JP2008031429A - 蛍光体ペーストおよびディスプレイの製造方法 - Google Patents

蛍光体ペーストおよびディスプレイの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体粉末がペースト中で均一かつ安定に分散し、粘度の経時変化が小さく、さらに焼成後に形成される蛍光体層の色度変化が小さい蛍光体ペーストを提供する。
【解決手段】蛍光体粉末、バインダー樹脂、水酸基および/またはアルコキシル基を有する分子量が300以下の一級もしくは二級のアミン化合物ならびに有機溶剤を含むことを特徴とする蛍光体ペーストを用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体粉末が均一に分散された蛍光体ペーストに関するものであり、特にプラズマディスプレイパネル(以下PDPとする)に用いる蛍光体ペースト、およびディスプレイの製造方法に関する。
PDPは、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、また大型化が容易であることからOA機器および広報表示装置などの分野に浸透している。さらに、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。このような用途拡大に伴って、微細で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。
PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線により放電空間内の蛍光体が発光することにより表示を行うものである。PDPにおいて蛍光体層を形成する際、蛍光体ペーストは高輝度化のためにセルの底部のみでなく、隔壁の側面にも塗布するために工夫する必要があり、輝度のムラをなくすために安定した均一塗布を行わなければならない。そのため、蛍光体ペーストは所望の粘度とすることが必要であり、さらに蛍光体ペーストに含有する蛍光体粉末を、安定かつ均一に分散させることが必要である。
ところで、蛍光体ペーストに用いる蛍光体粉末の表面はバルクの組成や各種表面処理によって、酸性になったり塩基性になったり、あるいは酸性と塩基性が混在した状態になる。このような蛍光体粉末はバインダー樹脂との組み合わせによっては、バインダーの官能基とゲル化反応を生じ粘度が上がるという問題が生じていた。
さらに、一般的にPDP装置に用いられる赤色、緑色、青色蛍光体粒子のうち、緑色蛍光体粒子は、その帯電性が負であり、他の色の蛍光体粒子とは逆になっている。そのため、蛍光体ペーストを連続的に塗布する場合、バインダー樹脂の選択によっては、負に帯電した緑色蛍光体粒子の表面にバインダー樹脂が吸着しにくくなるため、緑色蛍光体粒子が凝集し、ノズルの目詰まりや塗布むらが発生し、得られるPDPは、表示特性が悪化するなどの問題が生じた。
そのため、従来、電気陰性度の大きい元素を含む酸化物、フッ素化合物またはホウ素化合物等によって蛍光体粉末の表面をコーティングすることにより、各蛍光体層の劣化を防ぐとともに、各蛍光体微粒子の帯電傾向を揃える方法が提案されている(特許文献1〜4参照)。しかしながら、蛍光体粉末の表面を前記化合物によりコーティングすると凝集しやすくなり、分散安定性が低下するという問題があった。
また、蛍光体ペースト中にアニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤(特許文献5〜7参照)、アルキルアミン(特許文献8〜9参照)、カルボン酸アミン塩(特許文献10参照)などの分散剤を添加することにより分散安定性を向上させることが知られている。しかしながら、分散剤としてアニオン性や非イオン性界面活性剤を用いた場合、分子量が大きいため、添加量に対して得られる分散効果が小さいという問題があった。また、アルキルアミンやカルボン酸アミン塩などのアミン化合物を用いても、十分な分散安定効果が得られにくかったり、分散安定効果を得るために添加量を増やすことにより焼成後に蛍光体表面に残存し、着色する場合があり、分散剤としての適用が困難であった。
特開2004−323576号公報 特開2005−100954号公報 特開2005−183246号公報 特開2004−322563号公報 特開2003−96443号公報 特開平11−209751号公報 特開平11−224609号公報 特開平10−53433号公報 特開平7−188599号公報 特開2002−82432号公報
本発明は、蛍光体粉末がペースト中で均一かつ安定に分散し、粘度の経時変化が小さく、さらに、焼成後に形成される蛍光体層の発光色度が未焼成粉末の発光色度に比べて変動が小さい蛍光体ペーストを提供することを目的とする。
本発明では、蛍光体粉末、バインダー樹脂、水酸基および/またはアルコキシル基を有する分子量が300以下の一級もしくは二級のアミン化合物ならびに有機溶剤を含む蛍光体ペーストが好ましい。
アミン化合物の沸点が80〜350℃であることが好ましい。
アミン化合物の配合量が、蛍光体ペースト中に0.2〜5重量%であることが好ましい。
蛍光体粉末の配合量が、蛍光体ペースト中に40〜60重量%であり、かつバインダー樹脂の配合量が、蛍光体ペースト中に5〜20重量%であることが好ましい。
有機溶剤が水酸基を有することが好ましい。
さらに、酸化合物を含むことが好ましい。
また本発明は、前記蛍光体ペーストを基板上に塗布し、焼成することによって蛍光体層を形成する工程を含むディスプレイの製造方法にも関する。
本発明は、蛍光体ペーストに水酸基および/またはアルコキシル基を有するアミン化合物を含むため、蛍光体表面とバインダー樹脂の相互の親和性が大きくなり、蛍光体粉末が分散安定化される。さらに、アミン化合物の分子量が小さいために、蛍光体ペーストの焼成時にアミン化合物が残留せず、色度変化の小さい蛍光体層を形成することができ、結果として得られるディスプレイの輝度劣化を小さくすることができる。
本発明のペーストは、蛍光体粉末、バインダー樹脂、水酸基および/またはアルコキシル基を有する子量が300以下の一級もしくは二級のアミン化合物ならびに有機溶剤を含む蛍光体ペーストを含むことを必須とする。このようなアミン化合物の具体例としては、N−(2−メトキシエチル)−1−ブタンアミン、4,4−ジメチルオキサゾリディン、N−(2−メトキシエチル)−1−プロパンアミン、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、2−エトキシ−N−エチル−エタンアミン、N−エチル−2−メトキシ−エタンアミン、N−(2−エトキシエチル)−1−ブタンアミン、N−エチルカルバミックアシッドメチルエステル、N−ベンジルカルバミックアシッドメチルエステル、3−メトキシピペリジン、ブチルカルバミックアシッドメチルエステル、カルバミックアシッド、2,2’−イミノビス−エタノール、1,1’−イミノビス−2−プロパノール、モルフォリン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、ビス(2−エトキシエチル)アミン、2−アミノシクロヘキサノール、2−メトキシ−2−メチルー1−プロパンアミン、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−アミノ−2−メチル−2−プロパノール、5−アミノー1−ペンタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−(アミノエトキシ)エタノール、1,2−ビス(アミノエトキシ)エタンなどが挙げられる。
