ところが、従来のように、医用画像をローカルな記憶装置に蓄積した場合には、次の問題点がある。
(1)MR画像やCT画像は、データ量が比較的大きい。例えば、256×256ドット,2バイト階調のMR画像のデータ量は、128キロバイトである。ところが、ローカルな記憶装置は、コスト面の制約などから、一般的な病院での使用に耐える程度の記憶容量しか持たないことが多く、撮影枚数が特に多い病院や画像保存期間が特に長い病院での使用に十分対応し難い。例えば、1病院内に3台のMRI装置が設置され、各MRI装置で1日あたり1000枚(=患者数を20、1患者あたり撮影枚数を50と想定)の撮影を行った場合、データ量は、1日あたりの128メガバイト,1年あたり(稼働日を300日と想定)のデータ量は37.5ギガバイドにもなり、記憶容量が小さい機器では多年に亘るMR画像を蓄積,管理することが難しくなる。
(2)医用情報提供システムを利用するためには、送信側と受信側とが契約している必要がある。換言すれば、相手の数だけ契約を結ぶ必要があり、煩雑である。このため、事実上、相手が少数に制限されている。
(3)医用情報提供システムを利用するためには、端末で相手アドレスを入力して接続する必要がある。しかし、相手が多数になると操作者が相手アドレスを覚えきれなくなるため、いちいち相手アドレスを調査する手間がかかり、煩雑である。このため、事実上、相手が少数に制限されている。
また、医用画像診断装置が、医用画像に対する画像処理を行う場合には、次の問題点がある。
(1)被検体に対する撮影処理中に画像処理を行うと、いずれか一方または両方の処理速度が低下する可能性があり、その場合に、処理時間が長くなってしまう。
(2)画像処理プログラムを医用画像診断装置に個別にインストールする必要がある。換言すれば、画像処理の利用者が画像処理プログラムの購入者に限定される。
さらに、従来のように、医用画像診断装置の医用ソフトウェアを各病院で個別に管理した場合には、次の問題点がある。
(1)新たな医用ソフトウェアがリリースされる度に、病院が個別にインストールしなければならないので、手間がかかる。また、ソフトウェアのバージョン管理を病院側で行う必要があり、負担が重い。
(2)パッチソフトウェアを記憶した記憶媒体(FDや,MOなど)を病院側が入手してからでないと、医用ソフトウェアの更新ができないので、更新時期がリリース時点から遅れてしまう。特に、新たなハードウェアを導入した場合(例えばMRI装置に新たなタイプのRFコイルが導入されたとき)に不都合である。
そこで、本発明の第1の目的は、医用画像の記憶における記憶容量の制約を軽減すると共に、煩雑な契約や調査を要さずに、多数の相手に、ネットワークを介して、医用画像を配信することができる医用画像提供方法およびシステムを提供することにある。また、そのためのサーバー装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、画像処理の負担を軽減すると共に、画像処理が施された医用画像を手軽に入手できる医用画像提供システムを提供することにある。さらに、本発明の第3の目的は、医用画像診断装置の設置先で医用ソフトウェアを管理する負担を軽減すると共に、常に最新の医用ソフトウェアを即座に実行できる医用ソフトウェア提供方法およびシステムを提供することにある。また、そのためのサーバー装置を提供することにある。
第1の観点では、本発明は、医用画像を登録可能な登録加入者と,医用画像を受信可能な受信加入者と,医用画像を集中管理するサーバー装置とをネットワークで接続し、前記サーバー装置が前記登録加入者から送られた医用画像をデータベース登録すると共に該医用画像を前記受信加入者に配信することを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第1の観点による医用画像提供方法では、ネットワークを介して登録加入者から送られた医用画像をサーバー装置がデータベース登録するので、登録加入者のローカルな記憶容量の不足によって医用画像の保存枚数が制約されることが防止される。すなわち、サーバー装置は、通常、極めて大容量の記憶情報を取り扱えること及び記憶媒体の保守性や拡張性を良好ならしめることを前提として設計されているので、記憶容量の制約が事実上なくなり、過去に撮影された多数の医用画像を効率よく蓄積できるようになる。また、サーバー装置が、ネットワークを介して、受信加入者に対し医用画像を配信するので、煩雑な契約や調査を要さずに、多数の相手に対しても、医用画像を配信することができる。
第2の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供方法において、前記医用画像はMRI(Magnetic Resonance Imaging)、X線CT(Computed Tomography)、超音波、PET(Positron Emission computed Tomography)、デジタル化されたX線(デジタルX線撮影およびX線フイルムのデジタル化)およびCR(Computed Radiography)の少なくとも一つに係る画像であることを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第2の観点による医用画像提供方法では、各種の医用画像(MRI、X線CT、超音波、PET、デジタル化されたX線およびCRに係る画像)を効率よく蓄積し、配信できるようになる。
第3の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供方法において、医用画像をそのデータ量を圧縮してネットワーク上を伝送し、受け取り先で元のデータに解凍することを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第3の観点による医用画像提供方法では、データ量を圧縮して医用画像を伝送するので、伝送時間を短縮できるようになる。
第4の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供方法において、前記登録加入者または前記受信加入者の正当性を前記サーバー装置がチェックすることを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第4の観点による医用画像提供方法では、登録加入者または受信加入者の正当性をサーバー装置がチェックするので、登録加入者以外の第三者による不正登録や,受信加入者以外の第三者への不正配信を防止することが出来る。
第5の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供方法において、前記サーバー装置がデータベース登録された医用画像をバックアップすることを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第5の観点による医用画像提供方法では、サーバー装置がデータベース登録された医用画像をバックアップするので、障害発生時の医用画像の遺失を防止して、信頼性を向上できる。また、登録加入者が個別にバックアップを行う必要がないので、登録加入者の負担を軽減できる。
第6の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供方法において、前記受信加入者は、ハードコピー装置に画像識別情報を含むフォーマット情報を送り、前記ハードコピー装置が前記ネットワークを介して前記サーバー装置から前記画像識別情報に対応する医用画像の配信を受けて医用画像をハードコピーすることを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第6の観点による医用画像提供方法では、ハードコピー装置に画像識別情報を含むフォーマット情報を送れば、ハードコピー装置がネットワークを介してサーバー装置から医用画像の配信を受けて医用画像をハードコピーするので、ハードコピー装置以外の装置を短時間で解放して他の処理を行わせることが可能となる。
