JP2009050288A - 医療用マニピュレータの作業機構 - Google Patents

Abstract

【課題】医療用マニピュレータの作業機構に関し、動力を伝達する線体の状態を簡便且つ的確に判断するすることのできる医療用マニピュレータの作業機構を提供する。
【解決手段】マニピュレータの作業部１６は、中空の連結シャフト４８と、該連結シャフト４８に設けられた動力伝達部材のワイヤ５２、５４、５６と、連結シャフト４８の一端に設けられ、ワイヤ５２、５４、５６によって動作する先端動作部１２を備える。ワイヤ５２、５４、５６は、先端動作部１２で筒体に巻き掛けられている。連結シャフト４８の先端近傍左右側面には、ワイヤ５２、５４、５６を視認可能な視認孔４９が設けられている。視認孔４９は、筒体を露呈する位置に設けられている。
【選択図】図３

Description

本発明は、医療用マニピュレータの作業機構に関し、特に、ワイヤ等の線体を介して先端動作部を動作させる医療用マニピュレータの作業機構に関する。

腹腔鏡下手術においては、患者の腹部等に小さな孔をいくつかあけて内視鏡、鉗子（又はマニピュレータ）等を挿入し、術者が内視鏡の映像をモニタで見ながら手術を行っている。このような腹腔鏡下手術は、開腹を必要としないため患者への負担が少なく、術後の回復や退院までの日数が大幅に低減されることから、適用分野の拡大が期待されている。

マニピュレータシステムは、例えば特許文献１に記載されているように、マニピュレータ本体と、該マニピュレータ本体を制御するコントローラとから構成される。マニピュレータ本体は、人手によって操作される操作部と、操作部に対して交換自在に着脱される作業部とから構成される。

作業部（器具）は長い連結シャフトと、該連結シャフトの先端に設けられた先端動作部（エンドエフェクタとも呼ばれる。）とを有し、ワイヤによって先端の動作部を駆動するアクチュエータ（モータ）が操作部に設けられている。ワイヤは基端側でプーリに巻き掛けられている。コントローラは、操作部に設けられたモータを駆動して、プーリを介してワイヤを進退駆動する。

作業部は、手技が終了した後に洗浄等の処理を容易に行うことができるように操作部に対して着脱自在に構成されている。また、腹腔鏡下手術では、手技に応じて多様な作業部が用いられ、例えばグリッパ、はさみ、電気メス、超音波メス、医療用ドリルなどが挙げられる。これらの作業部を交換する観点からも、該作業部は操作部に対して着脱自在に構成されていると好適である。

作業部は基端側のプーリが操作部に設けられたモータの回転軸に係合するように構成されている。

特許文献２に記載ワイヤロープには、最外周層に混撚されて周囲の素線と外観色が異なる金属が被覆された複数の判別素線が設けられている。

特開２００４−１０５４５１号公報 特開平１１−１２９６６号公報

作業部では、簡便且つ確実に動力の伝達をするためにプーリとギアとをワイヤによって接続して動力伝達をしている。

ところで、ワイヤは経時変化又は使用による変化が避けられないことから、変化の程度を適切に判断することが望まれている。

本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、動力を伝達する線体の状態を簡便且つ的確に判断することのできる医療用マニピュレータの作業機構を提供することを目的とする。

本発明に係る医療用マニピュレータの作業機構は、アクチュエータに連動して進退する線体と、前記線体が挿入されている中空のシャフトと、前記シャフトの先端に設けられ、前記線体の進退によって動作する先端動作部と、前記シャフトの先端部近傍に設けられ、前記線体を露呈する視認部とを有することを特徴とする。

上記の視認部によれば、線体の先端部を視認可能であって、線体の変化を判断しやすい。ここで、視認部とは内部を視認するためのものであるから、物理的に貫通している孔である必要はなく、例えば透明体で塞がれていてもよい。

本発明に係る医療用マニピュレータの作業機構では、シャフトの先端部近傍に視認部を設けることにより、該視認部から線体の先端部を視認可能であって、線体の状態変化を判断しやすい。

以下、本発明に係るマニピュレータにおける医療用マニピュレータの作業機構の実施の形態について添付の図１〜図１３を参照しながら説明する。

医療用のマニピュレータ１０は、先端動作部１２に生体の一部又は湾曲針等を把持して所定の処置を行うためのものであり、通常、把持鉗子やニードルドライバ（持針器）等とも呼ばれる。