本発明の蛍光体ペーストに用いるアミン化合物は、水酸基および/またはアルコキシル基を有するため、蛍光体表面とバインダー樹脂との親和性を向上することができる。アルコキシ基を有する場合の方が水酸基のみを有する場合よりも沸点が小さくなりやすく、焼成時のアミン化合物の焼き飛びが容易となるので好ましい。アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基等が挙げられるが、低分子量であり、親和性向上の効果が大きく、蛍光体ペーストの焼き飛び性が良い等の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
本発明の蛍光体ペーストに用いるアミン化合物は、第一級もしくは第二級であることが好ましい。第一級もしくは第二級アミン化合物を用いることで、第三級の場合に比べ、より少ない添加量で分散安定化効果が生じやすくなる。このメカニズムは明確ではないが、第三級に比べ、第一級および第二級のアミン化合物の方が塩基性が高いことと関連していると推定される。第一級と第二級では、総じて第一級の方が好ましく、このような化合物としては、2−メトキシ−2−メチルー1−プロパンアミン、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−アミノ−2−メチル−2−プロパノール、5−アミノー1−ペンタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノエタノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−(アミノエトキシ)エタノール、などが挙げられる。
本発明の蛍光体ペーストに用いるアミン化合物の分子量は300以下であり、200以下が好ましく、100以下がより好ましい。分子量が300より大きい場合、単位重量あたりのアミン基の含有量が小さくなるので、アミン化合物による分散安定化効果が生じにくくなる、焼き飛び性が悪くなる、焼成後の蛍光体層の輝度劣化、色度変化の原因となり得るなどの傾向がある。アミン化合物の分子量の下限は特に限定されないが、後述する沸点が低くなり、ペースト製造プロセス中で揮散しやすいので、60以上が好ましい。分子量はTOF−MASS(飛行時間型質量分析装置)などを用いて評価することができる。分子量60以上100以下のアミン化合物の具体例としてはとしては、1−アミノ−2−メチル−2−プロパノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、モルフォリン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノエタノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミンなどが挙げられる。
骨格中の炭素鎖は、複素環、脂肪環よりも、直鎖あるいは分岐したアルキル鎖、アルキレンオキサイド鎖とした方がことが好ましい。炭素数としては、2〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。炭素数が10より大きい場合、焼き飛び性が悪くなりやすいので、エチレンオキサイド鎖やプロプレンオキサイド鎖などのアルキレンオキサイド鎖を使用しても良い。特に炭素数が2〜5程度と小さい場合、アルキレンオキサイド鎖を導入しなくても良好な焼き飛び性が得られやすい点でより好ましい。炭素数が2〜5のアミン化合物の具体例としては、N−(2−メトキシエチル)−1−ブタンアミン、N−(2−メトキシエチル)−1−プロパンアミン、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、2−エトキシ−N−エチル−エタンアミン、N−エチル−2−メトキシ−エタンアミン、N−(2−エトキシエチル)−1−ブタンアミン、2,2’−イミノビス−エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、N−(2−メトキシエチル)メチルアミンジエタノールアミン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、ビス(2−エトキシエチル)アミン、2−メトキシ−2−メチルー1−プロパンアミン、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、5−アミノー1−ペンタノール、2−(アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−メチル−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノエタノール、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミンなどが挙げられる。
本発明の蛍光体ペーストに用いるアミン化合物の沸点は、80〜350℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく、沸点が350℃より高いと、焼成時の焼き飛び性が悪くなり、輝度低下や色度変化(黄色化)が生じ易い傾向がある。一方、沸点が80℃より低いと、蛍光体ペーストの作製時や蛍光体ペースト膜を乾燥する場合に臭気が生じやすくなる、ペーストの引火性が高くなるなど、ペーストの取り扱いが困難になる傾向がある。なお、沸点が200℃より低い場合においては、後述する乾燥プロセスでアミン化合物が揮散しやすくなる、焼成におけるアミン化合物の焼け焦げが生じにくくなる、蛍光体の輝度低下や色度変化が起こりにくくなるなどの点で好ましい。沸点が100〜200℃のアミン化合物の具体例としては、4,4−ジメチルオキサゾリディン、N−(2−メトキシエチル)−1−プロパンアミン、2−エトキシ−N−エチル−エタンアミン、N−エチル−2−メトキシ−エタンアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、N−(2−メトキシエチル)−1−ブタンアミン、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、N−(2−エトキシエチル)−1−ブタンアミン、N−エチルカルバミックアシッドメチルエステル、3−メトキシピペリジン、ブチルカルバミックアシッドメチルエステル、カルバミックアシッド、モルフォリン、2−メトキシ−2−メチルー1−プロパンアミン、1−アミノ−2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノエタノールなどが挙げられる。