第7の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供方法において、前記サーバー装置が前記ネットワークを介して医用画像の配信先に該医用画像の撮影条件を送ることを特徴とする医用画像提供方法を提供する。上記第7の観点による医用画像提供方法では、サーバー装置がネットワークを介して医用画像の配信先に医用画像の撮影条件を送るので、配信先に設置された医用画像診断装置で過去と同一の撮影条件での撮影を再設定の手間なしに行えるようになる。
第8の観点では、本発明は、医用ソフトウェアを実行可能な実行加入者と,医用ソフトウェアを集中管理するサーバー装置とをネットワークで接続し、前記サーバー装置が医用ソフトウェアをデータベース登録すると共に該医用ソフトウェアを前記実行加入者に配信することを特徴とする医用ソフトウェア提供方法を提供する。上記第8の観点による医用ソフトウェア提供方法では、サーバー装置が、ネットワークを介して、データベース登録された医用ソフトウェアを実行加入者に配信するので、医用画像診断装置の設置先で医用ソフトウェアを管理する負担を軽減すると共に、最新の医用ソフトウェアを実行できるようになる。
第9の観点では、本発明は、上記構成のネットワークを介して接続された登録加入者から医用画像の登録が要求されたら該医用画像をデータベース登録する医用画像登録手段と、前記ネットワークを介して接続された受信加入者から医用画像の配信が要求されたら前記データベースから医用画像を読み出して該受信加入者に配信する医用画像配信手段とを具備することを特徴とする医用画像集中管理サーバー装置を提供する。上記第9の観点による医用画像集中管理サーバー装置は、上記第1の観点による医用画像提供方法に用いるサーバー装置として好適である。
第10の観点では、本発明は、ネットワークを介して接続された登録加入者から医用画像の登録が要求されたら該医用画像およびその撮影条件をデータベース登録する医用画像・撮影条件登録手段と、前記ネットワークを介して接続された受信加入者から医用画像の配信が要求されたら前記データベースから医用画像および撮影条件を読み出して前記受信加入者に配信する医用画像・撮影条件配信手段とを具備することを特徴とする医用画像集中管理サーバー装置を提供する。上記第10の観点による医用画像集中管理サーバー装置は、上記第7の観点による医用画像提供方法に用いるサーバー装置として好適である。
第11の観点では、本発明は、ネットワークを介して接続され且つ医用ソフトウェアを実行可能な実行加入者ごとの医用ソフトウェアをデータベース登録する医用ソフトウェア登録手段と、前記実行加入者からのアクセスに応じて前記医用ソフトウェア(またはその実行結果)を前記実行加入者に配信する医用ソフトウェア配信手段とを具備することを特徴とする医用ソフトウェア集中管理サーバー装置を提供する。上記第11の観点による医用ソフトウェア集中管理サーバー装置は、上記第8の観点による医用ソフトウェア提供方法に用いるサーバー装置として好適である。
第12の観点では、本発明は、ネットワークを介して医用画像を登録可能な登録加入者と、ネットワークを介して医用画像を受信可能な受信加入者と、前記登録加入者から送られた医用画像をデータベース登録すると共に該医用画像を前記受信加入者に配信するサーバー装置とを具備することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第12の観点による医用画像提供システムでは、上記第1の観点による医用画像提供方法を好適に実施できる。
第13の観点では、本発明は、ネットワークを介して医用画像を送受信可能な送受信加入者と,前記医用画像に画像処理を施して前記送受信加入者へ返す画像処理サーバー装置とを具備したことを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第13の観点による医用画像提供システムでは、ネットワークを介して送受信加入者から送られた医用画像に対し画像処理サーバー装置が画像処理を施した結果を送受信加入者へ返すので、送受信加入者が画像処理を行う必要がなくなる。したがって、送受信加入者の負担を軽減することが可能となり、他の処理の速度が低下する不都合を防止することが出来る。また、送受信加入者が個別に画像処理プログラムを購入したり,インストールしたりする手間がかからないので、画像処理が施された結果を手軽に入手できるようになる。
第14の観点では、本発明は、ネットワークを介して医用画像を送信可能な送信加入者と,ネットワークを介して医用画像を受信可能な受信加入者と,前記送信加入者から送られた医用画像に画像処理を施して前記受信加入者へ送る画像処理サーバー装置とを具備したことを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第14の観点による医用画像提供システムでは、ネットワークを介して送信加入者から送られた医用画像に対し画像処理サーバー装置が画像処理を施した結果を受信加入者へ送るので、送信加入者や受信加入者が画像処理を行うことなく、必要な画像処理が施された医用画像を入手できるようになる。また、画像処理サーバー装置が、ネットワークを介して、多数の受信加入者へ医用画像を配信することも可能なので、効率的である。
第15の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記送受信加入者と,前記送信加入者と,前記受信加入者の少なくともいずれかを複数具備したことを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第15の観点による医用画像提供システムでは、複数の送受信加入者や送信加入者から、画像処理サーバー装置に医用画像を送ることが出来る。また、複数の送受信加入者や受信加入者が、画像処理サーバー装置から画像処理が施された医用画像を入手できるようになる。
第16の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記画像処理サーバー装置を複数具備し、前記画像処理サーバー装置で処理を分散することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第16の観点による医用画像提供システムでは、複数の画像処理サーバー装置で負荷の分散を図り、処理効率を向上することが出来る。
第17の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記送受信加入者と,前記送信加入者と,前記受信加入者の少なくともいずれかは、前記画像処理サーバー装置に対し画像処理の種類を指定することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第17の観点による医用画像提供システムでは、送受信加入者,送信加入者,受信加入者が、多種の画像処理のうちから必要な画像処理を選択して、画像処理サーバー装置に行わせることが出来る。
第18の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記画像処理サーバー装置は、前記送受信加入者または前記受信加入者に対し処理済みの画像処理の種類を通知することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第18の観点による医用画像提供システムでは、送受信加入者または受信加入者が、医用画像に施された画像処理の種類を正しく認識することが可能となり、信頼性を向上できる。