図１及び図２に示すように、マニピュレータ１０は、人手によって把持及び操作される基端部の操作指令部１４と、該操作指令部１４に対して着脱自在な作業部（医療用マニピュレータの作業機構）１６とを有する。

以下の説明では、図１における幅方向をＸ方向、高さ方向をＹ方向及び、連結シャフト４８の延在方向をＺ方向と規定する。また、右方をＸ１方向、左方をＸ２方向、上方向をＹ１方向、下方向をＹ２方向、前方をＺ１方向、後方をＺ２方向と規定する。さらに、特に断りのない限り、これらの方向の記載はマニピュレータ１０が中立姿勢（図３に示す状態の姿勢）である場合を基準として表すものとする。これらの方向は説明の便宜上のものであり、マニピュレータ１０は任意の向きで（例えば、上下を反転させて）使用可能であることはもちろんである。

作業部１６は、作業を行う先端動作部１２と、操作指令部１４のアクチュエータブロック３０に対して接続される接続部１５と、これらの先端動作部１２と接続部１５とを連接する長尺で中空の連結シャフト４８とを有する。作業部１６は、アクチュエータブロック３０における所定の操作によって操作指令部１４から離脱可能であって、洗浄、滅菌及びメンテナンス等を行うことができる。 先端動作部１２及び連結シャフト４８は細径に構成されており、患者の腹部等に設けられた円筒形状のトラカール２０から体腔２２内に挿入可能であり、操作指令部１４の操作により体腔２２内において患部切除、把持、縫合及び結紮等の様々な手技を行うことができる。

操作指令部１４は、人手によって把持されるグリップハンドル２６と、該グリップハンドル２６の上部から延在するブリッジ２８と、該ブリッジ２８の先端に接続されたアクチュエータブロック３０とを有する。

グリップハンドル２６には、指で操作可能なトリガーレバー３２、第１指示レバー３４及び第２指示レバー３６が設けられている。トリガーレバー３２は、人差し指による引き寄せ動作が容易な位置に設けられている。

アクチュエータブロック３０には先端動作部１２が有する３自由度の機構に対応してモータ（アクチュエータ）４０、モータ４２及びモータ４４が連結シャフト４８の延在方向に沿って並列して設けられている。これらのモータ４０、４２及び４４は小型、細径であって、アクチュエータブロック３０はコンパクトな扁平形状に構成されている。アクチュエータブロック３０は、操作指令部１４のＺ１方向端部の下方に設けられている。また、モータ４０、４２及び４４は、操作指令部１４の操作に基づき、コントローラ４５の作用下に回転する。

接続部１５は、樹脂のカバー３７に覆われており、モータ４０、４２及び４４の駆動軸に係合して従動回転するプーリ５０ａ、５０ｂ及び５０ｃを回転自在に保持している。プーリ５０ａ、プーリ５０ｂ及びプーリ５０ｃには、ワイヤ（線体）５２、ワイヤ５４及びワイヤ５６が巻き掛けられており、連結シャフト４８の中空部分４８ａ（図３参照）を通って先端動作部１２まで延在している。ワイヤ５２、ワイヤ５４及びワイヤ５６はそれぞれ同種、同径のものを用いることができる。

先端動作部１２は、複合機構部１０２と、エンドエフェクタ１０４とを有する。ワイヤ５２、５４、５６は連結シャフト４８の先端で複合機構部１０２及びエンドエフェクタ１０４に動力を伝達している。

一方、図３に示すように、連結シャフト４８の先端には、左右側面に設けられた一対の視認孔（視認部）４９が設けられている。

図３に示すように、カバー１６０と連結シャフト４８との間には、歯車１３４や歯車１３８等が露呈する隙間５１が設けられている。

視認孔４９の前方は縦ブリッジ４９ａによって上下の舌片部５８が接続されている。縦ブリッジ４９ａとカバー１６０との間の隙間５１は狭く、各歯車等に対する異物（生体組織、薬剤、糸等）の侵入を相当に防止できる。