上記の好ましい要件に加え、焼成時の焼き飛び性、粘度安定化効果の大きさ、取り扱い容易性の点で、2−メトキシエチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノールが特に好ましい。
本発明の蛍光体ペーストに用いるアミン化合物の配合量は、蛍光体ペースト中に、0.2〜5重量%が好ましく、0.2〜2重量%がより好ましく、0.5〜1重量%がさらに好ましい。配合量が0.2重量%より小さいと、分散安定化効果が生じにくくなる傾向がある。また、含有量の増加に伴って分散安定効果が向上するが一定レベルで飽和し、配合量が5重量%より大きいと、焼成工程中でアミン化合物が焼き飛びせず残留し、焼成後の蛍光体膜の輝度劣化、色度変化が生じやすくなるなどの傾向がある。
また、蛍光体ペースト中の蛍光体粉末とバインダー樹脂の組み合わせによっては酸塩基反応等の反応が生じ、ゲル化したりペーストの粘度安定性の低下が生じる場合がある。前記のアミン化合物は塩基性であり、蛍光体ペースト中のpHを調整することができるので、例えば、酸性条件下で反応するような蛍光体粉末とバインダー樹脂の組み合わせであっても、不用な反応を抑制できる。そのため、蛍光体粉末とバインダー樹脂との反応により生じる粘度上昇を抑えることができる。
本発明で用いられる蛍光体粉末としては、例えば、赤色では、Y:Eu、YVO:Eu、(Y,Gd)BO:Eu、YS:Eu、γ−Zn(PO:Mn、(Zn,Cd)S:Ag+In、Y(P,V)O:Euなどが挙げられる。緑色では、ZnGeO:Mn、BaAl1219:Mn、ZnSiO:Mn、LaPO:Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Au,Cu,Al、(Zn,Cd)S:Cu,Al、ZnSiO:Mn,As、YAl12:Ce、CeMgAl1119:Tb、GdS:Tb、YAl12:Tb、ZnO:Zn、(Y,Gd)BO:Tb、(Ba,Sr,Mg)O・aAlMnなどが挙げられる。青色では、Sr(POCl:Eu、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1424:Eu、CaMgSi:Eu、YSiO:Ce、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。
また、ツリウム(Tm)、テルビウム(Tb)およびユーロピウム(Eu)からなる群より選ばれた少なくとも1つの元素で、イットリウム(Y)、ガドリウム(Gd)およびルテチウム(Lu)から選ばれた少なくとも1つの母体構成希土類元素を置換したタンタル酸稀土類蛍光体を用いることもできる。好ましくは、タンタル酸稀土類蛍光体が組成式Y1−XEuTaO(式中、Xは、およそ0.005〜0.1である)で表されるユーロピウム付活タンタル酸イットリウム蛍光体である。赤色蛍光体には、ユーロピウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく用いられ、緑色蛍光体には、タンタル酸稀土類蛍光体が組成式Y1−XTbTaO(式中、Xは、およそ0.001〜0.2である)で表されるテルビウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく用いられる。また、青色蛍光体には、タンタル酸稀土類蛍光体がY1−XTmTaO(式中、Xは、およそ0.001〜0.2である)で表されるツリウム付活タンタル酸イットリウムが好ましく用いられる。
本発明の蛍光体ペーストに使用される蛍光体粉末は、粒径が0.2〜5μmのものが好ましく、1〜3μmがより好ましい。粒径が5μmより大きくなると、ペースト作製後に放置した際に蛍光体粉末が沈降しやすく、組成の粗密が生じることにより塗布ムラや輝度ムラが生じやすくなるなどの傾向があり、また、粉末が細かくなりすぎ、蛍光体粉末の凝集が生じやすくなる、表面が活性化されるためにバインダー等、他の成分との化学反応を生じやすくなるなどの傾向がある。粒径の評価は、粉末状態の場合は、レーザー回折式の粒度分布計(例えば、日機装株式会社製 「マイクロトラックMT3300」)で評価できる。塗膜あるいは焼成後膜の状態においては透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製「JEM−4000EX」)観察により評価できる。透過型電子顕微鏡観察像において、蛍光体粉末と有機成分はコントラストの違いから識別できる。よって、例えば、膜の断面10μm×50μm程度の面積の透過型電子顕微鏡観察像を画像解析することによって評価できる。
本発明の蛍光体ペーストに使用される蛍光体粉末は、比表面積が200〜1200m/kgであることが好ましく、300〜1000m/kgがより好ましい。比表面積がこの範囲にあることで、有機バインダー樹脂と有機溶剤中への蛍光体粉末の分散性が向上し、塗布性に優れた蛍光体ペーストが得ることができる。また、分散性が向上することで、緻密な蛍光体層を形成できるため、発光効率が向上でき、高寿命になる。比表面積が200m/kgより小さいと、所望の厚さの蛍光体層を均一で滑らかに形成しにくい、ペースト作製後に放置した際に蛍光体粉末が沈降しやすく、組成の粗密が生じることにより塗布ムラや輝度ムラが生じやすくなるなどの傾向がある。一方、1200m/kgより大きいと、粉末が細かくなりすぎ、蛍光体粉末の凝集が生じやすくなる、表面が活性化されるためにバインダー等、他の成分との化学反応を生じやすくなるなどの傾向がある。なお、比表面積の測定は、リー・ナンス法、サブシーブサイザー法、ブレーン法、恒圧通気式比表面積測定装置等の空気透過法を用いた方法や粉末表面に大きさが既知の分子やイオンを吸着させて、その量から粉末の比表面積を測定する吸着法が一般に用いられる。
蛍光体粉末の配合量は、蛍光体ペースト中に、40〜60重量%が好ましく、40〜55重量%がより好ましい。蛍光体粉末の配合量が40重量%より小さいと、所望の膜厚を得るために必要なウェット膜厚が大きくなり、膜厚ムラを生じ易い傾向がある。また、特にストライプあるいは格子状の隔壁パターンの溝に蛍光体をパターン形成する場合、隔壁の高さよりウェット膜厚の方が大きくなり、隣接する溝に蛍光体ペーストが流れ込むため、混色したり、膜厚ムラが生じやすくなる傾向がある。一方、蛍光体粉末の配合量が60重量%より大きいと、蛍光体ペースト中の蛍光体粉末が沈降しやすくなったり、ペーストの粘度変化が生じやすくなる、ペーストの粘度が高くなりやすいなどの傾向がある。更に、ペースト中のバインダー、溶媒成分の割合が相対的に減少するので、塗布時に膜厚ムラを生じやすくなる、焼成後の蛍光体膜の充填性が著しく低下し輝度が低下しやすいなどの傾向がある。
また、赤色、青色、緑色の各色の蛍光体粉末の帯電性を揃え、粘度変化を抑制するなどの目的から、蛍光体粉末の表面を金属酸化物で被覆してもよい。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