第19の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記画像処理サーバー装置は、前記画像処理を完了したら前記送受信加入者または前記受信加入者との通信を確立して画像処理済みの医用画像を該送受信加入者または受信加入者へ送ることを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第19の観点による医用画像提供システムでは、画像処理完了後に、画像処理サーバー装置が、送受信加入者または受信加入者との通信を確立して画像処理済みの医用画像を送るので、ネットワークの使用時間を短縮して通信コストを節減できる。
第20の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記送受信加入者または前記受信加入者は、前記ネットワークを介して前記画像処理サーバー装置に対し画像処理済みの医用画像を要求して該医用画像を受け取ることを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第20の観点による医用画像提供システムでは、送受信加入者または受信加入者が、画像処理サーバー装置に対して画像処理済みの医用画像を要求するので、画像処理サーバー装置が送受信加入者または受信加入者との通信を確立する処理を不要にできる。
第21の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記画像処理サーバー装置は、画像処理前の医用画像および画像処理済みの医用画像の少なくとも一方を保存することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第21の観点による医用画像提供システムでは、画像処理サーバー装置が、過去に撮影された多数の医用画像や,それらに画像処理を施した医用画像を保存して、送受信加入者や受信加入者の利用に供することが出来る。
第22の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記送受信加入者または前記受信加入者は、前記画像処理サーバー装置に保存された医用画像の一部または全部についての画像処理を該画像処理サーバー装置に要求し、前記画像処理サーバー装置から画像処理済みの医用画像を受け取ることを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第22の観点による医用画像提供システムでは、送受信加入者または受信加入者が、画像処理サーバー装置に保存された医用画像についての画像処理を要求するので、画像処理の度に元の医用画像をいちいち送る必要がなくなり、処理時間を短縮することが出来る。
第23の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記画像処理サーバー装置は、前記ネットワークを介して送受信加入者または前記送信加入者を巡回して画像処理前の医用画像を収集することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第23の観点による医用画像提供システムでは、画像処理サーバー装置が、送受信加入者または送信加入者を巡回して画像処理前の医用画像を収集するので、送受信加入者や送信加入者が元の医用画像を画像処理サーバー装置へ送信する手間を節減することが出来る。
第24の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記医用画像はMRI、X線CT、超音波、PET、デジタル化されたX線およびCRの少なくとも一つに係る画像であることを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第24の観点による医用画像提供システムでは、各種の医用画像(MRI、X線CT、超音波、PET、デジタル化されたX線およびCRに係る画像)を効率よく蓄積して配信したり、各種の医用画像に画像処理を施したりできるようになる。
第25の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、医用画像をそのデータ量を圧縮してネットワーク上を伝送し、受け取り先で元のデータに解凍することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第25の観点による医用画像提供システムでは、データ量を圧縮して医用画像を伝送するので、伝送時間を短縮できるようになる。
第26の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記サーバー装置は、前記登録加入者または前記受信加入者の正当性をチェックするセキュリティ手段を具備することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第26の観点による医用画像提供システムでは、加入者の正当性をサーバー装置がチェックするので、正規の加入者以外の第三者による不正登録,不正送信,不正受信を防止することが出来る。
第27の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記サーバー装置は、データベース登録された医用画像をバックアップするバックアップ手段を具備することを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第27の観点による医用画像提供システムでは、サーバー装置がデータベース登録された医用画像をバックアップするので、障害発生時の医用画像の遺失を防止して、信頼性を向上できる。また、登録加入者が個別にバックアップを行う必要がないので、登録加入者の負担を軽減できる。
第28の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記受信加入者は、ハードコピー装置に画像識別情報を含むフォーマット情報を送り、前記ハードコピー装置が前記ネットワークを介して前記サーバー装置から送られた医用画像をハードコピーすることを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第28の観点による医用画像提供システムでは、ハードコピー装置に画像識別情報を含むフォーマット情報を送れば、ハードコピー装置がネットワークを介してサーバー装置から送られた医用画像をハードコピーするので、ハードコピー装置以外の装置を短時間で解放して他の処理を行わせることが可能となる。
第29の観点では、本発明は、上記構成の医用画像提供システムにおいて、前記サーバー装置が前記ネットワークを介して医用画像の宛先に該医用画像の撮影条件を送ることを特徴とする医用画像提供システムを提供する。上記第29の観点による医用画像提供システムでは、サーバー装置がネットワークを介して医用画像の宛先に医用画像の撮影条件を送るので、該宛先に設置された医用画像診断装置で過去と同一の撮影条件での撮影を再設定の手間なしに行えるようになる。
第30の観点では、本発明は、ネットワークを介して医用ソフトウェアを実行可能な実行加入者と、医用ソフトウェアをデータベース登録すると共に前記ネットワークを介して該医用ソフトウェアを前記実行加入者に配信するサーバー装置とを具備することを特徴とする医用ソフトウェア提供システムを提供する。上記第30の観点による医用ソフトウェア提供システムでは、上記第8の観点による医用ソフトウェア提供方法を好適に実施できる。
本発明の医用画像提供方法、医用画像集中管理サーバー装置および医用画像提供システムによれば、医用画像をサーバー装置のデータベースで集中管理し、ネットワークを介して必要な医用画像を配信するので、医用画像診断装置の設置先で医用画像(およびその記憶装置)を個別に管理する手間を節減できる。また、本発明の医用画像提供システムによれば、画像処理サーバー装置が医用画像に画像処理を施した結果を画像処理サービスの加入者(不特定者が暫定的に加入者となってもよいし、特定の契約者が加入者となってもよい)へ送るので、医用画像診断装置で画像処理プログラムを実行する場合に生じる不都合(例えば処理速度低下,購入やインストールの手間)を解消すると共に、必要な画像処理を施された医用画像を各加入者が随時入手できるようになる。さらに、本発明の医用ソフトウェア提供方法、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置および医用ソフトウェア提供システムによれば、医用ソフトウェアをサーバー装置のデータベースで集中管理し、ネットワークを介して必要な医用ソフトウェアを配信するので、医用画像診断装置の設置先で医用ソフトウェア(およびその記憶装置)を個別に管理する手間を節減できる。