連結シャフト４８の先端部には先端方向に突出している一対の舌片部５８が連結シャフト４８の中心軸に対面して配設されている。連結シャフト４８の中空部分４８ａは、一対の舌片部５８の間の空間部に連通している。この一対の舌片部５８には、対抗する位置に軸孔６０、６０とが設けられている。舌片部５８の先端はそれぞれ円弧形状に形成されている。また、一対の舌片部５８の対抗する内側面は平行な平面に形成されている。２つの軸孔６０、６０は中心軸を挟むように設けられている。

図３に示すように、先端動作部１２はＹ方向の第１回転軸（ピボット軸）Ｏｙを中心にして、それよりも先の部分がヨー方向に回動する第１自由度と、第２回転軸Ｏｒを中心にしてロール方向に回動する第２自由度と、第３回転軸Ｏｇを中心として先端のエンドエフェクタ１０４を開閉させる第３自由度とを有する合計３自由度の機構となっている。

エンドエフェクタ１０４は、手術において実際の作業を行う部分であり、第１回転軸Ｏｙ及び第２回転軸Ｏｒは、作業を行い易いようにエンドエフェクタ１０４の姿勢を変えるためのものである。一般に、エンドエフェクタ１０４を開閉させる第３自由度に係る機構部をグリッパ軸とも呼ばれ、ヨー方向に回動する第１自由度に係る機構部をヨー軸とも呼ばれ、ロール方向に回動する第２自由度に係る機構部をロール軸とも呼ばれる。

図３、図４を参照しながら、複合機構部１０２及びエンドエフェクタ１０４について説明する。

複合機構部１０２は、一対の舌片部５８の間に設けられており、ワイヤ５２、ワイヤ５４及びワイヤ５６のそれぞれの往復動作を回転動作に変換し、エンドエフェクタ１０４の開閉動作と、該エンドエフェクタ１０４の姿勢を変化させる複合的な機構部である。複合機構部１０２は、軸孔６０、６０に挿入される軸（直交軸）１１２を有する。軸１１２は、６０に対して、例えば圧入若しくは溶接により固定される。軸１１２は第１回転軸Ｏｙの軸上に配置される。

複合機構部１０２は、さらに、Ｙ１方向からＹ２方向に向かって順に、軸１１２に対して回転自在に軸支される歯車体１２６と、主軸部材１２８と、歯車体１３０とを有する。

歯車体１２６は、筒体１３２と、該筒体１３２の上部に同心状に設けられた歯車１３４とを有する。筒体１３２にはワイヤ５６が１回転以上巻き掛けられており、ずれが生じないように一部が固定されている。

歯車体１３０は、歯車体１２６と略同形状であって、該歯車体１２６に対して上下反転に配置されている。歯車体１３０は、筒体１３６と、該筒体１３６の下部に同心状に設けられた歯車１３８とを有する。筒体１３６は筒体１３２と略同径、同形状である。筒体１３２にはワイヤ５４が１回転以上巻き掛けられており、ずれが生じないように一部が固定されている。

主軸部材１２８は、軸１１２が挿通する筒体１４０と、Ｚ１方向に延在する支持バー１４４とを有する。支持バー１４４は第２回転軸Ｏｒの軸上に配置される。支持バー１４４の先端部には雄ねじが設けられている。

筒体１４０にはワイヤ５２が挿通可能な孔１４６が設けられている。筒体１４０には該孔１４６を通してワイヤ５２が１回転以上巻き掛けられており、ずれが生じないように一部が固定されている。

主軸部材１２８は、ワイヤ５２の往復動作に伴って第１回転軸Ｏｙを中心としたヨー方向に回転し、支持バー１４４をＸＺ平面上で揺動させることができる。

主軸部材１２８は、ワイヤ５２の往復動作に伴って第１回転軸Ｏｙを中心としたヨー方向に回転し、支持バー１４４をＸＺ平面上で揺動させることができる。

複合機構部１０２は、さらにエンドエフェクタ１０４の開閉駆動及びロール方向の駆動をする機構部と、該機構部を覆うカバー１６０とを有する。

カバー１６０は、複合機構部１０２及びエンドエフェクタ１０４の各部品を保護するためのものである。カバー１６０は、Ｚ２方向の筒１８０と、該筒１８０の左右側方からＺ１方向に向かって突出している一対の片１８２とを有する。片１８２は、筒１８０の周壁の一部が緩やかな円錐状にＺ１方向に延在している形状である。カバー１６０の下部はカバー固定ピンによってエンドエフェクタ１０４の一部に固定されている。カバー１６０は正面視で連結シャフト４８と同径又は小径に設定されている。カバー１６０は、複合機構部１０２、エンドエフェクタ１０４を動作に支障のない範囲で略全域にわたり覆うように円筒や円錐形のカバーで構成してもよい。

