUMのセルまでの半径を確認することができる。またアクセス端末は、現在のセルの識別子および/または半径を前の情報と(310において)比較することができ、例えばプライマリ・セルおよび/またはアクセス端末と関連する移動パターンを示す格納情報と比較することができる。
アクセス端末が(315において)現在のセルはプライマリ・セルであると判断する場合、アクセス端末は(320において)経路更新メッセージを与えることができる。経路更新メッセージは、プライマリ・セルを現在の移動パターンおよび/またはデフォルトのページング・エリアとして確認する情報を含むことができる。経路更新メッセージが(320において)与えられると、経路更新アルゴリズムは、アイドル状態のアクセス端末が次に起動するときを(325において)待つことができる。アクセス端末が、現在のセルはプライマリ・セルではないと(315において)判断する場合、アクセス端末は、現在のセルが既知の移動パターンの一部であるかどうかを(330において)判断することができる。現在のセルが既知の移動パターンの一部である場合、アクセス端末は、既知の移動パターンに合うRUMが以前に送信されたかどうかを(330において)判断することもできる。例えば、アクセス端末は、現在のセル(ならびに他の訪れたセル)を既知の移動パターンのセルと比較することができ、このセルが既知の移動パターンの1つの一部であると思われるかどうかを(330において)判断することができる。
アクセス端末が、現在のセルはある移動パターンの一部ではないと(330において)判断する場合、あるいは現在のセルは既知の移動パターンの一部であるが、前のRUMはこのパターンに送信されていない場合、アクセス端末は、最後のRUMセルからの現在の半径が、従来の位置に基づくページング法で経路更新メッセージを送信するかどうかを判断するために使用される半径(R_NORMAL)より大きいかどうかを(335において)判断することができる。現在の半径がR_NORMALより大きい場合、経路更新メッセージを(320において)与えることができ、アルゴリズムは次にアクセス端末が起動するときを(325において)待つことができる。現在の半径がR_NORMALより小さい場合、アクセス端末は経路更新メッセージを送信せず、単にアクセス端末が再び起動するのを(340において)待つ。
例示の実施形態では、アクセス端末が現在のセルを移動パターンの一部であると(330において)判断する場合、アクセス端末は、最後のRUMのセルからの現在の半径が、移動パターンに定められた、R_NORMALより大きい半径(R_PATTERN)より大きいかどうかを判断することができる。しかしながら、最後のRUMからの現在の半径がR_PATTERNより大きいかどうかを(345において)判断するステップは選択的であり、本発明の実施に不可欠ではないことを、本開示の利益を享受する当業者には理解されたい。現在の半径がR_PATTERNより大きい場合は、経路更新メッセージを(320において)与えることができ、アルゴリズムは次にアクセス端末が起動するときを(325において)待つことができる。現在の半径が、R_PATTERNより小さい場合、アクセス端末は経路更新メッセージを送信せず、単にアクセス端末が再び起動するのを(340において)待つ。
図4は、方法400、すなわちアクセス端末と関連する前の情報に基づいてアクセス端末をページングすることの1つの例示的実施形態を概念的に示している。例示の実施形態では、アクセス・ネットワークは、プライマリ・セルおよび/またはアクセス端末と関連する移動パターンを知らせる、アクセス端末と関連する前の情報を(405において)格納する。上述のように、この情報は、アクセス端末によって与えることができ、アクセス・ネットワークがアクセス可能であるデータベースに格納することができる。アクセス・ネットワークがアクセス端末をページングすることを望む場合、アクセス・ネットワークは、アクセス端末の最後のRUMのセルがプライマリ・セルであったかどうかを(410において)判断する。最後のRUMのセルがプライマリ・セルである場合、アクセス・ネットワークは(415において)プライマリ・セルをページングすることができる。最後のRUMのセルがプライマリ・セルではなかった場合、アクセス・ネットワークは、最後のRUMのセルがアクセス端末と関連する移動パターンの一部であったかどうかを(420において)判断することができる。