バインダー樹脂は、焼成時に酸化または/および分解または/および気化し、炭化物が無機物中に残存しないことが好ましく、具体的にはエチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、ヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシセルロース等のセルロース系樹脂、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリル酸ナトリウム等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、シリコンポリマー(例えば、ポリメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ブタジエン/スチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリ−α−メチルスルホン、ポリブテン等が好ましく用いられる。これらのバインダー樹脂の中で、ゲル化反応などアミン化合物の添加による弊害が生じにくいという点、焼成後のバインダー残りが少ない蛍光体層を形成できる点でセルロース系樹脂が好ましく、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシセルロースが好ましい。また、アクリル樹脂を用いた場合、アミン化合物の添加の有無に因らず粘度変化が生じにくい傾向があるが、エチルセルロース樹脂を用いる場合に比べて、焼成時の樹脂のポリマーの焼き飛び性に劣る、塗布膜厚の均一性を得にくいなどの傾向がある。
また、セルロース系樹脂のうちで、トルエン/エタノール(混合比80/20)混合溶媒を用いて5重量%溶液としたときの溶液粘度が、0.004〜0.025Pa・sとなるセルロース系樹脂であることが好ましい。溶液粘度が0.025Pa・sより高くなると、蛍光体ペースト全体の粘度が高くなり、塗布性の点で好ましくない。一方、溶液粘度が0.004Pa・sより低くなるものは、蛍光体ペーストとして適当な粘度を得るために必要なバインダー樹脂の量が多くなり、本発明において必要な蛍光体粉末とバインダー樹脂との比率を維持しにくい。粘度は、B型粘度計(例えば、ブルックフィールド社製、「DV−III」)を用いて評価することができる。
また、バインダー樹脂の配合量は、蛍光体ペースト中に5〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。バインダー樹脂の配合量が5重量%より小さいと、前記の蛍光体粉末とバインダー樹脂との重量比を保つと本発明の蛍光体ペースト中に必要な蛍光体粉末比率を得ることができず、また、20重量%より大きいとペーストの粘度が高くなりすぎる傾向がある。また、バインダー樹脂の配合量が小さい方が焼き飛び性が良好となる。
また、一般的に酸化合物を添加することによっても分散安定化効果を得られる場合がある。しかしながら、酸化合物を用いた場合、蛍光体粉末表面の特性によっては粘度の経時変化を生じ易くなる。例えば、蛍光体粉末の表面に塩基性成分が露出している場合、ペースト作製時に酸化合物により一定の分散安定化効果が得られる一方で、同ペーストを数日放置した場合、ゲル化が進行し、ペースト作製直後とは異なる粘度となる場合がある。このような場合においても、本発明のアミン化合物が含有されていることで、ゲル化などの化学反応が抑制され、粘度安定性を確保できる。酸化合物としては、具体的には、脂肪酸、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩およびナフタレンスルフォン酸、ポリカルボン酸高分子などが挙げられる。酸化合物においても本発明の蛍光体ペーストに用いるアミン化合物と同様の炭素数、炭素鎖の種類とすることで焼き飛び性と分散安定化効果を得ることができる。このような散化合物の具体例としては、n−ヘプタン酸、オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、n−ヘプタン酸カルボン酸ナトリウム、n−デカン酸カルボン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジプロピルスルホコハク酸ナトリウム、ジブチルスルホコハク酸ナトリウム、プロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、が挙げられるが、n−ヘプタン酸、オクタン酸、n−ヘプタン酸カルボン酸ナトリウムなどの低分子量材料が焼き飛び性の観点から好ましい。
酸化合物によりゲル化反応が促進されるような蛍光体粉末とバインダー樹脂の組み合わせの場合、酸化合物およびアミン化合物の組み合わせおよび両者の添加量に好適な範囲が存在する。本願発明者が鋭意検討を行った結果、前述の特に好適なアミン化合物、N−メトキシエチルアミン、もしくは2−(メチルアミノ)エタノール、もしくは2−(2−アミノエトキシ)エタノールに対し、酸化合物として脂肪酸系、脂肪酸塩系あるいはポリカルボン酸高分子系の材料を選択し、酸化合物よりアミン化合物の配合量を多くした場合、ゲル化反応が抑制されると同時に、それぞれの化合物を用いた場合より長期に渡って粘度安定性が確保できる傾向がある。
有機溶剤は、蛍光体ペーストにおける最終的に得たい粘度、または蛍光体ペースト塗布膜の乾燥条件を勘案して適宜選択でき、具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン、γ−ブチルラクトン、炭酸プロピレン、乳酸エチル、N−メチルピロリドンなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。有機溶剤は、用いるバインダー樹脂に対して良溶媒であることが好ましい。有機溶剤の選定は、有機溶剤の揮発性と使用するバインダー樹脂の溶解性を主に考慮して選定して選定される。バインダー樹脂に対する有機溶剤の溶解性が低いと固形分比が同一でも塗工液の粘度が高くなってしまい、塗布特性が悪化するという傾向がある。
また、これらの有機溶剤のうち水酸基を有するものが、アミン化合物における水酸基またはアルコキシル基との親和性が大きく、分散安定効果がより発現しやすいため好ましい。さらに、乾燥、焼成時に有機溶剤が揮散する際にアミン化合物と一緒に揮散しやすくなるため、アミン化合物の焼き飛びを助長する効果も得られる。水酸基を有する有機溶剤の具体例としては、アルコール系化合物が挙げられ、具体的には前記有機溶剤のうち、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコールが好ましい。
有機溶剤の配合量は、蛍光体ペースト中に、35〜65重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。有機溶剤の配合量が35重量%より小さいと、蛍光体ペーストの粘度が高くなりすぎ、レベリング不良により塗布面の平滑性が不良となる傾向がある。一方、有機溶剤の配合量が65重量%より大きいと、分散粒子の沈降が速くなり、蛍光体ペーストの組成を安定化することが困難となる、乾燥に多大なエネルギーと時間を要する等の問題を生じる。