このようなカバー１６０によれば、作業部としての複合機構部１０２及びエンドエフェクタ１０４に異物（生体組織、薬剤、糸等）が入り込むことが防止される。

作業部１６の先端動作部１２における視認孔４９について説明する。

図５に示すように、視認孔４９は筒体１３２、１３６、１４０を露呈する位置に設けられており、該筒体１３２、１３６、１４０に巻き掛けられたワイヤ５２、５４、５６の巻回部を特によく観察可能である。これにより、筒体１３２、１３６、１４０の近くで生じるワイヤ５２、５４、５６の素線の破断部６１を容易に確認することができる。ワイヤ５２、５４、５６は筒体１３２、１３６、１４０によって繰り返しの曲げ荷重を受けることから、他の部分よりも使用条件が厳しく、この近傍を見ることによりワイヤ５２、５４、５６の状態変化をいち早く検知できる。

視認孔４９は四隅が円弧形状となっている。該視認孔４９によれば、ワイヤ５２、５４、５６を視認可能であって、該ワイヤ５２、５４、５６の状態の変化を判断しやすい。したがって、ワイヤ５２、５４、５６が変化したときには作業部１６の使用を中止し又は所定のメンテナンスを適切に行うことができるとともに、状態が変化する以前に不必要に早期に使用を中止することを防止できる。視認孔４９は、端部が円弧形状となっていることから、手術の縫合に用いる糸が引っかかりにくく、内部に入り込みにくい。

なお、視認孔４９とは内部を視認するためのものであるから、物理的に貫通している孔である必要はなく、例えば透明体で塞がれていてもよい。

次に、ワイヤ５６、５４、５６の構成について４つ変形例を説明する。

図６に示すように、第１例に係るワイヤ２００は、前方ワイヤ（第１線体）２０２及び後方ワイヤ（第２線体）２０４からなる。前方ワイヤ２０２は、先端動作部１２において筒体１３２に巻き掛けられ、少なくとも一部が視認孔４９から視認されるように矢印Ｚ１方向の端部を含む部分に設けられている。後方ワイヤ２０４は、前方ワイヤ２０２の各端部に対してスリーブ２０６によって接続され、Ｚ２方向に向かって延在し、プーリ５０に巻き掛けられている。前方ワイヤ２０２と後方ワイヤ２０４との接続の手段は溶接等でもよい。

前方ワイヤ２０２の長さは、進退動作をしたときにスリーブ２０６が筒体１３２に接触しない程度の長さで、視認孔４９からは前方ワイヤ２０２のみが視認されて後方ワイヤ２０４は視認されず、かつ十分に短くするとよい。前方ワイヤ２０２は、後方ワイヤ２０４よりも外径及び破断荷重が小さく、例えば、外径が３／４倍程度、破断荷重が４／５倍程度である。もちろん、前方ワイヤ２０２は通常の動作には支障のない十分な強度を有する。

このようなワイヤ２００によれば、前方ワイヤ２０２が筒体１３２に巻き掛けられ、後方ワイヤ２０４がプーリ５０に巻き掛けられており、双方同程度の曲げ応力がかかるが、前方ワイヤ２０２は破断荷重が小さいことから、後方ワイヤ２０４よりも先に状態が変化し始める。つまり、ワイヤ２００は前方ワイヤ２０２の部分が先ず最初に状態の変化が生じるので、該前方ワイヤ２０２だけを観察すればよい。また、前方ワイヤ２０２は略全長が視認孔４９から視認可能であり、状態の変化を容易に確認することができる。前方ワイヤ２０２は後方ワイヤ２０４と比較して細径であることから先端動作部１２の機構をコンパクトにすることができる。

次に、第２例に係るワイヤ２１０は、前方ワイヤ（第１線体）２１２及び後方ワイヤ（第２線体）２１４からなる。ワイヤ２１０は、見かけ上ワイヤ２００と同じであることから図６においてワイヤ２００と共通的に示す。前方ワイヤ２１２及び後方ワイヤ２１４の長さは、前記の前方ワイヤ２０２及び後方ワイヤ２０４と同じに設定するとよい。