</SDO>
以下、図に示す実施の形態により本発明を詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
−第1の実施形態−
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる医用画像提供システム1000を示すブロック図である。この医用画像提供システム1000は、インターネット,LAN(Local AreaNetwork),WAN(Wide Area Network)のようなネットワーク1と、そのネットワーク1に接続されたA病院21,B病院22,C病院23,D病院24,E病院25と,SR1個人31,SR2個人32および医用画像集中管理サーバー装置100を具備して構成されている。なお、前記ネットワーク1の伝送媒体は、有線,無線,それらの組み合わせのいずれでもよい。なお、ネットワーク1がインターネットの場合、前記医用画像集中管理サーバー装置100の利用を契約していない端末である非加入者50もネットワーク1に接続している。また、セキュリティの観点から、SSL(SecureSocket Layer Protocol)等を利用するのが好ましい。
前記A病院21には、MRI装置(A_MRI#1,A_MRI#2)と,CT装置(A_CT#1)と、X線撮影装置(A_X#1)が設置されている。前記B病院22には、MRI装置(B_MRI#1)が設置されている。前記C病院23には、MRI装置(C_MRI#1)と,CT装置(C_CT#1)が設置されている。前記D病院24には、MRI装置(D_MRI#1,D_MRI#2,D_MRI#3)が設置されている。なお、いずれかの病院に、上記装置に代えて又は加えて、超音波診断装置、PET装置、CR装置の少なくとも一つを設置してもよい。
医用画像集中管理サーバー装置100は、通信部10Aと,入力部10Bと,出力部10Cと,セキュリティ管理部10Dと,データ圧縮/解凍部10Eと,バックアップ制御部10Fと,医用画像データベース管理部10Gおよび医用画像データベース101とを具備しており、医用画像集中管理プログラムの制御下で動作している。なお、前記医用画像データベース101の記憶媒体は、例えば大容量ハードディスクである。
前記A病院21およびB病院22は、それぞれ医用画像集中管理サーバー装置100の登録加入者および受信加入者として契約しており、医用画像集中管理サーバー装置100の管理者から配布された記憶媒体(CD−ROM、FDなど)に記録された登録・受信加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された登録・受信加入者用プログラムを各端末で実行することにより登録加入者および受信加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用画像を登録すること及び医用画像を受信することが可能である。なお、“・”は、「および」を意味する記号である(α・βは、αおよびβを意味する)。
前記C病院23は、医用画像集中管理サーバー装置100の登録加入者として契約しており、医用画像集中管理サーバー装置100の管理者から配布された記憶媒体に記録された登録加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された登録加入者用プログラムを端末で実行することにより登録加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用画像を登録することが可能である。
前記D病院24,E病院25,SR1個人31およびSR2個人32は、医用画像集中管理サーバー装置100の受信加入者として契約しており、医用画像集中管理サーバー装置100の管理者から配布された記憶媒体に記録された受信加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された受信加入者用プログラムを各端末で実行することにより受信加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用画像を受信することが可能である。
前記医用画像集中管理サーバー装置100の管理者は、登録加入者が保持する医用画像を登録し、受信加入者が要求する医用画像を配信する内容の契約を登録加入者および受信加入者と個々に結んでいる。この契約の反射として、加入者間では相互に契約を結んでいない(結ぶ必要がない)。そして、該医用画像集中管理サーバー装置100は、登録加入者が保持する医用画像のデータベース登録をネットワーク1を介して行うと共に、受信加入者からの配信要求に従ってネットワーク1を介して医用画像を転送する。また、セキュリティの管理も行っている。
前記医用画像集中管理サーバー装置100の管理者は、加入者情報を保持している。この加入者情報の作成・更新は、次のように行なう。
(1)新規加入者は、前記管理者と契約し、契約内容に応じたプログラムを記憶した記憶媒体を受け取る。または、前記プログラムをネットワーク1を介してダウンロードする。
(2)新規加入者がプログラムをインストールし最初に起動した時に自動的にネットワーク1を介して医用画像集中管理サーバー装置100に加入者情報の更新を要求する。すると、医用画像集中管理サーバー装置100では、新規の加入者を加入者情報に加える。
(3)加入者の契約解除に基づいて医用画像集中管理サーバー装置100が当該加入者を加入者情報から削除する。
なお、前記管理者は、契約時に加入料を受け取る。また、加入者情報の保守更新などのサービスに対する管理料を、一定期間ごとに、又は、不定期に受け取る。さらに、前記プログラムの販売も行う。さらに、医用画像の登録に供した記憶容量に応じた登録料を登録加入者から受け取る(登録料に応じた記憶容量を予め割り当てると共に該割り当て容量および使用済容量を登録加入者に通知してもよいし、使用中の記憶容量に応じて登録料を請求してもよい)。さらにまた、医用画像の配信回数に応じた配信料を受信加入者から受け取る。
図2は、登録加入者が医用画像集中管理サーバー装置100の医用画像データベース101に医用画像を登録する処理を示すフロー図である。左側のフローは、登録加入者のフローである(登録加入者としてA病院21を想定する)。右側のフローは、医用画像集中管理サーバー装置100のフローである。ステップa1では、A病院21は、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置100に対し、医用画像(MRI画像,CT画像,X線画像のいずれか)の登録を要求する。なお、医用画像は、患者診断用の臨床画像でもよいし、医学教育用のサンプル画像でもよい。
ステップs1では、医用画像集中管理サーバー装置100は、前記医用画像登録要求を受信する。ステップs2では、医用画像集中管理サーバー装置100のセキュリティ管理部10Dは、認証技術等を用いて、前記医用画像登録要求の正当性をチェックし、正当でなければステップs3へ進み、正当であればステップs4へ進む。この正当性のチェックは、ネットワークアドレスや電話番号のチェック、パスワードのチェック、IDカードのチェックなど、公知の通信回線接続用の正当性チェック方法を用いる。さらに、A病院21の端末に図示せぬ代金請求画面を表示して接続料を請求し、預金口座からの振込やクレジットカードや支払い代行サービスで支払う操作を前記代金請求画面でA病院21の操作者が行ったなら正当とし、行われなかったなら正当でないと見なす。ステップs3では、通信回線を切断する。ステップs4では、医用画像集中管理サーバー装置100は、ネットワーク1を介して、A病院21に対し、医用画像を要求する。