本発明の蛍光体ペーストには、さらに必要に応じ、酸化防止剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール等)等を添加することもできるが、これらの有機成分の添加量は3重量%以下であることが好ましい。これらの成分は、焼成時に飛び残り、蛍光体の発光の色度変化や輝度劣化の原因となる場合があるからである。
本発明の蛍光体ペーストに感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマー等の感光性成分や、光重合開始剤、増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤などの添加剤成分を加え感光性の蛍光体ペーストとしても使用することができる。
本発明の蛍光体ペーストは、各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラーや混練機などの混練・分散手段によって均質に混合・分散し作製する。
本発明は、前記の蛍光体ペーストを用いて基板上に塗布する工程を含むディスプレイの製造方法にも関する。本発明のディスプレイとして、プラズマディスプレイの製造方法の一例を挙げる。
先ず、プラズマディスプレイの前面板の作製方法について述べる。基板としては、ソーダガラスやプラズマディスプレイ用の耐熱ガラスである“PP8”(日本電気硝子社製)、“PD200”(旭硝子社製)を用いることができる。ガラス基板のサイズは特に限定はなく、厚みは1〜5mmのものを用いることができる。
まず、ガラス基板上に、インジウム−スズ酸化物(ITO)をスパッタし、フォトエッチング法によりパターン形成する。次いで、黒色電極用の黒色電極ペーストを印刷する。黒色電極ペーストは、有機バインダー、黒色顔料、導電性粉末と、フォトリソグラフィ法で用いる場合は感光性成分が主成分となる。黒色顔料としては、金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物としては、チタンブラックや、銅、鉄、マンガンの酸化物やそれらの複合酸化物、コバルト酸化物などがあるが、ガラスと混合して焼成したときに退色が少ない点でコバルト酸化物が優れている。導電性粉末としては、金属粉末または金属酸化物粉末が挙げられる。金属粉末としては電極材料として通常用いられる金、銀、銅、ニッケルなどを特に制限無く用いることが出来る。この黒色電極は抵抗率が大きいので、抵抗率の小さい電極を作製してバス電極を形成するため、導電性の高い電極用ペースト(例えば銀を主成分とするもの)を、黒電極ペーストの印刷面上に印刷する。そして、一括露光/現像してバス電極パターンを作製する。導電性を確実に確保するため、現像前に導電性の高い電極ペーストを再び印刷し、再露光後一括現像してもよい。バス電極パターンを形成後、焼成する。その後、コントラスト向上のため、ブラックストライプやブラックマトリクスを形成するのが好ましい。焼成後の黒色電極ペーストおよび焼成後の導電性ペーストの膜厚はそれぞれ、1〜5μmの範囲であることが好ましい。また、焼成後の線幅は20〜100μmであることが好ましい。
次に、透明誘電体ペーストを用いて透明誘電体層を形成する。透明誘電体ペーストは、有機バインダー、有機溶剤、ガラスが主成分であるが、適宜可塑剤などの添加物を加えても良い。透明誘電体層の形成方法は特に限定されないが、例えば,スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーターなどにより、電極形成基板上に透明誘電体ペーストを全面塗布または、部分的に塗布した後に、通風オーブン、ホットプレート、赤外線乾燥炉、真空乾燥など任意なものを用いて乾燥し、厚膜を形成することができる。また、透明誘電体ペーストをグリーンシート化し、これを電極形成基板上にラミネートすることも可能である。厚みは、0.01〜0.03mmが好ましい。
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類により異なるが、空気中や窒素、水素等の雰囲気下で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラー搬送式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、使用する樹脂が十分に脱バインダーする温度で行うのがよい。通常、アクリル系樹脂を用いる場合は430〜650℃での焼成を行う。焼成温度が低すぎると樹脂成分が残存しやすく、高すぎるとガラス基板に歪みが生じ割れてしまうことがある。
さらに、保護膜を形成する。保護膜としてはMgO、MgGd、BaGd、Sr0.6Ca0.4Gd、Ba0.6Sr0.4Gd、SiO、TiO、Al、前述の低軟化点ガラスの群から少なくとも1種類用いるのがよいが、特にMgOが好ましい。保護膜の作製方法は、電子ビーム蒸着やイオンプレーティング法など公知の技術を用いることができる。
続いて、プラズマディスプレイの背面板の作製方法を説明する。ガラス基板は、前面板の場合と同様に、ソーダガラス、“PD200”、“PP8”を用いることができる。ガラス基板上に銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの金属により、アドレス用のストライプ状電極パターンを形成する。形成方法としては、これらの金属の粉末と有機バインダーを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷する方法や、有機バインダーとして感光性有機成分を用いた感光性金属ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去し、さらに通常350〜600℃に加熱・焼成して電極パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。また、ガラス基板上にクロムやアルミニウムを蒸着した後に、レジストを塗布し、レジストをパターン露光・現像した後にエッチングにより不要な部分を取り除く、エッチング法を用いることができる。さらに、アドレス電極上に誘電体層を設けることが好ましい。誘電体層を設けることによって、放電の安定性向上や、誘電体層の上層に形成する隔壁の倒れや剥がれを抑止することができる。また、誘電体層を形成する方法としては、ガラス粉末や高融点ガラス粉末などの無機成分と有機バインダーを主成分とする誘電体ペーストをスクリーン印刷、スリットダイコーター等で全面印刷または塗布する方法などがある。
次に、フォトリソグラフィ法による隔壁の形成方法について説明する。隔壁パターンは特に限定されないが、格子状、ワッフル状などが好ましい。まず、誘電体を形成した基板上に本発明の感光性ペーストからなる隔壁ペーストを塗布する。塗布方法は、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター、ブレードコーター、スクリーン印刷等の方法を用いることができる。塗布厚みは、所望の隔壁の高さとペーストの焼成による収縮率を考慮して決めることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度等によって調整できる。本発明においては、乾燥後の塗布厚みは150μm以上となるように塗布することが好ましい。150μm以上とすることで、十分な放電空間が得られ、蛍光体の塗布範囲を広げてプラズマディスプレイの輝度を向上することができる。