図７及び図８に示すように、前方ワイヤ２１２は後方ワイヤ２１４に対して略同径であるが、素線の構成が異なり、前方ワイヤ２１２は曲げ方向に比較的硬く、後方ワイヤ２１４よりも柔軟性がない。

図７に示すように、前方ワイヤ２１２は、７本のストランド２２０が撚り合わされて構成されており、各ストランド２２０は７本の素線２２２が撚り合わされて構成されている。なお、図７におけるストランド２２０を示す仮想線は、説明の便宜上のものである。以下、同様である。

図８に示すように、後方ワイヤ２１４は、７本のストランド２２４が撚り合わされて構成されており、各ストランド２２４は１９本の素線２２６が撚り合わされて構成されている。

つまり、前方ワイヤ２１２は４９本の素線２２２から構成されており、後方ワイヤ２１４は１３３本の素線２２６から構成されており、素線２２６は素線２２２よりも相当に細径である。したがって、曲げ荷重が加わるときには、素線単位では前方ワイヤ２１２の素線２２２の方が後方ワイヤ２１４の素線２２６よりも大きな力が加わることになり、前方ワイヤ２１２の方が柔軟性が小さい。

このようなワイヤ２１０によれば、前方ワイヤ２１２が筒体１３２に巻き掛けられ、後方ワイヤ２１４がプーリ５０に巻き掛けられており、双方同程度の曲げ応力がかかるが、前方ワイヤ２１２は柔軟性が小さいことから、後方ワイヤ２１４よりも先に状態が変化し始める。つまり、ワイヤ２１０は前方ワイヤ２１２の部分が先ず最初に状態の変化が生じるので、該前方ワイヤ２１２だけを観察すればよい。

前方ワイヤ２１２の素線２２２と後方ワイヤ２１４の素線２２６は、それぞれ同一径である必要はなく、複数の径の素線から構成されている場合には、平均径で比較して素線２２２の方が素線２２６よりも細径になっていればよい。

図９に示すように、第３例に係るワイヤ２３０は、７本のストランド２３２が撚り合わされて構成されており、各ストランド２３２は７本の素線２３４が撚り合わされて構成されている。７本の素線２３４のうち、中央の素線２３４ａは撚りがなく、他の６本の素線２３４ｂが素線２３４ａの周囲を取り巻いて撚られている。つまり、周囲の素線２３４ｂは表面に表れ、中央の素線２３４ａは表面に表れない。

周囲の素線２３４ｂの表面は金属の地色となっている。図１０に示すように、中央の素線２３４ａは着色被膜（例えば、樹脂被膜）が設けられており表面が赤色である。以下、図面上では赤色をクロスハッチングで示す。この着色被膜は、生体に害のない材質で構成されていればよく、目立つ色であることが望ましい。

このようなワイヤ２３０によれば、使用により状態が変化して素線２３４ｂが破断すると、図１１に示すように破断部２３６から内部の中央の素線２３４ａの赤色が認識可能となり、他の素線２３４ｂの金属色と著しいコントラストをなし、該破断部２３６を容易に確認可能である。このような破断部２３６は先端部分で発生しやすく、視認孔４９から確認することができる。

なお、表面に表れない素線２３４ｂについて全て赤色にする必要はなく、少なくとも一部の素線２３４ｂを赤色にすればよく、例えば中央のストランド２３２における素線２３４ｂについては、着色しなくてもよい。

図１２に示すように、第４例に係るワイヤ２４０は、７本のストランド２４２が撚り合わされて構成されており、各ストランド２４２は７本の素線２４４が撚り合わされて構成されている。７本のストランド２４２のうち、中央のストランド２４２ａは撚りがなく、他の６本のストランド２４２ｂがストランド２４２ａの周囲を取り巻いて撚られている。７本の素線２４４のうち、中央の素線２４４ａは撚りがなく、他の６本の素線２４４ｂが素線２４４ａの周囲を取り巻いて撚られている。つまり、周囲のストランド２４２ｂは表面に表れ、中央のストランド２４２ａは表面に表れない。周囲の素線２４４ｂは表面に表れ、中央の素線２４４ａは表面に表れない。