最後のRUMのセルが、アクセス端末と関連する移動パターンの一部である場合、アクセス・ネットワークは、移動パターンの一部であるセルを(425において)ページングすることができる。最後のRUNのセルが、アクセス端末と関連する移動パターンの一部ではなかった場合、アクセス・ネットワークは、従来のページング方法を用いて(430において)ページングすることができ、例えばアクセス・ネットワークは、最後のRUMのセルに隣接しているセル群をページングすることができる。
図5は、アクセス端末において移動パターンを判断する方法500の1つの例示的実施形態を概念的に示している。例示の実施形態では、1つまたは複数のプライマリ・セルを(505において)判断することができる。例えば、自宅、職場、ビーチ・ハウスなどユーザの最初の滞在地点を含む地理的エリアに無線接続性/カバレッジを与えるセルのアドレスに基づいて、プライマリ・セルを(505において)識別することができる。プライマリ・セルを識別する情報は、初めの発呼登録の間にアクセス端末からアクセス・ネットワークへアップロードされることが可能である。一実施形態では、ユーザは、既知のまたは所定の移動経路に基づいて、移動パターンを作成することもできる。例えば、警察のパトロール経路を用いて、この経路に沿って無線カバレッジを提供するセルを識別することができ、このセルをある移動パターンと関連させることができる。また所定の移動パターンを識別する情報は、アクセス端末からアクセス・ネットワークへアップロードされることも可能である。
ユーザがアクセス端末に登録し、アクセス端末を使用し始めると、ユーザはプライマリ・セルの外へ移動すると考えられる。プライマリ・セルの外への移動は、長期にわたって繰り返される移動ルートを含む可能性が高く、この移動ルートによってアクセス端末は、繰り返して訪れることになるセルを含む移動ルートを定めることができる。したがって、ユーザがプライマリ・セルを(510において)離れるとき、アクセス端末は、アクセス端末がプライマリ・セルを(510において)離れた後に訪れる1つまたは複数のセルを示す情報を収集することができる。例えば、アクセス端末は、セルの識別子を収集することができる。アクセス端末によって集められた情報は、例えばアクセス端末内の1つまたは複数のメモリ素子に(515において)格納することができる。ユーザが現在のセルを(520において)離れるとき、アクセス端末は、新しく入るセルはプライマリ・セルの1つであるかどうかを(525において)判断することができる。新しいセルが、プライマリ・セルの1つではない場合、アクセス端末は、セルを示す情報を(515において)収集および格納し続けることができる。一実施形態では、アクセス端末は、アクセス端末が遭遇したセルのすべてのセル出現カウンタを保持することができ、新しいセルがプライマリ・セルの1つではないと判断することに応答して、新しいセルと関連するセル出現カウンタの値を上げることが可能である。
新しく入るセルが、プライマリ・セルの1つであると(525において)判断される場合、アクセス端末は、現在のトリップ(すなわちプライマリ・セルから2つの非プライマリ・セルへ、そしてプライマリ・セルに戻る)が完了したと判断することができる。一実施形態では、アクセス端末は、アクセス端末によって完了されたラウンド・トリップの数を知らせるトリップ・カウンタを保持することができる。したがって、アクセス端末は、新しいセルがプライマリ・セルであると(525において)判断することに応答して、トリップ・カウンタの値を上げることができる。アクセス端末は、アクセス端末がプライマリ・セルを(510において)離れた時間と、アクセス端末がプライマリ・セルの1つに(525において)戻った時間との間に訪れたセルと関連する情報を使用して、1つまたは複数の移動パターンを(530において)定めることができる。例えばアクセス端末は、あるセルのセル出現カウンタの、アクセス端末が行うトリップ数に対する比を計算することができる。特定のセルについてこの比が比較的大きいとき、このセルは、比較的頻繁に訪れられているため1つまたは複数の移動パターンの一部である可能性が高い。