塗布した隔壁ペーストは乾燥後、露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィで行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が一般的である。また、フォトマスクを用いずに、レーザー光などで直接描画する方法を用いてもよい。露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機などを用いることができる。この際使用される活性光源は、例えば、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも、超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みにより異なるが、通常、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて0.01〜30分間露光を行う。
露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度の差を利用して現像を行うが、通常、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行う。現像液としては感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を用いることができるが、感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムや、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。
アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が除去されにくく、アルカリ濃度が高すぎればパターンを剥離させたり腐食させるおそれがあり好ましくない。また、現像時の現像温度は20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
また、隔壁は2層以上で構成されていても良い。2層以上の構造体とすることで、隔壁形状の構成範囲を3次元的に拡大することができる。例えば、2層構造の場合、1層目を塗布し、ストライプ状に露光した後、2層目を塗布し、1層目とは垂直方向のストライプ状に露光し、現像を行うことで段違い状の井桁構造を有する隔壁の形成が可能である。 次に、焼成炉にて520〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行い、隔壁を形成する。
このようにして形成された隔壁に、上記蛍光体ペーストパターンを形成する。蛍光体ペーストパターンの形成方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法、口金から蛍光体ペーストを吐出する方法、感光性レジストもしくは蛍光体ペーストに感光性としてフォトリソグラフィーにより形成する方法などが挙げられるが、この中でも口金から蛍光体ペーストを吐出する方法、スクリーン印刷法が簡便で、低コストのPDPを得ることができるため好ましい。蛍光体ペーストパターンを形成後、乾燥、焼成して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成する。蛍光体の厚みは特に限定されるものではないが、隣り合う隔壁パターン間の中心位置において、誘電体層表面をゼロとした時の厚みが、10〜30μm、より好ましくは15〜25μmである。蛍光体ペーストの乾燥は、脱溶媒や樹脂成分の硬化(不飽和二重結合成分の熱重合による熱架橋など)を目的として行い、温度、時間は溶媒の沸点や樹脂成分の硬化温度等に合わせて設定できるが、通常、温度80℃〜200℃、乾燥時間10〜30分の条件で行うことが好ましい。また、焼成は、バインダー樹脂やアミン化合物などの有機成分の除去を主な目的として行い、有機成分の揮散しやすさや燃焼しやすさなどの有機成分の特性や、蛍光体粉末の耐熱性など無機成分の特性に応じて設定できるが、通常、温度400〜550℃、時間10〜30分の条件で行うことが好ましい。乾燥、焼成共に多段階の昇温プロファイルで実施しても良い。特に、焼成温度を多段階とする場合、有機成分が蛍光体表面で焼け焦げ、蛍光体層の発光特性が変化するなどの問題を回避しやすくなる。乾燥後に冷却を挟まず、連続的に焼成を行うことも蛍光体層の膜厚均一性確保などの点で好ましい。
次に、上記の背面板と前面板を封着後、2枚の基板間隔に形成された空間を加熱しながら真空排気を行った後に、He、Ne、Xeなどから構成される放電ガスを封入して封止する。放電電圧と輝度の両面からは.Xeが5〜15体積%のXe−Ne混合ガスが好ましい。紫外線の発生効率を大きくするために、さらにXeを30体積%程度まで高くしてもよい。
最後に、駆動回路を装着し、エージングすることによって、プラズマディスプレイを製造できる。
次に本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。実施例中の濃度(%)は重量%である。
実施例1〜19
以下の材料を用い、蛍光体ペーストを調製した。
(A)蛍光体粉末
・(A−1)青色蛍光体粉末:BaMgAl1017:Eu(以下、BAMという) 平均粒径2.4μm
・(A−2)赤色蛍光体粉末:(Y,Gd)BO:Eu(以下、YGBという) 平均粒径2.3μm
・(A−3)緑色蛍光体粉末:ZnSiO:Mn(以下、ZSMという) 平均粒径2.5μm
・(A−4a)表面を平均厚み0.2μmの酸化亜鉛層によって被覆したZSM
・(A−4b)表面を平均厚み0.2μmの酸化イットリウム層によって被覆したZSM
なお、(A−4a)および(A−4b)における蛍光体表面の金属酸化物による被覆方法としては、被覆したい金属酸化物(酸化亜鉛もしくは酸化イットリウム)の塩化物、硝酸塩などの水溶液にZSMの粉末を投入してよく撹拌して乾燥した後、400℃〜600℃で焼成することで形成した。被膜の厚みは、塩化物もしくは硝酸塩の濃度を制御することで調整した。
(B)分散剤
アミノ基と水酸基および/またはアルコキシル基を有するアミン化合物
・(B−1)2−(メチルアミノ)エタノール 分子量:75 沸点:156℃
・(B−2)2−メトキシエチルアミン 分子量:88 沸点:90℃
・(B−3)N−エチル−2−メトキシ−エタンアミン 分子量:103 沸点:116℃
・(B−4)トリエタノールアミン 分子量:149 沸点:335℃
・(B−5)トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン 分子量:323、沸点:330℃