周囲のストランド２４２ｂにおける周囲の素線２４４ｂの表面は金属の地色となっている。周囲のストランド２４２ｂにおける中央の素線２４４ａは着色被膜が設けられており、表面が黄色（第１色）である。着色被膜は図１０と同構成である。

中央のストランド２４２ａにおける各素線２４４ｃは着色被膜が設けられており、表面が赤色（第２色）である（図１０参照）。ストランド２４２ａは、素線単位ではなくストランド２４２ａ自体に赤の着色被膜を設けてもよい。

このような、ワイヤ２４０によれば、使用により状態が変化して素線２４４ｂが破断すると、内部の中央の素線２４４ａの黄色が認識可能となり、他の素線２４４ｂの金属色と著しいコントラストをなし、該破断部を容易に確認可能である。ところが、表面のストランド２４２ｂにおける素線２４４ｂの１本だけが破断しても、強度上は特に問題はなく使用を継続することができ、破断箇所（黄色の視認箇所）が多くなって所定の基準を超えたときに作業部１６の使用を中止するなどの所定の処置をとる。

一方、ストランド２４２は１本でも破断すれば、作業部１６の使用を中止する。この場合、中央のストランド２４２ａの赤色が視認可能となることから、使用中止時期を容易に認識可能である。

つまり、ワイヤ２４０では、使用中止時期が近づいていることと、実際の使用中止時期とを異なる色で段階的に示すことができる。もちろん、中央のストランド２４２ａの赤色が視認されなくても、素線２４４ａの黄色の箇所が増えれば、使用を中止する。

各素線やストランドに対する着色は、赤色、黄色に限らず、素線の地色と実質的に異なる色であればよく、例えば、マンセル表色系の色相で１０色相以上、明度及び彩度で３以上異なる色であればよい。

図９及び図１２においては、模式的に断面上でクロスハッチングを赤色、片ハッチングを黄色として示すが、実際は断面ではなく表面が赤色又は黄色である。

上述したように、本実施の形態に係る医療用のマニピュレータ１０における先端動作部１２では、連結シャフト４８の先端部近傍に視認孔４９を設けることにより、該視認孔４９からワイヤ５２〜５６、２００、２１０、２３０、２４０を視認可能であって、これらのワイヤの状態変化を判断しやすい。

作業部１６は、人手で操作をする操作指令部１４に接続されるものとして説明したが、例えば図１３に示すような手術用ロボットシステム７００に適用してもよい。

手術用ロボットシステム７００は、多関節型のロボットアーム７０２と、コンソール７０４とを有し、作業部１６はロボットアーム７０２の先端に接続されている。ロボットアーム７０２の先端には前記のアクチュエータブロック３０と同じ機構を設けることにより、作業部１６を接続及び駆動可能である。この場合のマニピュレータ１０は、ロボットアーム７０２と作業部１６とからなる。ロボットアーム７０２は、作業部１６を移動させる手段であればよく、据置型に限らず、例えば自律移動型でもよい。コンソール７０４は、テーブル型、制御盤型等の構成を採りうる。

ロボットアーム７０２は、独立的な６以上の関節（回転軸やスライド軸等）を有すると、作業部１６の位置及び向きを任意に設定できて好適である。先端のアクチュエータブロック３０は、ロボットアーム７０２の先端部７０８と一体化している。

ロボットアーム７０２は、コンソール７０４の作用下に動作し、プログラムによる自動動作や、コンソール７０４に設けられたジョイスティック７０６に倣った操作、及びこれらの複合的な動作をする構成にしてもよい。コンソール７０４は、前記のコントローラ４５の機能を含んでいる。

コンソール７０４には、前記操作指令部１４のうちアクチュエータブロック３０を除いた機構の操作指令部としての２つのジョイスティック７０６と、モニタ７１０が設けられている。図示を省略するが、２つのジョイスティック７０６により、２台のロボットアーム７０２を個別に操作が可能である。２つのジョイスティック７０６は、両手で操作しやすい位置に設けられている。モニタ７１０には、内視鏡による画像等の情報が表示される。

ジョイスティック７０６は、上下動作、左右動作、捻り動作、及び傾動動作が可能であり、これらの動作に応じてロボットアーム７０２を動かすことができる。また、グリップハンドル２６に設けられたトリガーレバー３２、第１指示レバー３４及び第２指示レバー３６により、操作指令部１４と同様の操作が可能である。ジョイスティック７０６はマスターアームであってもよい。ロボットアーム７０２とコンソール７０４との間の通信手段は、有線、無線、ネットワーク又はこれらの組合わせでよい。先端動作部１２の左右側方には、前記の視認孔４９が設けられている。