一実施形態では、アクセス端末は、選択した数の最も頻繁に訪れたセルを1つまたは複数の移動パターンにさらに分けることによって、移動パターンを(530において)定めることができる。例えば、アクセス端末は、第1のトリップ中に遭遇したセルのすべてを第1の移動パターンに割り当てることができる。第2のトリップで遭遇するセルの50%より多くが第1の移動パターンに属さない場合、第2のトリップで遭遇するセルは、第2の移動パターンのグループに割り当てることができる。しかしながら、遭遇するセルの大部分が第1の移動パターンに属す場合は、このトリップのセルは、第1の移動パターンと関連付けることができる。この手順を、アクセス端末が行うその後のトリップに対して繰り返すことができる。時間とともに、アクセス端末がさらなるトリップを行って、さらなるセルを訪れると、移動パターンの数は増大する可能性があり、またセルを各移動パターンと関連付けるために利用可能な統計値は改善される可能性がある。このように、セルを移動パターンと関連付ける他の技術を用いることができる。
一実施形態では、相関メトリックを用いてセルの移動パターンとの相関関係を(530において)決定することができる。例えば、セルiの移動パターンjとの相関関係は、移動パターンjと関連付けられたトリップにおけるセルiの出現の総数と、移動パターンjと関連付けられたトリップの総数との比に等しく設定することができる。特定の移動パターンと関連付けられたトリップが完了する度に、最新のトリップで現れたセルと関連する情報を、前のトリップ中に訪れたセルと関連する、前に獲得した情報と結合することができ、この情報を使用して、この移動パターンの各セルと関連付けられた相関メトリックを更新することができる。
移動パターンのセルの所属は、相関メトリックに基づいて決定することができる。例えば、特定のセルの相関メトリックが、所定の値を下回る場合、このセルをこの移動パターンから取り除くことができる。しかしながら、他の統計値を用いて、トラフィック・パターンの所属を決定することもできることを、本開示の利益を享受する当業者には理解されたい。例えば、ある移動パターンのセルにアクセス端末が訪れた可能性に、統計値を選択する、または定義することができる。セルを訪れた可能性が、一定の年数の間所定のしきい値を下回る場合、セルおよび/または関連する移動パターンは、例えばアクセス端末のデータベースから削除することができる。訪れる可能性の高いセルおよび/または関連する移動パターンは、アクセス・ネットワークにアップロードし、経路更新およびページングに利用することができる。
上記の技術の実施形態は、従来の実行に関していくつかの利点を有することができる。アクセス端末は、既知の移動パターンにはないセルに入るときに経路更新メッセージを与えるのみとすることができるため、こうした経路更新メッセージを与えることと関連するシグナリング・オーバーヘッドを削減することができる。アクセス端末が既知の移動パターンにはないセルに入るときに経路更新メッセージを与えることによって、アクセス端末による電力消費量もまた、削減することができる。無線通信システムが最初に既知の移動パターンの1つでセルをページングすることができることから、アクセス端末の位置を突き止めようと試みる無線通信システムによってページングされる可能性のあるセルの数もまた、削減することができる。また、ページング遅延も削減することができ、これは遅延に影響を受ける応用に特に重要なことである。
アクセス端末はまた、さらに正確な移動パターンを作成し、これらの移動パターンを無線通信システムの他のエンティティより効率的な方法で識別することができる。例えば、アクセス端末は典型的に、経路更新メッセージを送信するよりも頻繁に起動活動を行う。したがってアクセス端末は、少なくとも一部ではアクセス端末以外の位置は、単に経路更新メッセージの位置情報を受信するにすぎないことから、アクセス端末以外の位置で可能であるよりも頻繁に、移動パターンと関連する統計値を収集することができる。
本発明は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者には明白である、異なるが等価な方法で変更して実施することができるため、上記で開示した特定の実施形態は一例にすぎない。さらに、添付の特許請求の範囲に記載する以外に、本明細書に示す構成または設計の詳細に限定するつもりはない。したがって、上記の特定の実施形態を変更または修正することができるのは明らかであり、このようなすべての変形は本発明の範囲および趣旨の内であるとみなす。よって、本明細書で求める保護は、添付の特許請求の範囲に示す通りである。