ステップa2では、A病院21は、前記医用画像要求を受信する。ステップa3では、A病院21は、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置100に対し、登録したい医用画像(含、画像識別情報)を送信する。前記画像識別情報は、画像IDでもよいし、患者IDと撮影日時と医用画像診断装置の装置IDの組み合わせ情報等でもよい。この際、データ伝送時間を短縮するために、医用画像のデータ量を可逆的な圧縮方式で圧縮したデータを送信してもよい。前記圧縮方式は、例えば可逆方式のJPEG(Joint Photographics Experts Group)である。なお、最新の登録画像は、ネットワーク1や医用画像集中管理サーバー装置100の不意の不調に備えて、ローカルな記憶装置(ハードディスクやメモリ)に一時的に保存してもよい。
ステップs5では、医用画像集中管理サーバー装置100は、前記医用画像を受信する。なお、前記医用画像が圧縮データの場合には、データ圧縮/解凍部10Eで、元のデータに解凍する。ステップs6では、医用画像集中管理サーバー装置100の医用画像データベース管理部10Gは、前記医用画像を医用画像データベース101に登録する。以上で、医用画像データベース101への登録処理を終了する。
図3は、図2の登録処理後の医用画像データベース101の登録内容を示す例示図である。「登録者」欄には、医用画像の登録者として、例えば、A病院,B病院,C病院,…が登録されている。前記登録者は、図2のステップa5で受信するようにしてもよいし、医用画像診断装置の装置ID等を基に判別してもよい。「患者ID」欄には、患者IDとして、例えば、A12345,B22716,B23857,…が登録されている。「撮影日時」欄には、医用画像の撮影日時として、例えば、2000-3-2310:35,2000-3-23 11:47,2000-3-28 13:21,…が登録されている。「装置ID」欄には、医用画像診断装置の装置IDとして、例えば、A_MRI#2,A_MRI#1,A_CT#1,…が登録されている。「画像データ」欄には、医用画像の画像データとして、例えば、1110010100,1101001000,1111010011,…が登録されている。なお、医用画像データベース101の登録内容は、更新時または一定期間ごとに、バックアップ制御部10Fの制御によりバックアップされる。
図4は、医用画像集中管理サーバー装置100から医用画像を配信する処理を示すフロー図である。左側のフローは、受信加入者のフローである(受信加入者としてA病院21を想定する)。右側のフローは、医用画像集中管理サーバー装置100のフローである。ステップa11では、A病院21では、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置100に対し、医用画像の配信を要求する。
ステップs11では、医用画像集中管理サーバー装置100は、前記医用画像配信要求を受信する。ステップs12では、医用画像集中管理サーバー装置100のセキュリティ管理部10Dは、前記医用画像配信要求の正当性をチェックし、正当でなければステップs13へ進み、正当であればステップs14へ進む。ステップs13では、通信回線を切断する。ステップs14では、医用画像集中管理サーバー装置100は、ネットワーク1を介して、A病院21に対し、画像識別情報を要求する。
ステップa12では、A病院21は、前記画像識別情報要求を受信する。ステップa13では、A病院21は、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置100に対し、画像識別情報を送信する。
ステップs15では、医用画像集中管理サーバー装置100は、前記画像識別情報を受信する。ステップs16では、医用画像集中管理サーバー装置100の医用画像データベース管理部10Gは、前記画像識別情報に対応した医用画像を医用画像データベース101から読み出す。ステップs17では、医用画像集中管理サーバー装置100は、ネットワーク1を介して、A病院21に対し、読み出した医用画像を送信する。なお、データ圧縮/解凍部10Eは、医用画像のデータ量を可逆的な圧縮方式で圧縮したデータを送信してもよい。
ステップa14では、A病院21は、前記医用画像を受信する。なお、前記医用画像が圧縮データの場合には、元のデータに解凍する。ステップa15では、A病院21は、受信した医用画像を画面上に表示する。最新の表示画像は、ネットワーク1や医用画像集中管理サーバー装置100の不意の不調に備えて、ローカルな記憶装置に一時的に保存してもよい。以上で、医用画像の配信処理を終了する。
図5は、A病院21の端末で、配信を要求する医用画像を指定する配信要求画像指定画面G1を示す例示図である。この画面は、例えば、患者IDを入力してから、「一覧表示」を指示すると表示される。撮影日時,画像種類,装置ID,部位,コメント,サムネイルを表示するためのデータは、A病院21のローカルなハードディスクに記憶してもよいし、ネットワーク1を介して医用画像集中管理サーバー装置100から受信するようにしてもよい(この場合には、必要なデータを医用画像データベース101に記憶しておく)。なお、サムネイルは、小さいデータ量で表示可能なので、小容量のハードディスクにも多数枚を記憶することが出来る。操作者は、配信して欲しい医用画像、例えば撮影日時[2000-3-23 11:47]のMR画像に対応する配信指定枠をマウス等で選択してから、「配信要求」を選択する。すると、配信要求が送信された後(図4のステップa11参照)、指定画像に対応する画像識別情報が送信され(図4のステップa13参照)、ネットワーク1を介して医用画像集中管理サーバー装置100から配信された医用画像を受信することが出来る(図4のステップa14参照)。なお、「配信要求」を選択する前に「取消」を選択すれば、画像指定が解除される。
以上の第1の実施形態にかかる医用画像提供システム1000によれば、各病院で得た医用画像を医用画像集中管理サーバー装置100の医用画像データベース101に登録して集中管理するので、記憶容量の制約が事実上なくなり、過去に撮影された多数の医用画像を効率よく蓄積できるようになる。また、医用画像を病院間等で共有できるので、例えば、医師がMRI装置の設置場所以外で医用画像を読影する場合や、患者が別の病院に転院してそこの医師に医用画像を提供する場合や、患者個人がパソコン端末等で自己の医用画像を見たい場合に対応可能である(ただし、患者個人が医用画像集中管理サーバー装置100の管理者と直接または間接に契約する必要がある)。さらに、医用画像のバックアップが医用画像集中管理サーバー装置100でなされるので、各病院が独自にバックアップする手間が不要となる。
−第2の実施形態−
図6は、第2の実施形態にかかる医用画像提供システム2000を示すブロック図である。受信加入者(A’病院21’を想定する)の端末211は、それに付帯するハードコピー装置212に対し、フィルムに焼き付けたい医用画像のコマ配置や画像サイズなどを定義するフォーマット情報を送る。ただし、前記フォーマット情報には、コマごとの医用画像を識別する画像識別情報が含まれている。前記ハードコピー装置212は、例えばマルチフォーマットカメラやレーザイメージャである。前記ハードコピー装置212は、前記フォーマット情報を受け取ったら、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置100に対し、画像識別情報に対応する医用画像の配信を要求し、医用画像を受信する。そして、前記コマ配置や画像サイズに対応する領域に医用画像を焼き付ける。以上の第2の実施形態にかかる医用画像提供システム2000によれば、端末211がハードコピー装置212にフォーマット情報を送れば、ハードコピー装置212がネットワーク1を介して医用画像集中管理サーバー装置100から医用画像の配信を受けてフィルムに焼き付けるので、ハードコピーのための処理から端末211を短時間で解放して別の処理を行わせることが可能となる。