本発明に係る医療用マニピュレータの作業機構は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。

マニピュレータの斜視図である。 作業部と操作指令部とを分離したマニピュレータの側面図である。 マニピュレータにおける作業部の斜視図である。 作業部の一部分解斜視図である。 視認孔の斜視図である。 第１及び第２の変形例に係るワイヤの模式平面図である。 前方ワイヤの断面図である。 後方ワイヤの断面図である。 第３の変形例に係るワイヤの断面図である。 素線の一部の拡大斜視図である。 素線の１本が破断した第３の変形例に係るワイヤの模式図である。 第４の変形例に係るワイヤの断面図である。 作業部をロボットアームの先端に接続した手術用ロボットシステムの概略斜視図である。

符号の説明

１０…医療用のマニピュレータ １２…先端動作部
１４…操作指令部 １６…作業部
４０、４２、４４…モータ ４８…連結シャフト
４９…視認孔 ４９ａ…縦ブリッジ
５０、５０ａ〜５０ｃ…プーリ
５２、５４、５６、２００、２１０、２３０、２４０…ワイヤ
６１、２３６…破断部 １０２…複合機構部
１０４…エンドエフェクタ １３２、１３６、１４０…筒体（回転体）
２０２、２１２…前方ワイヤ（第１線体）
２０４、２１４…後方ワイヤ（第２線体）
２０６…スリーブ
２２０、２２４、２３２、２４２、２４２ａ、２４２ｂ…ストランド
２２２、２２６、２３４、２３４ａ、２３４ｂ、２４４、２４４ａ〜２４４ｃ…素線
７００…手術用ロボットシステム

Claims (9)

1. アクチュエータに連動して進退する線体と、
   前記線体が挿入されている中空のシャフトと、
   前記シャフトの先端に設けられ、前記線体の進退によって動作する先端動作部と、
   前記シャフトの先端部近傍に設けられ、前記線体を露呈する視認部と、
   を有することを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
2. 請求項１記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   前記線体は、前記先端動作部において回転体に巻き掛けられており、前記視認部は前記回転体の少なくとも後方部分を露呈する位置に設けられていることを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
3. 請求項１又は２記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   前記線体は、前記先端動作部において回転体に巻き掛けられ、少なくとも一部が前記視認部から視認される第１線体と、
   前記第１線体の各端部に接続され前記アクチュエータに向かって延在する第２線体と、
   を有し、
   前記第１線体は、前記第２線体よりも破断荷重が小さいことを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
4. 請求項１又は２記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   前記線体は、前記先端動作部において回転体に巻き掛けられ、少なくとも一部が前記視認部から視認される第１線体と、
   前記第１線体の各端部に接続され前記アクチュエータに向かって延在する第２線体と、
   を有し、
   前記第１線体の平均素線径は、前記第２線体の平均素線径よりも大きいことを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   前記線体は、複数の素線が撚り合わされて構成されており、複数の前記素線のうち表面に表れるものに対して、表面に表れない素線の少なくとも１本を異なる色にすることを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
6. 請求項５記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   表面に表れる素線に対して異なる色の前記素線には、該色の樹脂の被覆が設けられていることを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
7. 請求項１〜６のいずれか１項に記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   前記線体は、複数のストランドが撚り合わされて構成されており、複数の前記ストランドのうち表面に表れるものに対して、表面に表れないストランドの少なくとも１本を異なる色にすることを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
8. 請求項７記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   表面に表れるストランドに対して異なる色の前記ストランドには、該ストランド自体又はその素線に該色の樹脂の被覆が設けられていることを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。
9. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の医療用マニピュレータの作業機構において、
   前記線体は、複数のストランドが撚り合わされて構成されており、
   前記ストランドは、複数の素線が撚り合わされて構成されており、
   複数の前記素線のうち表面に表れる素線に対して、表面に表れない素線の少なくとも１本を異なる第１色にし、
   複数の前記素線のうち表面に表れる素線及び前記第１色の素線に対して、表面に表れないストランドの少なくとも１本を異なる第２色にすることを特徴とする医療用マニピュレータの作業機構。

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