酸化合物
・(B−6)n−ヘプタン酸 分子量:130 沸点:223℃
水酸基またはアルコキシ基を有しないアミン化合物
・(B−7)N−n−ブチルエチルアミン 分子量:101、沸点:110℃
カルボン酸アミン塩
・(B−8)酢酸アンモニウム 分子量:77 融点:112℃(沸点不明)
(C)バインダー樹脂
・(C−1)エチルセルロース樹脂(エトキシ含有率50%)
(D)有機溶剤
・(D−1)テルピネオールとエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの重量比が30/70の混合溶液
蛍光体粉末、分散剤、バインダー樹脂、有機溶剤の各成分を表1に示す割合で混合し、更にセラミックス製の3本ローラーで混練し、蛍光体ペーストを得た。得られた蛍光体ペーストの各成分および配合量を表1に示す。
(E)感光性銀ペースト
以下の組成のペーストを用いた
銀粒子(平均粒子径1.5μm、比表面積0.80m/g):150重量部
アクリル酸10質量%、メチルメタクリレート50質量%、グリセリンモノアクリレート40質量%からなるアクリル系共重合体樹脂(酸価30mgKOH/g、水酸基価410mgKOH/g、重量平均分子量12000):12重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬株式会社製、“TPA330”、3官能):6重量部
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1:3重量部
γ−ブチロラクトン:18重量部
(F)誘電体ペースト
以下の組成のペーストを用いた
ガラス転移点475℃、軟化点515℃のビスマス系ガラス:40重量部
エチルセルロース樹脂(エトキシ含有率50%):5重量部
テルピネオール:40重量部
(G)感光性ガラスペースト
以下の組成のペーストを用いた。
ガラス転移点491℃、軟化点528℃のガラス粉末:24重量部
ガラス転移点652℃のフィラー粉末:6重量部
アクリル酸10質量%、メチルメタクリレート50質量%、グリセリンモノアクリレート40質量%からなるアクリル系共重合体樹脂(酸価30mgKOH/g、水酸基価410mgKOH/g、重量平均分子量12000):7重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(日本化薬株式会社製、“TPA330”、3官能):3重量部
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1:1.5重量部
ウレタン化合物UA−3348PE:(新中村化学製)1.5重量部
Figure 2008031429
次に、以下の測定方法により、実施例1〜19における粘度安定性、膜厚精度の評価、蛍光体の色度変化および蛍光体の相対輝度の評価を行った。
1.粘度安定性
以下の条件でペースト作製直後の粘度(η)と温度22〜25℃、密封下、20日経過後の粘度(η20)をそれぞれ測定し、作製直後の粘度を基準とした粘度変化率D=(η20−η)/η×100(%)を粘度安定性の指標とした。
粘度測定において、粘度計はB型粘度計(ブルックフィールド製、モデルDV−III)を用い、スピンドルはSC4−14、容器はスモールアダプター(サンプルカップ3cc)、測定温度は25℃、ずり速度は1.2[s−1]、測定を開始してから粘度値を読みとるまでの時間を5分とした。なお、Dは0に近いほど好ましいが、−2%≦D≦8%であれば実用上問題なく、0%≦D≦5%の範囲であれば特に粘度安定性が安定であると言え、20日間の放置でも後述する塗布性が悪化しないので良い。
2.膜厚精度
以下に示す方法で背面板を作製した。
340×260×2.8mmサイズのガラス基板(旭硝子株式会社製“PD−200”)を使用してAC(交流)型プラズマディスプレイパネルの背面板を形成した。基板上に、書き込み電極として、感光性銀ペースト(E)を用いてフォトリソグラフィー法により、ピッチ140μm、線幅60μm、焼成後厚み4μmのストライプ状電極を形成した。この基板に誘電体ペースト(F)をスクリーン印刷法により塗布した後、550℃で焼成して、厚み10μmの誘電体層を形成した。
さらに、誘電体層上に上記の感光性ガラスペースト(G)を用いて、フォトリソグラフィー法でパターン形成後、570℃で15分間焼成し、ピッチ140μm、線幅20μm、高さ100μmのストライプ状の隔壁パターンを形成した。このようにして形成された隔壁に、表1に示した組成の蛍光体ペーストを隔壁パターン間の溝にスクリーン印刷した。蛍光体ペーストはペースト作製後、温度22〜25℃、密封下で10日保管したものを用いた。スクリーンは、#200メッシュ、ピッチ140μm、幅50μmのストライプ状開口パターンを備えたものを用いた。印刷した。その後、乾燥(150℃、30分)、焼成(500℃、30分)して隔壁の側面および底部に蛍光体層を形成した。焼成後の蛍光体膜の平均膜厚が15±0.5μmとなるようにスクリーン印刷時の塗布速度を調整した。ガラス基板に垂直な方向の断面が見えるようにガラス基板を割断し、断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S2400)で観察することにより、隔壁間の溝の底部に形成された蛍光体膜厚(隣り合う隔壁間の中央部における蛍光体層の厚み)を評価した。
さらに、同一背面板内のランダムに選択した20点の蛍光体膜厚を測定し、膜厚のばらつきの幅から膜厚精度を以下のように評価した。
A:20点の蛍光体膜厚の最大値と最小値の差が0.8μm以下
B:20点の蛍光体膜厚の最大値と最小値の差が0.8μmより大きく1.2μm以下
C:20点の蛍光体膜厚の最大値と最小値の差が1.2μmより大きく1.5μm以下
D:20点の蛍光体膜厚の最大値と最小値の差が1.5μmより大きい
蛍光体ペースト中の蛍光体粉末の分散性が悪い場合、膜厚精度が悪くなる。また、蛍光体粉末の配合量が少ない場合、焼成後に必要な膜厚を得るための塗布膜厚(ウェット膜厚)が大きくなるため、膜厚精度が悪くなりやすい。
PDPにおいて均一な表示特性を得るためには、最大値と最小値の差が1.2μm以下である必要がある。
3.蛍光体の色度変化、相対輝度
340×260×2.8mmサイズのガラス基板(旭硝子株式会社製“PD−200”)上にスクリーン印刷法で平均膜厚膜厚15±0.5μmの蛍光体ペースト膜を面積200mm×200mmに渡って形成し、その後乾燥(150℃、30分)、焼成(500℃、30分)を行い、蛍光体層を形成した。得られた蛍光体付きのガラス基板を面積5cm×5cmに切断し、真空チャンバー内に設置し、系内を窒素雰囲気とした上で波長147nmの真空紫外線をエキシマランプ(ウシオ電機株式会社製 UER20H−146V)を励起光源として照射し、蛍光体層からの発光の色度、輝度を分光光度計(大塚電子株式会社製、MCPD2000)および輝度計(ミノルタ株式会社製 LS−100)を用いて測定した。窒素雰囲気は、真空チャンバー内を9Paまで真空ポンプで減圧し、その後、98.4kPaの圧力で窒素フローを行うことにより達成した。励起光の照射は、蛍光体層の膜面垂直方向から15°傾けた角度で蛍光体膜の上側から蛍光体層に向けて行った。蛍光体層の発光の色度、輝度は、蛍光体層の膜面垂直上側に照射された発光を分光光度計および輝度計で検知し、評価を行った。また、測定対象が未処理の蛍光体粉末の場合、深さ1mm、面積30mmφの溝を彫ったステンレス製のホルダーに粉末を充填し、上記と同様の測定を行い、色度、輝度を評価した。