−第3の実施形態−
図7は、第3の実施形態にかかる医用画像提供システムにおける医用画像登録処理を示すフロー図である。左側のフローは、登録加入者のフローである。右側のフローは、医用画像集中管理サーバー装置200(図1の100相当)のフローである。ステップa1〜a3は、図2を参照して説明した処理と同じであり、説明を省略する。ステップs1〜s5は、図2を参照して説明した処理と同じであり、説明を省略する。
ステップs55では、医用画像集中管理サーバー装置200は、ネットワーク1を介して、A病院21に対し、医用画像データベース101に登録した医用画像の撮影条件を要求する。
ステップa34では、A病院21は、前記撮影条件要求を受信する。ステップa35では、A病院21は、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置200に対し、撮影条件を送信する。
ステップs56では、医用画像集中管理サーバー装置200は、前記撮影条件を受信する。ステップs57では、医用画像集中管理サーバー装置200の医用画像データベース管理部10G(図1参照)は、前記撮影条件を医用画像データベース201(図1の101相当)に登録する。以上で、医用画像データベース201への登録処理を終了する。
図8は、図7の登録処理後の医用画像データベース201の登録内容を示す例示図である。「登録者」欄,「患者ID」欄,「撮影日時」欄,「装置ID」欄,「画像データ」欄の登録内容は、図2に示した医用画像データベース101の各欄の登録内容と同じである。「撮影条件」欄には、医用画像の撮影条件が登録されている。例えば、MR画像に対してはTR(繰り返し時間)=2400,TE(エコー時間)=80などが登録され、CT画像に対してはp(ヘリカルピッチ)=3などが登録され、X線画像に対してはmAs(管電流)=26などが登録される。
図9は、医用画像集中管理サーバー装置200から医用画像および撮影条件を配信する処理を示すフロー図である。左側のフローは、受信加入者のフローである。右側のフローは、医用画像集中管理サーバー装置200のフローである。ステップa11〜a15の処理は、図4を参照して説明した処理と同じであり、説明を省略する。ステップs11〜s17は、図4を参照して説明した処理と同じであり、説明を省略する。
ステップa156では、A病院21は、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置200に対し、撮影条件を要求する。
ステップs178では、医用画像集中管理サーバー装置200は、前記撮影条件要求を受信する。ステップs179では、医用画像集中管理サーバー装置200の医用画像データベース管理部10Gは、A病院21へ配信した医用画像に対応する撮影条件を医用画像データベース201から読み出す。ステップs180では、医用画像集中管理サーバー装置200は、ネットワーク1を介して、A病院21に対し、撮影条件を送信する。
ステップa157では、A病院21は、前記撮影条件を受信する。ステップa158では、受信した撮影条件を医用画像診断装置に設定する。例えば、MR画像の撮影条件としてTR=2400,TE=80が送られてきたら、それをMRI装置に設定する。これにより、撮影条件を設定し直さなくても、以前と同じ撮影条件で被検体をスキャンできるようになる。以上で、医用画像および撮影条件の配信処理を終了する。
以上の第3の実施形態にかかる医用画像提供システムによれば、ネットワーク1を介して、医用画像集中管理サーバー装置200から医用画像の配信先(医用画像を撮影した病院でもよいし、それ以外の病院でもよい)へ撮影条件を送るので、過去と同一の撮影条件での撮影を再設定の手間なしに行えるようになる。
−第4の実施形態−
図10は、第4の実施形態にかかる医用ソフトウェア提供システム4000を示すブロック図である。この医用ソフトウェア提供システム4000は、インターネット,LAN,WANのようなネットワーク1と、そのネットワーク1に接続されたA病院21,B病院22,C病院23,D病院24,医用ソフトウェアを開発するベンダー(vendor)60および医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400を具備して構成されている。
前記医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400は、通信部10Aと,入力部10Bと,出力部10Cと,セキュリティ管理部10Dと,医用ソフトウェアデータベース管理部10Hおよび医用ソフトウェアデータベース401とを具備しており、医用ソフトウェア集中管理プログラムの制御下で動作している。なお、ネットワーク1がインターネットの場合、前記医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400の利用を契約していない端末である非加入者50もネットワーク1に接続している。また、セキュリティの観点から、SSL等を利用するのが好ましい。
前記A病院21,B病院22,C病院23,D病院24は、それぞれ医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400にデータベース登録された医用ソフトウェア(例えばスキャンアルゴリズムを定義したアプリケーションプログラム)を実行する実行加入者として契約しており、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400の管理者から配布された記憶媒体(CD−ROM、FDなど)に記録された実行加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された実行加入者プログラムを各端末で実行することにより実行加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用ソフトウェアを読み出して実行することが可能である。
図11は、医用ソフトウェアデータベース401の登録内容を示す例示図である。「設置先」欄には、医用ソフトウェアを使用する医用画像診断装置の設置先として、例えば、A病院,B病院,C病院,…が登録されている。「更新日時」欄には、医用ソフトウェアの最新の更新日時として、例えば、2000-3-23 3:35,2000-3-23 1:47,2000-3-28 3:21,…が登録されている。「装置ID」欄には、医用画像診断装置の装置IDとして、例えば、A_MRI#2,A_MRI#1,A_CT#1,…が登録されている。「医用ソフトウェアID」欄には、医用ソフトウェア格納部401Sに格納された医用ソフトウェアをポイントするID、例えば、GEYMS_MR_SYSTEM_VER5.0,GEYMS_CT_SYSTEM_VER7.3,…が登録されている。
次に、図10の医用ソフトウェア提供システム4000の動作について説明する。ベンダー60は、医用ソフトウェアを新規に開発したり、バージョンアップしたときには、ネットワーク1を介して、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400の医用ソフトウェアデータベース401に登録する。すなわち、対象の医用ソフトウェアを医用ソフトウェア格納部401Sに格納すると共に、図11の各欄の内容を新規に登録するか又は更新する。なお、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400のセキュリティ管理部10Dの機能により、非加入者50による不正登録は防止される。A病院21,B病院22,C病院23,D病院24は、医用画像診断装置で撮影を行う際には、ネットワーク1を介して、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400にアクセスし、医用ソフトウェアデータベース401に登録された医用ソフトウェアを読み出して実行する。なお、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400のセキュリティ管理部10Dの機能により、非加入者50による不正実行は防止される。