塗布、焼成した蛍光体膜の色度、輝度を未処理の蛍光体粉末と比較することで、ペースト化処理、焼成による発光特性への影響を評価した。蛍光体の色度変化を以下のように評価した。
A:色度x、yそれぞれについて、未処理の蛍光体粉末のx、yに対して共に±0.020以内の変化
B:色度x、yのいずれかが、未処理の蛍光体粉末のx、yに対して±0.020より大きい変化
また、未処理の蛍光体粉末の輝度を基準にして焼成後の蛍光体膜の相対輝度を評価した。相対輝度が95.0%以上であればペースト化処理による輝度への影響は小さく良好である。
表2に、粘度変化、色度変化、膜厚精度および相対輝度をそれぞれ示す。
Figure 2008031429
比較例1
分散剤として、N−n−ブチルエチルアミン(B−7)を用いた以外は、実施例3と同様の方法にて蛍光体ペーストを調製し、実施例1と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
比較例2
分散剤および有機溶剤を表2に示す配合量とした以外は、比較例1と同様の方法にて蛍光体ペーストを調製し、実施例1と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
比較例3
分散剤を配合せず、表2に示す配合量の蛍光体ペーストを調製し、実施例1と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
比較例4
分散剤として、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン(B−5)を用いた以外は、実施例4と同様の方法にて蛍光体ペーストを調製し、実施例1と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
比較例5
分散剤として、酢酸アンモニウム(B−8)を用いた以外は実施例1と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
比較例6
分散剤として、酢酸アンモニウム(B−8)を用いた以外は実施例5と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
比較例7
分散剤として、トリエタノールアミン(B−4)を用いた以外は実施例3と同様の方法により物性を評価した。蛍光体ペースト中の各成分の配合量および測定結果を表3および表4に示す。
Figure 2008031429
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実施例1〜5のうち、分散剤の配合量が1.0重量部である実施例3および3.0重量部である実施例4は、粘度変化が小さく、塗布性も良好であった。実施例5は、添加量が大きいため、蛍光体の相対輝度が若干低下した。分散剤の配合量が1.0重量部で、分散剤の種類を変更した実施例6、7のうち、実施例6は実施例1に大きく劣らない結果が得られたが、実施例7は、分子量の大きい分散剤を用いたため、粘度変化率が大きめとなり、さらに蛍光体の相対輝度が低下した。
実施例8〜13は、同じ種類の成分であって、蛍光体粉末の配合量の異なる蛍光体ペーストに関するものであるが、これらのうち実施例9および実施例13の配合比率のものが、蛍光体粉末の沈降が生じず、焼成時の焼き飛びも良好であり、さらに粘度変化が小さく、塗布性の点においても良い結果が得られた。
実施例14および実施例15は、分散剤として2−(メチルアミノ)エタノール(B−1)だけでなく、さらにn−ヘプタン酸(B−6)を含有したものである。このように、蛍光体ペースト中に酸を共存させることにより、粘度安定性および膜厚精度を良化させることができる。
実施例1〜15については、青色蛍光体粉末である(Ba,Eu)MgAl1017(A−1)を用いて蛍光体ペーストを調製したが、赤色蛍光体粉末(実施例16)および緑色蛍光体粉末(実施例19)を用いた場合、および蛍光体粉末の表面を平均厚み0.2μmの酸化亜鉛層によって被覆したZSM、平均厚み0.2μmの酸化イットリウム層によって被覆したZSMを用いた実施例17、18においても、分散安定性および塗布安定性を得ることができる。特に、酸化亜鉛層、酸化イットリウム層を被覆した粉末を用いた場合、粘度変化を抑制する効果が大きかった。
一方、分散剤として、アミン化合物が水酸基またはアルコキシル基を有さないN−メチルエチルアミンを用いた比較例1および2ならびに分散剤を含まない比較例3は、粘度安定性および膜厚精度のどちらにおいても実施例より劣る結果となった。
また、比較例4は、分子量が300以上のアミン化合物を用いたため、粘度変化を抑制する効果が小さかった。また、焼成後に膜中に残存することにより蛍光体の色度変化、輝度低下に関し許容範囲外となった。
また、比較例5は、カルボン酸アミン塩化合物を用いたため、粘度変化を抑制する効果が小さく、膜厚精度も若干低下した。比較例6では、カルボン酸アミン塩化合物の添加量を増やしたため、分散効果は得られたが、色度変化、輝度変化について許容範囲外となった。
また、比較例7は、三級アミンであるトリエタノールアミンを用いたため、粘度変化を抑制する効果が十分ではなかった。

Claims (7)

  1. 蛍光体粉末、バインダー樹脂、水酸基および/またはアルコキシル基を有する分子量が300以下の一級もしくは二級のアミン化合物ならびに有機溶剤を含むことを特徴とする蛍光体ペースト。
  2. 前記アミン化合物の沸点が80〜350℃である請求項1記載の蛍光体ペースト。
  3. 前記アミン化合物の配合量が、蛍光体ペースト中に0.2〜5重量%である請求項1または2記載の蛍光体ペースト。
  4. 前記蛍光体粉末の配合量が、蛍光体ペースト中に40〜60重量%であり、かつ前記バインダー樹脂の配合量が、蛍光体ペースト中に5〜20重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体ペースト。
  5. 前記有機溶剤が水酸基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体ペースト。
  6. さらに、酸化合物を含む請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体ペースト。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光体ペーストを基板上に塗布し、焼成することによって蛍光体層を形成する工程を含むディスプレイの製造方法。
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