以上の第4の実施形態にかかる医用ソフトウェア提供システム4000によれば、各病院の医用画像診断装置は、ネットワーク1を介して、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400の医用ソフトウェアデータベース401に登録された医用ソフトウェアを読み出して実行するので、手間をかけずに常に最新の医用ソフトウェアを即座に利用可能となる。
なお、前記医用ソフトウェア格納部401Sに格納された医用ソフトウェアを各病院の医用画像診断装置でそのまま実行せずに、ローカルな記憶装置にインストールしてから、実行するようにしてもよい。また、医用ソフトウェア集中管理サーバー装置400で医用ソフトウェアを実行した結果を医用画像診断装置に配信してもよい。さらに、医用ソフトウェアは、正規にリリースされた製品版でもよいし、試供用にリリースされたサンプル版でもよい(サンプル版の実行により正式導入するか否かを評価できる)。
−第5の実施形態−
図12は、本発明の第5の実施形態にかかる医用画像提供システム5000を示すブロック図である。この医用画像提供システム5000は、ネットワーク1と、そのネットワーク1に接続されたA病院51,B病院52,C病院53,D病院54,E病院55と,SR1個人61,SR2個人62および画像処理サーバー装置500を具備して構成されている。なお、ネットワーク1がインターネットの場合、前記画像処理サーバー装置500の利用を契約していない端末である非加入者50もネットワーク1に接続している。また、セキュリティの観点から、SSL等を利用するのが好ましい。
前記A病院51には、MRI装置(A_MRI#1,A_MRI#2)と,CT装置(A_CT#1)と、X線撮影装置(A_X#1)が設置されている。前記B病院52には、MRI装置(B_MRI#1)が設置されている。前記C病院53には、MRI装置(C_MRI#1)と,CT装置(C_CT#1)が設置されている。前記D病院54には、MRI装置(D_MRI#1,D_MRI#2,D_MRI#3)が設置されている。なお、いずれかの病院に、上記装置に代えて又は加えて、超音波診断装置、PET装置、CR装置の少なくとも一つを設置してもよい。
画像処理サーバー装置500は、通信部10Aと,入力部10Bと,出力部10Cと,セキュリティ管理部10Dと,画像処理部501とを具備しており、画像処理プログラムの制御下で動作している。
前記A病院51およびB病院52は、医用画像の送受信加入者として契約しており、画像処理サーバー装置500の管理者から配布された記憶媒体(CD−ROM、FDなど)に記録された送受信加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された送受信加入者用プログラムを各端末で実行することにより送受信加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用画像を送信すること及び医用画像を受信することが可能である。
前記C病院53は、画像処理サーバー装置500への送信加入者として契約しており、画像処理サーバー装置500の管理者から配布された記憶媒体に記録された送信加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された送信加入者用プログラムを端末で実行することにより送信加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用画像を送信することが可能である。
前記D病院54,E病院55,SR1個人61およびSR2個人62は、画像処理サーバー装置500の受信加入者として契約しており、画像処理サーバー装置500の管理者から配布された記憶媒体に記録された受信加入者用プログラムまたはネットワーク1を介して配布された受信加入者用プログラムを各端末で実行することにより受信加入者として機能しており、ネットワーク1を介して医用画像を受信することが可能である。
前記画像処理サーバー装置500の管理者は、送信加入者(含、送受信加入者)が送信した医用画像に画像処理を施して、受信加入者(含、送受信加入者)へ送る内容の契約を送信加入者および受信加入者と個々に結んでいる。この契約の反射として、加入者間では相互に契約を結んでいない(結ぶ必要がない)。そして、該画像処理サーバー装置500は、送信加入者から送られた医用画像に画像処理を施すと共に、ネットワーク1を介して画像処理済みの医用画像を受信加入者へ送る。また、セキュリティの管理も行っている。前記画像処理は、例えば平滑化,微分,ラプラシアン,線条検出,バンドパスなどのイメージフィルタ処理や、加算,減算,MIP(Maximum Intensity Projection)などの投影処理である。
なお、前記管理者は、加入者から、固定料金,従量料金,固定料金および従量料金の併用料金のいずれかを受け取る。例えば、前記管理者は、契約時に加入料を受け取る。また、加入者情報の保守更新などのサービスに対する管理料を、一定期間ごとに、又は、不定期に受け取る。さらに、前記プログラムの販売も行う。さらに、画像処理を施す医用画像の分量(枚数,データ量など)や処理回数や処理時間に応じた料金を加入者から受け取る。
図13は、送受信加入者が画像処理サーバー装置500へ医用画像を送信して、画像処理済みの医用画像を受け取る処理を示すフロー図である。左側のフローは、送受信加入者のフローである(送受信加入者としてA病院51を想定する)。右側のフローは、画像処理サーバー装置500のフローである。ステップa51では、A病院51(MRI装置と,CT装置と、X線撮影装置のいずれか)は、ネットワーク1を介して、画像処理サーバー装置500に対し、医用画像(MRI画像,CT画像,X線画像のいずれか)の画像データを含む画像処理要求Qを送信する。図14に示すように、前記画像処理要求Qは、ヘッダー部H1(宛先Ha,送信元Hb,画像処理要求コマンドHcおよび画像処理種類Hd)と,画像データD1とからなる。上記例では、前記宛先Haは、画像処理サーバー装置500のアドレスである。前記送信元Hbは、A病院51のアドレスである。前記画像処理要求コマンドHcおよび画像処理種類Hdは、例えばMIP処理を要求するビット列である。前記画像データD1は、例えばMRI画像の画像データである。
ステップs51では、画像処理サーバー装置500は、前記画像処理要求Qを受信する。ステップs52では、画像処理サーバー装置500のセキュリティ管理部10Dは、認証技術等を用いて、前記画像処理要求Qの正当性をチェックし、正当でなければステップs53へ進み、正当であればステップs54へ進む。ステップs53では、通信回線を切断する。ステップs54では、画像処理サーバー装置500は、前記画像処理要求Qから画像データD1(図14参照)を抽出する。そして、画像処理部501により、該画像データD1に対し前記画像処理種類Hdが指定する画像処理を施す。ステップs55では、画像処理サーバー装置500は、ネットワーク1を介して、A病院51に対し、画像処理結果Rを通知する。図15に示すように、前記画像処理結果Rは、ヘッダー部H2(宛先Ha,送信元Hb,処理済み画像処理種類He)と,画像処理済みの画像データD2とからなる。上記例では、前記宛先Haは、A病院51のアドレスである。前記送信元Hbは、画像処理サーバー装置500のアドレスである。前記処理済み画像処理種類Heは、MIP処理に相当するビット列である。前記画像データD2は、MIP処理が施された画像データである。
ステップa52では、A病院51は、前記画像処理結果Rを受け取る。ステップa53では、A病院51は、前記画像処理結果Rから画像データD2を抽出し、画像処理済みの医用画像(上記例では、MIP処理が施されたMRI画像)を表示する。
以上の第5の実施形態にかかる医用画像提供システム5000によれば、送受信加入者(A病院51またはB病院52)は、ネットワーク1を介して、医用画像を画像処理サーバー装置500へ送り、画像処理サーバー装置500から画像処理済みの医用画像を受け取って表示する。したがって、医用画像診断装置が撮影処理中でも、撮影処理の速度を犠牲にせずに、画像処理済みの医用画像を受け取って表示できるようになる。また、医用画像診断装置に画像処理プログラムをインストールする必要がないので、送受信加入者が画像処理を施された医用画像を手軽に入手できるようになる。これにより、例えば、特定の画像処理プログラム(前記画像処理部501のベンダーから購入したものでもよいし、他ベンダーから購入したものでもよい)を医用画像診断装置にインストール済みの顧客が、別の画像処理を簡単に試行したり,利用したりすることが可能となる。
なお、上記第5の実施形態では、送信元の送受信加入者に画像処理済みの医用画像を返したが、送信元とは別の受信加入者へ画像処理済みの医用画像を送ってもよい。例えば、画像処理サーバー装置500が送信加入者(例えばC病院53)から送られた医用画像に画像処理を施した結果を、受信加入者(D病院54,E病院55,SR1個人61,SR2個人62のいずれか又は全部)に送ってもよい。ただし、この場合には、画像処理要求Q(図14参照)のヘッダー部H1に、配信先を含める必要がある。また、画像処理サーバー装置500は、画像処理要求Qを受け取ったらいったん通信回線を切断し、画像処理を完了してから送受信加入者または受信加入者との通信を確立し、画像処理済みの医用画像を送ってもよい。または、前記切断後に、送受信加入者または受信加入者が、画像処理サーバー装置500に対し画像処理済みの医用画像を要求し、該医用画像を受け取ってもよい。これらの場合には、ネットワーク1の使用時間を短縮して通信コストを節減できる。
−第6の実施形態−
図16は、本発明の第6の実施形態にかかる医用画像提供システム6000を示すブロック図である。この医用画像提供システム6000は、画像処理サーバー装置500−1,500−2を具備している。これら画像処理サーバー装置500−1,500−2の構成は、上記第5の実施形態にかかる画像処理サーバー装置500(図12参照)と同様である。
前記医用画像提供システム6000では、医用画像に対する画像処理を、画像処理サーバー装置500−1,500−2が分散して行う。例えば、200枚の画像に画像処理を施す場合、1〜100枚目までの画像は画像処理サーバー装置500−1で処理し、101〜200枚目の画像は画像処理サーバー装置500−2で処理する。なお、処理の分担は、送信元(送受信加入者または送信加入者)が決定してもよいし、画像処理要求Qを受け付けた画像処理サーバー装置500−1または500−2が負荷状況等に応じて決定してもよい。
以上の第6の実施形態にかかる医用画像提供システム6000によれば、画像処理サーバー装置500−1,500−2で負荷の分散を図り、処理効率を向上することが出来る。
−第7の実施形態−
図17は、本発明の第7の実施形態にかかる医用画像提供システム7000を示すブロック図である。この医用画像提供システム7000において、画像処理サーバー装置700は、通信部10Aと,入力部10Bと,出力部10Cと,セキュリティ管理部10Dと,データ圧縮/解凍部10Eと,バックアップ制御部10Fと,画像処理部501と,医用画像データベース管理部710Gおよび医用画像データベース701とを具備しており、画像処理プログラムおよび医用画像集中管理プログラムの制御下で動作している。
前記医用画像提供システム7000では、上記第1の実施形態にかかる医用画像提供システム1000と同様のデータベース登録処理(図2参照)により、前記画像処理サーバー装置700の医用画像データベース701に、送受信加入者または送信加入者から送信された医用画像が登録される。
図18は、送受信加入者または受信加入者が前記医用画像データベース701に登録された医用画像に対する画像処理を画像処理サーバー装置700に要求して、画像処理済みの医用画像を受け取る処理を示すフロー図である。左側のフローは、送受信加入者のフローである(送受信加入者としてA病院51を想定する)。右側のフローは、画像処理サーバー装置700のフローである。ステップa71では、A病院51は、ネットワーク1を介して、画像処理サーバー装置700に対し、画像処理要求を送信する。ただし、この画像処理要求には、画像データD1(図14参照)が含まれない。
ステップs71では、画像処理サーバー装置700は、前記画像処理要求を受信する。ステップs72では、画像処理サーバー装置700のセキュリティ管理部10Dは、前記画像処理要求の正当性をチェックし、正当でなければステップs73へ進み、正当であればステップs74へ進む。ステップs73では、通信回線を切断する。ステップs74では、画像処理サーバー装置700は、ネットワーク1を介して、A病院51に対し、画像処理を施すべき医用画像を識別するための画像識別情報を要求する画像識別情報要求を送信する。
ステップa72では、A病院51は、前記画像識別情報要求を受信する。ステップa73では、A病院51は、ネットワーク1を介して、画像処理サーバー装置700に対し、画像識別情報を送信する。例えば、先に図5を参照して説明した場合と同様に、A病院51の端末上でサムネイル表示した画像のうちから選択した画像についての画像識別情報を送信する。
ステップs75では、画像処理サーバー装置700は、前記画像識別情報を受信する。ステップs76では、画像処理サーバー装置700の医用画像データベース管理部710Gは、前記画像識別情報に対応した医用画像を医用画像データベース701から読み出す。ステップs77では、画像処理サーバー装置700は、前記医用画像に、前記画像処理要求の画像処理種類Hd(図14参照)が指定する画像処理を施す。ステップs78では、画像処理サーバー装置700は、ネットワーク1を介して、A病院51に対し、画像処理結果R(図15参照)を送信する。なお、データ圧縮/解凍部10Eは、データ量を可逆的な圧縮方式で圧縮したデータを送信してもよい。
ステップa74では、A病院51は、前記画像処理結果を受け取る。なお、圧縮データの場合には、データ圧縮/解凍部10Eで、元のデータに解凍する。ステップa75では、A病院51は、前記画像処理結果Rから画像データD2を抽出し、画像処理済みの医用画像を表示する。
以上の第7の実施形態にかかる医用画像提供システム7000によれば、送受信加入者または受信加入者は、画像処理サーバー装置700の医用画像データベース701に登録された医用画像についての画像処理を要求して画像処理済みの医用画像を受け取るので、画像処理の度に元の医用画像をいちいち送る必要がなくなり、処理時間を短縮することが出来る。
なお、上記第7の実施形態では、画像処理サーバー装置700の医用画像データベース701に元の医用画像を登録したが、それに代えて又は加えて、画像処理済みの医用画像を登録してもよい。この場合には、画像処理サーバー装置700が画像処理要求を受け付けてから画像処理を行う必要がなくなり、画像処理結果Rをいっそう迅速に送信できるようになる。なお、医用画像の登録領域は、前記画像処理サーバー装置700以外の計算機が管理する記憶装置内に設けてもよい。また、画像処理サーバー装置700は、ネットワーク1を介して、送受信加入者または送信加入者を巡回して、画像処理が要求される可能性のある医用画像を収集して医用画像データベース701に登録してもよい。この場合には、送受信加入者や送信加入者が医用画像を登録用に送信する手間を節減することが出来る。